熾盛するは人の心の熾火か、エースの惑乱
●フュンフ
弾けたサイキックの光。
そもそもサイキックとは何なのか。
ただのエネルギーなのか。
分かるものではない。だが、その力を如何にして使わねばならないのかを亜麻色の髪の少年『フュンフ』は理解していた。
「|傍観者《バイスタンダー》でいられず、|救命者《バイスタンダー》として生きようとするあなたにとって、その力は拠り所であったことでしょう」
目の前の女性『ノイン』は、その光を見て笑っていた。
光輪の如き光。
集約された光は、弾けるままに波及していく。
それは小国家『シーヴァスリー』の本土とも言うべき、超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』にさえも届いた。
「滅ぶために生まれたなんて、嘘だ。生きていたいのは、みんなより良く生きたいだけなんだ。だから、みんな理想を求めて走ってしまう。走ったらぶつかってしまう。そんな簡単なこともわからなくなってしまうほどに、より良く生きることは魅力的に思えてしまう」
だから、と『フュンフ』は黒い瞳を輝かせた。
そう、誰だってより良く生きていたい。
健康でありたい。
富を得たい。
美味なるを食したい。
誰からも好かれたい。
良い服を来たい。
立派な住処で生活をしたい。
ありとあらゆる欲望は肯定される。
誰かと自分とを比べなければ、自分がどんな存在であるのかもわからないのが人間だ。
他者を比較対象にしか思えないのなら、それは争いを生む火種でしかない。
だから、その光は小国家『シーヴァスリー』を覆う狂気を拭う。
誰だって同じなのだ。
他の誰かも自分と同じように思うし、また程度の差もある。
全部が同じではないけれど、同じ人間なのだと思えば、誰かの憂いに寄り添うこともできる。
それが人間の優しさなのだと『フュンフ』の光は『ベヘモット』に駆け抜け、彼らの狂気を振り払ったのだ。
全ての人々が思っただろう。
「こんな……こんな、戦いばかりなんて」
己が乗ったキャバリア。
そのコクピットで『シーヴァスリー』のパイロットたちは呆然と呟いた。
「戦い続けていたくない。安らかに眠りたい。何も心配せずに」
「自分の愛しい人と共にいたい。キャバリアのコクピットではなく、彼女のそばにいたい」
「あの子を守りたいと思って、誰かの守りたい人まで傷つけるなんてこと……私は、したくない」
次々と彼らは小国家『グリプ5』に侵略せんとしていた作戦行動を止めた。
それが『フュンフ』の放ったサイキックで引き起こしたことであった。
まさしく『救世主』としての力だった。
『ノイン』は、歯噛み……していなかった。
それだけのことを行った後で尚、彼女は笑っていた。
「使いましたね」
笑っていた。
そう、笑っていたのだ。
オブリビオンマシンによって狂気たる思想を持つ彼女は、笑っていた。この状況は、一手で全てをひっくり返されるものであった。
『シーヴァスリー』は破滅に突き進む狂った思想に漬け込まれていた。
だが、それをサイキックの光が打ち払ったのだ。
「『それ』は最後の手段。『フュンフ・エイル』のクローンであるあなたに遺された、たったひとつの! それを今、使い切りましたね!!」
「……な、なにが……」
「私にとって、最後の懸念事項! それが今まさに使い切られた! いえ、使い切らせるためにここまでお膳立てをしたのです! あなたに遺されているのは! もはや『悪魔』たる戦闘技巧のみ!」
『ノイン』は笑う。
哄笑し、狂うままに叫んだ。
「『セラフィム・リッパー』! スタンド・アップ!」
瞬間、彼女の背後から現れるのは『セラフィム・リッパー』であった。
青いオブリビオンマシン。
それは猟兵たちが最初に遭遇した、かつての最新鋭機――。
●シーヴァスリー
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は、猟兵たちに告げる。
「クロムキャバリアにおける小国家『グリプ5』に侵攻していた小国家『シーヴァスリー』は、オブリビオンマシンの狂気に汚染された小国家でした」
でした、と語る彼女の言葉に猟兵たちはわずかに疑問を抱いたことだろう。
それはまるで、もう狂気に侵されていないと言っているようなものではないか、と。
その言葉にナイアルテは頷いた。
「ええ、そのとおりです。『シーヴァスリー』は、サイキックの光でもって汚染された狂気を取り払われました。ですが、『シーヴァスリー』のトップであった『ノイン』と呼ばれるパイロットは、『シーヴァスリー』の壊滅的な状況にあって尚、侵攻を推し進めようとしているのです」
それは自滅的ではないか。
しかし、それが狙いなのだとすれば、思惑に乗ることはできないだろう。
多くの『シーヴァスリー』の人々は最早戦うことを求めていない。
とは言え、トップであるところの『ノイン』が未だ狂気に侵され、絶対的な命令権でもって破滅的な行軍に付き合わせようとしているのだ。
これをどうにかするためには、『グリプ5』でもない、第三勢力である猟兵たちによって、『ノイン』を潰すしかない。
「その思惑がどうあれ、オブリビオンマシンは世界を破滅に導きます。これを破壊せねばならなぬことは、皆さんも御理解いただけると思います」
仮にこの作戦がうまく行ったとて、『グリプ5』と『シーヴァスリー』の両国間における問題は解決しないだろう。
だが、それでも破壊しなければならないのだ。
猟兵たちをナイアルテは転移へと導く。
その先にあるのは、暗澹たる未来を思わせるような、星すら瞬かぬ夜空が広がっていた――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はクロムキャバリア、小国家『シーヴァスリー』の人々はサイキックの光で狂気を拭われましたが、しかし、トップに立つオブリビオンマシンを駆る『ノイン』と呼ばれる絶対的な命令権を持つ女性は未だ狂気たる思想に取り憑かれています。
皆さんの活躍で『シーヴァスリー』は小国家『グリプ5』を攻め落とすこともできず、逆に壊滅させられてしまうほどに戦力差が開いています。
故に『シーヴァスリー』の人々は戦いをやめたがっています。
この状況で『ノイン』は自国が壊滅するまで戦いを続けようとしています。
小国家『グリプ5』がこれを鎮圧すれば、国家間の軋轢が生まれるでしょう。
そこでみなさんが第三勢力となってこれを撃滅し、なんとかして『シーヴァスリー』を退かせねばなりません。
●第一章
冒険です。
星すら瞬かぬ闇夜の中、『シーヴァスリー』の本土とも言うべき超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』へと強襲を仕掛けましょう。
●第二章
集団戦です。
『ベヘモット』の内部は普通の地面と変わらぬように視えます。
ですが、周囲にはオブリビオンマシンに狂わされた『ノイン』の命令でいやいやと戦わざるを得ないキャバリアたちがいます。
これらを破壊し、パイロットたちを極力殺さないように無力化し、オブリビオンマシンのもとへ急ぎましょう。
●第三章
ボス戦です。
オブリビオンマシンによって思想を狂わされた『ノイン』。
彼女は壊滅的な劣勢でも戦闘作戦を続行させようとしています。これを撃破しないことには、戦いは終わらないでしょう。
それではクロムキャバリアにおける連作、最後の後編に挑む皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『闇夜の襲撃』
|
POW : さぁ行くぞ!装備を整え出撃し敵を討つ!
SPD : どこの敵だ!?敵の数と装備を情報収集し味方に報告!
WIZ : とにかく安全を!怪我人の看病、火災の鎮火…基地の防衛に集中!
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
星の光すら届かぬ暗闇。
小国家『シーヴァスリー』の本土そのものとも言える超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』はかく座するように、その動きを止めていた。
そして、その内部へと猟兵たちは転移していた。
サイキックの光が広がっていった後、それでもなお照らせぬ暗闇がそこら中にある。
多くのキャバリアのパイロットたちは狂気から解放された。
しかし、絶対的な命令権を持つ『ノイン』と呼ばれるパイロットは未だオブリビオンマシンの狂気から解放されていない。
破滅的なまでに戦いに駆り立てる号令。
「戦いなさい。目の前にあるのは、あなたたちが望んだ定住の地。それは約束の地でもあります。あなたたちが流浪の民となったのは、罪過のため。ですが、その贖罪も終わりを告げました。これ以上は不当な罰。行き過ぎた厳罰。ならばこそ、それを強いる者たちを押しのけても構わないでしょう」
故に、と『ノイン』の言葉が響く。
「奪いなさい。全て」
その言葉は、戦いを拒絶する人々の心を徒に斬りつける言葉であり、それに従わなければ、どうなるかということを想起させただろう。
その声が響く中、猟兵たちは素早く、オブリビオンマシンを駆る『ノイン』を撃破しなければならない。
星すら照らせぬ暗闇の中、彼らは迅速に走らねばならなかった――。
村崎・ゆかり
今度こそ、『ベヘモット』の内部ね。
「式神使い」で黒鴉召喚。黒鴉の群を通じて、進むべき道を探し当てる。
「暗視」「不眠不休」で夜に閉ざされた要塞キャバリアの内部を「目立たない」ように進んでいくわ。
警備兵はいるかしら? 「気配感知」で先に相手を捕捉して、「精神攻撃」の符で沈んでもらう。なるべく死人は出さないようにね。
サイキックか。この世界にもサイキックキャバリアって機体の開発史があるわけだから、サイキックハーツ世界ほどでないにしろ、取り扱う技術は存在するのよね。
それでオブリビオンマシンの狂気を祓えるというのは、もの凄い話。
『シーヴァスリー』ももう休む時間よ。あなたも眠りにつきなさい、『ノイン』!
超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』は、小国家『シーヴァスリー』の本土とも言うべき存在である。
常に移動し続け、その所在を悟らせない。
それ自体は戦略級兵器としての本文を果たしていた。
しかし、本土としてはどうだろうか?
常なる移動。
資源はプラントのみ。
確かにプラント自体はあらゆるものを生み出す。生活に必要な物品、インフラを一手に担いながらも、キャバリアという兵器をも生み出す。
まさしく万能だ。
そういう意味では確かに、プラントを擁する『ベヘモット』は規格外の存在であったことだろう。
だがしかし、『シーヴァスリー』に生きる人々にとっては、常なる争いの日々でしかなかった。
いついかなるときでも戦わねばならない。
他国を見れば責めなければならない。
プラントだけが資源というのならば、プラントのある他国を侵攻せねば、国家の礎たる人間を育むことができないからだ。
故に彼らは争いの中に生きている。
このクロムキャバリアという世界の縮図でもあった。
「今度こそ、ここが『ベヘモット』の内部ね。空が近いってこと以外は、普通に地面と同じみたいに感じる。空もあれば、地面だってある……」
転移した村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は周囲を見回す。
夜闇の中、ゆかりは周囲の気配を探る。
黒鴉召喚(コクアショウカン)によって周囲を索敵するゆかりは、この『ベヘモット』の中で哨戒するキャバリアを見た。
できる限り隠密にことを成さねばならない。
できるだけ早く、オブリビオンマシンの狂気に汚染された『ノイン』を止めなければ、また再び人々は拭われた狂気に覆われ、絶望的な戦いに駆り出されることだろう。
「できるだけ死人は出したくないのよね」
戦場にあって、この世界ではキャバリアこそが花形であり主役だ。
歩兵めいたものもいるかも知れないが、その姿は見られなかった。
恐らく、ほとんどがキャバリアに乗っているのだろう。
「それにしてもサイキックか。この世界にもサイキックキャバリアって機体の開発系列があるのだから、サイキックハーツ世界ほどではないにしろ、取り扱う技術は存在するのよね」
とは言え、あの光が波及し、『ベヘモット』の内部にいた人々の狂気を払ったというのは、驚異に値するものであった。
「でも、あたしのやるべきことは一つ。『シーヴァスリー』ももう休む時間よ。小国家という単位がなくたって、人は生きていける。助け合って、認め合って、そうやって平和って訪れるものでしょう。勝ち取るものでもあるけれど、それでも」
だから、とゆかりは暗闇の中を走る。
「あなたも眠りにつきなさい、『ノイン』――!」
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
こうなってなお、戦う事を強いるのは、ただ狂気に思考を奪われたからか、
或いは何かしらの勝算あってか、後者の可能性は否定できないか。
何が待つにせよ、迅速に迎え、ララバイ……!
『亡街霊障』霊物質でデモニック・ララバイを覆い隠し【操縦】
【超音波】で一帯を素早く【索敵】し迅速に移動!
今の内に、うてる手は打っておきます。
クレイドル、分析を任せます。
【破壊工作】移動の合間に、地面へ|殺戮音叉射出《音響物設置》、
【召喚術】隠せそうな遮蔽物に|ドロモス・コロス《スピーカー》設置。
いざとなればベヘリット中に呪詛、演奏を盛大に響かせられるように、或いは、この不快な音を、人々の心を苛む言葉を打ち消せるようにする為に。
戦いは常に生み出し、奪っていくものだ。
得られるものは多くはなく、失ったものの多さを先に知ることはできない。
虚しいだけだ。
どこまで行っても、失われたものを思ってしまう。
それがどれだけ心に影を落とすものであるのかなど、戦ったものは知るだろう。だが、知ったとて何ができるというのだろうか。
戦いという激流。
時流とも言いかえることのできる状況の瀑流に如何にして抗うことができるだろうか。
争いとは、そうした物事だ。
俯瞰してみた第三者であれば、それを理解することもできたであろうが、眼前に迫るものには何一つ理解できぬことである。
「だからこそ、だ。こうなってなお、戦うことを強いるのは、ただ狂気に思考を奪われたからか」
あるいは、と朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は呟いた。
何かしらの勝算があるのか。
小国家『シーヴァスリ-』は本土たる超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』をかく座させている。もはや移動する所在なき本土である強みは活かすことはできないだろう。
勝算があるかもしれないという可能性について否定はできない。
だからこそ、小枝子は己のキャバリア『デモニック・ララバイ』でもって、『ベヘモット』へと降り立つ。
「……」
亡街霊障(コンシャスネス)によって霊物質で機体を覆う。
視聴嗅覚での感知を不可能にし、彼女は今のうちにと『ドロモス・コロス』を『ベヘモット』内部に設置していく。
隠蔽できるのならば、それにこしたことはない。
それはスピーカーのようなものだ。
いざとなれば、このスピーカーを通して演奏を響かせようというのだ。
「わかるけどさ、奏者。できるかな」
そんなことが、と『クレイドル・ララバイ』が言う。
けれど、小枝子は眼差しを輝かせた。
「できるか否かではない。やる。人の心を苛む言葉を打ち消すのは、いつだって言葉ではない何かだ。それができる。それをやる。自分は、それだけしかできない」
壊す。
戦いに人を駆り立てる煽動者の言葉をかき消す。
そのためにやれるべきことはやるのだと小枝子は言い切る。
周囲の状況を把握しながら『デモニック・ララバイ』は走る。
急がねばならないのは承知の上である。
オブリビオンマシンを疾く破壊する。
そのためにできることはすべてやる。
万全を期すことができることなど多くはない。万全など程遠い。だからこそ、目指すことはやめてはならないのだ。
自らの役割を思うのならば、なおのこと。
「壊す。オブリビオンマシンがもたらす狂気は、自分が壊す――!」
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
ぴよちゃん(f42991)ちってなんかしょっちゅう戦争してるよね。
うるう達が猟兵だからそーゆー所にばっか遭遇するのかな?
でもプラントの取り合いが原因なら、オブリビオンマシンがいなくなっても状況変わんないような……まぁ良いや、今出来るのは止める事だよね。
国民皆嫌がってるんだからやめなきゃダメ。
それが民主主義ってやつだよ、多分!
とゆー事でうるうの魔法で隠密させてあげる!
大丈夫、ぴよちゃんは一人じゃない。
二人でびしょ濡れになろ?
後はぴよちゃんの背中に座れば完璧、はいよー!ってね!
えー、うるうの箒速いもん。
うっかり衛星ビーム喰らったら困るよねぇ?
そうそう、隠れながら行こう!
人がいたら麻痺させてあげる!
ファルコ・アロー
よその世界生まれの杓原(f28476)には分かんねーでしょーけど、この世界はそーゆーもんなんですよ。
生きて行くにはプラントが必要で、奪うにしても守るにしても戦争しなきゃなんねーんです。
まぁ病院のフリしたり嫌がる国民を狩り出すってーのはやり過ぎですし、オブリビオンマシンが絡んでるなら止めるしかねーですね!
で、闇に紛れて隠密行動は良いんですけど……なんで二人でびしょ濡れになる必要があるんですか!?
おかしいですってその魔法!
しかもボクが手も使って走るからって、てめー背中に乗る必要ねーでしょ!
箒で飛べば……あーもう良いですよ、乗りゃいいです!
後は気配感知で敵の位置を把握しつつ、隠れながら走るですよ!
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)はいつだって疑問だった。
クロムキャバリアという世界は常に戦乱に満ちている。
それが当たり前だというように、だ。
彼女には、それが疑問だった。
「ぴよちゃん、どうしてこの世界はこんなにもしょっちゅう戦争してるんだろうね。うるうたちが猟兵だから、そーゆーところにばっか遭遇するのかな?」
言ってしまえば、自分たちが争いに介入し続けているから、そのように見えるだけなのかもしれない。
事実、そうとも言える。
だが、それはただの物事の側面でしかない。
この戦争しかない世界にあっても、人々の営みがある。
日常がある。
けれど、そう問いかけられたファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は頷いた。
「よその世界生まれの杓原にはわかんねーでしょーけど、この世界はそーゆーもんなんですよ」
ファルコは頷いた。
肯定した。
悲しいとか、そんな感情はない。
常なるからだ。常に、こうだからだ。諦観とは違う。そういうものだというふうに受け入れている。
それだけのことなのだ。
何故か。
「生きていくにはプラントが必要で、奪うにしても護るにしても戦争しなきゃなんねーんです」
「じゃあ、プラントが原因ならオブリビオンマシンがいなくなっても状況変わんないような……」
わかり合うことができるだろうか。
人は、距離が離れれば離れるほどの誤解する。
すれ違うし、行き違う。
そうやって誤解が不理解を加速させていく。不理解は攻撃性となって他者を打ちのめすことにしか使われないだろう。
それを悲しいというのならば、きっと。
「それでも、オブリビオンマシンのやろーどもが、人を狂気に落として病院のフリしたり、嫌がる国民を駆り出すなんてのは、やりすぎです。それにオブリビオンマシンが絡んでるなら止めるしかねーですよ!」
「うん。そうだよ。止めないとね。みんなが嫌がってるんだから、やめなきゃダメ。sろえが民主主義ってやつだよ、たぶん!」
「早く行きましょう! さっさと!」
「はいはい、ぴよちゃん、ちょっとまっていてねー! うるうの魔法で隠密させてあげる!Bubble Splash!(バブル・スプラッシュ)!」
潤のユーベルコードによって生み出されたシャボン玉が潤とファルコをびしょ濡れにする。
なんで?
「なんで?」
ファルコは呆然としていた。
闇に紛れて隠密行動をする、というのはわかる。
だが、何故? 二人でびしょ濡れに?
「おかしいですよね、この魔法!?」
「だいじょうぶ、ぴよちゃん。一人じゃないよ。二人でびしょ濡れだよ」
ほら、と潤は自らの姿を示す。
確かにびしょ濡れであったが、濡れ透け状態でもあった。
なんていうか、眼福と言えば眼福の状況であった。しかし、状況は夜闇である。見えない! くそう!!
「じゃあ、あとはぴよちゃんに運んで貰えば完璧!」
ファルコはランナーユニットをまとい、スラスターを噴射させた。
「おわ! なんでてめーがボクの背中に乗るんですか!」
「だって、うるうの箒ってば速いけど、空を飛んじゃうから衛星ビームくらっちゃうもん。困っちゃうじゃない? だから、はいよー!」
「こら、ばか! どこ掴んでるんですか!?」
「掴みやすかったから?」
「この……! ちっ! しかたねーですね! 隠れながら走りますから、振り落とされるなってんですよ!」
「これだけおっきいから大丈夫!」
隠密性も何もない気がするが、それでも潤のユーベルコードによって得た隠密効果で二人は、『ベヘモット』の内部を疾駆し、駆け抜けていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の香りがしまぁぁぁぁぁぁぁっぁっぁぁっぁぁっぁぁぁぁぁあっぁぁぁっすっ!!
はい、メイド参上です!
ようやく出てきましたね、ノイン様
とうとう狂いましたか……いえ
全てを与えすぎて、望まぬ結果が齎されて
『そこ』しか拠り所が無いのですか?ノイン様
ルクス様、どうやら本当にクライマックスのようです
練乳の備蓄は補充できましたか?たぶん足りませんよ?
それではいきましょう!ケルーベイム!
今ここで貴方以上の適役はいないでしょう
駆けますよ、セラフィムの元まで
というわけでぶっ飛んでいきます
ルクス様死なないで
【カナフ】!
敵陣営を斬り込んでいきます
敵キャバリアはどうにか戦闘不能位にしましょう
ルクス・アルブス
【ステルク】
ノインさん、ショタを拗らせすぎて、ついに闇堕ちしちゃいましたか。
まぁ拗らせすぎて1周回って、もとに戻ってきたメイドさんもいま……戻って?(チラ見)
……うん。あまり変わらないですね!
なにはともあれ、ここがベヘモットの中なんですね。
たぶんたぶんだいじょぶです。今回は練乳たっぷり持ってきましたから!
(ダンボール背負ってちうちうしながら)
さ、ステラさん、同類相哀れ……いえ、同族嫌……。
いえいえ、えっと……正義を守りににいきましょう?
正義じゃなくても、『エイル』さんは守らないとですしね!
って、ここで生咥えは厳しいですって!
と、とりあえず【Canon】!
死なないために見えたら倒しますー!
「|エイル』様《主人様》の香りがしまぁぁぁぁぁぁぁっぁっぁぁっぁぁっぁぁぁぁぁあっぁぁぁっすっ!!」
「ステラさん、ちょっと声、声抑えてください! 今! 隠密行動しなきゃって話だったでしょ!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)が叫んだせいで、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は大慌てでステラの口を塞がねばならなかった。
すでに彼女たちは小国家『シーヴァスリー』の本土とも言うべき、超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』の内部に転移していた。
ここからは速やかに元凶たるオブリビオンマシンを破壊せねばならず、そこまでたどり着くために急がねばならなかったのだ。
しかし、ステラは、この『ベヘモット』に波及したサイキックの光を懐かしく思えたことだろう。
あの大空の世界。
あの世界で見た光。
熾火のことを想起させていた。
絆ぐ者。
あの熾火がサイキックの発露だったというのならば、あの光もまたそうだったのだろう。
だからこそ。
「はい、メイド参上です!」
「いえ、いまさら決められても……」
「ふっ、これはもはやノルマですよ、ステラさん。しかし、ようやくでてきましたね、『ノイン』様。とうとう狂いましたか……いえ、狂っていた、というのが正しいのでしょうか。与えられたのか、与え続けたのか。いずれにせよ、これがあなたの望む結果なのですか?」
「あのぉ、もしかして『ノイン』さんってショタをこじらせすぎて闇落ちしちゃった方なんでしょうか? まぁこじらせすぎて一周回って、もとに戻ってきたメイドさんもいま……戻って?」
戻ってなくない?
いつも通りじゃない?
「……うん。あまり変わらないですね!」
ステラの行動は今に始まったことはない。なら、とルクスは開き直った。諦めとも言う。
「なにはともあれ、ここが『ベヘモット』の中なんですね。普通の地面と変わらないっていうか、それだけ広いってことなんでしょうけど」
「ルクス様、どうやら本当にクライマックスのようです。練乳の備蓄は補充できまいsたか? 多分足りませんよ?」
「たぶんだいじょうぶです。今回は練乳たっぷり持ってきましたから!」
段ボールを背負うルクスは、そこからチューブを取り出して吸っていた。
なんていうか、登山家が水を背負うのに似ていた。
流石にシリアスアレルギーと言えど、無理がないだろうか。いや、無理を可能にするのが勇者ってなもんであれば、まあ、その。という具合である。
「さ、ステラさん、同類相哀れ……いえ、同族嫌……いえいえいえ、えっと……正義を守りにいきましょう?」
「ええ、いきましょう!『ケルーベイム』! 今ここであなた以上の適役はいないでしょう。『奉仕者』としての名、その役割! 果たして見せるために駆けますよ!『セラフィム』のもとまで!」
「正義じゃなくても、『エイル』さんは守らないとですしね!」
「というわけでぶっ飛んでいきます!」
ステラはルクスをサイキックキャバリア『ケルーベイム』で掴み上げた。
「わっ!? まさか、えっ、このまま!?」
「ルクス様死なないで」
「ちょ、厳しいですって!」
「最速最短で向かうためには、障害を退けてこそ! 向かいます!」
「と、とりあえず……!」
「不協和音はやめてくださいね」
「不協和音じゃないです! 魔法ですから!」
ルクスは掴まれたままバイオリンを演奏しながら破壊音波を撒き散らす。
強行突破をするというのならば、目立つことをもはや厭わない。
強襲とも言うべきステラの『ケルーベイム』での突撃と共にメイドと勇者はけたたましく戦場を両断するように一直線にオブリビオンマシンへと疾駆するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
……ちょうどいいわ。いい加減、決着をつけたいところだったから
正直、時間が惜しいし、そもそもこの要塞自体残しておいていいことはないと思ってるから。だから、こうするっ…!
『アルカレクス・ドラグソリス』へと融合合身後、【スパイラル・ブレイカー】で両腕をドリル化し、壁でも床でも、全部ぶち抜いてまっすぐ突き進む…!
目立つけど、もともと大型の機体だし、こっちが注目を集めてその分他が手薄になるなら上等よ
オブリビオンマシン以外は極力無視して攻撃はEフィールドの障壁でしのぎ、先を急ぐわ
誰かの言いなりになるんじゃなく、自分で考えて逃げるというなら今は追わないから勝手にしなさい。……出口ならそこに空いてるわよ
これまでオブリビオンマシンと関連した事件において、小国家『シーヴァスリー』は、その尖兵とも言うべき争いの火種の中にあった。
渦中にありながら、これを煽る立場であったとも言えるだろう。
彼らはオブリビオンマシンのもたらす狂気に漬け込まれていた。
しかし、今や彼らの狂気はサイキックの光で拭われている。
それが一時のものであるのは、オブリビオンマシンが存在している限り変わりのないことである。
故に、とアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は呟く。
「……ちょうどいいわ。いい加減、決着を付けたいところだったから」
彼女は乗騎である『プロトミレス』と『ドラグレクス』を融合身させ『アルカレクス・ドラグソリス』へと変貌させる。
転移して直後のことである。
時間が惜しい。
オブリビオンマシンの狂気は、恐らく波及していくだろう。
そして、たった一人が狂気たる思想に走るのならば、正気たる人間も巻き込まれていく。
争いというものは、常にそういうものだ。
たった一人によって全てが覆されてしまいかねない。
急がねばならない。
「ぶち抜いてまっすぐ突き進む!」
Eフィールドで覆われた両腕が回転をはじめる。
「打ち貫く……止められるものなら止めてみなさい!! スパイラル・ブレイカー!!」
衝角となった腕部。
その一撃をアルカは障害物となる全てに叩き込む。
只管に真っ直ぐに。
一直線に、最速最短を進む。
隠密も何もない。目立つことは避けられないだろう。
だが、アルカは構わなかった。
「もとより大型の機体……こっちが注目を集めて、その分他が手薄になるなら城東よ!」
オブリビオンマシン以外、アルカは興味がない。
通常のキャバリアは無視するようにしてアルカはEフィールドで覆われた己の機体の突貫力を全面に打ち出すようにして突き進んでいく。
「誰かの言いなりになるんじゃなく、自分で考えて逃げるというのなら今は追わない」
アルカは外部スピーカーをオンにして告げる。
敵とみなすのはオブリビオンマシンのみ。
もしも、通常のキャバリアが己たちに攻撃を仕掛けるというのならば、それもまた致し方のないことなのだろう。
だが、アルカにとって、それは意味のないことだった。
オブリビオンマシンを破壊する。
それだけが目的なのだ。
だから、彼女は居合わせたキャバリアを見下ろすでもなく、かと言って攻撃を仕掛けることもなく告げる。
「出口ならそこに空いているわよ」
そう言ってアルカは、己の背にある穿孔した壁面を示しながら、さらに突き進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
『ベヘモット』に住む人々の狂気が晴れたというのは本当のようね
一体何が起こっているのかしら……胸騒ぎがするわ
急ぎましょう『エプタ』
彼らの心が迷っているというのなら
戦いを避けるため、結界領域を展開
暗闇に紛れて、素早く駆け抜けていくわ
なにが起こっているのか、そして何をすべきなのか
私は知りたい――その想いが私を加速させる
『エプタ』、あなたの想いだって
私に負けないくらい強いのでしょうね
嫌な予感が、膨れ上がっていく。
言いようのない、例えようのない、漠然とした不安。
何故、そんなふうに思うのか。
息を吸う。
肺が重たい。
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、軽やかなる羽衣人たる己の身がどうしてこんなにも地に縛り付けられているように思えたのか理解らなかった。
サイキックの光。
あの超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』に波及した光は、確かに『シーヴァスリー』の人々の狂気を拭った。
それ自体は本当のようだった。
なのに、胸騒ぎめいた予感だけが心の中から払拭できなかった。
「一体何が起こっているのかしら……急ぎましょう『エプタ』」
「ヴュンヴュンヴュン!!」
バトモン、セラフィナイト『エプタ』は頷いた。
すでに彼女たちは『ベヘモット』の内部へと転移を果たしていた。
猟兵たちの幾人かが派手に進むことで注意を引きつけている。であれば、自分たちに対する驚異も少なくなっているだろう。
それに、と静漓は気がついていた。
オブリビオンマシンの狂気が拭われているということは、この小国家に生きる人々は、多くがすでに戦いに対して忌避感を抱いているということだ。
なら、と静漓の瞳がユーベルコードに輝く。
「戦いを避けましょう。彼らだって戦いたくはないはず。うんざりしているはず。戦って、戦って、得られるものはなく失っていくばかりなんて、そんな心が疲弊することばかりなんて……そんなの」
いつまでもやれることではない。
静漓は、ユーベルコードで結界領域(ケッカイリョウイキ)を展開し、暗闇の中にまぎれて『エプタ』と共に駆け抜けていく。
「なにが起こっているのか、そして何をすべきなのか。私は知りたい――その想いが私を加速させる」
「ヴュンヴュン!」
「ええ、あなただってそうね。あなたの想いは、私に負けないくらい強いのでしょうね」
「ヴュン!」
行きましょう、と『エプタ』が言うようだった。
二人は、そうやって暗闇に水色の残光を刻み込むようにして走り抜けていく。
これから何が起こるのか。
この胸騒ぎの原因はなんなのか。
杞憂であったのならば、それにこしたことはない。
けれど、そうした物事が杞憂であったことなどいない。いつだって、この胸騒ぎは忌避したいと思う心がじくじくと内部を蝕んでいくような感覚を伝えてやまないのだ。
暗闇。
眼前に広がるのは、どこまで晴れやかにならぬ道行でしかなかった。
それでも恐れを抱きながらも前に進むことができる者だっているのだ。
静漓は、一つ頷く。
「征きましょう――!」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『アイアンベア』
|
POW : 鉄熊超剛力
レベル×1tまでの対象の【部位(実体が無くても可)】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : 鉄熊掘削爪
自身の【熊力】を籠めた【RX-Aベアクロー】を用い、通常移動と同速度で地中を掘り進む事ができる。装甲破壊にも使用可能。
WIZ : 鉄熊滑腔砲
【装弾筒付翼安定徹甲弾】を【火薬の燃焼圧】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『ベヘモット』内部に配されたキャバリア『アイアンベア』の中でパイロットたちは困惑していた。
本土とも言うべき『ベヘモット』に敵が侵入してきている。
だが、心に去来するのは戦いを忌避する感情だけであった。
訓練された兵士であっても、戦いを好む心を拭われてしまう。
争いたくない。
死にたくない。
殺したくない。
心に湧き上がるのは、そうした感情だった。
「人の、心が流れ込んでくる……これは、俺の考えたことじゃない。なのに、俺の中にも同じものがあるってわかる……」
「誰かの心なのに、自分も同じだとわかる……」
「……理解ってしまえる。これは自分だ。同じように思える誰かがいて、それは自分の中にあるものでもあるのだって、孤独じゃないということが理解ってしまう」
「真の孤独は、誰とも繋がれなかった者なんだ……けれど」
波及した光は、彼らを孤独にしなかった。
自分とは違うものが、自分と同じように思えるのだということを理解してしまっていた。
争いなど、そうした理解のまえにはあまりにも些末なことであった。
だが、そうした心を塗りつぶす命令が響く。
「だからなんだというのです。つながり? 人と人の? ならば、どうしてこの世界は争いに満ちているのです。それは避けようがない衝突だからです。理解しながら、自分とは違いすぎる存在がいて、それが自らを脅かす存在であると。だから、それを排除するために攻撃するのです」
『ノイン』の言葉にキャバリアが反応する。
「……そんな、機体が……! 勝手に動く!?」
「コクピットがあかない!?」
「や、やめろ! 俺達はもう……!」
戦いたくない。
その言葉を塗りつぶすは、狂気。
キャバリア『アイアンベア』のアイセンサーがきらめき、自動操縦とでも言うのか、迫る猟兵たちに向けて、その砲火を向けるのだった――。
村崎・ゆかり
『シーヴァスリー』の行動方針は、昔の遊牧騎馬民族に近いのか。草原を家畜や財産と共に彷徨い、時に定住民の集落を襲撃して略奪する。大陸の歴史書にはよく出てきた。
ここからが防衛線ね。搭乗員を殺さずに無力化していかないと。
「式神使い」で白猫召喚。さあ、遊んできなさいな。大きな熊さんがお待ちかねよ。
あたしは「オーラ防御」を張って「地形耐性」「気配感知」で足下からの攻撃を警戒しつつ、白猫に無力化されたところを駆け抜けて奥へと進む。
みんな、もう少し耐えてちょうだい。『シーヴァスリー』は、もうすぐ『ノイン』の手から解放されるから!
白猫の式神をお供に、『ベヘモット』の最奥を目指して進んでいくわ。
移動する本土の利点は、その所在を掴ませぬことにある。
そうすることで追撃は追撃にならず、ただ徒に敵を疲弊させるだけであった。
小国家『シーヴァスリー』は、図らずともそうした戦略を取ることができた。稀有なことであるし、同時にプラントを奪い続けることで小国家としての隆盛を得ようというのならば頷けるものであった。
とは言え、かく座した超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』を見ればわかることだが、一度動けなくなれば地力というものの脆弱さが露わになるだろう。
移動できるとは言え、国の本質は常に人である。
市民たる彼らが少なければ、当然他に頼らざるを得なくなる。
そのための『疑似脳』を用いる技術が彼らには必須だった。
しかし、それも喪われている。
「なるほどね。『シーヴァスリー』の行動方針は、昔の遊牧騎馬民族のそれと同じか、近いか。まるごと移動できるっていうことは、略奪が容易いということでもある。それは、このクロムキャバリアにおいては、ある種の戦略にもなり得るってことね」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は小さく呟いた。
彼女の眼前には無数のキャバリア『アイアンベア』達がいる。
オブリビオンマシンではないが、狂気の意思によって突き動かされているように思えてならなかった。
「機体の制御が効かない……!」
『アイアンベア』が猛進するようにゆかりに迫る。
恐ろしいまでに鋭い鋼鉄の爪がひらめき、彼女に振り下ろされた。
その一撃をゆかりはオーラでもって受け止め、防ぐ。
「ここからが正念場ね。搭乗員は殺さず、無力化……か。なら! 急急如律令! 汝を縛るものは無し。奔放に疾く駆けよ!」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
白猫召喚(ハクビョウショウカン)によって、飛び出した白猫が『アイアンベア』の武装である腕部に触れ、その力を喪わせる。
「機体の制御系がクラックされたのか? いや、だが助かったと言えば助かった、のか?」
「もう少しだけ耐えていてちょうだい。『シーヴァスリー』は、もうすぐ『ノイン』の手から解放されるから!」
ゆかりは、迫りくる『アイアンベア』たちを式神の白猫でもって無力化しながら、『ベヘモット』の内部、その奥へと進む。
恐らく、そこにオブリビオンマシンがいる。
そして、そのオブリビオンマシンがもたらした狂気に侵された『ノイン』も。
ゆかりは、この戦いの結末がどうなるのかは知らない。
けれど、どうしなければならないのかということだけは理解しているつもりだ。
「解放しなければならいわよね。狂気の思想。それらから。だって、今彼らはもうそうした思想を拭われたのだもの……」
それは争いの輪廻から解放されんとしていることとも言えただろう。
ゆかりは、その思いとともに進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
くそ…出遅れちまった!
やれやれ…前にぼこぼこにした影響残ってるかな?
つか…何が起きてる?
「戦いたい心を…オブビリオンマシンの狂気が払われてるみたいだぞ☆」
…とんでもねー力だな…メルシー…力を解析しろ
ユーベルコードならパクれるかもしれねぇ
そうでなくても知るに越したことはねぇ
「畏まり☆」
「ヴュンヴュン!」
「チョゴー!」
「トレトレー!」
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の構造を解析
人の位置と兵装を看破
【念動力・空中戦・属性攻撃・弾幕・スナイパー・大富豪アタック】
戦いたくないならやらなきゃいい
止めてやるよ
「ヴュン!」
ヘクスがバイ・スタンダーⅥ発動
ダルク君はぺかー
此方も飛び回り念動光弾で動きを止め
竜眼魔弾発動
凍結弾で動きを止めて
【二回攻撃・切断・スィートブレス・貫通攻撃】
まだ動いているのはチョコブレスで固めて
後は機体を解体して中の人達を救出!
ノインについても聞く
後何があったかも詳しく確認し解析
闘いは終わらないにしても…
今のそういう気持ちは大事には出来るだろ
「殺し合いなんてしたくないよね☆」
「つか……何が起きてる?」
それは驚愕の光景だった。
サイキックの光が波及する小国家『シーヴァスリー』の本土とも言える超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』。
その光は、オブリビオンマシンの狂気によって汚染された思想を拭っていったのだ。
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、その光景を見上げ思わず呟いていた。そんなことが可能なのか。それとも、何かの偶然なのか。
いずれにせよ、今まさに『ベヘモット』はオブリビオンマシンのもたらさんとしている狂気から解放されていると言ってもいい。
キャバリアに乗るパイロットたちも同様だ。
「戦いたい心を……オブリビオンマシンの狂気が、払われてる☆」
『メルクリウス』の搭乗したカシムは、その言葉に目を見開いた。
「……とんでもねー力だな……」
「でも、この力、もう消えて行っちゃった……もしかしたら、一度っきりの力なのかも……☆」
「解析は」
「うっすらとしかわかんない☆」
「ユーベルコードじゃねーのか?」
「もしかしたら、そうかもしれないけど……どうなんだろう? その可能性はあるかもしれないよ☆」
「そうかよ。しかし、この状況……キャバリアは自動操縦ってやつか! こうまでして戦わせたい思惑って一体全体なんだってんだよ」
カシムの歯噛みする言葉にバトモンたちが飛び出す。
「あ、おい!」
「ヴュンヴュン!」
「チョゴー!」
「トレトレー!」
彼らは関係ないと言わんばかりに飛び出して、迫るキャバリア『アイアンベア』たちに立ち向かっていくのだ。
「ったく、戦いたくねーってんなら、やらなきゃいい。止めてやるよ!」
「ヴュン!」
セラフィナイト『ヘクス』が盾を構え、放たれた火砲の一撃を受け止める。
まさしく『鉄壁』である。
爆発が巻き起こる中、光が放たれ目眩ましのようにダルクが『アイアンベア』のアイセンサーを潰すのだ。
「まったく好き勝手やってくれるが、呆れるほどにド有能じゃねーか!」
『メルクリウス』が目くらましの合間を縫うようにして光弾を放ち、カシムはユーベルコードを放つ。
超高速で敵を追尾する凍結弾が『アイアンベア』の体躯を凍りつけ、そのアンダーフレームを地面に縫い止めるのだ。
「チョコブレスで固めてくれ!」
「チョゴー!」
その言葉に従うように放たれたブレスが『アイアンベア』のオーバーフレームをも固めるのだ。
そして、カシムは『アイアンベア』のコクピットハッチをこじ開ける。
「よお、戦いたくねーってんなら、今のうちだぜ?」
「た、助かった……! すまない!」
「いーってことよ。んで、何があったんだ、この騒ぎ」
「わからない。ただ、キャバリアの制御が効かなくなって……もう、こんなことはたくさんだ。戦いなんて……そんなのは、やりたいやつらだけでやればいい……!」
引っ張り出したパイロットの言葉にカシムは頷く。
そう、戦いは終わらない。
けれど、彼らが語った言葉のように、戦いはもうたくさんだといった、その心は大切なものだ。
それさえ失ってしまえば、人間性すら失ってしまう。
「殺し合いなんてしたくないよね☆」
「ああ、誰だってな。だけど、誰かの都合で誰かを殺して、そうやって自分を守ろうとするやつがいる。いつの時代も、どの世界も、大体おんなじだ」
だから、戦争なんて止めなければならないのだとカシムはパイロットのいない『アイアンベア』を光弾で穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
イクシア・レイブラント
戦闘は戦う意思を持つもの同士が行うべきもの。
討伐は戦えない者たちを実害から守るための手段。
戦意なき者の命を奪う理由はないよね。
安心して、助けるよ。
徹甲弾をシールドビットで[盾受け]しつつ
サイキックエナジーを解放して【サイキック・ロード】を発動、戦意を無くしたパイロット達を元の棲家へ転送し、戦う意思に操られたオブリビオンマシンには爆散しない程度に損傷を与える。
同じ機械同士|彼ら《オブリビオンマシン》とも共に生きられればいいのだけど、それは叶わぬ願い。
無人となった機体を[一刀両断]して破壊するよ。
戦争は大きなうねりだ。
抗いがたくもある。
抗いたいと思っていてもどうしようもない。
『そんな』空気なのだ。押し流されてしまう。見えない圧力に人は流されてしまう。どうしようもない。
『そんな』どうしようもなさは、人の心をすぐさまに壊してしまう。
壊して、壊して、その欠片で他者を傷つけていく。
生まれた傷は膿んでいく。
それもどうしうようもないのか。
「戦闘は戦う意思を持つもの同士が行うべきもの。けれど」
イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)がそう思えたのは、自身が戦うための力を持ち得ているからだ。
戦えいものは、巻き込まれていくしかない。
「討伐は戦えないものたちを実害から護るための手段」
だから戦うのだ。
戦う理由はそれぞれあったとて、イクシアにとってはそうだった。
故に、強制的に動かされるキャバリア『アイアンベア』たちの姿を認めた。
「戦意なき者の生命を奪う理由はないよね。安心して。助けるよ」
イクシアの人がユーベルコードに輝く。
迫る徹甲弾。
それは『アイアンベア』の肩部に備わった砲から放たれる一撃であった。
「違う、俺は撃ってない! 機体が勝手に!」
平時であれば、そんなもの言い訳にもならないだろう。
撃った者がいれば、撃たれた者がいる。
それだけのことだ。
けれど、イクシアは徹甲弾をシールドビットで受け流した。
シールドビットがひしゃげながらも、あらぬ方角へと弾かれて飛ぶ。
爆発が後方で舞い上がり、イクシアは輝く瞳で『アイアンベア』を見た。そこに宿る狂気。
それが『アイアンベア』を突き動かしているのだ。
「なら、パイロットだけは帰ってもらう! サイキック――ロードッ!」
イクシアの身より迸るサイキックの竜巻。
できるはずだ。
確信がイクシアにはあった。
あの『ベヘモット』に波及した光がサイキックだったのならば、狂気を拭ったように戦う意思のないパイロットたちを、その住処へと還すこともできるはずだと。
「なんだ? 光が! ああ、あそこは……!」
パイロットたちは見ただろう。
己たちがいるべきは戦場ではない。
なら、帰るべき場所は、それぞれにあるのだ。
機体からパイロットたちの反応が消えたことをイクシアは確認し、『アイアンベア』たちを見下ろす。
「同じ機械同士。共に生きられればいいのだけど、それは叶わない。なら」
壊すしかない、とイクシアはフォースブレイドの一撃で『アイアンベア』を両断する。
それは幕引きというよりも手向けだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
どーやらそのよーですね……わざとらしいか弱いアピールはやめろです杓原ァ(f28476)!
まぁ今回はそれで行くですよ、アクィラの矢だと足止めしか出来ねーですから。
ほんとに自動操縦のキャバリアに効くのかは疑問ですけど、一応魔法ですからね……とにかく任せたですよ!
ボクの仕事は怪力でコクピットハッチをこじ開けて、パイロットを出してやる事です。
自分で動けるなら自分で降りて貰うですよ、そこまで面倒見てやる程余裕ねーですからね。
逃げたきゃてめーの足で走りやがれです、戦いってなぁ敵相手にやるもんばっかじゃねーですからね!
へいへい、パイロット無しで動いても困るですからね。
思いっ切りぶん投げて壊してやるですよ!
杓原・潤
えー、こわーい!
ぴよちゃん(f42991)、あのキャバリア勝手に動いてる……ってゆーか動かされてるみたいだよ!
中の人は戦いたくないっぽいから助けて上げなきゃだね。
そしたらうるうがキャバリアの動きを止めてる間にぴよちゃんがパイロットを引き摺りだすってのはどう?
大丈夫、うるうの誘惑はきっと自動操縦のキャバリアとかにも効くよ!多分!
とゆー事で、あの弾に狙われないように箒飛行で動きながらユーベルコード発動!
うるうの魅力でときめいちゃえ!
ほら、パイロットごと動きを止めちゃえば助けるのも楽でしょ?
ついでにパワフルな攻撃も防げるし。
自爆とかされたら大変だし、キャバリアは向こうの方に投げといてね!
やだ、と杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は真っ先に思った。
目の前には自動操縦のキャバリア『アイアンベア』。
内部には、人がいる。
戦いたくない人。
その心がわかってしまう。自分が魔法使いだからではない。
誰かを傷つける理由がなくなってしまった人の手に武器があるのは、その切っ先が自分ではない誰かではなく、自らを傷つけるものであることを知っているからだ。
だから、危険なのだ。
意思なき刃は、徒に誰かを傷つける。
自分すら傷つけていることにすら気がつけないほどに、その刃の危うさは剣呑だった。
「えー、こわーい!」
そんな思いをおくびにも出さないで、潤は言った。
「ぴよちゃん、あのキャバリア勝手に動いてる……てゆーか、動かされてるみたいだよ!」
「どーやらそのよーですね……わざとらしい、か弱いアピールはやめろですよ杓原ァ!」
「そんなことないもん! それにあの中の人は戦いたくないっぽいから助けてあげなきゃ!」
ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)の言葉に潤は言う。
そう、助けなければならない。
もう戦いたくないと言っている。
それを無理強いすることなんて、潤にはできない。
「ねえ、うるうがキャバリアの動きを止めてあげるから、ぴよちゃんはパイロットを引きずり出して!」
「今回はそれでいくですよ。こっちは足止めしかできねーですから! ほんとに自動操縦だってんなら……」
「大丈夫、うるうの誘惑はきっと自動操縦のキャバリアとかにも効くよ! 多分!」
「多分かい!」
ファルコは思わず突っ込んでいた。
けれど、可能性はある。
自動操縦がどのような原理で働いているのかはわからないが、それでも魔力の類があるのならば、不可能ではないように思えたのだ。
可能性に賭ける。
いつだって、戦場は流動的だ。
その場その場で、できることをやるしかない。
それが最善であるのかもわからないが、最高は常に掴み取れるものではない。
「とにかく任せたですよ!」
「うん、まっかせといて! うるうの魔法なんだから!」
潤の瞳がユーベルコードに輝く。
「さあ、こっちだよ、鉄のくまさん! うるうを見て!」
「子供!? なんでこんな場所に……逃げろ! こいつは止まらない! はやく!」
パイロットの声が聞こえる。
だが、潤は微笑んだ。
大丈夫、とウィンクした。
瞬間、彼女のユーベルコードの輝きが身に溢れ、たおやかな指先が自らの唇に触れた。
「ときめいちゃえ☆ スターリィ・キッス!」
投げキス。
その動作から放たれるのは星型の魔力であった。
小悪魔的な魅力。
それが潤の持ち味である。だが、それ自体に意味はない。意味はないが、魔力には意味がある。
一瞬とて、ときめきを生み出せるのならば、それが『アイアンベア』自体の動きを止める。
「ぴよちゃん! 今だよ!」
「わーってるですよ! ふ・る・ぱ・わぁぁぁぁ!」
動きを止めた『アイアンベア』のコクピットハッチをファルコはこじ開け、投げ飛ばした。
「……ッ!?」
「はいはい、驚くのもわかるですけど、地力で後はどうにかしろってんですよ。そこまで面倒見てやるほど余裕ねーですから!」
「すまない、だが、他の連中は……!」
「まるっとぜんぶやってやるってんです! だったら、さっさと退く!」
ファルコはパイロットを引きずり出して放り投げる。
「ぴよちゃん! 自爆とかされたら大変だし、キャバリアは!」
「へいへい、重いイキリぶん投げて壊してやるですよ!」
ファルコの瞳がユーベルコードに輝く。
マシーナリーズ・フルパワーは、伊達ではないのだ。
ファルコはパイロットを失った『アイアンベア』の巨体を掴み上げ、その小さな体躯で持ち上げ、地面に投げつけてた叩き壊す。
そして、次なるパイロットを救出するために潤と共に戦場を駆け抜けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薄翅・静漓
皆、狂気を拭われた様子なのに
それでもなお、戦いと滅びを望む人がいる
『ノイン』……彼女の狂気は、それほどまでに深いということ?
キャバリアを止められないのなら、先にパイロットを転移させるわ
攻撃を見切り、ダッシュ/ジャンプで躱しながら
『月光の導べ』を放ち、退避を促しましょう
少なくとも……そこは、彼らの棲家ではないはずよ
パイロットがいなくなっても機体が動き続けるなら
機体へ光の矢を撃ち込むわ
『エプタ』……
誰かの心が、彼らのしるべになったのね
……いつだったか、忘れてしまったけれど
私にも「できる」と言ってくれた人がいたわ
それが誰だったのか
もう、解らないけれど
それは私の心に灯りをくれたのよ
波及したサイキックの光は、戦争の狂気を拭っていった。
それがどんなに。
「……」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、空を見上げた。
こんなにも夜空は広いのに、星一つない。
標すらない暗闇を見上げて、彼女は不安に思ったかも知れない。
そして、キャバリア『アイアンベア』を見た。
中に人がいる。パイロットがいる。
けれど、戦いを望んでいない。誰もが戦いたくないと望んでいて、それでも戦いを望む誰かに突き動かされる。
まるで部品だ。
人が部品。
生きているのに、まるで生きていないかのように自由に、それを扱えると信じて疑わぬ心なき者の所業が、今まさに目の前に突きつけられている。
止められるか。
そう問いかけられているように思えてならない。
「『ノイン』……彼女の狂気は、それほどまでに深いということ?」
「ヴュン!」
バトモン、セラフィナイト『エプタ』が頭を振る。
これは狂気、ではない、と。
「では……これは」
「ヴュン!」
『エプタ』は静漓に叩き込まれるはずだった火砲の一撃をシールドで受け止めた。爆風が荒ぶ。戦いの熱。
「違うっ、私、撃って……!」
ない、という声が聞こえる。
「あのキャバリアのパイロットの声……」
静漓は爆風を避けるようにして、ひらりと中に舞う。
「選びなさい。パイロット……我が家に戻るのか、それとも、その鋼鉄のゆりかごを住処とするのか」
月光の導べ(ゲッコウノシルベ)のように静漓のユーベルコードが走る。
光が恐れにおののく心を鎮める。
「あなたの住処はそこではないでしょう」
その言葉に従うように光は、パイロットたちを転移させる。
拒絶はなかった。
誰もが戦いたくないと願って、それができなくて死んでいく。
戦場とはそんな場所なのだ。
悲しみだけが満ちていく。苦しみだけが広がっていく。痛みだけが生命をおびやかしていく。
「……パイロットがいなくなっても動き続ける……これが狂気」
光の矢をパイロット不在の『アイアンベア』を打ち貫く。
「ヴュン! ヴン!」
「ええ、そうね……誰かの心が、誰かのしるべになったのね」
「ヴュン!」
それが、とあの光だったのだ。いつかの誰かの心。
戦いの中で見つけた、戦いを遠ざける心。
その光に懐かしさを感じたのは、哀愁を感じたのは、何故だったのか。
「……いつだったか、忘れてしまったけれど、私にも『できる』と言ってくれた人がいたわ。それが誰ったのか。もう、理解らないけれど……」
それでも静漓の瞳には。
「それは私の心に灯りをくれたのよ。なら、私はこの燈火を絶やさない」
熾火のように光が昌盛していた――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
いよいよ悪役ですねぇ。
でもでもそんなノインさんには釣られないクマー!
と、それはいいとして、ノインさんもステラさんみたいに、
ちょっと(?)迷惑な雄叫ビストくらいで我慢しておけばいいんですけど……。
まぁ我慢しなかったら、ステラさんはノインさんレベルではすまないんですけども!
え? 練乳ならあとダンボールに半分くらいでしょうか。
まだもちょっとシリアス続きそうですし、十分ではないかもですけどがんばります!
って、ステラさんからのリクエスト!?
いきますいけます、でも今回こそ聴いてくださいね!?
それではリクエストに応えて【フィンランディア】で足関節を狙っていきましょう!
奏・魔・法! いっきまーす!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
さてルクス様、まずは生存報告を
生きてます??シリアスはまだ先ですよ??
練乳の在庫は充分ですか?
では……いきましょう
突破しますよルクス様!
できればパイロットの方々は無事に
キャバリアだけを戦闘不能に
脚と背中の砲台をどうにかできればいけますね!
というわけでルクス様、ASAP演奏
脚をどうにかしてもらえますか
私は砲台をどうにかしますので!
ケルーベイム!【クーストース】!
フェリーレで砲台を真ん中から叩き折っていきましょう!
徹甲弾は厄介ですがケルーベイムの速さなら回避できるはず
ルクス様、どうですかー?
破壊音波で足を壊せばアッハイ奏魔法デスネ
思う存分演奏しておいてくださいね
この後はチャンスないので
「いよいよ悪役ですねぇ。でもでもそんな『ノイン』さんには釣られないクマー!」
鋼鉄の巨人。
否、キャバリア『アイアンベア』の姿を認めてルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、練乳をちゅうちゅうしながら、威嚇する。
如何にクマが甘いものが大好物であろうとも、生命線であるところの練乳を渡すつもりはなかった。
そもそも『アイアンベア』に練乳が必要かどうか。
「まあ、それはいいとして『ノイン』さんもステラさんみたいに、ちょっと迷惑な雄叫ビストくらいで我慢しておけばいいんですけど」
唐突に始まったステラ・タタリクス(紫苑・f33899)へのディス。
しかし、ステラは余裕であった。
「ルクス様が健在でようございました。シリアスはまだ先にもあるのですから。練乳の在庫は充分ですか?」
「お気遣いありがとうございますなんですけど、なんか聞き流してなかったことにしようとしていません? 聞き流しても事実は消えないんですけど」
「いえ、事実無根ですので、ノーダメです」
「事実無根ではないと思うんですけど……」
まあ、とルクスは思う。
もしも、ステラが何の足かせもなかったのならば、『ノイン』以上の大災厄を引き起こすのではないかと。
実際に起こってないので、あれであるが。
とは言え、やらなければならないことは多い。
パイロットの意思とは無関係に動くキャバリア。
何かの意思に操られるようにしてキャバリア『アイアンベア』たちは火砲を放つ。
砲火の中、ステラはサイキックキャバリア『ケルーベイム』と共に掴んだままのルクスと共に砲撃の爆発をかいくぐる。
「練乳の備蓄はあとはんぶんくらいです! まだもうちょっとシリアスが続きそうな気配しているんで、充分ではないかもなかんじですが、がんばります!」
「敵機の無力化を行わねばなりません! であれば、ルクス様! 演奏で足をどうにかしてもらえますか!」
「まさかのステラさんからのリクエスト!?」
「できます? できませんか? どちらですか!」
「いきます、いけます! でも今回こそ聴いてくださいね!?」
「耳栓していても突き抜けてくるのです。聴く聞かないではありませんよ。耳に流し込まれている感じです」
「心から聴いてくださいよー!」
「頼みます!」
「もう、それならリクエストに応えて! 交響詩《フィンランディア》(コウキョウシ・フィンランディア)!」
「パイロットのみなさま、破壊音波が来ます。耳を抑えてくださいませ」
「奏・魔・法!」
「備えてくださいませ!」
その言葉とともにルクスのユーベルコードが放たれる。
それは奏勇者の全力演奏である。
そして、振動波が『アイアンベア』の脚部関節を震わせ、これを粉砕し、各座させるのだ。
「ぐっ……さすがはルクス様。ですが、この後はチャンスはないので、今のうちに!『ケルーベイム』!」
アイセンサーがきらめき、ステラは内蔵されていたトンファーを振りかぶって『アイアンベア』の火砲を叩き潰し、その機体を破壊していく。
そう、次だ。
その次こそが、正念場だ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
……自律稼働…いえ、これは遠隔制御……?
なら「キャバリア型の無数の遠隔制御兵器」ってことで……
まさか…「セラフィムビット」……?
方針変更、進撃よりも敵機への対応を優先!ここで極力減らすわ!
攻撃にはEフィールドと装甲の自己修復で対応して……自力脱出もできないというのなら少々荒っぽくなるけれど、【カエルム・インフェルヌス】を!
搭乗者をフィールドで保護したうえで拘束して動きを止め、コクピットブロックごと機体からえぐり抜きとり、残る敵機本体を破壊する!
これらの機体がノインの目であり手足な可能性はあるし、
仮にそうなら、あいつの性格上アハトやセラフィム・エイルの戦法の単なる模倣で終わらせるとは思えないもの
パイロットの意思とは裏腹に稼働するキャバリア『アイアンベア』。
その鉄の躯体はまるで狂気に突き動かされるように火砲を放ち、猟兵たちに襲いかかっていた。
まるで誰が己達を脅かすのかを理解しているようでもあったのだ。
「……自律稼働……いえ、これは遠隔制御……?」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は引っかかる物を感じていた。
つまり、今の『アイアンベア』たちは、『キャバリア型の無数の遠隔制御兵器』ということなのではないか、と。
「まさか……」
思い当たる節が一つだけあった。
地下帝国での戦い。
かつての戦いを想起させる。
「……『セラフィム・ビット』……?」
あの時もそうだった。
キャバリアであるが、無人機。
それをたった一騎のオブリビオンマシンが制御していたのだ。
「……なら、ここで極力数を減らす!」
そう、もしあのキャバリアが無人であっても制御できる類のものであったというのならば、あれが存在しているだけで敵の戦力に成り代わるからだ。
パイロットがいなければ本来、キャバリアは戦力になりえない。
しかし、機体だけでも戦力になるというのならば、この後に控える戦いは、恐らくそうした戦いになる可能性がある。
それならばとアルカは判断したのだ。
「多少、あらっぽくなるのは……!」
致し方なし、とアルカの瞳と同期すうりょうに『アルカレクス・ドラグソリス』の瞳が輝く。
「コア部位捕捉、コア防護及び敵機拘束フィールド、全開……!」
『アイアンベア』のみを破壊する。
機体だけ、パイロットは殺さない。
両腕に宿る力。
守護と殲滅。
相反する力を込めた突撃の一撃は、巨大な衝角となって『アイアンベア』のみを粉砕し、搭乗しているパイロットを保護しながら突き進む。
「これが『ノイン』の性格上ありえること……!」
彼女の性格というものをアルカは理解していた。
『アハト・スカルモルド』や『セラフィム・エイル』の戦法を単なる模倣で終わらせるわけがない。
ならばこそ、アルカは、その企みを粉砕するように『アイアンベア』たちを破壊し続ける。
パイロットたちを救出すれば、すぐさまに動く。
放たれる火砲の勢いはますます増している。だが、構わない。
ここには自分だけがいるわけではないのだ。
「他の猟兵も気づいている者たちがいるはず……なら、私は! “未来”を守護して、“過去”を滅ぼす!」
ただそれだけなのだというようにアルカは『アイアンベア』を粉砕し続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
補足された以上、もはや潜む必要性はない!
クレイドル、補助頼むであります!!
クレイドル・ララバイでデモニック・ララバイ【操縦】補助、
メガスラスター【推力移動】と【ダンス】を併せて【残像】を創り鉄熊達のセンサーを惑わして滑腔砲撃を回避。同時に【楽器演奏】『終曲よ、序曲へ回れ』最大音量、魔音発振!!
これまで散々争ってきておいて、今更戦いたくないなんて願いは、
都合の良い願いだろう、身勝手だろう!だが、それでも!!心にその願いを、平和を抱いたなら、まだ生きているのならやり直せる!
先に配置したドロモスと音叉とも共鳴させ、ベヘモット中に魔法の演奏を響き渡らせパイロット達、シーヴァスリーの人々の生命力賦活!!
生きたいと望むのなら、抗え!!
その絆がりを手放す事なく、願い続けろ!!!
声と演奏とで、ノインの、オブリビオンマシンの狂気を壊し退け、人々の願い、破滅的闘争心を含まないその情念を増幅、集約、魔法の種子を創造。地へ埋め込み、ベヘモットを苗とし人々を守護する大樹と成し、その根で鉄熊達を絡め取り無力化!!!
飛び出す。
勢いよく跳ねるようにして機体が揺れる。
その衝撃を身に感じながら、これが他人事ではないのだということを今更に朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は感じた。
そう、他人事ではない。
戦いは、他人事ではない。
遥か遠くに身をおいていても、無関係ではいられない。
誰もがつながりを断てない。
この場にいない猟兵であっても逃れることはできない。
「そんなこと、当たり前のことだ! クレイドル! 補助頼むであります!!」
小枝子は叫んだ。
身にかかる何か重圧のようなものを振り払ってサイキックキャバリア『デモニック・ララバイ』を突き動かした。
眼前にはキャバリア『アイアンベア』。
「うわ、あああっ!?」
悲鳴が聞こえる。
機体の制御はできず、さりとて鋼鉄のゆりかごの如きキャバリアから降りることも叶わないパイロットたちの声。
それを小枝子は捉えた。
火砲が火を噴く。
跳ねるようにして機体が飛ぶ。
「これまでさんざん争ってきておいて、今更戦いたくないなんて願いは、都合の良い願いだろう。身勝手だろう!」
「それは……それでも、俺は……!」
生きていたい。
死にたくない。
争いたくない。
そうした感情を小枝子は見て取れた。
歯噛みする。
こんな思いをいだきながらも、戦争は止められないのだ。歯がゆい。どうしてこんな思いばかりが戦場に満ちてくのだろう。
「だが、それでも!!」
そう叫ばねばならない。
人間同士の争い。
その中で、見える光がある。
あの波及していった光を小枝子は見た。
あれこそが願いだ。
そして願いを実現させる力だ。
「心にその願いを、平和を抱いたなら、まだ生きているのならやり直せる!」
できるできないではない。
やらねばならない。
「ドロモス!!!」
小枝子の叫びと共に機体の音叉が震える。
共振するようにして、超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』に旋律が響き渡る。
「生きたいと望むのなら、抗え!! その絆がりを手放すことなく、願い続けろ!!!」
叫ぶ。
生きるということは叫び続けるということ。
「終曲よ、序曲へ回れ(フィナーレ・オーバーチェア)」
それはん願いの魔法。
生きたいという願いを増幅させるようにして各所に配置されていた『ドロモス・コロス』が小枝子の演奏を増幅させていくのだ。
それは魔法の種子となって『ベヘモット』へと根付いていく。
破滅も、闘争も望まない。
その情念を増幅させ、集約された種子は、『ベヘモット』を苗床として人々を護る大樹へと変貌していく。
鋼鉄の躯体、『アイアンベア』すらも絡め取るようにして無力化していくのだ。
「これが人の願いだ! 人が願うものだ! たとえ、人にどうしようもない破滅願望があるのだとしても、それでも生きていたいと願う心がある! たとえ、死が避けようのない終わりだったのだとしても! 回帰するのだ! その心は巡る。巡って、より善きのために! 人の悪性など! 超えていく! それが!」
『戦いに際しては心に平和を』
その言葉の意味だ。
響き渡る演奏と共に魔法の種子は芽吹き、人々を戦火から護る輝きとなった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『セラフィム・リッパー』
|
POW : 断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD : エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:棘ナツ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
すでに小国家『シーヴァスリー』は壊滅的であった。
国土たる超巨大巨竜型要塞『ベヘモット』は大樹の苗床となった。
根を張り、そびえる大樹。
その虚には動きを止めたキャバリア達。
まるで鋼鉄の骸であり、その役目を全うしたかのようであった。
「ふ……それでも」
己の勝利を確信している『ノイン』は、青いオブリビオンマシン『セラフィム・リッパー』のコクピットで不敵に笑む。
「たとえ、どれだけあなた達が、その熾火を人々に見せるのだとしても、潰えていく。何度。幾度。そうやって繰り返してきたかなど、このクロムキャバリア……いえ、どの世界を見ても同様のはずです。争いはつきない。人と人とがいる限り、衝突という名の争いは引き起こされ続ける。どうあがいても、争いの原罪から逃れることはできないのです。なら! 終わらせるのが情というものでしょう!」
「違うよ。そんなことはないよ」
『セラフィム・リッパー』を見上げ、亜麻色の髪の少年『フュンフ』は言った。
「人は、人の善性はそこからだって生まれる。本当にあるのかも疑わしくて、姿が見えなくても、それでも僕らは感じることができる。人と人とのつながりが……」
「そんなものに意味はありません。なら、不滅の、恒久平和とやらをもたらしてくださいよ。それもできもしないで、『戦いに際しては心に平和を』? そんな言葉で、人の悪性が退けられるのなら! この世界は百年前にとっくに戦争を終わらせていますよ!」
「どんなに無意味に思えても、それでも意味のないことなんてないよ。だって、僕らは、生きている」
生きて、生きて、生きて。
そして、死ぬのだとしても。
それが無意味だったことなんて、一つもない。
無為に思えることも、一つや二つではない。それでも、人の悪性が善性によって凌駕されて紡がれてきたのだ。
汚濁の中にさえも、煌めくものがあるように。
その尊いものを人々は少しずつでも、次代に繋いできたのだ。
世界が、滅んでいないのは、そういうことだ。
「だから、生きていていいんだよ!」
「どこまでも甘ったれたセンチメンタリズム! 私は『それ』を否定する! あなたの言葉を否定する! その存在が如何に狂っているかだけを肯定するのです、|救命者《バイスタンダー》!」
そして、再び戦いは、始まる。
最後の、ではない。
けれど、一つの結末が訪れる――。
(※第三章は、全てのプレイングをまとめてリプレイを返却します)
村崎・ゆかり
そんなに争ってばかりで、疲れない、『ノイン』? 人を身らば敵と思え? じゃあ、最後には、他人全てを殺して殺して殺し尽くすしかないじゃない。そうして、たった一人、誰もいない世界で鬨を上げるんでしょうね。
随分と懐かしく感じるわ、その機体。終わりには相応しいのかもね。
『セラフィム・リッパー』かつての最新鋭機。それを超える機体も多数開発されてるし、そういうのとも戦った。でも、油断はしない。結局は乗り手の腕次第だkら。
『迦利』を足場に間合いを詰められないようにしながら、「全力魔法」雷の「属性攻撃」「天候操作」「電撃」「破魔」で十字天経!
落雷で、一気に決める!
「オーラ防御」と『鎧装豪腕』で防御を固める。
杓原・潤
もー、ぴよちゃん(f42991)ってば熱血なんだからぁ。
まぁ良いよ、うるうが助けて上げないと難しそうだしね!
おいでテルビューチェ、一緒に皆を助けて上げよう!
まずは高速詠唱で水の属性攻撃を込めた泡をいっぱい出す。
基本的にはプラズマビームを弱めたりビットの邪魔するのに使うよ。
念動力でぴよちゃんの周りにも浮かべといてあげるね!
テルビューチェは水になってるから割と安心だしね。
後はあの剣だけ!
テルビューチェの装甲を頼りに強引に迎撃を突破して、ぴよちゃんをかばうよ。
まともに受けたら切断されるけど、破壊の牙で咥える感じならどう?
これぞ白刃取り、ってやつだね!
ぴよちゃん、ちゃんとテルビューチェにお礼言ってね?
ファルコ・アロー
けっ、勝手な事抜かしやがるですね!
そんなに嫌ならてめーだけ世界から退場しやがれってんです!
おい杓原(f28476)、ボクはあいつぶん殴って来るです!
理由は気に入らねーからです、止めんじゃねーですよ!
むしろ手伝えです!
まずはとにかく距離を詰める事ですね。
ビームだなんだと鬱陶しいですけど、その辺は杓原や他の猟兵にも散るから潜り抜けられるでしょう。
本格的には飛べないにせよ、地上で推力移動を使えば比較的速く動けるはずです。
後はあのデカい剣だけですね。
あのやろーは強いです、ボクが小さいからって外しゃしねーでしょう。
でも確実に殺す為に斬ってくるなら……腕を狙いはしねーですよね!
この鉄拳を喰らいやがれです!
イクシア・レイブラント
あなたが嘆くように戦いは悲劇を生むこともあるものだけど、
きっかけは悪意だけとは限らない。
周りの幸せを望む善意であっても、方向性が異なれば衝突が起きることもあるし、
純粋に技を磨き、己を高め合うために試合を行うこともある。
だけど、そうやって私たちは、学びを得たり分かり合えたりしながら
ひと時の平穏を手にしてきた。これからだってきっとそう。
だから私はあなたの攻撃を否定する。
争いを望まないあなたに、これ以上手を汚させないよ。
【思念障壁】で断罪の剣による切断を否定し、無効化する。
後はアドリブ。コクピットは狙わずクリスタルビットなどの武装の無力化に努めるよ。
薄翅・静漓
融合合体よ、『エプタ』
『ノイン』の目的があの少年だというのなら
守りましょう――『フュンフ』を
機体の力を限界突破して挑むわ
攻撃を掻い潜り、躱しきれないものは『ナイツシールド』で防ぐ
今は、直感を信じて動きましょう
きっと今の私たちは、『幸運』だから
生きていていい
それは、彼女にも言えることだというのなら
熱線で攻撃はするけれど、深追いはしないわ
あなたは狂気に侵されていない……?
それなのに、何もかも……自国の民さえ切り捨ててまで、これを成そうとするのは何故?
何が、あなたをそこまで駆り立てているの
――あなたは、一体何者なの、『ノイン』
わからない
だからこそ、知りたいことをそのまま口にする
プレゼント配りが好きな『エプタ』――この子とのつながりが想いを強くする
降らせる花に込めるのは、小さな奇跡を願う心
『ノイン』
あなたは、誰かに花を贈る――そんな気持ちが理解できる?
ルクス・アルブス
【ステルク】
『不滅の恒久平和』?
そんなものがあるなら勇者はいらないんですよ。
100人いれば、100の平和があるんです。
だからせめて戦うなら、『心に平和を抱いて』戦うんです。
そしてそれは、だいたいが『善性』に従って、です。
『フュンフ』さんがセンチメンタリズムなら、ノインさんあなたはどうなんです?
あなたもあなたの『善性』に従って戦ってるんじゃないですか?
それとも自分が『悪性』だと言いきかせて、悪ぶってショタ拗らせてるだけですか?
そんな動機で『戦いがなくならないなら、世界をなくせばいい』とか思っているなら、
正直無用の|扇動者《インスティゲーター》ですね。
あなたの意見は、この世界の中のたったひとつでしかないんですよ。
この世界の行く末は、この世界の人『たち』が決めること。
たとえそれが『争いが続く世界』だとしても、です。
勇者は世界の決定を指示し、整えます。。
あなたひとりの意思を支持はしないですよ。」
ということで!
練乳は充分、援護も全力でいけます!
ステラさんは傷つけさせないですよ!
【悪魔のトリル】ー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
『戦いに際しては心に平和を』──それは祈りであったはず
フュンフ・エイル様を以てして恒久の平和など実現せず
私たちは平和を求めて戦い、平和を得ては戦いを求める
人の善性と悪性は決して消えず、ですがその間を揺れ動く良心がある
それが『生きる』ことなのです、ノイン様
エイル様を、フュンフ様をどうしたいのです貴女は?
彼が『エイル』である限り、貴女の求める平穏は訪れない
皮肉な事に、貴女が『在る』からです
だから、終わりにしましょう
ルクス様生きてますかー?
はい深呼吸
これからクライマックスですよー?
セラフィムが在る所、ケルーベイムもまた在ります
貴女様を助ける事はありませんが
止める事はできるでしょう!『奉仕者』として!
ルクス様援護お願いします!
ケルーベイム突撃です!
フェリーレで断罪の剣に対応
上手く受け流したいところですがやむを得ない場合は受けます
腕とフェリーレは差し上げましょう
コックピットと胸部さえ無事なら!
ケルーベイム!【エシュ】!
この熾火が貴女に捧げる鎮魂歌です!
コール!プロメテウスバーン!!
朱鷺透・小枝子
【念動力】で大樹に働き掛け、大枝葉を一本自切、デモニック・ララバイで受け取りサイキックシールドを纏わせプラズマビーム【オーラ防御】
大枝葉を振るい、キャバリアを無力化した守護の力を以てビットを【なぎ払い】敵機の刃を弾き、演奏の為の時間を作る
シーヴァスリーの人々とノイン、そのつながりは、猟兵のよりもずっとずっと太いものな筈だ…歌い上げろ!!
揺籃の子守唄ギター変形【楽器演奏】『君の歌』を唄い!
己が【|闘争心《悪性》】と、大枝葉を燃やし、そこに宿る|情念《善性》とを媒介に、赤と青の炎を纏うセラフィムを1機召喚!!
クレイドル『人を救う青と、敵を壊す赤。二つの良いところを上手に混ぜれば|紫色になるってことさ!《新しい色が生まれる!》』
超えていけ!!!
殺戮音叉を手に、赤青のセラフィムと共にセラフィム・リッパーへ攻撃【集団戦術】味方猟兵とも連携し、音叉【斬撃波】、赤の半身が齎す破壊で敵機を破壊し、青の半身が持つ守護の力、シーヴァスリーの人々の、ノインとの絆がりで、ノインを敵機、狂気の中から救い出す!!!
アルカ・スィエラ
行きましょう、ドラグレクス。私達の敵を…討つために!
やることは変わらない。こっちは装甲があって自己修復可能な大型機体、だから積極的に前に出て盾でも何でもやってやるわ
遠距離攻撃は『リフレクションスケイル』で軌道を逸らしてEフィールドで遮断、反撃に『ドラグカプト』による砲撃を狙うわ
…あいつは「私たち猟兵はしょせん“本物の救世主”ではない偽物だ」という事をわかりやすく示したがる、と思う。
「全能なる救世主」への羨望と、それが現れないことへの失望、
そして自分よりもそれに近い者達へのコンプレックスでも抱えてそうだし
だから。遠距離戦で圧倒できないと判断させ、近距離戦を狙わせる
……今の私は『アルカレクス』。ドラグカプトの2、3本はくれてやるわ
接近戦を狙ったところにカウンターで動きをわずかでも拘束して…
さあ、これが【|ゲネシス・デストラクティオー《破壊と創世》】の光、
いつまでも甘っちょろい夢で寝ぼけたその頭を、たたき起こしてやる…!!
――鋼鉄の騎士を駆り、運命に抗え。
運命。
それは数奇なものである。
抗いがたくもある。その言葉を前にして人が抱くのは諦念であったかもしれない。運命であるから、という肯定の言葉はあらゆるものを否定する。
どんな偶然も必然に変えてしまう。
言葉に力があるか?
意味を持てば力を見出してしまうだろう。
人は愚かだ。
覆し難くもある事実である。しかし、その愚かさを否定はしない。されど肯定もしない。
多くが泥濘に足を取られ、もがく様を運命と呼ぶのだとしても、それでも人は生きていく。
自らの行く末を知っているからではない。
知らずとも人は進む。
前に進む。
暗闇のごとき未来の中を躊躇いなく進んでいく。
それを覚悟と呼ぶのかも知れない。
であれば――。
「生きることなど、それはただの過程でしかない! こんな苦しみに満ちた世界で! 争いばかりに明け暮れる人間など、痛苦を得て当然! そうやって滅びていく! 人の生命が死に向かうからこそ、それだけが争いから逃れられる唯一の方法なのです。それを『平和』などと語り、否定しようなど!」
オブリビオンマシン『セラフィム・リッパー』のアイセンサーがきらめき、パイロット『ノイン』は叫んだ。
構えるは、無敵斬艦刀。
対するは猟兵たちであった。
「けっ、勝手な事抜かしやがるですね! そんなにいやならてめーだけ世界から退場しやがれってんです!」
ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は叫んだ。
「飽いていることと、忌避は別の感情でしょう。あなたたち異物を排除してから、そうさせてもらいます。あなたたちのような存在がいるから、人は希望を抱いてしまう。破滅の中に一筋の光を見てしまう! 光明は、人を照らすのではないのです。人の心の闇を暴くだけです。結局の所、自分だけが! 自分のみが! そうやって、他者を思う心があるなどと示してみせたところで、そうでない者たちを惨めにさせるだけなのですから!」
光の翼が羽ばたくようにして広がっていく。
収束していく光。
その光を前にして、杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は呆れたように嘆息した。
「もー、ぴよちゃんってば熱血なんだからぁ」
「この期に及んで、あんなこというやつの言う事を、はいそーですかってなるわきゃねーでしょうが! おい、杓原ァ! ボクはアイツをぶん殴るです! 一発食らわせてやらねーと!」
「はいはい、気に入らねーってんですよ! ってことね」
「とめんじゃねーですよ! むしろ手伝えです!」
「ええ、行きましょう。私たちの敵を……討つために!」
「一斉に攻撃を仕掛ける。壊す!」
ファルコの言葉に呼応するようにして、サイキックキャバリア『デモニック・ララバイ』と『アルカレクス・ドラグソリス』、その二騎のキャバリアが踏み出す。
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)とアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)の駆るキャバリアであった。
彼女たちも、この戦いに馳せ参じた猟兵達である。
やることは変わらない。
二人は、その身に宿した本質を『ノイン』の言葉に揺らがせることはなかった。
「こっちには装甲がある。だから、盾でもなんでもやってやるわ!」
アルカの言葉と共に『ドラグソリス・アルカレクス』が踏み出す。
事故修復が可能な大型機。
だからこそ、彼女は前に踏み出した。
「機体の出力にかまけて、それでどうにかなるなど、目算が甘い!」
踏み込むと同時に『セラフィム・リッパー』が青い機体を走らせ、手にした無敵斬艦刀を振るう。
エネルギーフィールドを切り裂きながら、装甲を容易く切り裂く斬撃。
火花が散る。
食い込む一撃を既のところでとめたのは、小枝子の操る『デモニック・ララバイ』 が手にしたプラズマビーム迸る一撃だった。
跳ね上がる斬艦刀。
「『シーヴァスリー』の人々と『ノイン』、そのつながりは、猟兵のよりもずっとずっと太いもののな筈だ……だからこそ!」
迸るビーム。
それは彼女が大樹として生み出した人々の思いを自切させたものであった。
『ベヘモット』を苗床とした人の思いの結晶。
それを小枝子は振るい、無敵斬艦刀の一撃を跳ね上げていた。
「邪魔を、しないでいただきましょうか」
光の翼が集約し、プラズマビームの一閃が『デモニック・ララバイ』に飛ぶ。
苛烈な一撃。
装甲を溶断させるほどの苛烈な一撃はしかし、不可思議な力に守られていた。
「守ってあげる、絶対に!」
潤のユーベルコードであった。
それは『デモニック・ララバイ』を護るようにして現れた一騎のオブリビオンマシン『テルビューチェ』であった。
ユーベルコードであって魔法の水へと変貌した機体は、その身から泡を生み出し、プラズマビームを防いでいたのだ。
「何か、やり方があるっていうなら! うるうがみんなを助けてあげる! だから!」
「やってみせるであります……歌い上げろ!! クレイドル!!」
小枝子は、潤の言葉に頷く。
手にした魔楽器。
それが変貌していく。
ギターの形へと変貌した『クレイドル・ララバイ』は、一瞬で旋律をかき鳴らす。
「いいや、これは、君の歌(オーバード)だ! 奏者! 君が謳って、自分を示せ! 人とはなんなのか! どうしようもない悪性を抱きながら、善性を夢見る、そんな存在がどれだけ」
「不完全で完璧なのかを知るべきでしょう! 鋼鉄の揺り籠! 本来の在り方も、兵器としての意義も果たせぬ歪さ! ここで是正してくれましょう!」
プラズマビームの出力が底上げされる。
潤の魔法ですら、蒸発させていくかのような苛烈さ。
「あっつあっつだよ!? どうなってるの、あの出力っ! 押し負けっ……る!?」
潤の言葉にアルカは己が機体と共に前に踏み出していた。
軌道をそらし、エネルギーフィールドを展開しながら、踏み出し、浮遊する『ドラグカプト』による砲撃を『セラフィム・リッパー』に叩き込む。
しかし、光の翼が砲撃を弾くのだ。
「無駄です。たとえどれだけ万能のごとき|力《ユーベルコード》を持っていたとしても、あなたたちは、全てを救わない! 救えない! 救おうともしない! かつて『アハト・スカルモルド』も言っていたでしょう! あなたたちは、世界を救うが人は救わない、と! そう! 世界に選ばれた戦士は、世界のためにしか戦わない! 人を救うのは、結果論、その過程でしかない! だからこそ、彼はあなたたちを嫌っていたのです!」
『ノイン』の狂気が見るのは、『救世主』。
猟兵ではない。
そこにあるのは、ただの失望ではなかったのだろう。
振るわれる斬艦刀が『ドラグカプト』を全て両断する。もとより、あるかは二、三は、と思っていたが全てを切り倒されたところで気がついた。
圧倒的な技量。
まさしく|超越者《ハイランダー》とも言うべきキャバリア操縦技術。
猟兵達という生命の埒外が複数存在している戦場にあって、それらを相手取って尚、その戦闘技術は、これを圧倒するのだ。
「拘束が、間に合わない!」
「この程度でどうにかなるなどと思われていたのなら、笑い草ですね。猟兵!」
「そんなに争ってばかりで、怒ってばかりで疲れない、『ノイン』?」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、懐かしさを感じていた。
青い『セラフィム・リッパー』。
クロムキャバリアを猟兵たちが新たな世界として認知してからすでに数年が経っている。
その中で、初めて遭遇した最新鋭機。
それが『セラフィム・リッパー』であった。
はじまりに見た機体。そして、『ノイン』との因縁の終わりの機体。
相応しいのかもしれないとゆかりは思えてならなかった。
「疲れ? 疲弊するのは、それはその器ではないからでしょう。絶え間ない怒りが何故、抱く事ができないと思うのです? 怒りこそが原動力。現状に対する怒り。誰かに対する怒り。愚かしさへの怒り。そうしたものを抱き続けるものこそが、世界を変えることができるのです!」
弾けるようにして光の翼が散る。
瞬間、斬艦刀がゆかりへと振り下ろされた。
「『迦利』!」
瞬間、彼女の無人機キャバリアが盾のようにして斬艦刀の前に飛び出す。
間合いを詰められては不利。
それをゆかりは理解していた。そもそも、生身単身と体高5m級の戦術兵器が相対しているのだ。どうあがいても間合いは詰められる。
『迦利』の装甲が切り裂かれ、一撃のもとに切り捨てられる。
油断はしていない。
たとえ、最新鋭機が過去のものであったとしても、乗り手であるところの『ノイン』の技量のそれは|超越者《ハイランダー》そのものであったからだ。
盾となった無人機キャバリアすら意に介さぬ機動。
斬撃を放つ挙動と機動が一緒くたになった超絶なる操縦によって、『セラフィム・リッパー』はゆかりに迫っていた。
「人を見らば敵と思えってやつ? 怒りをそうやって全方向に発して、コントロールしようっていうのなら、それは支配者のそれと変わりないじゃないの。最後には他人全てを殺して殺して殺し尽くすしかないじゃあない。そうして、たった一人、誰もいない世界で鬨を上げるんでしょうね」
「誰も理解しないのなら、そうするしかないでしょう。他者がいるからどうしたって争いが起きる。起きてしまう。衝突と摩擦。それが戦いの火種にしかならぬというのならば、己以外の他者を排斥して初めて、得られる平穏がある。さしあたっては、あなたたちですよ、猟兵!」
振り抜かれた斬艦刀の一撃をフォースブレイドが受け止めていた。
「あなたが嘆くように戦いは悲劇を生むこともあるのだけど、きっかけは悪意だけとは限らない」
力の奔流が迸る。
明滅する視界の中で、イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は言う。
「周りの幸せを望む善意であっても、方向性が異なれば衝突が起きることもあるし、純粋に技を磨き、己を高めあう試合を行うこともある」
「それがどうしようもない人の悪性だというのですよ。そうやって、自らの悪意を誤魔化してしまえる。善性を良いように解釈してしまう! どこまで行っても人は闘争から逃れられないというのに、自らの欲求を他者に代弁させる。他者もそうだと、己と同じだと、自らの下劣なる欲求を、他者に置き換え、そうであるからと! 自らを偽るのではなく、他者を己のもとに引きずり下ろす!」
「だけど、そうやって私たちは、学びを得たり、わかり合えたりしながら、一時の平穏を手にしてきた」
「その平穏に価値などなかったでしょう」
得られた平穏すら、戦火は吹き飛ばす。
ささやかなものですら、人は壊さずにはいられない。その繰り返しの中で疲弊しない心などあろうはずもない。
何度も何度も何度も何度も何度も。
打ちのめされてきて、なお、それでも立ち上がることなどできようはずもない。
だからこそ、『ノイン』は斬艦刀を受け止めたイクシアを両断せんとしている。
「そうかもしれない。これから何度だって否定されることだと思う。きっとそう。だから、私はあなたを否定する。あなたは争いを望まない。だけど、争いがなければ平和すら実感できないから、争いの中に身を置くしかないという狂気を、そんなあなた自身を汚させないためには」
思念障壁(サイキック・ウォール)。
それはクリスタルビットがから放たれる翡翠色のサイキックバリアであった。
それが『セラフィム・リッパー』を吹き飛ばす。
「だから、戦わなくたって生きていていいんだよ」
イクシアの障壁が押しのけるようにして『セラフィム・リッパー』を吹き飛ばす。
「そう、生きていていい」
「上から物を言う!」
吹き飛ばされた『セラフィム・リッパー』に迫るのは、バトモン、セラフィナイト『エプタ』と融合合体を果たした薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)であった。
キャバリア大になった彼女は光の翼を噴射しながら『セラフィム・リッパー』に組み付いていた。
「気安く私に触れるな――エンジェルビット!」
クリスタルビットが放たれ、無数の弾幕となって組み付く機体へと叩き込まれる。
ナイツシールドでは防ぎ切れぬほどの弾幕が装甲を穿つ。
「どうして、そこまで人を拒絶するの? 何もかも切り捨ててまで、何かをなそうとしている。何故? 何が、あなたをそこまで駆り立てているの」
「私を覗き込むな!」
「――あなたは、一体何者なの、『ノイン』」
「わからないなら! そのまま私を切り捨てればいいだけのこと!」
「だからこそ、知りたいの。あなたが何者で――」
「私を理解しようとするな! そんなもので、私に踏み込んできて!!」
蹴り飛ばすようにして組み付きを解く『セラフィム・リッパー』。
「恒久平和すらもたらすこともできずに、世界だけは救う! そんな者たちに私が救われてたまるものか!」
「そうですね。そんなものがあるなら勇者はいらないんですよ」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は言う。
「百人いれば、百の平和があるんです。だからせめて戦うなら『心に平和を抱いて』戦うんです。そして、それは、だいたいが『善性』に従って、です」
「そんな善性など、ただ人の頭上から押し付けるだけの倫理観でしかない。そうしたものは、肝心な時には役に立たない。全て力で押しのけられてしまう。だから、センチメンタリズムと言ったのです!」
「あなたはどうなんです? あなたもあなたの『善性』に従って戦ってるんじゃないですか? それとも自分が『悪性』だと言い聞かせて、悪ぶってショタこじらせてるだけですか?」
「そのつもりはありませんよ。誰と一緒にしているんですか!」
クリスタルビットが光の雨のようにルクスに降り注ぐ。
その眼前に飛び出したのは、サイキックキャバリア『ケルーベイム』であった。
手にしたトンファーで弾幕兵器たるクリスタルビットを叩き落としながら、その装甲がっ砕けて散る。
「『戦いに際しては心に平和を』――それは祈りであったはず。『フュンフ・エイル』様を以てして恒久平和など実現せず、私たちは平和を求めては戦い、平和を得ては戦いを求める。ですが」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、アラートの鳴り響くコクピットの中で呟いた。
「人の善性と悪性は決して消えず、ですが、その間を揺れ動く良心がある。それが『生きる』ことなのです、『ノイン』様」
「知ったような口を! 次代に託せず、古きを頼り、力の再来を願う悪性を! 人の業を肯定する物言いを『生きる』などと!」
無敵斬艦刀の一撃が『ケルーベイム』を切り裂く。
コクピットハッチが両断され、その奥にステラの姿が見えただろう。
「人と人とが存在する限り、争いはなくならない。なら、世界ごと!」
「そんなのただの|扇動者《インスティゲーター》じゃないですか! あなたの意見は、この世界の中のたったひとつでしかないんですよ。この世界の行く末は、この世界の人『たち』が決めること。たとえ、それが『争いが続く世界』だとしても、です!」
だから、とルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
濛々と立ち込める粉塵。
それは暗闇にも似ていただろう。
未来を見通すことはできず、正解など何処にもないように思えてならない。
選んだものが間違いであって、もっと正しい結末があったのではないかと常に思えてしまう。
それが、人を迷わせる。
迷い、正しいものを導き出せる者を求めてしまう。
そうして、全ての責と咎とを背負わせてしまう。
『そんなこと』を繰り返して尚、一歩も人間は前に進めていない。
『そんなこと』をやってしまえるから、進むことも許されない。
だとすれば、原罪など一つとて拭えてはいないのではないか。
けれど、一人ひとりがそれらを手放さずに自らで持ち、進むことができるのならば。
「人は自らを救う事ができるんです! 世界は一人で回っていない! あなた一人の意思を世界は指示しない! だから、ステラさんを、みなさんを傷つけせないですよ!」
悪魔のトリル(アクマノトリル)――音の洪水たるユーベルコードが雪崩のように『セラフィム・リッパー』を、『ノイン』を襲う。
「ぐっ……この、けたたましい音は……!」
「世界には音が満ちているんです。こんなにも、雑多に、整然としていなくて、それでも『生きている』鼓動の音が響き渡っている! それがまとまって、一つの旋律となって世界を構築している。それが! 人と人とが孤独ではないということ。つながりを得るということ。真に繋がることのできた者だけが得られる喜びなんです!」
ルクスは息を切らしながら演奏を続ける。
クライマックスだというのならば、奏できってやる。
その意思が見える光がユーベルコードとなって発せられ『セラフィム・リッパー』を押し流していくのだ。
「『セラフィム』在る所、『ケルーベイム』もまた在ります。貴方様を助けることはありませんが、止めることはできるでしょう!『奉仕者』として!」
ステラは『ケルーベイム』を駆り『セラフィム・リッパー』へと迫る。
無敵斬艦刀は受け止めてはならない。
それらはあらゆるものを寸断する。
故にステラは己の眼前でトンファーが切り裂かれたのを見た。
そして、腕部もまた切り裂かれている。
散る破片。
死が目前に迫っている。だが、それでも彼女は踏み込んだ。
『ケルーベイム』の頭部が『セラフィム・リッパー』の頭部へと叩きつけられる。
「ぐっ……! 潔さというものはないのですか!」
「ハッ! きゅーにらしくねーこと言い出しがやって、ですよ!」
よろめく『セラフィム・リッパー』のアイセンサーが捉えたのは、生身単身のファルコであった。
彼女はレプリカントである。
しかし、それは戦いを優位に進めるものではなかった。
なぜなら、彼女のレプリカントとしての特性は、この空に蓋をされた世界にあっては、あまりにも無用の長物であったからだ。
空を飛ぶこと。
航空戦力としてのレプリカント。
そう、暴走衛星がある限り、彼女はこの世界の空を己の性能を発露することはできない。
だが、彼女は諦めなかった。
腐らなかった。
自らができうることの最大を持って示さんとするように拳を握りしめた。
プラズマクラスターの噴射と共に彼女は巨体、鋼鉄の巨人へと飛び込んだ。
「生身だからとて、外すとでも思いましたか!」
「そんなん織り込み済みですってば! 覚悟の上! なら!!」
ファルコの瞳が残光を戦場に刻む。
それはユーベルコードの輝き。
光り輝く軌跡。
「ぴよちゃん!」
「杓原ァ! 防御、任せたですよ!!」
瞬間、水の膜がファルコを覆う。それは水へと変貌した『テルビューチェ』がファルコを斬撃から庇ったのだ。
まともにうければ、たとえ、魔法の水であっても切り裂かれるだろう。
だが、潤は『テルビューチェ』の牙で挟み込む。
「これぞ白刃取りってやつだね!」
「その程度で! この断罪の剣が! 防げるものですか!」
振り抜かれ、牙が砕ける。
だが、それでも潤は笑っていた。
「ぴよちゃん、ちゃんと『テルビューチェ』にお礼、言ってね?」
「わーってるです! お前が、ボクを狙ってくるのはわかっていたです。その狙いが性格なのも。確実にボクを殺すってことも。だから、この腕は狙わないってことはわかっていたんですよ!」
振りかぶる拳。
「ディスタントォ! ナックル!」
それは切り離された鉄拳。
飛翔する鉄拳は、『セラフィム・リッパー』の無敵斬艦刀の刀身に叩きつけられる。
火花が散る。
「小癪な真似を。ですが、切り払えぬことなど……!?」
「ハッ! ボクの拳が! 無敵程度で止まるものですかってんですよぉ!!」
そう、それはユーベルコードの鉄拳。
狙いは本体。
であれば、その刀身は阻む装甲。
亀裂走る刀身と共にファルコの鉄拳が、無敵を粉砕し、その頭部をしたたかに打ち据える。
体勢を崩す機体。
そこに飛び込んだのはイクシアのフォースブレイドだった。
「武装の無力化! 今なら!」
できるはずだと彼女の意思に呼応するようにフォースブレイドの一撃が無敵斬艦刀に叩き込まれる。
しかし、亀裂走る刀身であっても尚、砕くことはできなかった。
だが、体勢をさらに崩すことはできる。
防御に押し込むことができる。
イクシアは叫んだ。
「ゆかりさん! 今……ッ!!」
「イクシア、ありがとう。今なら――九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
ゆかりの瞳が明滅する。
それは周囲の視界を塗りつぶすほどの雷撃の一閃であった。
迸る光が無敵斬艦刀に打ち込まれ、その刀身に走る亀裂をさらなるものへと変えていく。
いや、違う。
ここに至るまでの道程が『セラフィム・リッパー』の持つ無敵斬艦刀を苛烈なる一撃で持って粉砕したのだ。
破砕する刀身。
散る破片が光を放つ中、それでも『ノイン』は体勢を整え、アイセンサーを煌めかせた。
「まだ……ッ! このままならば、押し返せますよ! 猟兵ども!!」
「そうかもしれない。けれど……!」
瞬間、戦場に立ち上るのは極大の光であった。
「この右手に狂える過去を破壊する力を、この左手に歪みし現在を再生する力を……これで終わらせる!!」
轟々と響き渡る風。
それはアルカの駆る『アルカレクス・ドラグソリス』のユーベルコードが発する光の余波であった。
両腕に纏う破壊と再生の力。
それは苛烈なる光の波となって『セラフィム・リッパー』を捉えていた。
「動きが……! 止まる……!」
「いつまでも甘っちょろい夢で寝ぼけたその頭を、叩き起こしてやる……!!」
「起きているつもりですがね! 甘っちょろいのは! そちらのほうでしょう!」
「ゲネシス・デストラクティオー!!」
散った無敵斬艦刀の破片をマニュピレーターが掴み上げ、そのままに『アルカレクス・ドラグソリス』へと叩き込まれる。
合わせた両腕。
その拳と激突し、光波を切り裂くのは断罪の刃。
苛烈な衝撃が互いの機体を吹き飛ばす。
「まだ、まだっ! 私は! 私の目的を達するまでには!」
「もう戦わなくていいじゃないか! なんでそんなに!」
「世界を救う者は、人を救わない。人を救ったように見えるのは、ただ世界の一部だから。であれば、人の『救世主』など、世界にとっては破滅をもたらす異物でしかない。なら、どうします。世界は人を救わない! それならば!」
『ノイン』の言葉に亜麻色の髪の少年『フュンフ』は叫んだ。
「戦いをやめることができたら、戦う必要なんてないってわかったことだよ、なのに!」
「それでも戦いは終わらないのです」
「そうだ。だからこそ、壊す! だが、壊せぬものもある。自分は! それを知っている!」
小枝子の声が響いた。
手にした大枝。
そこにあるのは、『シーヴァスリー』の人々の思いだ。
そして、彼女は赤と青の炎を纏う『セラフィム』を伴っていた。
「『バイスタンダー』……! 赤と青の悪性と善性とに塗れた機体を!」
「これが人の情念だ!」
「人を救う青と、敵を壊す赤。二つのよいところを上手に混ぜれば|紫色になるってことさ!《新しい色が生まれる!》」
『クレイドル・ララバイ』の声が旋律となって響いた。
「その新たなるものさえも、世界は潰すのです。それを!」
「超えていけ!! そうした不条理も! 何もかも!」
『デモニック・ララバイ』と共に小枝子は、己が生み出した『セラフィム』と共に『セラフィム・リッパー』へと迫る。
音叉が放つ斬撃の波が襲いかかり、その腕部が切り裂かれる。
そして、赤と青を持つ『セラフィム』が放つ赤い力の波動が、その装甲を砕き、青の半身が『ノイン』に迫る。
「お前にもあったはずだ! 確かなつながりが! 狂気に侵されて尚、紡がれたものが! 狂気などでは妨げることのできない人と人とのつながりが! それを思い出せ!」
「そんなものなど! ない!」
それはつながりを想起させるものであった。
利用し、利用し尽くす。
その中で、それでもなお、わずかでも狂気に侵されぬものがあったのではないか。
その青い波動の中を水色が走った。
「『ノイン』」
小さく呟いた言葉は、戦いのさなかにあって嫌に鮮明に響いた。
それは静漓たちであった。
彼女が融合合体を果たした『エプタ』のことを静漓は思う。
プレゼントを配りたがるバトモン、『エプタ』。
融合しているからこそ、殊更に静漓は、その想いを理解した。
励起していく。
そう思えるほどに強いつながりを、想いによって彼女は強くしていた。
「あなたは、誰かに花を贈る――そんな気持ちが理解できる?」
「花? 花が、何をしてくれますか。なんの慰めにもならない。明日を生きる糧にもなりはしない。そんなものが!」
「それは、きっと誰かを思うという心の現れ。あなただって」
「私は知らない。私は、そんなもの知らない。だって、私は!」
願うは小さな奇跡。
伸ばした手。
触れる事ができる心があるかもしれない。
だが、静漓は知っただろう。
『ノイン』の心にあったのは、虚だった。
底抜けたような、虚の闇。
『そうあるべき』という姿。
与え、与え、与え、与え続けた者の末路。
与えることは、確かに尊ばれるべきことであった。しかし、同時にそれは奪われるということでもあった。
聖人の最期は、いつだって悲惨なものだ。
人の善性を信じ、人の悪性に殺される。
いつだってそうだ。
与えるものは、奪われるもの。
その末路が『ノイン』であった。そう、与えたのならば、与えられもしなければならないのだ。
血の涙が散る。
「理解なんて、したくない。だって、『ズィーベン・ソグン』だって、最期は、最期は!」
「ヴュン……」
声が聞こえた。
セラフィナイトの声。
そんなこと気にしていたなんて。
「あなたが、『沈黙』しているから! あなたは特別に『幸運』だったのに! なのに、あんな裏切りの終わりなんて! あってはならなかったはずなのに!!」
小さな奇跡は確かに起こった。
だが、それは皮肉にも、『ノイン』の内側を抉るものだった。
「理解できるかと問いましたね、猟兵! 私は、理解できる。だからこそ、許せない!! 与え続けたものの末路が、裏切りだなんて、あらゆる責と咎とを押し付けて、素知らぬ不利で平和を求めるなんて、私には許せない。誰もが傷つかなければならない。ただ一人だけが傷ついて、それで原罪が払拭されたなど、そんなもの、奇跡でもなんでもない!!」
弾かれた体。
けれど、『セラフィム・リッパー』の躯体は傾ぐ。
「私は……!」
「『ノイン』……あなたは」
「私は、私です! なれないなんてことは、ない!」
「『ノイン』!」
伸ばした手は、払われた。
飛び込む『ケルーベイム』。
両腕を失った機体。
ステラは飛び込んでいた。しかし、その頭上から無敵斬艦刀の破片が降り注ぐ。
サイキックでもって操られた刀身の破片が『ケルーベイム』の装甲を砕いたのだ。さらに飛ぶ刀身が胸部すら粉砕せんと、切り裂かれたコクピットハッチへと迫る。
そこに『デモニック・ララバイ』が飛び込み、『セラフィム』が防ぐ。
「その狂気! その中から救い出すには!」
「救われるつもりなど! ない!」
「だったら」
なんで、とゆかりは呟いた。
どうしてそこまで破滅的であることを肯定するのか。自らがなそうとすることを忘れて、何故ここまでするのか。
ゆかりの放つ雷撃が無敵斬艦刀の破片を叩き落とす。
「もっと、誰かと手を取ることだってできたはずだよ。その手は」
汚れているかもしれないけれど、その汚れすら厭わぬものがいることは、わかっているはずだとイクシアは言う。
誰もがそうだ。
静漓が手を伸ばしたように。
その心の虚に抱えきれぬ闇があったとしても、誰かが引き上げることだってできたはずだ。
なのに。
どうして、と潤は思った。
「生きていていいはずなんだよ。悲しいことばっかりなら、魔法で拭ってあげられるから」
「杓原、あいつは、そーいうんじゃねーんですよ。誰かの平穏を羨むでもなく、ただ、自分が許せねーってだけで、ここまでやれちまうやつなんですよ」
だから、とファルコは言う。
終わらせてやらねばならないのだと。
「『ケルーベイム』!『奉仕者』だというのなら!」
潰れた頭部の奥で、亀裂走り、隻眼のアイセンサーが煌めく。
「人の胸に熾火は宿る! 誰かのためにと思う心は、争いの中にさえ芽吹く! ならば、この熾火が貴女に捧げる鎮魂歌です!」
「だめ……! あの子は……!」
静漓が再び手を伸ばす。
だが、融合した『エプタ』が、その手をそっと止めた。
「『エプタ』……! そんな、悲しいことばかりだなんて、なら、なんでこれが『幸運』なの?」
「ヴュン!」
幸いでありますように。
全てがうまくいきますように。
もしかしたら、という想いが静漓の中に駆け巡る。
「これが、『そう』だっていうの?」
わからない。
「コール! プロメテウス・バーン!!」
ステラの叫びが熱線となって『セラフィム・リッパー』を貫く。
火線が空を切り裂くようにして走り、その躯体を溶断する。
頭部を粉砕し、躯体を斜めに切り裂く。
コクピットブロックを外した一撃が、ついにオブリビオンマシンを破壊したのだ。
よろめくように仰向けに倒れた機体のハッチが展開し、『ノイン』が姿を現す。
「……!」
亜麻色の髪の少年『フュンフ』は思わず駆け出していた。
狂気が拭われたのならば、きっと解り合えると思えたからだ。駆け出した。
幼い足であったけれど、それでも走った。
走って、走って、そして、手を伸ばさねばならない。
それは猟兵たちが示した生き方だった。そうあれたのならば、どんなによいだろうかと思えた。
これまでの彼には力がなかった。
キャバリアに乗ることも許されなかった。
乗れば、きっとかつての『フュンフ・エイル』のように『救世主』とも『悪魔』とも呼ばれた力を発揮できたはずだ。
だが、それを許されなかった。
繰り返してはならなかったからだ。
そうやって争いの連鎖を断ち切ろうとしていたのだ。
けれど、力があっても使わなければ力の意味などない。そうやってかつての争いを否定する。
「だけど……でも、それでも!」
「どこまでも、手を伸ばすのですね」
立ち上がる『ノイン』。
その手には拳銃が握られていた。
猟兵たちは瞬時に動いていた。狙いは、『フュンフ』。
そう思っていた。
だが、その銃口は『ノイン』自身、そのこめかみに押し当てられていた。
「……だからこそ、愚かなのです。愚かなままの|傍観者《バイスタンダー》であなたがいてくれたのなら……」
『ノイン』は最期笑っていた。
嘲るのではない。
哄笑でもない。
自嘲でもない。
ただ、純粋に笑っていた。
銃声が響き、救えなかったという現実だけが幼子の心を切り裂いた。
それはきっと、大いなる戦いの引き金だった。
かくしてオブリビオンマシンは一つの狂気を終わらせ、新たなる狂気を芽吹かせる――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵