バトモンカフェと秘密基地
●バトモンの秘密基地を暴け!
今日も平和なバトルモンスターワールド。
けれど、かつてバトルモンスターワールドで起きた最終戦争は、それはそれは大きなものだった。
そんな最終戦争を戦い抜くために、英雄たちは自分達だけの特別な秘密基地を作り、そこで強いバトモンを生み出していたりもしたんだそう。
それから最終戦争は終わり、その秘密基地はすべて放棄された。中には設備がほとんどそのまま放置された秘密基地もあったそうだが、今の時代、そんな秘密基地はみんな忘れられてしまった。
そう、オブリビオンとして蘇った英雄達以外には――。
「バトルモンスターワールドで、オブリビオンの新たな企みを予知しましたわ!」
エリル・メアリアル(|孤城の女王《クイーン・オブ・ロストキャッスル》・f03064)が猟兵達に向かってそう叫んだ。
「この世界のオブリビオン達は皆、過去に英雄と呼ばれた方々。当時彼らは戦争の為に、様々な秘密基地を建造していましたの」
その目的は勿論、バトモンの強化だ。エリルは言葉を続ける。
「戦争が終わって稼働しなくなった秘密基地はそのまま放置されたり、忘れ去られたりしていたのだけれど……その秘密基地のうち一つが、今、オブリビオンによって再稼働しようとしていますの!」
それが実現すれば、オブリビオンによるバトモンの軍事利用がますます盛んになってしまう。そしていずれは、現在の平和のバランスが崩れ、再び世界は最終戦争の時代に逆戻り……。
「そんなことをさせてはいけませんわ! 即刻、秘密基地を破壊しますわよ!」
エリルは威勢よく言うと、グリモアを掲げた。
●バトモンカフェへ行こう!
「秘密基地はその名の通り、秘密の基地。多くの秘密基地は地下に隠されていましたの」
しかし、戦争が終わり、いつしか秘密基地が忘れ去られると、その上には普通の施設が建てられるようになった。オブリビオンさえ現れなければ、秘密基地はそのまま地下で眠りについたままであっただろう。
「今回、秘密基地の上に建てられているのは『バトモンカフェ』ですわ。その名の通り、バトモンと触れ合ったりできるカフェのようですわね」
そこはバトモンの同伴もOK。望むならバトルも出来るというが、基本的にはバトモン達と一緒に料理や飲み物を楽しむことが中心になっている。
料理はバトモンと一緒に食べられるものが中心だ。自分のバトモンと一緒に席に座って、美味しい料理を堪能できるというのが話題になって、いまやお店は大人気なのだという。
「店員の方は誰も、地下に秘密基地があることを知らないみたいですわ」
きっとオブリビオンは秘密裏に店に細工を施し、地下の秘密基地への隠し通路を作り上げたのだろう。
店にとっては大迷惑な話だが、店員もいまだに事態を把握していないあたり、隠し通路への道はかなり巧妙に隠されているようだ。
「まずはカフェを楽しむ客として入り込み、バトモン達と触れ合いながら隠し通路を探してくださいますかしら!
そして、隠し通路を見つけて無事潜入できたとしても、おそらく洗脳されたバトモンが襲って来るだろう。オブリビオンと戦うには、彼らを倒して洗脳を解く必要がありそうだ。
「オブリビオンは、どうやらバトモンの負荷を無視した身体強化を得意としているそうですわ。ひょっとしたら襲ってくるバトモン達も、強化されているかも……。ご注意くださいまし」
そして、バトモン達を倒せば、首謀者のオブリビオンとの戦いとなる。
同時に、上のカフェに被害のない範囲で秘密基地を破壊してしまえれば、なお良いだろう。
「また再利用されたらたまったものではないですものね!」
エリルは言い終え、グリモアを掲げた。
「さぁ、皆様! バトルモンスターワールドの平和のために、頑張ってくださいまし!」
G.Y.
こんにちは。G.Y.です。
バトルモンスターワールドでの事件をお届けします。
第1章は日常です。
バトモンカフェで楽しい時間を過ごしながら秘密の入り口を探しましょう。……と言いつつ、基本的には楽しむ事を優先して構いません。
自分のバトモンや、お店のバトモンと触れ合って、思い思いの時間を過ごしてみましょう。
なお、店員さんは何も知りません。
第2章は集団戦です。
洗脳されたバトモンを退治しましょう。
第3章はボス戦です。
今回の秘密基地を再稼働させようとしたオブリビオンを退治し、出来れば秘密基地の破壊もしてしまいましょう。
お店の迷惑にならない範囲で……!
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
第1章 日常
『バトモンカフェへようこそ』
|
POW : バトモンと触れあう
SPD : 飲み物や軽食を頼む
WIZ : 他の客と交流する
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
店のドアを開くと、カラランとベルの音が響く。
「いらっしゃいませー♪」
陽気な声に迎えられ、一歩中へと踏みこめば、そこは明るい照明とともに人とバトモンの賑やかな声に包まれていた。
壁際にテーブルが並び、中央にはカーペットの敷かれた何もない空間が広がっている。
どうやらここでバトモン達と戯れたりすることが出来るようだ。小型のバトモンであれば、ここでバトルすることも出来るだろう。
天井を見上げれば、空を飛ぶタイプのバトモン向けに何本もの止まり木が伸びて、それを細いロープが伝っている。
わっせわっせとグルメンが料理を運び、天井にはエモリンがきらきら光る。
ここはバトモン好きにとって夢の空間。けれど、この地下には英雄達の秘密基地がある。
今はこのカフェを楽しみながら、地下への隠し通路を探すことにしよう。
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
最近仲間にしたバトモンとの交流に利用させてもらおうかな★
行こっか、チョゴン♪
チョゴンと一緒にバトモンカフェを楽しむよ♪
紅茶やケーキを一緒に食べたり、他のバトモン達と触れ合ったりするね♪
ある程度楽しんでから、【情報収集/聞き耳/視力/嗅覚】で店内を調べるよ♪
「ここがバトモンカフェかぁ♪」
クローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)は、店の看板を見て楽し気に言う。窓から中を覗けば、客とバトモンが楽しそうに戯れつつ、料理を楽しんでいる姿が見える。
その光景を見れば、この地下に秘密基地があるとは到底思えなかった。
ともかく、中に入ればわかることもあるだろう。それに。
「チョゴチョゴ」
クローネの傍らに寄り添う茶色の竜のようなバトモンの姿があった。
「新しく仲間にしたこの子との交流に丁度いいよね★」
そんな風に期待を膨らませながら、クローネは店の扉に手をかける。
「行こっか、チョゴン♪」
かららん、とベルが鳴る。扉を開けば、賑やかな店内の様子がクローネたちを迎えてくれた。
空いている席に通されたクローネは席に座ると、チョゴンがテーブルの上に飛び乗った。
「チョゴンはチョコとドラゴンだし、やっぱりチョコレートケーキが好きなのかな?」
メニューを見ながら、クローネがチョゴンを見る。チョゴンはふんふんと鼻を鳴らしながら、周りを気にしている。
「じゃ、紅茶とチョコレートケーキを♪」
クローネが店員に注文をして、改めて辺りを見渡す。
「ふーん……♪」
ひくひく、と鼻を動かし、聞き耳を立てる。僅かな薬品の臭い、地下から地上にかけて、空気の通り抜ける音。確かにこの部屋に何かがありそうだ。
「お待たせしましたー」
と、その時店員が紅茶とケーキを持ってくる。
「バトモンでも食べられる食材を使ったケーキですよ。一緒にお召しあがり下さい」
「わぁー♪」
クローネは出されたケーキに目を輝かせると、まずは紅茶を一口。芳しい香りが口いっぱいに広がる。
そうして口の中を潤したら、次はケーキだ。フォークをすっと通して切り分けると、クローネはそれを刺す。
「はい、チョゴン、あーん♪」
「ちょごっ」
チョゴンがあーんと口を開けて、ぱくっとケーキを一口頬張る。
「ちょごーっ♪」
「美味しい? よかった♪」
嬉しそうなチョゴンの様子を見て、クローネは優しく微笑むのであった。
それから、お店のバトモンとも触れ合ったりしながら、クローネはさりげなくあたりを調べる。
「やっぱり♪」
棚に隠された、おそらく店員用の物置。その壁の一部に、ほんの僅かにだけ色が違う箇所があった。
あれこそが隠し通路だろう。それを見つけたクローネは、そっと店から消えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ポノ・エトランゼ
【咲編み】
バトモンたちと触れ合ってみたかったのよね!(興味津々)
色んな種類のバトモンがいるのねぇ
バトモンの特性に合わせた内装が素敵ね!
お茶しつつ眺めているとそれぞれ個性も見えてきて可愛いわ
爽やかな芳香のカンキツノワと触れ合ってみたいかも
柑橘の香りって好きなの
ノコのために木を運んでくるカンキツノワ、優しい性格をしているのね
ノコの切断力も凄いわね!
工務店のアイドルなのも頷けるわ
端っこで他の子たちの遊び場を作っているのかしら?
よく観察して情報収集で何がしたいのか察したいかも
…よし!
リコさん、私たちもお手伝いしましょ
裁縫は私に任せて!
バトモンのやりたいことを手伝いながら地下への隠し通路も探していくわね
リコ・リスカード
【咲編み】
バトモン、俺も気になってたんだ
本当に色んな子がいるんだね
皆のびのび過ごしてて可愛い!
お菓子とかあげてみたいな
あれ?
何かそわそわしてるノコがいる?
どうしたのォ?
声をかけてそっと撫でてみる
わ、キミは……カンキツノワ?
ノコの為に木材を運んでるんだァ!
ノコはお仕事してたんだねェ、キミ達偉いねェ!
なるほど、あの子達、遊び場を作ってるんだ?
優しいんだね
うん、お手伝いしよう!
ね、ふたりとも
ポノちゃんも俺もモノづくりは好きだし、お手伝いさせてよ
俺は組み立てを手伝う
ふふ、二匹とも気合入ってて可愛い
一生懸命なこの子達が事件に巻き込まれないようにしなきゃね
手伝いつつ隠し扉や動かせる床とかないか探してみる
沢山の不思議な生き物『バトモン』の住まう世界、バトルモンスターワールド。
その空でひらりと宙返りを見せたポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)は、目を輝かせて言った。
「バトモンたちと触れ合ってみたかったのよね!」
ポノの眼前にあるのは『バトモンカフェ』の看板。バトモン達と触れ合えるというそのカフェに、おのずと期待が膨らんでゆく。
そんなポノを見上げて、リコ・リスカード(異星の死神・f39357)も頷く。
「バトモン、俺も気になってたんだ」
リコもまたクールな外見とは裏腹に、そわそわと期待に満ちた様子を見せていた。ドキドキとワクワク。そんな想いを籠めながら、二人はせーので店のドアを開いた。
「わぁ~っ、色んな種類のバトモンがいるのねぇ」
店に入るや、ポノが歓声を上げた。
天井を飛び回るバトモン達、足元をちょこちょこ走り回るバトモン達、それぞれが過ごしやすいような装飾が施された店内は、どのバトモンも生き生き、のびのびと過ごしているように見えた。
「バトモンの種類に合わせた内装が素敵ね!」
「皆、のびのび過ごしてて可愛い!」
ポノもリコも大絶賛だ。案内されたテーブルに座ってからも、二人はずっと色んなバトモン達を眺め、その可愛さを堪能していた。
「お菓子とかあげてみたいな」
リコがぽそっと言うと、店員がすかさずやってきて、おやつの案内をしてくれた。
「バトモンと一緒に食べられるお菓子ですよ」
「へぇ~っ」
興味深そうにそのお菓子を見つめていたリコは、ふと店の端でそわそわしているバトモンに気が付いた。
「あれは……ノコ?」
ノコギリと猫の混ざり合ったバトモンの姿を見つけ、リコは首を傾げた。
「どうしたのぉ?」
リコがそっと近付いて、その背を撫でてあげようとしたその時、とてとて、とオレンジ色の丸っこい影が近付いてきた。
「わ、キミは……カンキツノワ?」
ふわっと広がる柑橘類の香り。その匂いに、ポノがうっとりと言う。
「あぁ……この香り好きだわ」
ふわふわと宙に浮きながらその香りを堪能していると、ふと気付く。
「この子、丸太を持ってるわね?」
そのポノの指摘に、リコがポンと手を叩いだ。
「ノコの為に木材を運んでるんだァ!」
ご明察、カンキツノワが持ってきた丸太にノコが飛び乗ると、ギコ、ギコとその身体を擦り付け始める。その様子に、あぁ、とリコは頷いた。
「ノコはお仕事してたんだねェ、偉いねェ」
「カンキツノワ、優しい性格をしているのね」
二匹のやりとりにほんわかする二人。それから間もなく丸太が真っ二つに割れた。
「ノコの切断力も凄いわね!」
ほんの少し目を離した隙にこんなにアッサリと……ポノは驚きつつも、ノコの説明を思い出す。
「工務店のアイドルなのも頷けるわ」
うんうん、とポノは頷くのだった。
切れた丸太を、再びカンキツノワが抱えて運ぶ。
「何してるんだろう?」
リコの問いに、ポノはうーん、と首を傾げた。その二人の視線をよそにカンキツノワが、丸太を立てるように重ねている。
「……ひょっとして遊び場を作っているのかしら?」
「なるほど!」
リコも納得いったというように頷いた。そう、ノコとカンキツノワはこのお店のバトモン達のために、新しい遊び場を作ろうとしていたのだ。
「優しいんだね」
カンキツノワ達の姿にほっこりするリコ。その横で作業を眺めていたポノは。
「……よし!」
と、突然拳を握った。
「リコさん、私たちもお手伝いしましょ!」
その提案は、リコも面白そうだと頷き返す。
「うん、お手伝いしよう!」
こうして二人はノコとカンキツノワへと近付いてゆく。
「ね、ふたりとも。お手伝いさせてよ」
リコの申し出に、バトモン達は顔を見合わせる。にこりと笑うリコの表情に、カンキツノワは少し遠慮がちに丸太を差し出した。
「ふふ、ありがとう」
リコが丸太を受け取ると、ひゅんと天井から降りてきたポノが言う。
「この子達、アスレチックを作ってたみたい」
飛行タイプのバトモン以外も上に遊びに行けるように、ということみたいだ。なら誤って落ちてもいいようなネットが必要だろう。
「裁縫は私に任せて!」
「じゃあ俺は組み立てるよ」
ポノとリコはそうやって、バトモン達のお手伝いを始めるのであった。
せっせと作業を続ける二匹を見て、リコから笑みがこぼれる。
(「一生懸命なこの子達が事件に巻き込まれないようにしなきゃね」)
そう、思いを新たにするリコ。そんなリコに、ポノが声をかけた。
「裏に物置があるみたい。そこにだけ少し色が違うの。隠し扉がありそうよ」
「わかった、じゃあ入れる方法を探さないとね」
そうして二人は手伝いながら、地下への道を探るのであった。
アスレチックが出来上がり、二人はバトモン達とハイタッチ。バトモンの皆が遊び始めたのを見届けた二人は、ふっと物置に消えてゆく。
この幸せな空間を壊させない為に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
瀬川・槇
へぇ、猫カフェとかのバトモン版もあるんだな。
よし、キラリン(エモンガ)、自由に飛んできていいぞ。
カゲトラ(シノビガメ)は……俺と一緒にまったりするか、そうか。
とりあえず、ブラックコーヒーとカゲトラの分のお茶を頼んでゆっくりするか。
ふむ、しかし秘密基地か。地下ならどこかに隠し通路とかありそうだよな。どこかの棚の裏とか、バックヤードとかに……(コーヒーを飲みながらあちこちをちらりとみて)
わぶっ?!(顔面に キラリンの 滑空アタック!)
眼鏡が危ないから顔はやめろって言ったよなぁ?!
なんだキラリン。考え込まないで楽しめって?
わかったわかった。
「へぇ、猫カフェとかのバトモン版もあるんだな」
瀬川・槇(推しパワーで俺が世界を救うってマジな話なのか・f45544)は、バトモンカフェの店内を見渡してそんな風に呟いた。
アイドル☆フロンティア出身ながら既にバトモンのパートナーを連れている槇ではあったが、まだまだこの世界の文化には慣れていないところもあるようだ。
それにしても、店内は賑やかだ。店のバトモンの他に、客が連れてきたバトモンも店内で楽しそうに遊び回っている。
天井にエモリンがいることに気付いた槇は、自身のエモリン『キラリン』をちょいちょいとつつく。
「キラリン、自由に飛んできていいぞ」
そう言われたキラリンは、パッと天井の止まり木に飛び上がっていった。その姿を見送った槇はもう一匹、シノビガメのカゲトラを見る。
「カゲトラは……」
カゲトラはのそっとした動作で、槇から離れずにいた。
「俺と一緒にまったりするか。そうか」
槇はそう言うと、カゲトラを抱え上げて、案内された席へとつくのだった。
「ふむ……しかし秘密基地か」
ブラックコーヒーを啜りながら、槇はチラチラと周囲を見渡す。
テーブルの上のカゲトラは、お茶を飲んでほっこりしている。平和な光景だ。
店内の賑やかな様子を見ていると、この地下に最終戦争の遺構が残されているとは信じがたい雰囲気だった。。
英雄がオブリビオンとして蘇って、その施設を復活させようというのなら、きっと、このお店をオブリビオンがこっそりと改造して、隠し通路を作っている筈だ。
と、ふと槇は棚の裏が気になった。壁から少し離して配置されていて、裏に人が入れるくらいのスペースがある。どうやら物置きにしているらしい。
「…………」
何か怪しい。あそこなら店員でなくともこっそり入り込むことも出来そうだ。
そうやってじぃーっと見ていると、突如として槇の顔に影が落ちた。
「わぶっ!?」
ばふっ、と覆いかぶさってきたのはキラリンだった。視界が真っ暗になったのを慌てて引きはがすと、槇はズレてしまった眼鏡を直しながら言う。
「眼鏡が危ないから顔はやめろって言ったよなぁ?!」
そうやってキラリンを叱る槇だったが、彼を見上げるキラリンの表情を見ると『うっ』と語気が弱まってゆく。
「なんだキラリン。考え込まないで楽しめって?」
チラリとテーブルを見ると、カゲトラもうんうんと頷いていた。
その様子に槇はふっと笑みをこぼすと、再びコーヒーを手にして頷く。
「わかったわかった」
流し込んだコーヒーの苦みを楽しみながら、槇はバトモン達とのひと時を過ごすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
蔵務・夏蓮
|アメ《ブキラビィ》と一緒に来店
アメは見知らぬ場所で少し不安そうにしているけれど、食べものに気づけば落ち着くでしょう
席についたなら、軽く店内を見回して
秘密の入り口のありそうな場所に目星をつける……というのは勿論あるけれど
普段は喫茶店で働く身
喫茶とカフェの違いはあれど、参考になる部分もあるでしょう
加えてアメと一緒に楽しめるなんて、一石二鳥ね
バトルもできるみたいだけれど……食いしん坊さんは食べもののほうが気になる様子
食べたいものはある? とメニューをアメの目の前に広げましょう
どうやら甘いケーキが気になる様子なので、私のぶんもあわせて2つ注文しましょう
おいしい?
かららん。
ドアのベルが鳴って、一人の女性が店内へと足を踏み入れた。
すらりと背筋の伸びた美しい姿勢に、ふわりとウェーブがかった髪が揺れる。
その女性、蔵務・夏蓮(眩む鳥・f43565)は、静かに店内を見渡しながら、案内された席へと歩く。
その肩に、ふるふると不安そうに震えるブキラビィの姿があった。身体を半分夏蓮の髪の中に隠し、耳は忙しなく動き、クリクリでアメジスト色の瞳で周囲を警戒している。
「大丈夫よ」
臆病者のブキラビィ『アメちゃん』をひと撫でして、夏蓮は席につく。メニューを広げてみせると、アメ途端に瞳を輝かせた。
「食いしん坊さんね」
夏蓮はそんなアメの様子を微笑ましく思いながら、ぺらり、とメニューをめくった。
いわゆる猫カフェなどとは違って、料理もスイーツを中心に、それなりにしっかりしたものが用意されているらしい。どれもバトモンが口に入れても大丈夫になっていて、配慮が行き届いているのを感じる。
(「喫茶とカフェの違いはあれど……参考になるわ」)
普段喫茶店で働く夏蓮は、メニューや内装なども気になってしまうようだ。
勿論、秘密基地の隠し扉を探すことが目的だけれど……。夏蓮の肩から身を乗り出してメニューを見るアメの後頭部を見つめれば、この子と一緒に楽しめるというのも、夏蓮にとっては重要なポイントだった。
「食べたいものはある?」
夏蓮が聞くと、アメはケーキの写真にぺたりと手を付けた。
「じゃあ、それを二つね」
店員さんに注文を入れて、再び店内を見渡してみる。多種多様なバトモンが過ごせるように、天井は高めに作られ、内装もなかなか凝っている。小さいながらバトル用のスペースをとってあるせいもあってか、外観以上に広々に感じられた。
「あれは……?」
そんな中でふと気になったのは、壁側に立てられた棚であった。
壁に背をくっつけないように並べられ、人が一人か二人は入れるくらいの広さがある。どうやバックヤードとはまた違った物置スペースになっているようだ。
そこも後で調べてみよう、と夏蓮が考えたところで、丁度ケーキがやってきた。ブルーベリーソースがかかっているそれが夏蓮とアメの前に置かれると、夏蓮はアメと一緒に手を合わせる。
「いただきます」
す、とフォークを通して一口サイズに切り分けたケーキを、アメの口に運んであげる。
アメはそれをぱくっと頬張ると、目をキラキラさせながら、夢中で咀嚼する。
「おいしい?」
アメにそう尋ねながら、夏蓮も一口。甘酸っぱい味わいが口いっぱいに広がって、幸せな気分になる。
これから大変な仕事が待っていようと、このひと時さえあれば、きっと苦にはならないだろう、なんて思えた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『洗脳アノジー』
|
POW : おそいかかる
【モザイク】を纏い空中高く舞い上がった後、敵めがけて急降下し、[モザイク]が尽きるまで【六本中四本の足によるポコポコパンチ】で攻撃し続ける。
SPD : はしりまわる
【モザイク】を纏いレベル×100km/hで疾走する。疾走中は攻撃力・回避力・受けるダメージが4倍になる。
WIZ : モザイクをまとう
【モザイク】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【恐怖や混乱】を誘発する効果」を付与する。
イラスト:ぴにおん
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
物置スペースの壁際に、ほんの僅かに色の違う壁があった。
その近くには、巧妙に隠されたスイッチがあり、押すとその壁が静かに窪んで、地下への階段が現れる。
間違いなく、地下の秘密基地へと続く通路だろう。
猟兵達が階段を下りてゆくと、どこからともなく『カサカサ』という、何かが擦れるような音が響き始めた。
音が大きくなると、暗い影の中で何か黒いものが動き回るのに気付く。
そして、その影が突如として猟兵達に飛び掛かってきた!
そのバトモンの名は『アノジー』。茶色の身体で羽根を広げて、洗脳強化された『こうそくいどう』で、通路内を駆け回る。
アノジー達を倒さなければ、この奥には行けないだろう。
なお、もちろんアノジーもバトモンの一種。滅多なことでは死なないので、洗脳を解くだけにしてあげよう。
エルア・ヨミノリュウ
うっわきっしょ!なんやねんこいつ!こっちくんなや!
フィーちゃん(ネコスラフィ)、ベルちゃん(ベルポチ)、こっちもウチフュージョンして撃退するで!秘密基地に向かう猟兵達の道を切り開くんや!
(フュージョン後のエルアの姿はお任せ致します)
触れたくないから遠距離攻撃で行くで!てかモザイクとかますますキモくなってるやんけアウトやろ!
マルちゃん(マルリン)、鎮めの歌に浄化の技能を込めてあいつらにぶつけてや!
ひとまずセンちゃんに乗って飛行してなんとかかわして、エネルギーを溜め込んど(溜め込み技能)る間、ポポちゃん(ポッポルタ)の豆鉄砲で援護してもろて、トドメの一斉射撃ぶち込んだる!お任せ大歓迎や!
「うっわきっしょ!」
アノジーを見てエルア・ヨミノリュウ(式神飛空艇乗りの竜学生・f36172)が上げた第一声が、それであった。
「なんやねんこいつ!」
カサカサと走り回るアノジーはエルアへと近付こうとして、思わずその足をひっこめる。
「こっちくんなや!」
と、叫んでしまった。なんたって、カサカサ走るそいつらはモザイクがかかっているのだ。
「ますますキモくなってるやんけアウトやろ!!」
ともあれ、こいつらをやっつけなければ、この先に進むことは出来ない。ならば。
「フィーちゃん、ベルちゃん! こっちもウチフュージョンして撃退するで!」
そう言うと、傍らにいたネコスラフィとベルポチがそれぞれ頷いた。
「ほな行くで!」
エルアが叫んで拳を掲げた。
「バトモンフュージョン!!」
ぴょいん、ぴょいんとネコスラフィとベルポチがエルアへと飛びついた。
そしてまばゆい光が放たれ、光の奥よりフュージョンを果たしたエルアが現れる。
腕にベルポチが巻き付いて、そのポーチの内側にぷるんぷるんのネコスラフィが収まる。ポーチ向きは自由に変えられて、袋の口を相手に向ければ、まるでキャノン砲のような印象だ。
追加装備って感じにも見えるが、頭には角の他にネコか犬の耳までが生えていて、しっかりと融合合体をしていることを証明していた。
「よっしゃ、いくで!」
エルアがそう言うと、まずは一緒に連れていた残りのバトモンへと指示を出す。
「マルちゃん! 鎮めの歌をあいつらにぶつけてや!」
その指示に、ピンクの丸いバトモン、マルリンが羽ばたいた。ひよひよとさえずるその歌声はまるで浄化されるかのようで、アノジー達の動きを鈍らせる。
だが、アノジー達は翅を広げると突如ブブブブ、と空を飛ぶ
「うおああっ!!」
思わず叫ぶエルア。しかし咄嗟に式神のセンちゃんに飛び乗って躱すと、バクバクさせる心臓を落ち着かせつつ、再び仲間に指示を出す。
「ポポちゃん! 豆鉄砲!」
「ぽぽー!!」
ポッポルタの口から豆が発射された。その豆を喰らって、アノジー達が墜落してゆく。
「今や! トドメの一斉射撃!!」
エルアの指示とともに、バトモン達の集中攻撃が放たれた。
エルアもまた、腕に巻いたベルポチの中に納められたネコスラフィにエネルギーを溜めて……。
「こいつをぶち込んだる!」
ネコスラフィの弾力ある身体が勢いよく発射された!
まるで砲弾のようなそれを受けて、アノジーが目をくるくると回して気絶するのだった。
「よっしゃ、このまま道を切り開くんや!」
エルアはそう意気込み、残るアノジー達へと対峙するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ポノ・エトランゼ
【咲編み】
こ、この足音は……!
飛び掛かってバトモンをひらり避けて
刃の護りでカウンター攻撃
いや別に嫌いじゃないんだけど、反射的に「うっ」ってなっちゃうのよね……不思議だわ
とはいえ動きは封じ込めたいところね?
【ブームの仕掛け人】や【おびき寄せ】と、UCで植物の家を作りましょう
アノジーホイホイね♪
勿論よ、とリコさんに頷いてUC
アノジーにとって美味しそうな匂いが中からしてくるの
中には勿論美味しい果実を実らせておくわ
強化されて負荷状態にあるならお腹も空いてるんじゃないかしら?
お腹いっぱいになって、眠って、目が覚めたら洗脳が解けてるといいのだけど
一発与えた方が安心なら、杖で電撃攻撃をしていくわね
リコ・リスカード
【咲編み】
なんかぞわわってなる音……
バトモンの襲撃は《身かわし》
これがアノジー……
モザイクが余計に「うっ」ってなる……
モザイクやめようよォ!
タフなバトモンでも洗脳されて襲ってきてるならあまり攻撃したくないなあ……
アノジーホイホイかぁ、それ良いね!
俺も真似っこしてもいい?
ありがと!
UCで植物と《眠り速度》加速の魔術で電脳魔術の食虫植物を作り出す
食虫って言っても、口の中に入ったら眠らせちゃうだけだから大丈夫
起きたら出てこれるよ
疲れてるだろうし、良く寝ててねェ
一応こっちの子達にも電気ショック療法的に雷の《属性攻撃》はしておいた方がいい……のかな?
みんなご飯を食べて良く寝て、正気に戻ってくれるといいね
「こ、この足音は……!」
暗闇の奥から響くカサカサという音に、ポノが戦慄した。
「なんか、ぞわわってなる音……」
リコもまた鳥肌が立つような感覚に身をよじる。その時。
ぶぶぶ……という音と共に、アノジーが飛び掛かってきた!
二人は咄嗟にそれを避けるが、同時に「うっ」とした感覚に陥る。
「いや、別に嫌いじゃないんだけど、反射的にそうなっちゃうのよね……不思議だわ」
纏ったケープ『刃の護り』を翻してナイフで牽制しながらポノが言う。
「これがアノジー……」
リコが恐ろし気に呟いた。その間にも、アノジー達は再び彼らに飛び掛かろうと翅を広げる。と、同時に。
「モザイクやめようよォ!」
リコが叫んだ。アノジーが纏うモザイクが、余計「うっ」てなってしまう。
とはいえ、このまま逃げる訳にもいかないし、先に進むにも彼らを倒さねばならない。しかし、リコはどうにも気が進まなかい様子であった。
このバトモン達はみな、英雄によって洗脳されているだけだという思いが強いのだ。バトモンは非常にタフなので、猟兵達の攻撃でも死ぬことなどほぼ無いとはいえ、出来れば攻撃をしたくないという思いが膨らんでしまう。
「それなら……!」
ポノが念じると、その手の中からにょきりと植物の芽が開く。芽はみるみるうちに伸びて太くなり、幹同士が絡まり合って、家の形に組み上がってゆく。
出来上がったその家はなんとなく赤っぽい屋根をして、やや細長い。
「それは……」
リコの問いに、ポノはパチンとウィンクする。
「アノジーホイホイね♪」
そう、アノジーに対抗し、そして攻撃をしないで戦いを終わらせるには結局やっぱりこれが一番。アノジーホイホイを見て、リコはぱぁっと顔を明るくした。
「それ良いね! 俺も真似っこしてもいい?」
「勿論よ、リコさん!」
ポノは快く頷いた。
「ありがと!」
礼を言ったリコは、アノジーホイホイから想像を膨らませ、電脳魔術を発動させる。
「これで、どうかな!」
すると、リコの前にばぁっと蔦が伸びて、大きな葉が生え始める。その葉の表面はべたべたとした粘着質な粘液が覆って、双葉が丁度口のようになる。もう一方の葉は袋のように膨らんで、瞬く間にいくつもの食虫植物が完成した。
二人のアノジーホイホイが設置されるや、ピタリとアノジー達の動きが止まった。モザイクが晴れ、きょろきょろと周囲を見渡し始める。
くん、くんくん。どこからか美味しそうな匂いが漂っている。アノジー達はピクピクと触角を動かしながら、その匂いを辿ってゆく。
においの元は、この植物の家からだ。そしてあの伸びた蔦の先も、何か本能的に入ってしまいたいような魅力が漂っていた。
それを突き止めたアノジー達のお腹が『ぐぅ』と鳴った。
あぁ、美味しそうな匂いは目の前。
もう我慢の限界だ。そして――。
――すぽっ。
アノジー達は自ら、その植物の家や、食虫植物の中へと入り込んでいた。
「やっぱり、お腹が空いてたのね」
アノジーホイホイに入り込んだ彼らの姿を見て、ポノはくすっと笑った。
アノジー達はホイホイの中にたっぷり積み上げられた果実を一心不乱に食べている。
「こっちも、ぐっすり眠ってくれたね」
リコも食虫植物のベッドの中を覗いて、静かに言う。
眠気を誘うような魔術も込められていたとはいえ、食虫植物の中に入るや即座に眠ってしまうとは。アノジーにかけられた強化と洗脳は、バトモンに相当の負担をかけていたに違いない。
「疲れてるだろうし、良く寝ててねェ」
そっと葉を閉じて、リコは食虫植物の個室を暗くしてやる。なお、この食虫植物はただ眠らせるだけで、中のアノジーに危害を加えることはない。目が覚めれば、きっとスッキリ爽快な気分になって外へと出られるはずだ。
また、リコの作ったアノジーホイホイの中では、アノジー達はお腹いっぱいになってうとうとし始めていた。こちらももうすぐ寝入ってしまうだろう。
「お腹いっぱいになって、眠って、目が覚めたら洗脳が解けてるといいのだけど」
その様子をそっと見守りながら、ポノが少し心配そうに言う。
「多分大丈夫だよ」
リコは微笑んだ。なにせ、眠りについたアノジーの表情は、とても安らかだったのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蔵務・夏蓮
あら。まあ。……大勢ね
これだけ速い子が大勢だと、狙いをつけるのも一苦労だけど
アメ、お仕事の時間よ。いけるわね
アメにラビィネットを撃ってもらい、辺り一面に張り巡らせる
アメのこのネットは透明で見えづらいうえに、触れたものを凍らせていく
一面に張る以外にも、壁のように張ってもらえば、それなりに防御にだって使えるでしょう
確かにあなたたちの速度はすごいけれど。溶けない氷をまとった体はどこまで動くかしら
それでもなお動き回る子がいれば、今度は私が撃つ。アメにばかり任せてはいられないものね
殺傷力はないけれど電撃を帯びた弾で、痺れさせてしまいましょう。さあ、目覚めの一発をどうぞ
「あら。まぁ。……大勢ね」
夏蓮は通路中を走り回るアノジーを見て、落ち着いた様子を見せていた。
カサカサとモザイクを纏って疾走する姿はなかなか衝撃的な光景ではあったが、夏蓮は表情一つ変えず、優雅にスカートを翻す。
「アメ、お仕事の時間よ。いけるわね」
そう言われ、アメがひょこっと顔を出す。一度夏蓮の顔を見てからぴょんと飛び出して、手にした銃をアノジー達に向けた。
ぱしゅ、ぱしゅ、とアメがトリガーを弾く。だが、音がするばかりで弾丸が放たれた様子はない。
もちろん、それは空砲などではなかった。その証拠に、アノジー達が何かに引っかかるようにして動きを止め始めたのだから。
「確かにあなたたちの速度はすごいけれど」
えへんと大切な銃を抱えたアメをひと撫でしてから、夏蓮はアノジー達に告げる。
「溶けない氷をまとった体はどこまで動くかしら」
夏蓮のその言葉の通り、アノジー達の全身を厚い氷が覆い始めていた。
ラビィネット。アメの放った銃弾は、見えない透き通った網となって、通路中に張り巡らされていたのだ。
そして、その網にかかった者は溶けない氷に身体の自由を奪われてゆく。そう、今のアノジー達のように。
「……あら」
夏蓮がほんの僅かに目を見開いた。氷を纏ってもなお、走り回るアノジーがいたのだ。
その姿に、アメがもう一度銃を構えようとして、夏蓮が制止した。
「今度は私が撃つわ。アメにばかり任せてはいられないもの」
そうして構えた軽機関銃をアノジーに向け、トリガーを弾いた。
「目覚めの一発をどうぞ」
耳をつんざくような炸裂音とともに、無数の銃弾がアノジーへと放たれ、何発もの弾丸が直撃する。弾丸を喰らったアノジーはばちん、と全身に電撃を受けて、ぱたんとその場で倒れ込んでしまった。
今回夏蓮の使った弾丸は電撃を帯びたもの。殺傷力は無いが、痺れて暫く身動きが取れなくなるものであった。
ぐるぐると目を回して倒れたアノジー。周りの皆もきっと目が覚めれば洗脳も解かれていることだろう。
大成功
🔵🔵🔵
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
この子達が出てくるのは、ここが食事処の地下だからなのかな?
これ以上悪い事を手伝わせないためにも、一旦倒して洗脳を解かないとね!
チョゴン!キミに決めた!
チョゴンと一緒にアノジーと戦うよ♪
UCは『チョゴンのチョコクリームつなみ★』
チョコクリームの津波による【範囲攻撃】でダメージを与えて、【チョコ固め】で動けなくするね♪
敵の攻撃は【第六感/見切り/身かわし】で避けるよ♪
アノジー達の襲撃に、クローネは首を捻る。
「この子達が出てくるのは、ここが食事処の地下だからなのかな?」
アノジー達は確かに、カフェやレストランなどで出現しやすい気がする。英雄はきっとそんな彼らを見つけて、洗脳と強化を施したのであろう。
「これ以上悪い事を手伝わせないためにも、一旦倒して洗脳を解かないとね!」
そう言い、クローネが傍らのチョゴンを見て微笑んだ。
「チョゴン、キミに決めた!」
「ちょごー!」
クローネの掛け声に、チョゴンが勢いよく前に飛び出した。
チョゴンはむふーっと鼻息を荒くして、アノジー達を睨みつけた。
「チョゴン、チョコクリームつなみ★」
クローネがアノジー達に向けて指を差す。チョゴンはその指示を受けて、全身をぶるぶると震わせた。
「ちょ~~~ご~~~~!!」
チョゴンの全身から、チョコクリームが溢れ出す。通路いっぱいにまであふれたそのチョコクリームが、アノジー達を押し流してゆく!
その津波を避けたアノジーが、モザイクを纏ってクローネに襲い掛かる。
「えいっ♪」
だが、クローネはそれを華麗に避けて、アノジー達に向き直る。
「チョゴン、チョコ固め★」
「ちょごっ!」
高速で飛び回るアノジーに、チョゴンは器用にチョコクリームを波立たせた。そうして出来た壁に、アノジーは思わず突っ込んでしまう。
「じ、じじっ!」
じたばたするアノジー達。そのうちにチョコクリームが冷えて固まり、アノジー達を覆ってゆく。
「ゆっくり休んでてね★」
アノジー達が動けるようになるころには、きっと洗脳も解けているだろう。チョコクリームの波が引いた通路を、クローネとチョゴンは歩き出す。
これで洗脳されたバトモンは皆無力化した。あとは英雄をやっつけるだけだ!
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『英雄博士「ジーニアスS」』
|
POW : バトモンヒーローの融合合体能力を再現したのよ
自身の【バトモン】と融合合体し、全ての技能レベルと行動回数を2倍にするがレベル秒後【合体対象のバトモンが”使えなくなった”事】により行動不能。
SPD : これがワタシの大発明よ!
自身の【バトモン】を【激しい負荷と引き換えに巨大】化して攻撃し、ダメージと【バトモンによって異なる種類】の状態異常を与える。
WIZ : さあ、やりなさい!
自身の【バトモンが戦闘後に”使えなくなる”事】を代償に、【凶暴化したバトモン】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【バトモンごとに異なる能力】で戦う。
イラスト:Na.がし
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ブルーノ・ビアンペサント」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
通路の奥の扉を開くと、うすぼんやりとした照明に照らされた部屋が待っていた。
カラフルで毒々しい液体が詰まったシリンダーの数々がぼこぼこと泡立って、たくさんの機械が色々な数値を常に表示し続けている。
これらはバトモンに負荷を与え、異常強化するための薬品類なのだろう。
そんな薬品類に囲まれて、一人の少女がくすくす笑っていた。
「……あぁ、これでもっとバトモンは強くなるわ。やっぱりワタシってば……大天才!!」
そんな独り言の呟いてから、その少女はふと猟兵達の気配に気付いて振り向く。
「あぁ? アンタら誰よ?」
先程まで笑っていた顔から一転、不機嫌な表情で猟兵達を見るその少女の名は、英雄博士「ジーニアスS」。
「ワタシの研究を邪魔しないでくれる?」
ジーニアスSはそう言うと、数々の試験管を取り出して猟兵達へと襲い掛かってきた。
さぁ、今こそ決着の時!
ジーニアスSを倒し、この秘密基地を破壊してしまおう!
北皇・玄華
覚悟せい、小娘よ。このワシがお主ごとこの研究所を破壊してやろう。
おっと、バトモンと融合しおったか。ならばこちらも、じゃな。
イワビロ、シャッコイ、ワシとフュージョンじゃ!
(フュージョン後の姿はお任せ)
相手の融合相手にもよるが、ひとまず向こうの攻撃はイワビロの力(直立不動による硬化)で防御じゃ(結界術とオーラ防御込み)
隙を見せたら、鎧砕きを込めた氷の(パンチ)ハンマーで粉砕してやろうぞ!
ウィルパよ、お主はビームで援護攻撃せい!
そして融合解除までに秘密基地の厄介な機械もウィルパと共に破壊じゃ!
(アドリブ歓迎)
やれ、バトモンに情がないとは何とも愚かじゃな。(小声)
怪しい照明に照らされた液体ごしに、ジーニアスSが笑った。
「邪魔するんなら、私の研究を見ていきなさい」
そんな不敵な様子のジーニアスSを前に、北皇・玄華(北を守護する退魔術師(物理)・f36813)は堂々と告げた。
「覚悟せい、小娘よ」
びしりと指を突き付けて、宣言する。
「このワシがお主ごとこの研究所を破壊してやろう」
「ふーん、そんなこと出来る?」
そう言った瞬間、背後からデンクラゲが現れた。
ジーニアスSはデンクラゲの触手を引っ張り、身体に巻き付けると、バチバチと全身に電気が迸り始めた。
「バトモンヒーローの融合合体能力を再現したのよ!」
「なるほど、ならばこちらも、じゃな」
玄華が叫ぶ。
「イワビロ、シャッコイ、ワシとフュージョンじゃ!」
玄華とともにいたバトモン達がその言葉に反応する。
じっと動かなかったイワビロはおもむろに翼を大きく広げ、シャッコイはぶんぶんと爪の素振りを始める。
「バトモン共との融合姿、しかとその目に焼き付けるが良い!」
二体のバトモンが玄華と重なり合う!
「バトモンフュージョン!!」
そうして現れたのは、硬い岩で全身を包み、強力なシャッコイの拳を備えた玄華の姿であった。
「本家なんか軽く超えてんのよ、この研究は!」
ジーニアスSがコンセント型の触手を伸ばす。玄華に突き刺して、直接電撃を送り込もうというのだ。
「果たしてそうかの?」
玄華はじっと直立不動となり、そのコンセントを弾き返す。
「なんですって!?」
硬化したイワビロの身体にはまるで歯が立たない。これでは電撃を与えることすら不可能だ。
攻めあぐねているジーニアスSを前に、玄華が新たな指示を出す。
「ウィルパよ、お主はビームで援護攻撃せい!」
ひゅんと現れた宝石のようなバトモンは、その言葉に合わせてビームを放つ。それはジーニアスSに限らず、研究所内の施設をも破壊してゆく。
「あぁー!! ワタシの研究を、よくも!!」
激昂するジーニアスS。だが、そこに隙が生まれる。
「今じゃ!」
玄華がジーニアスSの懐に入り込むと、拳を引いて呟いた。氷の力が収束し、勢いよく放たれる!
「きゃぁああっ!!!」
吹き飛ばされてゆくジーニアスSに、玄華は憐れみの表情を見せて呟いた。
「やれ、バトモンに情がないとはなんとも愚かじゃな」
大成功
🔵🔵🔵
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
バトモンを強くできるのなら、多少の犠牲や代償は許容されるとでも言うつもり?
そんなの、許される訳がないでしょ!
クローネちゃん達が絶対に止めてみせる!
チョゴン!キミに決めた!
チョゴンと一緒にジーニアスSと操られたバトモンと戦うよ♪
UCは『チョゴンのチョコとばし★』
飛ばしたチョコを【硬化】させて付着した部位を動けなくするよ♪
敵の攻撃は【第六感/見切り/身かわし】で避けるね♪
最終戦争に勝つため、生き残るため。
そんな過酷な世界を戦い抜いた英雄達にとって、バトモンとは武器であり、力であった。
「バトモンを強くできるのなら、多少の犠牲や代償は許容されるとでも言うつもり?」
クローネは問う。いつもの天真爛漫な様子とは違って、その口調には怒りを孕んでいる。
「そんなの、許される訳がないでしょ!」
「はぁ? 許す許さないを決める権利なんか、アンタにはないでしょ?」
ジーニアスSは悪びれる様子もなく言葉を返す。
英雄にとって、バトモンとはそういう価値観なのだ。だが、それは今の時代に決して相容れるものではない。
だからこそ、クローネは宣言する。
「クローネちゃん達が絶対に止めてみせる!」
そして、クローネは傍らのバトモンと目を合わせて叫んだ。
「チョゴン! キミに決めた!」
「つまんないわねー、そんな程度の力でワタシのバトモンにかなうとでも?」
ジーニアスSはそう言うと、チラリと自身の背後を見る。
「来なさい」
「ぐ、ぐぐ……」
現れたのは、ダクファーであった。だが様子がおかしい。目は血走り、やけに鼻息が荒い。
「……あれも、無理矢理強くしたんだね?」
ダクファーの様子に、クローネが問う。ジーニアスSはやはり悪びれる様子すらなく、ダクファーに命令した。
「さぁ、ダクファー。やんなさい」
「グァァアッ!!」
闇の波動とともに、ダクファーがクローネとチョゴンへ襲い掛かる。
「止めてあげなきゃ!」
クローネは使命感を露わにしてチョゴンに言う。
「チョゴン! チョコとばし★」
「チョゴー!!」
チョゴンが溶けたチョコをダクファーへと飛ばす。柔らかなチョコはダクファーに触れると、徐々に硬化し、動けなくなるほどに固まってしまう。
「ちょっと大人しくしててね★」
動けなくなったダクファーは、無理に身体を動かそうとすることもなくいずれ落ち着くだろう。だが、その姿にジーニアスSが毒づいた。
「チッ、使えないわね!」
その様子に、クローネとチョゴンがむっとした表情をする。
「やっぱり許せないね! チョゴン!」
「ちょーごー!!」
チョゴンががぶりとジーニアスSに噛みついた。
「きゃぁあっ!!?」
痛みに距離を取るジーニアスS。二人の息ピッタリの攻撃は、無理矢理強くしたバトモンを軽く超えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ポノ・エトランゼ
【咲編み】
彼らは過去に造られた生物だけど、交流や戦闘の勝敗で
喜んだり、悔しさを覚えたり……培った愛情を後継に託したり
そうやって色んな経験値を積んで成長してきたと思うの
無理矢理負荷を与えて使い捨てるような使役をするのは赦せないわ!
機械群のことはリコさんにお任せ
私は、味方の成功率が上がるよう、UCで敵に攻撃していくわね
杖で雷属性の魔法弾を撃ちこんで、敵の行動とバトモンへの指示を阻害していきたいわ
私の攻撃とコタマさんの突つき鎧砕きで試験管破壊も試みたいわね
そうそう
怪しい秘密基地も破壊しなきゃよね
ここにいるバトモンの皆が、地上にあるカフェ空間のように
これからは楽しく穏やかに過ごせるように
リコ・リスカード
【咲編み】
研究が楽しいのは分かるけどォ……
研究者なら時代についてかないとねェ?
――確かにキミの時代では正しかったのかもしれないけど
ポノちゃんも言う通り、彼らも色んな経験を積んで、今は人類の友達なんだ
バトモン達を犠牲にするのも今の在り方を否定するのも――赦さないよ
機械には『世界侵食サーバー』で《ハッキング》
俺も機械の重要性は分かってるからね、もう使えないようにしたげるねェ♪《挑発》
相手UCが発動する前より先に《武器に魔法を纏》って《マヒ攻撃》を叩き込む
ポノちゃん達の攻撃で敵の勢いを削いだところにUC
機械ごとズッタズタにする
うん
危なそうなものは壊しておこう
バトモン達の安全な秘密基地になればいいね
ジーニアスS。かつての英雄はバトモンを無理矢理強化する術を研究していた。
「研究が楽しいのは分かるけどォ……」
リコは施設を見渡し、一定の理解を示す。しかし同時に、今のジーニアスSのありようを否定した。
「研究者なら時代についてかないとねェ?」
「な、なによ……!」
ジーニアスSが怯む。今の世界は確かに、ジーニアスSの生きていた時代とは大きくかけ離れていた。
当時であればこの程度当然であったのかもしれない。正しくすらあったのかもしれない。だが。
そこにすかさずポノが言葉を続けた。
「彼らは過去に造られた生物だけど、交流や戦闘の勝敗で喜んだり、悔しさを覚えたり……培った愛情を後継に託したり……」
ポノの瞳がまっすぐジーニアスSを見つめた。
「そうやって色んな経験値を積んで成長してきたと思うの」
「ポノちゃんも言う通り、彼らも色んな経験を積んで、今は人類の友達なんだ」
リコも続ける。ポノとリコの、バトモンへの想いが言葉となって膨らんでゆく。
「そんなバトモンに無理矢理負荷を与えて使い捨てるような使役をするのは赦せないわ!」
「バトモン達を犠牲にするのも今の在り方を否定するのも――赦さないよ」
二人の視線とまっすぐな言葉。だが、オブリビオンと化したジーニアスSにはもはや響かない。
高笑いをして、手にした試験管を掲げる。
「ふん! それならワタシがもう一度あの時代を迎えさせてやるわよ! この発明でね!」
「させないよ」
リコの手にした剣から発せられた流れ星が、ジーニアスSの手首を掠める。
「……んなっ!?」
ビリビリと手が痺れ、試験管が手から離れない。
本来ならば中の薬剤で近くに控えさせていたバトモンを巨大化させようとしていたのに。
「コタマさん!」
ポノの声に、ニワトリのコタマエッグランティア1世が飛び掛かる。
「あぁっ、こらっ!!?」
嘴で突かれて、ジーニアスSの手から試験管が零れ落ちた。試験管は床に落ちて、薬剤ごと割れて無駄になってしまった。
「よーし、今のうち!」
ポノが杖を振り上げ、ジーニアスSへと追撃を仕掛ける。
「は、はん! こんなのなんてことないわ!」
その攻撃を避けながら、ジーニアスSは近くの端末へと走る。
「ワタシの発明はこんな試験管程度じゃ……あ、あれ?」
痺れた指で端末を操作しようとして、ジーニアスSの顔が青ざめた。
何故か、端末が一切反応しないのだ。
「俺も機械の重要性は分かってるからね」
そう言ったのは、リコであった。手にはスマホのような端末が握られていて、得意げに笑っている。
「ま、まさか……」
そう、リコはポノ達が攻撃をしている最中に施設内の機械にハッキングを仕掛けていたのだ。
「もう使えないようにしたげるねェ♪」
「ま、待って……!」
ぽちっとボタンを押すと、リコの『世界侵食サーバー』が、ジーニアスSの機械類を完全に破壊してしまった。
「こ、このぉぉ!!」
「えいっ!!」
激昂するジーニアスSに、リコの雷属性の魔法が直撃した。
「あががががっ!?」
電撃で痺れるジーニアスS。そこに生まれた隙をついて。リコはグリムリーパーの魔力を放出する。
「ズッタズタにしてあげるねェ」
その言葉の直後、不可視の刃がジーニアスSと、その周囲の機械類を切り裂いたのであった。
攻撃を続けながら、ポノは杖を振るい呟いた。
「そうそう、この秘密基地も破壊しなきゃよね」
「うん、危なそうなものは破壊しておこう」
リコも頷いて、さらに不可視の刃を広げてゆく。と、ふとその影に怯えるバトモンの姿を見た。
きっと研究のために連れて来られたバトモンか、ここに住み着いているバトモンなのだろう。彼らが安全に暮らすためにも、と刃は機械を念入りに切り刻む。
「ここにいるバトモンの皆が、地上にあるカフェ空間のように……これからは楽しく穏やかに過ごせるように」
ポノがなんらかの培養液が詰まったタンクを魔法で貫くのを見ながら、リコも穏やかに言う。
「うん、安全な秘密基地になればいいね」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
蔵務・夏蓮
アメ、もうひと仕事よ。お願いね
アメに風をまとわせ強化
ブキラビィは身体能力の低いバトモンだけれど、これでちょっとやそっとじゃ倒れないし、攻撃の威力だって強化される
駆け回りながら戦ってもらい、私はアメを電撃弾でサポート
ところで。不測の事態って、気をつけていても起こるものよね
ねえ、あなた。バトモンを強化して戦わせているようだけれど
その強化、本当に上手くいっているのかしら
不運な事故が起こっている間に、存分に撃って基地のあちこちを壊してしまいましょうか
可能な限り派手に、けれどカフェには害のないように
私が派手に動いて相手の気を引き、アメにはそれを隠れ蓑にした相手への一撃をお願い
英雄たちの秘密基地。今はもう不要の秘密基地。
過去の遺物に囲まれて、英雄ジーニアスSは怒りに震えていた。
「この、大天才のワタシの研究が、この世界を変えてやる!」
そんなジーニアスSの姿を見て夏蓮は涼しい顔を続けていた。
「アメ、もうひと仕事よ」
その言葉にアメは頷き、ぴょんと跳びあがる。その小さな背中目掛けて、夏蓮は涼やかな風を送り込んだ。
ふわりと毛並みが波打って、アメの身体を強くさせる。身体能力の低いブキラビィでも、こうなればちょっとやそっとじゃ倒れない。
「お願いね」
颯爽と風を纏ったアメは、手にした銃を放つ。
だが、ジーニアスSはその攻撃に安心と傲慢の混ざった顔で笑う。
「そんな強化程度、ワタシの発明には遠く――」
「ところで」
夏蓮が言葉を遮った。
「不測の事態って、気をつけていても起こるものよね」
「――は?」
直後、ぼん! と培養液の詰まったタンクが破裂した。
「え、な。なに!?」
ジーニアスSが狼狽える。それは不慮の事故としか言いようがない。
本当に何もしていない。純粋な事故だ。だが、それは確実に夏蓮の起こした風によって起こされたものであった。
ばしゃばしゃと培養液が床に流れる中、ジーニアスSは平静を装いながら試験管を取り出した。
「ふん! こんなもの、アンタたちを倒したらまた……」
「ねえ、あなた」
しかしまたもや夏蓮が口を挟む。視線はジーニアスSの手にした試験管だ。
「バトモンを強化して戦わせているようだけれど……その強化、本当に上手くいっているのかしら」
「何を言ってる! ワタシの発明は完璧よ!」
呼び出したゴロロンに、ジーニアスSが試験管をふりかける。それはバトモンを凶暴化させる薬――のはずだった。
「……へ?」
試験管を浴びたゴロロンが、大欠伸をして眠りこけてしまったのだ。思わずジーニアスSの顔がひきつる。
「そ、そんな馬鹿な……ハッ」
培養液のタンクの中身が流れ出ている。ジーニアスSはゴロロンがこの液体も浴びてしまっていたのに気が付いた。その結果、それと凶暴化の薬が予期せぬ反応を生み出してしまったのだ。
「不運な事故ね」
まるで他人事のように言いながら、夏蓮は巨大なガトリングガンを構えた。
激しい炸裂音と共に施設中に銃弾がばら撒かれる。
電撃を纏った銃弾は施設の機械や資料などを次々貫き、時に爆発させる。爆発は爆発を呼んで、見事に辺り一面火の海となった。
夏蓮は天井の上を見る。どうやら基地の構造自体は相当頑丈らしく、これだけ暴れてもカフェには影響がない様子。ならもっと派手に暴れても――。
と、再びガトリングガンを構えたところで、ジーニアスSが駆け寄る。
「や、やめろ! これ以上この研究所は――!!」
「今よ、アメ」
炎の中から、アメが飛び出した。
「あっ……!!」
不意を突かれたジーニアスSが目を見開いた。銃口は完全に彼女を捉えていて――。
一発の銃声。それが最後となった。
スプリンクラーで炎が消えると、英雄の秘密基地はただのだだっ広い地下室と化していた。
ここに住んでいたバトモンや、連れて来られたバトモン達のうち、希望するものはこのままこの場で、ひっそりと暮らすことにしたようだ。
洗脳の解けた彼らは、カフェを邪魔するような真似などしない。カフェも事情を理解すれば、うまく共生することができるはずだ。
そして、いつかきっと、ここはバトモン達の楽園と言う名の、新しい秘密基地に生まれ変わるだろう。
大成功
🔵🔵🔵