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蝶の星は|宇宙《そら》の|青藍《あお》を回遊する
その宇宙に星はない。
代わりに、白緑の輝きを淡く帯びて、天を遊泳する蝶の群れがいた。
青藍の世界を飛び回る、その光の群れに異なる色がひとつ、混ざった。
蒼炎は虚空を貫いて、真下に鎮座した神の身体をいとも容易く貫いた。
その亡骸は蛹の如く、ふたつに裂かれた肉体からは一際大きな光の蝶が羽化する。
光の蝶はひらり羽ばたき、天へ――宇宙へと昇る。
蒼蝶の女は、ただ黙してそれを見届けた。
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「神蝶遊星シャオヤオヨウは、星の代わりに宇宙を光る蝶が遊泳している小世界なんだ」
クレープ・シュゼット(蜂蜜王子・f38942)曰く、この世界では死ねばその魂は蝶となり、『宇宙を回遊する星』になる。生命の誕生の際は、蝶が一匹消えると言うが、転生を選ばず永く天に留まった蝶はいずれ『生命を乗せて育む星』になるともされる。
いずれにしても、輪廻転生にも似た思想が根強くあり、事実としてこの小世界はその思想の通りに成り立っている。
「基本的に、転生を選ばず……いわゆる『生き物が住める星』代わりになるのは歴代の神様らしいんだけどね。そういうのもあって、神様が死んで蝶になると、その力が継承されて、次の神様が選ばれるんだけど……今はその力が、別のところに渡っちゃっててね」
即ち、エリクシルによる神殺しがこの小世界でも起こったということだ。
「神様を殺したのは、葬送の蒼刃……『アゲハノタチ』とも呼ばれる、蒼い炎の翅を背負った女性の姿をした、エリクシルの怪物だよ」
エリクシルそのもの……ではないのだろうか。かと言って、マスカレイドでもなさそうな口ぶりだが。
「エリクシルによって受肉したものが、更にその力を分け与えられてエリクシル化した……と言うのが一番近いのかな? と言ってもこれはあくまで俺の考察で、それが正しいのかはちょっと予知では分からなかった」
ごめんね! と言いつつも、そこは然程重要ではないようで、クレープは話を本題に戻した。
「彼女はね、元々は主を失った太刀なんだ。病気で世を儚んでね。その主は病床で、戦場で華々しく散りたかったと嘆いたらしいよ。そして、その願いはエリクシルによって、歪んだ形で叶えられた」
その結果が、戦場に死に場所を求めて彷徨う忘れ形見の付喪神。
であれば、彼女が神を殺したその意図は。
「うん、小世界に渡って神様を殺してその力を奪ったなら。強いエンドブレイカーや猟兵が、自分を討伐しに来るだろうと踏んでのことだよ」
強者を呼び込むべく、彼女は神を討ち取った。
そして、その目論見通りに彼女は予知の網に捕らえられることとなる。
「思うところがある人はいるかも知れないけれどね、このままだと次の神様が生まれなくなっちゃうから。そうなると、緩やかでもやがて確実にこの世界は滅ぶ。だから、討伐をお願いするよ」
敵はこの世界を支配するつもりはない。
だが、与えられた力は遠慮なく使う心づもりのようだ。神の住処をダンジョン化し、光る糸を周囲に張り巡らせ、目くらましや足止め、拘束を行ってくると言う。
それを乗り越えてなお自分を討伐せんとする意志の折れぬ者との戦いこそ、求めていた強者との戦いであると言わんばかりに。
「ただ、幸いにして住人には手を出さないみたいだから、敵さえ倒してしまえば……そうだ! 無事に終わったら、夜のピクニックでもして帰ろうよ」
この日、シャオヤオヨウは雲一つない快晴が夜間も続く。
星はないが、星の代わりに宇宙を遊泳する光の蝶が、明るい星空にも似て青藍の空を照らし瞬くと言う。
「エリクシルを打倒する勇者にだって休息は必要だからね。お弁当とか用意していくといいよ。フルーツサンドでよかったら俺も作るしさ!」
なお、蝶は元々生命の魂であるゆえに、人懐こい個体もいると言う。
星代わりの光る蝶を眺めるだけでなく、戯れるという幻想的な体験も、もしかしたら出来るかも知れない。
「ま、何はともあれまずはエリクシルへの対処だね。皆、よろしく頼んだよ」
クレープが目配せひとつ。
一見してノリが軽いが、ここに揃った面々に任せておけば心配は要らない、という信頼も伝わる。
――さあ、小さな世界をまたひとつ、救いに行こうか。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあです。
第六猟兵でもピクニック。
流れと詳細は以下の通りになります。
第1章:ボス戦『『アゲハノタチ』葬送の蒼刃』
第2章:日常『夜空を見上げて』
第1章では、神の力を得たアゲハノタチさんとの戦いです。
戦場は屋内ながら広いものの、薄暗いのと、オープニングでもある通り、光る糸が周囲に張り巡らされ、隙を見せると目くらましや足留め拘束を行ってくる可能性があります。
それらへの対処も考えつつ、アゲハノタチさんも認めざるを得ないほどの全力の戦いをお願いします。
第2章では、星空ならぬ蝶空の下で夜のピクニックです。
静かに眺めるもよし、光る蝶と戯れるもよし。
また、一部(陸慧、シトロン、レオン単体)除いた拙宅グリモア猟兵がお声がけあればご一緒します。
(※呼ばれていないところに乱入はしませんのでご安心ください)
☆アイスについて☆
第2章ではクレープがフルーツサンドを作っていますが、彼の登場なしでもそれを受け取ることは可能です。
第2章でのプレイング冒頭に🥪でフルーツサンドをリプレイ外で受け取ったことになります。(見た目がフルーツサンドじゃないと言ってはいけない)
指定がなければイチゴ×カスタードになりますが、記号の後に以下の数字を指定で中身変更可能です。
(例としてイチゴ×生クリーム希望の場合、冒頭に🥪17となります)(デフォルトでOKの場合は🥪のみで通じます)
1:イチゴ、2:リンゴ、3:ナシ、4:ブドウ、5:ミカン
6:カスタードクリーム、7:生クリーム、8:チョコクリーム
なお、グループ参加は今回【最大2名】とさせていただきます。
※拙宅グリモア猟兵はこの制限に入りません。
第1章開始前に、断章を執筆予定です。
各章での追加情報も断章での描写という形で公開させていただきます。
断章公開後、プレイング受付開始日をタグにて告知させていただきますので、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『『アゲハノタチ』葬送の蒼刃』
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POW : 斬空閃
【太刀】に【無明の霊気】を付与して攻撃し、あらゆる物質を透過して対象の【臓腑】にのみダメージを与える。
SPD : ブレイジングバタフライ
自身の【身体】を【蒼く燃える炎の蝶と】化して攻撃し、ダメージと【業炎】の状態異常を与える。
WIZ : |天賦の才《イノセント》を見続けた蒼刃
行動成功率が0%でなければ、最低成功率が60%になる。
イラスト:なみはる
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠バルタン・ノーヴェ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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「………………」
黄昏時、蝶の光がまだ届かぬ頃。
神の住処と思われるそこは……教会だろうか。何にせよ、今や灯りも落ちて薄暗い。
蒼い炎と光る糸だけが、薄らと神域であったはずのそこを照らしている。
炎に照らされた中心にいる、蝶の女がおもむろに、目を開く。
「……来たか」
立ち上がる。
そして、刀を抜く。
近づいてくる『力』の気配を、鋭敏に感じ取っている。
死をもたらす戦場への希望を、その瞳の奥へと宿している。
「今や我が身は神殺しの悪神」
ゆえに。
己は討たれるべき存在である。
ならば、戦いを。
「手心は加えん」
感情は淡く微か、しかし眼光は射抜かんばかりに鋭く。
殺せぬのならば殺してやると、雄弁に物語る。
だが、ここで斃れるわけにはいかないだろう。
悪神と化した戦場の蝶に、葬送の炎を。
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です
かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます
例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします
響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです
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「……来たか」
気配を素早く察知し、瞑目を止めて見開く瞳。
蒼の瞳は二人の猟兵の女性へと向けられていた。
「神蝶遊星シャオヤオヨウの夜空。とても幻想的でしたわね」
「確かに、蝶が星のように輝く様は圧巻でしたね。……しかし」
「ええ、承知しておりますわ」
鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は暗赤の瞳で蒼を静かに射返して。
響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は穏やかに微笑みながらも隙を見せることはなく。
「相手にとって不足なし」
アゲハノタチの、眼鏡には適ったようだ。
「いざ」
抜刀。金属音。
炎上。蒼炎が広がる。
刃が蒼い光を冷たく反射する。
しかしその実、全て灼き尽くす烈火だ。
「やはり容易く抜かせてくれる相手ではなさそうですね。――|起動《イグニッション》!」
イグニッションカードから武装を展開。
そのひとつを、影華は手にした。赤の刀身に黒い刃。かつての友の教えを絶やさぬためにと造り上げた魔剣。
「剣には剣を。我が友の教えを此処に」
影華とアゲハノタチは、同時に地を蹴った。
赤と蒼が、真っ向からぶつかる。鍔迫り合いの形になる。
だが、直後。
「ッ!?」
影華が、血を吐いた。
「我が……太刀は、目に見える刃のみに非ず。練り上げた無明の霊気は音もなく、貴殿の臓腑を裂くことも可能。そしてこの身に染みた天賦の才、我が剣技が破られることはありえぬ」
「……それが……貴女の主の技、ですか」
ひくりと一瞬、アゲハノタチが眉を動かした。
一瞬の言い澱みに、影華はそれを察した。彼女は主の願いを代わりに叶えるだけにのみ、ここにいるのだ。
「お任せください、今……」
援護攻撃に回ろうとしていたリズだが、思いの外に味方の負傷が激しいと見て動きを変える。
透き通る硝子のフルートから、清く澄んだ音色を奏でれば、光の花弁が影華を取り巻いた。やがてそれらが降り注ぐと、瞬く間に痛みが消え、鉄の味も薄れていく。
「ところで、奇遇ですね」
「何を、……ぐッ!?」
今度は、アゲハノタチが苦しげにうめいた。
鍔迫り合いが解かれ、アゲハノタチがよろめき、たたらを踏む。
「まさか、貴殿も無明の霊気を」
「少し違いますね」
その答えは、後方で状況を観察していたリズが気がついていた。
「刀身の赤い部分が全て黒くなっている……加えて、魔力……いえ、呪力のような力を感じます。まさか、呪詛による一撃を?」
「そしてその呪いは、肉体に寄生、或いは憑依した存在のみを断ち切るもの。……即ち『付喪神』も」
「………………!」
合点がいったように、アゲハノタチの見開かれた眼がリズを、影華を映す。
深手は負った筈だ。だが致命傷には至っていないらしい。
続く猟兵たちに、勝敗の行方は託された。
成功
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