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浅葱のシャチ達の街で

#獣人戦線 #戦後 #幻朧帝国 #【Q】 #ロシア戦線 #シャチ #アサギの街

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●北へと拓いた先の街
 獣人戦線、ロシア東部。
 間宮海峡の北端に近い海辺に、シャチ達が人口の大半を占める街があった。
 北からはワルシャワ条約機構、西からは人民租界、そして東からは幻朧帝国に狙われながらもどうにか耐えてきたこの街も昨年の獣人世界大戦を超えて一時の平和な時が訪れていた。
 大陸にあるにも拘わらず、この街にはどことなく和風の雰囲気が立ち込めている。普通の洋服のみならず、浴衣や着物などを着ているシャチ獣人達もいて、料理店などにも|糧食《レーション》で再現された和食等もあるようだ。
 他の地から旅人が訪れる事もある程度の平和を謳歌するこの街――だが、幻朧帝国は逢魔弾道弾でこの街を逢魔が辻の惨禍に陥れようと密やかに破壊工作を計画しているのだった。

 グリモアベース。
「ちょっといいかな。獣人戦線でまた新たな事件が予知されたから力を貸してくれないかな」
 そう猟兵達に呼びかけるのは浴衣の装いのヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)というどこからどうみてもシャチ獣人なキマイラのグリモア猟兵。

「今回の事件はシャチ獣人が多く住む街を幻朧帝国のエージェントが逢魔弾道弾で破壊工作を仕掛けてくるってヤツだ。その破壊工作を成功させてしまうと街が逢魔が辻に変えられて、オブリビオン蠢く異形の都に変えられて大変なことになってしまう。その起爆を阻止するために設置前にエージェントを探し出して撃破するのが今回の依頼の概要になるよ」
 そうヴィクトルは説明すると、街について詳しく説明し始めた。

「標的となったシャチの街はロシア東部……樺太の北側から間宮海峡挟んだぐらいの位置にある。街の名前は『アサギ』で、場所柄近隣にある超大国からもよく狙われてたみたいだけど、昨年の獣人世界大戦で超大国の勢いが衰えてつかの間の平和を謳歌してるみたい。それで、この街はどことなく和風の空気……料理とか着物とかそういうのに江戸とか明治とかその辺りの雰囲気が一部混ざってる感じがあるみたい。何かこの街の発祥が日本から渡ってきた開拓民だとかそんな話があるらしいけど、ともかくその街で観光楽しみつつ情報収集、もしくは現地のシャチと交流するといいみたいだね」
 そう説明するヴィクトル、彼の説明は破壊工作を仕掛けてくるオブリビオンについてに移る。

「今回狙ってくるのは『陸軍大尉・茂木竜迅』って恐竜人のオブリビオンだ。白兵戦を得意として全身を上手く武器として使ってガンガン攻めてくるみたいだから勢いに負けないよう応戦する必要があるかもしれない。もし現地民の協力が得られてたらいい感じに接近戦は任せられるかもしれない。というのも、どうもこの街の兵士はサーベルとかでの剣術を得意としてるみたいなんだ。ユーベルコードには勝ちきれなくても自分の身を守りつつ足止めする位には戦える感じかな。まあ、あまり頼り過ぎるのはよくないけど参考までにね」
 敵について説明したヴィクトルは、腰の帯にかけていた鍵をグリモアを手に持って転送の準備を開始する。

「つい最近ウシとカラスがユーベルコードに覚醒したけど、この獣人戦線にはまだまだ未覚醒の種族は多くいる。多くの事件を解決して彼らを守っていくことが多分彼らの覚醒に必要なんだろうね。ともかく、まだ猟兵としては戦えないシャチ獣人達の命を守るために、どうかよろしく頼むね」
 そうヴィクトルは話を締め括り、猟兵達をロシア東部のシャチ達の街へと転送したのだった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 何回か狙われそうな気がします。

 第一章はロシア東部のシャチ獣人達の街で観光しましょう。
 地理的には樺太最北部に近い間宮海峡挟んだ辺りにあるようで、先祖が日本から渡ってきたのか一部日本風味になっているようです。なお現地民は剣術を得意としているようです。
 第二章は逢魔弾道弾を設置しようとやってくる『陸軍大尉・茂木竜迅』との戦いになります。
 こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『観光を楽しもう!』

POW   :    とにかく体当たりで積極的に楽しむ

SPD   :    あちこち素早く回りつつたっぷり楽しむ

WIZ   :    ガイドブックや案内を確認しながらのんびり楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

とりあえずなにか食べられるならよほどのゲテモノでない限り喜んで食べる
やっぱり病院のご飯よりお外で食べるもののほうがおいしいよ…

イベントなどでわちゃわちゃする場合も乗って動く
ボクこういうのはじめて!すっごく楽しみだな!
(ずっと病院にいたのでお祭りとかイベントごとはあまり遊べなかった)

あとはやることに対してわーきゃー喜んだり
技能も状況に合わせて使用するかも

アドリブ絡み歓迎



●東の果てのシャチの街
 ユーラシア大陸の東の果てに近い位置にある街『アサギ』。
 東からは海から幻朧帝国、北や西の陸路からはワルシャワ条約機構に人民租界が攻めてくる危険地帯なのだが、住民たちの必死の抵抗と超大国同士の牽制や昨年の獣人世界大戦の影響もあって侵略に負けず街を維持していた。
 超大国の勢いが弱まり比較的平和な時がやってきて、旅人がやって来る位には平穏を謳歌しているこの街。しかしその気の緩みを突くように幻朧帝国のエージェントはやってきて、この街をオブリビオン蠢く歪んだ魔都へと変えようとしているのだ。

 そんな悲劇を防ぐためにこのアサギの街へとやってきた猟兵達。その中の一人、百地・モユル(ももも・f03218)は地理的に既に肌寒くなっているこの街に合わせた格好で街をうろついて、情報収集と同時に観光を楽しんでいた。
「わーこれって藍染めだよね!」
『おう、そうだぞ。いい具合に再現できてるだろ!』
 服屋に並んでいるシャチ向けの服に興味津々なモユルに、若い店主のシャチは機嫌よく教えてくれる。
 本来ならタデアイ等の植物を使って染めるらしい藍染だが、|糧食《レーション》でも使われている着色技術の応用でこのように綺麗に発色させているようだ。
「それにしても何となく和服っぽいような……?」
『ご先祖様が日本から渡ってきててな。そっちの影響が強く残ってるんだ』
 店主の答えになるほど、と納得するモユル。
『こっちの服とか着てみるか? 他にも丁度いいサイズのがあるぞ』
 そう言いながら店主が店の商品から一つ選び持ってきたのは目も覚めるような、この街の名と同じ名の明るい水色を基調にした着物。
 とても目立ちそうではあるけれども、これも珍しい経験だと好奇心旺盛なモユルは店主の勧める服を楽しげに見たり試着したりし、たっぷり楽しむのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
逢魔が辻なんて発生させません
アサギの皆さんと街を守り抜きましょう

竪琴を爪弾きながら
街中をそぞろ歩いて
異国情緒を楽しみながら竜迅さんを探します
確か恐竜人の方と聞いています
この街ではそれなりに目立つでしょう

確かにレトロな日本チックなところと
ロシアの文化とが混ざり合っていて
とっても魅力的ですね
素敵です♪

お店等から聞こえてくる旋律に合わせるように
演奏してみたりします
きっとアサギの街で流行っていたり
或いは長く愛されたりしている曲なのでしょう

街角で辻音楽師っぽくその曲を披露したり
もし聴衆の方がいたらリクエストを受け付けたり
地元の曲を教えてもらったりして
仲良しさんになります
恐竜人さんを見かけませんでしたか?



●黒猫の辻演奏
 一方、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)という黒のケットシーは愛用の竪琴『|カッツェンリート《ねこのうた》』を爪弾きながらアサギの街を歩いていた。
 街を行き交うシャチ獣人達は普通の人間と比較しても小さなケットシーにすれば見上げるような巨人の群れ。それでも彼の奏でる竪琴の音色はシャチたちにもよく響き、その音色に足を止め振り返るシャチたちも大勢いる。
(「レトロな日本とロシアの文化が混ざり合ってて、素敵です♪」)
 この街の造りはシャチ獣人に合わせたロシア風の造りが基礎になっている。それに加えかつて日本からやってきた移住者が齎したレトロな和風の要素が重なりあまり見ないものになっている。
 そんな魅力的な街並みを歩き回り楽しみなつつ、仄々の緑瞳は緋色の鱗の恐竜人――幻朧帝国のエージェントを探っている。
 白黒の体色に和風の衣装纏う大柄なシャチたち、そんな中で恐竜人はそれなりに目立つだろう。まだ彼の視界にはそんな恐竜人は見当たらないけれども、この街を守りに来た仄々としては少しでも早く探し当てたいところだ。
 とはいえ、あまり焦っていても仕方がない。丁度カフェの多い通りに足を踏み入れた緑瞳の黒猫は足を止めて、お店から聞こえる旋律に合わせて辻音楽師のように竪琴を奏で始める。
 聴こえてくるのはこの街で流行っていたり長く愛されている曲なのだろう。どことなく演歌のような雰囲気のメロディをいい具合に竪琴向きにアレンジして合わせ奏でる仄々。
 普段聞き慣れた音に竪琴の音色が加わりちょっとしたギャップで厚みを増した曲に、通行人もつい足を止めて聞き惚れだんだんひとが集まってきて。
『いい音楽だね。こんな曲とか弾けたりするかな……?』
 おずおずと言ってくるのはシャチの少年、それでも仄々よりもずっと大きな彼のリクエストに応え、お返しにとこの街で流行っている他の曲を教えてもらう仄々。
「そういえば最近、恐竜人さんを見かけませんでしたか?」
 すっかりシャチたちと打ち解けた仄々が話を切り出せば、なんだか不審な恐竜人を見たと青年のシャチが教えてくれる。
『この街でも恐竜人は珍しいからなあ。あっちにある集会所に向かってるんだと思う』
「ありがとうございます!」
 そうお礼を言いつつ、演奏を終えた仄々は聴衆に手を振りつつ教えてもらった集会所へと静かに駆け出していく。
(「逢魔が辻なんて発生させません」)
 このアサギの街を、街のひとびとを守り抜くために、楽師の黒猫は気合十分にエージェントの元へと向かっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『陸軍大尉・茂木竜迅』

POW   :    武器は刃のみに非ず
【鞭のようにしなる強靭な自身の尾】のスイングで近接範囲の敵全員にダメージを与え、100m吹き飛ばす。
SPD   :    血塗れ緋竜
【炎を纏わせた日本刀】で攻撃する。命中すると【敵の返り血と緋色の陽炎】を纏い、レベル分間[炎を纏わせた日本刀]の威力と切断力が上昇する。
WIZ   :    死線は此処に
【全身に燃え盛る炎の如き緋色の刃の鱗】を生やした【鏖殺】形態に変身する。毎行動時、敵味方問わずランダムな対象を合計10回攻撃する。

イラスト:月夜野サクラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ソニア・コーンフィールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暴れる恐竜を倒せ
 そして、集会所に向かっていくひとりの恐竜人。
『何ともまあ平和してんなここのヤツらは』
 呟く彼こそ幻朧帝国のエージェント『陸軍大尉・茂木竜迅』。
 腰の日本刀に手をかけて一気呵成に集会所へと突撃、制圧してそのまま逢魔弾道弾を設置しようと企んでいるようだ。
 しかし、
『御用だ御用だ! そこの不審恐竜人!』
 その目論見は警備のシャチ獣人達に阻まれる。先回りした猟兵から伝えられた不審者の情報で警戒網を張っており、それに引っかかった形となる。
『ふん、この程度の数で俺をどうにかできると思われてたとはな……!』
 刀を抜き放ち構える竜迅、白兵戦を得意とする彼はこの人数相手でも任務をやり遂げる自信があり、実際その実力もあるのだろう。
 しかしここには猟兵がいる。シャチ獣人達と上手く連携する事でこの厄介なエージェントを撃破する事も不可能ではない。
 エージェントと猟兵がユーベルコードを起動、和の空気漂うロシアの街での戦いの火蓋が切られたのだった。
政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。

SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎


仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



●振るわれる恐竜の刃
『取り押さえろ!』
『捕まえられやしねぇ!!』
 サーベルを手に向かってくるシャチの警備兵達に、恐竜人のエージェントは手にした日本刀に炎纏わせ構えサーベルを切り払い迎撃する。
 白兵戦を得意とするオブリビオン、体格差からくる膂力差などないように器用に刃を打ち付けシャチ兵士の体勢を崩して包囲されぬように上手くやり過ごしながら斬りつけ返り血と緋色の陽炎を纏い力を高めていく。
『そんな古臭い剣術に負けるかよ』
 邪悪に口元を歪める恐竜人、だがシャチの攻勢が一度止んだタイミングで迫ってきた妖狐の政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)のただならぬ気配には、余裕の笑みが肉食獣の凶暴な牙を剥いた獰猛な表情へと変化していく。
「ふーん、貴方がこの街を壊しに来たエージェント、ね」
 彼女の手にはスパイク付きの鎖型拷問具『荊野鎖』が握られていて、そしてその眼は悪を見逃さぬ鋭さで竜迅を睨みつけている。
「恨みを晴らすためでもなく、悦に入るためにここの獣人達を手にかけようとするなら――その咎はキッチリ清算してから骸の海に帰って貰うよ」
『できるもんならやってみやがれ!』
 心底冷え切った朱鞠の言葉に恐竜人は燃え盛る日本刀を手に朱鞠へとダッシュで迫り切り捨てようとする。
 だが、
『……当たらねえ! どんな身のこなししてやがる!?』
「我が身は枝垂れる柳葉……風の吹くままにそよぎ……向かう刃は我が身に届かぬ……」
 急所を的確に切り裂く鋭い剣戟の嵐を朱鞠は最低限の動きで回避し、間合いを取っていく。
 彼女が起動している【柳風歩】のユーベルコードにより竜迅の軍服が僅かに起こす衣擦れの風からその攻撃軌道を見切り躱しているだけなのだが、幾ら鋭さを増した刃でも当てられなければ意味はない。
 柳葉のように受けず躱す朱鞠に激昂し竜迅の戦場で磨かれた荒っぽい剣術はより苛烈になっていく。しかし同時に、周囲への注意が疎かになっていて。
 その隙を見逃さず仕掛けるのは『ネイル』――多重人格者である仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)の副人格の一つ。
 起動するのは【手裏剣投げ】、シャチ達の和の雰囲気の混ざった街並みの屋根の上から竜迅の背を目掛けて手裏剣を投擲する。
『あっぶねぇな!?』
 第六感からかその危険を予知したオブリビオンは咄嗟に日本刀を後方に振るい、自身に命中する軌道の手裏剣を切り払い弾き飛ばす。
 しかし、その直後に恐竜人の動きはぴたりと止まる。
 手裏剣が狙っていたのは彼自身だけでなくその影、影縫いの力を有している手裏剣に影を貫かれ、オブリビオンの動きが停止したのだ。
 影縫いで動きが止まった瞬間、朱鞠が荊野鎖を振り回し竜迅の足を絡め捕りスパイクを突き立てる。強靭な鱗と言えどそのスパイクは容易く貫通し、肉に食い込みずたずたに引き裂いていく。
 更にネイルがコートの袖口からダガーを抜いてトレンチコートを脱ぎ捨てながら屋根から軽やかに飛び降り一気に竜迅へと迫り切りつける。
 加速したネイルの刃から恐竜人のエージェントは咄嗟に急所を守る事しかできず、片腕を深く切り裂かれ血が派手に噴出する。
 ――ネイルにとってはバトルもまた芸術、美しく華麗に戦うネイルにシャチの兵士達は態勢を立て直しつつも感心したように見つめているようだ。
『やってくれるじゃねえか……』
 陽炎と返り血、そして自身の血に塗れながら足に絡まったスパイクを強引に剥がし猟兵達を睨みつけるエージェント。
 戦いはまだ始まったばかり、朱鞠とネイルは向かってくるオブリビオンに得物を構え直すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュ。誰かの願いで転生した元影朧。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。
猟兵になっていろいろ経験し悩みを乗り越えた。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭いません。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は絶対にしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。

逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。
ちゃんと説明は聞いてマシタヨ?(地の文と目を合わせない)

戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。

……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)



●不機嫌と雷は烈火を散らして
『よくもやりやがったな!』
 片腕と片足を傷つけられたオブリビオンは全身に緋色の刃の鱗を生やした鏖殺形態へと変身する。
 燃え盛る炎の如き刃鱗は敵味方問わず――今回は味方などいないから敵だけをランダムに10回攻撃する正に暴竜とも呼べる荒々しき形態。
 日本刀と全身の刃鱗を振り回し猟兵のみならずシャチの警備兵達をも切り裂き暴れようとする彼の前に転移してきたのは夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)というクリスタリアン、そして不機嫌な顔をした城田・紗希(人間の探索者・f01927)の二人。
 暴力を振るう事を愉しむこのオブリビオンには心優しき藍も情けをかける必要はない、そう即座に判断した藍が取り出したるは仄かな青白い月光放つ打刀『青月』。
 反りの浅い鋒両刃造の刃は宝貝『雷公鞭』でもあり、それを正面に構え起動するのは【宝貝「雷公天絶陣」】のユーベルコード。
 雷と親和性の高い青月から放たれた雷が刃鱗を全身に纏う緋竜へと降り注ぐ。白兵戦を得意とする恐竜人でも雷撃の速度は躱せず、その身を撃たれた暴竜は感電し筋肉が硬直、生じた隙に切り込んでいくのは日本刀『紅時雨』を構えた紗希。
「遺言はそれでいい? 他に言い残すことは?」
 起動するのは【最後の審判】、切り裂かれ引き裂かれ感電させられて怒りを露にしているこのオブリビオンよりもなお不機嫌――恐らく空腹とか然程他人には重要には思えないことが切っ掛けなのだろうが沸点は人それぞれだからそうなっても不思議ではないのだろう。
 燃え盛る炎のように振るわれる全身の刃鱗を集中して見切り回避し、そしてその隙間に日本刀を突き込み彼自身の血液で緋色の鱗が深い赤に染まっていく。
 咄嗟に紗希から無事な脚と尾を器用に使って飛び退き構え直すエージェント。不機嫌さはまだ健在らしい紗希は更なる|憂さ晴らし《八つ当たり》を試みんと追いかけ迫り。
 そんな彼女の背を見ながら藍は青月を構え支援。もふ成分には少々欠けているこの街だけれども、この街を救うために宝貝から雷を降らせていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UCは業火の一撃、灼熱の束縛などを使っていきたい

攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる

逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター
こいつがボスか…
みんな大丈夫?助けにきたよ!

そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!

技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態

アドリブ絡み歓迎

説得できる場合は説得したい
同情の余地がある敵には情を漏らすことも
ほかの技能も状況に合わせて使うよ


諏訪野・啓太郎(サポート)
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
 スペースノイドのスターライダー×電脳魔術士、34歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、負傷した仲間には「元気に(俺、~くん、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●暴竜討つは正義の心
 怯んだエージェントはかなりの劣勢、猟兵達の攻撃に加え隙を見て切りかかってくるシャチたちの集団剣術も油断はできない。
 体格の巨大なシャチ達の剣術そのものはやや古臭くはあるけれども、一度大きな隙を作ってしまえば一気に持っていかれる位の膂力はある。
 囲まれぬよう時折走り状況を仕切り直してはいるのだが、その上で徐々に水場の方に追い込まれている事をオブリビオンは強くなってくる潮の匂いから悟る。
 陸でこれだけ連携してくるなら海ではどれだけ厄介になるのだろう――そんな事を思っているのか恐竜人の顔に焦りが浮かび、そして彼の前に立ちはだかる猟兵二人がその焦りを決定的なものにする。
「ここは通さないよ!」
 エレメントガントレットに炎宿し構える百地・モユル(ももも・f03218)、そして彼を大型バイクに乗せてこの場に駆けつけてきた諏訪野・啓太郎(さすらいのライダー・f20403)の二人を正面に、後方から追ってくるシャチ獣人の警備兵達。追い込まれる以前に挟撃された事を不利を理解したのと後方からのシャチ達の突撃が襲いかかるのはほぼ同時。
『洒落臭え!!』
 怒声と共に尾をしならせた竜迅が後方を尾で薙ぎ払う。咄嗟に刃を合わせ直撃を防ぐシャチたち、しかしその巨体はユーベルコードの効果で大きく後方へと弾き飛ばされて、ロシア風の家の壁に衝突させられてしまう。
 迂闊に飛び込んでいれば自分も同じように吹き飛ばされていただろう、冷や汗が額を伝うのを感じながら、しかしモユルは怯むことなく真っ向からの突撃を敢行。
 炎の如き少年を迎撃しようと傷だらけの恐竜人が構え直そうとするが、しかし竜迅の瞳に写ったのは少年の後方、腕に装着したスーパークラッシャーを構えた啓太郎の姿。
「これでとどめだ、決めるぜ!」
 彼が起動するのは【スーパーフィニッシュ】、全武装の一斉発射により放たれたサイキックエネルギーの砲撃がモユルを追い抜きオブリビオンへと迫る。
 直撃すればひとたまりもない、そう判断した恐竜人は構えた日本刀と尾の薙ぎ払いで砲撃を切り払い受け流し相殺する。しかしそれで一息つく間もなく、飛び込んできたモユルに対応せざるを得ない。
「燃ゆる命の炎、見せてやるぜ!」
 得物に炎を纏わせ燃やし尽くすユーベルコード【業火の一撃】、まともに受ける訳にはいかぬともう一回転して尾で迎撃する竜迅。しならせ勢いのついた尾と焔の拳が衝突――、
「みんなを痛めつけるなんて許せない!」
 衝突の軍配はモユルに上がる。この街の人々を傷つけられたモユルの正義感と勇気、そして怪力が振るわれた尾を弾き飛ばしそのまま恐竜人の胴に拳が叩き込まれる。
 一気に全身へと燃え広がる炎、紅蓮に輝く高熱がオブリビオンを逢魔弾道弾ごと跡形もなく焼き尽くしていく。
『こんなところで……だがオレじゃない誰かがまた……』
 何かを言いかけた幻朧帝国のエージェントの言葉が途切れ、そのまま消滅する。
「……そうだ、吹き飛ばされたひと達は!?」
 モユルが吹き飛ばされたシャチ獣人達の方を振り向けば、どうやら彼らも命に別状は無いようでほっと一安心する。
(「……まだこの街を狙ってくるつもり、なのか?」)
 オブリビオンの最後の言葉に、啓太郎は静かに思考する。
 地理的には他の超大国に奪われる前に抑えておきたい場所なのだろう。手を変え品を変えしつこく狙われる可能性は否定できない。
 しかしまた狙われたならその都度迎撃するだけだ。先のことはまたその時に考えれば良いと旅烏は考え直しつつ再び大型バイクに騎乗し走り出した。

 かくしてシャチ獣人達の多く住まうアサギの街を襲った災厄は一旦は退けられた。
 次の襲撃はいつになるのか不安はあるものの、一旦猟兵達は勝利の報告とともにグリモアベースへと帰還したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年10月28日


挿絵イラスト