#UDCアース
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●あなたは『』好きですか
UDC組織の日常は多岐にわたる。
たとえば不審な事件や事故の捜査、UDCが関与している疑いのある伝承などの情報収集や分析。
たとえば独力で対処可能な、まだ異常存在を顕現させるレベルにまで達していないカルトの摘発。
たとえばインターネットなどを媒介して拡散するタイプの異常存在の出現を阻止するための監視。
この他にも民間への情報統制や猟兵の支援など、彼らの業務は多岐に渡る。そんな組織のとある小さな拠点で、その異変は静かに目覚めた。
「……あれ? こんなページ開いたか?」
その日もいつも通りデスクに向かってパソコンを操作し、SNSや怪談サイトでUDC存在の情報が一般社会に漏れていないか監視していたエージェントの一人が、身に覚えのないポップアップウィンドウに気づいた。
オカルトじみたUDC存在の情報を監視する上で、胡散臭い広告がポップアップするようなアングラなサイトを閲覧することもある。
いつものことだと断じたエージェントはいつものようにマウスを滑らせ、右上の「×」をクリック。
鬱陶しいポップアップを閉じて職務に戻ろうとする。
だが、閉じたはずのポップアップウィンドウが再び現れた。
「またかよ、鬱陶しいな……」
苛立ちながらも再び「×」をクリック。
閉じる。
再び現れる。
閉じる。
再び現れる。
閉じる。再び現れる。閉じる。再び現れる。閉じる。再び現れる。閉じる。再び現れる。
何度閉じても現れるウィンドウ。
これは只事ではない、まずい。エージェントはそのウィンドウの異常に気づくが、指先は既に自分の意思を離れたように勝手にウィンドウを閉じ続ける。
身体が動かない。ポップアップから目が離せない。
はじめは何も書かれていなかったポップアップに、徐々に文字が表示されていく。
『あなた『』ですか』『あなたは『』ですか』『あなたは『』きですか』『あなたは『』好きですか』『あなたは赤『』好きですか』『あなたは赤の『』好きですか』
かちり。最後の一歩を己の意思によらず踏み出してしまったエージェントは、パソコンのスピーカーから拠点のオフィス中に鳴り響く音割れしたような轟音と同時に、入り口のドアを蹴破って押し入ってくる何者かの存在を感じ取り、そこで意識が途絶えた。
●万国の狂信者よ、団結せよ!
デェェェェェェン! と勇壮な音色を伴って流れる某国の有名な歌。
しかし耳を澄ませば、あるいはその国の言語を知る者にとっては歌詞に違和感を感じるだろう。
「皆さん、事件です」
やたら大ボリュームで流れるその歌に声を掻き消されたパルは、歌を流すモニターのボリュームを下げる。
すぐに消音になるモニター。既にボリュームは極限まで絞られていたのに大迫力の音響だったことに、いやそんなことよりも何故その曲が流れたのかを訝しむ猟兵達。
「改めて、皆さん事件です」
居住まいを正して再び切り出したパルは、資料を猟兵達に配る。
「先ごろ、UDC組織のある小規模拠点が連絡を絶ちました。UDC組織からの調査依頼と時を同じくして、僕のグリモアが強力なオブリビオンの関与を予知しています」
それとこの音楽に何の関係が、と問う猟兵たちに、パルは慌てて説明を付け加える。
「今回の敵は二段階の行動で戦力を展開していてですね」
まずはインターネットを介して、それを見つけうる――オカルトに並以上の興味を有する、狂信者の素養を持つ人間を探し出す。
そして「消せないポップアップ」で対象を端末に釘付けにし、その間に自身の眷属を送り込むのだ。
次に、「消せないポップアップ」が最終段階に達した時点で先程の歌が対象の端末から大音響で流れ出す。
中毒性の強いメロディに神を称える歌詞を組み込んだそれはもはや呪文だ。対象は意識を失い、あるいは抵抗したとしても送り込まれた眷属――狂信者によって拘束され、その曲を聞かされ続ける。
最終的には音楽によって洗脳され、狂信者の一員となってその邪神の手足として働くようになってしまうのだ。
――とはいえ。
「すでに事態を把握したUDC組織によってこの呪文のこれ以上の拡散は阻止されていますから、今後これが広がることは無いと思います。ただ、既に被害を受けて制圧されたUDC組織拠点の奪還は急務です」
既に狂信者たちによって拠点には厳重な防衛網が敷かれ、彼らの崇めるところの神の召喚儀式が開始されるのも時間の問題だ。何より囚われたエージェントが狂信者と化す可能性もある。
「そこで皆さんには制圧された拠点に突入、拘束された現地職員の救出と儀式を強行する狂信者の排除を遂行、もし邪神が召喚されてしまったならばその撃破までをお願いします」
了解の意思を示す猟兵達が、それでそいつらの崇める神というのはどんな存在なのか、とパルに問うた。
個体や種族によって特性も様々な邪神、その傾向がわかれば対策も立てうる。重要な情報だろう。
「えーと……まだ未成熟な神の幼体、とのことです。なんでも”革命的”な新人類を創造することを権能とするとか」
未成熟ながら人類を創出するだけの能力を持つ邪神、そんな存在が完全に顕現すればどんな惨劇がひきおこされるかわからない。その事態は阻止せねばなるまい。
いってらっしゃい、どうか気をつけて、と一同を送り出すパルの声を背に、猟兵達はUDCアースへとテレポートしていった。
紅星ざーりゃ
こんにちは、紅星ざーりゃです。
ついに迎えた春、如何お過ごしでしょうか。
新生活に向けて家具を組み立てるため鎚を振るったり、庭を埋め尽くす雑草を刈るため鎌を振るったりする季節になりましたね。
さておき。
今回の依頼はある邪神の狂信者たちによって占拠されたUDC組織の拠点の奪還です。
OPでの説明通り、狂信者を増やす電脳儀式は既にUDC組織が対処済みのため、皆さんには既に発生してしまった事件の方を対処して頂くことになります。
第一章で囚われた職員を救出し、第二章で狂信者たちの排除。
第三章では邪神との交戦の可能性があるでしょう。
今回もバックアップとしてUDC組織が支援してくれるため、戦闘の隠蔽や事後処理、救出された職員の保護などは派遣されたエージェントにお任せしていただいても問題ありません。
皆さんは事件解決に全力を傾けてください。
なお、こちらの依頼はゆったり進行となります。
もしかしたらプレイング期間を超過してしまうかもしれませんが、もしお許しいただけるのならばプレイング再送は喜んでお受けさせていただきます。
それでは皆様のご参加を楽しみにお待ちしております。よろしくお願いします!
第1章 冒険
『現代に潜んだ古代の闇』
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POW : 正面から侵入、UDC組織の一員を救助
SPD : 眷属をスニークキル等で倒しつつUDC組織の一員を救助
WIZ : 眷属を誘き寄せる罠を仕掛けながらUDC組織の一員を救助
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
『コマンドポスト、サヴァーよりラースタチカ、ウートカ、サラカプート各隊へ。我らがツァーリの再誕儀式は恙無く進行している。交代まであと一時間、UDC組織の妨害に備えて警戒を厳にせよ。同志諸君の献身に党は期待している』
『了解、あと一時間、何事も無ければいいんだが。早く戻ってヴォトカでも開けたいところだ。春先だっていうのにいやに冷え込むからな。Ура、我らがツァーリ・クラースナヤに栄光あれ。オーバー』
派遣されたUDCエージェント達と合流した猟兵たちは、彼らの用意した装甲バンのスモークガラス越しに敵の警備網を観察する。
拠点を制圧した狂信者たちは、揃いの迷彩服とヘルメットを身に着け、銃器で武装したまるで兵士のような装いだった。
どうやら複数のチームに別れ、3階建てのオフィスビルに偽装したUDC組織拠点の周辺を巡回して警戒しているらしい。
正面から制圧することも困難ではなさそうだが、高度に連携している様子を見るに発見されるのはあまり望ましくなさそうだ。もし見つかればたちまちに応援を呼ばれてしまうだろう。もっとも、それも含めて捻じ伏せ押し通る選択も猟兵の戦闘力であれば視野に入るはずだ。
彼らを潜り抜け、囚われの職員たちを救助すべく猟兵たちは動き出した。
アイ・リスパー
「UDC組織の拠点が狂信者の手に落ちるとは……
これは急いで奪還しないといけませんね。
コンピューターを使って拠点を乗っ取るなんて、電脳魔術士への挑戦と受けとりましょう」
とはいえ、この状況で電脳魔術士である私にできることは、情報収集による仲間のサポートくらいですね。
電脳空間から偵察用ドローン群を実体化させ、ホロディスプレイとキーボードで操作します。
狂信者たちに気付かれないようにドローンで警備体制を偵察。
把握した情報を他の猟兵たちに共有しましょう。
さらに【チューリングの神託機械】で万能コンピューターに接続し、狂信者たちの警備網の隙をついて拠点に潜入する最適ルートをシミュレートして割り出しましょう。
●
「UDC組織の拠点が狂信者の手に落ちるとは……」
装甲バンの後部席でホロディスプレイを展開しながら呟くアイ。
小規模とはいえ本来UDCに対抗するための組織の拠点をそのUDCが陥落せしめたのだ。これはただのカルトテロとは訳が違う。急ぎ解決しなければならない、と気合を入れたアイだが、猟兵たちに続いて突入する予定で待機していた完全武装のエージェントたちは申し訳なさそうに頭を下げる。
「本当に面目ない。言い訳をするならば、あの拠点は秘匿性重視で防衛戦力を置いていなかったので……我々が居ればこんなことには。せめて人質だけでも逃がしてみせたのですが……」
「あっ。いえ、責めているわけでは無くてですね! えっと……コンピューターを使って攻撃を仕掛けるなんて、これは電脳魔術士への挑戦と受け取りました! この状況で取れる最善を尽くします、皆さんもよろしくお願いしますね!」
別にUDC組織の敗退を情けないと糾弾するつもりは無いのだ、と釈明して、アイは軽やかにキーボードを叩く。
ふわりと浮き上がり、車両の窓、件のビルの反対側から飛び立っていくドローンの群れは、電脳空間と現実世界の狭間の不確定な領域にその存在を定義して空から拠点を観察する。
数多の目がビルの周囲を全方位から監視し、窓から覗き見ることのできる範囲で建物内の状況を観測する。
「周辺を警備する部隊が五人一隊で三隊、ビル内はここからではよく見えませんが……あっ」
角度を調節し、より室内を観測しようとしたドローンが拘束された人物を発見する。
「三階東側、窓に面した部屋に四人、拘束された人質を発見しました。エージェントさん、ここの拠点のスタッフの人数は全部で何人ですか?」
「資料では八人常駐するようになっていますね。今現在、ここのスタッフで連絡が取れなくなっている人数も八人なので間違いありません」
では、他に四人が拘束されている――あるいは"もう拘束する必要が無くなっている"のか。
「少なくとも外から見える範囲では他に人質は見えませんね。施設内にも二名からなる警備チームが巡回しているようですから……」
目を閉じ、自身の頭脳とスーパーコンピュータを接続したアイはここまでに収集した情報から未来を演算する。
警備チームの巡回パターンを、その移動速度を、起こりうるあらゆるイレギュラーへの対応をも加味して導き出した答えが、重い頭痛と引き換えにアイを導きの女神とする。
目を開いたアイは、見えたものを言葉に乗せて全員の通信機へと送る。それは予言、あるいは神託にも似たある種の確定された未来。
「これより潜入チームをナビゲートします! 皆さん、十四秒後に正面の警備隊が巡回のため背を向けます。そのタイミングで降車、移動を開始してください。裏手の入り口が七六秒後に無防備になります、ここが潜入の最初で最後の好機です!」
それを信じ、了解、と頷いた猟兵とエージェントたちが出撃に向け最後の準備を終える。
警備兵が背を向けた瞬間を逃すまいと路肩に並ぶバンから皆が一斉に降りていく中、ふと最後尾を行くエージェントの一人がアイに振り向いた。
「K市の時の借り、今日必ずお返しします。では!」
敬礼を投げかけ駆けていく彼の背中に、アイは人質を含めた全員で無事に帰ることを願うのだった。
成功
🔵🔵🔴
ミスティ・ミッドナイト
随分と回りくどい“勧誘”方法ですね。
オブリビオンも悪知恵が働く、という所でしょうか。
発見されれば職員を人質に取られるかもしれません。
なるべく隠密に行動しましょう。
予めUDC組織拠点の地図を頭に入れておき、【地形の利用】で物陰に隠れながら移動。
進行上の敵は、サプレッサー付きハンドガンで【暗殺】します。
孤立している敵を捕らえて尋問、【恫喝】することで【情報収集】。
職員の居場所を突き止めたのなら、他の猟兵の方々にも情報共有し、直ちに救出に向かいます。
相手も連携を密に取っているようですし、事を起こした後は時間との勝負でしょう。
手早く、そして臨機応変に進みましょう。
●
「この施設の間取りは把握しています。私へのナビゲートよりほかを優先してあげてください」
裏口から突入した猟兵達は散開し人質の解放に動き、エージェントたちは入り口傍の一室を制圧確保して退路の確保と人質回収の拠点とする。大人数でぞろぞろと動き回ることによる発覚を忌避した暗黙の連携に則って、ミスティは一人静かに一階の調査を行なっていた。
「随分と回りくどい勧誘方法ですね……悪知恵が働く、というところでしょうか」
きぃ、と開いたドアの向こう、窓も無ければ電灯も灯っていない昼間というのに薄暗い室内には、もともとUDC組織が置いていたのだろう長机の上から、もともとそこに並べられていたであろうもの――事件記録や調査レポートを綴じたファイルがブックエンドごと乱雑に放り出され、代わりに狂信者たちが置いたのであろう原色が目に痛いポスターやビラが積み上げられている。
何とはなしに一枚を手にとったミスティは、その時代錯誤で勘違い甚だしい教義にすぐに興味を無くしてそれを離す。
ひらりと舞い落ちたそれには、赤い星印を背に微笑む髭の男性の肖像画と共に、同志にして神であるツァーリ・クラースナヤとともに革命的な新世界を、などと胡散臭い語句が並べられていた。
ツァーリ・クラースナヤ……赤の皇帝、または赤の王。それが敵の名なのだろうか。ともあれ、ミスティの目当てのもの――囚われた職員はこの部屋には居ない。入ってきたのとは反対の扉を静かに、ほんの僅かに開けて外を伺う彼女は、廊下の先で巡回する敵兵二名を発見。
す、とドアの隙間から突き出された消音拳銃の銃口が目にも留まらぬ速さで二人組の後ろを歩くほうのこめかみを貫き、壁に中身の混じった赤い絵の具をぶちまける。
彼が倒れる音にもうひとりが振り返るのと、音もなくドアを開け駆け出したミスティが二人目の喉に警棒を宛てがい壁に押し付け、その顎先に銃口を突きつけるのは同時。
「し、侵入者……!」
「静かに。騒げば殺します」
冷酷に言い放つミスティに、汗を流して息を詰まらせる警備兵。
「ここでは目立ちますね。先の部屋に行きましょう。……死体も片付けておきたいところですが、これは仕方ありません。手早く済ませるしかありませんか」
向かい合う形で拘束した敵兵に素早く後ろを向かせ、捻り上げた手首と後頭部に突きつけた銃口で動きを封じて先程飛び出した部屋へと連れ去っていく彼女は、まさに熟練の潜入工作員であった。
「な、何を聞かれようと俺は同志を売り渡すような真似は――」
「ぐっ、たとえ俺が死んでも同志ツァーリ・クラースナヤの再誕は――」
「あぎっ、が、ぐぅぅ……っ……! あァああ!」
「わ、わかった、静かにする、静かに――ぎゃッ!!」
あくまでその悲鳴が部屋の外には漏れないように静かに、だが狂信者たる敵兵の心を迅速に折り砕くミスティの尋問の結果、"素直であることの素晴らしさを理解した"彼は"快く"ミスティの問いに応えてくれた。
聞きたい情報をすべて聞き出し、喋りやすいように額にもう一つ口を作った彼を部屋で"解放"したミスティは、彼の後頭部から流れ出る赤色が散乱するポスターをより赤く染めていくのを無感情に見下ろして部屋を出る。
彼から聞き出した一階の警備チームの順回ルートを辿るように音もなく移動し、見つけた警備兵はその後頭部を撃ち抜き無力化しながら、目当ての部屋――一階の用具倉庫へとたどり着いたミスティがその扉を開ければ、途端に大音響で漏れ出す例の歌。
それをリピートで流し続けるプレイヤーを破壊して、彼女は囚われた職員の傍にかがみ込む。
すぐに解放するわけにはいかない。既に手遅れだった場合は、ここで襲われる可能性もあるからだ。
「助けに来ました。……何処からの助けかは理解できますね? あなたの所属と名前は言えますか?」
弱々しく返ってきた返答は、それでもまだ洗脳の影響下には無いとはっきりわかる。
彼らの拘束を解き、立ち上がろうとする彼らに手を貸しながら、ミスティは一階の制圧と人質の救助を待機するエージェントたちに伝えた。
成功
🔵🔵🔴
エドゥアルト・ルーデル
臭う、臭うぞ…邪神であれどアカは臭いでわかるでござるよ
ヒャッハー!アカは消毒だ~!!
すぐにでも建物ごと爆撃したいが職員救出してからか…お楽しみは最後に取っておかねば
正面から力押ししてもいいが今回はスニークして潜入!
潜入経路はビルの裏口から侵入、内部ではダンボールを被りながら探索ですぞ
道中の巡回や見張りは【感】や【戦闘知識】行動予測し、先に見つけ、先に攻撃し、先に排除
【忍び足】【迷彩】で近づき背後から【暗殺】して周るでござるよ!
ついでに道中には正面からくる猟兵の援護に【罠使い】で、建物を壊さないクレイモア地雷でも仕掛けておきますぞ!猟兵が引っかかってもなんとかするだろ多分
アドリブ・絡み歓迎
●
「臭う、臭うぞ……邪神であれどアカは臭いでわかるでござるよ」
ぼそぼそと呟きながら階段を上り二階に移動する――ダンボール箱。
一階で現地調達してきた、UDC組織のロゴが入った建物に溶け込む一級のカモフラ性能を誇る逸品だ。
その中で中腰姿勢を取る侵入者――エドゥアルトは、今すぐにでも建物を爆破したい程の消毒欲求を押し殺して任務に向かう。
「アカは消毒だ~! といいたいところでござるがまずは職員救出してからか……お楽しみは最後に取っておかねば」
こそこそと迷彩模様の二本足を生やして蠢くダンボールは怪しいことこの上ないが、エドゥアルトもいくらこのダンボールのカモフラ力が高いからと敵が見ている真ん前で動く愚は犯さない。
だるまさんが転んだの要領だ。見ていない隙に動けば――
「!」
ば、と振り返る敵兵。すこっ、と足を収納して野良のダンボールのふりをするエドゥアルト。
「……気のせいか」
見ていない隙に動けばバレはしない。これは絶対の法則なのだ。
「ステルススーツでもあればもっと楽だったんでござろうなあ……」
いくらバレないとはいえ中腰移動はなかなかに辛いし、敵兵が見ている間は動けない。
たまに違和感が消えないのかじっと凝視してくる勘のいい敵兵も居るせいで、エドゥアルトはそろそろ焦れていた。
こんな時、かがむだけで常時透明になれるような、そんなスーツがあればもっと楽だったのだろうか。
ともあれ隙を伺い続けたエドゥアルトは、遂に完全に気を抜いた敵兵を立て続けにサプレッサー付きのハンドガンで制圧してすり抜ける。
「さてと、三階に向かう階段はこっちでござるな。後から上を制圧しに来る猟兵の援護に対人地雷でも仕掛けておきますぞ!」
もし上から敵兵が降りてくれば引っかかるように、角度を調整して散弾を撒き散らす四角い対人地雷を設置しワイヤーを張っておく。
「うーんこの位置では上に登る猟兵も引っかかるでござるかな。まあ猟兵なら何とかするだろ多分」
むしろこの程度の罠でくたばるほうが悪いとまで言い切って、エドゥアルトは探索を再開する。敵兵は視界に入り次第、まるで機械のように吸い付くエイムでヘッドショットだ。
「うーんやはりダンボールの迷彩性能は抜群でござるな、そこっ!」
経験に裏打ちされた勘で狙うまでもなく引き金を引いて放たれた弾丸は、曲がり角から顔を出した敵兵が頭上に「!」マークを浮かべるより早く、その脳天を射抜く。
「さてさて、囚われの人質さんは何処でござるかなー? 出ておいで、優しく早くするから……なんちゃって。それにしてもなんだか後ろが騒がしいでござるな」
大成功
🔵🔵🔵
四季乃・瑠璃
【ダブル】で分身
緋瑪「とりあえず、敵は始末しちゃって良いんだよね。派手にできないのは残念だけど…」
瑠璃「場合によっては拘束する方が良いのかな。殺したのを生贄にされても困るしね」
瑠璃が【属性攻撃、全力魔法、高速詠唱】で拠点周りの風の流れを操作し、緋瑪がジェノサイドボムに手製の致死猛毒を加えた毒ガス爆弾仕様【範囲攻撃、毒使い、早業】で見張りを殲滅。生き残りをサイレンサー付きのK100で始末という感じで、隠密に始末しながら侵入。
可能であれば一人麻痺毒【マヒ攻撃】で生け捕りにし、囚われた職員の居場所や内部の配置情報等、復活させようとしてる邪神の情報を吐かせた後に始末したり
※アドリブ等歓迎
●
時は暫し戻って。
「とりあえず、敵は始末しちゃって良いんだよね」
「場合によっては拘束するほうが良いのかな」
UDC組織のバンに寄りかかり手の中でガスグレネードを弄ぶ瑠璃と、自動拳銃の安全装置を弄りながらナビゲートを待つ緋瑪。
双子のように瓜二つの彼女たちだが、双子ではない。かといって別人でもないが。
「もうすぐ突入チームが侵入するってさ。派手にできないのは残念だけど……」
「うん、外の連中は私達で制圧しちゃおう。殺す? 死体も生贄にされるタイプだと困るよね」
顔を見合わせた二人の少女は、どちらも瑠璃であり緋瑪だ。一つの身体に宿る人格である二人は、ユーベルコードの力でそれぞれ二人の個人として今ここに立っている。
「うーん、まあ殺したほうが楽しいし、殺しちゃおうよ瑠璃」
「わかった、じゃあ――投げるね」
瑠璃が魔法を詠唱しながら放り投げたガスグレネードは、空中で炸裂し内包された致死性の毒ガスを噴出する。
同時に発動した風の魔法が、そのガスの拡散と施設への流入を食い止め、建物外部に展開する敵兵だけを巻き込んでいく。
『こちらウートカ隊、異常な……げほっ、ごほ……! なんだこの……喉が、息ができ……!』
すぐさま事態を察して腰に提げたガスマスクに手を伸ばす者も居たが、気づいたときには既にもう遅い。
「……死んだかな」
「死んでるね、外の見張りはこれで全部やったと思うよ。あ、いやこいつは生きてるね。殺しとこ」
ガスマスクを被り、ぜぇぜぇと虫の息で地を這う敵兵に気づいた緋瑪が嬉々としてその頭と心臓に弾丸を撃ち込む。毒の苦しみから解放された敵兵はそれきり息をしなくなった。
「もう、放っておいてもすぐ死ぬのに弾が勿体無いよ緋瑪」
「ごめんごめん、でも尋問もできないくらい弱ってたし、生かしておいても役に立たないんだもん。せめて気持ちよく殺されて貰ったほうがいいじゃん」
瑠璃と緋瑪は殺戮を繰り広げたことなど露とも伺わせぬほどに朗らかに、正面から二人並んで施設へと入っていく。
成功
🔵🔵🔴
アイリス・ブラックバーン
【SPD】
「…私は、静かに行く…」
『光学迷彩装置』を起動し、常に【目立たない】状態で【忍び足】で進む
『グラップリングガン』を使用し、【ロープワーク】で拠点の屋上へと移動、そこから拠点内部へと侵入を開始
己の【第六感】を頼りに囚われた職員の痕跡を探し【追跡】する
拠点内部で交戦の必要があれば、消音器を付けたアサルトライフル『Still Ill』と己の手足を武器に極力音を立てないよう狂信者を【暗殺】
もし敵に発見され応援を呼ばれてしまった場合、『ライトニングムーバー』を起動しUC〈リターナー〉を発動、自分以外がスローになった世界の中【クイックドロウ】の【早業】で敵の一網打尽を狙う
●
内部に侵入した猟兵が静かに警備網を切り崩し、正面から堂々と踏み込んだ猟兵が外の警備兵を殲滅していく中、一人の猟兵がまた別ルートから侵入を試みていた。
「私は、静かに行く……」
音を立てず、光学迷彩で姿を隠した彼女は、猟兵達が侵入した裏口のすぐそばに佇んでいた。
外の警備兵との連絡が絶たれ、中の警備兵もおそらく次々と屠られている今、敵が侵入者に気づくのは時間の問題、あるいはすでに気づかれている可能性すらある。
だが、それはあくまで通常の侵入経路で入られた場合を想定しているはずだ。敵が対応を取るならば、通常の侵入経路――つまりは出入り口のある下のフロアに意識は集中するはず。
だから、彼女――アイリスはその意識の裏を掻く。ホルスターから抜いた拳銃に似た銃器を上に向け、引き金を絞ればワイヤーをたなびかせて勢いよくアンカーが撃ち出される。
それは屋上のフェンスにうまく引っかかり、しっかりと固定されたのを三度ほど強く引っ張って確認したアイリスは一度頷いてそのワイヤーを登っていった。
屋上にはいくつかのアンテナと出入り口があるのみ。隅には小さな水たまりがあり、ひび割れたセメントの床を湿らせている。人の出入りした形跡の殆ど無いそこを素早く横切り、鍵のかかった階段のドアを音もなく破壊して、アイリスは施設への侵入を成功させた。
「まずは職員の救出……」
勘を頼り、建物の構造と事前の偵察情報からのナビゲートを思い出しながら階段を早足に降りるアイリス。
三階にたどり着いたところで、向かうべき部屋はすぐに分かる。事前情報で伝えられていた、人質が多く拘束されている部屋。直ぐ側にあるその扉の脇にぴたりと背中を付け、突入の機を伺う彼女は、その室内に居るのが人質だけではないことをすでに第六感で感じ取っていた。
消音器を取り付けたアサルトライフルは、閉所での取り回しにこそやや不安はあるが一方的な奇襲であればその不利も相殺できるだろう。腕時計を操作し、突入のタイミングを決めたアイリスは、そのタイミングにぴたりと合わせてドアを蹴破った。
――体感時間が引き伸ばされる。一瞬を数十倍に伸ばした時間の中で、あのやかましい歌が意味を成さない長く低い音のように感じられた。それをBGMに、人質を監視していた数人の敵兵が面食らった顔で立ち上がってサブマシンガンや拳銃に手を駆けるのが見える。
「…………遅い、わ」
額に一発、胸に二発。端の一人が身体に新しい穴を三つ増やし、仰向けに崩れ落ちていく。
次も同じように。拳銃を構えかけていたその兵士が倒れ込み、その手から抜けた銃が緩やかな弧を描いて飛んでいく。
さらにもうひとり。既にサブマシンガンの照準がアイリスに向きつつあるが、やはり停滞した時間の中ではその迅速な対応ですら致命的に遅い。
ライフルが吐き出した薬莢がキラキラと輝きながら落ちていく、その一発目が床で弾けるより早く、さらに放たれた三発の銃弾がその兵士も制圧してのけた。
そうして、引き伸ばされた時間が戻っていく。
三人がほぼ同時に床に身を投げ出し、身体の中身をじわりと灰色のタイルカーペットに滲ませていく。ちゃりちゃりと九発分の薬莢が落ち、転がっていく。
それを通常時間への復帰の合図のように感じ取り、アイリスは部屋の制圧と三階の人質救出を確認したのだった。
成功
🔵🔵🔴
ビードット・ワイワイ
【PPP開発室】
アドリブアレンジ歓迎
さて何故であろうか。赤と聞くとUDCアースにありし
主義を思い出しけり。大粛清、此度招来せし破滅は
これにしようか
さて汝ら覚悟は良いか?鉄腕を振るいて【グラップル】
【力溜め】【ダッシュ】し近づき【吹き飛ばす】
これにて常人なれば【気絶攻撃】となろう
動くならば再度【衝撃波】が発生するほどの速度で
振るおう。これにて【恐怖を与える】
まだ動くならば命の保障、我はせぬ
これは僅かな慈悲であり。未だ命永らえたくば
大人しくしておるが良い
【ロープワーク】にて縛り職員の救助
フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
洗脳ー。洗脳ねえ。どんな気持ちなのかしらね?
好きなものとかが変えられちゃうのよね?
ヴァンパイアの魅了みたいなものかしら
じゃあ一発バコーンとすれば治るわねきっと!
「pow」
正面突破よ!ほら、道をあけなさいよ!
UC高速詠唱で吹き飛ばして前へとズンズン進むわ!
元は被害者かもしれない?だから何よ?
私の邪魔をしない被害者だけが良い被害者よ!
派手にいくわよ!ボカーンボカーンむふーーっ!(ご満悦)
UDC組織の一員を見つけちゃったらどうしようかしら?
考えてなかったわ!!
(アレンジ、アドリブ等々大歓迎!)
イデアール・モラクス
【PPP開発室で参加】
フン、新人類の創出だと?
ホムンクルスの生成くらいならば私でも可能だが、どの程度の生命体を生成出来る邪神なのか見てやろうじゃないか。
私の魔術研究に役立つかも知れぬしなぁ…。
・行動
仲間と共に正面突破だ、応援なぞ呼ぶ間すらなく鏖殺してやる。
「今日は、そしてさようなら」
UC【絶殺武刀】を『全力魔法』と『属性攻撃』で威力を増した上で『高速詠唱』を用い一瞬で行使、刀で『串刺し』にして刀身から『吸血』し魔力や魂ごと『生命力を奪い尽くして』声を上げる間すら与えず鏖殺していく。
「まぁ、応援とやらが来たところで皆殺しにするだけだがなぁ?
アーハッハッハ!」
応援ももちろん血祭りだ。
※アドリブ歓迎
●
「せんのう……せんのー、洗脳ねえ。どんな気持ちなのかしらね」
思想や理想、もっとわかりやすい言葉遣いで言うならば好きな物を無理やり変えられてしまう感覚。
ヴァンパイアの魅了みたいなものかしら、と身近なものに置き換えて納得したフィーナは、その対抗策も経験上なんとなく把握していた。
「そういうことなら一発バコーンとすれば治るわねきっと!」
ばこーん。宣言通り放たれた爆裂魔術が施設の壁をぶち抜いた。
潜入とか隠密とか全部ふっ飛ばした凶行である。これには先行してスニーキングミッションを遂行していた猟兵たちもびっくり。敵兵もびっくり。
『て、敵襲ゥゥゥゥゥ!! давай! давай! 一階から敵が強行突入してきた!』
『おい見ろ、巡回の警備兵がやられてる! もう侵入されてるぞ!!』
蜂の巣を突くどころか火の付いた棒を思いっきり突き刺したような大騒ぎとなる拠点ビルのそこかしこで、侵入した猟兵たちと敵兵が交戦し始める。
その戦いを掻い潜るようにUDCエージェントたちが兵士を牽制しながら解放された人質を引き連れ撤退してきた。
「…………もしかして不味かったかしら!」
その混乱ぶりに失敗したかもとこめかみに冷や汗を流すフィーナの肩に、ぽんとふたつの手が置かれる。
「どのみち皆殺しにするだけだろう、問題ないな! 行くぞフィーナ、アーッハッハッハッハ!」
「起こりし破滅は覆らぬ。諦め受け入れよ」
フォローしているつもりなのか、いやきっと自分の欲求に素直なだけのノリノリで高笑いしながら突撃を敢行するイデアール。
やってしまったものはしょうがないから諦めろと諌めるビードット。
「……ま、まあそうよね! かくなる上は正面突破よ! ほら道をあけなさいよ!」
階段を駆け下りてきた兵士の一団が爆発で吹き飛ばされる。
「いくら応援が来たところで無駄なのだ! こんにちは、そしてさようなら!」
爆風の直撃から逃れ、かろうじて防衛線に取り付いた兵士たちを高速で撃ち出された妖刀が貫く。
「ふむ、何故であろうか。赤と聞くとUDCアースにありし思想主義を思い出しけり。此度将来せし破滅は大粛清、これにしようか」
二人の魔女の大暴れで防衛線が打ち砕かれ、空いた穴を戦車ばりの重装甲を誇るビードットが押し通り、邪魔をする敵兵を巨大なアームで殴り飛ばす。
「新人類の創出とかいう神は私の研究に役立つかもしれん。だがそれ以外は皆殺しだぁ! アッハッハッハッハ!」
「元は被害者かもしれない? だから何よ。私の邪魔をしない被害者だけがいい被害者よ、ボカーンボカーン!! むふーっ! 最高にスッキリするわ!!」
開き直って好き勝手に大暴れする魔女たちを前に士気崩壊しつつある兵士たちに、ビードットはカメラアイを向ける。
「まだ動くならば命の保障、我はせぬ。これは僅かな慈悲であり。未だ命永らえたくば大人しくしておるが良い」
その一言で完全に戦線は崩れ、兵士たちはほうぼうの体で上階へと逃げていく。それを追う三人は、混乱に乗じて無事に最後の人質を救助して後退してくるエージェントと偶然合流し――そして、目の前で逃げる敵兵を撃った、少し上等の装備に身を包んだ兵士たちと遭遇する。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『歩兵』
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POW : 武器使用
【装備している武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 制圧射撃
【合図をして】から【機関銃による連続射撃】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 援軍要請
自身が戦闘で瀕死になると【追加の兵士】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:すずしろめざと
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
『同志諸君、撤退は認められない』
『君たちは我らが党と偉大なる赤き王に忠誠を誓った同志にして信徒なのだから』
『それ以上の後退は党への反逆とみなして射殺する。さあ、再度突撃したまえ』
その兵士たちは、突如として猟兵達の前に姿を現した。
その身に纏う雰囲気は只者ではない。冷酷で無感情で機械のようで居ながら、その目の奥には燃えるような執念と忠誠を滾らせたコート姿の兵士たち。
彼らは猟兵たちと交戦し、敗退した兵士――信者たちが逃げ帰ろうとするその背中を容赦なく撃ち、恐怖で戦場へと縛り付ける。
洗脳が行き着くところまで行った成れの果てか。あるいは件の邪神が生み出した新人類がそれなのか。猟兵たちをしてその判別がつかない程に人類の領域から逸脱した異様な気配を帯びたコートの兵士たちは、逃げる信者兵を射殺した銃を猟兵に向ける。
『Добрый день. こんにちは同志猟兵諸君、我らが革命的信仰の中枢へようこそ。諸君らも信仰を知ればきっと目が覚めるだろう』
『そうとも、赤き王、我らが神のもと人民は皆平等な同志となる! 素晴らしきかな革命的新世界! хорошо! おおхорошо!』
『さあ同志兵士諸君、我ら人民の人民による人民のための革命的勝利のため突撃せよ!』
退くに退けない信者兵を伴ったコートの兵士が号令を下し、それを迎え撃ち、人質とともに撤退するエージェントを守る猟兵達の戦いが始まった。
アイ・リスパー
「これが邪神の兵隊ですか。
ですが、近代兵器のみで挑んで来るとは戦力計算を間違えたことを教えてあげましょう!」
とはいえ、先ほど神託機械を使った脳への負荷が残っているため
ここは自分の処理能力だけで対応しましょう。
【ラプラスの悪魔】で敵の銃撃の軌道をシミュレート。
自分やエージェントの皆さんを守るように【マックスウェルの悪魔】で氷の壁を形成して銃弾を防ぎます。
「銃撃程度で電脳魔術による氷壁を破れると思わないでくださいね!」
隙をみて炎の矢で攻撃をおこないます。
「って、機関銃以外にも武器がっ!?」
神託機械でのブーストをおこなっていないため、
不測の事態にはシミュレーションが追い付きませんっ!
アドリブ大歓迎
●
将校級の兵士が出現し、またその直属の督戦隊が展開したことで、練度の低い信者兵達は押し出されるように猟兵達に突撃を開始した。
当然だ。退けば撃ち殺され、敵前逃亡による不名誉な死は彼らの信じる神の糧になることすら許されない。死の恐怖の中でも確固としてその行動を戒める、洗脳により植え付けられた神への狂信的な忠誠が彼らを突撃へと駆り立てる。
『我らは東の眠れる巨熊の化身――』
将校の中でも黒服に身を包んだ、神経質そうな顔つきの男が歌い出す。
呼応するように周囲の督戦隊が歌い、そしてその熱狂は最前線の信者兵にも伝播する。
『『――西の怠惰な羊を喰らう、我らの爪は氷のように冷たく鋭い』』
うおお、と叫び声を上げ、小銃に銃剣を取り付け乱射しながら突進してくる兵士たち。その有り様はまるで正気とは思えない。少なくともこの21世紀現代に在っていいものではない。
「これが邪神の兵隊ですか……」
その圧に圧倒され、不利な室内戦を避け一階入り口すぐのホールまで戦線を下げてくる突入組とUDCエージェントたちを出迎え、移動基地である車両を降りたアイは敵戦力を見定める。
「崩れかけなのに恐怖と信心でカタチを保っている、なんて士気でしょう。ですが、近代兵器のみで挑んでくるとは戦力計算を間違えましたね!」
これがUDC怪物のような超常の存在であったならば、あれほどの士気と物量で攻められれば猟兵とて楽勝とはいかなかっただろう。
が、兵士たちはあくまで通常の武装で戦いを展開している。
最前衛は銃剣付きの自動小銃を、中衛の督戦隊が固定式の機関銃を受付カウンターやひっくり返してバリケード化した机に据え付け、再後衛の将校たちはピストルを振り翳して彼らを操っている。
そこに、魔法や異能は存在しない。強いてあげるならば将校らによる勇壮な軍歌と信仰を掲げた精神支配こそ魔法の域に達しているかもしれないが、それが直接的な脅威としてこちらを脅かすことはない。
「シミュレーション、演算領域を自身の脳内に限定、対象の攻撃予測――そこです!」
迅速に戦線を引き直す敵に対して、拘束されていた人質を庇いながら後退してきたエージェントたちの部隊は未だ応戦の準備が整っていない。そこを狙う敵兵の攻勢を予測したアイが、空気中の水分を凍らせ生み出した透き通った氷の壁で信者兵たちの突撃を阻止してのける。
「アイさん!? 助かりました! B班は人質を車両まで護送、こっちのことはいいからそのまま離脱してくれ! A班各員、アイさんが作ってくれたチャンスを無駄にするな! 反撃に出るぞ!」
見覚えのあるエージェントが指揮を取り、分厚い氷の壁に背を預け押し寄せる兵士たちに銃撃を浴びせかける。短機関銃と小銃の差はあれど、闇雲に突撃するばかりの上にまともな訓練を受けたとは思えない信者兵にいいようにやられるエージェントではない。
そのうえ今回は完全武装、防弾チョッキや耐弾シールドまで用意した彼らはアイの支援を受けてまたたく間に統制を取り戻し、人質が逃げる時間を稼ぎ出してみせる。
「私も援護します! まずは後方の機関銃を……!」
前衛がUDCエージェントたちの連携で食い止められるならば、より攻撃力の強い中衛の督戦隊を叩くべき。射撃の密度も威力も段違いの機関銃は脅威となる。
「弾道を演算予測、高熱源を曲射弾道で……撃ちます!」
電脳魔術による炎が弧を描いて氷の壁とバリケードを飛び越え、機関銃を操作していた敵兵を焼き尽くす。
「よし、この調子で機関銃陣地を……って、機関銃だけじゃない!?」
燃え盛るバリケードから次に視線を移したアイが見たのは、およそ常識はずれの長砲身。
作った、使えた、使う命知らずが居なかった――それは旧時代の戦車を、弱点部位を狙撃することで人の手で撃破せんと生み出された狂気の産物。
さしもの氷の壁もひとたまりもない一撃を放ったその怪物、対戦車ライフルの一撃で防御の要たる氷壁が砕け散る。
「くっ……あんなものがあるなんて予測できませんでした……神託機械に接続していたなら……!」
アイの真横を掠めていったその砲弾が、後方の無人の装甲バンを貫通して爆発する。
人質が乗った車両は間一髪で発車して事なきを得たことを確認して胸をなでおろしながら、アイはその一撃すら耐える新たなる氷壁でエージェントたちを支援するべく、再び演算に集中していく。
成功
🔵🔵🔴
四季乃・瑠璃
緋瑪「なーんか、一昔前の軍事国家とかそんな感じのノリだねぇ」
瑠璃「新人類っていうより旧人類って言った方が良い感じだね。まぁ、敵である以上、皆殺しにするだけだし、問題無いよ」
【チェイン】に分身切り替え
閃光仕様のジェノサイドボム(以下ボム)で目晦ましを掛け、その隙に二人掛かりで【範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視、早業】の大量の接触式ボムで飽和爆撃。
更に瑠璃がボムと【ドロウ、早業、鎧無視】K100でメットや防弾具の無い箇所を銃撃して援護。緋瑪は大鎌の機巧を利用した高速機動による【早業、残像、ダッシュ】高速斬撃で敵の首や胴を真っ二つにして刈り取っていく。
敵の攻撃は【見切り、残像、第六感】で回避
アドリブ等歓迎
ミスティ・ミッドナイト
ふむ、程よく訓練された兵士達ですね。
しかし恐怖で縛りつけていては、真の意味で統率が取れていると言えません。
一度混乱に陥れば、立て直しは容易ではないはず。
恐らく合図を出している者が指揮官でしょう。
戦闘は【先制攻撃】が基本。その者をハンドガンで【速射】します。
敵の機関銃は、建物の影へ移動して凌ぎましょう。
次に、逃走経路の確保を試みます。
進行上の敵には消火器を投げ込み、ハンドガンで狙い撃つことで
破裂させ【目潰し】を狙います。
そのまま撃ち続けながら、職員達を避難させましょう。
避難を完了させれば、他猟兵の皆様も動きやすくなるはずです。
職員の皆様は、とにかく逃げ抜くことをお考えください。
●
『同志諸君、突撃だ! 我らが偉大なるツァーリの再誕は今! 諸君の血肉もまた、彼への供物となるのだ! 突撃、突撃ィ!』
『Урааааа!!』
猟兵の支援を受けたエージェントたちと信者兵が拮抗する正面を支援するべく、側面から突破攻勢を仕掛ける者たちがある。つまりは、激戦の正面ホールを避け、猟兵達が突入路として用いた裏口から出陣しようという部隊。
重武装の督戦隊に脅されるような形で駆け抜ける信者兵の前に、その動きを警戒していた猟兵達が立ち塞がる。
からんからんと軽く澄んだ音を立てて転がってくる小さな缶が、兵士たちの進路を塞ぐ。細く背の高い250mlジュース缶によく似たそれは、プルタブの代わりに異質なトリガーが生えていた。
『ぐ、グレネ――』
先頭の信者兵が引きつった悲鳴を上げるが、督戦隊に押し出された兵士たちはもう止まることはできない。逃げることも背を向け身を伏せることも出来ず、その炸裂に晒された前衛の兵士たちは、撒き散らされた閃光と甲高い轟音に視聴覚を奪われた。
『て、敵襲ーッ! うわあああああ!!』
耳目を奪われれば、狂乱する前衛は続くであろう攻撃に怯えてデタラメに小銃を乱射する。
銃声が響けば後続もすわ戦闘かと動揺が伝い、そうなれば混乱はまたたく間に部隊を覆い尽くした。
『落ち着け、落ち着けッ! 敵は寡兵だ、狼狽えず圧殺しろ!』
ピストルを打ち鳴らし、廊下の天井に穴を開けながら叫ぶ将校。その額に穴が空き、更に連続で叩き込まれた弾丸が頭蓋を砕く。
赤と灰色のなにかをそこらにぶちまけ、立ったまま痙攣して喋らなくなった将校。その背後に督戦隊が目を移せば、怜悧な女暗殺者が拳銃を手に立っている。
「恐怖で縛り付けられた軍隊は、真の意味で統率が取れていると言えません。その証拠に、ほら」
指揮官が失われたことで、前衛の混乱は収拾がつかなくなっている。混乱に墜ちた前衛部隊で二度、三度と爆発音が響き、その度に兵の悲鳴が上がる。ほんの数人の猟兵によって、部隊は混乱の極みにあった。
『ええい、同志司祭将校が戦死なさったならば我々が指揮を引き継ぐ! 全隊ゆっくりと後進せよ、一旦退いて体勢を立て直せ! 我々督戦隊はあの女を――』
『後退、後退だ! さがれーッ!!』『退け、退けー! あのバケモノみたいな双子をこれ以上相手にするなッ!』
後退、と聞こえた直後に怒涛のように督戦隊を押しのけ逃げ出す信者兵たち。その混沌に女暗殺者――ミスティはやれやれと呆れ半分、そしてそんな中でも機関銃を構え、逃げる信者兵諸共に自分を狙う督戦隊の思い切りの良さと即応してみせた練度に称賛半分の吐息をひとつ。
す、と息を吸い込み、通路の角に隠しておいた消火器を投げつけ拳銃で射抜く。
空中で破裂し、粉末状の消火剤を撒き散らして薄ピンクの煙幕となったそれを吸い込まないよう息を止めて、ミスティは曲がり角に飛び込み壁に背を付け拳銃の引き金を引き続ける。
通路の先には敵兵だけだ。遠慮することはなく、視界が悪い状況もなんら支障になりはしない。一方の敵は、我先と後退する信者兵が射線に割り込み、あるいはミスティが既に遮蔽を取ったことすら見えずただ弾丸をばらまくばかり。同士討ちで、あるいはミスティの射撃で、一人また一人と銃弾をその身に受け倒れていく。
一方の前衛側では。
「なーんか新人類ってより一昔前の軍事国家ってノリだねぇ」
小銃を逆さに握り、銃床を振り回して果敢に殿を務める兵士を銃ごと大鎌で両断して緋瑪がぼやく。
「7、80年位前の旧人類って感じだね。ま、敵なら皆殺しにするだけだし、どっちでも問題ないよ」
逃げる兵士たちを飛び越えるように手榴弾を放り込み、そのうえで防弾チョッキのない手足を拳銃で撃ち抜き逃げ足を封じて爆殺する瑠璃はそれに興味もなさそうに応えた。
二人の少女はそれもそうかと視線を交わしあって、互いに兵士たちを追い立てる。
逃げるものはその背中を容赦なく瑠璃が撃ち、ならばと抵抗するものは抵抗ごと緋瑪が真二つに叩き斬って"処理"していくさまは、二人が楽しそうに、あるいは淡々とそれをこなすせいでまるで一方的なゲームのようですらあった。
「うわ、何この煙。粉? もー、服が汚れちゃうじゃん」
「でもほら、この奥から撃ち合ってる音がするよ、もうすぐ終点じゃないかな」
そんな一方的な展開故にそう時間を掛けることなく、出会った兵士を根こそぎ斃して二人はミスティによる煙幕にたどり着く。
「じゃあ私がボムで牽制するから」
「わたしがその後突っ込んで皆殺しね、おっけー!」
その中にこそ、真の獲物――督戦隊や士官クラスの将校が居ると感じ取り、二人は頷きあって最後の仕上げにかかる。
瑠璃が煙幕の内に手榴弾を転がせば、爆風とともに煙幕が晴れる。
機関銃を抱えた兵士と、信者兵の死体が折り重なる地獄絵図の中で、まだ生きているモノを見つけた緋瑪が嬉々としてその内に飛び込み、鎌に内蔵された炸薬を起爆させた反動で凄まじい加速とともに狼狽する督戦隊へと斬りかかった。
『なんだこの爆発は……貴様ッ、まさか後ろが――抜かれたのか!?』
一瞬にして信者兵の厚い壁を壊滅させられたことに驚愕の色を浮かべたまま、飛び込んできた緋瑪を視界いっぱいに写した督戦隊の首が舞う。
「んー。今ので最後かぁ、物足りないかも」
「どうせすぐ次が来るでしょ」
笑う緋瑪と肩を竦める瑠璃、そして銃撃戦を終えて武器を収めたミスティが合流する。
「お二人ともお疲れ様でした。それではこのまま、職員の皆様が撤退した方……主戦場の後方を襲撃しに向かいましょうか」
賛成、と鎌を担いで元気よく手を挙げる緋瑪。異議なしと頷き、銃に弾を込める瑠璃。二人を先導するように、警戒を解くことなく進むミスティ。
三人が立ち去った後には、血とヒトの内容物だけが残された。
それは赤く赤く、凄惨な戦闘の痕を刻む廊下を染め上げている。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞー
やることはシンプルにただ1つ
自爆する
それだけだよ
たった1発の自爆に全てを注ぎ込む
登場即自爆
そのままボロボロになって即退場さ
作戦も何もないシンプル且つスピーディーに終わらせよう(終わるのは自分)
捨て身の自爆するのだから敵の攻撃は無視するだけさ
とりあえず終始『あはははははは!』と高笑いしておくね
技能:捨て身の一撃でのジバクモードによる広範囲自爆
範囲内の敵全てを対象
アイリス・ブラックバーン
「やっと、少しは骨のありそうなのが…出てきたわね…。御託はいいから…始めましょう。素敵な殺死合≪コロシアイ≫を…」
隠れる必要もなくなったので『光学迷彩装置』を切り姿を現す
マグナム『Handsome Devil』を手に相手を挑発
目にもとまらぬ【早業】で【クイックドロウ】の【2回攻撃】、素早いリロードを繰り返して攻撃
【ダッシュ】【スライディング】【ジャンプ】で縦横無尽に駆け回りながら場をかき乱す
戦意喪失して逃げる兵士と歩兵の同士討ちを狙って【恐怖を与える】ように行動
トドメは『Handsome Devil』の【封印を解く】ことで『魔銃』へと進化させ、UC〈魔弾〉で強力な攻撃を仕掛ける
●
『ゲート前封鎖! 敵を押し出しました!』
『裏口より進出したククーシカ小隊との連絡が途絶! ……側面強襲は失敗です、同志司教将校』
建物の二回、厳重に封鎖された元UDC組織のオフィス、今となっては教団の司令部と化した一室で、一際に豪奢な――コートの胸にじゃらじゃらと勲章をぶら下げた将校が苛立たしげに呻く。
『あと僅か、あと僅かで我らがツァーリをお呼びする準備が整うのだ。そうなれば同志諸君の犠牲も許容しうる。しうるが……その段階に到る前にこうも損害を被るとは、猟兵め……』
狙撃を避けるために分厚い鉄板を溶接した窓際に立ち、外を伺うためのほんの僅かな隙間から猟兵とUDC組織、そして信者兵たちが一進一退を繰り広げる正面入口を見下ろす将校。その視界を遮るように、黒いものがどろりと窓ガラスを伝う。
その様は、外で戦う者たちからよく見えた。
屋上からビルの壁面に沿って垂れ落ちる黒い粘体。
一筋垂れたそれは、最も防御の厚い部屋の窓で止まり、重力に抗って横へと広がりカタチを変える。
ぎ
それはひらがなのように見えた。
ろぎ
一字が完成すると、そのまま一筆書きをするように字が増える。
つろぎ
さらにもうひとつ。
う つ ろ ぎ
やけに達筆な四文字が完成したとき、猟兵たちは察した。
それと同時に響き渡る高笑い。
「あはははははははははははははははははははははは!」
閃光が視界を覆い、轟音が鼓膜を殴りつけ、熱風と衝撃波が地上階で戦う者たちを頭上から叩き伏せる。
「あはははははははははははははははははははははは!」
窓の向こうでどろどろと蠢く粘体を見た将校は、笑い声が聞こえる直前にそれが何であるかを悟った。
神を信じる司教将校の身であってなお信じたくないほどの、冒涜的でありえない存在。猟兵であるならば多少の理解もできようが、これを猟兵と思うのも敵ながら憚られるそれが何をしようとしているのか。
どうせろくでもないことに違いはなく、そして危険であると悟った司教将校はすぐさま窓から飛び退る。
『同志諸君、伏せ――』
窓が爆ぜ、溶接された鉄板は爆風に押し出されるように砕けた欠片を室内に撒き散らす。
反応の遅れた兵士たちはもはや原型もわからない。ただ瓦礫に吹き付けられた赤だけが、彼らがそこに居た証として残されている。
『くっ……司令部の生き残りは私だけか……猟兵め、外から突入するにしても自爆で道を作るとは……』
べちょりと瓦礫まみれの床に広がる「うつろぎ」を忌々しげに睨む司教将校。流石に自爆した「うつろぎ」は消耗したらしく、いつもは重力に逆らって堂々とそびえる「うつろぎ」も今は力なく萎れている。
その周囲に広がる池のようなブラックタールから伸びる黒い粘体が五本指をもつ手のカタチを作り、司教将校にサムズアップしてそのまま池に沈んでいく。アイルビーバックとでも言うつもりか。
『……………………戻ってくるな!』
ぺい、と蹴り落とされた「うつろぎ」が地上の乱戦の只中に消えていく。
「あの爆発を凌ぐなんて……やっと骨のありそうなのが……出てきたわね……」
そのコミカルな攻防の背後、封鎖された施設内に続くドアの傍から声がする。
滲み出るように現れたのはアイリス。光学迷彩を切り、雌伏していたその姿をついに現した。
『貴様、いつから……! くっ、もはやこの司令部を守れるのは私だけか。いいだろう、我が信仰と理念の下に――』
小振りな拳銃を抜き、ぺらぺらと信仰を語る司教将校の台詞をアイリスは遮り、銃を突きつける。
「御託はいいから……始めましょう。素敵な殺死合≪コロシアイ≫を……」
この手の宗教家に語らせても無駄に長いだけで得られるものはない。アイリスは司教将校とは対象的な大型拳銃を手に、かかってこいと彼を挑発してみせる。
『気色の悪い異教徒め、殺しを楽しもうとは。我らが赤き理想世界に貴様のような不適格者は要らぬ!』
ぱすんぱすんと気の抜けたような消音拳銃の発砲音が空気を貫き、飛び出した弾丸がアイリスを狙う。
その射撃を間一髪まで引きつけ躱すアイリス。ふわりと広がる黒髪を弾丸が掠め、千切れ飛んだ髪が僅かに舞う。
『ちょこまかと!』
「当てられないほうが……悪い」
ひっくり返った机と机の間を駆け、崩落して斜めに床に突き刺さる天井の破片を踏みつけて跳び、あるいは地を這うように姿勢を低く瓦礫の隙間をすり抜け、「うつろぎ」が荒らしに荒らした室内の惨状をフル活用して縦横無尽に移動を絶やさないアイリス。
ただ躱すだけではない。移動の合間、一瞬のタイミングで彼女は大型拳銃を連射してのける。
大の男ですらしっかり腰を据えねば反動でひっくり返るほどの強烈な反動を腕の力加減だけで逃し、あるいは押さえ込み、撃ち切ればタクティカルベルトから弾倉を取り出し流れるように再装填。
『この女、強い……!』
冷や汗を流す司教将校もまた遮蔽をうまく使って致命傷を避けている。だが、一進一退の攻防で先に焦れたのは彼だった。
遮蔽に取っていた瓦礫から顔を覗かせた司教将校は、アイリスの一瞬の隙を見た。
故に、拳銃を遮蔽から突き出し決定的な一撃を放とうとし――その拳銃が弾け飛ぶ。
「……見えてる」
大型拳銃から紫煙をくゆらせ、アイリスは司教将校の焦りを指摘する。
『くっ……銃がないならば白兵戦で仕留めるまで! 神に捧ぐならばこちらの方が――!』
撃ち抜かれた拳銃は使い物にならないと諦め、痺れる指先でナイフを掴んで構える司教将校。
『――いざ!』
だが彼は馬鹿正直に拳銃相手に斬り合うつもりはない。ナイフのグリップに隠された引き金を引けば、撥条で刃が飛び出す特殊部隊仕様の暗殺ナイフで奇襲する。銃に比べれば殺傷力は低いが、室内戦でこの距離ならば――
放たれた刃に勝利を確信した司教将校が、目を見開いて後ろへと吹き飛ばされる。
「見えてるって言った」
目にも留まらぬ速射で飛び出したナイフの刃と司教将校の胸を撃ち抜いたアイリスは、その死骸を混戦の地上に放り落とす。
一瞬にして教団の信者兵達の混乱が拡大した。無理からぬ事だろう、自分たちを導く高位神官にして総司令官の無残な死体が上から降ってきたのだから。
それを見た兵士たちがまたたく間に崩れ、督戦隊と押し合いを始める。
司教将校が死すとも忠実に神の再臨を遂行せんとする督戦隊と、もはや洗脳で植え付けられた信仰や忠誠より個人の生存欲求が上回った兵士たちの同士討ちが始まり、団子になった一団を崩れた窓の縁から見下ろし、アイリスは弾倉に一発残した大型拳銃――Handsome Devilに自らの血を与える。
見るも禍々しい姿に変質していくその銃、魔銃としか言いようのない、命を奪うためだけの武器を密集した一団に向け、アイリスは高みから引き金を引き絞る。
一際に大きな銃声が響き、混乱する兵士たちの一団はまるで意思持つようにうねる弾丸に心臓を潰され、一人残さず死に絶えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
性懲りもなくまた新鮮なアカ共が湧いてきやがったか!
アカは一匹見たら三十匹は居ると思え!
狂信者な兵士を直接相手するのは面倒でござるねぇ…職員も避難してるし情け容赦無用で行くか
【軍用航空機】を召喚!今回はアカ潰しで有名な爆撃機ですぞ!拙者自ら【操縦】して相手してやりますぞ
空に上がれば兵士の持ってる【機関銃】程度まるで怖くないですな!見てよこの37mm機関砲、アカを刈り取る形をしているでござろう?
外に居るアカは爆撃と機銃掃射で念入りに潰す
建物に隠れたアカは窓から砲弾をぶち込んで念入りに潰す
今こそ叫ぼう!ヒャッハー!アカは消毒だ~!
アドリブ連携歓迎
フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室にて参加】
хоро・・・?革命しんこーのちゅーすー?
何わけのわかんないこと言ってんのよ!!
もっと分かりやすい言葉で話しなさいよ!
なんか目がやばそうなのが増えたけど
やることは変わんないわ!どかーんよ!どかーん!
なんか銃持ってるしさっきよりは危険なのかしら?
せっかく助けた人質に怪我されちゃ困るし
「地形を利用」で銃の斜線から隠れながら
「高速詠唱」でUCや「属性攻撃」で攻撃するわよ!
なんならそれで人質までの道を潰してしまってもいいわね!
(アレンジ、アドリブ大歓迎!)
イデアール・モラクス
【PPP開発室】
ハッ!くだらん!平等な社会?人民革命?
笑止千万!
人はぁ!世界は!不平等だから面白いのだよ!
赤き平らな世界など、私が燃やし尽くしてやる!
・行動
「革命だ何だと煩いんだよ、そんなに赤く染まりたいなら炎に包まれて燃えてしまえ!」
UC【ウィザード・ミサイル】を『全力魔法』と『属性攻撃』で火力を増した上で『範囲攻撃』で複数対象に向け『高速詠唱』を用いて連射。
「そんなに赤いなら私に赤い血を飲ませろ」
敵を焼き尽くしながら魔剣ドミナンスを振るい前進、攻撃を斬り払い『武器受け』でして『串刺し』にし『吸血』し『生命力を奪い尽くして』嬲り殺しにしていく。
「美味いじゃないか、紅い血は!」
※アドリブ歓迎
ビードット・ワイワイ
【PPP開発室】
アドリブアレンジ歓迎
見たり見たり見たり、汝らの破滅を見たり
赤き思想に染まりし思考、無きカリスマで何をせり?
カリスマ無い故地位維持するための殺害か?
それで保てし砂上の楼閣。ここにて砕き打ち崩さん
ここが汝の破滅なり
ここに招来するはUDCアース最大の国家で起こりし大粛清
招くは猜疑心持ちし最高指導者及び武装せし同志
同志諸君、彼奴等は新たな党を作り革命を
起こさんとする一派なり。その証拠に新たな最高指導者を
掲げておりけり。逮捕せよ拷問せよ自白させよ
認めたならば銃殺刑。安寧を脅かさんとする者を粛清せよ
強固な団結を誇りし我らの歩みは止まらず
同志から貸与されし銃で銃殺刑に処し、幾ばくかの安寧を
●
『踏みとどまれ! 隣の同志戦友が倒れたならば彼の銃を拾い上げよ! 信仰は何人にも砕けはしない、死した同志がツァーリのもとで見守っているぞ!』
主戦場である正面、その一角を守る教団部隊がまるごと壊滅したことで、戦局は猟兵たちに大きく傾く――かに思われた。
だが、最後に残った指揮官級の将校がここで粘りを見せる。配下を纏め上げ、守りきれないと判断した所は容赦なく切り捨て戦線を縮小しながらも、頑強な防御陣地を築いてみせたのだ。
複数の機関銃と対戦車ライフル、ロケットランチャーが守りを固め、その防御を頼りに集結した信者兵たちを再編して再び突撃に駆り立てる。
攻撃自体はやはり勢い任せの稚拙なものだが、稚拙であっても崩れるままの部隊を立て直したことは事実。
『Хорошо! 同志諸君、よくぞ持ち直した! あと僅か、あと僅かの時を同志司教将校のぶんまで我らで稼ぐぞ!』
『Давайдавайдавай! 突撃、突撃ィ!』
勢いが弱まったとはいえどなお果敢な鉛の津波が押し寄せる。
その進路が、まるで巨大な地雷原に踏み込んだかのように爆ぜる。
「хоро・・・?革命しんこーのちゅーすー? 何わけのわかんないこと言ってんのよ!! もっと分かりやすい言葉で話しなさいよ! ビードットでももう少し伝わる言葉を喋るっていうのに!」
「不服なり」
「そうだな、だがビードットより無駄に難解に飾り立てた言葉でも私にはわかる」
「不服なり」
無闇に言葉遣いを比較する魔女二人に抗議するビードット。だがふたりともそんな言葉は聞いちゃいないとばかりに司祭将校を糾弾する。
「貴様らの望むのは大層くだらんもののようだな! 平等な社会? 人民革命? 笑止千万! 人は、世界は、不平等だからこそ面白いのだ! 貴様らの望む平らな世界など私が燃やし尽くしてやる!」
剣を突きつけ言い放つイデアール。
「えーと、とにかく人様に迷惑掛けてるんじゃないわよ! 洗脳だかかくめーだか知らないけど、そういうのは身内で静かにやってなさい!」
杖を突きつけ吠えるフィーナ。
イデアールはともかくフィーナは彼らの主義主張を否定できるほど理解しているか怪しいが、言っていることは正論である。どんな宗教でも思想でも、信じるまでは自由だが人様に迷惑を掛けてはいけない。
迷惑を掛けたからといって、二人がかりの爆炎魔法で足元から消し飛ばすのもどうかと思わなくもないが。
『ええい怯むな! 我らの崇高なる思想と信仰を理解できぬ異教徒など踏み潰すまでだ! 前進! 突撃! 粉砕しろ!』
ウラーと叫びを上げて突進する兵士たち。背中に張り付くように殺気を突きつける機関銃に狙われては彼らも必死だ。
その進路を、再びフィーナの放つ魔法が薙ぎ払う。細いビームのような熱線は、その先への立ち入りを禁ずるように地面にラインを刻みつけ、それを兵士たちが踏み越えた途端爆裂する。
『まだだ、敵の次の攻撃までに一歩でも進め! 先ゆく同志を盾にせよ、同志の屍を盾とせよ!』
それでも止まらぬ兵団を、飛来した火球が焼き尽くす。
「革命だ何だと五月蝿いんだよ、そんなに赤が好きなら私の赤い炎で燃やしてやろう!」
爆発と炎上。赤々と燃える炎が兵士たちを刈り取っていく。だが、それでも突破を狙う攻勢は勢いが減ずる兆しも見えない。
フィーナが炎の壁をばらまきながら兵士たちを誘導し、密集したところにイデアールが魔剣を携え飛び込んではその刃で吸血していく。既にかなりの数を屠った筈なのに、それでも兵士の数が減っていない。
『ふはははは! 間もなくツァーリがお目覚めになる兆しである! 同志諸君、見たまえ! 我らが神の奇跡を、我らが教団では兵士は畑で収穫さる!』
驕る司祭将校が示す先、ビルの一階、その床を突き破り次々と兵士が"生えて"きた。
「おいおいおい、いくらなんでも出鱈目がすぎやしないか」
「何イデアール、ビビったの? 大丈夫よあの程度――ビードットのビックリドッキリ破滅が何とかするわ!」
あれほどの物量を疲弊しながらも凌いでみせた魔女二人は、さらなる増援にも退くことなく――退きはしなかったがここに来てまさかの他力本願。
だが、当のビードットは待ってましたとばかりにその身に秘めたる破滅の記録を開帳する。
オブリビオンとは滅んだ過去より来るモノ。故に、目の前の彼らもまた過去に滅んだ何かが甦った存在だ。
そしてその思想は、非常に破滅との相性がいい。理想を求め、人が歪み、一時の栄華がまたたく間に崩れ去った眠れる巨熊。
既に滅んだ、彼らが模倣するそれの本家本元、その記憶をビードットは招来する。
「見たり見たり見たり、汝らの破滅を見たり。赤き思想に染まりし思考、無きカリスマで何をせり? カリスマ無い故地位維持するための殺害か? それで保てし砂上の楼閣。ここにて砕き打ち崩さん。ここが汝の破滅なり」
その聖句が呼び出すのは、一人の恰幅のいい壮年の男。たっぷりとした筆髭を蓄え、軍服に身を包んだその男が手を挙げれば、付き従うように軍服の男たちが現れる。
「我らの革命を覆す反革命主義者共だ、潰せ」
壮年の男が掲げた手を振り下ろせば、軍服の男たちが兵士たちに襲いかかる。
まともな訓練を受けていない兵士では太刀打ちできず、やや善戦する地中から生えた兵士たちも連携の前に拘束され、目を覆いたくなるような凄惨な攻撃に斃れていく。
「ここに招来するはかつて最大であった国家の歴史。招くは指導者、そしてその同志」
かつて少数で大多数を粛清せしめた彼らの模倣は、こと兵士相手にはこれ以上なく存在そのものが天敵として機能する。
絶え間ない物量を前に戦線が拮抗した時、トドメの一撃を与えるべくそれが現れる。
最初の異変は天より響くサイレンの音。
誰もが空を見上げるが、そこに異変は見当たらない。
否。一人が"直上"を見上げた時、それはそこに居た。機首をほぼ垂直にまで下げて、悪魔のサイレンを掻き鳴らして舞い降りるそれは――
『た、大砲鳥…………』
司祭将校が呻く。それだけ、その翼から突き出す巨大な砲は異質であった。
「性懲りもなくまーた新鮮なアカどもが湧いてきやがった。アカは一匹見たらさん十匹は居ると思えってホントでござるなー! 不快害虫かよって話でござるよ!」
兵士たちを独特の渾名で呼びながら、舞い降りる大鳥のコックピットでエドゥアルトは鼻歌交じりに呟く。
「あんなん正面からやり合うのクソ面倒でござるしィ、職員も安全圏まで避難したし……情け容赦無用で行くか」
大慌てで天を見上げた機関銃が弾幕を張るが、対空を目的としないあくまで歩兵同士の戦闘しか想定されていないそれでは威力も射程も数すらも足りていない。
「それに比べて見てよこの37mm機関砲、アカを刈り取る形をしてるでござろう……?」
その呟きを聞くものは居ないが、対空砲を爆撃機に無理やりぶら下げているのだからアカに限らずいろんなモノを刈り取って然るべきではあろう。
そのパイロンから爆弾が切り離され、混戦の前線に投下される。
「あっやべ、あの辺猟兵がいたでござるよね。……ま、猟兵なら凌ぐだろあの程度」
無数の爆発が前線一帯を吹き飛ばすのを見届けて、猛禽は機首をずらして司祭将校が指揮を取る陣地にその嘴を突きつける。
37mmFlakの二門同時斉射が、一切の抵抗を許すことなく陣地を砕く。
『バカな……この時代にあんなモノを――』
その末期の声が、高速で飛び抜ける爆撃機のキャノピー越しにエドゥアルトに聞こえるはずはない。
それでも彼は、その呆然とした呟きへ応えるように呟く。
「んー、この時代錯誤な急降下爆撃、最高にクールでござるな! アカ相手ならこの機体でなきゃ嘘でござるよ!」
反復爆撃を行うために旋回し、爆発を回避していた猟兵三名(のうちの一名)が腕をぶんぶん振り回して応援――応援か? どちらかと言えば同士討ち寸前の爆撃に対する抗議に見えなくもない――をしているのを見て、ニッコリ満足げなエドゥアルトが残った弾薬を新たな兵士が生えてきつつある施設へと盛大に放り込む。
戦闘中の猟兵達が急ぎ脱出するのと殆ど同時に機関砲が建物を砕き、投げ込まれた巨大な爆弾が穴だらけのビルを吹き飛ばした。
「今こそ叫ぼう! ヒャッハー! アカは消毒だァー!!」
ハイテンションで戦果を誇る大砲鳥が再び空へと高く舞い上がる。
地上はもはや炎と血で赤く染まる、かろうじてビルの体裁を維持した瓦礫の山しか残されていない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『赤の王』
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POW : 新生
いま戦っている対象に有効な【性質を持った新しい形状の人類】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD : 創生
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使用できる新しい形状の人類を召喚し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ : 可能性
【レベル×2の値の任意の技能をひとつ取得】【レベル×2の値の任意の技能をひとつ取得】【レベル×2の値の任意の技能をひとつ取得】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
イラスト:すずしろめざと
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ヴィル・ロヒカルメ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
赤く赤く染まった、ほんの僅かな間に廃墟となったビル。
そこから新たな兵士が這い出してくることはない、ということに猟兵達が安堵し、UDCエージェント達が隠蔽と失われた拠点の再建にかかる費用と手間と時間を思い頭を抱えたその時、それは現れた。
『あなたは』『好きですか』
直接脳内に響く、できの悪い合成音声のような声。
赤々と染まったビルが――否、炎に照らされ兵士たちの血を吸ったとはいえ、いくらなんでも赤すぎる。
ペンキを被せられたかのように赤いその建物が、声が響く度にわずかに震える。
『あなたは』『赤』『好きですか』
ぎぎぎ、と建物の壁がきしみ、縦にまっすぐ走った亀裂から裂けていく。
ぎょろりと裂け目の向こうから、真っ赤な眼球が覗いた。
建物の中から、ではない。赤く染まった壁の中は既に尋常の次元ではないどこかに繋がっている。そこから覗くその存在は、まさに神であろう。
それほどまでの狂気と威圧感を漂わせる、先程の軍隊ごっこに興じる兵士たちが崇めていたと言うにはあまりに異質な存在感。
『あなたは』『赤』『好きですか』
赤。朱。赫、淦、丹、紅、緋――
それがちらつく炎を指しているのか、当たり一面を染める血を指しているのか、彼ら兵士が掲げた平等の思想を指しているのか、あるいはもっと別の何かを指しているのか。
裂け目からゆっくりとその身を這い出させたのは、翼の生えた巨大な胎児。
武装カルトが遊びのような思想で呼び出していいものではない。
あるいは、それが遊び半分で彼らをカルトに仕立て上げたのか。
いつの間にか勇壮で荘厳なメロディを奏でる兵士たちに似た装いのナニカが周囲に侍り、その神の降臨を祝福していた。
楽団より進み出て、かろうじてヒトガタを保つ兵士たちは鎚を掲げ鎌を掲げてそれを祝う。
『あなたは』『赤』『好きですか』
神の降臨を祝う兵士たちが不意に一斉に猟兵たちへ振り返り、幾度目かの問いを投げかける。
――巨大な胎児の産声が響き渡った。
アイ・リスパー
「あれが……邪神……!」
撒き散らされる狂気にプレッシャーを感じながらも、ぐっと唇を噛みしめ敵を睨み付けます。
「あの邪神さえ倒せば!」
出し惜しみはなしです!
【チューリングの神託機械】を発動し情報処理能力を向上。
【ラプラスの悪魔】で敵兵の動きをシミュレートしつつ【マックスウェルの悪魔】の炎の矢で攻撃します。
「そんなっ、私の攻撃が予測されて!?」
創成によって生み出された兵士は私の能力を使いすべての攻撃を回避してきます。
「くっ、それなら奥の手です!」
【アインシュタイン・レンズ】による重力レンズを展開。
【クラインの壺】から実体化させた荷電粒子砲(なんとか電脳空間に収納して回収してた)を収束、狙撃します。
ビードット・ワイワイ
【PPP開発室】
アドリブアレンジ歓迎
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
此処に築くは白き巨躯、破滅を蒐集し成長せり
集めし破滅が合わさりて、真の破滅を齎さん
希望を捨てて天を仰げば穏やかなる破滅が訪れよう
ここが汝の破滅なり
此処に晒すは真の姿
星を飲み込み、世界を蝕み、破滅を齎す招来者
これより行う全ての動作が汝に破滅に誘おう
生まれし人類なぞ人に非ず。即席の人など我の集めし
破滅の前には木偶に過ぎず。握り、踏み、潰し、なぶり
我の破滅の一つに変えて、赤すら白に染め上げよう
破滅の前には人も思想も神であろうと関係あらず
皆に等しく破滅は訪れよう。今まで齎したであろう
破滅の数々、それを掲げて逝くがよい
フィーナ・ステラガーデン
【PPP開発室】
大きな攻撃を加えられたことがきっかけで
真の姿を解放する
見た目はイラスト参照
血の翼は自ら、他者の流れた血液を吸収し
その量に比例して大きくなる
真の姿開放時に周囲の空気が切り変わるように冷たくなり
技能「殺意」「恐怖を与える」を使用
UCにて血の弾丸を翼
または周囲の血痕から放ち自由飛翔させ
削り取り「吸血」「生命力吸収」を繰り返す
自らの腕や足が千切られようと
血肉の吸収、吸血を繰り返し再生
化け物の戦い方で
新生で産む出された人と赤の王を暴食する
「んふふふ・・そんな形になるなんてすごい!」
「あははは!ざまあみろお!」
口調ドS化
別に記憶が飛んだりしない
楽しくて仕方ない様子
(アレンジアドリブ大歓迎)
イデアール・モラクス
ハッ!これはこれは、赤を統べる邪神のお出ましか!
ならば我らも本気を出さねばなるまい、紅き我らの本気を!
・行動
「紅は好きさ、私の色だからなぁ!」
UC【魔剣の女帝】を『高速詠唱』で行使。
真の姿となり、次々と『全力魔法』の力で威力を増した魔剣を無尽蔵に召喚し『一斉射撃』で雨霰と射出、圧倒的弾幕の『範囲攻撃』と成して飽和攻撃をかける。
「魔と剣を統べる私に、小細工など通じぬ!」
鎧の防御を頼りに斬り込み、敵の攻撃は『属性攻撃』で炎を纏わせた魔剣ドミナンスで斬り払い『武器受け』して『薙ぎ払い』、返す刀で斬り刻んでから『串刺し』にし『吸血』して『生命力を吸収』して殺す。
※アドリブ歓迎
※真の姿では銀髪となる
エドゥアルト・ルーデル
あーあ邪神出ちゃったよアカ共め…
教義的には神を否定してんのに邪神を呼び出すんじゃあないスカタン!
アカなんぞとっとと始末したいが…今乗ってる爆撃機に有効な【性質を持った人類】…対空砲か、面倒だな!
道中は【操縦】テクでなんとか避けつつ接近ですぞ!要は邪神の直上まで機体が持てばいいんだ
真上に着いたらキャノピーを開け急降下開始!降下中に手ずから爆弾を投げつけてプレゼントだ!この【超大型爆弾】をな!5t以上はあるかな…
相当な火薬量だからな…生み出した新人類と周辺の地形ごと【吹き飛ばし】て更地にしてくれると思うでござるよ!
アカを討伐して機体が無事なら曲芸飛行の一つでもしたいですな!
アドリブ連携歓迎
四季乃・瑠璃
緋瑪「そうだね…赤は好きだよ。敵を赤く染めるのがわたし(緋瑪)だからね」
瑠璃「私達は二人で一人の殺人姫。対象は貴方達も…そして、神も例外じゃない」
「「さぁ、私達の殺戮を始めよう」」
UCの効果で分身&能力、武装強化
二人掛かりで左右から【範囲攻撃、鎧砕き、鎧無視、早業】の大量の接触式ボムで飽和爆撃。
更に瑠璃が敵と敵の新人類を接触式と時限式による連続爆破で絶えず吹き飛ばし、敵の動きを封じつつ攻撃。
緋瑪が大鎌の機巧を利用した【早業、残像、ダッシュ】高速斬撃で切り込み、ヒット&アウェイで仕留める。
最後は切り札、二人の魔力チャージした【力溜め、範囲攻撃】ジェノサイドノヴァで一気に吹き飛ばすよ
アドリブ等歓迎
アイリス・ブラックバーン
「……おぞましい姿ね…吐き気がする…。私は、貴方のこと…嫌いよ…。生まれてきたこと、後悔させてあげる…」
『光学迷彩装置』を起動させ【目立たない】よう【迷彩】を纏う
【ダッシュ】で移動しながら敵に攻撃、弱点を探る
必要があれば『グラップリングガン』で高所へ【ジャンプ】して攻撃
弱点を見つければそこへ持てる全火力を叩き込む
「……アヤメ、少し、力を借りるわ…」
弱点や有効な攻撃が見つからなかった場合、UC〈人格交代〉を使用
冷静冷徹、機械的に相手の命を奪う殺人格の【封印を解く】
『光学迷彩装置』を解き、敵の正面から戦いを挑む
【怪力】を活かした接近戦で敵に【恐怖を与える】ような野蛮で暴力的な攻撃を仕掛ける
ミスティ・ミッドナイト
変わった神をご信仰されていたようですね。
胎児のような見た目…放って置くと成長するのでしょうか。
【戦闘知識】を活かし、ショットガンで応戦。
巨大な目を狙い【目潰し】を試みるのも良いでしょう。
無垢な子供…のような人類が召喚されるでしょうが、問題ありません。
所詮はまがい物。
形状によっては、もはや人類と呼べるのか怪しいですが。
邪魔立てするというのならば悪。容赦などとうに捨て置きました。
隙を見てグレネードランチャーで榴弾を叩き込みます。
壁の向こうが異次元に繋がっているというのなら、その壁ごと粉砕して差し上げます。
ビルの再建に関わる職員の方は気の毒ですが…敵はオブリビオン。
一変の塵も残してはおけません。
●
「あーあ邪神出ちゃったよアカ共め……教義的には神を否定しなさいよアカならさ」
上空を旋回する爆撃機のコックピットキャノピー越しに戦場を俯瞰するエドゥアルトは、ビルから産まれ落ちた巨大な半透明の胎児のあまりにも不気味な姿に悪態をつく。
「まったくスカタンどもめ気色の悪いの呼び出しやがって、アカ諸共とっとと始末したいが……」
搭載した必殺の一撃、それを今すぐにでも叩きつけたいがその有効射程に飛び込むのは今はまだ難しい。何故ならば、地上に展開する信者兵――いや、もはやヒトを逸脱し、あの邪神より生み出されるそれはおなじ人類の括りでは表せまい。新人類とでも言うべきその不定のヒトガタは、ぼこぼこと身体を波打たせ膨らませ、首から上をパラボラアンテナに、両の肩から先をガトリング砲と連装対空ミサイルランチャーに変じて天を見上げる。
アンテナと化し、顔など名残すら残っていない対空型新人類が数体視線を向ければ、エドゥアルトはこの上ない危険に思わず笑みすら零す。
「ちょっと時代進みすぎじゃねぇか……? 対空砲どころか複合CIWSかよ、面倒だな!」
羽虫の唸りのように空気を細かく振動させ吐き出される弾丸の嵐と、その中を白煙を曳いて飛来するミサイルを、鈍重なレシプロ爆撃機を操り技量だけで回避するエドゥアルト。
「ちっ、アイツらちっと減らして貰わんとさすがの拙者でも接近戦はヤベーでござるな!」
今近づくのは自殺以外の何者でもない。ならば地上で戦う猟兵たちの奮闘があの対空型新人類を減らすその時まで、燃料の消費を抑え、被弾を避けつつ飛び続けるのが己の戦いだとエドゥアルトは操縦桿を握る手に力を込めた。
「あれが……邪神……!」
まるで不可視の巨大な手に押しつぶされるような、その上で潰れるか潰れないかの絶妙な力加減で頭蓋を圧迫されるような不快感。不気味な赤子の放つ狂気は、凄まじいプレッシャーとなってアイにのしかかる。
それを唇を噛み締めた痛みで抑え込み、口内に広がる鉄の味で正気を保って彼女は全力を尽くす。
さしものUDCエージェント部隊も、神格級のUDCと至近距離で遭遇しては戦力としては数えられまい。そも専用の装備を持ち込んでいない彼らが邪神に如何程のダメージを与えられるものだろうか。
故に、この場にあってあの邪神を打破しうるのは自分たち猟兵のみだと理解するアイは、最初から全力を尽くす。
「出し惜しみは無しです! 万能コンピューターにログイン、演算能力を全開放……敵の行動可能性をすべて追跡、片端から封じ込めます……!」
まずは邪神へ斬り込むための道を開く。アイの放った炎弾が進路を塞ぐ不定の兵士達に突き刺さり、その身を――
「そんなっ、私の攻撃が……!」
燃やし尽くすはずの一撃が、分厚い氷の壁に阻まれる。演算された可能性にはない、それでいてこちらの攻撃を正確にブロックしてくる氷の護り。それを操っているのは、幼子が油粘土をこねて作ったような小柄なヒトガタ。スカートのように見える腰回りに長い髪を模した造形は、判別し難いが操る術からしてアイの模倣なのだろう。
見た目は不格好でも能力は同等。そんな相手と対峙し、アイは放った側から対処される炎の攻撃をばらまきながら次の手を考える。
あの新人類《AI》がアイと同等の性能を持つとして、あれを圧倒するにはどうすればよいか。
演算能力は互角。放つ攻撃も同等。ならば、自分以外の要因が必要だ。――アイの脳裏に、焼け焦げた一つの機械の姿が浮かぶ。
「……奥の手を使うしかありません! 時間稼ぎをお願いします!」
『あなたは』『赤』『好きですか』
巨大な赤子を守るように空へと火線が伸び、さらにその火線を放つ対空型新人類を守るように立ちふさがる、不定の新人類たちが問う。
「そうだね……赤は好きだよ、敵を赤く染めるのがわたしだからね」
「私達は二人で一人の殺人姫。貴方たちも、そして神だって例外なく殺してあげる」
「「さあ、私達の殺戮を始めよう」」
二人で声を合わせ、楽しげに笑う緋瑪と瑠璃。二人が左右に跳び、手榴弾を不定の新人類の群れに放り込む。
揺らめく身体にこつりとぶつかったそれが炸裂すれば、いびつな円形に敵の陣容がえぐり取られる。
際限なく呼び出される新人類を一体一体相手にする時間も戦力の余裕も無い以上、面制圧で数を減らす――殺しを楽しむ二人であっても、殺しに殺されるほどに溺れてはいない。その冷静さが、じわじわと新人類どもを減らしていく。
あるいは敵にぶつからなかった物もあるが、組み込まれた時限信管が爆発で空いた陣形の穴を埋めようと動く新人類の機先を制するように爆ぜ、目に見えてその展開速度が弱まった。
「もう少し減らしたら行くよ瑠璃!」
「わかった、合わせるね緋瑪」
行ける。二人がそう確信した時、不定の新人類がまた一つ新たなカタチを得る。
小柄な、子供のような姿のそれがどろりと胴体を溶かし、放り込まれた手榴弾を腹に飲み込む。その体内で爆発した手榴弾は、内側からの強力な爆発でその小さな新人類の上半身を跡形もなく吹き飛ばし、肉片と言うにはあまりに細かい残骸を周囲の新人類に吹き掛けるが、その殺傷力は大きく減じていた。
投げ込んだ側から手榴弾を喰らい、一体の犠牲で爆発を相殺する新人類の登場に、面制圧の手段を失った二人の殲滅速度が目に見えて低下する。
「瑠璃! これはちょっと……」
仕込んだ炸薬の反動で巨大な鎌を振るい、その慣性に乗って敵を刈りながら舞う緋瑪の頬を汗が伝う。
「まずいかもしれないね」
駄目でもともと、手榴弾を投げながら拳銃の片手撃ちで迫る新人類の額を射抜きながら後退する瑠璃が苦い顔をする。
敵の対応がここまで早いとは思わなかった。もう少し減らせる算段だったために分散したが、今となっては必殺の切り札を放つために合流する必要がある。だが、その為に立ちふさがる新人類の壁は想像以上に分厚い。
大鎌の刃を受け流す、硬く滑らかで突起の無い流線型の新人類が現れた。
拳銃弾を受ける急所、頭を首に深く沈めた首なしの新人類が現れた。
通常攻撃にすら耐性を身に着けつつある新人類を前に、二人の侵攻速度がさらに落ちる。
「いえ、まだ抵抗の目は潰えてはいません」
流線型新人類の頭が消し飛び、首なし新人類の胴体が半分以上抉れて倒れる。
「邪魔立てするものは悪、悪にかける容赦などとうに捨て置きました。貴女たちもそうでしょう?」
フォアエンドを引き、新たな散弾をショットガンの薬室に送り込んでミスティが乱戦に突入していく。
左右から緋瑪と瑠璃、正面からミスティ。
既に対抗手段を学習された瑠璃たちに対応する新人類を、ミスティがショットガンで粉砕することで二人もまた勢いを取り戻す。
「善とか悪とかどうでもいいかな。こいつらは敵だから殺すだけだよ」
「そうそう、殺すと楽しいしね! 容赦は要らないっていうのは同意するよ!」
拳銃で射抜かれ、大鎌に刈り取られ、散弾に粉々に砕かれる新人類。
分厚い防御の壁を抜かれ、ついに瑠璃と緋瑪が合流する。
「よーし、ここから反撃開始!」
「うん、いくよ緋瑪。これが私達の……」
「全力!」「全壊……!」
瓜二つの二人の少女が、一つの拳銃を握る手を重ねる。
一人だった二人が、二人になった一人が、魔力を重ね溶け合わせる。銃口に収束する魔力は、二人の身体を加速器として循環することで一撃必殺の威力を――
その一撃は放たれずして敵を圧倒し、さしもの新人類、そして邪神も二人を脅威と認めた。
胎児の瞼のない眼球がギョロギョロと戦場を舐め回し、二人の少女を捉える。新人類たちが主の意思を受けて、二人に押し寄せる。
「やらせません。――改めて見ると変わった神をご信仰されているようですね。あれは放っておけば成長するのでしょうか」
あんなモノに育たれては困りますが、と目にも留まらぬ速さでショットガンを放つミスティが、殺到する新人類を単身で堰き止める。ミスティの善悪観を知ってか知らずか、子供のようなカタチのものも襲いかかってくるが、明らかに敵とわかっていて容姿に騙される彼女ではない。
装弾数のそう多くないポンプアクションショットガンだ、すぐに弾切れを起こすが、ミスティの蓄積された経験と磨き上げた技量が撃った側から一発ずつ弾込めを行うことで絶え間ない射撃を実現する。
散弾で敵兵を押し返し、押し返し、押し返して、ミスティは気づく。
あの胎児の視線を追うように、敵が迂回や突破を試みているのではないか。
散弾と重いスラグ弾を掴み、まず散弾で敵兵を吹き飛ばしてからスラグを込める。
分裂しない巨大な弾丸は大型目標にはよく効くだろう。ましてや敵はどう見ても柔らかな軟目標。
「試す価値はありそうですね、この狙いが的外れでないと良いのですが」
トリガーが絞られ、放たれた弾丸が赤い目玉を撃ち抜いた。
『――――――!!!!!!』
赤子の泣く声。潰れた片目から赤く粘ついた汁を撒き散らして邪神が悶える。
『おお』『神よ』『神を』『許されない』『粛清を』
信奉する存在を傷つけられた新人類が、感情の見えない不定形の身体を波打たせて怒りを示す。
「もう遅いですよ」
手に手に武器を掲げて攻め入る彼らを冷ややかに見つめ、ミスティはつぶやいた。
もう遅い。背に守った二人の、そしてもうひとりの猟兵の「必殺の一撃」は成る。
異能を持たない、ただの熟達した才覚ある戦士である己の役割、時間稼ぎ、陽動――それを成し遂げ、ショットガンの代わりに取り出したグレネードランチャーで最後に神にもう一撃を加えて飛び退るミスティ。
その榴弾が爆発し、邪神の巨体がのたうち新人類たちの足並みが乱れたのと同時に、
「ジェノサイド――」「ノヴァ……!!」
瑠璃と緋瑪の拳銃から、焼け付くほどの魔力が迸る。無秩序な濁流として付近の新人類を跡形もなく消し飛ばしたそれは、瞬く間に細く細く収束していく。
傍目に見ればあまりの消費魔力に出力を維持できず、勢いを失っていくような。それでいてその実、実際に銃口から奔る魔力の量は発射時から僅かたりとも減退などしていない。
押し流し焼き払う拡散ビームが、触れたものすべてを貫き断ち切る高収束ビームへと変わっていくような攻撃が、新人類の群れを貫いていく。
有象無象を吹き飛ばしたそれは、空に弾幕を張る対空型新人類を両断し、そして邪神の傍に控える巨体の新人類に直撃する。
巨体が魔力ビームを受け仰け反るが、この僅かな攻撃の間に既に適応したそれは貫通を許さない。我が身を盾に邪神を護るそれを打ち倒すべく、援護に入ったミスティがグレネードで足元を崩すがそれはアンカーを撃ち込むように地面に根を張り一歩も退かない。
「なんて防御力なのでしょう……このままではお二人の砲撃が終わってしまいますね……」
「もう少し、もう少しでアイツも殺せるのに!」
「……この大技にも対応してくるなんて」
撃てども撃てども突破出来ず、巨躯の背後で潰れた眼球を再生していく邪神の姿に焦燥を覚える三人。
その後方から、さらなるビームが巨体新人類へと飛翔する。
「――重力レンズ生成、地球重力との微調整を継続、大気による減衰を計算……並行して電脳空間より荷電粒子主砲を展開、実体化構築……エネルギー充填87%、レンズによる収束で不足分は補填可能――撃ちますっ!!」
アイだ。
重力を歪め、物質を一点に収束する重力レンズを用いて不完全な砲撃を強引に収束させ、先日の宇宙での戦いで大型の機動兵器と白兵戦を繰り広げ大破した戦艦からサルベージした荷電粒子主砲の損傷による出力低下を補い、撃ち出す。
出力不足で通常時より細い荷電粒子ビームはレンズを通過することで更に細く圧縮され、氷壁を融解貫通し前線で戦う三人の頭上を飛び越え、巨体新人類に突き刺さる。
二条の性質の異なる高出力ビームを浴びた巨体新人類は、もはやそれを耐える術を持たない。
ビームの圧力に根を張った脚がみしみしと悲鳴を上げ、ミスティの砲撃がそれを砕く。
よろめく巨体新人類を、ついにビームが貫通した。そのまま二本のビームは邪神へと直撃し、異形の赤子が断末魔めいた悲鳴を上げて地に堕ちる。
「やりましたっ! 直撃確認です!」
アイの喝采が、
「ふー、なんとかなったね、瑠璃!」
「もう疲れたよ、緋瑪」
瑠璃と緋瑪の溜息が、
「――――いえ、この嫌な感覚は」
眉根を寄せるミスティのつぶやきが、
天をも震わす赤子の泣き声に掻き消される。
地に横たわる巨大な胎児。透き通るような半透明越しに見える、赤々とした心臓が、血管が、目まぐるしくそのカタチを変えていく。
それは次第に、胎児より整ったヒトガタへと至りてその半透明の胎児の殻を突き破って再誕する。
二本の脚で地を踏みしめ、短い腕を前に突き出し、巨大な頭を揺らして昏い空洞の眼窩で足元に群れる猟兵と、精神への重圧に必死に堪えるUDCエージェント隊を見下ろすのは、ビルにも匹敵する体躯の乳児。
不気味な乳白色の肌に赤い血管を浮き出させて、乳児へと進化した赤子が歩み出る。
「……おぞましい姿ね。吐き気がする……私は、あなたのこと……嫌いよ。生まれてきたこと、後悔させてあげる……」
誰もが嫌悪感を隠せず、果てにはあまりの不気味な姿に嘔吐するエージェントまでいる中で、アイリスはその忌々しい姿を否定することで受け入れる。
あれは赤子などではない。そういうカタチのバケモノなのだと、光学迷彩で身を隠したアイリスは納得する。ゆっくりと前進を開始した赤子は、自分を納得さえさせられれば怪獣と何ら変わりない。
グラップリングガンで手頃なビルの屋上へと飛び上がり、そこから更に背の高いビルへと飛び移って赤子を見下ろし観察するアイリスは、光学迷彩で姿を消してなおその赤子と目が合ったような感覚を覚える。
顔面に存在しなかった眼球は、ぎょろりと後頭部で辺りをしきりに見回していた。
一つやふたつではない、大小合わせて無数の眼球がグロテスクにうごめくその様に息を飲む彼女を、幾つかの目玉がたしかに捉えたように感じたのだ。
「…………見られた、わけじゃない。……と思いたいのに、そう思えないわね……」
透明化した自分を目視できるはずはない、という自信と、でももしあの眼球が光学的な視覚以外の――たとえば熱感知や、たとえばX線のような視覚を持ち得ていたら? という慎重論がせめぎ合う。
今はまだ賭ける時でないと判断したアイリスは、赤子に並走するようにビルの屋上を飛び渡る。
『――あか』『すき?』
地上では後退を重ねる猟兵とUDCエージェント隊を赤子が追い回している。赤子の足は鈍足だが、巨体は追いつかれただけで死を意味する。何度も掴みかかるそのぶにぶにと肉のついた手は、生き残った新人類を掴んでは握りつぶし、既に彼らの赤い体液に染まっていた。
「…………見たり」
後退が重なれば、封鎖線の外へまで進出を許してしまう。せめて猟兵は撤退させ、さらなる増援を以てこれを封じ込めねば。
UDCエージェント隊の隊長が、情けないほどに膝を震わせながら覚悟を決めたその時、事態は動く。
「対空陣地がなくなったんなら制空権はこっちのモンですぞー!」
対空型新人類の弾幕に追い回され、旋回していた爆撃機が舞い戻る。
如何に赤子が巨大とはいえ、空を飛ぶ爆撃機を叩き落とす程ではなく、また胎児形態で猟兵たちの攻撃により受けたダメージ故に進化が不完全だった赤子は、遠隔攻撃の手段を持ち得ていない。
偶然の幸運だった。もし仮に、ダメージが不完全であったならば。あるいは猟兵たちの砲撃が、防御を削り取った上でのトドメではなく、はじめからそれを主としたことで赤子に学習の余地を与えていたならば、赤子はきっと爆撃機を撃ち落とすだけの砲撃を身に着けていただろう。
だが、今現実にそうはなっていない。故に、エドゥアルトの爆撃機はこの戦場で王者となる。
「ハッピーバースデイ! トゥー赤ちゃん! 拙者から手ずからバースデープレゼントだ!」
キャノピーを解放し、急降下爆撃に入る爆撃機。正気ではない行動に、尋常でない風圧とGがエドゥアルトの肉体を殴りつける。
知ったことか。
「この超大型爆弾をくれてやるよ。"でっかいガキに育て"ってな!」
どこから取り出したのか、巨大な爆弾を直接その手から投げつけるエドゥアルト。"のっぽの少年"の名を冠する重量級の爆弾が、赤子を頭上から殴りつけ、爆裂する。
頭部を爆炎に包まれた赤子がじたばたと手を振り回すその隙間をすり抜け、両翼をゆらゆらと揺らして爆撃成功を地上部隊にアピールする爆撃機。
「いーやっほォーゥ! やっぱりアカにはトップアタックに限るぜ!!」
その歓声が掻き消えぬうちに、頭を焦がす赤子に激突するものがある。
「見たり。見たり、見たり。汝の破滅を見たり。此処に築くは白き巨躯、破滅を蒐集し成長せり」
黒鉄の、戦車の如き機体から放たれていたその声は、今別のモノから発せられている。
「集めし破滅が合わさりて、真の破滅を齎さん。希望を捨てて天を仰げば、穏やかなる破滅が訪れよう」
黒鉄は白銀に。
無骨な、かろうじてヒトガタに見えなくも無かった巨躯は殆ど完全な人型に。
破滅を蓄積したコンテナユニットは、まるで蜂の巣のような、蜘蛛の腹のようないびつな球体となってその背中に。
「此処が汝の破滅なり」
破滅ロボと仲間たちに親しまれていたビードットの真の姿。白い異形の赤子に激突し、拮抗する巨大な銀の巨人。
赤子の空洞の眼窩が見開かれ、ビードットの空洞の顔面を覗き込む。そこは破滅の入り口だ。
「我こそは星を飲み込み世界を蝕み破滅を齎す招来者。我の行う全てが汝を破滅へ誘わん」
ビードットの細腕が赤子のでっぷりとした腕と組み合い、押し合う。
足元では新人類が次々と生まれては、二体の"カミ"によって踏み潰され、彼らの白い脚を赤々と染め上げていく。
ビードットが腕に力を込めれば、赤子の手が潰れ赤い体液が降り注ぐ。
組み合った手が離れたことでわずかに後ろに身を引き、勢いを乗せて体当たりをすれば赤子は後ろへたたらを踏み尻餅をつく。
その倒れた身体を踏みつけたビードットの脚を、赤子が潰れた手で掴んで引き倒す。
巨体同士の格闘戦は、攻撃力に長けるビードットが圧倒しているようで、しかし赤子の再生速度も尋常ではなく最終的なダメージの蓄積は遅々として進まない。
だが、その一方的に見える均衡を崩す者がいる。
機を伺っていたアイリスだ。
「弱点らしい弱点は……見当たらない……なら、精神的に……やるしかないわね……」
目を閉じ、己の魂の内に潜むもうひとりに呼びかける。
「……Now, let's get started.……アヤメ、少し、力を借りるわ……」
目を開いたアイリスの表情は、それまでも穏やかさを残してはいない。どこまでも冷酷に成すべきことを成し殺すべきを殺す、その信念を宿した表情だ。
アヤメ・ブラックバーン。アイリスに宿るもうひとりが封印を解かれ、目覚める。
「仕方ないわね。心を折って殺す、そういう仕事ならアイリスより私のほうが向いてるだろうし」
光学迷彩を解き、グラップリングガンのワイヤーを手繰ってビルから飛び降りるアヤメ。
ビードットと激突する赤子の首筋に降り立てば、後頭部をみっしりと埋め尽くす無数の眼球が、その紅い虹彩が肩に乗ったアヤメを凝視する。
その目玉と視線が合ったその瞬間、アヤメは無感動に一番手近な目玉を殴り潰した。
怪力の拳による打撃。ヒトはより身近な凶器であれば、痛みを想像しやすいがためにより大きな恐怖を得るという。
神の類がどうかは知らないが、産まれ落ちたその時よりヒトの持つ凶器、拳ならばその痛みも恐怖も容易に想像しうる。
「だから潰すわ。片端から。それだけ沢山目玉を持っているんだもの、少しくらいならなんてことはないでしょう?」
故に恐怖を覚えるまで潰す。必要ならば全ての目玉を。
拳を大小様々な眼球に突き立て、溢れ出た体液にその身を染め上げながら、アヤメが猛攻を加える。
その痛みと"恐怖"に頭を振って抵抗し、よろめいた赤子にビードットが襲いかかる。
「破滅の前には人も思想も神であろうと関係あらず、皆に等しく破滅は訪れよう」
後退する赤子に急速に近づいた白銀の巨人、その鋭い鉤爪の指先が赤子の胸を貫いた。
「今まで齎したであろう破滅の数々、それを掲げて逝くがよい」
ずぼり、引き抜かれた心臓をビードットが投げ捨てる。
生命の証をもぎ取られた赤子の神は腕が引き抜かれた瞬間びくりと痙攣したきり、動きを止めた。
アヤメがグラップリングガンを使い、地上に降りると同時に赤子の白い巨体は溶けるように光の粒となって天に上っていく。
「……やったわね、ビードット! みんな! ……まあ私の出番が無かったのは減点だけど、無事に勝ったし大迫力だったし文句なしね!!」
「うむうむ、見事だったぞ! クク、アーッハッハ! これにて一件落着だな!」
ビードットを支援しようと爆炎魔法を詠唱していたフィーナと、同じく魔剣を召喚していたイデアールが仲間たちの健闘を称賛しながら、投げられ至近まで転がってきた脈打つ巨大な心臓に視線を向ける。
「ほんと気持ち悪い敵だったわ!」
「全くだな、半端に人型をしているからなお不気味だった。いっその事触手とかならまだ楽しみようが…………おいフィーナ、まだだ!」
――心臓が脈打っている。
――めりめりと音を立てて、心筋が内側から引き裂かれていく。
「え?」
――そして、それは降臨する。
『あなたは 赤 好きですか?』
『色でも、性質でも、思想でも』
『私は赤。赤の王。赤き全てを統べるもの』
『あるいは神の血液、あるいは生命の色』
『あなたは 私を 好きですか?』
新人類や邪神の赤子などよりよほど完璧なヒトガタ。
それは男のようにも、女のようにも見えた。成熟した成人の体躯で、男にしてはやや背が低く、女にしてはやや背が高く見える。
声はノイズ掛かったように男女が入り混じりながらも、その割合は均等でなく聞くものによっては男のようにも女のようにも聞こえる。
赤の王。邪なる神。信者兵たちが呼び起こしたかった"ツァーリ"の姿。
なるほど、その威圧感は信徒を導く皇帝と言われればそうなのだろう。
だが、それは決定的にヒトとは異なる。肌はなく、肉はなく、骨もなく。内臓は無く、脳すら有り得ない。
その身の全ては純粋なる血液。流動する血液のヒトガタが、赤子の心臓から這い出しフィーナを襲う。
辺り一面に流れる新人類の、赤子の、信者兵たちの血を巻き上げ、長大な槍と化してフィーナの胸を貫いた。
「フィーナッ! 貴様ぁ……!」
イデアールが吼える。だが、赤子の迎撃に全力を使い果たした猟兵たちには降臨した赤の王を討つ余力は殆ど残っていない。
『私は 赤が好きです。流れる血はなんとも美しい。生命を感じる姿は何物にも代え難い』
どさり、崩れ落ちるフィーナを置き去りに、周囲に血液を漂わせる赤の王が顔のない顔で微笑む。
「はっ……これはこれは、この期に及んで赤を統べる邪神の本体がお出ましとはな。ならば私も本気を出さねばなるまい、紅き吸血鬼の本気を!」
倒れたフィーナに駆け寄りたい気持ちは無いではないが、それを許す赤の王とは思えない。ならば何よりもまず、この邪神を無力化せねば。
イデアールはその身に宿る力を解き放つ。即ち魔剣の女帝。つややかな黒髪はきらめく銀に、身に纏う衣服は肌を大胆に曝け出した申し訳程度の鎧に。
扇情的ながら凄まじいプレッシャーを放つその姿は、きっと有象無象のオブリビオンであれば対峙するだけで掻き消えてしまうだろう。
だが相手は神、そのプレッシャーの中でも泰然と立ち、立ちふさがるイデアールに問う。
『貴女は赤、好きですか?』
「好きだとも、私の色だからなァ!」
お前の色ではない。裂帛の気迫とともに、イデアールが腕を振るえばその後背に魔法陣が展開し、召喚された魔剣が切先を赤の王へと突きつける。
「魔と剣を統べる私に小細工など無用!」
『ならば私も小細工無しでお相手しましょう。赤を愛する貴女に応えるためにも』
雲霞の如き物量で放たれた魔剣。誰もが針鼠のように串刺しになる赤の王を予見する圧倒的な弾幕の前に、赤の王はただ血の刃を一振り振るうのみ。それだけで魔剣は速度を失い吹き散らされる。
「ふん、腐っても神のようだな! だがッ!」
本命の魔剣はイデアール自身の手の中にある。炎を纏った魔剣ドミナンスが、赤の王の血剣と激しくぶつかりあう。
鉄臭く血腥い臭いが立ち込める中で、イデアールは自身の技量に互角で匹敵する赤の王に驚嘆し、だが勝機の兆しを掴みつつあった。
『ヒトにしては優れた遣い手のようですが、だからこそ惜しい。貴女も新人類に進化できれば、新たな秩序世界に――』
「クク……無駄口を叩いている暇があるならば後ろに気をつけるんだなッ!」
笑い声が聞こえる。
イデアールのものではない。自信に満ち満ちた傲岸不遜な笑い声ではない。
赤の王のものではない。余裕に溢れる、神の驕り高ぶる笑い声ではない。
猟兵たちのものではない。この状況でこうも楽しそうに笑うものはいない。
UDCエージェントのものではない。真なる神を前に、彼らはもはや正気を保つだけで限界だ。
新人類のものではない。もはや彼らは壊滅し、動くものはありはしない。
――ならば誰が。
「んふふふふ……殺しそこねるなんて迂闊ね、神といっても白痴無能の神なのかしら。ああ、邪神だものそっちのほうが正解よね」
ゆらりと身を起こす少女がひとり。胸から背中まで貫かれた傷口、そこからボトボトと紅い血を滴らせ、彼女は立ち上がる。
滴る血が赤の王のそれのごとく、ひとりでに浮き上がりカタチを成していく。
背の傷口から流れるものは大きな蝙蝠の翼を。
腕を伝って落ちるものは、何よりも魔力を繰ることに優れた杖へと。
俯く彼女が顔を上げれば、それだけで凍りつくような殺意が吹き荒れる。
「――寝坊だぞ、フィーナ!」
友の復活に口角を釣り上げるイデアールは、剣戟を繰り広げる赤の王の肩越しに呼びかける。
「うっさいわねイデアール。ちょっと不覚をとって貧血気味なだけよ……さあて、目も覚めたし行くわよ!」
目覚めた血の捕食者、吸血鬼フィーナは背後から赤の王に襲いかかる。
広げた翼から分離し、赤の王を貫く血の弾丸。同じ血液にありながら、それは赤の王を構成する血液を喰らい穢していく。
『……吸血鬼、まさか本当に存在していようとは。貴女たちは正しく私の天敵でしょう』
けれど
『――故に、私の願う新秩序世界に貴女たちは不要』
渾身の一撃でイデアールを吹き飛ばし、返す刀で振り返りその身から切り離した血液で盾を作る赤の王。
その防御に血弾は防がれ、傷口から無尽蔵に流れ落ち供給される弾は盾を侵食するが赤の王本体には届かない。
「あっははははははは! なにそれ、そんなカタチになるの? 槍に剣に盾に……面白いわね!」
「笑っている場合かフィーナ! お前の血も無限では無いだろう、長期戦はナシだぞ!」
ああそっか、とフィーナは頷く。イデアールの言う通り、血を武器とする以上あまり長くは戦えない。攻撃に夢中で貧血を起こす、まして失血死など笑い話にもならない。
「ならこれで決めるわよ! ――いただきまぁす」
短期決戦に切り替えたフィーナが盾に飛びかかり、自らの血が混じった邪神の血液に喰らいついた。
失った血が身体に戻り、神の血すらも取り込んでその四肢に活力がみなぎっていく。
『文字通りの吸血鬼というわけですか』
盾が消え、その奥から"手数"を増やした赤の王の血剣が振り下ろされる。
フィーナの四肢が飛び、しかしすぐさま吸い取った邪神の血を糧に再生するそれが赤の王を捕らえ、頭を無理やり押しのけ首筋を開かせる。
「いつもと違って……いやいつもどおり無茶で無謀で乱暴だな、お前は!!」
それに呼応するようにイデアールが、やはり差し向けられた赤の王の血剣を切り払って懐に飛び込む。
牙が首筋に、刃が心臓に。
正面から組み付く喰らいつくフィーナと、背後から剣を突き立てるイデアールの致命の一撃、血液を依り代とする邪神を殺す、吸血鬼の一撃が突き刺さった。
『く、ォ…………!』
吸いつくされる。邪神の権能、血液をカミ足らしめる力が、ただの液体を生命へと至らせる力が吸血鬼に喰らわれていく。
赤の王の継ぎ足された腕が溶け落ち、一頭二腕二足のヒトガタへと回帰した。
その首と片腕をフィーナが、掴んだその手で引き千切る。
そのもう片腕と腰をイデアールが、心臓から引き抜いた魔剣で切り落とす。
カミは地に墜ち、物言わぬ液体へと還っていく。そうして、二度とうごかない。
「あはははははは! ざまぁみろお!!」
「フッ……今度こそ我々の勝利だ! 神は死んだッ!」
地に染み付く紅い痕跡を踏みつけ嗤うフィーナと、髪をかきあげ勝利を高らかに宣言するイデアール。
邪神カルトによるUDC組織へのテロ行為は、彼らの望んだものとは異なるカミを呼び起こした。
思想も理念も無く、ただ歪んだ本能で世界すら脅かしかねないそのカミを討ち滅ぼした猟兵たちは、その勝利に歓声を上げる。
「とはいえ、些か荒らしすぎましたね。この辺りの修復や情報統制に関わる職員の方は気の毒ですが……相手は危険なオブリビオンでした。逃がすわけには行かなかったというのも加味してご理解頂けるといいのですが」
皆が勝利に沸く中、今後の復興を憂うミスティ。
教団の信者兵が派手に重火器を撃ちまくり、猟兵も負けじと爆撃や爆破を行い、挙げ句ミサイルが飛び交い巨人同士が激突した町並みはまるで廃墟のようだ。
「問題なかろう。人は破滅より立ち上がる物なり。真なる滅び、我が齎す破滅まで、彼らは如何なる破滅からも立ち上がらん」
いつの間にか元の多脚戦車形態に戻っていたビードットが応える。
そう、人は立ち上がれる。仮にこれほどの強力な邪神が大挙して現れ、たとえ世界が滅びかけたとしても、きっと。
現に我に返ってすぐさま復興や情報統制を行う支援部署に連絡を取り始めるエージェントたち、彼らの慌ただしく駆け回る姿を見て、猟兵たちは頷いた。
今のこの世界は、たとえどんな過去が襲いかかってきたとしても決して負けはしない。
今に生きる人々と、猟兵たちが居る限り――
大成功
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