シャングリラ☆クライシス⑱〜愛がいっぱい
●
「集まってくれてありがとう。シャングリラ☆クライシスもいよいよ最終局面ね」
チェルシー・キャタモール(うつつ夢・f36420)は猟兵達に頭を下げ、説明の姿勢を取る。
「今回は|神格者《アイドル》『レッドライオン』との決戦に向かってもらうわ。もし終戦までにこの戦場を制圧できれば、彼女をオブリビオンではない神格者として転生させられるみたいなの。彼女を助け出すためにも、戦争に勝利するためにも、ぜひみんなの力を貸してほしいわ」
強大な存在を味方にできる可能性があるというのは喜ばしいが、そのためには困難な戦いを乗り越えなければならない。現在の『レッドライオン』は、どうやら非常に危険な状態となっているようだ。
「今の『レッドライオン』は完全なオブリビオンに近づいてしまっているようで、凄まじい愛のオーラを振りまいているの。そのオーラは近付く者全ての心を愛情によって壊してしまう危険なもので、無策で近づけばみんなも無事では済まないの。これに打ち勝つためには、同じくらいの『たくさんの愛』の力が必要で……その愛を、観客席からの応援から集めてほしいのよ」
観客席からの応援をたくさんの愛として受け止めることができれば、それは猟兵を守る鎧――すなわち『|愛の鎧《ラブマックス・ドレス》』へと変わる。
愛の鎧は猟兵達の思うままの形に変わり、『レッドライオン』の破壊的な愛にも勝てるアイドル衣装となるはずだ。
「愛の鎧を纏ったアイドルになれば、『レッドライオン』に簡単に心を破壊されたりしないわ。その状態で、どうにか勝利を掴み取ってほしいの」
愛の鎧によって強化されたとしても、『レッドライオン』が難敵なことに変わりはない。しっかりと対策をして立ち向かわなければならないだろう。
「『レッドライオン』も世界を壊したり、オブリビオンになることを望んでいるわけじゃないわ。彼女を止めるために、みんなの力を貸してちょうだい」
転移の準備を進めつつ、チェルシーは改めて猟兵達へと頭を下げる。
「厳しい戦いになるだろうけど頑張って。気をつけて行ってきてね!」
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
なりましょう、強化フォーム。
このシナリオは「やや難」となります。
●プレイングボーナス
観客席からの応援を力に変え、|愛の鎧《ラブマックス・ドレス》のアイドルに変身して戦う。
最終決戦に挑む姿勢を見せれば、そのまま愛の鎧モードに変身できます。
「こんな姿に変身して頑張るよ!」と示していただけると幸いです。
●神格者『レッドライオン』
クオリア・シンフォナーが創造した神格者の一人です。
限りなく完全なオブリビオンに近い状態となっており、無策で近づけば彼女の発する愛のオーラに心を壊されてしまいます。愛の鎧で対抗しつつ戦いましょう。
終戦までにこの戦場が制圧できれば、『レッドライオン』はオブリビオン化から解放され、クオリアとは分離した神格者として転生します。
●
オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『神格者『レッドライオン』』
|
POW : レッドシフト
【更なる愛の力】に覚醒して【真紅の最強アイドル】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : ラブマックスブレイド
【自身の愛情】から【創造したオーラの剣】を放つ。ダメージは与えないが、命中した対象の感情から【愛情以外の全て】を奪う。
WIZ : ラブ・エボリューション
視界内に【愛情エネルギーの小剣群】を召喚する。[愛情エネルギーの小剣群]はレベル秒間存在し、レベルm半径内の全員に【自我破壊】の精神異常を与える。
イラスト:静谷
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カンナハ・アスモダイ
※アドリブ連携等歓迎
絶対に助けてみせる!
|契約者《ファン》の皆、応援よろしくね!
燃え盛るようなアッツアツの<アイドルダンス>
そして情熱的な愛を込めた<歌唱><パフォーマンス>で
|契約者《ファン》とレッドライオンの心をズキューンしちゃうわよ!
|契約者《ファン》の皆、ありがとう!
燃えるように紅い|愛の鎧《ラブマックス・ドレス》を身に纏い、<歌魔法>を紡ぐ
いくわよ!貴女の心、もっとずっとアッツアツに愛してあげる!
結界乙女魔法!天国と地獄!
愛情エネルギーすら燃やし尽くして、芯の芯まで心をアッツアツにするわ!
今まで私たちに精一杯愛を届けてくれてありがとう
今度はこっちから精一杯のあったかい愛を届けるわ!
●
ステージに姿を現したレッドライオンは、圧倒的な愛のオーラを放っている。
オーラの中心に立つ彼女の顔は楽しげだが――その本心をカンナハ・アスモダイ(悪魔法少女★あすも☆デウス・f29830)はよく知っていた。
「私もアイドルだもの。アンタがこんな力を望んでないことはよく分かるわ。だから……絶対に助けてみせる!」
カンナハの宣言を鼓舞するかのように、戦場にサイリウムの光が灯る。その輝きは、いつもカンナハの笑顔を明るく照らしてくれている。
「|契約者《ファン》の皆、ありがとう! 最後まで応援よろしくね!」
応援の輝きを受け取って、その情熱をそのままダンスと歌で表現して。気付けばカンナハの周囲には、炎のように滾る紅いオーラが生まれていた。
「これは……!」
カンナハの纏う光はもちろん、カンナハ本人のパフォーマンスも圧倒的に煌めく。それはレッドライオンの視線も釘付けにし、彼女の動きを止めた。
その瞬間を見計らい、カンナハは大きく手を掲げる。
「|契約者《ファン》の皆の応援、確かに受け取ったわ! さあ来て、|愛の鎧《ラブマックス・ドレス》!」
次の瞬間、カンナハの衣装は燃えるようなドレスに変わる。そこから溢れる情熱のエネルギーは、レッドライオンの放つ愛のオーラすら押し返した。
「私のオーラが効かないなんて……!」
驚愕するレッドライオンに対し、カンナハが向けるのは勝ち気な笑顔。
「驚くのは早いわよ。貴女の心、もっとずっとアッツアツに愛してあげる!」
全身で情熱を表現し、それを結界乙女魔法へと転換。カンナハを中心に広がるのは、地獄の業火にすら似た炎の景色。
けれどそれは相手を苦しめるだけのものではない。悪い気持ちを燃やして、ただただ情熱に身を任せる――|上級悪魔《グレーターデイモン》であるカンナハだからこそ展開できる、そんな景色だ。
ダンスの最中、カンナハは少しずつレッドライオンとの距離を詰める。相手も抵抗して小剣を放つが、それらはカンナハに届く前に燃え尽きた。
カンナハはレッドライオンの前に立つと、今度は朗らかな笑みを向ける。
「今まで私たちに精一杯愛を届けてくれてありがとう。今度はこっちから精一杯のあったかい愛を届けるわ!」
だから、どうか。彼女がオブリビオンにならず、一人のアイドルになれますように。
カンナハの願いと情熱を帯びた炎はレッドライオンまで届き、彼女を解放する一手となったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リリスフィア・スターライト
強気で接近戦が得意な人格のリリスで参戦
更に手強くなったようだけどレッドライオンを助ける為にも
負ける訳にはいかないわ
愛の鎧を纏わせてもらうわ
最終決戦に相応しいアイドル衣装で挑ませてもらうわ
観客達のアピールも積極的にね
紅蓮乱舞での接近戦を挑むわ
愛の鎧による姿もアピールしつつ
剣術に炎、体術による連続攻撃を叩き込むわね
一撃の重さよりも手数で攻めて、反撃は華麗に回避していくわ
窮地に追い込まれても強気な態度は崩さずに
逆転劇を披露して観客達の視線を釘付けに足てあげるわ
アイドルの経験としては不足していても
戦闘経験なら負けてはいないわ
出来る限り短期決戦を狙うわね
長く続いて観客達も飽きさせないようにかしら
●
オブリビオンに近づいたレッドライオンは、今までよりも強力な愛のオーラを放っている。
その圧倒的なエネルギーを感じつつも、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)を形成する人格の一人、リリスの瞳には強い闘志が宿っていた。
「レッドライオンを助ける為にも、負ける訳にはいかないわ。いきましょう!」
リリスの決意を後押しするかのように、彼女の身体を煌めく愛の鎧が包んでいく。
フリルやリボンをたっぷりと使ったアイドル衣装は、最終決戦に相応しい。それでいて動きやすいデザインなのが、剣士としてのリリスらしさを強調していた。
ドレスの裾を翻して駆け出せば、リリスを応援するかのようにサイリウムが輝きを放つ。
彼らに笑顔を向けて手を振って、まっすぐ進むはレッドライオンの元。堂々と待ち構える神格者へ向け、リリスは躊躇なく戦いを挑んだ。
「さあ、あなたも愛してあげるよ!」
レッドライオンも強烈な輝きを放ち、真紅の最強アイドルへと変身する。凄まじい愛のオーラを受け流すよう、リリスが構えるのは機械仕掛けの巨大剣だ。
迫るオーラを打ち払い、周囲の炎の軌跡を描いて。リリスはただ武力で相手に立ち向かうのではなく、観客へのパフォーマンスも意識した戦い方を選んでいた。
対するレッドライオンが放つ攻撃は、オーラを纏ったシンプルな体術。しかしその一挙一動に強烈なエネルギーが宿り、同時に目を離せない優美さも纏わせている。
(さすが最強アイドルね。ただ動いているだけなのに、魅力的だわ……!)
迫る攻撃をどうにか剣で受け流しつつ、リリスは肩で息をする。油断すれば、一瞬で相手のペースに飲み込まれてしまうだろう。
けれど培ってきた戦闘経験と、何よりも負けない気持ちを糧にして、リリスは不敵に笑う。
「長く続けても、皆が飽きてしまうものね。ここからは私の逆転劇よ!」
レッドライオンが強烈なパンチを放った瞬間、リリスは身を屈めレッドライオンの足を払う。展開された疾風の魔法に相手がバランスを崩せば、いよいよ反撃のチャンスだ。
倒れかけたレッドライオンへ向け、リリスが放つのは渾身の斬撃。踊るように放たれた一閃は見事にレッドライオンを切り裂き、彼女を吹き飛ばす。
そのままくるりと身を翻し、体勢を立て直すリリス。彼女へ向けて注がれるのは、拍手喝采のようなサイリウムの輝きだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
今までのレッドライオンさんも強敵だったけど
正真正銘本気の勝負、だね
初めから全力で行くよ
僕らしく
兎モチーフな少年系アイドル衣装に変身して戦うね
破魔を乗せたオーラ防御を纏い自我破壊の緩和を狙い
歌唱に未来への希望という名の破魔を乗せて
相手の攻撃は靴に風魔法を纏わせ跳躍力を上げながら
ジャンプを多めに取り入れたダンスで回避
更に多重詠唱で杖にも風魔法を纏わせ振るう事で
命中した瞬間痛みではなく暴風で小剣ごと吹き飛ばし
レッドライオンさんを助けるため、お願い
観客の皆…力を貸して…!
愛の鎧から伝わる力を糧に指定UCを発動し
破魔で浄化攻撃しながら
更に高速詠唱で破魔の光魔法で作った沢山のハートを
銃弾の如く連射するね
●
ステージの上で対峙したレッドライオンは、溢れる力を抑えることなく佇んでいる。
圧倒的なオーラを前にし、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は表情を引き締めていた。
「正真正銘本気の勝負、だね」
避けられない戦いなら、最初から全力で行こう。
意を決して進む澪の身体を、愛の鎧が包みこんでいく。ウサギをモチーフにしたアイドル衣装はいつもよりも少年らしいデザインで、それでいて澪らしいものだった。
「あなたも素敵なアイドルさんだね。いっぱい愛してあげるよ!」
澪を出迎えるようレッドライオンが放つのは、愛情エネルギーの小剣だ。小剣の群れは凄まじい速度と物量で澪の元へと殺到し、彼の心を愛情で押しつぶさんと襲いかかる。
それに対し澪が放つのは、破魔を乗せたオーラの盾。しっかりと身を守りつつ、澪はゆっくりと呼吸を整えた。
「――♪」
未来への希望を歌う声にも破魔の力は宿り、さらに強く小剣を押し返す。そんな澪の様子に、レッドライオンは困ったように眉を下げていた。
「どうして届かないのかな? もっともっと、愛を届けなきゃ!」
レッドライオンは純粋な愛情のままにエネルギーを生み出し、さらなる小剣の雨を巻き起こす。
それらは澪の破魔を超え、彼の身体を貫こうとするが――。
「そうはさせないよ」
澪は風の魔法に身を任せ、軽やかにステージを飛び回る。そのまま杖を手に取り、そこにも風の魔力を流し込んで。
溢れる風は巨大な暴風へと変化して、小剣の群れを吹き飛ばす。大きく視界が開ければ、自分を応援してくれるサイリウムもよく見えた。
澪は観客席へ向け、大きく手を振る。
「レッドライオンさんを助けるため、お願い。皆……力を貸して……!」
澪の想いに呼応するかのように、愛の鎧が巨大な魔力の流れを生み出す。それに合わせて澪が紡ぐのは、疑似的な天上世界を作り上げる魔法だ。
思わぬ光景に困惑するレッドライオンへ向け、澪は再び杖を構えた。
「今助けるよ!」
澪の願いは煌めくハートの魔法に変わり、レッドライオンの元へ降り注ぐ。
その輝きは彼女を直接傷つけることはない。彼女を侵すオブリビオンとしての力を削り、浄化に一歩近づけるための輝きだ。
澪の優しさと決意を体現するような光は、鮮やかなパフォーマンスとなって戦場全部を包むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
人を愛し人に愛されるアイドル。
それがレッドライオンのお嬢さんだったはずなのでっす。
でっすが、ええ。
愛情によって他者の心を壊してしまう今のお嬢さんは、愛していても愛されないのでっす。
孤独なのでっす。それを寂しいとも思えないこと、とっても悲しいことなのでっす。
でっすので、ええ!
藍を、届けるのでっす!
独りではない愛を、お魅せしようなのでっす!
皆々様も見たいでっすよねー!
藍ちゃんくんとお嬢さんのデュエットを!
それでは皆様、ご一緒に!
藍ちゃんくんでっすよー!
歌うのでっす、沢山の愛をのせて。
観客の、ファンの皆々様と共に!
愛し、愛される。お嬢さんもそうであったアイドルとして!
もっとも藍ちゃんくんは愛だけでは足りないでっすので!
藍ちゃんくんの全部、藍を歌うのでっす!
藍で魅せるのでっす!
それが藍ドル!
ドレスは元々お嬢さんと対のような真の姿(新を更に強化!
翼をおっきくするなどしちゃうのでっす!
お嬢さん!
藍ちゃんくんも、皆様も!
お嬢さんのこと待ってるのでっす!
お嬢さんが本当に望むお嬢さんを、待ってるのでっす!
●
クオリア・シンフォナーは、レッドライオンを「愛情」を司る者として創造した。
それはきっと、彼女が人を愛し人に愛されるアイドルとなることを願ってだろう。愛が溢れるレッドライオンの姿を見て、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は改めて認識する。
「でっすが、ええ。愛情によって他者の心を壊してしまう今のお嬢さんは、愛していても愛されないのでっす」
「そんなことないよ。私の愛を受け入れてくれれば、みんなが愛でいっぱいになる。それってとっても素敵なことだよね?」
藍の言葉を受け、レッドライオンは朗らかに笑う。愛らしい笑顔と共に紡がれる言葉には絶対の自信があるのに、その響きはどこか虚しかった。
「いいえ、今のお嬢さんは孤独なのでっす。それを寂しいとも思えないこと、とっても悲しいことなのでっす。でっすので、ええ!」
藍は力強く前へと踏み出し、両腕を広げる。くるりとステージの上で舞い踊れば、藍の衣装は華やかなアイドルのもの――真の姿へと変わる。
星空をそのまま取り込んだような藍の衣装は、愛らしいレッドライオンの衣装とのコントラストでより引き立つ。星座の描かれた袖を振り上げ、藍は眩しい笑みを浮かべた。
「藍を、届けるのでっす! 独りではない愛を、お魅せしようなのでっす! 皆々様も見たいでっすよねー! 藍ちゃんくんとお嬢さんのデュエットを!」
元気いっぱいの呼び声に応じて現れるのはサイリウム。けれどそれは観客席に収まらず、もっと広い空間に光の海を広げていく。
それもそのはず。藍が呼び出したのは、ここまで出会ってきたすべての人達。猟兵ではないけれど、藍の声に応えた無数の声援なのだから。
「それでは皆様、ご一緒に――藍ちゃんくんでっすよー!」
そうしてステージに広がるのは、無数の歌声が重なって作り上げられるメロディ。気付けばレッドライオンはその中央に立ち、音の波に飲み込まれていた。
「す、すごい歌……でも、私の愛も負けないよ!」
レッドライオンはオーラの剣を構え、藍の元へと飛び込む。レッドライオンの斬撃は凄まじいエネルギーを放つが――藍は軽やかにそれを避け、広げた翼で上空へと飛び上がっていた。
「確かにお嬢さんはすごいのでっす。愛し、愛される。そうであったアイドルのはずなのでっす。もっとも藍ちゃんくんは愛だけでは足りないでっすので!」
だから、藍が届けるのは愛でなく藍。自分のすべてをぶつけるような、それでいて相手のすべてを包み込むような、圧倒的な藍。
「藍で魅せるのでっす! それが藍ドル! お嬢さん、もっと一緒にデュエットしましょう!」
「そうね、あなたに私の愛が届くまで! 負けないよ!」
レッドライオンも負けじとステージを蹴り、藍目掛けて刃を振るい続ける。
その攻撃に対し、藍は歌声とダンスで応戦し続けた。声が届くたびにレッドライオンからオブリビオンの力が削がれ、愛のオーラも弱まっていく。
けれどそれは、レッドライオンの存在を否定するものではない。暴力的な愛ではなく、よりもっと本質的な――そんな愛こそ、レッドライオンの望んでいるものだろうから。
「お嬢さん! 藍ちゃんくんも、皆様も! お嬢さんのこと待ってるのでっす! お嬢さんが本当に望むお嬢さんを、待ってるのでっす!」
だからその時は、改めてデュエットしよう。一緒にステージに上がって、いっぱいの藍と愛を表現して。
そんな未来を紡ぐよう、藍は観客たちと声を重ねる。そうして生まれた音のうねりは再びレッドライオンを飲み込み、彼女の姿をかき消した。
それでも藍達は、レッドライオンが死んだとは思っていない。きっと再び音の海を出て、ステージに戻ってきた彼女は――本当の意味でのアイドルになっていると、信じているから。
●
こうしてオブリビオンに近づいていたレッドライオンは倒され、破壊的な愛の力は消え去った。
これは戦いの終わりではなく、新たな奇跡のはじまり。
この戦いに参加した誰もが、そんな未来を願っていた。
大成功
🔵🔵🔵