イノセント・フェアリーテイル
●小さな勇者たちの冒険
それは、ささやかな祈りのものがたり。
高い山をひとつ、大きな川をひとつ越えていったその先に、春の花が咲き乱れる幸せの野原と呼ばれる場所があって。
そこから持ち帰った四つ葉のクローバーを受け取ったものは、さまざまな幸せに触れることができるのだと。
たとえば大切にしていたなくしものが戻ってきたとか、おばあちゃんの病気がよくなったとか。三日続けて好物がごはんに出たとか、かけっこ勝負で一番になれたとか。
大人が聞けばくすりと笑い、子どもが聞けば目を輝かせる。そんなおとぎ話のような言い伝えを繋いだ手にきゅっと込めて、今、小さな兄妹が意を決して旅立とうとしている。
「つかれてもないちゃだめだぞ、マーニャ」
「うん!」
「ねえちゃんになるんだからな」
「うん、おにいちゃん!」
本当は高い山はささやかな峠道で、大きな川はせせらぐ小川であったりするのだけれど。彼らにとっては大冒険だ。
「ぜったいに四つ葉をとってかえろうな!」
「うんっ。あかちゃんが元気に生まれてくるようにおねがいするの!」
かくして無事に、ひそやかに。小さな勇者たちは小さな冒険に無事に旅立った――はずだったのだけれど。
――向かう峠には炎の魔物。
――至る野原には輝石の魔物。
骸の海から湧き出でた災魔たちによって、ささやかな冒険は大冒険に――いや、命すら落としかねない危険へと、変わりゆこうとしていた。
●冒険譚には大団円を
「……だから、助けに行って、ほしい」
ぽつぽつと、しどもどと。なんとかそこまで語り終えたトトリ・トートリド(みどりのまもり・f13948)は、話、わかった? と不安げなそぶり。
要は『幸せの野原』へ向かう子どもたちを守ればいいということ。けれど引き止めるという手立てはできれば使いたくない――心中を巧みに代弁してくれる仲間たちへ、トトリはうんうんと懸命に頷いた。
「代わりに、採ってきてやる…も、したくない。あの子たちは、自分の力で、あたらしいきょうだいに幸せを、あげたい筈、だから」
できれば先回りをして、立ち塞がる災厄を払ってやってほしい。なんとかそんなことをトトリは告げて、災魔のすがたを語る。
峠の道に現れるのは、火焔を纏う四足獣の群れ。火の気のないこの道にどうして現れたものかは知れないけれど、放っておけば子供たちばかりでなく、辺りの森にも危険が及ぶ。
そして辿り着いた野原に一見優雅に舞うもの、それこそが災厄の蝶。生きた宝石と呼ばれるそれは、振り撒く輝石片の輝きで出遭ってしまったものたちを惑わしながら、確実に命を奪い取る。好奇心旺盛な子供たちをなど、ひとたまりもないだろう。
「トトリ、連れて行くしか、できないけど。でも、皆なら……だいじょうぶ、だから」
それはわかる、と神妙に頷いて、口下手なシャーマンズゴーストはもう一度顔を上げる。
「その野原、すごくいい野原、なんだ」
シロツメクサの野原は辺り一面に広がって、四つ葉の宝探しにはぴったりだ。きらきら、さらさら、浅く流れる小川の歌が辺りに満ちる川沿いには、白や紫のスミレの群生、頬染めたようなレンゲの花。
野原にごろりと身を預ければ、低い視線にぴょんぴょん跳ねるつくしの頭。風が吹けばタンポポが揺れ、空のひかりに負けじと胸を張る。
「本当に、いい野原、だから。……オブリビオン、倒したら、皆ものんびり、してくるといい」
春のうららかなひとときに身を委ねて、喧騒を忘れてゆったりと。――でもそれは、無垢なる冒険譚を紡ぎ終えてのお楽しみ。
トトリが掲げた大きなローラーペインターの先で、明滅する虹色の立体が花火のように、爆ぜた。
五月町
五月町です。
お目に留まりましたらよろしくお願いします。
●第1章:集団戦
戦場はゆるやかな峠道。
●第2章:ボス戦
戦場は『幸せの野原』。
●第3章:日常パート
『幸せの野原』でのんびり過ごせます。
オープニングにあるとおりの『いい野原』です。選択肢にはそれほど拘らず、過ごし方はオープニングの雰囲気の範囲でご自由にどうぞ。そぐわない内容のものはそっとプレイングをお返しします。
お持ち込みで飲食もできますが、喫煙は今回はご遠慮ください。
この章のみ、お呼びがあればトトリが顔を出します。
●プレイングの受付について
今回は第1章・第2章はさっくり進め、第3章をのんびりじっくり楽しんでいただきたい仕様です。
第2章までのプレイングもそんなに早く締め切る予定ではありませんが、プレイングの集まりによっては早めに締めることもあるかもしれません。
マスターページとTwitter(@satsuki_tw6)で都度お伝えしますので、お手数ですがプレイング送信前に、締切のお報せがないかの確認をお願いします。
なお、第3章については、最初に送信いただいたプレイングの失効直前までは受け付けたいと思っています。(※描写確約という意味ではありません!)
お連れ様がいらっしゃる場合は、名前/ID、もしくはグループ名の記載をお願いします。グループは5名様くらいまでは頑張りたい気持ちですが、おすすめは2〜3名様です。
また、できるだけプレイングの送信時間を合わせて頂けると、こちらの採用のタイミングが合わずにプレイングをお返しする、といったことも少なく済むと思います。特にグループ参加のお客様はご協力いただけると助かります。
それでは、どなたにも好い道行きを。
第1章 集団戦
『炎の精霊』
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POW : 炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
イラスト:白狼印けい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●第一の冒険:炎の獣
歳が十にも満たない、平坦な村を住まいとする兄妹には、ほんの少し険しく見えるかもしれない。
そんな峠の上り坂を、小さな二人は意気揚々と進んでいく。
「はやいか?」
「ううん、へいき……!」
手を引く兄の名はクーヤ。引かれる妹の名はマーニャ。汗をかきかき上る坂道の頂が見えてきて、兄はがんばれ、と妹を励ます。
「もうすこしで山の上につくからな! そしたら野原がみえるんだって……!」
きらきらと目を輝かせたふたりは、知らない。
その頂きで出遭うのは春めかしい景色などではなく、荒々しい炎を纏った災魔であること。
驚いて泣き出す暇もなく、その炎に喰らわれてしまうことを。
――けれど、まだ、大丈夫。
それはもう少し先の、釦を掛け違えた物語。
のどけき春の日和には、もっと幸せなお話が似合うから。
その刻限までは、まだ充分に暇がある。小さな勇者が至る前に、災いを退けてしまえるくらいには――。
霄・花雫
だいじょーぶっ、そんな悲しい話になんてさせないから!
ハッピーエンドが良いに決まってるもん!
ちっちゃな勇者の物語の裏方、頑張っちゃうよー
行くよ、姫ねぇさま!
水の姫ねぇさまを喚び出して、こっそりあたしの毒も混ぜて、大渦に炎を飲み込んじゃおう
姫ねぇさまの水、そう簡単に蒸発させられると思わないでよね!【全力魔法、毒使い】
【誘惑、挑発、パフォーマンス】で敵の気を引いて、駆けて跳ねて【空中戦、野生の勘、第六感、見切り】で避けるよ
遅い遅いー、鬼さんこちら!虎さんだっけー
当てられるもんなら当ててご覧!
あたしが引っ掻き回して注目されればきっと隙が出来る、他のヒトが攻撃しやすくなるでしょ?
白波・柾
……小さな勇者たちの道行きには危険がつきもの、ということか
だが、俺たちにも……できることがある
これから起こる悲劇を防ぐことはできるんだ
さぁ、行こう――明るい明日を迎えるべき者たちに、その日を与えられるように
基本的にはヒットアンドアウェイで戦うことができれば
長く近接距離にいるのは相手からして分が悪い
【鎧砕き】【ダッシュ】【なぎ払い】を使用して一体一体、数を減らしていこう
必要なら【敵を盾にする】を利用していきたい
危険な窮地は【咄嗟の一撃】【傷口をえぐる】で敵のけん制を行いたい
ここぞというときは『正剣一閃』で仕合うとしよう
宮落・ライア
生まれてくる子の為に!お姉ちゃんになる妹の為に!
ああ素晴らしいな!とっても素晴らしいな!
その勇気!その覚悟!その思い!その輝きは美しいな!
その道のりに不躾に手を出すのは心苦しくは思うけれど
あれは荷が重過ぎるだろうな!
せめて歳相応の道程になるよう助力しようじゃないか!
さぁあの子達が来る前に片付けないとね!
【ダッシュ】で近づき
【怪力・衝撃波・グラウンドクラッシャー】でトラの形に戻れないように叩き散らす!
【二回攻撃・気合い・薙ぎ払い】で近づくトラをぶっ飛ばす!
ダメージは速攻重視の為に【激痛耐性・覚悟】で無視して
【カウンター捨て身の一撃】をするぞ。
アドリブ歓迎
花狩・アシエト
……きょうだい
そうか、じゃあ手助けしてやらねぇとな!
オブリビオンときょうだいの間に入る
お前の相手はこっちだ!
武器「右の」を構えて、きょうだいたちに行かせないように「第六感」を使いオブリビオンの動きをよく見る
攻撃は氷属性の「属性攻撃」を重ねた「紅椿」で一気に叩く
「二回攻撃」でさらに追撃!
数が減ったら「右の」で攻撃
「戦闘知識」を蓄えておいて
「力溜め」を使って一気に叩く
力溜めを使わないときは「二回攻撃」で「串刺し」!
後ろまで届け
余裕があればきょうだいに声をかける
大丈夫か?怪我とかしてないか?
おっちゃんたちが助けてやるからな、待ってろ!
アドリブ、共闘歓迎
●希望の芽
「だいじょーぶっ、そんな悲しい話になんてさせないから!」
――こんな明るい春の日の物語には、ハッピーエンドが良いに決まってるもん! ひらひらと花めく鰭を戦がせて、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)は力の限りを目の前に紡ぐ魔法に注ぎ込む。
「さあ、行くよ、姫ねぇさま! 一緒に飛ぼう……!」
迎えるは幼い頃から親しんだ精霊のひとり、その血ゆえ、水に親しむ花雫には最も近い、水の精霊姫。ふたり手を合わせ生み出す水の大渦に、空に躍る鰭からちくり、と毒を溶かして。
坂の彼方に見ゆる炎など、たちまちのうちに呑み込んで、花雫は気丈に笑う。もう守られてばかりの弱々しい少女ではない、自分の力で光の下に踊れるのだ。
「ま、今日は裏方だけどね! ちっちゃな勇者さん達のために頑張っちゃうよー……わ、っと!?」
背後から迫った炎の牙が、何かに縛られて止まる。――炎が伝い、ようやく目に留まるほどの細い細い鋼の糸。
「こちらは俺が抑える、前を」
強く引き込む糸に釣られ、一体の獣が白波・柾(スターブレイカー・f05809)を視界に収める。焼き殺されそうに燃える眼から一瞬で距離を取り、一撃を躱す。退いては踏み込み、踏み込んでは退く、波のような攻め手に獣は次第に花雫から引き離されていく。
燃え盛る脚が空を捉えた。高みに駆け上った獣の一撃が身を掠める。走る熱と痛みに、自分は耐えられるけれど――と柾は彼方の子らを思う。幼い子供たちにはひとたまりもないだろう。
「だが、俺たちが……これから起こる悲劇を防いでみせる。小さな勇者たちの道行きに、危険は不要だ」
駆け抜ける鋼糸が、獣の帯びる守りの力を切り裂いていく。少しずつ斬り削がれて風に散る炎の間から、飛び掛かってくる獰猛な爪。j転がり避ける柾の姿を横目に、ふふん、と花雫は獣を笑う。
「遅い遅いー! 鬼さんこちら! あれ、虎さんだっけー?」
かかっておいでと綻ぶ勝ち気な瞳に煽られて、炎の獣はいっそう荒れ狂う。それこそが花雫の狙い。
「柾くん、跳んでー!」
「……!」
牙と圧し合う鋼糸を緩め、柾が高く跳躍する。態勢を崩しつんのめった獣のもとへ、少女にひらりと躱された獣が転がり込んで――衝突に花のように散る火の粉。
「今だよ、やっちゃえー!」
「ああ――明るい明日は、迎えるべき者たちの手に!」
燃え盛る爪が華奢な体を抉る、直前に。一瞬の集中が、柾の手にその本性を形作る。赤き鞘持つ大太刀、その刀身が抜き放たれた時にはもう、獣の胴は真っ二つに分かれていた。
「おお……やるじゃん! かっこいー」
ひょいと軽やかに獣の突進を躱しつつ、花狩・アシエト(アジ・ダハーカ・f16490)はゆらめき消える炎の気配に笑む。
未だここに至らないちいさなふたり。きょうだいか、と小さく口にすれば、胸に燈る英雄の灯がゆらり大きく燃え上がる。
「……そうか、じゃあ手助けしてやらねぇとな!」
「そうだな! 生まれてくる子の為に! お姉ちゃんになる妹の為に! ――ああ素晴らしいな! とっても素晴らしいな!」
きらきらと瞳を輝かせ、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は獣たちの間に割り込むアシエトと背を合わせる。幼い子らのその勇気、その覚悟、その思いは、なんてきららかに輝くのだろう――なんて眩く美しいのだろう!
幼気なこころが選んだ道に、手を出すのはほんの少し心苦しい。けれど流石に、この獣たちでは荷が重すぎるだろう。
「せめて年相応の道程もなるよう助力しようじゃないか!」
「ああ、行くぜ!」
飛び込まれる前に、敵の頭上へと。風のように駆け抜けたライアが白い大剣を振り下ろせば、地面がごぼりと起ち上がる。
脚を食む大地、放たれる衝撃の波、力を乗せた剣。ライアが放った三つの力にひととき獣の輪郭を奪われた敵へ、逃れる暇も許さずにアシエトが肉薄する。
反りの少ない右の剣に纏わせるのは、今は遠い季節の気配。熱ごと凍らせんとする氷の力は、紅椿の花片を閉じ込めた氷の薄片にかたちを変える。
「その姿じゃ首がどこかも定かじゃねぇからな――どことは言わず落としてやるよ!」
不要な怪我も心の傷も負わせたくない。分裂する炎を斬り裂いた薄片は、アシエトの想いを乗せて翻る。分かたれてなお燃える火が、ぶすぶすと煙って尽きるまで。
「いい感じだ! さぁ、あの子達が来る前に片づけないとね!」
「ああ。待ってろ、おっちゃんたちが助けてやるからな……!」
尽きる命の向こうにまたひとつ。湧いて出た熱の獣を前に、ふたりの顔には不敵な笑みが浮かんでいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
タンケイ(f08051)と連携
【WIZ】他の猟兵とも協力
「こんな日にはハイキングが良いですね」
スキップこそ自重しつつも鼻歌交じりの峠道
タンケイに頷き、
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』で敵を『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「倒すだけでは足りません」
子供達だけではない
峠道や周囲の森、白詰草の野原という"自然"を守り抜く
弓で『援護射撃』
星枢の力で魔力を得て、星の『属性攻撃』で炎を吸い上げる
重傷には【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用
タンケイ達の勇猛果敢な戦いぶりは頼もしい
それにしてもダイアウルフ、美しいです
オズ・ケストナー
やさしいふたりのために峠をかけのぼる
だめだよ
会わせてあげない
炎の精霊の前に立って斧を振るうよ
【ガジェットショータイム】
振り回せば霧のように水を降らせるガジェットが斧の裏に付いて
斧で攻撃しながら辺りを冷やす
熱を減らせば力も減らないかな
【範囲攻撃】するね
こんなにいい天気なんだもの
霧の中にちいさな虹も見られたらいいな
攻撃は【武器受け】
ジャンプする精霊がいるなら
シュネー、少しがんばって
空を追って攻撃
ごめんね、あつかった?
シュネーを抱きとめて
ふたりが野原をみて、わあっと声をあげるところが見たいもの
もうちょっと、がんばろうね
がんばった冒険もしあわせ探しも
ぜんぶぜんぶ、たのしかったって笑って話してほしいから
タンケイ・オスマンサス
マリスさん(f03202)と連携
【SPD】
「幸せの野原、きっと綺麗なんだろうなぁ…!とっても楽しみです!」
でも…
その前に可愛らしい勇者さんの冒険を成功させてあげないとですね
うう、炎の熱気がすごいですが、子供達や綺麗な自然を守るため、頑張るよ、ダイア!
マリスさんが敵の気を引いてくれている隙を狙って巨大化した相棒のダイアウルフ(ダイア)に声をかけ跨ると、そのまま槍を構えて突撃します。
【オーラ防御】とヴェールの【火炎耐性】で炎を凌ぎ、反撃には強化された戦闘力を駆使して【見切り】、【第六感】で急所を狙い突撃の勢いを利用して一突き
マリスさんが炎を吸い上げてくれているおかげで戦いやすいですね。
冴島・類
そいつは…随分やり甲斐ある作戦ですね!
しあわせは、彼らの手で
勇敢なお兄ちゃん達が、笑顔できょうだいに会えるよう
道の火の粉は払いに行ってみましょう
味方とは連携、協力歓迎
炎虎の群れとは
森が燃えてしまったら…困るな
数と攻撃手段見て
突進をただ避けるのはよろしくないか
なら、多少ならずとも
受けてでもと
相棒の瓜江を操り共に舞い
突進は残像交えながら引きつけ
興奮させ、周囲に注視いかぬよう
こちらに向かわせれたら
さあおいで
燃やすなら、こちらに
向かって来る瞬間
タイミングを見切りで見極め直撃逸らし
UCで威力軽減狙いつつ、近づいたところで薙ぎ払いで斬る
薙ぎ払いでは、斬撃浅ければ
踏み込み、喉を狙い
あの子達が来る前に
「幸せの野原、きっと綺麗なんだろうなぁ……! とっても楽しみです!」
春の陽気に弾む足取りが、金木犀の香を辺りにふわりと薫らせた。傍らの友に笑いかけた矢先、タンケイ・オスマンサス(魅惑のシンフォニア・f08051)は足を止める。低い唸りを上げ、彼女を守るように前に出たダイアウルフを手で制する。
目の前に現れたのは炎の獣――春の野に至る前に打ち倒すべきもの。そうですね、と頷いて、
「その前に、可愛らしい勇者さんの冒険を成功させてあげないとですね」
「ええ。こんな獣が出てくるようでは、ハイキングも侭なりませんから」
機嫌の良い鼻歌を遮られ、マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)はほんのり不満顔。けれど私情は祈りに代えて、聖者の光で敵意を攫いにかかる。――倒すだけでは足りない、この峠道も緑豊かな森もその先の野もすべて、守るべき自然だから。
光に惹き付けられてか、あるいは偶然か。自身へ向かい来る一体目掛け、弓を引く。奔る矢が地に突き刺されば、気を取られた敵の前へ飛び込んでいく果敢な影がある。
「私も同じ気持ちです! 子供たちや綺麗な自然を守るため……頑張るよ、ダイア!」
タンケイの声が降る。見上げる高みに彼女を至らしめるのは、主と魔力を共有し大きく変化した守護獣、銀の毛並みのダイアウルフだ。
ひと撫でで意図を解した守護獣の突撃に、炎が吹き飛ぶ。勢いのまま跳んだタンケイは、槍を翻し獣の頭上へ。
(「……うう、炎の熱気がすごいですが……負けません!」)
獣の芯を捉えた穂先は、強靭な胴を深々と貫いた。獣は身を捩り、怒りに燃える獣爪でタンケイを狙い来る――けれど、
「させませんよ。美しいダイアウルフも、頼もしい私の友も」
狙いを逸らしに降る矢の雨の向こうには、光り輝くマリスの姿。微笑んで、タンケイは槍を翻した。掬い上げる白銀の相棒の鼻先に身を委ね、その頭上からもう一度――、
「ダイア、いくよっ!」
降り落つ一尖が眉間を穿つ。辺りを震わせる咆哮、獣が苦痛に暴れ出すその前に、坂道を駆け上がってくる四つ影がある。
「だめだよ。あの子たちには、会わせてあげない」
白い蒸気に勢いを借り、機巧の斧が炎を散らす。柔らかな笑みに決意を乗せて、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は雪色のシュネーと共に敵前に圧し迫る。
「いっしょに踊ろう、『Hermes』――きょうはどんな姿を見せてくれるかな」
語り掛けた斧が炎を散らす度、しゅん、しゅん、と空気が歌う。春空の下を淡く烟らせる白霧は、斧の一撃にひやりと澄んだ水の気配を纏わせて、眼前の炎を僅かずつ弱めていく。
そして水を避ける獣の軌道に割り込むのは、冴島・類(公孫樹・f13398)。彼のかつてを燃やしたものを恐れることなく舞い出でる、その傍らにはひとがたが添う。
「一緒に耐えてくれるかな、瓜江。――さあおいで、燃やすなら、こちらに」
春の陽気に萌え出でた、鮮やかないのちの緑が損なわれぬように。健気な道端の花たちが、咲き誇る前に灼かれぬように。交差する足取りで突進の軌道を少しずつ逸らし、いとおしいものたちから熱を遠ざけ、その身に受ける。
「だいじょうぶ……!?」
「……ッ、なんの、これしきの熱。まだ春風は涼しいですよ」
貴方の霧もと笑う類に、よかった、とオズも瞳を和らげる。類と呼吸を合わせ、獣の敵意を誘う瓜江を横目に、『わたしも』――と主張する声こそは聞こえないけれど、
「シュネーも? ……うん、そうだね」
く、と袖引き何かを語る花色の瞳に、いっしょにいこうとくすり微笑んで、オズは地を蹴った。
ずっと傍らにいた大切なきみだから、こころ並べて。振り上げる斧の軌道に雪色のシュネーが躍るさまは、兆すささやかな虹を足掛かりにするかのよう。
高みで爆ぜた炎の熱からも逸らされないオズの瞳は、受け止めたシュネーが跳ね返す、美しく強かな熱を映す。
腕の中へ舞い下りた姉をあつかった? と労りながら、斧はもう、地上を目指す獣に狙い定めている。
煌めく野原を前にして、小さなふたりがわあっと声を上げて。瞳にはきらきらと溢れ零れる、春のいろ。拓くべき物語はもう、その先に見えているから、
「がんばった冒険もしあわせ探しも、ぜんぶぜんぶ、たのしかったって笑って話してほしいよね」
「ええ。しあわせは、彼らの手で」
まだ少しひんやりとした春風に、類は斬撃を乗せた。遠き季節の恵み、翅持つ種子のかたちを借りた刃は、ひらひらと踊りながら炎を散らしていく。
「勇敢なお兄ちゃん達が、笑顔できょうだいに会えるよう……ふふ、こいつは随分やり甲斐ある作戦ですね!」
「ふふ、ほんとだね。――もうちょっと、がんばろう」
しなやかに笑う心で振るう刃は、硬く――強く。
四つの影が拓く道に、またひとつ荒ぶる炎の気配が尽きた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
誘名・櫻宵
🌸リル(f10762
アドリブ等歓迎
春うらら、冒険日和のいい天気ね!
リィはクローバーすきなの?
じゃあ見に行きましょ!
王子様にぴったりな花冠、つくったげるわ
隣を泳ぐ愛しい人魚に微笑んで
ああ、でもその前に
邪魔者を消さないとね?
炎を見据えて双眸細め
そうね
勇者様を助けるのは、王子様とお姫様の役目よ
案じるリィの手を優しく握ってから屠桜を握り構える
大丈夫
リィの歌があるのだもの!
どんな炎も斬ってやるわ
刀に水の属性を添えて
衝撃波と共に思い切りなぎ払い斬って
隙ができれば2回攻撃、傷がみえれば抉るようになぎ斬ってやりましょう
リィを庇い守り
敵の動きがとまったなら踏み込み絶華を放つ
どう?
あたしの歌姫の歌は最高でしょ?
リル・ルリ
■櫻宵(f02768
アドリブ等歓迎
櫻、櫻!しあわせの野原、だって
どんなところなんだろう
僕、くろーばー、すきなんだ
君とみたいんだ
それに、小さい勇者たちが安心して峠を通れるようにしなきゃ
彼らには笑顔が、1番似合うから
悪い炎は消してしまおう
櫻宵の横をゆるり游ぎ、炎をみれば気をつけてと櫻の手を撫でる
――僕の櫻が燃えてしまうのも、嫌だから
気をつけていっておいで
背を推すべく歌うのは君のための「凱旋の歌」
【歌唱】に【鼓舞】をのせて
悪しき炎ごと斬りさいてしまえるように
歌い歌って君を守るから
ダメだよ、僕の櫻に手出しはさせないから
しばし魅惑されていておくれ
音色転じて
「魅惑の歌」を響かせる
ふふ
冒険ってわくわくするね
●どうぞお怪我のないように
熱の気配が遠のけば、そこは春うららの峠道。冒険にはぴったりの晴れやかな陽気は、手を取り合って駆けるふたりの心を逸らせる。
「櫻、櫻! しあわせの野原、だって」
細工物のような繊細な声を弾ませて、リル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)が笑う。――どんなところなんだろう?
「僕、くろーばー、すきなんだ。君とみたいんだ」
「クローバー、すきなの? じゃあ見に行きましょ! 王子様にぴったりな花冠、つくったげるわ」
朧ろな春色を纏い、誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)はふふっと笑う。花化粧の翼を背にした柔い青年は、行く手に立ち上る危うい気配に目を細めた。
下り坂に見下ろす彼方に、青々と広がる野原。けれどそこに至るには、乗り越えなければいけない冒険がある。――そう、たとえば、明々と燃える目の前の獣。
「ああ、でもその前に……邪魔者を消さないとね?」
「うん。小さい勇者たちが安心して峠を通れるようにしなきゃ――」
儚く柔いふたりの輪郭を、湧き出す苛烈な戦の気が包む。離れるひとときを惜しむリルの指先が、ついと気遣わしげに櫻宵の手を撫でた。
「気をつけて。――僕の櫻が燃えてしまうのも、嫌だから」
「心配しないで。王子様の歌があるんだもの、お姫様だって負けやしないわ」
一瞬、やさしく握り返したその手は一転、紅に染まる血桜の太刀を掴み取る。春を纏う翼を広げ、高く翔ぶ姫の背に、王子が贈るのは――早くも勝利を言祝ぐ凱旋の歌。
(「悪しき炎ごと斬り裂いて。……この歌で君を守るから」)
歌い歌って、喉が枯れるまで。身の底の力を浮かび上がらせるリルの歌声に、桜の姫は淡い瞳を揺らす。――ああ、この胸を鳴らす声。
「そうよ、大丈夫。リィの歌があるのだもの!」
鮮紅に纏うは水の気配。奔る衝撃波が獣を吹き飛ばし、腹を晒したその一瞬に切っ先が翻る。
「逃しやしないわ」
即座に切り返す一閃に、転がされた獣がよろよろと起き上がる。その眼が地上で歌を紡ぐリルを射たのを、見逃す櫻宵ではない。
「あたしの歌姫をどうするつもり? 悪い子はここで散らしてあげる!」
燃える懐目掛け、急降下する鮮紅の刃はまるで鋭き竜の牙。眼前に迫る獣の脅威に、リルは柔らかに微笑んでみせる。
「そう、余所見しないで。――僕の櫻が終わらせてくれるまで、ね」
紡ぐ魅了の歌声が捉えたままの心ごと、見えざる斬撃が斬り刻む。
「どう? あたしの歌姫の歌は最高でしょ?」
手を繋ぎ、微笑み合うふたりの前。答える声を持たざる人魚のように、炎は泡と弾け散る。
心細く揺れる炎の花は、風に運ばれてふうわりと消えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
糸縒・ふうた
新しいかぞく、のために
そう願ったふたりを、ふたりのきもちを、壊させやしない
笑顔が溢れるはずのかぞくを泣かせたりなんて、させないぞ
行こう、【疾風】
お前と一緒なら、どんな敵が現れたって、へっちゃらだ!
燃え盛る姿と伝わる熱風に気圧されそうになるけど
【勇気】で以って、懐に飛び込もう
攻撃を与えたら炎が移ってしまう前に離れて
もし燃えてしまうようなら転がったり、
一等速く駆けて、延焼を防ごう
相性は決して良くはないし、盛る炎は、こわい
でも、引けない。負けられない
理由が、あるから
だから、何度だって立ち上がってみせる
不意打ちには【野生の勘】で警戒を
【疾風】のスピードなら、
どんな攻撃だって当たりっこないんだから!
都槻・綾
暖かな春の日を
兄妹達のあたたかな想いを
新たな命の誕生と家族の温もりを
きっと護り抜いてみせましょう
皆と声を掛け合い死角を補い
第六感を研ぎ澄ませて
先手を取れるよう敵の出現をいち早く察知
叶うならば事前に
柔く軽やかに風へ乗せた水の薄紗の如き鳥葬を撒いて
付近が燃えるのも防護しておきたいところ
先制攻撃、高速詠唱、範囲攻撃、二回攻撃を駆使
自他共にオーラ防御
水纏う羽搏きの鳥葬で可能な限り広範囲の炎の獣を一掃
水剋火で火を打ち消す
煌く飛沫が周囲の草木花への延焼も防ぐと良いですね
雨の気配は無いのに草葉に雫が耀くのを
兄妹達が不思議に思って首を傾げるでしょうか
陽を弾いて虹色にひかる恵みの水
道行への祝福にもなりますように
フェレス・エルラーブンダ
風のにおい
陽のひかり
しらないもの
しりたくなかったもの
――しってしまったら、焦がれてしまうもの
ぼろ布を目深に被り直す
ひかりに、灼かれてしまわないように
走る
子どもの足よりも、吹きゆく風よりも
もっと早く、もっと疾く――
燃え盛る焔を見つけるや否や踊りかかる
相手が身構えることすら許さずに
切る、斬る、刻む
焔がその姿を保てなくなる程に
強ければ生き、弱ければしぬ
陽の射さないあのせかいでは
誰もが貧しく、そして無関心だ
弱いものに手を差し伸べることなんて誰もしなかった
自分もそうして生きてきた
それなのに
……私はなぜ
なぜ、『こちら側』にいるのだろう
いのちを救うこと
手を差し伸べること
まだ、慣れない
でも、……いやでは、ない
駆け抜ける風のにおい、降り注ぐ陽のひかり。自分のこれまでにはなかったもの、知らなかったもの。――知ってしまったら焦がれてしまうから、知りたくなかったもの。
眩さに細めた瞳を襤褸布の下に深く隠して、フェレス・エルラーブンダ(夜目・f00338)は駆ける。爽やかな春風よりも子どもの足よりも、
(「もっと早く、もっと疾く――」)
離れていてさえ身を焦がすような炎の獣。その頭上に、跳ぶ。振うダガーは眼前の獣よりも獣めき、身構える暇すら許さず炎の上を駆け巡る。
(「消えてしまえ、散ってしまえ」)
炎が保てなくなる程に、誰も害することができないように。言葉はなく動きは冴える、けれどこの燃え上がるような衝動は、どこから湧き出るものかとフェレスは思う。
光溢れるこの野原とは真逆の世界。誰もが貧しく、互いに無関心で――強ければ生き、弱ければその末路はお察しだ。自分だってそう在った筈なのに、何故、今になって、
(「……私はなぜ、なぜ、『こちら側』にいるのだろう」)
手を差し伸べることなんてしなかった。弱いものが倒れていくのは仕方がないと思っていた。けれど、弱くも眩しいふたつの笑顔が希望へ至るために、全身に帯びるこの刃を振うのは――なぜ?
(「わからない。まだ、慣れない……けれど」)
布の影に沈んだ瞳が、勢いを削がれていく炎を映して煌めく。――それは決して、悪い心地ではなかったのだ。
真正面から斬り交わすフェレスの傍らに、熱を燈した尾が迫る。はっと身構えたその瞬間、その声はふわりと薫った。
「加勢を」
熱の色を塗り替える青。都槻・綾(夜宵の森・f01786)が迎えるは、水の気を強く表した鳥の翼。飛沫を含む羽戦きを辺りに振り撒けば、それは冷ややかな斬撃となり、迫る熱を強かに斬り刻む。
身に立ち上る五行の気は、他者を守るには至らない。けれど前にと踏み出れば、煌めく水を帯びる自身は仲間の盾ともなり得る。そして、
「叶うなら草木への護りにもなり得れば良いですね。……消されるならば幾度でも」
振り撒く水を一瞬で蒸気と化す、苛烈な炎を身に受けつつも、唇は涼しげな笑みを刻む。機を見てはふたたび放つ羽戦きが、盛る炎を少しずつ小さくしていく。それを油断なく見つめながらも、
「兄妹達が不思議に思って首を傾げるでしょうか」
青天下に雫を結ぶ草木を見つめ、ふふ、と綻ぶ綾を、すごいなと横目に捉えて糸縒・ふうた(風謳エスペーロ・f09635)は駆ける。
「おれだって負けないぞ……! 行こう、『疾風』!」
呼ぶ声に応え、足許の影がぐんと起き上がる。光溢れる春空へふうたを押し上げた巨大な影の狼を、めらりと燃え上がる獣の熱が染め返そうとする。
恐れがない訳ではない。身を焦がす熱、自らの炎を喰らって育つ炎、その懐に飛び込むことを思えば心は揺れる。――こわい。それでも、
(「引けない。負けられない。……理由が、あるから」)
怖がりながら何度だって飛び込んでいく。一撃を躱されようとも、その身に炎を受けようとも、だいじょうぶだと言い聞かせて。
「お前と一緒なら、どんな敵が現れたってへっちゃらだ!」
影の巨躯を駆り、炎の獣を翻弄する少年。振う勇気が難いものと知るからこそ、綾はその背へ追い風となる力を巡らせる。打ち棄てられた過去の海から彷徨い出るもの、荒ぶる魂へ示す道標。
「春の日も、兄妹達の想いも、新たな命を迎える家族も――あたたかなものをきっと、護り抜いてみせましょう」
「……うん! 新しいかぞく、のために……そう願ったふたりを、ふたりのきもちを、壊させやしない!」
疾風の一撃が強かに炎を叩き伏せたそこへ、淡く冷ややかな雫を連れた斬撃が続く。鮮麗な炎が潰えたそこには、きらきらと露に輝く春の光景が広がっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と
初めての冒険ナンでしょ?
笑顔で終わらせてあげたいよネェ
幸せの野原ってのも見てみたいし
幼子の足になら森の中を駆けても追い抜けるかね
獣の通り道などの通りやすい箇所を『情報収集』で見分け先を急ぐ
敵を見付けたらたぬちゃんの攻撃に合わせ
【月焔】呼び出し最大数の焔を撃ち込み牽制
『高速詠唱』からの『2回攻撃』で近接している敵数体へ
数個に纏め威力増した焔で『傷口をえぐる』よう撃ち込む
たまには冷たぁい炎でも如何?とびきりのをご馳走してアゲル
戦場外、特に子供が来ている方角へ抜ける敵がいたら何より優先し攻撃
追い、阻み、「柘榴」を振るい炎を喰らう
オレも、喰らうのは大好きでネ
絶対に逃さないヨ
火狸・さつま
コノf03130と
段々とあったかくなてきたこの時期に……
燃え盛る炎、は、ちょっと、要らない…ね?
火、喰いたい、の…?
じゃ、俺の、とびきりの炎。
ご馳走、したげる
『焼き尽くせ』
先制攻撃【封殺】
そのまま2回攻撃で雷火の範囲攻撃
見切りにて敵味方の攻撃把握
コノの攻撃に合わせ
【封殺】にて攻撃力削り
あわよくばユーベルコード封じつつ
雷火で範囲攻撃
1匹たりとも、通さない、よ
コノが躱しきれぬと見切れば
コノの攻撃を邪魔しない範囲でかばう
見切りにて攻撃躱しつつ
オーラ防御で防ぎ
火炎耐性・激痛耐性にて凌ぐ
さっさと倒さなきゃ、二人、来ちゃう
それに、まだ、次、倒すべきヤツのお相手予定が、詰まってんだから…
片付けさせて、貰う!
クレム・クラウベル
暖かなだけなら良いものだが
焼き尽くし摘み取ろうと言うなら遠慮の必要もあるまい
幼子の命はもとより、森を燃やされるのも防ぎたいところ
憂いごと纏めて祓おう。幼き冒険者が辿り着く前に
火を喰らうのは面倒だな、手数が一つ減る
ならば偶には此方を使おうか
銃と祈りばかりが能じゃない、侮ってくれるなよ
懐へと踏み込み、くるり手の内に滑らせる短剣
一閃、返す手で二閃。同じ箇所を狙い傷口をえぐる
何者をも焼かせはしまい。纏う炎諸共に引き裂こう
フェイントや目潰しも交え死角からのだまし討ち等も試みる
数が多い時は踏み込みすぎて囲まれぬよう留意
絶望の福音も駆使して攻撃見切り、一度距離取り
協力者いればお互いにカバーを
イア・エエングラ
危ない枝は手折ってしまお
尖った小石は退けておこう
可愛い子らの行く路に、穏やかな風が吹くように
どうぞお怪我のないように
先駆けとして、駆け抜けましょう
滄喪とともに、天辺まで走ろうな
陽気につられて出ていらしたかしら
虎退治の冒険譚には、まだすこし、早いかな
返す裾で掃う青い火で、お前の炎を消しましょう
旅路に燃え広がってしまってはいけないもの
芽吹いた春を焼いてしまわぬように
おびき寄せるよに手招いて
凍てる火纏った銀閃で爪を受けよう
短剣で裂くとみせて、本懐は穿つ冷気の塊を
炎を反した氷の欠片が
ちいさな冒険譚にひとつ、光と射すように
「ふふ、初めての冒険ナンでしょ? 笑顔で終わらせてあげたいよネェ」
緩やかにうねる峠道を逸れ、コノハ・ライゼ(空々・f03130)はしなやかに駆けていた。
獣の性は隠すでもなく身の内に、けれど野に在れば相応に鼻は利く。件の子供たちが至るのはまだまだ先だと聞いてはいたけれど、匂ったのだ。――獣道の先に、きな臭い過去の気配が。そして、
「……見えた」
「……ん。段々とあったかくなってきたこの時期に……燃え盛る炎、は、ちょっと、要らない……ね?」
笑うコノハより一瞬速い。緩く辺りを景色を見渡していた火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)の眼差しが、ふと険を帯びる。駆け抜けた藪の先、燃え立つ鮮やかなものへ躍りかかる—―、
「火、喰いたい、なら……俺の、とびきりの炎。ご馳走、したげる」
――焼き尽くせ。さつまの命に、駆け抜けるは青き炎の獣、影の如き黒き炎の獣。悟られるより早く炎の獣を捉えたそれらのもとに、晴天を貫く白い稲光が降り注ぐ。その一撃を間一髪で避けた獣が猛る前に、退く鼻先へ迫るのはコノハの追撃。
「あらまァ、たぬちゃんのはお気に召さなかった? それならたまには冷たぁい炎でも如何?」
こちらもとびきり、と眼鏡の奥でにんまり笑う。赤でもない、青でもない、黒でもない。鋭く降る白でも、ない。柔く悲しげな月の白を纏ったコノハの狐火が、さつまの灼いた傷口に次々と噛みついていく。
「ちょおっと場所が悪いからネェ。喰らい合うなら、明るいトコに出ましょうか」
飛び掛かる炎は三十を数え、膨れ上がる魔炎に弾かれ転がり出た先はかの峠道。おや、と微笑むイア・エエングラ(フラクチュア・f01543)の眼差しが、熱を捉える。
「――陽気につられて出ていらしたかしら」
まだ風は時折冷たいものなと微笑んで、風のように駆ける足を止める。けれど裏腹に、裳裾に引く夜の彩から立ち上る青い炎は勢いを増して、禍つ獣に降りかかる。
「あんまり無体をなさいますな。――旅路に燃え広がってしまってはいけないもの」
芽吹いた春を、優しく愛おしい心の萌芽を、荒れ狂う炎で灰に還してしまわぬように。手招く裾に揺れる青はゆうらりと掌へ上り、冷えたかいなとなって燃える獣を抱き取る。
「ふふ、あついこと。少しさましてさしあげましょ、な」
真正面から額を捉えた銀の一閃。吹き出す血の代わりに迸る熱を、ぴしぴしと空気を裂いて育つ氷が呑み込んでいく。
抗い振る爪が氷を砕き、欠けたそこから再び熱が燃え上がる。さらなる氷が纏いつくよりも早く、クレム・クラウベル(paidir・f03413)は冷ややかな身を敵の懐へ滑り込ませた。
「無粋なものだ。――暖かなだけなら良いものだが」
銃と祈りばかりが能ではない。侮るなと細めた瞳に熱を映し、閃く刃を喉笛に深々と圧し沈める。頭上に轟く咆哮は気にも留めず、返す刃でもう一閃。
強靭な脚に踏みしだかれるその前に、クレムは身を転がして獣の下から逃れた。吹く風がひやりと心地好い。
焼き尽くし摘み取ろうというのなら、遠慮の必要など何もない。幼い子らの命はもとより、この森を成す樹々、草花のひとつひとつに至るまで、不条理に焼き尽くされていいものなど何もないのだから。
「憂いごと纏めて祓おう。今は祈りは置いておくがな」
傷口から吹き出した炎を喰らい、獣は低く地を蹴った。陽炎に揺れる牙は思いがけず鋭くクレムを狙い来るけれど、僅か先を見通す男の眼差しは軽々とそれを躱してみせる。
そして代わりに、煌々と光の燃える眼球を穿つ切っ先。
――ウウオオオオオォォ……!!
苦痛の滲む咆哮が響き渡る。視界を奪われ、気配だけで突進を繰り返す狂おしい獣。その行く先に友を認め、さつまの眼に鈍い光が灯った。
「――1匹たりとも、通さない、よ」
コノハを狙うなら尚の事、小さな子らは言うまでもない。向かい来る炎を怒りの気で相殺し、それでもひりつく痛みは加護で拭う。
(「さっさと倒さなきゃ、二人、来ちゃう……それに」)
燃え立つ群れを片付けて終わりではない。一見長閑な春の野に、幸せを探す子らを誘い惑わす妖があるというのなら、
「まだ、次、倒すべきヤツのお相手予定が、詰まってんだから……!」
「そうネェ。――さっさと喰らっちゃいマショ」
狂気に狙われた危機感もなく、コノハが笑う。
絶対に、逃さない。冴え冴えとした二つの炎が、赤の炎を呑み込んでいく。
奪われゆく熱に大きく喘ぐ獣の口へ、冴え渡る青の雫、空を映した冷たき炎が滴り落ちた。彩を風に乗せ注いだイアは、微睡むように微笑んでみせる。
「その聲も焔も、ちいさな子らの冒険譚にはすこし、早いよう。こんな好い日和だもの、とろうり、しずかにお眠りよ」
怒声が凍てついていく。命が眠りに落ちていく。頭から少しずつ、尾の先に至るまで広がった氷は、ぱりん、と儚く砕け散った。
吐息をひとつ、クレムは型通りの聖句を紡ぐ。
「……これで終わりではあるまい」
湧き上がる熱の気配を敏く感じ取り、足を進める猟兵たちの後ろ。暖かに差す陽射しと僅かに残る獣の熱に暖められて、散る氷片はきらきらと雫を舞わせていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴェイゼル・ベルマン
赤ん坊が元気に生まれてくるように、願いを胸に頑張る兄と妹か
へへ、なんつーかよ、心温まる話じゃねぇか
それに、分かるぜ。自分達で四つ葉を採って帰るから意味があるんだよな
小さな勇者たちの冒険が上手くいくように、一肌脱ぐとするか
邪魔するオブリビオン共は全て蹴散らす、道を切り開くぜ
味方とは協力して動く
水による『属性攻撃』の【旋風撃】で、複数の敵を巻き込むように『範囲攻撃』
水の旋風で炎の勢いを削げりゃ良いな
敵の攻撃は、動作をよく見て『見切り』で回避したり、『武器受け』と『火炎耐性』でダメージ軽減
隙がありゃ、『カウンター』で敵を『なぎ払う』
ダメージを受けたら、攻撃と共に『生命力吸収』して、回復しつつ戦うぜ
アルジャンテ・レラ
トトリさんの仰る通りですね。
四つ葉とは"幸せの象徴"でしたか。
他人が齎してよいものではないでしょう。
自分自身の手で掴み取らなくては、意味がない……と、思います。
それに、歳若いお二人です。
自分達で採って帰ったという過程こそ、今後の糧になりそうですから。
陰ながらお手伝いします。
冒険譚には脇役も必要でしょう。
災魔の数は多いですが、猟兵側にも数の利はあります。
援護射撃で後方より支援に回りたく。
他の方が狙う災魔に矢を放てば、
動きを鈍らせる事でサポートできるでしょうか。
どれほど高く跳ぼうと、射程から逃れられなければ無意味ですよ。
あなたはもう逃げられない。
千里眼で射抜き、地に落としてみせます。
雨糸・咲
いのち芽吹く季節に炎の獣は不釣り合い
心優しい兄妹の大冒険は、うんと幸せな終わりでなくては!
今日のおはなしに、あなたたちの出番は要らないのですよ
にっこり微笑みはするけれど
いつもより更にやる気が燃えているのは、
幼いふたりの勇気が愛しいから
指揮するように軽やかに降る杖は、フェイント交えた氷の属性攻撃
飛んでくるものは見切り、第六感で躱します
さぁ、無粋な火は消してしまいましょうね
春に吹くのは和風ばかりではありませんから
唇に笑みを乗せ呼ぶ春疾風は
冬を呼び戻したような冷水を抱き、吹き荒れる
子供たちも、大地に生まれたいのちも
――続く未来は、奪わせませんよ
※アドリブ・絡み歓迎
メーリ・フルメヴァーラ
ユニ(f04544)と
きょうだい、いいなあ
私ひとりっ子だから憧れだったの
しかも新しいきょうだいも増えるんでしょ?
だったら一番のお土産は
お兄ちゃんとお姉ちゃんの笑顔だよね
家族が増えるのはしあわせなことだよと私も笑う
だから迷いなく詠唱銃を握り締め前を見据える
ユニ、行こう!
峠の傾斜もものともしないで駆け上がりたい
そして空に向けて放射するは
氷結弾を籠めた天翔ける綺羅星の在処
打撃を与えるのは勿論のこと
燃え盛る炎を軽減出来たらいい
空駆けを邪魔出来たらもっといい!
出来るだけ多くの精霊を牽制する間に
目配せでユニに合図
がつんとやっちゃえ!
まだ見ぬ幸福が待ってるなら
躊躇してる暇なんてない
一緒に行こうね、ユニ!
ユニ・エクスマキナ
メーリちゃん(f01264)と
ユニにもきょうだいはいないなぁ
でも、家族が増えるのは良い!
それはユニにもわかる!
笑顔を届けるためにユニたちでお手伝いできること
いっぱい頑張ろうねっ
うん!…って元気よく頷いたけど
待ってー!メーリちゃん、速いのねー!
空に煌めく氷の星を眺め…
はっ!?しまった余所見してる場合じゃなかったのねー!
慌ててRecord&Play発動
じっと見てマネっこ!
メーリちゃんにユニも目で応えて
えへへ、なんだか通じ合ってるみたいでユニたちカッコイイ!
持ってた取説を振り上げてガツンと!いく!!
未来で待ってるのはどんな素敵な物語だろう?
この目でちゃんと見なくちゃね
うん!楽しみだね、メーリちゃん!
●描くならしあわせを
「きょうだい、いいなあ」
駆ける足は軽やかに、弾む息に微かに溶けるのは羨望のためいき。
緩やかな坂道に滴りそうな髪がふわりと靡く。精一杯駆けながら、メーリ・フルメヴァーラ(人間のガジェッティア・f01264)はいいなあ、ともう一度繰り返した。
「私ひとりっ子だから憧れだったの。しかも新しいきょうだいも増えるんでしょ?」
「ユニにもきょうだいはいないなぁ」
それはどんな気持ちなのだろう。苺色の衣装からふんわり広がる翼を揺らし、ユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)は飛びそうになる帽子をきゅっと押さえる。
「うん、でも。家族が増えるのは良い! それはユニにもわかる!」
「そうだよね。きっとすごくしあわせなことだよ」
顔を見合わせ、二人は笑う。幸せの野原から持ち帰るお土産の一番は、お兄ちゃんとお姉ちゃんの笑顔の筈だ。
「笑顔を届けるために、ユニたちでお手伝いできること、いっぱい頑張ろうねっ!」
「そうだね! よしっ、ユニ、行こう!」
「うん! ……えっ、ちょっ、待ってー! メーリちゃん、速いのねー!」
ばびゅーん! と速度を上げる友達に、ユニはあわあわと追い縋る。はやくはやく、と差し伸べる手に引かれ、辿り着いた頂に突如、ゆらりと立ち上る熱。
「来た! ――いっくよー!」
「う、うん……わあっ」
ぎゅっと握り締める詠唱銃の銃口は空へ。ぱぁん、と駆け上った星ひとつは、陽光の輪の中に飛び込んで爆ぜる。息を調えながら眩しげに見上げるユニの肌に、しゃららと降り注ぐ冷たい空気――そして気を惹かれた獣たちのもとへ、降り落ちる氷の流れ星。
「ユニ!」
「はっ!? しまった余所見してる場合じゃなかったのねー!」
慌てて周囲に喚び出す端末が、ユニの意識をクリアにする。鮮やかな瞳を通した獣の炎を、記録して記憶して変換して、ココロまでリンクして。巡るチカラを読み解いたら――ぱちり、瞬きをひとつ。
「――よし、覚えたの! 思いっきり熱いの、お返しするのねー!」
電子で構成された炎の毛皮が、たちまちユニを包み込む。視て記したそのままに――ほんの少しだけユニの気配が覗く動きで、映し身の獣が駆け抜ける。えいやーっ、と力強い突撃に、
(「ユニすごい! ――がつんとやっちゃえ!」)
メーリの目配せを受け止めて、炎の毛皮を解いた少女が笑う。
「えへへ、なんだか通じ合ってるみたいでユニたちカッコイイ! ……ととっ、うわああ!?」
気づけば傍らに燃え上がる牙が! 反射的に振り上げた分厚い説明書が獣の顎をがつん! と打った隙に、メーリの氷星がきらきらと、友達に迫る熱を押し流す。
「メーリたちはまだ知らないもん。どんな幸せが待ってるのか――だから、一緒に行こうね、ユニ!」
「うん、この目でちゃんと見なくちゃ! 楽しみだね、メーリちゃん!」
自分たちが拓く一手が、誰かに新しい物語を開けるのなら――その結末も、二人で一緒に知りに行く。取り合う手で次の獣を目指すふたりを眩しそうに見つめ、雨糸・咲(希旻・f01982)は胡桃色の瞳にきらりと熱を燈す。
「そう、ですよね。心優しい兄妹の大冒険は、うんと幸せな終わりでなくては!」
物語にはもちろん悲しい結末もあるけれど、晴れやかにいのちの芽吹くこの季節に、荒々しい炎の獣の蹂躙なんて似合わない。飛び掛かる炎弾を強かな微笑みで往なす咲の心は、頭上の空のように晴ればれと澄み渡っている。――もうすぐこの峠を駆けてくる、幼いふたりの勇気が愛しくて。
足許に転がった氷漬けの炎、そしてきらきらとやる気を輝かせている知己の娘に、アルジャンテ・レラ(風耀・f00799)はぱちりと瞬いて――そしてふと、唇を緩めた。
「幸せな終わりを、というのには同感です。それに……四つ葉はぜひ、お二人の手で摘み取っていただきたいと」
トトリがたどたどしく告げた通り、『幸せの象徴』は他人の手で齎されるものではないだろう。
いいこと言うじゃねぇか、とヴェイゼル・ベルマン(焔斬り・f13471)の大きな掌が頭を撫でた。
「そうだよな。自分達で採って帰るから意味がある。……へへ、なんつーかよ、心温まる話じゃねぇか」
ささやかな道程であろうと、小さな兄妹にとっては大きな冒険。その健気さを笑うような大人ではないつもりだ。
「そうですね。四つ葉を手にする過程も、彼らの今後の糧になりそうですから。陰ながらお手伝いします」
「ああ。邪魔するオブリビオン共は全て蹴散らす!」
冒険譚には脇役も必要だと呟いた少年は、言葉通りの立ち回りを見せた。長閑なひとときのために、今は大気に苛烈な氷気を纏わせる咲――その熱を切り裂く嵐を破り、飛び出してきた獣の爪が仲間へと至ろうとする前に、集約した十秒を敵の眉間目掛けて解き放つ。
突き立った矢にギャン、と転がる獣の上へ、今度はヴェイゼルが躍り出る。風を切り旋回するハルバードが纏うのは、柔くも強かな水の気配。
「――そら、見せてやるぜ、とっておきをなァ!」
巻き起こる旋風に弾かれた水弾を呑み込んで、横たわる獣は少しずつ小さくなっていく。けれど無論、されるままである筈もない。
「! ヴェイゼルさん、伏せて!」
「……っ、この野郎!」
その動きが咲の六感に届くのが一瞬、速かった。声に打たれて身を転がしたヴェイゼルの上、炎の塊が発条のように跳ぶ。
体勢を立て直した獣が再び地を蹴り、空を舞い、高みへ向かうその一瞬を、アルジャンテは見定めた。
「どれほど高く跳ぼうと、射程から逃れられなければ無意味ですよ」
ふた色の瞳が軌道を読む。身を隠す障壁もない空の上、十秒を数えた未来視の矢は、描いた通りの射線を描いて駆け抜ける。
もう、逃げられない。呟く声と穿つ一瞬が重なった。強靭な脚を射抜いた一矢に、燃える巨体は虚空に得た足場を踏み抜いたかのようにぐらりと傾ぐ。
その落下地点には風が待っている。春のさなかにぴしゃりと頬を打つかのような、冷たく冴えた水を抱く疾風が。
「さぁ、無粋な火は消してしまいましょうね。子供たちも、大地に生まれたいのちも――続く未来は、奪わせませんよ」
誰も傷つけずに済む戦い、護るための戦いだ。昂揚を映した杖を躍らせて、咲はふわりと微笑んでみせる。
春風は和ぐばかりではない。――穏やかに笑う娘が、優しいばかりではないように。
「ははっ、やるじゃねぇか! 勝ち気な兄ちゃんも嬢ちゃんもいいな!」
豪快な笑い声を響かせながらも、ヴェイゼルは逆巻く風に囚われた獣の在処を逃しはしない。命の芯はまだ、確かにそこに燃えている。
「燻ってると辛いぜ、大虎さんよ。――悪いが一息に消えちまえ」
指先にくるると巡らす槍の柄に、竜の息遣いを感じてヴェイゼルは駆ける。もうひとつの風の流れは冷ややかな水を纏い、命の真芯へ突き刺さる。
吹き上げる風が止めば、そこに残るは軽やかな春の気配だけ。
「……ええ、そうです。今日のおはなしに、あなたたちの出番は要らないのですよ」
空に還ったいのちを見送る咲の瞳が、眩しげに綻んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カーニンヒェン・ボーゲン
彼らにしてみれば、大人の手を離れて外に出るだけで大した冒険でしょう。
しかし、大人になれば地図を手に聞き込みに奔走し。
戦う術として武器を伴って…。
失敗のない段取りを組まねば進めなくなる。
結果的に彼らの方がよほどの冒険家であるやもしれませんな。
けれどそれで構わぬのです。
そうして守らねばならぬものがあるのですから。
UC:剣刃一閃にてお相手します。
戦闘の跡をできるだけ残さぬように、パリィ(盾受け)を狙って敢えて攻撃は避けません。
炎ごと身体を切りつけると同時に、剣撃には水の属性を付与。
切断の際に他へ延焼せぬよう、生命力の吸収という形で鎮火に努めましょう。
現地は子供たの気に止まらぬ程度に整えておきます。
ウレルト・ジュペル
小さくても誰かの幸せを祈れるのね
ステキな子供たち
おばさんにもその道行きを守らせてくれるかしら
さぁさ子供たちを怖がらせないように早く退治してしまいましょう
わたし火を消すすべは持っていないから他の人が攻撃しやすいように敵の攻撃を邪魔していこうかしら
森に火が移らないように地に降ろさないほうがいいのかしらね?
降りようとしたら足を引っ張って空へ放り投げるわ
襲ってきたなら伸ばした手で弾き返すわ
この身体なら火傷もしないから平気なの
ねぇお願いよ
希望の芽を燃やしてしまわないで
※共闘・アドリブOK
終夜・嵐吾
キトリ(f02354)と
大冒険の邪魔をさせてはいかんよな
兄妹か、仲良しなんじゃろうな
兄妹、血のつながり
だから仲良しなのか。共に過ごしておるから、仲良しなのか
どっちなんじゃろな
わしも共に過ごしておったらあのように情を持てただろうか――
いや、おそらくないじゃろう
そう、思っておると目の前をきらきらとキトリが飛ぶ
キトリは、わしをまた導いてくれるんじゃなと思い笑って
大好きじゃよ、キトリ!
キトリと、それからあの若葉の幼子も傍におるんじゃから
其方らを守るが大事よな――血は繋がっとるが他に何もないあれのことなど、どうでもよい
さて、炎の精霊には疾くおかえり願おうか
眼帯の下におる主の力を借りて、花弁と共に
キトリ・フローエ
嵐吾(f05366)と
わかったわトトリ、大丈夫よ、任せて!
二人にとっての大冒険、力になれるように頑張るわね
さあ、さっさと魔物を片付けるわよ嵐吾!…嵐吾ー?
何だか嵐吾がセンチメンタルになっているみたい?
どうしたの?お腹でもいたい?自慢のお耳と尻尾がしょんぼりしてるわ!
遠くを見ているように見えたから、目の前を飛んで存在をアピール
突然の告白?にはきょとんとしつつも
なあに、今更?知ってるわよ!って笑って
それから改めて魔物へと向き直り
全力の水の竜巻(エレメンタル・ファンタジア)で精霊達を纏めて攻撃
あの子達の邪魔はさせないし、炎も熱も与えてあげない
炎の衣は暑いでしょう?
だからあたしの魔法で冷やしてあげる!
――わかったわトトリ、大丈夫よ、任せて!
小さなからだに大きな使命をしっかりと受け取って、瞳をきらりと輝かせたキトリ・フローエ(星導・f02354)は、その光を瞳に宿したまま意気揚々と峠を行く。
「二人にとっての大冒険、力になれるように頑張らなくちゃね!」
「そうよな、大冒険の邪魔をさせてはいかんよな。……兄妹か」
――仲良しなんじゃろうな。呟いた終夜・嵐吾(灰青・f05366)の足取りが少し遅れたことに、キトリはまだ気づかない。『きょうだい』その言葉が想起させるものが、いつも緩い笑みを湛えた嵐吾の胸に蟠っていることも。
仲が良いのは血の繋がりがあるからか、それとも長い時を共に過ごすからか。未だ見ぬ兄妹のそれは知り得ないことだけれど、
(「わしも共に過ごしておったらそのように――いや」)
いつだって緩く笑っているような瞳が一瞬、険を帯びる。それはない。恐らくないだろう。脳裏に過る姿を振り払うように瞬いたとき、
「嵐吾ー?」
「お!? お、おお、キトリか」
「どうしたの? お腹でもいたい?」
頭の先から爪先までをひらひらとひと巡り、しょんぼりと垂れた耳と尻尾を点検したキトリがしっかりしなさい、と笑う。
ああ、そうだと嵐吾も笑った。こうしてまた、導いてくれるものがある。
キトリもそう、若葉の幼子もそう。血よりも深くつながったものがあるのだから、それ以外に繋がるものなきあれを気にかけることなど――。
「大好きじゃよ、キトリ」
「? なあに、今更? 知ってるわよ!」
変な嵐吾、ときらきら笑う少女を、いつもの笑みで背に庇う。眼前に湧き上がった敵意に、向かわせるは右目の虚に在すものの力。
「すまんな、主よ。眠るに飽いたようなら、少しばかり力を貸しておくれ」
眼窩に疼く不服の気配を宥めなだめし、生み出すは憶え知る限りの色のかけら。甘く香り柔く戦ぎ、美しげに舞い散るものは、しかし鋭い敵意をもって獣を切り刻む。
「さて、炎の精霊には疾くおかえり願おうか」
「そうね、あの子たちの邪魔はさせないし、炎も熱も与えてあげない」
炎の衣は熱いでしょう? 問いかける声は凛と涼やかに、キトリの周囲を翔ける精霊を杖のかたちへ編みなした。
「ありがと、ベル! さあ、全力で行くわよ――あたしの魔法で冷やしてあげる!」
伝い伸びる蔦葉が花籠める水晶へと至った途端、ふたりの頭上に水の魔力が溢れ出す。嵐吾の肩に支えを借り、小さな担い手は杖を振り翳した。揺らめき渦をなす水は空の光を透かし、眩く冷たい流れの中に獣を抱き取って離さない。
互いを支え戦うふたりの背は、歳長けた女には今はまだここに至らぬ兄妹と同じように見えた。ウレルト・ジュペル(砂漠の守護者・f11934)は重ねた歳を感じさせない黒い頬に、和いだ笑みをひとつ浮かべる。
「小さくても誰かの幸せを祈れるのね。――ステキな子供たち」
「そして同時に、大した冒険家でもありますな」
渦の生み出す風の流れに吹き飛ばされぬよう、カーニンヒェン・ボーゲン(或いは一介のジジイ・f05393)が帽子に手を伸ばす。
大人ともなれば、地図に聞き込み、武器に備え――危地を越えゆく『術』ばかりが先に立ち、身ひとつで飛び込める世界は意外にも少ない。それを思えば、かの子供たちのなんと勇敢なことか。
「そうね。ふふ、おばさんにもその道行きを守らせてくれるかしら」
火を消す術は持ってはいない。けれどあの小さなフェアリーが、頭上に支える大渦でその役を果たしてくれるだろう。ならば、
「森に火が移ったら困るものね。燃え盛るその足で、命の宿る地を踏ませる訳にはいかないわ」
魔力の渦から迷い出た獣の身には、弱りつつも煌々と燃え盛る炎がある。その熱はブラックタールの身にも等しく、灼けつく痛みを与えるけれど――ウレルトは恐れずに、強靭なその脚を抱え上げる。
「貴方は空にいらっしゃいな。……ねえ、お願いよ。希望の芽を燃やしてしまわないで」
その強い願いは、炎の齎す痛みを凌駕する。確実にこの地に近づいているはずの兄妹を思い、ウレルトは炎熱に耐えて獣を投げ飛ばす。その姿にひたりと迫る新たな一頭の鼻先へ、カーニンヒェンはしなやかにその身を滑り込ませた。
「美しい覚悟を見せて頂きましたな。――大人は大人として、十全に備えて尚守らねばならぬものをお見せすると致しましょう」
避ければこの地が傷を負う。ならばとその身に一撃を引き受けて、受け流す『老兎』の鞘を抜く。返す一閃に飛び退く獣を追って踏み込む二閃目は、冷ややかな水の気を帯びて、炎の奥に宿る命を鮮やかに斬り伏せた。
「その炎が貴方がたの命であるのなら……数多の命を害する前に、この身に頂きましょう」
僅かに残った炎の欠片が、刃を伝って男の身に溶ける。静かに微笑む好々爺の身の内に、熱はするりと馴染んで消えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルバ・アルフライラ
健気な子等ではないか
斯様な願い、叶えてやらん訳にもいくまい
ふふん、我が身の不幸を呪うが良い――魔物共
描く魔方陣、召喚するは【女王の臣僕】たる青き蝶
範囲魔法で可能な限り魔物を囲う様に展開
彼奴等の動きを封じてみせよう
更には周囲の気温を下げる事で吸収すべき熱も抑えられるやも知れぬ
ほう、寒いか
そうか――ならばもっとくれてやろう
高速詠唱にて絶えず、魔物共の纏う炎の熱すら奪うよう
戯ける様に、然し一切容赦なく魔術を叩き込む
無論、他猟兵への支援も惜しまぬ
死角を狙われた者がいれば魔術で妨害
皆の隙を補う様に行動する
狙われた場合は第六感、見切りを用いて回避を試みる
私を砕きたくば、それに見合った力を持っておらんとなあ
連・希夜
へぇ、立派なお兄ちゃんとお姉ちゃんだ
手を差し伸べたくなるね
とはいえ、オレも現場に出向くのは初めて
役に立てるといいな―ま、なんとかなるなる
峠の道に到着したら、接近し過ぎない位置でガジェットショータイム
手押しポンプっぽいガジェット召喚!
炎には、水でしょ?
ハンドルを押せば、水っぽい攻撃がどばー
手動式なのは気分の問題
攻撃されそうになったら、ガジェット担いで逃げ回り、距離を稼いでまた放水
う、戦闘ってやっぱり肉体労働…みんないつも大変だ
周囲の猟兵と協力して、速やかにオブリビオンは排除したい
可能ならグッドナイス・ブレイヴァーでドローンを一機、兄妹の元へ(気付かれない頭上)
二人の雄姿、収めておきたいじゃない?
リンシャオ・ファ
家族かあ
いいな、新しい家族が増えるのを待つって一体どんな気持ちだろ?
きっと春を待つような気持ちなんだろうな
おれには親も兄弟もいないけど、想像することはできるよ
兄妹が山を登りきるまでは、まだ時間があるみたいだ
邪魔者は今のうちにきっちり片付けておかないとな!
「花豹跳舞」で相棒を呼び出す
炎の精霊を引きつけて、追い込もう
攻撃もしつつ、主目的は他の仲間が狙い易い位置への敵の誘導
討ち漏らしがないように声を掛け合うことも忘れずに
おまえ達の相手は、こっちだよ
あの子たちに手出しはさせない
二人の命は二人だけのものじゃないんだから
これから生まれてくる子どもには
優しいお兄さんとお姉さんが必要だもんね
※連携描写は歓迎
●春の散歩は穏やかに
――なんとも健気な子等ではないか。
燃え盛る獣を一体、二体と還しながらの道行きに、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)の足取りはどこか軽やかだ。扱う術は決して易く紡げるものなどではなく、肌を灼く炎熱も、輝石で形作られたその身には、決して喜ばしいものではない。
それでもアルバの唇が綻ぶのは、慈しむべきものが在るからだ。純粋で、素直で、穢れを知らぬ心。
(「斯様な願い、叶えてやらん訳にもいくまい。――ふふん、我が身の不幸を呪うが良い、魔物共」)
――そんな訳で、魔術の戒めは次々と、炎の獣をその内に取り込んできたのだった。
「家族かあ。新しい家族が増えるのを待つって、一体どんな気持ちだろ?」
いいな、とこれも心健やかに、金の髪に朱の花を揺らしながら少年が呟く。リンシャオ・ファ(蒼空凌ぐ花の牙・f03052)には故郷も家族も既になく、だからその声音にはほんの僅か、望郷が滲んだ。けれど心根は明るく敏く、これから望むべき景色に思いを馳せて、
「――きっと春を待つような気持ちなんだろうな」
そう喩う。それ、なんかいいな、と少年を見下ろし笑ったのは、連・希夜(いつかみたゆめ・f10190)。
「それにしても、立派なお兄ちゃんとお姉ちゃんだ。あんな話を聞いたら、手を差し伸べたくなるってもんだよね……っと」
お出ましか、と身構える希夜の前には、ゆらりと逆立つ炎の毛皮。明確な敵意を前に、場数をこなしているとは言い難いふたりが僅かに身を固めるだけで済んだのは――、
「……懲りぬ獣たちですね。では、もう一度参りましょうか」
星追いの杖で地をなぞり、先んじて魔方陣を描き出したアルバに頷くふたり。ここまでの道程になぞり来た経験が、やれると二人を鼓舞するからだ。
「今回も役に立てるといいなー、ま、なんとかなるなる!」
「ふふ、宜しくお願いしますね」
――然らば参れ、其処に控えよ。女王の御前であるぞ。
柔く含んだ熱を手放したアルバの声が、辺りを凛と打ち据える。魔方陣から生まれ出で、翔び立つ青い蝶の群れは、術者の意のままに獣を囲み、冴えた彩りの裡に熱を封じていく。
「おれたちも行こう、フェン」
喚ぶ風の名に、リンシャオの身に添い立つ白金毛の豹。記憶の始まりには既に傍らにいた、それこそ兄弟とも呼べそうな一番の相棒。背に乗せた少年とすんなりと気を馴染ませ、
「駆けて。――皆が狙い易いように」
その一言で思惑さえも共にする。奔る花豹は、足音もなくしなやかに戦場を舞い、炎の獣を攪乱する。
空を翔ける獣の腹に飛び掛かり、大地に打ち倒しては飛び退り。襲うようにじゃれるように翻弄する花豹へ、燃え立つ牙が怒り任せに喰らいつこうとする刹那、
「二人とも伏せて! ――炎にはやっぱり水でしょ?」
にやり笑った声とともに、溢れ出す魔力の奔流が炎の獣を押し流す。希夜の組み上げたガジェットから吹き出したのは、尽きることなき水の力――ただしハンドルを扱ぐ限り。
「あ――もう、戦闘ってやっぱり肉体労働だよな! みんないつも大変だ……」
暖かな日和のこと、額に汗を滲ませて懸命に。戦いの厳しさを知った青年にくすりと笑い、リンシャオは再びフェンを駆る。
「あいつをふたりからできるだけ引き離すんだ」
希夜が大きなガジェットを抱え逃げ回らずに済むように、アルバが彼方此方に魔方陣を描かずに済むように。敏い立ち回りにふと微笑んで、アルバはとんと杖で地を衝く。
「……おや、震えているのか? 寒いか――ならばもっとくれてやろう」
ふたりの耳に届かぬと知れば、言の葉も飾ることを知らない。舌に乗せる詠唱は滔々と流れ、集う蝶たちの冷ややかな羽戦きは、濡れそぼる獣の上に氷片すら結ぶ。――戯れめいた柔和な笑みに、不似合いに並ぶ戦意は苛烈と謳って相違ないものだ。
強かに水を浴び、炎の毛皮が白靄に紛れる。逃すまいと躍る蝶たちが、巡る生気を凍らせていく。行きなさい、と綻んだスターサファイアの瞳に頷いて、花豹に乗った少年は高く跳ぶ。
――まるで、金物の鈴が一斉に歌うように。
叩きつけた前脚の衝撃で、凍れる像と化した獣はかしゃん――と鮮やかな音を奏でて崩れ落ちた。振り向くリンシャオの瞳に、二つの笑顔が映り込む。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティモール・アングルナージュ
ボクも幸せたーくさん見つけたいー!
それに、みんなで幸せになりたいよね
小さな勇者の大冒険、折角頑張ってるんだもん!
ふたりも幸せゲットできるよう、全力でお手伝いするよー!
「えへへ、春色の峠を歩くのも楽しいねーっ」
ハッ、勿論お仕事なの分かってるよ!
でも道中も楽しみたいよねっ。
ボク紳士だから、障害物とか危ないもの道の端に寄せたり、小さな勇者が通りやすくしておくね
炎の精霊ってなんか熱そうだから、吹く風のあたたかさとかも注意しとく!
敵いたら【ガジェットショータイム】!
ギアくんを消火器型の武器にして水属性の衝撃波の範囲攻撃!
火喰いしても、ぷしゅーってやっつけちゃう!
周囲に燃え移っても、消火器ですぐに消すよ!
ユキ・スノーバー
のどかに咲いてるだけなのに燃えちゃうの、元に戻るまでにとても時間がかかっちゃうから、苦手なんだよ…
真っ黒は春には似合わないし
絶対そんなの阻止しなきゃねっ!
燃やす悪いの、駄目ーっ!
炎相手なら、華吹雪で打ち消しちゃうぞー!
敵が炎飛ばさないように、早めに距離を詰めて接近戦。
勢いついちゃう前に衰えさせれば、素早く倒すのに役に立てるかなっ?
燃え移っちゃった場合は、華吹雪の吹雪で消火優先で動くね。
焦げた跡とかもなるべく残したく無いから、通り雨でも有ったかな?程度になるように頑張るよー。
春のお散歩は穏やかでないとねっ
二人の姿が見えそうになったら、慌てて姿を隠して見守るよー。
アドリブ&連携歓迎
静海・終
なんとも愛らしい兄妹達でしょうか
生れてくる子も兄と姉が自分の為に亡くなっていては
あまりにも酷というものでございましょう
悲劇は、ぼこっとして消してしまいましょう
少年少女が来るであろう方向を気にしつつ
そちらに向かわないように立ち回り
では、お呼びではございませんので退いていただきますよ
小さな勇者さまたちのお手を煩させる訳にはいけません
私共大きな騎士達でやっつけてしまいましょう
相棒の涙を撫でると笑い足を狙う
跳びはねるのがお得意な様なのでまずはそこから、ですね
さてはて、用事が済めば素早く撤退にございますよ
頑張ってくださいませ、お兄ちゃん、お姉ちゃん
「もうほとんど倒しちゃったかなー? えへへ、春色の峠を歩くのも楽しいねーっ」
もう出てこないといいんだけど! 持ち前の朗らかさと暢気さを遺憾なく発揮して、ティモール・アングルナージュ(時計仕掛けのマンゴー・f08034)は楽しげに下り坂を行く。とむとむとその後ろに続く白い雪の子、ユキ・スノーバー(しろくま・f06201)も、愛用のアイスピックを振りふり上機嫌。
「そうだね、真っ黒は春には似合わないし!」
なにしろ春の野に罪はない。暖かな風の報せに綻んで、長閑に咲いているだけなのだ。
「燃えちゃうの、元に戻るまでにとても時間がかかっちゃうから、苦手なんだよ……」
「うんうん、そうだよねー! せっかくの幸せまで燃やされちゃったら大変!」
ボクも幸せたーくさん見つけたいー! そうだねー、と和む遣り取りのさなか、ふたりはふと立ち止まる。道の途中にぼこぼこと空いた穴は、もしや仲間の戦った跡だろうか。
お疲れさまーっと何処へやら声をかけつつ、せっせと穴埋めに励む紳士なティモールを、ユキも一生懸命手伝う――うちに、
「はっ、なんだか風が熱い……!」
「炎の精霊だ! 燃やす悪いの、駄目―っ!」
突如現れた炎の獣の懐へ、ユキは転がるように飛んでいく。
距離を取れば炎を放たれてしまうかもしれない。やわらかな春空の下、萌緑に染まる峠道に、ぶすぶすと燻る匂いも死の気配もまるで似合わない、残したくない。だから、
「炎なら、華吹雪で打ち消しちゃうぞー!」
纏う炎が燃え盛る前に、視界を覆う猛吹雪が咲き荒れて――縮こまる獣の上に、白い影の向こうから躍りかかる鋭い影は、冷え冷えアイスピック!
「わあ、ユキすごーい! ギアくん、ボクたちも負けてられないよっ!」
今日はなにかな、とわくわく見守るティモールの前で、ギアくんこと猫型ガジェットはみるみる形を変えていく。太い筒型、短いホースとハンドル。どこかの世界でよく見かける気がするこれは、
「消火器だねっ! よーし、ぷしゅーってやっつけちゃうぞー!」
思いきり握り込むハンドルで、振り撒かれるは水属性の泡攻撃。延焼などさせまいと四方八方から封じにかかる二人によって、炎の獣はぷしゅうと小さく溶け果てる。
「やったねー!」
「やったやったー! ね、焦げた跡とか残ってないかな?」
子供たちの春の散歩が穏やかであるように。ユキ問いに、二人は紳士的に(?)辺りを検め、峠道に安全宣言を出す。
「二人が来ちゃう前に急いで行かないとねっ」
「そうだねー! 野原が燃やされなくてよかったー!」
なんだかとても和やかに駆けていくふたり。その傍らの茂みの中で、がさりと剣呑な気配が蠢き、低く身構える。それを、
「――悲劇は、ぼこっと消してしまいませんとね」
あれだけの働きをされたのですからもう充分でしょうと、並び行く背中を見送った静海・終(剥れた鱗・f00289)は微笑んだ。槍の柄に首の根を引っ掛け、緑の気配の薄い道へと最後の獣を引きずり出す。
「おや、どこかから逃げていらしたのですか? 随分と弱っていらっしゃるようで」
――ですが容赦はいたしません。そう恭しくも容赦のない微笑みを浮かべ、竜槍の『涙』を仕向ける先は、空を跳び翔けるという獣の脚。
「飛んで逃げられてしまっては困ってしまいますからねえ……小さな勇者さまたちのお手を煩わせる訳には参りません。私共、大きな騎士たちでやっつけてしまいましょう」
燦々と頭上に注ぐ春の陽のように、明るい舞台には決して立ちはしないけれど。愛らしい子供たちの物語が幸福のうちに結ばれる、その立役者となれるのならば、きな臭い役目などいくらでも担ってみせる。
読めない笑みで穿つ一尖に、槍は忽ち竜の姿を取り戻す。涙、と愛しげに呼ぶ声に、炎を喰らう一噛みで誠を示した竜は、ふわり、槍の姿へ立ち戻った。
そう、猛々しい竜ですら、この物語には不要のものだから。
炎の気配は辺りから完全に立ち消えている。用事が済めば、素早く撤退するのみだ。
槍を一撫でし、終は先を急ぐ。手を繋いだ小さな勇者たちは、まだここには至ってはいないけれど。一度だけ振り返って、終は微かに目を細めた。
「――どうか頑張ってくださいませ。お兄ちゃん、お姉ちゃん」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『宝玉蝶』
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POW : 育つ宝石
戦闘中に食べた【清らかな水】の量と質に応じて【宝石の輝きが増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 極彩色の鱗粉
自身が装備する【煌びやかな宝石の粒】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 秘宝の光
【眩い宝石の輝き】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
イラスト:たま
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・由」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●第二の冒険:輝石の蝶
幼い足取りに確かに疲れは見えていたけれど、小さな妹はそれを口にはしなかった。
きらきらと輝く榛色の瞳に、辿り着いた野原の彩が跳ねる。金色のタンポポ、紅色のレンゲ。紫スミレの群れの中にちょこんと混ざる白いそれは、春の野の秘める特別な宝物のようで。
幼い身には言葉にならないそれを、幼くはないけれど口下手なシャーマンズゴーストは『いい野原』と言った。
大した違いはないだろう。頬を染め、春風を胸にめいっぱい吸い込んで、妹は思うままを叫ぶ。
「おにいちゃん、すごいね! すごくきれいっ」
「あそんでもいいけど、四つ葉をみつけてからだぞ。おひさまがしずむ前にかえらないとだめなんだから」
「うん! たくさんみつけてかえろうねっ」
きゃっきゃっとはしゃぐ妹と、熱心に地面を見つめる兄。妹か弟に贈るささやかな幸せを探すふたりは、やはり知らない。
幸福の野に四つ葉を見出す前に、見た目ばかりはきららかな、輝く災魔に出逢うこと。
伸ばした手が触れた途端、まるで眠り姫のように、醒めない眠りへ堕とされてしまうことを。
――けれど、ああ、まだ大丈夫。
これももう少し先のこと、辿る枝ひとつ間違えた物語。
色鮮やかな春の野原には、もっとあたたかなお話が似合うから。
その刻限までは、まだまだ充分暇がある。それでもどうか、気をつけて。
ひとつ手順を違えれば、新緑萌える野原はたちまち戦禍の中。
災魔の棲まうこの場所を、小さな勇者たちの手へ。取り戻す術を持つというのなら――それもまた、日陰に励む勇者たちの手と言えるのかもしれない。
連・希夜
さっきの子(リンシャオ・f03052)を見かけ、駆け寄る
オレ、希夜。君は?
リンシャオ、か(綺麗な響き)よろしく
戦闘最中に名乗り合うのも可笑しいかな、と思い乍ら
すぐさま攻撃態勢へ
可愛い兄妹さんは、ちゃんと『いい野原』へ辿り着いて貰わなきゃね!
リンシャオの戦い方はさっき見たから、彼が翔け易い様に全力で援護
エレクトロレギオンで小鳥を模した機械兵器を召喚、風の属性を纏わせる
景色に似合いだと思ったけど、堕とされるのは痛々しい
しまったな、反省
でも開き直る
彼の周囲に展開し、牽制で時間稼ぎ
さぁ、キミは風になって
人を走らせて自分は後ろでのほほん、なんて考えてないからね?
吹く風はもう心地よく
一人と一体の姿は眩しい
リンシャオ・ファ
さっきの人(希夜、f10190)に声を掛けられて
おれ?おれはリンシャオ!
変わった術を使うんだな、キヤは水の魔法使いなのか?それは鎧?……がじぇっと?
本当に、世界はおれの知らないことだらけだ
あの子達(兄妹)だってきっと、そう
こんな所で終わってちゃ勿体ないよ!
キヤのサポートは有難く受ける
凄いな、こんな事までできるんだ
見た事のない機械の小鳥にちょっと興奮しつつ
小鳥が蝶に撃ち落とされるのを見たら気を引き締め直す
遊びに来た訳じゃないんだ
全力で行こう!
【花豹跳舞】で引き続き敵の掃討
蝶の群れの間を縫って豹を駆り、翅を狙って叩き落とす
大丈夫、後ろへは行かせないよ
この先にある景色を、キヤと、皆と見てみたいから!
火狸・さつま
コノf03130と
素敵な、野原
じっと見れば、きらきらちょうちょ
……ん、たしかに、綺麗。なんだけど
悪さ、するなら…倒すしかない、ね
出来るだけ野原を踏まぬ様荒らさぬ様心がけ
遠距離攻撃メインに
敵の動きしっかり見切り
雷火で攻撃
見切りにてコノの攻撃行動も把握し
しっかり合わせ援護出来るように
ちっちっと呼ばれれば
獣姿で草花の間を駆け抜ける
なぁに?と首傾げれば
投げられる勢いに乗せ宙返り【しっぽあたっく】
即座に2回攻撃、雷火
着地には気を付けて
手折らぬよう
敵の攻撃は野原に被害が出るなら避けず
オーラ防御で防ぎ
激痛耐性で凌ぐ
二人は、まだ、だね
大丈夫、間に合う
…間に合わせる
この後には、楽しい素敵な日常が待ってるんだから
コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と
イイ場所ね
出来るだけ荒らさないよう誘導してみましょうか
自分も足元注意して
野原の外れへ追い立てるよう【黒電】呼び出し
蝶へと嗾け動きを鈍らせるヨ
近くに水場があるなら低い位置から攻撃
戦闘力上げさせないよう阻むネ
動き見ながらたぬちゃんをちょいちょいと指先で呼び寄せ
しっかり着地ヨロシク!と蝶に向け投擲ならぬ投狸
踏み荒らすよりイイかと思って?ナンて軽口も
大丈夫だとの信頼あってこそ
敵攻撃は『オーラ防御』で凌いで
近くまできた敵は「氷泪」の雷で『傷口をえぐる』よう穿つ
ああホント綺麗で勿体ないケド、と
砕ける宝石の粒キャッチし口へぽい
小さな冒険を理不尽に終わらせない為なら安いモンでしょ
●輝石より眩く
「……素敵な、野原」
その顔を飾る表情は、鮮やかなものではないけれど。穏やかに凪ぐさつまの瞳も、それを映した一瞬、思わず光を帯びた。
綻んだばかりの花たちが彩る、絵に描いたような春の野だった。
「イイ場所ね。……でも」
眼鏡の奥に沈むコノハの笑みが、愉しむように険を含む。さつまはん、と小さく頷いた。
「たしかに、綺麗。……なんだけど」
目を細める。眩くもやわらかな陽射しを跳ね返し、躍るものたちがいる。見目ばかりは夢のように美しく、けれど確かに現を侵す災いの魔物。
「悪さ、するなら……倒すしか、ないね」
「そうネ、出来るだけ荒らさないよう誘導してみましょうか――」
最初の踏み込みは強く、着地するなら獣のように軽やかに。萌え出でた草花を不用意に傷つけぬよう図りながら、揺らぐ尾に黒雷を呼ぶさつま。打たれてひらり墜ちる翅が、尾に広がる光紋を映してきらきら輝く――その間に、コノハは己の掌をふ、と吹いた。見えざる気配から生まれた影、黒き狐は纏う稲妻を四方へ散らしながら、長閑に躍る蝶たちを水場から野原の外へ追い立てていく。
「……さて、踏み荒らすよりは……ネ」
たぬちゃん、と笑うコノハの指先が誘う。それに応えるさつまの姿は、まるで狸のような彩の――狐。駆けつけてはなぁに、と小首を傾げた途端、腹を掬った掌にぎゅんと投げ飛ばされた。
(「……ん、そういうこと、か」)
驚きはしない、信あってこそ。空中でくるり身を翻し、文様輝く尾を振り下ろす。煌めきひとつ叩き毀して身軽く地を捉えれば、途端に爆ぜる黒色の雷撃。その余韻が消えたときにはもう、小さな獣は人獣の青年へ立ち戻っている。
異変を察知した蝶たちが集まってくる。小さな二人はまだここへ至らないけれど、煌らかな災魔はまだ数多い。――間に合うだろうか、
「大丈夫、間に合う。……間に合わせる」
強い眼差し。コノハがふと唇を緩める。勿論ヨ、と請け合って、コノハは欠け落ちた輝石の欠片をぽいと、笑う口に戯れに運んだ。
そう、間に合わない筈なんてない。この後に待つ楽しく素敵な日常のために、友が、皆が――こうして力を振るうのだから。
「さっきの子、だよね。援護するよ、思いっきりやっちゃって!」
静かに幕明けた野の戦いの中。先刻出会った少年――リンシャオににっと気のいい笑みを見せ、希夜は両の腕を大きく開いた。
ジジッ――ノイズとともに浮かび上がるエフェクトから現れたのは、百はあろうかという機械仕掛けの小鳥たち。
「行こう。あの煌めきを斬り裂いて?」
春風を纏うエレクトロレギオンたちが、蝶の輝きを覆い隠す。しゃらしゃらと音を立てて崩れ落ちる蝶のかけらは、陽の光を受けて輝いて。けれど今際の反撃に力尽き、墜とされる機械翼には思わず顔を顰める。
(「しまったな、反省……」)
その光景に希夜よりも近く在ったあの少年も、胸を痛めただろうか。窺う視線の先、花豹とともに駆けるリンシャオの瞳は大きく見開かれて、
「変わった術を使うんだな、水の魔法使いなのか? この鳥は、鎧?」
興味に輝く琥珀の色に、希夜は安堵する。これはガジェット、機巧の刃だよ、そう教える青年に頷いて――けれど墜ちた翼には気を引き締める。
(「うん、遊びに来た訳じゃないんだ。全力で行こう――この先にある景色を、見てみたいから!」)
希夜と、皆と知る世界。知らないことだらけの眩しさは、きっと話に聞く兄妹にも同じだからと、リンシャオは唇を引き締める。
こんなところで終わらせたくない――終わらせない!
強く撫でる掌に従い、フェンはリンシャオの意のままに、ひらめく蝶の合間を駆け抜ける。振う棍の銘は『雷火』、自在に風切り躍るそれは、輝石の翅を次々と衝き崩していく。
ふ、と希夜の唇を風が割る。強くしなやかなこころ、まるであの白豹のような。
「オレも落ち込んでられないね。さぁ、キミはそのまま風になって――人を走らせて後ろでのほほん、なんて考えてないからね?」
ホントだよ、と開き直る青年をちらと振り返り、リンシャオも笑う。周囲に集う蝶たちを鉄の翼が抑えるうちに、すべてを鮮やかに染める春の陽は、風を――そこに躍り輝石を砕く一人と一体を、燦々と輝かせていて、
(「……眩しいな」)
こんな戦いのさなかに訊くのもおかしなことだけど。ふと笑んで、青年は声を上げる。
「ねえ! オレ、希夜。君の名前は?」
花豹の着地を待って振り向いた少年は、瞬きのあと、口角を上げる。
「――おれはリンシャオ! よろしくね、キヤ!」
朝の光と夜の影。ふたいろの出会いを言祝ぐように、七色がきらきらと風に散った。
大成功
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タンケイ・オスマンサス
マリスさん(f03202)と連携
【WIZ】
綺麗なちょうちょ…こんなオブリビオンもいるのですね。
ハッピーエンドまでもう少し、健気な勇者の邪魔はさせません!
あまり派手な攻撃はこの素晴らしい野原を壊してしまいかねないし…
UCを発動
橙のむせ返るような甘い霞で敵を包み幻覚を見せ、動きを鈍らせます
ちょうちょさんはこの香り、あまり好きじゃないかもしれませんが
しっかり惑わされてくださいね!
これでマリスさんの弓も当たりやすくなるはず…
UC発動後はダイアと共にマリスさんを援護
自身も槍で【なぎ払い】攻撃を仕掛けます
綺麗なお花達を潰さないよう気を付けながら、反撃があれば【見切り】必要最低限の動きで躱すよう心がけます
マリス・ステラ
タンケイ(f08051)と連携
【WIZ】他の猟兵とも協力します
「のどかで爽やかな気持ちになります」
美しい宝玉蝶もただ舞うだけならば良かったのに
『祈り』を捧げて全身から光を放つとその『存在感』で蝶を『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』
「灰は灰に、塵は塵に」
弓で『援護射撃』
重傷者には【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用
「勇者たちの歩みを妨げさせはしません」
星の『属性攻撃』で蝶の行く手を阻みながら、動きの鈍った対象からタンケイとダイアと共に確実に撃破します
守るべき"いのち"はそこにあるから
勇者たちを想う
転んだっていい、泣いたっていい
いつかその全てが花になるから
糸縒・ふうた
きれいな場所
すごく、すてきな場所だ
そこで輝くふたりの笑顔はきっとたからもの、で
大切なもの、で
きらきら まぶしいんだろうね
おいで【詩凪】
まほう、で、星を編もう
真昼の空に、流れ星を降らせるんだ
ふたりに勘付かれないように広げる空は最小限
ぶつかって墜とす宝石も、粉々に砕いてしまおう
はっきりとした敵対意識は感じない
けれど、見た目ほどきれいな中身じゃないこと、知ってるよ
ほんものがきれいじゃないから
にせものできれいを形作るんだ
チカチカぶつかって散る様はとても、きれい
これが何かの催しで
これがオブリビオンじゃなかったら
ふたりと一緒に、この景色を見ることが出来たのかな
都槻・綾
艶やかで美麗な蝶の
硬質な輝きは物珍しくて
知識欲を掻き立てられはするけれど
骸海より舞い来たりし厄災であることを
決して違えることは無く
楚々と咲く花々の懸命な姿にこそ
生まれ来る命を愛しむ優しき兄妹の純粋さにこそ
私は惹かれるから
絶対に子供達の未来を奪わせなどしない
第六感で見切り回避
自他オーラ防御
高速詠唱で先制攻撃、二回攻撃
一詠目、七縛符
野を極力荒らさぬよう
小さき命達を散らさぬよう
可能な限り最小の動きで敵を討ちたい
蝶の技を封じ
次に続く猟兵や、敵へ駆ける人達へ
好機と道を作ろう
二詠目、花筐
敵を取り巻く花嵐は菜の花舞う幻
春のおひさま色に抱かれて
永く永く眠りなさい
皆で勝ち得た平穏な野原
さぁ
兄妹達を迎えましょうか
「綺麗なちょうちょ……こんなオブリビオンもいるのですね」
「ええ。のどかで爽やかな気持ちになります」
二人の唇からは、つい淡い吐息が零れる。タンケイとマリスの目の前を過る輝石の輝きは、この春の野原に害なすものにはとても思えない。
けれど、確かにそうなのだ。このまま見過ごせば、幼い兄妹を傷つけることは紛れもない事実。それならと、タンケイは髪彩る金木犀をふるり、揺らす。
「ちょうちょさんはこの香り、あまり好きじゃないかもしれませんが――しっかり惑わされてくださいね!」
誰もを魅了する金色の花の甘い香り、橙色の霞が、風に乗り野原に吹きわたる。気の向くまま辺りを漂っていた蝶たちが、ふと動きを止めた。魔法の香りに酔うままに、風に煽られくらくらと野に惑う。
タンケイはさあ、と傍らの友達へ微笑んだ。
「これでマリスさんの弓も当たりやすくなるはず……!」
行ってくださいと促せば、マリスは目を細め弦を引いた。星宿る瞳がきゅっと、ふらつく蝶たちを見定める。
「灰は灰に、塵は塵に。勇者たちの歩みを妨げさせはしません」
流星の力を纏った弓がひとつ、ふたつ――翅を射ち抜けば、硝子の星を砕くような音色が響き渡る。
自分たちを退ける魔力の気配に、酔いから醒めた蝶たちが鱗粉を放つ。細やかに煌めく輝石の霧にも、マリスは動じず射ち続ける。
魅了が解けるそばから、芳しく寄せ重なる花の香り。隣に立つタンケイが援護をくれる。緩める手など、ひとつもいらない。
「貴方たちではないのです。守るべき『いのち』はそこに――貴方たちの足許にあるのですから」
そしてこの春の野へ至る道の途中にも。幼い勇者たちを思えば、身に帯びる光がふわり、強まる。
転んだっていい、泣いたっていい――いつかその全てが、咲き誇る花になるから。
「さあダイア、私達も行きましょう!」
繋がる魔力を感じた瞬間、傍らの相棒がタンケイを掬い上げる。高みの青空にくるり翻した槍の先は、咲き誇る花々を傷つけることなく地を浚い、輝石の翅だけをしゃららと一息に刈り取った。
「きれいな場所。すごく、すてきな場所だ」
晴れ渡る空のひとかけを、千の光彩る夜へと変えて。誘うのは、翔け下る自分だけの星。おいで、と呼び寄せ、ふうたは獣のように機敏に野を駆ける。
あたたかく緩む景色に、未だ見ぬ兄妹の姿を透かし見る。輝く笑顔はきっとたからもので、たいせつなもの。目の前を過る蝶よりももっと、きらきらと眩しいもの――だから、
「粉々に砕いてしまおう。あの子たちの野原に、おまえたちはいらないよ」
纏う敵意がはっきりと色なさなくとも、分かるのだ。きらきらと鮮やかに光を跳ね返す、その姿ほど美しい生きものではないことが。
「ほんものがきれいじゃないから、にせものできれいを形作るんだ」
「ええ。如何に見目麗しく、物珍しくとも――あれなるは骸海より来たりし厄災」
忘れはしませんと微笑んで、綾は迫る蝶の翅、降りかかる輝石の鱗粉を舞う袖で払う。
姿ばかりは艶やかで美麗、その実は過去の残滓。命を喰らうことしかできない可憐な魔物よりも、美しいものがここにはある。
駆ける足許に楚々と笑み綻ぶ、さやかな春の花々。そしてもうひとつ――幼く優しく純粋な心がふたつ、生まれ来る命のために至ろうとしているから、
「彼等の未来を奪わせなど、絶対に」
風に舞わせる符に、在るべきものを傷つけることは許さない。綾の意のまま駆け抜ける護符は、集い来る蝶の群れの輝きを封印の下に綴じ込める。逃れようと羽戦くほどに戒めは強かに、巡る流星とふうたが駆ける道筋を開いていく。
「ありがとう、綾!」
「礼には及びません。次は合わせて参りましょうか」
「……うん!」
淡く浮かぶ夜色の笑みに、朗らかな真昼の笑みを返してふうたは星を編み続ける。ひとすじ、ふたすじ、降る光に溶け混ざるのは、綾の招く花のいろ。陽光に染まる菜の花風が、光と手を取り野に躍る。羽戦く悪意をあたたかに、華やかに巻き込んで。
それでも、やはり、
「……きれいだね」
「――ええ」
外側の輝きにも心動かされるのがひとだから。鋭き星に、花に、貫かれては散り去る翅の光の明滅を見送りながら、ふうたは呟く。永い眠りへ誘いながらも、綾は頷く。
「これが何かの催しで、オブリビオンじゃなかったら――ふたりと一緒に、この景色を見ることができたのかな」
惜しんで閉じる瞼の裏に、その光景は宝物のようにそっと仕舞われた。
大成功
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フェレス・エルラーブンダ
あたらしいいのちが生まれるのだと
赴く前に、ひかりを手繰るふしぎないきものが教えてくれた
『かぞく』が増える
それは食いぶちが増えるだけのことではないのかと思った
けれど、子どもたちはまだ見ぬ『きょうだい』の為に
ふたりきりの冒険に踏み出す勇気を出したのだという
……それは、なぜ?
前衛、千里眼射ちを主軸に
投擲用の刃を抜いて宙を舞う蝶を穿つ
刃が通ることがなくても、その輝きを削り取ることは出来るだろうから
手の届く範囲まで蝶が落ちてきたら短剣で叩き落とす
撃ち漏らしのないよう、残体力の低い個体を優先して攻撃
感謝されたいなんて思わない
わからないことだらけだ
……でも
そのみちゆきに蔓延る障害を
退けてやるくらいは、できる
ウレルト・ジュペル
気持ちよくお昼寝ならステキだけれど
永遠の眠りはいただけないわ
子供たちの冒険はまだまだ続くんだもの
だからね、退いてちょうだいな
虫あみが必要だったかしらね
ひらりふわりと逃げるから狙いづらいわ
手のひらを伸ばして大きくすれば当たりやすくなるかしら
手首のスナップをきかせてねパチンと地面に叩きつけるの
それとも両手で挟んだ方が壊れやすいかしらね
うまくいった方で虫取り頑張るわ
ご一緒する人が攻撃されそうなら手のひらで遮るわね
協力しあって子供たちが来る前に早く倒しちゃいましょう
※共闘・アドリブOK
雨糸・咲
春の彩咲く野原に輝く蝶は美しい風景だけれど
小さな花々と同じく健気な子供たちに悪さをするものは
こっそり退治しておきましょうね
こうして見えないところで道を整えるというのも
物語を紡ぐお手伝いみたいで
何だか少しくすぐったいような、嬉しい気分です
飛び回る蝶の攻撃を避ける為
第六感、見切りで動きに注意しましょう
避けられない状態の方がいらっしゃれば
オーラ防御でかばいます
フェイントで隙をつき高速詠唱
眠るのは、あなたたちの方ですよ
草花が傷付いてしまっては
懸命に「高い山」を越えてくる兄妹も
私たちをここへ送り届けて下さったトトリさんも
しょんぼりしてしまうでしょうから
柔らかに微笑んで
音も無く春の野へ降らせる、白菊の花弁
クロト・ラトキエ
いい野原――
成る程。彼が、そう言った理由が分かる場所。
光も、緑も、花も、風も。かなしい色に染めるには忍びない場所。
宝石の蝶とか、実に興味深かったのですが…
過去なれば。骸の海にお帰り願いましょう。
場を荒すのは本意ではないので。
立ち位置は極力変えず。必要に迫られても数歩以内で済む様に。
トリニティ・エンハンスの水の魔力で防御力強化。
攻撃は鋼糸一本ずつ、一体ずつ。羽、又は胴を狙い断って、落としたく。
けれど攻め手たる方があるならば、その方を、同時に花や四つ葉の場所を、
蝶を弾き、攻撃よりの壁となり、守る事を優先。
子どもらの命もですが…その冒険も、思い出も。
守ってこその猟兵ですから。
(連携・アドリブ歓迎です
「成る程――いい野原ですね」
言葉の足りないあの猟兵が、そう言った理由も分かる。ふわり頬避けて戦ぐ髪が、クロトの微笑みを露わにした。
光も緑も、花も風も。柔らかく凪いでふわりと光る。それは虚飾のきらめきとは違う、裡から溢れ出る命のいろ。限りあるこの時は、悲しみに染めるにはあまりに忍びないから、
「宝石の蝶とか、実に興味深かったのですが……あなたがたは過去なれば。さあいらっしゃい、こちらの水も甘いですよ?」
残滓の海へ、お帰り願いましょう。クロトは目を細め、守りを齎す水の気で敵意を誘う。
踏み込めば踏み込んだだけ、躙られるいのちがあるから。緑浅い地からその足を離さぬように、引いては返す指先だけで疾く躍らせる鋼の糸、ひとひら。それは鮮やかに斬撃の一線引いて、妖しい輝きを返す翅を断ち切った。
「そうですね、できるだけ目立たないように……こっそりと」
小さな冒険譚に不似合いの邪なもの、つましい花たちに似る健気な子らに悪さを働くものは、退治してしまおう。近づく翅の放つ煌めきを受けぬよう、六感の告げるままに身を躍らせて、咲は返す杖を蝶の鼻先に突きつける。
「清めの花の香、悪い夢は洗い流して……澄める瞳に映らぬように!」
陽光を受けて透き通る、白の花。春の野に、季節外れの雪のように降る花片は、永久の眠りの国のよう。
「でもね、眠るのはあなたたちの方ですよ」
それは、この地に映すだけ。一度終わりを知った筈の煌らかな生きものへ、還る道を示すだけ。
花の奔流が、欠片ひとつ残さずに輝石の蝶を押し流す。お見事です、と手向けられたクロトの賛辞に、愉しげな魔法使いは少しだけはにかんだ。
「少しくすぐったいような、嬉しい気分になりませんか? 見えないところで道を整えるのは、まるで……」
――物語を紡ぐ手伝いみたいで。笑う咲に頷いて、
「それなら一層、励まなければなりませんね。整える者として在る以上、場を荒らすなど、本意ではありませんから」
温む風に撓る糸は、クロトの浮かべる微笑みに似る。けれど緩急つけて自在に奔る。舞うものの胴を、翅を、弾いては斬る、斬っては弾く。
守ってこその猟兵ですからと和ぐ眼差しは、彼方に咲くささやかな白、そこに近づく羽戦きに、おやと小さく見開いた。
「お守りしましょう。子供らの命もですが……その冒険も、思い出も共に」
「ええ、もちろんです! あの子たち、懸命に『高い山』を越えてくるのですもの」
草花が傷ついてしまっては、幼いふたりはきっとしょんぼりすることだろう。――そしてきっと、口下手なあの猟兵も同じように。
くすり笑って、咲は白菊の花刃を散らす。風に翔ける清浄の香に、クロトも糸を沿い奔らせる。
暖かな未来に悪意を以て触れることは、自分たちが許さない。
あたらしいいのちが。『かぞく』が、生まれるのだと。
光に包まれ、戦場へと赴く前に、教えてもらった。それは、とフェレスは思い、けれど口にはしなかった。
それは、食いぶちが増えるだけのことではないのか。どうしてこの不思議ないきものは、琥珀の瞳をこんなに輝かせているのだろう。どうして小さな兄妹は、まだ見ぬ弟か妹のために、冒険に踏み出したりしたのだろう。
(「……それは、なぜ?」)
たくさんの疑問を抱え、それでもフェレスは目指す野にいる。集い来る煌めきの群れを前へ駆ける仲間が蹴散らす間、十秒の集中に『棘』を逆立たせれば、それらは前方へ降り注ぐ矢の雨となる。
輝石の体を穿つことこそなくとも、削り取る助けにはなれる。少しでも、と魔力もろとも注いだ思いは、彼方にひらめく翅をひとつ、ふたつ、きらきらと射ち墜とした。
どうして自分はこんなに、懸命になっているのだろう。どうして、どうして――胸に微かに灯るぬくもりをまだ、光溢れる世界へと踏み出したばかりのフェレスは違和感としか捉えられない。
惑いと裏腹、疾く鋭く降らせる刃。不意にきらり、それを躱して至った羽戦きが妖しく迫り、
「――!」
「大丈夫よ、そのまま」
やわらかくまるく、歳経た声が降る。少しだけ安堵する影の色が目の前に立ちはだかり、大きく撓る掌でその光を地に叩き落とした。
「けがはないかしら。……虫あみが必要だったかしらね?」
眩しそうに微笑んで、ウレルトは陽光の眼差しを舞うものへ向ける。ひらりふらり、頼りなく逃げるそれは狙いづらくて、
「すごいのね、ちゃんと射ち落としていたでしょう?」
「……そんな、こと」
どんな顔をしていいかわからずに、フードの奥に沈んだ少女の眼差しににこり綻んで、ウレルトは掌を蝶たちへ翻す。風を掴み取れそうに大きく、自在にかたちをかえる指先で、叩き落とす。ああそれとも、
「両手で挟んだ方が、壊れやすいかしらね」
――ぱちん! 踊るように掲げた掌が光をその裡に閉じ込める。そっと開く両の手をすり抜ける風が、きらきらとその欠片を散らせたなら、満足そうに。
「こっちの方が上手くいきそう。虫取り、頑張るわ」
暖かな陽気に誘われるまま、気持ちよく微睡むのなら素敵なこと。けれどそれも穏やかならざる永遠を帯びるのなら、春の野には似合わない。
――だって物語は、子供たちの冒険はまだまだ続くのだ。
「だからね、退いてちょうだいな」
慈しむ眼差しが過ぎれば、掌は再び煌めきを砕く。躍る光たちを見据え、フェレスは再び心に問うた。
感謝されたい? ……違う。理解できる? ……それもまだ。
けれど何故かこんなにも眩しい、幼い勇者の道行きに、蔓延る悪意を退けてやることくらいは、自分にもできるから。
「……そこを、退いて」
声に滲む熱がそのまま、降る刃の力になる。砕け散った輝石の欠片が色褪せて見えた。――これから至る、煌らかな未来に比べたら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
花狩・アシエト
お、おお、蝶のオブリビオンか。綺麗だな
…いやいや、戦うのが先だな
紅椿だと野原を傷つけかねないからな、「界刀閃牙」で戦っていくぜ
「二回攻撃」で畳み掛けて、「力溜め」「鎧砕き」で脳天から壊す!
…脳天?まあいいか!
清らかなら汚れるのはどうだ?…と思ったけど、使わないのももったいない気がするから雷の「属性攻撃」が効くか試してみる!ビリビリしろ!
相手の攻撃は「第六感」と「武器受け」でガードする
第六感は、前兆や動作でひらひら避けたり
武器受けは当たると思ったのを受けていく
アドリブ、共闘歓迎
クレム・クラウベル
ただ綺麗なだけならさて、冒険を彩る華で済んだが
害なすものならば見目が如何様でも為すことは変わらない
正しき枝へ、あたたかな物語へ
生まれくる命への祝福願う、優しき彼の者たちに導きを
そうも煌びやかならば狙いやすい
銃口を向けて飛び回るそれへ引き金を引き絞る
治癒して長らえようと言うならば
治しても足りぬほど砕くまでだ
悪しきを穿て、清浄なる銀よ
砕くだけで足りぬなら祈りの火へと焚べよう
幼子が願うささやかな幸福を奪うなど、何者にも赦されるものか
ましてやオブリビオンの手でなど
さあ、裏方勇者の仕事と行こう
迅速に、確実に。幼い冒険者がたどり着く前に
バッドエンドに幕引きを
静海・終
おやこれは、確かにこれは『いい野原』でございますねえ
このような場所には美しい蝶が、と言いたい所ですが
刺持つ美しさはこの物語には不要、退いていただきましょう
先制攻撃にて蝶を穿つ
数がいるようであれば弱っている個体から狙い確実に数を減らしましょう
青白い炎は蝶が飛んでいる間だけ燃焼させ地面に落ちる時には消しましょう
草花を燃やしたりしてしまわないようにだけ気をつけておきたいものです
幼くとも守るべき者が生まれるとこうも頼もしく進もうとする姿
応援したくなりますね
ゴールはもう少し、私達も安全確保に全力を尽くしましょう
●ひだまりに結ぶ縁
「お、おお……? 綺麗だな」
それは一見とても穏やかな、春の日に相応しい光景だった。萌え出たばかりのさもやわらかそうな草の原、あちらこちらに慎ましく咲く野花たち。そして彼らの空を舞う、きらきらと輝く輝石の蝶――、
「……いや、いやいや。違うって。あれは蝶の、オブリビオンだ」
ぺちぺちと自らの頬を叩き、前を見る。
そう、いかに長閑な風景といえど、これは明らかなる異変。美しい蝶は本来は過去のもの、いずれ人を傷つける災禍の魔物なのだ。
「ただ綺麗なだけならさて、冒険を彩る華で済んだが……害成すものならば、見目が如何様でも為すことは変わらない」
信仰の祈りなくとも銀弾は駆けるけれど、クレムは二つの引き金を引く瞬間、その指先に祈りを込めた。
神へ、ではない――その思いは誰かへ、何かへ希うものではなかった。ただ浄化せよと、それだけを真摯に願い響かせた銃声は、響いたと同時に煌めく翅を撃ち貫く。
砕かれた薄片がシャン、と涼やかな音を立てた。ちいさな花火のように輝きながら散りゆくもの、その向こうへふらふらと、頼りなく逃れていく個体がある。仲間と輪をなし、きらきらと踊る――そこに生まれる光が何を為そうとしているものか、冴えた眼差しは即座に読み取った。
「治癒して長らえようと言うならば、治しても足りぬほど砕くまでだ。――悪しきを穿て、清浄なる銀よ」
風に乗り駆け抜ける銀弾。淡く放たれる治癒の光が輝石の体を修復するよりも速く、そこへ至る。
鮮やかな射撃にはー、と吐息を零し、アシエトは剣を握り直した。
「……そーだな、躊躇ってないで戦わないと、な……!」
清らかな水を好む生きものだという。ならばいっそ汚してやれば、過ったそんな考えを、構える二刀で振り払う。戦えばそれだけで荒れるだろう春の野を、それ以上に穢す訳にはいかない。
「紅椿は使えねえ! なら――いっちょやっときますか……! 脳天かち割ってやる!」
アシエトは大きく前に跳ぶ。右の曲刀に風斬らせる間に、振り上げる左の直刃が一閃――喰らいついた。
「……これ、脳天……か? まあいいか、斬れたしな!」
蝶にその呼称は正しいものかは考えないことにした。ふと肩の力を抜く間にも、ちかり、耳元に近づく悪意の気配にはっとする。
振り抜く刃は、細やかな輝石の鱗粉を舞わせ飛ぶものを、一瞬で両断する。
「くそっ、どんだけ湧いてくるんだ!? めんどくせえ……!」
魔力に誘われた蝶たちが寄ってくる。慌てる剣戟が撃ち漏らした蝶ひとひらを、冴えた蒼焔を纏った竜槍が鮮やかに突き崩す。
「おやおや、ふふふ。そう苛立たれずに。確かにこれは『いい野原』でございますねえ」
その空を漂うものも、妖しの光輝を帯びた生きものではなく――春に似合いの素朴な色を纏った蝶であったなら。笑みの中、値踏みするように目を細め、終は涙、とその槍を呼んだ。
「参りましょうか。棘持つ美しさはこの物語には不要、退いていただきましょう」
群れなす中から、まずひとひら。アシエトの斬撃が斬り崩した翅で、ふらふらと危うげに飛ぶものへ、槍は躍りかかる。穂先から青白い涙零すように流れた炎は、突き崩した煌めきを呑み込み、地に落ちる前に風に溶ける。
「草花を燃やしたりしてしまっては、兄妹が悲しむでしょうから」
零れては消え、消えては零れる火の雫で正確に綺羅翅を捉えながら、終は微笑む。護るべきものがあることは、幼いものの心すらこうも強くするものなのだと。
「小さな勇者たちへ、精一杯の応援を送るといたしましょう。ゴールはもう少し――安全確保に全力を尽くさなくては」
「無論だ。幼子が願うささやかな幸福を奪うなど、何者にも赦されるものか」
ましてやオブリビオンの手でなどと。視線を並べ、クレムは銃に込めた魔力を次々と撃ち放つ。
「お前は足を止めるか? 『ヒーロー』」
そうではないだろう、と。暗に伺うクレムの視線に、ダークヒーローたるアシエトも奮起する。
「……おっちゃんたちが何とかしてやるって言ったもんな! やるっきゃねえだろ……!」
「上等だ。さあ、裏方勇者の仕事と行こう」
迅速に、確実に――幼い勇者が辿り着くその前に!
絶え間なく響かせる銃声が、集い来る魔物たちを撃ち崩す。せわしく逃げ惑う翅を狙い定め、アシエトが構える左手の直刃に、じん、と浮かび上がる文字。
溢れ出す魔法の気配を雷に変じ、青年はもう一度地を蹴った。
「――動けなきゃ何てことねえ! ビリビリしろ!」
ルーンの煌めきを残像に、牙たる剣が揺れる翅を斬り崩す。
鮮やかな切り口に爆ぜる雷光が、輝石の欠片をまた一つ、春陽の中に消し飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
誘名・櫻宵
🌸リル(f10762
アドリブ等歓迎
ついたわね、リィ!
一面に咲くクローバーが見事……
4つ葉のクローバーのことかしら?
うふふ
幸せに?なら、見つけなきゃね
あたしはもう、幸せだけれど
あら
綺麗な蝶だこと
砕いてあなたを彩る尾鰭飾りにしたくなるわね
でもこれは、この野原にはいらないもの
欠片も残さず砕いてあげる
輝石砕ける音よりも
愛しの人魚の歌が美しく心地よい
鼓舞に歌に踊る心のままなぎ払い
2回攻撃、衝撃波で砕き斬る
攻撃は見切り、リィに届きそうならダッシュで庇うわ
あたしの人魚に手出しはさせない
まとめて『散華』で散らしてあげる
破片がきらきら
綺麗だわ
可愛い子
こうして一緒に戦っている一時すらも
あたしは幸せな一時なのよ?
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ等歓迎
わぁ!櫻宵、きれいな野原!
知ってる?4つのはーとのくろーばー、みつけると幸せになれるんだよ?
あっきれいな、蝶々
嗚呼けれど
この蝶は、毒だから
小さな勇者が眠らされる前に
退治してしまわないといけない
君が刀を振るう度に散る輝石
美しくて思わず見蕩れそうになるけれど
歌おう、君の剣舞彩る歌を
【鼓舞】を込めた【歌唱】で歌うのは『魅惑の歌』
蝶の羽ばたきを歌で絡めとってあげるから
残らず綺麗に斬って砕いておくれ
僕を庇う櫻宵へ攻撃がくれば、【オーラ防御】の水泡で守る
君が僕を守るなら
僕も君を守るから
輝石の魔を散らして櫻宵と一緒にくろーばー
4つのハートの葉を探すんだ
それは幸せのひと時だよ
「ついたわね、リィ!」
眩しそうに和いだ櫻宵の瞳は、小さな子供のようにはしゃぐ彼の歌姫を映していっそう綻んだ。
「きれいな野原! ねえ、櫻宵、知ってる? 四つのはーとのくろーばー、みつけると幸せになれるんだよ?」
その言葉までもがきらきら、混ざりものなく輝くようで、櫻宵はうふふ、と笑みを深める。
「幸せに? なら、見つけなきゃね。あたしはもう、幸せだけれど」
傍らにあなたがいるなら。言葉にせずとも伝う温もりに、ふたりも春の気配に包まれる。
けれど、それを堪能する前に――きれいなふりして邪魔するものを倒さなければ。柔いふたりの眼差しに、険が宿る。
「この蝶は、毒だから。小さな勇者が眠らされる前に、退治してしまわないといけないね、櫻宵」
「ええ、この野原にはいらないもの。欠片も残さず砕いてあげましょ、リル」
渡る風よりも、降る光よりも。美しく透き通るリルの声が、草原に波紋を広げていく。今はまだ美しく羽戦くだけの蝶たちが、薄暗い敵意を浮かべる前に――その心を捉え、翅を絡め取り、蕩かす魅了の歌。
動きを止め、ふわふわと声に酔う蝶たちを、
「舞い散る桜の如く美しく――さぁ、お退きなさい!」
つよく笑んだ櫻宵の剣が、一閃、二閃、ひらめき重ねて斬り砕いていく。しゃらり、逝く蝶が残す音色は確かに美しかったけれど、愛しの人魚の声にはとても敵わない。
そして散り零れる輝石片よりも華やかで、美しく、苛烈な斬撃。リルもまた、櫻宵の血色の剣舞に魅了されるけれど――歌声はやまない。
(「君が僕を守るなら、僕も君を守るから……この『武器』で」)
互いを守るそれぞれの輝きが、外側ばかりの災魔のそれを凌駕する。
「一緒に四つのハートの葉をさがすんだ。きっと幸せのひとときだよ」
「可愛い子。こうして一緒に戦っている一時すらも、あたしには幸せなのよ?」
そう、幸せは続くものだから――続かせるために。リルの歌が縫い留めた蝶をまたひとひら、リルの剣戟が過去へと還す。
「ねえ、砕いたこの欠片、あなたを彩る尾鰭飾りにしたくなるわね?」
「ふふ、ありがとう。櫻宵がかざってくれる?」
砂糖菓子めいた言の葉に、蔓延る魔の気配も洗われていく。
大成功
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アルバ・アルフライラ
ほう、お仲間か
美も煌きも、力すら私には到底敵うまい
…ふふん、試してみるか?
魔方陣より【夢より這い出し混沌】を召喚
騎乗し、蝶との戦いに臨む
戦闘時、大いなる自然を損なわぬよう細心の注意
先ず麻痺を与える魔術を蝶へ使用
っは、宝石の身なぞ斯くも脆い事は重々承知故な
逃げられぬよう動きを阻害
範囲魔術や翼竜の爪牙で翅を砕いてくれよう
宝石の粒も翼竜で発生させた風である程度抑えられるやも知れぬ
敵の軌道を予想、第六感と見切りを用いて回避
他猟兵への支援も怠らず、被害を最小限にすべく最良の一手を
力を持つ者は、何人であろうと責を負わねばならぬ
それは貴様も同様だ
――未遂とはいえ罪なき子等を殺めようとした罪、万死に値しようぞ
イア・エエングラ
こんな穏やかな野原なら、歩いていくのも楽しかろうな
好きに翔けて、遊べるのならきっと疲れも忘れるだろな
咲いた春へと目をとめて先に楽しんでしまうのゆるしてね
そのままゆっくりしていきたいところだけれど
追いつかれてしまっては困るものな
そんで蝶々に、惹かれて迷子ではかわいそだもの
煌めく翅を凍てつかせ、そのまま砕いてしまいましょ
ユールの火を躍らせて、銀の刃でさよなら、しよう
花弁の色どりにそっと目を伏せ見送って
散った破片もきれいだけれど
あの子らの、すこし低い視線で見る世界は
どんな春で溢れているかしら
あとすこし、もうすこし、頑張っていらしてね
ちいさな子の冒険譚を、葉陰から見守るのも楽しいもの、な
やわらかな春の陽を透しては、二重三重にも光を増して跳ね返す。
アルバは形ばかりは唇を和らげる。あれらは己と同じ質の生きもの、
「お仲間か。だが――」
地を突く杖でひらく魔方陣が、清冽な光を放つ。現れ、ゆらりと深い翼の影を落とすものは、災厄の竜。アルバを乗せ、草原を掠めるように舞うそれは、見目恐ろしく猛々しく、しかし有り余る力は、
「美も煌めきも、力すら私には到底敵うまい」
その言葉、その自信を証すかのように制御されている。
風に散らす魔術が齎すものは、麻痺の毒。翼竜の影の下、輝きを弱めた蝶たちの羽戦きが、さらに力を失っていく。――手心などなく、そのまま一息に掻き抉りに来る凶爪。
「っは、宝石の身なぞ斯くも脆い事は重々承知故な」
己の弱点を知る故に。騎乗する獣の下に響く、星が砕けるような美しい音色は、アルバには少しばかり痛いものでもある。――それに克つだけの時を重ね、鍛錬を積んだ、それ故の自信なのだ。
強く、美しく、低い空を舞う。同族の煌めきに、イアは眩しそうに目を細めた。
「そう、一息に凍らせてしまおうな。かわいい子らに、追いつかれてしまっては困るもの」
ひととき閉じる瞼の裏に、風の精のように心躍るまま翔ける子らの姿を宿す。再び開いた青年の目にはきらきらと、人を惑わし惹きつけるものの姿がある。
『ユールの火』より零れ出でるは、空の色にも水の色にも似て異なるひかり。身を伝う青い炎を掌へ、そしてふうっと吹きやれば、冴えた火の粉が輝石の翅を捕まえる。
きん、と凍えたその姿は、まるで氷の標本のよう。銀の懐剣を手に躍りかかり、一刀に切り捨てる。砕かれた薄片にきれいと細めた眼差しを、伏せる。睫を上げたときにはもう、跡形もない。
イアの凍れる炎に追われたものへ、アルバの混沌の竜が迫る。疾く低く飛ぶ軌道より少し上へ浮上したと見るや、翼竜は牙を剥き、十色の輝石を一瞬で噛み砕いた。
何人であれ、力持つものはその責を負うもの。及ぼす力を知らぬ無垢は、即ち罪だ。咎める言葉の鋭さとは裏腹に、アルバはふ、と微笑んだ。
「未遂とはいえ、罪なき子等を殺めようとした罪、万死に値しようぞ」
力の責を知り担う賢者は、極め高めた力を迷いなく振るう。見定めたものだけを正しく弑し、骸の海へと還すために。
「……ああ、こんな穏やかな野原なら、歩いていくのも楽しかろうな」
藍の瞳を光に染め、イアは零れる裾をひらり、脅威の一群が消えた草むらの一面へと踊らせた。
幼気な勇者たちは未だ至らず、それは幸いではあるのだけれど。先に目を愉しませてしまうことはほんの少しばつが悪くて、ついくすりと笑み零し、彼方を見遣る。
「あとすこし、もうすこし、頑張っていらしてね」
待っているから――悪いまものを退けて、目覚めたばかりの春の野で。
大成功
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アルジャンテ・レラ
春の花々が咲き乱れている、いい野原……ですね。
四葉のクローバーが隠れていても不思議ではありません。
幸い"主人公"たるお二人はまだ到着していないようです。
本物の蝶ならばこの場に似つかわしいですが、
輝石の蝶など相応しいはずもありません。
砕いてしまいましょう。
なるべく移動せず済むよう、後方に陣取ります。
動けば動くほど野原を踏み荒らす事になってしまいそうですから。
……万一にも彼等の探し物を踏むわけにはいきません。
後方支援に徹する戦法に変わりはなく。
前線で力を奮う方々が戦いやすくなるよう
援護射撃で災魔の足止めを。
皆さんを狙う災魔を射ち、攻撃の阻害もしていきます。
鱗粉は乱れ射ちで多少対処できるでしょうか。
冴島・類
集まった皆様の優しさが
すこし可笑しくて
その倍、胸があたたかい
おつかいを見守る
親類縁者のようじゃないですか
大事な誰かのために、何かしたい
そのこころを守れるだけで
充分な駄賃だ
蝶達の舞う軌道を注視
不規則な動きに惑わされぬよう
攻撃手段を見切り
できる限り避けれるよう
フェイント交えながら引きつけ
さて、輝きが武器だというのなら
瓜江は少し休ませて
UCで写しの鏡を喚び
破魔の力込め宙に舞わせ
癒しの光や攻撃を跳ね返し撹乱を
相手に隙が生まれれば
そこを見逃さず、斬れたらと
無事片付けばここに至る道を振り返り
そっと物陰に隠れて、訪れる彼らを見守り耳をすまし
そろそろ、小さな勇者達の足音が聞こえて来る頃かな?
アドリブ、共闘歓迎
ヴェイゼル・ベルマン
野原にひらり舞う宝石の蝶か
こんな煌びやかなオブリビオンがいるとは、少し驚いたぜ
綺麗だが、その輝きは災いをもたらすもの
野放しにはしておけねぇな
此処を訪れる兄妹が無事に四つ葉を探せるように
そして、俺たちも、戦いの後の野原で過ごす一時を楽しめるように
『気合い』入れて、もうひと頑張りするか
悲劇の物語は綴らせねぇぜ
野原の草花が散っちゃあ台無しだからな
旋風を起こすような派手な技の使用は控えておくか
命中率重視の【焔斬撃】で確実にダメージを与えるぜ
攻撃時は、時折『フェイント』を交えて敵に見切られねぇようにする
敵の攻撃は『見切り』と『第六感』で回避、又は『武器受け』で防御
『カウンター』で隙を突いていくぜ
●見守るまなざし、届くゆびさき
「いい野原……ですね」
広々と広がる草むらに、小川のせせらぎが柔らかく響く。思わずアルジャンテが零した溜息を、風が空の彼方へ掬い上げた。
「四つ葉のクローバーが隠れていても不思議ではありません」
「ああ、ほんとにな」
ヴェイゼルの眼差しが足許を辿る。密度に違いはあれど、地を覆うそのほとんどがクローバーの緑。こうして踏み出す一歩にも、もしかしたら幸運の印が隠れているのかもしれない。
「そしてあれが宝石の蝶、か。こんな煌びやかなオブリビオンがいるとは、少し驚いたぜ」
まだこちらに敵意を持っていないのか、ひらひらきらきらと野を横切るばかりの生きもの。
「幸い、『主人公』たるお二人はまだ到着していないようです」
「今のうちって訳だな。兄妹が無事に四つ葉を探せるように、気合い入れてもうひと頑張りするか」
に、と歯を見せ気のいい笑みを見せるヴェイゼルに、ええ、と淡い笑みでアルジャンテが答える。間に立った類はふ、と思わず笑い声を立てた。
「類さん?」
「いえ、すみません。……何というか、自分も含め、おつかいを見守る親類縁者のようだ、と」
思わず顔を見合わせ、――ふ、とふたつの唇から空気が零れる。
「それは随分な大家族ですね」
「ああ、違いねえな」
くっくと喉で笑いつつ、ヴェイゼルは愛用のハルバードを握り直す。心にまで至る春の気配に惹かれたものか、ひらひらと近づいてくる煌めき。それは見守るべき子供たちに災いをもたらすものだ。
「悲劇の物語は綴らせねぇぜ」
「ええ、輝石の蝶などこの場に相応しいはずもありません」
前方を睨み据える二人に眼差しを並べ、類は影のように添う瓜江をそっと下がらせる。
――ああ、ここへ集った想いのなんてあたたかいことだろう。
「そうですね。大事な誰かのために、何かしたい……そのこころを守れるだけで、充分な駄賃だ」
行きます、と。類の声を合図に、ヴェイゼルが前へ駆ける。風に戦ぐ花たちを思い、勇ましく前線に繰り出す旋風は避けた。風を呼ばず勢いを借りる竜槍が、折り重なるように飛ぶ蝶を狙い澄ます。
「頼むぜ、焔々! ――てめぇはこれでも食らっとけ!」
シャン――……! 鈴めいた破砕の音色が響き渡る。穂先とともに翻る男の眼差しに、応えるものは二人。
狙い定めるひとときに、アルジャンテは不規則に舞う蝶たちの軌道を掴む。紡ぐ一矢が揺らがぬよう確りと地を踏む足は、幸福の印も綻ぶ花も壊さぬように。動かず引く糸が、りんと歌った。
「――止めます」
駆け抜ける矢が、今まさにヴェイゼルへ輝石の鱗粉を送ろうとしたひとひらを縫い留める。似通う動きをするものあれば次、その次と、連なり駆ける矢の雨が輝石を地に降らす。
それでも制しきれぬものあれば、類が。
「我が空蝉よ――此処に、現れ給へ」
ぱん、と高く空気を打つ手の音に、響かす声は祝詞のように凛と響いた。自在に躍る類の映し身、三十もの鏡の反射が光を散らし、蝶たちを攪乱する。ひとところには落ち着かず、くるくると弧を描き奔る鏡像が惑わし続けるその隙に、一閃で鱗粉を吹き飛ばしたヴェルマンがすぐさま槍を翻す。
「はっ、悪いな。……俺達も結構楽しみにしてんだ」
にやり、笑みが穂先の輝きに消える。
その技は無論、幼い勇者たちのため。――そして自分たちにも、この後のひとときを拓くために、紡がれる。
大成功
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リュカ・エンキアンサス
オズお兄さん(f01136)と
そうだな。俺もこの蝶は結構好き
なんだか綺麗で、生きてない感じがいいと思うんだ
とはいえ、それとこれとは話が別だから、きっちり終わらせよう
お兄さん、前は頼んだ
行ってらっしゃい。気をつけて
俺はお兄さんの後ろで銃を構える
蝶もそうだけれども、お兄さんの動きも読んで
援護をするように立ち回りつつ
確実に倒して行きたい
戦場をよく見回して、お兄さんが怪我をすることがないようにしていけたら
こういうところで見ると、いっそう綺麗だな
お兄さんとも、戯れてるみたいでぱっと見はいいんだけどな
どこって聞かれたら、応える前に銃で撃ちこんで
…お兄さん、あっち
帰ってきたら、お疲れさまと、お帰りも言いたい
オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と
きれいだけど
このちょうちょはふたりに見せるわけにはいかないね
いきてない感じ?
と首傾げつつ
四葉も花もちらさないように気を付けるよ
【ガジェットショータイム】
刃のない槌でちょうちょを倒しに
まかせて
いってきますっ
リュカに声かけ駆けだし
手がまわらなかった分はリュカが倒してくれると思うから
群れにとつげきして真横に武器振り回し【範囲攻撃】
きれいな宝石の粒
でも見とれてる時間はないよね
リュカの位置からだと
もっときらきらに見えてるのかなあ
あとで聞いてみよう
振り下ろす時は地面に当てないよう
ちょうちょを薙ぎ払うように倒していくね
見える範囲を倒したら
リュカ、あとどこにいるー?
わかったっ
ただいまっ
メーリ・フルメヴァーラ
ユニ(f04544)と
春風に揺蕩う夢みたいなきらめきを視線で追う
きれいな蝶だ
けれどあなたはしあわせを呼ばないんだね
だったら砕いてしまわないと
醒めない眠りとはさよならしないと
春の野原であたたかな時間を過ごすんだ
夢より現実のほうが
友達のほうがずっと大事
ユニを見遣って、はにかむように笑う
天籟の星にスチームエンジンで
蒸気エンジンを搭載し加速度を上げる
ユニ、行って!
詠唱銃から射出するのは重力属性宿した弾丸
思い切り加圧して砕ききる!
宝石の粒ごと穿つんだ
照準合わせて何度も弾丸飛ばす
兄妹が幸せに辿り着くため
目を逸らさない
ねえ四つ葉を見つけたら
どんな幸福が待ってるかな
どんな幸福でも
ユニと一緒なら飛び切り素敵だね
ユニ・エクスマキナ
メーリちゃん(f01264)と
うわぁ~キレイな蝶々!
思わずじぃっと見つめちゃうけど
は!?この美しい煌めきに騙されちゃダメダメ
そうそう、大事なのは現実!
見つめられればニコッとメーリちゃんに笑い返す
メーリちゃんが放つ弾丸
思わずその軌道を何度も目で追っちゃうけど
名前を呼ばれればハッとした顔で
うん!って大きく答えて羽をはばたかせる
ユニに出来ることは限られるけど
その中で全力を尽くすのねー!
仲良しの兄妹ちゃんが
幸福の四つ葉を手に入れることが出来たら
想像するだけで顔が綻んじゃうのね
あ!ズルいな、メーリちゃんってば!
ユニが言いたかったこと全部言っちゃうなんて!
ユニだってメーリちゃんと一緒ならいつだって幸せ!
「きれいだね」
オズの声はいつもどおりに笑い、けれど少し残念そうに響いた。そうだな、と頷いて、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はきらきらと跳ねる光に目を細めた。
「俺もこの蝶は結構好き。なんだか綺麗で、生きてない感じがいいと思うんだ」
「いきてない感じ?」
どんな感じだろう、と首を傾げるオズに眼差しだけでひっそりと笑い、リュカは再び前を見る。――好きだけど、終わらせなければいけないもの。それはよく分かっている。
「お兄さん、前は頼んだ。行ってらっしゃい」
「うんっ、まかせて! いってきますっ」
夢の生きもののように躍る蝶のもとへ。幸せのクローバーも咲く花も、何ひとつ散らしていいものはないと気配りながら、オズは風のように軽く駆ける。
翳す斧は吹き出す蒸気とともにかたちを変え、刃を持たない槌に。煌めきが集まるそこは、春の小川。清らかな水に力を求める災魔の群れを、
「いくよっ、とつげき……!」
槌に振り回されているようになりながらも、オズは懸命に薙ぎ払う。打撃武器は功を奏し、蝶たちはしゃららっ、と心地好い響きを残して輝く破片を空に散らす。
(「本当に、きれい」)
でも、幼いふたりには見せる訳にはいかないものだ。見惚れる暇もなく武器を振るうオズのもとへ――その背面へ迫る輝石の蝶へ、『灯り木』の銃弾を撃ち込んだ。
「! リュカ、ありがとっ」
「気をつけて、まだいる」
「あとどこにいるー?」
あっち、と動く口より速く、銃弾がオズの足許にふらり寄り来たひとひらを撃ち砕いた。しゃん、と輝石の欠片が歌う。
(「よく見回して、確実に――お兄さんが怪我をすることがないように」)
なにしろ懸命に戦うオズは、ここから見ると蝶と踊っているようなのだ。きらきら輝くものの中で、くるりくるりと。――万が一にも攻撃が当たってしまうことがあってはいけない。
「おわった! ただいまっ」
「お疲れさま。それから……お帰り」
駆け戻ったオズは、『おかえり』に嬉しそうにして。ねえねえ、と首を傾げる。
「あのきらきらは、ここからどんなふうに見えてた?」
「きらきらして、綺麗だったよ。お兄さんとも、戯れてるみたいで」
答えに輝くのは、オズの瞳、笑い声。
つられてまた目を細め、リュカは思う。――お兄さんの目、あの蝶を映したみたいだ。
そうして水辺の蝶がすべて浅い流れに沈んだその頃、その流れのさらに先で。
「うわぁ~、キレイな蝶々!」
ユニの大きな苺色の瞳も、目の前をきらきらと過るものに染まっていた。
羽戦くたび、深く浅く、陽光を透して跳ね返して。じっと動かない装飾品とは比べられないほど、いのちを持つ輝石の蝶は美しく見える。――けれど、とメーリは心さざなみ立たせることなく、静かにそれを見据えている。
(「きれいな蝶だ。けれどあなたは、しあわせを呼ばないんだね」)
それなら砕いてしまわないと。小さなふたりに訪れるという醒めない眠りとは、さよならしなければ――。
意を決したメーリの頬に、野の花のような笑みが咲く。
「春の野原で、ユニとあたたかな時間を過ごすんだ。夢より現実のほうが、友達のほうがずっと大事!」
少しくすぐったいけれど、躊躇わずにはっきりと告げたメーリに、ユニははっとする。――そうだ、この煌めきに騙されちゃダメダメ。
「そうそう、大事なのは現実!」
調子がよくて、まっすぐで、素直なともだちがニコッと笑う。その笑顔の方がよほどキラキラして見えるから、メーリは迷わない。
朝焼けの前のような夕焼けの終わりのような、淡く輝く魔力の光を込めた詠唱銃に、付加したエンジンの力が巡る。
「ユニ、行って!」
「うん! ――よしっ、その鱗粉もばっちり見ました! ユニもキラキラさせちゃうのねー!」
ユニの周囲を巡る電子の光が、背に伸びる翼に集まっていく。それは輝石の蝶のすがたを映して、煌めく宝石の鱗粉を蝶たちへ解き放った。
そして、その傍らをすり抜けていくのは詠唱銃の一弾。極限まで加圧された重い銃弾は、蝶のひとひらに衝突した瞬間、爆ぜて重力球を展開する。
何度も、何度も――ユニがまとめて弱らせた蝶たちを吸い込み、呑み込んで、重力のもと粉々に。
綺麗なものを感じる心は、消えた訳ではない。迷いはしなくても、胸が痛まない訳ではない。けれど、
(「これは兄妹が幸せに辿り着くためだ。――みんなが幸せに過ごすためだ」)
目を逸らさないメーリに、ユニが笑う。
「仲良しの兄妹ちゃん、幸福の四つ葉を手に入れることが出来たら、どんな顔するかな?」
「あはは、ユニ、以心伝心みたい。同じこと考えてたよ!」
じゃあ、これも一緒かな。メーリたちが四つ葉を見つけたら、どんな幸福が待ってるかな――?
輝石の蝶が消えた野原にほっと一息零して、メーリも笑う。
「どんな幸福でも、ユニと一緒なら飛びきり素敵だね」
「! あっ、ズルいな、メーリちゃんってば!」
――ユニが言いたかったこと全部言っちゃうなんて!
少女たちの笑い声が、きらきらと駆けていった。
消えていったひかりの代わりのように、これから訪れる幸せを兆すように。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユキ・スノーバー
きらきら綺麗な蝶々に惹かれちゃうのは、至って自然なことなんだけど…
それが敵なのが惜しいよね。
誘惑は害が無いに限るんだよ。
しっかり見届けなきゃだから、引き続きスマートに迅速にお片付けするよーっ♪
眠るのは君達の方だよー!って事で、華吹雪でおやすみなさいのご案内っ。
ぎらぎらよりも、ふわりとした色で彩りたいよね、やっぱり。
…今度は乱した部分有ったら、整える所までしっかり抜かりなく頑張るんだよ。
えーと、立つ鳥後を濁さずだっけ?そんな感じっ!
敵から環境整備までお任せの掃除屋さんって、猟兵はやること沢山だよね。
小さいからこそ目につく所はお任せなんだよ。
終わったらすたこらさっさーっ
アドリブ&連携歓迎
カーニンヒェン・ボーゲン
小さな冒険者方にはばれておらぬようですな。
この調子で参りましょう。
輝きにも多種類あるものですな。
過去のものでなかったのなら、心惹かれたのかもしれませんが。
(手中の刃の輝きに目を細めて)
その全てが良いものとは限らぬのでしょうな。
UC:剣刃一閃にて。
子らの脅威となるのなら、その輝きが育ちきる前に討ち取りましょう。
増しゆく輝きには力を溜めて、気を見極め応戦。
飛ぶ敵相手ですが、残像と2回攻撃を活かして速度で上回る事が出来れば、遠慮なく連撃を打ち込みましょう。
疲労を重ねておれば多少なりとも動きに隙が出来るもの。
それを逃さず、また逃亡を許さぬよう追跡は欠かしません。
無垢な笑顔に勝る輝きなど、ありませんな。
ティモール・アングルナージュ
わぁっ、本当にすっごく『いい野原』だねー!
幸せもいっぱいありそー!
でも…なんかやたらキラキラしてる!?
幸せなキラキラなら大歓迎だけど
そうじゃない危ないキラキラは、いらないよー!
宝石…なんか衝撃に弱そう
宝石蝶を見つけたら【ガジェットショータイム】!
ギアくんを巨大ハンマーにかえて、豪快に振り回して砕いていくよー
極彩色の鱗粉も、ぶんぶんハンマー大きく振って、ぜーんぶ叩いちゃう!
でも、野原は踏み荒らさないように気を付けなくちゃ
紳士だし、戦闘もスマートにね!
巨大ハンマーも地には叩きつけないようにするよー
小さな勇者が幸せを見つけられるように
ちゃんときっちり災魔は倒すよ!
ボクも幸せ、たくさん見つけたいし!
「わぁっ、本当にすっごく『いい野原』だねー!」
ティモールの歓声が吹きわたる。
ここにも、そこにも、あっちにも――見渡す限りのクローバーの野に、きゃっきゃと足取りは弾む。これなら幸せもいっぱいあるに違いない!
「あれ、でも……なんかやたらキラキラしてる!?」
「ふむ……あれが輝石の蝶ですか。輝きにも多種類あるものですな」
これが過去のものでなければ、と唸るカーニンヒェンに、ユキはこくりと頷いた。
綺麗な蝶に惹かれてしまうのは、心持つものには自然なこと。それが敵であるのは残念なことだ。
ほんのりしょんぼり下がった耳を立て直し、ユキはえいえいおーっとアイスピックを空に掲げる。
「誘惑は害が無いに限るんだよ。しっかり見届けなきゃだから、スマートに迅速にお片付けするよーっ♪」
「うんうんっ、危ないキラキラは、いらないよー! ボク紳士だから、戦闘もスマートにねっ!」
しゃきーん、とティモールが掲げるのはギアくんこと巨大ハンマー。宝石なら衝撃に弱い筈――ぶんぶん振り回して、蝶も鱗粉も全部叩いてしまえばいい。
「そうですな。小さな冒険者方にはばれておらぬようですから、この調子であと僅か、頑張ることといたしましょう」
呼吸の合ったふたりに目を細め、カーニンヒェンが刃を抜く。一瞬で距離を詰め、眼前に確と輝石の輝きを見定めて、
「見目美しいもの、その全てが良いものとは限らない。――肝に銘じておきましょう」
子供たちの脅威となるのなら、その輝きが育ちきる前に。一閃――素早く巡った『老兎』が蝶を狩る。
両断された翅がしゃららと煌びやかに崩れ落ちると、ぞくり、微かながらも不穏な気配が残された群れから立ち上った。煌めく鱗粉をしゃらしゃらと辺りに振り撒きながら、こちらへ近づいてくる。
風に躍るその光は、確かにとても美しい。けれど柔らかな色を湛えた春の野原には、なんだかギラギラして見えなくもない。
(「ふわりとした色で彩りたいよね、やっぱり」)
――できればさよならもそんな風に。そんなことを思いながら、ユキはひととき、穏やかな野原に過ぎた季節を呼び戻す。ふんわりと白く優しく、けれど厳しく、蝶たちの視界を塗り潰すもの。
「眠るのは君達の方だよー! おやすみなさいーっ」
咲く吹雪に迷う蝶へ、こつんと。冷え冷えアイスピックの一撃をぶつけただけで、その輝きはしゃらりと崩れ落ちる。
「ティモくんも行くよー! えいえいっ、やあーっ!」
蒸気吹き出す巨大ハンマーは、それでも地を叩かないように。ギアくんの勢いに振り回されつつも奮闘するティモールは、はっと大きく目を瞠る。
「わー! カーニンヒェン、うしろうしろー!」
悪意持つ鱗粉の煌めきが、ふわりと男のもとへ戦いだ。慌てるユキとティモールの前で、
「あれー!?」
カーニンヒェンの姿がふっと消える。標的を見失った蝶の後ろに、笑う声。
「――残像ですな」
仲間たちによって命も輝きも削り取られたその蝶を、一刀のもと輝石に還す。その視線は油断なく、かっこいいー! と賛嘆する二人の後ろを飛ぶものへ走った。
「では、今度はお二人に」
「! まっかせてー!」
振り抜いたティモールのハンマーが、ふしゅん! と勢いよく蝶へ突進する。その一撃で砕かれてなお、ふらふらと空へ舞い上がろうとする輝きを、今度はユキがさよならの雪で凍らせていく。
落ちた翅のひとかけらが、かしゃん、と砕け散った。油断なく周囲を見渡すけれど――不穏な気配はもう、広い野原のどこにも見当たらない。
「ふー、敵から環境整備までお任せの掃除屋さんって、猟兵はやること沢山だよね」
やり遂げたーっとほんわか綻ぶユキの顔を、暖かな陽射しがぽかぽか照らす。けれどもう一息、最後の仕事が残っていると、クローバーの上に屈み込む。
「よかったーっ、クローバーは元気だね! あのくらいの雪、へっちゃらだったんだよ」
うっすら積もった雪をしゃかしゃかとかき集めてみれば、その下で緑は瑞々と輝いている。雪はきゅきゅっと丸めて固めて、小川へころころ転がしておく。お片付けはこれで完了だ。
「おや、あれは……」
目を凝らすカーニンヒェン。はるばると『高い山』越え、『大きな川』へと駆けてくる、手を繋いだふたりは――話に聞く勇者たちではないだろうか?
「無事に辿り着かれたようです。ふふ、無垢な笑顔に勝る輝きなど、ありませんな」
なによりと笑み綻ぶ男の上着の裾を、ぴんぴん! とユキが引っ張る。きゃっきゃとティモールが笑う。
「ぞろぞろ人が見えたら台無しなんだよ! 終わったらすたこらさっさーっ!」
「あははーっ、それいいねー! ボクもすたこらさっさー!」
猟兵たちは転がるように野原に散っていく。丈高い草こそないけれど、ゆるやかな起伏を帯びたその野原は、暫くの間身を隠すだけには充分だ。
「あの子たちが幸せを見つけたら、今度はボクたちの番だねっ!」
みんなできっと、たくさんの幸せを見つけて帰るのだと。
仲間と同じように身を伏せて、ティモールはわくわくしながら、小さな勇者たちの物語の結末を見守っていた。
大成功
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第3章 日常
『幸せの四つ葉』
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POW : 気合いで四つ葉のクローバーを探す
SPD : 勘で四つ葉のクローバーを探す
WIZ : あたりをつけて四つ葉のクローバーを探す
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●冒険の終点、そして枝葉の物語
まだ冷たい小川のせせらぎに耳を傾け、風に戦ぐクローバーの絨毯に身を預けながら。
予知された未来が変わった瞬間を、猟兵たちは目にすることになった。
「おにいちゃん、みつからない……」
「あきらめちゃだめだ。こういうのは、コンキが大事なんだってとうちゃん言ってた」
「コンキってなあに?」
「えーと……うーん、たぶん、がんばるってこと」
妹を宥めなだめ、がさごそと。熱心に地面を浚うこと、暫し。
「……あっ! おにいちゃん、よつばー!」
「! こっちもあった! みつけたぞ!」
きゃらきゃらと輝く歓声が透き通る空を渡って、突き上げたふたりの小さな手には、四つの葉をつけたクローバーが並んだのだった。
――そうして、小さなふたりはもっと小さな弟か妹のため、無事に幸せの四つ葉のクローバーを手に入れました。めでたし、めでたし――。
そう結ばれた物語は、まだ枝葉を残している。
小さな勇者たちの道程のため、ひっそりと活躍した立役者たち。
彼らの物語は、むしろこれからだ。
ただ転がってひなたぼっこを楽しむもよし、春の花々を摘んで楽しむのもよし。勿論、幸せの四つ葉のクローバーを探してみてもいい。
『幸せの野原』を訪れたものの数だけ、続く物語は用意されている。
気持ちよく晴れて、良い風が吹く春の日の――ごくありふれた、なんということもない日常の物語が、これからそっと幕を開けるのだ。
花狩・アシエト
よかったよかった!
見つかってよかったな〜(グスッ
泣いでない(ずびーっ
んじゃまあ、俺も探していくか、四つ葉のクローバー!
できれば人数分──は無理なので、男女で分けられるように2つくらいずつ……
そんなにあるかな〜俺、運ねぇからな〜!
あたりをつけて探してみるか!
あと気合いも振るいつつ
あのわさわさした辺りありそう
地味にこつこつ
探したところは物を置いて目印つけて
北へ南へ、東へ西へ
ん〜〜疲れた!
んっ?あった!
やったー!いっこみっーーけ!
……んん、まあ1つでいっか
こんだけありゃ、他のやつも見つけられるだろ
無くさないようにハンカチに挟んでっと…
アドリブ、絡み歓迎
●幸せの続き
――きゃっきゃっと喜び遊ぶ兄妹を、瞳潤ませ見守る男がひとり。
「よかったよかった! 見つかってよかったな〜」
ぐすっ。ハンカチを握り締めたアシエトの零す声は、明らかな涙声。近くを通りかかる仲間たちのあたたかな眼差しには、
「泣いでない(ずびーっ)」
……少々説得力には欠けたけれど。
けれど次の瞬間、濡れた瞳に眩しい春陽のもと、からりとその顔は笑ったから――そういうことにしておこう。
「んじゃまあ、俺も探していくか、四つ葉のクローバー!」
思い浮かぶのはいくつかの顔。できれば人数分──は無理か、せめて男女で二つくらいずつ……と指折りながら、
「そんなにあるかな〜俺、運ねぇからな〜!」
フラグを立てに行きつつも、青年はせっせと若草を検分していく。あっあのわさわさした辺りありそう、なんて当たりをつけつつ、丹念に、地道に。
広い野原に、目印の荷物が点々と散らばっていく。北へ南へ、東へ西へ――、
「ん〜〜疲れた! 見つかんねえ〜!」
ぼふっ、と緑の絨毯に倒れ込み、しばしばする目を閉じる。そしてゆっくり開いたそこに、
「……、……んん? ……あっ、あった! やったー! いっこみ――っけ!」
がばりと起き上がる。風に揺らぐちいさな幸運が、仲間に紛れてしまわないうちに――そっとハンカチで包み取る。
このひとつでもいいだろう、と思いは自然に心に満ちた。ささやかな幸せもきっと、誰かと分けあえる。
「……こんだけありゃ、他のやつも見つけられるよな」
そうだといい。立ち上がり見渡す野に、幸せを探す仲間を見出して、アシエトはふやり、柔い笑みを零した。
大成功
🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
わー、お花がたくさん!
素敵な場所で約束が果たせて嬉しいな
それはお互いの手料理を持ち寄る約束
バスケットから取り出したのは
マッシュドポテト(液体と固形の中間なふわふわ食感、自信作!)
いちごジャムのサンド(お店の看板商品使用)
と、
珈琲(実はインスタント)
スパークリングティー(林檎の紅茶×炭酸、ノンシロップ)
さ、どうぞ
想像通りどれもハイレベル!
まずはマリネから
いただきますっ
んんー、さっぱりして美味しい!
ビシソワーズはすごくまろやかだね
あ、野菜が甘く感じる……私このキッシュが一番好きかも
メロンも遠慮なく貰おう
えへへ……お口に合うかな?
ヨハンシェフ、ご馳走様
またいつか作ってほしいな
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
快晴と風は心地よく
約束を果たすには好い日となりましたね
簡単に二・三品、とのことで
じゃがいものビシソワーズ
サーモンとオレンジのマリネ
ほうれん草とベーコンのキッシュ
どれも少な目で軽く摘まめる程度に
あとは一口サイズに切ったメロンを
どうぞ召し上がれ
俺もいただきます
自信作とやらに手を伸ばし
美味しい、ですね
意外……とはさすがに口に出しませんが
ジャムもさすがにジャム屋なだけはある
スパークリングティーは不思議なもので、なるほどと
食後には珈琲を……、
そちらの世界の珈琲は不思議な味がしますね……まぁいいか
満たされたのは胃袋だけでもなく
そうですね、またお互いに
こういう一日を過ごしましょう
「わー、お花がたくさん……!」
あどけない春の花たちに囲まれて、オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)は軽やかにくるり、足を躍らせる。藍色の瞳を長閑な景色に染めたヨハン・グレイン(闇揺・f05367)も、いつもの影色の佇まいがすこし和らいだよう。
「ええ、約束を果たすには好い日となりましたね」
「うん、素敵な場所で約束が果たせて嬉しいな」
そう、ここで叶うのは――互いの手料理を持ち寄るという約束。目配せをひとつ、広げたクロスに、二人は魔法のように料理を並べていく。
簡単なもので二、三品、と言いながら、
「わあ、想像どおりどれもハイレベル! まずはマリネからいただきます……んんー、さっぱりして美味しい!」
さっそくオルハの頬を落としそうになったのは、ヨハンシェフ謹製、サーモンとオレンジのマリネ。やわらかい酸味を受け止めた口を、まろやかなじゃがいものビシソワーズが優しく癒して。
「俺もいただきます。……ああ、これは……美味しい、ですね」
自信作! と差し出されたマッシュドポテトの絶妙なしっとり感、ふわふわ感に、軽く目を瞠るヨハン。――意外、とは流石に口には出さない。代わりに、
「このジャムも、ジャム屋なだけはあります。……これは林檎の紅茶に、炭酸……ですか? 不思議なものですね。なるほど」
「えへへ……お口に合ったかな?」
止まらない手がそれを告げる。よかったと胸を撫で下ろしたオルハは、
「そちらの世界の珈琲は不思議な味がしますね……まあいいか」
首を傾げたヨハンにこっそり、ぎくり。――実はインスタントだったりする。けれど慌ててつついた次の一口が、また瞳を輝かせて。
「あ、野菜が甘く感じる……私このキッシュが一番好きかも」
ほうれん草とベーコンのキッシュは定番ながら、作り手の腕を思わせる味わい。最後のメロンまでしっかり味わって、お腹も心も満ち足りたなら、ふふ、と笑みが唇を割る。
おいしいものは幸せだ。微かに甘く清しい春の景色の中で、大切な人――お互いもそう感じているとは思いもしていないけれど――と一緒に味わえるのなら、なおのこと。
ふるりと尻尾を風に揺らして、オルハはにっこり笑う。
「ヨハンシェフ、ご馳走様。またいつか作って欲しいな」
ひだまりのような笑顔に眩しげに瞳を細めて、ふわり、浅い笑みを浮かべたヨハンも感じている。満たされたのは胃袋だけではないことを。
「――そうですね。またお互いに、こういう一日を過ごしましょう」
それは次の、心満たされる約束になる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
都槻・綾
f01982/咲さん
瑞々しい野の息吹と豊かな土の香りの元
春の草葉を愛でよう
えぇ
幸福で素敵な締め括りに違いありません
嬉しそうな横顔を眺めるのも
幸せの一つだとは胸の裡の秘密
のんびりと白詰草を掻き分けた先
二人の指が触れるところに四つ葉を発見
たおやかながら空を見上げる芯の強さに
咲さんを重ね見て
ただ微笑んで葉を撫でる
はい
摘まずにおきましょう
願い事も、言霊として口に乗せれば叶うものです
穏やかな陽気もゆったり流れる時間も心地良く
眠たげに揺らぐ身は
普段が夜型の所為もあるだろう
いっそ地に眠ろうかと傾いだところで
優しき申し出へとふくふく笑み
有難く拝借
瞬く間に眠りに落ちた夢の中
霄に架かる虹の橋を
二人で渉る幸いを見る
雨糸・咲
綾さん/f01786
のびのび咲く野の花に目を奪われながら
屈んで四つ葉探し
あんなに勇敢で優しいお兄さんとお姉さんがいたら
生まれてくる赤ちゃんもきっといい子になりますね
兄妹の冒険物語はきっと幸せな結末
…あ、
白い花の足元を掻き分け見つけた、幸福の四つ葉
とても小さくて、それでもしゃんと上を向いていたから
摘まずにそっと指先で撫でて
…持って帰らなくても、お願いきいてくれるでしょうか?
いい風が吹く、ぽかぽか陽気のいい野原
眠たげな様子の綾さんに笑って
少し休みますか?
良かったら、膝お貸ししますよ
気持ち良さそうに眠るひとの前髪を軽く梳き
小さな四つ葉のあった辺りを見る
ねぇ、叶うなら
彼にとびきり幸せな夢を見せて
踏み入れば香り立つのは大地――そしてその上に緑を敷き詰める、かぐわしい野の息吹。
四つ葉を探す咲のまなざしは、そちらこちらに綻ぶ野の花に掬われがちになるけれど。地に伏せた狭い視界に綾の指先が過れば、笑み綻んで。
あんなに勇敢で優しい兄と姉が待っているのなら、生まれてくる子もきっといい子に育つだろう。その成長を兆すように咲くタンポポをひとつ指先でつついて、
「あの子たちが家に辿り着いたら、ふたりの冒険物語はおしまい。きっと幸せな結末を迎えますよね」
「えぇ、幸福で素敵な締め括りに違いありません」
その嬉しそうな横顔を眺めることも、幸せのひとつだと。綾は胸に秘めたまま、瑞々しい葉をゆるりと掻き分ける。
「……あ」
ふたりの指先が、ほぼ同時――幸せの印を見出したのは、やっと綻んだ小さなシロツメクサの花の根本。やはり小さな四つの葉の、しゃんと空へと伸ばす背に、咲は支えるように触れてみる。
やわらかに駆けゆく春風に、容易く揺らぐしなやかさ。それでもまっすぐ空を仰ぐ芯の強さに、花ひらくことを名に持つ人を重ね見て、綾はその葉を慈しんだ。
「……持って帰らなくても、お願いきいてくれるでしょうか?」
健気な命に気後れがして。懇願にも似た咲の問いに、香炉のヤドリガミはふと笑う。
「はい、摘まずにおきましょう」
願い事も音に紡げば叶うもの。柔く笑んで答えた人は、夜に揺蕩う身ゆえか、春の気と抱く想いにあてられたのか、眠たげな瞬きで身を揺らす。そんな様子にくすり笑って、
「少し休みますか? 良かったら、膝お貸ししますよ」
「それでは有難く」
譲り渡したあたたかな膝を枕として、綾の意識はたちまち安堵に沈んでいく。ひとり落ちゆく夢の先には淡く烟る青空と、
(「ねぇ、叶うなら……彼にとびきり幸せな夢を見せて」)
そっと前髪を梳いて、ひそやかにそう、自分に願ってくれた人。虹の橋にふたり、歩みを並べはするけれど。
――まだそれは春のように淡く、互いの心の知らぬこと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
タンケイ(f08051)と行動
【WIZ】お弁当を広げてランチ
「タンケイ、ダイア、お疲れ様でした」
二人の雄姿は頼もしかったです
言いながら水筒からお茶を注いでタンケイに
ダイアにはクーラーボックスから生肉です
この体躯ならとたっぷり持ってきました
実は重かったです
タンケイのお弁当に舌鼓
「以前頂いたお料理もおいしかったですが今日のサンドイッチも素晴らしいです」
もぐもぐと綺麗に平らげつつ賛辞を惜しみません
そして、この美しい野原と風景を眺めながらというのが素敵です
小さな勇者たちも無事のようですし本当に良かった
「タンケイ、白詰草の花冠を作りませんか?」
お互い作って交換しましょう
もちろんダイアの分もですよ
タンケイ・オスマンサス
マリスさん(f03202)と連携
【WIZ】
「マリスさんもお疲れ様です!弓を射るお姿、とってもかっこよかったですっ」
さてさてやっとランチタイムです。
腕によりをかけて【料理】してきたお弁当を広げ、マリスさんに振る舞います。
他の猟兵さんでも、お腹を空かせている人がいれば一緒にお誘いして
今日はサンドイッチを沢山作ってきたんです。BLTサンドにたまごサンド、ツナサンドにフルーツサンド…綺麗な自然の中でお友達と食べるご飯は最高ですね!
「わ!ダイアの分まで?ありがとうございます!」
生肉を貰ったダイアはいつもよりご機嫌な様子でかぶり付きます
マリスさんの提案には喜んで乗って
夢中で花冠を作ります
「さてさて、やっとランチタイムです!」
「ええ。タンケイ、ダイア、お疲れ様でした」
「マリスさんもお疲れ様です! 弓を射る姿、とってもかっこよかったですっ」
緑の絨毯に腰を下ろしたマリスとタンケイの間に、ダイアウルフがぐいと割り込んでくる。戦場の猛々しさとは真逆の懐っこさに、思わずふふっと笑う。
喉をすうっと駆け抜けていく冷たさが心地好い。マリスのお茶で疲れを癒したら――タンケイが広げたのは、腕によりをかけて作ったお弁当。
「今日はサンドイッチを沢山作ってきたんです。どうぞ召し上がれ!」
ベーコンたっぷりのBLTサンドに、お陽さまの光をたっぷり挟んだようなたまごサンド、味付け巧みなツナサンドにさっぱりとしたフルーツサンド。その自信に偽りなしの味に、マリスはもぐもぐ、綺麗に平らげていく。
「以前頂いたお料理もおいしかったですが、今日のサンドイッチも素晴らしいです。特にこのベーコンのカリカリ具合……たまらないですね」
「ふふ、お口に合ってよかったです! 綺麗な自然の中で、お友達と食べるご飯は最高ですね!」
「友達というのでしたら、ダイアもでしょう? さあ、あなたもどうぞ」
「わあ、大きなお肉! ダイアの分までありがとうございます!」
ずっしりと目方のある生肉の塊に、タンケイが目を瞠る。機嫌よくかぶりつくダイアウルフを見れば、重い肉を運び来た道中の労苦も報われるというものだ。
彼方にきゃらきゃらと小さな勇者たちの笑い声が躍る、美しい野原。そこに友達と共に在る。そんな一日が眩しくて細めたマリスの瞳に、星が笑った。
「タンケイ、シロツメクサの花冠を作りませんか?」
「わあ、素敵ですね! はい、ぜひ作りましょう!」
「ええ、お互いに作って交換しましょう」
忘れるな、と身を擦り寄せるダイアウルフに、勿論あなたの分も、と笑う。やがて出来上がった白花の冠は、金木犀の花を戴く娘にも、光紡いだような金色の髪の娘にも――純白の毛並みの狼にも、とても似合った。
春の陽と風のにおいがあたたかな絆を結ぶ場所で、娘たちの春の日は穏やかに過ぎていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴェイゼル・ベルマン
兄妹の冒険は上手くいったか
良かった良かった
陽射しも風も気持ちいいな
無邪気に野原を飛び回りつつ、クローバーに視線を送る相棒(焔々)を見て
焔々は四つ葉探しでもするのかね
さーてと、そんじゃ俺は昼寝でもすっか
ごろんと野原に寝転んだ所で、焔々にマントを引っ張られ
……もしかして、四つ葉探しを手伝えって?
ギャワ!と相棒がひと鳴き
しょうがねぇなぁ、と渋々起き上がり
何となく、こっちにある気がするぜ
焔々と一緒に勘を頼りに探し
無ぇなぁ……そっちはどうだ?
焔々も辺りをキョロキョロ
確かにこれは根気が大事だな
っと、そうだ
四つ葉を見つけたら、加工して焔々用の首飾りにしてやるよ
だから諦めるなよ、と焔々の頭にぽんっと手を置いて
冴島・類
めでたしめでたし、と
聞こえた歓声に頰が緩む
ああ
良いものを見た役得だ
さてはて
もう十二分に満足したんで
あの2人の帰路を 見守れたらと思うんですが
不要なら
相棒を普段しまっている箱に入れる前に座らせ
四葉ではなく
クローバーの白花を…
一輪だけ瓜江の頭に差し
今日もお疲れ様とありがとう
僕もその側で寝転がり
沢山の猟兵さん達が楽しんでる声や
笑顔眺め楽しみ
日向ぼっこできれば
トトリ君も大丈夫そなら
日向ぼっこどうかな?
沢山芽生えて、良い、場所ですね
連れて行くだけじゃないですよ
幸せに変えれるよに送ってくれた君も
この日を楽しんでほしいから
でも、他にどなたかいれば邪魔せず
鳥と語り遊びます
後は…カラスが鳴く前に
みんなでお帰りね
フェレス・エルラーブンダ
トトリに戦果を伝えに
揺れるたてがみ
赤いくちばし
なないろを携えた後ろ姿へ
おい
おまえだ
おい!
あ、……ち、ちがう
相手の反応に自分の語調が強かったことを知る
なんとか敵意がないことを伝えたくて
命とたべものの次に大切な
身を守る為の刃を全て落として見せ乍ら
だ……、
……だれかの為に戦う、意味
まだ、わからない
青いそらも、陽のひかりも、こわい
おまえがここをいい野原だといったのは
あのきょうだいが、ニンゲンたちが
あたりまえのように笑える場所だからなのかと
……そう、思えた
夢も、希望も
幸福の意味もわからない
けれど、守ることは出来たから
ただ、伝えたかっただけだ
だから……、
『ありがとう』と
その先を紡ぐ勇気はまだ、持てなかった
「兄妹の冒険は上手くいったか。良かった良かった」
刀傷の残る顔を気のいい笑みで満たし、ヴェイゼルは大きな体を満足げに伸ばした。
やわらかな陽射しも風も、戦熱にどこか強張った体を気持ちよく解いてくれる。翼に受けて無邪気にはしゃぎ、広い野原を楽しそうに飛び回る相棒に破顔して、
「ははっ、焔々は四つ葉探しでもするのかね。さーてと、そんじゃ俺は……」
ごろん、と四肢を投げ出せば、匂い立つ若草の香り。清々しい気配に包まれて目を閉じる――暇もなく、
「ん……? なんだよ焔々」
マントに噛みつき、文句言いたげにぐいぐいと引っ張る小さな竜につい、顔を顰める。
「……もしかして、四つ葉探しを手伝えって?」
「ギャワ!」
意を得たりと満足げな顔を見れば、苦笑いで起き上がるしかない。勘を頼りに緑を浚い、目を凝らす。
「無ぇなぁ……そっちはどうだ?」
「ギャウ……」
きょろきょろと見渡す相棒の翼も、心なしかしょんぼり下がる。見つけたら幸せが――と言うだけはある。簡単には手に入らないものなのだ。
「ほら、元気出せよ。あの子らも言ってたろ、根気が大事だって」
確かになと向き直り、真剣な眼差しを丹念に地を這わせ。傍らに戻った小竜の頭に手を置いて、青年は笑う。
「諦めるなよ。っと、そうだ。見つけたら、加工して首飾りにしてやるよ」
「ギャギャッ!」
俄かに元気を取り戻したその瞳が、一点を見つめてきらりと輝く。
「ん? どうした……あ」
幸運の印を目にして、にっと上げた口角はふたり、よく似ていた。
「おや、こちらもめでたし――めでたし、ですね」
あの子らも、貴方たちも。柔く綻んだ類の祝福に、焔々はくるりと瓜江をひと巡り――器用に咥えた四つ葉を自慢してみせる。
「ありがとな」
「こちらこそ。良いものを見せていただいて、役得ですよ」
さて、と若緑の眼差しが彼方を見遣る。転がるように駆けては遊ぶ子供たちは、まだ帰路に就く気配はない。物語の結びを見守るのには少し早いというのなら、
「さあ、ここへ――瓜江」
担いできた人形箱を椅子代わりに、黒装束の絡繰人形を座らせる。心なき筈の人形も、心なしか訝る風情。ふと微笑んで、仮面のきわに一輪、シロツメクサの花を贈る。
「今日もお疲れ様。……ありがとう」
告げれば相棒の気配もふわりと和らいだようで、笑う。心なきものに宿る心の欠片を、誰よりも知っている類だ。
人形の傍らに寝転がれば、身に落ちる熱が柔らかく心地好い。風の運び来る声は子供たちのものに限らず、共に戦った仲間たちのそれも混ざって――時折目の前を駆け抜けていく焔々の翼が喚ぶ風に、自分も笑い声を立てたりもして。そんなことが、ひどく楽しい。
「トトリ君も、日向ぼっこどうかな?」
「! ……類の、となり、いい?」
控えめな様子にどうぞと微笑めば、おずおずと腰を下ろすシャーマンズゴースト。沢山芽生えて良い場所だ、と呟けば、表情は変わらずとも気配が綻んでいた。
「連れて行くだけじゃないですよ」
「?」
「君は、幸せに変えれるように送ってくれました。だから、君にもこの日を楽しんでほしいんです」
ぱちりと瞬き、ありがとう、と一言。零した声がひっそりと笑う。そうして笑み交わしたふたりの向こうに、おい、とつっけんどんな声。
「おまえだ。――おい!」
目の前に回り込んだ小柄な姿に、びくりと身を震わすトトリ。あ、と後悔の色がフードから零れて、ちがう……と戸惑った呟きと共に、フェレスは瞳を見せた。顔を見合わせる二人の前で、ぱらぱらと――身に帯びる無数の武器を、地に落としてみせる。
それは、フェレスにとっては身を守る鎧で。命と食糧の次に大切なもの。
「だ……、……だれかの為に戦う、意味、まだ、わからない」
前置きもなく語り出す言葉に、トトリはゆっくり瞬いた。その眼差しに何を思われているかは読めなくて、フェレスは必死に言葉を紡ぐ。
青い空も陽の光も、怖いままで。夢も希望も、幸福の意味も分からなくて。それでも、トトリがここをいい野原だと言ったのは、あの兄妹が――人間たちが当然のように笑える場所だからなのかと、それだけは感じることができたのだと。
うん、とトトリは頷いた。
「ごめん、トトリも、話すの、うまくない……から。でも、わかって、頑張って、くれた。頼んで、よかった。……ありがと、フェレス」
言おうと思った言葉は言えなくて、言われてしまった。それでも、フェレスは歯を食いしばって。なけなしの勇気を振り絞って、告げる。
「守ることは……出来たから。ただ、伝えたかっただけだ」
うん、とトトリは柔く頷いて。隣の類も、穏やかに微笑んだ。
感謝を紡ぐ勇気にはまだ、届かないけれど――このひとときがきっと、近づくための一歩になる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コノハ・ライゼ
たぬちゃん(f03797)と
ん、折角四つ葉を見付けたんだから
帰った後も沢山良いコトがあるとイイね
小さな冒険者のその後を想い、座って機嫌よく空見上げ
うん?オレはいいや
行ってくればイイのに、とは何となく保護者的目線で
隣に座るたぬちゃんに首傾げつつ
シロツメクサを摘んではくるくると花冠編みだす
こんなにイイ天気に綺麗な色
オレには贅沢過ぎる幸せだし、それに……
花と共に四つ葉が差し出されるとおやと瞬いて
アリガト、と編んでる輪に追加する
どう、可愛く出来たデショ
完成した花冠は小さめだけど隣の男の頭上へ
アンタが幸せ運んで来てくれたら
それでいいンじゃナイの
もっとも待ってるつもりは無いけれど
ホラ、アンタのがお似合いだ
火狸・さつま
コノf03130と
ね、ね、コノちゃん
二人、無事、見つけて帰れたみたい、で、良かった、ね
ずっとずっと二人を気に掛けてたコノちゃんに
にこにこ笑顔向け
折角、だから…探して、みる?と首傾げ
そ?
何か離れ難くて
隣へオスワリ
…でも、ここらへんにも、ある気がする
そんな野生の勘
じっと見つめ…第六感+視力+見切り!
あ!
コノ、あった、よ!
シロツメクサと共に
あげるっ!と差し出す
コノに、さまざまな、幸せ、おとずれると、良い、な。なんて思いつつ
可愛い、ね。コノ、器用。
え?!俺、に、くれる…、の?
おめめぱちくり
四葉はと聞く前に
中々な大役を貰っちゃって
そか、俺、コノちゃんの四葉、なれる、かな?
なんて
花冠、ありがと。と笑顔返す
コノちゃん、と。いつもは少し眠たげで、戦いには険を増したさつまの声は、取り戻した幼い情緒に和らいで――少しだけ昂揚していた。
「二人、無事、見つけたみたい、で、良かった、ね」
勿論自分も嬉しいけれど――ずっとずっと、コノハが二人を気に掛けていたと知っているから。にこにこと綻ぶ顔に、ん、と短く答えたコノハの眼差しも心なしか、明るい。
「折角四つ葉を見つけたんだから、帰った後も沢山良いコトがあるとイイね」
春空の青はまだ少し淡くて、吹く風に浄められてきらきらと輝くようだ。座り込み、機嫌よく見上げるコノハを覗き込んで、
「折角、だから……探して、みる?」
傾げる首で誘いかけるものは、もちろん幸せの印。けれど、
「うん? オレはいいや」
「……そ?」
さらりと笑う人から離れ難くて、つい隣に膝を抱えるさつま。大きな掌は未練たっぷりに、ここらへんにもある気がする、と緑を辿っている。
行ってくればイイのに、と傾げるコノハの眼差しはまるで保護者のようだ。傍らに咲くシロツメクサを摘んでは、長い指先で戯れにくるくると。それはあっという間に、幸せな白の円環をなしたけれど。呟く言葉は、幸いには少し――遠い。
こんなにイイ天気に綺麗な色。あの小さな子らの物語にはぴったりの彩りでも、
「オレには贅沢過ぎる幸せだし、それに……」
「あ! コノ、あった、よ! あげるっ!」
遮る声に目を瞠るうちに、白の一輪とともに差し出される四つ葉。
(「――コノに、さまざまな、幸せ、おとずれると、良い、な」)
口ほどに語るさつまの眼差しに、ふふ、と笑って伸ばした腕が、白の花輪をひとつ、狐耳の間に追加する。
「え!? 俺、に、くれる……、の?」
「どう、可愛く出来たデショ。ホラ、アンタのがお似合いだ」
差し出したままの幸せの印へ、手が伸びる気配はない。それを問う暇も与えず、コノハはにやと笑う。
「アンタが幸せ運んで来てくれたら、それでいいンじゃナイの」
待ってるつもりは無いけれどと、揶揄い笑って。それだけのことが、さつまの胸を温める。
自分がコノハの幸せの四つ葉になれるだろうか。わからないけれど、望まれるならそうしたい――そう在りたい。だから、
「花冠、ありがと」
今は笑顔だけを。それだけで、小さな幸いがひらり、コノハの胸に訪れるのだと信じて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティモール・アングルナージュ
トトリと遊ぶよー!
トトリー!予知とか転送有難うっ
小さな勇者も幸せの四葉無事ゲットできて、本当によかったぁっ
なんかそれだけでも、もうボク幸せな気持ちー!
でも折角だから、ボクもしあわせを探すよ!
トトリ、一緒にさがそ!(きゃっきゃ
あ、つくし!天ぷらとか佃煮にしたら美味しいんだよー(つくし摘み
トトリにも、つくし料理お裾分けするねっ
って、四葉、ないなぁ…
ちょっと休憩で、ごろんって野原に横になってみたら
あ!トトリ、幸せの四葉みつけたよー!(きゃっきゃ
トトリ、本当にここ、いい野原、だね!
見て、みーんな幸せそうっ
ぽかぽか陽気の下、もう一回寝転がってみたら、すっごく気持ち良くて
すやすや…いつの間にか寝ちゃうかも
ユキ・スノーバー
じぃじ(f05393)とのんびりターイムっ
見届け完了嬉しいなっ♪ぼく達もゆったり春の息吹を堪能しようね。
編むの得意なんだよーって、シロツメクサで首飾りを作って、カッコ良かったで賞をじぃじにプレゼント。
じぃじは何作ってるの?(じーと見)…鳥さんだー!
くれるの?どうしよ、どうやって保管しようっ(横にゆらゆら揺れつつ)ありがとありがとーっ!
後は、四つ葉のクローバー見つかったら、記念に栞にしたいなって考えてるんだーっ。
…お裾分け出来たら、幸せの輪が広がりそうだよねってそわそわしながら探すよ
ご一緒の機会が多かったティモールさんに
声かけても大丈夫なら、お疲れ様なんだよーってシロツメクサの腕輪を渡したいなっ
カーニンヒェン・ボーゲン
ユキどの(f06201)に裾を引かれ、すたこらさっさ。
ユキどのや、気さくな紳士のシャーマンスゴーストどのと野原を守りきれて、ジジイめ自身も良い日でした。
春の陽光溢れる草原と元気なユキどの、双方が眩しいですな。
はい。春を堪能致しましょう。
本当にお上手ですね。
…ジジイめに、ですか?
(照れ臭さと嬉しさではにかみ、受け取る際には身を屈めて頭を下げます)
光栄に御座います。
野原は稲科の草葉もあるでしょうか?
あればお礼に、小鳥の形に編んでプレゼントします。
幾つなりともお作りしますよ。
四つ葉探しは覗き込むように膝をついて。
もし見つかれば願掛けをして小川に浮かべたいです。
勇者方の、帰路も穏やかでありますように。
「トトリー!」
ぶんぶんと手を振り駆けてくる元気なティモールに、トトリの気配が和らいだ。
「小さな勇者も幸せの四つ葉無事ゲットできて、本当によかったぁっ」
それだけで幸せな気持ちだとはしゃぐ年下のシャーマンズゴーストの言葉には、鮮やかな出で立ちとは異なって、装う気配はひとつもない。微かに目を細め、ありがと、ティモ、と礼を告げる。
「でもでも、折角だから、ボクもしあわせを探すよ! トトリ、一緒にさがそ!」
きゃっきゃとはしゃぐティモールは、いつだって追い風のようだ。気がつけば吹かれたトトリも、四つ葉探しに熱中していて、
「あ、つくし! 天ぷらとか佃煮にしたら美味しいんだよー」
「ティモ、四つ葉、は……」
「トトリにも、つくし料理お裾分けするねっ! あ、こっちはすみれー! かわいいねー!」
元気、素敵、無敵にマイペース。そんなティモールに巻き込まれるのはいつも楽しい。寄り道に回り道、春の野原は誘惑も多くて、幸せはなかなか見つからなくても。
ちょっとだけ休憩、とごろり横になったそのとき――あーっ、と喜色を含んだ声が響き渡る。
「みつけた! 幸せの四つ葉みつけたよー!」
「わ……すごい。幸せの方が、来てくれた……みたい」
きゃっきゃと笑うその手には、幸せの印。よかったね、と胸撫でおろす友達に、ねえねえっ、とティモールは笑いかける。
「トトリ、本当にここ、いい野原、だね! 見て、みーんな幸せそうっ」
四つ葉を見つけた笑顔が、あちらこちらで咲いていて。――幸せを呼び込むよりも、見つけたことが、皆を幸せにしてくれるようで。
満足して転がりなおす背にぽかぽかと、緑の絨毯と大地は不思議と暖かい。春の温もりに誘われるまま、うとうとしかける二人のもとへ、
「ティモールさん! お疲れ様なんだよー!」
「わっ、ユキ! 有難うっ、ユキもお疲れさまー!」
ぴょこんと顔を出したのはユキ。ティモールの腕にシロツメクサの腕輪をぽーいと上手に引っ掛けて、ぴょこぴょこと駆けていく。
「見届け完了嬉しいなっ♪ ぼく達もゆったりのんびり、春の息吹を堪能しようね、じぃじ!」
「はい。春を堪能致しましょう」
裾引かれるまますたこらさっさ――草原をユキと一緒に駆けるカーニンヒェンは、目を細めた。
戦ぐ緑にちらほらと光放って咲くものは、宝石のような野花たち。けれどいつだって全力で一生懸命なユキも、彼には眩しい。
シロツメクサが咲き誇る一帯にすとんと座り、ユキはするすると器用に花輪を編んでいく。極寒の地で育ったユキではあるけれど、花編みは得意なんだと示す手並みに、本当にお上手だと賛辞を送れば、
「はいっ、じぃじにカッコ良かったで賞をプレゼントーっ!」
ティモールに贈ったそれより少し大きいそれを、かがんでかがんでーっ、とぱたぱた頭上に掲げるユキ。
「……ジジイめに、ですか? ――ふふ、それはそれは、光栄に御座います」
はにかんだ恭しく身を屈め、帽子を取って。王様のそれよりももっと価値ある冠を頭の上に頂いたなら、カーニンヒェンもお返しを。
「じぃじは何を作ってるの? まってまって、当てるからっ」
痩せた手が稲に似た草で器用に編み上げていく、そのかたちは、
「……あーっ、わかった、鳥さんだー!」
「おや、当てられてしまいましたな。幾つなりともお作りしますよ」
「くれるの? ありがとありがとーっ!」
どうやって保管しようと悩みながらも、跳ねる気持ちはぴょんぴょんぴょんと、ユキの小さな体に現れる。
「よーし、じぃじ、四つ葉のクローバーも探そう! 記念に栞にしたいんだよっ」
たくさん見つけてお裾分けができたなら、きっと幸せの輪が広がりそうだから。お供しましょうと頷いて、ふたりは四つ葉を探し始める。
「……では、これもお裾分けと致しましょうか」
見つけたひとひらをそっと小川のさやかな流れに預けて、カーニンヒェンは祈りを捧げる。――どうかかの勇者たちの帰路も、穏やかなものでありますように。
「ユキどのや。気さくな紳士のシャーマンズゴーストどのと野原を守りきれて、ジジイめ自身も良い日でした」
「うんっ、ぼくもー! じぃじや皆と一緒に戦えて、よかったんだよーっ」
幸せな笑顔がふたつ、川面に跳ねた光を受けて、きらきらと輝いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イア・エエングラ
ふうた(f09635)と
やあ、そうね見つけられたの良かったね
家族にはとびっきりのお守りがあるもの
勿論と笑っていらえたら
しあわせ、探すなら、ふうたの分もなくては、ね
だから、ほしいまま、一緒に探そう
あの子らのよに真直ぐな、ふうたの眸に頷いて
ひとつふたつと花に遊んで宝探し
真剣な願いを届けたくて探してみてもなかなか
そうな、あの子らはうんと頑張ったのね
一生懸命ないまの、あなたとおんなじに
難しいと座り込む先、咲う視線に傾げたら
――ああ、僕の見落とした幸せだって
あなたの見つけてくれたのね
確かに満ちる心地をあなたにもきっと差し出したくて
ふたり、いるのだもの
こんなに暖かな原っぱだから
きっときっと、見つかるかしら
糸縒・ふうた
■イア(f01543)と
よかった
あの子たち、自分の手で幸せを見つけられたんだね
きっと、大丈夫
あの子たちはこれからも家族みんなで、幸せになっていく
ね、イア
君もそう思わない?
次はオレたちが幸せを見つける番
ひとつ、ふたつ――欲を言えば、みっつ
君の分と、彼の分と、そして、おれの分
みっつを見つけるのはきっと大変だろう
でも、自分の手で幸せを見つけたいから
だから、ね、イア
君も手伝って
風戦ぐ緑の絨毯に這って
あれでもない、これでもない
めげそうな気持ちに、あの子たちはすごいやと
肩を並べた君の手元
其が持つ葉っぱはいち、にぃ、――よっつ!
四つ葉、だ!
うん、うん!
諦めなければきっと、望んだ分だけ手に出来るはずだよね!
「よかった。あの子たち、自分の手で幸せを見つけられたんだね」
きっと大丈夫、とふうたは笑う。――それを叶えたあの子たちなら、これからだって、家族みんなで幸せになっていく筈。
「ね、イア」
君もそう思わない? 綻ぶ眼差しに、イアもゆるりと相好を崩す。
「やあ、そうね。見つけられたの、良かったね」
輝石のような瞳に、幸いが零れる。とびきりのお守りふたつ、きっとこれからも彼らを守ってくれるだろう。
「次はオレたちが幸せを見つける番! ね、イア、君も手伝って」
勿論と声が笑う。ふたり並んで、地に編まれた緑の上に真剣な眼差しを這わせてゆく。青い香りを運ぶ風に擽られ、数える声は、いち、に、さん……を繰り返した。
ふうたの心が希むのは、三つ。
(「君の分と、彼の分と、そして、おれの分」)
自分の分だけじゃない、大切な人の分まで――あの子たちのように。欲張りかもしれないけれどと囁く心に、
「しあわせ、探すなら、ふうたの分もなくては、ね」
だからほしいまま、一緒に探そう。言い当てたように隣でそう歌うから、嬉しくなって、ぴんと上向く狼の耳。けれど真剣な眼差しに、イアはまた眼差しを伏せる。
綻ぶ白花に遊ぶ宝探しは、なかなか易いことではなくて。見慣れてしまえば零しそうで瞠る眼は、それでもなかなか辿り着けない。
「うーん……あれでもない、これでもない」
めげそうになる度に、ふうたは小さな兄妹の眼差しを思い出す。紅葉のような小さな手で緑を浚って、たからものを探り当てた。
「本当に、あの子たちはすごいや」
「そうな、うんと頑張ったのね。一生懸命ないまの、あなたとおんなじに」
「おんなじ、かな? ……うん、やっぱりもうちょっと頑張らなくちゃ――あっ」
緑の絨毯の上、ひとやすみ、と座ったイアの指先に。きらりと輝いた瞳が射たのは、いち、にぃ、さん――よっつ、
「四つ葉だ!」
やったあ、と朗らかな歓声が空を衝く。いちど巡ったはずの眼差しが見落としたらしい幸せを、
(「――ああ、あなたが見つけてくれたのね」)
幸いと共に心まで掬われたようで。満ちる心地を同じだけ、少年にも贈りたくて、イアは微笑む。――さ、あと、いくつ?
「ふたり、いるのだもの。こんなに暖かな原っぱだから、きっときっと、見つかるかあしら」
「うん、うん! 諦めなければきっと、望んだ分だけ手に出来るはずだよね!」
求める幸いはあとふたつ。指先ふたつ並べたら、届くはず。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルバ・アルフライラ
子等は去ったか…うむ、善きかな
四つ葉の加護が、彼の兄妹へも降り注がん事を願う
ふふん、この位容易であろう?
――さてさて、折角来たのだ
ただ帰るのも勿体ない故
花のひとつやふたつ、愛でようと文句は言われまい
鮮やかに咲く花々の力強さは、我が心の糧にもなる
留守を預かる従者の好みそうな青い花があれば、摘んで帰るとしよう
幸せの野原を散策する最中、ふと思い立てば四つ葉探し
やれ、斯様な迷信を信ずる師を見て彼奴はどう思うか
…きっと純真な子等に当てられたのだ、そう思う事にしよう
鮮やかさを損なわぬよう、紙に挟んでそっと本に封じる…そうさな、これは栞にでも使うとするか
穏やかなひととにき思いを馳せ
…次は、従者も誘ってやるか
「……うむ、善きかな」
野を駆け遊ぶ子らの姿は未だ、彼方に。充足の笑みを浮かべて、アルバは足許の緑葉に語り掛ける。
「四つ葉の加護が、彼の兄妹へ降り注がんことを。……ふふん、この位容易であろう?」
風に遊ばれた白花が揺れていらえたら、さてさてと。勇者の道程を折角ここまで辿り来たのだから、ただ帰るのも惜しまれる。踏み出す足は野をとらえ、穏やかな春の散歩に愛しきものを探す。
ささやかに自生する花々は、灯りを咲かせているかのよう。ひとつやふたつ愛でようと、文句を言うものなどここにはいない。
「あれの好みそうなものは、どれであろうな」
深き夜の女王のような藍色のスミレ、可憐なレースを思わせる水色の勿忘草。探し見れば存外に多い彩りに、色を咲かせる力強さを感じれば、つい目を細めずにはいられない。生の気に満ちみちた野のさまに糧を得て、心が咲き笑う。
そうして辿る散歩路に、幸せの印を探す自身に気づき、ふと笑う。
「やれ、斯様な迷信を信ずる師を見て彼奴はどう思うか」
さりとて悪い心地ではない。きっと、あの純真な子どもたちに中てられてしまったのだろう。――素直さは何よりも強い。
紡いだ冗句にからり笑って、宝石の彩る指先はそっと、さいわいを見出す。瑞々しい鮮やかさを失わぬよう紙に挟んで、千夜一夜を歌う魔導書にそっと封じた。後で栞にでもすればいい。
思いの外心和ぐひとときに、吐息は風が攫っていった。輝石の眼差しを陽光に緩め、ひとりごちる。
「……次は、従者も誘ってやるか」
深き霧の内に待つものの瞳には、輝けるこの野原は如何に映るだろうか。――それは、またの日の楽しみに。
大成功
🔵🔵🔵
誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ等歓迎
小さな勇者さん達も幸せそうでよかった
横で寝転び鰭を伸ばすリィを微笑ましく見守りながら約束通り、白詰草の冠を編む
あなたの秘色に飾ったならばきっと王子様のように綺麗よ
リル、
似合うわ!さすがあたしの王子様!
いいわよ
教えてあげる
ここは、こう
たどたどしく編む姿も愛しいわ
鼻歌なのに彼の歌はとても綺麗で
まだ蕾の花も華麗に咲き誇ってしまいそう
上手よ、リィ!
あなたの作る初めての花冠をもらえるなんて
お姫様になれたみたいで
嬉しいわ
じゃあ可愛い王子様にはこれを
幸せのクローバーよ
リィにたくさん幸せが咲きますように
あたしを思って探してくれる彼が愛おしい
幸福とはきっと、こういうものなのね
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ等歓迎
幸せの野原!綺麗だ
飛ぶのをやめ
白詰草の絨毯の上にころり転がり空を眺める
思いっきり鰭を伸ばして横を見れば
大好きな僕の櫻が笑う
たまらなくしあわせな時間
呼ばれて起き上がれば頭上には白詰草の花冠が
ねぇ
どうやって作ったの?
僕にも教えて
緩り草を編む櫻宵の手は魔法を紡いでいるかのよう
優しく教えてもらえれば嬉しくて柔い鼻歌が零れて
少し歪だけど
櫻宵の頭に初めて作った花冠を乗せ
お揃いだと笑い合う
君がお姫様なら
僕は君の王子様になりたいな
微笑む櫻に渡されたの4つのはーとのクローバー
僕をおもって、探してくれた幸福
嬉しくて蕩けるように笑う
僕も君の四葉を探すよ
待ってて
絶対見つけるんだから!
「幸せの野原! 綺麗だ――」
不似合いな輝きでその空を踊るものは、もういない。含む露、艶やかな若葉、咲き笑う花、自らのいのちの輝きでひかる野に、リルはふわりと身を降ろす。
シロツメクサの絨毯に、思いきり鰭を伸ばして。全身の力を地に預けてしまえば、いつものように浮かんではいなくとも心浮かぶ心地。
そして何よりも――隣を見れば、
「小さな勇者さん達も、幸せそうでよかった」
横たわるリルを見下ろして、大好きな櫻宵が笑っている。咲く傍から零れ溢れていく幸福に、溺れてしまってもいいと心を委ね、リルも笑う。笑わずになんていられない。
(「なんて、しあわせなんだろう」)
「――ね、リル、起きて?」
「なあに?」
素直に身を起こした少年の頭の上へ、白い冠を載せて。櫻宵はぱっと花色の瞳を輝かせた。
「あなたの秘色に飾ったなら、きっと王子様のように綺麗だと思ったの。ああ、リル、とても似合うわ!」
「ねぇ、どうやって作ったの? 僕にも教えて」
興味津々のリルににっこりと微笑んで、ゆっくりと、されど迷いなく。背高く伸びた花茎を手折ってはゆるやかに編み上げる櫻宵の指先は、まるで魔法を紡いでいるかのよう。
説く声も、時折こうと触れて教える指先も優しくて――嬉しくて、つい鼻歌が零れてしまう。そのひそやかな調べすら、心地好く聴く隣のひとには気づかずに。
(「ああ、蕾の花も咲き誇ってしまいそう」)
すこし開いたシロツメクサをそっと撫でて、たどたどしいリルの手並みに愛しげに綻んだ。
「できた! さあ櫻、こっちを向いて」
春の野の戴冠式のよう。初めて紡いだ歪な花冠にお揃いだと笑い合って、
「ふふ、あなたの作る初めての花冠をもらえるなんて――お姫様になれたみたいで嬉しいわ」
「君がお姫様なら、僕は君の王子様になりたいな」
「あら、そうじゃないつもりでいたの?」
とうにあたしの王子様だわ――そう綻んで差し出すものは、
「可愛い王子様にはこれを。リィにたくさん幸せが咲きますように」
「幸せの、クローバー――僕をおもって、探してくれたんだ」
見つけると、最初に言ったのは自分だったのに。忘れずにいて、自分の為に見つけてくれた。
あまく、あまく、さいわいに心が蕩ける。待ってて、と身を翻し、花冠を押さえながらリルは地に眼差しを落とす。
「僕も君の四つ葉を探すよ。待ってて、絶対見つけるんだから!」
自分を想って探してくれる。いつだってリルはそう――その懸命な姿が愛しくて、見守る櫻宵はそっと吐息を零した。
「四つ葉の呼ぶ幸せって、こういうことかしら」
――幸福とはきっと、こういうものなのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
中邨・ゐより
【花雨】
ささやかな祈りを捧げる四葉のクローバーですか
偶にはそう言ったものに縋るのもいいかもしれませんね!
格好つけましたが要は遊びに行きたいだけです
陽葵と椿祈とクローバー探しを
ゲーム?後で付き合うので見つかるまで帰れねーですよ
いい天気ですねー、楽しくなってきました!
こういう時ラックが物を言うんですよ
クローバーさんに聞く…のは非常にメルヘンですが
中邨は順当に勘で探してみましょ
ふむ!いいですよ、椿祈
アクセサリー?はあまり作った事ねーですがチャレンジしましょ!
陽葵が見つけたらにんやり
いやあ、幸せ拾いましたねえ!
中邨もあると思ってましたよ
陽葵のシアワセ!
いいですよ、帰りましょ。帰ったらゲームしましょうね
彼岸・椿祈
【花雨】
わー、一面のクローバー
綺麗やねぇ、心が和むんよ
3人で四葉探し!
ゐよりちゃんは元気で居てはって
見とるこっちも元気になるわ
それに比べうちのおねーちゃんは…
ほらほらひーちゃん、おうちに籠もってるばっかやのーて
ちゃんとお日様浴びんと枯れてしまうんよ
こーゆーのはねぇ、クローバーさんに聞いてみるのが一番早いんよ
もしもし、四葉さん何処にいはるか知りませんか?
訊いてみたらやっぱり、ほら幸せ見っけ
大切に手帳に挟んだ押し花にしたなら家でレジンに閉じ込めてアクセにするんよ
よければゐよりちゃんも一緒にいかが?
ほら、ひーちゃんの幸せもあったやんか
ゐよりちゃんと一緒ににこにこ
んもう、顔逸らさんくても!
アドリブ歓迎
彼岸・陽葵
【花雨】
家でゲームやろうと思ってたらつーと中邨に無理矢理連れてこられた
仕方がないからクローバー探し
四葉見つけたらゲームやっていいんでしょ?
だったらさっさと見つけよう帰ろう
まぁ、順当に探してみる
モニターばかり見ている目には緑が眩しい
いや目にはいいんだろうけどさ
なんかつーは早速見つけてる
何さクローバーと話すって意味不明
けど幾度探しても見つからない
まぁいいや
あたしは所詮そんなんだよ
ふたりで幸せになってればいーじゃん
そう思っていじけて足下を見れば
…あった
四葉発見
べ、別にうれしくとか思ってないし
これでようやく帰してくれるんでしょ?
まぁ、ゲーム一緒にやるってなら断らないけど
あたし、強いからね?
本気で行くし
「わー、一面のクローバー……綺麗やねぇ、心が和むんよ」
両手を合わせ、彼岸・椿祈(黎明カメリア・f01808)はほっこりと、感じるままに綻んだ。ふたいろの瞳が春の光にきらきらと笑う。
「幸せを運んでくれるんやって。ね、三人で探そ!」
それはひとの願いを受け止めるもの――ささやかな祈りを捧げるもの。
「偶にはそういったものに縋るのもいいかもしれませんね!」
腰に手を。春の色彩の中に輝く笑顔を置いた中邨・ゐより(あまそそぎ・f13350)に、椿祈はくすくすと笑みを向ける。
「ゐよりちゃんは元気で居てはって、見とるこっちも元気になるわ」
それに比べて――と心配げな眼差しは、映し鏡のような片割れへ。
「ゐよりは遊びに行きたいだけでしょ」
「あ、ばれました?」
きらきら輝くゐよりの笑みに、げんなり顔を隠さない彼岸・陽葵(仄日ジラソーレ・f01888)。
「大体、あたしはゲームやろうと思ってたのに……無理矢理連れてきて幸せ探しって何、意味わかんない」
晴れやかな彩の瞳も翼も隠して、気怠い表情を野に向ける姉。小さな溜息をひとつ、椿祈はぽん、とその背を押した。
「ほらほらひーちゃん、おうちに籠もってるばっかやのーて、ちゃんとお日様浴びんと枯れてしまうんよ」
「四つ葉が見つかるまで帰れねーですよ。ほらほら、観念観念!」
朗らかな援護射撃。ゐよりにクローバーの海へ座らせられて、眉間の皺をさらに深めた陽葵ははあ、と肩を落とした。
「四つ葉見つけたらゲームやっていいんでしょ? だったらさっさと見つけよう帰ろう」
「その意気です。ゲームなら後で付き合いますよ!」
並び座って見上げた空は、からりと澄んだ青で、知らずゐよりの気持ちは浮き立っていく。足許の宝探しは、それこそゲームのようだ。
「うーん、楽しくなってきました! こういう時ラックが物を言うんですよ」
「ゐよりちゃんは『運も実力のうち』? ふふ、こーゆーのはねぇ、クローバーさんに聞いてみるのが一番早いんよ」
――もしもし、四つ葉さん何処にいはるか知りませんか?
囁く声にか細い風にか、そよそよと戦ぐその方向を視線で辿れば――、
「ほら、幸せ見っけ」
宝石のような瞳をふんわり和らげて、椿祈はもう幸せの顔。
「ははあ、非常にメルヘンですねえ」
しかし椿祈にはよく似合う。にい、と人の好い笑みを浮かべ、ゐよりは堅実に(?)自身の勘に伺いを立てる。
「早速見つけてるし……何さクローバーと話すって意味不明」
陽葵の呆れ顔は、けれど微かな焦りと羨望を含む。幾度探しても見つからない。あんな夢見がちな振舞いも、自分には似合わない。幸福の印にまで足りないものを指摘された気がして、景色が色を失っていく。
「どうせ見つかんない。あたしは所詮そんなんだよ、ふたりで幸せになってればいーじゃん。どうせ中邨もすぐ――」
見つけるんでしょ。そういじけた眼差しを落とした足許に、
「……あ」
あった。見つけた、陽葵自身の『幸せ』を。
強いられていた筈の心がさわ、と風に動く。落ち着かない指先は、ぎこちなく四つ並んだ葉を包んで――思いがけず大切そうに、それを摘み取った。
「あっ、見つかったん? ほら、ひーちゃんの幸せもあったやんか」
「いやあ、幸せ拾いましたねえ! 中邨もあると思ってましたよ、陽葵のシアワセ!」
「べ、別にうれしくとか思ってないし。これでようやく帰してくれるんでしょ?」
「んもう、ひーちゃんたら。そんな顔逸らさんくても!」
妹の小言がいつもよりも耳に障らない。二人に背を向け、密かに仕舞い込んだ四つ葉はどうしようか――。
「うちはね、押し花にしたなら、レジンに閉じ込めてアクセにするんよ。よければゐよりちゃんも一緒にいかが?」
「ふむ! いいですよ、椿祈。あまりしたこともありませんが、教えていただけるなら」
楽しげな椿祈と一緒に手掛けるのは悪くない、とゐおりは思う。
そうしてふたり、並べたにこにこの圧力に、ああもう鬱陶しい、と陽葵の叫びが野に響き渡った。
「ゲームやってからだからね? 言っとくけどあたし、強いから。本気で行くし。……何笑ってんのさ」
陽葵はくしゃり、瞳を歪めた。ゲームばかり見ていた目には、この景色が眩し過ぎたから、理由はきっとそれだけ。
――本当に?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クレム・クラウベル
遠く聞こえる幼子の声は、確かにその手に幸福を握りしめて
小さな背中を見送ってからようやく息を吐く
こんな物語の結末は、やはりハッピーエンドが一番似合う
あたたかな春風に目を細め
色とりどりの花の群れ
産まれの地でこうも鮮やかな色彩に満ちた場所は記憶にない
季節を孕んだ風も日差しも馴染みの薄いそれ
月並みだが綺麗だと、そうも言いたくなる
そろりと腰を下ろしてそのまま暫し景色を望む
何をするでもなく過ごす穏やかな時間
裏方仕事の褒美には十二分なくらいだな
心地よい空気に誘われるまま寝転べば満ちるような春の香
伸ばした指先にふいに触れた四葉は、幸福のお裾分けというところか
摘んでひらり陽に透かすように空へ翳して
幸福を含んだ笑い声が風に混ざる。空を行く。
その中に小さな子らの声を確かに聞いて、クレムはふ、と薄い唇に吐息を滲ませた。微かに上がった口角が、笑みを結ぶ。
(「こんな物語の結末は――やはりハッピーエンドが一番似合う」)
霜のような銀の髪を溶かそうとするように、悪戯に戦ぐ春の風はあたたかい。そう感じさせる陽光も、一斉に波立つ色とりどりの花の群れも、彼の生まれ――ダークセイヴァーでは目にせぬもの。馴染みの薄いものだ。だからつい、
「……――綺麗だ」
ぽつり、と。口をついて出た一言はひどく月並みに思えたけれど、どんな巧みな言葉よりも上手にこの光景を表現している。
クレムはそろりと腰を下ろし、何をするでもなく眼差しを投げる。光溢れるこのひとときを、春の色彩を、瞼の奥に焼き付ける。
対峙する度に身が凍るような敵もいる。本性は冷たくなりきれないクレムの心を、少しずつ強張らせていく戦いもある。そんな仕事に日々を過ごす中で、今日の『裏方仕事』はそれ自体もどこか暖かく、甘く――褒美のような今の時間も、十二分な幸い。
ざあ、と正面から飛び込んできた柔い風に、逆らうことなく身を転がしてみる。鼻先を通り過ぎるにおいには土の、緑の――春の気配。投げ出した指先に何気なく視線を遣れば、幸せの印が綻んで。
「お裾分けというところか。……有難く」
そっと摘んでひらり、陽に透かす。やわらかな笑みが浮かぶ。
これは、あの子らに幸福の歓声を上げさせたもの。神を信じきれぬ身なれど、齎された幸いは信じてもいい。――信じてみたい。
大成功
🔵🔵🔵
連・希夜
【未来】の皆と、良ければトトリ(f13948)も一緒に
確かにここはいい野原だね
さて誰が一番最初に幸運に出逢えるかな?
クロトさん、男の勝負は皆でやらないと
結構本気で四葉探しに奔走
齢が近くて身長で大負けしてる終さんにはちょっと負けたくない(笑
でもこういうのって、欲がない人が勝つんだよね
リンシャオやトトリとかが強そう
それにしても、風と日差しが気持ち良くて
眠気に誘われる
見れば既にリンシャオがすやすやと
そろり近付き、髪にクローバーを挿していく
トトリもやる?
兄弟とか、こんな感じ?
電子の海から生まれた自分には、ちょっと分からない感覚がこそばゆい
可愛い兄妹ちゃんは四葉を見つけられたかな
気付けば自分も夢の中
リンシャオ・ファ
【未来】の皆と
誰が一番早く四つ葉のクローバーを見つけられるか競争だね!
あ、フェンはだめだよ
踏み荒らしちゃうといけないから芝の上で『待て』!
人がいない所を狙って四つ葉探し
トトリ(f13948)も一緒にどう?
この辺は足跡がないから、手付かずのはず……あれ?
クロトは探さないの?なんだか余裕
ツイは助っ人つき――ってそんなのアリ!?
負けないからね!
へへ、おれ、こんな風に大勢でワイワイするの初めてだ
勝っても負けても、凄く楽しい!
みんなが四つ葉を見つけたら、一足先にフェンの所へ。お腹を枕にウトウトして……ん?
キヤ、いま何かした?してない?ほんとに?
うーん、まあいっか……(クローバーを髪に差されて、すやすや)
クロト・ラトキエ
【未来】の皆さんと。
トトリも、是非。よければ一緒に、どうかな?
若人達の一勝負。おじさんはそれではレフェリーでもー…と思ってたんですけど。
サボりはダメ? あら、そう(笑)
四葉といえば。知ってるセオリーは、よく踏まれる場所などですが…
けれど幸運の加護はやはり、あの可愛らしい兄妹の様に、まず若い子にと思いますから。
僕は探すというより、眺める感じで。
四葉探しも人心地ついた頃には、持参の本にのんびり目を通し。
青少年達の長閑なやり取りに思わず笑ったりして。
暑くなれば水辺で涼も取れますし。
落ちませんよ? 落ちたらお助けは致しますが♪
見付けた四葉は押し花に。
思い出も幸せも、こうして取っておければ良いですよね。
静海・終
【未来】
小さな勇者さまたちの宝物探しの冒険もこれにて無事終了
しかしながら帰るまでが冒険
怪我無く無事に帰れるよう願いましょう
さてはて、ここに集まるは大人げない野郎ばかり
四葉のクローバー探しに躍起になりましょう
私は涙と一緒に探しますねえ
卑怯?いえいえ、涙とは一心同体ですので、ねえ?
のんびり散策を楽しみながらクローバー探し
希夜やリンシャオくんはやる気満々…川に落ちないでくださいませねえ
ゆったり眺めるクロトは雰囲気がお爺ちゃんですねえ…
四葉を見つければトトリくんの頭に1つ植えても…大丈夫ですかね?
兄弟のように仲良くかたまって寝るのを見ていると
あの兄妹も今日は幸せに眠りにつくのだろうと思いを馳せましょう
「さてはて――ここに集まるは大人げない野郎ばかり」
終のにこやかな暴言に、若者たちは海賊のようにおーっと拳を衝き上げて。
「いざいざ、四つ葉のクローバー探しに躍起になりましょう」
「うん! 誰が一番早く見つけられるか、競争だね!」
「さて、誰が最初に幸運に出逢えるかな?」
少年らしくきらきらと琥珀の瞳を輝かすリンシャオと、わくわくそわそわ辺りを見渡す希夜。二人のやる気を見守るクロトの眼差しは、当事者よりも保護者の視線で――、
「あれ、クロトは探さないの? なんだか余裕」
「若人達の一勝負ですからね、おじさんはそれではレフェリーでも……」
「ええ、クロトさんサボリー! 男の勝負は皆でやらないと!」
「おや、サボりはダメ?」
自ら怠惰の気を晒してしまうあたりが憎めない。ぐいぐいと背を押す希夜にあら、そう、と笑って身を屈めはするけれど、気持ちは最初の言葉通りなのだ。
幸運の加護を謳うなら、あの可愛らしい兄妹のように。――年長者としては、まず若い子に見つかってほしい。
「サボってもよろしいですが、クロト、そうゆったり眺めていると雰囲気がお爺ちゃんですねえ……」
「よくないってば、終さんまで! もう、クロトさん、本気で探してる?」
「探してますよ。四つ葉と言えば、よく踏まれる場所にあるとか言いますよね」
希夜につつかれながらはいはいと、柔らかな視線を野に巡らせるクロトに笑みを並べて、終は傍らに添う小さな竜の喉を擽る。
「それでは、私は涙と一緒に探しますねえ」
「ツイは助っ人つき――ってそんなのアリ!?」
「アリかナシかと聞かれればアリではないでしょうか。いえいえ、涙とは一心同体ですので、ねえ?」
――一心同体。その言葉に我こそは、と進み出ようとする白豹は、
「あ、フェンはだめだよ。踏み荒らしちゃうといけないから」
甲斐なき『待て!』の号令にほんのり残念そう。緑薄い場所におとなしく伏せ、成り行きを見守っている。
「終さんにはちょっと負けたくないなあ。齢近いし、……身長は大負けしてるし……」
だんだん文句のように小さくなったその言葉は、
「おや、気にしておられたのです?」
「うるさーい!」
にやり笑いの終にしっかり聞き留められて、皆の笑顔の種になる。賑やかな遣り取りに、頬を緩めたのはリンシャオ。
「へへ、おれ、こんな風に大勢でワイワイするの初めてだ」
――記憶の底から今に届くまで、連なるのは静かな旅路で。だから騒がしいほどの今が心震わせる。この勝負なら、勝っても負けてもきっと、楽しい。
「こうまで広大ですと、かえって見つからないものですねえ」
「ほんとだね。でもこういうのって、大体欲がない人が勝つんだよね」
そうなると――と終と希夜が並べた視線の先、背中を丸めて黙々と地を浚う少年とシャーマンズゴースト。
「この辺はまだ誰も探してないからね。足跡がないから、手付かずのはず……」
「うん。諦めないで、探す……」
「……あっ、トトリ見て、これ!」
「! わ、あった……すごい、リンシャオ」
ぱちぱちとまばらな拍手を傍らに、堂々と四つ葉を掲げた少年へ、やっぱりかあと笑う男たちのさらなる拍手。堂々たる凱旋で、柔らかなフェンの毛並みを玉座に据えるその顔は満面の笑み。
「おや、セオリーを破りましたねえ。やはり無欲の勝利でしょうか」
笑うクロトの耳に、あっ、と輝く声が届く。
「オレ二番! 四つ葉みーっけ!」
「……ん? おや、どうやら私が三番ですね?」
願ったとおりに若人の目に見出されゆく幸いに、深い藍色の眼差しは柔らかく見守っていた。
「……それにしても、うーん気持ちいい……」
風が好くて、陽射しも気持ちが良くて――平穏な野に希夜を襲い来るものといえばそう、眠気くらいしかない。隠す気もない大あくびに体を伸ばすと、
「あ」
白豹のお腹を枕に、すやすやと心地好い眠りに入りかけたリンシャオを見れば、眠気を押しのけ首をもたげる悪戯っ気。その金色の髪に、そっと――クローバーを挿していけば、
「……ん? キヤ、いま何かした……?」
「んー? してないしてない、なーんにも!」
「してない? ほんとに……? うーん、まあいっか……」
すうっと眠りに沈んだのににっこり、ついでに共犯を募ろうとする。
「トトリもやる?」
長い爪で口許を押さえたトトリは、はらはらと顛末を見守っている。お揃いだよと笑ってみせれば、少し空気を和らげた。
「トトリくん、こちら一つそのたてがみに植えても?」
「わ、……え、いいの? ありがと、終……」
小鳥たちの挿したクローバーに、終の手でひとつ、四つ葉が加わって。シャーマンズゴーストはほっこりと幸せな空気を醸している。
「ふふ、長閑ですねえ。ひとしきり遊んだ後のこういう時間も好いものです」
持ち込んだ本に見出した四つ葉をぱたりと挟み、クロトは小川の畔を目指して腰を上げた。
このひとひらは正しく幸福の形であるのかもしれない。――取っておいたなら、この穏やかな時を思い出す縁となるのだから。
リンシャオの金の髪には花飾り。それに彩り加えるクローバーに満足して、希夜は無邪気な寝顔を眺めている。
(「うーん、兄弟とか、こんな感じ?」)
電子の海から生まれた希夜にはその感覚は少し遠くて、生まれ来る下の子のために四つ葉を見つけたあの兄妹の気持ちも、想像するしかできなくて。
けれど、どこか近しい親しみを微睡みの中になぞって、こんな形だろうか――とそう、思うのだ。
「希夜も眠ってしまいましたか」
はしゃぎ疲れですかね、とにこり、すやすやと並び聞こえはじめた寝息に、終は唇を緩めた。さやさや流れる水音に目を遣って、暖かな気配の中、小川に足先を浸して悠々と、読書に勤しむクロトへも、
「クロトは川に落ちないでくださいませねえ」
「落ちませんよ? どなたか落ちたらお助けは致しますが♪」
声潜めた遣り取りをしつつ、傍らに眼差しを向ける。
フェンとリンシャオ、そして希夜。ひとかたまりに眠る姿は、終の目にも兄弟を思わせて――あの兄妹をも重なって。
「あの子たちも、今日は幸せに眠りにつくのでしょうね」
小さな勇者たちの宝物探しの物語は、ひとたび結ばれたけれど――冒険はまだ、暖かなベッドの待つ家へ帰るまで続くから。
怪我なく無事に帰れるようにと、見出した四つ葉に願いをかけた。
大成功
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終夜・嵐吾
【喫茶】
トトリ君も一緒に
わしは、お弁当係じゃ!
おっきなおにぎり?鮭か、おかかか、何がええ?
それから……甘辛な肉巻きおにぎりも作ってみた!
チロはこれかのー?
あとは甘い卵焼きに…タコさん?
ふふ…カニさんもおるぞ
うさぎさんももちろんおるよ!(どやぁ)
トトリ君も遠慮なくの!
お腹いっぱいになって、四つ葉を探す皆を見守り
わしも近くにないかのーと視線巡らせ
まぁぱっとみて見つかるもんでもないか
いやしかしここは、わしは見つけてはいかんのじゃ、きっと
チロとキトリが幸せを、運んできてくれると知っとるから
貰った四つ葉に笑み零し
ありがとぉな。これは大事に…押し花にしよ!
チロもキトリも、わしの大切な、お姫様じゃー!
キトリ・フローエ
【喫茶】
ね、トトリも一緒に遊びましょ!
あたしはね、皆の四つ葉を見つけたいの!
嵐吾の作ってくれたお弁当に目を輝かせつつ
トトリにうさぎリンゴをおすすめ!
クローバーの海に埋もれながら、こういう時こそ第六感!
目を皿のようにしてクローバーと睨めっこ
見つけられたらありがとうって四つ葉に伝えて摘んで
こうして皆のために何かを探せることが何だかとても嬉しくて
森の緑のお姫さまみたいなチロが髪に四つ葉を飾ってくれたら
嬉しくって頬が緩んじゃう
お返しにチロの髪にも
チロ、あたし今、すっごく幸せよ!
それから二人で嵐吾に四つ葉をプレゼント
もちろんトトリにもプレゼント!
…あたしたちがお姫さまなら、嵐吾とトトリは王子様かしら?
チロル・キャンディベル
【喫茶】
トトリもいっしょしましょ
嵐吾のおべんとうにワクワク
今日のチロは、おっきなおにぎりが食べたい気分!
お肉!やっぱり嵐吾はチロのすきなのわかってるの
トトリは何がすき?
チロのおすすめはタコさんウィンナー!
おなかいっぱいになったら、ソルベとキトリと四つ葉さがし
がんばっていっぱい見つけて、みんなにしあわせ運んでもらうのよ
四つ葉だけで花冠できたらステキなのに…
緑にかこまれたキトリは、まるでクローバーのお姫さまみたい
そんなキトリのかみに、さいしょに見つけたよつばをあげるの!
お返し…とはちょっとちがう
キトリのしあわせが、チロのしあわせ
みんなでしあわせになれたらステキね
それから2人で嵐吾にプレゼント
「ね、トトリも一緒に遊びましょ!」
「うん、いっしょしましょ!」
姉妹のようなふたりにほっこりと、キトリの飛ぶ軌跡、ソルベとチロルの先導について、野に広げられた風呂敷へと足を進めれば、
「おー、トトリ君もよー来たの! さ、おたべ、遠慮なくの!」
わしは二人のお弁当係じゃ! と、ふさふさと尻尾を揺らしてふやり、笑う嵐吾。ずいと差し出された重箱に、トトリは目を丸くする。
きれいに詰められたおにぎりは、形と海苔の巻き方で具が分けられていて。ふんわりきれいに巻かれた甘い玉子焼きは、お重の中にタンポポのような鮮やかな彩を落としている。飾り切りした真っ赤なウィンナーに、行儀よく並んだ林檎たち……、
「全部、ひとりで、作った? 嵐吾、すごい……」
「ふふ……もっと褒めてくれてもええんじゃよ……」
イケメンな微笑みの向こう、ふっさふっさといっそう尻尾が揺れているのだが――はーい、と元気な声が上がると、
「今日のチロは、おっきなおにぎりが食べたい気分!」
「おっきなおにぎり? 鮭か、おかかか、何がええ? チロはこれかのー? 甘辛な肉巻きおにぎりも作ってみたんじゃけど!」
「お肉! やっぱり嵐吾はチロのすきなのわかってるの!」
愛娘か妹か。可愛いチロルに褒められて、イケメンはどこへやら――溶ける目尻につい、トトリも笑う。
トトリは何がすき? チロルの問いかけに口を開きかけ、
「チロのおすすめはタコさんウィンナー!」
「ふふ……カニさんもおるぞ」
「あたしのおすすめはうさぎリンゴよ! 嵐吾、持ってきてくれた?」
「うさぎさんももちろんおるよ!」
きらきらしたお勧めと、渾身のどや顔と――美味しい匂いに誘われて、ちょっぴりたじろいだトトリ、
「……ぜ」
「ぜ?」
「全部……皆の、おすすめ、全部、食べる」
勢いに負ける幸せを知り、嵐吾を破顔させたのだった。
「おなかいっぱい! ソルベ、キトリ、がんばっていっぱいよつばを見つけましょ!」
ひとつでは足りない、皆にたくさんのしあわせを運んでもらうのだ。張り切るチロルにもちろん! と笑って、キトリはふんわり風に身を浮かばせる。
「あたしも皆の四つ葉を見つけたいの! えーと……こういう時こそ第六感よね!」
チロルとソルベにはクローバーの絨毯だけれど、小さな小さなキトリには、それは緑の海のよう。きりりと締まった瞳で葉のひとつひとつと睨めっこ、果敢に緑を泳いで、掻き分けて。疲れたら、小さなひと葉ひと葉にちょん、ちょんと留まるように、翅躍らせて。
「キトリ、まるでクローバーのお姫さまみたい」
緑もお花もやっぱり似合うのだ。思わず吐息を零すチロルに、照れ笑いを浮かべる。――チロだって、森の緑のお姫さまみたいよ?
そうして振り向いたから気づいたのだ。六感の報せたその辺り、風に揺れる幸せの印。
「……あったわ!」
「わ、もう見つかったの? キトリはすごいの!」
「ふふっ、任せて! そうね、次は……そのこんもりした茂みなんてどうかしら?」
「ええと……、……あっ、見つけたの! すごい、どうしてわかったの?」
喜ぶチロルにキトリはにっこり微笑んだ。皆のために何かを探せることが、なんだかとても嬉しくて。嵐吾やチロルを思うほど、小さな胸にふわふわと、暖かなものが湧いてくるのだ。
「あなたもよ。呼んでくれて、ありがとう」
すっくと伸びた茎を優しく撫でて、四つ葉を摘み取るキトリ。その頭に、たどたどしい指先がそっと、触れる。
「チロ?」
「はい、キトリ。さいしょに見つけたよつばをあげるの!」
キトリのしあわせが、チロのしあわせだから。乳白色の髪を飾ったさいわいに、満足げな少女を見れば、頬がつい緩んでしまう。風に乗ってくるくると、チロルの周囲を舞い躍ってしまう。
――ああ、なんて、
「チロ、あたし今、すっごく幸せよ!」
伝えずにいられないから、お返しに。今摘んだばかりのひとひらは、ぴこりと可愛く揺れるチロルのお耳のきわに。
そんな和やかな遣り取りをのんびり眺める嵐吾へ、探さないのかと首を傾げるトトリ。笑った視線を地に投げ出した足許に巡らせて、
「近くに……ないかのー。まぁぱっとみて見つかるもんでもないか」
「一緒に、探したら……いいのに」
なかよしなのに。首を傾げるトトリに、いやいやとわざとらしく深刻そうに。
「ここは、わしが見つけてはいかんのじゃ、きっと。チロとキトリが幸せを、運んできてくれると知っとるから」
な、と一転、笑った顔がひどく幸せそうで。そういうものもあるのだと、トトリはぱちり、瞬いて、
「……そっか」
のんびりと、野に躍る小さなふたりに目を向ける。ふたりの四つ葉はきっと、嵐吾には倍々の幸せを運んでくれるのだ。
「四つ葉だけで花冠できたらステキなのに……」
「ちょっと足りなかったわね。でもこれだって素敵よ、幸運だけじゃなくて、あたしたちの気持ちもいっぱいだもの! ね、嵐吾!」
そうして運ばれた四つ葉たちに、琥珀の瞳がゆるり、溶ける。
「ありがとぉな。これは大事に……押し花にしよ!」
懐紙にそっと押し包んで仕舞い込むと、嵐吾はばっと手を広げて。ぎゅっと――けれど壊れないように大切に、その腕に、てのひらに、ふたりを抱き締めた。
「きゃー!?」
「チロもキトリも、わしの大切な、お姫様じゃー!」
「ちょっと……! もう、嵐吾ったら! ふふっ、あたしたちの王子様はほんとにしょうがないんだから!」
驚きがきらきらと笑い声に変わって、春の野原を吹き抜けていく。
大成功
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メーリ・フルメヴァーラ
ユニ(f04544)と
遠目で兄妹の様子を見てほにゃり笑顔
よーしメーリたちも楽しも!
ユニの手を引いて野原へ
実は四つ葉のクローバーもいいけど
じゃーん!これ!
摘んだのは一輪のシロツメクサ
前から花冠を作ってみたくって
昨日も夜に本で読んで勉強したんだよ
…と言いつつ
む、む、ぐぐ、
何か綺麗な輪っかにならない…としょぼん
ゲームや機械いじりのほうが全然らくちん
はじめての花冠はなかなか手強い
いびつだけどどうにか完成したら
ユニの頭に乗っけてあげたい
えへへ
きっとユニに似合うと思ってたの
羽根もすごくきれいだからね
天使みたいになるなって!
可愛い~!ってはしゃぎつつ
ハッ はずかしいこと言ってる!?
照れ照れしてまた笑うの
ユニ・エクスマキナ
メーリちゃん(f01264)と
よかった!って兄妹ちゃんににっこり
素敵な景色に心弾ませメーリちゃんと野原へ
やっぱり四つ葉は簡単に見つからないなぁ
ガサゴソ夢中で探し
メーリちゃん、見つかった?
え?白い…花?
四つ葉じゃなかった…!
ユニ全然気づいてなかった!
ユニもいいなぁって花冠に挑戦するけど
バラバラと手から零れるお花にしょぼん
やっぱりユニは四つ葉探そうっと
花冠作りは諦めたけど四つ葉探しは諦めない!
違う、違う…
根気強く探せば、きっと見つかるはず!
あったぁ!って四つ葉見つけたら
メーリちゃんへ
どんな幸せが待ってるかな?楽しみだね
わぁ、この花冠ユニの?似合う?
頭の白い冠に笑顔
照れ照れしつつありがとう!大好き!
遠くに駆ける兄妹の姿に、メーリの笑みは柔らかく溶けた。さいわいの物語を、最後まで見届けた幸せがふわり、胸に上ってくる。
「よかった! これでめでたしめでたしなのね!」
ユニも思わずにっこり。そうして改めて見渡す野原は、ぽつぽつと零れる花色だけで、幸せを描いているよう。
「よーしメーリたちも楽しも!」
「うん! 楽しもう!」
どちらともなく繋いだ手で、どちらともなく前へ前へ。何かが報せるまま、このあたりかなと座り込む。
苺色のユニの瞳に、鮮やかな緑が映り込む。あの分厚い取説を浚えば、簡単に見つける機能的なものも見つかったかもしれないけれど、友達と一緒のひとときに、それはあまりにもったいなくて。――何よりも、幸せ探しにそんな『特別』は頼りたくなくて。
「うーん、やっぱり四つ葉は簡単に見つからないなぁ」
メーリちゃん、見つかった? 問う声に、
「うん、四つ葉のクローバーもいいけど、実はね……じゃーん! これ!」
メーリが陽光に掲げてみせたのは、
「え? 白い……花? メーリちゃんが探してたの、四つ葉じゃなかった……!」
眩い一輪のシロツメクサ。全然気づいてなかった! と目を丸くするユニに、えへへと笑う。
「前から花冠を作ってみたくって。昨日も夜に本で読んで勉強したんだよ!」
「いいな、いいなぁ、ユニもやってみる……! どうすればいい?」
「ええと、まず背の高い花を摘んでね……こうして、こう……む、……む? ……ぐぐ」
そして編みはじめてみての衝撃の事実。
(「何か綺麗な輪っかにならない……!」)
ゲームや機械いじりなら得意なのに、なんということ――メーリの心象風景にどどーん、と雷が落ちる。簡単そうに見えてはじめての花冠、なかなか手強い。
「む、難しいのねー!? ……うう、やっぱりユニは四つ葉探そうっと! 花冠は諦めたけど、四つ葉探しは諦めない!」
「うん、お互い頑張ろう……!」
束にならずに零れた花は、奮闘するメーリに贈呈して。せっせと四つ葉探しに戻ったユニを励まして、きれいな形の後ろ頭を目に、よしっ、と奮い立つメーリ。
ちょっぴりしょんぼりはするけれど、それだって燃え立つための起爆剤。いびつだっていい、ちょっと崩れていたっていい。とにかくひとつ作り上げたいのだ。だって――、
「できた……! はい、ユニ。あげる!」
あげたい大事な友達がいたから。白と緑の優しい色を、金色の髪へそっと載せて。ことり、首を傾げて笑えば、
「え、わぁ、この花冠ユニの? 似合う?」
「もちろん! きっとユニに似合うと思ってたの!」
あの金の髪に飾って、綺麗な羽根と合わせたら――きっと天使みたいだろうと。くるりと一回転するユニの姿に、惜しみない賛辞を贈れば――返る照れ顔に、思わずメーリの頬もぽぽぽと染まる。
「ハッ、はずかしいこと言ってる!?」
「えへへっ、でもユニ嬉しい! ありがとう! 大好き! ……じゃあね、これはメーリちゃんへ!」
「えっ?」
差し出されたのは四枚の葉、さいわいのしるし。
シロツメクサが連れてきた幸せな歓声がもう一つ、春の野を飾る。
大成功
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オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と
のんびりはねえ
ひなたぼっこしたり、花をみたり
よつばのクローバーをさがすのもいいねっ
わ、リュカどうしたの
ふふっ、しんけんだ
しとめちゃうの?
たのしくて笑いが止まらなくなって
えいっと寝ころがり
となりにきてきて、とぽんぽん
空見上げて
そうなの?
リュカの作ってくれた羽飾り、すごくきれいだよ
帽子についた飾りを掲げてにこにこ
あ、ねえあのくも、羽みたいっ
うんうん、にかいめっ
今日もたくさんおもしろい雲見つかるかな
くじらみたいな雲みつけたい
あれはカメだねっ
ぽかぽかだとねむくなるねえ
花のにおいも川の音もここちよくて
おひるねものんびりだよ
手をつないで
眠そうな目で微笑めば
おやすみ、リュカ
と夢の中へ
リュカ・エンキアンサス
オズお兄さん(f02586)と
こういうときにはのんびりするらしいって聞いたけれども、
のんびりするって、何するんだろうね
クローバー…か
お兄さんがそう言うのなら
仕事のターゲットを探すみたいに全力で探す
大丈夫、必ずしとめる
…ん?そこまで真剣にならなくていい?
ぽんぽんされたらさっさと諦めて隣に転がる
実はそんなに細かい作業が得意なわけじゃないんだ
あれもまだまだ、納得行かない
…喜んでくれるならいいけど
…ああ、ほんとだ
空を眺めながら
そういえばこうして一緒に空見るのは二回目かな
あの雲強そうだな…鯨?
鯨か…どこかにないかな
…うん?眠い?
(手を繋いで
わかった、おやすみ
お兄さんが寝たら顔に落書きしておくから
いい夢を
――こういうときにはのんびりするらしいって聞いたけれども。
「のんびりするって、何するんだろうね」
戦って戦って戦って。強く在ることこそが世界の全てと、そう教わってきたリュカには、それが分からない。浮かぶ疑問に眩しそうに目を細めると、
「のんびりはねえ、ひなたぼっこしたり、花をみたり。よつばのクローバーをさがすのもいいねっ」
にこにこと、身を温める春の陽のような笑みを浮かべて教えてくれるオズ。広々と野を見渡してみれば、確かにそんな風に過ごす人たちが遠くに見えて、
「クローバー……か。お兄さんがそう言うのなら」
地に膝ついて、試しにリュカも探してみることにする。
三つ葉の海に四つ葉を探るリュカの青い瞳は――さながらスナイパーのよう。そう、まるで人波に標的の姿を探すような、
「わ、リュカどうしたの。ふふっ、しんけんだ」
「……ん? そこまで真剣にならなくていい?」
おかしそうな笑い声に顔を上げれば、咲き零れる花のようなやわらかい眼差しが、リュカの強張りを解く。
――『のんびり』は、リュカにはちょっとむずかしいみたい。えいっと緑の絨毯に寝転がり、ぽんぽんとふかふかの隣を叩いて誘う。
「となりにきてきて」
ふふふ、と笑う声には抵抗せずに。諦め早く、ころりとオズの隣に寝転がったなら、リュカの視界は澄んだ青一色に染まる。
「実は、そんなに細かい作業が得意なわけじゃないんだ」
クローバー探しもかな、とぽつり零れる声に、そうなの? と不思議そうに。取った帽子を空に掲げて、ほら、と綻ぶオズ。
「リュカの作ってくれた羽飾り、すごくきれいだよ」
シュネーとお揃いの、旅の無事を祈る白い羽根。緩やかに首を振って、あれもまだまだ納得いかないのだとリュカは告げるけれど
「でも、――喜んでくれるならいいけど」
瞳だけがうっすら笑う。いつかはもっと、の野心を秘めて。にっこりと笑みでいらえたオズは、あっ、と不意に声を上げる。
「ねえあのくも、羽みたいっ」
「……ああ、ほんとだ」
「今日もたくさんおもしろい雲見つかるかな」
今日『も』の言葉に、そういえば、と思い起こす。――こうして一緒に見る空は、二回目だ。
「あの雲強そうだな。何の形だろう」
「くじらみたいな雲みつけたい! あ、ねえねえ、あっちのはカメだねっ」
脈絡なく空想を飛ばしながら、大きな海の生きものを探して。見慣れたあれこれに重ね見て。――これが『のんびり』だと口にも心にも上らぬままに、オズは知らず伝えていくのだ。追い迫られる世界で生きてきた少年に、もっと暖かくて緩やかな世界を。
陽光にあたためられた花の匂い。さやさやと流れる小川の音色。心地好い野原に身を預けていれば――自然と、
「ぽかぽかだとねむくなるねえ」
微睡みの気配に瞬いて、リュカは求めるオズの手に、手を繋ぐ。眩く煌めくこころに溢れた友人が、とろとろと夢の心地でどこかに消えてしまわないように。
おひるねものんびりだよ、と和らぐ声に、
「わかった、おやすみ」
お兄さんが寝たら、顔に落書きしておくから――なんて。
本気のような、冗句のような。その言葉は夢の淵、オズのもとへと届いただろうか?
「おやすみ、リュカ」
「うん、お兄さん。……いい夢を」
見送りの言葉を紡ぐ唇がほんの少し笑っていたのには、自分では気づかずに。
――こうして数多の枝葉の物語も、春の温もりの中に結ばれる。
これは、幼く純粋な勇者たちの大冒険の物語。
そして彼らに味方した、たくさんの純粋なこころの紡ぐ、物語。
大成功
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