シャチの列車に乗って
●シャチの街へ向かう悪牛
獣人戦線、イングランド。
狂気の超大国に支配されたこの地に走る魔導蒸気機関車は、多くの荷物や人員を輸送する事で超大国に抗う獣人達の街を繋ぎ、その抵抗を支えていた。
海底資源を発掘するサメの街、それを加工するウシ達の街、それらに繋がる鉄道にはシャチ獣人の街があった。
サメ達と同様に海底資源を採掘もしているが、沿岸を走る鉄道を海からの攻撃から守る防衛の役割も果たしている彼らは普段海を泳いで警戒しているが、時にこの鉄道に乗って地元のシャチ獣人の街へと帰還する事もある。
様々な階梯の海棲系の獣人に合わせて水槽車両や食堂車も完備しているこの魔導蒸気機関車には近隣の街の異種の獣人達も乗り合わせる事があり、仕事仲間として良好な関係を築いている。
――しかし、それを利用して幻朧帝国のエージェントはシャチの街へと破壊工作を仕掛けんとしていた。
グリモアベース。
「暑さも少しマシになってきたけど予知が見えたよ。獣人戦線のシャチの街を助けるためにちょっと力を貸してくれないかな」
そう猟兵達に呼びかけるのはシャチのキマイラであるヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)。
「今回狙われてるのはイングランド北部にあるシャチ獣人達の街だよ。シャチは未だ猟兵に覚醒した者もいない種族、狙ってくる幻朧帝国はいつものように逢魔弾道弾を街中で起爆、街を丸ごとオブリビオン蠢く逢魔が辻に変えて住民皆殺しっていう物騒なやつだから、逢魔弾道弾を持ち込まれる前にエージェントを撃破して欲しい」
そうヴィクトルは言って、予知の詳細について説明を移す。
「標的となるシャチの街は近隣にウシとかサメの街があって魔導蒸気機関車の鉄道でつながっている。他の街に仕事に行ってて返ってくるシャチ達が乗客の大半だけど、他の種族が乗り合わせる事も結構あるみたい。それで、今回やってくる幻朧帝国のエージェントは『陸軍少尉・山越結』ってウシ獣人の女で、この機関車にウシ獣人も乗り合わせる事を利用して鉄道経由でシャチの街に潜入しようとしているみたいだ。どの車両に乗ってくるか分からないから、隣町から目的地のシャチの街に着く前に探し出して交戦、撃破を目指して欲しい」
そう説明したヴィクトルは、破壊工作を仕掛けてくるオブリビオンのウシ獣人について語る。
「変装しているみたいだからぱっと見は分からないだろうけど、黒毛のウシで獲物はハンマーとガトリングガン……要するにデカいものばかりだから結構な大荷物になっているはず。それを参考に探してみるといいかもしれないね。あと乗客に聞いてみれば不審者とか教えてくれるかも。そして向こうの戦闘方法は極めてシンプル、突っ込んでぶん殴ってぶっ壊す感じで、力負けしないようにする必要があるかも。搦手も上手くやればいける、かも?」
そう説明したヴィクトルは首にかけた|鍵《グリモア》を手に取って、転送の準備を開始する。
「シャチの事件も結構増えてきたけどまだまだ覚醒の兆候とかそういうのは見えてきてないねー。カラスとウシもまだ覚醒した獣人はいないみたいだし、彼らと肩を並べて戦えるまでにはまだまだ時間がかかるかも。ま、今回の事件には絶対間に合わないだろうし、気合入れて幻朧帝国のエージェントを倒してきてね」
そうグリモア猟兵は話を締め括り、グリモアを輝かせて猟兵をイングランド北部のシャチの街へ向かう鉄道の駅へと転送したのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
海辺の街なら普通に泳いだ方が早いのでは? という疑問は無視しましょう。風情。
第一章はイングランド北部の魔導蒸気機関車でゆっくりしましょう。
目的地がシャチの街なので乗客は大半がシャチ獣人、彼ら用の水槽客車というものもあるようです。
第二章は逢魔弾道弾を設置しようと機関車内に潜入している『陸軍少尉・山越結』との戦いになります。
こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『スチーム・トレイン』
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POW : 豪華な食事を楽しむ。
SPD : 客車でくつろぐ。
WIZ : 風景を楽しむ。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
熊ヶ谷・咲幸(サポート)
お騒がせ☆アイドル×力持ち、12歳の女の子です。
憧れのアイドルになって人々の心に希望を灯せるようになる事を目指しています
イベントなどもアイドルとしての勉強の一環として体当たりチャレンジをします
がむしゃらに頑張るタイプで【怪力】による力技がメインですが、力をコントロールできなかったり等でドジをすることもしばしば。【奇跡のドジ】でいい方向に向かうことも
野生児の過去があり、動物の言葉などもなんとなく分かる時があります。
マスコットのクマリンは「咲幸ちゃん、〜リン、〜だリン」みたいな感じで喋りツッコミ等サポートも兼ねます
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●シャチ達の列車にて
雲の多い空の下、夏の終わりを感じさせる空気を切り裂き、青林檎の色で塗装された魔導蒸気機関車は大型の獣人達を乗せて進んでいく。
ウシ達が多く住まう街から出発し、遠く離れたシャチ獣人達の街へ向かうから、この機関車の乗客の大半はウシよりも大きなシャチ獣人で、次にウシ、あとはまばらに他の種族がちらほら見える程度だ。
そしてこの路線を多く利用する大型の獣人達に合わせ、機関車の客室も広々ゆったりした構造になっており、この鉄道沿いの海の警備帰りらしい軍服のシャチ獣人達が談笑したり軽食を取ったりと、故郷の街に帰るまでの時を過ごしている。
しかしこの機関車に幻朧帝国のエージェントが潜入し、シャチ獣人達が帰ろうとする街に対して逢魔弾道弾による破壊工作を仕掛けようとしている。その予知を阻止するためこの機関車へと乗車した猟兵達は、エージェントの捜索を開始する。
「へー、シャチの皆さんも機関車使うんですねー」
客室車両の中をきょろきょろ眺めつつ呟くのは熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)、これだけ海が近いのだから彼らなら泳いで帰っても良さそうだけれども。
『なんか海の方はUDCな怪物が出るみたいだリン。沿岸警備も大変らしいリン』
彼女の傍にいるマスコットのはっさくま『フラクトクマリン』が説明してくれる。彼らが海の怪物から獣人達を守るためにカバーしている範囲が割と広範で、遠くの街を守った帰りにまで襲撃されてはたまらないそうだ。
へー、と感心する咲幸。彼女は先日ウシ獣人が多く利用している機関車に乗ってエージェントを探したことはあるけれども、比較的近いこの路線の機関車はそちらとは少々構造が異なっているようで新鮮である。
「あ、あれが水槽車両……なのかな?」
敵エージェントを探しつつ、機関車の連結部を渡った咲幸が大きな箱のような構造の車両を見て呟いた。
様々な階梯の獣人が存在するこの獣人戦線の世界、通常の動物に近い自然階梯や妖精階梯の獣人用の車両もあるようだ。特にシャチは全長6メートルを越える個体もざらで、普通の車両では対応できないということだろう。
水族館のようなアクリルガラスなら彼らの姿も見えるのだろうが、そのような素材ではなく強度重視の金属製のプールになっている。多分、車両上部から運び出したりできるのだろう。
「……急いで探さないと!」
戦闘になればこのような特殊な作りの車両がひどいことになる可能性は高い。彼らを戦いに巻き込まぬため、咲幸はエージェントの捜索を急ぐのだった。
成功
🔵🔵🔴
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ連携可
微力ながらお手伝いさせてください。
お茶をお求めでしたらば街中でも森の中だろうと戦場であろうとも赴きましょう。
多少は荒事の心得も持ち合わせておりますし、出し惜しみはいたしません。
どの章、どの世界(アライアンス世界も可)で採用されても問題ありません。
ユーベルコードは公開している物でしたらば自由にお使いください。
他の猟兵に迷惑をかける行為や、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はいたしません。
●ティータイムを楽しもう
アイドルの少女が各車両を回りながらエージェントを探す中、ディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)というティーソムリエの青年は食堂車にいた。
破壊工作をしかけようとするエージェントを探すうちにこの食堂車にやってきた彼、社内に漂う紅茶の香りに足を止めて色々観察していたところ、コック帽を被った食堂車の料理人らしいシャチに声を掛けられたのだ。
|遠く《異世界》からやってきた猟兵のディルに対しても、超大国に抗う獣人達は優しく支援を惜しまない。
パニックにならないよう探し人がいるとほんのり事情を説明しつつ、どんな茶葉や淹れ方で紅茶を淹れているのか尋ねてみれば、料理人は紳士的に色々答えてくれる。
専門家ではないけれどもここはイギリス、一日に何度もティータイムを楽しむ彼らは戦火の中でも美味しく紅茶を楽しむ術を追及しているらしい。
「しかしこの機関車は……色々大きいですね」
巨体のシャチ獣人――階梯0や1の野生シャチの8メートル等には流石に及ばないものの、一般的なバイオモンスターよりは大きな彼ら。
紳士的ではあるが一度に飲む紅茶や消費される茶葉も相当な量になるだろうが、それを切らさない程度には輸送船等の防衛はできているようだ。
海が紅茶で染め上げられる等ということは絶対に防ぐ、と兵士らしい格好のシャチ獣人も言っている。
そしてディルは色々と話を聞いたお返しにと、ティーソムリエとしての技術でぴかぴかに磨かれたティーセットで紅茶を振る舞う。
温度管理に蒸らし方、彼が手慣れた手つきでマグに丁寧に紅茶を注ぎ、シャチ獣人達はゆっくりと啜る。
彼らの口の中に広がる至福の香り、笑顔になったシャチ達に、ディルの方も笑顔になった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『陸軍少尉・山越結』
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POW : その角は闘う強き者の証
最大100トンの物品を運搬可能になり、攻撃命中時に対象の防御効果を貫通する【長く頑丈な猛牛の角】を得る。
SPD : その鎚は雷霆を従えて
【雷を帯び加速する巨大ハンマー】で敵を近接攻撃し、【炸裂する電撃と浸透する衝撃】で装甲を破壊する。敵の攻撃を受けた直後に当てればダメージ7倍。
WIZ : その弾幕は歩みを阻む
【片手で振り回せるガトリングガンの弾幕】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
イラスト:kj2
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠押出・ハリマ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●厄災は後方の車両に
食堂車でティータイムを楽しんでいたシャチ獣人の一人が、ふと思い出したように他のシャチ達に尋ねる。
『……そういえば水槽車両の方に誰か行ってなかったか?』
彼の話によるとつい先ほど後部にある大型の水槽車に小柄な誰かが向かっているのがちらりと見えたらしい。
水槽車はその名の通り自然階梯や妖精階梯の海棲獣人向けの客車、特に今日は水槽車を必要とする者もいないようで、他の種族の獣人が向かう理由もそうないらしい。
『見た感じウシの誰かとは思うけど大荷物だったし、荷物置きにでも行ってたのかねえ』
首をひねるシャチ達の会話を聞きながら猟兵達は急ぎ後部の車両へと向かっていく。
『はあ、こんなめんどくさい方法なんてやらず真正面から仕掛けりゃいいのにねえ』
ぶつぶつ呟きつつ、乗客の居ない後部水槽車両で大きな荷物を持って何やら企んでいる人影一つ。
シャチ獣人に比べれば一回り小さな彼女こそシャチの街を破壊する為にやってきた幻朧帝国のエージェント『陸軍少尉・山越結』。
『……誰か来てる』
前方から気配を感じ取ったエージェントは即座に大荷物――得物である巨大ハンマーとガトリングガンを取り出して、構える。
目的地まであと少し、ここで時間を稼げば逢魔弾道弾を駅で起爆させる事は十分可能だ。
『退屈で仕方がなかったんだ。精々楽しませてくれなよ!』
黒きウシのオブリビオンは獰猛な笑みを浮かべつつ、向かってくる猟兵達を迎撃する態勢に入った。
アラタマ・ミコト
此処は水面に浮かびし蓮の葉の上でございます。
邪なる心の持ち主には決して渡る事の出来ぬ場所にてございます。
……心を無にするのです。
さすれば、あらたまちゃんのこの集中砲火の突破口が僅かにでも見えるかもしれないのです!!
●その先には踏み出させない
猛る雌牛の角が伸長し、太さを増していく。
長く頑丈なそれは猛牛の角、角突き合わせ巨体をぶつけ合う闘牛に相応しいものだろう。
それを生やしたエージェントは怪力を得、更にその角による攻撃は防御効果を貫通する凶悪なものとなる。
軽く機関車の床を蹴り今にも突進せんとするオブリビオンに対し、アラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)は静かに『|宇露菩櫓須無礼怒《ウロボロスブレイド》』を構える。
『まずはこの一撃、受けてみな!』
結が叫びアラタマへと突進を開始する――しかし同時にアラタマはユーベルコード【金葉水連陣】を起動、すると同時に彼女の周囲の機関車の足場全てが水面に浮かぶ蓮の葉へと変形する。
『何ッ……!?』
思い切り踏みこんでしまった結が蓮の葉を踏み抜き、それが浮かんでいた水に足を取られ、突進が強制的に停止させられる。
「此処は水面に浮かびし蓮の葉の上でございます。邪なる心の持ち主には決して渡る事の出来ぬ場所にてございます」
静かに告げつつ、アラタマは移動せぬままに鞭剣に神通力を通し、連なる刃を念動力で浮遊させる。
「……心を無にするのです」
そう結に告げるアラタマ、その言葉は己に言い聞かせるようでもある。
この機関車内、左右の幅が狭い戦場では突進を横に躱す事も出来ない。敵がこの蓮の葉の床に対応してくるようになれば一気に危険になるだろう。
それでも神仏の導きか、黒牛は体勢をすぐには立て直せない。その間に念動力で操られる鞭剣がユーベルコードの作用で一気に射程を伸ばし、頑丈な黒ウシの肉体を易々と切り裂いて。
「――さすれば、あらたまちゃんのこの集中砲火の突破口が僅かにでも見えるかもしれないのです!!」
『ふざけんな!』
その言葉を挑発と取ったのだろう、結は周囲の車両の壁を掴み、体を蓮の浮いていた水面から持ち上げ鼻息荒くアラタマを睨みつけたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鳥居・祐介(サポート)
戦闘スタイルは所謂「タンク」タイプです。
武装はほとんどが収納可能もしくは不可避なため一見丸腰に見え気弱でおどおどした外見で油断を誘って敵を引きつけ味方の突破や攻撃のための囮になります。
攻撃に対しては【激痛耐性】で多少の攻撃には怯まず耐え必要とあらば【怪力】で押さえつけます。
こちらの意図や強さを見抜く的にはグレートソードを抜いて大振りな攻撃を仕掛け否が応でも意識せざるを得ない状況にします。
ダメージが蓄積し瀕死になったら『風魔神顕現(アウェイキング・フレスヴェルク)』にて高い戦闘力を待つ風が人の形を成したような魔神を召喚して敵を薙ぎ払います。
●風はウシを吹き飛ばし
水上の蓮の葉に変えられた機関車の床を避けるように、車両の壁を掴み怪力で強引に移動し猟兵に迫ろうとするウシのエージェントの前に、鳥居・祐介(「風魔神に憑かれし者・f05359)が軽やかに躍り出る。
「こ、この先には進ませません!」
『……ふん、見かけで誤魔化そうとしてもそうはいかないね!』
おどおどした気弱な雰囲気を纏う祐介、しかしエージェントは彼の強さを見抜き決して油断することなくハンマーで叩き潰さんと襲い掛かって来る。
風の精霊魔法による不可視の鎧ではハンマーの重量で叩き潰される、そう判断した祐介は腕輪の形状で所持していた風の属性を宿せしグレートソードを合言葉で元の形状に戻し、叩きつけられたハンマーを受け止める。
彼の怪力でも受け止めるのがギリギリの破壊力、しかし結は即座に姿勢を低くし、ユーベルコードで伸長させた自身の角で祐介に頭から突っ込んでいく。
あらゆる防御効果を貫通する角が風を貫き祐介の脇腹を貫いて、激痛が襲い掛かる。
『仕留め損ねたか。でもここから……』
「そ、そろそろ限界です……! 僕に宿りし風魔神よ……契約に従い、今こそ力を貸してください!」
ウシのオブリビオンが言い切る前に祐介は敵の頭を抱え込むようにしながら叫び、【風魔神顕現】のユーベルコードを起動する。
すると彼に宿りし『風魔神フレスヴェルク』が召喚され、手にした大ぶりなグレートソードをエージェントへと叩きつける。
祐介の瀕死をトリガーに召喚される風魔神、その力はウシのエージェントをも凌駕し、どうにか祐介の拘束を脱した彼女に風のように素早く連続で斬りつけていく。
そして莫大な風を集め突風に変えて叩きつける。形のない風を弾き返す事もできずエージェントの巨体は吹き飛ばされ、誰もいない後部車両の方へと強引に押し出されたのだった。
成功
🔵🔵🔴
メル・メドレイサ(サポート)
時計ウサギのマジックナイト×パーラーメイド、15歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、演技時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
戦闘スタイルは多種の属性を扱う魔法使い
武器に魔法をかけ戦うこともできます
依頼にちなんだ品を給仕することを好み、味方には有効なもの、敵には嫌がらせ用のものを渡します
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●莫大な魔力で従える
『なら纏めて制圧してやる!』
後部車両に繋がるドアへと叩きつけられたウシのエージェントはガトリングガンを片手で振り回すように抱えると、車両前方へと向ける。
この車両には一般の乗客はいない為その被害はあまり考えなくてもいいだろうが、通路は狭く弾幕を回避することは至難の業、さらに脱出と侵入を困難にする制圧効果により近づいて射撃を止めることも困難。
そこに現れたのは片刃のガラスの剣『アンブレイカブルグラス』を手にしたメイド服のメル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)。
彼女はメイドらしい所作でガトリングを向けるエージェントに剣を構えて莫大な魔力を解放しユーベルコードを起動する。
「我が魔力の下には自然さえも意のままとなる!」
宣言と共に発動するは【エレメンタル・ファンタジア・フルコントロール】、この場に未だ漂う風の魔力を限界以上に解放したメル自身の魔力で掌握し、突風と氷属性を融合させた凍てつく暴風により無数の銃弾を防ぎきる。
(「まぁ、やりすぎたら死ぬんですけどね❤」)
本来制御の難しいエレメンタル・ファンタジア、それを莫大な魔力による力技で強引に制御しているこのユーベルコードは当然負荷も大きい。それこそ一日に使いすぎれば死に直結する程に。
それでもこのウシのエージェントの弾幕を一時無力化するには十分、凍てつく暴風により射撃を無力化されたその隙を狙い、メルは時計ウサギの足の速さで一気に切り込みガラスの剣を一閃。
黒毛の頑強なウシの胴体が鮮血に染まり、苦痛の声を零しながらウシはガトリングガンを鈍器として振り回し、メルは素早く後方に跳ねて殴打を回避した。
成功
🔵🔵🔴
諏訪野・みすず(サポート)
とにかく突撃して、ボスをぶっ飛ばします。「みすずちゃんにはパパ以外は、勝てないよー!」「このままじゃマズいよね」アドリブ、共闘歓迎です。
●振るわれる鈍器(エンジン付き)
氷の暴風が止み、凍てつく風による凍結により銃口を氷で塞がれていた結のガトリングガンが急速に解凍されていく。
胴体を鋭いガラスの刃で切り裂かれたウシのエージェントは今度こそ眼前の猟兵達を蜂の巣にせんと、再びガトリングガンを構え直そうとする。
しかし構え直すまでの僅かな時間に、活発そうな少女が一人ウシのエージェントへと切り込んでいく。
「撃ってくる前にぶっ飛ばすね!」
バールのようなものを手にした彼女、諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)は狭い水槽車両の通路をレガリアスシューズの駆動力で一気に駆け抜けつつユーベルコードを起動する。
【スチームエンジン】による無骨な蒸気エンジンが装着されたバールはエンジンから蒸気を吹出させつつ、片手で振り上げたガトリングガンを上からぶっ叩いて弾幕の展開を妨害するみすず。
そして殴打の反動を利用して高く跳躍、彼女の倍近くあるウシ獣人の頭に飛びかかってその広い額にバールを全力で叩きつける。
巨体同士での角のぶつけ合いにも耐える頑丈なウシの頭骨だが、ユーベルコードにより強化された一撃は無傷では済まない。
『こ……のっ……!』
頭をふらつかせながらウシ獣人の腕力でガトリングガンを振り上げながら引鉄を引きみすずを撃ち抜こうとする結。
車両の天井を穴だらけにしていく反撃を身軽に空中を舞うように華麗に躱しつつエージェント背後にあった扉を開けてそのままみすずは後方車両へと抜けていく。
「みすずちゃんにはパパ以外は、勝てないよー!」
そんな風に挑発しつつ、扉を閉じて車両の屋根の上へと避難、次はどう攻めるか考えながら移動していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
仇死原・アンナ(サポート)
鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います
UCは指定した物をどれでも使用
普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)
処刑人として敵と戦います
同行者がいれば協力
メインは鉄塊剣で攻撃
鉄塊剣の使用が不向きな相手・場所では刀剣をメインにして相手をします。
拷問具や鞭を使い敵の行動を阻害、鉄塊剣や刀剣で敵を攻撃します。影朧にはできる限り説得しますが説得不能と判断すれば容赦なく屠ります
キャバリアを操縦したり生身でも戦います
●刀山剣樹に落とされるが如く
頭をバールのような鈍器で強かに打ち据えられながら反撃するウシ獣人のエージェント。
オブリビオンである彼女に終焉を与えるべく、この魔導蒸気機関車へとやってきたのは仇死原・アンナ(処刑人、炎の花嫁、魔女、屠る騎士、そしてあいどる☆・f09978)だ。
愛用の鉄塊剣『錆色の乙女』――は少々この左右に狭い通路では取り回しが悪いと判断した彼女が手にしているのは妖刀『アサエモン・サーベル』、禍々しきサムライブレイドから発せられる妖気は屈強なウシ獣人のエージェントをも僅かにたじろがせるほど。
『……こんなので引き下がっちゃいられない!』
己を鼓舞するようにエージェントは大声で気合を入れ直すと、ガトリングガンを放り出して巨大ハンマーを構える。
表面にバチバチと雷が弾けるそれは重量による衝撃と電撃で立ち塞がる物を叩き潰す破壊の槌、特にカウンターで破壊力が跳ね上がるそれは最悪でも道連れにしてやろうという覚悟の下に振るわれるのだろう。
対するアンナはただ静かに敵を睨みユーベルコード【剣樹地獄の刑】を起動、妖刀に纏わりつく怨みと殺意が膨れ上がる。
「この剣で貴様を突き刺し斬り刻む!」
宣告、同時に駆け出して間合いを詰めていくアンナ。
オブリビオンに襲いかかる妖刀による滅多刺し、滅多斬り――妖刀が届く間合いに飛び込まねばならないが、彼女の卓越した白兵戦の技量は同じく接近戦を得手とするウシのオブリビオンをも凌駕し、振るわれる雷のハンマーを妖刀で受け怪力で弾きながら黒毛の巨体の懐へと飛び込み、目にも止まらぬ速度で切り刻んでいく。
頑強なウシの肉体も鋭き怨念の刃には為す術もなく貫かれ絶たれて、ウシの胴体と口から鮮血が溢れ出す。
『この……!』
目を血走らせた結のハンマーがより強烈な雷撃を帯び、振り下ろし速度を加速させ処刑人の女を叩き潰さんとする。
当たれば一撃で状況をひっくり返しうる程に強烈な――或いは道連れにされかねない一撃。されどアンナは自身の肉体から紅蓮の炎をウシの顔面目掛け噴出させ、視界が塞がった隙にウシの脇腹を妖刀で切り刻みながらすり抜け、直後車両の床がハンマーに砕かれる轟音が響く。
ワンテンポ遅れ、エージェントが正面にぐらりと倒れ込み、そのまま消滅。それを確認したアンナはふう、と息を吐いて妖刀を鞘に納めたのだった。
かくしてシャチの街へ向かう機関車を利用した幻朧帝国の破壊工作は利用客への被害もなく無事阻止された。
機関車で帰ってきた同胞たちを暖かく迎えるシャチ獣人たちの姿を見届けた猟兵たちは、次なる戦いへと向かうためグリモアベースへと帰還したのだった。
成功
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