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秋風キャンプ日和

#アスリートアース #ノベル #猟兵達の秋祭り2025

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結城・有栖



夜久・灯火





 アスリートアースのとある自然公園は、穴場のキャンプ場となっていた。
 自然豊かな景色は深い緑色に染まり、空は爽やかに晴れ渡っている。9月も後半となれば茹だるような暑さも過ぎ去り、心地の良い風が草木を揺らす。
 そんな景色のを眺めつつ、結城・有栖(狼の旅人・f34711)も全身で風を感じていた。
「秋の気配を感じます。晴れてるけど暑くなくて、ちょうどいい感じですね」
「風も涼し気な感じダネー。BBQも楽しみダネ」
 有栖の隣で微笑むのは有栖そっくりのオウガ――実体化したオオカミさんだ。
 そして二人の後方には立派なキャンピングカーが停まっており、その持ち主である夜久・灯火(キマイラの電脳魔術士・f04331)がBBQコンロを下ろしていた。
「今日は晴れてるし涼しいしで快適だね。食材も秋の味覚を色々用意したよー。BBQも期待しててね♪」
「っと、私達も手伝いますよ。炭とか、出しておきますね」
 有栖もキャンピングカーに近づき、荷物を手に取る。オオカミさんも手を伸ばし、作業を手伝っていた。
「道具を見てるだけでお腹ペコペコになるヨ。本当に楽しみダネー」
「オオカミさんは食欲の秋って感じですね。でも、私も楽しみです。皆で食べるご飯、美味しいですから」
 ワクワクしながら荷物を並べるオオカミさんと有栖に、灯火はクスリと微笑んだ。
「足りないものは電脳魔術ですぐ用意するからねー。そろそろ始めちゃおうか」
 コンロに炭をセットして、網にしっかり脂を塗って。そして火をつければ、三人の心にもワクワクの火がついた。

「それで、何から作ろうか?」
 食材を並べつつ提案する灯火に対し、有栖は小さく手をあげる。
「まずは焼きおにぎりが食べたいです。どうでしょうか?」
「いいネ。主食は大事ダヨ」
 オオカミさんも同意するように頷けば、灯火は早速電脳魔術を展開していく。発動するのは道具を作り出す術だ
「刷毛とか用意するから、先に食材を焼いてくれるかな? かりかりの焼きおにぎり、ボクも食べたいし」
「わかりました。オオカミさん、頑張りましょう」
「オー!」
 有栖とオオカミさんは塩むすびを手に取り、網の上に並べていく。そこに作った刷毛を手にした灯火も並び、塩むすびの表面にめんつゆを塗りだした。
 この調子で両面を焼いていけば、アツアツでかりかりな焼きおにぎりの完成だ。
「おー、香ばしい匂いが美味しそうダネ」
「たくさん焼けましたね。皆で食べましょう」
 アツアツのうちに一口食べれば、香ばしい香りとお米の甘みが口の中に広がって。焼きおにぎりだけでも大満足だが、BBQはまだまだこれからだ。

 灯火は串を手に取ると、そこに豚肉やパプリカを突き刺していく。それを網の上におけば、香ばしい香りが広がった。
「キノコも用意したんだ。秋の味覚の定番だからねー」
 さらに串焼きの用意を進める灯火を眺め、オオカミさんも串を手に取る。
「キノコいいネ。あ、豚串もいいケド、焼き鳥も焼こうヨ」
「そうですね。鶏もも肉と長ネギを用意しましょうか。それから……」
 有栖も王道の焼き鳥串を焼きつつ、シイタケも手に取る。一緒に掴んだのはピザソースとチーズだ。
 網に置いたシイタケの上にソースとチーズを乗せれば、ピザ風シイタケのできあがり。他の串とは違う香りに、オオカミさんも灯火も思わず視線を向ける。
「あっ、美味しそうダネ!」
「ピザ風シイタケいいね。有栖ちゃんナイスだよ♪」
「そう言っていただけて嬉しいです。焼き目がついたら食べましょうか」
 楽しげな二人につられ、有栖も表情を和らげる。三者三様食べたいものを焼いていけば、この楽しみはもっと広がるはずだ。

 そうして串焼きや野菜を食べて、焼きおにぎりもしっかり食べて。これでBBQは堪能しきったかと思いきや――。
「じゃーん、秋刀魚の用意してたんだ。秋のBBQと言ったら、メインはやっぱり秋刀魚だね♪」
 最後の最後に灯火が見せたのは、脂が乗った新鮮な秋刀魚だ。それを炭火でしっかり焼けば、たくさん料理を食べた上でも食欲を唆る香りが広がる。
「わぁ、秋らしくていいですね。どうやって食べようか迷います。脂もすごくて、美味しそう……」
 狼耳を立てて喜ぶ有栖の隣で、オオカミさんも期待で尻尾を揺らしている。
「私としてはポン酢がオススメカナ?」
「ボクは定番の大根おろしで頂くね♪」
 灯火も猫の髭を揺らしつつ、楽しげに微笑む。とっておきの秋刀魚なのだから、思い思いに好きに食べるのが一番だ。
 三人で一緒にサンマの身をほぐし、一口食べれば――思わず顔を見合わせるくらい美味しい。
「……秋ですね」
「秋の味覚ダネー」
「本当に、秋って感じだよね」
 焼き立てのサンマの熱気と、身体を癒す秋の風。景色も味覚も、三人を包む何もかもが新しい季節を示す。
 きっと秋が来るたびに、またこの日のことを思い出すだろう。素敵な秋の思い出が、三人の心に刻まれるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年09月29日


挿絵イラスト