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シャングリラ☆クライシス⑮〜Taste & Taste

#アイドル☆フロンティア #シャングリラ☆クライシス #第二戦線 #星壊神『プラネットブレイカー』

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#星壊神『プラネットブレイカー』


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「むしろ永遠に『死ねず』苦しみ続けるならいいんじゃないか、殺さなくても」
 怖いこと言わないで。あと今回そういう話じゃないから!
「ま、殺人事件を避けたい探偵ジョークだよ。それよりまた、厄介なものを呼び込んでくれたらしいな」
 ジョークと笑い飛ばすには笑みが悪すぎる探偵ユリエル・ミズハシ(ジキルの棘とハイドの誘惑・f36864)は、しかし次の瞬間にはまた不快そうに眉をひそめた。
「アイドルは何処へやら、輝かしい夢の舞台は爬虫類の巣窟へと姿を変えたわけだが。お前たちにはその一匹を殺してきて貰おうかと思ってな。尤も相手は死なないらしいが?」
 さて、ここで。
 そんな相手とどう戦えばいいのだ、と思った者と。
 前にもこんなことあったなあ! となった者とで。
 ここには二通りの猟兵がいた。前者は羅針盤戦争未経験者、後者は経験者である。
「要はその『不死の能力』を無力化、ないし無効化すればいいわけだ。ただし、一発『相手は死ぬ』をぶつけても、向こうの『死にません』に押し切られる」
 つまり純粋な実力のぶつかり合いでは相手に軍配が上がる、ということであるらしい。
「羅針盤戦争で似たような奴……似たような奴と言っておくか。そいつが現れた時は、再生が間に合わなくなるまで兎に角殺して殺して殺しまくる、とかやってたそうだが。それでもいいし、他にもっと効率的な不死の壊し方があるなら、試してみてもいい」
 どちらにしろ上手く行くとは限らんがな、とユリエルはまた皮肉げに笑って。
「お前たちは突拍子もないことを思いつく連中だし……褒めてるんだ。そういうのが何人も集まれば数撃ちゃ当たるだろ。さ、『いっそどうにか殺してくれ』と向こうに願わせるくらい、苦しめ抜いて殺してこい」
 だからいちいち言うことが怖いんだって。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあです。
 シルバーレイン以外の過去作関連になると途端に弱体化するもよう。(読解力の敗北)

 第1章:ボス戦『プラネット・スイートメロディア』

 『死にません』を何とかすることによりプレイングボーナスが発生します。
 わかりやすいですね!(たまむしいろのかいしゃく)

 真面目な話すると、このユーベルコードをこう使うことで無限再生機構をどうにかする、という、すなわちアイデア合戦です。
 負傷度によっては再生に時間がかかるらしいので、過去にはそれを利用して刻みまくることで実質再生不能にするとかやったらしいです。
 そんな感じでこんなのどう? と提案してみる感じでプレイングをお願いします。
 ただし完全オリジナルアイデアはちょっと厳しめ(プレイング書いてくれただけで大成功! とはなりません、程度ですが)に見ます。
 勿論、堅実に先人の知恵に倣うでもOKです。

 公開された時点で受付開始です、が。
 今回もかなり書けるタイミングにムラが出そうです。
 その為、採用出来るかどうかは人数とタイミングと内容次第でまちまちになります。ご了承ください。

 それでは、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 ボス戦 『プラネット・スイートメロディア』

POW   :    甘き侵食
【スイートメロディア細胞】が命中したレベルm内の対象1体に【生命の刻印】を刻み、自身から対象への命中率を「永遠に」増加する。
SPD   :    死にません
全身を【甘い香り】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃回数】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    生命界顕現
「【スイートメロディアを称える歌】」の演奏中、戦場には敵の視界だけを奪う【無限増殖するスイートメロディア細胞】が散布され、味方全員の【再生力】が増加する。

イラスト:木野田永志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マシュマローネ・アラモード
ステイシスビームで一旦動きを止めていきましょう。
その隙にグラビティ・コラプスを最大限に設置して縮退で破壊していきますわ。
あとは繰り返し、ステイシスで止めて、縮退をばら撒く、シンプルですが、動きを止めて攻撃の時間があれば徐々に削っていくことは可能なはず!

プラネットブレイカーはここで食い止める必要があります。
絶対にここで悪き野望に終止符を打ちましょう、星の世界の子として……!




 常磐緑、という名の色がある。
 目の前に横たわる龍の外殻の色合いとは少し違うが、永久の森を思わせる巨躯と、そして溢れる生命力。
 しかし、猟兵たちは怖気づかない。
「勝算はあります」
 マシュマローネ・アラモード(第一皇女『兎の皇女』・f38748)の|宇宙《そら》色の瞳には、信念と決意の光が曇りなく輝いたまま。
 確かに不死、その根幹である絶対再生能力は凶悪だ。
 即時再生出来るわけではなく、深手を負えば負うほど完治には時間がかかる……それを分かっていても、気が遠くなる戦いであることに変わりはない。
 ましてや、敵も黙ってやられてくれるわけではないだろう。だが、それでもマシュマローネには、考えがあった。
 対処すべき先制攻撃などがないのは幸いだ。余計なことに思考のリソースを割かなくていい。
「その動き、止めさせていただきますわ。ステイシスビーム!」
「む……?」
 杖をひとつ、振るえば敵の――|星壊神《プラネットブレイカー》の動きが止まる。
 いや、厳密にはその表現では少々足りない。敵の精神は、マシュマローネの手によって|時間停滞領域《ステイシスフィールド》へと追放された。
 その間、敵は動けずとも無敵になるが、その件に関しては問題ない。
 何故なら、マシュマローネは準備をしているだけ。
「異なる矛盾の力、拒絶と抱擁の中、崩壊の螺旋が顎を闢く、これが星の終わり――」
 詠唱と共に、敵の周囲に|縮退《ビッグクランチ》を散りばめる。
 始原と対を成す終焉の繰り返しであれば、滅びの運命は免れない。
「モワ!」
 精神が、戻ってくるのを察した。
 竜の讃歌が世界を覆う。だがそれと同時に、マシュマローネは収縮によってその外殻を削り取る!
「ヌゥ……」
「流石の再生力ですわね……しかし! 長期戦は承知の上!」
 マシュマローネは繰り返す。
 幾度再生されようと、何度でもその杖を振るい、領域展開、追放、停止、そして終焉を、リピートする。
 それを苦痛だとは、思わない。果たすべき使命がある、貫き通す覚悟がある。
(「プラネットブレイカーはここで食い止める必要があります。絶対に、ここで悪き野望に終止符を打ちましょう……」)
 やがて、敵の再生に遅れが見え始める。
 手応えを感じながらも、マシュマローネは表情を緩めることなく、むしろ毅然とした眼差しで、故郷の仇敵を射抜いていた。
「私もまた、星の世界の子として……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

カンナハ・アスモダイ
WIZ
※アドリブ連携等歓迎

死なない身体ですって!?
実に困ったわね。
それでも、|契約者《ファン》が私を支えてくれるなら。
なんだってやれるわ。私、悪魔法少女だもの!

再生するのは厄介だけど。
その再生速度を落とす方法なら、考えがある。
その細胞をコンガリ焼いてしまえばいいのよ。
それはもう、グズグズに壊れるくらいね。

アゲアゲでハイテンションな<歌唱><パフォーマンス>で
私の<アイドル力>、
それと|契約者《ファン》のボルテージもぶち上げていくわよ!
みんな!応援よろしくね!アッツアツにしてあげる!

<歌魔法>を詠唱し、乙女魔法を紡ぐ。
芯の芯までアッツアツにしてあげるんだから!
乙女結界魔法!天国と地獄!




「死なない身体ですって!? 実に困ったわね……」
 改めて、その緑の外殻と相対し、カンナハ・アスモダイ(悪魔法少女★あすも☆デウス・f29830)は、身をもってそれを感じ取ることとなった。
 話には聞いていた。事前知識として理解はしていた。それでも、この目でそれを見て、実感として受ける圧倒的強者の風格。そこに不死身と来た。生半可な覚悟でここに来る者がいれば、即座に戦意喪失していても、おかしなことではなかっただろう。
 だが、カンナハはそうではない。彼女は覚悟を決めて、ここに立っている側の者だった。
「それでも、|契約者《ファン》が私を支えてくれるなら」
 今も、彼ら彼女らの存在を心で感じ取ることが出来る。
 カンナハは、契約者たちにとっての希望なのだ。それを裏切ることなど言語道断。どれだけ困難な|戦い《ライブ》でも、やり遂げるのだ!
「なんだってやれるわ。私、悪魔法少女だもの!」
 再生能力は厄介極まりない。それはカンナハも間違いなく認識している。
 だが、再生そのものを止めることは出来ずとも、再生速度を落とす方法には、考えがあった。
「再生するために必要なスイートメロディア細胞とやらを、コンガリ焼いてしまえばいいのよ。それはもう、グズグズに壊れるくらいね!」
 元を断て、とはよく言ったもので。
 厄介なものはその原因から取り除かなければ、対処したとは言い難い。そして再生する肉体ごと、その内部に影響を及ぼすことが出来るもの、そのひとつこそが熱である!
「さあ! テンションアゲアゲのナンバーで、私のアイドル力も、|契約者《みんな》のボルテージもぶち上げていくわよ!」
 愛用デバイス『リリックハート★シンフォニア』を通して、光の道、骸の海、そしてこの世界の遍く大地に歌声を、音楽を響き渡らせて。
「みんな! 応援よろしくね! アッツアツにしてあげる!」
 聞こえる。感じる。
 |契約者《ファン》からの、熱い声援が!
「それでは歌います――乙女結界魔法! 『天国と地獄』!」
 その歌声は魔法となる。
 紡ぐ言葉は詠唱に代わって、|契約者《ファン》の声援を力に変えて。
「心の芯から、体の奥まで焼け焦げちゃいそうなくらい、アッツアッツにしてあげるんだから!」
 竜の讃歌をも、その歌声でかき消して、緑を紅く染め上げて、地獄の業火で焼き尽くす!

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

ドキドキ☆残暑の竜祭り!…ごめん真面目にやる

…時は来たれり!
この世界を救う為にも…|■《殺》してやるぞ甘竜よ…私は処刑人でアイドルだ!|ぶい☆《Vサイン》

ぐらびあ水着に着替えて鉄塊剣と屠竜の剣を振るい敵を斬り刻み攻撃しよう

攻撃するたび甘い香りがする…いい匂い…だがまるで無傷!
不死身!…だが貴様を屠る為に私は来たのだ!!!

鎖の鞭を振るい【超雁字搦めの刑】を発動
ロープワークで敵を拘束し地獄の炎纏う鎖の鞭でギチギチに怪力で
絞め潰しながら焼却し再生できなくなるまで刑を続行し続けよう

困った…トイレに行きたいけど動けない…
社会的に私が死ぬか貴様が先に死ぬか…まあアイドルはトイレに行かないがな!




「ドキドキ☆残暑の竜祭り!」
 きゃるん☆ とアイドル力マシマシでカメラに向かってウインクをキメたのは、驚くべきことに仇死原・アンナ(処刑人、炎の花嫁、魔女、屠る騎士、そしてあいどる☆・f09978)その人であった。
「……ごめん真面目にやる」
 なお即刻ツッコミ不在で虚しくなった模様。さもありなん。
 いや、言いたいことは理解出来る。どこぞの誰かも言っていたが、輝かしいアイドルたちのステージは何処へやら、蓋を開けてみればそれは地獄の窯の蓋だったんかってくらいの巨大爬虫類大集合な有様であったのだから。
 ――閑話休題。
「……時は来たれり! この世界を救う為にも…|■《殺》してやるぞ甘竜よ……」
 処刑人モードでの処刑宣言。しかし響き渡る規制音。今はアイドルでもあるからね。しょうがないね。そう、つまり。
「私は処刑人でアイドルだ! |ぶい☆《Vサイン》」
 ファンサービスも忘れません。処刑人兼アイドルだもの!
 ちなみに本日の出で立ちはぐらびあ水着です。ファンサファンサ。
 そして構えたのは鉄塊剣と屠竜の剣。そっちは妥協しません。処刑人でもあるからね。
 再生はすれど、こちらが負傷するような反撃はしてこないもので、遠慮なくザクザクとやるアンナである。
「攻撃するたび甘い香りがする……いい匂い……だがまるで無傷! 不死身!」
 香りが強くなるたび、負わせた傷が癒えていく。
 成程その再生能力、伊達ではないなと実感する。
 敵を倒すことこそしないが、死なないので負けることもない。なんなら相手の根負けによる勝ちも狙える。そういう能力であり、戦い方であるわけだ。
「……だが貴様を屠る為に私は来たのだ!!!」
 しかし、そう。再起不能に近い状況に追い込むことなら出来る。
「!」
 不死身の外殻を身に纏ったプラネットブレイカーが、異変に気づく。
 いつの間にか、巧みなロープワークによる鎖の鞭、そこから生じる地獄の炎によって、その身は拘束されていた。
 怪力によりギチギチと音を立て、徐々に徐々に、締め上げられた身体に鎖が食い込み、千切り取らんばかりに血が噴き出す。更にそこへ、炎の熱傷によって再生をより困難なものとする。
「超雁字搦めの刑だ。再生が追いつかなくなるまで、地獄の業火で焼かれ続けるといい」
 刑を執行する、アンナは己の生んだ熱の中にあっても涼しげな表情だ。
 そんな彼女の胸中はというと。
(「困った……トイレに行きたいけど動けない……」)
 深刻な理由は全く別種のものだった。先に済ませておきなさいって言われてるでしょ!
「社会的に私が死ぬか貴様が先に死ぬか……まあアイドルはトイレに行かないがな!」
「何の話だ」
 再生しつつ首を傾げるしかないプラネットブレイカーである。
 ……取り敢えず|援軍《つぎのひと》呼んできますね。アイドルに粗相させるわけにいかないので!

大成功 🔵​🔵​🔵​

双代・雅一
回復しにくい負傷…医学的な視点で考えても通用するものかな?
切断創に複雑骨折に組織壊死なんかがまぁ、外科的処置を施したとしても元通りに回復するまでには時間がかかるし
同じ様な原理で切ってみようか
ドラゴンを解剖するなんて又とない機会だしな

槍を片手に接近
甘い香りがする…スイートってそういう意味か?
向こうの爪や尻尾などの攻撃は動き見極め直撃避けつつ
そう…筋肉の付き方、関節の方向、鱗の並び…
普段執刀する際の、痕が残らない切開とは真逆の方向に|手術《オペ》開始
氷刃切開術――放つメスで関節や感覚器を狙い投擲
刺さるタイミングがなるべく同時になる様に
組織破壊伴う切開に凍傷壊死……少しでも回復が遅れてくれれば僥倖だ




 さて、一口で『再生を遅らせる』と言っても様々な方法が考えられる。
 双代・雅一(氷鏡・f19412)も、医者としての観点から、別のアプローチを考えていた者の一人だ。
(「回復しにくい負傷……医学的な視点で考えても通用するものかな?」)
 緑の竜の外殻は、他の猟兵から受けた傷を再生しようと、甘い芳香と共に自己治癒力を含めた自己強化を図っている。
 それがまだ攻撃を加えていない雅一を前に行っている時点で、再生に遅れが見え始めていると言っていいだろう。だが、実質的な再起不能に追い込むには、まだ足りない。
(「切断創に複雑骨折に組織壊死なんかがまぁ、外科的処置を施したとしても元通りに回復するまでには時間がかかるし」)
 ともあれ、相手は再生に特化する反面、その間はこちらに攻撃らしい攻撃を加えてこないのも、また事実。
 お陰で、雅一は何に邪魔されることなく、自身の思考を纏め上げることが出来た。
「では、同じ様な原理で切ってみようか」
 取り出したのは蒼の槍だ。ペンでも回すかのような気軽さでくるりと回し、しっかりと片手に携える。
「ドラゴンを解剖するなんて又とない機会だしな」
 そしてやる気十分。怖いほどの向学心の強さである。
 ともあれ、ドラゴンを恐れるどころか、その知的好奇心で躊躇いなく接敵する雅一。
「無駄なことを」
 柔らかな眼差しに似合わぬ、低い声がくぐもったようにして聞こえる。
 やはりこの外殻の中には、プラネットブレイカーがいるのだろう。
 そして流石に近づけば、爪や尾による威嚇攻撃があるが。
「おっと。やけに甘い香りがするな……スイートってそういう意味か?」
 雅一はその身体構造を観察し、関節や運動の方向を推察し、極力躱し、避けきれなければ槍で往なす。
(「そう……筋肉の付き方、関節の方向、鱗の並び……普段執刀する際の、痕が残らない切開とは真逆の方向を、見極めて……」)
 邪魔な部位を槍で弾き飛ばし、狙い定めた部位への直線攻撃が可能になったことを確信してから。
「|手術《オペ》開始」
 透き通る、氷のメスが放たれる。
 関節や感覚器に向けて投擲されたそれらが、寸分違わず、そして少しの時間差も生まぬよう、タイミングを合わせて同時に突き刺さり。
「グッ!?」
 ここに来て、初めて敵が明確に呻いた。
 生じた傷口は、血肉が通っていると思えないほど冷え切って。
 青く変色し、痺れと硬化を自覚させ、事実、その再生力を以てしても、即座には快癒しきれぬほどの症状を、一気にもたらしていた。
「組織破壊伴う切開に凍傷壊死……少しでも回復が遅れてくれれば僥倖だ」
 ただでさえ遅れの生じ始めた再生に、この追撃。
 あとひと押しで、確実にこの竜を無力化出来る。確かな手応えを、雅一たち猟兵は感じることとなっただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【氷花】
メロディアさんとの戦いはおぼえてるよ
あの時はもっと美味しそうな感じだったけどね
重要なのは、再生する隙を与えない事…

自身にオーラ防御を纏い
視界を奪われても聞き耳で敵の位置把握しつつ
翼の空中戦で敵の攻撃は回避に専念

シャオさんの氷なら、歌ごと凍結で封じられるかもしれないし
そして紅色鎌鼬を、怒りは無いけど敵意で発動
無数に増殖可能な鎌を自在に浮遊させ
敢えてタイミングをずらしながら範囲攻撃の連撃で
まとめて刻み続ける戦法

細切れ…って言うとちょっと怖いけどね
凍結していれば氷ごと
凍結してなくても、再生の隙すら与えない程に

使ったUCは当時と違えど、物量作戦ってとこは同じだよ
これでどうかな


シャオ・フィルナート
【氷花】
※「…」を多用した感情の無い淡々口調だが言葉自体は柔らかめ
相手は基本名前+さん呼び

俺も一応、暗殺者だし
耳は良いつもりだから…

視界は聞き耳と気配感知で補い攻撃を見切り
暗殺技術の早業で回避
更に背に水の魔力で氷の翼を生成し
そこから氷の羽を弾丸のように飛ばす連撃の範囲攻撃

要は…細切れにすればいいんだよね…

蒼魔を発動し、素早いダッシュで敵に接近
鋭い冷気による凍結攻撃で可能なら全身凍結
難しくても足止めか歌の強制停止を狙い
澪さんが連撃を仕掛けやすいようにサポート

俺は攻撃を受けただけ強化出来るから
万一の場合は澪さんへの攻撃は庇い
強化した戦闘力で更に凍結
澪さんの攻撃の隙は氷の弾丸で埋める連携




 スイートメロディアの名前には、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)にも覚えがあった。
「メロディアさんとの戦いはおぼえてるよ。あの時は……もっと美味しそうな感じだったけどね」
 蕩けるチョコレートの海、甘い甘いチョコレートの島、美しくも脆いお菓子の分身。
 グリードオーシャンの海域ひとつを甘く染め上げた七大海嘯、メロディア・グリードの分身の名がスイート・メロディアだったと澪は記憶している。
「……そう言えば、そんなのもあったね」
 シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)自身はその海域での戦闘に参加していないが、羅針盤戦争そのものには参加しているゆえ、話には聞いていた。
 ともあれ今回も厄介な相手になるらしいと、澪もシャオも眼前の緑を前に感じ取っていた。
 だが、既に他の猟兵たちの奮闘もあり、再生は徐々に追いつかなくなりつつある様子も見て取れた。
 ならば、自分たちで終わりにするのだ。
「重要なのは、再生する隙を与えない事……」
「ん……攻撃を絶やさないこと、少しでも回復を遅らせること……だね」
 琥珀と青藍、視線のみ合わせて頷き合う。
 直後、竜の讃歌と共に視界一面に、緑の彩が広がった。
 目の前が真っ暗に、或いは真っ白になるとはよく聞くが、緑一色になるという経験もなかなかないなと澪は思いつつ、万一に備えオーラを纏って襲撃に備え、僅かな物音も聞き逃さないために耳をそばだてた。
「俺も一応、暗殺者だし。耳は良いつもりだから……」
 シャオの声が聞こえる。
 彼もまた、この異常な視界の中に在っても焦ることなく、聞き耳を立てると同時に気配で味方である澪と、敵の位置を感じ取れるよう、神経を研ぎ澄ませていた。
「……! 澪さん、そっちに翼が……」
 注意喚起を促しつつ、シャオ自身も鞭のように振るわれた尾を回避して。
「ありがと、シャオさん!」
 澪も自身に迫る翼での薙ぎ払いを、宙に羽ばたいて躱すことが出来た。
 ……さて、やられっぱなしでいるわけにもいかない。
 ここからは、反撃の時間だ!
 シャオはその背から、扇状に広げた水を背負い、魔法により凍結させることで氷の翼を得て。
 氷の羽根を弾丸のように、目には見えずとも緑竜の外殻の全体へと負傷を広げるようにばら撒く。
 澪は眼前にいる筈の竜を倒すべき敵と定め、その意志の力で以て美しく澄んだ紅の鎌を幾重にも浮かび上がらせる。
 その気配を察知して、再びシャオが動いた。
「要は……細切れにすればいいんだよね……」
「細切れ……って言うとちょっと怖いけどね」
 淡々と言い放つシャオに苦笑する澪。
 だが、言葉を交わしつつも二人とも決して呑気などしておらず、既に攻撃の構えを整えている。
 歌が止まった瞬間、シャオは視界が晴れ渡るよりも速く光の道を蹴って一際大きな気配、即ち竜の懐へと肉薄し。
 触れるもの全て凍結させる蒼魔の力で、竜の全てを凍てつかせんと猛攻を開始する!
 凍結が追いつかない部分は、澪が召喚していた鎌を、細い指でピアノの鍵盤を叩くように、ひとつずつ振り下ろしていった。確かな停止と裂傷が、竜の外殻を蝕んでいく。
「……あ」
「え、シャオさん!?」
 悪あがきのように繰り出された、竜の爪の一撃は、澪に向けられていて。
 けれど当の澪には、それをシャオが庇うように『敢えて』受けたように見えた。
「……もしかして、今の」
「うん、俺は攻撃を受けただけ強化出来るから……」
「分かってるけど、心臓に悪いよ。無理はしないでね」
 しかしシャオの言葉通り、蒼の魔力は強さを増して、竜の身体に氷が広がっていく。
 その合間を縫って、澪もまた紅の刃を振り下ろし続けた。互いに互いの技の合間を縫うように、敵に息吐く暇も与えないように。
 猟兵の猛攻が、ここまでとは、まさか絶対的な再生をも凌駕するとは信じられないといった様子で、プラネットブレイカーは声を震わせた。
「ッ、再生が、スイートメロディアの『力』たる再生が……ここまで間に合わないだと……!」
「使ったユーベルコードは当時と違えど、物量作戦ってとこは同じだよ。これでどうかな」
「……聞こえてないと思うよ」
 再生で手一杯になったのか、プラネットブレイカーからはもう、返答はなかった。
 それで十分だ。永久に再生を続け、何度でも猟兵たちの前に立ちはだかると思われた、竜の緑の外殻は、それを纏った悪竜は、今やただ静かに沈黙している。
 ここはもう、大丈夫だろう。さあ、次の戦場に赴こうか。
 踵を返した澪もシャオも、もう振り返ることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年09月17日


挿絵イラスト