Reviver the Resolver
神聖ヴィスタリア皇国、神都イリアラウス。
その最奥に聳える、大聖殿の大広間にて。
『アルマ・アルマリア卿。シリエジオ公国及び北方諸国にての『聖戦』、ご苦労様でありました』
響き渡るは、少年のようにも老婆のようにも聞こえる、不思議な響きの声音。広間奥の玉座に座するその声の主の姿もまた、分厚いローブとヴェールにて年齢も性別も定かならぬ様。なれどその存在が何者であるかは、皇国の全ての者が知っている。『大聖皇』。神聖ヴィスタリア皇国の元首にして皇国の国教たるヴィスタル教の教主、政教双方におけるこの国の最高権力者。
「直々の労いに感謝致します、大聖皇陛下。これも全て、神の光のお導きの賜物」
その言葉に応えるは、白き法衣にその身を包んだ見目若き女性。アルマ・アルマリア、皇国の主力軍たるヴィスタリア聖騎士団のひとつ、第二軍を預かる長。およそ三年半に渡り、第二軍を率いて北方シリエジオ公国を属国化せしめ、更に二つばかりの小国家を武力、或いは教化を以て侵略する『聖戦』を繰り広げてきた人物。
「これでまた、神の光はより広く世を照らし得るようになった。……さて、アルマ卿」
玉座の傍ら、神経質げな初老の男――大聖皇の最側近、聖典主イクワード・リンゼルはその功を纏めると共に告げる。此処からが本題、とばかりに。アルマが居住まいを正すを確かめて、イクワードの続けて語るは。
「此度、卿を呼び立てたのは他でもない。――第二軍に『カラドブルク』の調査を頼みたいのだ」
「――『裁かれし都』の……?」
告げられた地名に、アルマはその異名を以て問い返す。重々しく頷くイクワード。
「然様。かの都がそう呼ばれる理由は、知っているな」
「――『民は嘆き、皇は祈った。天が唸り、光が聳えた。帝は塵に、都は瓦礫に。斯くて欺瞞の国は滅びた』」
続けての問いに対するアルマの答えは、ヴィスタル教聖典に記されし一節からのもの。其は決して虚構の出来事ではない。即ち。
「流石であるな。かつて我らヴィスタル教の徒を弾圧していた『ゼニウス機帝国』の帝都であり、神の光を以て一夜で滅び去った都。卿が諳んじた通りの光景を、私も、陛下も見届けた。故に聖典にはそう記した」
その聖典を編纂した当人――故にこその『聖典主』――として、イクワードは語る。だが。
「――が、実際の処。あれは|神の光ではなかった《・・・・・・・・・》」
「――え?」
絶句。続けて告げられた真実に対するアルマの反応はまさに其であった。正しく、衝撃を受けたと称するべき反応。
「あの光は、天より降ったものではない。地より――カラドブルクの城より立ち昇ったものだった。つまり、あの日あの都で起きた、神とは関わり無き出来事によって、機帝国は自ら滅びたのだ」
「一体、何が……?」
恐る恐る、といった様子でアルマが問うに、――イクワードとは別の声が答えた。
『其は機帝国が生み出せし最終兵器。名を『|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》』と言います』
即ち大聖皇である。その言葉を追認するが如く、イクワードが頷くと。
「使い方によって、無双の将を、無敵の軍を生み出し得る兵器。機帝国は其を以て、大陸に覇を唱えんとしていたようだ」
その兵器の開発目的は分からない。だが用途からの推察は叶う。故に推定の形でイクワードは語る。であれば。
「つまり、其を発見し回収することが、調査の目的……と?」
其処から類推した任務目的をアルマが問えば、返るのは「然様」という肯定の答え。
「勿論、そのものどころか手掛かりすら得られぬ可能性もある。だが、かの兵器が持つ力は『聖戦』の遂行に大きな助けとなるだろう」
故に一軍を割いて調査を試みる価値はある、とイクワードは語る。更に。
『『炎の審判』まで時は然程残っておりません。それまでに少しでも多くの民を神の光のもとへ――永遠の楽土へ至らしめる為にも。『聖戦』の加速は急務なのです』
ヴィスタル教の、皇国の至上命題を果たす為の力。其が求められているのだと大聖皇もまた語る。なれば。
「――承知致しました」
其が神の奇跡を否定するものだとしても、神の理想を実現する為ならば。アルマは、任務を受諾した。
「かの都には『雲の旅団』の残党が潜伏しているとの情報もある。警戒は怠るなよ」
半年ほど前に壊滅した反ヴィスタル教テロ組織、其との交戦の可能性もあると告げたイクワードだが。彼らは知らぬ。かの地で待つものが、果たして如何なるものであるかを――。
●
――おにいちゃん。
――おじさま。おばさま。
――みんな、みんな、いなくなってしまった。
――許さない。
――全て。許さない。
――聖騎士団も。そうでない奴らも。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》も。
――そして――
――猟兵などという連中も!
●
「――|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》。あの世界に、いっぱい存在してる……?」
グリモア猟兵、ルクレツィア・アストリュード(終極フラガラッハ・f30398)の困惑は、他の猟兵――特にサイキックハーツ世界出身の猟兵達こそ強く抱いたかもしれない。
かの世界にて|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》と言えば、武蔵坂学園が戦争規模の戦いに際して行使する切り札である。着弾地点に在る自軍の者達の生命力を賦活し、戦闘力を増大せしめるその術式を以て、学園はかつて多くの戦いを勝ち抜いてきた。
然しクロムキャバリアにおいては、かつて猟兵達と交戦した地下帝国の者がこれを行使、戦闘力を爆増せしめて襲い来た例があった。更にルクレツィアによると、過去には幾つかの小国家にて、これの開発に成功した例があったらしい。
「そのひとつが『ゼニウス機帝国』。今の神聖ヴィスタリア皇国領に、20年近く前まであった小国家。皆には、その首都だった『カラドブルク』に行って欲しい」
曰く、かの都は20年近く前に『聳える光』によって滅びたという。ヴィスタル教の教義ではこれを彼らの神の奇跡――|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の照射と解釈したが、実態はどうやら|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》が関わっているらしい。そして廃墟となって尚、かの都には其に繋がる何かが残っているという。
「それを探し出す為なのか何なのか――其処に、オブリビオンマシンが現れるのが見えた。どうしてかは、分からないけど」
自律する無人機なのか、誰かしらの搭乗者がいるのか。其処は不明だが、ひとつ分かっていることはある。
「そのオブリビオンマシンからは、物凄い憎悪が感じられた。世界の全て――どころか、猟兵に対する憎悪さえ」
猟兵の存在があまり広く知られていないクロムキャバリアにあって、猟兵に憎悪を持つとは一体何ゆえか。其は分からぬが、世界全てを憎む存在となれば捨て置くわけにもいかないだろう。
「あと、あそこには今、ヴィスタリアからの調査部隊も来ている。こっちにオブリビオンマシンはいないけど、あの人達への対応も何か必要かも」
|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》を神と崇め、その信仰に基づく侵略行為を繰り返す国。彼らが|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》を得ることも危険だが、オブリビオンマシンの影響自体は無い。単純な排除以外の対応が必要かもしれない。
「何にせよ、為すべきはオブリビオンマシンの排除。皆、よろしく」
そう結び、ルクレツィアはグリモアを起動した。
五条新一郎
強すぎる光。
五条です。
さて今回はクロムキャバリアより、かつてより幾度かその名の出ていた|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》に関するシナリオ。
その残照の残る滅びた都に現れたオブリビオンマシン、その排除をお願いします。
●目的
オブリビオンマシンの破壊。
●舞台
クロムキャバリア、カラドブルク。
神聖ヴィスタリア皇国領北部の砂漠化地帯にある都市の廃墟。所々に瓦礫が散らばっており足場は悪いです。
目的地は中心の王城があった付近となりますが、現在ここには大穴が開いてます。
●第三勢力
『ヴィスタリア聖騎士団第二軍』
部隊長であるアルマ・アルマリア率いるヴィスタリア聖騎士団のキャバリア部隊。皆様の行動次第で敵にも味方にもなり得ます。
いずれもオブリビオンマシンではありませんが練度は高く、集団敵相当の戦闘力があります。
●第一章
廃墟となったカラドブルク市街を進む「冒険」です。
ヴィスタリア軍と遭遇した際の対応があると良いでしょう。
また、それ以外に独自の調査を行うこともできます。
●第二章以降
章移行後の断章にて詳細を記述します。
●プレイングについて
第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 冒険
『市街地を駆けろ』
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POW : 些少強引でも直線コースで一気にゆく
SPD : 全速で駆ける
WIZ : 最短ルートを見抜き進む
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カシム・ディーン
UC発動
「いきなり登場でひゃっはー☆」
【属性魔術・迷彩】
光水属性魔術を己達に付与
光学迷彩で隠れ水の障壁で匂いや熱源に音も隠蔽
調査しつつ突破するぞ
ヴィスタリアは観察だけで接触は控えろ
「「畏まり☆」」
【念動力・情報収集・視力】
メルシー軍団も散開
廃墟の状態と人の出入りの痕跡はないか
雲の旅団の痕跡も調査
数人はヴィスタリアの動きや様子を観察
「挨拶しないの?」
あまり接触したくねーんだよ
今のところはな?
ま、そのうち観光には行くのも悪くはねーがな(過去の依頼を思い出して苦々しくなる)
聞いた感じ破滅主義ではあるし
……殲術再生弾…ゼラフィウムでもあったあれだが本当にぽこぽこ拾われるな…セールでもしてんのか…
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
サイキックハーツ世界より、開発し易い理由が有るのですかねぇ?
調べてみるのは良さそうですぅ。
『FAS』により建物程度の高度を飛行、【征境】による『領域』と『FPS』を合わせ、廃墟内を調べていきましょう。
これらが防がれる場所が有るなら、逆に「これらを防げる何かがそこに存在する」わけですから、調査場所を絞ることが可能ですぅ。
皇国の方々と遭遇した場合は「協調提案」か「不干渉」ですねぇ。
猟兵の役割は「オブリビオンマシンの排除」が第一、次点が「殲術再生弾の情報」ですから、彼らと事を構える理由は有りません。
相手から仕掛けて来そうなら『FIS』の転移で退避し無視、捜索を優先しますねぇ。
「「「ひゃっはー☆」」」
旧ゼニウス機帝国首都、現在は廃墟となった都『カラドブルク』。その外縁部に、能天気な少女達の声が響く。其処に在るのは、細かな意匠こそ違えど基本的な容姿は共通の、付け角をつけた銀髪少女達の姿。
「お前ら、遊びに来たんじゃねーんだからな!」
そんな少女達を制するように呼びかけるのはカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)、此度の調査任務を受けた猟兵の一人にして、目の前の少女達をユーベルコードで呼び寄せた当人である。因みに大元はかのパラダルクの力らしく、少女達はかの魔王が従えていたドラグナーガールのコスプレをしている。
「でも廃墟探索ってワクワクするよねー☆」
其処に、少女達と同様テンション高くはしゃいだ様相の声が茶々を入れる。その主もまた少女達と同様の容姿をしているが、彼女こそがこの少女達のオリジナル。機神『メルクリウス』の人間体、通称メルシー。
「お前な……。……兎に角、今回の仕事の目的を改めて確認するぞ」
相棒の様子に呆れた様子のカシムだが、気を取り直して。改めて、居並ぶメルシーの分身体達に任務目的を語りつつ指示を告げてゆく。
「まずは市街の調査、そして城のあったトコまでの突破だ。ヴィスタリアの連中は観察だけで戦闘は控えろ」
「「「畏まり☆」」」
其を受けたドラグナーメルシー達はおどけた様子で敬礼のポーズを取ってみせつつ、カラドブルク市内へと走ってゆく。カシム、小さく溜息はつくがすぐ気を取り直し。
「よし、僕達も行くぞ」
「りょ☆」
オリジナルのメルシーへ声をかけ、彼女が応えると共に。その姿はその場から消失を遂げる――光学迷彩を纏ったのだ。
一方、カラドブルク上空。乳白色の光からなる翼を広げ、飛翔する人影がひとつ。無論、斯様なことができるのは常人では有り得ない。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)、カシム同様此度の調査任務を受けた猟兵である。
彼女が飛翔するのは、概ね高めのビルと同程度の高さ。これまでのクロムキャバリアでの任務の経験上、これくらいならば|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》が反応することはないと把握しているのだ。因みにカラドブルクにはあまり高層の建造物は存在しておらず、精々が三階建てのアパートらしき建物の残骸程度。
(それにしても|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》ですかぁ)
ユーベルコードと探査祭器によって地上の情報を収集しつつ、るこるは考える。サイキックハーツ世界における其が如何なるものかは、彼女も同世界出身の猟兵の話などから概ね把握しているが、彼方の世界では武蔵坂学園しか扱う組織が無く、またその作成も早々頻繁に行われるものではなかったらしい。然し。
(此方の世界では、割と色々な国が作っていたみたいなのですよねぇ)
クロムキャバリアにおいては、幾つかの地下帝国が実際に行使してきた他、小国家の中にも開発に成功した例があるという――この都市を首都として存在していたというゼニウス機帝国もそのひとつ。この辺りの違いは何なのだろうか。
(此方の方が開発しやすい環境なのでしょうかぁ?)
文明レベルや超常の事象の認知度など、有利な条件は幾つかあるものの。決定的な理由は分からない。この調査が成功すれば、或いは其を知る機会も得られるやも知れぬ。そんな期待のもと、るこるはユーベルコードと祭器を通して流れ込む情報を精査してゆく。
「……しかし、|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》かよ……」
「こんなトコにもあったなんてねー」
一方、此度の目的たるその兵器に関しては、地上を光学迷彩状態で進むカシムもメルシーも思う処がある様子であった。というのも。
「ゼラフィウムにもあったが、本当にぽこぽこ拾われてるな……」
かつて赴いた別の小国家でも、|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》の行使された例を目撃しているためだ。それ以外にも、他の猟兵から聞いた分も含めれば、類似の事例は複数件発生しているという。
「どっかでセールでもしてんのか……?」
「出血大サービスだぞ☆」
半ば冗談のように呟くが、かの兵器の拡散の可能性は真剣に考慮すべきかもしれない。ともあれ。
「まあそれより、他の連中の様子はどうだ?」
その為にも、現状の把握は確と為すべきだろう。カシムが問うにメルシーが頷くと。
「んー……」
目を閉じ、集中し始める。市内各地に散開している分身体達と思念による意思疎通を図っているのだ。其が暫し続いた後。
「全体的に崩れかけの建物が多いけど、幾つか補修されてる建物もあるね。応急処置みたいなモノだけど」
「ってコトは、此処に誰かが住んでたみてーだな……」
目を開いたメルシーは、分身体が見たモノ達を報告し始める。即ちこの地に今も人が住んでいる証を。グリモア猟兵の予知で此処に潜伏している可能性がある、と言われていた『雲の旅団』――かつて彼らが関わった反ヴィスタル教組織の残党だろうか。然し。
「ただ……住んでる人は見つけられてないみたい。つい何日か前まで住んでたみたいな痕跡はあるけど」
「……何……?」
続けてのメルシーの言葉に訝しむカシム。メルシー曰く、建物内には殆ど埃を被ってない家具が幾つもあるが、人影は全く見当たらなかったとのこと。まるで、ある日突然消えてしまったかのように――
(戦闘の痕跡も全く無いのですよねぇ)
同様の情報は、上空でユーベルコードと探査祭器による情報収集を行っていたるこるも把握していた。ユーベルコードによって形成された『領域』は、その内に収められた全事象に関するあらゆる情報をるこるへと伝達する。其によれば、人が住んでいた気配のある建物内の家具や道具類が今ある位置に置かれたのは、最も新しいもので五日程前。つまり、その頃に何かがあって、住人は姿を消した、ということになる。
(怪しいのは、やはりあの穴ですかねぇ……)
見遣る先には、かつてゼニウス機帝国の皇城があったという大穴。闇めいた靄に覆われたその穴の内部情報は肉眼では勿論、探査祭器や『領域』の力を以てしても見通せない。それは逆説的に、其を妨げ得るような『何か』が其処に在ることを意味する。ならば、重点的に調べるべきはあの中か――
と、その時である。
「!」
静寂に満ちていた市街に突如轟く、重々しい爆発音。だが、それが戦闘によるものではないことを、るこるは即座に理解する。『領域』が捉えた、その音の正体は。
「――ヴィスタリアの方々ですねぇ」
「うん、今のは邪魔な瓦礫を爆破した音。戦闘じゃないって」
「……そうか」
分身体の一体との念話結果をメルシーから聞いて、カシムは何処か安堵したように応えを吐き出す。其は、己ら同様この地の調査を行っているという神聖ヴィスタリア皇国の聖騎士団の者達の行為。前後の状況から見ても、純粋な障害物除去を目的とした行為であり、何らかの存在に対する攻撃意図があったわけではない様子。
「挨拶しないの?」
カシムにそれ以上の動きが無いのを訝しみ、メルシーが問う。此度の聖騎士団の部隊を率いるのは若い女性であるという。ならばカシムとしては少なからず興味を持ちそうな処ではあるが。
「……あまり接触したくねーんだよ。今のところはな」
ややあって返した答えは、苦々しい表情と共に。雲の旅団に、聖騎士団。以前、皇国の最大都市ベルゲンにおいて、雲の旅団の旗印たるオブリビオンマシンの破壊任務に赴いた時のことを思い返したのだ。処刑されようとしていた旅団メンバー達、彼らを救出せんとしていたオブリビオンマシンの搭乗者。救いたかった。だが、誰一人救えなかった。その事実が、カシムの表情にも影を落とす。
「そのうち観光に行くのも悪くはねーが……今の状態だとなあ」
ふと、一言ぼやく。これまでの情報から、ヴィスタル教の教義は滅びを前提とした救済――ある種の破滅主義と見える。そのような教えを奉ずる者達とは、必要以上の関与は避けたい。故にメルシーの分身体達にも、聖騎士団に対しては監視のみに留めるよう命じていた。
「それより、この先だ。行くぞ」
苦い記憶を振り払うように、カシムは再度歩み出す。カラドブルクの中心部――皇城のあった場所へ向けて。
(彼方も此方を狙う意図は無いようですねぇ)
ヴィスタリア聖騎士団の側も己に気付いたが、どうやら様子見に留めるつもりのようだ。『領域』を介して伝わる彼らの会話内容から、るこるはそう判ずる。以前ベルゲンでの事件の際、彼女はヴィスタリア側に対する攻撃行動を一切取っていなかった。それ故に、皇国はるこるを敵対存在とは見なしていないらしい。警戒はするようだが。
(此方としても有難い処ですぅ)
此度の己らの役割は第一に「オブリビオンマシンの排除」、第二に「|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》の情報獲得」。そのいずれにも関わらない以上、彼らと事を構える理由は無い。万一彼らが攻撃してきても退避して無視を徹底するつもりだったが、彼方も不干渉の方針ならば都合は良い。ならば己は己の任務を遂行するのみだ。判じて、るこるは大穴を目指してゆく。オブリビオンマシンが在るのは、あの中だろうか?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
けっ、あのクソ衛星だけでも厄介なのにアレを崇めてる奴らまでいるってんですか。
危ねー連中ならいっそこの場で……いや、まずは様子を見るべきですかね。
殲術再生弾ってのやそれに繋がる何かをくれてやる訳にはいかねーですけど、オブリビオンマシンがこの場に偶然のこのこ出て来るってーのも出来過ぎですし……調査部隊に出会ったら、なるべく存在を悟られずに見張りたいですね。
問題はボクがそーゆーのぜんっぜん得意じゃねー事くれーですね!とりあえず離れた所から視力全開で監視しながら進むですよ。
ランナーユニットがあれば引き離される事もねーでしょうし。
うっかり見つかったら全速力でその場を離れるしかねーでしょうけどね!
カラドブルクの南端部に、幾つものテントが立てられ周囲に何機ものキャバリアが居並ぶのが見える。どうやらあれは野営陣地、彼らは数日間腰を据えてこの地の調査をしようとしているらしい。或いは既に数日間調査をしているのだろうか。砂混じりの風に、陣地に立てられた旗――天より降る光を図案化した神聖ヴィスタリア皇国の国旗がはためく。
(けっ、あのクソ衛星だけでも厄介なのに、アレを崇めてる奴らまでいるってんですか)
其を遠目に見遣り、ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は内心で毒づく。飛翔能力を持つ己の存在意義は、故郷たる此処クロムキャバリアにおいては著しく希薄化してしまう。無論、あの攻撃衛星のせいだ。ファルコにとっては恨み骨髄という処だろうか。
そして、その衛星を神と崇める人々。神聖ヴィスタリア皇国の国教たるヴィスタル教。教義を広めるべく『聖戦』という名の侵略を繰り返す彼らは、オブリビオンマシンの存在なくとも危険な集団と言える。
(それならいっそこの場で……いや、まずは様子を見るべきですかね)
とはいえ、彼らを排除するのは尚早であるとファルコは判ずる。彼らのような者達に|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》が齎される事態は避けねばならぬが、懸念材料も存在するが故に。
(オブリビオンマシンがこんなトコに偶然のこのこ出て来るってーのも出来過ぎですし)
この地のオブリビオンマシンが現れたのは何故か。彼女は其処が気になっていた。攻撃を仕掛けるのは、其が明らかになってからでも遅くはないだろう。
ならば、この場に留まり続ける必要は無い。ファルコは頷き、陣地を離れてカラドブルクへと入ってゆく。
荒れ果てた街路を歩むこと暫し、聞こえてくる機械音。向かってみれば、やはり。
「居やがりましたね」
白を基調としたカラーリングの、十数機のキャバリアと、其に随行する歩兵達。キャバリアの肩に描かれた紋章は、陣地に掲げられた旗のものと同一。調査行動に来ているヴィスタリアの部隊だ。
ファルコは距離を取り、その動向を監視する。取った距離はほぼ区画ひとつ分、随分と距離が開いているが、その理由はシンプルである。
(……やっぱ、こーゆーのはボクの性に合わねーですね!)
ファルコ、隠密裏の監視行動というのは全く以て苦手。それ故に、発覚のリスクを減らすには充分以上の距離を取る必要があるのだ。幸い、空中戦で敵を見失わず捉える為の優れた視力が、この距離からでも対象の動きを把握する助けとなってくれている。声は聞こえないが、何が起きているかは充分に把握可能。
(とりあえず、戦闘はしてねーみたいですね)
歩兵達が付近の建物に入って、キャバリアは周囲を警戒。暫くして兵が戻ってくると、次の区画へ。彼らの行動は概ねその繰り返しだ。建物の調査や、敵対勢力を警戒してのクリアリングを行っているのだろう。見る限り、兵にもキャバリアにも消耗は見受けられず、今のところ戦闘はしていないようだ。
(……ちょっと形の違うキャバリアもいますね。隊長機ですかね?)
部隊を構成するキャバリアはよくいるタイプの量産型キャバリアが主だが、一機だけ明らかに設計の異なる見目のキャバリアが在る。武装らしい武装を持たぬ、流麗な意匠のキャバリア。サイキックキャバリアだろうか。他のキャバリアとの位置関係と合わせて見るに、あれが隊長機のようにも見える。
ヴィスタリア調査部隊は区画の調査を終えたようで、移動を開始する。其を追ってゆくファルコ。やがて、彼らが次の区画へと到達した、その時である。
(―――!!)
歩兵の一人が此方を向いた。視線も己の方へ。気付かれたか。
「やっばいです!!」
逃げねば。地を蹴りファルコは走り出す。ユーベルコードで呼び寄せた|地上走行用装備《ランナーユニット》のおかげで、その走行速度は時速10000kmを軽く超える。あっという間に距離を離し、改めて振り返れば。
「……追いかけては来てねーですね」
ヴィスタリア軍が追いかけてくる様子は無し。振り切れたか、気付く前に逃げられたかは定かではないが。
「今度はもうちょっと慎重に行かねーとですね……」
気付いて警戒度を上げられた可能性はある。それでも監視対象には変わり無い。故にファルコは再度地を駆け、先の調査部隊の在る区画を目指していく。今度はもっと距離を取って監視しよう、と考えつつ。
大成功
🔵🔵🔵
クロガネ・コウサク
ディスポーザブル02を操縦し『錯乱術』発動。
透明化【迷彩】匍匐姿勢と機体の重力制御浮遊を合わせ、
敵対勢力、その疑いがあるヴィスタリア軍に気取られずに無音高速移動を行い廃市街を探索しよう。
ヴィスタリア軍遭遇時は、さて如何にするか。話を聞くにあまり良い連中ではなさそうだが……情報は己で見聞きせねばな。
戦闘能力確認(特にリーダー格)、会話の傍受などを行い、一応目的や、個人個人の行動、性格などを調べよう。
他の猟兵と敵対するなら密かに【アンブッシュ】錯乱の状態異常で援護するし、そうでないならば静かに後をつける。
味方につけるにせよ、敵対するにせよ、この先の何某へぶつけ、漁夫の利を狙えるやもしれぬしな?
カラドブルクの大通り、往時はメインストリートであったのだろう其処を、地を這うかの如く進む一機のキャバリア有り。否、その動作は正しく地を這うもの。即ち匍匐前進である。高性能なキャバリアと言えど、匍匐前進すら可能なものはそう多くはない。其を可能とする機体といえば、猟兵か、或いはオブリビオンのものに他なるまい。
(……ふむ)
そしてこの機体『ディスポーザブル02』はオブリビオンマシン。搭乗者たるクロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)はビハインド――即ちオブリビオンかつ猟兵という存在である。彼は敵の認識を躱すユーベルコードを行使し、機体を匍匐前進させながら都市の探索を行っているのだ。機体には光学迷彩による透明化も施され発覚可能性の更なる抑制を期し、匍匐前進する機体は重力制御で僅かに浮遊している。多少の瓦礫程度ならば匍匐姿勢のまま乗り越えることが可能だ。
そうして隠密裏にカラドブルク探索を進めていたコウサクは気付く。20年近く前に滅びた都市の廃墟としての違和感に。
(つい最近まで人の住んでおった気配がするな)
建物に垣間見えた生活の痕跡。それらから見て、ほんの数日前までは此処で生活していた者が居たのだろう、とコウサクは判ずる。なれど周囲に戦闘の痕跡は無く、彼らが如何なる要因で此処を去ったのかまでは分からぬ。あの様子からして、突発的な要因で去るに至ったようだが――
と。
(あれは――ヴィスタリア軍か)
進路に見える、十数機のキャバリア群とそれより少し数の多い歩兵。話に聞く神聖ヴィスタリア皇国の調査部隊か。其によれば、彼らはあまり好ましい存在ではない、とコウサクも判断している。必要とあらば排除するに躊躇は無いが。
(……情報は己で見聞きせねばな)
とはいえ風評だけで判断するも良くはない、とも考える。故に距離を詰め、追跡を開始。迷彩と|匍匐状態《ユーベルコード効果》の継続に加え、機体は浮遊状態。移動の痕跡で存在を気取られることは無いだろう。
「此処にも真新しい生活痕が見られました」
「やはり雲の旅団の残党か?」
「とはいえ、最早我々への抵抗力は失っていそうですね」
会話の傍受を開始。時々交わされる会話の内容は、此処まででコウサクも見て来た生活の痕跡に関する報告と推察。
(雲の旅団。此奴らに抵抗していた武装組織であったか)
グリモア猟兵の予知に出ていた話を思い返す。どうやら、既にまともな戦闘行為が行える規模では無いと見えるが。
『油断は禁物です。何処かに残存戦力を結集させている可能性も、皆無ではないでしょう』
楽観的な会話へ釘を刺すかのような声。その源は、他のキャバリアとは趣を異とする流麗な意匠のキャバリアから。見目に武装らしい武装の見えぬ機体だが、サイキックキャバリアだろうか。
「はっ。承知致しました」
「引き続き警戒を継続します」
その言葉を受けて、兵達は敬礼らしきポーズと共に告げられた言を受け入れる。この反応と併せて見るに、先のキャバリアの搭乗者が隊長と見て良さそうだ、とコウサクは判ずる。
『然しアルマ卿、|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》の手掛かりは見つかりませんな』
其処に、別のキャバリアから声。口ぶりからすると副官格の人物だろうか。声を受けたサイキックキャバリアらしき機体からの反応は、少し間を置いて。
『そうですね。やはり、あるとすれば皇城跡――あの大穴の中、でしょうか』
応える声――アルマという名らしい若い女性と思しき声が返ると共に、その機体は向きを変える。その『大穴』があると思しき方向へ。
(|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》、大穴。成程、此奴らの目的と最終的な行き先は其処か)
目的はグリモア猟兵の語っていた通り。そして恐らくは、調査の手は最終的に其処へと行きつくのだろう。此処まで一切気配の見つからなかったオブリビオンマシンも、其処に存在する可能性が高い。
(彼方の何某と此奴らをぶつけて、漁夫の利も狙えるやもしれぬな――うむ?)
状況次第ではそれも選択肢として有力だろう、と冷徹に算段するコウサクだが、其処で再び聞こえた会話に耳を傾ける。
『然し|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》。聖典主殿の情報通りならば、確かに『聖戦』の大きな助けとなり得ますな』
副官らしき男の声。かの兵器は軍勢に大きな力を与え得るものとは彼も聞いている。故に、其を以てしての聖戦――侵略行為の勢いづくに、大きな期待を寄せている様子であるが。
『――そうですね。それが我らの手に御し得るものであるなら――』
(……ふむ?)
其へアルマの返した答えに、コウサクは引っ掛かりを覚えた。この物言い、あまり気が進んでいないようにも聞こえるが……?
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『エヴォルグ量産機REVOL』
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POW : ヴォイドサイキックフィールド
【口内】から、戦場全体に「敵味方を識別する【質量を持ったサイキックバリア】」を放ち、ダメージと【共に防御を固める。触れた対象に狂気】の状態異常を与える。
SPD : ヴォイドサイキックスピア
【瞬間移動】で敵の間合いに踏み込み、【サイキックで作られた槍】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : REVOLエンジン
【無機物、有機物、物質、非物質を問わず】【捕食し、量と質に応じて自身を修復する。】【捕食物の特性を反映し再誕する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
イラスト:すずや
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
――そっか。
――みんな。みんなも、此処に来ていたのね。
――大丈夫。
――わたしたちは、力を手に入れた。
――もう、逃げ回るだけじゃない。
――この力で、仇を取ろう。
――みんなの家族――仲間達の仇を!
●
其々の形で以て、カラドブルクの調査を進める猟兵達。並行してヴィスタリア軍の監視を行っていた猟兵達が見るに、彼方も現時点では然程の成果は得られていないようだ。
廃墟と化した市街地には、20年近く前に滅びた都市にも関わらず数日前まで人の住んでいた痕跡があり、然し人の姿は全く見られず。まるで、数日前に忽然と姿を消してしまったかのように。
また、本来の目的であるオブリビオンマシンの姿も見られない。市街地にそれらしい気配は全く無かった。であれば――誰ともなく、『それ』へと意識を向ける。都市の中心、かつてゼニウス機帝国の皇城があったという大穴。闇めいた靄に覆われ、肉眼はおろか探査機能を持つ道具やユーベルコードを以てしてもその中の様子が窺えぬ空間。如何にも怪しい。
ならば此方の調査へ取り掛からんと、猟兵達が歩を向けた――その時である。
『『『アアアアアアアアアアアアーーーーーーーーー!!!』』』
大穴から響いた、幾重もの叫び声。喊声とも怒号とも慟哭とも悲鳴とも聞こえるその声と共に、大穴から幾つもの巨大な影が飛び出してきた!
『アアアア……』
『オオオオ……』
其は緑色の体躯を持つ、恐らくはキャバリア。然し異様にしなやかな四肢、うねる尾、それらは嫌に生物的な様相。生体キャバリア『エヴォルグ』シリーズの量産機、その|再誕型《REVOL》である。超能力と更なる人間的な動作を得た機体。そして。
『カタキ……ワレラノナカマ……!』
『コロス……コウコク……!』
どうやら、搭乗者を生体コアとして取り込むという特徴も健在らしい。響く呻きめいた声には、ある種の指向性を持った憎悪が認められる。その声が機体そのものから発されているのか、取り込まれた搭乗者自身の声かは不明だが――
『イェーガー……イェーガァァァァァ!!』
如何なる由か、その憎悪は猟兵にも向けられているらしい。頭部を巨大な顎めいて大きく裂き広げながら叫ぶエヴォルグ達が、猟兵達を目掛けて襲い掛かってくる。どうやら、大穴調査の前にこれらの排除が必要らしい。
●
『隊長! 大穴方面よりキャバリアの反応多数! 此方へ向かってきます!』
『機影確認……これは、エヴォルグタイプか……!?』
そしてエヴォルグ達の一部は、調査を行っていたヴィスタリア聖騎士団第二軍の者達にも襲い掛かろうとしていた。其を察知し、部隊の緊迫の度が一層高まる。
『歩兵部隊は直ちに陣地へ後退、キャバリア部隊は迎撃しつつ同様に』
隊長たるアルマは指示を飛ばしつつ、街区を利した遅滞防御の陣を組むキャバリア部隊の中心へ位置を取る。その一方で。
(雲の旅団、消えた住民、そしてエヴォルグ……もしや、このキャバリア……)
此処までに得られた情報の断片。其処から何かを察したか、懸念の如き呟きを心中に漏らす。その直後。
『クモ……ワレラハクモ……!』
『カミノヒカリ……サエギル……クモ……!』
妄執めいた叫びを上げるエヴォルグ達が、ヴィスタリア軍の前に現れた……!
※大穴から出現した『エヴォルグ量産機REVOL』の群れとの戦闘です。
※戦場は引き続きカラドブルク市街となります。朽ちかけた建物が並び、瓦礫も多く散らばっています。
※パイロットの状態及び救出可否は不明です。少なくとも意思疎通は困難と思われます。
※ヴィスタリア聖騎士団第二軍の兵達も戦闘しています。放置しても壊滅はしないと思われますが、相応に被害は出るでしょう。
※補足:エヴォルグ達は全てオブリビオンマシンとなります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、そういう方々ですかぁ。
禁忌に触れた犯罪者の仲間、容赦無用で良さそうですぅ。
『FLS』で各『祭器』を召喚、【㒈趲】と『祭礼の女神紋』により、全『祭器』共々Lv倍に巨大化しますねぇ。
この状態の私の身長はキャバリアの50倍以上、且つ『対キャバリア完全無敵化』を得ますので、念の為増幅した『FXS』で「狂気」を遮断、『FPS』で戦場の地形や敵方の配置を把握した上で、同様に巨大化した『FRS』の[砲撃]を行いつつ戦場を走り回り、バリアごと踏み潰し纏めて轢殺しましょう。
速度や歩幅から、皇国の方々に向かった分の敵機も纏めて踏み潰せますので、支援も兼ね、其方も続けて殲滅しますねぇ。
『クモ……ワレラハクモ……!』
『カミノヒカリ……サエギル……クモ……!』
市街の廃墟を駆ける量産型エヴォルグ達、その叫びを聞き取った夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、其に乗り込む存在の正体を察する。
(成程、そういう方々ですかぁ)
以前に関わった事件において徹底的に殲滅したテロ集団。その拠点の情報を聖騎士団に流しもしたが、彼らの庇護に回った猟兵も少なくなかったが故か、それなりに生き残りはいたようだ。
『イェーガー……イェーガァァァァァ!!』
やがてそのうちの一部が、るこるに気付き向かってくる。感じられる憎悪、殺意の程が、より一層強くなった。探査祭器からの反応が、るこるに其を確と伝えてくる。
(禁忌に触れた犯罪者の仲間、容赦無用で良さそうですぅ)
これまでに得た情報、そして現状。彼らはそういう存在である。るこるはそう判断する。ならば態々助命の必要も無い。粛々と殲滅するのみだ。
迫り来る生体戦機の群れを認めると共に、武装たる祭器群を召喚し展開。そしてその手を合わせ、祈りを捧げる。己の奉ずる豊饒の女神へと。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『轢禍の加護』をお与え下さいませ」
祈りはユーベルコードを励起し、以てるこるの身体が見る間に巨大化してゆく。最終的に到達したその身長は実に26km超、最早キャバリアさえも砂粒程度にしか見えぬサイズ差だ。見るからに圧倒的に過ぎるその大きさ、常人を絶望させるには十二分なるものだが。
『『アアアアア!!』』
そんなるこるに対しても、エヴォルグ達は臆さず向かってくる。搭乗者が恐怖を感じていないのか、理性を失っているのか――或いは、最早人間としてのカタチを失っているのか。
『効きませんよぉ』
だが、いずれにしても今のるこるには無力。巨大化している為だけではない。今の彼女には、キャバリアに対する絶対的な耐性が備わっているが故に。触れた者に狂気を齎すサイキックバリアも、何らの効果も発揮すること叶わず。
そして、攻撃にも一切の策を必要としない。このユーベルコードは疾走による轢殺攻撃であるが――只一歩、足を前に出すだけ。只それだけで、己に攻撃を仕掛けていたエヴォルグのみならず、その先のヴィスタリア聖騎士団へ向かっていたエヴォルグ達までをも瞬時に轢き潰した。身長が26kmもあるのだ、一歩だけでもその歩幅は軽くkm単位である。
『な、何だあれは……!?』
『エヴォルグを破壊した……ということは敵ではない……のか?』
るこる自身に合わせて巨大化した探査祭器が、その様子を見届けていた聖騎士団の面々の会話内容を拾う。突如現れた、文字通り天を衝く巨躯の女性を前に、只々圧倒されているらしい。無理からぬ話である。
『刺激はしない方が良いでしょう。極力距離を取りつつ後退するのです』
隊長らしき女性――アルマの声が、るこるへの対応を指示している。敵と見做されないように、という処だろうか。向こうが干渉を避けるならば、此方から無理に踏み込むことはないだろう。
只、現れる敵を殲滅するのみである。その意志のもと、再び踏み出したるこるの足が、続いて向かいきたエヴォルグ達を薙ぎ倒していった。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
……っ!彼奴ら…彼奴らなのか…
(竜眼号搭乗
エヴォルグ…人食いキャバリア…それなら二つ可能性がある…
生体コアならまだいい…助ける方法はある…だが…
「もしも…エヴォルグ「そのもの」になってたら…」
メルシー…許す…僕の魔力を持っていけ
だが…絶対に殺すな…そして…殺させるな
「!!わかったよご主人サマ!」
もう…うんざりだ
復讐はいい……だが…それでも…もう死ぬのはうんざりだよいい加減
UC発動
【属性攻撃・迷彩】
光水属性をメルシー軍団と竜眼号に付与
【情報収集・視力・戦闘知識】
エヴォルグの状態と中に人がいるか…可能な限り精巧な情報を収集し他の猟兵にも共有
特に救出方法については徹底的に把握
他の猟兵にも伝達
【念動力・弾幕・空中戦】
10師団を竜眼号の護衛にまわし残りは突撃
念動光弾で敵の動きを止めて
救出可能かどうかも再確認
出来ないなら
石化させて仮死状態にして回収を行う
【二回攻撃・切断・集団戦術】
もしも救出可能なら群がり中のパイロットの救出を徹底する
ヴィスタリアは基本無視だが襲われてるのは防衛
…助けて見せるさ
カラドブルクの地を疾走する緑の群れ。エヴォルグ量産機|再誕型《REVOL》。憎悪に満ちた叫びを上げて、ヴィスタリア聖騎士団に、猟兵達に向かい来る生体キャバリア達。
「よりにもよってエヴォルグとはな……!」
其をカラドブルク外縁部上空に滞空する時空戦艦『竜眼号』のブリッジモニタ越しに睨み、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は苦しげに唸る。継続的に関わっている他の小国家では『人喰いキャバリア』として恐れられている生体戦機。捨て置けば相当の被害を齎し得ることは間違いないが――然し、彼の反応の理由はそれだけではない。
「けど……この機体。……彼奴らなのか……?」
予知に垣間見えた情報と、かの戦機に見られた反応。それらが導いた可能性。かつて救おうとして救えなかった者達。その同胞。
「けどご主人サマ、あのキャバリア……」
カシムの隣、懸念を示すようにメルシーが漏らす。元よりパイロットを生体コアとして取り込むという悍ましい性質を持つキャバリア。であれば。
「ああ、可能性は二つだ。生体コアならまだいい……だが……」
眉根を寄せつつカシムが応える。単純に生体コアとして取り込まれているなら、救出は可能。これまでの経験からカシムはそう確信している。だが。
「……もしも……エヴォルグ『そのもの』になってたら……」
カシムの言葉を引き継ぐようにメルシーが口にするのは、もうひとつの――最悪の可能性。かの生体キャバリアならば、その可能性も想定はできる。そしてそうであった場合、搭乗者を助けられるかどうかは分からない。
「………」
カシムは思案する。どちらかは分からない。どちらでもないかもしれない。だが――成すべきことは、変わらない。ならば。
「……メルシー、許す。僕の魔力を持っていけ」
「!」
口にしたその一言に、メルシーは驚愕げに目を見開く。カシムの方から其を言い出した、その意味を理解するが故に。
「だが……」
其処でカシムは更に言い添える。かの戦機への対応は破壊だけではない、それよりもっと重要なことがある、とばかりに。
「……絶対に殺すな。そして……殺させるな」
その命令は静かに、だが力強く。それこそが、此度この場で為すべき、最も大事なこととばかりに。
「……! わかったよ、ご主人サマ!」
その意図する処を悟り、メルシーは大きく頷く。そして甲板へ出て行こうと走り出す彼女を見送ると、カシムは座っていた座席に身を沈める。
「……もう……うんざりだ」
深く沈んだ声音。復讐を否定するつもりは無い、彼はどちらかといえば復讐には肯定的な側である。だが、それでも。
「……もう、死ぬのはうんざりだよ……いい加減……」
●
「「「ひゃっはー☆」」」
竜眼号から飛び出すは、メルシーをより幼くしたような見目の一団。手に手に彼女の|神機《キャバリア》としての武装を備えたそれらの数は実に1720個師団。うち10師団は竜眼号の護衛に残ったが、それでも2000万人近い数がカラドブルク市街へと突入してゆく。
『アアアアア!』
『イェェェェガァァァァァ!!』
向かう先にはエヴォルグの群れ。幼女メルシー軍団の姿を認めるや、憎悪に満ちた雄叫びと共に跳びかかってゆく。振るわれる巨腕や尾が次々と幼女メルシー達を叩き潰し薙ぎ倒すが、しかし幼女メルシー達の数は圧倒的。雨霰と撃ち込まれる念動弾の前にやがて生体戦機の動きは鈍り、其処に幼女メルシー達が群がって鎌剣で斬りつけてゆく。
『隊長! 幼女の群れが敵機を襲っています!』
其はヴィスタリア軍がエヴォルグと交戦している領域でも同時に起きていた。カシムには彼らに積極関与する意志は無いが、襲われているなら救援はする、という指示であったが故に。
『第一軍を襲ったものと同じ存在でしょうか……? 今のところ敵ではないようですが、警戒を』
報告を受けた隊長、アルマは己の目でも生体戦機へと群れる幼女軍団を認めて訝しむ。以前ベルゲンにて『浄化の儀』の防衛に当たった聖騎士団第一軍が、幼女の群れによって壊滅的被害を受けたという情報があった為だ。それでも己らへ攻撃を仕掛けて来ないならば、と警戒に留めてエヴォルグへの対処を優先するようではあった。
ともあれ。
(同じエヴォルグ量産機なら、構造は同じ筈……!)
振るわれる刃は、|彼女達の主《カシム》が以前に同型のエヴォルグと交戦した際の経験を反映して機体を斬り刻む。即ち、パイロットを取り込んだコア部分を切り出すように。
『ギアアァァァァァ……!』
どうやら痛覚もあるのか、生きながらにして解体するかの如き斬撃を浴びせられ悲鳴を上げるエヴォルグ達。なれど其は長くは続かず、やがてバラバラに解体されてしまえば声もまた止まる。
そうして形を失った生体戦機の中から、赤黒い楕円形――何処か人間の心臓を思わせる形状の物体が取り出される。これがエヴォルグのコアだ。
(斬り開いてみないと中の様子は分からないか……)
竜眼号からのモニタリングを介しエヴォルグ達の様子を観察していたカシムだが、機体そのままの状態でも、このコアのみの状態でも、搭乗者の状態は分からなかった。そして、彼らを救出する方法も。ならば、コアを開けてみるより他に無いだろう。そんなカシムの意志のもと、幼女メルシー達がコアの表面へと慎重に刃を入れ、斬り込んで――
その時である。
(!?)
斬り込んだコアから漏れる、泥濘じみた赤黒い液体。血液のような、しかしそれとしては粘つきすぎる液体。これではまるで――カシムの脳裏を最悪の予感が過ぎる。モニタ越し、幼女メルシー達が斬り開いた、コアの中身は――
「……………」
何もない。ただ、赤黒い泥濘が幾らか残るのみ。人間らしき形状は、何処にも無い。それが意味する処は。
(完全に、取り込まれたってのかよ……!)
カシムは歯噛みする。最早、彼らの肉体も意識も、完全にエヴォルグに融けて一体化してしまっていた。これでは最早助けようなど――
「……まだだ」
だが、それでも。カシムは呟く。まだ、諦めるには早いと。その意志を以て、メルシー達へ命じる。
「……他の機体も、同じようにやれ。まだ……間に合う奴が、いるかもしれない」
その可能性を捨てはしない。主の意を受け、幼女軍団が走る。希望を、探し出さんとばかりに。
成功
🔵🔵🔴
ファルコ・アロー
生体キャバリア……けっ、別の世界の化け物みてーで気味が悪ぃですね!
生体コアってーのも出来れば助けてやりてーですけど……今生きている人間優先ですし、手加減できる状況じゃなさそーですね。
そっちに向かう連中を優先的に倒すですよ!
アレに触るとロクな事にならなさそーですし、ここはアームドフォートとキャノンの一斉発射で勝負です。
本体も口から出てくるのもまとめて撃ちまくってやるですよ!
徹甲弾で貫通攻撃すれば、多少防御を固められても強引にこじ開けられるはずです。
余裕がありゃあコアのありそうな所は外して撃つですけど……それは状況によるですね。
おいそこの知らねー軍隊!
てめーらもキリキリ撃ちながら後退しやがれです!
玄羽・レン
◆SPD/アドリブ歓迎
私は武蔵坂の灼滅者…〔殲術再生弾〕の一面を知る者
先の戦争で模造品を撃つに至った思い出の品です
(『闇を恐れよ、されど』の事)
でも当世界の物が知る其と同一か
真実を知る為に参じました
故に聖騎士団の方々も護ります
愛機〔ガラテ〕を錬成/搭乗
〈魔術知識〉で幻影を纏い【輪護の神威】起動
沸き立つ鎖が聖騎士団へ迫るエヴォルグを絡め取ります
永遠物質の概念を簡単に喰らう事は出来ませんし
何より対時空/因果特効が間合いへの瞬間移動を阻みます
後は強化された巨大弩を以て【背理の断罪】発動
戦場上空の〔殲浄球〕に取り込んだエヴォルグの行動原理を解析
可能なら中身を浄化/救助しますが危険なら諸共に分解しますよ
クロガネ・コウサク
鎌でもかけてみるか。
「機帝国を亡ぼす程の代物、果たして皇国に扱い切れるものかのう?」
隊長機へ問い掛けつつ、透明化維持状態のディスポーザブル02でRS手裏剣【投擲】軍を襲う敵機を適度に麻痺させ敵意がない事を示す。
後は隊長機の出方次第。返答を元に【言いくるめ】技能や鉄火場故の余裕の無さを利用し更に言葉と懸念を引き出し、危機意識を軽く煽る。
聖典周りの言葉が出ていたなら、
「今更になって|前言を《都合の良い嘘》翻す等と、お主らの上はいったい何を考えておるのやら?…邪魔したのう」
そう疑問を残し『隠密術』で気配を消し飛翔離脱。迂回し大穴を目指しつつ【アンブッシュ】敵機を屠る。
皇国への疑惑の種ひとつ。さて……
『アアアアア! コウコク! コウコクゥゥ!!』
『くそっ、数が多い……!』
『これだけの数、何処に居たってんだ……!?』
エヴォルグ量産機再誕型の群れは、ヴィスタリア聖騎士団第二軍へも容赦なく襲い掛かる。キャバリア諸共捕食せんばかりのその動きを防ぎ止めつつブレードでライフルで反撃する兵達だが、猟兵達が彼らへ向かう敵機も殲滅しているにも関わらずその数は凄まじく多い。街区を利して側面や背面は守っているが、精強なる聖騎士団をしてもこの生体戦機の力は脅威そのもの。このままでは、いつ押し切られるか――誰ともなく、その懸念を脳裏に浮かべた、次の瞬間。
『『!?』』
突如、エヴォルグ達の全身を、周囲の空間より伸び来た白銀の鎖が絡め取り、その身を縛め。更には何処からか飛び来た無数の機関砲弾やキャノン砲弾が、動けぬ生体戦機の群れを撃ち抜き、その肉体を破壊。瞬く間に無力化せしめたのだ。
驚愕しつつも、兵達が砲弾の飛び来た方向を見遣れば。其処には、鎧騎士めいた意匠の蒼白のキャバリアと、その傍らに滞空するレプリカントの少女の姿。
「血みてーなモンまでバラ撒いて、まったく気味が悪ぃですね」
レプリカントの少女、ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)はエヴォルグの残骸を見遣って吐き捨てる。搭乗者救助の可能性を考慮し砲弾は胴部を避けて撃ち込んだが、それでも一帯には肉片らしきものや血液らしきものが散乱し、異なる世界の怪物を仕留めた直後の如き惨状が広がっていた。
『生体キャバリアとは聞いていましたが、ここまでとは……ですが』
キャバリアから響く声は搭乗者たる玄羽・レン(『元』対歯車のコッペリア・f44108)。言葉と共に、修めし錬金術の粋たるゴーレムキャバリア『ガラテ』を操り、巨大なる弩を構えさせると。其処から放たれるは無数の電流を纏う青白き光球。其は上空に滞空したかと思えば、纏う電流をエヴォルグの残骸へと伸ばし。その胴部を捉えたかと思うと、光球の内へとそれらを引き込んでゆく。浄化や分解の力を宿す『殲浄球』である。
『搭乗者がいるならば救助、いなくとも浄化分解はお任せください。後は――』
以て其を請け負いつつ、レンはガラテの視覚器官を巡らせる。白を基調としたキャバリアの一団――ヴィスタリア聖騎士団の第二軍。エヴォルグとの交戦を続けながらも己らを気にしている様子であるが。
『救援に感謝します。ですが、あなた方は一体……?』
其処へ進み出て来た、ローブを纏った人物を象るが如き意匠のキャバリア。若い女性の声――部隊長たるアルマの声が、感謝の意を示しつつも問うてくる。二人の行動の意図を測りかねているかのように。
『私は、この地に眠っているかもしれない兵器の一面を知る者』
そんなアルマに対し、レンは己を端的にそう語る。事実として、レンは武蔵坂学園――サイキックハーツ世界において|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》を運用していた組織の一員でもある。独力で其を模したユーベルコードを編み出しもする程に、かの術式への思い入れは深い。
『ですが、この地に在るものが私の知る其と同一のものかは分かりません。故に』
サイキックハーツ世界のものと、クロムキャバリアのもの。其々が同一なのか何らかの差異があるのか。真実を知りたいとレンは語る。
「てめーらを守ったのは行きがけの駄賃ってヤツですよ。もし何かあったら寝覚め悪ぃですし」
『そうですか。いずれにせよ有難く』
そんなレンの言を踏まえて、救援の理由を端的に語るファルコ。それらを受けたアルマの応えは、ひとまず納得したようなニュアンス。と、其処に。
『コウコク……セイキシダン……! ユルサナイ……! ユルサナイ……!』
『イェーガァァァァァ!! ニクイ……イェーガァァァァァ!!』
更なるエヴォルグの群れが、一団を三方から囲むかのように迫ってきた。残る全機が此方へ向かってきているのか、その数はかなりのものだ。
『……っ! なんて数……!』
息を呑むレン。なれどもその手は冷静にガラテを操り、其を通してユーベルコードを再度発動。周囲の空間より放たれたる鎖がエヴォルグを絡め取り、その動きを封じる。
「てめーらもキリキリ撃ちながら後退しやがれです!」
動けぬエヴォルグに砲撃を浴びせつつ、ファルコが呼びかけるに応え。聖騎士団のキャバリアは陣を組み直しエヴォルグを迎え撃つ。戦闘は、乱戦の様相を呈しつつあった。
『数が多いですね……!』
アルマもまた、部隊の状態に気を配りつつ白い魔力弾を放ちエヴォルグを攻撃する。その時である。
『――機帝国を亡ぼす程の代物、果たして皇国に扱い切れるものかのう?』
『!?』
突如聞こえた老人の声。振り向くが其処には誰も居ない――否、よくよく確かめればキャバリアの反応をレーダーが捉えていた。透明化状態のキャバリア――クロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)操る『ディスポーザブル02』だ。
『――何者ですか』
周辺状況に警戒を続けながら、アルマは問う。その合間にも放たれる魔力弾がエヴォルグへ叩き込まれ、生体戦機の身を穿つ。
『何、名乗る程のものでもない。それより――』
何処か愉快げなコウサクの声と共に、断続的に飛び出してくるのは数枚の手裏剣。其が空を裂きエヴォルグへ突き立つと、敵の動きが目に見えて鈍る。その手裏剣に備わる帯電機構が、生体戦機を麻痺に追い込んだのだ。
『この地に眠るという兵器。制御を誤れば滅ぶのはお主らよ。かつてこの地にあった国のようにな』
続けてコウサクの語る間にも放たれ続ける手裏剣。其はエヴォルグにのみ突き立ち、己の皇国への敵対意志無きを示してみせる。
『――我々には神の加護があります。神の怒りを受けて滅びた機帝国とは違います』
反駁は聖典の記述を踏まえたもの。無意味な栄華に酔って無軌道な力を振るい続けたゼニウス機帝国は神の怒りに触れ光の柱に帝都を呑まれ滅びた、と。語るアルマの声音は、その見解への確かな信頼と――其へ縋るような不安定さが滲んでいるように聞こえた。
『神の加護――なあ』
其を受けたコウサクの応えは何処か嗤うよう。その返答を滑稽なものと見るかのような。
『何が言いたいのです』
戦闘の最中という状況故にか。アルマの声にも苛立ちが滲む。なれど返るのはくつくつという音。
『いやなに――』
勿体つけるかのように一呼吸を挟むコウサクの応え。ややあって続けられた言葉は。
『今更になって前言を――都合の良い嘘を翻す等と、お主らの上はいったい何を考えておるのやら――とな』
『………!!』
アルマの息を呑むような声が聞こえる。此処で問答は終わり、とばかりにディスポーザブル02の反応が彼女から離れる。『邪魔したのう』とのコウサクの一言を残して――そして数瞬後。
『ギャアァァァ!!』
側面から迫っていたエヴォルグ二機が悲鳴めいた音を発してバラバラに裂かれ崩れる。行き掛けの駄賃とばかり、コウサクが不意打ちで仕留めたものだ。
『……………』
その残骸を見据え、思案するアルマ。なれど其は長く続かず。尚も続く敵の襲来への対応に追われていった。
(皇国への疑惑の種ひとつ。さて……)
その間にもレンとファルコ、聖騎士団によるエヴォルグの迎撃は続き。やがて一団がカラドブルク外縁部のヴィスタリア軍の野営陣地付近まで到達した処で漸く襲来が停止。敵は全滅した、と見るべきだろうか。
「ふー、とんでもねー数でしたね」
少し高度を上げて周囲を見遣り、緑色の機影が見えぬことを確かめファルコは一息つく。そのまま暫し、聖騎士団の者達と互いに労いあっていたが。
『……あのキャバリア。搭乗者を完全に取り込んでいたみたいです』
「……マジですか」
殲浄球による浄化分解を通じ、敵の性質を解析していたレン。その結果を告げる声音は、硬かった。即ち搭乗者は最初から救出叶う状態ではなく――そもそも生きていたと言って良いかすら曖昧な状態だった。眉根を寄せるファルコに対し、続けて語る処によれば。
『あの機体は、乗り込んだ人を取り込み、その思考を単純化し、先鋭化する形でトレースしていました。オブリビオンの本能――世界を破壊するという方向性に沿うように』
そしてガラテの視覚器官を街の中心へ向ける。大穴――エヴォルグ達の現れ出て来た場所へと。
『元凶は、あの大穴の底に。数多の生体キャバリアを呼び寄せ、人々を取り込ませていた存在が、其処にいます』
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『エヴォルグ終焉機『Eclipse』』
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POW : 黒天殲刀・Sun≒Eclipse
【天閉ざす破滅の闇と温もりを奪う極寒の冷気】を籠めた【日蝕耀刀『Sun』で極低温冷気と光速剣術】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【防御特性とユーベルコードを闇が無力化し核】のみを攻撃する。
SPD : 冥導誘機・Moon≒Eclipse
自身の【月蝕冥杖『Moon』により動力である光】を代償に、【ワームホールを作成し召喚された同型機体】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【光を魔力に変換し、あらゆる属性の魔術】で戦う。
WIZ : 光蝕深腕・Nebula≒Eclipse
非戦闘行為に没頭している間、自身の【光蝕み修復する光蝕深腕『Nebula』】が【あらゆる攻撃特性を無効化し、攻撃を逸らし】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
イラスト:タタラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ビードット・ワイワイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神は空の上に在って、常に私達を見守っている。善い人を幸福へ導き、悪い人を裁きの光で焼き払う。教会の司祭はそう言っていた。
けれど、誰だっただろうか。それは違う、と言い出したのは。
『神なんて言ってるが、そんなものは嘘っぱちだ。あれは只の人工衛星。飛んでるものを撃ち落とすだけの兵器だ』と。その本当の名前は『|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》』、と。
村の人にも、段々とそれを信じる人が増えて。村の外からも同じ考えの人達が集まって。ついには司祭を追い出して教会を焼いた。
それからすぐに、村が焼かれた。|殲禍炎剣《かみ》の光ではなく、聖騎士団によって。
お父さんも、お母さんも、村の人達も多くが焼かれた。私は、お兄ちゃんやその仲間と一緒に何とか逃げた。
『こんな事を繰り返させはしない。みんなに、真実を伝えなければ』
怒りに歯を軋ませながら、お兄ちゃんはそう言っていた。
それから、お兄ちゃんは仲間達と一緒に、反ヴィスタル教の活動を始めた。やがて自分達を『雲の旅団』と名乗りだした。|殲禍炎剣《かみ》の光を遮る雲。
最初はデモ行進やビラ貼りとかだったけど、そのうち誰かが何処からかキャバリアを手に入れてきた。リヴィアンの連中から買ってきた、って誰かが言ってたっけ。
キャバリアを使うようになってからは、教会を壊したり軍とやりあったりするようになった。聖騎士団は強くて、やって来たら逃げるしか無かったけど。
でも、お兄ちゃんが何処からか赤いキャバリアを手に入れてからは、それも逆転した。一人で聖騎士団のキャバリアを何機もやっつけるお兄ちゃんと、そのキャバリアはとても頼もしかった。
『見てろよラスティア。この力があれば、いずれイリアラウスに乗り込んで大聖皇の首も取ることだってできる。そうすれば、きっと皆の目を覚ますことができるだろうさ』
そう言っていたお兄ちゃんの目は、ちょっと怖かったけど。
けれど。半年前のあの日。全てが終わった。
ベルゲンで処刑されようとしていた旅団の仲間を助ける作戦。お兄ちゃんも勿論参加したけど、結果は完全敗北。沢山の旅団員が死に、お兄ちゃんもまた、キャバリアと一緒に死んでしまった。生き残った人も、悉くキャバリアを壊されて。雲の旅団は、戦う力を失った。
それからはもう活動どころじゃない、逃げ回るだけの日々。何処の拠点も悉く聖騎士団に筒抜けで、何日もかからないうちに襲撃を受けて。
逃げて逃げて、逃げ続けて――漸く辿り着いたのは、昔滅びた国の都だったっていう、この廃墟。暫く聖騎士団が来ることは無かったけど、不安で不安で、仕方なかった。
そんな時だった。『声』を聞いたのは。
『声』に導かれるまま向かった先は、廃墟の中心にあった大穴。以前は底まで見えていたのが、黒い靄に覆われて見えなくなっていた。
何とか降りて行ったその先にいた――あったのは、一機のキャバリア。凍るように冷たい光に輝く、暗黒のキャバリア。
促すままに乗り込んだ私に、『声』――そのキャバリア『Eclipse』に宿る意識が、多くを教えてくれた。この世界の真実。皇国が目指すもの。そして『猟兵』――世界の異分子。お兄ちゃんもそいつらの一人に殺されたのだと。
心に憎悪が溢れ出す。全てに――私達を此処まで追い詰めた奴ら全てへの憎悪。絶対に許さない。聖騎士団も。そうでない奴らも。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》も。そして、猟兵などという連中も。
『Eclipse』は同時に教えてくれた。この地に宿る力の残滓。其を使えば、全てを壊す力が得られると。そして、その使い方も。
『――それなら――』
●
エヴォルグ量産機の群れを殲滅し終えた猟兵達。だが、伴う事実は重かった。搭乗者は全員、機体に取り込まれ消失を遂げていた。かの機体の発した声は、搭乗者の意識の残滓がオブリビオンの本能と混じることで発されていたものなのだろうと。解析を試みた猟兵はそう推測した。
そして、その元凶は大穴の中にこそ在るのだろう、と。
故に猟兵達は大穴へと至る。その中は闇めいた漆黒の靄に覆われ、中を窺い知ることはできない。探査機能を持つ武装やユーベルコードを以てしても見通せぬその先へ、猟兵達が降りようとした、その時。
『私達も同行します。どうやら、求めるものが存在する可能性は、其処にしか無さそうですので』
やって来たのはヴィスタリア聖騎士団第二軍の長、この地の調査部隊の指揮官でもあるアルマ・アルマリア。部隊の中でも精鋭なのだろう兵四名とその乗機を伴って、此処までやって来たのだ。
アルマ達を加え、改めて穴を降りる猟兵達。足元だけは何とか見えるという程度の闇の中を進むこと暫し、その視界が不意に開かれた。
穴の底は一面の瓦礫。なれど其処には光が在った。仄かに輝く蒼い光。解析を試みた者は気付くだろう。其は、濃密なサイキックエナジーの光であると。
そして其が照らす一帯の奥、聳え立つ一機のキャバリア。白き姿は何処か神々しくもあるが、纏う気配は紛いなきオブリビオンマシンのもの。そして感じられる力の程――間違いない、これが討伐対象のオブリビオンマシンだ。
と、其処に。
『――やっぱり来たんだ。聖騎士団に、猟兵共』
オブリビオンマシンから声。声色こそあどけない少女のもののようだが、其は深い憎悪と憤怒に濁り満ちる。猟兵達に対し明確に向けられた、強い負の感情。
『私は、お前達を赦さない。ケルヴィン・ノイス――お兄ちゃんを、その仲間達を殺したお前達を。その死を赦した、この世界を赦さない』
なれど、その感情は最早世界全体へと拡散されていた。オブリビオンマシンが齎す狂気の発露。
『私はすべてを終わらせる。この機体――『エヴォルグ終焉機『Eclipse』』で。そして――』
語ると共に、彼女の乗機――『Eclipse』周囲で光が眩さを増す。蒼き光が穴の底の空間を満たす。
『――この地に宿る力の残滓を以て!』
搭乗者たる少女が叫ぶ。蒼き輝きが、白の戦機へ吸い込まれ――
『キリング……リヴァイヴァァァァァァァ!!!』
少女の叫びが穴の内を満たすや、白き戦機に青の輝きが纏われ。その力が、より一層高まっていくのが見て取れた。|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》――この地で作り出されたというその兵器の力を取り込んだというのか。
恐らく其は残滓を取り込んだに過ぎぬのだろう。だが、力の度は確実に高まっている。少なくとも封殺は不可能。なれど、これ程の力持つ存在、尚更に捨て置くことはできまい。確実に、この場で打ち倒すべし。
『猟兵! 聖騎士団! 全て……全て! 殺してやるッ!!』
少女の吼えると共に、白き終焉機が動き出す……!
※少女『ラスティア・ノイス』が搭乗するオブリビオンマシン『エヴォルグ終焉機『Eclipse』』とのボス戦です。
※戦場は大穴の底。広いですが地面は瓦礫で埋まっているため足場が悪いです。また頭上10mほどの高さに『Eclipse』の力で形成された闇が満ちており、あらゆる探査効果を遮断します。高濃度サイキックエナジーの光があるので視界は悪くありません。
※『Eclipse』はこの残滓を利用した|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の疑似発動によりパワーアップしており、あらゆる弱体効果に高い耐性を持ちます。この耐性はラスティア自身も持ちます。
※ラスティアの救出が可能かどうかは不明です。少なくとも、彼女の猟兵への憎悪はオブリビオンマシンの影響が無くなっても持続するでしょう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
この状況と事情なら、尋常に相手をする必要は有りませんねぇ。
『封鎖』の情報は有りませんので、【匸勹】を発動して認識から外れ『FAS』で飛行、戦場を無視し『穴』から脱出を。
外に出たら『FTS』から「対セプテントリオン戦」で多数回収した『中性子ミサイル』か、『FLS』で召喚した『FYS』による『核ミサイル』を複数用い、廃墟ごと核の炎で包みましょう。
私自身は『FYS』の『放射能操作』で影響を防げばよく、他猟兵や騎士団の方々も、認識範囲に入れば影響を除去出来ますぅ。
上方へのミサイル発射から『FIS』での転移回避で避難、『殲禍炎剣』の追撃も重ねますねぇ。
これが相応しい末路でしょう。
『全て、全て、殺してやる……ッ!』
喚くようなラスティアの叫びを伴い、疾駆する『Eclopse』。その迫る様を見遣る夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の視線には、何らの感情も籠らない。
(このような相手ならば、尋常に相手をする必要はありませんねぇ)
正義の名の下に秩序を乱す反社会的勢力の生き残り。駆逐されんとする恨みを世界全てにぶつけようとする者。最早、情状酌量の余地も慈悲を与える必要も無し。真っ向よりの勝負さえ、このような存在に対しては慈悲となろう。
故に。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、窺いえぬ祝福の帷帳を此処に」
そう、奉ずる女神へ祈りを捧げた直後。るこるの身には変化が生ずる。即ち。
『……ッ!? 猟兵……何処へ消えた……!?』
突如として姿の見えなくなったるこる。驚いた様子で辺りを見回すラスティアだが、彼女は気付かない――否、気付けない。|女神の奇跡《ユーベルコード》で認識不能状態となった、るこるの存在に。
その間にるこるは背にオーラの翼を広げ、一気に上昇。頭上の闇を突っ切り、地上へと出て更に上へ。
「粛々と、処理させて頂きますぅ」
身を翻すや、その周囲には無数のミサイルが展開される。其は以前サイバーザナドゥでの戦において、セプテントリオンから回収した中性子ミサイル。更には原子や放射線への干渉機能を有する祭器にて生み出した核ミサイル。
これらへと一斉に点火するや、ミサイル群は闇に覆われた大穴の中へと一直線に急降下。其を皆まで見届けることなく、るこるは逆に急上昇。やがて空の向こう、光の煌めくのが見えれば、転移祭器を以て遠く離れた場所へとワープ。そして降り落ちた光――|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の光もまた、大穴へと降り落ちていき――
次の瞬間、カラドブルクの中心部は、核の炎と裁きの光に包まれたのである。
その様子は、るこるの転移先――カラドブルク外周域からでもはっきり肉眼で視認できるもの。穴をまた一回り大きく広げ、更には周辺区域の建物を灰塵と帰するもの。
「これが、相応しい末路で――」
これだけ撃ち込めば、如何にオブリビオンマシンと言えど只では済むまい。穴の中に居る他の猟兵や聖騎士団の者達は祭器で保護してある。放射線等含め影響は皆無だろう。滅びたのは只、罪人の娘ただ一人――
「――っ!?」
だが、探査祭器から伝わる情報が其を否定する。オブリビオンマシン健在。そして勿論、|その搭乗者《ラスティア》もまた健在。相応の損傷は刻めてあれど、破壊規模に比すれば理不尽とすら言えるレベルの損傷の軽さだ。あのオブリビオンマシン、其処までの耐久性能だというのか。
「……後は、残る方々にお任せするしかないでしょうかぁ」
流石に他の猟兵達も動きだしているだろう。その状況で先程のような攻撃は、味方を巻き込まないようにするのは困難。であれば、一旦は後詰めに回るのが得策か。
問題は、あの娘の救出を試みる猟兵もいるだろうことだが――其処は、状況の流れに委ねるしか無いだろう。
成功
🔵🔵🔴
ファルコ・アロー
ボクもあのクソ衛星は大っ嫌いなんですけど、てめーにゃ負けるですね。
なんにせよ、てめーがどんなに速かろーとこのボクをそう簡単にやれると思うなですよ!
と言ったは良いものの、どう相手するかですが……こうなりゃここは博打ですね!
頭上の闇の中に飛び込んで、闇から抜け出した瞬間に気配感知!
敵の気配に向かって真っ直ぐ突撃です!
何も探査出来ない闇の中でも空中戦はボクの専門です、どっちが下かくれーは重力で分かるでしょう。
闇の中から急に出て行ってびっくりさせてやるですよ!
ボクが敵を捉えるのと敵がボクを捉えるのとどっちが先か勝負です!
まぁ向こうには自分が出した闇の中が分かるなら終わりですけど……試してやるですよ!
爆風、そして閃光。先に攻撃をかけた猟兵によって、大穴の中にはまさに暴威と言うべき破壊が巻き起こっていた。幸い、他の猟兵達や聖騎士団に対しては防護措置を施していたため、その只中に在った者達も無傷ではあったが。
「全く、滅茶苦茶やってくれますね……!」
その破壊規模の凄まじさには変わり無い。展開されたバリア越しに其を見遣り、ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は驚きとも呆れともつかぬ声を漏らす。やがて降り落ちてきた光――|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の光が穴の底を薙ぎ払い、オブリビオンマシンを呑み込んで――
『――忌々しい|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》! けど、そんなもので『Eclipse』は落ちない……!』
響くラスティアの憎々しげな声。その乗機たる『Eclipse』もまた、咆哮めいた唸りを上げる。その機体を中心に、|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の光が集束し、消えてゆく。まるで、かの破壊衛星の光を吸収して更なる力と成しているかのように。
「ボクもあのクソ衛星は大っ嫌いですけど、これは無茶苦茶でしょうよ……!」
まさかあの光を吸収してしまえるオブリビオンマシンとは。悪態を込めてファルコは唸る。己のこの世界における存在意義を毀損する|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》はファルコにとっても忌むべきものだが、同じく嫌悪しつつもその光を力と成し得るとは。理不尽と言うべきか、これもひとつの意趣返しと言うべきか。
「無事で済まなくても文句言うんじゃあねーですよ!」
光と爆風の影響が消えると共にバリアが消える。それと同時にファルコがプラズマ炎を背より噴いて飛び出す。これ程の敵、如何に救助の為と言えど手加減する余裕など無い。覚悟を込めて拳を構え、眼前の終焉機へと殴りかかる。
『死ぬのはお前だ、猟兵!』
対する『Eclipse』、ラスティアの叫ぶと共に携えたる剣へと闇を凝集させる。周囲の大気を凝結させんばかりの、極低温の冷気と共に。
『その存在ごと、消し飛べ!』
「………っ!」
続くラスティアの声と同時、エヴォルグの剣構える右腕が動く。否、動いた|ように見えた《・・・・・・》。見目にはただそれだけの、だがファルコは感覚で把握する。それは明確な攻撃。視認すること叶わぬ程に速い――光速にすら達する程の斬撃。
(この斬撃……身体じゃなくて、もっとやべーもん斬ってきやがりますね……!)
咄嗟の判断で身を翻したものの、身体には確かに斬撃を受けた感覚を覚える。掠めただけの斬撃は、然し肉体には一切の傷をつけていない。だが、肉体には凍り付くような感覚と共に、言いようの無い喪失感を感じる。まるでその斬撃が、己の何か本質的な部分を斬ったかのような。
「闇だの光速だのと、よくも強そうな言葉ばっかり集めたもんですね……!」
余裕の体を示す為に啖呵を切る。グリモア猟兵から聞いていたこの敵の情報は、言葉通り強そうな単語の塊と言える程のものだったが。実際に相対して理解した。強そうなのではない、実際に強いのだと。
『これが『Eclipse』の力! 猟兵だろうと何だろうと、これの前に勝ち目なんて無い! 絶望しろ! そして死ね!』
応えるラスティアの言葉も、ただその力に酔っているだけとは言えない。大言するに相応の力を、眼前のオブリビオンマシンは有している。真っ向勝負で勝てる相手とは、ファルコには思えなかった。ならばどうするか。
「てめーがどんなに速かろーと! このボクをそう簡単にやれると思うなですよ!」
死ぬわけには無論いかない。ラスティアへ言い返しながらファルコは跳躍――飛翔。背中の|噴進機構《パルスプラズマ・スラスター》より炎を噴いて高度を上げて――そのまま、頭上の闇めいた靄の中へと飛び込んでゆく。
『ちっ、不意打ちでもしようというの……!?』
その行動の意図は、ラスティアが判じた通り。頭上の闇を睨みながら機体を前後左右へ動かし、何処からファルコが現れようと即座に対応せんとする構えを取る。
(どうやらあっちにも、この中は見えねーようですね)
靄の中を不規則に飛び回りながら、ファルコは思案する。この闇もあのオブリビオンマシンに由来するものである以上、彼方には闇の中を知覚する手段がある可能性は想定していたが、どうやらそういう訳ではないらしい。先ず最初の賭けには勝った。
(後は、どっちが先に反応できるかの勝負ですね)
そしてファルコにも地上の『Eclipse』が何処に在るかは認識できない。つまりお互いに相手の姿が見えぬ状態。この闇からファルコが飛び出した直後、どちらが先に相手を捉え、攻撃を加えるか――敵の攻撃速度が圧倒的に上回っている以上、己が先手を取れる可能性はこれだけだ。そう判じたが故の賭け。
無論、敵の前に飛び出してしまえば終わりだ。何処が敵の死角か――後は出た処勝負。此処に飛び込んだ後、敵が己の狙いに気付いて位置を変えているのなら――
(――此処です!!)
飛び込んだ位置とほぼ同一の座標。其方を目指しファルコは急降下――そして闇を飛び出す!
(あいつの居場所は――あっちですね!)
直後、全身の感覚器官、己の直感を総動員し敵を探す。コンマ数秒後、その目が白き終焉機の姿を捉えた時――彼方は、此方へ振り向こうとしている処だった。
『お前……ッ!!』
「気付くのがおせーですよ!!」
其処でラスティアもファルコに気付く。だが攻撃姿勢を取れていない。攻撃速度が光速であれど、敵への反応が遅れればそれだけ攻撃は遅れる。その隙こそが、ファルコの勝機。
「フィールド展開、出力全開――喰らいやがるがいいです!」
プラズマスラスターが限界を超えた炎を噴いて咆哮する。ファルコの身を幾重にも展開されたバリアが覆い、そのまま一直線に『Eclipse』目掛けて吶喊!
『うあああっ!!?』
まさしく弾丸と化したファルコの身が、そのまま白き終焉機の胴部へと直撃。その機体を大穴の壁へと叩き付け、バリアとの間で激しく削り穿ち、小さくないダメージを齎したのである。
大成功
🔵🔵🔵
玄羽・レン
◆SPD/アドリブ歓迎&絡み希望/今も騎乗中
唆された貴女達は憐れむ存在ですが『力』の悪用は防ぎます
かつて灼滅者は全てを救い切れぬ苦い戦も切り抜けたのです
(一応救助自体は最後まで諦めない)
【天啓の万華】を行使すべく〈錬金術〉で
〔ガラテ〕用〔SND〕を弩から巨砲に再錬成
籠めたるは【殲術の儀弾】たる弾丸
『お見せしましょう。これぞ本場の…|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》ッ!!』
〔ガラテ〕の出力と『彼』の御業で増幅したPEでも
弱体阻害を捻じ伏せるのは容易ではないでしょう
故に本来発動する防御/移動の阻害へ固執せず
その分の出力で〈応用力〉にて重力波威力向上
そも私の狙いは『無双の将/無敵の軍』の実演
聖騎士の方々も含め殲術再生弾の何たるかを…!
・自陣UC増幅強化/対破局特効/最有効(蝕相手故に星?)属性の付与
・自陣UC成功率向上/他の行動成功率も強化/耐致死治癒術式で修復
・敵騎魔法は〈魔術知識〉を活かし反属性で逐次迎撃
騎士団長、貴方達にも宿した神秘の力
万一御せなければ…世界をも呪った彼女が実例です
カシム・ディーン
共闘希望
UC発動中
「ご主人サマ…雲の旅団の人達は…誰も…もう…あの機体にも…魂さえ…」
……そうか…
畜生…(フラッシュバックする前の戦い…届かず殲禍炎剣に焼かれたコンテナ
畜生…!
機神搭乗
…お前の憎しみも怒りも正しいよ
ケルヴィンを殺したのは僕達だ
…お前の仲間達を助ける事も出来なかった(悔恨…あと少し手を伸ばせば…
聖騎士団に
…満足か?
邪魔な雲の旅団は皆死んだ
空のクソ鉄屑のクソビームに仲間を焼かれ憎しみのまま消えた
僕らは此奴を倒すしかない
喜べよ
だがあの妹は救出する
どうあろうと
誰にも邪魔はさせない
【情報収集・視力・戦闘知識】
機体構造と周囲の状況把握
【属性攻撃・迷彩】
闇水属性を機体に付与
闇に紛れ隠れ水の障壁で熱源隠蔽
【念動力・弾幕・空中戦】
念動光弾を闇の中から乱射して猛攻
飛び回り様子を見ながら敵の反撃を待ち
反撃の瞬間
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
速足で駆ける者
わたぬき同時発動
超絶速度での突撃!
鎌剣での連続斬撃から
機体内のラスティア強奪!(念動力で保護!
離脱!
憎んでいい!恨んでも!
だが生きろ!
クロガネ・コウサク
(典型的なオブリビオンマシンに操られし者、といった所か。
だが、猟兵、そしてその世界には、我が孫娘も含まれるのだ。
消えてもらおう。)
『光塵三眼』ディスポーザブル02超光速戦闘移行。
透明化【迷彩】と不壊特性を利用し【アンブッシュ】また
敵機攻撃を躱し灼熱光剣にて【早業ニンジャ斬り】
戦闘行為を解かれる前に攻撃。
「世界を蝕むもの、兄、仲間を死に追いやった者が、
お主の操る機体と同様のモノとも知らず、良いように利用される様など」
注意すべきは日蝕耀刀。超光速にて光速剣術に対処すれど、
流石は殲術再生弾か、攻め切れぬ。
が、行動と意識を邪魔さえできれば良い。
「哀れ、と言う他あるまいて」
内心は無情なれど、言葉には哀れみ込め【不意打ち】
此処にはわし以外にも猟兵と、ついでに聖騎士もおるしな。
品行方正を装う身としては救うというのならばそちらの肩を持つが、最終的な少女の処遇は他猟兵達の総意に添う。
殺すならば殺害を狙うが、趨勢が決した段階、または騎士団が殲術再生弾関連情報確保に動くようなら牽制や先にそれの抹消に動こう。
『くっ! うぅ……! まだ、まだだ……ッ!』
先行した猟兵によって与えられた攻撃に、さしもの『Eclipse』も少なくない損傷をその身へ刻まれる。なれど搭乗者たるラスティアの戦意は衰えず、其に答えるが如く終焉機もまた双腕の剣と杖とを構える。その駆動には、未だ何らの障り無しと見える。
『聖騎士団……猟兵……! 全部……全部、殺す……ッ!』
居並ぶ猟兵達と、アルマ以下聖騎士団のキャバリア群とを、機体の眼――アイカメラと言うには生物的に過ぎる――が睨み据え。乗り込む少女の憎悪のまた深きを、声音と共に浴びせんばかり。
『……そうだな。お前のその憎しみも、怒りも。全て、正しいものだ』
其を、乗り込む機神『メルクリウス』――先程まで共に行動していたメルシーの本来の姿――のコクピットにて真っ向より受けながら。カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、深く沈んだ声音で応える。苦悩の色を色濃く宿す声音。結局、先のエヴォルグの搭乗者達は誰一人として救える状態では無かった。あれに乗り込んだ雲の旅団の者達は全員、魂すら残さずこの世界より消えてしまったのだ。そして、それだけではない。
『……お前の兄貴……ケルヴィンを殺したのは僕達だ。お前の仲間達を助けることも、できなかった』
『………!』
脳裏を過ぎるは、救おうとして救えなかった者達の最期。地の底から骸の海へ引きずり込まれたコクピットブロック、眼前で|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の光に呑まれ消し飛ばされたコンテナ。もう少しでも手が伸びれば、救い得たかもしれない――
『お前が……お前がァァァッ!!』
眼前に現れた直接の仇。溢れる怒りを叩き付けんばかりラスティアが吼え、『Eclipse』が剣を振りかぶり斬りかからんとするが。その直前で真横へと跳躍。一瞬後、空間を赤い光が薙ぎ払った。
(怒りを爆発させたこの一瞬なら、と思ったが。随分と勘の鋭いことだ)
其は透明化した猟兵側のオブリビオンマシン『ディスポーザブル02』の繰り出した|灼熱光剣《メクサラ》。搭乗者たるクロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)は、己の|不意打ち《アンブッシュ》を躱してみせたオブリビオンマシンとその搭乗者の反応に舌を巻く。その狂的な言動、典型的なオブリビオンマシンに操られし者としか見えぬ態ではあったが。
(何にせよ、我が孫娘の為にも、此奴には消えて貰わねばならぬが――)
己が唯一情を向ける相手である孫娘。其と彼女が生きる世界を破壊せんとするオブリビオンマシンは、確実に破壊する。その意志に紛いは無し。なれど考慮すべき事項が一点。アイカメラ越しの視線を、メルクリウスと、並び立つもう一機のキャバリア――の如き様相のゴーレムへと向ける。
(一先ず、彼奴らの出方次第か)
即ちラスティアの扱い。処断となれば己が刃にて命断つに躊躇は無いが、救助となれば其を手伝うも吝かではない。どちらであれ総意には従う。孫娘以外の者には無情の男なれど、品行方正を装い他者の判断に合わせる程度の社会性は持ち合わせている。
ともあれ。
『唆された貴女達は憐れむ存在ですが、その『力』の悪用は防がせてもらいます』
キャバリアゴーレム『ガラテ』の搭乗者たる玄羽・レン(『元』対歯車のコッペリア・f44108)の語る声音は硬い。武蔵坂学園の一員として数多の戦いに身を投じてきた人造灼滅者の娘は知る。かの世界を全ての苦しみから解放するに至った学園もまた、全てを救いきることはできなかったのだと。『病院』の同僚達。闇に呑まれ屈したかつての仲間。命奪われるを止められなかった一般人の数も、軽く六桁を超えている。故に喪失の痛みは理解する――なれど、世界の破壊は止めねばならぬ。其を為す為に使われる『力』が馴染みあるものとなれば、尚更にそうせねばならぬ。
『その力は私も知っています。それは、世界を憎み滅ぼす為の力ではない』
得物たる二連装ライフル――先程までは弩の形をしていた其を、今度は大砲じみた形へと錬成し直し、構える。だが狙いは前方のオブリビオンマシンではない。その銃口は、真っ直ぐに上を向いていた。
(これが私の敬意です――|万能の天才《レオナルド》)
心中で語りかけるは、無辜の人間でありながらその頭脳を以て一大ダークネス組織の大首領となった男へ向けて。先の大戦で彼が繰り出した巨大戦車を翻案したのが、その手の錬金砲であり其を以て行使する|天啓の万華《ユーベルコード》。彼の御業には及ばぬまでも、十全なる出力を得たと自負する代物。
『お見せしましょう、これぞ本場の――』
そして錬金砲へ装填されるは、ユーベルコードにて模造構築した殲術の儀弾。本物ではなくも、帯びる性質は本物と変わらぬ。即ち、その名は。
『――|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》ッ!!』
高らかに叫ぶと共に引鉄を引く。けたたましい射出音と共に撃ち上がるは蒼き光。其は頭上の闇めいた靄をも突き抜けて上空高く飛び上がり、そして地面目掛けて反転降下。再び闇を突き抜け、地面へと着弾し――溢れる蒼い光、元よりこの一帯にあったものとよく似た、だが性質の異なる光が、その場に在る猟兵達の身へ、そして聖騎士団の者達の身へと広がってゆく。
『何だこれ……力が、みなぎってくる気がする……』
『機体の出力も上がってるぞ!?』
聖騎士団の兵達が一様に驚きの反応を見せる。己らにも齎されたその恩恵が信じられぬ、とばかりに。
『この力……|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》……と?』
アルマもまた困惑しつつも、レンが叫んだその名をまた口にする。己らの探索の目的。敵と同質の力を、このような形で受けるとは。
『――此れは闇を祓い、光を、人類の未来を切り開く為の力』
そんなアルマへ、レンは語る。少なくとも武蔵坂学園は、その為にこそこの力を使ってきたのだと。
『もし、貴方達がこの力を得たとして、御しきれぬならば――』
語ると共に、ガラテの頭部を対峙する終焉機へ向ける。絶望の果てに世界をも呪った、その搭乗者。其がひとつの末路である、とばかりに。
(――ふむ)
乗機と、更に己自身の力も高まるを感じながら、コウサクはアルマ機へ意識を向ける。先に己が零した疑念の種。求めた力の異なる形。種は、彼女の中で如何に育っていくやら――
『それが!! 何だっていうの!!』
なれどその思案を断ち切るはラスティアの叫び。己とは似て非なる力の発現をも意に介さず――何であれ破壊あるのみ、とばかりに。
『私は! お前達を殺す! それだけだ!!』
喚きながら左腕の杖を掲げる。眼前の空間に蒼き光を吸い込まれ、空間に漆黒の穴が――ワームホールが形成され。そこから一機のキャバリアが姿を現す。其はラスティアが乗り込むものと同じ『Eclipse』。其にもまた、|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の残滓からなる光が纏われる。即ち、ただでさえ強大なオブリビオンマシンが二機に増えたという状況。
『それでも! 僕は!!』
なれど其にも怯まじとばかりカシムも吼える。彼にも|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の恩恵が齎されたが故ではない。彼女の憎悪、憤怒、其は全く以て正しきものと認め、その上で――
『お前を! 救い出す!!』
『………!!』
雲の旅団の仲間達は皆死んだ。あるのはその憎悪だけ。それでも、例え自己満足に過ぎずとも。ただひとり残った彼女だけでも救ってみせる。その信念の叫びが、彼女を数瞬揺るがせた。
『……どの口が言うかッ!! お兄ちゃんを殺したくせに!!』
なれどラスティアも叫ぶ。つい先程カシム自身が告げた事実を。其と共に掲げられた杖が、漆黒の稲妻を迸らせメルクリウスへ浴びせかけてゆく。
『それでもだ!!』
カシムの声に反応するが如くメルクリウスが飛翔、稲妻を躱しそのまま闇へと飛び込む。以て敵の知覚を切り、追撃を躱す。
『その怨念が、世界を殺すというなら!』
其処へ迸るは無数の火線。レンの意志を以てガラテが繰り出した魔力弾。先の錬金砲を本来のライフルの形に戻して撃ったものだ。そして、それだけではない。
『民にも禍を齎すものであれば、此処で討ち倒さねばなりません……!』
そんなアルマの意志のもと、聖騎士団のキャバリア達もライフルを構え其々に銃撃を繰り出している。無論、アルマもその機体より魔力弾を次々と放って攻撃している処だ。
『ああああっ!! 煩い! 死ねッ!!』
それらを浴びながらもラスティアは喚き叫ぶ。その意志に応え、二機の『Eclipse』が杖を振るえば、漆黒の炎が空間より溢れ出し、ガラテや聖騎士団のキャバリア目掛け浴びせかからんと迫り来る。
『やらせません!』
なれどそうした魔術攻撃への対策もレンは講じてある。ガラテより放たれた波動は水の魔力を帯び、炎とぶつかり合って其を押し流し。更には対峙せし終焉機へと浴びせかかってゆく。
『……っ! この程度で!』
其はユーベルコードによって繰り出される重力波。強大なるオブリビオンマシンをも軋ませる超重力を発揮するが、『Eclipse』の挙動には然程の障りは無い。
(やはり、行動阻害は期待できそうにありませんね)
その様子を見てレンは得心を覚える。敵は|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の恩恵で弱体効果全般に高い耐性を持っているという情報があった為だ。故にこの攻撃はあくまで確認。次からは破壊力に重点を置いて繰り出すのみ。
『これ以上、誰も死なせるもんか……!』
更に闇の中からメルクリウスが現れ、カシムの叫ぶに合わせ念動光弾を乱射する。闇の中からでは狙いが定まらぬ故だが、姿を晒した分その弾幕は濃密。
『知るか! 私は殺す……全部、全部!!』
頭上と前方からの弾幕を凌ぎつつ突撃を狙うラスティア。だが其処に迫るは冥色のキャバリア。三眼六臂のオブリビオンマシン、コウサク操るディスポーザブル02。
『――その機体。お主の兄や仲間を死に追い遣ったものと同様のモノと知っておるか』
『!?』
囁かれる言葉に、終焉機の動きが数瞬止まる。些少なりとも動揺を誘ったか。
『そうと知らず、良いように利用される様など――』
六腕の先端に灼光が灯る。|灼熱光剣《メクサラ》の刃が其々に光を棚引かせ奔り『Eclipse』を斬り刻む。
『――哀れ、と言う他あるまいて』
内心は無情なれど、言葉には哀れみが籠る。この場に在る猟兵の多くが、似たような感情を以てこの乗り手に対していると判ずるが故に。
『何をゴチャゴチャと……ッ!』
そんなコウサクを振り切らんとばかりに、ラスティアは機体右腕の剣を振るう。そう判じた時には、既に斬閃が一瞬前までディスポーザブル02のあった位置を薙いでいた。その斬速、光をも超える。
(流石に攻め切れぬな)
コンマ一秒未満の差で斬撃を躱したコウサクは内心にて思案する。ディスポーザブル02もまた|光塵三眼《ユーベルコード》の力で光速を超える機動力と不壊の特性を得ているが、かの終焉機の剣には防御特性無効化の力もある。故にこの状態であっても思い切った攻めはできない。実際、先の斬撃も回避を考慮した故に踏み込みが浅く、刻んだ傷も深いとは言えぬ。
(だが、此方を意識させれば十全よ)
それでも良いとコウサクは判ずる。何も、己の手での決着に拘る必要は無い。此処にはレンとカシム、ついでに聖騎士団もいるのだ。己の存在を意識させ、行動に制約をかけられればそれで良い。強大な敵なれど、連携して当たれば対抗は充分に可能。
『|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の何たるか、此処に示しましょう……!』
そしてそれは期せずして、レンの狙いとも相同する。彼女の知る其は、個を強大化させる為のものではない。皆を強化し、其を以て強大な敵へ立ち向かう為のもの。|武蔵坂学園《おのれら》はそのようにして、数多の恐るべき大敵を|灼滅《たお》してきたのだと。
『それが何だ! 私は……私は……ッ!!』
なれどラスティアは叫ぶ。そんなことは己に関係無いとばかりに。その声音には何処か悲痛さもあれど――その意に思い巡らす暇は無し。彼女の意に応えてか、もう一機の『Eclipse』が聖騎士団目掛け突撃してきたのだ。
『なっ!? こいつ……!』
『くそっ、止まらな――』
其へ火線を集中させる兵達だが終焉機は止まらず。その刃を以て、白きキャバリア群を纏めて薙ぎ払い、斬り倒した――確かに、そう見えた。
だが。
『――え?』
『俺……生きてる……?』
凶刃の振り抜かれるに、死を覚悟した兵達は呆然とする。己らが死んでいないという事実に。その身や乗機には確かに斬撃による傷があるのに、痛みも無ければ機体の機能にも異常が無いという状況に。
其はレンの模造|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》が有するもうひとつの効果。致命傷を受けても一度だけ無効化が叶うというもの。生還の可能性を紛いなく高める為の力が、彼らを救ったのだ。
『無人機ならば、容赦は要らんな』
大きく剣を振り抜いた『Eclipse』、その隙を逃すことなくコウサクが超光速で肉薄する。六腕より伸びる灼光の剣を振るい、幾つもの斬閃を空間へ奔らせる。此度は踏み込みも充分、以て無人の終焉機の全身を深く斬り裂いた。
崩れる『Eclipse』に、聖騎士団のキャバリアが剣を振るい追撃をかける。模造|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》にて強化された刃はオブリビオンマシンにも確と通り、終焉機を解体、完全破壊へと至らしめた。
そして、ラスティア操る大元の『Eclipse』には、カシム操るメルクリウスが肉薄を果たしていた。音速を遥かに超えた速度での機動と、鎌剣による猛攻で以て、終焉機を斬り刻む。
『これで終わらせる……だが、お前は終わらせない……!』
斬撃を繰り返しながら、カシムは眼前のオブリビオンマシンの隙を探る。彼女を救い出す好機を。
『しつこいのよ鬱陶しい!』
煩わしげに喚くラスティア、右腕の剣を振り上げれば、超音速にすら追従する剣がメルクリウスの左腕を切断。その手の鎌剣ごと吹き飛ばし、以て斬撃を封じた――が。
『そこだ……!』
だが、其処こそ最大の好機。メルクリウスの残る右腕が、『Eclipse』の胸部へと突き出される。其は胸部装甲を透過して終焉機の機内へと浸透。直後、其が引き抜かれれば――その手は、くすんだ金の髪の少女を掴んでいた。彼女こそがラスティア、『Eclipse』の搭乗者だ。
「……っ!? こ、これって……!?」
メルクリウスの手の中、ラスティアは困惑の声を上げる。突如機体から引きずり出されれば無理からぬ事だが、すぐに状況は把握したようで。
「離して! 離してよ! お兄ちゃんを、みんなを殺した奴のくせにっ!」
身を捩らせ喚きながらメルクリウスの手を抜け出さんとする。その声音からは、先程までの狂気は随分と薄れているようだが。それでもカシムへの、或いは猟兵への憎悪は変わっていない様子である。
『離すもんか! 憎んでいい! 恨んでもいい! だが――』
それでも離さぬと右手を確かめながら、カシムは搭乗者を失った『Eclipse』から距離を取る。ぶつけられる憎悪の声を真っ向より受けながら、それでも、とカシムは告げる。
『――だが、生きろ! 僕はもう、誰にも死んで欲しくないんだ……!』
「………!」
絞り出すかのような力を帯びた声。其を受けたラスティアは押し黙り、抵抗の動きも止めた。幾らかでも、彼の言葉が届いた――そのようにも見える反応。
一方で。
『パイロットが居なくても動きはするんですね……』
ライフルを続けざま発砲しながら見据えるレンの語る通り。|搭乗者《ラスティア》を失った『Eclipse』は然し、尚も機動しては杖を掲げて衝撃波を乱射する。エヴォルグシリーズには侭あることだが、搭乗者が無くとも自律行動が可能であるらしい。然し。
『だが、操り手が無くば所詮は木偶よ』
幾分か余裕のある様子でコウサクが応える。事実、今の『Eclipse』の動きは先程ラスティアが乗っていた時に比べて明らかに単調。|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の残滓による強化は残っているようだが、此処までを耐えてきた一行にとっては明確に脅威の度が減じた形だ。
『ともあれ、オブリビオンマシンですから。きっちりと仕留めきりましょう』
レンが乗機たるガラテより重力波を放射。破壊力に特化された高重力が、乗り手無き戦機の全身を軋ませ砕き。
『これで、終いだ』
コウサク操るディスポーザブル02の灼熱刃が頸部や動力部などを纏めて切断し。以て破滅の終焉機たるオブリビオンマシンは完全に破壊され、消滅していったのである。
●
「……満足か?」
戦闘は終了した。頭上の闇も晴れ、陽光が大穴の底にも注がれる中、キャバリアを降りて向き合った一同、最初に口を開いたカシムの声は聖騎士団へ向けて。その背後では、ラスティアもまた彼らを思いっきり睨みつけている。
「邪魔な雲の旅団の連中は皆死んだ。空のクソ鉄屑のクソビームに仲間を焼かれ、憎しみのまま消えた」
先のベルゲンにおいて、そしてこの廃墟において。彼らは何も為せず死んでいった、一部は他ならぬ猟兵の手で。故にこそラスティアの憎しみは妥当なものとカシムは判ずる。
「そして恨みを晴らそうとしたオブリビオンマシンも、僕らは破壊した。そうするしか無かった」
淡々と言葉を続けるカシム。オブリビオンマシンは破壊せねばならぬ。其処に如何なる事情があれど、其を譲ることはできぬ故。
「――喜べよ。お前らの邪魔者は消えたんだろ」
「そうですね。神の光を遮らんとした雲は祓われた。其が喜ばしいことであるのは我らにとって紛れもない事実」
皮肉げに話を向けるカシムへ、アルマは微笑みさえ浮かべながら其を肯定する。そんな彼女の物言いに血相を変えたラスティアが食ってかかろうとしたのと、其をカシムが腕で制したのと、聖騎士団の兵達が身構えたのはほぼ同時だった。
「――本来ならば、其方の少女もまた、浄化の場へ招きたくは思いますが。其が許される状況ではないのでしょう」
ラスティアを一瞥の痕、アルマは再びカシムへ視線を戻す。浄化の場とは即ち|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》による処刑。まさにかつて、カシムの目の前で雲の旅団の者達がそうされたように。
「当然だ。この娘に手出しは許さない」
その怒りを抑えながらもカシムは言い切る。彼女は己が身に代えても守ってみせる、とばかり。
「|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》。その力の程は、皆さんご理解頂けたかと思います」
続いて語りだすはレン。『Eclipse』が用いた残滓の力、己がユーベルコードを介し用いた模造再現の力。敵にせよ己にせよ完全なものではないながら、その力は敵味方双方の面から聖騎士団の者達も知る処となった。
「そして、御しきるを誤った際の恐ろしさも」
「――ええ。その結果が、この地の有様というのも含めて」
レンの改めての警告を、アルマもまた理解する。話を総合するに、この大穴の原因は恐らく|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の暴走。其がカラドブルクの城を吹き飛ばし、ゼニウス機帝国を崩壊へ導いたのだろう、と。
「ただ――いずれにせよ、此度の我々が|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》を得ることは無いのでしょう。これ程の破壊の中から手掛かりを得られるとは、少々考えにくく」
即ちこの地からは手を引く、という宣言。その合間、アルマの視線は幾度かコウサクを見る。己らの動きを牽制するかのような彼の佇まいを、警戒している様子。
(やり合ってまで再生弾に固執はせんか)
そんな彼女達の動きをコウサクもまた認め、内心で納得げに頷く。彼は聖騎士団が|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の確保する展開を避けるべく、無言のうちにて牽制に努めていた。それも、アルマの決断に影響を及ぼしただろうか。
などという事がありつつも、オブリビオンマシンは破壊され。|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の残滓もまた、消去することに成功した。以て任務は無事に成功であった、と言えるだろう。
|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》の謎は、未だに解ける気配が無いものの。其もいずれ、明かされる時が来るのだろうか。
●
数日後。神聖ヴィスタリア皇国、聖都イリアラウス大聖殿。
『アルマ・アルマリア卿。カラドブルク探索任務、ご苦労様でありました』
大広間へと歩み入ったアルマは、大聖皇の労う声を聞きながらも困惑を示す。その場に在るのが、大聖皇と聖典主イクワードだけではなかった為だ。即ち。
「お疲れ様です、アルマ卿。かの聖地の探索……誉と言うべきでしょうか」
聖騎士団第五軍団長フリード・クレスト。
「裁かれし都、その内実。小生らも聖典主殿より聞き及んだ。その真なる原因も」
第四軍団長ウィーカス・ノウン。
「|殲術再生弾《キリング・リヴァイヴァー》……聖戦を加速する為の兵器か」
第三軍団長ジャスティン・ウォードリック。
「我らにさえ存在を伏せていた程の代物だ。相当の兵器なのだろう」
そして第一軍団長にして聖騎士団団長、フレッド・バーン。
即ち、聖騎士団幹部――皇国の軍事を司る者達が、今この場にて一同に会していたのだ。このような事は、年二度の神聖円卓会議の時にしか有り得ないが。その会議は、つい先月行ったばかりでなかったか――
「お心遣いに感謝を――然し、皆さんまで集まっているのは、一体?」
大聖皇からの労いに謝意を示しつつも、アルマは困惑を言葉にする。出立の際は己一人であったのに。
「無論、そうするべき事由が生じたからだ。――陛下」
イクワードが応え、そして大聖皇へと其を語るを促す。大聖皇は頷くや、語りだした。
『時は来ました。間もなく『炎の審判』が訪れます』
「「「「「!!!」」」」」
その言葉に、軍団長達が目を見開く。其は、己らの『聖戦』が最終段階に進んだことを意味する宣告なれば。
『各軍団長は全軍を拠点たる都市へ集結、間もなく始まる変革へ備えてください。詳細な作戦指令はイクワードから追って伝達しますが、必要とあらばこれまで通り独自裁量での行動を許可します』
即ち侵攻の時は終わり。後は、其によって得たものをどれだけ守れるか――大聖皇の言葉からはそのような意が伝わる。少なくとも、軍団長達はそう感じていた。
『これより始まる戦いは、この世界を大きく変えるものになるでしょう。なれど其を乗り越えた先にこそ、永遠の楽土へ至る道があるのです』
ならば、其を目指して戦うのみ。そう語る大聖皇の言葉に、軍団長達は跪き従う意を示す。
『我らには、神の光の加護があります。其が必ずや、道を示すことでしょう――』
祈るように両手を合わせる大聖皇。其は、己が望む世界へと至る為の――
大成功
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