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🎃バトモンと友情の南瓜祭りと邪悪な博士！？

作者：七転 十五起

　グリモア猟兵の蛇塚・レモン（白鱗蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152）は、仮面舞踏会めいた綺羅びやかな仮面を被ったドレス姿で猟兵達を迎える。
「ちょっと早いけどハッピーハロウィン！　今年も全世界でハロウィンイベントを開催するために、悪者退治のお仕事だよっ！」

　今回の世界はバトルモンスターワールドだ！　バトモン達と一緒にハロウィンを楽しんでいると、どこからともなく邪悪なバトモン博士がやってきてハロウィンパーティー会場のバトモンを洗脳してしまうらしい！
「でも大丈夫！　ハロウィンパーティーを全身全霊で愉しめば、バトモン達は苦しみながらも自力で洗脳から抜け出せるよっ！　そうなれば反撃のチャンスっ！」
　邪悪は博士は様々な知識でかつての大戦を勝ち抜いた英雄だったが、戦争に勝利した後も学術的知識欲を抑えきれず、バトモンの犠牲を顧みない実験を繰り返して命を落とした後にオブリビオンとなって蘇った存在だ。博士の相棒のバトモンも、あらゆる命を刈り取るとされる怨霊ガニバトモン「シニガザミ」を使役している強敵だ。

「でもみんななら博士の洗脳に負けないくらいにハロウィンパーティーを盛り上げられるよねっ！？　唄って踊って、いっぱい食べてっ！　楽しめば楽しむほど、ハロウィンの魔力が高まってみんなとバトモン達がパワーアップするから、目いっぱいに楽しんできてね〜っ！」

「あっ、今回のパーティー、ドレスコードは【｜仮面舞踏会《マスカレイド》】だから、仮面を被ってきてねっ！」
　レモンが猟兵達をバトルモンスターワールドへの転送を開始する。
　さあ、愉快で賑やかなハロウィンパーティーの始まりだ！！

第1章 日常 『バトモンとハロウィン！』

POW   :    大きな声を出してイベントを盛り上げる SPD   :    バトモンと一緒にパフォーマンスを披露する WIZ   :    バトモンを連れた他の参加者と積極的に話す イラスト：del 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　カシム・ディーン（小さな竜眼・f12217）と相棒のメルシーは、バトルモンスターワールドのハロウィンパーティー会場に到着した。
「ご主人サマー☆　ハロウィンだぞ☆　ハロウィンでバトモンだぞ☆　ついでにご飯が美味しいぞ☆」
　真っ白な蝶の仮面を装着したメルシーが、パーティー会場のご馳走をパクパク食い荒らしている……。カシムはその横でチャーシューアップルパイを堪能しながら溜息を吐いた。
「いやがっつきすぎだろ！　つか、おめーもバトモンみてーなもん……いや、おめーがバトモンになったら世界は滅ぶな」
「ご主人サマー！？　げほげほっ☆」
　真顔で言い放つカシムにメルシーはショックでむせた。

　腹ごしらえが済むと、カシムは壁の花になることを嫌がって会場の中央へ躍り出る。
「取り敢えず……先ずは踊って歌うぞ！」
「わーい！　ねぇねぇご主人サマー☆　それならこの仮装衣装を着て歌って踊ろう☆　着替えはユーベルコードや技能でなんやかんや出来るから、超瞬間早着替え出来ちゃうぞ☆」
　仮面の下でニタニタするメルシー。普段のカシムなら警戒するところだが、イベントの高揚感がカシムを少し大胆にしてゆく。
「おう、そいつは気が利くじゃねぇか！　どれどれ？　どんな仮装なんだ？　カシムさんに似合わない仮装なんてないからな！　なんでもこい！」
「言質いただきました☆　それじゃあ……そぉいっ☆」
　ぼふんっと白い煙と爆発音がカシムを包みこんだかと思えば、白煙の中から出てきたのは金髪ポニテ低身長巨乳美少女の姿だった。
「おいぃぃぃぃいいっ！？　これって女児アニメ『魔女っ娘ぷりんせす』の黄色担当じゃねぇかぁぁぁ！！　いつの間にウィッグまで！？　つかおっぱい！？　おっぱい重たっ！？　そもそもおっぱいって仮装できるのかよっ！？」
「シリコン製だぞ☆　おっぱいは装備できるものだって、コスプレイヤーの間では常識だぞ☆」
　というか、カシムの仮装はどこぞのグリモア猟兵と瓜二つであった……。
「まぁ……彼奴も楽しみたかっただろうし……しゃーねーな！　僕が代わりに楽しんで土産話を持ってきてやるか！」
　カシムは女装（仮装）したまま、音楽に合わせて華麗なステップを踏み始める。というか、いきなり履かされたパンプスで細やかなステップを踏むカシムに、周囲の参加者は驚愕せざるを得ない。
「うぅ……なんか周りの視線がっ！　だが任務で今は楽しまないとだな……！　ああぁ〜！　なんで僕は女装が似合っっちまうんだぁ！？」
　本人はすごく不本意そうなのに、周囲からは「カワイイ！」「コスプレの質が高い」「性癖が歪んだ」などと大絶賛の声が上がる。メークアップを手掛けたメルシーは「あれはメルシーの作品だゾ〜☆」と豪語して、メイクテクを伝授する講演会を勝手に開催してやがる始末。
「ヒャッハー！　ノリだしたバトモンと一緒に踊るぜー！」
「ひゃっはー☆」
　そんな楽しくカオスな雰囲気に誘われてきたバトモンの名は「チョゴン」だ。２人と１匹は仲良くチョコレートケーキをシェアし合って楽しんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　ミルナ・シャイン（トロピカルラグーン・f34969）は仮面舞踏会と聞いて、なんだかソワソワ。
「｜仮面舞踏会《マスカレイド》……！　あれですわよね、少女漫画でヒロインがちょっと危険なヒーローに出会っちゃったりするイベント！　禁断の恋のお相手だったり、怪盗紳士だったり……！　一度出てみたかったんですのよね！」
　ハロウィンのお菓子のような甘い出会いを期待して、ミルナは目一杯のおめかしをして会場に足を踏み入れた。
　顔の上半分を隠すきらびやかな仮面をつけ、エメラルドグリーンのバッスルドレス姿でカーテシーをすれば、会場の参加者の視線が一気にミルナへ注がれる。
「すごいきれいな子だわ……」
「神秘的な女性だ……って人魚！？」
「どこの海のお姫様なのかなぁ？」
　ミルナの溢れる気品と魚の下半身が注目の的になっていることを、彼女自身は全く気に留めずに周囲をキョロキョロ。それもそのはず、ミルナは甘い出会いに胸をキャラメリゼの如く焦がしていたので周囲の視線や声など全く頭に入ってこない状況だ。
「わぁ素敵！　仮面で皆様の素顔は分からないけれど、きっとすごいイケメンがいたりするかも……！　もちろん愛しの君が一番ですけど！」
　そう、ミルナには心に決めたお相手がいる。だからこそのこの余裕、この天衣無縫ぶり。それでも出会いを求めてしまうのは、彼女が乙女である証なのだ。
「……少しくらいは、羽目を外しても良いですわよね？」
　ということで、ミルナは積極的に人の輪に入り、彼らの相棒であるバトモンにも声かけていく。そして歌って踊ってよく食べて、あっという間にミルナがパーティーの中心になっていた。

　賑わうパーティーの片隅で、怪しく笑みを浮かべる者がいた。トライ・ブリガンド（ダブルバトモンバトラー・f45425）である。

「仮面舞踏会……このイベントを盛り上げる方法はただひとつ！　ライ！　クー！　いくわよ！」
　パーティー会場の壇上へトライは駆け寄ると、２匹のバトモンと共にユーベルコードを繰り出した。
「――｜開演《カーテン・アップ》！」
　バチバチッと火花が散る音が会場内に轟けば、黄色いサイドテールヘアの怪盗が壇上のマイクを握って参加者へ語りかける。
「Ladies & Gentlemen ！　ハロウィンパーティーは楽しんでいる？　ここからは怪盗トライツインズがパーティーを盛り上げてあげるわ！」
　黄色い雷光の怪盗は、その素早い身のこなしでテクニカルなダンスを披露。雷鳴ドリフトを応用した鋭角ターンは見る者の心を一瞬で掴んで離さない。
　彼女は自分で投げたナイフを、猛ダッシュで回り込んでキャッチしてまた投げては先回ししてキャッチするという「ひとりナイフキャッチ」を披露して拍手喝采を浴びた。凄まじい脚力と俊敏性がなければ出来ない芸当だ。
「まだまだこれからよ！　もう一度、｜開演《カーテン・アップ》！」
　空中へ高く跳躍した雷鳴の怪盗は、今度は水色のツインテール怪盗へと変身！
「こっちはハイパワーモード！　大人だって軽々担いではしれちゃうわ！」
　そう宣言すると、近くにいたフランケンシュタインの仮想をした大男を片手で軽々と天へ掲げてみせたではないか。恐らく大男の体重は100kgはくだらないだろう。それでも怪力怪盗はスポンジを持ち上げるかのように楽々と持ち上げたのだ。
「あなたも一緒に踊ってみる？　踊れないならリードしてあげる」
　怪盗が手を差し出した相手は……なんとミルナだった。
（きゃぁぁぁー！　本当に怪盗紳士様に誘われちゃった！？　あ、でも女の子っぽい？　でも本当に仮面舞踏会って運命の出会いがあるのね！）
　ドキドキしながらトライの手を取るミルナ。そこからは目まぐるしく変わる黄色と水色が織りなす刺激的なアクロバティックダンスに、ミルナは目を回しながらも楽しくてはしゃいでしまう。
「楽しいですわ〜！　人魚ですから足はないけれど、ダンスにはそれなりに自信ありますの！」
「本当にダンスが上手だね？　おや、あなたにお誘いが来たようだね？」
　トライの指摘通り、ミルナの楽しい心がバトモン『ユニドル』を惹きつけたらしい。ユニドルはミルナの前で可愛らしいダンスを披露してみせる。
「この子……たてがみが流星みたいでとっても綺麗ですの！　本当の運命の出会いですわ！」
　ミルナは自身の心の波長があったバトモン『ユニドル』のダンスを褒めると、パートナーとして選ぶのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 ボス戦 『英雄教授「プロフェッサーT」』

POW   :    ギロチンせつだん 【怨霊ガニバトモン「シニガザミ」の鋭い鋏】で攻撃する。命中すると【生命力と魔力を吸収する呪詛】を纏い、レベル分間［怨霊ガニバトモン「シニガザミ」の鋭い鋏］の威力と切断力が上昇する。 SPD   :    ふくしゅうげき 自身の【使役する怨霊ガニバトモン「シニガザミ」】に【怨みと憎しみのオーラ】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する（敗北や死の危機に比例する）。 WIZ   :    きょうじゅのきょうりょくかいふくやく 【カバン】から【取り出したドーピング回復薬入り注射器】を飛ばし、命中した味方1体に肉体強化・負傷回復・意識回復効果を与える。 イラスト：函田実烏 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　パーティーもたけなわ、バトモン達は人間達との交流でハロウィンの魔力を溜め込んでいく。そして人間達との絆を結びはじめていた。
　しかし、そこへかつての英雄であるオブリビオン英雄教授「プロフェッサーT」が会場へ乱入する。
「ふむ、良質なバトモンばかり揃っているではないか。シニザガミ、邪魔する人間達は殺して構わない。私はバトモンを捕獲する」
　そう告げると、教授はパーティー会場内のバトモン全てに洗脳マシンによる洗脳を施してゆく……！
　さらに放たれた怨霊ガニバトモン「シニガザミ」が巨大なするどい切れ味のハサミで何でも斬り裂いてしまう。
　猟兵達と絆を結んだバトモン達も洗脳で苦しんでいる……！
　だがハロウィンの魔力と絆の大切さを知ったバトモン達なら、この戦闘を解くことが出来ると予知されていたはずだ！
　まずは教授とシニガザミの攻撃をかいくぐりながら、バトモン達が正気を取り戻せるように呼びかけなくてはならない！　バトモン達が目を覚ませば、きっと勝機が見えてくるだろう！！


　ミルナ・シャイン（トロピカルラグーン・f34969）の足元で、苦しそうに目を瞑って身体を震わせるバトモン『ユニドル』。ミルナはユニドルの手を握り、必死に語りかける。
「大丈夫、あなたはわたくしが必ず守りますわ。一緒にダンスした大切なお友達ですもの。わたくしの本当の姿、見せてあげる！」
　ミルナは仮面を脱ぎ捨て、絶対にユニドルを守ると誓う。そうすることでユーベルコード「｜君を守ると誓う《プロミス・プロテクション》」を発動させる。
「わたくしがあなたの盾になりますわ！」
　するとミルナの髪はセイレーンの水のような髪に変わり、人魚の尾ビレは人間の足に。マントを靡かせた王子様風の真の姿に変身した。これがミルナの真の姿だ。
「ある時は仮面のお姫様。しかして、その実態は……英雄を母に持つ護りの騎士！　プロフェッサーT、あなたの思い通りにはさせませんわっ！」
　巨大化した盾でシニガザミの攻撃を防ぐ。その盾から光線が放たれ、眩い光でシニガザミを怯ませた直後に、そのまま巨大な盾でシールドバッシュ！　巨大な『壁』に叩きつけられたシニガザミはプロフェッサーTの足元でひっくり返ってしまう。
「どんなに鋭いハサミでも切れないものはありますの、それはこの鉄壁の守りとこの子との絆！　この盾がある限り、この子には指一本触れさせませんわ！」
　プロフェッサーTは無言を貫くが、シニガザミの醜態に苛ついているのがよく分かる。そうしてミルナが時間を稼いでくれたお陰で、ユニモンの洗脳が解けていった。得意の流星ダンスを披露すれば、ステップを踏む度に美しい軌跡を描く光と共に小さな流星めいた光の弾丸が周囲へ撒き散らされる。それらがプロフェッサーTとシニガザミに幾度も押し寄せたことで、まったく前へ進むことが出来ない。
「くっ！　あのバトモンは諦めるぞ、シニガザミ。他の個体を狙うんだ……！」
　こうして過去の英雄の魔手からユニモンを守り抜いたミルナは、改めてパートナーとしてユニモンを向かい入れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　トライ・ブリガンド（ダブルバトモンバトラー・f45425）は急に苦しみだすバトモン達の対応に追われていた。
「……っ！？　みんなっ！？　ライとクーまで！？」
　相棒の2体のバトモンも無気力状態となってトライの声に応じようとしない。これは思っていたよりも厄介なことになった。
「……くっ。ええ、あたしにバトモン以外の｜サブプラン《対抗手段》はないわ！　でもだからって、このままだまっていられるわけないじゃない！」
　トライは右手を天に掲げると、ユーベルコードを行使するべく祈りを捧げる。
「ハロウィンの魔力……あたし達に力を貸して――【バトモン・ステラメイト】！」
　祈りは埒外の異能となって結実し、彼女の右手に球体状のハロウィンの魔力エネルギーが集束・凝固して輝くオーブを形成してゆく。ハロウィンオーブに触れたクリム（トライのシュリス）はハロウィン・ステラメイトの影響を受けて身体が煌めき出す。
「今こそ成果をみせるとき！　クリム！　あの日の特訓を思い出して！　さあ、浄化のクリーム津波よ！　幸せのクリームで、みんなの苦しみを和らげて！」
　過去の特訓の日々を思い出したクリムは、トライとの絆を思い出して復活する。そして命ぜられるまま、苦しむ仲間の場とモン達へホイップクリームの大波を浴びせてみせた。
「この日のために準備してきたことを忘れないで。今日、経験したことを思い出して。さあ立ち上がろう。あたし達は洗脳なんかにまけないっ！」
　懸命のバトモン救出作業の傍らで、プロフェッサーTにも隙を与えてしまってる事実にトライは気付いていない。
「愚かな事を。この隙にシニガザミを強化しよう」
　プロフェッサーTはシニガザミの関節へ特殊薬液を注射する。それはドーピング回復役であり、肉体強化・傷と意識を自動回復する。この瞬間、シニガザミは傷つくことを恐れぬ狂戦士になってしまった。そのまま猛るシニガザミはトライを攻撃する。
「きゃぁ！？」
　トライはバトモンの回復に専念しすぎて、教授たちへの対策を全く行っていなかった。かろうじて洗脳から溶けた他のバトモン達が庇って、鋭い攻撃を彼女の代わりに受け止めてくれたのだが……。
「そんな！　あたしのせいでみんなが傷付くなんて……！」
　トライはクリムにシニガザミを攻撃するように指示を出そうとしたが、彼女の目の前にはシニガザミのハサミが喉元へ迫っていた。

　――死。
　享年12歳。戦死――。

　そんな文言が頭を駆け巡り、周囲の動きが急にゆっくりに動き出す。ああ、これが走馬灯なのか。トライはいよいよ覚悟を決めた。

　その時だった。
「ヤっくん、かぼちゃ斬り！」
「ジャック！」
　トライとシニガザミの間に突如割って入ってきたかぼちゃオバケバトモン「ジャクオー」が、その両手に握る二刀流ジャックナイフを振るって敵のハサミを叩き落とす！
「うわ、かったーい！　今の、ハサミを関節からすぱーんって切り落とすつもりだったのに！」
　ゾンビバニーガールの仮装姿で乱入してきたフレーネジール・メーベルナッハ（俠気の凶奇の嬌喜の狂姫・f33354）は、シニガザミの強固な外骨格に思わず眼を丸くしてしまう。
「あ、大丈夫だった？　あとはボクにまかせて、キミはバトモンの洗脳を解いてって！」
「わ、分かったわ！　助けてくれてありがとう！」
　トライはフレーネジールに促されて戦線を離脱。代わりに首刈りウサギのニンジャお姉さんがプロフェッサーTとシニガザミを前にして、狂喜して凶器を見せびらかして狂鬼の如き戦闘力を振るう。
「あれあれ、もうオブリビオンがいるー。もしかしてボク、遅れちゃった？　遅れちゃった？　大遅刻？　まーいーや！　ボクもやるよやるよー！　ヤっくん、それと洗脳から目覚めたバトモンのみんな、行くよ行くよー♪」
　フレーネジールは大量のバトモン達とともに、プロフェッサーTを強襲開始！
「む、流石に多勢に無勢だな。シニガザミ！」
　使役するバトモンに漆黒のオーラを纏わせて強化させる教授。だがフレーネジールも同じ事を考えていた。
「ヤっくん、ナイフを強化してあげる！　そっちのヒゲをやっつけちゃって！」
「なに！？」
　フレーネジールがシニガザミを抑え込んでいる間に、大量のバトモンが教授をボロボロになるまで袋叩きにしてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　ザッカリー・ヴォート（｜宇宙海賊《スペース・コルセア》・f41752）は混乱するパーティ会場へ乱入すると、すぐさまプロフェッサーTを止めるために動いた。
「俺も宇宙海賊って荒事を生業にしてっから、世間様からすれば悪どい事をしてるもんだが……宇宙の仁義は通している。だが、てめぇのやってる真似は宇宙海賊の俺からも見て反吐が出るぜ。洗脳でもしねぇとバトモンすらまともに扱えねぇのか、ああ？」
　これに教授は呆れ返っていた。
「何を言うか。己で引き出せないバトモンの能力を最適化させた研究の成果が分からない賊ごときが」
「ああん？　てめぇ死んだぞ？」
　ブチギレる宇宙海賊。あのシニガザミも被害者でもあると考える彼は、怒りを教授にのみぶつけることにした。
「けっ、やるせねぇな。シニガザミは自分を洗脳した相手を守るのかよ」それにあの甲羅をぶっ壊すには骨が折れそうってのもあるし『ステイシスビーム』でおねんねして貰うか。奴さんがカバンから注射器を出しても意識が戻るまで針は通らねぇだろうし……」
　早業クイックドロウで抜いたレイガンで撃ちながら、ユーベルコードの効果でシニガザミを時間停止領域へ精神を追放させて止める。凍り付いたかのように微動だしなくなったシニガザミを横目に、宇宙海賊は踵を返した。
「自慢のバトモンが居ねぇとダメってか……洗脳されかけた野郎ども、後は自由にしな」
　次の瞬間、洗脳が解けたバトモンが怒りに任せて元凶へ殺到する！
「や、やめろ！　シニガザミ！　戻ってこい！　うおおおおおっ！？」
　教授の悲鳴がバトモンの群れの中から響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　カシム・ディーン（小さな竜眼・f12217）の相棒であるメルシーが、珍しく震えていた。
「ご主人サマー……」
「うん？　なんだおめー、ビビってんのか？」
　カシムに茶化されたメルシーが膨れっ面で抗議する。
「そんな訳ないよ！　ただ……その、シニガザミちゃん見てたら……怖い神機の子を思いだしちゃった……」
　よほど敵のバトモンが持つ巨大なハサミが怖いのか、顔面蒼白になって怯えだすメルシー。さすがにカシムもなにかおかしいと気付いた。
「そんなやべー奴なのか？」
「うん……ジャパニアが滅ぶレベル？　恨みが強い程強くなるヤバい子でね……？」
「まじヤベーな！？　ってうおっ！」
　カシムが咄嗟にシニガザミのハサミの一撃を念動障壁で弾き返した。
「会話中に攻撃してくんなぼけぇ！」
「いや失敬。君達があまりにも隙だらけだったので、簡単に殺せるかと思ったのだが。ふむ、不可視のバリアか。だが今の状況ならば、シニガザミのポテンシャルは最大まで引き上げられる……やれ」
　再びシニガザミのハサミがカシムを襲う。
「何度やっても無駄だ！　念動障壁があれば……」
「ご主人サマ、危ない！」
「ぐげぇ！？」
　メルシーがいきなりビーム大鎌剣ハルペーの柄でカシムを横へ突き飛ばす。カシムがいた場所は念動障壁ごとバッサリと斬り裂かれてしまっていた。
「うっそだろ！？　フォーミュラの攻撃すら防いできた無敵のバリアが、こうもあっさりと斬り裂かれるのかよ……！」
「言ったでしょ、ご主人サマ……『あの子』に似て、恨みや不利な状況に追い込まれて怒りを蓄えると、潜在能力が引き出されるんだって！」
　カシムは瞬間的に思考した。状況判断で、ここは先程懐いたバトモンに賭けるしかないと判断した。
「おいチョゴン！　負けるな！　彼奴らの怨念をお前のスイーツなチョコで癒してやれ！　そしていけ！　ダルク君！」
　チョゴンは口から美味しいチョコをカシムへ提供する。それを食べたカシムの脳に糖分が行き渡り、思考が高速化する！
「メルシー！　めっちゃ眩しい念動光弾をシニガザミへ撃ちまくれ！」
「りょ☆」
　メルシーは魔砲カドゥケウスから眩い光弾を何発もシニガザミへ連射！
「GYAAAAAA！？」
　恨みで更にパワーアップするシニガザミ！　しかしそこへ金貨型バトモン「トレトレ」ことダルク君が閃光の中へ飛び込んだ！
「大富豪アタックならぬ大富豪フラッシュだ！　ダルク君の輝きがメルシーの光弾の光をまとって目潰し攻撃だ！」
　ピカーッ！とひときわ眩しい輝きが、ハロウィンパーティー会場を飲み込んだ！
「うおおおおっ！？　眩しすぎる！！」
　これにはプロフェッサーＴも自身が使役するシニガザミが何処にいるのか視認できなくなる。シニガザミも死角を潰され、攻撃力を上げながらも虚無の空間にハサミをジョキンジョキンと鳴らし続けるだけだ。
「……金で命は買えねぇが金で命を護る事も出来るってか」
　あとは簡単だ。チョコゴンがシニガザミの背後から忍び寄ると、スイートブレスによる熱々チョコフォンデュ攻撃でコーティング拘束！　冷えて固まったチョコに囚われたシニガザミは、甘いチョコの香りに癒やされて恨みつらみが浄化されてしまう。
「のこりはテメーだけだなァ？　クソジジジがぁよぉー！？」
　カシムはユーベルコードを発動させると、超絶速度で鎌剣と打刀で博士を何度も斬り刻む！
「教授って事は金持ちだろぉ！？　おら金寄越せごらぁ！　ないなら身包み剥いで内臓も摘出して闇ルートへ売り飛ばすまでだおらぁん！　腎臓と目玉と金玉は片方なくなっても大丈夫なように、神様が2つ付けてくれてるんだからな！」
「メルシーは枯れた博士の御立派なマツタケを食べちゃうぞ♥　うわ、くっさ♥」
　もはやどっちが悪人なのかわからない状況だ。
　こうしてカシムはオブリビオン相手に強盗殺人・追い剥ぎ・臓器売買という悪行の限りを尽くし、メルシーは公然わいせつ罪と死体損壊罪をぶちかまし、ハロウィンを守った。
　……相手がオブリビオンじゃなければ、こいつらのやってることは極悪人の所業だけどな！？

＜了＞

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2025年11月20日