悪鯱は防壁の街を再び狙う
●備えは大事で
獣人戦線、欧州北部。
ノルウェー南西部に少数種族であるシャチたちの街がある。
つい先日も幻朧帝国の破壊工作の標的になったが、猟兵達の助けにより危険は退けられつかの間の平穏な時を過ごしていた。
ただ少しばかり気になるのは武装の状態。連戦とそれによる補給の停滞で少々心許なくなり、整備の手も回り切っていないのだ。
小競り合いならともかく、次の激しい戦いが始まれば武装の不調はまずいことに繋がる可能性がある。ここはまとめて整備を行わねばならぬとシャチ達は考えているけれども、水中用の特殊な武器等は汎用的な武器に比べ後回しになりがちである。
そんな状況を知ってか、逢魔弾道弾を手に悪しきシャチ獣人のエージェントが再度、この街に逢魔弾道弾の災禍を齎さんと忍び寄っていた。
グリモアベース。
「一気に過ごしやすい気温になってきたねえ……と、獣人戦線でまた事件の予知が見えたから皆の力を貸してくれないかな」
そう猟兵達に呼びかけるのはシャチのキマイラであるヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)。
「世界各地に特定種族が多く住む街が存在してて、その一つが幻朧帝国に狙われて逢魔弾道弾を起爆させられちゃうって事件。今回狙われてるのはノルウェー南西部にある少数種族のシャチ獣人が多く住む街だ。先々月位にも幻朧帝国が破壊工作を仕掛けてきて猟兵の活躍で阻止されたんだけど、どうも性懲りもなくまた狙ってくるみたいなんだ。だからエージェントが破壊工作をやり遂げる前に交戦、撃破して欲しい」
そうヴィクトルは予知の概要を説明すると、街について詳細を語り始める。
「標的となったシャチの街は海辺の街で、海岸には上陸を防ぐための防壁が築かれてる。前は一部壊れててそこから潜入されたけど、今回は修理完了してて侵入経路もかなり絞られてるから迎撃する事自体は難しくないだろう。予知で夜に仕掛けてくるって大まかな時間帯も判明してる。ただ……ちょっと最近この街で超大国との戦いが重なって武装の整備がおろそかになってて、その上補給も滞ってるから不調な武器をやむを得ず使うような状況になってるみたい。エージェントが来るまでの間に彼らの武装で悪いのを効率的に見つけて整備したり補給を手伝ったりすることができれば、戦闘でいい感じの援護を受けられるかもしれないよ」
ヴィクトルはそう説明し、次に破壊工作を仕掛けてくるオブリビオンについて語る。
「今回も狙ってくるのは『海軍中佐・碓氷勇魚』ってシャチ獣人のオブリビオンだ。……リベンジなのか、獲物への執着心がクマ並だったりしてるのかもしれないけども、それはさておき得意な海中環境に戦場を塗り替えたり大量の海水操って攻撃してくるから対策してた方がいいかも。あと今回も現地のシャチ獣人が協力してくれるみたいだけど、武装の準備ができてないと実力発揮できずに援護も控えめになるかも」
だからできるだけ整備のお手伝いお願いね、とヴィクトルは説明して、首にかけた鍵をグリモアを手に持って転送の準備を開始する。
「諦めの悪い幻朧帝国だけど、一つでも通してしまったら無辜の獣人達に大きな被害が出ちゃう事は間違いない。虐殺を防ぐために、一つ一つの事件を頑張って解決していこう」
そうヴィクトルは話を締め括り、猟兵達を北欧のシャチ達の街へと再度転送したのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
武器のお手入れも大事です。
第一章は欧州北部のシャチ獣人達の街で武装整備のお手伝いをしましょう。
メンテが甘いだけでなく壊れている武装もあるようで、効率的に発見したりメンテすれば喜ばれることでしょう。
第二章は逢魔弾道弾を設置しようとやってくる『海軍中佐・碓氷勇魚』との戦いになります。
こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『武装整備』
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POW : 損傷した武装を修理する
SPD : 武装を改造し、新機能を搭載する
WIZ : 武装を点検し、状態を保つ
イラスト:仁吉
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」
基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。
探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。
情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。
戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。
クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
他の猟兵に迷惑はかけないよ♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこい♪
絡みOK、NG無しだよ★
UCは状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★
後はMS様におまかせするね♪
よろしくおねがいします★
●できる時にじっくりと
波打ち際に防壁を築き、超大国の海からの侵攻から無辜の獣人達を守ってきたノルウェー南西部のシャチの街。
破壊された防壁も以前猟兵達の助力により無事修復され、そして同時に襲撃してきた幻朧帝国のエージェントも撃破したこの街だが、現在武装の整備に少々頭を悩ませていた。
戦いでの損傷は勿論のこと海戦で主に戦ってきたこの街の兵の武器は、海水や潮風の影響で錆びやすく傷みやすい。
その上水上用の銃器などもあるからメンテナンスも一々大変で、大柄なシャチたちにとっても一苦労のようだ。
「ふーむ、大変そうだねぇ。……アタシの力、入り用かい?」
そんなシャチの兵士達に親し気に声をかけるのは数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)。
猟兵である彼女の申し出にシャチ獣人達は大喜び、早速未整備の武装を保管している倉庫へと案内してくれた。
そこにある水上戦用の銃を解体し、細かな部品の欠けや錆などを確認して必要に応じ次々に交換していく多喜。大柄なシャチの兵士に合わせたサイズの武装は多喜には少々大きすぎるが、UDCアースで言う第一次世界大戦頃の技術レベルの獣人戦線で兵士たちが整備できる位には整備性もよく作られているようで、多少メカニック知識のある多喜なら十分に整備可能なものが大半だ。
携行できる程度のサイズの武器や兵器なら【弱点特攻作成】のユーベルコードで偽物を作る事ができるが、精度が要求される銃器等には使わない方がいいだろう。一方で、工作精度をそれ程要求されないシンプルなハンマー等の武器なら実用に耐える偽物を作ることもできるだろう。
「へえ、アンタはこんなモノに弱いんだー?」
『あー……それに捕まったら大変だからなあ』
整備の最中、ちょっとばかりの悪戯心でシャチの兵士から弱点だと思うものをテレパスで読み取って複製を作ってみれば、魚などを捕らえる巨大な投網が作られて、シャチの兵士は頭を掻いて弱点だと肯定する。
海戦の最中に絡まったら命取りになるからだとか言っているが、この複製の精度は極めて高く、苦手とするぐらいに頑丈でシャチ獣人さえも捕まえられる大きな網はまた役立てる事ができるかもしれない。
一方、戦車をベースとした|人型戦闘車輌《パンツァーキャバリア》に興味を示し整備を手伝っているのはクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)。
獣人戦線だから様々な兵器類が存在しているが、大型だから整備も大変なこのパンツァーキャバリアは数こそ少ないが整備にかかる手間については相当なものなようでシャチの兵士たちも手を焼いているようだ。
けれどクローネも自身のキャバリア――変形合体機構を有しているサイキックキャバリアの『|黒御姉《クローネ》』を扱っているから多少の整備は可能。
「ここの関節の部品、交換したほうがいいかもね♪」
軽く操縦しつつ動きがぎこちない箇所をチェックしてリストアップしていくクローネ。色々器用なブラックタールだから少々大雑把になりがちな大柄なシャチの兵士が見落としている箇所も的確に指摘していく。
『こないだの戦いからちょっと主砲の狙いが甘くなってる気がするんだ。見てくれないか?』
「了解♪」
相談してくるシャチのキャバリア乗りに快く応え、次のキャバリアの整備にかかるクローネであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。
◆行動
探究心や知識欲が旺盛(どの分野でも)。
遠い世界の美しい風景を見たり、変わった体験をするのも好き。
UDC『ツキ』や精霊『ノクス』を伴って出掛けている。
意外とアクティブで、スポーツやキャンプをする姿も。
魔術研究のフィールドワークも兼ねている時も。
料理が得意な為、そういった場面でも活躍出来るかと。
家庭料理、フルコースからお菓子作りも。和洋中から多国籍まで幅広い。
食いしん坊でグルメなツキも納得の味。
◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方
●休憩するのもまた重要
順調に武装の整備、メンテナンスを行っていくシャチの兵士と猟兵たち。
山のようにあった未整備の武装も大分減ってきたけれど、根を詰めていれば作業効率も落ちてくる。
「一回、休憩挟みませんか?」
銃器のメンテナンスに当たっていたシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)がそう呼びかける。
普段扱っている詠唱銃や狙撃銃とは多少違うものの、基本的な構造は同じで技術的にはよりシンプルな獣人達の武器の錆取りや破損部品の交換を行っていた彼の言葉に、渡りに船とばかりにシャチ達は休憩に入った。
『なんか戦闘よりも疲れるよなー』
『武器の整備に集中しすぎて俺達自身が倒れちゃ世話ないからな』
うーんと伸びをしてそんな事を言い合いながら、丁度日も高くなってきた頃合いだからと住人の差し入れのお弁当で昼食を取り始めるシャチ獣人たち。
お弁当の分量は彼ら基準だから少々人間には大きく、量で不満になることはなさそうだ。
「魚介類の風味や食感もここまで再現できるんですね」
弁当を頂きながらシンの感想。この街の|糧食《レーション》のお弁当は魚介類風のもの中心で、戦時中ではあるけれども食する者をできるだけ楽しませようと、素朴ながらも工夫が見られる。
闇色の狼の姿をしたUDCの『ツキ』のグルメな舌も満足しているようだ。これだけ食べられたのなら、残りの整備作業も捗るだろう。
ゆっくり休憩した猟兵とシャチの兵士たちは、改めて武装整備に取り掛かり、そして倉庫に山積みになっていた未整備兵器をすっかりカラにしたのだった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『海軍中佐・碓氷勇魚』
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POW : 還らじの海
戦場が【味方不在で周囲にいるのが敵対者だけ 】の場合のみ発動可能。【莫大な北極海の海水を召喚、従属させる海王】形態に変身し、推進力・探知力・隠密力・破壊力が5倍になる。
SPD : 攻性反響定位
【頭部のメロン体 】から大音量を放ち、聞こえる範囲の敵全員を【座標と形状を把握した上で恐慌】状態にする。敵や反響物が多い程、威力が上昇する。
WIZ : 降り止まぬ雨よ、戦地を満たせ
【極寒の空気と共に熱を奪う北極の海水の雨 】を降らせる事で、戦場全体が【凍てつくような水温の深海】と同じ環境に変化する。[凍てつくような水温の深海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ヴィクトル・サリヴァン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●悪鯱再来
そして、シャチの街に夜が訪れる。
『前は待ち伏せされていたようだが……』
真っ暗な夜の海を泳ぎ、防壁に取り付けられた出入り口を一人の軍服のシャチ獣人が密かにくぐりぬけ街への侵入を果たす。
彼こそ幻朧帝国のエージェントである『海軍中佐・碓氷勇魚』、以前もこの街を襲撃し、撃破されたオブリビオンである。
再度骸の海からオブリビオンとして染み出してきた彼が有しているのは防壁の破損個所からの侵入、それを待ち伏せされた事による敗北。
今回は防壁の修理も完了しているから、ならば人気のなくなったタイミングで門番を速やかに撃破しての侵入を狙っていた、のだが。
『警備がいない……?』
とてつもなく嫌な予感を感じているようで出入り口扉から急いでは慣れつつ周囲を見回す彼。
直後、周囲に潜んでいたシャチ獣人の兵士達が一斉に飛び出しオブリビオンを包囲する。手にしているのは整備も万全な兵器類、後方にはパンツァーキャバリアまで控えているという万全っぷりだ。
『またか!?』
自身の迂闊さを嘆きながら銛を構え戦闘態勢に入る勇魚。そこに猟兵が攻撃を開始し、再度このシャチの街を守るための戦いが開始されるのだった。
クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこいだよ♪
絡みOK、NG無しだよ★
UCは少人数を召喚する系か単体攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★
後はMS様におまかせするね♪
納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから11年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!
あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ
商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします
●周り全ては|味方《敵》
待ち伏せに気づいた幻朧帝国のエージェント『海軍中佐・碓氷勇魚』は即座にこの戦場に海水の雨を降らせ、自身の得意な環境へと塗り替えようとする。
しかしその前に動いたのは後方に控えていたパンツァーキャバリアのオーバーフレーム部の上から勇魚を見下ろしていたクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)。
彼女は愛用のネクロオーブを取り出して【ワタシの認識改竄光】のユーベルコードを起動する。
「サキュバスちゃんの力によって、これから一瞬で敵と味方が入れ替わるの……当人の認識上はね★」
オーブから召喚された黒肌のサキュバスが、オブリビオンに向けて漆黒の閃光を放つ。
光に照らされた勇魚は極寒の雨を降らせながら思わず腕を翳して漆黒の閃光から目を守ろうとする。
けれど、
『くっ……何で幻朧帝国の兵が私を攻撃してくる!?』
既に勇魚の認識は閃光により改竄、敵を味方に、味方を敵に誤認識させられている。彼にとって、現在のシャチの兵士達と猟兵に囲まれた状況は『味方』に囲まれた状況であるのだが、取り囲んでいるシャチの兵士達は容赦なく兵器で攻撃してくるのだから混乱するのも無理はないだろう。
『いや、私は単独で……新手か!』
認識の違和感を感じつつ銛で銃撃を防ぎつつ地形に身を隠そうとする勇魚に、可愛らしいシーツおばけの納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)が迫ってくる。
「お仕置きの時間ですわ!」
愛用の殺戮刃物手に向かってくるピンチンに、エージェントは銛を構えながら同時に攻性反響定位で周囲を混乱させ状況を仕切り直そうとする。
しかし認識の違和感でメロン体からの大音量の発生が遅れ、その隙にピンチンが【九死殺戮刃】のユーベルコードを起動、瞳を輝かせながら九連続で大柄なシャチの頭部に飛びかかり殺戮刃物を振るった。
切り刻まれる――ではなく、刃を返した彼女の連続攻撃は『どつく』というのが正しいだろう。とはいえ|頭《急所》を的確な角度でしばかれ頭を揺らされた勇魚は平衡感覚を失ったようにふらついて、音の攻撃を放つ余裕もない。
『この程度……』
倒れまいと銛を支えに立つ勇魚、しかし周囲を囲むシャチの兵士たちとピンチンやクローネ、他の猟兵達はさらなる追撃を仕掛けようとしていたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生
正義感が強く困っている人は見過ごせない
UCは業火の一撃、灼熱の束縛などを使っていきたい
攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる
逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター
こいつがボスか…
みんな大丈夫?助けにきたよ!
そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!
技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態
アドリブ絡み歓迎
説得できる場合は説得したい
同情の余地がある敵には情を漏らすことも
ほかの技能も状況に合わせて使うよ
ディル・ウェッジウイッター(サポート)
紅茶をはじめとしたお茶が好きな青年です
戦闘力は有していますが、直接戦う事よりサポートや裏方に回る戦い方が得意
お茶はもちろん、カトラリーの投擲やモートスプーンも武器として使用しています
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、積極的に行動しますが他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は行いません
アドリブ・連携可です
●嘘の味と友情の力
『ここに味方はいない……私だけだ!』
どうにか認識改竄を振り切ったシャチのオブリビオンはふらつく頭を支えながら、莫大な北極海の海水をこの戦場に召喚する。
その質量を従属させ自在に操る海王形態、厄介さを増したオブリビオンに対し転移してきたディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)というティーソムリエの青年は、どう仕掛けるべきか思考を巡らせていた。
莫大な海水はそれ自体が障壁にも武器にも利用できる。銃撃などの遠距離からの攻撃では大部分が軽減されるかそもそも貫通出来ない可能性が高い。
どうにか掻い潜って近づかねば――と、ディルが考えている内に真紅の少年が業火纏わせたヘビーメタルロッドを手にエージェントへと飛び込んでいく。
「みんな、助けに来たよ!」
まるでお話のヒーローのように駆けつけてきた彼は百地・モユル(ももも・f03218)、サイボーグの膂力で頑丈な魔力金属で補強されたヘビーメタルロッドを全力で横薙ぎにフルスイングする。
その一撃は勇魚の操る海水の壁に阻まれ、火は鎮められ打撃の威力も散らされてしまう。
しかしこの程度でモユルの正義の心が怯むはずもない。彼と共に転移してきたモラオートというバトモンの『モラオ』がモユルへと飛びついて、
「みんな、合体だ!」
起動するユーベルコードは【バトモンスクランブル!】、ふわもこのモラオと融合し全身にもふっとしたモユルの技能が倍に強化され、一度振るった鋼杖を再度水の障壁に連続で叩きつける。
強化された怪力と焼却の力を帯びた杖の高速の連撃で爆発するように水壁が吹き飛ばされ悪のシャチ獣人の姿が露になり、そのタイミングでディルが切り込む。
咄嗟に突き出された海王の銛を潜り抜け巨体の懐に飛び込んだ彼の手には淹れたての紅茶、そして起動するユーベルコードは【ライアーティー】、
「嘘をついたら針を飲む――そんなお話もあるでしょう?」
その言葉と同時に彼の手の紅茶が勇魚の口に吸い込まれるように飛び込んでいく。シャチの舌に紅茶が触れた瞬間、彼の舌は棘が生えて口内はずたずたになってしまう。
この邪悪なオブリビオンはさぞ沢山の嘘をついてきたのだろう――|嘘つきに相応しい罰《針千本》に口を閉じられなくなった勇魚に、更に連撃から体勢を立て直したモユルが突っ込んで鋼杖を燃え上がらせ掬い上げるように殴り抜く!
顎に杖の先端が突き刺さり、シャチの巨体が宙に浮きあがる。衝撃で強引に口を閉じさせられた事により、棘はより深く口の中に突き刺さりオブリビオンは口を手で押さえ声にならない絶叫が溢れ出していく。
状況は猟兵の優勢、しかしここからひっくり返されてしまう可能性は十分ある。
決して油断はないように、この邪悪なるオブリビオンから街を守るべくディルとモユルは操られる莫大な海水に圧し潰されないよう一度距離を取るのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アラタマ・ミコト
荒魂鎮神命が命じるのでございます。
神器よ施されし封印を解きその力を示すべし!
荒魂鎮神命の無双をご覧に入れるのでございます。
……あらたまちゃんのらいふを削っているのです!
高れああいてむや素材をどろっぷするのです!!
●再び骸の海へと叩き返し
口の中をずたずたにされたシャチのエージェントは言葉を発する事も出来ず、怒り狂うままに周囲に視線を向ける。
どうにか隙を見出しこの状況を突破しようというのだろう。しかし、それを阻止するべく、やってきたアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)は神剣型神器『天叢雲剣』を手に厳かに告げる。
「荒魂鎮神命が命じるのでございます。神器よ施されし封印を解きその力を示すべし!」
起動したユーベルコードは【神器解放】、神器に宿りし封印を解除しながら銛を構えたエージェントへとアラタマは果敢に切り込んでいく。
そうはさせるか、と言わんばかりの視線をアラタマに叩きつけながら勇魚は頭部メロン体から大音量を放たんとする。
周囲に存在する敵全員の形状と座標を把握する攻性反響定位、そして同時に齎される恐慌状態の隙を突いて強引に突破する事ができれば不利をひっくり返せるとの散弾だろう。
しかしそこに、包囲していたシャチ獣人達の最後方に控えていたパンツァーキャバリアが砲撃しエージェントに直撃させる。
その火力はユーベルコード程ではないが相当なもの、衝撃と痛みに思わず集中を切らしてしまったその一瞬のラグを狙い、アラタマが懐にまで飛び込んできていた。
「――荒魂鎮神命の無双をご覧に入れるのでございます」
彼女の寿命を削り解放された無限複製の神剣の刃がオブリビオンの腹部を貫き、刀身を複製しながらその傷を一気に広げ切り裂いていく。
強靭な生命力を有している獣人のオブリビオンと言えどもこれは間違いなく致命傷。幻朧帝国の悪しきエージェントはごぶりと吐血し、仰向けに倒れ込み絶命、逢魔弾道弾ごと何も残さず消滅したのだった。
「……高れああいてむも素材もなかったですか」
歓喜に湧くシャチの兵士達とは対照的に、無表情ながらどことなくしょんぼりした雰囲気のアラタマであった。
かくしてシャチ獣人の街を再び狙ってきた悪しき超大国の破壊工作は無事挫かれ、また一つの街を守り切った報告を手に猟兵達はグリモアベースへと帰還したのだった。
大成功
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