煌めくそれは、アタシのもの
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アックス&ウィザーズのある、山岳地帯に息づく村。
そこは程々に荒野が近く。
時折飛竜の雄叫びが聞こえる程度に平和との間にある場所だ。
立地としては足場が悪いほうで、冒険者が時折討伐依頼でやっと足を運ぶ程度。
「おばぁちゃんの誕生日にプレゼントしようと思って頑張ったの!」
「おぉおぉ、覚えていてくれたんか」
この村から旅立ち、冒険者となった孫が、危険を掻い潜り討伐報酬で稼ぎに稼いだ金貨はきらきらと輝く、いくつかの宝石へと姿を変えていた。
「ここには綺麗な物は空と、なんの価値もない石しかないけど」
加工すれば、とびっきりの価値がある贈り物だね、と老婆の孫は笑った。
「アクセサリーはどんなのが好きかなって思って帰ってきたんだ!」
「あんたがくれるものなら、なんだって嬉しいさ」
おもわず心が暖かくなる風景。日常の一ページ。
それを壊す歌声が、鼻歌のような雑な歌を歌いながら。
「キラキラね、きらきらなのね? アタシにちょうだい」
ふわりと羽を広げて贈り物を奪い取り、老婆と孫を鋭い足で蹴り飛ばし、逃走した。
●
「きらきらひかる宝石は、みんな好きでしょ?」
うん、私も好き。こう、加工されてない状態でも十分ロマンを感じるものね、と空裂・迦楼羅(焔鳳フライヤー・f00684)が頷く。
「ある山岳地帯に住んでるハーピーも、そうみたい」
このハーピーはきらきら光るものを好んで集めているみたい。
ハーピーが一体しかいない、という事はないのだがこの個体は、どこか特殊で。
ゴブリンを虜にするより、宝石等、光り物が好きときた。
そのためには手段を選ばない。こう、物理方面に。
同族も襲うし、光るだけのガラクタも持ち帰るし、人間が記念日に何かを贈るタイミングでそれを奪い取りに行く。
「山岳地帯だし、アックス&ウィザーズだし、飛竜……ワイバーンの群れなんかもすんでいるのよね」
その地域の飛竜の群れは、特殊なハーピー同様キラキラ光るモノが好きで巣に持ち帰る傾向にある。縄張りを積極的に荒らすのは、特殊なハーピー。
単騎で強気な喧嘩を何度も執拗に飛竜に売り付けているらしい。
「ここに、標準的なハーピーたちが巻き込まれる事があるみたいね」
売られた喧嘩を買うのが飛竜たち。集めた宝石を奪われてなるものかと総力戦をするんだとか。同族からも飛竜達にもいい迷惑な子ってことね。
二種族の喧嘩は、場所を選ばず村にまで降りてきて、まさしく災害のような喧嘩が嵐のように通っていく事もあるらしい。
「光り物が好きな特殊なハーピーは、もしかしたらこの地域の子じゃないのかも」
それならちょっと特殊な性格なのも頷ける。
他所から来たことで同族に馴染めず、趣味が被った飛竜との抗争が絶えない。
実に悪循環だ。
元の土地に帰らせるのは場所が特定できない以上、それは私達の仕事ではないので、素直に討伐を目指すのがいい。
討伐することで、標準的なハーピーと飛竜が喧嘩は極力少なくなるだろう。
「それにしても、山岳地帯はカラスの巣窟一歩手前な雰囲気ね……。村人の大切な物を取り返すついでに、討伐、頼まれて貰えるかしら?」
タテガミ
アックス&ウィザーズよりこんにちは、タテガミです。
依頼とは一切関係ありませんが。
山岳地帯と聞くと、つい、絶壁な崖に立つヤギとか思い出します。
今回は、【冒険】【冒険】【ボス戦】な形式です。
迦楼羅が予知したのは老婆と孫の風景の断片ですが。
ほかの村人も被害に遭っているようです。カラスですね。
光るモノは何でもかんでも集める特殊なハーピーと飛竜が!
競うように色んな所から持って来ているのでひょっとすると貴方の私物もあるのかも。そんな出会い方もあるでしょう。
流れるようにこの依頼、特殊なハーピーは言葉を発します。
ボス個体は肉体派なので、色欲はありません。
イメージはキックボクサー的なそれが近いです。
第1章 冒険
『老人達の意地』
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POW : 自分たちの力を見せつけて説得する等
SPD : 老人から武器を取り上げる、トラップで妨害する等
WIZ : 誠意を込めて会話し説得する等
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちが村へ訪れると、そこではガヤガヤと野次馬が集まっていた。
何事かを問えば、過去は屈強な肉体を誇ったのだろう老人が何か行動を起こしている様子。
「そろそろ我慢ならんのだ!」
「孫の頑張りを、無に帰すのは許せん!」
過去はバトルアックスを振り回し、歴戦の冒険者だったようだが。
歳には勝てず、バトルアックスに凭れ掛かるのが精一杯のようだ。
「じーさんたちはまず落ち着けよ。冒険者に頼ろう!」
「そーだそうだ、俺らが挑むことじゃねぇよ!」
えぇ、でも、だってと駄々を捏ねるばかりで、老人たちは諦めない。
なんらかの手段で、猟兵たちが代わりに行くと説得しなければならないようだ。
「……ん? アンタらその姿を見れば分かるぜ、強そうだ」
「悪いんだが、じーさんたちを止めてくれないか!」
村人たちの視線と期待が、猟兵たちに集まった。
アルマ・クラウヴェル
これは見過ごせませんね。
私にもおじいちゃんがいるのでわかります。
贈り物を大事にしてほしい気持ちももちろんありますが、それよりもおじいちゃんの喜ぶ顔が見たくて贈り物をするわけで。
お孫さんたちにしてみれば、危険を冒してまで物自体を大事にしてほしいわけではないはずです。
というわけで、お孫さんたちと年が近いであろう私は、お孫さんの立場からおじいさんたちを説得しましょう。
受け取るべきは物より、気持ち。
そして私たち猟兵…というよりはアックス&ウィザーズの冒険者として、必ず取り戻すと約束を添えての説得を試みます。
●
草木がさほど無く、興味と感心が色んな所へ視線を釘付けにしていく。
「神域」とされる故郷は森だったので、アルマ・クラウヴェル(ブルーアイズ・シルフィードナイト・f14999)にとってはとても新鮮な環境であった。
「どうかしましたか?」
ふわふわとした気分を引き連れてアルマは臆する事無く、揉め事の渦中に飛び込む。輪の中で、盗人猛々しいモンスターの行動に痺れを切らした村人とアルマはふと、目が合った。
「ばあさんの誕生日を祝う為に頑張った、健気な孫の気持ちが、わかるか?」
「……ばあさんと孫の喜ぶ顔を翳らせたモンスターを、討ちたい俺の気持ちが」
バトルアックスを持とうとする老人の手は、年相応にぼろぼろで冒険者を引退して久しいのだとすぐわかった。
武器も相当使い込まれ、一緒に同行しようとするもう1人の老人も、相当の手練であると見て取れる。彼らは二人組の冒険者だったのだろうか。
「これは……見過ごせませんね」
ふわりと鼻をくすぐるスズランの香りを漂わせて、小柄なアルマは戦いに赴かんとする老人の前に立つ。
気持ちは分かるけれど、流石にこのまま向かわせるわけには行かない。
「お気持ちは、分かります。私にもおじいちゃんが居ますから、……分かります」
目を伏せ、一度小さく深呼吸。すぅはぁ。
「ですから、私もお孫さんと同じ目線から失礼させて頂きますね?」
「お、おう?」
「お孫さんの想い、おばあさんの想い。おじいちゃんはそれを守りたいんですよね」
贈り物を大事にしてほしい気持ちは勿論あるだろう。現物があったのだから当然だ。
同時に、孫が贈り物をする気持ちも、喜ぶ顔がみたいからで有ることの想像は容易い。
「では、おじいちゃんが怪我をしたり危険な場所に行こうとする事は、お孫さんやおばあさんは喜ぶでしょうか?」
取り返してほしいという気持ちで言えば、喜ばれることだろう。だが身内という視点ならば。
危ないことをしてほしいと願うだろうか。いや、違う。
「……よろこんだりは、しないだろうな」
「ですから、そんなおじいちゃんが無茶なことをしないように、私達が行ってきますよ」
にっこりと、アルマは笑みを浮かべて、強い意志をその目に映してみせた。
――必ず、取り戻してみせるから、と。
老人は真っ直ぐな視線から視線を逃し、考え込むように黙った。
大成功
🔵🔵🔵
七篠・コガネ
とんでもない盗人がいたもんですね!そりゃ僕だって石は好きですし
盗みたい気持ちもちょっとは分かりますけど…でも泥棒は駄目!
そんな気持ちがあるものですから猟兵じゃなくても僕は討伐に行きますよ
お爺さん達…どうか僕らに任せてもらえないでしょうか?
お婆さんの喜ぶ顔をお孫さんが見たいように、僕も貴方達の喜ぶ顔が見たいです!
それでも僕らの力を信用してもらえないなら…『羽型ジェット』で空高く飛翔
からの地面に向かって【猛禽脚】でその威力を見せつけてみます
大丈夫。例のハーピーをカラスに例えるなら…
僕はそのカラスの天敵に当たる鷹です。盗られた宝石は必ず取り返します!
アドリブ・絡みOK
●Raptor
「話は聞かせてもらいました。とんでもない盗人がいたもんですねぇ」
ぶわ、と強めの風を引き連れて七篠・コガネ(f01385)が誰よりも大きな体躯でその場に現れる。
「……あんたも冒険者さんか?」
「おっと失礼。見上げる姿勢は大変ですよね」
膝を折り視界を、焦点を下げる。口を開いた村人がやや驚いた顔をしていたが見慣れたものだ。
「それで、冒険者さんも言いたいことがあるってやつなんだろう?」
頑固な爺さんたちなんだ、言ってやんな。と恰幅のいいおばさんに背中部分を後押しされる。どうにも満足げで、他所からきた冒険者であれば必ずなんとかしてくれるという顔に見えた。
「僕も石類は好きですよ、いっそ盗みたい気持ちになってしまうのだってちょっとはわかりますけど……」
村人たちの視線が集まる。え、こいつは何をいっているんだ、という顔だ。
「あ、いやいやぁ! 泥棒は駄目! 勿論です」
老人たちに強い気持ちがある、当然だ。でもわざわざ危険に飛び込まなくていいだろう。
「ですからね、僕らが行きますよ。盗人であるなら、討伐対象に相違無いですからね」
ハンドアクションを加え、手振りも合わせて友好的態度でコガネは老人たちに語る。
「お婆さんの喜ぶ顔をお孫さんが見たいように、僕も貴方達の喜ぶ顔が見たいです!」
どうか信用してほしい、と願い言葉を掛けるコガネ。
老人二人は威勢こそ無くしただけで、戦意までは霧散させてはいないようだった。
「きみは、つよいのか? 俺たちよりも。遥かにつよいのか?」
手も腕力も確かに衰えたが、戦意や殺意であれば君たちに負けたりはしないぞ、と目で語る。
「強いですよ、えぇ。見た目以上に、きっとソレ以上に」
その場で立ち上がり、コガネの歩幅で数歩その場を離れ、辺りを確認して『羽型ジェット』で
空高く飛翔し、軽く旋回してみせる。
「おぉ!?」
飛べる冒険者が居ないわけじゃない。山岳には飛んでるモンスターが多いので、更に驚く事ではない。
ただ、その飛翔があまりにも見事で力強く。
「昔の人はこう言いました”悪の報いは針の先”!」
急激に飛翔高度を切り替え、地上へと猛襲する。得物を見つけた猛禽類のようだ、と誰もが思った。
その姿はまるで、彼自身の体躯もあり、本当に大きな鳥に見えた。
――ガガッ、と彼は着地と同時に思い切り蹴りの一撃を大地に叩き込む。
集まっていた村人たちはその威力に息を呑む。
なにしろ、威力の余波で彼の周囲の岩盤が砕けていたからだ。
草木の殆ど無い山岳地帯の大地は総じて硬質化が進んでいる。それをたった一撃で砕いた。
「どうでしょう? 例の宝石盗人のハーピーがカラスにようであるならば……僕は天敵、鷹の如し存在ですよ。安心して任せて貰えますね?」
「……そう、かな。お前さんなら、やれるのかも知れんが……」
大成功
🔵🔵🔵
●Return match
「……冒険者さんたちの気持ちはわかった。俺たちより頼れる存在だ」
「しかし、だがなぁ……」
老人二人は優しい申し出に、後には引けないという顔で言いよどむ。
男が言葉を発したことだ、そうであるならば成し遂げるべきと思っているのだろう。
「……じゃあそうだな、アレだ。俺と、コイツ。どちらでもいい。実力で打倒して魅せてくれないか」
「諦めもつくし、俺らなりの冒険者への信頼でもある」
息の根止められると流石に困るがよ! と言葉を補足し、二人はどちらもバトルアックスを構える。
斧の先があがるようには見えないが、決意の言葉とともに持ち上げてみせるつもりだろう。引退してようが心はいつまでも冒険者というのか。
「あーもう、なんであのじーさんたちはあの見た目でも血気盛んなんだ!」
「誰でも良い、じーさんたちを満足させてやってくれよ!」
山岳地帯のモンスターが生息している場所を、いくつか纏めて教えるからさ、と村人たちが口々に言い出すのを、君たちは聞いた。
サフィリア・ラズワルド
WIZを選択
『わかります!その気持ちすっごくわかります!』とペンダントを竜騎士の槍に変えて構えます。
私もキラキラしたものが大好き!宝石でもただのガラスでも集めて大切にしまってある、特に私が竜騎士と認められた日にプレゼントされたこのペンダントが一番のお気に入り!もしそれが奪われたらと思うと……
【竜の咆哮】に【殺気】と怒りを込めて使い『必ず取り返してきます、人の宝物を奪うとどうなるのか……さあ、やりましょう、私の力をお見せします。』と本気で向かい合います。
向こうが向かってきたら受けますが来なければ槍は振るいません。
アドリブ協力、歓迎です。
ネムネ・ロムネ
なんて声を掛けようかと考えていましたが話がまとまって来たみたいですね
そういう事ならネムに任せるのです
言語でのコミュニケーションは少し苦手ですけど、体を使ったコミュニケーションなら説得力を持たせられる筈なのです
取り出したのは巨大な威容のガトリングガン
ネムのいつもの説得道具です
お爺さんたちに弾丸が当たらない様に配慮しながら彼らの機動力を奪うのです
お爺さんの得物には拳銃による銃撃を浴びせ、武器破壊を狙うのですよ
お爺さん相手にUCの使用は禁物です
あくまで怪我を負わせないように無力化をはかりましょう
ん。
ネムに任せれば上手く行くのです
みんなここで待ってるのです
何故なら孫もまた、特別な存在ですから
なんてね
弥刀・一二三
spd
口八丁、手八丁なら任しておくれやす!
「お気持ち、お察ししますわ。せやけど、態々お爺はん程の方が出るほどもあらしませんやろ?
「使えるもんは使わな損でっせ?鍋かて独り身に大鍋は使い難いし、適材適所、お爺はん程の力量やと山岳地帯に亀裂入って山崩れでも起こってもうたら何もかもワヤでっせ?
情報収集、コミュ力、言いくるめ、見切りで上手い事乗せて猟兵に任す気にさせる
口で聞かんかったら、フェイントでだまし討ちしロープワークと暗号作成で抜け出せんよう捕捉。メカニックも使い、抜け出せん拠点防御作成
住民を言いくるめ、爺さんを逃さんように。念の為、住人にも解けん捕捉状態に
「…人としてどないやねん…
勝手に自己嫌悪
●fall down
「名乗らねぇと模擬戦闘ができねぇってんなら、俺らは名乗るぞ」
強い意志で孫とお婆さんの為に向かおうとしていた男が、ナックル。付き添いの相方がフィストだ。名乗られはしたが、それはさほど重要な事ではない。
「うちは一二三。やーやぁ、お察ししますわ。せやけど、態々お爺はん程の方が出るほどでもあらしませんやろ?」
ほかの猟兵が喋りだすよりはやく、弥刀・一二三(サイボーグのスターライダー・f10459)は飄々とした仕草で名乗りながら話しかける。
「使えるもんは使わな損でっせ? 人員ならうちらでもえぇわけやん?」
指差すようにほかの猟兵を指差し、最後に自分を。頭数ならこんなにある、何も不安は無いぞという動作だ。
「例えば鍋かて独り身に大鍋は使い難いし、人手が欲しくなる」
攻撃の意思がないのかと疑いの視線を向けながら、ナックルとフィストは静かに話を聞いている。
「適材適所。お爺はん程の力量やと山岳地帯に亀裂入って山崩れでも起こってもうたら何もかもワヤでっせ?」
――その腕は、決して見掛け倒しではないと、うちは思うてますからね。
身振り手振りを加え、一二三が武器を構えること無く教え諭すようにナックルとフィストの周りを歩いて廻っていた。
「まぁ、既に心は移り変わってはいるようやけど、ねぇ?」
――ハイ、できた。ひとまずは、こんくらい?
一二三が歩き出した始まりの位置に戻る頃には、ナックルとフィストは身動きを匠に結ばれたロープで封じられていると知る。
「な、に……?」
「実力示すんと、不意打ちで縛るんは違うっていいなさる? これも立派な戦術かも知れんですよ?」
ラピスラズリのペンダントを竜騎士の槍に変え、サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)はにっこりわかってみせた。
――わかります! キラキラしたものが好きな気持ち!
サフィリアはハーピーに同意する気持ちが表情から浮かんでいた。
宝石でも、ガラスでも、キラキラするものは大切にしたくなる。サフィリアもそうだ。一つ一つが放つ輝きを、見て見なかったことにするには煌めきが綺麗すぎて目を離せなくなるのだろう。
「私はサフィリア。私にも大切な宝石があるので、どちらの気持ちだって分かるつもりです」
竜騎士と認められた日にプレゼントされたペンダントは特に大切で。別の誰かの手に、強引な手段で渡ったとしたら――。
――絶対悔しいと思うし、返して、と言い募る。お爺さんたちと同じだ。
大きく息を吸い、思いを言葉に乗せて、咆哮はその場を染め上げる。
「必ず取り返してきます、人の宝物を奪うとどうなるのか……! さあ、やりましょう、私の力をお見せしますから」
軽くビリビリと肌に感じる威圧感と、思いの丈のギャップ。既に捕縛されていたナックルとフィストは面白いものを見ていると、にやりと笑ってその言葉を受け取った。
「心に来る言葉、は猟兵さんたちがかなり示してくれてるがね」
「肌まで感じる思いの丈とは、これまた意志をかなり伝えてくれてるんだと俺らも分かる」
殺意と怒りが込められた咆哮は、老人二人の頑固な頭に相当な意志を見せつけた。
「縛られっぱなしなのは元とはいえ冒険者の名折れ」
「ほれ、そこのお嬢さんもこちらに躍り出てはどうだ?」
米上に血管がスゥと浮かぶくらいに力み、強引に拘束を外す二人。存外彼らは元気な老人である。
フィストとナックルは既に気がついていた。この村の住人ではなく力ある冒険者、否、猟兵のネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)が居ることを。
来るなら今だぞ、と促されネムネは人垣からひょこ、と寄ってきた。
「なんて声を掛けようかと考えていましたが話がまとまって来たみたいですね」
――次はどのタイミングで接触を図るか、とか考えてました。
言語でのコミュニケーションでは限界がある。ネムネもコミュニケーションは少し苦手であった。だが、身体を使う物理的な交信であれば。求められるのは武器や在り方、扱い方を交えた交流だ。
それならば、特に苦ということはない。
「この状態なら、二対二。どこまでも平等なのです、よ?」
説得に、とネムネが準備したのは巨大な交渉道具【ガトリングガン】。
円滑な交渉や説得を進めるためというが、その大きさと立派な厳かな雰囲気はとてもじゃないがサフィリアの咆哮と同じくらいの威圧感がある。
ふわ、とドラゴニアン特有の翼を広げて槍をサフィリアが構えたのを見ると、ナックルはついにそのバトルアックスを持ち上げ攻撃の動作に入った。
駆け出し、その場を砕かんばかりの重たい一撃をネムネへ仕掛ける。飛び上がり、地面を穿たんとする。
勿論ネムネは躱し、説得道具から雨のように弾丸を差し向ける。バトルアックスの影に隠れ、弾丸はどれも当たらない。
――説得道具の弾丸は決して当てません。配慮しながら、足場を的確に奪うのです。
武器に当てているようで、地面を攻撃し。武器本体には拳銃でバンバン同じ場所ばかり質量に狙う。
――こういう集中放火が求められるゲームがあるって、聞きましたのです。誰かに。
フィストも同じく鏡合わせな動作で利き手違いの同じ攻撃をサフィリア向け、迫った。
槍で可能な範囲でいなし、身体への攻撃をギリギリで逸して地面を叩かせる。人生経験と共に感じる重たすぎる一撃で手がしびれる。
「うちもあそこに入ったほうがよかったやろか?」
そんな地震が起こりそうな程岩盤を叩く動作が何度か続いてる様子を、一二三が人垣まで下がって様子を見守っていると。
――いいや。ふたりだけで、十分過ぎるくらいですわ。
程なくして三人の思惑は、周囲をあっと言わせる形で突然実を結ぶ。
「……ん?」
「……あ、お前ら、まさか」
言うが早いかナックルとフィストの立っていた足場はそのまま砕け、人二人分くらいの落とし穴となり落下した。
タイミングよくバトルアックスの刃が砕け、落ちて危ない目に遭うことはなくなったので恐らく無傷である。
「その通りです。実力で倒せと、村の方々も仰っていましたから」
「無意味に死と隣り合わせになることはあらしませんからね」
ミシミシという音。人垣との距離。
弾丸が地面を叩き、重量級のバトルアックスでその地面を更に穿っていた。
はじまりは一二三がぐるりと歩いて廻ったその円周。
ネムネはその縁の中が上手く陥没するように執拗に雨を振らせ続けた。
サフィリアも途中で気が付き、己からは決して攻撃を加えないまま、足場を攻撃させ続けた。
「それなりに全力で無力化してみました、なのです。どうでしょう?」
「ハッハッハ、こりゃあ参った。わりぃがハーピーの事は頼んだよ」
「まぁ、迅速に穴からでるのを手伝ってくれや」
見事その場を収めた猟兵の手際に、大きな拍手が送られた。
誰も怪我もせず、収拾をつけたのだ。まぁ、大きな男が二人落ちるほどの穴が空いたが。
――笑い話の種として、猟兵たちが戻る頃には埋めておけばいいだけだ。
大成功
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第2章 冒険
『妖鳥と飛竜の乱舞』
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POW : 村付近に現れる弱いモンスターの討伐、動物を追い払う
SPD : どの方角でハーピーとワイバーンが争っているか調べる
WIZ : 村人への避難指示、ハーピーとワイバーンを放す策を考える
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「で、だ」
村を出て、暫く歩くとわりと近場にワイバーンの住処がそこら中にあったりする。
山岳帯だから、そんなに身を隠せる場所があるわけでもなし。
どのモンスターも、大抵、小さな洞穴なんかをねぐらにしてるはずだ。
ワイバーンとハーピーがこの辺りでは二大勢力だが、それ以外の小動物やらが居ないわけじゃない。
それこそ、簡単に襲われないようにここよいもっと遠い枯れ木の中とかに住んでるだろう。
「件のハーピーはそちらの方向へ逃げただろうというのは村の奴ら全員の総意だ」
迷う道ではないが、と言葉を先に伝え若い村人が数人同行すると申し出た。
「もし争う場に出くわせば、俺らを囮にしてくれても構わない」
ハーピーとワイバーンは縄張りを争うように時折敵対して争っている。
――その原因が、ほぼ確実に特殊なハーピーであると男はいうのだ。
「探すにも、特定するにも人手がいるだろう?」
「所構わず小動物を捕食するワイバーンが居たり、小競り合いをしているだろうがよ」
どちらかを諌めるか、追い払えば収まること。
――収まらなきゃ、それはそれなりの理由があるのさ。
「特殊なハーピーは喋るんだろ? 普通のは歌うときくらいなもんだ」
ハーピーに言葉が通じるのかはわからんが。なに、考えて出来ることから始めよう。
――この山岳帯のどこかに必ず、ヤツはいるんだからさ。
ネムネ・ロムネ
※アドリブ連携歓迎
ん。皆のお蔭で説得は上手くいきましたですね
後はあの鳥を見つけて『交渉』するだけなのですよ
張り切って行きましょう
貴方たちを囮に?
馬鹿言ってんじゃねーですよ
待ってください
ネムが情報を纏めます
・キラキラ光る物を集める
・趣味が一緒なワイバーンとの小競り合い
・同族とも馴染めない
・歌うどころか普通に喋る
コミュ障もいい所ですね
ん。その目はなんですか
兎に角
大量に落ちた羽等がないか争った形跡を重点的に見ていくのですよ
いつ上空から仕掛けてくるかわからないですからね
足元だけじゃなく空への警戒も怠らないのです
開けた所では狙撃銃のスコープのレンズを太陽に反射させてハーピーをおびき出せるか試すのですよ
弥刀・一二三
spd アド連携歓迎
「ワイバーンのが大きおすし、目立ちますな
念の為、村に拠点防御を施し、コミュ力と聞き耳で住民からハーピーやワイバーンの多い場所を聞き込み。
世界知識と地形の利用、見切り、視力、情報収集でワイバーン達にバレないよう聞き耳と追跡で場所把握し迷彩で目立たないよう進む。
岩を登ったりする時は音を立てず相手から見えないよう、ロープワーク、クライミング、ジャンプ等移動に注意。
「…光モンを何処に隠しとるんかも探らんと、どすな
戦闘やったらおびき寄せ、ジャンプ、空中戦、だまし討ちに目潰し出来るし、先に早業、失せ物探しで暗視や見切り等使い、見つけて物を隠すで分からんよう仕舞っときまひょか
●
「まぁまぁ、颯爽と村の外へ出て大変な思いをするには早いというか?」
弥刀・一二三はそう言うと、自作バイクのMONSTER DAEGを吹かし少しだけ村を疾走る。
心配の必要はないかも知れないが、疾走る事で緩く轍を道々に刻み、多少なりの意味を持つ防御印とするためだ。
怪しげな呪いを施した、と別に思われない程度。あくまで、突然走り出した冒険者、くらいにしか思われないはずである。
「あくまで急ぎの応急処置やけんど。……あ、そこ行くお嬢はん?」
「はい?」
キキィと急激に止まり、一人の村人に声を掛ける一二三。
MONSTER DAEGの駆動が止まることですざぁあと砂が巻き上がり、風に紛れる。
「あっちから村を出たとして、の話なんやけど。ワイバーンやらハーピーやら、見かけたこと御座します?」
「あっち? あぁ、数日前に、少し行ったところにあるとても大きな枯れた巨木の傍で、ワイバーンを見ましたね」
一体だけではなく、それも数体が巨木で翼を休め留まっているのをみたという。
朝早い時間にその様子を見て遠くの村へ足を伸ばし、数日後の夕方頃に村へ戻ってきた時にも変わらず群がるワイバーンが居たというのだ。
「へぇ? そりゃあおかしいようすやねぇ。何か大事なものでも隠しとるんかな」
「集まっていたから、何か、離れられない理由があるんでしょうか……いっぱい居ると、やっぱり怖いですよ」
弱々しく微笑んで村人はその場を後にした。その姿を見送ってそれじゃあ、とかっ飛ばして一二三は戻る。
この間、とても長いようで短い時間が流れていたが、それは一二三の改造技術が生んだ最高性能の賜物だろう。
「なにかありました? ネムネも行動する前にここの人たちの言葉を纏めていたですよ」
ぶわっと風を巻き起こしながら戻ってきた一二三をみて、ネムネ・ロムネは空中を軽く指さして言葉を選ぶ。
「まず、村人さんたちを囮にするのは考えから除外ですね。勿論です。それでー……ネムネは考えました」
要点を纏めながら私見も述べるですね、と前置きして、順番に連ねていく。
『キラキラ光るものを集める鳥』……これは盗まれたタイミイング次第で、装飾品で着飾っていたりもするのでは?
『趣味が一緒なワイバーンとの小競り合いを度々起こしている』……集団vs一体で喧嘩しているハーピーが居たら怪しいですね。
『同族とも馴染めない』……これは、一体であることは確定なのですよ。コミュ障ですね、きっと。
『歌うどころか普通に喋る』……明らかな相違点ですね、気を引けそうな事言って話しかけたら言葉が返ってきそうなのです。
「まぁ、ここまで並べてなんですけど。コミュ障もいいところですね」
人差し指をくるりくるりと回して遊びながらネムネが言うと、一二三が仄かにクツクツと笑った。
「こっちはワイバーンが妙にたくさんいる場所を掴んできましたよって。んじゃ、第一目標はソレってことで?」
「ん、その目はなんですか。指標はある方が良いですよね」
「あぁ、あのワイバーンの沢山止まった枯れ木のことか? アレは最近村では皆知ってるな」
「案内を頼んでも?」
もちろんだ、と村人が切り返せば、猟兵たちはほのぼのとした空気を出しながら村を出ていく。
――暫く歩くと、それは確かにあった。目に見えて、ワイバーンが沢山留まっているおかしい枯れた巨木だ。
周囲は壁と言わんばかりに人の背丈を越えた崖に囲まれている袋小路にある為、何かがあることは間違いない。
一二三は息を潜めて、周囲警戒を行っていたため、ワイバーンにはまだ気づかれていないようだ。
「……うちが、ひょいひょーいと巣穴を軽く覗いてきますよーって」
木ですら直立に登りだすバイクがそこにある。バイクだと言われても誰もわからないだろう。
一二三による常時改造されたバイクとユーベルコードのチカラでそれを可能としている。
排気音も、駆動音も何も音がしない。聞こえるとすれば翼を休めたワイバーンの吐息と、一二三の息を殺した呼吸音くらい。
「ここが、巣穴の……ん?」
煌めいたソレは、枯れた巨木に似合わない宝石やガラスが無造作に集められていた場所で見つけた。
――少し汚れた箱に、宝石が入っているものがある。盗まれた宝石はこれだろうか?
随分前に盗まれたにしては箱の外観はとても新しく、壊れてる様子もない。
宝石の類に盗まれた物があれば返せるようにとポケットに詰めれるだけ詰めて、同じ帰り道を戻る。
ワイバーンは気が付かない。彼らが「集めた守る宝物」が盗まれたことを。
「では一二三さんが戻るまでに、ネムネはその辺りに羽がないかを」
その辺り、というには少し遠くを狙撃銃のスコープ越しに覗くと、ぴょこぴょこと跳ねたり踊ったりをするハーピーの数体を見つけた。
本当に、色んな所に住んでいるモンスターが居るらしい。では単騎を探し出せばあるいは。
「あれは二体、……向こうは、三体……。……おや?」
――1体が、崖の上でお弁当を広げるような動作で何かを広げている……?
「……もしかして、あれでは? 明らかにあれ、ぼっちなのですよ?」
スコープのレンズの角度を調節し、太陽を反射させたキラキラがあのハーピーに届かないかとネムネは試す。
チラチラと光ったガラスは大変魅力出来だろう、さて、どうか。
「「グアァアアアアアアアア!」」
空から吼える声が上がる。ひとつ、ふたつ。
「おっとコレは想定外ですよ!」
それはどちらも、ワイバーンの声だ。
狙い定めたハーピーが気づくより先にワイバーンに気づかれてしまったようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●転機
ワイバーン――彼らの目的は、あくまで輝くモノを独占して持ち帰る為。
少し遅れてハーピーも輝いたレンズの反射に気がついてぱたぱたと翔んで跳ねて走りこちらへ向かってこようとしている。
では、ワイバーン二体を追い払うか撃ち倒せば。
――あのハーピーをおびき出せるということだ。
七篠・コガネ
あのワイバーン達を追い払えば良いのでしょうか
ならば任せて下さい!
【空中戦】は得意です。十八番ってやつです!
事前に村人達から光り物を幾つか貸してもらえないでしょうか?
なに…下手な事はしません。大丈夫です。ただの誘き出し用
これら光り物をワイバーン達に見せて空高い所まで誘導してみます
盗まれる物より新しく手に入る物のが良いんじゃないでしょうか
僕の飛行速度に追いつけるなら追いついてみやがれですよ
こちとら宇宙空間をモノともしない鎧装騎兵!
で、これら光り物を遠くへぶん投げてみましょう
陽の光が当たる方へ。キラキラと光り輝かせて。
本当は今投げたの、僕のビー玉とかおはじきなんですけどね
…僕の宝物だったけど……ッ!
アルマ・クラウヴェル
※アドリブ連携、絡み歓迎
囮のお話は丁重にお断りし、万が一に備えて避難誘導をしておきましょう。
「安全を確保してくださったほうがより確実です。先程も言いましたが、どうか私たちを信じて。皆さんは防衛に努めてください」
モンスターに対する簡単なバリケードの作製を指示し、光物を持たないよう注意喚起した後、皆さんを追いかけます。
っと、両方の目を引いてしまいましたか。ならハーピィからは岩陰になりワイバーンからは見える位置で、武器の刀身に光を反射してワイバーンのみをおびき寄せてみましょう。
それぞれの目標地点をずらすことで、少しでも時間を稼げれば。
上手くいったら他の皆さんと合流し、まずはワイバーンに備えましょう。
●
ワイバーンが上空で2体、空襲を仕掛けようとしているといち早く気がついたアルマ・クラウヴェル。
「予め伝えておきますが、囮のお話は丁重にお断りします。万が一、というには少々遅いですが……物陰は……」
なるべく早口に伝えようと心掛けるもののアルマの近くには、そういった類はなかった。身を寄せ合うか、護り切るかの二択が最適といったところだ。
「決して、私たちが見える所からあまり離れないでくださいね。どうか、私たちを信じて!……皆さんは防衛に努めて下さい」
――安全を約束できるとしたら、確実なのはそこなのです。
モンスターに対する簡単なバリケード作成を指示するが、身を隠せる物が足りない。村人たちが各々持ち寄った猟銃などの攻撃的防衛策が最善の選択か。
「光るような物をお持ちの方はいらっしゃいますか? 持っているようなら……」
同行してきた村人は、ポケットに紛れ込んでいた瓶の蓋や銃弾の予備を見せてくる。
「俺らが持ってんのはこんなんだが、危ねぇかなぁ」
「失礼。幾つか貸してもらえないでしょうか? なに……下手な事はしません」
「構わねぇさ。むしろ冒険者さんたちのほうがもっと大変なことするだろう? 持ってってくれ」
「銃弾はもしもの時に必要でしょう、最低限だけお借りします」
七篠・コガネが声を掛けると村人は進んで弾丸を渡してきた。
「では誘導の先陣は私が。あれはこちらが先に動くのをきっと待っているんです」
――そうじゃないと、ずっとぐるぐると旋回なんてしませんよね。
「分かりました。僕が上空で更に引きつけて、この場所から引き離せないか試みましょう」
二言、交わした後に猟兵たちは行動に移る。なにせ、あまり時間はないのだ。
ハーピーがココにたどり着いて新たな諍いが起こるまでに、なんとかしなければならないのだから。
「きらきら! ここに、ありますよ!」
村人をワイバーンが狙わないようにと、ぱたぱたと離れるように駆け出しながらルーンソードの刀身に太陽の光を反射させ、上空のワイバーンを誘う。
わざわざ目に光を当てるようにかざして見せれば、大きな光り物があると、錯覚すると思うが。
「グァアアアアア!」
好物を見つけたような歓喜のように聞こえる声色。どうやらワイバーンの好みの煌めきだったらしい。
アルマの方へ、羽ばたく腕に力を込めて一目散にやや滑空しながら飛んでいく。
他の仲間にも目もくれず、目標に向けて真っ直ぐに。
対象的にコガネがワイバーンにそれとなく仲間であるように振る舞うかのように並走するように飛翔すれば、敵意をなるべく殺して話しかける。
「あちらだけでいいですか? ココにもあったりするんですが。ほら」
手のひらを開いて見せれば、太陽の光を大きく反射させて銃弾が黄金に輝く。
村人たちの猟銃は日常生活の必需品であるものなので、道具の手入れ具合もピカイチであった。すぐさま装填しても暴発なんて事は起こさないだろう。大事に、銃弾も磨かれている。それにより、余計に輝いて見えるだろう。
「グルァアアアアアア!!!」
言葉を喋るとしたら、全部欲しいと言ったところか。
「ではどうぞ、僕についてきて下さい。ほら、こっちですよ!」
コガネはやや低い空中から上へ上へと高度をあげて誘導を試みる。
――空は僕の十八番ですよ。庭を散歩するような感じです!
徐々に速度を早め、爆発的なスピードアップを図って見ようと思ったのは、きっと気まぐれで。飛行速度も、飛翔速度も宇宙空間ですら自由に飛び回る鎧装騎兵にとってはどこでも広く自由な庭であるだろう。
そんな速度に完全に取り残されながらも、ワイバーンは精一杯の羽ばたきで、釣られるように付いてきた。ルーンソードの刀身もだいぶ輝いていたが、更にキラキラしていた銃弾は大変お気に召したらしい。
「手渡しするのは、残念ながら出来ませんが。この手から離れたら拾った人のものです、よッ!」
グッ、と腕に力を込めて思い切り握り込んでいた物を投げるコガネ。
放物線を描くが、投擲にしては速い速度でそれは飛び、小さな質量でもたしかにキラキラと太陽光を反射させて。
下で見ていた村人たちが日中に流星を見た気分だ、と言ったのをアルマは聞いた。
「グァアアアア!!!!」
二体は我先にとその軌道を追うように飛んでいく。
落ちた先で今度はどちらが拾うかを争うのだろうが、それはどちらでも構わない話だ。
――アレは、僕の宝物だったんですけど……! ちゃんと見つけ出して、大事にしてくれるでしょうか……!
地上に降りるまで、コガネは投げたおはじきの事を想い馳せていた。
投げたのは、ワイバーンに見せていた借りた銃弾ではない。コガネの大事な私物だったのだ。
それを知っているのは投げた当機であるコガネだけである。
「これで、鉢合わせは回避、出来たでしょうか……?」
地上のアルマからはキラキラに引き寄せられるように、こちらに駆け込んでくるハーピーを目撃する。
――ギリギリ、猟兵たちは間に合ったのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ハーピー』
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POW : エキドナブラッド
【伝説に語られる『魔獣の母』の血】に覚醒して【怒りと食欲をあらわにした怪物の形相】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : ハーピーシャウト
【金切り声と羽ばたきに乗せて衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ハーピーズソング
【ハーピーの歌声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
イラスト:+風
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
鉢合わせこそしなかったが、ワイバーンの気を引く為にキラキラさせ続けた事で何故か不服気に頬を膨らませてハーピーは拗ねたような仕草をしている。
「ワイバーンばっかり、贔屓しないでよ~」
言葉を喋った。では、このハーピーが件の盗人だ。
「アタシが貰ったものを、その子達が略奪したの! だからアタシが返り討ちにしたのに、何度も何度もくるんだもの~!」
ハーピーの言葉は若干要領を得ないが、時系列順に言い分を纏めるとこうなる。
『奪った宝石を、一度ワイバーンに強奪された。返り討ちにして取り返したものの、何度も小競り合いを持ちかけてくる』
では今その宝石はどこにあるというのか? ハーピーに特殊な装飾は見られない。
「今朝また取られたからアタシは復讐に来るつもりだったのにぃ~!」
待ち合わせに遅れた事を叱るような言い分に調子を狂わされるだろうが、騙されてはいけない。この余所からこの地に来たハーピーが先に、先住民のワイバーンがやっていたキラキラ集めを強行するようになった事でこの問題は起こったのだ。
特殊な趣味、特殊な趣向に悪いことはないが、この山岳地帯に彼女のようなハーピーの居場所はない。
「……あれ? 貴方のそれもキラキラね? あ、じゃあそれでも良いわ。それ、ちょおだい!」
――くれないなら、ボコボコにしてでも貰っちゃうんだから!
「煌めくそれは、……それはね、アタシのものよ」
ネムネ・ロムネ
※アドリブ連携歓迎
奪われた宝石
弥刀さんが回収したアレですね
弥刀さん
その石頼んだですよ
ん。
やっぱりこっちに来ますですね
スコープに釣られて向かってきたハーピーをギリギリまで引きつけて狙撃するのです
当たれば良し
もし外れた、あるいは掠った程度なら狙撃銃は捨ててすぐに回避に入るのですよ
近距離戦ならガトリングガンと拳銃で
遠距離戦ならバズーカの【誘導弾】で対応するのです
とはいえ、白兵戦はほんとに苦手です
一人で戦っては敗北は必至です
味方の援護が必要ですね
余りにハーピーに詰められた場合はUCを発動するのです
ガジェットスーツはどんな形状になるのかわからないです
少しでも早く使い方を把握しなくちゃ、ですね
●
「それ、きらきらよね。ちょおだーい! そういうの、アタシだぁいすきー!」
スコープのレンズが煌めくのだとハーピーは認識し、ネムネ・ロムネを第一目標と決めてぱたぱたと近づいてくる。
「……え、今朝ワイバーンに盗まれたです?」
――それなら、弥刀さんが何か隠し持っていたようですし。きっとアレですね。
納得したように満足気に頷けば、それではこの後どうするか、とネムネは考える。
――真正面から来るなら、狙撃するです。しかし、それもギリギリまで引きつけたからがいいですね。
「ねーえ、きいてるー?」
親しい友達に話しかけるような気軽さでハーピーは警戒の様子もなく手を降って近づいてきた。
「聞いているですよ。でも、初対面で馴れ馴れしいのはちょっと」
スコープを覗き込みながら声に応じ、狙撃銃の引き金を引く。パァン。切れ味の良い音が響いた。ご挨拶、と言わんばかりに足を狙うが、ハーピーはそよぐ風を浴びるような自然な動作で避ける。
「ん~? ご挨拶から始めたつもりだったのだけれど~?」
狙撃銃での足狙いを追撃にもう2,3発おまけして撃ち放ったネムネは、当たったかどうかの確認をするより先にひとまず狙撃銃をその場に放棄した。
体勢を建て直さなければ、間近でこんにちはしてしまうのだ。放たれた銃弾は地面スレスレで跳躍するように直線起動を逸れ、一発を犠牲に、速度を受けて更に加速して跳んで行った。
弾丸のレーザー、そんな勢いのある飛び方をしていた二発目が肩に刺さるように命中し、貫通。
三発目が太ももに届き切る前にハーピーはバサバサと羽ばたいて、
「ぴゃぁあああ! いたいのは~、いやぁ~!!」
耳に痛い甲高い声色で叫びながら、声音と風の衝撃波を放ち三発目の被害から身を守った。風の刃となった衝撃波が無差別に飛んでいったが、誰の被害も無さそうだ。
「第一声が『頂戴と大好き』だったあたり、挨拶じゃないと思うですよ!?」
交渉道具のガトリングガンに少し身を隠していたので、ネムネにも被害はない。
スカートの下から説得道具の拳銃を取り出し、応戦の構えを取るが勝機を見出だせず内心は慌てている。
――白兵戦は、ほんとに苦手です。一人で戦っては敗北は必至です……!
「声をかけたら、それは挨拶よー! ヒトは細かいことを気にするのね!」
――ハーピーからすれば、ネムネもちゃんと『人』です?
人間になる方法を探し放浪するネムネは思わず拳銃での狙撃の手を止めそうになるが、相手はモンスターだ。
彼女にどう見えていたとしても、望む結果が叶うものではない。
理屈っぽく答えてくるがハーピーが考えて発言しているかも怪しい。どことなく幼稚にもきこえるのだ。
「ヒト以外にも声かけて意思疎通、してから言わねーと意味ねーですよ!」
意識を集中して、弾丸の消費を最低限に抑えて。
ネムネと口論しながらの応戦なので、ハーピーも注意力が散漫となって未だ無事の肩を穿たれた。
「……ひどいわひどいわ。でも、きらきらをくれるまで諦めないんだから……!」
ハーピーの両肩は血塗れとなり、悔しげに猟兵たちをみている――。
成功
🔵🔵🔴
七篠・コガネ
僕だってキラキラは大好きです
だから僕は誰も悲しまない方法でキラキラを手に入れてるのですよ
ハーピーに【空中戦】を仕掛けます
お互い得意でしょう?鳥の喧嘩は空が似合いますから
この雌カラス!盗んだもの返せ!
返さなきゃその羽噛みちぎって二度と飛べない体にしてやりますから!
子供の口喧嘩のつもりじゃないです
瞬時装着した『Heartless Left』で応戦
ハーピーの意識を武器と私物のおはじきに集中させてみます
飛行速度が最速まで達したところで更に上へ飛翔
からのハーピーの頭上目掛けて地へ叩き落とすように
【踏みつけ】がてら渾身の蹴り一発
昔の人はこう言いました“能ある鷹は爪を隠す”!
貴方の血が一番キラキラですよ
●Birds of prey kinds fly.
「アタシのキラキラぁ~!」
ハーピーが声を上げれば七篠・コガネは友人のように声を掛ける。
「僕だってキラキラは大好きです」
――ただし、僕は誰も悲しまない方法でキラキラを手に入れてるのですよ。あなたと同じではない。
「じゃああなたも仲間ね! 嬉しいわ!」
仲間意識でも持ったのか、楽しそうに笑うハーピー。
コガネはその表情の意味を意識の隅で拾うことはせず、ただ事実として突きつける。
「僕は誰かから奪ったりしません。ですから、仲間にはなれませんね」
あぁ、今気が付きましたと言わんばかりに自然な動作でコガネは空を指差す。
「強いて言えば、同じ獲物を狙う好敵手にならなれますね。貴方の狙いは僕が横取りします」
――そんなの、嫌でしょう? 生物であるなら、そういうのはお嫌いですよね。
「ライバル……ワイバーンと同じなのね、アナタ。でもいいわ。アナタは言葉を話すもの。一方的には負けないわ!」
「ではあちらでやりましょう。お互い得意でしょう? 鳥の喧嘩は空が似合いますから」
コガネが空へ飛び出せば、ハーピーも翼を広げて空へと追いかける。
同族なのに仲間が居なかったハーピーにとっては、ワイバーン以外の『話す鳥』に親近感でも抱いたのだろう。
「この雌カラス! 盗んだもの返せ! 返さなきゃその羽噛みちぎって二度と飛べない体にしてやりますから!」
――ワイバーンに掠め盗られた物だけじゃないですよ。全て、です。
「アタシがカラスなら、アナタもそうよね! 一方的な罵倒だなんて、雄カラスはしつけがなっていないわ!」
ざわり、とハーピーが今までの暢気な姿から猟奇的な猛禽類のようなオーラを放ち始め、姿を変え始める。
同族にそんな強い言葉を言われた事はない、と瞬間的に頭にきたようだ。
身体を流れる獰猛な伝説の血にも火を灯したのだろう、絶対許さない食べてやるとぶつぶつ呟いている。
「今ならまだ、許してあげる……! アタシは優しいの。どう、謝る気はないかしら!」
「子供の口喧嘩のつもりじゃないですよ」
手まで猛禽類の足に変貌させたハーピーが、コガネを強靭な手で捕まえようとして、睨む。
手が伸びてくる度、Heartless Leftで応戦し、穿たれる前に穿たんと、攻防を繰り返す。
「がるるるるる~!」
鳥というよりは空を飛ぶ獣と成り果てたハーピーは当たらずとも攻撃を繰り返す。
近くで攻撃を受ければ、手ばかりではなく目の色も変わっていた。
怒りに任せて色んな所が変貌していると、コガネは冷静に分析する。種族の血、というやつか。
「そうはなっても、これ、好きですよね?」
ほらパイルバンカーだって、キラキラですよ? と言わんばかりに、静かに語りつつも私物のおはじきを取り出し赤く染まった瞳の前にみせつける。
「勿論よ! 全部全部全部、お腹いっぱいになるまで集めるの、アタシのものだから!」
「ではこちらへ? 追いつけるものなら、いくつでもあげますよ」
コガネは翼を広げ、突如加速を試みる。プラズマジェットでの緊急加速だ。何者も、即座に追いつき追い越すことなど出来はしない。
変貌した姿になったハーピーは一回り体格が大きくなっているようで、より立派になった翼を広げ追尾を開始した。
コガネはハーピーの5倍以上の速度で飛び回る。鳥は常に自由であるべきで、自由な軌道で飛ぶのも当然のこと。
――そろそろ、でしょうか?
目標のハイスピードに到達したと確信したコガネは太陽目掛けて飛び、そして落下の加速も加えながら強靭な足で空の世界からハーピーを蹴り落とす。
「がっ……!?」
重力と衝撃とが同時にハーピーを襲っている。聞こえていないかも知れない。
「空で自由なのは鳥の権利のようなもの。否定はしません。ですが」
鋭い鉤爪の足が暴れるものを逃さず、捕らえ続けている。
「……昔の人はこう言いました“能ある鷹は爪を隠す”!」
――鳥であるなら、奥のお手は隠すべきです。僕の方が立派な鳥ということですよ、雌カラス。
数秒後には硬い地面の岩盤を割り砕きながら、ハーピーが地面に叩き込まれる。
かはっ、と血を吐き、キラキラが欲しいとの声を言えぬほどまで弱ったように見えた。
「貴方の血が一番キラキラですよ」
――形ある物ばかりが、煌めいているなんて思わない事です。命の煌きも含まれる、なんていっても伝わらないのでしょうが。
大成功
🔵🔵🔵
弥刀・一二三
spdアド絡可
「キラキラは全部奪ってまいましたわ
オーラ防御と耳栓で声を防御
自身のチョーカーの金飾りをチェーンで振り回しおびき寄せ、バイクで早業、ダッシュ、逃げ足、ジャンプ、見切りと野生の勘、地形の利用、誘導弾で敵の攻撃範囲外、攻撃回避しながら貴金属類をバレないよう物を隠すで盗られないように
スナイパーで先制攻撃し目潰し、羽根を串刺し、範囲攻撃を一斉発射フェイントも使い弱点属性探し
ロープワークで罠使い、動きを封じて怪力、範囲攻撃、属性攻撃、傷口をえぐる
「人のモン盗らはると因果応報、それ相応の罰受けますえ。盗んだモンはうちが返しときますよって
ユーベルコードで始末
拾ったモンは村の人々に返す
●Motorcycle taking
瓦礫の中から立ち上がり、血を拭いながら盗られた物を、盗られたままなのは嫌なの、とハーピーは猟兵に立ち向かう。
弥刀・一二三はポケットからハーピーが好きそうなキラキラをひとつ、取り出だして、みせる。鳥目ならよく見えないだろう。これはただのキラキラ光るだけのガラス片だ。
「キラキラは全部、ほらこの通り。うちが奪ってまいましたわ」
――次の獲物がワイバーンとの再戦だったんなら、標的はこれで完全にうちらってことにならはるかな。
見せたガラスのフェイクも合わせてハーピーが反応を示せば、見つけた箱は盗まれた物で確定と出来るのだ。
ワイバーンの巣窟から奪ったキラキラの中に、ハーピーが奪われた物があれば御の字とわざとらしくみせるとハーピーは声を荒げて叫びだした。
「あー!! それそれ、それはアタシのよ! 返してよぉ~!」
はいおしまい、と盗品を素早くポケットに仕舞い一二三は確信した。
――盗品、無事にみぃーつけた。
獲物を釣るならより光る物をと、一二三はチョーカーの金飾りをチェーンで振り回し鬼さんこちらと挑発する。するとハーピーは負傷している両肩にもお構いなしで一二三へ近づくと同時にバタバタと暴れんばかりに羽ばたき、生み出される衝撃波に乗せて声を飛ばす。
「意地悪しないでよぉ~!!」
可愛げは何処へやったのか、と言わんばかりのヒステリーの刃は無差別に一二三を襲った。
「いけず? あぁこの場では褒め言葉ですわ。はじめに盗ったんはどこのどなたさまでしたっけ?」
意思のない旋風が無作為に一二三の側を掠め、頬や腹部を容易く切り裂く。そこまで深い傷ではない。ニィと笑い、追いかけてくるハーピーと旋風を躱しながらMONSTER DAEGに乗り、付いてこれるものなら付いてこいと山岳特有のバイクに適さない道を徐々に速度を増しながら疾走する。
「アタシは貰ったのよ! あと、逃げるなぁ~!」
デコボコした道のりも、強靭な鳥足で跳躍する度、追い風を受けて速度を上げながら、一二三を地面を駆けて追いかけるハーピー。
徐々に上がっていく速度に遅れを取りそうになるが、羽ばたきから生み出す衝撃波で行く手を遮ったり、試行錯誤を繰り広げるが距離は広がる一方だ。
「逃げるのも、戦法の一つですよーっと」
誘導弾を放つ事も考えたが、既に狙いは逸れるが無さそうだったので止めておく。
ほかの貴金属類の存在がばれないように隠すほうに気持ちを回したほうが良さそうだと思ったからだ。
ガッ、とバイク速度に乗って飛び上がれば、背後でハーピーも速度任せに飛ぶ。
「あぁ、そこ。そうそこなんどすけどね?」
滞空中にハーピーの着地地点をゆるっと指差し、一二三は告げる。
「ん~?……ひゃあっ!?」
「翼が大変なことになりますよぉて。――おいでやす、えろうえげつない岩場の影に」
UDCの肉体で加工して作り上げられた一二三のクランケヴァッフェが、その場に置かれており、悪戯鳥を待ち受けていた。
――踏んだら最後、鳥に適した足を縫い付ける針の筵となりそこで展開していたのだ。
「時限爆弾とはいきませんけどね。えろうすんません」
足を付いた瞬間に展開される筵に両足を貫かれ、慌てて飛び退くがもう遅い。
「そやかて、羽も足ももうお上手に扱えませんよね?」
エンジンを切り、バイクの上から言葉をかける。
――今なら器用に縛り放題。ついでに目潰しも良さげではありますなぁ。
加虐的な考えを過ぎらせながら、既に足も肩も潰されているしとロープワークで縛るだけに留める。最速の動きは封じた、はずだ。
「人のモン盗らはると因果応報、それ相応の罰受けますえ。盗んだモンはうちが返しときますよって」
血まみれの足を抑えようにも抑えられず、ハーピーは悔しげに一二三を見ていた。
成功
🔵🔵🔴
アルマ・クラウヴェル
※アドリブ連携、絡み歓迎
皆さんの活躍のおかげでかなりのダメージが入っている様子。
特に高速機動を殺してくれたのは助かりました。
駆け出しの私に決定的火力はないかもしれませんが…私も機動力を殺す方向で、少しでも削っていきます。
「さぁ、お相手は一人ではありませんよ。私たち全員を倒さないとキラキラは貴女のものにはなりません!」
シールドに陽光を反射しつつ気を引き、ある程度接近したらルーンソードを【鈴蘭の嵐】に変え羽根を狙います。
爪による攻撃はシールドで弾き、ハーピーシャウトには【オーラ防御】で対処を。
「力で奪えば、力で奪われる。せっかく言葉を紡ぐことができたのだから、他の方法もあったでしょうに!」
サフィリア・ラズワルド
POWを選択
『盗られるの嫌でしょ?されて嫌なことをしちゃダメだよ』
同じキラキラ好き、盗みさえしなければ仲良くなれたかも……【アイテムの宝石袋】からキラキラを出して周りに撒きます。それあげるね、最後だから、好きなものと一緒なら少しは苦痛が和らぐかな?
でもペンダントを要求されたら【殺気】を放ちます。他のキラキラならあげられるけど、このペンダントはダメ、あげられない。
盗られそうになったら槍に変えて【串刺し、鎧砕き】で【グラウンドクラッシャー】で攻撃します。
『人の本当の宝物に手を出したらどうなるか、わからせてあげる』
撒いたキラキラは盗品と交換でワイバーン達にあげます。
アドリブ協力、歓迎です。
●flower zone
ヨロヨロとハーピーは立ち上がると、負傷した部位を庇うようにするが、誰が見ても満身創痍なのは明らかだ。
血に染まった羽毛がはらはらと地に落ちる。ボロボロの羽がとても痛ましい。そこまでしても、欲しいと望むのだから、ハーピーを突き動かす衝動も相当なものだ。
ハーピーからすれば金貨で買えるものでも、金貨自体でも廃材でも対して代わりはない。
だからこそ、人間とは相容れないのだ。奪っても、なんて人間社会では通じない。
――皆さんの活躍のおかげでかなりのダメージが入っている様子。特に高速機動を殺してくれたのは助かりました。
アルマ・クラウヴェルは、強い意志で自分の得物を取り返さんと奮闘するハーピーを静かに分析する。高速移動する猟兵たちを凄い速度で追いかけていた強靭な足を酷使するのが難しくなれば、戦況はずっと楽になるからだ。
「駆け出しの私では決定的火力はないかも知れませんが……」
――私も機動力を殺す方向で、少しでも削っていきます。
アルマは【Wachter Walt】を携え、一定の距離を置きながら太陽光をハーピーに当てる。
「とっても眩しいっ……けれど、そのキラキラも、アタシは好きよ。だってキラキラだものね」
鳥目に反射された光を映し、ハーピーは言う。
彼女にしてみれば、価値在り気で欲しいと言っていないのだ。
手にできるものなら、太陽ですらキラキラだから欲しい。そういう理屈だ。
「さぁ、お相手は一人ではありませんよ。私たち全員を倒さないとキラキラは貴女のものにはなりません!」
「そうね、貴方も、他のヒトたちもキラキラしているから両手に抱えるには大変だわ?」
ずぃいとアルマの間近まで一息にダッシュしたハーピーは確信でもあるのか、目を逸らさずにそう言い切る。
甘い声で拐かすようにアルマに共感してほしいのか、歌うように囁く。
「いっそのことだもの、貴方も欲しいわ。貴方の志も、とってもキラキラだもの♪」
「その手には乗りませんよ。でも……褒め上手ですね?」
「そうでしょう? アタシは凄いハーピーなの。凄いでしょう? 流石アタシね♪」
自分自身に共感する言葉を歌うように発しながら、怪我した足でアルマへ強烈な回し蹴りを放った。フォンと風を斬るほど勢いのある鋭い蹴りに、置いていかれた自身の鮮血が飛ぶ。歌声で誤魔化した捨て身の蹴りだ。
「凄いですが、狙いが甘いですよ。加速も増した重い蹴りですが」
強靭な足技を【Wachter Walt】で受け、それを弾く。
少し手が痺れたが、神域の菩提樹の枝から削り出した大盾はアルマの信頼に応えてみせる。
捨て身の思いで振り抜いた足を弾かれ、ハーピーはバランスを派手に崩した。
「わ、わわ?」
「彩るのはモノばかりではありませんよ。願えば何だって出来るはずです」
手にしたルーンソードを一撫ですると刀身は徐々に鈴蘭の花びらへと変じさせ、刀身としての姿を失った。剣の質量とは思えないほど無数に、ひらひらとその場を覆い尽くすほどの白い花畑を形成する。
――こうすれば、荒野だろうが神域に似た空間になるでしょう。ただし、これは侵入者を傷つけるものではありますが。
アルマが手を振れば、花びらはその手の先へキラキラ、ひらひらと舞い踊る。
ハーピーは鈴蘭を、雪が舞う光景のように見ていたのか、その場を動くことはなかった。舞い落ちる花びらを浴びるほどその身に受けるというのも、彼女にとっては悪いことではないだろう。
「力で奪えば、力で奪われる。せっかく言葉を紡ぐことができたのだから、他の方法もあったでしょうに!」
――死ぬほど、浴びるようにキラキラを受けても。それは決して手に入らないものなんですよ。
手で捕まえれば、手のひらはスパンと無慈悲に裂けた。
追いかけても、捕まえてもハーピーが入手できるキラキラは、もう――ないのだ。
●Garden of jewel
「盗られるの嫌なんでしょ? されて嫌なことをしちゃダメだよ。こんなに言われても、わからない?」
サフィリア・ラズワルドは対面にしたハーピーの強い意志を見て、そう告げる。
ズタズタに切り刻まれても、その目にはキラキラを手にした自分しかいないのだろう。誰に何を言われても、諦めない。
根性が座っているのか、諦める事を知らないのか。
「わからないわ。そこにあるから、アタシのものなのだもの。なにかおかしいかしら?」
――同じキラキラが好き。盗みさえしなければ、仲良くなれたかも……。
相手はモンスターではあるが、言葉を話すのだ。
少しは意思疎通が出来て、楽しい話も出来たかも知れない。
「おかしいよ。少なくとも、欲しいなら正式な手続きなりを、しなくちゃ」
モンスターに購入する概念があるかはさておき、盗みでなければこんな事にはなっていないのだ。
ハーピーにとってはそこにあったから貰った、程度の認識。実に単純な話である。
貰ったと盗みが同列である時点で、熱心に道徳を説いても、通じないのかも知れない。しかし、完全に悪と割り切っては酷に思うサフィリアは、宝物をたくさん詰め込んだ自身の宝石袋からよりそれらが輝くようにキラキラと周りに振り撒く。
「わぁ、キラキラ! キラキラね! 貴方も集めるのね! 良いわよね、素敵よね!」
サフィリアの宝物がハーピーの足元を彩る。キラキラと、物寂しい山岳の地面を宝石の花畑のように、彩ったのだ。白い刃の花畑も輝いて見えたハーピーにとって、それは、本日何度目の幸福空間であっただろう。
猟兵たちが齎した輝きは、どれもこれもハーピーは素直に喜んでいた。虚像でも、実像でもだ。
ハーピーは嬉しそうに、しゃがみ込み宝石の一つを拾って、眺める。
「それあげるね、好きなものと一緒なら少しは苦痛が和らぐかな?」
――それが、あなたの手に出来る『最後だから』。
「これをくれるのに、まだ力比べするつもりなの?……あら? あらら? その首飾り、素敵ね! 綺麗ね! いいなぁ、ほしいなぁ!」
目移りに次ぐ目移り。ハーピーは足元の光源以外にもあると、目ざとく気がついた。指差し、それそれ、とアピールするそれが『どれ』なのか、サフィリアは察すると一気に表情を凍りつかせる。
あまりの凄みに、ハーピーの羽毛がザワりと逆立った。その身を持って豹変を感じ取ったようだ。
「……他のキラキラならあげられるけど、このペンダントはダメ、あげられない」
――これは私の宝物だから。何度言っても本当に分からないのね。
「えぇ~どうしても? いいなぁいいなぁ!」
どうしてもくれないなら、とハーピーも自身に流れる血に身を任せ上半身を変貌させる。足と同様に獰猛な鳥の手へ、猛禽類のような鋭い赤い目に。
部分的にしか変じなかったのは、手加減からではなく、もう『出来ない』からだ。
赤く染まった翼は、力なく、血の覚醒を持ってしても形状を変えるに至らない。もう、彼女は飛べないのだろう。
「食べ尽くしても、手に入れるわ! 邪魔はさせないんだから!」
手に捕らえて食い尽くさんと、ラピスラズリのペンダントに死力を尽くして手を伸ばすと、
「人の本当の宝物に手を出したらどうなるか、わからせてあげる」
サフィリアの言葉で、ペンダントは竜騎士の槍へ姿を変える。
きらきらと、槍は輝いていた。
猛禽類の手を槍で払い除け、心臓目掛けて思い切り槍の先端を突き刺す。勢いに任せ、地面へその姿を縫い付けんばかりに押し倒すとザクリと切っ先は思いの外簡単に彼女に突き刺さり、貫通する。
「かはっ……」
縫い付けられたハーピーは血を吐き、元の姿に戻っていく。
サフィリアが撒いた宝石が、ハーピーの血を浴びて、真の意味のブラッドルビーになった。どうしても欲しかったものを握らせるように、血に濡れた宝石を彼女に握らせると竜騎士の槍を引き抜き、一言。
「それで、向こうでも貴方のものよ。良かったね。ずっと一緒よ」
その言葉を聞いて、ハーピーは嬉しそうに笑って、――消えた。
●A little, later
「ここに宝石をばら撒きっぱなしにするのもアレだから、ワイバーンに交渉を持ちかけてくるね。盗品を返すように」
猟兵の一人がそう言えば、一人は首を振って別の猟兵を指差す。
「その必要はないですよ、ねぇ? ちゃっかり隠し持ってますですよね?」
「そうどすなぁ? 件の盗品は、実はうちが奪ってしまってるんで」
この地域のワイバーンはそこまでの利口なタイプではないのだろう。
衝突の要が、必ず彼女だった。それだけなのだ。
「じゃあ盗品奪還のお詫びの品としてあげちゃうのはどうでしょう? 十分手に入れば、暫くはそれで満足してくれるかも知れません」
宝物のおはじきの事は忘れてないが、騒動を落ち着かせるのも仕事のうちだとまた一人が言う。
「じゃあ、なるべく平和的な交渉をしないといけませんね」
猟兵たちがワイバーンとの交渉を上手くこなせたかは付き添った村人のみが知る世界。きっと上手く、やってみせただろう。
●More, later
「おばぁちゃん! 冒険者のひとたちが、取り返してくれたよ!」
「おぉ、おぉ……ばあさん、良かったなぁ」
孫とナックルは泣いて喜んだらしい。
壊されてる事もなく、手元に戻ってくるとは思っていなかったからだ。
「本当だねぇ、長く生きていて良かったと、こんなに思ったことはないねぇ」
誕生日の贈り物の宝石は、傷一つ無く、キラリと箱の中で輝いていた。
「おばぁちゃんはどんなアクセサリーが好き?」
ちゃんと加工を施して、手元にあり続けるプレゼントにしたいんだと孫は尋ねる。
「そうさねぇ、鳥の目にも高価なモノに見えたんだし……」
「ばあさん、そりゃあ皮肉っぽい事言おうとしてる顔だぞ」
「おや、ばれたかい?『鳥の姿を模した』ネックレスが良いねぇ。これを盗んだ子は琥珀の目をしてたそうだが、緋色の宝石があるからね。それがいい」
ナックルに見透かされれば、老婆はくすくすと笑ってそう答えた。
「それは、どうして?」
孫はそれを聞き返す。何故ソレだといいのか。
「そりゃああんた、この辺は鳥が多いがモンスターばかり。そしてこれは鳥ですら好きだと思った程の宝石だよ?」
「根無し草の鳥のような今の孫を思い出すには丁度いい、ばあさんはそう思ったんだろうさ」
鳥を見て孫を想う。鳥を見て、あのハーピーを思い出す。
総じて見れば、いい思い出だ、と老婆が言えば三人は声を揃えて笑いだした。
その笑顔をあのハーピーが見ていたら。
『宝石よりも宝石のようにキラキラ』と発したことだろう――。
大成功
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