0

シャングリラ☆クライシス⑮〜不死の苦悩

作者：黒代朝希

「シンプルに”死にません”、ねぇ……これはどう対応すれば良いのかしらね？」
　そんな風にグリモアからの予知を聞いたシビュラ・ヴェルムリープ（光桜天樹スプリールの聖女・f39562）は面白そうに笑みを深める。
　現在アイドル☆フロンティアの命運を決める大戦『シャングリラ☆クライシス』の第二戦線……上空から『骸の海』諸共侵攻してきた侵略神『ヴァラケウス』と星壊神『プラネットブレイカー』、及び彼らが作り上げていた『プラネット・ドラゴンロード』との戦い。
　その中でシビュラはプラネット・ドラゴンロード……『スイートメロディア』の戦場を六番目の猟兵達に紹介していく。
「そのユーベルコードの名は『死にません』……文字通り『分子レベルに分解されようとも死なない』という不死のユーベルコードよ」
　この外殻を纏ったプラネットブレイカーは若干弱体化しますが、『死にません』の効果によって『死にません』……と、歴戦の六番目の猟兵が聞けばこう問いかけるだろう。
　――『それだけなのか』、と。
「勿論無限の生命力を活かしたバフデバフ、再生能力を活かした無限増殖等による細胞対象型不死ユーベルコードは脅威だけど……六番目の猟兵なら、対応可能でしょう？」
　肉片まで細切れにしてもいずれ完全再生するが、倒すにはおそらく『それでも細切れにし続ける』等の力技で、再生まで途方もない時間が必要な状態に追い込むしかない……が、其れを可能とするだけの力を六番目の猟兵達は保有している。
　何なら『あらゆる不滅・不死を無条件で無効化する』とか『死んだ方がマシな状態にする』というユーベルコード等を持っている猟兵も確実に存在するだろう。
　そう言った『不死特攻のユーベルコードや戦術』を用いて、この『死にません』を攻略してほしい。
　シビュラはブリーフィングをそう言って締めくくるのであった。

第1章 ボス戦 『プラネット・スイートメロディア』

POW   :    甘き侵食 【スイートメロディア細胞】が命中したレベルｍ内の対象1体に【生命の刻印】を刻み、自身から対象への命中率を「永遠に」増加する。 SPD   :    死にません 全身を【甘い香り】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃回数】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。 WIZ   :    生命界顕現 「【スイートメロディアを称える歌】」の演奏中、戦場には敵の視界だけを奪う【無限増殖するスイートメロディア細胞】が散布され、味方全員の【再生力】が増加する。 イラスト：木野田永志 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「ユーベルコード『死にません』……ですか――そもそも、あたし達アイドルは相手を殺す訳じゃないですから」
　相手の心の中で氾濫する『骸の海』を浄化し、暴走を食い止める六番目の猟兵――それが｜神格者《アイドル》だ。
「人がオブリビオンさんになったように星がドラゴンさんとなったなら、戻してあげればいいんです！――竜化を浄化して！」
　命中した『スイートメロディア細胞』の侵食すらも、力持ちとしての膂力――筋細胞の力を以て食い止め粉砕し、気合いと根性を以て突っ切る。
　それが熊ヶ谷・咲幸（チアフル☆クレッシェンド・f45195）の戦術。
　相手の攻撃もユーベルコードの域に到達した怪力で受け止め、前脚を掴み上げる！
「命を奪わず相手を浄化する！――アイドルなら！　それができるはずです！」
　希望の力を以て行われる浄化の力を込め、力任せにユーベルコード『シェイクハンド⭐︎フォルテッシモ』によるバックドロップを以て『プラネット・スイートメロディア』を咲幸は投げ飛ばす！
「根拠はありません。ですけど、断言します！――浄化、出来るって！」
　バックドロップによって『｜光の道《アイドルロード》』へ投げ落とされた『プラネット・スイートメロディア』は、激突すると同時に眩い浄化の力に包まれていく。
「こ、これが｜神格者《アイドル》の……吾すら、蝕むか！」
　絶叫しながら『プラネット・スイートメロディア』を纏った『プラネットブレイカー』は、そのまま退却していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「まずは一曲、ライブを行っておくのです」
　不死不滅のユーベルコードを体現する『プラネット・スイートメロディア』の元へと赴く前に、七那原・望（比翼の果実・f04836）はアイドルステージにてライブを開催。
　対決の前に応援による支援強化を受ける策を取ったのだ。
「次の曲の前にひとつチャレンジ企画なのですー♪　今回挑戦するのは気配切りなのですー。対戦相手はあのドラゴンなのです。みんな応援よろしくなのですー♪」
　そうして可愛らしく観客席のファンにアピールをした後、望は目隠しをしてあらゆる知覚系の技能を冴え渡らせて『プラネット・スイートメロディア』の攻撃を事前に警戒。
　結果、切り離した『スイートメロディア細胞』を接触させて対象を侵食していくユーベルコード『甘き侵食』による攻撃を回避する事に望は成功――とある事情である時期まで目隠しをしたまま戦うのが常であった望にとって、ユーベルコード『｜絶・蘇威禍割《アブソリュートリィ・ディバイド》』の代償である『視界を閉ざして放つ』という制約は事実上、制約として機能しない。
「無数の剣閃で細切れにしつつ、概念的にも粉砕すれば……流石に再生できないでしょう？――まぁ、一切油断何てしないのですけれど」
　命中した箇所を概念的に粉砕する無数の剣閃が、紺碧の不死なる肉体を持つ『プラネット・スイートメロディア』を切り刻み細切れにしていく。
　観客席のファンからの応援で強化されたスピードと身体能力を以て、望は更に不死の肉体をより概念的に『分割』していくのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「アイドルの世界に似合わない連中がやってきたものよね……そして、あれが噂に聞く死なない竜ね」
　肉体的には滅ぼすのが難しいなら精神の方を攻める――神夜・未来（金色のミライ・f43869）、シャドウハンターのエスパーである少女にとってそのアプローチは得意な所だ。
　ユーベルコード『シャドウペルソナ』で『スイートメロディア』の精神世界にダイブした未来は、その精神世界で『｜分身精神体《シャドウペルソナ》』による攻撃を開始していく。
「私と同じく、金色火砲で焼き払うわよ！」
　専用のバスターライフルを撃ち放ち『スイートメロディア』の精神世界を破壊していく未来。
　然し当然、彼女の外殻を纏う『プラネットブレイカー』の方もただではやられずユーベルコード『死にません』を以て、身を【甘い香り】で覆う。
　そこから自身が敵から受けた『攻撃回数』に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を獲得していく――
「生命力は再生、吸収できても精神の方はどうかしら……！」
　だが、現在未来がいる世界は『スイートメロディア』の精神世界……生命、即ち『肉体』の属性ではない概念の性質が強い世界。
　その本質は最大限発揮する事は出来ないだろう。
「他の外殻と違って攻撃能力はマシみたいね……完全に滅ぼせなくとも無力化していまえば、邪魔する事も出来ないわよね」
　残った外殻……肉体の始末に着いて思いを馳せながら、未来は『｜分身精神体《シャドウペルソナ》』と共にバスターライフルを掃射して『スイートメロディア』を纏った『プラネットブレイカー』の精神体を焼いて撃ち貫いていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「あー、ね。不死殺しはもちろん不滅滅ぼしぐらいは余裕よねぇ……それじゃあ始めましょうか」
　最後に『プラネット・スイートメロディア』を纏った『プラネットブレイカー』の前に躍り出たのはアリス・セカンドカラー（不可思議な腐敗の｜混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202）。
　ユーベルコード『｜突破する者《ブレイカー》』――概念としての『｜突破する力《ブレイクスルー》』を想像から作り上げて運用する異能を以て、アリスは『プラネット・スイートメロディア』を切り刻んでいく。
「今回の『｜突破する力《ブレイクスルー》』は、極度の拡散による虚無への帰結ってところかしら」
　物理的、霊的、魔術的、精神的、量子的etc.etc.……と、ありとあらゆる関係性を断ち切り、素粒子レベルまで分解解体し存在そのモノを虚無にしていく刃。
　其れをアリスは『プラネット・スイートメロディア』へと振るい、一瞬で概念諸々ありとあらゆる観点から不死不滅の存在を切り刻み解体していく――
「……ここまでやっても、虚無を材料に存在を再構築するわけわからんのもいるし……目の前のもそうみたいだけど」
　しかし相手がそうであるならそれなりの策を取るまで。
　不滅滅ぼしの『｜突破する力《ブレイクスルー》』を具現化させる事で『封印』を、微粒子レベルで分解されて尚『死にません』で生きている『プラネット・スイートメロディア』に施して無力化する。
　分解されて弱体化した現在の『プラネット・スイートメロディア』には、その封印が恒久的に作用するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2025年09月16日