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シャングリラ☆クライシス⑲〜少女が少女であるが為に

作者：黒代朝希

「――いよいよ『シャングリラ☆クライシス』も最終局面ね……霊神『グラン・グリモア』――恐らく、あの幻朧帝『イティハーサ』と同じ枠組みの存在……」
　シビュラ・ヴェルムリープ（光桜天樹スプリールの聖女・f39562）は神妙な顔持ちで最終決戦の序幕――オブリビオン化した｜神格者《アイドル》『イエロータイガー』との戦いの場へと、六番目の猟兵とアイドル達にその説明を行っていた。
　アイドルステージの上で、限りなく完全なオブリビオンに近い状態となった｜神格者《アイドル》『クオリア・シンフォナー』との最終決戦に挑むのが今回の戦場……あれで、完璧なオブリビオンではなかったのである。
「霊神『グラン・グリモア』の影響でしょうね……完全なオブリビオンへと近づいていく『クオリア・シンフォナー』のユーベルコードはここにきて急速に増大し、虚空から更なる｜神格者《アイドル》を生み出そうとするのだわ」
　そして、虚空から現れる｜神格者《アイドル》とは――『クオリア・シンフォナー』と相対した六番目の猟兵とそっくりの姿形を取り、クオリア・シンフォナーと連携して立ちはだかって来る。
　2人の強敵を相手取る厳しい戦いになるのは当然だが、新たな｜神格者《アイドル》は戦闘能力やアイドルとしてのスタイル、考え方の癖なども複製元となる六番目の猟兵と全く以て同一である。
　だが、だからこそ相対する六番目の猟兵は、その『全く同じ』である事を活かして突破口を開く事が出来るだろう。
「また、貴方独自のアイドルパフォーマンスを披露すれば、其れが差異となって観客席からの応援も強化されるかもしれないわね」
　そんな風に締めくくった後、シビュラは最後にこう告げる。
「この戦場を制圧して勝利した場合、アイドルステージによって『クオリア・シンフォナー』は転生――『記憶を忘れられない』という特異体質を持つだけの少女に戻るのだわ……その為にも、頑張ってらっしゃい！」

第1章 ボス戦 『『クオリア・シンフォナー』』

POW   :    ブラック・シンフォニア 【漆黒の最強アイドル】に変身する。隠密力・速度・【ユーベルコード】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【崇拝】の感情を与える。 SPD   :    クオリア・カプリース レベルm半径内を【高速回転する時計のオーラ】で覆い、範囲内のあらゆる物質を【時間操作】で加速、もしくは【時間操作】で減速できる。 WIZ   :    クロノス・アリア 【懐中時計】に宿る【時間操作の歌】を解き放ち、レベルm半径内の敵には［時間操作の歌］で足止めを、味方には【治癒速度向上】で癒しを与える。 イラスト：hoi 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　オブリビオン化が進んでいる漆黒の｜神格者《アイドル》『クオリア・シンフォナー』……その傍へと召喚された自分そっくりの『新たな｜神格者《アイドル》』、今回現出したのは熊ヶ谷・咲幸（チアフル☆クレッシェンド・f45195）と印旛院・ラビニア（エタらない人（仮）・f42058）とそっくりな二名。
　しかし、二人とも己の性質と業を理解している六番目の猟兵――それぞれ、生者である方の二人は『｜神格者《アイドル》』となった『己そっくりの影法師』と対決していく。
「――『いっしょうけんめい☆がんばります！』……これも、あっちも披露してくるだろうけど」
「――『劫禍』」
『ラビ子の願いだ。ここは聞いてやろう！』
　がんばりオーラを展開する咲幸の支援を受け、ラビニアはユーベルコード『｜豪華なる協力者《スパダリサポーター・ゴウカクン》』を発動。
　人の姿となったオブリビオンマシン『劫禍』が召喚され、ラビニアは全ての確認されている技能がレベル100となる。
　そのまま、自身の影法師と競争しながら咲幸とラビニアの二名は『クオリア・シンフォナー』の時間操作ユーベルコードの対策を整えていく。
「今度はこっちがサポートするよ」
『しかし、ラビ子そっくりの｜神格者《アイドル》か……ラビ子の前に、我が手に欲しいな』
「あ、ありがとうございます……では、行きます！」
　全ての技能をレべル100.…ユーベルコードの域に到達したラビニアの支援を受け、咲幸は同じくユーベルコードの域に到達した怪力を用い、更に力持ちとしての概念や因果、ユーベルコードをも超える膂力を振るう事で時間操作ユーベルコードを粉砕。
　そのまま、力強い『お騒がせ☆アイドル』のパフォーマンス……影法師二人と『クオリア・シンフォナー』を巻き込んで盛大に咲幸はずっこける。
「……絵面はギャグだけど、強いね……」
『怪力、膂力そのものがユーベルコードである存在が、ドジ等をユーベルコードにするアイドルになっているからな……巻き込まれるだけで並みのオブリビオンは粉砕される事だろうよ』

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「クオリアさん……貴女は……ずっと……苦しんで……泣いていらしてました…」
「……」
　真摯に、アリス・フェアリィハート（不思議の国の天司神姫アリス・f01939）は漆黒の｜神格者《アイドル》へと語り掛けていく。
　時間を操作し、虚空から新たなる｜神格者《アイドル》のオブリビオンを生み出す莫大な力を持つ少女の、泣いている理由へと。
「私は……私達は……必ず……クオリアさん、貴女を……助けます……！」
　クオリアからの返答を待たず、アリスの影法師たる｜神格者《アイドル》が出現。
　そこからアリスの持つ莫大な力を再現したユーベルコードが、アリス本人へと返って来る――
「クオリアさん……私のコピーさん……それなら、私はお二人ともご一緒になって――」
　歌唱、ファンサービス、笑顔の魔法、アイドルダンス――それらアイドルにとって大事な技能を以て、アリスはアイドルとしてのパフォーマンスを開始。
　ユーベルコード『ギャラクシィスター☆マジカルプリンセス』をも発動させ、万象等をも魅了する異次元のパフォーマンスをクオリアと自身の影法師へと披露していく――
「私にとっての『敵』は、クオリアさんでも、私の影法師さんでもありません……この場で、クオリアさんを苦しめている、霊神『グラン・グリモア』さんの『影響』です……！」
　そう断言し、アリスは続いて『万象等をも防ぐ衣装等纏う超銀河☆アイドル』へと変身。
　戦場内の敵全てを攻撃する『星宙魔法』と『味方を回復し異常等消す星光』を降り注がせ、そのまま宇宙規模のパフォーマンスを観客席のファンへと届ける事で、アリスは更に強化を受けていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「自分と同じ能力の相手……猟兵活動でなんやかんやしてるうちに増えてた、統一感の無い8か9系統ぐらいの能力。同じ系統でも全然違う能力もあるし、複数系統の組み合わせもあるし、その相手とかクソゲーかな？」
　上野・イオナ（レインボードリーム・f03734）……彼が六番目の猟兵として活動していくうちに獲得していったユーベルコードの系統。
　その中でも、本質と言えるものは……
「いやー、それでも僕が猟兵として頑張ってきた結果だ。相手も僕の能力読み切れないだろうしOKと考えよう――ただ、パフォーマンスと言ったらゴッドペインターだよね！」
　強化状態の触手群――触手一本ごとに異なる技能100レベルが搭載された触手の群れを使った攻撃を放つと同時、戦場全体に『ペイントブキで描いたカラフルな疑似宇宙』をイオナは展開。
　ユーベルコード多重発動能力『｜極彩色の花束《フローイング・ブーケ》』……その発動と同時、ユーベルコード『｜奇蹟『XXI．世界』《ザ・ワールド》』による領域展開が流出したのだ。
「完全回復できるとは思ってないけど、クオリアちゃんを救いたいのは今回の戦いの前提だから」
　触手で複数のペイントブキを操り、時間操作を超えるスピードで綺麗な疑似宇宙を描いていくイオナ。
　降り注ぐ星光でオブリビオン化の状態異常からの回復――これだけで『クオリア・シンフォナー』のオブリビオン化を解除できるとは思っていない。
　しかし、これはイオナの決意表明の様なもの……それを示すことがイオナのパフォーマンスなのだ。
　必然的に、観客席からの応援は濃度と数を増していく――
「最初の｜神格者《アイドル》2人の様子を見たら、僕っぽい｜神格者《アイドル》にも回復効くかな？」
　同じ様にゴッドペイント能力を以て、自らを攻撃しようとしている影法師を見据えながら……イオナはオブリビオン化の混乱でも、中のクオリアちゃんの抵抗でも、一瞬でも隙が出来た場合――
　即ち、この戦いを終わらせる好機を掴み取れるか否か――強化状態の触手群を使った攻撃に、多重に塗り重ねられた『ペイントブキで描いたカラフルな疑似宇宙』が｜付与《エンチャント》される。
「――今だ！」
　瞬間、虹の様に輝く触手の群れが『クオリア・シンフォナー』と自身の影法師を貫く――それは、肉体も魂も傷付けず……そのオブリビオンとしての宿痾のみを浄滅する様に、ゴッドペイントの力を注ぎ込んでこの戦いを終わらせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2025年09月22日