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嗚呼、愛しのハーピーちゃん!

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●ハーピーちゃんは楽しそうに歌っている
 ――――♪ ――♪ ――♪♪
 穏やかな陽射しが差し込む湖畔の上で、水の上を踊るように舞いながら、我らのハーピーちゃんが歌っている。
 透き通るような綺麗な髪、あどけなく輝く瞳、楽しそうに躍動する口元と、そこから覗き見える無邪気な八重歯。ふさふさな翼の隙間から垣間見える艶かしい肌が堪らない。そして何より、その楽しそうな歌声。キミの全てが、オレ達を魅了するんだ。
 ああ、愛しのハーピーちゃん。
 キミの為なら、何だってしてあげたい。
 お腹が空いたなら、ご飯を用意してあげる。
 寝床が欲しいなら、奪ってきてあげる。
 もっと観客が欲しいなら、攫ってでも連れて来てやる……!
「ウオオオッ! ハーピーちゃんサイコーッ!」
「ピキーッ!(サイコーッ!)」

「……何なのかしら、あれ」
「……ねぇママ、早く帰ろうよ」

 異様な盛り上がりを見せる山賊達とスライムの群れを、一組の親子連れが、ドン引きした様子で見つめていた。

●今日の調律をお知らせします
「という訳で、なんか可哀想な気もしますが、このハーピーちゃんを討伐しましょう」
 グリモアベースに集った猟兵達の前に、バーチャルキャラクターの戦場傭兵兼マジックナイト、グリモア猟兵のウィンドボイスが姿を見せる。
 事件の舞台はマジック&ウィザーズ。一匹のハーピーに扇動された山賊達が周囲の村を手当たり次第襲撃する。そんな予知を得た、という事だった。
「今回、ハーピーの存在を予知した現場付近に、一組の親子連れが迷い込んでいます。おそらく、水辺に群生した薬草を摘みに来たのでしょうか……」
 この親子の近くに位置しているのは下級な魔物、スライム。予知によるとスライム達に追い回された親子は湖に落ちて溺れてしまうものの、急いで駆けつければ無事に保護できるでしょう、とウィンドボイスが告げる。
 しかし、親子の正確な位置までは掴めておらず、ウィンドボイスが行う転送先から少々距離が離れている可能性が高い、との事。
「力任せにスライム達を薙ぎ倒しながら進んでも良いですし、何か親子連れが進んだ道の痕跡を見つけ出して、それを辿っても構いません」
 まずは親子の保護を優先。その後にハーピーに群がる山賊達を蹴散らし、目標を討ち取るのだ。
「あのハーピーに悪意は無いのかもしれませんが、この予知は捨て置けません。皆さんの力を貸して下さい!」


盛野玖磨
 初めましての方は初めまして。そうじゃない方は、毎度ありがとうございます。盛野玖磨でございます。

 今回の舞台もアックス&ウィザーズ。何故こうなったかというと。

 ハーピーちゃんサイコーッ!

 以上でございます。

 シナリオ一章、親子の保護及びスライム討伐については【POW】で道中のスライムを追い払う役を担う。【SPD】で痕跡から親子の場所を絞る。【WIZ】親子の向かいそうな場所を聞き込みする、または薬草の自生場所を調べる。
 などの方法が考えられますので、ご参考ください。

 尚、今回は少しだけネタっぽい話に寄せようかなと思っていますので、そういうのが苦手な方はプレイングの最後にでも、その旨添えて頂ければ幸いです。
 でないと、少々好き放題する可能性がございます。例えばほら、スライムと山賊の群れ、だものね?

 またソロ採用~団体採用、他猟兵との絡みに関しても、特にご指定がない限り自由に行ってしまいますので、特にご意向があれば、お書き添え下さいませ。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『湖畔の歌姫』

POW   :    親子に同行してもいいし道中の獣を追い払う役を担っても良い

SPD   :    痕跡から湖の場所を絞っても良い

WIZ   :    湖の場所を聞き込みするのも良いし薬草の自生場所を調べるのも良し

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロザリア・ムーンドロップ
ハーピーや山賊はやっつけなければいけませんが
まずは迷い込んだという親子の安全を優先ですね!

【WIS】
私は聞き込みや薬草の自生場所の調査をメインに動きますね

聞き込みですが、湖の場所やそこに繋がる川なんかの水辺の場所と合わせて
その親子のことを知っている人を探してみます
知っている人なら、その親子が普段どういう場所で薬草採取をしているとか
知ってそうですからね

同じく薬草を採取したことがあるなら
親子が探している薬草の自生場所も知っているかもしれません
一緒に聞いて回りましょう

親子を助けたい、って気持ちが通じれば
きっと皆さん心を開いてくれると思います
【優しさ】大切ですからね。それを念頭に、動いてみましょう


ユキ・コシイ
悪意が無いとは言え…歌が原因の事件が起きるというのは…心が痛む。
それにファンの諍いはよろしくない…なんとか事態を収拾したい。

ユーベルコードと装備中の「パフォーマンスドローン」…この二つのドローンで高空から親子の姿を探せないかな…?
湖畔周りであれば森の中より探しやすいはず、それに親子連れとなると…山賊とかとは大分シルエットが異なる。
お空からでも行けないことはない…と、思う。

見つけたら全力疾走で急行…します。



●聞き込みとドローン調査の場合
「すみません。この辺りへ薬草を摘みに来る親子連れ、に心当たりはありませんか?」
 ロザリア・ムーンドロップ(人間のウィザード・f00270)は、周囲の通行人に片っ端から聞き込みを行っていた。
 親子連れに関する情報はもちろん、周囲の地形や薬草の自生場所など、関係がありそうな事は全て聞いて回った。
 人通りが多いとはいえない地域であったようだが、幸いにも声をかけた通行人達の殆どが、ロゼリアの声掛けに対して真摯に応じてくれた。
 これも、彼女の誠意と優しさが相手に伝わったからであろう。
 そしてとうとう、重要な証言に到達する。
「ああ、その親子なら知っているよ。
 彼女達なら多分、ここからもう少し北東へ進んだ――離れ小島のようになっている場所だ。
 だが気をつけな。あそこへ通じる浅瀬の一本道は、スライム達の群生地だ」
「なるほど……間違いなさそうですね。ありがとうございます!」
 その注意すべき情報は、事前に聞いていた物と概ね一致する。確信に近いものを得たロゼリアは、ぺこりと大きく頭を下げた。
「ただ、まぁ――」
「……ただ?」
「お嬢ちゃんが向かうってんなら、十二分に気をつけな。あそこのスライム達はかわい子ちゃんに目が無ぇからな……きっと、酷い目に遭うぜぇ?」
 ガハハ、と下品な笑い声を響かせる通行人。
 ロゼリアは意味がよく理解できないまま、お礼を言って見送った。うん、キミはぜひ、分からないままでいてほしい。
『なるほどね。そういう事なら、ボク達のドローンで偵察といこうか』
【なるほどね。それは名案だ】
 頭に『?』マークを浮かべたロゼリアの後ろから合流したのはユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)だ。
 彼女の両手には、ドローンが一機ずつ握られていた。
 いや、違う。正確には両手に填めた腹話術人形のそれぞれが、一機ずつドローンを咥えている。
 ロゼリアの頭に浮かんだ『?』マークが三つに増えた。仕方ないね。
 そんな訳で、ナノ山さんとテレ彦くん。もとい、ユキが。ドローンを、大空高く解き放つ。
 ――ばららら、ばらららららら。
 通行人が教えてくれた地点まで、猛スピードで飛翔していくドローン達。
 そしてその眼下に映る映像が、ユキの脳内に直接転送されてくる。
『視える、視えるよ。情報通りの離れ小島。浅瀬に一本だけ伸びる道筋。そこを全速力で走る少女の姿と、津波のように蠢くスライム達だ』
【……けどちょっと待って? 何やら様子がおかしくないかい】

 ――どどどどどどど。

「何で私ばっかり追い回されるのよー! ママーッ!」
「ピキーッ、ピキキーッ!(ロリっ娘サイコーッ!)」

 どどどどどど――

『……なるほどな』
【……なるほどね】
 そうとだけ漏らし。ユキと、ナノ山さんと、テレ彦くんの視線がロゼリアに向く。
 ロゼリアの頭の『?』マークが五つになった。仕方ないね。

 ともあれ。二人がもたらした情報は実際有益であった。
 この情報を後続へ伝達した後、二人もまた、現場へ向けて急行する事となる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

犬上・爪牙
ハーピーのコンサート……それだけであれば無害かもしれませんが、意図せずとも結果として扇動者となるのであれば別ですね

しかしまずは何よりも人命優先。【騎獣:天狼】と共に、痕跡を追いましょう
風の音、水の匂い……自然だけでなく、鳥の鳴き声、草木を踏み倒す獣道と、それを利用する人の足跡
水は生き物にとっての生命線。湖に集まる動物達は必ず痕跡を残してくれます
逆算して薬草もまた水辺の周辺にありそうですね

戦闘となれば、親子や仲間を率先して盾で庇いましょう
僕のユーベルコード、天狼に跳び乗り天狼走破にて機動力を高め、駆け抜けます
警戒されぬよう、優しくコミュニケーションを取りましょう

絡み&ネタ歓迎(真面目天然ボケ


橘・実
ハーピーかぁ。綺麗な歌声もいいすっすがそれで親子が犠牲になっちゃいけないっすよね。それにうさ耳に勝る魅力はないっす。…あ。スライムや山賊の人達にうさ耳がいかに素晴らしいかを語っても良い気がするっす。
でもま、とりあえずは親子を探すのが先決っすよね。

【SPD】行使
遺跡から俺っち自慢のうさ耳で水の音を拾って湖を目指すっす。
道中母子がいた痕跡がないか契約精霊にも手伝ってもらうっすよ。


月隠・三日月
SPD:痕跡から親子の場所を絞る
ハーピーチャンサイコー……? マジック&ウィザーズの文化、なのかな
楽しそうなのは結構だけれど、周りに迷惑をかけるのはいけないね

私は、親子を探し出して保護しに行くよ
グリモア猟兵の彼女によれば親子はスライムに追い回されて湖に落ちてしまうそうだから、スライムが通った跡……例えば粘液とかを追っていけば、見つけられるかもしれないね。あとは、草がなぎ倒された跡があるとか、足跡が残っているとか、そういったものも手がかりになりそうだ

道中スライムに襲われても、できる限り戦闘は避けたいね。私はあまり戦闘は得意ではないから……
戦わざるを得なくなったら、《忍者手裏剣》を投げて応戦するよ



●痕跡追跡隊の場合
「楽しそうなのは結構だけれど、周りに迷惑をかけるのはいけないね」
 月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)が、至極真っ当な意見と共に現地へ到着した。
「ええ。意図せずとも、結果として暴動の扇動者となるのであれば別ですね」
「そーそー。それにそもそも、うさ耳に勝る魅力はないっすよ」
 犬上・爪牙(人狼のパラディン・f06689)と橘・実(うさ耳愛・f03245)も、彼に続く。
 まずは人命優先、親子の探索から開始する。という事で一致した三人は、そのまま捜索隊を組む事となった。
 爪牙が【騎獣:天狼】にも命じて自然界に残された痕跡を追う。実も自慢のうさ耳と契約した精霊を使ってこれを手伝い、三日月はスライムや親子の通り道を重点的に探していく。
 その探索と追跡は、作戦開始からさほど時間を要する事なく実を結んだ。
 ――結んだのだが。

「早く助けてーッ! ママーッ!」
「ピキーピキキキーッ!(オマエもハーピーにしてやるー!)」
「ええと、その。だ、誰か……誰かー!」

 ちょっとだけ、想像と違う状況だったんじゃないかなと思う。

「いけません、早く助けなければ……天狼!」
 そこで至極当たり前のように通常対応を開始したのは爪牙だった。ありがとう、頼もしいぞ。
 天狼と呼ぶ大狼の幻霊、その背に跳び乗り疾走する。足場の悪さも何のその、スライムの大群と追われた少女の間に割り込んだ。
「ヒィッ!?」
「――大丈夫です。我々は貴女達を助けに参りました。どうか、ご安心を……」
 親子連れの警戒を解こうと、努めて優しく語りかける爪牙。
 疾走の最中に蹴り上げた水飛沫が宙に舞い上がり、その微笑みを美しく彩る。
 母親と思わしき女性の頬に、ほんのり赤みが差した。
 追われていた少女も、瞳をキラキラさせている。
 そこまでは、良かった。
「ピ、キー?」
「……え?」
 スライム達の視線もまた、爪牙に美しい容姿に夢中となってしまったのだ。

「駄目だ、逃げてくれ! 爪牙!」
「それは出来ない。僕は、皆の盾になると誓ってここにいる……!」
「だーっ! そうじゃねぇっしょー!?」
 三日月が一心不乱に忍者手裏剣を投げながら後退を援護するが、なんかもう、そういうので止まるような勢いのアレじゃなかった。互いにね。
「仕方ない……! そこの娘さん達、ここは任せて逃げてくれ!」
 出来る限り戦闘は避けるべきと判断していた三日月だったが、ここは腹を括った。それでも、何はともあれ親子連れに逃げるよう指示を飛ばす。
「あー、もーっ! 何なんすかコレ!」
 その中に一人、そもそも戦闘になるなんて聞いてないぞと言わんばかりの状態で騒動へ巻き込まれている実が、悲鳴交じりの声を上げていた。
 機会があれば、うさ耳の素晴らしさも語ってやろうかと思っていたが、そんな余裕は無い様子。流れ弾のように跳んでくるスライム達を避けたり、叩き落したりするので精一杯だ。
 その動作一つ一つに合わせて、頭のうさ耳が弾むように躍動する。
 ぴこ。ぴこ。ぴこ。
 ぴこ。ぴこ。ぴこ。
 ――その動きだけで、充分だったのだ。
「ピッキーー!(あ~、頭がぴょんぴょんしてるんじゃ~!)」
 語るに及ばず。うさ耳の魅力を十分すぎる程に理解してしまったスライム(ウサ耳属性に目覚めたモノ)達は、爪牙と天狼のガードを押し退けるようにして、実へも殺到していく。
「だーかーらー! 何でそうなっちゃうかなぁ!?」
「ま、実くん! 今少しずつ数を減らすから、何とか持ちこたえてくれ!」
 スライム達に押し込まれそうになる実を庇うように、三日月が武器を振るい続ける。頑張れ三日月、キミが最後の砦だ!

 そんなこんなで。事態が収拾するまでに、もう少し時間を要する事になるのだが、それはまた別のお話。
 この三人が迅速に現場へ駆けつけたお陰で、親子連れは一時的にとはいえ、危機を脱する事が出来たのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

空雷・闘真
【宇宙バイク】に【騎乗】し、【バトルアックス】を振り回しスライム達を薙ぎ払いながら、闘真は進んでいく。
程なくして母娘を見つけ、
「よぉ、よかったら乗ってくかい?」
【コミュ力】で母娘に警戒されないよう説得する。彼にとっては、ある意味戦闘よりも疲れる作業だ。
母娘をバイクの後ろに乗せ、しばらく進むと、再びスライム達が襲ってきた。
先程と違い、今は後ろに母娘を乗せている。スピードを出せば母娘が振り落とされるし、【バトルアックス】を振り回せば母娘を巻き込んでしまう。
「仕方ねぇ。俺の流儀じゃねぇがこいつを使うか」
闘真は【アサルトウェポン】を取り出し、【二回攻撃】でスライム達に威嚇射撃をしながら進んでいった。


ワズラ・ウルスラグナ
ハービーに群がる山賊か。
一瞬ハービー救出作戦かと勘違いしそうだが、まあ皆殺しだよな。
それはさておいて、先ずは人命救助からだ。

基本方針はスライムを薙ぎ払いつつ親子を探す。
御誂え向きに【なぎ払い】の技能もあるしな。使える技は使っていこう。
親子がスライムに追われるというなら、スライムを追っていけば親子を見付けられるかも知れん。そうでなくともスライムという脅威は確実に減らせるだろう。

親子を見付けたならその保護を最優先にする。
盾や武器を構えて庇い、時にカウンターで打ちのめす。
親子を襲おうとするスライムが居ればドラゴニアン・チェインで爆破し、繋いだ鎖を【怪力】で手繰って引き剥がすぞ。


アリス・スノウライト
二人の場所が分かったのは幸いね!
あたしも現場に急行して、敵と女の子たちの間に割り込んで盾になるわ!
ろ、ロリっ子ってことならあたしもギリセーフよね?駄目かしら?…とにかく、注意をこっちにひきつけられないかしら。

ひとまず真っ先に飛び込んで、
ユーベルコードの【バトルキャラクターズ】でウサギさん達をよびだしつつ、
【時間稼ぎ】で味方が着くまで足止めするわ。
出来る限り大暴れして、足止めしても余裕があるようなら少しでもダメージを与えられるよう頑張るわ!


稲宮・桐葉
親子の居場所は突き止められたのじゃな
情報感謝するぞ
最悪の結果を避けるためにも先ずは親子を助け出さねばの
薬草探しはその後でも遅くはあるまい

ふむ…スライムとやらは確か、こんぴゅ~た~げ~むとやらで、最初に出てくる雑魚じゃろう?
楽勝じゃ!蹴散らしてくれるわ!

…って、よもや妾を無視するのか!?
妖狐の名に懸けて何としても振り向かせてくれようぞ!
誘惑してやるのじゃ!
スライムどもを親子から引き離したら、フォックスファイアで焼き払ってくれるわ!

薬草の自生地のぅ…
妾の生まれ故郷と似たような環境ならば目星がつくやも知れぬな



●現場突撃愚連隊の場合
「二人の場所が分かったのは幸いね!」
「親子の居場所は突き止められたのじゃな!」
 先発隊の報告を聞いて、急いで戦場へ駆けつけたのはアリス・スノウライト(0/1 rabbit・f00713・バーチャルキャラクターの10歳女性)と稲宮・桐葉(妖刀に魅入られた戦狐巫女・f02156・妖狐の18歳女性)だ。その報告を聞いた上で、よく来たな。

「ピッキーー!ピキピキー!(ヒャッハー、女の子だー!)」
「妾を無視などさせぬ、誘惑しt――いや待ったすまんやっぱ今の無しぎょえー!?」
「うっきゃー!?」

 という訳で話の途中だがスライムの群れだ、楽しんでいって欲しい。
 
「くっ……馬鹿にするでない! このような雑魚もんすたー、焼き払ってくれるわ!」
 想像以上のスライム達に囲まれた桐葉は、少々涙目になりかかりながらも、キッと眼力を強めてユーベルコード【フォックスファイア】を発動させる。
 フォックスファイア――それは、十五にも及ぶ狐火を放つ強力なユーベルコード。
 ただでさえ多数の弾幕を張る事が出来る上に、一つ一つの狐火を全て個別に操作でき、しかも複数合体で強化できる。
 彼女の言葉通り、スライム程度の下級モンスターであれば一方的に蹂躙できる攻撃手段なのだ。

「――おや? 火が点かぬ?」

 けどごめん。成功判定がファンブった。

「何故じゃーーーー!?」
 バッシャァァァァァン!!
 納得いかん、とばかりに伸ばした右腕。それ以外の全身をスライム達に纏わりつかれて、桐葉は湖の浅瀬に転倒していった。

「ろ、ロリっ子ってことならあたしもギリセーフよね? 駄目かしら?」
 そんな桐葉の惨状を見届けて、引き攣った笑いを浮かべながら、誰へともなく言葉を漏らす125cmで黒いふわふわのドレス着てるお嬢さん。なぜ駄目だと思った。
「ピッキキーッ!」
「ウ、ウサギさーんッ!!」
 跳びかかって来るスライムから逃れるように身を引きながら、アリスがユーベルコード【バトルキャラクターズ】を発動。瞬時、十を数えるウサギ達が場に召還される。
 そう、ウサギ。
 それはつまりは、うさ耳であった。
 ……なんかこの流れ、既視感ない?
「ピッキーー!(あ~、頭がぴょんぴょんしてるんじゃ~!)」
「ウ、ウサギさーんッ!?」
 物凄い勢いでスライム達に飲み込まれていくウサギ達。
 アリスの、動揺の色が濃厚な悲鳴が響きわたる。
 あ、でも待って?
 ちょっとピンチだけどこれ、アリスの目的である『注意を引きつける』事と『時間稼ぎ』という点においては十全な成果だったりするのではないか。うん、これはこれで――
「ピキーーッ!(お前もだよーっ!)」
「あ、やっぱりーっ!?」
 世の中、そんなに甘くはないようですね。
 そんなこんなで仲良く水辺に転がされてしまう事となった二人。だが、大きな怪我をする事はないでしょう、所詮はスライムですので。
 服とか、ちょっとだけ溶かされちゃうかもしれないけどね。
 ともあれ、結果的にスライムの大群を押し留める事に成功した二人の戦果は決して軽くないのである。

「……キリが無いな。だが構わん、皆殺しだ」
 ワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)もまた、水辺にてスライムの群れと対峙していた。周囲の仲間、その凄惨な状況を見て尚、盾と武器を握る力を強くして戦意を高揚させていく。
 彼は、生粋の戦闘狂であった。その生は、求め得る最高の戦いの為にある。
 このような雑魚達では最高の戦いには程遠いが、せめてこの状況の中で、最善の戦いを行ってみせようか。
 全身の骨、神経、筋肉と感覚を繋いでいく。いつでも、瞬時に全力駆動させられるように。集中。深く、集中する。
 ――さぁ、どいつから死にたいんだ? かかってくるがいい。
 漆黒の龍肌から覗く金色の視線が、獲物達に向けられる。
 ヤツらが、動いた……!

「ぴきー……」(散開)

「待たんか貴様ら!!」

 大いなる龍の怒号が轟く。
 スライム達は誰が見ても分かりやすいくらい、ワズラへの興味が薄い様子だった。 推測するまでもなく、女性的な魅力を感じないからであろう。いや、感じる要素があるはずもないのだが。
 なんというか、ここまで態度が徹底的だと、いっそ清々しい。
「ふざけやがって……!」
 だが戦いを重んじるワズラにとって、スライム達のこの態度は、少々許しがたいものであっただろう。巨大な武器を振り回し、目に付くスライムを片っ端から薙ぎ払っていく。
「――む。アレは……」
 その中で、とうとう目的の親子を発見した。
 自らの立つ水辺ではなく。離れ小島と陸を繋ぐ、細く、道になっている部分。
 随分と少数ではあるが、スライム達に追われている様子だった。
「オオオォォォォッ……!!」
 そのスライム目掛けてワズラのユーベルコード【ドラゴニアン・チェイン】が打ち込まれる。相手は抵抗することも出来ずに、木っ端微塵に爆ぜた。

 ――ぱらりらぱらりら。

 ――ぱらりらぱらりら!

 !?

 そこへ、一機の単車が乗り込んできた。
「よぉ……良かったら、乗ってくかい?」
 その宇宙バイクに跨っていたのは空雷・闘真(人間のバーバリアン・f06727)
 6月12日生まれの40歳。伝説の古武術《空雷流》最強の使い手にして継承者。
 スポーツ化した格闘技や武道に馴染めず、ルールのない戦いにおける真の強さを追求し続けた結果、それが高じて傭兵になり、世界中の戦場を巡っては数多くの人間を素手で殺し続けた危険な漢。
 肩に担いだ【バトルアックス】で、逃げ回るスライム達を薙ぎ倒しながら、ここまで来たのだ。その刃は、特に血に濡れてはいなかった。相手がスライムだからだ。
 とにかく、闘真は。その【鋭い眼光】で母娘を射抜きながら。この世界で多分見たものはいないだろう【宇宙バイク】に。【騎乗】れ(のれ)と誘ったのだ。
 説得。それは彼にとって、戦闘よりも余程疲れる作業だった。
 だが。だが彼には【コミュ力】があった。その【技能】を持っていた。

「はい……お願いします……」
「オーケー。振り落とされンなよ?」

 闘真は【アサルトウェポン】を取り出し、【二回攻撃】でスライム達に威嚇射撃をしながら見事に【宇宙バイク】を操り。
 救出対象の親子連れを、安全な場所まで避難させた。


「なにあれ」
「なんじゃあれ」
「なんだあれは」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:カツハシ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハーピーちゃんは、まだまだ歌っている
「皆さん、本当にお疲れ様でした!」

 本当に。お疲れ様でした。

「皆さんの活躍のお陰で、現場に迷い込んだ親子連れは無事に保護することが出来ました!
 次はいよいよ、ハーピーを取り囲む山賊達の討伐! 戦闘ですよ!」

 むしろ、さっきまでの大騒ぎは戦闘じゃなかったのか。

「あの山賊達は一応人間ですが、長く自然の中で悪行を続けているせいか、すっかり知能が低下。魔物と区別をつける事ができない程となってしまっています」

「ハーピーちゃん……! 嗚呼、ハーピーちゃん! ハァ、ハァハァ……!」

 うん。そうみたいですね。

「なので遠慮は要りません! ばっちり、懲らしめてあげて下さい!」
空雷・闘真
【宇宙バイク】を走らせ、思い切り加速を付けて【騎乗】技能でジャンプ。

空中で更に加速して【捨て身の一撃】の構えを取り、【宇宙バイク】を【武器】にして、思い切り山賊の群れのど真ん中に【グラウンドクラッシャー】を叩き込む!



●ブッ込みの闘真
 ガ、ウウゥゥゥン――!
 轟音が響き渡る。
 空雷・闘真(人間のバーバリアン・f06727)が宇宙バイクで戦場を駆け抜けているのだ。
 グォォォオオン、ォン、オン――!!
 加速。更に、更に加速していく。
 この世界に、整備されたアスファルトの道は無い。
 水気を吸ってぬかるんだ、剥き出しの大地。
 覆い茂った草花と大小入り混じった石。
 激しく振動する車体を巧みな操縦技術で抑え込み、バイクの速度計はレッドゾーンを越えていく――!
「ンッッだテメェこら! 喧しい音を響かせやがって!
 止まりやがれ! ハーピーちゃんの歌が聞こえなくなるだろぉがよォ!?」
 その疾走にケチをつける山賊達がいた。
 鉄製の長棍棒を肩に担ぎ、腰を地面すれすれまで落とした格好で進路を塞いでいる。
 口は布製のマスクに覆われていたが、こめかみの辺りをビキビキいわせながらメンチを切っていた。
 ――ギャ、ォォオオオオン!
 だが、これに対して、闘真は言葉を返さない。
 その代わりに宇宙バイクが高く咆哮をあげ、宙に舞い上がった。
「なッ――てめェ!?」
 山賊が驚愕の声をあげた時には、もう遅い。
「ぐわァァァァッ!!」
 闘真の駆る宇宙バイクは最強の武器と化し、それを利用した捨て身の一撃――ユーベルコード【グラウンドクラッシャー】が周囲の地形ごと、山賊達を吹き飛ばした。

「――べらべらと御託ばっか並べてンじゃねぇよ……」
 戦場じゃあ、そういうヤツから死んでいくんだぜ。
 そう、背中で語りながら。
 闘真は再び、宇宙バイクを走らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユキ・コシイ
【WIZ対応】

よせ、そんな汚い叫びあげるな…やめろ、やめて(腹話術を忘れるレベル)
はた迷惑なファン…強引な勧誘や…他所に迷惑を波及させるのは、タブーと知りなさい。
とはいえ一度は歌を愛したもの、手向けとして…せめて、私の【歌唱】に抱かれ…安らかに眠れ。

という訳で?ユーベルコード・「The Purple」で山賊の皆様には…動きを止めていただきます。
あとはスケサンでもカクサンでも誰でもよいので…けちょんけちょんにのしてやってください。
…さあハーピィちゃん、どちらの歌の力が彼らの心を捉えるか…勝負!


犬上・爪牙
スライムは女性の大敵と聞いたことはありますが、予想以上に恐ろしい相手でした
若干野生の勘が生命とは違った危機を感じました

しかし気を取り直して山賊相手、遠慮は無用
……ハーピーに魅了され、かつ男である山賊なら、先程のような事はないはず。うん、大丈夫大丈夫
他に目移りするようであれば、女性は一層危険。身を挺して護りましょう

炎の魔力を用いたトリニティ・エンハンス。攻撃力を重視して向上
盾で護り、味方を庇い、手早く殲滅しましょう
地形を利用して脚を取られぬよう気を付け
一刀一刀に殺気を込めて恐怖を与えます
……変態(見下しストレートな罵倒
しかし油断はせぬよう。変態とて戦闘技術は別物ですから

絡み&ネタ歓迎(実は照れ屋


月隠・三日月
ああ、ひどい目に遭った……私自身はそういう意味では大丈夫だったけどね。恐ろしいスライムだった……戦闘力だけが、ヒトを恐怖させるわけでは、ないのだね

……あの山賊達も、かわいそうに……
でも、こうなってしまっては仕方が無いね。《妖刀》を振り回して、【羅刹旋風】を喰らわせるよ。
私はあまり戦闘は得意ではないけど、羅刹だから筋力はある。要するに力押し、だね
とはいえ、元々羅刹旋風は当たりにくい技だし……当たらなくてもいいから、とにかく彼らの気を引く方向性で立ち回ろうか。彼らが私に注目すれば、味方もやりやすくなるだろうからね
相手に<殺気1>をぶつけたり、<恫喝1>するのも、私に注目を集めるためには効果的かな



●ヤツらの心を奪え!
「スライムは女性の大敵と聞いたことはありますが、予想以上に恐ろしい相手でした」
「ああ、ひどい目に遭った……」
 犬上・爪牙(人狼のパラディン・f06689)と月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)が今、一つの激戦を潜り抜け、戦場へと合流する。
 戦場を爆走するバイク、それに蹴散らされていく山賊達。
 そんな少し混沌とした戦場に立っても凛とした面持ちの爪牙に対し、三日月の足取りには少々の疲れ――否、気疲れの色が見えていた。お疲れさま。
「なんだテメェらは!
 ハーピーちゃんの歌の邪魔をするってんなら、ただじゃおかねぇぞ!」
 そんな二人の前に、刃物で武装した多数の山賊達が立ち塞がる。
「この山賊達もかわいそうに……」
 彼らも元は善良な心を持っていた。それが、ハーピーによる魔性の歌に冒され、このような暴徒に――という、もっともらしい経緯だったのかどうかは、三日月には知る由も無いが。
「でも、こうなってしまっては仕方が無いね。覚悟してくれ!」
 最早、情けは無用。手にした怪刀を振り回し、ユーベルコード【羅刹旋風】を発動させた。
 一度、二度、三度と。演武のように刀を振り回していくうちに、一振りの重みが増していく。気がつけば、その刀身は嵐を宿したが如き有り様となり――なんかもう、素人が傍から見てもヤバい感じになっていた。
「お、おいおいおい……」
 ハーピーの歌により、ある意味正気を奪われている山賊達にも動揺の声が上がり始める。
「往くぞ! ――とあああああぁぁっ!!」
 グォンッ!!
「――危ねえっ!?」
 バキャッ!!
 三日月の振るった刀が、先ほどまで山賊が立っていた大地を抉り取るように破壊した。
 当初、手にしていた刃物で剣戟を受けようとしていた山賊だったが、青冷めた表情で口元を引き攣らせている。
「まだまだ! はああぁぁぁぁっ!!」
 ドゴォッ! ゴシャッ!
 三日月が一撃を振るう度に轟音と共に土飛沫が上がる。
「な、なんだ! なんなんだコイツ! バーバリアンか!?」
「いや、聞いた事があるぞ!
 近頃、何処からともなく現れたSAMURAIウォーリアー……この荒々しさは、その中でもSATSUMA=RYUと呼ばれた連中だ!」
「よく分からねぇがヤベー奴だ! おい、あいつから先に潰せ!!」
 山賊達はお互いに声を張り合った後、三日月に向けて無数の石つぶてを投擲してきた!
「むっ……!?」
「――させません!」
 キィィン――ガ、ガガッ!
 刹那。宙に深紅の剣閃が疾走する。
 【トリニティ・エンハンス】により火の属性を得た爪牙の一撃が、三日月へ向けて放たれた石つぶての悉くを切り裂き、弾き飛ばし、或いは灼き焦がしたのだ。
「ありがとう爪牙。助かったよ」
「いえ、ご無事で良かった」
 振り替えた剣を構えなおし、山賊達を睨みつける爪牙。
「チィ……」
 自分達の不利を悟ったのか、山賊が苦々しく唸り声をあげた。
 その時。

 ――――♪ ――♪ ――♪♪

 戦場に、歌が流れた。

「ハーピーちゃん……! ウオオォォッ! ハーピーちゃん!!」
 この歌声に呼応するように歓声を上げ、士気を高揚させる山賊達。
「くっ、やはり元凶を絶たねば、ヤツらは止まらんか……」
 三日月が苦い顔を浮かべ、妖刀を構え直す。
「……よせ、そんな汚い叫びあげるな……やめろ、やめて……」
 そこへ、別方向からユキ・コシイ(失われた時代の歌い手・f00919)が戦場に合流した。
 手にした人形に腹話術で喋らせる事も忘れ、すっかり魔物の歌に洗脳されてしまった山賊達を、並々ならぬ想いで睨んでいる。
「ンだぁ、テメェは……」
 当然のように、山賊達が武器らしい物を一切持たないユキを、一斉に取り囲み始める。
「いけない……!」
 その様子を見た爪牙が叫び、三日月が妖刀を手に走り出す。
 危機一髪の状況に思えた。
 だがユキは、決意を籠めた瞳で一度山賊達を見据え後、とても穏やかに瞼を閉じた。

 ――♪ ――♪♪ ――――♪

 やがて、彼女のサウンドデバイスから紡ぎ出されたのは【ポップス「The Purple 」】
 ユーベルコードとして昇華された、ユキの歌だ。
 ただ、ただ君に会いたかっただけ――
 歌詞に籠められた想いがメロディに乗って、聴く者の心を強く打つ。
「な――んだ――?
 違う。オレは……オレ達は、ハーピーちゃんの歌を……」
 言葉とは裏腹に、ユキの歌に聞き入ってしまって、山賊達は動けない。
【さぁ、今だよ】
『スケさん、カクさん。懲らしめてあげて』
 ユキの両手に嵌まった人形達が、爪牙、三日月へ身振り手振りとメッセージを送る。
 ちなみにこの時、ユキ本人は顔色一つ変えずに歌唱に集中しているように見えた。すげーな腹話術。
「分かった。一気に決めるぞ!」
 この機を無駄にすまいと三日月が妖刀を振るい、複数人の山賊を纏めてなぎ倒していく。
「ちくしょう、黙りやがれ!」
「やらせない!!」
 劣勢の元凶となっているユキの歌を止めようと踊り出る山賊の一撃は、爪牙が前に出て確実に受け止める。
「て、てめぇ……!」
「観念して投降するんだ。さもなくば、容赦できない……!」
 鍔迫り合いをする格好となり、爪牙と山賊が至近距離で向き合う。
「てめぇ……よく見ると、結構美人じゃねぇか!?」
「――なッ!?」
 どうしてそうなった、とばかりの山賊の――困った事に嘘偽りの無さそうな一言に押され、思わず一瞬目を丸くしてしまう爪牙。
「ハーピーちゃんには適わねぇが……どうだい、この後オレっちと――」
「……変態」
 爪牙は冷たく、見下しきった眼で言い放って。
 彼のお誘いに対する返答として、灼熱の剣戟を見舞うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

稲宮・桐葉
真の姿を解放じゃ!
尻尾が9本になりモフモフ度アップ!

スライムめ…妾の衣を台無しにしおって…。動きにくいのじゃ

今度はハーピーに誘惑された山賊どもか!…なんだか様子が…おぞましい感じじゃの…
じゃが!たかが山賊。スライムでの失態ここで挽回させてもらうぞ
ゆくぞ!フォックスファイアなのじゃ!

ハーピーに悪意はないかもしれぬといっても、この状況はあんまりなのじゃ
キツイ仕置がひつようじゃのっ

…よもや、またフォックスファイアをしくじる事は無いと思いたいが、仕損じたら全力で逃げ回るのじゃ
これ以上は衣が危険じゃからの

誘惑して腑抜けさせ他の猟兵に敵を討ってもらうのも手かの?


橘・実
おおーっバイクの兄さんかっこいいっす!
俺っち達も頑張るっすよー!

うさ耳属性に目覚めた生き残りスライムたちを連れて盗賊退治っす!
うさ耳大好きスラちゃんたち!山賊たちにうさ耳の素晴らしさを広めるべく懲らしめてやるのですっっす!(びしっと山賊たちに指を向ける)
あっ、でも山賊以外を襲うのはダメっすよ!良い子にはうさ耳カチューシャ贈呈っす!
スラちゃんたちに山賊をてきとーに懲らしめてもらって俺っちと契約精霊は援護射撃やらスラちゃんずに声援(指示)をおくりたい。

うさ耳って最高っすよね!

(どこまでも本気です)
(他の第六猟兵の邪魔をするようなら採用なしにしてください)


アリス・スノウライト
はぁ…はぁ…大変な目に遭ったのだわ…!(スライムにいくらか溶かされた服をなんとか着替えつつ)

【SPD】
山賊さん…力じゃ押し負けそうね。……こ、怖い訳じゃないわ!
まず、UC【天翔けるグリフォン】でグリを呼び出して背中に乗るわ。
それから、わたしたちの姿を【迷彩】で出来るだけごまかして…っと。
【バトルキャラクターズ】のうさぎさんたちを消しかけて、そっちに敵の注意を向けさせている間に、
ぬかるんだ道で足音が鳴らないように、空から突撃するわ!
不意打ちの一撃ね!

「ええい、手加減はいらないわ!グリ、やっつけて!」



●そして、伝説へ――
「おおーっ、皆さんかっこいいっす! 俺っち達も頑張るっすよー!」
 先陣を駆ける猟兵達の姿を遠目に眺め、元気の良い笑顔を見せる橘・実(うさ耳愛・f03245)
 そしてその後ろに群がっているのは驚くなかれ、大量のスライム達(うさ耳属性に目覚めたモノ達)であった。
 どうやら実は、スライム達に求愛――もとい追い回されてしまっているうちに、一種の仲間意識に目覚めてしまったらしい。狂気判定ミスったのかな。
「さぁ、うさ耳大好きスラちゃんたち!
 山賊たちにうさ耳の素晴らしさを広めるべく懲らしめてやるのですっ、っす!」
 びしぃ、と。小高い岩の上で、眼下に群がる山賊達を指差し号令をかける実。
 流石にスライム相手に、その指示通じなかった。のだが――
「良い子には、うさ耳カチューシャ贈呈っすー!」
 ぽーい、っと。
 実の投げ込んだうさ耳カチューシャが宙に揺れる。
 ぴこ。ぴこ。ぴこ。
 ぴこ。ぴこ。ぴこん。
「……あ? なんだこりゃ」
 これを、山賊の一人がキャッチしてしまった。
 ――そして、ヤツらが動く。
「ピッキーー!!(あ~頭が以下略)」
 びちょん、びちょん、びちょん――と、激しい音を立てながらスライム達が殺到していく。その様は、まるで陸を走る大津波のようだったと、同じ戦場にいた猟兵は後に語ったとかなんとか。
「な、なんじゃあああああ!?」
 訳が分からず、スライムの群れに飲み込まれていく山賊達。

 ぐっちゃぐっちゃ。
 にゅるにゅるにゅる。

 その光景に、トラウマを刺激された猟兵が、二人ほどいた。

「手加減はいらないわ! グリ、ウサギさん、やっつけて!」
 それまで迷彩の技能を使って姿を隠していたアリス・スノウライト(0/1 rabbit・f00713)が、自ら召還した白いグリフォンに跨りながら力強く吼えた。
 ゲームデバイスを操作して作り上げたウサギ達も、兵士のように従えて。
 一つの小隊と化したアリス達が、天空から急降下してなだれ込んでくる。
「親分! 親分、空から女の子が!!」
「お前それ言いたかっただけだろぐわァァァァッ!?」
 十分に加速のついた突撃をもろに受けて、スライムごと吹き飛ばされていく山賊達。
「はぁ、はぁ……大変な目に遭ったのだわ……!
 大変な目に! 遭ったのだわ!!」
 暴れまわるグリフォンの上で声を荒げながら、何度も攻撃の指示を飛ばすアリス。
 山賊達にとっては身に覚えない士気の高さでもって、ほぼ一方的に敵を蹂躙していった。
 
 ――そして、もう一人。

「真の姿を解放じゃ!!」
 げきおこ妖狐。
 稲宮・桐葉(妖刀に魅入られた戦狐巫女・f02156)が、言葉通り真の姿を開放した!
 これにより尻尾が9本になり、モフモフ度アップ! やったね!
「今度こそ、塵も残さず灼き尽くしてくれる!
 ゆくぞ! フォックスファイアなのじゃ!」
 高らかに宣言して、ユーベルコード【フォックスファイア】を発動させる桐葉。
 ゴ、ォッ――!
 瞬間、蒼天に浮かび上がる数多の狐火。しかもなんか妙にデカい。
 この現象に驚いた山賊達は一斉にどよめき、スライム達を押し退けながら何事かと周囲を見渡して――
「見ろ! あんな所に、衣服のはだけた狐娘が!!」
「な、なんだって!? うひょーっ!」
 桐葉の姿を認めた山賊達は、恐怖の声より先に歓声をあげた。脳が半分溶けてるからね。仕方ないね。
「――いい度胸なのじゃ。きっっつーいお仕置きが、必要じゃな!!」
 ヒクヒクと口元を引き攣らせながら山賊を睨む桐葉。
 直後、無数の狐火が、宛ら流星のように大地へ降り注いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ハーピー』

POW   :    エキドナブラッド
【伝説に語られる『魔獣の母』の血】に覚醒して【怒りと食欲をあらわにした怪物の形相】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    ハーピーシャウト
【金切り声と羽ばたきに乗せて衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ハーピーズソング
【ハーピーの歌声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:+風

👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――かくして。

 爆走するバイクだの。地形ごと抉り取る風と炎の斬撃だの。空から降ってくるグリフォンとウサギの群れだの。戦場一面を覆いつくす無数の狐火だのが、どったんばったん大騒ぎを終えた頃。
 
『――――♪ ――♪ ――♪♪』

 戦場を包んでいた二つの歌が、ほぼ同時に鳴り止んで。

 そこに立っていたのは、我らの猟兵達と。

『……?』

 気持ちよく歌を歌い終わったハーピーちゃん、ただ一匹。
 ハーピーは、辺りの惨状にようやく気がついたようで、ぐるりと周囲を見渡した後。猟兵達へ向けて、屈託の無い笑顔を向けました。

『ふふっ。あいつら、正直そろそろウザったかったんだよねー。アリガトッ!』

 あー。腹黒かったかー。
 と、後ろにいるウィンドボイスが小さく呟いたとか、なんとか。
 それより、当たり前に喋ってる事をつっこむべきだと思います。

『で、キミ達が新しいファンの人? 違うの?
 ふーん。なら、死んじゃってね』

 などと、にこやかに足の鉤爪を向けてくるハーピーちゃんなのでした。
七篠・コガネ
●POW・絡みご自由に
あれが…ハーピーという奴です?初めて見ました…
えと…歌ってたところをこんにちは!
でも悪気はなくても悪い事なんてさせません!

クリムゾンティプトを使用
鉤爪なら僕にだってありますよ
そちらから来るのなら、こちらは攻撃力を重視して
【武器受け】を駆使しつつ迎え撃ちましょう

あ、でもそんな…可哀想な顔されちゃうと
ちょっと心が痛むのです…って…
そんな心配は無用ですね。顔怖そうだし…
言っておきますが、僕は食べられるところはありませんよ?
体が機械ですからね…

Heartless Left(装備武器)を瞬時装着して
足の裏を刺してみるのですよ
ごめんなさい、武器は鉤爪だけではありませんでした


ロザリア・ムーンドロップ
また山賊みたいにハーピーの歌声を聞いて村を襲撃する人や魔物が出ないとも限りませんし
ハーピー自身も人を傷つける存在かもしれません

ここまで来たんですから
このままやっつけちゃいましょう

【ウィザード・ミサイル】で攻撃ですね
なんか色々燃えやすそうな恰好をしている気がしますから
とりあえずふさふさしたところを狙ってみますね
手でも足でも、狙いやすいほうを選びましょう

あのふさふさ、一体なんなのでしょう?

ハーピーの歌声、共感したら強くなれるんでしょうか
あ、でも、共感はしたくないです
盗賊はハーピーにとって仲間ではなかったかもしれませんが
歌を聞いてくれた、周りにいてくれた人を
邪険に扱う姿勢は、私は好きではありません


橘・実
スラちゃんたちは山賊ごと散らされたようっすね…安らかに眠るっす!
ささっ。次はハーピーちゃんっすね!

【SPD】
うさ耳属性な契約精霊に硬質な魔法媒体の杖に変身してもらって、後方からの援護射撃や属性攻撃をメインに戦闘を行うっすよ!
こちらへの攻撃は自慢のうさ耳で音を拾ったり野生の勘を頼りに出来るだけ回避したり受け流したりしたいっすね。

戦況を見てここぞなときに【バニーさん体験コーナー】を。
ハーピーちゃん可愛いっすが腹黒なのが残念っす。ここはうさ耳ぱわぁで真っ白なうさぎさんのごとく改心(浄化?)してもらうっす!

【戦闘終了後】
お疲れ様っすよ!
戦場でご一緒した人達にお詫びも兼ねてうさぎ型クッキーを配りたい


月隠・三日月
SAMURAIウォーリアーにSATSUMA=RYU……? なんだか私、誤解されている気がするのだけれど……
ところで、あのハーピーが大将――つまり、大将首だよね? ねえ、大将首だよね、君。
大将首を前にすると、ついドキドキしてしまっていけないね。喜ぶのは首級を挙げてからにしようか

【降魔化身法】で妖怪・悪鬼・幽鬼と融合変身して、甲冑を纏うよ。代償を伴うユーベルコードだけど、その分強力だ。敵の隙を見て《妖刀》で斬りかかるよ
<殺気1>を放って敵を驚かせるのも、有効かもしれないね

ハーピーが攻撃してきたら、甲冑で受けるよ。刀で受けるのは、難しいからね……
声での攻撃など、防御が難しければ射程範囲外まで離れるよ


稲宮・桐葉
ふむ…盗賊たちを扇動して周囲の村を手あたり次第襲撃というくだりを聞いた時から察してはおったが…腹黒じゃったのじゃな

ハーピーも殺る気満々のようじゃし、わらわも飛ばして行こうかの

空を飛ぶ相手ゆえ、接近戦は難しかろう
まずは間合いを取って雷上動で翼を狙撃し、動きを鈍らせるのじゃ
そのまま援護射撃で仲間の補助をしようかの

機巧大狐ちゃんは、わらわや仲間をかばうように行動させるのじゃ

ムラサマブレードが、わらわとハーピーのどちらが誘惑が強いのか試せなどと申してくるが、面倒じゃから無視じゃ
…それにもし負けたら悲しいからの

人の心を弄ぶのはよくないのじゃ
…自分で言って少々耳に痛いが…わらわはもふもふでお返ししておるし


アリス・スノウライト
作品と作者はベツモノ、って言うのはよく聞く話だけれど
きれいな歌声なのに、腹黒さんなのね…(意外そうな目)
ファンは大事にしないと、あとでぼっちになっちゃうかもなのよ

せっかくだから真の姿を開放するわ!
とはいえ、うさぎ耳としっぽが生えるだけなのだけれど
でもやっぱりこっちの方が落ち着くわ

【SPD】
あたし達が盾になるわ!
【バトルキャラクターズ】でうさぎさんたちを呼び出して
皆の盾になるように攻撃を受けさせるわ。
広範囲攻撃が来そうだったらそのまま、集中攻撃が来そうだったら合体させて受け止めるわ。

余裕がありそうなら、合間合間に攻撃をするわ
くらえっ、うさぎさんのもふもふ体当たりなのよ!

*アドリブ・絡み・連携歓迎



●ハーピーちゃんと猟兵達のエントリー
『さーて、と……キミ達がアタシの相手ってワケね?』
 にんまりと余裕の笑みを浮かべるハーピーと対峙したのは、六人の猟兵達。
「えと、歌ってたところをこんにちは!
 でも悪気はなくても、これ以上悪い事なんてさせません!」
「しかしまぁ、前からある程度は察しておったが……とんだ腹黒だったんじゃな」
 長身のウォーマシン、七篠・コガネ(優しい向日葵はどこ行くの?・f01385)と、その背から顔を覗かせながら、稲宮・桐葉(妖刀に魅入られた戦狐巫女・f02156)が言葉を投げかける。
『腹黒とか悪者扱いとか、ひっどいなぁー。
 アタシは気持ちよく歌を歌う。それを聴いたヤツらが喜んでくれてファンになって、色々お世話してくれる。
 これってステキな関係だと思わない?』
「ですがその結果、深刻な被害を受ける人々がいます! 貴女の手先になった山賊達も、無傷では済まないでしょう!」
『そんなの知ーらない。また適当な所で歌っていれば、新しいファンは勝手に寄って来るしねー』
「作品と作者はベツモノ、って言うのはよく聞く話だけれど……きれいな歌声が嘘みたいね」
 ロザリア・ムーンドロップ(月夜の雫・f00270)とアリス・スノウライト(0/1 rabbit・f00713)も、ハーピーの態度に呆れ気味である。
「もういいさ。君を成敗すれば話は解決する。
 つまりは大将首。ねえ、大将首だよね、君」
 大将首を前にすると、つい胸が躍ってしまっていけない。これも優秀なSAMURAIウォーリアーの性というものか。
 ユーベルコード【降魔化身法】を発動させながら、月隠・三日月(黄昏の猟兵・f01960)が妖刀を構える。
「ささっ。それじゃあ始めるとするっすかね!」
 最後に橘・実(うさ耳愛・f03245)が、頭のうさ耳を軽快に跳ねさせながら、戦いの始まりを告げた。

●ハーピーちゃんリサイタル、開催
「それじゃあ、あたしも真の姿を開放するわ!」
 開戦と同時にアリスが叫ぶ。
 ぽんっ、ぽぽんっ!
「うおっと! ナイスなうさ耳っす!?」
 頭にうさ耳、腰にうさ尻尾を生やしたアリスの姿に、すかさず実が反応。最上級のサムズアップとウィンクを飛ばす。その裏で、俺っちの方が似合ってるけどね、とかいう対抗心を燃やしている可能性も否めないが。
「まずは奴の翼を封じるのじゃ! 前を頼むぞ、機巧大狐ちゃん!」
「そ、それじゃあ、僕達も!」
「承知。行こう!」
「あたし達が盾になるわ!」
 翼を拡げて威嚇するハーピーに対して真っ先に飛び出したのは、ユーベルコード【バトルキャラクターズ】でウサギの群れを呼び出したアリス。
 桐葉も自律式のキツネ型ロボットを囮として走らせ、それにコガネと三日月が続く形となる。
『――――ッッ!!』
「きゃぁぁっ!?」
『アハハッ! いいよ、纏めて殺してあげるッ!』
「――ぬ、ぅッ!?」
「鉤爪なら、僕にだってありますよ……!」
 これを迎え撃つようにハーピーは先ず、シャウトによる凄まじい衝撃波を繰り出し、迫り来るウサギ達を押し返した。
 この後ろに続く形で迫り来る二人に対しては、自慢の足に備わった鉤爪を振るって応戦する。まずは細身の妖刀で受ける事に不安を感じた三日月が、妖怪・悪鬼・幽鬼と融合変身する事で得た甲冑で、これを受け止めた。
 甲冑自体は十分な頑健さを持っていたが、変身の代償として受けた無数の出血傷が甲冑の下で三日月を蝕んだ。思わず、声が漏れる。
 そしてこれに対して助太刀するように、コガネがユーベルコード【クリムゾンティプト】によって鋭い鉤爪に変形させた手先を振るい、ハーピーの鉤爪を払い退けた。
「今です! 受けなさいッ!!」
「行くっすよ!」
 前衛達の働きを無駄にはするまいと、ロザリアがユーベルコード【ウィザード・ミサイル】を発動。炎属性を帯びた魔力の矢を降らせ、実もまた魔法媒体の杖から魔力での射撃を行い、それぞれハーピーの翼を狙う。
『アハッ! やらせないよォッ!!』
 だが、ハーピーはこれに対しても再びシャウトによる衝撃波を放ち、二人の攻撃を無力化、或いは無力化に等しい状態まで威力を相殺させてみせた。
『ほらほら、そんなもんなの? ――ッッ!!』
「うさちゃん達、合体して防御! ――う、あぁぁっ!?」
 加えて三度、追撃として猟兵達へと放たれた衝撃波。
 この攻撃を察知したアリスと、合体したウサギ達が先頭で衝撃波を受ける形となるが、相手の攻撃の勢いを殺しきれず、後方に大きく吹き飛ばされる。
「くぅ……先ずは翼より先に、あの声を封じねば攻撃どころではないのじゃ……!」
 機を伺っていた桐葉が、思うようにその糸口を掴めず、悔しげに言葉を漏らす。
「よーし、それなら俺っちの出番っす!」
「なに!? いけるのか、実とやら!」
 劣勢となりつつある戦況を変える、起死回生の一撃があった。
「行くっすよ! ばーんっ☆」
 それは実が右手で銃の形を作り、人差し指から放ったユーベルコード。その名は――
『な――こ、これは……!?』
「うさ耳最高! バニーさん最高! 魅力をその身で体験してみるっすよ!」
 その名は、【バニーさん体験コーナー】であった。
 
●それってもう、キマイラじゃん?
 ――戦場は、重苦しい沈黙に包まれていた。
 バニーの耳、バニーの尻尾、そしてバニーの衣装。
 それら全てを見事に盛られたハーピーは、無言のまま立ち尽くしている。
 頭には大きなウサギの耳。腕にはふさふさの翼。足は鋭い鉤爪を備えた鳥足。その鼠蹊部からは水着のようなバニースーツを纏い、お尻から生えている白い尻尾は、同じく白い羽毛とあんまり見分けがつかない。
「どーっすか? やっぱりうさ耳は最高っすよね!」
「えー、と……」
 やってやったぜ、と一仕事終えた男の笑顔を見せる実に対し、おずおずと遠慮がちにロザリアが声を発するが、清純無垢な彼女を持ってして、肯定には至らなかった。
「同じうさちゃん好きとしては、うーん、と――ノーコメントで」
「えーっと、そのあのー」
「…………(殺気1を放つ)」
「アレとどちらが誘惑が強いのか試せ? いやー、やめとくのじゃ」
 アリス、コガネ、三日月に桐葉が一律微妙な表情をする後ろで、いつの間にかか復活を遂げた山賊達までひそひそ話を始めていて。
「どう思う?」
「いや、流石に無しでは……?」
「属性は、盛れば良いって物では……」
『…………(ぷるぷる)』
「ごめん、ハーピーちゃんのファンやめます」
 ハーピーちゃんは、エキドナブラッドを発動した。

●ラストスパート!
「こうなってしまっては、只の、獣だね……!」
「ならば後は仕留めるだけなのじゃ! わらわに任せるのじゃ!」
 空を飛ぶ事も忘れ、般若のような形相で暴れまわるハーピーの猛攻を必死に受け止めながら三日月が、そして桐葉が叫ぶ。

 ――これより舞うは高貴なる太陽の女神を言祝ぐ舞い――

「援護します!」
「護りなら任せて!」
 ユーベルコードの詠唱に入った桐葉を確認し、ロザリアがウィザード・ミサイルを放つ。
 アリスもまた、猛るハーピーを少しでも抑えようと、うさぎ達と共に突撃を開始する。
 飛翔する真紅の矢が、ハーピーの身体を強く灼きつけた。宿った火の魔力が翼に燃え移り、炎上を起こす。
 その状態でも尚暴れまわるハーピーの鉤爪を、アリス達が今度こそ受け止め、抑え、弾いて相手の体勢を崩す。

 ――八百万の神等よ我が舞い奉納奉る――

「ごめんなさい、武器は鉤爪だけではありませんでした」
 ズ、ドンッ――!
 アリス達に押し戻されたハーピーの鉤爪を、コガネの左腕に内臓されている瞬時装着式パイルバンカー【Heartless Left】が撃ち貫く。
 堪らず絶叫をあげるハーピーに対して、三日月が妖刀を大きく振りかぶりながら迫る。
「首級、挙げさせてもらおう――!」
 振り下ろす雲耀の一太刀が、ハーピーの身体を深々と切り裂き、血の大華を咲かせた。継続した変身で、三日月の体力も限界が近い。
 ――だが、あと少し。

 ――共に舞い禍事罪穢祓い清め給もうこと恐み恐み申す――

 そして、桐葉のユーベルコード【巫女神楽 ~神降しの舞~】が顕現した。
 その姿を、彼女の世界では音に聞こえし大神――天照大御神の加護を纏う神霊体へと変身させ、眩い陽光を束ねて織られた比礼を振るう。
「ハーピーちゃんとやら。お主の容姿は、歌声は、確かに魅力的であったのかも知れぬ。
 ――だがやはり、人の心を弄ぶのは、よくないのじゃ」
 その神々しい比礼に打ち払われたハーピーは、最期に自慢の声を発することも適わずに。
 煌々とした光の中へ、消え去っていった。

●アンコール
「皆さん、お疲れ様っすよー!」
 実が、戦友それぞれの功を労いながら、ウサギ型のクッキーを配って回る。
「あら、可愛い。ありがとう」
 アリスがそのクッキーを受け取ってにこやかに微笑んだ。既に頭のうさ耳は消え去ってしまったけれど、思えば面白い縁だった気がする。
「ハーピーの歌声、共感したら強くなれるんでしょうか……」
 誰にともなく呟いたロザリアは、すぐに自ら首を振り、その考えを改めた。
 確かに山賊達は、ハーピーにとって仲間ではなかったかもしれない。勝手に集ってきた、外野だったのかもしれない。
 けれど、その歌を聞いてくれた。その歌に魅力を感じて、好意を持って、周りにいてくれた者達を。
 その想い邪険に扱う姿勢は、どうしても好きではなかったから――


 Moving Next Period…!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月29日


挿絵イラスト