女神は偶然を必然だと嗤う
●女の子だって○○○○が好き!
「はい……よーやく神殿の前についたところで、一旦昼休憩なー」
「は~い……」
アルダワ魔法学園の部室らしき教室に集まった、男女年齢問わず七人ほどは、そのうちの一人の声にぐてーっとした状態で返事をした。
「は~。ボスに会う前に全滅するかと思った……」
「ありえねぇ出目……」
「確率ガン無視……」
机をくっつけあわせて囲んでいた全員が、それまでの緊張感から解放される。机の上には名前や様々なパラメーターなどの書かれた紙、筆記用具、サイコロなどが散乱していた。
「いや、まさかあんたがあんな『運』持ってるとは思わなかったわ……」
「あれってすごいの?」
「うん。悪い意味で」
二人の女性がそんなやり取りをしている隣で、一人の少女が紙に鉛筆を走らせている。
「メルヤ、何描いてるの? お昼だって――ってそれ!」
「ああっ!! それもしかして、今私達のキャラが着てる制服!?」
手元を覗き込まれたメルヤという少女は、ふたりの女性の反応に恥ずかしそうにしながら、描いていたイラストを見せる。
「えへ。三人お揃いでこんなの着てたら可愛いかなぁっていう妄想だけど……」
「えー、これ、実際にお揃いで欲しいよー」
「被服部に頼めばなんとかなるんじゃない?」
午前の惨劇と午後のボス戦のことなど忘れてしまったかのように、女性たちの間で話に花が咲く。明確な制服がないアルダワ魔法学園ならば、オリジナリティの高い制服をお揃いで着ることが可能だもの。
●グリモアベースにて
グリモアベースの中、長身のその男が立っている場所の背景には、アルダワ魔法学園の景色が揺らいで見える。
「来てくれたんだね。アルダワ魔法学園での事件を予知したのだけれど、聞いていってくれないかい?」
漆黒の髪に緑の瞳を持つその男性は、結布院・時護(時と絆を結び護る者・f11116)というグリモア猟兵だ。集まった猟兵達に優しい表情で語りかける。
「アルダワ魔法学園の地下に迷宮が広がっていることはすでに知っているかな? その迷宮のひとつのフロアボスである災魔――オブリビオンが、手下を率いて上の階層へ攻め上がってくるわ」」
すべての階層を突破されてしまえば、非戦闘員も多い学園に多大な被害が出ることは想像に難くない。それを防いでほしいということだ。
「今回の迷宮は、洋館の中を模しているみたいだよ。その中の広い一室で、まずは手下のオブリビオンを退治して欲しい」
そのフロア内のどの場所(部屋)に行けば良いのかはわかっている。
「でも不思議なことに、敵の姿は見えなかっんだ。けれども……攻撃は飛んでくる。その一室内に確実に敵はいるから、注意してほしい――向かってくれるかい?」
時護は猟兵たちの顔をひとりひとり見て、告げた。
●つまらないと、嘆くだけじゃ始まらないもの
「そうよね、そうよね、そうよね! つまらないなら自分で楽しくすればいいのよ!」
迷宮の奥、響く声は甲高く。女性のものだと容易に知れた。
「キャハハッ♪ あたしってあったまいぃ~♪」
笑って嗤って嘲笑ったその女性は、紫色の髪を掻き上げながら微笑う。
「愉しくなぁれっ♪」
篁みゆ
こんにちは、篁みゆ(たかむら・ー)と申します。
はじめましての方も、すでにお世話になった方も、どうぞよろしくお願いいたします。
確率と言えば昔、明らかに確率を無視した出目(悪い方)を連発したことがあり、今でもその頃の友人に会うとその話をネタにされます。
このシナリオの最大の目的は、「ボスオブリビオンの討伐」です。
※オープニング公開後、第一章の冒頭文追加を行います。
第一章では、手下オブリビオンとの集団戦となります。
第二章では、ボスオブリビオンとの直接対決となります。
第三章では、第二章が成功しているのが前提となりますが、学園の被服室にて【オリジナルの制服づくり】を予定しております。
アルダワ魔法学園には明確な制服はありませんので、『着てみたい制服をデザインする(デザイン描写中心。のちに被服部に手伝ってもらって完成)』『作成を頑張る(作成描写中心)』『完成した制服を着てみる(着用描写中心)』など色々できるかと思います。
※こちらからのアイテム発行はございませんが、後日個人的に作成していただくのは問題ありません。
ご参加はどの章からでも、何度でも歓迎いたします。
現地まではグリモア猟兵の時護が猟兵のみなさまをお送りする形となります。
時護は怪我をしたり撤退する猟兵のみなさまを送り帰したり、新たにいらっしゃる猟兵の皆さまを導いたりと、後方で活動しており、冒険自体には参加いたしません。
お誘いがあった場合のみ、第三章の制服づくりに顔をだすことが可能です。
プレイングを失効でお返ししてしまう場合は、殆どがこちらのスケジュールの都合です。ご再送は大歓迎でございます(マスターページにも記載がございますので、宜しければご覧くださいませ)
●お願い
単独ではなく一緒に描写をして欲しい相手がいる場合は、お互いにIDやグループ名など識別できるようなものをプレイングの最初にご記入ください。
また、ご希望されていない方も、他の方と一緒に描写される場合もございます。
皆様のプレイングを楽しみにお待ちしております。
第1章 集団戦
『ポルターガイスト』
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POW : パイロキネシス
【自然発火の能力を持つ念力】が命中した対象を燃やす。放たれた【青白い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : テレキネシス
【念動力で操った家具の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ラップ現象
対象のユーベルコードに対し【対象の集中を阻害する騒音】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●洋館の普通の一室……?
その迷宮は瀟洒な洋館を模していて、指定された部屋へ到達するまでにはふかふかの絨毯を踏み、古ぼけた肖像画に見送られて廊下を歩いていく必要があった。
そして目的の部屋に到着し、警戒しながら扉を開けると――中にはソファやローテーブル、柱時計や小ぶりのシャンデリアにランプなどが置かれた、普通の洋室のように見えた。
だが視線を動かせば、その広い一室の一角には大きめのダイニングテーブルのような物が置かれており、テーブルに合わせて椅子がたくさん並べられている。テーブルの上には積み重なった本……各席にも色々な本が、さも今まで使われていたかのような自然さでおかれている。
そして各席に必ず置かれているのはランチョンマット――ではなく、名前や年齢、種族や職業などを書き込む部分のある用紙。一見履歴書かとも思えたが、よく見ればステータスと思しき項目や数字、武器やアイテムを書き込む欄もある。あと『イメージイラスト』的なモノを描き込む部分。
テーブルの中央には方眼のように縦横に線の入った――これは地図だろうか。あとはコマのようなもの。ここは作戦会議室だった?
いやまて、作戦会議室にしては似合わぬものがある。しかもかなり多い。
あとは当然のように筆記用具。
テーブルの各所に散らばっているのは、色も材質も様々なサイコロ。4面、6面、8面、10面、12面、20面……珍しいところでは3面、18面、100面などもあるようだ。
カラーバリエーションもサイズも豊富であるが、何故こんなにたくさんのサイコロが?
疑問に思う猟兵もいれば、この部屋が何をするための設えられたものなのか察した猟兵たちもいるだろう。
だが、室内に敵の姿はない――そう思ったその時、家具がガタゴトと不自然な動きを始めた。そして宙に浮かび上がる本や筆記用具やサイコロ……まさか、猟兵達を狙おうというのだろうか。
これは危ない。だって4面ダイスや8面ダイス、10面ダイスは確実に痛いでしょ! 踏んだら涙目モノだし。6面もやっぱり痛い。
動き始める家具、宙に浮く小物たち。さあ、猟兵たちはどう戦うのだろうか――。
祇条・結月
うん……? もしかしてTRPGか、これ。
UDCアース以外の世界にもこういう遊び、あるんだ。
懐かしいな……また、こういうこと出来る日ってくるんだろうか
……なんて郷愁に浸るのはまた今度……!
ダイスだって十分痛いし、鉛筆や家具が飛んで来たら洒落にならない、かな!
速さを活かして、自分は飛来物を躱しながら、【援護射撃】【投擲】【スナイパー】で撃ち落とせそうなものは≪銀の雨≫を降らせて苦無で撃ち落としていって、味方の猟兵のサポートをするよ。
敵の姿は見えないけど、狙って攻撃してきてるなら近くにいるはず。攻撃の軌道を確認して、敵の居そうな位置を確かめていく。
【第六感】が働けばいいな
斬断・彩萌
ははぁ、動画で見た事あるわよこれ。たしかPRTGって言うんでしょ?えっ違う?GRPTだっけ……まぁ賽子使うごっこ遊びみたいなものよね。
どんな奴がボスなのかしら、とりま目の前の敵を蹴散らしますかっと!
●SPD
・『BoostRoar』で能力を爆アゲ↑↑してから挑む
二挺拳銃で浮いてる小物や賽子、家具を素早く片っ端から撃ち落としていくわ
射的みたいでちょっと楽しいけど、こう数が多いと面倒ね
かといって室内でアサルトライフルぶっぱは危ないし、あんた達が頼りよ!(Executioner、Traitorに念弾を籠めて撃つ)
追い駆けられたり危なそうな味方がいたら援護するわ
※アドリブ・絡み歓迎
守田・緋姫子
ポルターガイスト........。アルダワのゴーストか。面白い。私がジャパニーズホラーの恐ろしさを教えてやる。
私の領域から刃物を召喚して飛んでくるものを迎撃しつつ、攻撃範囲を広く取って面攻撃だ。机とかデカいのが飛んできたらさすがに物陰に避難するが........
面攻撃で敵をあぶり出しつつ、悪霊も召喚して敵の居場所を探して貰おう。首尾良く見つけだせたらそこを刃物で集中砲火だ。
しかし、何でサイコロなんだ........?
※アドリブ、連携歓迎
※ユーベルコードの詠唱は今回は無視して下さい
問題の洋室。動き始める家具や小物たちを見た猟兵たちは、この部屋で何が行われていたのかを理解できた者と理解できていない者に分かれた。
「ははぁ、動画で見た事あるわよこれ。たしかPRTGって言うんでしょ?」
斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は、自信たっぷりに告げたのだ、が。
「うん……? もしかしてTRPGか、これ」
その言葉を拾った祇条・結月(キーメイカー・f02067)は、多種多様なダイスやキャラクターシートっぽいものを見て、それに思い当たる。
「えっ違う? GRPT? あ、TRPGだっけ……まぁ賽子使うごっこ遊びみたいなものよね」
結月の発言でようやく正解に辿り着いた彩萌。名称はニアミスだったが一言で説明された内容は間違ってはいない。
「UDCアース以外の世界にもこういう遊び、あるんだ」
驚いたように、感心したように呟いた結月の記憶に蘇るのは、かつての思い出。
(「懐かしいな……また、こういうこと出来る日ってくるんだろうか」)
UDCアースではネット環境の発達により、パソコン越しでTRPGを遊ぶオンラインセッションもできるが、やはりTRPGの醍醐味は皆で集まって、その場でダイスを振り、出目によって一喜一憂する――その空気を共有することにあろう。けれどもかつて共に遊んでいた仲間たちも自分も歳を重ねていくと、なかなか都合をつけて集まる機会も減っていったりして……かつての楽しい時間を思い出せば、ちょっと寂しくなってしまうのも事実。
――ヒュンッ!
「っ……!!」
思い出に後ろ髪引かれていた結月の頬のそばを、何かが飛び抜けていった。背筋を冷たいものが駆け上がっていく。壁にあたってころころと足元まで転がってきたそれは……10面ダイス。ちなみに出目は『6』だ。
「……なんて郷愁に浸るのはまた今度……!」
一気に現実に引き戻された結月は『クナイ・ダート』を持つ手に、無意識に力を込める。
「ダイスだって十分痛いし、鉛筆や家具が飛んで来たら洒落にならない、かな!」
――ヒュンッ! ヒュンッ!
まるで弾丸のように飛来するダイスを、結月は持ち前の速さで避けていく。
「ポルターガイスト……。アルダワのゴーストか。面白い。私がジャパニーズホラーの恐ろしさを教えてやる」
その様子を見て呟いたのは、守田・緋姫子(電子の海より彷徨い出でし怨霊・f15154)だ。UDCアース産の都市伝説を下地にしたホラーゲームのバーチャルキャラクターである彼女としては、ゴーストの類として分類されるポルターガイストに対して対抗意識が生まれるのも尤もというもの。
「どんな奴がボスなのかしら、とりま目の前の敵を蹴散らしますかっと!」
こちらを狙うように浮かび上がったランプを見据え、彩萌は『BoostRoar』で己の能力を上げて。それぞれの手で握りしめた『Executioner』と『Traitor』の引き金を引いて、こちらを狙って飛んでくるランプや本、筆入れやダイスなどを見事に撃ち抜いていく。
「射的みたいでちょっと楽しいけど、こう数が多いと面倒ね」
かといって室内でアサルトライフルをぶっぱなすのが危険であることは、重々承知している。
「私が面攻撃をしよう……。デカいのが飛んできたら、任せていいか?」
「おっけ!」
緋姫子の提案に乗った彩萌は、彼女の面攻撃の邪魔にならぬよう、跳ぶようにして距離を取る。
「あんた達が頼りよ!」
愛しげに、両手に馴染む拳銃たちに声を掛ける。
「さて……私が相手になろう……」
告げて緋姫子が展開したのは、100本を超える刃物たち。彼女の領域から召喚されたそれらは、鋏や包丁、カッターナイフなどの学校にあるような刃物である。緋姫子は呪いを帯びたそれらを一斉に放ち、鉛筆や消しゴム、ダイスやコップなどの小物を撃ち落としていく。
元の数が多いものだから、小物の飛来は第二波、第三派と続いたが、緋姫子が怯むことはない。
「しかし、何でサイコロなんだ……?」
撃ち落としておいてなんだが、緋姫子はこれほどまでに多数の種類のサイコロがあることを知らなかったし、こんなにたくさんサイコロを使用する事情も理由もわからなかった。
「あんたは私のターゲットよ!」
浮いた机と椅子を察知した彩萌は、それらが飛ぶ前に二丁の拳銃で鮮やかに撃ち抜いていく。
ソファや柱時計などの大物には、両手の相棒たちの弾をたっぷり撃ち込んで確実に仕留める。小物を緋姫子に任せられる分、視界が広がって動きやすくなった。
(「敵の姿が見えないな……どこから狙ってるんだろう?」)
素早さを生かして飛来物を避けながら、結月は何処かにいるであろう敵の姿を探す。こちらを狙って攻撃してきている以上、近くにいるはずだ。居場所を飛来物の軌道から導き出せないかと、観察は怠らない。緋姫子も召喚した悪霊に敵の居場所を探させているようだが、まだ見つけられてはいないようだ。
――と。
「っ……!?」
確証はない。ほとんど勘で動いた。けれどもそれは結果的に、結月の身を守った。
ガシャンッ!!
先程まで結月がいた場所に、小ぶりのシャンデリアが落下していた。小ぶりとはいえ直撃したら、絶対痛いだけではすまない。しかもそのシャンデリア、落ちた部品や砕けたガラス部分も一緒に浮かび上がり、まだ結月を狙おうとしている。よくよく見れば、しれっとダイスまで混ざっているではないか。
「そう簡単には、やられないっ……!」
その場から動かず、真っ向からそれらに向かい合った結月は、素早く無数の苦無を投擲してゆく。それはただ単に早いだけではなく、正確にひとつひとつを捉えて。
刃の銀の雨が、シャンデリア御一行を再び地に落とした――その直後。
ヒュヒュンッ――!
「っ……!?」
飛来した小さな何かが、結月の両頬をかすっていった。血の赤い線が、結月の頬に浮かび上がる。
カツカツンッ……コロコロコロ……。
壁に激突して床に落ちたそれは、角の尖った六面ダイス2つ。出目は『1』と『1』――。
――キャハハッ♪
何処からか、甲高い笑い声が聞こえた気がした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】チーム
他3名と
これは…計算?試験勉強で分からない問題を解くのにサイコロで運を天に任せていたのかな?(知らない)
攻撃は来たれど敵の姿は見えず…
何かに化けているのか消えているのか
【カウンター】【見切り】でこちらに来る物を空間に弾き飛ばしてみよう。
小さいものは剣で、大きいものはUCで
何かに化けてるならぶつかって反応を示すはず
反応無しならば…物理攻撃が効かない敵か。
なら【破魔】を付与して飛ばして見よう
燃えたならまずマントが焦げないように気をつけて
【範囲攻撃】を空振りさせて吹き飛ばせないかな?
【火炎耐性】もあるよ
※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に。
三原・凛花
【依頼掲示板前広場】で参加。
成程、TRPGか。
話には聞いたことがあるけど、まさか迷宮でそれを見ることになるとはね。
とりあえずまずは飛んでくる家具やサイコロから身を守らないと。
【聖霊受肉】でお布団になった『聖霊』(見た目はキモい白い肉塊)を召喚し、それで仲間達を<かばう>。
<火炎耐性>で炎を防ぎつつ、<祈り>で精神を集中させて騒音に惑わされないようにするよ。
エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加するのじゃ。
面妖な、家具が飛んで回っているのじゃ。
…と言いたい所じゃが、この界隈では日常的な風景かのう?
さてさて、どうにも彷徨える魂が悪さをしておるようじゃのう。
役目柄放っておく訳にもいかんであろうな。
レニー殿、リンカ殿、マニトゥ、守りは任せてもよいかの?
わしは、この魂達を大いなる精霊の元に還してやるのじゃ。
【精霊の唄】【破魔】【全力魔法】【祈り】【歌唱】【属性攻撃】使用
【破邪】の【風】で彼奴らを浄化してやろうぞ。
わしが送ってのじゃ、あるべき場所へ還るがよい。
エイミ・メルシエ
【ヤド箱】ペインさん、ステラさん、語さん で参加
ダイス……四角いのでも踏んだら痛い、100面は飛んだらただのボール兼鈍器。
なんて、なんて恐ろしい……
わたしもなにか、できることをしなくちゃ。
語さんの活劇譚に合わせて、サウンドオブパワーで皆さんの支援をしますね。
アイドルですもの、猟兵ですもの。アドリブ命の戦場こそがステージです!
歌詞はその場で考えちゃえばいいのです!
怪奇現象なんのその、この声をみなさんに届けます!
ペイン・フィン
【ヤド箱】ステラ、語、エイミと参加。
さて……、どこにいるか、分からないけど、
分かれば後は、なんとか出来る……、かな。
情報収集、第六感、暗視、視力、追跡、見切り、聞き耳で、本体の場所を探るよ。
見つけたら、仲間と共有しつつ、コードで攻撃。
使用する拷問具は、スタンガン“ニコラ・ライト”、焼き鏝”ジョン・フット”、毒湯”煉獄夜叉”。
霊体にも効果のある拷問具3種で、相手の動きを封じるよ。
……あと、拷問具を武器にしている自分が言えたことじゃないけど、
それ、どう考えても、武器じゃ無いと思うんだけどな……。
落浜・語
【ヤド箱】(フィンさん、アルゲンさん、メルシエさん)で参加。
良くまぁ、こんなに色々なダイスがまぁ…20面とか絶対ぶつかったら痛いだろ。踏んでも十分痛いし、地味にトラップとして優秀だよな……
活劇譚で仲間の強化を。人と合わせるのは初めてなんで、うまくいけば良いが。
『此度語りまするは、アルワダ学園その地下に、広がる迷宮その一角。起こりましたる奇異脅威。それらの対処へひた走る、猟兵方の話にございます。室内飛び交うは、紙に書物。挙句の果てには賽子と。壊すは聊かやりずらい』
いや、なんか、物を壊すのは、さすがに…ちょっとな。あとは任せた。
語りつつ、【第六感】を頼りに敵の場所を探る。見つけたらならば、情報共有
ステラ・アルゲン
【ヤド箱】語殿、エイミ殿、ペインで参加
迷宮の中だというのに綺麗に設えた一室があるとは
しかしあのテーブルに置かれているのはなんでしょうか?
名前に職業……なんだか冒険者たちの事を思い出します
考え込んでいる暇はありませんでしたね
語殿とエイミ殿を守るように周囲に風【属性攻撃】の【オーラ防御】で風の壁を作りだし、投げられてくる物を跳ね飛ばしていきましょう
できるだけ物は壊したくないので
投げられてくる位置から敵の居場所を【情報収集】し【見切り】
ペインの攻撃に合わせて水を纏わせた【流星剣】の【流星一閃】にて斬りましょう
さて、飛んでくる家具や日用品と猟兵たちとの戦いでだいぶ荒れてきたその洋室だが、敵にとっての『資源』はまだ豊富で、そのうえ猟兵たちはまだ敵の姿を捉えることが出来ていない状況だ。
「これは……計算?」
飛んできた紙を優雅な動作でパシッと手にとった琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)は、その内容を見て首をかしげる。たしかに数字を当てはめる部分や簡単な計算式を書き込む補助欄のようなものはあるのだが。
「試験勉強で分からない問題を解くのにサイコロで運を天に任せていたのかな?」
試験勉強用の計算問題にしては簡単すぎる気もしたが、ダークセイヴァー出身のれにがその用紙とダイスを見て答えにたどり着くのは難しい。
「成程、TRPGか」
「T、R……PG?」
そんなれにの手元を覗き込んだ三原・凛花(『聖霊』に憑かれた少女・f10247)には、思うところがあったよう。
「話には聞いたことがあるけど、まさか迷宮でそれを見ることになるとはね」
慣れぬ単語を不思議そうに繰り返したれにに、凜花は簡単に説明をする。TRPGとは、テーブルトークロールプレイングゲームの略で、決められたルールと世界観を下地として対話により進めていくゲームであると。TRPGにおいてダイスは、ランダム性を加える重要な要素であると。
「しかし、なぜここにそのテーブルなんたらの支度がしてあるのじゃ?」
エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)の疑問は尤もであるが、もちろん誰もその答えは知らぬ。
そんな会話をしているうちに、室内ではガタゴトと動く椅子や本たちが、彼女たち三人に狙いを定め始めた。
「いずれにせよあれこれ考えるのは後だね」
その気配をいち早く察知した凜花は、素早く実体化させた『聖霊』を布団の形にし、自分と仲間たちを守る体制をとる。見た目は白くてキモい肉塊である『聖霊』だが、飛来した本だけではなく複数の椅子をもその白い身体で受け止めていく。勢いを殺された本や椅子たちは、ガタンガタンと床へと落ちた。
「面妖な、家具が飛んで回っているのじゃ。……と言いたい所じゃが、この界隈では日常的な風景かのう?」
「さすがに日常ってほどじゃないとは思うよ」
エウトティアの疑問にさらりと凜花は答えたが、その言葉には日常というほどではないが非日常ではないという意が籠められていた。
ヒュンヒュンっ……猟兵たちを追い立てるかのように飛来するのは恐らくダイスたち。小さくて何面かの判別はつかぬが、弾丸のような勢いで飛び来るそれを身で受けてはただではすまぬだろう。
「攻撃は来たれど敵の姿は見えず……何かに化けているのか消えているのか」
思案しながら呟いたれには、その『弾道』を見切って『エペ ド ルーン』を振るう。
カーンッカンカンッ……!!
小気味良い音を立てて、れには剣でそれらを打ち返してゆく。あちらからこちらから飛来するダイスに合わせて振るわれる剣は、まるでラケット。テニスコートに立っているかのような優雅さで、れにはダイスを打ち返していった。
もちろん何の意図もなくそれを打ち返しているわけではない。敵が隠れていたり化けていたりするならば、不自然なところで打ち返したダイスがぶつかるかもしれない。おかしな止まり方、ぶつかり方をしていないか確認しているが、今のところその様子はなかった。
三人が、飛来する家具や日用品と対峙する少し前。彼女たちからすれば部屋の奥――ダイニングテーブルに紙やダイスがたくさん乗せられている側から部屋の中を覗いた者が四人いた。
この部屋の正式な入り口からは死角になっているその場所には、入り口から数メートル部屋に踏み込んで部屋の奥を見ればしっかりと見えるように扉があった。ここが真に洋館であれば、廊下に出ずに部屋と部屋を行き来するための間仕切り扉といえよう。だがここは迷宮。グリモア猟兵に指定された部屋に向かったのであれば、この扉からこの部屋へとたどり着くことはない。他の猟兵たちがたどり着いたのと同じ扉へとたどり着くはずだ。
――キャハハッ♪
フロアボスの災魔が、気まぐれに迷宮の構造を変化させるようなモノでなければ――。
「迷宮の中だというのに綺麗に設えた一室があるとは……しかしあのテーブルに置かれているのはなんでしょうか?」
その扉の位置から室内を見てやはりいちばん目につくのは、大きめのダイニングテーブルと椅子、そしてテーブル上の物体だろう。
「名前に職業……なんだか冒険者たちの事を思い出します」
視線を向けたテーブルの上の紙に記載されている文字を見て、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)はぽつりと呟いた。アックス&ウィザーズのギルドなどに赴けば、名前と職業を記入する似たような書類を見ることもあるだろう。なんとなく、ステラの記憶がくすぐられる。だが他の仲間達は、別のものに目を奪われたようで。
「ダイスです! めちゃくちゃダイスがありますよ!!」
「良くまぁ、こんなに色々なダイスがまぁ……20面とか絶対ぶつかったら痛いだろ」
若干興奮気味のエイミ・メルシエ(スイート&スウィート&プリンセス・f16830)と落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は、机上に広げられている(いくらかはすでに飛ばされたが)ダイス各種へと目を留めたようだ。
攻撃が飛んでくるとは聞いていた。だから用心して部屋の中へと足を進めると――。
ぐにっ。
「っ……」
ぐらっ。
「ひぇっ!」
踏み出したそこには落下したダイスが――。
語の靴越しにもその違和感と若干の痛みは伝わり、踏みどころが悪かったエイミはバランスを崩した。
――キャハハッ♪
甲高い笑い声が聞こえた気がした。気のせいだろうか。
バランスを崩したエイミがそのまま床に転べば、床に散らばったダイスのせいで更に痛い目にあっただろう。しかし。
「エイミ殿!」
そうはならなかったのはステラのお手柄。素早く走り出て、エイミの斜め後方から彼女の腹部へと腕を回し、その身体が傾いでいくのを受け止めた。
「あっ……ありがとうございます、ステラさん」
「いえ、エイミ殿が無事で良かったです」
ダイスの転がっていない場所へとエイミを立たせて、ステラは微笑む。まるでお伽噺の中のような甘いシーンに、うっとりしてしまう――ここが迷宮でなかったならば。
「踏んでも十分痛いし、地味にトラップとして優秀だよな……」
「ダイス……四角いのでも踏んだら痛い、100面は飛んだらただのボール兼鈍器。なんて、なんて恐ろしい……」
ここが迷宮であるばかりに、ダイスの被害に遭ったふたりから零れるのは、ダイスへの称賛(?)と畏怖(?)。
「……人がいるよ」
と、仲間たちに告げたのはペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)。いつの間にか他の三人とはダイニングテーブルを挟んで反対側を行っていた彼は、別の扉のあたりに人の姿と気配を認めていた。その直後、家具たちがあちらの人影を襲い始めたのだ。
「仲間の猟兵でしょうか?」
「うん、多分そう……」
ステラの問いにペインが応える。すると『カーンッカンカンッ……!!』 と小気味良い音が聞こえてきて、室内へと戻ってきた弾丸のようなもの――ダイスが壁やカーテンへとぶつかって力を失ったかのように落ちた。それにより、それらが打ち返されたものだと知ることが出来る。
「あなたたちも猟兵ですか? 私たちも共に戦いましょう」
「ああ、そうだ。助かるよ。そちらにも入口があったのか」
ステラが警戒しながら正規の入り口と思われる扉が見える方へと歩んでいき。
「だがそちらからもサイコロや本が飛んできている。十分注意して――」
応えたれにが最後の一個を打ち返して声の主を見やる。
「君は」
「あなたは」
互いに見覚えのあるその姿。
「アルゲンさん! こっちも動き出した!」
皆まで口にする前に、ステラの背後から語が注意喚起の声を上げた。
「共闘に異論はありませんね?」
「ああ、勿論だ」
「ならば、部屋の中央へ集まりましょう」
短く言葉をかわすステラとれに。彼女の意図を察したれには、凜花とエウトティアを招く。ステラの言葉を聞いたペインと語、エイミも、素早く移動をした。
すでに室内にいた他の猟兵たちとも協力し、内側にエウトティアと語、エイミを入れるようにして、他の者は背中を合わせるように位置する。どの方向から狙われても、対応できるようにというわけだ。
「メルシエさん、始めよう」
「はいっ!」
語の合図に頷いて返事をしたエイミは、大きく息を吸い込んで、アップテンポの旋律を紡ぎ始める。まずは前口上にも似た語の語りを引き立てるため、「ラララ~」とスキャット風に歌ってゆく。
「此度語りまするは、アルワダ学園その地下に、広がる迷宮その一角」
語の紡ぐ活劇譚は即興で作り上げたその内容に共感した対象を強化する力がある。
「起こりましたる奇異脅威。それらの対処へひた走る、猟兵方の話にございます」
これを人と合わせるのは初めてのことだ。不安がないといえば嘘になるが、うまくいくようにと祈るしかない。
「室内飛び交うは、紙に書物。挙句の果てには賽子と。壊すは聊かやりずらい」
ヤドリガミとしては、なんか、物を壊すのは、さすがに……ちょっと、である。
その語りを受けたエイミは、徐々に抑えていた声量を開放してゆく。
(「アイドルですもの、猟兵ですもの。アドリブ命の戦場こそがステージです!」)
歌声を聞いた仲間たちが共感してくれるように、歌詞を紡ぎ始める。
「いつだって どこだって 現在(いま)を蝕むものあれば」
語の活劇譚の勢いを殺さぬよう、仲間たちへと力を送れるよう、リズムを刻んでいく。
「すべてが わたしたちの 戦場なのです より好みはいたしません」
明るく、身振り手振りも交えてエイミは歌い上げる。
「怪奇現象なんのその この声を みなさんに届けます!」
ふたりの力により強化された仲間たちは、それらを聞きながらも襲い来る家具や日用品を防ぎ、あるいは叩き落とすなどして対処してゆく。飛来する家具たちは敵により操作されているもの。ならば操作している敵を見つけなければ終わらない。
(「さて……、どこにいるか、分からないけど、分かれば後は、なんとか出来る……、かな」)
ふたりの声を聞きながら、ペインは飛来する物体の方向、音、その他諸々できる限りの情報を集め、そして分析しつつ敵の居場所を探していた。
(「できるだけ物はこわしたくないですね」)
ステラは仲間たちを守るように風のオーラの壁を作り出して飛来物を防ぎながら、やはり敵の居場所を探していた。
ゴト……。
それは小さな音だった。様々な音が飛び交うこの空間でその音に気づいたのは、恐らく集中して敵の居所を探っていたペインと、耳の良いエウトティアくらいだろう。
「テーブルの上……。今まで『飛んできていないことが不自然』なアレが、少し動いたよ」
「アレ、ですか。わかりました。行きましょう!」
ペインの指したソレに向かってふたりが踏み出したその時、ふたりの敵意を感じたのだろう、ソレがふわりと宙へ浮かんだ。
「ひぃっ……100面ですね!?」
そう、エイミの言葉の通り、浮かび上がったのはおそらくこの部屋唯一の100面ダイス。直径5cm弱ほどあるそれは限りなく球体に近く、そして飛ばせば鈍器として優秀だろう。なのにこれまで飛んでこなかったのはなぜか。
その答えを皆まで口にさせまいとでもするように、100面ダイスは猟兵たち目掛けて飛んでくる。だが、ペインとステラはすでに迎撃するべく駆け出していた。
本来ならば、できる限りモノは壊したくない。けれども叩かねば敵の本体が現れぬというなら話は変わってくる。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
ステラは手にした『流星剣』に水を纏わせて振るい、一刀両断の一撃を。
「いくつ、避けられる、だろうね?」
ペインは『スタンガン“ニコラ・ライト”』と『焼き鏝“ジョン・フット”』、『毒湯“煉獄夜叉”』の三つの拷問具で攻め立てる。
すると――。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
100面ダイスから聞こえた苦悶の叫び。そしてそこから抜け出たのは、白い少女の霊体だった。
「さてさて、どうにも彷徨える魂が悪さをしておるようじゃのう。役目柄放っておく訳にもいかんであろうな」
精霊を操る巫女姫として、エウトティアはこの霊を見過ごすことは出来ない。
「あぁぁぁぁぁぁっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
白い少女が放つ青白い炎。凜花は『聖霊』布団で炎の力を軽減し、れにはマントが焦げぬように気を使いながらも、炎を吹き飛ばすべく範囲攻撃をわざと空振りさせる。
「レニー殿、リンカ殿、マニトゥ、そしてそちらの皆、守りは任せてもよいかの?」
「防御に徹して時間を稼ごう」
「僕に任せて」
凜花とれにが応え、エウトティアに寄り添っていた白狼のマニトゥも諾とばかりに声を上げる。
「わしは、この魂達を大いなる精霊の元に還してやるのじゃ」
フィンにステラ、語にエイミもエウトティアの願いを受け入れて、彼女を守るべく位置を変える。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」
「精霊よ! 幻想のおもむくままに歌え!」
白い少女の狂ったような叫び声とエウトティア詠唱、どちらが大きく力強いだろうか。
エウトティアの、祈りを込めた全力の破邪の風。それはまるで竜巻のように白い少女の周囲をぐるぐると回ることで絡みつき、閉じ込めた彼女を浄化してゆく。
「ぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっーーーーーーーーーー!!」
ひときわ大きな白い少女の叫び。
「わしが送ってやるのじゃ、あるべき場所へ還るがよい」
エウトティアの命に応じるように叫び声はだんだんと小さくなってゆき、風がやんだあとには白い少女の姿はなかった。
「……拷問具を武器にしている自分が言えたことじゃないけど、それ、どう考えても、武器じゃ無いと思うんだけどな……」
少女の消えた周囲に落ちたダイスを見て、ペインがぽつり、呟いた。
――キャハハッ♪
「……!?」
突然聞こえた甲高い笑い声に、一同はとっさに身構える。だがその声の主の姿は何処にもない。
――ダイスは武器じゃない、かぁ~。確率を武器にする自信がないのかなぁ~?
言葉の意図を強引にすり替えられている気がする。けれども今のところ声が聞こえるだけで、殺気は何処からも感じられない。
――愉しくなりそぉ♪ 早くあたしのところまで、いらっしゃい♪ キャハハッ♪
癇に障る笑い声が、その部屋へと響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『禍を嗤う者『ダイス』』
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POW : ファン・ファン・ファンブル
【因果律に干渉することで数手先まで】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD : ダイスの邪女神の気質
自身の【誰かが不幸に陥ることで歓喜する性格】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : 他人の不幸は蜜の味
戦闘中に食べた【誰かの幸運】の量と質に応じて【人造神としての格が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ファン・ティンタン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●それは邪なる女神
部屋を出てから一同は気がついた。この廊下の先は、こんな感じだっただろうか?
もっと普通の洋館のように、部屋へはいる扉や横道、曲がり角などがあったように思える。けれども今、猟兵たちの前に続いているのは、ただ一本の廊下。扉もなければそれる横道もない、真直ぐにしか向かえぬモノ。
もしかしたら、フロアボスが意図して迷宮構造を変えたのかもしれない――猟兵たちと早く対峙するために。
罠かもしれない。けれども他に選択の余地はない。ならば、進むしかないのだ。
十分に警戒をしながら進んでゆく猟兵たち。しばらく進んでいくと、その果てと思しき場所へと辿り着いた。
精緻な細工の施された両開きの扉の前。猟兵たちが頷きあって扉に触れようとすると、その扉はゆっくりと内側へと開いていく。
そこは大きなホールだった。ただ、白い床には等間隔の黒い線が縦横に走っており、それによりできあがった正方形の四角はまるでチェス盤のマス目――作戦会議で使われるマップのようだった。さながら猟兵たちは、コマというところか。
「キャハハ♪ 来た来た♪」
そのホールの奥、オブジェのようなものに腰を掛けているのは豊満な肢体を黒い衣服で覆った女性。その癇に障る声は先程聞こえてきたものと同じ。
「さぁ、遊びましょ♪ あなたたちの幸運と不運であたしを愉しませて♪」
ジャラッ……女性は手の中で複数のダイスを弄びながら嗤った。
ペイン・フィン
【ヤド箱】
さて……
いよいよ、ボス、だね。
……ん?
なんだろ、異常なくらいに怨念がたまってる、あの女神。
……一体、何やらかしてるんだろ。
コードを使用。
女神にたまっている怨念、悲哀、憤怒を吸収するよ。
……本当なら、死者の怨念を吸収するんだけど、
なんかこう、ロストしたキャラ? の怨念がたまってきてる……。
まあ、怨念には変わりないし、良いかな。
そのまま強化した猫鞭を降るって、攻撃しようか。
……何をしたのか、よく分からないけど、
怨念がある以上、その罪の分、痛みを受けてもらう、よ。
エイミ・メルシエ
【ヤド箱】ペインさん、ステラさん、語さん で参加
むううう。このボス、なんというか……すごく、悪役みたいな顔をしているというか、なんというか。
とにかく、こう。とてもじゃあく、って感じで、イヤですねぇ……ウマが合わないタイプです。
なんだかこれは、お仕置きが必要な気がします。というか、しないとなんか気がすまないので、します。
お仕置きといえばあれです、天罰です! わたしの錬成カミヤドリにて、どかんと一発、ぶちこみます!
まあ、当たらずとも……もし、多少隙が出来てくれるなら、それだけでも得した、ということで。
わたしは、楽しくないことは嫌いです。みんなが喜んでくれなきゃ、楽しくないんです!
落浜・語
【ヤド箱】(フィンさん、アルゲンさん、メルシエさん)で参加。
…うん。どっからか、「絶対許さん。原型残さず復元できない状態にまで叩き割れ」、って声がした気がする。
まぁ叩き割るのはアルゲンさんあたりに任せて、そのお膳立てをしようかな。
『白雪姫の贈り物』を使う。今ここで使わないといけない気がする。
「そうやってキャラキャラ笑いやがって、うるせぇ。どんだけ恨みを買ってると思ってんだ」
適当に煽って、反応を返せばこちらの物。焼けた靴で踊っていただきましょ?
ざまぁみやがれってんだ。
ステラ・アルゲン
【ヤド箱】語殿、エイミ殿、ペインで参加
なるほど、今回の黒幕はお前のようだな
その笑い声は癪に障る
我が剣にて斬らせてもらおうか!
お前が数手先を見るならば、こちらも数手先をいこう
他の者の攻撃に合わせて近づき、【流星一閃】
流星は再び落ちるぞ?
【高速詠唱】してさらに【2回攻撃】
さぁダイスに願え。この攻撃が当たるか、当たらないか
「さて……いよいよ、ボス、だね」
「なるほど、今回の黒幕はお前のようだな」
ぽつり、と呟くように告げて、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は仮面の下の黒い瞳で女性を捉える。それに対してステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は、今にも女性へと斬りかかっていきそうなほどの気迫と、恨みにも似た苛立ちを隠そうともしない。
「黒幕? そんなセンスのカケラもない呼び方はやめてちょうだい。そうね……女神様、でいいわよ? キャハハ♪」
自らを『神』と呼ばせようとする者にろくな者はいない――先ごろ発見された、真に『神』が存在する世界ではまた、別の話であるが。
「むううう。このボス、なんというか……すごく、悪役みたいな顔をしているというか、なんというか」
眉根を寄せて、苦いものを口に含んだような表情のエイミ・メルシエ(スイート&スウィート&プリンセス・f16830)。マカロンのような甘いパステルカラーのドレスが似合う彼女と目の前の女性は、まさに対照的だ。
「ヤダ、人の顔を見るなり悪役顔だなんて、随分なモノ言いじゃない?」
抗議じみた言葉ではあるが、ジャラジャラッと掌中のダイスを弄ぶ彼女は、気を悪くしたようには見えない。むしろ愉しそうだ。
「とにかく、こう。とてもじゃあく、って感じで、イヤですねぇ……ウマが合わないタイプです」
「あんなのと馬を合わせる必要なんてないし、万が一馬が合ったら骨と皮になるまで全部吸い取られる気がするから、全力で拒否するな」
さらりと述べた落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は、普段仲間たちに見せるような朗らかな表情を宿してはいない。
「……うん。どっからか、『絶対許さん。原型残さず復元できない状態にまで叩き割れ』、って声がした気がする」
何かを受信したことで、語の表情は『普段』の――『騙る』仮面を被った。その下に、怒りの激情を隠して。
(「……ん? なんだろ、異常なくらいに怨念がたまってる、あの女神」)
静かに女性――女神を観察していたペインがそれに気づくのは、彼の本体を思えば当然のことだろう。ヤドリガミである彼の本体は、『指潰し』という拷問道具だ。拷問道具である以上、拷問を受けた側は勿論のこと、拷問をした、させた側の怨念や執念や妄念とは切れない縁があるからだ。
(「……一体、何やらかしてるんだろ」)
なんとなく、確率が関係しているんだろうなーというところまでは推察できるが、さてはて。
「どこからでもかかってきたら? 『できるものなら』ね。キャハハ♪」
よほどの自信があるのだろう、女神は癇に障るその声をホールへと響かせる。
「その笑い声は癪に障る。我が剣にて斬らせてもらおうか!」
「なんだかこれは、お仕置きが必要な気がします。というか、しないとなんか気がすまないので、します」
まず駆け出したのはステラ。素早く女神との距離を詰め、己自身である『流星剣』を振るうつもりだ。その後方ではエイミが、自身の本体である器物、『マカロンタワーの食品サンプル』を複製してゆく。全長約1メートルほどの、台座付きマカロンタワーを自在に動かし、女神へと放った。
「どかんと一発、ぶちこみます!」
恐らく、気合と殺意は誰よりも高いであろうヤドリガミの四人。しかし女神は、ステラの初撃と流れるように身体を捻って繰り出した次撃を難なく躱した。その上、20個以上のマカロンタワーの襲来――それも念動力で個別に操作されている――をひとつ残らず躱したのである。
「どういうことだ……?」
偶然だとしてもさすがにおかしいと思わざるを得ない。更に追撃と繰り出したステラの斬撃も、全て躱されてしまった。何かがおかしい――これまでのステラの戦闘経験が警鐘を鳴らす。
「キャハハ♪ ざぁんねん、全部見えているの♪」
警戒して距離をとったステラ、じっと観察を続けるペイン、何かを考えているがそれを顔には出さない語、生理的嫌悪が表情に出ることを隠さないエイミ――四人を見て愉しそうに嗤い、女神は手にしていたダイスを放った。
女神の手にダイスがいくつ握られていたかはわからない。手以外の場所からも出現させているのかもしれない。雨霰のような数のダイスが飛礫となって四人を襲う。
四人はそれぞれ、それを回避すべく動いている。積み上げてきた戦闘経験だったり、勘と呼ばれるものだったり、己の目や耳だったり――頼るものは違えども、飛来するダイスを避けるべく。たとえその一つ一つが念動力によって操られていたとしても、全てが命中する確率なんて低い……はずなのだ。
「っ……!」
「いたっ……!?」
だがどうだろう、軌道を読んだはずなのに、通常ならば避けられるはずなのに、女神の放ったダイスは理不尽にも四人にすべて命中したのだ。
「偶然にしては、おかしすぎるだろう」
「……偶然じゃ、ないね。もしかしたら、自分たちの、行動、読めるのかも……」
語の呟きに、ペインが返す。そういえば以前、未来が見える強敵がいた。彼女は先程何と言ったか?
「全部見えているなら、わたしたちがなにをしても勝てない、ってことですか?」
エイミが不安げに口にするのも無理はない。女神は何らかの方法で、猟兵たちの行動を読み、『偶然』を『必然』へと変えているのだろう。
「エイミ殿、大丈夫です。打つ手はあります」
仲間たちの元まで戻ってきたステラが告げる。
「我々の行動が読めるといっても、すべて、そして永遠にではないでしょう。我々は四人。ならば協力して、『読みきれぬほどの先』へ行けばいいのです」
ステラの蒼い瞳に諦めの色は宿っていない。そこに宿るのは、仲間たちを鼓舞する色。勝利への道を拓くことを諦めぬ色。
「じゃあ、叩き割るのはアルゲンさんあたりに任せて、そのお膳立てをしようかな」
「……ん、始めよう、か」
語とペインが動き始める。ステラとエイミは、まだ余裕の表情を浮かべている女神の一挙手一投足を見逃さぬよう、しかと見据えて。
(「……本当なら、死者の怨念を吸収するんだけど」)
ペインが発動させたのは、怨念や悲哀、憤怒を吸収て自身を強化する力。女神に溜まっているそれらを吸収していくのだが……なんだろう、なんだか今までと味、というか感触が違う気がする。
「なんかこう、ロストしたキャラ? の怨念がたまってきてる……」
思わずぽつりと呟いたペイン。きっと大事なところでダイスの女神に弄ばれた確率の被害者の怨念だろう。たぶん、数はそう少なくはないはずである。
(「まあ、怨念には変わりないし、良いかな」)
この女神がそんな怨念を溜めるに至った過程は、ペインにはわからない。でも自己強化に足るモノが集まるならば、それでいい。ポタリ、ポタリと代償に血が流れるが、今はそれを気にしている場合ではない。
(「まあ、当たらずとも……もし、多少隙が出来てくれるなら、それだけでも得した、ということで」)
当たれば儲けもの。けれども当たらなくとも不利益にはならない。エイミは、自分の攻撃を回避することで生じる女神の隙を、誰かが突いてくれるだろうと信じて再びマカロンタワーを飛ばしてゆく。
「いくらやっても当たらないって言ってるのにね~。キャハハ♪」
ドンッ、ドンッドンッ……。女神へと放ったマカロンタワーが床へと落ちる音が響いた。
(「今ここでこれを使わないといけない気がする」)
どこからか湧いてくる使命感に従い、語はマカロンタワーを避ける女神へと言葉を投げつける。
「そうやってキャラキャラ笑いやがって、うるせぇ。どんだけ恨みを買ってると思ってんだ」
「知らないと思うけど、人の幸運って美味しいんだもの♪」
語の言葉を煽りとは思わなかったのか、それとも確率による不幸を体験した者の敵意を心地よく感じるのか、女神は語を見て嗤った――それがトリガーだと知らずに。
「こっちを見たか? じゃあ、そのまま炎上して、上手に踊ってくれ。死ぬまで、な」
「えっ……?」
語の問いかけに反応して彼に意識を向けた時点で、それはもう決まった未来だった。女神の足にはいつの間にか、黒いヒールではなく真っ赤に焼けた鉄の靴が。
「あぁぁぁぁぁっ……っっっっっっっぃっ!!」
いくら神を名乗るモノとはいえ、熱さと痛みは感じるだろう。鉄の靴を脱ごうと足を振ったり床を蹴りつけたりする女神だが、その靴は簡単には脱げやしない。
「……何をしたのか、よく分からないけど、怨念がある以上、その罪の分、痛みを受けてもらう、よ」
足を焼く痛みと熱に気を取られた女神は、ペインが近づいてきていることに気がついていなかった。怨念を宿したことで力を増したペインは、情け容赦なく『猫鞭“キャット・バロニス”』を振るう。繰り返し、繰り返し、繰り返し引っ掻かれる女神。もちろんまだ、靴は脱げていない。
「わたしは、楽しくないことは嫌いです。みんなが喜んでくれなきゃ、楽しくないんです!」
エイミの叫びは、他人の不幸を喜び、己のみが楽しければいいという女神の思想とは真逆のもの。
「天罰です!!」
怒りのマカロンタワーが飛ぶ。横向きに飛んだそれは、これまでのように上からの落下で押しつぶすのではなく、その円錐型の先端を女神の腹部へと深く埋め込んだ。
「っ……ぐぅ……」
身体を折るようにしてふらつく女神。焼ける足と追い来る猫鞭から逃れようと、彼女は足を動かす。
けれども、この時をみすみす逃す彼らではない。女神が先を見る余裕を失っている今、攻撃を重ねないでどうするというのか。
「さぁダイスに願え。この攻撃が当たるか、当たらないか」
告げたステラは、そのいとまさえ与えない。
彼女が振り下ろしたつるぎは、流星の如き斬撃で、生じかけた願いすら斬り捨てた――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
祇条・結月
斬断・彩萌(f03307)と同行
……なるほど、ね。ダイスの女神は気まぐれだっていうけど。君みたいなのが弄んでるってことなのかな。
遊ぶのはいいけど、君の娯楽になるつもりはないよ。
彩萌が前衛に立ってくれるから、その分しっかり【援護射撃】していく
【スナイパー】で狙いを定めて苦無を【投擲】して敵の行動を阻害していく。
相手がこっちの幸運を食べてるのに気づいたら。ちょっと苦い顔をするけど。
大丈夫。僕の運がよかったことなんてないから。今更、だよ。
でも二度目を通すのは愉快じゃないから、二回目の発動は≪術式封鎖≫する。
ダイスを振る手に鍵を掛けるよ。
神はサイコロを振らない。そういうものでしょ?
斬断・彩萌
【同行:ゆずっきゅ(f02067)】
なにが『他人の不幸は蜜の味』よ、あんたのオカズになる気なんて更々ないわ
生憎と悪運には自信があるのよ
ゆずっきゅ、後ろは任せたわ。私は前に出て掻っ捌く!
『Killing Salvation』で自己強化
超能力の念弾を二挺拳銃に込めて、ダッシュで詰め寄る!
そのダイス、粉々に砕いてあげるわ
【スナイパー】の正確さと【クイックドロウ】の素早さを活かしてどんどん攻め込むわよ!
後ろはゆずっきゅが守ってくれるし、振り返ったりはしない!
距離が近くなり過ぎたら【見切り】、無理そうなら【武器受け】
神が賽を振るのなら、私はそれを斬り断つ者。Oracle、やっちゃってー!
※アドリブ歓迎
「あたしがここまでしてやられるとはね……」
もう女神の足に焼けた鉄の靴はないが、受けたダメージは消えてはいない。
外見上は満身創痍の女神ではあるが、さすがにこのまま大人しくやられてくれるとは思えなかった。
「こうなったら、『あたしに攻撃を当てたあいつらの幸運』をいただくわ――ああ、ああっ……他人の不幸は蜜の味とはよく言ったものね」
女神の外見上に、大きな変化は見られない。だが、その表情が妙に生き生きとし始めたのは気のせいだろうか。
幸運をいただく――どうやってそれがなされたのか、猟兵たちには具体的にはわからぬ。彼女は因果律干渉の実験で誕生し、そして投棄された人造神。『ダイス』の名を冠する通り気まぐれで、運や確率に縁深いのだ。
「なにが『他人の不幸は蜜の味』よ、あんたのオカズになる気なんて更々ないわ」
「……なるほど、ね。ダイスの女神は気まぐれだっていうけど。君みたいなのが弄んでるってことなのかな」
唾棄するかのように言い放ったのは斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)だ。その隣で妙に納得した様子で告げるのは、祇条・結月(キーメイカー・f02067)。
表面に出した怒り系統の熱量は違えども、行き着く答えは同じ。
「遊ぶのはいいけど、君の娯楽になるつもりはないよ」
「生憎と悪運には自信があるのよ。ゆずっきゅ、後ろは任せたわ。私は前に出て掻っ捌く!」
「任せて」
床を蹴って跳ぶように駆け出した彩萌に答えて、結月は『クナイ・ダート』を手にする。そして、よくよく狙いを定めて投擲!
それは女神との距離を詰めながら、『Executioner』と『Traitor』の二挺を超能力で強化する彩萌の横を飛んでいき、正しく女神に突き刺さ――らなかった。
「!」
「!!」
狙いをつけられ、素早く投擲された苦無は、先に動き出した彩萌に意識を割かざるを得ないだろう敵に命中する確率は非常に高かったはずだ。それは彩萌の動きが女神の意識を割かせたからだけではなく、結月の狙撃技術も相まって生み出されたもの。
けれども女神は、その身を軽く動かしただけでその苦無を避けてしまった。苦無の軌道を変化させたとか、何かで防御したとか、弾いたとかそんな素振りはまったくない。
まるで『苦無が自分に命中するという不運』を『苦無が自分に命中しないという幸運』で上書きしたかのような――。
「そのダイス、粉々に砕いてあげるわ」
しかしその光景を見ても、彩萌は足を止めなかった。念弾を込めた二挺の拳銃の銃口を女神に向け、引き金を引く。
撃って撃って撃って撃って――彩萌が力尽きぬ限り、弾切れはない。ならば正確に狙い、素早く撃ち込む。普通の銃では叶わぬほどの連射を続ければ、当たらないことなどない……はずだ。
(「後ろはゆずっきゅが守ってくれるし、振り返ったりはしない!」)
後方からは結月が再び苦無を投擲して、援護をしてくれている。ならば、彩萌の選択肢は『攻め』だ。
だが、だが――。
「くっ……」
「ゆずっきゅ!?」
数多の念弾の向こうに見える女神の顔が、喜色に満ちるのが見えた。これだけ撃って一発も当たっていない――? 彩萌の心に疑念がよぎったその時、女神が多数の何かを彩萌の後方へと放ったのがわかった。そして聞こえてきた結月の呻き。振り返りはしない、だが咄嗟に声が出た。
(「僕と彩萌の攻撃をすべて避けて、かつ自分の攻撃をすべて当ててくる――?」)
結月に飛来したのは無数のダイスだった。もちろん結月が回避動作を行わなかったわけではない。それにより、すべてとはいかなくともいくらかは避けられる目算だった。いや、避けられるのが普通だ。なのに飛礫となったダイスは、結月が把握する限り『すべて』が彼に命中したのだ。
こちらの攻撃はすべて回避し、自分の攻撃をすべて命中させる程の運――明らかに人間業ではない。文字通り『神業』だ。
「キャハハ♪ あーあ、おいしぃー! たのしぃー!」
(「……! なるほど、そういうことなんだね」)
喜色満面の女神。彩萌が打ち込み続ける数多の念弾をすべて回避するその力。答えはさっき、彼女自身が言っていたではないか。
にわかには信じがたい言葉だったが、そう考えれば納得がいく。
女神は先ほど『自分に攻撃を当てた猟兵たちの幸運』を食べて、己の力を増した。そしてその力と幸運で、こちらの攻撃を避けた。
結月が女神のダイスをすべてその身に受けたのは、『女神の幸運』によるものではなく、女神が『結月の幸運を奪い喰らう』ことで結月を不運にしたのだ――そう考えれば、辻褄が合う。
その結論にたどり着いた結月の表情は苦い。
(「大丈夫。僕の運がよかったことなんてないから。今更、だよ」)
自嘲気味な言葉と苦笑。だからといって、同じ手をもう一度使われるのは――愉快じゃない。
「ダイスを振る手に鍵をかけるよ……これ以上、好きにはさせない」
「なによっ、これっ!?」
女神の手首へと結月が放ったのは『錠前』だ。それもただの錠前ではない。先ほど女神がやってみせた幸運を食べる技を封印する錠前である。
「神はサイコロを振らない。そういうものでしょ? 彩萌!」
手首にかけられた錠前に動揺を見せた女神。結月よりも遥かに近くでその表情を見ていた彩萌は、返事代わりに二挺の銃を『Oracle』へと持ち替えて。
「神が賽を振るのなら、私はそれを斬り断つ者。Oracle、やっちゃってー!」
手にした剣は彩萌の精神力を実体化させたもの。ダガーほどの大きさのそれを手に、彩萌は彼我の距離を詰め、間合いへ入る。
そして。
その斬撃は、ダイスを弄ぶ女神の右手を斬り落とした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
チーム【依頼掲示板前広場】で参加するのじゃ。
ゲームマスター気取りかの?残念じゃが、お主もわし等もプレイヤーじゃよ。
お望み通りちと遊んでやるかのう。
(前に出るレニー殿に)
わし等を守ってくれる騎士様に贈り物じゃ。騎士が徒歩では様にならんじゃろう。マニトゥ、レニー殿をお助けするのじゃ。
さてリンカ殿、準備はよいかの?
リンカ殿の『聖霊』召喚に合わせて皆を強化するのじゃ。
古来より戦う騎士には乙女の祈りがつきものじゃろう。
今回はサービスでヒロインが2人じゃ、騎士様も奮ってくれる事じゃろう。
三原・凛花
【依頼掲示板前広場】で参加。
人の不幸は蜜の味ってやつかな?
ならあなた自身がその不幸を味わってみる?
【『聖霊』召喚】で召喚した『聖霊』を<衝撃波>で敵に向かって飛ばし(その際れにさんの【翼の投射台】に、『聖霊衝撃波』をくぐらせて強化)、敵に『聖霊』を憑依させる。
『聖霊』に憑かれた者は不死と引き換えに不幸に襲われる…
TRPG風に言えばファンブルを連発するようになる。
さてどんなファンブルが襲ってくるか…
『聖霊』と五感を共有する私も痛いけど<激痛耐性>で耐えるね。
ただ敵は不死状態だから、弱らせる事は出来てもトドメは刺せない。
頃合いを見て『聖霊』を私の体に戻して敵の不死状態を解除し、後は皆に任せるよ。
琥珀川・れに
【依頼掲示板前広場】
凛花
エウトティア
チェスには王子の配役は無いのが残念だ
ここは二人の少女を守る騎士となろうか。
(喜んで床に乗る)
まずは剣で戦おう。
しかし、どうにもうまくいかないようになっているようだね。
【呪詛耐性】【見切り】【時間稼ぎ】【破魔】…どれが効いているのか分からないが避けるのが精いっぱいだ。
凛花が面白い技を持っているようだ。
【翼の投射台】で彼女のUCを強化してみよう。
まったく美しく恐ろしい少女だよ。
もし、運よく敵のダイスを手に入れたら【投擲】で投げつけてみよう。
ちなみにダイスはどんな目を出すかな。
※アドリブ大好き。追加省略絡みお任せ。
念の為、全員揃わない場合は仕方ないそこもお任せする
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
その悲鳴に含まれるのは、痛みの他は何だろう。驚嘆か憤怒か、苛立ちか恐れか。斬り落とされた女神の右手は、その手に握っていたダイスを、チェス盤の床へと散らばせる。
「チェスには王子の配役は無いのが残念だ。ここは二人の少女を守る騎士となろうか」
細身の魔法剣『エペ ド ルーン』を手に、琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)は仲間たちを守るようにひとつ前のマス目へと歩み出る。嬉々として一歩進んだ先でそのアメシストの瞳が見据えるのは、敵陣の女神の姿。
(「チェスにはもちろん女神の配役は無いが、当てはめるとすれば移動可能範囲が圧倒的に広い女王――にインチキともいえる改造を施した、というところか」)
他の猟兵達の動きと、それに対する女神の手法を見ていれば、それが『証明するのが難しい、人々の想像の埒外のもの』であることは十分わかった。そして今の状況が、これまで女神に対抗した猟兵たちのおかげで天秤が傾き始めている状態だということも。
「あっっっっっったまきた!! せっかく愉しんでいたのに!」
女神から余裕が消えた。かわりにその瞳に浮かぶのは憤怒。残された左の掌にダイスを喚び出して握りしめる。
「ゲームマスター気取りかの? 残念じゃが、お主もわし等もプレイヤーじゃよ」
溜息をつくように、あるいはたしなめるように告げたのはエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)だ。
「それにゲームとは、たとえ悔しい結果になったとしても、双方が――全員が楽しんでこそ、ではないのか?」
「そうね。あなたのゲームを愉しんでいるのはあなただけだよね。人の不幸は蜜の味ってやつかな?」
れにと、そしてエウトティアの隣に立つ三原・凛花(『聖霊』に憑かれた少女・f10247)が告げるのは正論。
「ならあなた自身がその不幸を味わってみる?」
「あたしを不幸に? 変なコトいうのね。少し愉しくなってきた……キャハハッ♪」
まだ笑う余裕があるらしい。ならば――女神との距離を詰めようと考えるれにを呼び止めたのは、エウトティア。
「わし等を守ってくれる騎士様に贈り物じゃ。騎士が徒歩では様にならんじゃろう」
そう告げてエウトティアは、視線を傍らに寄り添うように立つ巨狼、マニトゥへとむけて。
「マニトゥ、レニー殿をお助けするのじゃ」
その声に白い巨体がれにの傍らへと進み出て、その背を下げる。
「ありがとう、エウトティア。マニトゥ、頼むよ」
ひらり、その背に飛び乗り、マニトゥの首のあたりの毛を撫でるれに。抜いた剣を手に、マニトゥと共に駆け出して――だが飛来した女神の左手からのダイスに足を止めた。今の女神からの攻撃は、避けようとすればいくらか避けられそうな気さえした。けれども下手に避けてしまえば、後方のエウトティアと凜花へダイスは飛んでいくだろう――ならば。
「マニトゥ!」
名を呼んで触れれば、巨狼はれにの意図を理解したようで。れにが行動しやすいように動いてくれる。
「っ……」
いくらかその身にダイスを受けてしまうのは致し方ない。ダイスの飛礫に巻き込んでしまったマニトゥに申し訳無さを感じつつも、れには剣を振るう。
カカカッ……カカッ……カカカカッ……!
その剣でいくらかのダイスを弾くことができたのは、マニトゥの機動力と、なによりここまで女神を追い詰めてくれた猟兵たちの力が大きい。おそらく彼らの攻撃を受けていない状態の女神からの飛礫であれば、はじくことは出来なかったのではないか。
「しかし、どうにもうまくいかないようになっているようだね」
飛礫が止んだところで、れには一度ふたりの近くへと戻った。女神の力が弱まっていることは感じたが、かといって一筋縄ではいきそうにないことも同時に感じている。
「レニー殿、リンカ殿と話したのじゃが……」
「なるほど、面白い。ならば僕も力を貸そう」
エウトティアと凜花の案を聞いたれには、マニトゥから降りて自身の姿を変化させてゆく。同時に凜花が呼び出すのは『聖霊』だ。そして大きく息を吸い込んだエウトティアは、風の精霊の歌を紡ぎ始める。
蝙蝠のような形状の、けれども両翼を使えば自身の体躯を覆い隠してしまえそうな大きさの翼を持ったヴァンパイアに変身したれには、その翼を器用に動かしてトンネルのような輪を作り上げた。エウトティア歌う勝利の歌は、ふたりに力を与えてくれる。
「『聖霊』に憑かれた者は不死と引き換えに不幸に襲われる……TRPG風に言えばファンブルを連発するようになる」
凜花は衝撃波を放つ要領で『聖霊』を、れにの作り出した輪にくぐらせた上で女神へと放った。れにの翼の間を通過した『聖霊』は、常よりも強化された状態で女神へと迫り――憑依してみせる。
「なっなんなのっ!?」
「さてどんなファンブルが襲ってくるか……」
この『聖霊』は女神には発見し難い代物だ。彼女に憑依した今、女神に与えられたのは『永遠の命』と『不幸』。女神が傷を負えば『聖霊』と五感を共有する凜花も痛みを感じる。けれどもそれも覚悟の上なのだ。
「まったく美しく恐ろしい少女だよ」
「ただ敵は不死状態だから、弱らせる事は出来てもトドメは刺せない。頃合いを見て『聖霊』を戻すから、後は皆に任せるよ」
「ああ、任せて欲しい」
凜花の戦法に感心した様子のれにに対し、凜花はデメリットとそれへの対応策を伝えて。いつもの姿へと戻ったれには、床に落ちていたモノを拾い上げてから、マニトゥの背に再びひらりと乗った。
「古来より戦う騎士には乙女の祈りがつきものじゃろう。今回はサービスでヒロインが二人じゃ、騎士様も奮ってくれる事じゃろう?」
「そうだね、今の僕は二人の少女を守る騎士だ」
エウトティアの、揶揄するような物言いの激励を受けてれには笑む。
……と。
「きゃぁっ!?」
「っ……!」
何かが崩れる音とともに聞こえてきたのは悲鳴。そして凜花の身体に衝撃と痛みが走る。女神を見れば、壊れたオブジェのそばで床に尻をついている。
「なるほど、これが『ファンブル』というものじゃろうか」
恐らく女神は、当初腰を掛けていたダイスを模したオブジェに再び腰を掛けようとしたのだろう。だが『不幸にも』、腰を掛けたとたんにオブジェは壊れてしまったというところか。
「ああ、ならば僕は行こう!」
告げるが早いか、マニトゥはれにを乗せて床を蹴った。巨狼の速度はれにが代償にした自身の移動速度を十分にカバー……いや、それ以上の力強さを持っていて。
尻餅をついたと同時に『不幸にも』ヒールが折れてしまったようで、未だに立ち上がれていない女神。彼女の横をすり抜けざまに、れには剣を振り下ろす。マニトゥが素早く女神の周囲を跳び回ってくれるので、そのたびに剣を振り下ろすことが出来た。
「ちょっ、なっ、なんなの、これはっ!?」
なぜ自分がこんなにも『不幸な偶然』に遭遇するのか。『不幸にも敵の攻撃をまともに受け続けてしまう』のか、女神は理解できない――否、理解したくない、信じたくないのだろう。
(「痛みに耐えている凜花のためにも、早く終わらせたいところだ」)
れにが女神へと振り下ろし、斬り上げた剣の痛みは、すべて凜花にも伝わってしまう。いくら彼女が痛みに慣れているとはいえ、できる限り伝わる痛みは少なくしてあげたい。
(「この女神に相応しく、次の攻撃の運試しといこうか」)
ヒュンッ――れにが投擲したのは、先ほどマニトゥに騎乗する前に拾い上げたモノ。女神が放ち、そして床へと落ちて転がったダイスの一部、だ。
ガッ……コロコロコロ。女神の額へとぶつかり、床へと転がったダイスはふたつ。
「僕が投げたのは、ごく一般的なサイコロ。だから僕にもわかる。これが最上の出目だろう!?」
ふたつの六面ダイスが示したのは『6』と『6』。
2D6の場合、これが最上の出目であることに違いはない。つまり。
「凜花!」
れにの呼びかけに、凜花は素早く『聖霊』を女神から自分の身体へと戻し、エウトティアは風の精霊の歌を高らかに歌い上げる。
「あ……あぁ……」
刺突を狙うように振り上げられた剣。見えたのは、女神の絶望の表情。
狙い過たず女神の身体の中心を突いた『エペ ド ルーン』。
剣の刺さった部分から、ヒビは網状に広がって。
まさにクリティカルと呼ぶにふさわしい一撃で、女神は砕け散るようにして消えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『オーダーメイド学園服を作ろう』
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POW : 採寸や材料選びに勤しむ
SPD : 自分で縫製するなどして、お手伝いをする
WIZ : 自由にして良いの部分のデザインを練る
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●オリジナルの制服を作ってみませんか?
「転校生さんたちもいかがですかー?」
「結構好評なんですよー」
学園への侵攻を目論んでいた女神を倒して学園へと戻ってみれば、猟兵たちに手渡されたのは一枚のチラシだった。
『あなたの考えた、理想の制服を作ってみませんか?
デザイン、生地選び、縫製など、自信のないところは被服部がお手伝いします!』
「最初はテーブルゲーム部の女子から相談を受けたのがきっかけだったんですけどね」
「わたしたちも、たくさんのひとに喜んでもらえると嬉しくって」
どうやらチラシを配布しているのは、被服部の部員のようだ。よく見れば、男性も混ざっていて、チラシの隅にも『男性も歓迎。男子部員もいます!』と記されている。
自分自身が着てみたい、頭の中にある理想の制服を実際に形にしてみたり、誰かにプレゼントするために作るのもよいだろう。誰かとお揃いにするのもいいし、ぱっと見はお揃いに見えないがよく見ればお揃い……なんてデザインも素敵だ。
まさに想像力次第! これは何事にも共通なのである。
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・アルダワ魔法学園には明確な制服はありませんので、お好きなデザインでどうぞ。
・提示されているPOW/SPD/WIZの行動例はあくまで一例ですので、参考程度に。
・『デザイン過程』『作成過程』『試着やお披露目過程』など、ある程度シーンを絞ったプレイングのほうが文字数的にも良いと思います。
・苦手な過程は被服部に手伝ってもらったことにしたり、手伝ってもらっている描写も可能です。
・プレイングに応じて、指定がなくとも被服部の手伝い描写を入れる可能性があります。完全に自力で作りたいという場合はプレイングの最初に×を記入してください。
・シナリオとしてのアイテム発行はありませんが、後日個別でお作りいただく分には問題ございません。
・オープニングに登場したテーブルゲーム部の女子三人は、同じ被服室の何処かで作業しています。
・版権モノの指定の入ったプレイングは採用いたしかねます。
・マスターにデザイン丸投げも可能です。男性用/女性用の指定がなければステシの性別に対応したものになります。また、詰め襟/ブレザー/セーラー/スカート丈/袖丈/カラーなど、こだわりがある部分だけでもお知らせください。
・お誘いがあった場合に限り、時護も参加させていただきます。
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※追記※
・今回の場合、「制服」デザインは、一般的な学生服に限りません。上記の通り、アルダワ魔法学園には明確な制服はありませんので。
(例えば「軍服が自分の制服なので軍服作って着ます」というなら、それがあなたにとっての制服は軍服なのですね、となります)
(ですので、広義の意味での「制服」ならばOKですし、「自分にとってはこれが制服、学園服だ!」と言い切ってしまってもなんとかなります(ただし、被服室で作れるものに限ります))
落浜・語
クソ女神はぶん殴ったし、とりあえず溜飲は下がったな。
…まぁ、しばらくするとまた恨みが募るんだろうが…
でもって…制服作りね…裁縫は雑巾と着物のほつれ直しくらいしかやったことないんだよな。まぁ、手伝ってもらいつつ、やってみようかな。
制服って言うと、なんか黒の詰襟の印象が強いんだよな。あと…そうだな、上着の腰の部分にベルト付けようか。それくらいなら、そこまで複雑じゃない、よな…?
普段は着物だし、洋服は戦闘時しか着ないから気付かなかったが、洋服って結構曲線多いんだな。
被服室に来てみれば、意外と多くの人で賑わっていた。落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)にはそれが被服部の部員かそうではないかはわからぬが、見知った顔の猟兵たちがいるのはわかる。
(「クソ女神はぶん殴ったし、とりあえず溜飲は下がったな」)
室内を見回しながら思い出すのは、あのふざけた女神。アレが普段色々と弄んでくれる気まぐれな『ダイスの女神』の具現化だと思えば納得ではあるが、それと積もり溜まった恨みを晴らす晴らさないは別のこと。
(「……まぁ、しばらくするとまた恨みが募るんだろうが……」)
己の手で復讐が出来ただけで少しは落ち着いたが、ダイスと付き合う以上、今後また恨みつらみが溜まるのは確実。
気分を変えて、と室内の人々を見れば、生徒たちの服装も様々なことに気がつく。
(「さすがに明確な制服がないっていうだけあって、自由だな……」)
基本的な学生服に分類されるものから、実用性を無視したデザイン重視のもの、はたまた『学生服……?』と断言しにくいものまであるのは個性を尊重しているためか、この学園に明確な卒業がない=様々な年齢・種族の学生がいるためか。
「転校生さん」
そんな語に声をかけてきたのは、ひとりの白い毛並みのケットシーの少年だ。
「何を作りますか?」
「何を作りますか?」
「何を作りますか?」
「わぁっ!?」
そのケットシーの少年の背後から、同じ顔がひょこひょことふたつ出てきて三人揃って問うものだから、思わず変な声が出た。
「驚かせてすみません。ぼくたち、三つ子なんです」
セーラーに半ズボンの三人は、セイ、レイ、シイと名乗り、語をテーブルへと導いた。
「制服って言うと、なんか黒の詰襟の印象が強いんだよな」
「詰め襟ですか! ぼくたちが着るとちょっと喉が窮屈ですが、転校生さんには似合いそうです!」
「あと……そうだな、上着の腰の部分にベルト付けようか」
「資料で見たことあります!」
「詰め襟の外からベルトを締めると、ちょっと軍服風になりますね!」
セイが相槌を打ち、レイが資料を取りに本棚へと走り、シイは出来上がりを想像したよう。
「それくらいなら、そこまで複雑じゃない、よな……?」
「うーん、複雑かどうかは転校生さんがどの程度、裁縫のご経験があるかによりますがっ……」
「裁縫は雑巾と着物のほつれ直しくらいしかやったことないんだよな……」
記憶を手繰るように告げた語の言葉を受けて、セイとシイが言葉をかわし合う。そこに詰め襟と軍服の資料を持ってきたレイが加わって。
「わかりました、ぼくたちが完成までサポートします!!」
自信満々に告げた三人に手伝ってもらうことにして、語の制服づくりは始まった。
まずベースとなる色の希望を告げれば、セイとレイが採寸をしている間にシイが語の希望の色に近い生地を何種類か持ってきて。採寸してもらいながら生地を決めていく。
語が選んだのはベーシックな落ち着いた紺色の生地。UDCアースではポリエステルギャバと呼ばれるそれは、ポリエステルツイルより薄めではあるが張りが出せるのだという。ラインが綺麗に出るんです、とシイが熱弁してくれた。
採寸が終われば、今度は型紙作り。今回は詰め襟のアレンジということで、もともと被服室にあった詰め襟の型紙を、セイが語に合うように調整してくれる。
「型紙は勿論ですが、縫製もパーツごとに行うので、どうしても工程は多くなります」
「普段は着物だし、洋服は戦闘時しか着ないから気付かなかったが、洋服って結構曲線多いんだな」
セイが修正してくれている型紙を見て、思わず出た感想。
「着物は主に着る時にサイズを調節しますが、洋服はそうはいかないので!」
布に接着芯を張っているシイの声に確かに、と語は頷いた。着物と違って、他人のものをちょっと借りるというのも洋装のほうが制限が大きい。
「ベルト用の革見本と、ポタンのサンプル持ってきました!」
レイの持ってきた革見本からは濃い目の茶色の革を、ボタンは鳥のような細工の施された金ボタンを選んだ。
初心者用の、真っ直ぐ縫える補助をしてくれる魔法のミシンの使い方を教わりながら、ゆっくりめの速度で主に直線部分を縫っていく語。肩パットや袖の取り付けなどのちょっとややこしめのところは、さり気なく三つ子が担当してくれて。ボタンは教わりながらだが、語が自身ですべて縫い付けた。
出来上がった詰め襟に袖を通し、ベルトを締めてみれば、なんだか不思議と背筋が伸びる。制服とは、そういうものなのだろう。
「姿見はあちらですー!」
案内されて鏡に全身を映してみれば、意外に似合っているではないか。
(「うん、なかなか……」)
満更でもない思いで鏡の中の自分を眺めていると、ふわり、と頭の上に優しく置かれたそれは。
「帽子?」
制服と揃いの生地で作った学生帽だった。
「ぼくたちからの贈り物です!」
「被服部の企画にご参加くださり、ありがとうです!」
「似合ってますよ!」
三つ子の魔法によって頭に乗せられた帽子。いつの間に作っていたのだろう。語が作業に夢中になっていた間だろうか。
再び姿見に自身の姿を映せば、確かにその帽子は詰め襟にしっくりくる。
「ありがとうな」
その言葉に三つ子は、嬉しそうに笑った。
成功
🔵🔵🔴
榎・うさみっち
俺は全世界のご当地うさみっちゆたんぽを作っていってるんだけど
これがアルダワ学園をイメージした「じぇいけみっちゆたんぽ」だ!
学園らしく制服姿の学生風だ!(何故か女子用)
今日はこのゆたんぽに着せるおニューの制服を作るぜ!
ゴッドペインターの腕前と【アート】の技能を活かして
ナウいデザインを生み出してやる!
(うさみっちスケブセットであれこれ描き出す)
・スチパン風のシックな女子制服
・ミニスカなワンピースタイプ
・色は黒や茶がメイン
・スチパン風な帽子もセットで
※以上な感じでデザイン細部はお任せします
ふふふ、我ながら良い感じの制服が出来たぞ
せっかくだから俺も着て写真撮って同居人達に送ってやろーっと
その机の前には誰もいない。だがスケッチブックや鉛筆、翅のついたぬいぐるみのようなものが二体置かれているからして、いずれ誰かが戻ってくるのだろう――否、よく見れば、人間用としては小さめのスケッチブックの前に座った(勿論テーブルの上だ)ぬいぐるみが、人間用にしては小さめの鉛筆を動かしている――?
いや、ぬいぐるみではない。少なくとも鉛筆を持っている方は。ぬいぐるみのように愛らしいウサギの垂れ耳を持った彼は榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)、フェアリーである。ちなみにテーブルに寝かされている方は、正真正銘のぬいぐるみ……否、ただのぬいぐるみではない。うさみっちそっくりの姿をしていて、なおかつゆたんぽ機能もついたスグレモノ! その名も『じぇいけみっちゆたんぽ』。全世界のご当地うさみっちゆたんぽを作っている彼が、アルダワ魔法学園をイメージして作り上げた品だ。学園らしく、制服姿の学生風である(だが着ている制服は何故か女子用だ)。
「このゆたんぽに着せるおニューの制服……」
ぶつぶつと呟きながらさらさらとスケッチブックに思い浮かんだデザインを描いてゆくうさみっち。すでに何作ものご当地うさみっちゆたんぽを生み出してきた上、まだまだアイデアのストックを持ち合わせている彼は、普段は即売会などにもサークル参加することがある神絵師でもある。自身の頭の中のものを絵として描き出す作業は慣れたものであるが。
「うーん、イマイチだなー」
次も学園らしく制服ということは決まっているが、描き出したデザインを並べていっても『コレだ!』という感触がない。制服と一口で言っても基本の形からして多種多様であり、その上、色をかけ合わせれば無数のパターンが有る。丈や装飾品も含めれば、いくらでもパターンは作れるといっても過言ではない。けれども、なんだかどれもパンチ力に欠けるように思えた。
(「他にもなんかテーマを設けるか? アルダワ、学園、迷宮、災魔、学生、転校生、魔法、蒸気……」)
頭の中にこの世界に関わる単語を羅列していくと……。
「……蒸気。なるなる、スチームパンクだぜ!!」
ピンときたら早い。すらすらすら、すらすらすらと描き出されていくスチームパンク風の衣装。だが。
「うーん、こっちは異世界モノの盗賊っぽくて制服ってカンジじゃないぜ。かといってこっちはごてごてしすぎて、ゴスロリっぽさが強いかー。こっちはショーパンだしなぁ……」
あくまで『制服っぽさ』にはこだわりたい。そしてできればミニスカートがいい。描き出した衣装はどれもスチームパンク感はあるものの、『制服っぽいか』と言われれば少しためらってしまう。
(「制服だからごてごてしすぎないでシックなカンジでミニスカート。ツーピースよりワンピースタイプがいいかー」)
自分で条件を設定し、それに合うようなデザインをと鉛筆を動かしてゆくうさみっち。
(「制服だし胸元の露出は控えめで、コルセットやビスチェ的なのはどーするかなー」)
(「メインの色は黒か茶がいいじゃん? あー、でもこのデザインだったら間を取って焦げ茶の方がシックかもなー」)
(「帽子はやっぱりシルクハット? ゴーグル付き? いや、女子だしミニシルクハットでも……」)
もくもくと描かれては机の上に広げられていくデザイン画。だんだんとそのデザイン画に文字で指示が加わっていくのは、完成に近づいた証拠だ。
しばらくして。
「よし、これで行くぜ! そこのおねーさん、生地とパーツのサンプル見せてくれー!」
ぶーんぶーんと被服部女性の元へと飛んでいくうさみっち。素材まで決まれば、あとは手慣れているから完成まで早いことだろう。
「完っ成っっっっっっっ!!」
出来上がった制服を両手で持ちあげて見る。
「ふふふ、我ながら良い感じの制服が出来たぞ」
あまりのできの良さに、自然と笑い声が漏れる。己の才能が怖いっ。
「せっかくだから俺も着て写真撮って同居人達に送ってやろーっと」
というわけで、自身がモデルとなって出来上がった制服を着こなすうさみっち。
正面から見ると、まず目に入るのはブラウスタイプの上半身。スタンダードな襟、前で止めたボタンは歯車型でボタンの左右に控えめに三本ずつピンタックが入っている。しかもこのブラウス部分、前身頃の、両肩から首に向かって人間サイズを基準にして3センチほどの場所で生地の色が変わっているのだ。正面から見ると亜麻色生地で襟からウエストまで。しかし肩から人間サイズを基準にして3センチほどの場所で、焦げ茶の生地に切り替えが入っている。袖も同じ焦げ茶色で、長袖の袖口にはギャザーが寄せられているビショップ・スリーブ。
スカート部分は形としてはフリルティアードに近いが、一番外側にくる生地のタックは大きめにざっくりと。一番外側の生地の下から覗く部分は細かめのギャザー。そして一番外側の裾の下から、人間サイズを基準にして3センチほど細かいギャザーが覗く形だ。メインを一番外側の大きめタックの生地にすることで、華美になりすぎず、それでいて華やかさを失わない形に仕上がっている。
その上、スカートの正面の僅かな部分ではあるが、布を排除してクリノリンがちらりと見える細工を施している。クリノリンを使うかは迷ったのだが、ミニスカートでしかも制服ということを考えると全周には使い難い。なので、正面の僅かな部分だけ、クリノリン風の細工を裏からつけて、なんちゃってクリノリンを作ったのだ。これならば挙動の邪魔にはならず、オシャレさが伴うというわけだ。
色は、スカート部分の一番外側は、ブラウス部分の袖などと同じ焦げ茶色で、わずかに覗くギャザー部分は黒の生地を使っている。
ワンピースタイプのためブラウス部分とスカート部分は繋がっているが、だらり、となってしまわぬよう体型次第で締め具合を調節できる細身の黒のベルトも用意した。
そしてバックスタイルであるが。制服ゆえにスチームパンクでよく見られるコルセットやビスチェは諦めたが、それらから少しデザインを拝借して。背中部分にコルセットをイメージした飾りの細いリボンをつけて、バックスタイルにもこだわった。
セットの帽子の形は、ポークパイハットを選んだ。現在のUDCアースでは性別問わず被られている形で、被り方によって印象を変えることができる。歯車と機械羽の飾りはゴールドとシルバーを用意して、好みで付け替えられるように。
靴は学生らしくローファーを履いたが、先の丸いベルト付きのものでも可愛いかもしれない。
「よし、完璧だぜ!」
被服部員に撮影してもらった写真を、ご満悦で同居人たちに送信するうさみっちであった。
大成功
🔵🔵🔵
琥珀川・れに
裁縫、僕は女子の遊びはからっきしで苦手なんだよな…。
エウトティア、ここはどうするんだい?教えておくれ
痛っ、針め…やれやれ。ちまちました作業だ
僕の制服は勿論男物。
凛花のデザインを参考にしてみよう、UDC系の日本風の男子だ。
ただ、僕流のアレンジとして、色は白
これは、生徒会長や特別なクラスは制服の色が違って大抵は白…よくあるお決まりなんだろう?
日本のアニメーションで学んだ
金ボタンや勲章で貴族感や特別感を出したいな。
※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に。
※未定だがもしかしたら合流の場合お任せ
プレイングにあってもMSの都合で纏め・別枠お任せ
三原・凛花
【依頼掲示板前広場】で連携。
わたしはデザインを担当しようかな。
日本に居た頃は中学までしか通えなかったから、高校の女子用のブレザーとか憧れてたんだよね。
スカート丈を短めにして、ちょっと露出多めの大胆なデザインで攻めてみよう(<恥ずかしさ耐性>使用)。
ただわたしは絵なんて描けないから…
【愛し子召喚】で娘を呼び、まずわたし自身に憑依させて服のデザインのイメージを共有する。
それから服の縫製を担当してくれるエウトティアさんに娘を憑依させて、デザインのイメージを直接脳内に伝えるよ。
被服部の子達にも手伝って貰って、制服を3着作ってもらおうかな。
女子用のブレザー服を着たれにさんとか、凄く見てみたいんだよね…
エウトティア・ナトゥア
チーム【依頼掲示板前広場】で参加
メンバー(レニー殿:f00693 リンカ殿::f10247)
ほうほう、オリジナルの制服じゃと?ちょっと覗いてみるのじゃ。
布地は中々良いものが揃っておるようじゃのう。これは腕が鳴るのじゃ。
(リンカ殿のデザインをのぞき込みながら)
おや、リンカ殿、よいセンスじゃな。可愛らしいデザインじゃの。
リンカ殿の世界の所縁の服飾じゃろうか?
(デザイン図と型紙を手に取りリンカ殿を目測しながら)
ふむふむ、大体分かったのじゃ。
繕い物は普段から嗜んでおるでな、仕立ては任せるがよいぞ。
(ササッと作り上げ、服をリンカ殿に渡しながら)
出来たのじゃ!どうじゃリンカ殿、着てみて欲しいのじゃ。
被服室のテーブルにて向かい合って座っているのは琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)と、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)と三原・凛花(『聖霊』に憑かれた少女・f10247)だ。生地や型紙を広げたりミシンを置いたりするためだろう、テーブルは普通のものより奥行きがあるため、普通のテーブルより向かい合っても距離が遠く感じる。
「ほうほう、オリジナルの制服じゃと。布地は中々良いものが揃っておるようじゃのう。これは腕が鳴るのじゃ」
被服部の生徒が持ってきてくれた生地見本は、制服に向いた生地を見本としてカットして収めたファイルのようなものだった。区切られた透明のポケット部分に生地の種類や色、厚さ、型番のようなものが書いてあるだけでなく、実際に触れられるようにと取り出せるようになっているその生地にも、迷子にならないように詳細の書かれたタグが付けられていた。
「制服に向いた生地だけでこんなにあるとは、この見本を作るだけでも大変じゃろう?」
「代々の被服部員が大事にしながら、少しずつ更新してきたんです。魔法のファイルなので、ページを増やすのも簡単で」
被服部員の説明に、なるほどと頷きながらエウトティアはページをめくる。この他にも用途別やら生地の種類別やらに分けられたファイルが有るのだろう。この見本がすでに、先人たちの叡智の結晶のようなものといえるか。生地自体は被服準備室の隣を倉庫にして、巻いた状態で保管しているという。
「学校の部活動というより、本格的な裁縫の工房みたいだね。生地の在庫も道具なんかの設備も、副資材も充実しているみたいだよ」
「そうなのか。裁縫、僕は女子の遊びはからっきしで苦手なんだよな……だからその辺は良くわからないが、うちの出入りの仕立て屋の店にもたくさんの布があったのはちらっと見たことがあるよ」
凜花の言う通り、確かに普通の学校の部活などでは何を作るか決めたのちにそれぞれ必要な材料を購入し、あまって持ち帰らぬ材料は部室においていく、という感じだろう。ミシンは授業で使うだろうが、一人一台あるのは専門の学校くらい。
れにはといえば男子として育てられたからして、貴族でも女子が幼少の頃から習うであろう刺繍などの裁縫系統には自信があまりない。上流階級育ちゆえに家に仕立て屋が出入りしていたが、新しく仕入れた布だと仕立て屋が自慢げに見せるそれにもあまり興味をもつことはなかった。偶然馬車でその仕立て屋の店の前を通った時に、展示されている服と奥の棚に並べられている布たちをちらりと見た程度だ。
「わたしは、デザインしてみようかな? ブレザーとか……」
日本にいた頃、学校は中学校までしか通えなかった。だから、凜花はブレザーの高校生服への憧れがある。
「制服の資料、お持ちしますね」
被服部員が持ってきた資料をエウトティアとれにがめくる中、凜花はUDCアース系の制服のデザインを幾つか見たのち、自分の頭の中で理想のブレザーを組み立ててゆく。
(「襟から流れるように上着のフチと裾、ポケットの上部と袖口にライン。ボタンは3つ……ううん2つ」)
ただし凜花には絵の心得がなく……あったとしても、頭の中に思い浮かべたものを描き出すというのは別の能力だ。
(「スカートはチェックもいいけれど、このデザインだとシンプルな方が映えるかも。スカート丈は……思い切って短く」)
短いスカートで露出を多めにするのに少し抵抗はあるけれど、折角の機会だからと短めをチョイスして。
「お願いね」
喚び出した娘を自分に取り憑かせた凜花は、思い浮かべたデザインを共有させる。そして、娘に鉛筆を持つ自身の手を操らせて、スケッチブックにイメージを出力させてゆく。
「おや、リンカ殿、よいセンスじゃな」
スケッチブックを覗いたエウトティアが感心したように頷いて。
「可愛らしいデザインじゃの。リンカ殿の世界の所縁の服飾じゃろうか?」
「うん。そう。次はエウトティアさんにもデザインのイメージを共有してもらうよ」
告げて今度は、娘をエウトティアへと憑依させて、デザイン画だけでは伝わらなかったイメージを共有してゆく。縫製を頼むからには、イメージの共有は大事だ。
「ありがとう」
役目を終えた娘を見送るべく告げた言葉に、娘の霊が少し嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか。もしかしたら、戦いではなく母の楽しい思い出づくりを手伝えたのが、嬉しかったのかもしれない。
「どれどれ……本当だ、素敵なデザインだな。参考にさせてもらうよ?」
スケッチブックを覗き込んだれには、資料を見つつ凜花の考えたブレザー制服の男子バージョンのデザイン画を描いてみる。そしてUDCアースの日本風男子制服にするならば、ぜひ試したいアレンジがあった。
「ベースの色は白にしようと思う。生徒会長や特別なクラスは制服の色が違って大抵は白……よくあるお決まりなんだろう?」
日本のアニメーションで学んだというれにが、デザイン画に矢印を描いて『白』と書き入れる。その様子を見た凜花とエウトティアは、無言で視線を絡めて。
「金ボタンや勲章で貴族感や特別感を出したいな」
ウキウキとデザイン画に希望を書き加えるれにを横目に、エウトティアは凜花に耳打ちを。
「リンカ殿のデザイン画には色の指定が入っていなかったが、あれでいいのじゃろう?」
娘の憑依によって伝わってきた凜花のイメージには、もちろん色がついていたのだ。そしてついていたのは色だけではなく。
「色はあれで。追記も伝わっているなら、それがわたしの希望だよ」
「ふむ。ではレニー殿が型紙起こしと生地の裁断まで終わる前に、わしらはとりあえず一着作ってしまうかのう」
男子用と女子用では必要なものや勝手が異なるからと伝え、エウトティアと凜花は先に生地選びへと向かうとれにに断りを入れた。れには生地の裁断までは手慣れている被服部員に手助けしてもらうことを了承し、ボタンや勲章、フリンジなどの副資材を集めてもらうのを頼んだ。
生地を決めて被服室へと戻ってきたエウトティアと凜花は、わざとれにから遠いテーブルへとそれらを運んで。人混みでちょうど目隠しされたそこで、基本のブレザーの型紙と凜花の姿を目測するエウトティア。
「ふむふむ、大体分かったのじゃ。繕い物は普段から嗜んでおるでな、仕立ては任せるがよいぞ」
告げてジャキジャキと大胆に生地を断裁するエウトティア。その思い切りの良さと目測で正確なサイズを理解する力は、やはり普段からの積み重ねで身につけたのだろう。
被服部員も目を瞠るほどの速さと丁寧さで、エウトティアささっと一着仕立て上げる。実家が仕立て屋だという被服部生徒からスカウトの声がかかるほどだ。
「出来たのじゃ! どうじゃリンカ殿、着てみて欲しいのじゃ」
自信満々に差し出された制服を着用した凜花は、まさに清楚なお嬢様の様相。
「エウトティアさん、さすがね。これをわたしと一緒にあと『二着』作って欲しいの」
請われた被服部員は頷き、早速作業にはいる。その間にエウトティアはれにの元へと向かい、凜花は再び元の服へと着替えたのだった。
「エウトティア、ここはどうするんだい? 教えておくれ」
「こういう時は、ここを押さえたまま布の方を回転させるのじゃよ」
針を手に、おそるおそる生地に突き刺しながらのれにの姿は、剣を振るう勇ましい彼女の姿とはだいぶかけ離れていて。れにの隣に座りながら教え、手を差し出すエウトティアには新鮮に感じられた。
「痛っ、針め……やれやれ。ちまちました作業だ」
「ちまちました作業も悪くないものじゃ。集中したい時、没頭したい時などに縫い物や編み物をするおなごもおるからのう」
「なるほど、女子の場合は裁縫はそういう側面も持つのか」
男性だったら身体を動かしてそういう衝動を満たすのかもしれない。だが女性がそのようにアクティブな行動をするのが厭われる場所では、花嫁修業の傍ら、そういう側面も持っていたのだろう。
「レニー殿、あと少しで完成じゃ」
「そう言われると、頑張らないわけにはいかないな」
エウトティアの応援でれにが針を持つ手を動かしていく。その様子を横目で見ながら、エウトティアはれににはまだ難しいだろう箇所の縫製を進めていた。
「どうだろう、似合うかな?」
試着室から出てきたれにの纏った白いブレザーには、金の蓋取りと金ボタン、胸元には勲章、肩には金のフリンジを使った装飾がついている。胸元には青のアスコットタイ。ズボンはブレザーと同じ白に金のラインを入れたもの。
「王子様みたいね」
「おお! とても似合っておるぞ!」
「うん。制服だけれど貴族感が出せて満足だよ。ところで凜花、エウトティア、ふたりはなぜ着替えていないんだい?」
てっきり全員揃ってお披露目だと思っていたれにが首を傾げて問うと、凜花とエウトティアは顔を見合わせあったのち。
「わしらはこれから着替えるのじゃ」
「れにさんにも協力してほしいんだ」
「そりゃあ、僕にできることなら――わあああっ!?」
そこまで聞いて、凜花が合図をだした。すると、女子被服部員三人が、れにを再び試着室へと引きずり込んでいくではないか。
「な、何、どういうことなんだ!? 凜花? エウトティア!?」
試着室から聞こえる声に耳を傾けながら、ふたりも隣の試着室へとそれぞれ入っていく。
「お似合いです」
「とても良くお似合いです、『お三方とも』!」
試着室から出てきた凜花たちへ、被服部員たちから歓声があがる。
凜花のデザインしたブレザーは、れにと同じく白を基調にしたものだった。襟からブレザーのフチ、下部を縁取るのは黒のライン。袖口にも同色のラインを入れて、ポケットの上部にも黒のラインを入れてある。ボタンは金色のをふたつほど。
ブレザーの下に着るワイシャツは、薄い水色。襟元には黒いふわりとしたリボン。
プリーツスカートの丈は思い切って膝上で。チェック柄と迷ったが、ブレザーとの調和を考えて、落ち着いた感じになるようにと黒を選んだ。ただし裾から三センチくらいのところに、白いラインがぐるっと入ってる。
凜花とエウトティアと――そしてれにともお揃いの制服だ。
「女子用のブレザーを着たれにさんの姿、すごく見てみたかったんだ」
「あ、足、足がっ……」
「大丈夫じゃよ、レニー殿は脚も綺麗じゃからな♪」
凜花はエウトティアに一着作ってもらったあと、被服部の手をかりてエウトティアとれにの分も作成していたのだ。ベース色がれにの考えた男子制服と同じだったこともあって、こっそりと。
「丈が短すぎないかっ……!?」
サプライズに慌てているのだろう、れには自身のマントで脚を覆ってしまっているが。
「今のUDCアースの女子高生は、もっと短いの履いてるよ」
「もっと!?」
短いスカートや深くスリットの入ったドレスなどを着用している女性を見ることは多い。だが見るのと実際に着るのとはだいぶ違う、れには実感している最中だ。
「……嫌だった? ごめんなさい。せっかくだから、三人お揃いでと思ったんだよ」
「悪気はなかったのじゃ」
もちろん二人が悪意でこんなことをしたわけではないことは、れににもわかっている。わかっているのだが、戸惑いと恥ずかしさで若干混乱しているだけなのだ。
「お揃い、お揃い、か……」
そういうことなら……とマントを押さえる手を抜きかけたが。
「せっかくなので記念撮影はいかがですか?」
被服部員に声をかけられ、再び手に力を入れたれにであった。
大成功
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ステラ・アルゲン
制服の制作ですか……そういえば裁縫ってしたことがありませんでした。
よく任務で衣服を破いてしまうこともあるのですが、それの修繕は人任せでした。
少しくらい自分で出来たほうがこれから役に立ちそうですね。
被服部の学生達に裁縫を習いつつ制服を作りましょうか。
制服のデザインは学生に任せます。学生服でも他のものでも大丈夫ですよ。
とりあえず私に似合う感じの物を……あ、できれば男性の服で。
どんなデザインに仕上がるのか楽しみにしつつ作っていきましょう。
完成したらもちろん試着してみますよ。
初めて自分で作った服を着る……ふふ、悪くないですね。
「制服の制作ですか……」
賑わう被服室の中を見渡して、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は思う。そういえば裁縫をしたことはなかったな、と。
(「よく任務で衣服を破いてしまうこともあるのですが、それの修繕は人任せでした」)
確かに得手とする者が周りにいるのならば、任せたほうが早いし仕上がりも良いだろう。だが必ずしもそのような者が近くにいるとは限らない。もしものときに『全く経験がない』と『少しばかりやったことがある』ではかなりの差がでる。
「何かお手伝いしますか?」
そんなステラに声をかけてきたのは、被服部員と思しき女性だ。マーメイドラインの長いスカートを身に纏った彼女は、十代の少女にも二十代の女性にも見える不思議さを持っていて。
「実は、裁縫はまったくの素人で……」
なので制服のデザイン自体は自分に似合う男性用のものであれば任せたいが、基本の裁縫自体を教えてもらえないかとステラは願う。
「それならデザインが得意な者にデザインさせながら、ワタシが裁縫の基本を教えましょう」
そう告げて彼女はキュレイア、彼女の呼びかけでスケッチブックを手に現れたデザイン担当の少女はソルティアと名乗った。ふたりとも、ミレナリィドールらしい。
「……いや、無理ですよね?」
「ふふ、無理ではないですよ」
手縫い用の針の穴を見つめて思わず漏れたステラの声に、キュレイアは微笑みながらするりと一発で糸を通してみせる。しかしステラが縫い糸を通そうとすると――穴にカスリもせずに糸の先がぐにゃりと曲がってしまって通らない。
「何故だ……!!」
何度もそれを繰り返したところで、ステラは机に突っ伏した。なんだろう、戦闘で必要ならば、それこそ『針の穴を通すような』技術力を発揮した攻撃を繰り出すことは可能に思える。だが本物の針の穴に糸を通すことの、なんと難しいことか!
(「まだ何も縫っていないのに、心が折れそうだ……」)
テーブルの向かいではソルティアがちらちらとステラを見つつ、制服のデザインを進めている。だがこちらは、まだ糸さえ通せていないのだ。
「……キュレイア殿……、糸が通る未来がまったく見えません……」
「誰でも最初はそうですよ。けれども今回は、特別に秘密の道具をお出ししましょう」
「……!!」
ガバっと起き上がったステラの目の前に出されたのは、手のひらに乗るサイズの正方形の布――いや、若干厚みがあるから、中に何か入っているのだろうか。
「これはワタシが開発した、携帯用の裁縫セットです。薄いのでバッグの中にも、ジャケットの内ポケットにも入ります。重さもほとんど気になりません。しかし中には、応急処置には十分なほどの基本色の糸と、針が三本ほど、そして小さなハサミが入っております。これなら突然のアクシデントにも対応可能です」
「しかし、針に糸が通せなかったら使いこなせないのでは?」
今のステラもそれで悩んでいるのだ。尤もな質問にキュレイアは、そのセットの中から針を一本取り出した。
「緊急時には普段糸を通せる者でも動揺したり手が震えたりしてなかなか糸が通せない可能性もあります。ですからこの針には、魔法がかけてあります。針穴を通るサイズであれば、必ず糸が通るように、と」
「……! 試しても?」
「もちろんです」
針を受け取ったステラは、先ほど何度試してもダメだった糸を手に取る。糸の先がほぐれて広がりかけているのでこういう場合はその部分をカットしたり、糸の先をなめて整えたりするのだが、あえてそのまま――すると。
――すっ……!!
「通った!!」
穴に吸い込まれるかのように、糸の先が針穴を通過したではないか。針に触れた部分の糸が針に籠められた魔力によって整えられ、穴の向こうに導かれるのだとかキュレイアは語っているが、ステラは針の穴に糸を通すことができた感動に打ち震えている。
「これならばいつ何時、想い人のボタンが外れても、外れかけているのを見かけても、『ボタン、つけてあげようか?』と自信を持って声をかけられますし、『裁縫セットを持ち歩いているなんて、女の子らしいんだな……』と好感度アップもありえます」
「……でも、値が張るのでしょう?」
「いえ、今なら基本の並縫いとボタン付け講習がついてこのお値段……といいたいところですが、転校生さんには無料で差し上げます」
「しかしそれでは……」
「ただし、もし針が折れたりして足りなくなったら、今度は補充用の針を買いに来てください」
「わかりました」
こうして魔法の携帯ソーイングセットを手に入れたステラは、魔法の針を使って並縫いとボタン付けを教わったのだった。
(ちなみにUDCアースのソーイングセットには、だいたい糸通しなる道具が含まれていることを、ステラはまだ知らない)
その後、簡単な部分とボタンの縫い付けを自分で手がけたステラは、出来上がった制服を試着して、姿見に映るその姿を眺める。
「初めて自分で作った服を着る……ふふ、悪くないですね」
白のワイシャツに細身の黒いシンプルなズボン。白の革ベルトをつけて、タイはループタイ。
その上に着るベストは同じく黒だが、よく見れば表地には植物の模様が入っている。和風生地の金襴のような、黒地に黒で柄を織り入れた感じといえばわかりやすいだろうか。じっくり見なければわからないオシャレである。
更に羽織るのは、ブレザーというには丈の長い黒い上着だ。膝のあたりまであるロングコートのようなそれには、襟やフチに白いラインが何本か入っており、袖は五センチほど白で、色の切り替え部分近くの白地に黒いラインが入っている。共布のベルトが通されているので、前を閉める時はベルトを締めてもよいだろう。また後ろの裾には燕尾服のように深く切込みが入っていて、動きやすそうだ。
「上着無しで着ても良さそうだし、ベストなしでも良さそうですね。フォーマルにも十分使えそうです」
「気に入ってもらえましたか?」
デザインを担当したソルティアがおずおずと尋ねるのに、自身でつけたベストのボタンに触れながら、ステラは頷いてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
ペイン・フィン
ファン(f07547)と。
自分は、自作してみようかな。
……と言っても、1着普通のをもらって、改造する感じだけど。
……なんだろ、これ。
制服と言うより、貴族服っぽい感じが……。
まあ、良いかな。
とりあえず、拷問具とか、暗器とか、仕舞えるようにしないと。
あと、仕込みワイヤーとか……。
あ、この貴族っぽい飾りとかも、いろいろと仕込めるかも。
今の服は、隠密使用だから、そっちとはベースを別にして……。
よし、できた。(見た目はそのままだが、内部にいろいろと仕込んだ)
ファンは、どうかな……?(ちょうど破けた所を見て、赤面)
……えと、似合ってる……。
こう言って良いのかは、分からないけど……。
とても、可愛い、よ。
ファン・ティンタン
【WIZ】メイド・イン・アルダワ
ペイン(f04450)と
前から気になってた事があってね
猟兵は何処の世界でも違和感をもたれないけれど、私自身が抱くコレは如何ともしがたい
と言う事で、現地人に話を聞きながら一着作ろうと思うよ
…製作は一切、被服部にお任せだけど
被服部に伝えるキーワードは、お洒落に戦う職業制服
いつもの服だと、洋風のアルダワやA&Wにはあまり合わないからね
出来上がったのは…メイド服
お洒落だなとは思うけれど、なんか、こう…動き難さが―――あ。
(スカートが破ける)
…んん?
コレ、良い感じ?
※後に、破けた部分はホックで閉じられるよう改良
ペインは…
ん、格好付けられる一着になったね
中々、男前になった?
「前から気になってた事があってね」
「……うん」
「猟兵は何処の世界でも違和感をもたれないけれど、私自身が抱くコレは如何ともしがたい、と」
被服室のテーブルで向かい合ったファン・ティンタン(天津華・f07547)の言葉に、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は静かに相槌を打つ。
「だから、『お洒落に戦う職業制服』がほしいと思うんだ」
「なるほど、ね」
「いつもの服だと、洋風のアルダワやアックス&ウィザーズにはあまり合わないからね」
被服部員を呼んでオーダーするファンを見て、ペインはいつもの格好でもいいのにと思うが、彼女としてはどうにかしたいところなのだろう。口は挟まない。
(「それに、どんな格好でも、ファンはファンだし……」)
彼女が彼女であるならば、それで十分すぎるほどだとペインは思う。
「お待たせしました、こんなのどうですか?」
まだ被服部員と話をしているファンを見ていたペインの元へと駆け寄ってきたのは、人間の被服部員青年だ。既存の制服をもらって手を加えたいと告げると、彼が何着か見繕ってくれたのだ。
「お好きなの選んでください」
「ん、ありがと」
告げて机の上に広げられた制服を一着一着見てゆくペイン。詰め襟やブレザータイプでも丈や装飾の違いで色々なものがある。
(「うーん、悪くはない、けど」)
どれもなんだか一長一短で。そして手にとった最後の一着。
(「これ、いいかも」)
ペインが手にしたのは、比較的明るめの紺色地の上着。
「あ、それのズボンはこれです」
差し出されたズボンは、白だ。確かにこの紺色は白いズボンに映えるだろう。
「ペイン、採寸行ってくるよ」
「いってらっしゃい」
被服部員とともに別室へと移動するファンを見送り、他の服が片付けられた机へとその上着を広げてじっくりと眺めてみると。
(「……なんだろ、これ。制服と言うより、貴族服っぽい感じが……」)
前部分がみぞおちのあたりから三角形に切り抜いたように、後ろにしたがって長くなるタイプの上着には、金色の縁取りがなされている。袖部分にも金の刺繍が施されていて、ボタン部分も前をきちっと閉めると横に金色の線が三本並ぶような装飾がある。極めつけは、肩につけられた金の飾りとボタン部分へとつながる垂れ下がった鎖。
「……制服?」
「はい。これはうちの女子がどこかの制服だっていって作ったものなんですよ」
ペインの呟きを拾った男子部員も、何処の制服だか知らないらしい。八割くらいの確率で二次元の学校の制服ではないかと思われるが、この男子もペインも、その回答までたどり着けなかった。
「まあ、良いかな」
「必要な材料があれば言ってください」
「じゃあ……」
ペインは裁縫だけでなく、革細工や副資材を取り付けるための道具などを用意してもらい、作業に取り掛かる。
(「とりあえず、拷問具とか、暗器とか、仕舞えるようにしないと。あと、仕込みワイヤーとか……」)
上着の裏やポケット、縁の飾り部分などを利用してそれらをしまえるような加工をしていくペイン。これが貴族服のようにフォーマルに使用できるならば、こうした加工が武器の持ち込みを禁じられている場所でも役立つだろう。
(「あ、この貴族っぽい飾りとかも、いろいろと仕込めるかも」)
肩の上部を覆うようにつけられた金の装飾。はじめは目立ちすぎると思ったが、よく見れば仕込むのに良さそうだ。服の下やポケットの中など普段から見えない場所よりも、はっきりと見えている場所の方が何かを仕込んでいるとはあまり考えないもの。盲点となる可能性が高い。
「よし、できた」
見た目は全く変わっていないその服だが、内部に色々と仕込んであるのだ。今の服は隠密用であるからして、それとはベースを別にして仕込んだ。
(「着心地とか、取り出しやすさ、とか、確かめたい」)
実際に着用して不自然に見えれば隠している意味がない。試着室でひととおり試して、ファンはどうしたかなと思いながら机へと戻ってきた時、名を呼ばれた。
仮縫いとかしながら進めるので、このままここにいてください――そう告げられたファンは、採寸をした別室にそのまま待機していた。
「すみません、部長が、その、転校生さんのキーワードでひらめいちゃったみたいで……」
「いーよいーよ」
部員が申し訳無さそうに告げる。部長と呼ばれたその女性は、下手に手を出したらこちらが怪我をしそうな速さで必要な資材を集め、裁断し、そして縫っている。
「部長、スイッチはいっちゃうと完成するまで止まらなくて……しかもすごい作業が早いから、下手に声をかけられなくて」
「あー、確かに。戦闘だったら下手に手を出したらこっちが怪我しそうだと思うよ」
ファンとて一廉の猟兵であり、武器のヤドリガミである。部長の冒険者としての資質は知らぬが、これが彼女の『戦闘』なのだと考えれば、土俵は違えどその凄さは肌で感じることができる。
「仮縫いできた! 試着! はい、ここだけ調整する!」
走ってきた部長がファンの服を着替えさせて、チェックして、脱がしてミシンの前へと戻るのも、常人とは思えない速さだ。
だから。
「完成した!! 着て! 着て!」
嬉々として部長が完成した服を持ってくるのも、恐ろしいほど早かった。服を作るのに通常どのくらいの時間がかかるものかファンはよく知らぬが、部長の作業がおかしいくらいに早いのだけはわかった。
「ペイン」
別室から出ると、真っ直ぐにペインの元へと向かったファン。彼女が身にまとうのは、一言で言えばメイド服である。
だが、一般的なメイド服とはやや趣が異なる。
まず、基調は白地である。白の長袖に白の長いスカート。スカートの裾には黒い線が入っていて、その下にフリルが付いている。
そしてその上から着ているのはエプロン――ではない。ノースリーブのそれは黒地で、肩口には白のフリル。立った襟に前開きのそれは、後ろにいくにつれて長さを増して。襟元の赤いリボンとアクセントの赤がよく映える。ウエスト部分は白い共布で締めてあり、黒地に白ラインのヘッドドレスも彼女によく似合っている。が。
「お洒落だなとは思うけれど、なんか、こう……」
「ファン?」
「……動き難さが―――あ」
びりりりりりりりりぃ。
丁度、ペインが視線を上げたその時だった。
ファンの右サイドのスカートが破れ、深いスリットのようになってしまったのである。隙間から覗く彼女の脚を間近で見たペインの顔が、一気に紅潮してゆく。
「……んん? コレ、良い感じ?」
だが当のファンは、スカートが破れたことで動きやすくなり、ご機嫌のようだ。
「……えと、似合ってる……」
覗いた脚部分を直視しないように告げられたその言葉に、ファンは満足げだ。
「こう言って良いのかは、分からないけど……。とても、可愛い、よ」
そう言われ、なんだかむず痒くなりながら、ファンはペインの姿をじっくりと眺める。いつもシンプルな格好ばかりを見ていたから、何だか少し、意外ではあるが。
「ペインは……ん、格好付けられる一着になったね」
そっと、彼の隣に歩み寄るファン。
「中々、男前になった?」
「そうだと、いいな……」
ふたり並ぶと服のせいで貴族と使用人に見えてしまうのは、致し方ない。ふたりの本当の関係は、ふたりだけが知っていればいいのだ。
被服室を出る前に、部長が涙ながらに裂けたスカート部分をホックで閉じられるように加工してくれたのは、余談である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エイミ・メルシエ
さてさて、せっかくですから……制服作りの方も見てみましょうか。
アルダワ学園ははじめてですからね! 観光です!
しかし……みなさん、どんな制服を作るんでしょうか。
観光ついでに、色々見てみたいですねえ。ええ、まずは情報収集からです。覗き見では断じてない。
カワイイ制服、たくさん見れると良いなあ(わくわく)
そして! 情報収集したら! わたしも何かひとつ考えてみましょうか。
こう、アルダワ学園青春科的な感じでひとつ。そしてアイドルっぽい感じで。
チェック柄のコルセット付きのティアードスカートと、お揃いのリボンネクタイと……あとはミニベストとか……うー、あとどうしようかな?
※アドリブ歓迎
「さてさて、せっかくですから……制服作りの方も見てみましょうか」
アルダワ魔法学園は初めてだからと観光気分で校内を歩きながら、エイミ・メルシエ(スイート&スウィート&プリンセス・f16830)は観察を欠かさない
(「しかし……みなさん、どんな制服を作るんでしょうか」)
校内を行く生徒たちの服装は、たしかに様々だ。制服を着ている者もいれば、ザ・冒険者的な格好の者や、作業用と思われる服装の者もいる。
(「カワイイ制服、たくさん! たくさん!!」)
しかしエイミが視線を向けるのは、制服姿の女子だ。可愛い物好きの彼女だから、仕方がない。これは情報収集だ。情報収集なのである。やましいことは断じて……ない。
(「あれはセーラー服! あっちはブレザー! あ、なんだろう、アレは鼓笛隊っぽい……軍服の分類でしょうか?」)
一通り可愛い制服を目に焼き付けたエイミは、意気揚々と被服室へと向かった。
被服室にて、スケッチブックを借りていざ机に向かったエイミではあるが。
「……希望はありますが、絵にできないことに気が付きました!!」
頭の中のものを絵や文字で出力するのは意外と難しい。さて、初っ端から暗礁に乗り上げたエイミであったが。
「……、……ます……」
「え?」
「……あたしが、手伝いますっ」
何処からか聞こえてきた声に、声の主を探る。しかしそれらしき姿がない――。
「ここ、ですっ!!」
「わっ!?」
ひょいっ……。声とともにエイミの膝に突然乗ったのは、小さなケットシーの女の子だった。彼女も被服部の部員のようである。
「あたし、ネースって言います。デザイン得意です!」
そう告げた彼女は、エイミの膝の上に座り直し、机に向かって鉛筆を持つ。流れで彼女を膝に乗せることになったエイミは、彼女の後ろからスケッチブックを覗き込んで。
「じゃあ、こう、アルダワ学園青春科的な感じでひとつ。そしてアイドルっぽい感じで」
「具体的な希望はないのです?」
こてんと首を傾げたネースの言葉に、エイミはするりと言葉を紡ぐ。
「チェック柄のコルセット付きのティアードスカートと、お揃いのリボンネクタイと……あとはミニベストとか……うー、あとどうしようかな?」
「結構具体的な希望! 最初からいうのです!!」
「ごめんなさい」
正論で責められて思わず謝るエイミ。だがネースはすらすらすらっと鉛筆を動かして。
「できたです!」
「おぉぉぉぉぉっ!!」
「転校生さんは髪がピンク色ですからね、色はこんな感じですっ!」
色鉛筆を使って色の指示を入れていくネース。
「どうですか!」
「これでお願いしますっ!!」
デザイン画の出来上がりには申し分なく、握手にかこつけてネースの肉球をぷにぷにしたエイミであった。
ネースが仲間のケットシーたちと共に作り上げてくれた衣装を着たエイミは、試着室を飛び出した。
「これですこれですこれです、アイドルっぽくてチェックで可愛いです!!」
「よろこんでもらえてよかったです」
ぶんぶんと握手の要領で握られた手を振られて、けれども嬉しそうにネースは笑ってみせた。
エイミが作ってもらったのは、白いブラウス。長袖の袖口はギャザーが寄せられているビショップ・スリーブで、胸元にはピンタックが複数入っている。その上から羽織るミニベストは、黒地に明るい水色の縁取りが入っていて、黒を明るく見せている。
スカートはミニ丈の、三段フリルのティアードスカートにコルセットのついたもの。コルセット部分は紐や縁取りにベストと同じ明るい水色が使われていて、コルセット部分とスカート部分のつなぎ目には同じく明るい水色のフリルがついている。
スカートの一段目はベストと同じ黒に白のフリル。だが黒とフリルの間に明るい水色のラインが入っている。
二段目は、斜めに太さの違う線を何本も入れた黒と明るい水色のチェック生地に、白いフリル。
三段目は、一段目と同じ、黒に明るい水色のラインの入ったものに白いフリル。
このスカートに使った、黒と明るい水色のチェック生地で作ったリボンネクタイを胸元へ。
スカートの下にパニエを履いているので、ふわふわしたスカートはまさにアイドルっぽい。
「これもどうぞですー」
「えっ、これ、マカロン!?」
ささっとネースが取り出したものに、エイミは驚かされた。差し出されたそれを震える手で受け取る。
それは、マカロンの形をしたミニハットだった。服と同じ黒の生地を使い、クリーム部分に明るい水色の生地を使ってある。
「え、なんで」
エイミは、自分がマカロンタワーの食品サンプルのヤドリガミであることを彼女に話してはいない。
「転校生さんを見ていたら、マカロンがたべたくなったから、似合うと思ったのですー」
「嬉しいですっ……」
ミニハットを握る手に、力がこもる。見かねたのか、ネースは「仕方ないですね」と言って魔法でエイミの頭へと、マカロンミニハットを乗せてくれた。ミニハットは斜めに被ったベレー帽ー風にエイミの頭に座し、不思議と違和感がない。
「これで完成ですー」
「ありがとうございますー!!!」
五体投地する勢いで礼を述べるエイミを、ネースも仲間のケットシーたちも、嬉しそうに笑いながら見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
斬断・彩萌
【同行:ゆずっきゅ(f02067)】
私は自前の制服があるしー、ここは新しいジャンルに挑戦してみようかしら
てなわけで白を基調とした軍服を作るわよ
お裁縫はウチで結構やらされたし、割とうまいはず
形は大体決まってるし、型紙はこの詰襟系のやつで良いかな
断ったらあとは縫うだけだし余裕ね
ゆずっきゅは調子どう?ちゃんと進んでる?もしアレなら手伝うわ
ブレザーは衿がちょっと難しいかもしれないから、分かんないとこあれば言ってね
と話しつつミシンかけ。被服部ってことはロックミシンもあるかしら。端の処理して完成!後で勲章とかも作ろっと
ゆずっきゅの手伝いをしつつ、完成したら二人で着用して写真を撮る!
はいっ、ぴーす★
祇条・結月
斬断・彩萌(f03307)と同行
せっかくだし、今まで着たことがないブレザー風の制服を作ってみるよ。
彩萌は軍服風?
あは、いいね。アルダワだとそういうのも、向いてるかも。
手先を使う作業は割と得意なんだよね。
こう見えても職人の端くれだから、さ。
でも、服は作ったことないから、アドバイスは欲しいかも。
お手数だけどよろしくね。
勲章も作るんだ。結構凝り性だね。
ううん、いいと思うよ。軍服風ならある方が絶対格好いいと思う。
写真?
撮らないとだめ? だめか……
おっけー、降参。
はい、ぴーす
被服室のテーブルに向かい合って座った斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)と祇条・結月(キーメイカー・f02067)は、被服部員がテーブルに置いていってくれた制服の資料をパラパラとめくりながら、それぞれ考えを巡らせてゆく。
「私は自前の制服があるしー、ここは新しいジャンルに挑戦してみようかしら」
確かに彩萌は、ベーシックなものに若干アレンジが加わったセーラー服を愛用している。
「僕はせっかくだし、今まで着たことがないブレザー風の制服を作ってみるよ。新しいジャンルって?」
「これこれ。白を基調にしてみようと思って」
結月の問いに彩萌が広げてみせたのは、資料の軍服のページだ。
「軍服風? あは、いいね。アルダワだとそういうのも、向いてるかも」
「形は大体決まってるし、既存の型紙をアレンジすればいけるはず」
「僕はどんなブレザーにしようかな」
被服部員に案内され、型紙を保管してある棚へと辿り着いたふたり。
「ブレザーですと基本の形はあまり差異がありませんが、襟の形などにこだわりが出るところですね」
結月は被服部員から、ベーシックなブレザーの型紙を受け取った。
「型紙はこの詰襟系のやつで良いかな。あとは、一応」
詰襟系の型紙の他に、彩萌はスカートの型紙も一応手にして、ふたりは生地を選んでテーブルへと戻る。
「手先を使う作業は割と得意なんだよね。こう見えても職人の端くれだから、さ」
だが、服を作ったことはない結月。
「でも、服は作ったことないから、アドバイスは欲しいかも。お手数だけどよろしくね」
「任せて!」
裁縫経験のある彩萌は自信満々に頷いて、型紙を使って布に印をつけ、裁ってゆく。結月は彩萌の作業をしっかりと観察し、真似てゆく。職人に育てられた結月には、しっかりと見ることで技術を自分のものとする力があった。わからない箇所は彩萌や被服部員に尋ね、自分のサイズに合わせて布を裁つ。
「ロックミシンもあるかしら?」
「もちろんです」
結月も服作りが初めてであるわりには、布を裁つ手に迷いはなく、スムーズに作業を進めている。だが彩萌はそれよりも早く、ミシンを借りて縫製作業へと移っていた。
「ゆずっきゅは調子どう? ちゃんと進んでる? もしアレなら手伝うわ」
「うん、今のところ大丈夫かな」
「ブレザーは衿がちょっと難しいかもしれないから、分かんないとこあれば言ってね」
「ありがとう」
だかだかとミシンを掛けながらも、結月への気遣いを忘れぬ彩萌。そんな彼女に心の中で感謝をしつつ、結月は初心者用に補助の魔法がかかった魔法のミシンを借りて、部員の指示で縫い始める。最初はゆっくりとした速度で、物足りなく感じるようになったら少しずつ速度を上げて。
「端の処理も終わったし、完成!」
当然のことながら、完成したのは彩萌のほうが早かった。よく見れば、ボトムはスラックスとミニスカートの2種類作り上げている。
「後で勲章とかも作ろっと」
「勲章も作るんだ。結構凝り性だね」
「うちにもいくつかありますから、撮影の時にお使いになりますか?」
ふたりのやり取りを耳に挟んだ被服部員の声。
「いいと思うよ。軍服風ならある方が絶対格好いいと思う」
「じゃあ、お言葉に甘えて借りるわ」
結月の後押しもあって、彩萌は被服部員の申し出を受けることにした。ここにある勲章を見ておけば、後で自分で作る際にアイデアの幅が広がるだろう。部員が勲章を取りに行ってくれている間に、彩萌は結月の作業を手伝い、彼のブレザーとスラックスを完成させてゆく。
そして出来上がった服を試着する時が来た。
結月が作成した制服は、ブレザーとスラックスのセット。ブレザーは濃紺地に白で縁取りをし、ポケット口にも白いライン。ボタンも白で目を引く。ネクタイはブルーにラインの入ったもの。
スラックスは濃紺地に薄水色の細いラインを組み合わせたチェック柄だ。ブレザーと同じ濃紺地のはずなのに、水色の細いラインが数本で一本の線を作り出し、うまく交差することで薄水色部分に濃淡を出しており、ブレザーよりも明るめに見える。
「なんだか変な感じだな」
着慣れぬそれに若干の違和感を覚えていると、隣の試着室から彩萌も姿を現した。
「どうかしら?」
彩萌が着用しているのは、白を基調にした詰め襟タイプの軍服だ。肩に黒と金で飾りがついており、落ち着いた金色のボタンがいい味を出している。今は同色のスラックスを履いているが、スラックスをミニスカートに替えてウエスト部分をベルトで締めれば、女性風軍服になる。
胸元に鎮座する数種類の勲章が、カッコよさを増していた。
「ゆずっきゅ、写真写真!」
「写真? 撮らないとだめ?」
問うた結月自身もなんとなく察してはいたが、やはり写真を撮るまで彼女は離してくれそうにない。
「だめか……。おっけー、降参」
小さく息をついて観念した結月。
並んだふたりは被服部員にカメラを預けて。
「はいっ、ぴーす★」
「はい、ぴーす」
こうして素敵な記念写真が、のこされたのである。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年05月21日
宿敵
『禍を嗤う者『ダイス』』
を撃破!
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