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お兄ちゃんたちは妹のためにビルを占拠しました

#ヒーローズアース

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#ヒーローズアース


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●重大事件だ
 目が眩むような、摩天楼。
 通りを歩く多くの人々を見下ろすようにそびえ立つその高層ビルは、しかし今、逆に道行く者たちから憂いの視線で見上げられていた。
 その原因は――ビルを囲む警官隊の存在である。
 パトカーと武装した警官が出入り口を固め、上空をヘリコプターが周回するさまは実に物々しい。いったい何があったのかと人々は立ち止まり、野次馬の数はどんどん増えてきている。
「人質を解放し、おとなしく投降するんだ。今なら遅くはない!」
「何を言おうが無駄だ! 誰も俺たちを止めることはできない!」
 対策本部にて対応にあたる交渉人を、電話口で怒鳴りつける男の声は荒々しい。
 ビルは複数名の者たちに占拠されている状態だった。おまけに中にいた一般人たちが人質にされており、突入するにも慎重を期さねばならない警官隊はビルを包囲して根気強く対応にあたっているというわけである。
 電話の通話口を抑えた交渉人は、隣に立つ男――ヒーローを一瞥した。
「聞く耳なし、だな……」
「俺にも聞こえましたよ。厄介ですね。ただの犯罪者が相手なら俺の能力で制圧できますが、相手がヴィランとなると……」
 頭を悩ませる2人。
 そう、立てこもり犯たちはヴィランだった。何人かビルの中から逃げ出してこれた者たちが、男たちがユーベルコードを扱うところを目撃していたのだ。
 そして、その情報を裏付ける男がもう1人いる。
「ドニ―。奴らがヴィランであることは間違いないんだな?」
「ああ。依頼の一環で調査していたんだが、確実だ」
 ドニ―と呼ばれた男が首を縦に振る。警官上がりの老齢の探偵は、帽子の下で鷹のように鋭い眼光を覗かせている。
「まさかこんなに早く事を起こすとは思わなかったがな……すまん」
「いいさ、気にするな。ドニ―」
 交渉人が静かに首を振り、置いていた電話の受話口を見やる。
 やかましく喚く犯人の声が、重々しい対策本部に小さく響き渡る。

『我らが聖書『My妹(まいまい)らぶりー』を休刊した罪は断じて許されない! 刊行を続けることが確約されない限り! 我々は人質を解放しない! 絶対に、絶対にだぁぁ!!!』

 交渉人が、ゆっくりとドニーに目線を戻した。
「こんなん予想できるわけないやん……」
「まさか『まいらぶ』の休刊がこれほどの事態になるとは思わなかったぜ」
 HAHAHA、と大笑いする一同。
 もちろん、ただ事じゃねえ状況なのですぐ真顔に戻った。

●お兄ちゃんを捕まえよう
 ヒーローズアースでの事件をありのまま伝えたプルート・アイスマインドは、仮面の無表情をすっと猟兵たちに向けた。
「というわけでビルで人質事件だ」
 明らかにそっちではないだろう、と思う一同。
 確かにビルで人質事件だけど明らかに大事なのはそっちではなかった。
「まあ言わんとするところはわかる。だがこの妹萌えのヴィランたちの裏には、どうやらオブリビオンがいるらしいのだ。オブリビオンが関与しているならば、猟兵に出向いてもらうしかない」
 そう告げるプルートだが、予知できたのは『オブリビオンが裏にいる』ということまでで、その所在までは掴めていないようだった。
 だからビルを占拠しているヴィランたちを捕らえ、情報を得る必要がある。
「そういうことでな、まずは人質事件の解決を頼む。わかっているとは思うが、ヴィランはヒーローに転じる可能性もある存在だ。決して殺さないようにしてくれ」
 猟兵たちへ念のために釘を刺すと、プルートは現場の詳細を語りだす。
「ヴィランたちが占拠しているのはビルの20階。『My妹らぶりー』を刊行していた編集部がそこにあり、編集者等が20人ほど人質になっている」
 聞けば聞くほど力が抜ける誌名である。
 いわく、全国のお兄ちゃんのための妹マンガ専門誌だったらしい。
 休刊したのも納得だった。
「ビルを占拠しているお兄ちゃんは10人。2名ほどの人質の見張り役以外は、暇を持て余してビル内をうろうろしているようだな。一所にいてくれれば楽だったが……まあおまえたちならば、どうとでもできる相手だろう。さくっと制圧してきてくれ」
 本番はそのあとなのだからな、と付け加えるプルート。
 その手にはもうグリモアが輝いていた。
「人々を救い、オブリビオンの殲滅を頼んだぞ。猟兵たちよ」


星垣えん
 フラグメントの導きのせいなんだ。
 というわけでフラグメントには逆らえない星垣えんです。

 1章は、やらかしたお兄ちゃんズの成敗。
 2章は、お兄ちゃんズを惑わした存在との集団戦。
 3章は、普通に強いお兄ちゃんとのボス戦。

 って構成になっとります。
 だいたいネタなんだ、すまない。

 それでは、皆さんのプレイングお待ちしております!
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第1章 冒険 『デンジャラス・ハード!』

POW   :    ビルの外壁をよじ登ったり、通風孔を強引に通り抜ける。

SPD   :    階段やフロアを駆け回り、見つかる前に作業を終える。。

WIZ   :    パソコンやネットワークをハッキングし、システムを乗っ取り返す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マーリス・シェルスカナ
……。オットSorry、此処の連中のやらかした理由を聞いて呆れてマシタ。
妹というモノに惹かれる男共、これも神秘の一つなのでしょうカ…。
…Meはそんな神秘、知りたくないですケド。

(方針:WIZ)
とりあえず、防衛監視システムのシャットアウトは常套手段ネ。
事前にネットワークから妹系のPicture探して、電脳空間にセット
転移後、電波と電線繋げられる所カラ、Meの電脳空間から目的のビルの監視システムの特定とセキュリティ乗っ取り(情報収集+ハッキング)して、さっきセットした妹系のPictureだけ、映ってしまう様にするヨ。
こうすれば、此処にいる男共の防衛機能もマヒするんじゃないカシラ?


アイ・リスパー
「ビルの占拠ですか、厄介ですね……
それで、犯人の要求は?」

いつでもビルの制御系を乗っ取れるように電脳魔術でハッキングの準備をしつつ、
ちょっとグリモア猟兵さんの説明を理解するのを頭が拒否したので、現場のヒーローさんたちに確認しましょう。

「……まいらぶの休刊、ですか」

脳内に展開していたハッキングプログラムがバグって霧散していくのを感じます。

こ、こういうときは【チューリングの神託機械】による万能コンピューターで最適な解決法を演算です!

が、何度計算しても同じ答えが導かれます。

くっ、し、仕方ありませんっ!

「お、おにいちゃんたち、ビルを解放してくれると、アイ、嬉しいな♪」(幼く見えるコスプレで赤面しつつ)


ミフェット・マザーグース
げっかん マイマイらぶりー?
かたつむりさん・・・あ、ちがうんだ
いもうと、らぶりー、お兄ちゃん お兄ちゃん?

好きな本を、もっと書いて欲しい、という気持ち
ちょっとだけ分かる、かも
好きな絵本が終わっちゃうのはちょっとさびしいよね
まいまいらぶりー、お仕事が終わったら、ちょっとだけ読んでみよっと

【WIZ】
「クライミング」でビルの壁面からするっと中に侵入するよ
髪の毛の先をパソコンに挿して、ビルのシステムを「ハッキング」するね
ヴィランさんたちの裏のオブリビオンを探して「情報収集」しよっと

たぶんヴィランの人に命令してる人がいるんじゃないかな?

ミフェットは一人できたから、他の人とも連携がとれるように頑張るよ


ヘスティア・イクテュス
…これ、ビル下から発破解体したいんだけど良い?ダメ?残念ね


プチヘス部隊展開、じゃあヴィラン達を片っ端から捕らえにいきましょうか?
スモークミサイルを発射して視界を奪い
背の低いプチヘスが接近、確保よ

こんなことで立てこもりなんて馬鹿じゃないかしら?馬鹿じゃないかしら?
貴方に妹がいたとしてこんな事件起こしてどんな気分かしらねお・に・い・ち・ゃ・ん?
あら?こんな他人からも言われて嬉しいの?クズ兄ぃ?
度し難いド変態ね(踏みつけ)





『My妹らぶりー』これ廃刊でいいんじゃない?


パーム・アンテルシオ
ヒーローズアースの依頼…初めて当たるけど。
…ちょっと、気が抜けるような話だね…?
とはいえ、油断は禁物。だよね。

●POW
あんまり汚い所は、通りたくないんだけど…
そうも言ってられないし。
狐に変身して、通風孔を通り抜けるよ。

私に、大人を押さえる力は無いし。
機械を使って、みんなを助ける力もない。
だから…私ができるのは、時間稼ぎ。

九ツ不思議…妖狐。
魅了の霧で、相手の戦意を奪い取る。

いつまで効くかは、わからないから。
できる事は、全部するよ。

ねえ、お兄さん達。
あなた達は…私みたいな女の子は、嫌い?
あなた達が望むなら…今日は。あなた達の妹になっても、いいよ。
でも…ふふふ。悪いことは、無し。ね?

【アドリブ歓迎】


マーロン・サンダーバード
SPD

スピード勝負といこう、プランはこうだ

ビル内をうろつく奴らは
・太陽おじさんがカッコいいポーズと「太陽!」と高らかな声で注意を引き付ける
・俺が不意を打って制圧する
・太陽おじさんがお兄ちゃんズを拘束する

次に人質の見張りに対して
・一人にこう言う「お前のことを調べあげた。…リアル妹がいるな?」
・疑心暗鬼に陥ってるところを俺と太陽おじさんが制圧する
・上手くいったら二人で「「太陽!」」と健闘を称えあう
以上、だ
太陽の力で導き出した作戦だ、きっと上手くいくさ

本当のことを言えばだ
妹萌えはわからなくもないんだ
けど俺もういい歳だからさ
この雑誌に載ってる子だともう「おじさん」呼びのがグっときちまうんだ
すまねえな…



●電脳世界を駆け抜けて
 対策本部。
 アイ・リスパーは現地の者たちと真剣に話しこんでいた。
「ビルの占拠ですか、厄介ですね……それで、犯人の要求は?」
 ちらりとヒーローの顔を見やるアイ。
 事態がアレすぎて頭が理解を拒否していたので、現地で確実な情報を得ようと思った。
 もちろん答えを待つ間も猟兵の責務は忘れない。片手間でハッキングプログラムを組み上げ、ヴィランの制圧準備はしっかり整えていた。
 だがしかし。
「……まいらぶの休刊、ですか」
「ああ。まいらぶの休刊だ」
 もたらされた残酷な現実により、アイの脳からハッキングプログラムが砂のように消失。
 ついでにそのままアイ自身もフリーズ。
 揺すってみても微動だにしないので、ドニーたちはアイと一緒に来ていたマーリス・シェルスカナに耳打ちした。
「おい、あの子は大丈夫なのか?」
「……。オットSorry、此処の連中のやらかした理由を聞いて呆れてマシタ」
 ぼーっと虚空を見ていたマーリスが、ハッと我に返る。
 こっちもフリーズしとった。
「妹というモノに惹かれる男共、これも神秘の一つなのでしょうカ……Meはそんな神秘、知りたくないですケド」
 ぶつぶつと呟いて精神を整えたマーリスは、アイを引きずって本部から出て行った。

「それでは始めますカ。とりあえず、防衛監視システムのシャットアウトは常套手段ネ」
 占拠されたビルから近いビルの最上階に立ったマーリスは瞑目し、ヴィラン制圧に着手する。ビルとビルの間に遮蔽物はなく、電波状況は良好。電脳魔術に熟達する彼女ならビルのセキュリティを掌握することは容易だった。
 内部の状況を即座に把握。ヴィランたちは全員、端末を通してビルの監視システムをチェックしているようだった。
 つまり侵入者があればすぐに全員が気づけるというわけだ。
 だがそれは、彼らの視線が一所に集まっているとも言える。
 マーリスは監視システムを操作し、予め用意していた必殺の魔法を彼らの端末に送りこんだ。
「ん……こ、これは!?」
「いったいどうなっている……!?」
 ひどく狼狽するお兄ちゃんズ。
 彼らの端末に表示されていたのは――愛らしい妹ちゃん画像だったのだ!
『ええじゃないか……』
 離れ離れのはずのお兄ちゃんズが異口同音に、そう言った。
「効いてますネ。では第二弾ですヨ」
 ぱぱっとシステムを操作し、また別のもの……今度は映像を映し出すマーリス。
 そこにいたのは、白い肌と白い髪を持ち、小学生っぽい服装をしている薄幸そうな少女。
「お、おにいちゃんたち、ビルを解放してくれると、アイ、嬉しいな♪」
 アイだった。
 顔を真っ赤にしてポージングしてるアイだった。
「う、うおおお!!」
「なんという妹感!」
 歓声をあげ、お兄ちゃんズが滾る。
 その様子をマーリスとの通信越しに聞いていたアイは、遠い目で空を見上げた。
「仕方ありません……『チューリングの神託機械』で導き出した答えなんです。何度計算しても変わらなかった答え……だから間違っていません」
 そのはずです。
 そう繰り返して、脱力した背中を見せるアイはコスプレ姿のまま帰っていった。

●こっそりと駆け抜けて
 猟兵の第一波を受けて、静まった高層ビル。
 地面から見上げていたミフェット・マザーグースは、墨色の髪の毛を揺らした。
「げっかん マイマイらぶりー? かたつむりさん……?」
「そのマイマイじゃ……ないんじゃないかな……?」
「あ、ちがうんだ」
 隣に並ぶもふもふ九尾の桃色妖狐――パーム・アンテルシオに至極真面目に指摘されたミフェット。
 で、大体の意味を教えてもらった。
「いもうと、らぶりー、お兄ちゃん。お兄ちゃん?」
「ヒーローズアースは初めてだけど……ちょっと、気が抜けるような話だね……」
 2人して鏡合わせに首を傾げるミフェット&パーム。
 だがのんびりもここまで。2人は二手に分かれ、ミフェットはクライミング技術を生かしてビル壁をするする登ってゆく。
 そしてパームはビルの通風孔に目をつけた。
「あんまり汚い所は、通りたくないんだけど……そうも言ってられないし」
 狐の姿に変身し、狭い通風孔を伝って上階へと上がるパーム。
 やがて男の話声が聞こえてくる。
 通風孔の隙間から覗くと、端末を見ながら興奮している者2人と、一カ所に固められている大勢の人間が見えた。
 20階。人質のいる階層にたどり着いていたらしい。
 だがパームは飛び出すような真似はしなかった。
(「私に、大人を押さえる力は無いし。機械を使って、みんなを助ける力もない。だから……私ができるのは、時間稼ぎ」)
 そう心中で呟くや、パームがユーベルコードを発動させる。
 途端、大部屋の床からもやもやと桃色の霧が立ち昇る。
「き、霧!?」
「なんかすげえ怪しげな色……?」
 不意の出来事に動揺したヴィランたちが、酩酊したように傾いだ。
 触れた者を魅了し、戦意をくじく――それがパームの『九ツ不思議・妖狐』だった。
 だがその効力も一時的なもの。いつ正気に戻るか知れない。
 だからパームはできることはやっておこうと、通風孔を抜けて人の姿でお兄ちゃんズの前に降り立った。
「おまえ、は……?」
「ねえ、お兄さん達。……私みたいな女の子は、嫌い? あなた達が望むなら……今日は。あなた達の妹になっても、いいよ。でも……ふふふ。悪いことは、無し。ね?」
「なんだって妹だと」
「では手始めにお兄たんと呼んでもらおうか」
 急にキリッとするお兄ちゃん2名だった。

 一方。
 ミフェットは無事にビル内に侵入し、パソコンに髪の毛の先を挿しこんで社内システムにアクセスしていた。
「ヴィランさんに命令してる人のこと、わからないかな?」
 むー、と集中するミフェット。データ捜索している模様。
 すると社内のどこかでパソコンに繋がっているヴィランの端末を発見し、内部を覗き見ることに成功。
「……女の子?」
 見つけたのはやはり妹画像だった。
 だいぶタイプの妹だったのか画像の量が半端ではない。しかしそれ以上のことはどうにも掴めない。
 ミフェットは収集を切り上げ、安全なうちにビルを下りることにした。
「……でも、好きな本を、もっと書いて欲しい、という気持ち。ちょっとだけ分かる、かも。好きな絵本が終わっちゃうのはちょっとさびしいよね」
 後でちょっとだけ、My妹らぶりーを読んでみよう。
 そう思いながら、ミフェットは部屋を出ていった。

●力尽くで駆け抜けて
 ひっそりと静まり返る、ビルのエントランス。
 そこに唐突に、謎の輝かしいおじさんが姿を見せた!
「太陽!」
「な、なんだこのおっさん!?」
「無駄にカッコいいポーズしやがる……!」
 スタイリッシュポーズで高らかな声を発したおじさんを見つけ、付近を徘徊していたお兄ちゃん2人が警戒感MAXで駆けつける。
 だがその瞬間、背後から相棒もといマーロン・サンダーバードが不意打ち。
 お兄ちゃんたちはあっさりと気絶した。
「太陽!」
「太陽!」
 手早くお兄ちゃんズを縛った『太陽おじさん』と拳を合わせるマーロン。
 説明しよう! 太陽おじさんとは「太陽!」の一言で長年の相棒のように通じ合える謎のおじさんなのだ!
 先行したマーロンが上手くやったのを確認すると、ヘスティア・イクテュスはすたすたとビルに入ってきた。
「これまた変な能力ね……」
「太陽!」
「太陽!」
「何の会話にもなってないわよ」
 ビシッとポーズする2人にビシッとツッコむヘスティア。
 変質者を捕まえに来たら仲間がそれと肩を張るレベルの不審者だった。
「……ビル下から発破解体できたらどれほどスッキリしたかしらね。まあダメでしょうけど」
 残念そうにかぶりを振ったヘスティアは気を取り直し、自分そっくりの二頭身ロボ軍団『プチヘス部隊』を召喚する。
「じゃあヴィラン達を片っ端から捕らえにいきましょうか?」
「「太陽!」」
 マーロン&太陽おじさん、そして総勢39体のプチヘスを引き連れて進軍するヘスティア。
 もちろん道中で何人ものお兄ちゃんに遭遇した。
 しかしスモークミサイルをぶっ放して総がかりで飛びかかるプチヘス部隊の敵ではなかった。
 つまり――。
「……んあ?」
「いつの間にか侵入者が!?」
 あっさりと人質のいる部屋まで到着した。パームの魅了でぼけーっとしていたラストお兄ちゃんズだが、さすがに危機を感じて慌てて身構える。
 マーロンはそのうちの1人の肩を、ポンと叩いてやった。
「お前のことを調べあげた。……リアル妹がいるな?」
「え。いませんけど……」
「「太陽!!」」
「ぐあーっ!?」
 背後を襲う太陽おじさんの一撃でお兄ちゃんが捕縛された。
 流れるような不意打ちだった。
「太陽!」
「太陽!」
 互いを称えあうマーロンと太陽おじさん。
 その横では、ヘスティアも秒でお兄ちゃんを制圧していた。
「こんなことで立てこもりなんて馬鹿じゃないかしら? 馬鹿じゃないかしら? 貴方に妹がいたとしてこんな事件起こしてどんな気分かしらね、お・に・い・ち・ゃ・ん?」
「くっ、Sっ気妹とか良き!」
 ヘスティアに顔をぐりぐり踏まれるお兄ちゃん。
 どう見ても喜んでいる。
「あら? こんな他人からも言われて嬉しいの? クズ兄ぃ? 度し難いド変態ね」
「なんてご褒美なんだ!」
 喜びすぎて涎を垂らすお兄ちゃん。
 やはり発破解体しておけば……と思わずにいられないヘスティアである。
 が、ここで機転を利かせたヘスティアが踏みつける足を離す。
「な、なぜ!?」
「踏んでほしかったら教えなさい。あなたたちを唆したのは誰なの?」
「焦らすとはやりおる……」
 お兄ちゃんはすべてを話した。
 街はずれの教会廃墟――そこに彼らが溺愛してやまぬ妹がいると。
 話から察するにその妹がヴィランたちを操り、事件を起こさせたのだろう。
 情報を引き出したヘスティアはさっと踵を返し、プチヘスたちに人質の解放をさせて早々に退室していった。
 ぽつん、と残されるお兄ちゃん。
「踏んでもらえなかった……!」
「まあ気を落とすな」
 お兄ちゃんに優しく声をかけるマーロン。
「本当のことを言えばだ。妹萌えはわからなくもないんだ。けど俺もういい歳だからさ……この雑誌に載ってる子だともう『おじさん』呼びのがグっときちまうんだ。すまねえな……」
「は、はあ……」
 ひとり満足してサムズアップしてったマーロンに、お兄ちゃんは何も言えなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ルイン』

POW   :    お兄ちゃんがんばれー!
戦闘力のない【少女を守るため、周囲の者達が有効な装備】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【可愛い妹の応援】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD   :    お兄ちゃんたすけてー!
【少女の声を聞いた者達がブチ切れモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    いっけーお兄ちゃん!
【魅了された者達による一斉攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。

イラスト:まつもとけーた

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 寂しく風の吹く、無人の教会。
 そこに小さな少女たちがいた。
「……お兄ちゃんたち、失敗しちゃったのかなぁ……?」
「んー、どうだろ……?」
「猟兵にやられちゃったのかも……!」
 教会内の長椅子に腰かけ、ぷらぷらと脚を揺らしながら不安そうに呟く少女たち。
 するとその小さな肩に、無数の手が置かれた。
「大丈夫! 俺たちがついている!」
「そうだ! お兄ちゃんを信じろ!」
「絶対に守ってやるからな」
「ああ、猟兵なんて怖くない!」
「愛の力こそ最強!」
「たとえこの身を犠牲にしてでも、ルインは守ってあげるからね!」
「何を言う! 格好良く犠牲になるのはこの俺だ!」
「いやいや、ここは僕でしょ」
「そんなひ弱な体で言われてもさあ。ルインが不安がるっしょ?」
「そうだそうだ! 俺こそが盾にふさわしい!」
「脳筋は引っ込んでろ! ここは頭脳派の俺がやる!」
「ルイン、お腹すいてない? ピーナッツ食べる?」
「ってか待って。マジで猟兵来るのかな?」
 多すぎる。
 取り巻きがクッソ多すぎる。
 多すぎるお兄ちゃんたちで教会内がギッチギチになってる。
 もちろん実のお兄ちゃんではない。オブリビオンであるルインたちによって操られているだけの、善良な市民である。善良な市民のはずである。
 だが今は、ルインという妹を守るため猟兵と対することも辞さない、戦うお兄ちゃんたちだった。
「お兄ちゃん、猟兵なんかに負けないでね!」
『まっかせろぉぉーーーい!!!』
 元気なお兄ちゃんたちの野太い声が、戦場に響き渡っていた。
マーリス・シェルスカナ
(※アドリブ、連携歓迎)
(心情)
…協力してくれたとはイエ、アイさんには悪い事してしまった気がするネ。
アノ子には、後でお詫びとお礼をちゃんとしないト。
…それで次の敵は、Ah…ヤッパリ「妹達」と「お兄ちゃん達」なんですネ。

(行動)
お兄ちゃんズ…と言うか取り巻き多すぎデス、これが妹Powerなんですカ?
まあヒーローズアースのヴィランなら、死なない程度に無力化すればOKネ。
【エレクトロレギオン】を展開、出来るだけ「操縦」を駆使して本体のルインを狙う様にするネ。

…所で、Meも妹に分類されるのカナ?隙を作る為に少し試すネ。
……お、「お兄ちゃん…?」
(接近した相手に、帽子の下から上目遣い+涙目で)


アイ・リスパー
「くっ、操られた一般市民には手出しできませんか……」

まあ、アレは倒してしまっても構わない気はしますが……

「仕方ありません、また最適な作戦を計算しましょう」

【チューリングの神託機械】で最適解を計算しますが……
やっぱり、また同じ結論ですか……

渋々、また妹コスプレをします。

「おにいちゃんたち、わたしに攻撃するの?」(上目遣い

くっ、屈辱的ですが、これも一般人(?)たちを守るためですっ!
我慢しなくては!

「一般人(?)の邪魔がなければ、オブリビオンなど!」

電脳魔術【マックスウェルの悪魔】を起動し、炎の矢でオブリビオンたちを攻撃します。

「こんな恥ずかしい格好をさせてくれたお返しですーっ!」(赤面)


ヘスティア・イクテュス
この世界ってヒーローズアースよね?
キマイラフューチャーじゃないわよね?

これだけの一般人を盾に…厄介な…全員しばき倒したい(ぼそり)
こういう手勢は不本意、すっごーーーーーーーーく不本意だけど
同じ手で無力化するに限るわね



ということで
どいてお兄ちゃん、そいつ殺せない!(ビームセイバー片手に)


そいつは魔女よ、お兄ちゃんは洗脳されてるの
だからそいつを庇わないでー



ダメだったらハッキングしてPC内の情報をバラまくと脅しましょう(鬼)
妹に勝る兄なしよ



「ルインだけは絶対に守ってやる!」
「猟兵がやってこようが俺たちが追っ払ってやるぜぇ!」
「お兄ちゃんありがとう! ファイト、おー!」
 教会からあふれ出さんばかりの新お兄ちゃんたちが猛り、彼らに天使の笑顔を向けるオブリビオン『ルイン』。
 そのさまを見せられたヘスティアの眼は、もはや氷のごとき冷たさである。
「この世界ってヒーローズアースよね? キマイラフューチャーじゃないわよね?」
「……取り巻き多すぎデス、これが妹Powerなんですカ?」
 同じく到着したマーリスも目の前の光景に呆れずにはいられない。
 お兄ちゃんを倒したと思ったらまたお兄ちゃんが現れた。
 ヒーローズアースの恐ろしさである。
 ルインを取り囲む壁と化した男たちを、アイは苦々しく見据えた。
「くっ、操られた一般市民には手出しできませんか……」
「ええ、なんて厄介な敵なのかしら……全員しばき倒したい」
「……まあ正直、倒しても構わない気はしますね……」
 ぼそりと発されたヘスティアの小さな声に、かぶりを振ることができないアイ。
 そしてそんな彼女の横顔をちらちら見るマーリス。
(「……協力してくれたとはイエ、アイさんには悪い事してしまった気がするネ」)
 マーリスが瞑目する。瞼の裏には、人質事件解決に際して見せたアイの妹コスプレが鮮明に浮かび上がっていた。
 後でちゃんとお詫びとお礼をしよう。
 そう心に決めると、マーリスはユーベルコード『エレクトロレギオン』を発動し、大量の小型機械兵器を召喚した。ドローンのように浮かぶ機影が宙を埋め尽くし、その数は百ではきかないほどである。
「それデハ、ルインを叩くとするネ」
 マーリスの腕が振り下ろされるや、機械兵器たちはルインめがけて飛んでゆく。
「猟兵が来たぞ!」
「いくぞ! ルインを害する奴は絶対許さない!」
 猟兵の魔の手(お兄ちゃん視点)からルインを守るべく動き出す。
 ルインに魅了されているお兄ちゃんたちに恐れはない。妹に近づけさせまいと、機械兵器を撃墜するべく掴みかかってきた。
 しかしマーリスは機械兵器を操縦し、男たちとの相討ちを回避。伸びる腕を掻い潜ったものがルインに突撃し、数体を消滅させることに成功する。
「きゃ、きゃあーー!!」
「ルイーン!!」
「お兄ちゃんたすけてー!」
「おのれぇぇ!!!」
 愛する妹が泣き叫び、助けを求めている。
 その声に呼応したお兄ちゃんズは、血走った眼を憎き猟兵たちへと向けた。
 だが、その瞳に映ったものが、彼らの怒りに待ったをかける。
 幼い服装をした少女が――ルインに負けず劣らず守ってしまいたくなる『妹』がそこに立っていたのである。
(「やっぱり、また同じ結論ですか……」)
 やや光の消えた眼で、妹は虚空を見つめた。
 アイだった。
 チューリングの神託機械の超すげえ計算により、やっぱりまた妹コスプレをすることになってやるせない気持ちのアイだった。
(「しかし躊躇してる場合ではありませんね……」)
 心中で繰りひろげられる葛藤を抑え、アイが決然とお兄ちゃんへと向き直る。
 そして、一般人を守るためと言い聞かせ、いじらしく胸の前で手を組んだりした。
「おにいちゃんたち、わたしに攻撃するの?」
「うっ……」
「そ、そんな上目遣いで見られちゃあ……」
 ぐぬっ、と悩ましげな表情で立ち止まるお兄ちゃんたち。アイの可愛らしさに胸を射抜かれた男たちの顔から険しさが抜けてゆく。
 そうして微妙な静けさが漂いだす教会内。
 だがその瞬間だった。
「どいてお兄ちゃん、そいつ殺せない!」
「のわっ!?」
 お兄ちゃんの1人を押しのけんばかりの勢いで、ルインへ駆け寄ろうとするヘスティア。
 その手には物騒なビームセイバーが握られておりました。
 なんという殺意。
「な、何を持ち出してるんだお前はぁ!?」
「落ち着け! どうしてルインを嫌うんだ!」
「どいて! どきなさい!」
 わーわー、と妹ヘスティアとお兄ちゃんたちとのせめぎあい。
 が、当のヘスティアの顔はびっくりするほど無の境地である。
(「不本意ね。すっごーーーーーーーーく不本意だわ」)
 止めようとするお兄ちゃんに組み付かれながらも、冷静なヘスティアさん。いくら揺さぶられようともその鉄の表情はびくともしねえ。
 しかしいい加減、動かねば事が進まない。
 ヘスティアはひときわ大きなため息をついてから、精一杯の妹モードになった。
「そいつは魔女よ、お兄ちゃんは洗脳されてるの。だからそいつを庇わないでー」
「ま、魔女だと!?」
「本当なのか!?」
 ざわっ、とお兄ちゃんたちに動揺がひろがる。みな一斉にルインたちを振り返り、探るような目つきを向ける。
「お、お兄ちゃん。だまされないで!」
「そうだよ! ルインは妹だよ!?」
 渾身の妹ムーヴでルインたちも頑張るが、お兄ちゃんたちの疑念を消すことはできない。
 この機を逃してはいけない。
 マーリスはすすすっとお兄ちゃんたちに近づき、くいくいと袖を引く。
「ん?」
「お兄ちゃん……?」
 大きな帽子の下から、潤んだ上目遣いを見せるマーリス。
「ぐはっ……!」
「一般人(?)の邪魔がなければ、オブリビオンなど!」
 可愛らしさにやられたお兄ちゃんズが膝をつくと、アイはすぐさま妹の仮面を捨て、ルインへ向けてユーベルコードを発動した。
「こんな恥ずかしい格好をさせてくれたお返しですーっ!」
「きゃああーーー!?」
 赤面したアイの掌から灼熱の炎が迸り、ルインたちを焼却する。
 守ってくれるお兄ちゃんたちを懐柔されてしまった妹たちには、それを防ぐ手立てはなかったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マーロン・サンダーバード
射線が通れば一発でキメてやるぜと言いたいところだったんだがなあ
多い!多すぎる!そうとわかればプランBだ!

まずルインからお兄ちゃんどもを引き離さなくちゃならない
となれば「挑発」するしかないよな
「ヘイ!お前らそんな小さい子にお兄ちゃんて呼んでもらえる歳じゃねーだろ!」
「なあそこのあんた、ルインに聞いてみろよ、俺の名前わかる?ってよ。なんでかって?あんたがその他大勢でしかないからさ」

我ながら心が痛むぜ、だがプランBだからしょうがないんだ

お兄ちゃんズをルインの周囲から引き離したら「太陽の使者」発動!天井スレスレまで飛び上がってルインに一気に接近
咄嗟のカバーも間に合わない接射で黄金銃でルインを撃ち抜くぜ


ミフェット・マザーグース
いもうと・シスター・みんながみんなお兄ちゃん?
本のなかの妹のために妹の命令でテロリスト?
なんだかすっごくへんだと思う

ミフェットは、戦うみんなを歌で応援するね
ヴィランになっちゃってるお兄ちゃんが正気に戻るように「祈り」をこめて「歌唱」でみんなを「鼓舞」するよ


UC【嵐に挑んだ騎士の歌】

「お兄ちゃん」って頼られたら なんでもしてあげたくなる
わきあがる力のまま どんな敵でもやっつける お兄ちゃんたち

でも

兄に犯罪をさせるる妹は 妹じゃありません!
本当のご家族のために まちがった道にすすまないように!

ニセモノの妹をやっつける それが正義の輝き!


パーム・アンテルシオ
あなた達も、そういう能力を使うんだね。
ちょっとだけ、親近感が沸くけど…
敵は敵。オブリビオンは、オブリビオン。
戦うべき敵って所は、変わらないよね。

操られてるっていうか…なんとなく、ノリノリに見えなくもないんだけど。
それでも。オブリビオンじゃないなら、助けないと、だよね。
跳梁跋狐。
ねえ、お兄ちゃん。
その子ばっかり守って、贔屓しないで。
私のお願いも、聞いてほしいな。守ってほしいな。

…正直、戦力としては、あんまり期待してないから…
危なくないように。他の猟兵の攻撃に、巻き込まれないように。
下がっておいて貰うのが、第一だよね。
それじゃあ、お兄ちゃん。ここは危ないから、一緒に離れよ?ふふふ。

【アドリブ歓迎】



「お兄ちゃん、このままじゃやられちゃうよー……!」
「くっ、泣くなルイン! まだ俺たちが残っているだろ!」
「俺らがいるうちは猟兵を近づけさせないからな!」
 同胞を討たれて涙ぐむルインに、お兄ちゃんたちは安心させようと言葉を尽くす。
 先の攻撃で妹たちは大きく数を減らした。だがまだ残存する者もあり、それを守らんと残るお兄ちゃんたちもまたある状態だった。
 どんぐらい残ってるかっつーと。
「多い! 多すぎる!」
 黄金に輝く銃を握ったマーロンが射線を求めて位置取りを変えまくるぐらい残っていた。
 しかし右へ行けども左へ行けども、ルインへ通じる射線など見えやしない。
「射線が通れば一発でキメてやるぜと言いたいところだったんだがなあ。なんて数だ」
「これぜーんぶ、お兄ちゃん?」
 ひとまず銃口を下ろすしかないマーロンの隣で、ミフェットが頭上に『?』を踊らせる。
「いもうと・シスター・みんながみんなお兄ちゃん? 本のなかの妹のために妹の命令でテロリスト? なんだかすっごくへんだと思う」
「ふふ、そうだね……」
 むー、と傾いてゆくミフェットの頭を押し支えるパーム。
 そのままミフェットの黒い頭を正常な角度に戻すと、パームはルインが侍らせるお兄ちゃんズを見て茫洋と笑った。
「あなた達も、そういう能力を使うんだね。ちょっとだけ、親近感が湧くかも……」
「お兄ちゃん、あの人がこっちを見てる……」
「何だとう!?」
「それは危ない。後ろに隠れるんだ!」
 怯えるルインをささっとかばう男たち。
 あまりにお兄ちゃんである。パームは怪訝そうに眼を細めた。
「操られてるっていうか……なんとなく、ノリノリに見えなくもないんだけど、でも、助けないと、だよね」
 うん、と自分で頷いて、パームは息を吸う。
 そして鮮やかな歌声を、崩れかけの教会に響かせた。『跳梁跋狐』――周囲の生物を魅了して味方とするユーベルコードが、耳を通してお兄ちゃんズの脳髄に染みてゆく。
 彼らの顔がすっかり蕩けた頃、パームは歌を切って困り顔を作った。
「ねぇ、お兄ちゃん。その子ばっかり守って、贔屓しないで。私のお願いも、聞いてほしいな。守ってほしいな」
「何てこった……新しい妹がっ!」
「守りたい、この妹……」
 ルインとパーム、どちらを守ればいいのか――頭を抱えるお兄ちゃんズは苦しげだ。
 ミフェットは胸の前に手を組み、そっと眼を閉じた。
「まだ迷ってるの? だったらミフェットが教えてあげるね」
 静かにそう告げるなり、ブラックタールの少女の声帯が神秘を奏でる。優しい音色が体を通りすぎ、聞く者に力を与えてゆく。
 ――が、ひとつ問題があってな。
 歌声で周りを鼓舞するミフェットのユーベルコードなんだが、歌詞はそのときのミフェットの心の在りようで大きく変化する。
 つまり、である。

 『お兄ちゃん』って頼られたら なんでもしてあげたくなる
 わきあがる力のまま どんな敵でもやっつける お兄ちゃんたち
 でも
 兄に犯罪をさせる妹は 妹じゃありません!
 本当のご家族のために まちがった道にすすまないように!
 ニセモノの妹をやっつける それが正義の輝き!

「ひ、ひぃあっ!?」
「すすすすいませんんっ!!!」
 歌声に乗せた説教が、お兄ちゃんズの茹ってた頭をびしびしと殴りつけていた。
「だよな……犯罪はいかんよな……」
「ああ。いくらルインが可愛いとはいえ浅はかだった……」
「お、お兄ちゃーん!?」
 ミフェットのド正論に返す言葉もなく、負け犬のごとく膝をつくお兄ちゃんズ。ルインがいくら押したり叩いたりしても、その落ちこんだ背中がしゃっきり正されることはなかった。
「ほらほら……それじゃあ、お兄ちゃん。ここは危ないから、一緒に離れよ? ふふふ」
「そうだな。そうしよう」
「お腹減ってない? お兄ちゃんが何か買ってあげようか?」
「うーん、何にしようかな……?」
 パームに手を引かれたお兄ちゃんを先頭にして、男たちがとぼとぼと教会を去りはじめる。
 彼らがこの場にいても戦力にはならないだろう。そう判断したパームの誘導によって建物内の人口密度は順調に減った。
 そしてそうなれば射線が通る。
「人が減ればこっちのもんだぜ!」
「や、やめて……」
 マーロンの黄金銃が再び、ルインたちを撃たんと向けられる。
 が、その銃口から弾が発射されるよりも早く、ルインたちの前に数人の男が壁を作っていた。
「ルインを撃たせやしないぞ!」
「そうだ! こいつを撃つつもりならまず俺を撃て!」
 腕をひろげ、盾となる意思を示す男たち。
 まだルインの妹ぢからに操られている者たちは残っていたらしい。
「まったくしょうがない奴らだ。となればプランBだな!」
 指にひっかけた銃をくるくると回して収めたマーロンが、残存お兄ちゃんズをビシッと指差す。
「ヘイ! お前らそんな小さい子にお兄ちゃんて呼んでもらえる歳じゃねーだろ!」
「な、何を言うか!」
「何歳だろうとお兄ちゃんはお兄ちゃんだろうが!」
「へえ、そうかい。じゃあそこのあんた、ルインに聞いてみろよ、『俺の名前わかる?』ってよ。そうすりゃあんたが『その他大勢にすぎない』ってことがわかるだろうぜ」
「なんて失礼なことを……!」
「ルインが俺の名前を知らないわけないだろ! なあ、ルイン!?」
 マーロンに煽られたお兄ちゃんズが、鬼のような迫力でルインたちを振り返った。
 だが。
「え、えっとぉ……」
 現実は非情だった。無情だった。
 彼女らはもじもじと言葉を濁すばかりで、誤魔化すような可愛い笑顔を向けるばかりだった。
「なん……だと……!」
「馬鹿な……俺たちはルインの……」
 絶望の表情で膝を折るラストお兄ちゃんたち。
 ルインたちを守る最後の砦が剥がされた、瞬間だった。
「我ながら心が痛むが、今だぜ!」
 一般人の無力化がなされたのを確認するや、マーロンの全身が太陽のオーラで輝きだす。眩い光に包まれたマーロンはその場で跳躍、さらに天井を蹴ってお兄ちゃんズとルインたちの間に一瞬で位置を移した。
「ま、まずいよー!?」
「さあ、撃ち抜くぜ!!」
 突きつけた零距離の銃口が火を噴き、ルインたちの体を次々と貫いてゆく。
 そして激しくも一瞬だった銃声が鳴りやんだとき……オブリビオンの妹たちは全員、綺麗さっぱりと骸の海に還っていたのだった。


 それから猟兵たちは、元お兄ちゃんたちが無事に帰ってゆくのを見届けてから、教会を去ろうとした。
 ――が、そのときだ。
 その場に唐突に漂った強者の気配が、一同の足を止めた。
 何かがいる。
 そう思い、辺りを見回した猟兵たちが見つけたものは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『レオバルト』

POW   :    修羅剣鬼の構え
【大剣を構える】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    超遠隔操作術
技能名「【テレキネシス】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    光剣一刀両断
自身からレベルm半径内の無機物を【巨大な光の剣】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミルフィ・リンドブラッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 巨大な西洋剣。
 青い裏地が鮮やかなマント。
 それが真っ先に眼につく男だった。
「ルインがやられたということは、猟兵のようだな」
 手駒にしていただろうオブリビオンが消滅したことを知った男――オブリビオンは威圧感ある眼差しで猟兵たちを見やった。
 肩に乗せていた西洋剣を下ろし、おもむろに構えを取る。
 その風格たるや、あの可愛らしい妹たちの比ではなかった。
「私の前に立つならば容赦はしない。ここで消えてもらおう」
 剣の切っ先とともに、男がその刀身に劣らぬ鋭利な眼光をぶつけてくる。
 静寂。
 静寂が廃教会に満ちてゆく。
 激闘の予感。嵐の前の静けさ。高まってゆく緊張感。
 そしてそれが最高潮に達したとき――。

「妹を愛する。それの何が悪いと言うのだ! たとえ架空の妹であろうとも、妹を愛する行為の尊さに変わりはない! 『まいらぶ』の休刊などという不正義は……私が許さん!」

 男は高らかにそう言い放っていた。
 やべえ! なんか超強そうなお兄ちゃんが出てきたんですけどォ!!
マーリス・シェルスカナ
(※アドリブ、連携歓迎)
…Oh No(げんなり)。エェ、マァそんな気はしてまシタ。
デスがあの風貌、変態とはイエ強敵に違いはないネ…。

此処はマズ、敵の隙を作れないカ…電脳で調査ヲ
(と電脳開いて案を組み立てるが、結果はお察し)

(作戦)
「お兄チャン、そんな本当にそんな架空な妹が大事ナノ!?」
(潤んだ目をして妹感を主張)

「もう喧嘩はヤメテ!Meが、ユーの妹になるカラ!」
(妹っぽい必死さで相手を油断させ)

「遊ぼうよお兄チャン、ボール遊びしよう♪」
(と楽しそうにボール…という名の『エレクトロレギオン』をパス
相手キャッチした瞬間に爆破&残りが一斉攻撃する作戦)


………仕方無いのデス、Meの電脳もそう言うカラ。



 勇ましく立ちはだかるオブリビオン――レオバルトを見て、マーリスは本日3度目の脱力感を味わっていた。
「……Oh No。エェ、マァそんな気はしてまシタ」
 今日一日の流れを思えば、そうですよね。
「デスがあの風貌、変態とはイエ強敵に違いはないネ……此処はマズ、敵の隙を作れないカ……調査しまショウ」
 げんなりしつつも手で宙を撫でるマーリス。無数のホログラムウィンドウを開くと、瞬く間にレオバルトに有効な作戦を組み立てる。
 その結果。
「お兄チャン、本当にそんな架空な妹が大事ナノ!?」
 潤んだ瞳でレオバルトを見つめることになった。
 愛ゆえに愚を犯す兄を止めようとする妹みたいになっていた。
 レオバルトはそんなマーリスの訴えを聞き、語気を強める。
「大事かだと? 当然だ。愛は尊い。たとえそれが実在しない相手への愛だとしても。そしてその愛を育む雑誌を廃するなど言語道断!」
「ヤメテ……もう喧嘩はヤメテ! Meが、ユーの妹になるカラ!」
「私の妹に……!?」
 辺りの廃材を光剣に変えようとしたレオバルトが、マーリスの申し出を聞いて動きを止めた。
「本当に貴様が私の妹に……?」
「本当ダヨ。遊ぼうよお兄チャン、ボール遊びしよう♪」
「妹、私に妹が……」
 ふらふらと近づいてきたお兄ちゃんに、たったいま妹になったマーリスがそっとボールを渡す。
 ――と思ったら、レオバルトが手に抱いていたのは小型の機械兵器だった。
「……ボールではないが?」
「ボールですヨ」
 マーリスが告げた瞬間、轟音。
 ボール(っぽい兵器)が爆発し、爆炎と黒煙が辺りを覆い尽くす。そこへ展開していた他の機械兵器『エレクトロレギオン』も殺到し、お兄ちゃんに特攻を連発した。
「ぐおおおおおおっ!?」
「……仕方無いのデス、Meの電脳がそう言ったカラ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミフェット・マザーグース
妹を愛するのは、悪いことじゃないよ
でも、暴力でヒトを自分の思い通りにするのは悪いことだよ
それはだれのためでも、同じこと、でしょう?

架空の、いもうとを、愛するって、尊いことなのかな・・・
愛するって、ミフェットはよくわからないけど
ルインのはちがうよね。それに、お兄ちゃんのも、このオブリビオンのも
たぶん、ちがうと思う

UC【嵐に挑んだ騎士の歌】
「歌唱」でみんなを「鼓舞」するよ

妹のため 愛のために 人質をとってテロリスト
妹のため 尊い行為と ルインをつかって黒幕きどり

でもホントは

大好きな本が読めなくなって 怒って暴れてるだけ
自分のために 怒っていうことを聞かせたいだけ

そんなものは愛じゃありません


マーロン・サンダーバード
正義を語る前に聞いておきたい事がある
ちゃんと雑誌は買ったか?アンケートは出したか?SNSにフォローは?
それらを怠っていたとしたらお前に正義を語る資格はねえ!

俺は太陽の使者サンダーバード!力及ばず休刊したギャル専門誌の無念をここで晴らす男だ!

まずライジングサンで腕を狙ってクイックドロウandシュート!
武器落としを狙い、接近戦を嫌がるかのように立ち回る
が、俺の狙いは別にある

ガンマンなら接近すればどうとでもなる、と思ったかい?
銃は剣よりも速い!特に「夕陽の黄金銃」ならな!
接近してきたらカウンターで全力のパワーを込めたファニングショットをかましてやるぜ!

…にしても俺、浮いてるよね(周りの猟兵見ながら)



 いきなり大打撃を受けてしまったレオバルトのお兄ちゃんが、煤まみれの体が倒れようとするのを大剣を突き立てて止める。
「猟兵め……私の愛を利用するとは卑怯な!」
「ねえ、ねえ」
 憤りを吐くレオバルトに控えめな声をかけたのは、ミフェットだ。
 常に柔らかな表情を浮かべる彼女だが、珍しくちょっと怒ったような顔をしていた。
「妹を愛するのは、悪いことじゃないよ。でも、暴力でヒトを自分の思い通りにするのは悪いことだよ。それはだれのためでも、同じこと、でしょう?」
「悪い? 私は世の妹を、妹を想う兄を救おうとしているのだ! それを阻もうとするならば悪、つまりは貴様らも紛れもない悪だ!」
 全国のお兄ちゃんの怒り(?)をその叫びに乗せたレオバルトが、再び廃材を巨大な光に変える。
 鋭い剣となったそれがミフェットを叩き潰さんと振り下ろされた。
 だが剣が迫ったとき――彼方から黄金の光が飛んできて、ミフェットをさらった。
「大丈夫か!」
「うん、ミフェットは大丈夫だよ」
 マーロンである。その身を太陽のオーラで覆うマーロンは脇に抱えていたミフェットを優しく下ろすと、レオバルトにずびしっと指を差した。
「あんた、正義を語るのは結構だがその前に聞いておきたい事がある。ちゃんと雑誌は買ったか? アンケートは出したか? SNSにフォローは? それらを怠っていたとしたらお前に正義を語る資格はねえ!」
「アンケート……フォロー……?」
 何を言ってるんだ、と眉をひそめるレオバルトお兄ちゃん。
 やってないね。明らかにやってないね。
「なら容赦しねえ! 俺は太陽の使者サンダーバード! 力及ばず休刊したギャル専門誌の無念をここで晴らす男だ!」
 恐らくアンケートもフォローもしていただろうマーロンが、目にも止まらぬ速さで黄金銃をぶっ放した。銃弾は一直線にレオバルトの剣を握る手に向かう。
 が、レオバルトは翻って弾を避け、風のように速力を増してマーロンへと駆けてきた。
「ギャル推しになど負けん!」
「くっ、速え! だが近づかれてたまるかよ!」
 地を蹴って後退しつつ、銃を連射して牽制するマーロン。
 その様子を傍で見ていたミフェットは、小さく呟いた。
「架空の、いもうとを、愛するって、尊いことなのかな……愛するって、ミフェットはよくわからないけど、ルインのはちがうよね」
 確かめるように首を縦に振る。
「それに、お兄ちゃんのも、このオブリビオンのも、たぶん、ちがうと思う」
 全然尊いことじゃないよ――胸の内の思いを発するため、ミフェットは息を吸いこんだ。
 そして。

『妹のため 愛のために 人質をとってテロリスト
 妹のため 尊い行為と ルインをつかって黒幕きどり
 でもホントは
 大好きな本が読めなくなって 怒って暴れてるだけ
 自分のために 怒っていうことを聞かせたいだけ
 そんなものは愛じゃありません』

 歌が一帯に響き渡った。ミフェットの無垢な歌声にこめられた力が辺りの猟兵たちの戦闘力を強め、マーロンもまたその恩恵を受ける。
「心強いな! これなら負ける気はしねえぜ!」
「ギャル推しごときが図に乗るな!」
 足に力を溜めたレオバルトが、一気に地面を蹴りつけた。マーロンとの距離が詰まり、斬りつけるどころか掴むことさえ容易なほど肉迫する。
 振り上げられる大剣。
「貴様など近づけば――」
「どうとでもなる、と思ったかい?」
「!?」
 レオバルトが目を見開く。
 その胸に黄金の銃口が突きつけられていた。
 夕陽の黄金銃(ファニング・ゴールデンガン)――装填された弾丸はたった一発。たった一発の極大威力が、レオバルトの胸部を突き抜けた。
「がっ……アアアアアアアアアアア!!!」
「知っときな。銃は剣よりも速いんだぜ」
 銃口の硝煙を吹き、黄金銃を収めるマーロン。
 ――とキメた彼だったが。
「……にしても俺、浮いてるよね」
 そうですね。ギャル専門誌とか語ってましたしね。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘスティア・イクテュス
顔がイケメンなのにすっごい残念な鬼いちゃんが出て来たわ
かえってねてていい?

ビームセイバーを展開、ティターニアを噴かしてヒット&アウェイ戦法

別に愛するのは本人の趣向だからまぁいいとして
人に迷惑かけてる時点で論外よ
貴方は愛する妹達を犯罪者の妹とするつもりかしら?

ん?こんな騒動起こした兄の妹
世間一般からそういう目で見られる妹の気分を考えたことあるかしら?
クズ兄ぃ?ん?



架空の妹でも愛するならその愛利用させてもらおうかしら
マイクロミサイル発射用意
ホログラムで妹っぽく見せます
さぁ、お兄ちゃん。愛する妹達の抱擁受けとめてくれるわよね?

というわけで発射
妹に包まれて死になさい



 胸部に風穴を開け、後ろへ吹っ飛ぶレオバルト。
 だが地面に踵をひっかけると、転がって勢いを逃がし、体勢を整える。
「どうやら猟兵を見くびっていたようだ。しかし私は負けん……『まいらぶ』のために!」
「顔がイケメンなのにすっごい残念な鬼いちゃんが出て来たわ。かえってねてていい?」
 なんかしょーもないこと言ってる。
 とゆーわけで心がスペースシップワールドに帰りたがっているヘスティアさんである。
「今更、逃がすものか!」
「いや逃げたい以前の問題だから」
 レオバルトが光剣を作ったのを見て、ジェットパック『ティターニア』を起動するヘスティア。薄羽のような推進機を噴かし、ビームセイバーで斬りかかる。
「甘い!」
「あら残念」
 ビームセイバーを避けたレオバルトが反撃の刃を振るうが、空を切る。ヘスティアがティターニアを噴射し、一気に後方へ離れていたのだ。
「愛するとかは本人の趣向だから勝手だけど、人に迷惑かけてるならその時点で論外よ。貴方は愛する妹達を犯罪者の妹とするつもりかしら? ん?」
「わ、私の愛を否定すると言うのか!」
「こんな騒動起こした兄の愛なんて貰ってもね……世間一般からそういう目で見られる妹の気分を考えたことあるかしら? クズ兄ぃ? ん?」
「おのれぇぇーーー!!」
 激昂したお兄ちゃんが、光の大剣を振り下ろす。
 が、ヘスティアはその斬撃を素早くかわし、ティターニアから大量の小型ミサイルを射出。
「避けられるかしら?」
「くっ……これは!?」
 迫るミサイルの大群を前にして、挙動を止めるレオバルト。
 なぜかって?
 すべてのミサイルに妹っぽい少女のホログラムが搭載されていたからだ!
「さぁ、お兄ちゃん。愛する妹達の抱擁受けとめてくれるわよね?」
「う……ウオオオオオオオオ!!」
 ちゅどーん。
 どばーん。
 胸に飛びこむ妹たちを無下には扱えない――というわけでお兄ちゃんは無抵抗で特撮じみた爆炎に呑みこまれたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パーム・アンテルシオ
妹を愛する。家族を愛する事は、尊い事だと思うよ。
私みたいな存在だって、そう思う。だから…
あなたの正義を否定はできない。けど。

私は猟兵だから。
あなたの…オブリビオンの正義は、へし折るしかない。
崑崙火。いくよ。

…人間の世界は、好き嫌いだけで出来てないから。
具体的に言うと…休刊って事は。商売にならなかったんだよ。きっと。
なぜ商売にならなかったか。
あなた達の愛が、足りなかった。

妹の事が好きだから。愛があるから。
それだけで、全てが解決すると思ってなかった?
あなた達が愛していたのは、妹だけだった。
まいらぶの事を、真剣に愛していなかった。支えていなかった。
これは、そういう話だよ。
きっと、ね。

【アドリブ歓迎】



 もうもうと空へ昇る黒煙。
 パームはその行方をぼんやりと見つめていたが、やがて爆心地たるレオバルトに視線を向けた。
「私は負けられん……世の妹たちのためにも……!」
 突き立てた剣を頼りに体を起こすレオバルトだが、力の入らない脚は微細に揺れている。
 それを見るパームの顔は穏やかだ。
「妹を、家族を愛する事は、尊い事だと思うよ。私みたいな存在だって、そう思う。だから……あなたの正義を否定はできない」
 けど、と続けたパームの指がレオバルトに向く。
「私は猟兵だから。あなたの――オブリビオンの正義は、へし折るしかない」
 宣告を口にした瞬間、パームを囲む空間に煌々とした炎が無数に灯る。
 剣だ。
 炎で形作られた剣が、百ではきかぬ数で宙に静止している。
 切っ先を敵へと向けて。命令を待つ兵士のように。
 その軍勢が殺到する――レオバルトは考えるまでもなく光の大剣を作り出していた。
「それしき、払い落としてくれる!」
「崑崙火。いくよ」
 パームの号が下るや、炎剣が飛び出す。弾丸のように射出された炎剣の数本はレオバルトの操作する光剣で地に叩き落とされた。
 が、それだけだった。
「ぐがっ……ガアアアアッ!!?」
 四方から剣で貫かれたレオバルトが、苦悶の声で膝をつく。
 さながら刑罰を受けた罪人のようなテイの彼に、パームは途切れ途切れの声を向けた。
「……人間の世界は、好き嫌いだけで出来てないから。休刊って事は……商売にならなかったんだよ。きっと。たぶん、あなた達の愛が、足りなかった」
「愛が足りないだと……! 馬鹿な! 私の愛が足りぬはずが――」
「妹への愛があるから。それだけで、全てが解決すると思ってなかった? あなた達が愛していたのは、妹だけだった。まいらぶの事を、真剣に愛していなかった。支えていなかった。これは、そういう話だよ。きっと、ね」
 パームの静かな語らいを受け、反論しかけたレオバルトが歯噛みして押し黙る。
 結構図星だったお兄ちゃんは反省するしかなかったんや。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
……しまった、忍者や鳥で遊んでる場合じゃなかった。今の今までこっちの依頼に気づかなかったとかアリス一生の不覚!ああ、ルインちゃん”で”遊びたかった(血涙だばー)

クレヤボヤンス(念動力、情報収集、視力、聞き耳)でもっとも女装に適したショタ時代を透視し、女装ショタへと妄想改変。ふふ、自分が”妹”になった気分は如何?
大丈夫、すぐ良くなるわよとエロトラブルで私の腕の中に誘導し、パラサイトテンタクルを両耳から侵入させてサイコヒーリング(念動力、医術)も併用して薄い本みたいな脳くちゅ改造よ♡
透視した嗜好から催眠術でいい夢見させて、最後の最期に恐怖を与える邪神の悪夢に変更☆
大食いで感情エナジーちゅーちゅー♡



「……しまった、遊んでる場合じゃなかった」
 戦いの余波が熱風となって押し寄せる中、アリス・セカンドカラーは立ち尽くしていた。
「出遅れたとかアリス一生の不覚! ああ、ルインちゃん”で”遊びたかった……」
 地に手をつき、血涙すら流すアリス嬢。
 おまえは何をしに来ているんだ……。
「貴様も猟兵なのだな……!」
「ん?」
 掠れた声にアリスが顔を上げると、満身創痍のレオバルトさんが見下ろしていました。
 これはいけるんじゃないか――とか思っちゃったアリスはサイキックによる透視でレオバルトの情報を読み取り、なんか妖しく笑ってふむふむとか言いだす。
「可愛い少年時代に戻りなさーい♪」
「……何だこれはッ!?」
 アリスのユーベルコードとともに、レオバルトの驚愕の声。
 肉体が若返るどころか10歳前後の少年になっていたのだ。
 そして真っ白なワンピースを着ていたのだ。
「ふふ、自分が”妹”になった気分は如何?」
「ええい戻せぇぇ!」(ショタ声)
 アリスに襲いかかるレオバルトくん――だが平らな地面に足がとられる!
「なっ!?」
 そのままアリスの腕の中に倒れこむレオバルト。
 ラブコメ主人公っぽくなった彼を待っていたのは、怪しげにうねる触手。
「それじゃ薄い本みたいな脳くちゅ改造よ☆」
「や、やめてぇぇーーー!?」
 衝撃のあまり口調すらショタ化してしまうレオバルトだったが、抵抗は叶わない。
 数秒後、彼は幸福な夢の中にいた。
「ふふ、大丈夫。僕に任せて……」
 とても可愛い笑顔である。寝顔である。
 でもアリスさんはその程度じゃ満足しません。
「それじゃそろそろ悪夢に変更よ♪」
 アリスが指を鳴らすと、レオバルトの緩んだ表情が恐怖に塗り替えられてゆく。
「く、来るな……ああぁーーっ!!」
 何かを追い払うように腕を振るレオバルト。
 発狂にも近い叫びをあげて暴れるが、やがて微動だにしなくなる。
 恐ろしい夢――邪神の悪夢にさらされた彼は……なんか死んでいた。

 『My妹らぶりー』の休刊ひいては出版不況がもたらした悲劇は、こうして幕を閉じた。
 帰路につく猟兵たちがゴイスーな疲労感に包まれていたのは、言うまでもないですね。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年06月11日


挿絵イラスト