殲禍炎剣聖餐戦争㊸〜暁の宣戦布告
●最後の宣戦布告
調停機カイセルレギオン。キャバリアに対して絶対支配の能力を持つ禁断の機体を駆る黄金太子ことカーティス・ハインツ皇子は、しかし幾度となく猟兵と戦い、そしてカイセルレギオンを破壊されてきた。
多くの敗北が、彼に何かを悟らせたのだろうか。残る兵力を集めたカーティスは、傷ついた者や既に戦いを継続する意思のない者達を離脱させた上で、特に信頼のおける者達だけを周りに集めて身を固めていた。
「ルティス……すまない、私の我儘に最後まで付き合ってくれ」
「はい……。全ては|主人《マスター》のお考えのままに……」
ルティス・グリエース。カーティスの補佐を務めるレプリカントの女性は、いつもと変わりない様子で静かに頷いた。
「オーダン、君も他の月花団の者達と共に、この場を去っても良かったのだぞ?」
「へっ……水臭ぇっすよ、殿下。どうせ、あのまま生きていたって禄でもねぇ人生さ。最後まで、お供させていただきますぜ!」
少年兵達が集まって作られた、カーティスの親衛隊を自称する月花団。そのリーダーである少年が、苦笑しながら半壊状態のキャバリアを機動させた。
この戦い、勝利するのは難しい。それは既にカーティスにも分かっていたが、それでも彼は改めて声を上げる。周囲の者達を鼓舞するためでなく、世界に戦いを挑むために。
「我はラトゥキス皇国の黄金太子、カーティス・ハインツである! 私は全ての国境を消滅させ、全てのキャバリアを支配することで、世界に新たな夜明けをもたらす者だ!」
通信機能に優れたキャバリアを利用して、カーティスは可能な限り自らの声を世界に届けていた。それは、まさしく全世界に対しての宣戦布告。この兵力では、あまりに無謀な行いであるが、それでもカーティスは言葉を紡ぐことを止めようとはしない。
「さあ、世界の者達よ! 我が覇道を阻むというのであれば、私は諸君らにとっての敵だ! ここで私を討ち取れぬような世界であれば、私に統治されることが幸福であると知るがいい!」
ともすれば、世界の人々を挑発するかの如き言葉。しかし、彼の周りを固める者達は、その真意に気付いているのかいないのか、誰も口を挟む者はいなかった。
●黄金太子の真意
「調停機との戦いも、いよいよ大詰めになってきたわね。カーティス・ハインツ皇子の駆るカイセルレギオンも、かなり追い詰められているみたいだわ」
叩くのであれば、今がチャンス。しかし、皇子も黙ってやられていたわけではなく、今までとは異なる動きを見せているのだと、パトリシア・パープル(スカンクレディ・f03038)は猟兵達に告げた。
「今までの戦いで取り巻きを破壊されてきたカイセルレギオンには、もう一部の親衛隊の戦力しか残されていないみたいね。力押しでバーッとやっつけるのは簡単だけど……向こうも死ぬ気で突っ込んでくるから、何も考えずに手加減するのは難しいわ」
だが、闘争以外の方法での未来を人々に示すのであれば、彼らの犠牲を極力少なくしなければならない。その上で、カーティスの駆るカイセルレギオンを破壊しなければならないのだが……肝心のカーティス皇子は、今までになく自分が悪辣な存在であるとアピールし、自分にヘイトを集めるようなことをしているらしい。
「負けが続いてヤケクソになった……って、わけじゃないっぽいのよね。力による世界の支配で、この世界から無理やりに戦争をなくしてやろうっていう考えは変わっていないみたいだし……」
それにしても、少しばかり嫌な予感がするのも事実。オブリビオンマシンのせいで狂っているだけなのかもしれないが、それにしては自分の下から離脱する者達を強制的に従えようとはしていないなど、妙なところで理性が残っている様子も見せている。
「カイセルレギオンを攻略するだけなら、もうそこまで難しくないはずよね? ただ……戦後のことを考えると、皇子様を慕っている人達が、絶望してテロリストになるような未来だけは避けたいところだわ」
なにしろ、皇子のカリスマは調停機の力でもなければユーベルコードでもないからだ。そのため、戦いが終わろうと彼が死のうと、カーティスを信じる者達は最後までカーティスを崇拝するだろう。
なかなかに面倒な状況ではあるが、世界にとってカーティスを討つ大義名分が明確になっているのも、また事実。ここで新たな戦いを起こされるよりも先に、厄介な調停機をしっかり破壊してしまうことにしよう。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは、戦争シナリオです。
一章で終了する特別なシナリオとなります。
以下の条件を満たすと、プレイングボーナスが得られます。
残る配下キャバリアは決してそこまで多くはないため、排除して調停機を破壊するだけであれば簡単です。
●プレイングボーナス
カイセルレギオンを守るキャバリア部隊を排除する。
何らかの「闘争によらない形」でキャバリア部隊を無力化する。
●カーティス・ハインツ皇子
これまでのシナリオ以上に、世界に対して明確に宣戦布告しています。
単なる悪足掻きなのか、それとも何か策があるのか……現状では、はっきりしていません。
第1章 ボス戦
『調停機カイセルレギオン』
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POW : レギオンレーザー
【腕部オールレンジレーザー】での攻撃のたびに、指定秒数後に遅れて敵を攻撃・麻痺させる、追尾型の【配下キャバリア群】を放つ。
SPD : サーチ&デストロイ
【全周囲破壊電波】が命中した敵を【配下キャバリア群】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[配下キャバリア群]で受け止め[全周囲破壊電波]で反撃する。
WIZ : レギオンフォーメーション
自身の【配下キャバリア群】を【特殊陣形】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
イラスト:御崎ゆずるは
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ユエイン・リュンコイス
※アドリブ連携歓迎
闘争に依らない方法での無力化、ね。また難しい内容だけれども、やらねば未来は無い、か。
である以上、武器を携えては向かえない。黒鉄機人のみ伴って、彼らの前に立つ。非武装な者を討つのなら、それはそこまで。所詮はその程度の器という事さ。
……そう、ボクは彼らの背景を知らない。歩んできた道程も、抱いてきた感情も、明日をどうしたいのかも。だから対話をしようなんて、そんな大上段からの提案なんて出来ない。
知りたいのは彼ら自身は物語だ。これまでの、そしてこれからの。世界がどうこうなんてレベルの話じゃない。
キミたち一人一人の結末を知りたいんだ。ボクはそれを否定はしない。
太子殿、キミも含めてね?
バルタン・ノーヴェ
キャバリアに乗らず参戦するサイボーグスタイル!
戦争は最後までNot油断!
調停機カイセルレギオン、そしてカーティス・ハインツ殿とその親衛隊の覇道! ここで阻みマショー!
キャバリアを支配できても、人の心は支配できないことを叩き込みマース!
闘争のために生まれ(作られ)、生きるモノがある以上、ワタシが示す未来はだいたいバトル方針。
なので堂々と部隊を排除するバトルと参りマース!
レギオンレーザーは滑走靴による空中機動で躱し、避けきれない分はファルシオンを斜めに構えて受け流し、対処しながならエンカウント!
数の多い侵略者には断罪の刃(コントラ・ソール)が相応しい!
金に対抗して聖なる銀属性の刃で攻撃であります!
黒沼・藍亜
……ああいう事わざわざ宣言するのってさ、高確率で何かを見せつける意図があるっすよね
対キャバリアでもあるので足元の『昏く暗い黒い沼』から『暗く昏い黒き虚兵』を引っ張り出させてその……肩?辺りにつかまるっす
まあ、あくまで攻撃に対する盾役、つまりは自衛用。派手な殴り合いをする気はないっす
それじゃあ【ようこそおかしな世界へ】~!対象は皇子、並びに親衛隊の面々っすよ
場合によっては皇子は回復対象から外すっすけど……まあ「皇子」であって「カイゼルレギオン」じゃないならイケるかもだし
どのみち、犠牲者を減らすのなら回復も必要っすよね?
さーて、それじゃ全員、抱えている趣味嗜好、ぜーんぶその通信通してぶちまけて、「悪辣な悪役」、台無しになってもらおうか
案外、皇子様のファンが増えちゃうかもっすよ?よほど変な性癖持ちでなければだけど
……悪役ってさ、人間味や親しみやすさ…「ああ、こいつも同じ人間なんだなぁ」って思われちゃった時点でもう駄目なんすよね
※アドリブ、連携等歓迎っすよ
●戦いの果にあるもの
「闘争に依らない方法での無力化、ね。また難しい内容だけれども、やらねば未来は無い、か」
戦いを止めるための戦い。一見、矛盾したように思われる戦いに意味を与えるのであればと、ユエイン・リュンコイス(黒鉄機人を手繰るも人形・f04098)は思案する。
「……ああいう事わざわざ宣言するのってさ、高確率で何かを見せつける意図があるっすよね」
足元に広がる『昏く暗い黒い沼』から『暗く昏い黒き虚兵』を引っ張り出し、その肩の辺りに掴まりながら、黒沼・藍亜(に■げ■のUDCエージェント・f26067)も呟いた。
カーティスの思惑は分からないが、この戦いで彼が戦闘による勝利以外を考えているというのであれば、それを見逃すのは正しいことなのだろうか。オブリビオンマシンの影響がある以上、どれだけ彼に大義があるように見えていても、その裏にある黒い思惑を疑わずにはいられない。
「どちらにしろ、武器を携えては向かえないよ。まずは、ボクが盾になる」
そう言うが早いか、ユエインは黒鉄機人のみ伴う形でカーティスの軍勢の前に立ちはだかった。勿論、自分から攻撃を仕掛けることはしない。無抵抗の相手に問答無用で攻撃してくるならそれまでだが、さすがにカーティスも無差別攻撃までは命じていないようだった。
(「……そう、ボクは彼らの背景を知らない。歩んできた道程も、抱いてきた感情も、明日をどうしたいのかも。だから対話をしようなんて、そんな大上段からの提案なんて出来ない」)
言葉で止められるほど、彼らの信念は安いものではないということくらい、ユエインも理解していた。だからこそ、まずは彼らに戦うことへの意味を問う。先の見えない戦いを続けているのであれば、その先に意味を見出してやらねばならないと。
「此処でピリオドを打ちたくないと望むのなら、どうか一つ聞かせてくれないか。キミが願う、キミだけの物語をね?」
無銘の書物より白紙の頁を創造し、ユエインはカーティスの軍勢に問い掛けた。もし、物語を終わらせたくないのであれば、この白紙の頁の力にて、その願いは叶えられるとも。
「キミたち一人一人の結末を知りたいんだ。ボクはそれを否定はしない。太子殿、キミも含めてね?」
知りたいのは、あくまで彼ら自身の物語だ。これまでの、そしてこれからの。世界がどうこうというレベルの話ではなく、あくまで個人の物語。
それを教えてくれと頼むユエインに対し、しかし親衛隊達は何も答えなかった。唯一、カーティスだけは答えを返しては来たものの、それはユエインの望むような答えではなく。
「我々の未来だと? ならば、そこで見ているがいい。私が覇道の末に、世界を統べるという未来を!」
その言葉が虚勢なのか、それとも未だに覇道を諦めていないのかまでは、ユエインには判断できなかった。親衛隊達も、未だに沈黙を続けるままだ。ならば、その本音を無理やりに聞き出してやろうと、今度は藍亜がユーベルコードを発動させた。
「さーて、それじゃ全員、抱えている趣味嗜好、ぜーんぶその通信通してぶちまけて、『悪辣な悪役』、台無しになってもらおうか」
ついでに、悪役としての立場も破壊すれば、それで皇子の目論見も潰せるのではないか。そんなことを考えつつユエインが発動させたのは、肉体を完全回復させる代わりに、精神を萌えという狂気で汚染し、理性さえも喪失して自分語りを続けるオタクに変えるというものだ。
確かに、これは直接戦わずして、戦いを止める一つの手段かもしれない。まともな感性の持ち主であれば、羞恥心で動けなくなるかもしれない。しかも、この戦いはどうやら、全世界に生中継されているようなのだ。
そんな場所で、自分の性癖を赤裸々に吐露する。はっきり言って、地獄である。場合によっては社会的に抹殺される者が出てくるかもしれないが、それはそれ。
「……悪役ってさ、人間味や親しみやすさ……『ああ、こいつも同じ人間なんだなぁ』って思われちゃった時点でもう駄目なんすよね」
だから、そちらも早く自らの性癖を暴露しろ。完全なる勝利を見越して凄む藍亜だったが……カーティスから返ってきたのは、意外過ぎる返答だった。
「ふっ……果たして、それはどうかな? 否……彼らも人間であると理解されればこそ、この戦いにも新たな意味が与えられるというもの! 私の求める理想の戦いが始まるのだ! この戦いの果てに、人は更なるステージへと魂を進化させる! これはいわば、人類全体が通過すべきイニシエーションなのだ!!」
自分の中に秘めた独特の美学とでも言うのだろうか。カーティスはそれを躊躇うことなく曝け出して意味不明な理屈を喋りだした挙句、果ては全軍に攻撃を命じたのである。無抵抗の相手に攻撃を仕掛けるのは、果たして平和を求めて戦いを続ける者の行動としてはどうなのか。思わず突っ込みたくなる藍亜だったが、どうやらカーティスの敵は彼女ではないらしく。
「ハロー! その野心と覇道、ワタシが阻みマース!!」
軍勢が相手にしているのは、身一つで戦いを挑むバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)であった。サイボーグの彼女は、武装次第では等身大のままキャバリアを破壊するだけの火力を持っている。どれだけキャバリアを支配したところで、彼女のような存在がおり、そして人の心も支配できないという現実がある以上、キャバリアを掌握するだけの世界征服では戦争をなくすことはできないと叩き込むため。
「ハッ……! 上等だ! やっぱり、俺達にはこういうのが性に合ってるよなぁ!」
「……うん。敵はただ、全て殺すだけ。それが僕達にできること。僕達にはそれしかない。僕達ができるのは戦いだけ……」
それに対して真っ向からぶつかるのは、主に月花団の面々である。彼らは元より、戦う以外を知らない者達。故に、藍亜のユーベルコードを食らっても、ともすれば戦いこそが自身の萌であると叫んで突撃して行く。
「……私の全ては|主人《マスター》のために。|主人《マスター》こそが、私の全て。|主人《マスター》こそ私の推し。|主人《マスター》こそが……」
そして、ルティス・グリエースを始めとしたレプリカントの侍女部隊もまた、オタクと化しても戦うことを止めなかった。彼女達にとって、萌の対象というのは自ら|主人《マスター》のなのだ。そういう風に教育され、そういう風にプログラムされている存在なのだから仕方がない。
彼女達は、|主人《マスター》のためであれば何だってする。そこに狂信的な萌が加わってしまえば、これはもう厄介オタクを戦場に解き放ったようなものである。
「闘争のために生まれ、作られ、生きるモノがある以上、ワタシが示す未来もまたバトル方針! 堂々と部隊を排除するバトルと参りマース!」
そんな親衛隊達を、バルタンは真っ向から迎え撃つ。次々とキャバリアが撃破され、受け流されたレーザーが反射したことでフレンドリーファイアが発生し、戦いはより悲惨な形でカーティスの軍勢を不利に追いやって行く。
「数の多い侵略者には|断罪の刃《コントラ・ソール》が相応しい! 金に対抗して聖なる銀属性の刃で攻撃であります!」
ついには、バルタンの放ったユーベルコードにより、カイセルレギオンを始めとした多くのキャバリアが銀の刃に貫かれた。次々と爆発が起こり、とても全員が無事に脱出できたとは思えない。カーティス自身も傷を負っていると思われたが、しかし彼は不敵にも笑っていた。
「ふっ……貴公らには礼を述べさせてもらおう。この戦いの様を見た者は、その多くが戦争というものを嫌悪することだろう。その先に待つ未来の中にこそ、私の求める未来への道も繋がっているのだからな!」
戦争は酷いものである。それを理解した人々が、果たしてどのような選択肢を取るか。自ら武器を捨て、皇国の軍門に降るというのであれば、それ以上の戦いは自分も望まない。しかし、あくまで抵抗するのであれば、より惨たらしい形での戦争を続け、それを更に世界へと伝えて行く。
そうすることで、闘争を望む者は粛清され、戦いを拒む者は自ら鉾を納めるようになる。その先にこそ、自分が統治すべき世界があるのだと、カーティスは猟兵達に向けて豪語する。
(「この男……単なる欲望から野心家になったわけじゃなさそうっすね」)
(「なるほど……それが、君の目指す未来なのか、カーティス・ハインツ……」)
藍亜もユエインも、カーティスの言葉の裏に、彼が何を考えているのか、なんとなくだが察したようだ。
どのような形で戦いが終わるにせよ、自らの望んだ形に世界を誘導する。そのために、身の破滅も厭わず、時に悪と断じられることさえ恐れない。敗北することがあったとしても、それが調停機の望む形での敗北なのであれば本望だ。それこそが、オブリビオンマシンの精神汚染が進む中で、カーティスが自らの信念を曲げずに出した結論なのかもしれないと。
成功
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ルクレツィア・アストリュード
生身で出撃。
ひとつ、間違えている。
世界の敵は、カーティス皇子、あなたじゃない。
あなたが乗っているそのキャバリア。それは、平和を望む心を歪ませ、更なる争いを煽る代物。
そして今、己の滅びにあなたを道連れにせんとする悪意。
だから、ボクはあなたを殺さない。ただ、その機体だけを斬り――この剣は未来も拓き得るという『答え』を示そう。
その誓いを以て応答誓示を発動、同時に配下の人達へ下がるよう促す。彼を救いたいなら、彼を止めねばならない、と。
【ダッシュ】し調停機へ迫る。
上昇した戦闘力と【瞬間思考力】を以て敵の攻撃を【見切り】躱し、肉薄と共に斬撃を繰り出し【一刀両断】。
勿論、皇子は救出。それが誓いだから。
七那原・望
国の垣根を超えた協調のために世界の敵として討たれようとでも?
盲目的だった先とは随分変わりましたね。
精神汚染、自覚しました?
あなたがこの世界を統べることには異論はないのですよ。
身分制度とか爵位にはわたしもいい思い出ないですし。
殲禍炎剣の植え付けた思想がある限りキャバリアは過ぎた玩具ですしね。捨てさせるのも賛成です。
でもまず捨てるべきはその調停機です。理由は今さら言う必要ないですよね?
破壊するので降りてきてください。
汚染された精神もボロボロの身体も癒竜の大聖炎で治します。
そこまでの決意があるなら汚染されていない精神で、武力に頼らず月華団を惹きつけた言葉と行動のみで平和な統一国家を築いてみせなさい。
ミュー・ティフィア
ラグナジー【歌姫】を発動しながら対話を試みます。
お話しませんか?平和って対話で生まれるものだと思うし……
カーティスはなんでこんな声明を出したんですか?
世界を力で支配するなら奇襲とか効率的なやり方はいくらでもあるし、親衛隊に示しが付かないなら一国ずつ宣戦布告して各個撃破すればいい。
わざわざ全世界を同時に敵に回すのは理由があるんですよね?多分親衛隊の皆も知ってるんですよね。
きっとカーティスは正しい。でもその機体の精神汚染がそれを歪めている。
その機体を破壊させてください。貴方達の正しさが踏み躙られないように。
全周囲破壊電波が飛んできてもギリギリまで非戦闘。
やむを得なければその後に全力魔法で反撃です!
●The End of the Endress Duel
己の理想を果たさんがため、最後の最後まで戦いを止めようとはしないカーティス・ハインツ。もはや、彼の目的は単純な世界征服に留まらず、彼の思想をどれだけ世界に広げることができるかになっていた。
そのためであれば、どんな犠牲も厭わない。確かに、文言だけ見れば美しく見えるかもしれない。
だが、それは同時に、カーティス自身を慕う人までも犠牲にし、果ては自らの破滅さえ厭わないという行為。数多の血と犠牲の果てに、闘争を力技でなくそうということに変わりはない。
そのような戦いは、世界に悲しみを広げるだけだ。無論、カーティスはそれも承知の上で、ともすれば悲しみさえも利用して自身の本懐を遂げようとしているのかもしれないが……ミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)は、そのような未来は決して認めたくないと考えていた。
「……お話しませんか? 平和って対話で生まれるものだと思うし……」
そもそも、力による解決では真の平和は訪れないとして、ミューが気になっていたのはカーティスが出した声明だ。あれでは、まるで世界の全てを敵に回すようなもの。クロムキャバリア世界の統一を目指すのであれば、とても合理的なやり方とは思えない。
「カーティスは、なんでこんな声明を出したんですか? 世界を力で支配するなら奇襲とか効率的なやり方はいくらでもあるし、親衛隊に示しが付かないなら一国ずつ宣戦布告して各個撃破すればいい。わざわざ全世界を同時に敵に回すのは理由があるんですよね? 多分、親衛隊の皆も知ってるんですよね」
この場に残っている者が、カーティスのことを心の底から信じている者達だけであると、ミューは見抜いていた。彼らは言葉にせずとも、カーティスの真意を知っているからこそ、最後まで勝ち目のない戦いに同伴しようと考えたのだろうが。
「ふっ……愚問だな。世界を統べるのであれば、それは圧政であってはならん。圧政は新たな争いを生む。だからこそ、我らは正々堂々と戦い、そして障害を打ち破る。その戦いを通してこそ、人は新たなステージへと到達できる! これは世界にとって必要な|通過儀礼《イニシエーション》なのだよ!」
この戦いも、自ら望んで招いた逆境も、全ては計画の内であるとカーティスは答えた。それが、彼の本心なのか、オブリビオンマシンにより歪められた破滅願望から来るものなのか。そこまでは、まだミューにもわからない。
だが、それでも彼が、今までとは異なり本音に近い何かを吐露しながら戦っているのも事実。ならば、その真意を改めて問うべきだと、七那原・望(比翼の果実・f04836)は改めてカーティスに問い掛けた。
「国の垣根を超えた協調のために、世界の敵として討たれようとでも? 盲目的だった先とは随分変わりましたね。精神汚染、自覚しました?」
もっとも、カーティスはその問いに対しても、明確にYesやNoで答えることはなかった。それでも、どこか心の内を見透かされたかのように苦笑しつつ、望の言うような生き方も悪くはないと肯定するが。
「どうやら、貴殿は私を買い被っているようだな。そのように考え、そして世界が纏まるのであれば、それも悪くはないだろう。だが……」
それでも纏まることのない世界であれば、私利私欲で闘争や圧政を続ける者達を粛正し、自らが世界を統一しなければならない。自分はそのために立ったのだと、カーティスは自論を曲げることはしなかった。
「ひとつ、間違えている。世界の敵は、カーティス皇子、あなたじゃない」
そんなカーティスの答えに対し、ルクレツィア・アストリュード(終極フラガラッハ・f30398)は、真の敵であり真の悪は別に存在するのだと指摘した。それこそが、この世界をかねてより狂わせてきたオブリビオンマシン。この世界の闘争の多くもまた、そのような悪魔のマシンにより引き起こされたものが少なくないと。
「あなたが乗っているそのキャバリア。それは、平和を望む心を歪ませ、更なる争いを煽る代物。そして今、己の滅びにあなたを道連れにせんとする悪意」
既に勝ち目のない戦い故に、カーティスと彼の親衛隊を道連れに、カイセルレギオンは世界に更なる憎しみをバラ撒こうとしている。カーティスの理論は一見して崇高で正しいのかもしれないが、そこに犠牲が必要となる以上、彼の思い描くような未来は決して訪れることはない。
「だから、ボクはあなたを殺さない。ただ、その機体だけを斬り……この剣は未来も拓き得るという『答え』を示そう」
「そうか……ならば、示してみるがいい! この戦いで私を下し、そして世界の者達へ、貴殿らの答えを!」
その言葉と共に、カーティスの率いる親衛隊が、一斉に攻撃を仕掛けて来た。レーザーが飛び交い、破壊電波が情け容赦なく襲い掛かり、その隙を突いて一糸乱れぬ連携を誇る侍女部隊と月花団の面々が襲い掛かる。
だが、それらの攻撃に対し、ミューや望は敢えて戦うことを選択しなかった。ここで彼らを討ち倒してしまえば、それはカーティスの思惑通り。それは即ち、カイセルレギオンの画策する、破滅の未来へと繋がるもの。
(「きっとカーティスは正しい。でも、その機体の精神汚染が彼の考えを歪めている」)
破壊の電波を魔法で相殺しつつ、ミューは次なる言葉を考える。兵器を排除し、国境という垣根をもなくし、あらゆる人々が差別に苦しまぬ世界を作ること。その理想だけは正しいが、しかしそれに至るまでの手段が決定的に歪められては、決して目的を果たせはしない。
「その機体を破壊させてください。貴方達の正しさが踏み躙られないように!」
破壊電波を抑えるのも、これが限界か。ともすれば押し負けそうになってしまうが、そこは望がしっかりとフォローし、ミューの負傷を癒して行く。
「あなたがこの世界を統べることには異論はないのですよ。身分制度とか爵位には、わたしもいい思い出ないですし……」
皇帝の私生児である以上、皇室の血統と、しかし決して皇位を継ぐことのできない立場というものに、カーティスも苦労しただろう。それも多少は理解できるし、なにより正しく世界を導いてくれるのであれば、望にもカーティスの行動を咎める理由はない。世界が彼を統治者として受け入れるのであれば、その選択に干渉するつもりもない。
「殲禍炎剣の植え付けた思想がある限り、キャバリアは過ぎた玩具ですしね。捨てさせるのも賛成です。でもまず、捨てるべきはその調停機です。理由は今さら言う必要ないですよね?」
人の心を歪めるマシンが世界の頂点に立ってしまえば、その先にある未来もまた歪んでしまう。カーティスの理論は大筋で見れば正しいものだが、しかし随所に穴があり、戦後の憂いを完全に断つことができないのも事実。そして、そのような結論に至らせているのがカイセルレギオンである以上、そのマシンはやはり破壊するべき存在なのであると望は告げる。
「貴殿らの不安は、私も理解しているつもりだ。ならば、私はその不安さえも乗り越えてみせよう! それでも私を信じられぬというのであれば……戦士として、この戦いで私を討ち、その正しさを証明してみせるがいい!」
それに対してカーティスは、あくまで闘争にて答えを示せと返して来た。オブリビオンマシンに精神を汚染された状態では、これが精一杯の答えなのかもしれない。彼の中の正義と理想、そして戦いの美学や人々に求めるものが、歪みと正しさの中で混濁した結果、自分では退くに退けないところまで来ているのかもしれない。
「それならば……その歪みを断つ! そして、『答え』を示す! それがボクの在る意味だから!」
望やミューがカーティスの軍勢を抑えてくれている間に、ルクレツィアは一気呵成にカーティスへと迫った。生身であるが故の小回りの良さを利用し、キャバリアの隙間を抜けて肉薄すれば、カイセルレギオンは目の前だ。懐に入り込んでしまいさえすれば、自分で自分を誤射する可能性も考えた場合、全方位レーザーは使えない。
「彼を救いたいのであれば、彼を止めなければならない! だから……邪魔をしないでくれ!!」
背後に立つキャバリアのパイロット達にも伝えつつ、ルクレツィアは高々と大地を蹴って飛翔した。誓いにより平素の10倍にも至る戦闘能力を得た今の彼女は、身体能力の面でも文字通りの超人だ。
「ボクが斬るのは人じゃない! その思想を歪める悪魔のマシン……それだけだ!!」
大上段から振り下ろされた斬撃が、カイセルレギオンを一刀の下に斬り捨てる。しかし、その一撃はコクピットを正確に避けており、斜めに斬られた機体の上半身が落下すると同時に、コクピット内のカーティスの姿が露わとなった。
「……どうやら、私の負けのようだな。だが、とても清々しい気分だ……」
カイセルレギオンの機能が停止したことで、カーティスもまた精神支配から脱せたのだろうか。終わりなき闘争の果てに、闘争による世界統一を目論んだ黄金太子の野望は、しかしここにおいて完全に潰えたのだ。
「あなたの決意は見事でしたよ。そこまでの決意があるなら汚染されていない精神で、武力に頼らず月花団を惹きつけた言葉と行動のみで平和な統一国家を築いてみせなさい」
汚染と連戦により傷ついたカーティスの心身を癒竜の大聖炎で癒しつつ、望が告げる。しかし、カーティスはその言葉に対して自嘲気味に苦笑しつつ、首を縦には振らなかった。
「世界が許すのであれば、それもまた一つの選択であろう。だが……それは私が決めることではない。これだけの争いを起こした以上、私はそれに対する罪の報いを受けねばなるまい」
この戦いを通して、世界の人々には何かを伝えることができたはずだ。どれだけ不利でも、決して諦めることはなく、人々を可能な限り救おうとする猟兵達の姿勢は、敵を殺せばよいという闘争に溢れた考え方に一石を投じるものであったはず。戦いの中、人間らしい者達が互いに正義を掲げてぶつかり合い、そして痛みだけを残して散って行く様を見た者達の中には、戦争を嫌悪する心が刻まれた者もいるはずだ。
一連の戦いがクロムキャバリア世界において、何らかの意味を持っていたのは確かである。先にカーティスが叫んでいた、通過儀礼というのも間違いではない。
だが、その通過儀礼において数多の血を流すことが必要なのであれば、やはり方法としては間違っていたと言わざるを得なかった。そのような歪んだ思想に至らせたのがオブリビオンマシンなのであれば、その咎は全てカーティスが背負うべきではないのかもしれないが。
「私のような存在が争いを生む元凶なのであれば……これからの未来において、私もまた粛清されるべき存在なのかもしれん。ルティス……そしてオーダン……その時は……」
自分に代わり、人々が暴走しないよう導いて欲しい。それがカーティス・ハインツが望んでいたことだと、この場にいない者達に伝えて欲しい。
侍女レプリカントと月花団のリーダーは、何も言わず静かに頷いた。その様子を見つめる猟兵達もまた、彼らに干渉することはしなかった。
「とりあえず、これで戦いは終わったのですね。でも……」
「責任の取り方は、人それぞれだよ。そして、贖罪の在り方もね」
オブリビオンマシンの呪縛なしでもカーティスが破滅的な選択をするのではないかと不安に思うミューの隣で、望はあくまで、全てはこの世界の人々の選択次第であると告げる。そしてそれは、ルクレツィアもまた同様だ。
「過去に何をしたとか、何のために作られたとか、それだけが人の運命を決めるものではないよ。殺すために作られた道具であっても、誰も殺さない未来を選択することはできるからね」
それは、キャバリアであっても人であっても変わらない。人が憎しみを捨て、戦いという円環から脱するために何が必要なのか。それを最も良く理解しているのは、ルクレツィア自身でもあったから。
大成功
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