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マッチョ!!!!!!

#封神武侠界 #戦後 #租界

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●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
 グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「今回は久々に『封神武侠界』での依頼だよ。香港租界に乗り込んで、オブリビオンを退治して欲しい!」
 2021年初の戦争である『殲神封神大戦』、そして2023年末まで続いた『韓信の侵略』。それらが猟兵の手によって解決したこの世界は、平和を取り戻したと言っても良い。オブリビオン・フォーミュラも猟書家も亡き今、新たにオブリビオンが生まれる事もない。
 だが、オブリビオンの起こす事件が完全になくなった訳ではない。当時から生き残っていたオブリビオンが事件を起こす事例も、少数ながら存在する。

「香港租界は、コンキスタドール――グリードオーシャンのオブリビオン――に侵略されていた都市だ。現在は大規模な侵略は確認されていないけど、銃火器や阿片によって頽廃した、非常に治安の悪い都市だね」
 この都市を新たな拠点とし、再起を図ろうとしているオブリビオンがいる。今は大した問題にはなっていないが、このまま事が大きくなれば、厄介な事になりかねない。
 悪意の芽は、早いうちから摘むのが一番だ。
「で、今回、香港租界で勢力拡大を目論んでいたのは、『剛筋流』なる拳法の使い手だ。まあこれが、名前の通りに筋肉第一主義でね」
 どうやら、軟弱な香港マフィアどもを鍛え直してやると息巻いて、香港租界に乗り込んできたようだ。マフィア化したオブリビオンの配下と共に、勢力を拡大しつつある。
 マフィアを鍛え直すのは別に良いかもしれないが、それがオブリビオンの手先になってしまうのは流石にまずい。
「そこでキミ達には、このオブリビオン達を退治して、勢力拡大を阻止して欲しい」

 まず最初に戦うのは、配下達である『隻眼女僵屍』の集団だ。元々は優れた女性拳法家を僵屍に変えた存在で、高い格闘能力を持つのだが。
「まあ『剛筋流』の配下なだけあって、よく鍛えて筋肉をつけている。腕や脚なんかは、元の倍ぐらいの太さはあるみたいだね」
 見た目通りのパワーやタフネスに加えて、スピードも大幅に向上している。集団敵だからといって油断すると、痛い目を見るだろう。
「さらに彼女達は、租界の町並みを熟知しているからね。その町並みを利用して攻撃を仕掛けて来るよ」
 路地の陰から、屋根の上から、建物の中から。あるいは、雑踏や看板を利用して。そういったカンフーアクション映画のような戦闘術も、猟兵にとっては脅威となる。
 だが逆に、そういった地形を猟兵側も利用できれば、優位に立つ事が出来るだろう。

「そして僵屍達を倒せば、彼女達のアジトである剛筋流道場に乗り込む事ができる。そこで、元締めである剛筋流拳士『璃蘭』と戦って、これを撃破して欲しい」
 璃蘭は言うまでもなく、僵屍以上の筋肉の持ち主だ。そしてそれは当然見掛け倒しではなく、身体能力の高さは並外れている。
「単純に正面からぶつかると、キミ達でも苦戦するかもしれない。道場の地形や設備を利用すれば、優位に戦えるかもしれないね」
 道場は広く、単純な試合場だけではない。サンドバッグなどのトレーニング器具が置かれたトレーニングルーム、門下生が普段寝泊まりしている寝室など様々な部屋がある。
 また、2階建てだが、トレーニング目的であるのかその行き来は階段ではなく梯子で行うようだ。
 こうした立地を上手く利用すれば、璃蘭の筋肉とも互角以上に戦う事が出来るだろう。

「現在主戦場になっていない世界でも、オブリビオンの起こす事件は見過ごせない。キミ達の力で、対処して欲しい」
 くるるはそう言うと、わざとらしい可愛らしくポーズを取って猟兵達を見渡す。
「それじゃ、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」


一二三四五六
 そもそもタイトルの元ネタはタイなんですが。

 ごきげんよう。かっこいいアクションシーンを目指したい。一二三四五六です。

 懐かしの封神武侠界での戦後シナリオです。全2章となっています。
 カンフー映画のようなアクション戦闘を行うと、プレイングボーナスを得られるようになっています。
 第1章は特に、アクロバティックなアクションを魅せると良いでしょう。
 第2章では敵味方ともに、人間(封神武侠界)のデフォルトユーベルコードである『乱戦遊戯』を(本人のユーベルコードとは別に)使用出来ます。璃蘭も使っては来ますが、最後は自分の肉体でトドメを刺す事を好むようです。

 それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
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第1章 集団戦 『隻眼女僵屍』

POW   :    幻獣拳術『檮杌爪』
【拳や爪】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    幻獣拳術『鳳凰翔』
レベル×5km/hで飛翔しながら、【両足】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
WIZ   :    幻獣拳術『禍躯鱗』
自身の【衣類】を捨て【麒麟憑依状態】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

劉・涼鈴
租界か~
今まであんま関わってなかったけど賑やかそうだ!

僵尸! だけど気や神通力じゃなくって筋肉を鍛えたの?
面白ぇじゃん!

租界の路地をダダダダっと【ダッシュ】!
僵尸の肉体は死体! 血の匂いと腐臭を隠せてないぞ!(嗅覚)
【ジャンプ】で物干し竿に跳び乗って襲撃を回避!(軽業)
さらに鉄棒の大車輪めいてぐるっと回って勢いをつけて蹴っ飛ばす!

【吹っ飛んだ】先は……市場か!
ちょーどいい! 売り物の生のもち米をちょっと貰うよ! 会計はツケといて!
檮杌爪を仕掛けてきたらもち米を投げつける! べちべち!
怯んだところに【功夫】【怪力】【カウンター】の【劉家奥義・蚩尤激甚脚】!!
そっちが檮杌ならこっちは蚩尤だ!



 香港租界。持ち込まれた文明による発展と、治安の悪さによる退廃。一般的な封神武侠界の空気とは大きく異なる独特の雰囲気が、街全体に広がっている。
「租界か~。今まであんま関わってなかったけど賑やかそうだ!」
 その空気を全身で感じ取りながら、路地を全力で駆け抜けていく劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。
 その頭上に、さっと影が差し込み……直後、屋根の上から飛び込んできた僵屍が、剛拳によって地面を打ち砕いた。
「……外した?」
「血の匂いと腐臭を隠せてないぞ!」
 眉を寄せつつ立ち上がり、周囲を見回す僵屍。果たして涼鈴は直前で躱しており、跳び乗った物干し竿の上から相手を見下ろす。
 そのまま鉄棒の大車輪めいて回れば、一緒に白い洗濯物もはためいて。勢いを付けての飛び蹴りが、相手の防御ごとその身体を吹き飛ばした。
 だが、あくまで移動を強いただけ。蹴り応えは硬く、ダメージを与えた感覚はない。
「おお、頑丈。筋肉を鍛えた僵尸なんて面白ぇじゃん!」
「筋肉こそが全てを超越するのです!」
 相手は一般的な僵尸とは比較にならぬ剛体を誇示するように、体勢を立て直す。殴りかかってくるその手を掻い潜りながら、周囲に視線を走らせる涼鈴。
 どうやらここは市場のようで、多くの人々がこちらを見ている。巻き込まれぬように距離を取ってはいるが、この程度の抗争は日常なのだろう。
「おっちゃん、ちょっと貰うよ! 会計はツケといて!」
「ちゃんと後で払えよ!」
 軽いやりとりでもち米を鷲掴み、目一杯相手に投げつける。僵尸は生のもち米を嫌うと言うのは、映画の定番だが。
「鍛えた筋肉にそんなものが通用しますかっ!」
「おぉっ!?」
 むしろ逆上した相手が、真っ直ぐに剛拳を撃ち込んでくる。それを屈んで回避すれば、背後にいたおっちゃんの鼻っ面寸前で止まり、ひぃと声が上がって。
「――がっ!?」
「劉家奥義・蚩尤激甚脚……そっちが檮杌ならこっちは蚩尤だ!」
 伸び上がるような渾身の蹴りが、相手の腹筋を撃ち抜く。巨体が宙に舞い上がり、どうと音を立てて倒れ込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幸・鳳琴
「ディバイド」も情勢は落ち着きつつありますので
猟兵の本分として
幾多の世界を護る務めを果たしましょう

しかし鍛えた筋肉ですか
筋肉はあまりつかない己が身ですが
質ではけして負けないことを勝利を以て示しましょう

路地の陰を、看板や大型車の死角など
小兵ならではの隠れやすさ、あるいは物を囮にする等
地形の利用を積極的に行って近づき
力溜めた格闘術の打撃で隻眼女僵屍に痛打を浴びせます

接近した後に軸とするのは攻防一体のUC《幸家・亢龍》。
突きを抉り込んで、動きの止まった相手を
闘気を纏う強靭な蹴りを飛び蹴りで叩き込んで吹き飛ばします
叫びと共に蹴り飛ばすと功夫アクションらしいですかね

全員を拳と蹴りで倒した後は、道場の方へ



「鍛えた筋肉、侮りがたいですね……!」
「ふん、ちょこまかとっ……!」
 振るわれた僵屍の拳が、盾にした看板を打ち砕く。それを囮に間合いを離しながら、構えを取る幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)。
 背丈にはそこまで差がないが、身体の厚みの差は歴然。相手はその筋肉を誇示し、拳を振り回す。一撃でも喰らえば、ひとたまりもあるまい。
「貧相な身体で、私に勝てるものですか!」
「確かに、筋肉はあまりつかない己が身ですが……」
 その拳から逃れるように、大型車の陰に飛び込んだ。追ってくる相手が一瞬、こちらの姿を見失う。
「こちらです!」
「っ……!?」
 その隙にスライディングで車体の下をくぐり抜けた鳳琴は、その動きで意表を突き、相手の懐へと潜り込んだ。跳ね起きると同時に拳を引いて、大地をしっかりと踏みしめる。
「遅いっ!!」
「ぐ……ふぅっ!?」
 相手が反応するよりも速い、神速の突き。それは強靭な腹筋をも撃ち抜き、その巨体に後退を強いていく。
 その間に鳳琴は、今度は車の上に飛び乗った。
「ホォ――アタァッ!!」
「がっ……!!」
 龍の闘気を纏う飛び蹴りを、怪鳥音を響かせて相手の頭部に叩き込む。さしもの巨体もそれには耐えられず、吹き飛び、転がり、停止した。
「ふぅっ……厚みでは劣れど質では負けていない事、理解していただけましたか?」
 脚から着地しつつ、残心を取って息を吐き出す鳳琴。相手が立ち上がって来ないのを確かめると、身を翻して。
「ふんっ!」
「おっとっ……!?」
 直後、建物の中から飛び出してきた僵屍の拳を、かろうじて躱し飛び退いていく。一体倒しても気は抜けない。
「『ディバイド』も落ち着いてきました。猟兵の本分を果たしますよっ!」
「やれるものならっ……!」
 だが、数多の世界をオブリビオンから護ることこそ、果たすべき猟兵の務め。新たな敵にも怯むことなく、交戦を開始する。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!

アクロバティックなアクションかぁ、できなくはないけど本業に勝てるかはちょっと怪しいなぁ
ま、それならこの場で学んじゃうだけだけどね
そんなわけで相手の麒麟憑依状態とやらを【インビジブル・タトゥー】で真似させてもらうよ

上がった防御力で相手の鳳凰翔を手で防御して【コード・スカルプチュア】の条件を満たしちゃうよ。
そのまま手バージョンにアレンジした鳳凰翔で反撃!
これでアクションも万全、かな?



「アクロバティックなアクションかぁ、できなくはないけど……っ!」
「まだまだ、いつまで逃げられますかっ!」
 サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)に対して、周囲の机や椅子も利用して矢継ぎ早の攻撃を仕掛けてくる僵屍。
 一発当たれば致命的な重い打撃なのに、動きまで速いとなれば、ひたすら逃げ回るのが精一杯だ。
「せめてユーベルコード使ってくれればなぁっ……!」
 『禍躯鱗』による麒麟憑依をコピーする算段だったが、相手は現状では、デメリットのある防御技を使う理由がない。 
 まあ、実際使われると防御力10倍は困るので、むしろ良かったかもしれないが。
「ふんっ、潰れなさいっ!!」
「うわっ……!?」
 相手の蹴りを紙一重でかわしながらも、ゴロゴロと地面を転がっていく。なんとか体勢を立て直すサエへと、迫りくる飛び蹴り。
 咄嗟に両手で防御を図るが、それごと弾き飛ばされて、建物に突っ込んでいく。売れない飯屋の店主が、煙草片手に目を丸くしている。
「っ、ふぎゅうっ……!!」
「そのように脂肪を蓄えただけの身体では筋肉には勝てません!」
 相手は仕留めただろうと確信し、ふぅ、と息を吐き出す。だがその瞬間、壁の穴から一気にサエが飛び出して。
「太ってないんだけどっ!?」
「ぐっ……!?」
 今の『鳳凰翔』を死ぬ気でコピーし、それを拳から繰り出していくサエ。相手に脂肪と揶揄された胸を揺らしながらの連続拳が、今度は相手の巨体を吹き飛ばしていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
まぁ、マフィアどもを叩き直そうだなんて
そんな事させないったら!
だって、そうでしょう?
マフィアなんてみーんな、意地汚くてずる賢くてドスケベなロクデナシども
そういう連中がいるからこそ……この|香港《まち》や|九龍城砦《おしろ》はまだまだ楽しいんだもの!
それを台無しにしようだなんて!

肌蒼褪めた僵尸姿で
(あら、お揃いね?)
|血滴子《空とぶギロチン》投げつけて
【軽業】【ジャンプ】飛び跳ねて
看板や屋根、時には人も【踏みつけ】て
【猟血滴子】上から下から前後ろ
|あらゆる角度から《オールレンジ攻撃で》襲い掛かり、外周の刃で敵を斬る!
もちろんメアリ自身の肉切り包丁も忘れずに

時には不意に開かれた窓でお尻をはたかれる
そんな|お約束《ギャグシーン》もあったかも?
そのまま敢えて態勢を崩した振りをして
(だって体勢を崩したところを狙えば効果的なんでしょう?)
【無防備を装う】【騙し討ち】!
死角から戻った血滴子が【首狩り】に!


え? |血滴子《これ》はちょっとジャンルが違うかもって?
知らないわよ、そんな事! もう!



「あら、奇遇。お揃いね?」
 肌蒼褪めた僵尸姿で、相手に気安く声をかけるメアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)。
 挨拶代わりに被った帽子を投じれば、仕込まれた刃が展開され、相手の首を落とさんとする。血滴子――空飛ぶギロチン。香港の伝承に伝わる暗器だ。
「ちっ……この程度っ!!」
「あら、この程度じゃないわよっ!」
 相手はそれを仰け反ってかわすが、メアリーは帽子を追いかけ、自らの脚で腹筋を踏みしだく。さらにそこを足場に高く跳び、近くの店の看板の上に飛び乗った。
「ぐぅっ……やはりこの程度ですっ!」
「もうっ、頑丈で嫌になっちゃうわねっ!」
 手応えは有ったが浅く、相手は跳び上がって蹴りかかってくる。それを跳んでかわしたメアリーは、次は屋台の屋根に飛び乗って。
「うぉっ!?」
 見上げた店主が大きなお尻に目を丸くする中、すぐに次の足場へと飛び移る。看板に屋根、机に屋台、ついでに道行く人の頭の上。
「んがっ!」「ぶっ!」「んぇっ!?」
「失礼。ちょうど良いところにあったから!」
 軽く謝罪を投げつつ、機敏に逃げ回るメアリー。それを追う僵屍が、障害物を拳や蹴りで打ち砕く。メアリーに踏まれて尻もちをついた男の頭上を豪脚が通り過ぎ、ひぃと声が上がった。
 一方でそんな追手の首を、血滴子が軌道を変えながら狙い続ける。上から下から前後から……それを意外に機敏な動きで回避する僵屍。
 街を舞台にした、危険な追っかけっこが続いていく。
「邪魔はさせません。我ら剛筋流がこの街を支配し、鍛え直すのですから!」
「まぁ、そんな事させないったら!」
 と思えばその最中、看板を蹴って方向転換、自ら首切り包丁を手にして、斬りかかるメアリー。
 相手は太い腕で首をガードし、包丁がそれを斬り裂いて。だが分厚い筋肉に阻まれ、その頑丈さに舌を巻く。
「マフィアなんてみーんな、意地汚くてずる賢くてドスケベなロクデナシどもでしょ?」
「そんなものは、救わなくて良いとでも?」
 だが、そのまま問答を続けながら、さらに加速していくメアリー。あらゆるものを使った立体的な攻撃で、相手を翻弄しにかかる。
 速さではこちらの方が上と背後頭上を取り、壁を蹴って一気に――。
「当然よ、だって――ひゃんっ!?」
「おや?」
 そんなメアリーの後ろの窓が、たまたま無関係な住人によって開かれた。スパンっ、と大きなお尻がひっぱたかれ、体勢を崩して墜落してしまう。
「いたた……あら?」
 そのまま屋台に積まれた果物に頭から突っ込み、腫れたお尻を痛そうにさする。頭を引き抜き顔を上げると……そこに僵屍が、飛び蹴りで迫る。
 必殺の豪脚が無防備なメアリーの頭部を、蹴り砕かんとして。
「もう逃がしませ――がっ……」
 そしてその途上に割り込むように置かれた血滴子が、相手の首を刈り取った。劣勢の振りからの騙し討ちは、|被害者《アリス》で|加害者《さつじんき》であるメアリーの得意技だ。
「そうそう、さっきの続きだけどね」
 屋台の上からぴょんと飛び降り、お尻についた埃をぱんぱんと払う。そして倒れた相手に対して、満面の笑みを浮かべて。
「ロクデナシどもがいるからこそ……この|香港《まち》や|九龍城砦《おしろ》はまだまだ楽しいんだもの!」
 それを台無しにするなんてダメよ、と。彼女は、とても楽しそうに告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『剛筋流拳士『璃蘭』』

POW   :    剛筋爆発
【鍛えた筋肉への絶対的な自信】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    神速剛筋
【鍛え抜かれた筋肉を活かす】事で【パワーとスピード両方を兼ね備えた姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    剛筋鍛錬法
【筋肉を鍛える修行】を披露した指定の全対象に【一緒に筋肉を鍛えたい】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:すねいる

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルミナ・セシールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 街を駆け回り、僵屍達を無事退けた猟兵達。そして彼女達のアジトである、剛筋流道場へと乗り込んでいく。
「ふん、うちの門下生を倒したと聞いてどんな相手かと思えば……貧相な連中ね!」
 親玉たる剛筋流拳士『璃蘭』は、道場の屋根の上で腕を組み、やって来た猟兵達を見下ろした。僵屍達を上回る、極太の筋肉剛体を誇示する。
 筋肉のみが評価基準である彼女にとっては、猟兵達の細い身体は不満のようだ。
「お前達も鍛え直してあげる。剛筋流こそが世界を統べるに相応しいと教えてやるわ!」
 ただ鍛えているだけなら無害だが、相手はオブリビオン。このまま勢力を拡大すれば、一体どんな事になるか。
 少なくとも、筋肉を持たない者は無理やりにでも鍛え直され、それもでも筋肉がつかないものは虐げられる事になるだろう。
「さあ、道場に入ってきなさい! 筋肉が正義だと教えてやるわ!」
 そのまま身を翻し、空いた窓から二階に飛び込む璃蘭。この道場全てを舞台に、この剛拳士の野望を打ち砕くのだ!
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!

脂肪を蓄えただけ言われたのはってのは心外だったなぁ
ということで、【女狐式交渉術】で相手の剛筋鍛錬法とやらがどのくらいの効果が出るのかって聞いて、誘いに乗っちゃおうかな
こんどこそ【インビジブル・タトゥー】の出番だよねって、相乗効果で凄い事になっちゃった!?
うーん、こんなにムキムキだとスピードが出せなくてあたしには合わないかも

え、スピードを出せる技もあるの?
神速剛筋って技なんだ、へぇ~
じゃあ、これでそこら辺の長椅子とかで【乱戦遊戯】しちゃったらどうなるのかな?
他でもないあなたが鍛えたんだから、そんな手ぬるい一撃にはならないよね!



「ねぇ、その剛筋鍛錬法って、どの程度の効果がある訳?」
「へぇ、鍛錬に興味があるの? 貧弱な猟兵にしては感心ね!」
 璃蘭に対して交渉を仕掛け、自分を鍛錬するように誘うサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)。
 相手は喜んでそれを受け入れ、彼女をトレーニングルームに連れて行く。
「さあ、しっかりと指導してあげるわ! まずはスクワット100セットから!」
「……え、えーと……お手柔らかに」
 璃蘭のユーベルコードは基本的に筋肉に関連するものだが、いきなり魔法のように筋肉がつく訳ではない。『剛筋鍛錬法』は筋肉の鍛錬を促すのみで、『剛筋爆発』は筋肉への自信を筋肉に変えるもの、『神速剛筋』は鍛えた筋肉を最大限に活かすもの。
 すなわちコピーするにしても、それを活かすには鍛錬が必須だ。その事実に気づいて、若干の引き攣った表情を浮かべるサエ。
「さあ、早速始めましょう!」
「ひぃぃぃ……!」
 悲鳴を漏らしながらも指導を受け、過酷な鍛錬を繰り返すサエ。その口以上に全身が悲鳴を上げ、疲労で汗だくになっていく。
「こ、これだけ鍛えたんだから……そこそこ筋肉ついたよねぇ!」
「むっ……!!」
 だが、そのトレーニングの甲斐あってか、コピーしたユーベルコードが発動し、筋肉が膨れ上がる。そのまま手近な長椅子を掴むと、思いっきり叩きつけた。
「ぐっ、なかなか……でもまだよ! 筋肉の鍛錬は一日にしてならず!」
「いや、ちょっと私の趣味じゃないかなぁ、これ!」
 相手は筋肉を肥大化させてそれを受け止め、剛拳を激しく振るっていく。乱戦遊戯でそれに対抗しつつ……明日筋肉痛だなこれ、とどこか遠い目をするサエである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
私は劉家拳の劉・涼鈴!!
剛筋流、いざ勝負!!

劉家拳の構えから、拳打、頂肘、蹴撃、基本的な技の応酬!
鍛えられた筋力に【怪力】で応じ、【功夫】で【受け流し】、【カウンター】を決める!
筋肉を誇示するだけあって重いね、|八極拳《陸の船》みたいだ
でも套路はそろそろ終わろうか!
【劉家神髄・西王母呼吸法】でパワーは全開だ!
互いに道場に飾ってある武器を手に取って、ブチかまし合う!
偃月刀に朴刀、狼牙棒に鉄鞭、壊れたら次の武器、また壊れたら別の武器! 武芸百般だ!
手の届く範囲に武器がなくなったら――最後の一撃は、この拳だ!!!
漲る【覇気】【気合い】を込めた【捨て身の一撃】!!
どりゃあー!!



「私は劉家拳の劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)!! 剛筋流、いざ勝負!!」
「剛筋流拳士・璃蘭。受けて立つわ!」
 道場で高らかに名乗りを上げる、2人の拳士。正面からぶつかりあうと、激しい技の応酬を繰り返す。
「筋肉を誇示するだけあって重いね、八極拳の『陸の船』みたいだ……!」
「そちらも、貧相な筋肉の割にはやるようね、けれど……!」
 重い打撃を受け流し、カウンターで蹴りを叩き込む。それを筋肉で受け止められたかと思えば、さらに重い剛拳。
 小柄な割に怪力の涼鈴だが、確かに璃蘭相手には力では分が悪い。徐々に後退を強いられ――だが、その表情に焦りはなく。
「でも、套路はそろそろ終わろうか!」
「むっ……!」
 下がったのは、道場の端に来るため。そこに飾られていた偃月刀を手に取り、鋭い踏み込みと共に刃を振るう。
 流石にそれを回避した璃蘭は、だが手近な狼牙棒を握り、剛腕で振り回してきた。
「武器ならば遅れを取るとでもっ!」
「おっと……そんな事思ってないよっ!」
 受け止めた偃月刀が、一撃の元に砕かれる。だがそれを囮に跳び下がると、今度は鉄鞭を手に取り、相手の狼牙棒を絡め落とす。
 どちらも無手――と思えば、すぐさま朴刀による刺突。それを棍によって受け止められると、その両方が宙を舞い。
「砕いてあげるわっ!」
 周囲の武器が失われた所で、改めて剛拳を握る璃蘭。武器にも劣らぬ破壊力が、涼鈴の顔面を砕かんとする。
 だがそこから目を離さず、深く息を吸い込んで。
「どりゃあー!!」
「……ぐ、ぶぅっ!?」
 組み手の頭から整えていたその呼吸を、力に変えて解き放つ。渾身の正拳が相手の硬い腹筋を撃ち抜き、巨体を反対側の壁まで吹き飛ばした。
「どうだっ!」
「ぐっ……私の筋肉が……!」
 腹に拳の痕が刻まれ、苦悶に膝をついた璃蘭は、悔しげにこちらを睨みつけてくる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
そんなのお断りよ!
だって、メアリのお尻が|筋肉質《ガチガチ》になっちゃうじゃない!
(お尻を大きくするには大臀筋を鍛えるのがいいとは聞くけれど、メアリはそんなこと知らないのでした)
敵の眼にはメアリ自慢のお尻がいったいどう映っているのかしら?
無駄な脂肪がついた醜い駄肉?
それとも鍛え甲斐ある大臀筋?

どっちにしても、あなたの好きになんてさせてあげないから
どうしてもメアリが欲しいって言うなら捕まえてご覧なさい
できるものならね! と【挑発】【誘惑】してみせる
のろまな筋肉ダルマには出来っこない……なんて事もなさそうね!?
予想以上のスピードに驚くように【ジャンプ】【逃げ足】跳んで逃げ
壁を駆け上がり梁に跳びつき敵を【踏みつけ】跳び越えて
【軽業】活かして縦横無尽
もし逃げ損ね攻撃喰らっても、この程度なの? と煽ってあげる

敵のパワーとスタミナは凄いけど、持久力はどうかしら?
毎秒寿命を削る程の消耗なら、きっと必ず疲れを見せる筈
それまで逃げ切る事ができたなら
一瞬の隙を突いた鋭い蹴りで【首狩り】【首をはねた!】



「鍛えるなんてお断りよ! だって、メアリのお尻がガチガチになっちゃうじゃない!」
「ふん、安定した大臀筋の機能美が分からないとはね!」
 大きなお尻を自慢げに見せつけ、璃蘭を挑発するメアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)。対する璃蘭も腰に手を当て、筋肉質な尻を見せつけてくる。
「私がその弛んだ尻を、鍛え直してあげるわ!」
「どうしてもメアリが欲しいって言うなら、捕まえてご覧なさい!」
 そのまま挑発的に柔らかな尻たぶを揺らすと、広い廊下を一気に駆け、璃蘭から離れていくメアリー。大きく距離を取るとここまでおいでとばかりに、肩越しに振り向き――。
「まあ、のろまな筋肉ダルマには出来っこな――っ!?」
「ふんっ!!」
 それを猛スピードで追ってきた相手の蹴りを、間一髪で屈んでかわす。そのままころころと前転して離れ、跳ね起きながら間合いを取って。
「……なんて事もなさそうね!?」
「当然よ。優れた筋肉は敏捷性にも優れているのよ!」
 さらにそれを追ってくる璃蘭と、そこから逃げ回るメアリー。追いかけっこ自体は先程と同じだが、その内容はより激しい。
 俊敏な動きで間合いを詰め、致命の剛拳剛脚を放ってくる璃蘭、それを縦横無尽にかわし続けるメアリー。壁を蹴り、梁を昇り、相手を踏みつけ、飛び越えて。
「このっちょこまかとっ……!」
「やっぱりのろまな筋肉ダルマだったわねっ……とっ!?」
 苛立つ相手にお尻をふりふり、扉を開けて部屋に逃げ込むメアリー。だが運悪くそこは狭い物置きで、逃げ場が少ない。
 いや、そもそも相手の道場なのだから、動き回れば地の利が相手に向くのも必然か。慌てて引き返し、部屋を飛び出そうとするが。
「はぁ、はぁ……そこよっ!!」
「きゃあんっ!?」
 そのお尻を思い切り蹴り飛ばされ、部屋に逆戻りさせられるメアリー。すぱぁんっ、と言う派手な破裂音と共に、じんじんと鈍い痛みが走る。
 だが目に涙を浮かべながらもその痛みに耐えると、四つん這いになって赤くなったお尻を見せつけて。
「ふー、ふー……この程度、なの?」
「ふんっ、その格好で強がられてもねっ!」
 挑発を繰り返すメアリーに対し、璃蘭はさらなる蹴りを放ってくる。流石にこの威力を二発は、耐えられるものではない――が、四肢に力を篭めると、勢いよく跳ねてかわす。
 そのまま蹴りを空振った璃蘭相手に、身体を捻りながら、首筋への蹴りを叩き込んで。
「ぐ、ぎっ……!?」
「ほら、お尻ばっかり気にしてるからっ♪」
 首への衝撃が気道を塞ぎ、呼吸を阻害されて尻もちをつく璃蘭。顔を真っ赤にする相手に対し、メアリーはまた、お尻を見せて挑発する。
 そもそも、無策に逃げ回っていた訳ではない。どれほど鍛えた筋肉でも、全力を出し続ければ疲労する……それがメアリーの狙いだった。
 さっきのお尻への蹴りも痛かったのは確かだが、派手な音ほどの威力はなかった。璃蘭が首への蹴りであっさり息を詰まらせたのも、疲労が蓄積し、呼吸が乱れていた証拠だ。
「はぁっ、はぁっ……この、まだよっ……!」
「あら、まだ追ってこれるのかしら?」
 目の前に突きつけられたお尻に手を伸ばして来る璃蘭だが、もちろんメアリーはひらりと回避する。そのまま素早く逃げ出せば、しばらく追っては来られないようだ。
 悔しげな璃蘭の声が、メアリーの背中に……あるいはお尻に聞こえてくると、ふふんと楽しそうに笑いながら、廊下の角に消えていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幸・鳳琴
凄まじい肉の圧!
されどそれを乗り越えてこそ拳士というもの
いざ勝負ですッ

トレーニングルームに誘い出して
鉄アレイ等を気功法を込めた如意棒で
璃蘭へ吹き飛ばす、
相手からの攻撃をサンドバッグで受け
舞い上がる砂を目くらまし等
地形の利用を意識して交戦、功夫の打撃を決めますね

攻撃後は違う部屋に移動していきますが
試合場で掴まれ、必殺の投げ技を極められます
「ぐぅうぅぅ……!!」
意識が飛びそうになりますが、けして諦めずに
今一度極めようと相手が動いたところで窮地での閃き、
手より放してなかった如意棒を三節棍状にして
璃蘭の首に引っ掛け体勢を崩すことで脱出します。

相手が立ち直る前に、
限界突破してのオーバーロード!
かつての暴走姿である紅蓮の髪の少女の姿となり相対
http://tw5.jp/gallery/?id=55569

どんな強固な筋肉も、必ず繋ぎ目はあります
力溜め、急所を見抜くことで――狙うは一撃必殺
全てを込めた《幸家・醒龍》の突きで勝利を掴みますよ!

「貴女に打ち勝てたこと、誉れといたします」
勝利を収めたら、一礼を



「凄まじい肉の圧……! されどそれを乗り越えてこそ拳士というもの!」
「ふんっ、そんな貧相で小さな身体で、私を倒せるとでも!」
 トレーニングルームに璃蘭を誘い出し、まっすぐに相手を見据える幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)。璃蘭は暴力的な筋肉を誇示してくるが、それに怖気づく事はない。
「ええ、負けはしません……いざ勝負ですッ!」
「むっ……!」
 手にした如意棒を伸ばすと、てこの原理で鉄アレイを跳ね上げる。気を纏わせ、重い砲弾として撃ち出したそれを、剛腕で払いのける璃蘭。
「こんな玩具が効くものですかっ!」
「っ……!」
 そのまま踏み込んできた相手の拳に対し、咄嗟にサンドバッグを盾にする。剛拳はそれを突き破り、中に入っている砂が撒き散らされて。
 それを目眩ましに、相手の懐へと踏み込んでいく。
「そこっ!」
「っ……ちぃっ、軽いわね!」
 そのまま力強い肘打ちを、相手の腹筋に撃ち込んだ。だがそこは思った以上に硬く鍛えられ、手応えは浅い。
 逆に相手の怒濤の反撃が放たれ、それをなんとか捌き、かわしていく鳳琴。それでも押し込まれるがままに後退し、トレーニングルームを追い出される。
「なんて、筋肉っ……あっ!?」
「捕らえたわよっ!」
 廊下に出て、一瞬周囲を確認しようとした隙を突かれ、腕を捕まれ引き寄せられる。背を向かされて抱き竦められ、豪快な跳躍と共に繰り出される裏投げ。
 試合場の端から中央まで一気に跳ぶほどの脚力と、筋肉の全重量を乗せた衝撃が、脳天から全身を駆け抜ける。
「ぐぅうぅぅ……!!」
「あら、まだ意識を失っていないの? しぶといわね」
 ぐったりと倒れつつも璃蘭の言葉通りに意識を保った鳳琴だが、追い打ちをかけるように持ち上げられる。繰り出される力強い背負い投げは、今度こそこちらの意識を断ち切ろうとして来て。
「ま、だ……っ!」
「っ!?」
 そんな璃蘭の太い首に、三節に分かれた三節棍が絡みつく。押されても投げられても決して離さなかったそれが相手の呼吸を阻害し、その隙に拘束から脱出して。
「本当にしぶといわね、でも、無駄よ……!」
「無駄か、どうかは……!」
 そうして構え直した鳳琴の髪が、炎の如く、真紅に燃え上がる。オーバーロードによってその身に宿すは地獄の炎、かつて『ブレイド』世界では暴走とも呼ばれた、彼女の真なる姿。
「これを、受けてから……ですっ!」
「むっ!?」
 変じたその姿のままに、腹へと拳を突き出す鳳琴。もちろん璃蘭は腹筋を固め、それを跳ね返そうとする。
 先ほどは肘打ちを容易く弾いたそこは、今度も強靭な鎧となって、拳の前に立ちはだかり。
「――はあっ!」
 その筋肉と筋肉の、継ぎ目。ほんの僅かな隙間を見切り、渾身の拳が爆ぜる。璃蘭の目が大きく見開かれると、輝く龍の闘気が、璃蘭の分厚い身体を突き抜けて――。
「か、は――」
「貴女に打ち勝てたこと、誉れといたします」
 そしてそのまま空気の塊を吐き出し、腹を鳳琴の拳に凹ませ、崩れ落ちていく璃蘭。ただの一撃で打ち倒された巨体は、そのまま起き上がる事はなく。
 残心を取って深く息を吐いた鳳琴は、構えを解き、拱手して一礼した。

 こうして、香港租界を筋肉で支配せんとした璃蘭の野望は、猟兵の手によって打ち砕かれた。だが、この世にオブリビオンある限り、猟兵の闘いは続く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年09月01日


挿絵イラスト