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トワイライト・ザナドゥ⑨〜壱・関帝五龍陣(北)

#サイバーザナドゥ #トワイライト・ザナドゥ #第二戦線 #雲長大人 #龍爪公司

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●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、いつものように鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「『トワイライト・ザナドゥ』の第一戦線、まずはお疲れ様。順調に作戦は進んでいるようだね。と言う事で今回キミ達には、新たに第二戦線の作戦に挑んでもらうよ」
 と、いつものように概要を説明し。それからくるるは少しだけ、ゆっくりと息を吐き出した。
「そして、今回対応してもらうメガコーポは、『龍爪公司』だ。随分長い付き合いになっていたけど……そろそろ、精算の時かもしれないね」
 猟兵達はこのサイバーザナドゥを訪れてから4年近くもの間、龍爪公司と長い関係を結んできた。
 だが、龍爪公司のCEOたる『雲長大人』は、10大メガコーポCEOの一人として、サイバーザナドゥ放棄の決断を下した。下にいかなる思惑があろうと、上の決断が絶対……それがメガコーポと言うものである。
 現在、公司はその全戦力をもって、計画の実現のために動いている。
「と言う訳でキミ達には、雲長大人のクローンを撃破し、公司による世界消滅の計画を阻止して欲しい」

 先に述べた通り、公司のCEOは雲長大人なるオブリビオン。そしてその正体は封神武侠界の死せる武将、『関羽(関雲長)』その人である。
 彼は公司の財力を用いて、サイバーリンケージヘルム『蜀』を開発した。これは、骸の海のオブリビオンを電脳空間に構築すると言うものだ。
「つまり今の彼は、三国志の『蜀』そのものと言って良いかもしれない。当人が優れた武将である事は言うに及ばず、優れた武将達の力を自在に扱えるんだ」
 それだけでも強力なのは当然として、さらに彼は、強力な呪術まで使用する。自身の受けたダメージや状態異常を全て相手に跳ね返す、『呪詛の鎧』を身に纏っているのだ。
「ただでさえ本人が強力なのに、ダメージを与えたらこっちも傷つくって言うんだから、普通にやったら勝てるものじゃない。だから、この呪詛を打ち破る方法が必要な訳、なんだけど」
 さらに今回対応する雲長大人のクローンは、特殊な陣を組んでいる。『関帝五龍陣』なるその陣は、五龍――青龍・赤龍・黄竜・白龍・黒龍――の力で呪術を強化すると言うもので、この影響化においては、呪詛の鎧はさらに強力になる。
 呪詛のダメージはユーベルコードでさえ防ぐ事が難しくなり、さらに受けた傷はいかなる手段をもってしても回復しなくなるのだ。
 あるいは分身などを用いて攻撃しても、ダメージは『本体』に返ってくる。大人に対するこちらの害意そのものが、呪詛の発動条件だ。

「強化された呪詛の鎧がそのまま発揮されれば、キミ達に勝ち目はないだろう。けど幸いにして、『五龍陣』で強化された呪詛は五龍の属性を帯び、それに相応しい弱点を持つ。そこに、付け入る隙があるよ」
 今回対応に向かう五龍陣は、『黒龍』の陣。司る方位は北方、五行は水行だ。
 ひとまず結論から言えば、今回の呪詛の鎧には一箇所だけ『綻び』がある。その身体の中心、腹部への攻撃だけは、反射する事が出来ないのだ。
「よってキミ達には、この弱点を狙って攻撃してもらう訳だけど……もちろん、簡単にはいかない。雲長大人は強力なオブリビオンだ、そう簡単に、身体の中心を攻撃させてくれる訳がないよね」
 特に今回の雲長大人クローンは、特に慎重な気質を持っている。猟兵達の作戦や挑発、フェイントにも、簡単に引っかかってはくれないだろう。呪詛の鎧で状態異常も反射されるので、予め動きを止めるなども難しい。
 だが、だからこそその慎重さの上を行く何かがあれば、呪いを打破し、痛撃を与える事ができるはずだ。

「ちなみに、ここは興味ないなら聞き流してもらってもいい所なんけど……五行思想においては『土剋水』。土は水を濁らせ、せき止める。けどあくまで呪術だから、物理的ではなく概念的、精神的に土属性を持つ攻撃なら、呪詛を突破出来るって仕組みらしいよ」
 そして土行の司る感情は『思慮深さ』。実は呪術に弱点があると言うより、『思慮深く相手の弱点を探ってそこを狙う』と言うその行為自体が、呪術を破るための行動となっている、と言う訳である。ついでに言えば狙う場所が腹なのも、土行が内臓のうち脾(胃袋)を司るためだ。
 さらに今回のクローンが慎重な気質を持っているのも、水行が『恐れ』を司るためである。

「と、確かに呪詛の鎧は厄介だけど、そもそもそれを抜きにしても雲長大人は強い、と言う事を忘れないで欲しい。一万の兵に匹敵すると謳われた万夫不当の英傑が、さらに仲間の力を得ている訳だからね」
 そこまで説明したくるるは、いつもどおりの、わざとらしいほど可愛い仕草の中に、僅かな緊張と期待を混じらせ、猟兵達を見渡す。
「けど、キミ達なら勝てると信じているよ。だから、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」

●閑話:全ては公司のために(一)
『お前が猟兵と組んで上げた利益は、儂がこのヘルメットを作り上げるため、大いに力ととなった。大義であったぞ』
「……ありがたいお言葉にございます、CEO」
 サイバーザナドゥ、龍爪公司・支社ビル。
 公司の|特級社員《カンパニーマン》であり、猟兵とも縁深いその女性、リー・ロンファは、CEO・雲長大人直々の通信――クローンではあるが――に対し、深々と頭を下げる。
『その功によりお前には、此度の重要な作戦を任せよう。いずれ別命が下る、それまでは待機せよ』
「かしこまりました」
 一切の感情の揺れを感じさせない表情で、画面を見つめるロンファ。雲長大人もまた、画面の向こうからロンファを見つめる。
『――よもや、猟兵に情が移ったなどとは言うまいな?』
「まさか。私の身命は全て、公司に捧げております」
 しばし、無言で見つめ合う2人。そして雲長大人の方から、軽く鼻を鳴らして沈黙を打ち切る。
「まあ良い、信じよう。公司に有る者全て、公司の名の下に、その命を捧げよ」
「承知しております。大人も、ご武運をお祈りしております」
 そうして、通信が切れた。だがその後もロンファは、何も映らないモニターをじっと見つめている。
 そんなロンファに対し、彼女付きの忠実な諜報部員であるリンリーが、恐る恐る声をかけた。
「……ロンファ様。本当に――」
「当然です。私の全ては、公司に捧げていますから」
 その言葉を遮るように、ロンファはにこりと微笑む。僅かな綻びも感じさせない、完璧なスマイル。
「命を捨てろと言われれば、捨てましょう。猟兵と戦えと言われれば、戦いましょう。世界を滅ぼせと言われれば、滅ぼしましょう。それが、公司にある者全ての義務です」
「……愚問でした。お忘れを」
 頭を下げて一歩退くリンリーから、ロンファは視線をそっと反らす。
 彼女の笑みから、その内心を伺い知る事は出来ない。


一二三四五六
 龍爪公司、最終動乱。

 ごきげんよう。とりあえずネタキャラじゃなくて本当に良かった。一二三四五六です。

 本依頼は龍爪公司CEO、雲長大人(のクローン)との対決になります。
 第二戦線の間に多数の依頼を展開したい都合上、本依頼は最速で明朝にはリプレイを返却します。いつもよりプレイングの締め切りがずっと早いので、そのつもりでお願いします。
 まあプレイングが来なかったら、お返しも出来ないのですが。だからぜひ参加してね!

 同じ敵と短期間に連続で戦うとかそのままだと絶対飽きそうなので、味変として五龍陣のギミックを用意しました。呪詛の突破方法や雲長大人の性格が、各依頼によって異なります。
 本依頼では『極めて慎重な雲長大人クローン』に対して『弱点である腹部を狙って攻撃する』必要があります。
 ちなみにOPの閑話で会話しているのも、この慎重な雲長大人クローンです。慎重なので、部下の裏切りを警戒している訳ですね。

 で、ここからは、全然読み飛ばしてもらって構わない部分になりますが。
 龍爪公司は一二三が4年間関連シナリオを展開して来たメガコーポです。詳細についてはタグからどうぞ。
 もちろん本依頼に参加する上で、それを把握する必要はありませんし、閑話も無視していいです。関羽殴りてぇ、と言う気持ちだけで参加していただいても全く構いません。

 一応簡単にあらすじを説明すると――。
 猟兵とOPに登場しているロンファは、「ロンファが敵対メガコーポの陰謀を猟兵に流す事で、猟兵はメガコーポの邪悪な企みを阻止し、公司は邪魔者を消す事による利益を得る」と言う関係を続けて来ました。
 途中からは公司内で派閥対立が発生。『猟兵と親しくした方が社の利益となる』と言うロンファ達の派閥と協力し、『猟兵は社の敵であり排除すべきである』と言う派閥と戦う事で、より関係性を深めて来ました。
 ですが今回、CEOである雲長大人がサイバーザナドゥを滅ぼす計画を実行。現在はその命令に従い、派閥の別なく全社を上げて計画実現のために動いています。
 なお、雲長大人を殴る以外に、公司のNPCと連絡を試みても構いません。成功するかは保証しません。

 繰り返し、この辺りの事情は全く知る必要はありません。
 みんなが裏事情に力を入れると雲長大人が倒せないので、ただ何も考えず殴る人もほんと大事です。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『雲長大人』

POW   :    電脳桃園の誓い
【義兄弟(劉備玄徳&張飛翼徳)との絆】に基づく誓いを立てると、誓いの実現難易度に応じ自身の戦闘力が1〜10倍。誓いを破ると終了。
SPD   :    五虎将軍再臨
【自らの青龍偃月刀】【電脳張飛の蛇鉾と電脳趙雲の槍術】【電脳馬超の騎乗突撃と電脳黄忠の剛弓】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    電脳石兵八陣
【サイバーリンケージヘルム『蜀』】からレベルm半径内に、外部からのあらゆる被害を阻む【八つの巨石で造られた結界陣】を構築する。堅牢さは【電脳孔明(超賢い)の敵に対する理解度】に比例する。

イラスト:モリアオモリ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン……義を語りながら世界を売るか
ならその腹の中に溜め込んだ汚泥ごと、叩き割ってやろう

雲長大人がUCを発動し、数百手に及ぶ連続攻撃を放ってきた瞬間、こちらもUCを発動
鞘に収めたまま、完全な迎撃態勢に入る
剣を抜かず、踏み込まず、動かず
あらゆる斬撃・刺突・射撃を自動反撃で最短軌道に弾き返し、雲長大人自身の攻撃を“跳ね返された武”として送り返す
黒龍の呪詛は“害意”を反射するが、こちらは能動的に斬っていない
斬っているのは、雲長大人自身の攻撃だ

どうだ?
お前の誇る武が、お前の腹を狙っている気分は

五虎将軍再臨の連撃の中で僅かに雲長大人が踏み込み、体勢を前傾させ、腹部が前に出た瞬間
その一撃だけを見逃さず、ナガクニを鞘から一閃だけ抜き放つ

恐れて踏み込んだな
…それで終わりだ、関雲長

0秒
狙いはただ一つ、黒龍陣の綻びである腹だ
呪詛の鎧が反射できない一点へ、思慮深く、無駄なく、最短距離で刃を通し
斬った直後は即座にナガクニを鞘へと戻す

義も誓いも、腹の底では泥に変わるか
その濁り、全て吐き出すがいい


劉・涼鈴
関雲長! お前の目的だの会社の事情だの知ったこっちゃねぇや!
「あの日」の続きをやろうぜ!!!
なんのことか分からない?
この覇王方天戟を、呂布の戟を見ても同じことが言えるかな!

【憑魂合体】!! 呂布!!!
虎牢関のリベンジマッチだ!
三英戦呂布――でも今回は私がいる!!
今の私たちは一騎当千も万夫不当も超えて天下無双だ!!

極まった【功夫】の体術と呂布の力が加わった【怪力】で戟をぶん回して関羽の偃月刀とぶちかまし合う!
おらおらおらおらー!!

呂布の知識と経験(三国志知識)、現状の打ち合いによる【見切り】
それらを合わせて――【心眼】で隙を見出す!(急所を見抜く)
【カウンター】の【捨て身の一撃】で【急所突き】!


夢ヶ枝・るこる
■方針
・UC&装備が|十全に《プレ通り》機能する場合のみ採用希望
・上記前提でアド/絡◎

■行動
大変な相手ですねぇ。

【燦華】を発動、『祭礼の女神紋』で『祭器』共々全身を『光』に変換しまして。
『隙間に入り込む能力』で「土の間」等の隙間から離脱、離れ隠れた位置から『FPS』の探査で戦場情報を把握、状況に応じ味方に伝達を。
慎重な関羽さんが姿の見えない私を警戒し意識を割いてくれれば他の方が隙を狙い易くなりますし、私が完全に意識の外になれば不意打ちも可能でしょう。
『呪詛の鎧』は、間接手段を含め攻撃しなければ問題無しですので、『レーザー』化しての光速貫通で『腹部』が狙える瞬間まで、隠れたまま支援に徹しますぅ。


荒珠・檬果
雲長大人と聞いて、私は来た!(以後、関帝と呼ぶ)
他の猟兵さんたちと連携しましょう。

さて、五行ですか。今回は土行攻めですけど…胃のあたりを攻めること…。
よし、行きましょう!

ええ、私の狙いは『治癒にて支える』こと。
浄化つきのUCにて、仲間を癒します!

攻撃自体は、白日珠によるビームを細くして、針のように射出するんです!
石兵八陣は…中に入る時には、害はない。ただ、遮蔽は確かなので…ビームを撃つのは、本当に関帝と真正面から相対したとき。
水行の行いをするのなら、無闇矢鱈に外には出てこないはずですからね!


ティオレンシア・シーディア
あたしも龍爪公司の依頼は何度か受けたことあるけれど…まあメガコーポ相手だしいよいよそーいう日が来たかぁ、程度ねぇ。別に恨みはないけれど、そこまで情も移ってない…ってとこかしらぁ?まあ単純に回数が多くないせいかもだけど。

ただでさえ強力な手合いがむやみに慎重だなんて、シンプルに面倒ねぇ…この性格なら即結界に引きこもるでしょうし。
デバフの類も粗方反射されるようだし、自己バフでどうにかするしかないかぁ。
ミッドナイトレースに騎乗して●黙殺・目録から●轢殺・先駆及び●射殺・改式を励起、刻むのは|ウル《貫徹》に|ティール《勝利》――そして、あたしの銃の銘は|オブシディアン《黒曜石》。土剋水の概念マウントは十分乗ると思うのよねぇ。結界は多分●轢殺・先駆ですり抜けられるはず…後はあたしがきちんと中てられるかの勝負ねぇ。
いくらあたしが狙撃手としては二流以下とはいえ、そこまで分は悪くないとは思いたいけれど…いざとなったら強行突破で結界の内側に飛び込んで反撃覚悟でブチかますしかないかなぁ…


天宮・紫苑
アドリブ・連携:可

龍爪公司にはお世話になっていたようですが……。
「世界を滅ぼすというのでしたら、ここで打倒いたします」

UCを常に使用し、正面から正々堂々と【決闘】を挑みます。
今までの鍛錬と戦闘経験を信じて【覚悟】を決めて挑みます。
【落ち着き】払って冷静に、僅かな隙も見逃さず、磨いた技術による【2回攻撃】や、【怪力】に物を言わせた力押し、
己の全てで挑みます。
また、相手の攻撃には防御や回避、【受け流し】をしっかりと行い、時には【カウンター】も狙いましょう。
可能性が0%でなければ、斬り伏せてみせましょう。
「銀誓館学園の天宮・紫苑、貴方の命を戴きにまいりました」



「あたしも龍爪公司の依頼は何度か受けたことあるけれど……」
 龍爪公司との、決定的な敵対。その状況を前にして、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)はやれやれと首を振る。
「まあメガコーポ相手だしいよいよそーいう日が来たかぁ、程度ねぇ」
 いかに猟兵とこれまでの関係があろうとも、結局メガコーポとはそういうものだ。
 まあ、そう割り切れない者も中にはいるだろうが、ティオレンシアは、そこまでの情を感じるほどの関係ではない。
「世界を滅ぼすというのでしたら、ここで打倒いたします」
 天宮・紫苑(人間の魔剣士・f35977)もまた、静かな決意を口にし、戦場へと乗り込んでいく。龍爪公司の所有する、とある施設――おそらくはこの五龍陣を展開するために建設されたその建物の中で、その男は猟兵達を迎え入れた。
「来たか、猟兵ども」
 雲長大人――龍爪公司CEOにして、封神武侠界の歴史にその名を轟かせし猛将。クローンと言えど、否、クローンであればこそ、本物と遜色ない姿で堂々とその場に君臨する。
「関雲長! お前の目的だの会社の事情だの知ったこっちゃねぇや! 『あの日』の続きをやろうぜ!!!」
「ふむ。お前の事など知らんが」
 そんな大人に対し、いの一番に闘志を向けるのは、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。高らかなその宣言に、大人は怪訝そうな声を呟き。
「この覇王方天戟を、呂布の戟を見ても同じことが言えるかな!」
 対して涼鈴はその得物を取り出し、そしてユーベルコードを発動する。その身に喚び下ろせし魂は、三国無双・呂布。彼女にとっては、かつて雌雄を決した宿敵でもある。
「虎牢関のリベンジマッチだ!」
「……やはり、知らんな。呂布の力を借りたとて、小娘に過ぎぬ!」
 力強く振るった戟が、大人の青龍偃月刀と正面から打ち合う。実際、相手は規格外の猛将だ。呂布の力を持ってしても、容易く制する事が出来る相手ではない。
「何をぉ! 今の私たちは一騎当千も万夫不当も超えて、天下無双だ!!」
「なれば儂は、遍く世界に覇を唱えよう。それこそ、我らが新たなる桃園の誓いなり!」
 そしてその誓いが電脳の輝きと共に、大人にさらなる力を与える。肌に突き刺さるほどの威圧感を見せつけられ、だがそれで怖気づく猟兵はいない。
 むしろより一層に燃え上がると、荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)が声を張り上げる。
「雲長大人と聞いて、私は来た!」
「我が名を恐れぬと言うのなら、我が武を持って叩き潰すのみ!」
 その声をかき消さんばかりの、|大音声《だいおんじょう》を響かせる大人。それに怯まず今度は、紫苑が間合いを詰めていく。
「無論、恐れません。「銀誓館学園の天宮・紫苑、貴方の命を戴きにまいりました」
「ふん、小娘がいくら群れようとも、儂には及ばぬっ!」
 振るわれた大太刀も、偃月刀に受け止められる。2人を同時に相手取ってなお、大人の動きには余裕すら見える。
「その程度で儂の前に立とうとは、身の程を知れぃっ!」
「くっ……!?」
 手数で攻めようにも、力で攻めようにも、相手はそれを容易く上回ってくる。そもそも前提の話として、相手はネームドボス戦級のオブリビオン、それも万夫不当の猛将。
 ただ技能を並べて比べるならば、猟兵に勝ち目はない。重要なのは、持ちうる技をどのように工夫して使うかだ。
「です、がっ……!」
「ふん、粘りおるわ」
 それでもなんとか食い下がり、傷つきながらも粘る紫苑。彼女の身に染み付いた練武、確率を上げるユーベルコードが、なんとか際どく崩壊を防いでいる。
 いや、それだけではない。
「……見ておるな。儂には分かるぞ」
(「流石ですねぇ。迂闊に手を出せば、光でも斬られそうですぅ」)
 そんな大人の呟きが向けられた相手は、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。彼女は自らの身体を光に変えて、離れた場所に退避している。
 その状態で戦場全体に探査を広げる事で、大人の隙を伺っているが……流石に相手は、なかなか隙を見せてくれない。
 が、それで良い。
(「慎重な関羽さんなら、こちらに警戒し意識を割いてくれるでしょうからぁ」)
 五龍陣で水行の力を宿す大人は、その影響によって慎重さを増している。だがいかに相手が猛将とて、その処理能力は無限ではない。るこるに一定の意識を割いてくれれば、その分だけ他の猟兵への注意が疎かになる。
「おらおらおらーっ!」
「ふん、小賢しい……!」
 そこを突くように、全力で戟を振るう涼鈴。2対1ではなく、3対1、その人数差が、前線を維持させている。
 いや、より正確に言えば――。
「お二人とも、頑張ってください……私が必ず支えますから!」
「ありがと、助かるっ!」
 その拮抗の最大の要因は、檬果が放つ波動――治療のユーベルコードだ。前衛の2人が傷を受けた端から、それを塞ぐ。
 もちろん涼鈴達が一方的にやられていれば治療も間に合わなかっただろうから、戦線が支えられているのは、彼女達の頑張りやるこるの干渉も有っての事だが。
「そちらが関帝だと言うのなら、こちらは漢方医学の祖の力です!」
 彼女がその身に降ろすのは、後漢末期の医師・張機の魂。奇しくも関姓を持つ医聖将の力を宿し、手にした珠を書物に変えた。
 張機が著したと言うその医学書を媒体として放たれる波動は、傷を癒やすのみならず、戦闘力を強化する。大人の武勇に対して、押し返せずとも踏み止まるだけの力を与える。
 押し切れぬ事に苛立ちを見せる大人は、ジロリとこちらを見回した。慎重さゆえに守勢に傾いていた彼だが、それでは猟兵を倒せないと感じたのだろう。
「なれば……ここからは蜀の力をもって、相手をしてやろう!」
「っ……!」
 そのヘルメットが輝きを増し、大人にさらなる力を与える。蛇鉾が、槍が、騎馬が、弓が――蜀将たちの得物が、電脳空間に具現化する。
 そこから放たれる武威に、息を呑む紫苑。仮に6割防げたとしても到底立ってはいられないと、ましてや反撃出来る確率など0だと、そう確信出来る。
「我らが武を持って、蹂躙してくれよう!」
「フン……義を語りながら世界を売るか」
 だがそんな凄まじき武に対して、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)が恐れず踏み込んだ。鞘に短刀を収めたまま、前衛に割り込み、正面から大人と対峙する。
「ならその腹の中に溜め込んだ汚泥ごと、叩き割ってやろう」
「甘く見られたものよ、ならばその澄まし顔ごと打ち砕いてくれるわ!」
 そんなキリカめがけて振るわれる、圧倒的な武と言う名の暴威。ありとあらゆる攻撃の尽くが、こちらの命を断たんと迫る。
 それに対してだがキリカは、動く事はなく。
「返すぞっ……!」
 ユーベルコードによる、自動反撃。斬撃に、刺突に、射撃に対し、受け流しては反撃を返す。
 無論、意識しての動きではない。考えて反撃していれば、到底間に合わない。反射による自動反撃によって、その武を真っ向から送り返す。
「ふん、口にするだけの事はある、が、その程度よっ!」
「っ……!」
 とはいえ、相手の攻撃はやはり苛烈。五虎大将の武勇の限りを尽くした連撃は、ユーベルコード一つで跳ね返せるほど甘くはない。防ぎ切れぬ攻撃が、彼女の身体に傷を刻む。オーバーロードによって引き上げる事で、なんとか拮抗に持ち込んでいく。
 そしてまた、反撃が大人を傷つければ、キリカの同じ位置に傷が帰る。あくまで傷を付けたのは大人自身の武、こちらが斬っている訳では無い――と言うつもりだったが、『大人の攻撃を反射する』と言うのも、害意に変わりはない。
 もしこれが五龍陣の外であれば、おそらくはそのような理屈も通っただろう。だが、陣により強化された呪詛の鎧は、詭弁による迂回を許してくれない。
「ふぅぅぅ……!」
「む……」
 だが。そうやってキリカの身体にどれほど傷が刻まれようと、彼女はその場を動く事はない。大人から与えられた傷は檬果によって治癒出来るものの、呪詛によって反射された傷は治らない――それでも、彼女はただ、その場でただ、反撃を続けていく。
 その視線はじっと、大人だけを真っ直ぐに見据えている。
「どうだ? お前の誇る武が、お前の腹を狙っている気分は」
「ふんっ、それがどうした!」
 そんなキリカを叩き潰すべく、大人は偃月刀を強く握る。呪詛でキリカにも傷が帰るとはいえ、大人が傷ついていない訳ではないのだ。
 これ以上長引かせれば厄介と見たのだろう、大人は一気にその攻めを加速する。いかにユーベルコードとて、これを防ぐ事はまず不可能――。
「恐れて、踏み込んだな」
「っ……!?」
 あるいはそれが本来の大人ならば、動じる事はなかったかもしれない。だが、水行の影響を強く受ける大人は、その慎重さゆえに、戦いを長引かせる事を嫌った。
 慎重さも過ぎれば、それは臆病となる。その恐れこそ、キリカが傷を負ってまで待ち望んだ瞬間。鞘に収められていた刃が、閃きと共に抜き放たれる。
「……それで終わりだ、関雲長」
「がっ……!!」
 刹那の瞬間に振るわれた斬撃が、大人の腹を斬り裂いた。黒龍の呪詛は、思慮深き刃を呪わない。深い傷が刻まれ、そこから鮮血が噴き上がる。
「義も誓いも、腹の底では泥に変わるか。その濁り、全て吐き出すがいい」
「おの……れぇっ……まだだ、まだ斃れぬ!」
 流石に一刀のみでは倒れないが、十分に大きなダメージだ。大人は怒りを滲ませるが、再び刃を鞘に収めたキリカを攻めあぐねる。
 それはまさしく、恐れであったのだろう。屈辱に唇を噛み締めながら、大人は声を張り上げる。
「孔明殿! 儂に守りを!」
「引きこもるか……無様なものだ」
 展開されるのは、石兵八陣。天才軍師の絶対の守りが、キリカを、他の猟兵を、大人から遠ざける。
「なんとでも言うが良い。お前達にこの守りは破れまい!」
「やれやれ、ようやく引きこもったわねぇ……」
 キリカの挑発的な言葉に対しても、もう大人は踏み込んでは来ない。その様子に対し、機を伺っていたティオレンシアが言葉を漏らす。
 慎重ならばもう少し早く結界に籠るかとも思っていたが、ただ引きこもると言うのもそれはそれで、不安を掻き立てるものなのだろう。
 何しろ無敵の結界に引きこもるよりも、全ての敵を目の前から消した方が、遥かに安全なのだから。
「でもこれでようやく、予定通りに攻略出来るわねぇ」
 バイク型UFOに跨った彼女は、その結界を真っ直ぐに見据える。宙に描き出すのは、力ある|文字《ルーン》。それを車体に刻み付けると、その銃を構えていく。
「これで……行けると思うのよねぇ!」
「ぬぅっ……」
 猛々しき『ウル』の文字を媒体に発動するのは、全ての防護を無視する突撃の力。ユーベルコードの基本効果は、個々の猟兵のアレンジが効く部分よりも強い効果を発揮する事が多い。
 ゆえにいかに強力な結界と言えど、彼女の銃は容易に阻まれる事はない。
「孔明殿の陣、そう容易く打ち破れると思うな……!」
「あらあらぁ……!」
 だが一方で、相手は名にし負う天才軍師の無敵の陣。その道理をも覆す程の堅牢さと、ルーン魔術をも理解する知略をもって、こちらの弾丸を弾き返し。
『もう少し――30cmほど右、ですぅ』
「右ね、了解っ!」
 そして次の弾丸は、正確に結界の隙間を縫って、大人の肩口を撃ち抜いた。驚愕と苦悶と共に、大きく体勢を崩す大人。
 彼女にアドバイスを送ったのは、戦場を祭器によって解析していたるこるだ。石兵八陣とは、結界である前に陣であり策である。解析できれば、弱まるのは道理。
 とはいえ無論、アイテムによる解析だけでは、突破は難しかっただろうが。あくまで、ティオレンシアのユーベルコードに対する最後の……しかし大きな一押しだ。
「お、おのれっ……がっ!?」
 ティオレンシアに攻略された事によって、石兵八陣は崩れ去る。無敵の結界が破られた事は、さしもの大人にも動揺を招き……そしてそれによって生じた一瞬の隙を、2本の光線が貫いた。
 1本は無論、ずっと機を伺っていたるこるだ。そしてもう1本は、檬果。治癒にて戦線を支え続けていた彼女だが、決して攻撃の意志がなかった訳ではない。
 細く細く収束させたビームを、針のように射出し、隙間を縫って腹を貫く。
「ようやく、隙を見せていただけましたねぇ」
「たとえ関帝と言えど、倒せない相手じゃないと言う事です!」
 苦悶に顔を歪め、口から血を吐き出す大人。さらに涼鈴と紫苑も、硬直した相手に一撃を叩き込んで。
「おらおらおらーっ! どうだーっ!」
「ここで、仕留めます……!」
 戟が、大太刀が、その腹を貫き、大人の動きを縫い留める。さらに血が溢れ、それでも大人は、偃月刀を振り上げて。
「まだ、だ……翼徳! 子龍! 孟起! 黄叙っ!!」
 励起される、電脳五虎将軍。『このままでは死ぬ』という状況においては、いかに慎重な性格とて、守りを捨てるものだ。
 その捨て身の武勇は、この戦況をも覆しうるもので――。
「やれやれ、随分しぶといけどぉ……そろそろ倒れてもらえないかしらねぇ」
 そしてもちろんティオレンシアは、そんな逆転をさせるつもりはない。勝利を意味するルーン・『ティール』からオーバーロードの力を引き出しつつ、大人に向けて銃を構え直す。
「もう少し、狙撃の練習もしておけばよかったかしらねぇ」
「っ……!!」
 狙撃手としては二流だからとぼやきつつ、可能な限り命中率を高めるべく、バイクで一気に間合いを詰める。
 これ以上近づけば斬られる、これ以上離れれば当たるか分からない、そんな距離で彼女は、引き金を引いて。
「私の銃の銘は、|黒曜石《オブシディアン》。土剋水の概念、叩き込んであげるわぁ」
「ごっ……ぉっ……!」
 その必殺の弾丸は、正確にその腹の中心を撃ち抜いた。その着弾点から、鎧にヒビが入り、そして広がっていき――。
「ぐっ……だが……儂が倒れても……他の……儂、が――が、はっ……!!」
 その鎧が、砕け散ると共に。大人の身体は、ゆっくりと後ろに倒れ込んだ。

「これでようやく、一人ですねぇ」
「システム・レディか。本当に厄介なものをばら撒いてくれたものだ」
 大人が倒れれば、五龍陣の治癒不能効果も消える。キリカが受けた反射ダメージを、治療していく檬果。
 2人がぼやくように、これで1人。五龍陣と言うくらいだから、最低あと4人と戦う事になるのだろうし、もちろん陣の外にもクローンはいるだろう。
「何人いようと、全部叩き斬るまで!」
「世界を滅ぼす事など、許す訳にはいきませんからね」
 大声で、あるいは静かに、戦意を燃やす涼鈴や紫苑。るこるやティオレンシアも、それに頷いて。
「まあ、結局勝つしかありませんからねぇ」
「タフな戦争になりそうねぇ。ま、いつもの事か」
 ともあれ、これで一勝。この勝利を積み重ねていけば、いずれは、全てのクローンを滅ぼす事も叶うだろう。
 そして――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

万・梦猫
ロンファ様から指示を仰ぐべきだと思いますが、
個人的にメイラン様の様子がみたいかもしれません。

別世界での猟兵達の戦争を見た上で思う事は、セプテントリオンが鴻鈞道人やグラン・グリモアより強いかどうか。
『蜀』などという理想の国のために、公司を巻き込んで部の悪い賭けをされては困りますからね。メイラン様ならセプテントリオンの情報も少しは持ってるかもしれませんしコチラのデータを見せながら意見は伺いたい所です。
まぁ、色々ありましたし、メイラン様と出会った瞬間殺されるかもしれませんが。

全ては公司の為に。必要であれは死にかけのCEOも切り捨てなければ。

※アレンジ歓迎



「あら、裏切り者のネコですね。何しに来たの?」
「裏切ったつもりは、ないんですけどねぇ。猟兵に目覚めたのも、事故と言うか」
 ――同時刻。万・梦猫(龍爪公司の『ネコ』・f41478)は一人、龍爪公司本社ビルを訪れていた。
 いかに彼女が公司の|特級社員《カンパニーマン》と言えど、特にこの状況下において、本来猟兵が単身で訪れられる場所ではない。
 と言うかまあ実際、殺されかけたのだが……目の前の女性の命令で、この重役室に通されたのである。
「猟兵など、どこにでも湧くウイルスのようなもの。感染した時点で論外よ」
「あはは……」
 ワン・メイラン、公司の反猟兵派閥の急先鋒で、かつての梦猫の上司。自分で通しておいての理不尽な物言いは、彼女らしいと苦笑する。
「普段ならとうに縊り殺している所だけど……今は良いわ。あの愚か者も、自分の為すべき事を弁えた事でしょうし」
「……ロンファ様ですね」
 今の梦猫の上司の名が出れば、今度はメイランはくつくつと楽しげに笑う。彼女にとっては長く対立してきた相手だが、だからこそ楽しいのだろう。
「大人から命令が下れば、あれももう逆らいはしないでしょう」
「……それが『蜀』とか言う、知らない国のためであっても、ですか?」
 梦猫がそう問えば、メイランは肩を竦める。何を当たり前の事を、と言わんばかりに。
「公司に有る者全て、公司のために生きるべし。CEOが世界を捧げろと言うのなら、捧げるのは当然でしょう?」
 言って彼女は、椅子から立ち上がった。梦猫の肩に手を置き、耳元で囁く。
「あなたも公司のオブリビオンなら、なすべき判断をなさい」
「……はい」
 部屋を出ていくメイランの足音を、立ち尽くして送る梦猫。全ては公司の為に。その言葉に、背くつもりはない。
 だが。
「――そのためには必要であれば、死にかけのCEOも切り捨てなければ」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2026年01月12日


挿絵イラスト