第二次サイキックハーツ大戦⑪〜犯人はお前
シャシャシャ……!
いずれにせよ、ワレワレは皆、今は蒼のオブリビオンなのです。
ワタシもアナタも、『あのおじさん』が死なない限り死にません。
……つまり安泰というワケです! 殺しのゲームを楽しみましょう。シャシャシャ……!
●???
「君達猟兵って他の世界から来た人もいるんだっけ。名古屋って都市知ってる? 昔あそこに一般人を閉じこめて、私利私欲のために大量虐殺しちゃった悪いやつがいたんだよね」
それがトリプルクエスチョンという六六六人衆なのだと、かつて自身もその六六六人衆の一員だった天童・司狼(仔羊たちのインソムニア・f44414)は語った。
ハンドレッド・コルドロンと呼ばれるあの事件。
「簡単に言うと、味方をめっちゃ強くするために、人を殺しまくって生贄にするぞー! みたいなやつ」
当時の武蔵坂学園生からも大いに怒りを買った儀式だ。
あれを学園内でまたやろうと彼らは企んでいる。
「2016年の事件だから、僕はもういなかったし、少なくともその件には全然関係ないからね?」
なんか後始末も大変だったらしいし、僕が謝っても意味ないけどごめんねと、天童は鋭い指甲套に覆われた掌をくるくると返してみせる。
「一般人殺しにもっともらしい大義名分つけるやつ、なんか無駄に快楽感じちゃってるやつ、すぐ変なゲームやり始めるやつ。そういうの全部うざったいね。殺そう!」
僕はこういうオブリビオン殺してればスッキリするしねと天童は無邪気に笑い、これだから上位の奴らはさーと、ため息交じりに話し続ける。
どうやら、六六六人衆の中にも殺人の解釈違いというものがあるようだ。ゆえに、彼らの中にも猟兵となった者は少数ながら存在する。
ハンドレッド・コルドロンの再来など、ただでさえ狭い肩身が更に狭くなるだけ。何としてもご遠慮願いたいとのことである。
「トリプルクエスチョンの特殊能力なんだけど『めちゃくちゃいっぱいいる』って覚えてね。本物は一人だけで、ほか全部替え玉なんだけどね」
しかし、特筆すべきは替え玉もすべて本体と同等の戦闘能力、まったく同じ姿を持つということ。
本物を見分けるのが非常に困難な中、四方から一斉に迫るククリ刀を無防備に受ければ、猟兵とて命はないかもしれない。
「あの人、怪しいけど殺しに関してはプロ中のプロだからね。一瞬で見分けるのは正直難しいから、正攻法でいくなら防御も考えた方がいいかも」
ユーベルコードの内容次第では、もっとトリッキーな解決策も考えられるかもしれない。
そういうのも思いついたらやってみると意表を突けるんじゃないかな、と天童は言う。
「ふぅ疲れた。君達が昔よく言ってた守るとか、力を合わせてとか、やっぱり僕よくわかってないと思うけど、こんな感じで大丈夫だった?」
君達は反省してるなら誠意を見せろってよく言うし、僕は僕のやりたい事やるもんねと、不意に殺人鬼の顔から笑みが消える。
「じゃあ派手にやっちゃってよ、六六六人衆がどれだけ迷惑かは僕自身が一番知ってるからさ。僕も仲間の死にっぷりをじっくり見物させてもらうよ……気を抜けば明日は我が身ってね」
蜩ひかり
蜩です。
久々の戦闘依頼になりますがよろしくお願いします。
●トリプルクエスチョン
脱出不能の巨大密室「ハンドレッド・コルドロン」で都市を包み、多数のエスパーを殺戮することで強大なダークネスを六六六人衆として復活させようとする、全身が影に包まれた実態不明の六六六人衆です。
●戦場
トリプルクエスチョンで溢れかえった巨大密室です。
とにかく大勢います。
クエスチョンキルで聞かれる事はご自由に設定して構いませんが、トリプルクエスチョンが絶対言いそうにないことは却下します。
質問お任せも参加人数が多くなった場合はごめんなさいするかもしれません。
●採用について
オーバーロード不可、ソロのみです。
受付状況はタグに記載します(何も書いていない間は受け付けていません)。
先着順ではありません。
なるべく頑張りますが、第三戦線までに無理なく書ける程度を予定しております。人数によってはアドリブや字数を減らすかもしれません。
TW4のネタは私が思い出せる範囲での描写になります。
以上ご了承ください。
●当時の様子(一部。参考にしたい方はどうぞ)
【ハンドレッド・コルドロン】http://tw4.jp/html/world/event/059war/059war_160417main.html
【犯人のいない夜のはなし】http://tw4.jp/adventure/replay/?scenario_id=18726
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プレイングボーナス……無数の替え玉の中から本物のトリプルクエスチョンを特定する。
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第1章 ボス戦
『トリプルクエスチョン』
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POW : クエスチョンキル
質問と共に【ククリ刀による斬撃】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
SPD : 謎に満ちた死
【密室殺人鬼の殺意】を宿し戦場全体に「【六六六人衆のために死んでください】」と命じる。従う人数に応じ自身の戦闘力を上昇、逆らう者は【喉元へのククリ刀】で攻擊。
WIZ : ハンドレッド・コルドロン
【血の雨】を降らせる事で、戦場全体が【六六六人衆であふれる巨大密室】と同じ環境に変化する。[六六六人衆であふれる巨大密室]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:オリヤ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
有城・雄哉
【POW】
アドリブ連携大歓迎
突入と同時に指定UC発動
漆黒のオーラを纏った蒼髪蒼瞳の筋骨隆々なアンブレイカブルに変身
四方から迫るククリ刀を漆黒の「オーラ防御」と筋肉そのもので弾き飛ばし
動きを止めた個体から「グラップル」で殴り飛ばしたり首を縊り上げて地面に叩きつけたりしよう
力技だが、見分けがつかないなら一番の近道だろ
クエスチョンキル対策だが
おそらく俺への質問は「殺しは楽しいか?」だろう
アンブレイカブルの行動原理とは合わない質問だが
今の俺はストリートファイターだけでなく、殺人鬼もルーツの一部だから
その質問には「楽しい」と真実を持って答えてやろう
貴様らダークネスを殺すのは…憎悪だけが理由じゃないからな
●1
『シャシャシャ……! 猟兵、大戦、実に面白いですねぇ……。ワレワレがこうしてまた殺しの最前線に立てるとは、喜ばしい限りですよ。シャシャシャ……おや』
密室を埋め尽くし、同じ嗤い声をあげていた無数の影が、一斉に振り返る姿を有城・雄哉(蒼穹の守護者・f43828)は認めただろう。敵が即座に反応したのは、そこに濃い闇の気配を感じたからだ。
同じダークネスでありながら、六六六人衆とは近いようで異なる存在。アンブレイカブル――狂える武人へと姿を変えた雄哉が立っている。蒼く光る髪と瞳、筋肉量は普段の倍ほどはあるだろうか。筋骨隆々とした身体からは漆黒の炎めいた闘気が溢れ、トリプルクエスチョンらの振るったククリ刀を肉の鎧ひとつで弾き返した。
『いきなり灼滅者のお出ましですか……闇堕ちも久々に見ましたねぇ。シャシャシャ……!』
「そうか。もう二度と見られなくしてやる」
一層の愉悦を隠さず、襲い来るトリプルクエスチョンの集団。雄哉はそのうち一人の顔面を躊躇なく殴りつけた。眼鏡の破片が飛び散り、殺人鬼の無貌には貼りつけたような笑みだけが残される。こいつは外れかと考える間もなく、腕が勝手に次のトリプルクエスチョンの襟首を掴んでいた。
『おっと、随分暴力的ですねぇ……相手を殺す時はもっとじっくり時間を』
「黙れ」
周囲の敵も巻き込むように、身体ごと振り回しながら地面へ叩きつける。ここが頑強な密室でなければ、床がひび割れている程の轟音が響く。全身の骨が砕ける感覚と共に、相手は簡単に動きを止めた。偽物だ。本物ならばこの程度で即死する筈がない。
雄哉は単純に力任せの攻撃を繰り返しながら、トリプルクエスチョンの群れをかき分け進撃した。一秒ごとに正気が失われていく感覚。襲い来るククリ刀は雄哉の身体の表面に無数の傷を刻むが、致命傷には至らず、むしろ血を流せば流すほどに闘争本能が高まっていく気すらする。
強敵との殺し合いで得る喜びこそが至上。
それはアンブレイカブルらしい暴力衝動といえたが、秒を刻むごとに失われつつある本来の雄哉の意識は、己の裡に潜む闇のまた別の側面を感じ取ってもいた。
『シャシャシャ……! いいですねぇ。殺しは楽しいですよねぇ……!』
皮肉にも、相手とてそれは同様。数多の敵影のうち、いったい誰がその言葉を発したのかを、雄哉の執念めいた憎悪は聞き逃せなかった。
全身の筋力をばねにして跳躍し、その『問い』を発した相手へ襲いかかる。丁寧に締められたネクタイを掴み上げ、残虐な殺人鬼が望む、醜いほどに美しい『真実』を答えてやる。
「楽しい。貴様らダークネスを殺すのは……憎悪だけが理由じゃないからな」
『シャシャシャ……!』
影が嗤う。知った事か。掴んだ人影をまるで道具のように振り回し、床へしたたか打ちつけた。何度も、何度も。この程度で晴れるような怨みではない――それでも相手を殺した手応えが一向にない事が、これが本物であるという何よりの証拠だった。
――帰らないと。帰れなくなる前に。
己の帰還を待つ家族たちの姿が、雄哉を辛うじて『こちら側』へ繋ぎとめる。
耳障りな笑い声の残響に、蒼き武人は眉を寄せ、戦場を強く睨み返した。
成功
🔵🔵🔴
エミリィ・ジゼル
なるほど、とにかく沢山いる、と
ならこっちも増えますか
リスポンと増殖で
UCで殺されても蘇り、増殖し、その数を増え続けます
そうすると相手は物理的に手が足りなくなって、後は手数で圧倒できるっていうすんぽーです
理論上は無限大に増殖できますが、わたくしには良識があるので今回は38882人を上限とします
ちなみにこれは武蔵坂学園の全校生徒(PC)と同数です
すべて本体の我々と違い、向こうには偽物と本物が存在します
致死攻撃を避けるのが本物でしょう
あとは突っ込んでくる死にたがりも除外
比較的安全な場所で殺しをエンジョイしてる奴
おそらくそれです
それを【見切り】、数に物を言わせた【集団戦術】でチェーンソーの錆にします
●2
先陣を切った猟兵から痛打を受けたトリプルクエスチョンは、黒い殺気を放出すると、再度己の群れの中へと姿をくらました。しかし、ダメージは確実に蓄積している筈だ。
戦場に現れたエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)はその様子を見て、至極マイペースにうんうんと頷く。
「なるほど、とにかく沢山いる、と。確かにそのようです。ならこっちも増えますか」
『おや、アナタもワレワレと同じ術の使い手ですか? シャシャシャ……』
「いえ、もっと良識ある存在です。我々の底力を思い知りなさい!」
そう意気込んでチェーンソーを構え、突撃していったエミリィは……あっさり死んだ。
いとも簡単に喉元へククリ刀を受け、胴体と頭部がお別れになってしまった。
まだ戦争は続くのに、エミリィは猟兵であるというのに、まるで一般人モブのような扱い。しかし、これが無慈悲なる武蔵坂学園と、残酷なる六六六人衆の洗礼なのであった――。
「また軽率に死んでしまいました。しかし、わたくしは一般人より遥かによわっちく、遥かに面倒くさかったのです」
そう自分でナレーションをつけつつ、エミリィはあっさり復活していた。
分割された胴体と頭部から、なんか別々のエミリィが生えてる。怖い。
2体に殖えたエミリィをトリプルクエスチョンが再度斬ると、またあっさりと死に、今度はあっさりと4体に殖えてくる。
そのまま倍、倍、倍と何回殺られても立ち上がるエミリィ……立ち上がるっていうか、宣言通り気持ち悪い程の勢いで増えている。例え見た目が可愛い銀髪メイドさんでも許されないぞって殖え方。人によっては喜ぶかもしれないが。
これこそリスポンと増殖を組み合わせた恐るべき独自技能、【無限ゾンビ戦法】――!
『猟兵は生命の埒外と聞きましたが。いやはや、本当なのですねぇ……! シャシャシャ!』
シャシャシャじゃねぇんだよトリプルクエスチョンもさぁ!
なんてこった、敵が殺人大好きすぎてツッコんでくれない。悲劇である。
しかも、エミリィはしっかり『六六六人衆のために死んでください』という命令にも従っているので、敵が強くなることで逆にエミリィの増殖スピードもありえない速度になっている。
ふざけているようでいて、がっつり敵をハメ殺す構成。これにはトリプルクエスチョン達も、殖えるエミリィを手癖で殺し続けながら喝采を送る。
『さすがに手が足りませんし、密室の人口密度も限界ですねぇ……お見事ですよお嬢さん、シャシャシャ……!』
「ありがとうございます。理論上は無限大に増殖できますが、わたくしには良識があるので今回は38882人を上限とします」
『武蔵坂学園の全校生徒数ですか。それは……ワタクシ達より多いかもしれませんねぇ』
本当である。当時戦えない感じだった皆さんをちゃんと除外した上で、計算合ってる。
ちなみに、当時戦場の一部となったナゴヤドームの客席数は36778席。
ナゴドが満員御礼になるほどのエミリィが、全武蔵坂生と無謬の名古屋市民を勝手に代表し、再びシャークチェーンソーを振るう――!
密室の収容人数が限界すぎて一部エミリィがうっかり自分を斬っちゃってるが、増えるだけなのでヨシ!
「先程から比較的わたくしの密度が低い場所に逃げている奴がいますね。そこです」
『バレてしまいましたか。夏場のコートは少々暑かったですねぇ、シャシャシャ……!』
まるでB級サメ映画のように、四方からズタズタに斬り裂かてなお、トリプルクエスチョンは愉悦の笑みを浮かべていた。
死をただの日常の彩りと考える狂人が、たまたま敵味方に分かれていた。
全てはただ、それだけの事である。
大成功
🔵🔵🔵
橘・レティシア
懐かしい顔、と言ったらいいのかしら。
トリプルクエスチョン……私、あなたには他に名前があると思っていたのよ。だって資料には「???」って書かれていたから。
ユーベルコードはAll is one, one is allを。ギターの演奏を響かせて、音が届く範囲全てを風属性の刃で切り裂いてあげましょう。片っ端から倒していけば、いずれ本物を見つけられるのではなくて?
……と言いながら注意深く観察。
ライブの大観衆を見るようにして、本物の動きを見極めましょう。
ククリナイフも風の刃で吹き飛ばして(無機物には威力十倍)。
本物を発見できればチェーンソー剣に持ち替えて斬撃!
殺しのゲームなんてすぐに終わらせてあげるわ。
●3
「あら、何だかすごい熱気ね。何故かしら、まるでドーム公演みたい……そんな空気」
つい先程まで約四万人の猟兵の熱狂に包まれていた密室は、橘・レティシア(灼滅者のサウンドソルジャー・f44010)の脳裏へ、一瞬だけ世界のステージの上から眺めた光景を描いた。
だが、その気配も即座に濃密な殺気で塗り替えられた。今彼女を出迎える観客は、無数のトリプルクエスチョン達だ。
レティシアは表情を引き締めると、まったく変わらないその顔ぶれを睨みながら愛用のギターを構えた。
「懐かしい顔、と言ったらいいのかしら。トリプルクエスチョン……私、あなたには他に名前があると思っていたのよ。だって資料には『???』って書かれていたから」
『シャシャシャ、その名で呼ばれるのも懐かしいですねぇ。どうやらワタシは知らぬ間にアナタがた灼滅者へ「真実」をお見せしていたようです、シャシャシャ……!』
自らを適当極まりない集団と称しつつ、やり口は残忍で狡猾。この人を食った語り口は予兆で何度も見たし、レティシア自身も当時件の戦争で儀式を止めようと動いた学生の一人だ。
何度でも阻止してみせる。ライブの熱狂は歓迎だが、彼らのもたらす悲鳴はいつだってマナー違反だ。
「私達だってひとりじゃないのよ。さあ、未来への凱歌を奏でましょう――『All is one, one is all』!」
ピックを手に取り、少し高めの位置で構えたギターをかき鳴らす。歌姫らしい優雅なフォームとは裏腹に激しいピッキングで奏でられるのは、血の雨が降りそそぐ戦場に相応しい超高速のロックンロール。
それは世界の真理すら揺るがす技巧。レティシアの演奏は密室内に反響し、赤と黒の風が刃となって謎に満ちた観衆――トリプルクエスチョン達を踊らせる。まるで彼女の音楽が実体化したような、激しい嵐が室内に吹き荒れ、レティシアの長い髪が乱れる。
その音波は、特に無機物に対して通常の十倍の破壊力を発揮する。敵のククリ刀とて例外ではなく、武器を破壊される者、取り落とす者、さまざまな影が踊り狂うようにしながら倒れていく。
「片っ端から倒していけば、いずれ本物を見つけられるのではなくて?」
『おっと、殺人的な音楽性ですねぇ。アナタの中身が淫魔とは実に勿体ない、シャシャシャ……!』
「失礼ね。今はあなた達に合わせているだけよ?」
鍛えた技術で敵の『芸風』を汲み取り、乗っているようなふりをしながらも、レティシアの眼は招かれざる観衆達を注意深く観察する。いた――この音楽を浴びながらも替え玉を盾にし、決してククリ刀を離さず徐々にステージへ忍び寄ってくる影が、一体だけ。
「見つけたわ。残念ね、私のライブはお触り厳禁よ!」
ギターを直ちにチェーンソー剣に持ち替えたレティシアは、全く別の荒々しい音階を響かせる。
ぎゅいんぎゅいんと唸りをあげるエンジン音は、数多の戦いを潜り抜けてきたお転婆な歌姫が奏でる魂の歌だ。学生時代に戻ったような心地で愛用の武器を振りかぶり、トリプルクエスチョンへと斬りかかる。音楽は全てに宿る――チェーンソーは一定のリズムを刻みながら、一際マナーの悪いその聴衆を引き裂いた。
『お見事……! いやはや、是非ともワレワレの陣営にお誘いしたいですねぇ……』
「そのオファーはお断りね。殺しのゲームなんてすぐに終わらせてあげるわ。昔からずっと……あなた達とは、音楽でもわかり合えそうになかったもの」
大成功
🔵🔵🔵
比良坂・彷
わぁいっぱいいるー
え「死んでいいの?」ホントにー?ちゃんと俺の死を背負える?
羽ばたき群れに飛び込んで雀牌セット『天衣無謀』で殴る蹴る
ジリ貧
死にに来たのかって?さぁてねえ
飼い主いないし
ちぇなんでいないんだよ、寂しいなぁ
俺が死んだら泣いちゃうかな
けど今日は当たり籤は引けなそう
ごめんねきっちゃん、帰れないや
?
敵を盾にしふと気づく
偽者って『戦場に設置されていた物品』だ
本物くんの道具なんでしょ?
成程
じゃあ利用させてもらうね
偽者の肩を掴んでふりまわし盾兼ククリ刀として有効活用
使えなくなったら次々に新しいのに手を伸ばす
あれ?こいつだけ使えなーい
あんたが本物ね?じゃーあ『天衣無謀』でドタマかち割り殺す
負傷歓迎
●4
密室の澱んだ空気を振り払うような音楽と風の残響が、転移で舞い降りた比良坂・彷(天上随花・f32708)の双翼を煽る。その中に――本当に『めちゃくちゃいっぱいいる』殺人鬼の姿を見た途端、男の貌はにっこりと喜色満面に包まれた。
「わぁいっぱいいるー。え『死んでいいの?』ホントにー? ちゃんと俺の死を背負える?」
『おや、次は自殺志願者ですか。シャシャシャ……ワレワレはボランティア集団ではありませんよ。……が! 殺しならまったく話は別です。えぇ、喜んでやりますとも!』
まぁ背負うかどうかもまた別ですけどねぇと嗤いながら、殺人鬼の影は一斉に彷へ群がってきた。彷も躱すどころか、翼を羽ばたかせ殺意の渦中へ飛びこみ、血の染みた麻雀用の鞄で殴りかかっていく。
「ほら殺してよ。命賭けて適当に攻撃してさぁ、『偶然当たるか死ぬ』……宝籤一等当たるぐらいの確率? オッズぶち上がりで脳内麻薬ドバドバでしょ」
『シャシャシャ、自殺志願の上にギャンブル依存症とは、救いようがありませんねぇ……。かつての世界でしたら余裕で闇堕ちできたでしょうに』
嗤う相手を掴み、また別のトリプルクエスチョンへ突きつけると、敵は簡単に替え玉とおぼしきその者の首を跳ね飛ばした。本当に味方を殺すことなどなんとも思っていないようだ。
ならこちらもとばかりに、彷はまさに味方を殺している最中のトリプルクエスチョンを鞄で撲殺する。その死体を更に盾にしてククリ刀を受けるが、背面から斬られ、吹きだした血が翼を紅く染める。
彷は咄嗟に後ろ蹴りで敵の顔面を砕くが、手数が足りなすぎる。無数に刻まれる斬撃が、徐々に彷を追いつめる。それでもなお穏やかなまでに微笑む彷。まるで六六六人衆同士の殺し合いだ。
『なるほど。アナタの二人ほど前に来た人は一撃で即死していましたが、アナタは不幸にも相当頑丈ですねぇ』
「あー、そうかも。こんなにわかりやすく死にたいのにねぇ」
『シャシャシャ……それでワレワレを頼りに来たと?』
「さぁてねえ。飼い主いないし」
だが、この数。今日こそ当たり籤は引けなさそうだ。出血で徐々に意識が遠のく中、ふと彷の顔から笑みが薄れる。あんなに死にたいと思っていたのに――今や、死に際に他者の顔が過ぎるのか。
――ちぇ、なんでいないんだよ、寂しいなぁ。
子供じみた我儘すら浮かび、死ぬってこんなもんかぁと天井を仰ぐ。こんな変な密室で、独りで急に死ぬ。この世界の一般人が長らく強いられてきた、残酷な様式美。殺人鬼が支配する分厚い壁が、あの娘へ繋がる運命の前で邪魔をする。
――俺が死んだら泣いちゃうかな。ごめんねきっちゃん、帰れないや。
目を閉じかけてふと思う。いや――|俺《博徒》らしくないや。本当に命を賭けたのだ、最期まで心から愉しまないと。
とどめの一撃を敵の盾で塞いだ時、彷に天啓が降りた。
――そうだ。この替え玉って、|戦場に設置されていた物品《﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅》なんじゃない?
『シャシャシャ……シャ!?』
試しにそう意識して、掴んだ敵をぶん回してみたら、攻撃の威力と範囲が劇的に変わった。このトリプルクエスチョンという敵は、先程から互いをモノ扱いし合っている……ならば、こいつ自身が武器として使えてしまってもおかしくない。
博徒の読みは的中し、人間ククリ刀と化したトリプルクエスチョンが彷に文字通り振り回され、敵集団を薙ぎ倒す地獄絵図が完成する。しかし、替え玉の身体は武器にされる衝撃に耐えられないようだ。
使えなくなったらポイ。そしてすぐ次の『武器』を手に取り振り回す。その無法から巧妙に逃れつつ、したたかに己の喉を狙う影の両肩を掴んで博徒は笑う。
「あれ? こいつだけ使えなーい」
『逆転の発想……してやられましたねぇ。猟兵には有望な人材がわんさかいますねぇ、シャシャシャ……!』
それでも愉悦を隠さぬ本物の殺人鬼を、彷は鞄でぶん殴り頭をかち割った。一発逆転の喜悦が彷の脳内を一色に染める。賭け狂いは、どうせ死んでも治らないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
アドリブ歓迎
…時は来たれり!
…この世界を救う為にも…さぁ行くぞ…私は処刑人だッ!
さて…血の雨に…大量の殺人鬼か…この中に本物が一人…
おい…いるんだろ…ならばさっさと出てこい!
【恐怖与える殺意の瞳】で敵群、或いは血の雨を睨みつけて脅迫
本物がどこにいるのか教えて貰おう
本物を見つけたならば吸血で拷問具を動かし敵に投げつけ食いつかせ
傷口をえぐり広げて体勢を崩し鎖の鞭を振るい拘束しよう
ありがとう替え玉たち…だがまぁそれはそれとして…殺人鬼である貴様等を逃す訳にはいくまい…
死 ぬ が よ い
肉体から地獄の炎放ち範囲攻撃で操り広め本物も替え玉を焼却してやろう…
塵は塵に…灰は灰に…これでおしまい…
●5
先行する猟兵の攻撃で、深手を負ったトリプルクエスチョンの身体から激しい血飛沫があがり始めた。それは不気味な嗤いと共に戦場を包み、血の雨となって仇死原・アンナ(処刑人、炎の花嫁、魔女、屠る騎士、あいどる☆・f09978)の白い頬へと降りそそぐ。
血を浴びるのは慣れているはずだが、殺気を纏った赤い豪雨はアンナの視界すらも遮り、また本当の敵の行方を隠してしまう。しかし、そこに罪人がいるならば、まして何万人もの命を奪った凶悪犯だというのなら、アンナに止まる理由はない。
「……時は来たれり! ……この世界を救う為にも……さぁ行くぞ……私は処刑人だッ!」
『シャシャシャ……処刑人ですか。ワレワレの同業者ですかねぇ』
四方からこだます耳障りな嗤い声に、アンナは眦を尖らせる。幾つもの世界を股にかけ、敵を屠り、人々を救ってきた誇り高き死神の娘は、奪うだけしかしないこの集団とは何もかもが違う。
「舐めるな……私は処刑人……貴様ら殺人鬼を……狩る者だッ!」
その顔に宿るは凄絶なまでの気迫と殺意。血の雨で濡れた鎧から、絶え間なく雫が滴る。
確かに敵は数えきれない。しかし本物は一人だ。アンナの考えは至極単純だった。
「おい……いるんだろ……ならばさっさと出てこい、殺人鬼ッ! 殺すぞォッ!!」
――恫喝。
その咆哮めいた怒声は密室中に響き渡り、一瞬空気が凍りつく。そして、アンナに向けられたのは凄まじいまでの殺気の嵐だった。アンナに睨まれた者が『友好的な行動』を行うユーベルコードだ――そして、六六六人衆にとっての友好とは、殺し合いに他ならない。
『シャシャシャ……やはり同族との殺し合いは楽しいものですねぇ。ワレワレ、どうしてもアナタを殺したくてたまらないようですよ、シャシャシャ……!』
一斉に襲いかかるククリ刀。しかし、アンナは冷静だった。己がいま脅したものは、殺人鬼どもだけではないとわかっていた。
『シャシャシャ……シャッ!?』
赤い洪水がアンナを守るように渦巻き、トリプルクエスチョンの集団を押し流していく。戦場に降る|血の雨《﹅﹅﹅》がアンナの味方をしたのだ。雨は波となって巨大密室を二分し、アンナの前に一本の道を示す。
「ありがとう血の雨たち……」
これが敵の奪ってきた命の雨の残滓であるなら、六六六人衆よりアンナに与するのは当然かもしれない。律儀に礼を呟き、拷問具に血の雨を纏わせたアンナは、間違いなく本物であろうトリプルクエスチョンに向かって手枷と足枷を一気に投げつけた。
完全に不意を突かれたトリプルクエスチョンは、アンナの枷を受けてしまう。枷の内側から棘が飛び出し、密かに積み重なっている傷口へ侵入して、棘の先端が傘のように広がる。
笑いごとではすまない痛みに敵が怯んだ一瞬を逃さず、アンナは更に鎖の鞭を容赦なく振るい、本物を捕縛した。替え玉達は本体を守るかと思いきや、その周囲から素早く退却し始める。
『本物は死んでもまぁいいでしょう……『あのおじさん』が死なない限りナントカ、とも言っていましたしねぇ……』
「無能で醜悪な替え玉たちめ……だがまぁそれはそれとして……殺人鬼である貴様等を逃すと思ったか……!」
かつての六六六人衆が誇っていた、よく言えばしぶとい、悪く言えば潔くない逃げ足。
その醜さの再演にアンナは激怒した。手加減など要らぬ。
死 ぬ が よ い。
アンナの怒りは地獄の炎となって身体から吹きあがり、本体も替え玉もまとめて焼却していく。塵は塵に。灰は灰に。これでおしまい……と処刑人は呟いた。
壮絶な火葬場と化した密室に、黒い殺人鬼達の哄笑が響き渡る。だがその人型の大半は、黒い炭と化してくずおれ、二度と動くことはなかった。
大成功
🔵🔵🔵
ニコ・ベルクシュタイン
お前『たち』六六六人衆のやり口は、総じて反吐が出るものだったな
…と、俺の記憶が告げているよ
犠牲者を数字で扱わねば、その悲惨さに皆押し潰されてしまったろう
姿はかつての彼を模すが、得物は俺自身の双剣を使う
UCで虹の花へと化すのは長剣のみ、短剣は防御用に残す
俺のかつての在りようは、ポテンシャルではあるが、殺人鬼でもあった
鏖殺領域というかつてのサイキックを思い出しながらUCを発動
敵が大量に居るならば攻撃と防御を兼ねて乱れ撃ちをするだけだ
それでも敵の方が上手ではあろうな
腕の一本など、肉体の一部はくれてやる
仕掛けてきた所を残した短剣で捨て身の一撃で串刺してやりたい
この戦いに意味はあると、俺は思いたいのだ
此原・コノネ
そうね、そうね!あたしとしても、ハンドレッド・コルドロンは大嫌いなの!
六六六人衆は、お互いに殺し合ってこそだし!
あ、大丈夫、相手は間違えないから!
うーん、本当にたくさんね、???の……おねにーさん。
(性別不明、おねーさん+おにーさんでこうなった)
うーん、本物は一番動きが良さそうだから、それを見極めたいわね。
餓血ナイフを手にUC使ってるけれど、ダイダロスベルトでの自動防御も活用して防御しましょ。
さて、その命令は、断固拒否!まあ六六六人衆でもあるからね。
ああ、あたしの出血が増えるとね、餓血ナイフの材料になって間合い伸びてくから…逆にそっちが不利よ?
そうなったら、薙ぎ払っちゃうわ!
●6
「お前『たち』六六六人衆のやり口は、総じて反吐が出るものだったな」
ニコ・ベルクシュタイン(虹を継ぐ者・f00324)は、灼滅者であるがゆえにそう言った。
犠牲者を冷たい数字で扱わねば心が折れてしまいそうな、悲痛な怒りと苦しみの記憶。古びた懐中時計にはそのすべてが刻まれている。
グリモア猟兵――否、六六六人衆は返した。何も言い返す事がないねと。
生前の彼は何かしようとする度に凄まじい人数の武蔵坂学園生に止められ、実はほとんど目立った被害を出せていないという。君のその恰好にもなんか見覚えあるよと、少々引きつった顔で笑っていた。
「そうね、そうね! あたしとしても、ハンドレッド・コルドロンは大嫌いなの!」
此原・コノネ(|精神殺人遊び《マインドマーダーゲーム》・f43838)は、六六六人衆であるがゆえにそう言った。
当時、第8位であったランキングマンが厳格に管理していた序列。しかしまるで興味のなかったコノネは、今や自身が何位であったのかも記憶があやふやである。
六六六人衆――否、グリモア猟兵は返した。共感してもらえて嬉しいよと。
形ばかりの組織が崩壊する前から、彼らの間には情や絆などまるでなかった。
そう、六六六人衆はお互いに殺し合ってこそ。か弱い一般人を虐殺などしても、面白くもなんともない。ゆえにコノネは敵陣へと舞い込むのだ。大丈夫、相手は間違えないから――元気にそう手を振って。
『シャシャシャ……大勢のワタシが火葬されてしまいましたね。まぁいいでしょう。幸い黒焦げでも大差はありませんからねぇ!』
先の猟兵の攻撃で焼けただれた密室の内部は凄惨そのものだった。攻撃を分散させるためか、離れた場所へ転送されたニコとコノネは、焦げた床に伏した焼死体がゆらりと立ち上がるのを見ただろう。いまだ燻る地獄の炎が血の雨で消火されていく。
「貴様……死んだ替え玉すら再度盾に利用しようというのか!?」
『ワタシもなりふり構っていられなくなってきましたのでねぇ……シャシャシャ!』
ニコの糾弾にもまるで動じぬ悪魔の如き所業を前に、双剣を握る手にも自然と力がこもる。これが灼滅者の怒りなのだと、秒針が時を遡るようにして、ニコの記憶へ強く訴えかけてくる。許せない――振りかざされたククリ刀を短剣で細かく払いながら、ニコは虹色の輝きを放つ長剣を構えた。
剣は普段使っている得物だが、服は赤い魔法使いのものだ。彼の力を借り、無念も晴らす。強い想いを纏い、血塗られた密室を駆ける。
――この部屋に満ちる殺気……確かに覚えがある。かつて『俺』の中にも在った感覚だ。
長剣からこぼれる虹色の花弁が、どす黒い鏖殺の気を纏って、普段とは異なるにぶい輝きを放ちながら密室に吹き荒れる。血の雨に打たれた花嵐は更に勢いを増し、トリプルクエスチョン達を次々に飲みこんでいく。
だが、敵は一枚上手。替え玉が減り攻撃の手勢が弱まっても、盾として操られている替え玉の死体は、防壁として機能している。これが上位の六六六人衆――そのやり口と強さが記憶の底から蘇り、いま改めて反吐が出る。
「いーけないんだ! あたし知ってるもの、そういうことすると灼滅者のおにーさんおねーさんたちに怒られちゃうんだから!」
『おや、アナタは確か……此原・コノネでしたっけ。生きていたのですか。しぶといですねぇ、シャシャシャ……!』
一方、コノネは普段は安全な道具として携帯している棒を餓血ナイフに変え、これまた相手のやり口を非難していた。アナタのようなお子様に怒られるとは世も末ですねぇと、トリプルクエスチョン達は一斉に肩をすくめつつも、容赦なく襲いかかってくる。
「遊んでくれるのね! あたしと踊ろうよ! うーん、でも本当にたくさんね、???の……おねにーさん」
『シャシャシャ……! 面白い呼び方ですねぇ、確かにワタシは男とも女とも言った覚えはありません……ところでその水引、ダイダロスベルトですね? 斬新君が喜びそうですねぇ』
「そうなの! かわいいでしょ、でもおねにーさんの攻撃は弾いちゃうからね♪」
コノネの宣言通り、水引が自らほどけてククリ刀を弾き返す。
どこか気の抜けた雑談を交わしながらも、互いに油断なく相手の首を狙い、刃物を振りかざす。これが彼らの日常なのだ。『本物』であるコノネに対抗できる者は少なく、幾つもの首が飛び床に転がっていく。
――うーん、でも見分けるの難しいなぁ。本物は一番動きが良さそうだから、見つけられればとっておきがあるのに……そうだ!
コノネは替え玉たちを捌きながら、この場にいるもう一人の猟兵を見た。復活ダークネスの宿敵――しかし、今を生きる彼女にとっては頼れる『灼滅者のおにーさん』を。
猟兵たちの猛攻で替え玉が徐々に数を減らしていく中、ニコは沸き上がる殺人衝動を抑えながら冷静に思考を巡らせる。かつて学園のあちこちで戦略を話し合っていた彼らの姿を、脳裏に描く。
――此処から逃げ帰るには俺達二人を倒すしかないだろう。敵も相当に追い詰められている筈だ。そして、先に狙うのは恐らく、同族よりも灼滅者の姿をした『俺』に違いない……!
「姿を現せ、トリプルクエスチョン。六六六人衆が怖気づいて腕の一本も取れないようでは良い笑い者だぞ」
『シャシャシャ……! 忠告どうも。ご心配なく、もうアナタの目の前です!』
「……ッ!!!」
ニコの挑発が効いたか、刹那ククリ刀が鋭く振るわれ、長剣を握っていた左腕を斬り落とした。衝撃で帽子が落ち、血だまりの中に転がった己の腕へ覆いかぶさる。
外見は灼滅者のニコと瓜二つだが、ヤドリガミであるこの身体は再生可能だ。瞬間的に走る痛みに耐え、ついに現れた本物を、血飛沫で曇る眼鏡の奥から睨みつける。
「みぃつけた♪ もう逃がさないわよ。おにーさん達を殺したら許さないもん、あたしが一生追いかけてあげる!」
『シャッ……!?』
直後、トリプルクエスチョンは背後から刺され血を吐いた。それがコノネの新たな殺戮流儀――ニコに襲いかかる動きの速さを見て、彼女はついに目標を一体に固定した。こうなると、狙った相手が死ぬまでは不死になる。
『ガハッ……裏切りですか、此原・コノネ! アナタも六六六人衆のために死になさい!』
「何を今更……|俺《﹅》は知っているぞ。お前達が『誰かのために』等という尊い想いを持って動く事はない!」
『がッ、ゴフッ……!!』
そして、正面からはニコが右腕で確りと握っていた短剣が、トリプルクエスチョンの心臓部を貫いた。
そうそう、六六六人衆ならそんなの断固拒否だもーんと、コノネも笑う。追い打ちをかけるように、血の染みたナイフで何度もその背を薙ぎ払う。
灼滅者と六六六人衆。
かつては決して相いれなかった者達が、更なる邪悪を討つために今、共闘している。
そこには希望があった。奇跡があった。血の雨にうつくしい虹がかかる、幻のような。
――主よ、御覧になっているか。貴方達が掴み取った未来は……確かに此処にあるぞ。
ニコは静かに想う。この戦いに赴いた意味とは、これだったのかもしれない。
『シャシャシャ……ワレワレは、もう旧い、とでも……? いやぁ、初めてですよ……こんなに、つまらない、殺し、は、ねぇ……シャシャシャ…………』
そしてついに斃れたトリプルクエスチョンは、口ぶりとは裏腹に最期まで不気味な笑みを貼りつけたままだった。本体の消滅とともに、無数にいた替え玉の姿も崩れ去っていく。どれもこれも、中身のない笑みを浮かべたまま。そのさまを哀れんでやる義理もない。
「やったね、赤いおにーさん。???のおねにーさん、あたしたちがやっつけちゃった!」
「うむ、灼滅完了だ。素晴らしい戦果を挙げる事が出来た。君には礼を言おう」
「えへへ、また褒められちゃった! あたし、これからもいっぱいオブリビオンと遊んであげるわね」
術者達がすべて討伐され、忌まわしき過去――ハンドレッド・コルドロンが、その力を失い崩壊していくのを、ニコとコノネは共に見届ける。
この防衛戦もいよいよ終盤。後はただ、まだ見ぬ未来へ向かってひたすら走るのみだ。
大成功
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