どうか始りを良きものに~魔法学園の新入生~
●ルーキー・ナイツ
アルダワ魔法学園――地下迷宮アルダワの上に設置され、迷宮に潜む災魔と戦う為の戦士を備え、そしてそれを育てる特務機関。
今年もその門を叩く若き戦士たちが三人――いずれも今は未熟でも長じれば良き戦士になれる……かもしれない。
「……」
「……」
会話の内容は聞き取れないが、どうやら誘われている迷宮新歓コンパのどれに行くかを二人の少女が言い争い、一人の少年が優柔不断に決めかねているようだった。
迷宮に入る前から迷うことの滑稽なれど、未知の冒険に憧れる気持ちは皆、同じ。
果たして彼等には如何な冒険が待ち受けているか……。
●先輩の楽しみ
「いつの世も新入生ってのは初々しくて良い物さ。私もそうだったからね」
何処か昔を懐かしむような視線で、グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは自分のサーベルを眺めていた。
集まってきた猟兵達の視線に気付き、それを鞘に納めると、妙に穏やかに微笑みながら彼女は語る。
「先輩から後輩へ、後輩が先輩になってまた後輩へ……良い流れさ。さて、仕事だよ諸君」
そういうと彼女はゆっくりとグリモアを輝かせた。
「さぁ語ろうか。舞台はアルダワ魔法学園、時は新入生歓迎の季節、君達にはとある新入生たちの初めての仕事を応援して貰いたい」
アルダワ魔法学園では、新入生が入ってくれば歓迎会と称して迷宮探索を行い、然る後に至極簡単な災魔を一緒に倒すことを習わしとしてきた。
「今回は私達猟兵にお鉢が回ってきてね。とある三人の新入生君達の指導に当たって貰いたいのさ」
そう言って彼女は三人の新入生を映し出す。
いづれも人間族で、せいぜい歳は10代の前半程度、初々しさの消えない一人の少年と二人の少女だった。
「まぁまずは焦ることはない。まずはこのフロアでゆっくりと魚でも楽しみながら彼等との親交を深めてみるといい」
スフィーエのグリモアが輝くと、途轍もなく広いフロアに、数多の魚が宙を泳いでいる幻想的な光景だった。
水も無いのにも関わらず魚が宙を泳ぐ光景自体が凄まじいが、その中でも一際目立つのが、宙を泳ぐ魔法の鯨だった。
「要は、こうした危険のないが驚きのあるフロアで、アルダワにはこういう摩訶不思議なフロアが沢山ある、ということを覚えて貰うのさ」
非常に緩やかではあるが人間もそこでは空を飛べるので、共に魚達と戯れたり、釣りに興じたりするも良いと語る。
「そこで色々と話しでもすればいいさ。自己紹介なり何なり、ね」
と、穏やかに補足もして、また再びグリモアを輝かせる。
「そして次は迷宮突破の本番さ。このフロアを彼等を指導しつつ突破して貰いたい」
映し出すのは、直径三メートルほどの筒状の一本道が幾つかある光景。
足を踏み入れた途端、崩壊が始まるので完全に崩れる前に駆け抜けていって欲しいと語る。
恵まれた脚力で一気に駆ける方法でも、スピードの出し方を教えながらでも、効率の良いルートの見出し方でも何かしら追われる状況から逃げる力を養ってあげて欲しいと語る。
また道中には崩壊せず浮いたままを保つ、いわゆる休憩ポイントのようなモノもあるし、崩れても時間を少し置けば再生するのであまり心配いらないとも補足し。
「仮に落ちても軽い尻餅をついて、入口か近くの休憩ポイントに転送されるだけさ」
なので新入生共々命の危険性は無いが、追われる緊張感を養うのには丁度良い道なのだと語り。
ただ猟兵ならば休憩ポイントに居座るまでもなく一気に突破できるだろう、とも補足しつつも。
「とはいえ新入生君達はそうもいかない。休憩ポイントで立ち往生していたら、その都度尻を叩いてやってくれたまえ」
それから飛行能力などは一時的に無効化される結界が張られているようなので、その辺りは気を付けるようにとも注意を重ね。
「然る後、そこで待ち受ける災魔を倒して欲しい。……そんなに強くないがね」
待ち受ける災魔は数は少々厄介だが、新入生の彼等でも十分に対処は出来るレベルだ。
猟兵ならば苦も無く倒すことは出来るだろうが、新入生にも多少は倒す経験を積ませてやって欲しいとも語り。
そうして一頻り語り終えた後、彼女は天井を見上げはふ、と息を吐いて。
「初めての冒険はいつだって歳をとってからも大事な宝となるものさ。若き戦士たちの初めての挑戦、君達なら素敵に彩ってくれると信じているよ」
裏山薬草
どうも、裏山薬草です。
え? 「はじよき」がA&W限定と思っていましたか?
番外編みたいなものだとお考え下さい。
今回はですね、アルダワ魔法学園の新入生と親交を深めつつ、迷宮突破のお手本を示しながら、最後に待ち受ける敵と戦って貰うシナリオとなります。
第一章では、新入生さん達と親交を深めつつ日常を楽しんでください。
自己紹介や軽い質問なども織り交ぜつつ、空飛ぶお魚さん達とゆっくり遊ぶぐらいの気持ちで来てください。
第二章では新入生さんを連れての迷宮突破となります。
OPで説明した休憩ポイント云々は、要はタイミングとかは気にせず新入生さんの指導を行って良いですよ、という舞台装置なのであまり気になさらずに。
尚飛行能力を持つ方も、このフロアでは一時的に無効となります。悪しからず。
第三章では迷宮を突破した先に待ち受ける集団敵との決戦になります。
基本的には弱いので、戦い方を指導しながら戦ってみるのも良いかもしれません。
最後に簡単ですが、新入生さん達のプロフィールを乗せておきます。
全員、人間です。
多少の戦闘力はありますが、猟兵の皆様よりは大分劣ります。
●レイン(13歳・男)
竜騎士。武器は槍。真面目で冷静だが少し優柔不断。
●アーリン(15歳・女)
マジックナイト。武器は剣。勝ち気で面倒見の良い姉御肌。
●シエル(12歳・女)
精霊術士。武器は杖。ドジだが心優しい。
第1章 日常
『夢見る鯨は空を飛ぶ』
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POW : 鯨達と共に泳ぎ思いきり体を動かす
SPD : 鯨達に餌やりをして戯れる
WIZ : 空を飛ぶ鯨達を眺めながら飲食を楽しむ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
花狩・アシエト
新入生か〜うんうん初々しいな!
どれ、おっさんが一つ構ってやろう
……レインは、竜騎士で槍使いなのか
おっさんの知り合いに竜騎士で槍使いがいるぞ
めちゃくちゃ強くておっさんは勝ったことが一度もない
その知り合いは迷いがなくて一直線で、冷静でちょーかっこいい
まあそんな大人もいるって話だ。何かに迷ってるなら、話の種になればいい感じだな
WIZ
おっクジラだ
ぼうっと眺めてるのもいい景色だな。きれいで優雅で、こいつら何考えてるんだろ
レイン、迷ってもいいけど、戦闘や命が関わるときは迷っちゃダメだぞ
すくえない命もあるが、レインの選択ですくえる命もでてくるはずだ
おっさんとの約束だ
アドリブ、絡み歓迎
●ぷかぷか
どうして魚が空を飛んでいるのか、どうしてここでは翼を持たない人も飛べるのか――そしてあの鯨は一体何なのだろうか。
花狩・アシエト(アジ・ダハーカ・f16490)は微笑ましく、戸惑いながらも興味津々といった風にフロアを見回す竜騎士の少年レインの隣に立った。
「おっさんの知り合いにも竜騎士で槍使いがいるぞ」
互いの自己紹介もそこそこに、アシエトは槍を背負ったレインに親し気に話す。
「めちゃくちゃ強くておっさんは勝ったことが一度もない。その知り合いは迷いがなくて一直線で、冷静でちょーかっこいい」
そういう大人もいる――と自慢げに語るアシエトに、どこかレインは俯きがちになり。
細々と彼は優柔不断なのが悩みだとたどたどしくも切り出せば、何処か神妙にアシエトは真正面から向き合った。
「なあレイン」
一瞬の緊張もすぐに、彼はどこか人懐っこいような笑みに変わり、面食らったようなレインに語りを続ける。
「迷えるっていいよな。それだけレインが真面目でちゃんと考えられるってことだ」
でもな、と続けてから。
「迷ってもいいけど、戦闘や命が関わるときは迷っちゃダメだぞ」
笑顔とは裏腹に、その教えはとても真剣に。
戸惑うように、まだ言葉を上手く呑み込めていないレインに軽く背中を押すように言葉を続ける。
「すくえない命もあるが、レインの選択ですくえる命もでてくるはずだ……おっさんとの約束だ」
「……出来る限りがんばってみる」
男の約束だ、と小指を結んでから切って。
それからほら見ろ、とレインの肩に手を置きながら宙を泳ぐ鯨を指差して笑う。
「にしても、こいつら綺麗だなー。優雅だし、何考えてるんだろうな?」
よく分からない、と悩み始めたレインを笑い飛ばすように背中を叩きながらアシエトはこう言った。
「はっはっは。こーいう時はいっぱい迷え!!」
穏やかな少年と自称おっさんの時間はこうして過ぎていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
シャルロット・クリスティア
WIZ
基本的に景色を眺めながらのんびり雑談です。
迷宮にはこういう類のものもあるんですね。
噂に聞いたことはありましたが……。
……あぁ、どうも。新入生の皆さんですね?
私も生徒ですよ、シャルロットと言います。
一応学歴は上ですが、年の頃もほぼ同じようですし、気楽にお願いしますね。
えぇ、私も実際にこういうのを目にするのは初めてです。
普段は学園以外も飛び回っているのもありますけどね。
……ですが、つまりそれはいくら経験を積んでも、未経験の事と遭遇する可能性はある、と言うことです。
経験則は大事ですが、それだけに頼らず、何事も初見のつもりで慎重に。
これから迷宮に挑むのであれば、忘れちゃダメですからね。
●おねえさん
空中を泳ぐ魚という光景は、それを初に見る者ならば誰もが興味をそそられるというものか。
暫くの間、宙を泳ぐ魚の姿を興味と一緒に眺めていると、三人の視線を感じ、彼女は軽く会釈をした。
「……あぁ、どうも。新入生の皆さんですね?私も生徒ですよ、シャルロットと言います」
シャルロット・クリスティア(ファントム・バレット・f00330)と、新入生三人は互いにやや緊張した面持ちで見つめ合っていた。
「えーっと、一応学歴は上ですが、年の頃もほぼ同じようですし、気楽にお願いしますね」
数瞬にも満たなかったが、沈黙はこの場合は不味い――当たり障りのない挨拶を済ませ。
年の頃はそう変わらなくとも、実務の時で上回るならばそれは先輩というものに他ならない――であれば、ほんの少しの「お姉さん」らしく在ろうと思うのも、また必然というべきか。
無論、それは飾りではなく実際に数多の視線を潜り抜けた歴戦の風格に、新入生達も先輩の威厳らしきものを感じ取っている様子で。
「あの、シャルロット先輩?でも、こういうのは初めてなんですか?」
「えぇ、私も実際にこういうのを目にするのは初めてです」
おずおずと声を掛けて来た唯一の年下の少女シエルにシャルロットは答え、更に続ける。
「普段は学園以外を飛び回っている、というのもありますが……ですが、つまりそれはいくら経験を積んでも、未経験の事と遭遇する可能性はある、と言うことです」
思っているよりも、世界というのは広く驚きに常に満ちているものですよ、と穏やかに新入生達に伝え。
「経験則は大事ですが、それだけに頼らず、何事も初見のつもりで慎重に」
初心忘るべからず。
何事も慣れてもう大丈夫、と慢心した時が破滅の第一歩。
「これから迷宮に挑むのであれば、忘れちゃダメですからね」
気を引き締めるように表情を強張らせる彼等に、それでも優しく諭すように、“お姉さん”は告げるのだった。
成功
🔵🔵🔴
アルフェミナ・オルフェナウス
新歓コンパも盛況ですよね。この季節はウキウキします!
今日はどんな出会いがあるでしょうか!楽しみです!
それではまずは自己紹介を!
私の名前はアルフェミナです!
幼馴染と一緒に英雄育成コースで勉強する傍ら、転校生向けの学生寮の寮長もしています!
よろしくお願いします!
一通り自己紹介や挨拶が終わったら、新入生の様子を見に行きましょう。
あまり馴染めてない人を優先で相手しますね。
「ふふ、楽しんでますか?それとも驚きました?」
緊張を解くように話し続けましょう。
出来れば三人とも話せたら一番ですね!
「緊張してますか?未知に備えるのは良いことですけど、力を入れすぎも怪我の元です。リラックスしましょう♪」
●りょうちょうさん
新歓コンパも盛況でこの季節は、迎え入れる側にとっても心弾むモノだ。
少し前までの「知らない人」が「後輩」となり、やがては「友」になるかもしれない――そんな楽しみ。
それはアルフェミナ・オルフェナウス(heilige blatt・f09594)もまた例外ではなく、集まった三人の少年と少女(と言っても彼女とほぼ同世代だが)に向き合うと、両手を打ち合わせ自己紹介を始めた。
「私の名前はアルフェミナです!! 幼馴染と一緒に英雄育成コースで勉強する傍ら、転校生向けの学生寮の寮長もしています!!」
最初に口火を切った“先輩”に倣い、レイン、アーリン、シエルの三人もやや緊張した面持ちで各々の自己紹介を始めていき。
特に歳も同じで三人の中でも行動派、おまけに同じマジックナイトとしての心得のあるアーリンはアルフェミナとすぐに馴染めたようで。
「私達も幼馴染なんだ。なんだか気が合いそうだね。よろしく、先輩」
「それは奇遇ですね。よろしくお願いします!!」
挨拶もそこそこにアルフェミナは宙に泳ぐ魚の幻想的な光景を眺めながら新入生それぞれの様子を見やる。
レインとアーリンは既に多少馴染んだ様子もあるようだが、シエルは未だ緊張しているらしく彼女にそっと声を掛ける。
「ふふ、楽しんでますか? それとも驚きました?」
「ふえっ!? あ、はい。楽しいですし、驚いてます」
心優しいと聞いたが、気を遣っているのだろうか。
そんな様子にアルフェミナは気を楽にして、と軽く背中を叩くも彼女は未だ顔の強張っている様子で。
「緊張してますか?」
そんな心を見透かすように、穏やかに声を掛けて。
基本中の基本、けれど何より大事な冒険を行う心構えをそっと説く。
「未知に備えるのは良いことですけど、力を入れすぎも怪我の元です。リラックスしましょう♪」
反復する姿勢のシエルを好ましく思いながら。
先輩と後輩の穏やかな時間の前を、魚が一匹横切っていった。
大成功
🔵🔵🔵
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(POW)
すごーい!本物の魚が泳いでる!
おおきいー!あれがクジラなんだね!
(※スペースノイドなので本物の魚を見た事がないから大はしゃぎ)
ぷかぷか浮かんで漂ったり魚たちと一緒に泳ぎながら新入生たちに自己紹介
「あ、ボクはシャーリー。宇宙海賊やってるんだ」
…あ、キョトン顔
無理ないけどね
「世界ってすっごく広いんだよ。ボクだってこんな風に空飛ぶ魚やクジラなんて見るの初めてだし」
「だから、わからない事があってもそれは恥ずかしい事じゃない。慎重になる必要はあっても不安になる必要なんてないんだからね」
「ボク達と一緒に、ワクワクを楽しも?」
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(POW)
そういやシャーリーって宇宙生まれなんだっけ。
俺も鯨は見た事はあるけど一緒に泳ぐなんて初めてだからな。
せっかくの機会なので並んで泳いだり戯れたりして遊ぶ。
間近で見るとやっぱでっかいよな!
そんな感じでシャーリーと一緒に鯨や魚と遊びながら新入生たちと歓談。
俺は料理人見習いのウィーリィ。よろしくな!
そういやお前達って元々知り合い同士なのか?
俺もシャーリーとは猟兵になってからの付き合いだけど、一緒に冒険していくうちに互いの得手不得手とか見えてきてそのおかげで連携もうまく取れるようになってきたんだ。
だからお前達もお互いの得意も不得意も認めて受け入れていけばいいチームになれると思うぜ。
●このうみもこのうみで
ここは水の中ではない――にも関わらず、身体は宙に浮く。
浮いた身体に纏わりつく空気の抵抗は、水の中を知る者ならばそれが纏わりつくような心地よさすら感じ得る。
にも関わらず、水の中とは違って呼吸も出来る――アルダワのフロアは常識では計れない何かがあるものだ。
「すごーい!! 本物の魚が泳いでる!!」
尤もこのスペースノイドの少女、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)には、無重力という空間に近いモノがあるかもしれないが。
しかし、それ故に本物の魚を知る機会に恵まれなかった彼女は、目の前を泳ぐ魚に興奮を隠せない。
「おおきいー!! あれがクジラなんだね!!」
「そういやシャーリーって宇宙生まれなんだっけ」
ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はシャーリーの隣でゆったりと泳ぐように浮かびながら、彼女の出自を思い出す。
とはいえ、自分だって鯨を見たことはあるが、それでも間近でこうして見るのは初めてなわけで。
「間近で見るとやっぱでっかいよな!!」
「うん!! すっごいなぁ……」
大きな動物は、男の子なら誰だって大好きなモノ。
興奮冷めやらぬままに、無邪気に隣を泳ぐ少女に同意を投げかければ先の質問と合わせて少女は頷き、少年は尾を揺らす鯨を見送る。
友好的な性格なのか、鯨の振る尾は彼等の振る手に返礼を行っているようにも見えたかもしれない。
様々な未知への驚きや、幻想と浪漫に満ちた水槽ならぬ“空槽”の中、先輩方の助言に従ってフロアを楽しむことにした新入生達三人の姿が二人の目に映る。
宙に浮きながら彼等にも手を振り、二人はそれぞれ自己紹介を始めた。
「あ、ボクはシャーリー。宇宙海賊やってるんだ」
「俺は料理人見習いのウィーリィ。よろしくな!!」
料理人は兎も角として、宇宙海賊とは何だろうか。
そう言った職能の類があるのかと呆気に取られている三人と、そんな彼等にやっぱりかと苦笑する二人。
自己紹介もそこそこに、彼等は宙を泳ぐ不思議にして心地よい感触を楽しみながら、ふとウィーリィは問いかける。
「そういやお前達って元々知り合い同士なのか?」
「あ、はい。幼馴染なんですよ」
さっきの先輩にも説明しましたけど、と答えるのは一番年下の少女シエルだった。
「へえ、いいなそういうの。俺はシャーリーとは猟兵になってからの付き合いだけど」
僅かに頬を赤らめ隣の少女に目配せし。
察したアーリンが茶化すが、それをシエルが肘内で制しレインが何の事だろうとぼんやり見つめ。
「一緒に冒険していくうちに、互いの得手不得手とか見えてきて、そのおかげで連携もうまく取れるようになってきたんだ」
咳払い一つ誤魔化して、彼等に経験を語るように。
先輩らしいところを見せるように、両手を後頭部に添えて語る。
「だからお前達もお互いの得意も不得意も認めて受け入れていけばいいチームになれると思うぜ。幼馴染なら余計にな」
そんなウィーリィの言葉にチームとしてもだけど、とシャーリーは前置きしてから語る。
「世界ってすっごく広いんだよ。ボクだってこんな風に空飛ぶ魚やクジラなんて見るの初めてだし」
そもそも本物の魚とか鯨を見るのも初めてだけど。
そういう驚きもあるし、それはこの子達にとっては信じられないことかもしれない。
「だから、わからない事があってもそれは恥ずかしい事じゃない。慎重になる必要はあっても不安になる必要なんてないんだからね」
分からない事があっても、だからこの少女と分かり合うように連携などを深めて来た。
自分の言葉を後押ししてくれたように語ってくれた少女を好ましく思いつつ、ウィーリィはまた言葉を紡ぐ。
「だから俺達と」
「ボク達と一緒に、ワクワクを楽しも?」
――分かり合う為に、一緒に楽しむために。
また、先輩と後輩の穏やかな時間が一つ……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『駆け抜けろ一本道!』
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POW : 私には筋肉が味方している!脚力に任せて駆け抜ける!
SPD : 速さには自信がある!当然、自慢のスピードで駆け抜ける!
WIZ : 私にはこの知性がある!効果的な走り方を考えて駆け抜ける!
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●迷宮突破
新入生の歓迎――アルダワがどういう場所かということを知らしめた後。
猟兵達は新入生の三人を、彼等が突破するべき迷宮のフロアへと案内していく。
案内されたフロアは、幾つかの筒状の通路が存在していた。
足を踏み入れた途端に崩壊を始め、飛行能力すらも封じられる通路の中では、全力で駆け抜けていくしかない。
尤も、仮に落ちたところで怪我の心配はなく、道中にはいくつかの休憩ポイントのようなものも誂られている。
何のためにこんな危険の少ないギミックがあるのかは不明だが、少なくとも危機から逃げる力は養えるだろう。
新入生を鍛え共に挑むにはおあつらえ向きなこの仕掛けに、彼等は挑んでいくのだった。
花狩・アシエト
おー走るのか…いやいいんだけどよ
おっさんが見本見せるけど、失敗したら真似すんなよ
見本を見せた後の、アドバイス係だな
脚力で歩数少なく一歩を大きく踏み出して駆ける!
脳筋だからな、落ちたら仕方ねぇなあ
よっと
走った感じとしては自分が一番自信がある能力で走ったほうがいいぞ
レインが得意なのはどういう走り方だ?
脚力や速さなら十分だ
けど、頭を使って走るなら、ちょっと考えなきゃいけねぇな
ウーン。
最初はダッシュ、中間は少しペースを落とし、最後もダッシュ
ギリギリ落ちないように走るのがポイントだ
怖がらずに走ってみよう!
さっきおっさんも落ちたけど痛くなかったぜ!
アドリブ、絡み歓迎
●緩急
(おー走るのか……いやいいんだけどよ)
命の危機はなく、落ちても近くに戻されるだけだと聞いていても。
躊躇う新入生達に発破をかけるように、アシエトは一歩を歩み出した。
「じゃまあ、おっさんが見本見せるけど、失敗したら真似すんなよ」
気のいい年上の男性の言葉に僅かな笑いが起こる。
良い意味で緊張の解れた姿を背に駆ける――歩数を出来るだけ少なく、動かす手間が少ないほど落ちるリスクは避けられる。
代わりに一歩を大きく――シンプルに、一気に、駆け抜ける!!
「よっと」
後ろを振り返れば、僅かに息を荒げながら同じく休憩ポイントに辿り着いたレインが居た。
尤も疲労というより緊張の面が大きいようであったが――レインはどうやったらこんな楽な風に走れるんだと聞き。
「そうだな、走った感じとしては自分が一番自信がある能力で走ったほうがいいぞ」
魚の部屋でも、そしてここでも。
少年とおっさん、奇妙な縁を感じながら気さくに彼は語る。
「レインが得意なのはどういう走り方だ?」
「どっちかというと……頭は使わない方が楽、かな。脚力で押し切る」
さっきおっさんがやったみたいに、と打ち解けたように語り。
なら心配はいらない――上がった息を整えたレインの背を軽く叩き、もう少し頑張ろうと促し。
「あ、でも頭を使うならちょっと考えろよ。始めは勢いよく、中頃になったらペースを落として……ここで一気に、走り抜けるっ!!」
語る言葉と、動かす身体は同じように。
有限実行、という言葉を体現しながら二つ目の休憩地点へ辿り着き。
「まぁ怖がらずに走ってみよう!!」
崩れる道と追われる緊張に息を荒げるレインの背を叩きつつ。
陽気に笑ってアシエトは親指を立ててこう言った。
「さっきおっさんも落ちたけど痛くなかったぜ!!」
――落ちたのかおっさん。
言葉には出さずとも苦笑いを浮かべ。
また一歩を踏み出す優柔不断な新入生は、初めて良い意味での迷いを捨てつつあった。
成功
🔵🔵🔴
シャルロット・クリスティア
POW
(入り口で眺めながら)
軽率に行動を起こすより、一度立ち止まって冷静に考えた方がいい結果が出る……と言うのは一般論ですが。
このように、そのような悠長な事を言ってられない場合もあります。
ではどうするか?
答えは簡単。勘です。正しいと直感したことを全力でやる、それだけです。
迷って何もできない、では確実に失敗しますが、何か試せばそれだけで成功の可能性はありますからね。
経験だけに頼るな、と先ほど言いましたが……とっさの判断を問う時には培った経験が物を言うものです。
こういう時はこういうことがよさそう……と言うのが何となくわかりますからね。
……では。張り切って行ってみましょうか!
●パイセンは柔軟に
昨日今日の新人にはやや荷は重く、躊躇う様子を未だに見せているシエルに入口を眺めながらシャルロットは優しく語る。
「軽率に行動を起こすより、一度立ち止まって冷静に考えた方がいい結果が出る……と言うのは一般論ですが。あの道のように悠長な事を言ってられない場合もあります」
見るだけで分かる。
歩み出した途端に、音を立てて崩れていく道と、追われるようにして駆け抜けていく姿は先輩の言葉の正しさを証明する。
ではどうすればいいと不安げに問うシエルに、きっぱりと答える。
「勘です」
「えっ」
「勘です。正しいと直感したことを全力でやる、それだけです」
言うが早いか、シエルの手を掴み崩れる通路を力強く駆け出していく。
後輩の絶叫をバックに、彼女が付いてこれるように、それでいて崩落からはギリギリ逃げられるように力強い足取りで走り。
やがて休憩地点に着いた彼女はまたゆっくりと指導を始める。
「迷って何もできないは確実に失敗しますが、このように何か試せばそれだけで成功の可能性はあります」
これもまた、やや荒くとも確かな経験。
実践ほどに雄弁な証明は無く、シャルロットの言葉の正しさを身を持って思い知ることとなり。
「あと経験だけに頼るなとは先ほど言いましたが」
まだ何かあるのだろうか。
息を荒げながら、息一つ乱していないこの先輩の言うことに耳を傾ける。
「とっさの判断を問う時には培った経験が物を言うものです。こういう時はこれがよさそう……とかが何となくわかりますからね」
……優しく語る姿は見た目こそ、シエルとそう変わらない人。
だけど、その中には自分では考えも出来ない多くの経験を積んできたのだろう。
初めて出会う、威厳のある頼もしい「お姉さん」の姿にこくりと頷き。
「……では」
その様子を好ましく笑いながら、軽く肩に手を添えて。
「張り切って行ってみましょうか!!」
少女達は休憩地点から通路を突破すべく駆け出していく。
成功
🔵🔵🔴
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(SPD)
こういうのって緊張するよね
この先に何が待ち受けているかわからないし、うまく行くかもわからない
でも、「ビクビク」と「ワクワク」は紙一重
怖れを乗りこなせれば一人前の冒険者だよ!
ウィーリィくんが力押しならボクはスピードを活かす
足を速く動かし、崩れる前に駆け抜ける!
どう?海を泳ぐサメのようなしなやかな走り!(見た事ないけど)
ボクが勝ったらお弁当のエビカツサンド、いただくよ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(POW)
新入生たちに尋ねてみる。
「なぁ、どうやって攻略する?」
と言っても正解なんてわからないしそもそも正解が一つだなんて限らない。
だから、自分を信じ、自分のやり方でやってみる!
……と言っても自分のやり方がまだわかんないだろうから、その辺は色々試しながら場数踏んでいくしかないんだよな。
失敗だって経験なんだぜ?
焦がしたオムレツの分だけ、出来上がったオムレツは美味くなる、ってな。
そんな訳で、俺は敢えてシャーリーとは別のアプローチで脚力での走破を目指す。
足場が崩れるのも構わず力強く床を蹴って身体を前へ前へと運ぶのみ!
どっちが先にゴールするか勝負だぜ、シャーリー!
●気分を揚げて勝つために
迷宮の通路はまだまだ続く――この親切心が何の為に作られたのかは依然として不明だが。
休憩ポイントにて荒く息を吐きつつ、先も同様に突破できるか不安になっている新入生達にシャーリーは声を掛けた。
「こういうのって緊張するよね」
いきなり声を掛けられた新入生達は、彼女の言葉に身体を一瞬震わせて。
向き直ればさっきの先輩二人、息一つ乱していない彼等に変わらず尊敬と己の未熟を思い知りつつ挨拶をそこそこに。
休憩している彼らに、ウィーリィはふと声を掛ける。
「なぁ、どうやって攻略する?」
「……」
彼の言葉にレインは相変わらず考え込み、アーリンはしどろもどろになりながら答えを出そうと口を動かし、シエルは喋ろうとして舌を噛む。
ウィーリィからの問いかけに対する反応は三人とも細部は異なれど、大体にしてよく分からない、ということだろう。
そんな彼等を咎めるでもなく、ウィーリィはあっけらかんと答える。
「それでいいんだよ」
分からないことを責められるかと恐れた彼等に告げられた優しい言葉。
「俺だってわからないしそもそも正解が一つだなんて限らない。だから……」
だから?と不安げに問う彼等に、拳をぐっと握りウィーリィは答える。
「自分を信じ、自分のやり方でやってみる!!」
シンプルだが、それは先に会った二人の先輩からも教わったこと。
やはりそれが正しいのだろうが、それでも踏ん切りは着かない姿を、やはり咎めることもなく。
「……と言っても、その辺は色々試しながら場数踏んでいくしかないんだよな」
それでも失敗はやはり恐ろしいもの。
これでも故郷では一応選り抜きだった彼等には、それこそ重く圧し掛かるも、ウィーリィは見透かすように語る。
「失敗だって経験なんだぜ? 焦がしたオムレツの分だけ、出来上がったオムレツは美味くなる」
非常にわかりやすく、美味しそうな例えに思わず三人の目が見開かれ。
どうやらその辺りは食べ盛りの年若き、というところか。
「不安になるのわかるよ。この先に何が待ち受けているかわからないし、うまく行くかもわからない」
その言葉を更にフォローするように語るはシャーリー。
彼女もまた、三人の恐れを否定するでもなく、寧ろ肯定するように――そして、先程の魚の部屋で語ったことと絡めて。
「でも、『ビクビク』と『ワクワク』は紙一重」
慎重になれど、不安になる必要はないこと。
「怖れを乗りこなせれば一人前の冒険者だよ!!」
一緒にビクビクではなくワクワクを楽しむようにと。
息を整え始めた後輩達に告げると、後は彼等の問題、そして――何より手本は示さなければ恰好は着かないというものだ。
「じゃ、ボク達先行くから。何なら参考にしてね!!」
手を振りウィーリィとシャーリーは崩れる道を掛けていく。
後輩に投げかけた言葉を実践するように、彼等は彼等の信じる走りで通路を翔ける。
「どう? 海を泳ぐサメのようなしなやかな走り!!」
崩れる道すらも足場にし、強く踏み越えていく力強きウィーリィ。
それに対し、崩れる前にしなやかな脚を速く動かして翔けるシャーリー……といっても、彼女は本物の鮫が泳ぐ姿を見たことは無いが。
閑話休題。
走る方法は違えど進み自体は互角、そこに闘志の火が着いたウィーリィは並ぶシャーリーに話を持ち掛ける。
「どっちが先にゴールするか勝負だぜ、シャーリー!!」
「いいよ! でもボクが勝ったらお弁当のエビカツサンド、いただくよ!!」
「余計負けられねえなぁっ!!」
……まるで違う、先輩の走りと余裕。
これまでも思い知ったことは沢山あるけれど、でも、心は変わらない。
いつかは先輩たちみたいに。
不安を未知への期待と興奮に変える為に。
失敗の痛みを成功の喜びを大きくするモノに変える為に。
若き三人は先輩たちに倣って各々の信じる方法を試していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルフェミナ・オルフェナウス
じゃあ最後は私ですね!
うんうん、一本道系はよくありますよね!
私が入学した時もありましたし、つい先日別なコンパでもありました!
今回は崩れるタイプですかー、なるほど!
さて、先にもう走ってる皆さんを追いかけますね!
【トリニティ・エンハンス】で風の魔力を纏って身体の動きを軽くします。
愛剣の柄の魔宝石をエメラルドに変えて発動です!
「アルダワならこういう方法もありますよ。
行きますよベンド!セット、風属性!解放、ウィンドエンハンス!」
あとは身軽になった身体で一気に三人のところまで駆け抜けます。
「飛べないという制約はありますが、それ以外なら使えるものはなんでも使ってもいいんですよ?さぁ、あと一息です!」
●背中を押す春風
未知への道の恐怖と喜びを知り、踏み越え楽しむ方法を知り――三人の若き戦士達は今、文字通りの“向こう側”へと赴かんとしていた。
「じゃあ最後は私ですね!!」
離れていても優しく見守る“寮長さん”は彼等のほんの少しの成長を感じながら、通るべき道を見る。
「うんうん、一本道系はよくありますよね!!」
彼女――アルフェルミナが入学したときにも、それは在ったことであり。
何度も同じように彩ってきた新入生の冒険、つい先日のそれでも在ったことを思い出す。
「今回は崩れるタイプですかー、なるほど!!」
先日のそれは細い綱渡りだったが、今回は崩れ落ちていく通路から逃げるように翔けていくパターンのようで。
「アルダワならこういう方法もありますよ」
先に走る者を追いかけんとアルフェルミナが取り出すのは一振りの剣。
斧の特質を併せ持った丈夫な剣の柄に誂えられた宝玉が、碧吹く風のような彩に変わり。
「行きますよベンド! セット風属性!! 解放、ウィンドエンハンス!!」
紡がれる詠唱に宝玉が淡く輝き、彼女の身体を柔らかにして速い疾風の加護が下り。
まるで風そのものになったかのように崩れ去る通路を置き去りにして翔ける彼女は、出口に差し掛からんとしたところで追いついた新入生達に声をかけた。
「お疲れ様です! 楽しんでますか?」
僅かに息を乱し、額に汗を輝かせ――それでも、特にアーリンは満面の笑顔でうなずき。
しかしすぐに、アルフェルミナの纏う風の魔力に一瞬驚いた顔へと変われば。
「飛べないという制約はありますが、それ以外なら使えるものはなんでも使ってもいいんですよ?」
それもまた戦士の強かさ。
並走しながら穏やかに微笑み、最後の一押しとなる応援を元気よく。
「さぁ、あと一息です!!」
「ああ!!」
言葉で応援し背中を押す――そんなお節介もまた一興。
トンネルを潜り抜けた先に広がった光は、一つの領域を踏み越えた祝福のように広がっていく。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『すべての『シ』を望む壁』
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POW : ヘビーパストクラッシャー
単純で重い【無数の過去を宿した身のボディープレス 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 時の終焉まで眠れ
【死のま星の紋章から放たれた魔力波 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【猛烈な睡魔に襲われる魔力波】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : すべてを虐殺するモノ
【獅子頭の巨大蟻 】の霊を召喚する。これは【牙】や【念動力で砂や岩を操るなど】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:にこなす
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●待ち受ける壁
無事に崩れる通路を突破した猟兵達と新入生達。
それぞれが初めての経験に三者三様の反応を見せ、難なく突破した猟兵達はそれを微笑ましく見守る。
息一つ切らしていない猟兵達に、惜しみない称賛を新入生達は送るも、とある猟兵はいよいよ災魔との決戦だと告げて。
そうして一歩を踏み出した彼等の前に立ちはだかるのは――
「こ、これが、災魔ですか……?」
初の災魔に唾を飲みこみ杖をぎゅっと握るのはシエル。
「確かにそんなに強そうには……いや、でも、これは」
確かにそう強くはない。
強くは無さそうだが、妙な圧迫感に戸惑いを見せるのはレイン。
「うだうだ言ってないでやるよっ!! 何の為にアルダワに来たんだよ!?」
そしてその二人の尻を叩くように檄を飛ばすはアーリン。
いずれにせよ、新入生三人の始まりの冒険、そのクライマックスを彩る為に。
猟兵達は聳える真っ赤な壁に、真の意志と人の強さを以て立ち向かうのだ――!!
シャルロット・クリスティア
ふむふむ、直接攻撃に魔力波、召喚攻撃ですか……。
けっこうまんべんなく揃ってる感じですねぇ、正面から行こうとすると少々厄介ですか。
……では、工作兵の戦い方と言うものをお見せしましょうか。
瓦礫や災魔じゃない壁、【地形を利用】し、トラッピングツールを使ってあ引っ掛けるロープや楔によるスパイク罠、火薬などを【罠使い】技能で【目立たない】ように敷設。
そののちに肉弾戦の射程外から銃で射撃し注意を惹き、身を隠して罠まで誘い込みます。
本体にせよ召喚した霊にせよ、罠に嵌めて数を減らして攪乱していきますよ。
崩せるだけ崩したら……まぁ、あとは他の人がやってくれるでしょう。
流れは作ります。後はお任せしますよ。
●細工は流々
立ちはだかる壁に対し新入生達は恐れずに、否、恐れはあっても立ち向かっていた。
繰り広げられる戦いを見ながら、シャルロットは冷静に敵の分析を始める。
(直接攻撃に魔力波、召喚攻撃。けっこうまんべんなく揃ってる感じですねぇ、正面から行こうとすると少々厄介ですか……)
ベレー帽を被り直してみればその英知が研ぎ澄まされていくように感じる。
何より――最後に背中の一つを見せてやらねば先輩が廃る。
「……では」
為すべきことは一つ。
仕掛ける道具は揃っている――必要なのは、発想だけ。
その発想もまたとうに揃えた。
「工作兵の戦い方と言うものをお見せしましょうか」
災魔自身のボディプレスで崩れた壁に引っ掛けるはロープ――災魔の手に掛からぬ壁に仕掛けるは楔。
あるいは触れたモノ燃え上がらせる火薬――万能の七つ道具は彼女の発想さえあれば自在な罠が仕掛けられる。
時に瓦礫の下へ、時に壁の色に紛れさせ目立たぬように仕掛つつ、シャルロットはライフルを構え。
フライング・ボディプレスの射程の外より放つ銃声が赤き壁の注意を引き付ける。
「あなたの相手はこっちです」
ベレー帽を抑え災魔と対照的な青き瞳を冷たく向けて。
跳び上がり直接押しつぶさんとしてくる個体や、はたまた蟻頭の獅子の亡霊を嗾ける個体やら……その全てを誘いながら崩れた瓦礫に身を隠し。
だがそれは工作兵の仕掛けた罠――張りたる綱が跳び上がらんとした個体を引っ掛け転倒させ。
また別の個体にあたり弾き飛ばされた先は壁に仕込まれたスパイクと爆薬の一方的な蹂躙――災魔自身だろうと、呼び出された蟻獅子の亡霊だろうとお構いなくドミノ倒しの如く薙ぎ倒し。
(まぁ、あとは他の人がやってくれるでしょう)
初手の工作と牽制も兼ねた火花としては上等だろう。
鮮やかなトラップの手口に感嘆する後輩に彼女は敬礼一つ、微笑みながら後を託した。
「流れは作りました。……後はお任せしますよ」
大成功
🔵🔵🔵
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
さて、ボクたちの役割は新入生たちの「応援」
つまり、あくまでサポートに徹するだけ
手応えと共に自信を身につけさせるのが仕事だよ
新入生たちが敵に囲まれそうになったり背後からの奇襲を受けそうになった時はシューティングスターの【クイックドロウ】&【援護射撃】でフォロー
「大丈夫だよ。冒険は一人でするものじゃないから」
これ、すっごく大事
フォローし合える仲間がいる
それだけで出来る事がすっごく広がる
だから三人がきちんと連携を取れるようになったらサポートをやめてウィーリィくんと一緒に敵の数を減らしていく
「お疲れさま。いいコンビネーションだったよ」
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
あー、なんていうか、その。
学生って大変だよな。
ともあれ、これで最後だぜ!
……とはいえ、ちょっと敵が多すぎだよな。
その分は俺が減らすからそっちはそっちで頑張ってくれよな!
そんな訳で新入生の分は残しておいて俺はあいつらの手に余る敵を『料理の鉄刃』+『二回攻撃』で倒していく。
で、新入生の分については手出しはしない。
初めてだから苦戦するかも知れない。
それでも、それを乗り越えて初めて「経験」になる。
火を恐れていては、目玉焼きは作れないんだ。
だから、終わったら新入生達に労いの言葉と共に
「お疲れさん! よかったら一緒に食べないか?」
こんな事もあろうかと、弁当のサンドイッチは多めに用意してあるぜ!
●微笑ましくも
「あー、なんていうか、その」
立ちはだかる真っ赤な壁を前にウィーリィは微妙そうな表情で、シャーリーに目を向けた。
「学生って大変だよな」
「……うん」
あれを果たして初心者向けの相手と言って良いのだろうか。
でもやることは変わりない――それは。
「あの子達の『応援』だよね」
マスケット型の熱線銃を肩に担ぎサイバーアイを煌めかせる少女に、少年料理人はこくりと頷いた。
別の先輩が作った流れ――混乱の坩堝はとにかく数で勝りに勝る相手への取っ掛かりとなっていて。
慌てふためく災魔の身体を、シエルの魔法が牽制したところを、魔力を込めたアーリンの剣が斬りつけよろめかせ、そこをレインの槍が深く貫きトドメを刺す。
確実に三人で一体を相手取る、無茶はしない――いい連携だ。
今のところは苦戦していないようだが、ただ数はひたすらに厄介だし全てを対処はできないだろう――故に。
「こっちは俺が減らしとくからそっちはそっちで頑張ってくれよな!!」
「お互い頑張ろうねーっ!!」
余裕を以て応援を投げかける先輩と、答える余裕はないけれど気持ちだけは頷いて答える後輩。
だからその差し引きの分だけ――手に負えないであろう数を、ウィーリィの振り回す研ぎ澄まされた刃と技が瞬断していき。
奮戦は心刺激する種火のように、新入生達の気合を漲らせ質はともあれど心意気だけは決して劣らぬ勢いだけを魅せる。
苦戦も失敗も大いにすればいい――乗り越えた分だけ、大きくなれるし、火が怖くて何もできないでは料理なんかできっこない。
が、しかし――それでも、お節介に映るかもしれないが、助けてしまうというのも先輩のサガなのか。
「危ないっ!!」
手に負えない数の分を倒す――そのつもりではいても、本当の危機の危機には助ける。
こっそりと背後から忍び寄る災魔のボディプレスの餌食とならんとした少女の頭上を熱線が掠めた。
頭上を走った熱の気配に目を見開き少女アーリンが恐る恐る振り返ると、そこには白煙噴き上げる銃口と消えた災魔の気配に、それがシャーリーの手に依るものだと気づく。
「……う。すまないね。また助けられちゃって……」
そっちはそっちで、と言われておきながら助けられてしまったことを恥と思ってしまったのか。
三人の中で一番の年長者のアーリンは下唇を軽く噛み俯くが、シャーリーはううん、と首を横に振って語り掛ける。
「大丈夫だよ。冒険は一人でするものじゃないから……これ、すっごく大事」
フォローし合える仲間がいる。
それだけで出来ることは無限に広がる――シャーリーはアーリン自身の、その仲間二人に目を向ければ釣られてアーリンも目をやり。
再び頷き合い、新米戦士三人は信頼を強固に固め、三人一組の連携を魅せていく。
その動きは最初にシャーリーとウィーリィが見た動き――シエルが牽制し、アーリンが本格的に動きを止め、レインがトドメを刺す。
変わり映えはしなくとも、その流れは最初よりも非常に滑らかで、淀みなく――多少の苦戦はあっても、その恐れを制しつつある彼等ならきっと……
「さ、いくよウィーリィくん! ボク達も負けてられないからね!!」
災魔の増援が軽く落ち着き――尤も直に新たなそれが来るだろうが――シャーリーは息を若干荒げている三人を労った。
「お疲れさま。いいコンビネーションだったよ」
言葉を上手く発することはかなわなくても、それでも必死に親指を立てて先輩の労いに答える彼等に、ウィーリィからの熱い激励が届く。
「お疲れさん! 弁当のサンドイッチは多めに用意してあるぜ!!」
だから終わったら食べよう――労い一つ、まだまだ続く戦いの後の為に。
彼等についた炎をサメさせぬように、熱くも優しい先輩は終わった後のお楽しみを仄めかすのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルフェミナ・オルフェナウス
うん、なるほど……手強い相手に当たりましたね!
でも、皆さんならもう大丈夫ですね。
連携することの大切さ、仲間を信じる強さはもう学べています。
じゃあやる事は一つですよね。
先輩としてカッコいいところを見せないと!
アーリンさんの戦い方は私と似ていますね。
マジックナイトですが、剣技がメインのようですね。
『武器受け』で攻撃をしのぎ、『属性攻撃』で攻撃を仕掛けます。
実は私、魔法が苦手なんですよね。
だからこそ、ベンドを使っているわけですけどね。
剣に魔力を通し、先に解放した風属性のまま、【エレメンタルスラッシュ】で一掃します。
「さぁ、それでは一気に行きますよ!
ベンド、風属性解放ッ!エレメンタルスラッシュ!!」
●追い風と共に
妙にバッサリとやられてしまいそうな威容の壁を眺めてアルフェルミナは元気に頷いた。
「うん、なるほど……手強い相手に当たりましたね!!」
赤き壁と戦闘を繰り広げる新入生達は、“寮長さん”から掛けられた声に手を振って応え。
その一瞬の油断の後、危うく獅子頭の蟻を嗾けられたシエルを庇うように、レインの槍がそれを弾き、アーリンの剣が弾かれたそれを断つ――その連携を微笑ましく見守りながら、アルフェルミナは続ける。
「でも、皆さんならもう大丈夫ですね。連携することの大切さ、仲間を信じる強さはもう学べています」
今度は油断することなく、シエルの放つ魔法が
全く以て頼もしい――ならやることは一つ。
こっちだって、先輩として格好いい姿を見せる――飛び掛かってきた赤き壁を、肉厚な刃で真っ向から受け止めて流し。
流す勢いでそのまま鋭くも冷たい疾風を吹かせる如く剣を一閃させて。
改めての戦いぶりに戦慄するアーリンの傍に寄り、アルフェルミナは声をかけた。
「アーリンさんの戦い方は私と似ていますね」
「そうかい寮長さん?」
背中合わせとなる形になりながら、同じ剣と魔法を使う者として手本を示すように疾風を宿した剣で薙ぎ払いつつ。
「実は私、魔法が苦手なんですよね」
「えっマジで?」
とてもそうは見えないと驚くアーリンに、だからこそこのベントと呼ばれる剣を使ってる、と自慢げに語りながら。
「さぁ、それでは一気に行きますよ!!」
改めて柄に仕込まれた宝玉を輝かせ、宿した風を更に強く吹き荒ばせて。
「ベンド、風属性解放ッ! エレメンタルスラッシュ!!」
それは悪を薙ぎ払う暴風のように、力強く放たれた横薙ぎの刃が赤の壁をドミノのように倒し破片も残さず吹き飛ばしていく。
前髪を舞い上げる風を感じ――いつか、この風に押して貰うのではなく、共に歩けたら……マジックナイトの少女は、振り抜かれた刃に強く恋焦がれるように見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
花狩・アシエト
……戦ってみるか?
本気なら守ってやる、フォローもする
どうする?
戦うといったら、全力でフォロー
攻撃したらカウンターされないように前に出てこっちから追撃、二回攻撃
火の属性攻撃で燃やす!
間に合わないときは、武器受けでガードする
新入生たちは全力で守る
身を呈してでも!
競り負けてるようなら、「界刀閃牙」で攻撃
刀に火の属性攻撃を付与して燃やす
一体ずつ確実に撃破だ
生徒のそばにいるのを注意して戦う第六感で様子をみる
おっちゃんの戦い方は見習うなよー
命を捨てる戦い方だから、な!
アドリブ、共闘歓迎
●始まりと終わりの喜びの雨に
時に先輩が助け、時に先輩がその背中を示し――不器用ながらも、後輩たちは着々と災魔を片付けていく。
しかし災魔の数はまだ膨大――休んでいる暇はないし、彼等だけでも、最早十分かもしれないが……心配は心配。
アシエトは槍を杖代わりにし、息を荒げているレインに軽く声をかけた。
「……まだ戦ってみるか?」
「おっさん」
「本気なら守ってやる、フォローもする。どうする?」
例えもう休みたいといわれても喜んで受け入れよう。
彼等はもう十分に戦った――こいつらは、身を呈してでも守らなければ。
僅かな沈黙の後、レインは確かな目で口を開いて。
「……迷っちゃいけない時もあるって、言ったよな?」
ああ、言った。
――レインの目には、悪い意味での迷いはないって、おっちゃん分かるよ。
「なんとなくだけど……今だって、分かる」
「……いい返事だ!!」
親指を立て、アシエトは両の手に刀と剣を構え、新入生達も最後の戦いに向けて奮起する。
最後に待ち受ける赤き死の壁が跳び上がれば、それをさせるまいとアシエトは強く踏み込み、左の剣による一刺をモズの早贄の如く見舞い。
もがき逃れる間すら与えず、刀身のルーンから放たれた炎が赤を紅蓮の中に消し去りつつ。
シエルの術とアーリンの剣による足止めからのレインの同様の一刺し――その連携を直接は見ずともに肌で感じ取りながら。
最後の一刺しが如くもがく壁に少年が押し返そうになれば、背後から右手に構える刀を鋭く閃かせ壁を切り伏せて。
両断したその断面へ、刀から放つ業火がまたその壁を灰に帰しながら――驚く少年にアシエトは軽く語ってのけた。
「おっちゃんの戦い方だけは見習うなよー? 命を捨てる戦い方だから、な!!」
「……出来る限りがんばってみる」
その答えもまた始まりの中で。
少年とおっさんは、軽口を躱し合いながらハイタッチを躱すのだった。
●トンネルと壁を抜け、冒険の大海原へ
災魔との闘いを終えて新入生達は、思い思いにこれまでの時間を思いはしゃぐ。
それは貴重な未知との遭遇への驚きと喜びであったり。
それは貴重な未知なる危機を乗り越える苦労とその先の喜びであったり。
そして――未知なる相手へ、改めて共に戦うことの尊さと、頼れる先輩の背中だったり。
初めての旅路を懐かしむように帰る道中、はしゃぐ彼等を眺めながら猟兵は思う。
初めての冒険を終え、これからの彼等がどうなるか……
またどこかの予知で災魔から危機を救うことになるかもしれない。
でも、もしかすれば自分が彼等に助けて貰う日が来るかもしれない。
どちらにせよ、彼等に素晴らしき冒険の日々をと思わずにはいられない猟兵達なのであった。
大成功
🔵🔵🔵