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エクソダスは揺るがす、エースの来歴

#クロムキャバリア #光の庭の子供達 #ACE戦記 #ACE戦記外典 #プラナスリー #ビバ・テルメ #エルネイジェ王国

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●タイプAからタイプE、そしてタイプG
 黒髪が赤い瞳を隠した。
 それは風が吹いていたからだ。
 空を見上げた赤い瞳の少年たちは、どこか呆然としていたようだった。
 見上げた先にあるのは『不思議な光』。
 その光が彼らに降り注いでいる。

「タイプAは百年前に喪われはしましたが、しかし……タイプEの因子を得た結果、タイプGは生まれました」
 明らかに尋常ではない光景だ。
 まるで光の庭のように降り注いだ光が、黒髪の少年たちの身を照らしている。
 その様を見下ろし呟いたのは『ノイン』だった。
 彼女の瞳は冷めていた。
「タイプG……結局、『エイル因子』を定着できたのは、はただの一体だけ。それも役に立たなかった……となれば、もはや自然発生を待つまでもありません」
 彼女は僅かに苛立ちを見せていた。
 小国家『プラナスリー』。
 それは巨竜型超巨大要塞『ベヘモット』を国土とする小国家の名である。
 前身である小国家が、いくつかの他の小国家を滅ぼして得た無数のプラントによって一定の領土を保たずとも、その蝶巨大要塞を大地として、まるで遊牧民の如くクロムキャバリアの大地を流浪しているのだ。

 そんな小国家の元首に収まっている『ノイン』は光の庭に立つ黒髪の少年たちを見やる。
 彼らは『タイプG』と呼ばれる者たちだった。
 それはかつて小国家『エルネイジェ王国』の王家の遺伝子を得ようとして失敗したが、それを些細な失敗にするものになるはずだった。
 そう、なるはずだった、のだ。
 仕組まれたわけでもなく、自然発生した強者の遺伝子。
 これによって彼女は無類たる軍を造り上げるつもりだった。
「それもこれも『エース・カウンター』……『クリノ・クロア』の遺伝子を得られなかったせい……あの自然発生した『エース』さえ」
 手に入ったのならば、タイプGなど不要だったのだ。
 歯車が狂っている。
 彼女の計画の尽くが。

 故に彼女は賭けに出た。
 そう、タイプGの少年たちが浴びている光は、プラントの暴走による光だ。
『不思議な光』は、彼らを後天的なアンサーヒューマンへと変えるだろう。
 極限まで拡大された|瞬間思考力《フォーアンサー》、そして定着こそせずとも肉体に残った『エイル因子』……キャバリア操縦適正が作用すれば。
「後は、オブリビオンマシンに乗せるだけでいい。戦いを求めなさい、タイプGたち――!」

●小国家『ビバ・テルメ』
「敵機、四! 猛烈な速度で戦列を突破してきます!」
 温泉で知られる小国家『ビバ・テルメ』は、小国家『プラナスリー』から宣戦布告を受けていた。
 もともと観光と天然の要害と立地によって守られた『ビバ・テルメ』は多くの戦火から逃れることができていたのだ。
 しかし、このクロムキャバリア世界において、戦火と無縁でいられるわけがない。
 大地を疾走するのは、恐るべきキャバリアの姿であった。
 それはまるで天使のような姿をしていた。

「い、一体なんなんだ、こいつらは!?」
 悲鳴が上がる。
 小国家『ビバ・テルメ』はかつて、たった四騎のサイキックキャバリアによって守られていた。
 しかし、それはどうしたって歪を生み出すものだった。
 小国家の運営さえも四人の『神機の申し子』によって行われていたのだ。
 独裁ではない。
 ただ、彼らは多くの難民を受け入れ、ひたすらに彼らを戦火から引き離し、平穏なる日々を遅らせようとしていたのだ。
 それを見かねた人々が己たちもまた戦うのだと決意して立ち上がったことは喜ばしいことだ。

 だが、皮肉なことだ。
 かつては四騎のサイキックキャバリアに守られていた『ビバ・テルメ』は、たった四騎の天使の如きキャバリアによって侵略されんとしていた。
 防衛に出たキャバリアたちが瞬く間に飲み込まれるようにして撃破されていく。
「お、俺達では駄目だ……!『エルフ』さんたちを……ぐわっ!??」
 爆発が巻き起こり、天使の如きキャバリア……否、オブリビオンマシン『ケルビム・ミルオス』は、赤いアイセンサーを煌めかせた。
 ぎりぎりと掴み上げたキャバリアの頭部をひしゃげさせるマニュピレーターがプラズマの光を放ち、火花を散らせるよりも早く、キャバリアを爆散させたのだ。
「……ふ、普通じゃない! こいつら!」
「こ、こらえろ! これ以上、戦線を後退させたら……! うわああっ!!」
 怒号と悲鳴が響く。
 たった四騎。
 そう、たった四騎の『天使の群れ』によって、天然の要害と多くの平穏を望む人々によって築かれた小国家は滅びの切っ先を突きつけられていた――。

●クロムキャバリア
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア世界の小国家『ビバ・テルメ』。これにたった四騎のオブリビオンマシンが襲来し、防衛隊を蹂躙しています」
 それは恐るべき事実であった。
 ナイアルテの言葉に尋常ではない事態なのだと猟兵たいてゃ理解しただろう。
 一体何が起こっているというのだ。

「この四騎のオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』を駆るのは、後天的アンサーヒューマンである少年たちなのです。彼らは暴走プラントから発せられる光によって後天的にアンサーヒューマン化した少年なのです」
 アンサーヒューマン。
 それは極限まで拡大された瞬間思考力と圧倒体なキャバリア操縦適正を持つ者たちのこっとを言う。
 戦うために発生したとしか思えない力。
 そして、それ自体は問題ではないのだ。
 その彼らが駆るキャバリアが、オブリビオンマシンだということが問題なのだ。
 彼らは平穏を甘受する『ビバ・テルメ』を滅ぼさんとしているのだ。

「これを至急打倒し、侵略を阻止しなければなりません。『ビバ・テルメ』の守備隊が迎撃んいでていますが、このままでは時間の問題でしょう。『神機の申し子』たちが出ててくる頃には……」
 壊滅する、といってもよい。
 であれば、猟兵たちの出番だ。
 四騎の『ケルビム・ミルトス』を駆る者たちをどうするかは、それからだろう。
「お願いいたします。どうか、彼らを止め、そのオブリビオンマシンの呪縛から解放してほしいのです」
 ナイアルテはそう告げ、猟兵たちに深く頭を下げるのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリア、謎のプラント暴走による光によって後天的にアンサーヒューマンとなった四人の少年たちが小国家『ビバ・テルメ』の守備隊を蹂躙しています。
 このままでは彼らによって平和な小国家『ビバ・テルメ』は炎に包まれることでしょう。
 侵略行為を止めるため、この四騎のオブリビオンマシンを打倒しましょう。

●第一章
 冒険です。
 四騎の『ケルビム・ミルトス』に迫るためには、『ビバ・テルメ』の天然の要害であった、廃工場跡地を包み込む炎の戦場を突破しなければなりません。
 周囲には炎が吹き荒れ、その先では無数の守備隊のキャバリアの残骸が残されています。
 この先に四騎の『ケルビム・ミルトス』がいるのは間違いないはずです。

●第二章
 集団戦です。
 後天的アンサーヒューマンとなった少年たちは、凄まじいまでのキャバリア操縦適正を獲得しているばかりか、『ケルビム・ミルトス』のユーベルコードすら自在に操っています。
 彼らは、平和を甘受する『ビバ・テルメ』がクロムキャバリアを停滞させるとして、この平穏を破壊せんとしているのです。
 彼らはオブリビオンマシンに狂わされています。
 なるべく殺さないように立ち回りつつ、『ケルビム・ミルトス』を破壊しましょう。

●第三章
 日常です。
『ケルビム・ミルトス』を破壊したことで、狂気的思想から開放された少年たちも正気に戻ります。
 とは言え、彼らが後天的に得たアンサーヒューマンの力が失われたわけではありません。
 温泉小国家『ビバ・テルメ』の日常を通じて、彼らの今後を導きましょう。

 それでは、迫るは尋常ならざる四騎の『天使の群れ』。齎すは侵略の炎。これを阻むために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『灼熱の戦場』

POW   :    戦火を強引に突破する

SPD   :    強風や爆発を利用して進む

WIZ   :    炎の勢いを抑え道を拓く

イラスト:madoka

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 炎の戦場に響くのは鋼鉄の歌。
 それは無機質な狂気だった。
 四騎のオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』を駆る少年たちは後天的にアンサーヒューマンとしての力を得た。
 脅威なる瞬間思考力。
 走る光を追うようにして彼らの赤い瞳が戦場にある敵を打ち倒す。
「平穏は停滞だ。全ての進化を阻む障害だ。だが、そんなことはどうでもいいんだよ!」
「気に食わねぇ! 何もかもが気に食わねぇ! この世界に生まれた癖に戦うことを忘れた連中の間抜けな面がァ!!」
「だから壊してやるってんだよ、この灰色の世界を! ぱあっと花開くような光でよォ!!!」
「平和ってのがあるから争いがやってくるってんなら、俺が! 俺達が、争いの権化そのものになってやる。そうしたら、またお前らの大好きな平和ってもんがやってくるだろう? アァ!!?」
 凶暴性を煮詰めたような咆哮が四騎の『ケルビム・ミルトス』から響く。
 彼らは皆同じ顔をしていた。
 四つ子とも思えるほどに。
 いや、事実彼らは『同じ』だった。寸分たがわぬ顔立ち。
 彼らの赤い瞳に世界は灰色に見えていた。全てがつまらない。
 なら、破壊するしかない。
 壊せば火花が散る。そうすることしか知らない。そうする方法しか灰色の世界を照らす方法を知らないのだ。
 故に彼らは『ケルビム・ミルトス』を駆る。
 破壊を齎すために。破壊の後に再生が訪れるように、争いの後に平和が訪れるのならば。
 己たちは平和を破壊することしかできないと、その力をほとばしり、炎の戦場を生み出すのだ。
 その姿を。

 讃えよ、『ケルビム』――。
村崎・ゆかり
全く、人が平和に過ごしてるのがそんなに気に障るとは、それが欲しくて欲しくてたまらないからじゃないのかしら?
人間の醜いところを見せつけるような露悪趣味は興味ないの。気に入らないから、止める。あたしがここにいる理由なんて、それで十分。

「範囲攻撃」で火伏せの法を空撃ち。
効果範囲内の炎熱は、あたしの術式が全て抑え込む。
さあ、炎に属する者たちよ、道を空けなさい。

この廃工場は再建できるかしらね?
というよりも、クロムキャバリアに『工場』なんてものが残ってるとは思わなかったわ。
何もかもプラントで生産してると思ってた。
ここは生きてる時は何を生産してたのかしら?

そろそろお相手が見えてくる頃ね。気を引き締めましょ。



 人の悪性を暴くような狂気。
 それは誰しも人間が抱えるものであったことだろう。全てが善性であるという人間がいないことは、すでに証明されている。
 そして、その善性が落とす影は悪性となって人を引きずり込むだろう。
 だがしかし、その悪性の切っ先が他者を襲うとなれば、話は別だ。
「全く、人が平和に過ごしているのがそんなに気に障るとは、それが欲しくて欲しくてたまらないからなじゃないのかしら?」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、そう思わずにはいられなかった。
 手に入れられないもの。
 伸ばしても届かないもの。
 そうしたものに人は惹かれる。
 どうしようもなく、だ。

 それが人の理だというのならば、きっとそうなのだろう。
 言う間まさに、ゆかりは人の醜悪な部分を見せつけられているような気分になっただろう。
 四騎のオブリビオンマシンは、小国家『ビバ・テルメ』を戦火に巻き込もうとしている。
「露悪趣味もいいところね。趣味じゃないわ」
 ゆかりは天然の要害の一角たる廃工場郡を走る。
 周囲に巻き起こる炎は、彼女の歩みを阻むようだった。
「気に入らないから止める。あたしがここにいる理由なんて、それで十分よ」
 手にした符がユーベルコードに輝く。
 彼女の道行きを阻む炎を調伏せんとするような輝きが、放った符より放たれた。
「あたしの前を炎が阻むのならば、道を空けなさい!」
 火伏せの法(ヒフセノホウ)によって、ゆかりの眼前の炎がかき消される。
 まるで強烈な風によって吹き消されたかのようであった。

 炎が立ち消えれば、煤に塗れた廃工場群の輪郭が見えるだろう。
 かつて、ここで何を生産していたのかは、もはや知るすべはないだろう。
 元より、この世界はプラントに依存している。
「そもそも、これが工場だっていうのが驚きなのよね。何もかもプラントで作り出せるのに、工場って……この施設が生きていた時は、何を生産していたのかしら?」
 わからない。
 けれど、機械を組み上げるような仕組みであるようにも思えただろう。
 少なくとも平和的なものではないことであることだけは、ゆかりにもわかったかもしれない。
 そんな廃工場群の在り様を見やりながら、ゆかりは進む。
 急がねばならない。
 今まさに四騎の狂えるオブリビオンマシンを駆る者たちが、平穏を生きる人々を人の悪性に引きずり込もうとしている。
 それは阻止しなければならないことなのだ。
「そろそろね。気を引き締めましょ。どんなに人間の本質が悪性なのだとしても、それでも善性を得るから良心もまた芽生えるのよ。その言葉は、どうにも極端がすぎるっていうのよ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルウェイン・グレーデ
●聖竜騎士団
蛮族の道理だな
だが…この世界では多くの場合、それは正しい
力ある者はそれを実現し、正道にできてしまうのだからな
しかしだ
ただ黙ってやられている相手ばかりではない!

イグゼクターで出るぞ!
メルヴィナ…殿下がいらっしゃる以上、火災は問題ない
完全な消火までそう時間は掛からないだろう

俺は執行者の目で周囲を警戒する
殿下に手出しする気配があれば阻止するぞ

見るがいい!
天候を自在に操り、瞬く間に炎を鎮めるメルヴィナ殿下の姿を!
まさしく海竜の巫女!
雨に濡れた御姿もまた美しい…ん?
機体に乗っているから濡れるはずがないだと?
俺には見えているぞ!(※妄想)
雨水を滴らせる髪から覗く、麗しげに揺れる瞳まで!


メルヴィナ・エルネイジェ
●聖竜騎士団
またビバ・テルメが狙われているのだわ?
もう巨神も居ないのに、なんだか狙われ過ぎている気がするのだわ
争いを引き付ける何かがあるのだわ?

それとも平和だから狙われるのだわ?
あのアンサーヒューマン達には弱そうな獲物にでも見えているのだわ?

あまり気が進まないけれど…シールドファンダーで行くのだわ
ルウェイン、ちゃんと周りを見張っているのだわ
もしもの時はあなたが頼りなのだわ
私はキャバリアの操縦は得意じゃないのだわ…

火の手がかなり広がってるのだわ
封炎の暴雨で一気に消火するのだわ
浴びれば炎への耐性が付くし、水の加護で熱も冷えるのだわ

…消火器みたいな扱われ方をしてるのは気のせいなのだわ?


ソフィア・エルネイジェ
●聖竜騎士団
惰眠のような安寧の中に、彼らの生きる世界はないと…?
闘争自体を目的とし、戦火を押し広げますか
ビバ・テルメに迫る炎は、彼らの闘志を具現化しているのでしょう
その闘志には闘志を以って応えます

インドラ・ナイトオブリージュで参りましょう

メルヴィナ、直ちに消火を初めなさい
ルウェインはメルヴィナの直掩に当たりつつ周囲の警戒を

炎が鎮まるまでの間、私は前に出て守護聖域を展開します

ここは廃工場地帯
遺棄されたエネルギーインゴットやガスタンクなどに引火し、突然爆発が起こらないとも限りません
守りは万全に固めておくに越したことはないでしょう
機体を焦がす熱も多少は和らぐものかと



 炎が渦巻いている。
 それはこの世界の有り様を示しているように思えてならなかっただろう。
 戦火は潰えることはない。
 人が人であるかぎり、争いはなくならない。
 何故か。
 語るまでもない。
 人が他者を認識するがゆえである。他者と己との違いとを理解するがゆえに、争いは起こる。
 その差異は時に優位を示すものであるし、優劣を定めるものであったからだ。
 故に。
 争いは引き起こされる。
「また『ビバ・テルメ』が狙われているのだわ?」
 メルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)は重装甲の大型キャバリア『シールっどファンダー』のコクピットの中で燃える廃工場群を見た。
 かつて、彼女は巨神『セラフィム・シックス』を巡る戦いのために小国家『ビバ・テルメ』へとやってきていた。
 争いの根幹は、巨神であった。
 しかし、あの巨神『セラフィム・シックス』はすでに喪われている。
 なのに、どうして、とメルヴィナは憂う。
「争いを引き付ける何かがあるのだわ?」
「それはこの小国家の平穏にあるのでしょう」
 ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は、小国家『ビバ・テルメ』がクロムキャバリアの争乱渦巻く世界にあって、特異な小国家であることを知っていた。

 まるで惰眠のような安寧。
 大陸の覇権も関係ない。
 天然の要害に守られた土地は、守るに容易い。そして、攻めることは難しい。そして、さらには『神機の申し子』たちが守っているとなれば、盤石。
 故に温泉小国家。
 観光を資源として成り立つ小国家は、クロムキャバリアには似つかわしいものであったことだろう。
「闘争事態を目的とし、戦火を押し広げますか」
 ソフィアには、『ビバ・テルメ』を襲った四騎のオブリビオンマシンを駆る者たちの真鍮を知る。
 この炎は、彼らの闘志である。
 そして、意志。
 やりかたがそもそも間違っているのだ。
「まるで蛮族の道理だな」

 そう呟いたのはルウェイン・グレーデ(メルヴィナの騎士・f42374)だった。
『ヴェロキラ・イグゼクター』が『シールドファンダー』の横合いにつけた。
「だが、この世界では多くの場合、それは正しい。力ある者は、それを実現し、正道にできてしまうのだからな。しかしだ。ただ黙ってやられている相手ばかりではない!」
 ルウェインは思う。
 強さとは正しさを担保するものであろう。
 強くなければ生きられない。
 それが人間というものだ。
 しかしだ。
 ならば、なぜ人は人を愛するのか。
「愛とは! 人の憂いに寄り添うからこそ生まれるもの! メルヴィナ……殿下がいらっしゃる以上、火災など問題の一つにもなりはしない!」
「ルウェイン……そういうのは、その、後でにするのだわ」
「ルウェイン、メルヴィナの直掩に当たりつつ周囲の警戒を怠らないように」
「ハッ!」
 メルヴィナは、僅かに頬を紅潮させていた。
 ルウェインという男は、常々こういうところがある。隙あらばメルヴィナへの忠義を語る男なのである。
 それが一時期は気持ち悪いと思っていたのだから、人は変わるものであろう。

「……ルウェイン、もしもの時は、あなたが頼りなのだわ」
 メルヴィナも僅かに素直さがでてきたように思える。
 自身がキャバリアの操縦が得意ではないことは言うまでもない。が、それを理由にルウェインに頼ることはなかった。
 だが、今はどうだ。
 むしろ、ルウェインが隣にいることが心強いというようでもあったことをソフィアは見ただろう。
『インドラ・ナイトオブリージュ』がラウンドシールドを構え、障壁で覆う。
「メルヴィナ、直ちに」
「わかっているのだわ。火の手はかなり広がっているのだわ。封炎の暴雨(ファイアオブザ・シール)で一気に消火するのだわ」
 それは暴雨であった。
 大地を打ち付けるような強烈な雨が降り注ぐ中、メルヴィナたちの周囲の炎は一瞬で鎮火するだろう。
 廃工場群は、『ビバ・テルメ』において複雑に入り組んだ迷図のようになっていた。
 これが敵の進軍を阻んでいたのだ。
 煤だらけの廃工場群をルウェインは執行者の目(イグゼクター・アイ)で警戒を怠らなかった。

「見るがいい! 天候を自在に操り、またたく間に炎を沈めるメルヴィナ殿下の姿を!」
 ルウェインはメルヴィナのユーベルコードの威力に感服しきりであった。。
 ソフィアもまたそれは認めるところであった。
 しかし、ここは廃工場の跡であると聞き及んでいたが、一体何を製造していたのか。彼女が想像するようにエネルギーインゴットやガスのタンク、そうしうた遺物があれば、炎は被害を広げるだけのものに思えた。 
 だが、そうしたものはなかったように思える。
 己が警戒しすぎであったのか、とソフィアは思ったかも知れない。
「まさしく海竜の巫女! 雨に濡れたお姿もお美しい……」
 見えるわけがない。
 というよりも、メルヴィナは『シールドファンダー』に搭乗しているのだから、濡れることはない。
 しかし、ルウェインの瞳には見えていた。
 いや、妄想である。
 シャワーに打たれ、召し物が肌に張り付くメルヴィナの姿を。
 頬の紅潮が移ったように火照る白肌を。
 そして何よりも!
「雨水を滴らせる髪から覗く、麗しげに揺れる瞳もまた、天上の美……!!」
「……ルウェイン」
 メルヴィナの顔色は伺い知れない。
 しかし、ソフィアは思った。
 流石にいちゃつきすぎではないか、と。別の意味で頭痛の種がソフィアを襲うだろう。

 瞬間、ソファアは重圧を感じただろう。
 打ち消された炎。
 その奥。
 一騎のキャバリア……否、オブリビオンマシンの気配。
 獰猛なる獣のような視線。
 赤いアイセンサーの煌き。
「ソフィア殿下!」
 ルウェインは一転して鋭い警告を発しながら『ヴェロキラ・イグゼクター』を『シールドファンダー』の眼前へと飛び出させていた。
 しかし、その赤いアイセンサーがほとばしる光は、一点のみを狙っていた。
 そう、狙うはソフィアの『インドラ・ナイトオブリージュ』――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……全く。平穏っていうのはそれを保ち続けるのが一番難しいってのに…
アルカ・スィエラ……プロトミレス・コルヴィルクス装備、出るッ!

あんまり時間をかける気はないわ。炎が邪魔をするというのなら…
【RS-BR 背部搭載型マルチホーミングミサイル】をセット、凍結弾頭ミサイルを装填し、進行方向へと一斉発射する事で進行方向の周辺を一気に冷却・凍結を狙い、炎を抑制してその間にコルヴィルクスの推力で一気に突き進むわ!

…それにしても……悪性だとか争いの権化だとか、そんな上等なもの?
単に「癇癪起こして暴れてる躾のなってない幼稚なクソガkもとい悪童」の類じゃないの?



 平和を得る道程には多くの血が流れることは言うまでもない。
 屍が滴らせる血が道となって、平穏へとつながる。
 どこまでいっても争いと地続きなのだ。
 そういうものなのだ。故に、平和を得ることは、さして難しいことではない。
 争いをやめればいい。
 たった、それだけのことだ。
 だが、肝心要であるのは、平和を得た後のことである。

 平和を得た後、平穏をどれだけ長く維持することができるか。 
 それは為政者の仕事であるところはいうまでもないだろう。その難しさをアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は知っていただろう。
 どうやっても人は争いをやめられない。
 そういうものだ。
 理由がいかなるものであったとしても、人と人とは他者と己が違うことを無意識に自覚している。
 故に、同じ平和を抱く者と信じきれない。
 だからこそ、平穏は得難い。
 保ち続けることが難しいのだ。
「アルカ・スィエラ……『プロトミレス・コルヴィクス』装備、出るッ!」

 アルカは『プロトミレス』と共に鈍色の装甲を輝かせながら、炎渦巻く廃工場群を疾駆する。
 時間は掛けられない。
 例え、眼の前に炎が障壁として立ちふさがるのだとしても、時間を掛ければかけるだけ四期のオブリビオンマシンは『ビバ・テルメ』を滅びに導くだろおう。
「背部搭載型マルチホーミングミサイル、凍結弾頭セット!」
 アルカの瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、『コルヴィクス』に装備されたミサイル弾頭が入れ替わる。
 凍結弾頭を伴ったミサイルが糸を引くようにして炎の戦場に降り注ぐ。
 弾頭が弾けた瞬間、炎が一瞬を凍結し、冷却していく。
 炎がミサイルの衝撃と凍結弾頭によって一瞬、道を開く。

「突き抜ける!」
 アルカはためらわなかった。
 この一瞬を生み出し、一刻も早く争いの根源に向かわなければならない。
「悪性だとか争いの権化だとか、そんな上等なものには思えないわね」
 あの四騎のオブリビオンマシンを駆るのは、後天的にアンサーヒューマンと至った少年たちだという。
 そこに彼女は知性というものをみなかった。
 言うなれば。
「癇癪起こして暴れてる躾のなってない幼稚なクソガ……もとい悪童の類だっていうのなら」
 しつけをしなければならない。
 オブリビオンマシンの狂気に狂わされているのならば、なおさらのことである。 
 アルカは炎の道を飛び、その根源を叩くために道を急ぐのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
竜眼号搭乗
「ご主人サマー☆神機の申し子とか生意気なのが居るぞ☆もうわからせだぞ☆」
なんでおめーが憤ってるんだよ
「だってー☆メルシーにとっての神機の申し子はご主人サマなんだもん♥」
うぜぇ(塩
「フュンフ君も乗せたいと思ったけど…彼はメルシーには合わな過ぎたし☆」
何だあの行方不明になってるのか?
「昔のフュンフ君だぞ☆」
………は?
「彼は善属性すぎたしね☆それよりも大火事だぞ☆鎮火するならあれだよね☆」
うっがぁぁぁ!!
地獄のUC発動
5師団は念の為竜眼号護衛
残りは散開して
【属性攻撃・念動力・弾幕・集団戦術・情報収集・視力】
水属性で火事の鎮火と片付けと救出行動
後は無事な物の回収しての確保
流石に後で返さないと



「ご主人サマー☆」
「なんだよ」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、いまそれどころではないのだが、と思っただろう。
 彼が見るのは、小国家『ビバ・テルメ』の天然の要害の一つである廃工場群の燃え盛る炎であった。
 これを急ぎ突破しなければならない。
 カシムは己の乗騎であるところの『メルシー』の言葉にかまっている暇はなかった。
「『神機の申し子』とおか生意気なのがいるぞ☆」
「そりゃあ、この小国家のトップの連中だろう?」
「もうわからせだぞ☆」
「いや、なんでおめーが憤ってるんだよ」
 カシムはわけがわからなかった。
 どこに怒りのポイントがあるのか、さっぱりだったからだ。

「だってー☆ メルシーにとっての『神機の申し子』はご主人サマなんだもん」
「うぜぇ」
 カシムは塩っけたっぷりだった。
 どう言われたところで、それは彼にとってはどうでもいいことだった。
「それに『フュンフ』君も乗せたいと思ったけど……彼はメルシーに合わなすぎたし☆」
「あん? どいつのことを言っていやがる?」
 カシムは首をひねった。
『フュンフ』を示す名を持つ者は、彼にとっては一人だった。
『フュンフ・ラーズグリーズ』。
 このクロムキャバリアの小国家『グリプ5』の『エース』。
 そして、地底帝国との決戦で行方不明になり、『サツキ・ラーズグリーズ』として名を改めて戻ってきた青年のことだ。

 だが、メルシーと彼に接点はそう多くはない。
 そればかりか、乗せたいと思った?
 どういうことなのかわからない。
「昔の『フュンフ』君だぞ☆」
「……は?」
 昔。
 それは百年前の『グリプ5』を興した『憂国学徒兵』の『フュンフ・エイル』のことを言っているのか。
「彼は善属性すぎたしね☆ それよりも大火事だぞ☆ 鎮火するならあれだよね☆」
「うっがぁぁぁ!!」
 カシムは頭を抱えた。
 それが一番嫌だったからだ。
「ひゃっはー!」
 どうこうする前に対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)が発動していた。
 ユーベルコードの輝きと共に炎の戦場に飛び出すのは幼女メルシーたちであった。
 水の属性を操って、廃工場群のの炎を鎮火し、片付けを行っていく。

「無事なものがれば回収して確保すんだぞ!」
「ぜんぜん、役立たないものばっかりー!」
「ほんとーに廃工場跡って感じーだねー☆」
 そんなやりとりを耳にしながら、カシムは頭を振る。
 疑問はつきない。
 けれど、やるべきことはやらねばならないと、カシムは気をしっかりと取り直すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

あー……。
香っちゃいましたか。香っちゃったならしかたないですね。
って、ステラさんの雄叫びがお急ぎ便!?

でも久々の香りにステラさんの目が怖いんですが!

大丈夫ではないですよ……最近のギャラ、練乳代で赤字なんですよ!
それにですね!
わたしギャグキャラじゃないんですが!
本気と書いてマジキャラなんですが!?

練乳の準備が不十分なときに、シリアス考察は致命傷ですよぅ。
あとでスイーツくれないと拗ねますよ?

あれ?
演奏はしていいんですか!?あとルビ芸は無視しますよ!

それにしても炎なのに演奏でいいんですね。氷の魔法もあるんですけど……。
これってステラさんがわたしの演奏にハマってきたってことですよね!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
香りがしまーーーすっ!!
はい、呼ばれてメイド推参っ!!
緊急時に付き短縮版です!

しかしこの惨状……ルクス様大丈夫ですか?
ええ、もうギャグは|プライベート《ノベル》とGGOに賭けるしか……

ともあれ
ケルビムタイプ? しかも搭乗者がいる??
ばかな……
しかもパイロットの様子……まるでフュンフツィヒ様のような
タイプG……おっと、ルクス様が瀕死です
この辺で

ルクス様、この炎を突破するには
演奏ですええ|演奏《破壊音波》で炎を蹴散らしましょう
私もケルーベイムで補助します
ケルーベイム、【カナフ】!
無理矢理な空中機動で炎を一時的に散らすとしましょう
ルクス様、一気に突破しますよ!!



 香る。 
 それは確かなことであった。
 炎が生み出すガスと煤。
 それらがステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の鼻腔の繊細な細胞をたばかることはできなかった。むしろ、できると思うほうが間違いであることは語るまでもない。
 そう、メイドとは主人のことに対して万事、確実なのである。
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしま――すっ!!」
「あー……香っちゃいまいした。香っちゃったならしかたないですね」
「はい、呼ばれてメイド推参っ!! 緊急時につき短縮版です!」
「って、ステラさんの雄叫びがお急ぎ便!? イェーガーPrimeに加入したつもりはないんですけど!?」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は驚愕した。
 驚愕したが、しかし、ステラというメイドにおいては驚くべきところではなかったかもしれない。

 彼女にとって『主人様』と崇めるところの『エイル』絡みの事柄は、全てにおいて優先されるものであったからだ。
 今更であるが。
 というか、ルクスはちょっと怖いと思った。
 久々の香りにステラの目がガン決まりであったからだ。バキバキである。バッキバキなのだ。
 瞳孔が開いている。
「怖い……」
「しかし、この惨状……ルクス様、大丈夫ですか?」
「大丈夫ではないですよ」
 ルクスはシリアスアレルギーである。シリアスな空気に触れると蕁麻疹がでてくるのである。
 まあ、こっちの勇者もおかしいと言えば大概である。
 こちらも今更感はある。ないとは言うまい。
「最近のギャラ、練乳代で赤字なんですよ!」
「まあ、ギャグはプライベートとゴッドゲームオンラインに賭けるしかありませんね」
「わたしギャグキャラじゃないんですが! 本気と書いてマジキャラなんですが!?」
 その発言の時点で……と思わないでもない。
 ルクスはこの状況を歓迎していなかった。
 練乳不備の状態でシリアス考察は致命傷なのだ。ここらへんでステラが急にスン……とした顔で語り始めたら、それだけで蕁麻疹がでてきそうだった。

「ともあれ」
 始まった。
「オブリビオンマシン……『ケルビム』タイプ? しかも搭乗者がいる??」
『ケルーベイム』は『ケルビム』タイプである。
 本来であれば、搭乗者の存在しない『セラフィム』の子機であると知られている。
「ばかな……しかもパイロットの様子……まるで『フュンフツィヒ』様のような、タイプG……?」
「あの、あのあの、ステラさん。それ以上はわたしに致命傷ですよぅ。あとでスイーツくれないと拗ねますよ?」
「おっと、ルクス様が始まる前から瀕死です。しかし、ルクス様、この炎を突破するには」
「どうするんですか?」
「演奏です。|演奏《破壊音波》で炎を蹴散らしましょう」
「ルビ芸は無視しますけど、演奏していいとなったのならば、わたしの独壇場ですよ!」
 ルクスはやる気満々であった。

 しかし、とルクスは思った。
 炎であれば、氷の魔法でどうにかできるのではないか、と。それなのにステラは演奏を指定してきた。
 ということはつまりだ。
「ステラさんがわたしの演奏にハマってきたってことですよね!」
「それはないです」
 ステラはきっぱりと断ってから『ケルーべイム』のコクピットに収まった。
「補助を致します。こちらへ」
「ふえっ!? ま、またわたしだけ外なんですか!?」
「その方が効率的ですから」
 にこり、と笑むステラはルクスを『ケルーべイム』のマニュピレーターで掴み上げた。
「や、やだー!! またこんな扱いー!」
「ルクス様、一気に突破しますよ!!」
 超加速に入ったステラの『ケルーベイム』とルクス。
 彼女の悲鳴と演奏とを纏いながら、『ケルーベイム』は凄まじい速度で炎を蹴散らしながら、戦いの根源であるところの四騎のオブリビオンマシンへと迫るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
ギガス・ゴライア搭乗
「Grrrrrr」(銀静お兄さん!火事だよ!人が残ってないかな!?
「ってサリアちゃんいってるよ☆」
お前オブビリオンマシンって奴なのに相変わらずいい子だな
仕方ない…神機の申し子とやらをやり合うのはまだ先なら…グリム…道を拓け(心底忌々し気
「わーい☆やっぱりそれならあれだね☆|お母サマ《メルクリウス》にパクられた対軍撃滅機構☆」
…あれ疲れるから嫌なんだがな
UC発動
ギガスゴライア出撃
「「ひゃっはー☆」」
幼女軍団
「サリアちゃんは主を護ってね☆」
…これも嫌なんだよ…戦えなくなるとか(げんなり

【属性攻撃・念動力・弾幕】
水の弾丸で鎮火しつつサリアちゃんの進む道を切り開いていく☆



「Grrrrr」
 それはくろがねの巨城めいたキャバリアであった。
『ギガス・ゴライア』。
 その咆哮にしか聞こえぬ駆動音を皇・銀静(陰月・f43999)は静かに瞑目して聞いていた。
 彼に語りかける『ギガス・ゴライア』の言葉は、眼の前の惨状に人が取り残されていないかを気遣うものであった。
 無論、『ギガス・ゴライア』はオブリビオンマシンである。 
 搭乗者に狂気を齎す。
 それがオブリビオンマシンである。
 しかし、その意志の発露を感じ取って彼は息を吐き出して瞳を開いた。
「お前オブリビオンマシンってやつなのに相変わらずいい子だな」
 人命を気遣うような素振りを見せる『ギガス・ゴライア』に銀静は息を吐き出した。

「Grrrrr」
「人は残ってないみたいだよ☆」
「仕方ない……『神機の申し子』とやらとやり合うのは、まだまだ先のことあらしいな。であれば……グリム、道を拓け」
 忌々しい。
 銀静は、この場において対軍撃滅機構『戦争と死の神・嵐の夜』(グリムチャンフユノヨウジョマツリ)に頼らざるを得ない状況に嘆息した。
 あまり気が進まない。
 物量で物事を推す、ということ事態が銀静にとっては乗り気になれない要因の一つであったかもしれない。
「わーい☆ やっぱりそれならあれだね☆ |お母サマ《メルクリウス》にパクられた対軍撃滅機構☆」
「やはり嫌だ」
「もうおそいー☆」
「あれ疲れるんだ……」
 そんな銀静の制止など聞くわけがない。
『ギガス・ゴライア』もまた、その声に乗り気になっているように見を揺すっていた。

「ひゃっはー☆」
 その声と共に飛び出すのは、無数の幼女『グリム』たちであった。
「サリアちゃんは主を護ってね☆」
「これも嫌なんだよ……戦えなくなる」
 銀静は『ギガス・ゴライア』のコクピットシートが安楽椅子にしか思えなかった。
 自らの身を持って戦う。
 それが今まで自分のしてきたことだ。
 己の命運を他者に委ねることなどしたことがない。
 だからこそ、げんなりとしてしまうのだ。それは己の存在意義を薄めるような行為に他ならないとさえ思えてならなかった。

 しかし、眼の前にて巻き起こるのは、吹き荒れる炎を水の弾丸で鎮火しながら進む光景であった。
 悪くはない手であるのだろう。 
 銀静にとっては、あまりにも暇なのだ。
 身一つ動かせず、状況に身を委ねるしかない現状。
 憂う。
「はぁ……」
「ひゃっはー☆」
 息を吐き出した。
 けれど、幼女『グリム』たちは、彼の溜息をかき消すようにテンションの高い声と共に炎を次々と消していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロガネ・デバイス
ディスポーザブル03【操縦】
ミサイル、サーベルユニットを【念動力】で振るい障害物、
炎をなぎ払い、03無限軌道で【悪路走破】戦場へ移動中

……ESP選択 テレパシー 起動 ねぇねぇ、おはなししよー!

テレパシーを発揮しケルビム・ミルトスの少年達に念話を掛ける。だって、ひまだもん せっかくたたかうんだからぁ あなたたちのことをしりたい!

当機名称 クロガネデバイス あなたたちのおなまえは?ねぇなんでたたかうの? どうしてきにくわないの? なんで?なんでー?

ひかり? わかった! はなびだ! わたしもはなびすきー!
おそらにばーってひろがるときれいだもんね
わたしはなびうてるよ! きかいがあったらみせてあげる!



『ディスポーザブル03』の巨躯に一つのユニットが収まっている。
 それは、クロガネ・デバイス(頭脳戦車猟兵・f43671)であった。
 彼女――と呼ぶには変わり果てた姿であったが、しかして彼女は炎渦巻く小国家『ビバ・テルメ』の天然の要害が一つである廃工場群を進む。
 確かに進み難い。
 しかし、問題は炎である。
 巻き起こる炎によって廃工場跡が喪われれば、天然の要害を『ビバ・テルメ』は失うことになる。
 そうなれば、この要害に守られた小国家は平穏を失うだろう。
 それはさせてはならないとクロガネは思っていた。


 炎をミサイルとサーベルユニットを念動力で操りながら、進む。
「ESP選択 テレパシー 起動 おはなししよー!」
 クロガネはユーベルコードによってテレパシーを発揮した。
 なぜ、と問われたのならば、答えは単純であった。
 この惨状を生み出した原因にして根源。
 四騎のオブリビオンマシンを駆る少年たちに対して語りかけるためであった。
『ケルビム・ミルトス』。
 それは初めてみるタイプのオブリビオンマシンであったことだろう。
 そして、その『ケルビム・ミルトス』を駆るのは少年たちであるという。クロガネからすれば、それは暇つぶしであった。
 暇なのだ。
 炎を振り払って接近する。
 その間にクロガネはせっかくならば、話しかけたいと思っていたのだ。

 それは好奇心から来るものであったことだろう。
 知りたい。
 それは他のなにものにも優先されることだった。
「当機名称 クロガネデバイス あなたたちのおなまえは?」
「……なんだァ? この声……頭に直接響いてきやがるのはァ!!」
 獰猛さを感じさせる声。
 少年の声だが、どこか猛々しい雰囲気であったようにクロガネには感じられただろう。
「ねぇなんでたたかうの? どうしてきにくわないの? なんで? なんでー?」
「鬱陶しい声を出しやがって! なんで戦う? そうしなければ生きていられないからだ。戦うために生み出されたのだから戦うのは当然だろうが!」
「なのに、戦いを避けて平穏にまどろんでいるのは、正しくねぇだろ! 俺たちが視えている世界とお前たちが視えている世界が違うってのは!」
「俺達に視えない光が見えているってんなら、それは俺達の否定にほかならねぇだろうが!」
 その声にクロガネは頷いた。

「ひかり? わかった! はなびだ! わたしもはなびすきー! おそらにぱーっとひろがるときれいだもんね」
「だからなんなんだよ、この声は!」
 鬱陶しい、というように四騎の『ケルビム・ミルトス』を駆る少年たちの声が響く。 
 ひどく暴力的であったが、クロガネは笑うようだった。
「わたしはなびうてるよ! きかいがあったらみせてあげる!」
 その声に戸惑いの感情が揺らいだように思えたかもしれない。
 それをクロガネは感じとりながら、しかし、『ディスポーザブル03』と共に、争いの根源へと近づいていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
意志も、理由も、殺意も、ひどく不確かな者達に、壊させるものなどない。
壊すのは、自分だ!!

亡国の主【操縦】『壊劫・時遡狂い』【念動力】紫色の劫火の霊障を以て廃工場戦場跡地を覆う炎を【捕食】制御下に置くと共に、破壊されたキャバリア。パイロットが脱出できていなかったなら、恐慌を避けるためその死の記憶も機体ごと巻き戻し蘇生。

突然の事失礼致します。そしてどうか落ち着いて聞いてください。
彼らは、自分達が対処致します。おまかせください。
貴殿らは、また新たな脅威が来ないかどうか、見張っていて頂きたい。

霊障を納め炎を鎮火させ、障害物を【怪力】で掻き分け、
メガスラスターの【推力移動】でケルビムの元へと急行します!



 破壊とは意志を持つものの特権である。
 そうでなければ、それ破壊ではなくただ物質が変遷したということでしかないからだ。
 破壊には明確な意志が必要だ。
 不意の破壊にすれ意志が宿るし、介在する。
 壊すといことは、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)にとって、意志を示すものであった。
 故に彼女は咆哮する。
「壊すのは自分だ!!」
 そう、己こそが破壊の権化。
 意志も、理由も、殺意も、ひどく不確かな者たち。 
 それが四騎の『ケルビム・ミルトス』を駆る者たちである。
 そんなものたちに壊せるものなどない。

 そう示すように小枝子は『亡国の主』を駆り、紫色の劫火と共に疾駆した。
 眼の前には炎ずうまく廃工場群。
 しかし、紫色の劫火を前に巻き取られるようにして炎が捕食されていく。
 炎の熱量さえ操るユーベルコード。
 超常の輝きと共に小枝子は咆哮した。
「壊せ、壊せ、狂いて壊せ!!! 例え、死さえも、自分の前では壊す!!!」
 壊劫・時遡狂い(エゴ・アンヘル)。
 そう、それは破壊するという意志。
 狂おしいまでの意志によってえ小枝子は、死さえも破壊する。
 否、巻き戻される。
 この紫の炎の前では、死すらも巻き戻されて覆る。
 物質の再生と再構築。

 これによって小枝子は、四騎の『ケルビム・ミルトス』によって破壊されたキャバリアすらも再駆逐してパイロットを蘇生させたのだ。
「ハッ……――!? ハァッ、ハァッ……な、なんだ、何がどうなって……!?」
 確かに死んだはずだ。
 なのに、キャバリアのパイロットたちは目を覚まし、己の五体があることに困惑しているようだった。 
 夢だったのか?
 否、夢ではなかった。
 現実であるはずだ。 
 モニターを見やれば、そこにあったのは『亡国の主』。そして通信が入る。
 強制的に通信を押し込んできたのだろう。
 サウンドオンリーの文字盤が明滅している。
「突然のこと、失礼します。そしてどうか落ち着いて聞いて下さい」
「き、君は一体、何者なんだ?」
「説明している暇は残念ながら。しかし」
「そうだ、敵が!」
「彼らは、自分たちが対処致します。おまかせください。貴殿らは、また新たな脅威が来ないかどうか、見張っていただきたい」
「つまり、防衛線を維持せよ、と?」
「その通りであります」
 その言葉を最後に小枝子は通信を切る。

 これで『ビバ・テルメ』の混乱を狙う勢力に対して睨みを効かせることができる。
 メガスラスターの推力と共に小枝子は『ケルビム・ミルトス』の元へと急ぐ。
 決着は早ければ早い方がいい。
 小枝子は、それを理解し、炎を喰らいながら障害物をかき分けるようにして進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
炎の向こうに、助けを待つ人がいる
だから、私は行かなくては
前線で踏みとどまってくれている人々のためにも

天に輝く月齢図を描き、空から雨を降らせ
戦場を濡らすその雨で炎を穿ち、進むべき道を拓く
結界術で爆風をいなしながら、その隙を『ダッシュ』で駆け抜けるわ

……ナイアルテが言っていた
相手は、少年たちなのだと
こんなやり方しか『知らない』子供たち――
誰かが、教えてあげなくてはいけないわ
この赤い炎は、ただ世界を灰色に染めるだけだということを



 空を見上げる。
 そこにはありえぬ光景が広がっていた。
「朧なる 青し月下の 半夏雨」
 歌われる声が響く。
 ユーベルコードの輝きを受けて、白雲に輝く青い雨が注ぐ。
 天に輝くのは無数の月光。
 月齢を示すように円を描く様は、さながら|天使の輪《ヘイロゥ》のようであった。
 歌う者は、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)だった。
 彼女のユーベルコードがもたらした雨水は、小国家『ビバ・テルメ』の天然の要害の一つである廃工場群に渦巻く炎をかき消すようだった。

「炎の向こうに、助けを待つ人がいる」
 それが理由だ。
 たったそれだけかと問われることもあるかもしれない。が、それだけでいいのだ。
 たったそれだけで駆ける理由に値する。
「だから、私は行かなくては」
 この炎の先ではオブリビオンマシンが暴れ狂っているだろう。
 その度に『ビバ・テルメ』の防衛隊であるキャバリア隊は蹂躙されることだろう。それは非道と呼んでよいことだ。
 戦いが嫌ならば逃げればいい。
 けれど、それをしないのが何故なのかを静漓は知っている。

 彼らの背後には守るべきものたちがいるからだ。
 平穏に包まれた小国家と言えど、それでも守るべきものがある。
 戦火から逃れ、漸く得た安寧の地を護り、子々孫々につなげていきたいと思うのは、生き物として、人として当然のことだった。
 故に静漓は、ありえぬ月が浮かぶ空の下を軽やかに羽衣を揺らし、たなびかせながら疾駆する。
 生み出した結界が爆風をいなし、風に乗るようにして彼女は飛翔した。
 グリモア猟兵が言っていた。
 オブリビオンマシンに乗っているのは、少年たちなのだと。
『不思議な光』によって後天的にアンサーヒューマンとしての力を得て、オブリビオンマシンの齎す狂気に狂わされた者たち。

 しかし、この行いは彼らが潜在的に抱えていたものの発露に過ぎない。
 如何にオブリビオンマシンと言えど、歪めるものがなければ狂気で犯すことはできない。
 ならば、少年たちは『こんなやり方しか』『知らない』子供たちなのだ。
「誰かが、教えてあげなくてはいけないわ」
 静漓は決意した。
 それだけなのかと言われたら、そうなのだと今度こそ力強く頷くだろう。
 物事を決定するのは、いつだって単純明快な意志一つだ。
 彼女は示さなければならない。

 悪性の赤き炎は、ただ世界を燃やすしかない。
 炎は全てを灰燼に帰さしめるだろう。
 後に残るのは、いつだって灰と塵だけだ。
 それが彼らの見ている世界。
「灰色に世界を染めているのは、その赤い炎だということを、私は、あの子達に教えたい。けれど、それは誰しも人間が抱くもの。破滅願望の現れでしかないことも。そして、破滅願望の裏側にあるのは、渇望なのだと。求めて得られないことは、自らの手を伸ばし続けるしかない厳しく困難な道を、地道な積み重ねで生み出さねばならないということを」
 教えなければならない。
 弛みない事柄。
 それは誰かを傷つけるという安易な道では得られないのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
サイキックアーマーのバリアを展開し、
熱や粉塵を[通常攻撃無効、環境耐性]で防御しながら[滑空]で低空飛翔。
そしてデコイドローンで[索敵、情報収集]、生存者を探す。
状況結果に応じて、消火や救助を【追加装備】で柔軟に対応するよ。

プラントはどんなものでも生産できるものだけど、
人の手で改修を重ねるのであればきっとこのような施設が必要なのだろう。
かくいう私自身も、プラントとは異なる施設から発見された個体を改修して生まれた。
心に沸きあがるこの感情は、一体なんなのかしら?

いずれにしても、暴走する彼らをこのままにはしておけない。
兵器として生まれた私たちは、自制できなければ周囲に破壊をもたらすだけなのだから。



 熱波が迫っている。
 炎が渦巻いた廃工場群は、それだけで炎の通り道となって吹き荒れるようだった。打ち付ける炎をサイキックアーマーのバリアでもって受け流しながら、イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は呼気を漏らした。
「熱と粉塵を排除しきるのは無理……でも、私の環境耐性なら」
 このクロムキャバリア世界では飛翔できない。
 迂闊に高度を取ろうとすれば、暴走衛生からの砲撃の的になるからだ。
 そういう意味では、この小国家『ビバ・テルメ』は天然の要害を二つも有していることになる。
 背後には廃鉱山。
 正面には入り組んだ廃工場群。
 これによって敵は攻め難く、『ビバ・テルメ』は守るに易いのだ。
 警戒すべきは、有した湾内だけ。
 であれば、この小国家が鉱山に存在していた温泉という資源を使って、観光小国家へと発展したのは、ある種必然であったことだろう。

 得られた平穏。
 しかし、それを破壊しようというものたちがいる。
 それが四騎の『ケルビム・ミルトス』である。
 オブリビオンマシンによって狂気に至った四人の少年たち。後天的にアンサーヒューマンとしての力を得た彼らが齎す破壊。
「デコイドローンから情報を習得。追加装備(サイバーツール)を展開」
 イクシアは、ユーベルコードによって周囲の渦巻く炎を消火しながら、破壊されたキャバリアから負傷したパイロットたちを救助する。
「大丈夫。必ず助ける」
「……ハァッ、ハァッ……まだ、俺達の他にも……」
「了解。救助要請」
 イクシアはパイロットたちを救助しながら、廃工場群の炎が鎮火され、煤だらけとなった機械群を見やる。

 クロムキャバリアにおいて生産を担うのはプラントだ。 
 であれば、この廃工場群はなんのために必要だったのだろうか、と考える。
 己もまたプラントとは異なる施設から発見された個体を改修されて生まれたものだということは認識している。
 であれば、この心という部位にある違和感はなんなのだろうか。
 まるで泉から水がこんこんと湧出するかのような感覚を覚える。
 イクシアは、そのように思ったこと事態に困惑するかもしれない。随分と表現が豊か過ぎる、のかもしれない。
 けれど、この感情というものに対してイクシアは説明ができないようだった。

 困惑しながらもやらなければならないことは、はっきりしている。
「いずれにしても、暴走する彼らをこのままにしておけない」
 兵器として生まれた己達。
 自制できなければ、周囲に破壊を齎すだけの存在に堕す。
 その自覚があるからこそ、イクシアは彼らの行動を暴挙として認める。暴挙は鎮めなければならない。
 そのためにイクシアは低空で飛翔し、炎の中を救助活動に勤しみながら争いの根源へと迫るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒョウガ・イブラヒム
アブソリュート・ゼロに搭乗。
休暇をとって、他の国でちょいと猟兵としての仕事をやってみようと思って参加してみたら…あらら…何か面倒な事になっているじゃないの。
おいおい…燃え盛る炎の戦場を突破しなきゃならないのかよ。
普通の奴ならビビって躊躇するところだけどよ…まぁ、俺なら問題ないな。
氷雪世界で冷気を使って、炎の勢いを抑えて鎮火させてやればいいだけだ。絶対零度の冷気の前では普通の炎なんざどうって事ねぇよ。
アドリブ・連携可。



 魔力と覇気とにリンクする機体『アブソリュート・ゼロ』の装甲が青い炎に照らされた瞬間、冷気を纏った空気が小国家『ビバ・テルメ』の天然の要害の一つである廃工場群に走り抜けた。
 両のマニュピレーターには、本来そのような機能はない。
 それは搭乗者であるヒョウガ・イブラヒム(サクール帝国軍大将『氷雪帝』・f45448)のユーベルコードによるものであった。
 氷雪世界(アイス・ワールド)。
 彼の魔力と覇気によって励起したユーベルコードの光が、一瞬で万物を凍結させるう絶対零度の冷気となってほとばしったのだ。

 今や廃工場群は炎に包まれていたが、彼のユーベルコードによって炎さえも凍結するようにして氷雪に塗れていた。
「これが小国家『ビバ・テルメ』ね……いやはや、羨ましいことだ」 
 ヒョウガは他の小国家に属する猟兵である。
 休暇を取って、他の小国家で猟兵として活動しようとした矢先、面倒なことになっているという事件を嗅ぎつけていた。
 小国家『ビバ・テルメ』。
 温泉を観光資源として小国家を運営しているクロムキャバリアにおいては、稀有な小国家であると言えるだろう。
 はっきり言って異質だ。

 本来ならば、そんな小国家は、すぐさま他国の侵略対象になるだろう。
 だが、そうなっていないのは、いくつかの要因が奇跡的に合致しているからである。
「まず第一に、天然の要害を二つも持っているってことだな。一つは……」
 この複雑に入り組んだ廃工場群である。 
 小国家の前面に配された廃工場群は多くの生産ラインなどによって迷図となっている。他の世界であれば、何ら侵略には問題はない。
 だが、この世界では別だ。
 廃工場群を飛び越えようとすれば、必ず暴走衛生の砲撃の対象高度になってしまう。
 迷図のように入り組んだ廃工場群を進撃するのは、狙い撃ちにされるようなものだ。
 加えて、背後にあるのは廃鉱山である。
 これによって『ビバ・テルメ』の背後をつくことは不可能。
「まあ、攻めるに固く、守るに易いってのは……好条件が過ぎるな。加えて……急所である湾岸には『神機の申し子』が駆る四騎のサイキックキャバリア、か。手勢が少なくてもどうにかできてしまう特記戦力が常駐しているってんなら、手出しする旨味ってのがむしろない」

 それどころか、観光小国家として、観光資源である温泉を活用するのならば、他の小国家と同盟が組みやすい。
 いわば、この小国家は緩衝地帯ではなく、不干渉地帯なのだ。
「そんで、そんな場所をつつく馬鹿がいる、と」
 鎮火された炎の道をヒョウガは『アブソリュート・ゼロ』と共に進む。
 不干渉であるはずの小国家『ビバ・テルメ』に宣戦布告している小国家がある。それが『プラナスリー』である。
 神出鬼没なる小国家。
 その目的がなんであれ、鉄砲玉のようにオブリビオンマシンによって狂った後天性アンサーヒューマンは、問題でしかない。
「ま、普通のやつならビビるんだろうが……俺なら問題ないな」
 何故なら、今の己はただの猟兵だ。
 一猟兵であるのならば、不干渉地帯にいても、なんの問題もない。
 ヒョウガは飄々たる佇まいで、凍結した廃工場群を進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ケルビム・ミルトス』

POW   :    エアレイドショット
【飛翔】し【機関銃】で射撃している間、射程範囲内の味方全員の行動成功率を若干増やし、敵全員の成功率を若干減らす。
SPD   :    プラズマフォーメーション
自身の【腕】を【プラズマナックル】化して攻撃し、ダメージと【仲間との連携】による【撹乱と感電】の状態異常を与える。
WIZ   :    オーバーチュア
【赤熱するコア】から【共鳴音】と【衝撃波】を放ち、レベルm半径内の敵全員を攻撃する。発動前の【エネルギーチャージ】時間に応じて威力アップ。

イラスト:mosu

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 炎の先にあったのは、四騎のオブリビオンマシンであった。
 一騎はある猟兵の駆るキャバリアへと猛然と疾駆していた。
「てめぇ! そいつは俺の獲物だ!」
「誰がてめぇの指図なんて受けるかよ! そいつは俺がッ!!」
「どいつもこいつも勝手ばかり抜かしやがる……苛立つ……腹が立つぜ……まったくもってよォ!!」
「この灰色の世界を壊す……それを邪魔するってんならァ! てめぇらなんざ!!」
 四人の少年たちはいずれもが同じ姿かたちをしていた。
 だが、その意志は点でバラバラであった。
 強すぎる我。
 それによって本来ならば連携が取れるはずの強みを、捨てていた。
 
 しかし、それを補って余るほどのキャバリア操縦適正。
 その身に刻まれた『エイル因子』によって、彼らのキャバリア操縦技術は尋常ならざるものであった。 
 そして何より。
 彼らが駆るオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』は、赤いアイセンサーを灯していた。
 天使の翼の如き背面のスラスターから推力を発露し、機体が疾駆する。
 その加速と動きは『エース』を思わせる動きであった。
 加減ができるのか?
 殺さずにいられるのか?
 そう思わせるほどの凄まじき性能を四人の少年たちは引き出し、猟兵達を敵と見なして赤き残光を戦場に刻むのだった――。
イクシア・レイブラント
そこまでよ。これ以上はやらせはしない。
私は鎧装騎兵イクシア、交戦前に言っておく。
まず名を名乗りなさい。ないなら自称でもなんでもいい。
それが自分自身を示す力となる。

[戦闘演算、瞬間思考力]で敵の動きを読み、
プラズマフォーメーションをシールドビットで[盾受け]。
撹乱と感電の状態異常を【不撓不屈の翼】で反射して動きを封じ、
大型フォースブレイドを[武器巨大化]して[空中戦、なぎ払い]。
翼や手足を狙うことで敵機の戦闘力を削る。

落ち着いたらいくらでも研鑽に付き合ってあげる。
だからそれまで死なないでね。



 四騎のオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』は連携という連携をなしていなかった。
 それぞれが強烈な我によって動き、個々を発露する。
 無秩序な破壊。
 それを為すのが己達であるというように、オブリビオンマシンの齎す狂気によって加速した我が平穏を壊そうとしはじめていた。
「そこまでよ。これ以上はやらせはしない」
 そんな『ケルビム・ミルトス』の眼前に立ちふさがったのは、イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)だった。
「あァ? 誰がなんだって? 生身がキャバリアに向かってほざくことかよ!」
「そうね。けれど、できないことでもないわよ。私は鎧装騎兵イクシア。交戦前に言っておく。まずは名を名乗りなさい」
「知るかよ。名前なんてもんは、数字とおんなじだろうが!」
「ないってこと? なら、自称でもなんでもいい。それが自分自身を示す力になる」
「知ったことかよ! 俺は俺だ! それ以外のなんでもない。名前に縛られるなんてまっぴらごめんなんだよ、こっちはァ!!」
 
 その咆哮とも共に『ケルビム・ミルトス』の拳にプラズマがほとばしる。
 イクシアが生身単身であろうと関係ない。
『ケルビム・ミルトス』の振るいあげたプラズマナックルの一撃がイクシアへと鉄槌のように振り下ろされた。
 強烈な一撃。
 それをイクシアは己が弾き出した演算と共に瞬間思考力で持って、その軌道を読み切って交わす。
 凄まじい衝撃が身を打つ。
 例え、躱すことができたとしても、プラズマナックルの一撃は大地を割り、凄まじい衝撃波となってイクシアの身を打ち据えるのだ。
「獲った……!」
「そうかしら……羽搏け翼」
 濛々と立ち込める粉塵の奥でイクシアの瞳がユーベルコードに輝く。

「いかなる困難が立ち塞がろうと、私は越えていく。それが鎧装騎兵イクシア。それが私」
 翡翠に輝くサイキックエナジーの翼が膨れ上がるようにして粉塵を吹き飛ばした。
 それが不撓不屈の翼(インビシブル・ウィング)である。 
 彼女の意志を示すように大型フォースブレイドを振りかぶった。
 流れ込むサイキックエナジーは、刀身を形成し、『ケルビム・ミルトス』をも超える長大なる姿へと変貌し叩きつけられる。
「くっ、おおお!!」
「今はまだただ狂気に犯されているだけ。なら、落ち着いたらいくらでも研鑽に付き合ってあげる」
「どこからも上から目線でよォ!!」
 振り下ろされたフォースブレイドをプラズマ化した拳で受け止めながら『ケルビム・ミルトス』のパイロットは吠えた。
「だから、それまで死なないでね」
 吹き荒れる奔流。
 そのさなかにイクシアは告げる。
 そう死んではならない。
 死ねばそれまでなのだ。 
 生きていればこそ得られるものもあるだろう。
 例え、灰色に染まる世界であっても、彩ることができる。だから、イクシアはプラズマ化した拳を弾き飛ばしながら、この戦いの決着が死ではないことを示してみせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
やれやれ。キャバリアに乗ってるんじゃなければ、路地裏でたむろするごろつきも同然ね。いいわ、相手してあげる。

「全力魔法」爆発の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「範囲攻撃」「なぎ払い」「仙術」で天絶陣。
流れ落ちる隕石群をもかわしてみせるかしら?
自身は「オーラ防御」を乗せた「結界術」で防御して、力の続く限り隕石を喚び落とす。戦場が更地になっても構わないわよね。
下手にこの世界で飛翔してると殲禍炎剣の餌食になるから、かえって性能を発揮出来ないんじゃない? そこが狙い目。

機関銃程度なら、『鎧装豪腕』で「盾受け」出来るわ。
『ケルビム』は『セラフィム』の一つ下。この次は『ソロネ』がでてくるのかしら?



「鬱陶しいぜ、こいつら!」
 オブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のパイロットである少年は赤い瞳をギラつかせながら苛立っていた。
 邪魔をされたこともそうだが、それ以上に平穏を守ろうとする猟兵たちに苛立っていたのだ。
 腹を立てていたとも言えるだろうが、その感情の出どころを彼らは自覚できていなかった。
 それもそのはずだ。
 その感情はオブリビオンマシンによって植え付けられたものであったからだ。
 苛立ちのまま。
 感情の赴くままに激情を振るおうとする姿に村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は嘆息した。
「やれやれ、キャバリアに乗ってるんじゃなければ、路地裏でたむろするごろつきも同然ね」
「はっ、だったらなんだってんだよ。上等下劣でどうにかなる世界でもねぇだろうが、この世ってのはァ!!」
 迫るは肩部から展開した機関銃から弾丸を放つ『ケルビム・ミルトス』。
 無論、キャバリア相手では牽制にしかならないだろうが、今のゆかりは生身単身である。 
 過剰とも言える火力。

 それを前にして、ゆかりは恐れることはなかった。
「いいわ、相手してあげる」
「余裕ぶったところで!」
「余裕? ああ、そうね。余裕と言えば余裕なのかもしれないかしら? だって」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
「隕石群を前にすれば、キャバリアだろうがなんだろうが関係ないもの」
 瞬間、空より降り注ぐのは光の流星雨であった。
 雨のように降り注ぐ光。
 その光景を前にして『ケルビム・ミルトス』のパイロットは目を見開いただろう。

「なんだ? まやかしか? それで俺をどうにかしようなんてのはァ!!」
「そうね。でも、あなたの乗っている機体『ケルビム』といったかしら。階梯でいうのならば、『セラフィム』の下……小間使ってところかしら?」
「俺は誰の指図もうけねぇよ!」
 光の流星雨を躱しながら迫る『ケルビム・ミルトス』。
 しかし、全てを躱せるものではない。
 そう、躱せるものではないのなら、それで十分。ただの一撃が『ケルビム・ミルトス』に触れればいい。
 光が、その装甲を叩いた瞬間、天を割るのは巨大な隕石であった。
 燃え盛りながら降り注ぐ隕石は地形を変えるだろう。

「……なん、だ……?」
「この次は『ソロネ』でも出てくるのかしら? まあ、どっちにしたっていいわ」
 注ぐ巨大隕石を前に『ケルビム・ミルトス』は果敢にも砕こうとしている。
 砕けるのか?
 ゆかりは疑念を持った。
 だが、ああ、と理解もしていた。
 振るわれたプラズマナックルの一撃が巨大隕石を砕く。
「できない、わけじゃあないのね? でもいいのかしら」
「何がだよ!」
「それを防いでいる今って、大した隙なんじゃあないかしら。いくらあなたがキャバリアの操縦がお上手でも」
 その隙を逃す猟兵たちではないと、ゆかりは怒号を聞きながら笑むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
…今はまだ単に「キャバリアを上手く動かせるだけ」に過ぎない。
なら……連携する事を覚える前に一人に狙いを絞って、「落とす」…!
融合合身…『アルカレクス・ドラグソリス』…!!

『エナジーフィールド』と自己修復能力、最悪エネルギー物質化で防御に徹し、焦れて独断先行し近接攻撃で仕掛けてくる奴が出るのを待つわ。何ならナックルを受けたって構わない。それに十分近づけば成功率が若干下がろうが問題なくなるわ。
誰かが仕掛けてきたならフィールドを反転して敵機を拘束し、
そのまま【カエルム・インフェルヌス】で機体「だけ」を破壊する…!!
……私の敵は最初からその「|機体《オブリビオンマシン》」よ。あなた達ではないわ。



 オブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』の動きは俊敏にして機敏であった。
 勘所を抑えた機動。
 それはどこか獣を思わせる動きであったことだろう。
 パイロットの技量の高さを起点にしながら野生の獣じみた動き。
 ゆえに四騎のオブリビオンマシンは連携をしなかった。できない、というのが正しいのかもしれない。
 やり方を知らない。
 キャバリア戦闘のセオリーというものを完全に彼らは体得していない。
「……今はまだ単に『キャバリアをうまく動かせるだけ』に過ぎない」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は気がついていた。
 彼らが連携を覚えれば、それこそ手がつけられなくなる。
 少年であること。
 その幼さが可能性に満ちた未来を示すのならば、同時にそれは未熟さを示すものであった。

「なら……連携を覚える前に」
 一人に狙いを絞って、『落とす』。
 それがアルカの見出した方策だった。
「鈍色のキャバリアァ!!!」
 機関銃の掃射と共に迫る『ケルビム・ミルトス』。
 銃弾は『プロトミレス』の装甲を打ち据える。見事なものだ。アルカは、そう思ったかも知れない。
 正確であるし、こちらを見事に捉えている。
 だからといって、ワルガキ共に良いようにさせるつもりなどなかった。
「融合合身……『アルカレクス・ドラグソリス』……!!」
「機械の竜……!? なんだ、合体だァ!?」
「エナジーフィールド全開……!」
「バリアッ!」
 機関銃の弾丸が弾かれるのを目の当たりにして『ケルビム・ミルトス』のパイロットの少年は呻く。

 しかし、エネルギーフィールドであるのならば、その間合いに飛び込めばいいだけのこと。
 彼らはそれができる。
 そもそも彼らは四騎でありながら、それぞれが我を出して突出してくる。 
 アルカはその駆け引きによって一騎を引きずり出し、互いの拳を激突させた。
「受け止めるかよ! これを!」
「まるで喧嘩殺法というやつね。近づけばなんとでもできると思っているの……?」
「近づかれてるじゃあねェかよ!!」
「そうね……けれど、下策だったわね」
 瞬間、『アルカレクス・ドラグソリス』の展開していたエネルギーフィールドが反転し、アルカを守る盾ではなく、『ケルビム・ミルトス』を捉える檻となって、その機体を挟み込むのだ。
「拘束……!? だがよォ!!」
 プラズマナックルの一撃がエナジーフィールドを振りほどき、さらに肉薄する。
 狙われていたのはコクピットブロックだった。

 アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
「カエルム・インフェルヌス……!!」
 振り抜かれる『ケルビム・ミルトス』の拳と交差しながら叩き込まれたのは、殲滅の力。螺旋衝角へと変貌したエネルギーフィールドの一撃が、その拳をえぐるように破壊していく。
「こいつッ! まさか!」
「ええ、そうよ。私の敵は最初からその|機体《オブリビオンマシン》よ。あなた達ではないわ」
「俺なんて眼中にないってことかよッ」
「そういうことよ」
 そうつぶやき、アルカは螺旋衝角の一撃でもって『ケルビム・ミルトス』の腕部をえぐり飛ばして見せたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

えっ。
そんなの、演奏と魔法なら演奏だからに決まってるじゃないですか!

って、ステラさんの言葉が右から左に流れていきます……。
(杏仁豆腐にかぶりつきつつ)

それにしても、
キャバリア乗ってなければ、盗んだバイクで走り出しそうな感じの4人ですね。
ひょっとしてこれ、反抗期の子供系とかです?

なんにせよ『エイル』さんの無駄遣いですよね。
そしてそうなると、お仕置きと躾はステラさんの役目ですね。

ステラさんも見逃す気はなさそうですし!

あの血の気の多さなら挑発とか一発でしょうし、
【ハンガリー狂詩曲】でこちらに誘き寄せて、その隙にステラさんに『教育』してもらいましょう。

ということで、
かもん、ソナーレ!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
しまった!ルクス様、魔法使えたじゃないですか!
どうして強く主張しなかったんですか!?

さて『ケルビム』ですね
素体に近い白銀の人型……カスタム機でしょうか
パイロットはタイプG……Gは何を示す?
Aは始まりとして、Eはエルネイジェ、Gは……グリプ5?
だとすればラーズグリーズの誰かの遺伝子を?

あっはい限界ですねルクス様が
後で手作り差し上げますので今は常温保存の杏仁豆腐で許してください

それでは
讃えましょう生命を、生き抜く強さを
【テフィラー】
ええ、貴方がたも懸命に生きているのでしょう
それを否定するつもりはありません
ですが『戦いに際しては心に平和を』
壊すだけの戦いは見逃すわけにはいかないのです!



 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、己の失態に気がついた。 
 そう、彼女は炎に包まれた戦場を突破するためにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の演奏の力を借りた。
 結果として彼女は戦場を突破することができたが、その代償も大きかった。
 ボロボロになった耳栓。
 耳栓すらも突き抜けてくる演奏の破壊音波の威力は凄まじかった。
 しかし、炎を如何にかしなければならないというのならば、何も演奏でなくてもよかったのだ。
 ルクスの氷の魔法があれば容易く等はできたはずなのだ。
 それは他の猟兵たちのやり方を見ても同様だった。
「どうして強く主張しなかったんですか、ルクス様!?」
 ステラは『ケルーベイム』のコクピットの中で喚いた。
 しかし、ルクスはマニュピレーターに掴まれたまま首を傾げた。
 彼女にとって、それは至極当然な結論だったからだ。
「そんなの、演奏と魔法だったら演奏に決まってるじゃないですか!」
「ぐっ……!」
 ぐうの音も出ない。
 ステラはルクスに言い負かされてしまった。

 息を吐き出す。 
 落ち着かなければならない。彼女たちに迫っているのはオブリビオンマシンである。
 四騎とは言え、『ケルビム・ミルトス』。
 オブリビオンマシンであり、乗っているのは後天性アンサーヒューマンたちである。
 彼らの技量は言うまでもない。
「いいえ、今は『ケルビム・ミルトス』……素体に近い、のでしょうか……カスタム機? パイロットはタイプG……Gは一体何を」
 示すのだろうか。
 ステラがしならない何かがあるのかも知れない。
 タイプAは、始まり。
 タイプEはエルネイジェ。
 そこまではわかる。 
 だが、タイプG。
 これが何を示すのか。以前、『ギガス・ゴライア』を駆る『フュンフツィヒ』もまた、そう呼ばれていたことを思い出す。

 何故、タイプGなのか。
「ステラさーん、そんなこといってる間に、あのキャバリアに乗ってなければ、盗んだバイクで走り出そうな感じの四人が来てますよ」
「えっ、あ、はい。限界ですね、ルクス様が」
「杏仁豆腐があれば、まだまだいけます」
「その杏仁豆腐が限界でしょう」
「そうともいいます。それにしても、あれってひょっとして反抗期の子供系とかです?」
 ルクスはステラの手作り杏仁豆腐をぺろりと平らげながら思う。
「なんにせよ、『エイル』さんの無駄遣いですよね」
「それは言うまでもなく」
「何をごちゃごちゃと漫才みてェなことを言ってやがる!」
 赤熱する赤いコアよりほとばしるのは、凄まじい共鳴音と衝撃波であった。

 凄まじい一撃が『ケルビム・ミルトス』から放たれるのをステラは、ルクスをかばいながら走る。
『ケルーベイム』の装甲が弾け飛ぶ。
 破片が舞う中、ステラはコクピットが揺れるのを感じただろう。
「ステラさん、お仕置きと躾はお役目でしょう!」
「そのつもりです!」
「今更、うるっせェんだよ! いるかよ、躾なんてのはァ!!」
 ほとばしる衝撃波に『ケルーベイム』の駆体が揺れる。
「ええ、貴方がたも懸命に生きているだけなのでしょう。それを否定するつもりはありません」
「だったら、なんだってんだ。俺を、捨て置けないってんなら!」
 咆哮と共に赤熱したプラズマナックルが迫る。
「あの血の気の多さはなんなんでしょうね……かもん、『ソナーレ』!」
 ルクスの呼び声に現れるは、巨大ゴーレム。

 響くのは、ハンガリー狂詩曲(ハンガリーキョウシキョク)だった。
 それは不快感すら覚えさせるほどの勇者の曲。
『ケルビム・ミルトス』のパイロットの少年は不快感をあらわにしていた。
 苛立つ。
 どうしてこんなに苛立つのかわからないほどに怒りが心を占めていく。
「うるっせぇんだよ!!」
「ステラさん!」
「ええ、『戦いに際しては心に平和を』、壊すだけの戦いは見過ごすわけにはいかないのです! テフィラー」
 ほとばしるはユーベルコードによって生み出された青き雷の一撃。
 天より降り注ぐ一撃が『ケルビム・ミルトス』を打ち据え、その体躯のフレームの端々から黒煙が立ち上るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
ふはははー!我さんじょ…ってやっぱり今回も遅刻ではないかこれー!?
……気にしても仕方がない。星の巡りは我でもどうにもならんし。

あやつらをどうにかすればよかったのだよな、ふむ……
ワルルンガーΣを出すぞ!魔王的オーラ防御と装甲で攻撃を防ぐとしよう
そして……受けるがよい!【魔将顕現:怠惰るウェーブ】!

くっくっく、例え「それ」しか知らなかろうが、当人がそれを「せねばならぬ」と思っておるのなら結局はこの怠惰の波動の餌食よ!勿論、その機械人形もな!チャージなどさせるかー!動きを鈍らせることが出来たのなら、後はワルルンガーが殴ったり蹴ったり、我が噛んだりブレスしたりしてその機械人形を壊してやろう!



「ふはははー! 我さんじょ……」
 ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は、勢いよくクロムキャバリアに転移してきたのはよかったものの、己がどうにも遅刻グセがついてしまったことを自覚してしまっていた。
 そう、すでに猟兵達は炎の戦場を乗り越え、オブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』との戦闘に突入しているではないか。
 明らかに出遅れている。
 ワルルーナはしかし、気にしなかった。
 気にしても仕方ないことは、気にしても意味がない。
 反省は後でもできる。
 なら、今己がしなければならないことはなにか。
 そう、ただ一つであえる。
 あのオブリビオンマシンを打ちのめして、狂気に囚われたパイロットである少年たちとぉ開放することにあるのだ。

「まあ、星の巡りは我でもどうにもならんし! だが、あやつらをどうにかすることはできるのだ!『ワルルンガーΣ』! 我の圧倒的な魔王的オーラ全開で進めのだ!」
 その声と共に機動魔王城『ワルルンガーΣ』が大地に降り立つ。
 激震と共に示すは、その異様。
「んだァ……!? って、何だよ、本当にあれは!?」
『ケルビム・ミルトス』のパイロットは、その威容に目を見開いた。
「ふははははー! 圧倒的であろう! 我が魔王城! これこそが『ワルルンガーΣ』である! うけよ、我が魔将と同じ技!『締め切り前とかについ部屋掃除とか別の事を始めちゃうあの感じ』を与えるウェーブ!」
「わけがわからんぞ!?」
 そう、それこそが、魔将顕現:怠惰るウェーブ(ワルニクスウェーブ)である。

 彼女の背より生えた微妙な色で燃える不死鳥の翼。
 ユーベルコードの輝きを湛えた翼が羽撃く度に奇妙な波動が『ケルビム・ミルトス』へと迫っていた。
「くっくっく、例え『それ』しか知らなかろうが、貴様がそれを『せねばならぬ』などと思っているのならr場、結局はこの怠惰の波動の餌食よ!」
 放たれた波動は『怠惰』を齎すもの。
 なすべきことと認識しているものを放棄し、別の行動に惹かれる衝動。
 夏休みの宿題をしなくてはならないのに、そっちのけでプールに行きたくなる感じである。
 例え、『ケルビム・ミルトス』のパイロットがそれを知らなくても、破壊をもたらさなくてはと思っている以上、ドツボである。
「なんだよ……この、ぐったりするような、エネルギーが明後日の別の方角に向かうような、いやな感じは……!」
「フハハハ! それこそが怠惰よ! 貴様も、貴様の機械人形も、チャージなどさせるものかー!」
 ワルルーナは高笑いと共に『ワルルンガーΣ』と共に進み、その巨大なる脚部でもって、ぐったりと動かなくなった『ケルビム・ミルトス』を蹴飛ばす。
 それは装甲を砕き、しかし、どうにもならぬ怠惰に囚われた彼らにそれ以上の行動をさせぬままに打倒してみせたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
デバイス殿と連携(f43671)

壊せ、壊せ、壊せ!
この歪みを、それを生む敵をこそ壊せッ!!
壊すのは、

亡国の主【操縦】【継戦能力】機関銃を竜骨装甲で受けながら、
振るわれるナックルに|RX騎兵刀《破壊呪詛物質》を叩きつけ粉砕させながら『覩剣所丁式』発動。

自分だ!!!!

無数の破壊刃群を躯体から放ち逆に敵機の行動成功率を減らし攪乱、
感電の状態異常をケルビム共に叩き返し、戦線維持!
そしてデバイス殿の狂心攻撃を己が確固たる【闘争心】を以て弾き【念動力】で即座に再行動、生える破壊の刃を二振り掴み、動きの鈍るケルビムを、無数の刃群と共に【解体】、コックピット以外を破壊する!!!

ぉぉぉぉぉおおオオオオオ!!!!


クロガネ・デバイス
朱鷺透小枝子(f29924)連携
ディスポーザブル03【操縦】

対消滅サイキックエンジン稼働
爆発性サイキックエナジー生成 サイキックミサイル【エネルギー充填】

朱鷺透機 先行 敵機接触 確認
シージュ展開、援護爆撃 クラスターミサイル【一斉発射】実行
朱鷺透機 ユーベルコード発動確認
『テレパスメス』発動

……花火 投射開始 たーま~~や~~~!!!

凝縮したサイキックミサイルの一撃を放ち、広範囲【爆破】
種々の鮮やかな色を再現した極彩色の光を以て、朱鷺透機含む全敵機搭乗者の狂心を攻撃。

こころのいろはどんなかわかんないけど、きれいなひかりってまぶしくて、
めにやきついて わすれられないの 
ねぇ  きれいだった?



「壊せ、壊せ、壊せ!」
 それは咆哮にも似た叫びだった。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の頭の中、思考を占めるのは如何にして壊すか、ということであった。
 それ以外はない。
 眼の前には歪みがある。
 オブリビオンマシンが齎す争いという歪み。
 狂気を生み出し、人を闘争の渦に巻き込む津から。それを歪みと言わずしてなんと言う。 
 壊すことが己の本懐である。 
 であればこそ、小枝子は叫んだ。
「この歪みを、それを生む敵を壊せッ!!」
「るっせぇんだよ! 知ったことか、この平穏を壊すのは、俺だ! 壊さなきゃあ、火花も散らねぇだろうが!!」
 オブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のパイロットの少年と小枝子の咆哮が重なる。

 怒りに満ちている。
 この世界に対する怒りそのものと言って良い。
『亡国の主』に『ケルビム・ミルトス』の機関銃の一撃が叩き込まれる。
 装甲で受けながら、小枝子はまるで構わなかった。
「壊れて、てめぇが世界を照らせッ!!」
 振るわれるナックルの一撃に『亡国の主』が揺れる。 
 装甲がひしゃげ、振るわれる騎兵刀がかわされる。
 粉砕される大地の破片のさなかに『ケルビム・ミルトス』は飛ぶ。
 凄まじいまでの加速。
 キャバリア操縦適正を得たアンサーヒューマン。
 後天性とは言え、その動きは機敏にして俊敏であった。

「そのでけぇ図体がありゃァよォ!!」
 ナックルの一撃が『亡国の主』を傾がせる。
「きれーなはなびになるかな?」
 その声は、クロガネ・デバイス(頭脳戦車猟兵・f43671)の場違いな声であった。
「対消滅サイキックエンジン稼働 爆発性サイキックエナジー生成 サイキックミサイル、重点開始」
 クロガネが駆る『ディスポーザブル03』が駆動する。
 小枝子が先行して『ケルビム・ミルトス』の一騎と交戦している。
 援護しなければならない。
 クラスターミサイルを一斉射した直後、クロガネはユーベルコードを発動する。
「この声はァ!!」
「……花火、投射開始 たーま~~や~~~!!!」

 凝縮されたサイキックミサイルの一撃が小枝子の駆る『亡国の主』ごと『ケルビム・ミルトス』を襲う。
 爆発が巻き起こり、爆風が荒ぶ中、二騎が交錯する。
 幾度となく、爆発の中で互いに激突しているのだ。
「壊すのは」
「壊すってんならァ!」
 ナックルと騎兵刀が激突する。
 極彩色の光がテレパスメスとなって、その魂や闘争心や狂心とを引き裂く。
 サイキックエナジーの奔流は、互いの魂をあけすけにするようだった。

「こころのいろはどんないろかわかんないけど きれいなひかりってまぶしくて めにやきついて わすれられないの」
 声が響く。 
『ケルビム・ミルトス』のパイロットは、呆然とその光景を見ていただろう。
 言葉にできない光の輝き。 
「サイキックエナジー……! この光……!」
「わすれらないよね ねぇ? きれいだった?」
「この光が……!」
 世界を滅ぼす、と彼は呟いた瞬間、小枝子は咆哮していた。
 見せられる極彩色の光すら振り払って彼女は進む。
「自分だ!!!」
 己が壊す。
 それ以外にない。
 駆体から無数の破壊刃が溢れ出し、凄まじい力が『ケルビム・ミルトス』の駆体に叩きつけられた。
「ぉぉぉぉぉぉおおオオオオオ!!!!」
 苛烈な叫びと共に破壊の刃を駆体から引き抜いて握りしめた『亡国の主』が『ケルビム・ミルトス』の肩部へと、それを突き立てた。

 コクピット以外は完全に破壊するように振り抜かれた一撃が、その両腕を寸断し、『ケルビム・ミルトス』は戦闘行動を行えぬまでに追い込まれたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗
おいおい…名無しとか笑えねーな
おめーらにはこの天才魔術盗賊のカシムさんが名前を付けてやる!ありがたく思え!
お前はカツオ!
お前はワカメ!
お前はイクラ!
お前はタラちゃん!
…我ながら素晴らしいネーミングセンスだ(きり
「あくまで魚介の名前だぞ☆(迫真」
【情報収集・視力・戦闘知識】
取り敢えず奴らの能力と立ち回りと癖を解析
機体構造を把握し搭乗席の位置を補足して他の猟兵達にも情報共有
【属性攻撃・迷彩】
いくぞカツオ!
やってやるぞごらぁ!
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
【念動力・弾幕・空中戦】
超絶速度で飛び回りカツオを中心に念動光弾を叩き込み
光弾は主に動きを封じる形式で他の奴らも巻き込
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣による超連続斬撃を手足等に叩き込んだ上で武装やら諸々は強奪

おめーらにそいつは過ぎた玩具だ馬鹿野郎
つかあれだ…そいつは乗った奴を頭ぱっぷーにする厄ネタマシンだっつーの
「そんなのに乗せるなんてノインちゃん酷いんだぞ☆」
彼奴も何れわからせねーといけねーよな



 四騎のオブリビオンマシンを操る少年たちに名前はない。
 あったのは識別番号だけであろう。
 故に彼らに名前という認識はなかった。
 全てが己であり、我であった。
 だからこそ、この世界が許せないのかもしれない。
 他者と己。
 それだけであったからだ。
「おいおい……名無しとか笑えねーな」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の言葉にオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のパイロットである少年は、しかし構わぬようであった。
「名前のどこに意味があるってんだァ? なァ、それがどうして必要だって思うんだよ」
「自分がわからなくなるからだろうーが。おめーらにはこの天才魔術盗賊のカシムさんが名前をつけてやる! ありがたく思え!」
「いらねーんだよ、ありがた迷惑ってやつの押し売りはなァ!!」
 プラズマ化したナックルの一撃が『メルクリウス』へと叩き込まれる。
「あっ、この僕の素晴らしいネーミングセンスを無碍にしやがって!」
「魚介の名前だからじゃないかな☆」
 その言葉にカシムは、首を傾げる。

「そういうもんか?」
「そうじゃないかなー☆」
 プラズマナックルを受け止めながら、ほとばしる力の奔流の明滅にカシムは目を細めた。
 確かに敵機である『ケルビム・ミルトス』の性能は凄まじいものであったし、またパイロットである彼らは後天性とは言え、アンサーヒューマンである。
 視界に映る情報を全て瞬時に理解し、取捨選択することができるのだ。
 こちらの機動、挙動。
 そうしたものを認識し、一瞬で判断を下す。
 機体が反応し、その動きをダイレクトに反映する。
 それによって、キャバリアを手足のように自在に操り、戦闘力へと直結させているのだ。
「とは言え、連携もなにもないってんならな」
 連携がない。 
 そう、敵は四騎でありながら、てんでバラバラに動いている。

 我しかないからだ。 
 他者は排斥すべき存在でしかない。
 故に彼らは己以外を顧みない。
 味方も仲間もないのだ。
「ほんと、我欲の塊みてーな連中だな」
「それの何が悪いってんだ? 自分の力だ。自分の為に使って何が悪いってんだよ、あァ!?」
 叩きつけられるプラズマナックルをいなし、『メルクリウス』は速度を上げる。
「そうかよ。否定はしないが、やってやるぞごらぁ!」
 己の駆体を隠蔽する。
 だが、敵は野生じみた勘所を持つパイロットだ。
 一瞬で、そこにいる、という確信でもってプラズマナックルを叩き込んでくる。
 念動光弾を展開しても、即座に対応してくるではないか。

 振り抜いた鎌剣と火花を散らすプラズマナックル。
 その力の奔流にカシムは照らされる。
「おめーらにそいつは過ぎた玩具だ馬鹿野郎」
「知るかよ。玩具でもなんでも、俺達の手足になるってんなら、別にこいつじゃあなくたって構わねーだろうが!」
「ほんと、狂犬みてーにワンワンよくもまぁ、吠えやがるぜ。つか、あれだ。そいつは乗ったやつを頭ぱっぷーににする厄ネタマシンだっつーの」
「厄だろうがなんだろうが、乗り越して見せるってんだよ!」
「わからず屋がよー!」
 神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)が発動する。
 三倍にまで速度を上げての超高速機動連撃。
 鎌剣の剣閃が翻り、その一撃が『ケルビム・ミルトス』の背部のスラスターを切り裂く。
「おめーらにもわからせるが、元凶となったやつもいずれわからせねーといけねーよな」
 そうして圧倒的な速度の中、『メルクリウス』の残像だけが戦場に刻まれていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
機神に乗り換え
サリア…お前は援護射撃を頼む
ギガスゴライア出撃発動中

ああ…そういう万能感は理解できる
だが…そんなのに浸っている奴にやられる程僕も優しくはない

【戦闘知識】
敵の能力と機体構造を把握

ええと…カツオにイクラにワカメにタラ…ナミヘイはいないのか?
「それ以上は駄目だよ主☆」
取り敢えずイクラに挑むか
【空中戦・属性攻撃・弾幕・念動力】
UC発動
超高速で飛び回り念動光弾と凍結弾を乱射して動きを阻害し
【二回攻撃・切断・串刺し・功夫・リミットブレイク】
お前ら如きに苦戦する訳にはいかないんだ

魔剣と槍による連続攻撃
槍で串刺しにして宝剣で切断しての蹂躙
不殺徹底
面倒だが重要か
「でもガン無視してる国もあるよ☆」



「サリア……お前は援護射撃を頼む」
 皇・銀静(陰月・f43999)は『ギガス・ゴライア』の頭頂部に立ち、戦場を見下ろす。
 四騎のオブリビオンマシン。
 それぞれが単一の目標に向かうことはなかった。
 ただただ、我欲のままに振る舞うようであったし、強烈な個を証明するような戦いぶりであったことだろう。
 キャバリアが兵器である以上、オブリビオンマシンも同様だ。
 であるのに、連携がまるでない。
 ただひたすらに個を証明するためだけに破壊を齎すような戦いは、それが破滅にひた走る行為であることを彼らは知らないのだろう。

 いや、もとより、と銀静は思った。
「連中は、破滅に向かうことを、そもそもオブリビオンマシンに乗った時点で宿命付けられている、か。わからないでもない。その万能感を覚えては、全てがどうでもよくなるのもまた、な」
 銀静は理解した。 
 だからこそ、瞳をユーベルコードに輝かせた。
「そんなのに浸っている奴にやられるほど僕も優しくはない」
 四門開門・凶(シキョウモンカイモン)。
 開放されたのは邪気。
 周囲の生命力を奪う力は、己の闘争心を苛烈なものへと変貌させていくだろう。
「ハッ、だったらどうするってんだ? お優しくないってんならよォ!」
 強烈な重圧と共に『ケルビム・ミルトス』が迫る。
「ええと、……名はなんだったか……確か、魚介の」
「それ以上は駄目だよ主☆」
「そうか」
 特別に止められたことを気にもとめず、銀静は頷く。

 機関銃の弾丸が嵐のように注ぐ中、『グリームニル』が疾駆する。
 邪気を纏った機体が機関銃の弾丸を全て弾きながら念動光弾と凍結弾を乱れ撃つ。
「お前ら如きに苦戦するわけにはいかないんだ」
「如き、と見縊ってるってんならァ、あの世で後悔しやがれよ!」
 踏み込まれたプラズマナックルの一撃を魔剣で受け止め、槍の一撃を叩き込む。
 互いに激突する攻撃。
 散る火花が苛烈さを示していたことだろう。
 だが、銀静に動きに『ケルビム・ミルトス』のパイロットの少年は苛立つ。
「踏み込みが浅い……てめェ、なめてんのか!」
「不殺だ。それを僕は徹底している。それだけのことだ」
「甘ちゃんが、ほざく!」
「それができる。それだけのことだ」
 振るわれる槍が弾かれた瞬間、宝剣の一撃が翻り、『ケルビム・ミルトス』の片腕を切断する。
「面倒ではあるがな」
「ガン無視している国もあるけどね☆」
 その言葉を証明するように『グリームニル』は『ケルビム・ミルトス』を追って戦場を駆け抜ける。
 切断されたがゆえに隻腕となった駆体が走り抜け、さらに戦いの苛烈さは増していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒョウガ・イブラヒム
アブソリュート・ゼロに搭乗。
「やれやれ…騒がしい犬みたくギャンギャン吠えてやがる。あいつらの飼い主はちゃんとしつけしておけよ、ったく…」
「さて、キャバリアに乗って挑んでくるなら命懸けろよ、お前ら。そいつは脅しの道具じゃねぇんだ」
指定のUCと帝国式覇気武術・覇王轟激を同時に発動し、覇気で敵を威圧しつつ、片方の拳に更に凄まじい覇気を纏う。
「一応、お前らを殺すなとは言われているから加減はするが…俺の拳は超痛いから覚悟しておけよ」
そう言って、敵に加減しているとは思えない程の凄まじい覇気を纏った拳の超広範囲の衝撃波を放つ。
アドリブ・連携可。



 四騎のオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』を駆るパイロットたちは皆、少年なのだという。
 それが少年期特有の兆しであるというのならば、微笑ましくも見ることができたかもしれない。
 いつだったか、己もまた彼らのように少年であった日があったのだとヒョウガ・イブラヒム(サクール帝国軍大将『氷雪帝』・f45448)は思ったかも知れない。
 向こう見ずでも許容されるのは、平和の特権であった。
 また同時に若人の特権であると言えるのもまた平時であることの証明でもあったことだろう。
 だが、今の彼らは狂気に侵されている。
 オブリビオンマシンに乗っているからだ。
 彼らのうちにあった破壊衝動は、人間ならば必ず持ち得るものであった。
 造り上げるのと同時に、破壊をも望む。
 それを破滅願望と呼ぶのかも知れないが、しかし、それが狂気によってもたらされたというのならば。
「やれやれ……騒がしい犬みたいにギャンギャン吠えてやがる」
 ヒョウガは『アブソリュート・ゼロ』のコクピットの中で呟いた。

「あいつらの飼い主はちゃんとしつけておけよ、ったく……」
「飼われてるつもりなんてのは、ねェんだよ!」
 肩部の装甲が展開して機関銃が炸裂する。
 弾丸の雨の中、ヒョウガは息を吐き出した。
「キャバリアの乗って挑んでくるなら命懸けろよ、お前ら」
「懸けてねェとでも思ってんのかァ!? これは殺し合いだろうが! 命を懸けるだとか、そんなお綺麗事に収めてェってんなら、他所でやりやがれよ! 脅しだとでも思ってのんのかァ!!」
 怒号と共に迫る『ケルビム・ミルトス』は一気に『アブソリュート・ゼロ』へと肉薄していた。

 速い、とヒョウガは思っただろう。
 機体の性能ばかりではない。
 キャバリアの操縦技術が卓越している。
 少年であるからと見縊っていたわけではないが、しかし、それでも想像を超える速さであった。
「速いな。だが、それだけだ」
 ヒョウガは『ケルビム・ミルトス』のプラズマナックルの一撃を躱すことはなかった。
 覇気を纏った拳を合わせるように振るい、激突した衝撃波に駆体が揺れるのを僅かに感じながら、さらにもう片方の拳を振るう。
 凄まじい覇気を纏った拳の衝撃波は、超広範囲に及ぶ。
「これが、帝国式覇気武術・帝王拳撃波(テイコクシキハキブジュツ・カイザー・インパクト)、というやつだ。理解したか?」
 その衝撃波は『ケルビム・ミルトス』のパイロットの体を打ち据えることだろう。
 周囲の地形を破壊するほどの衝撃。
 そうでありながら、ヒョウガはパイロットを殺すつもりはないと言った。

「俺の拳は超痛い。覚悟ができていたとしてもな」
「グッ……テメェ……!」
 よろめくようにして『ケルビム・ミルトス』の駆体が戦場を走る。
 あれだけの一撃を受けても尚、動くのか、とヒョウガは納得した。
 これだけの力を見せても尚、ひるまぬのは、彼らがもとより戦う人間であったからだ。獣のようでありながら、人間の理性でもって恐怖を噛み殺す牙持つ人間なのだということをヒョウガは、交えた拳でもって理解したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルウェイン・グレーデ
●聖竜騎士団
こいつらは…まるで獲物を取り合う獣だな
獰猛性は本物に違いない
手加減が効く相手とも思えないが…!

メルヴィナ殿下とタイミングを合わせて十字砲火だ
この弾雨猛襲を抜け切れると思うな!

飛び回る相手には対空ミサイルだ
6発を一気に叩き込む
避けるにしろ防ぐにしろ、なんらかのリアクションは引き出せるはずだ
それが隙となる
続いてデュアルガンポッドを連射する
ダメージを与える事はもちろん、目眩しにもなる
瞬間火力で圧倒して機動を封殺しよう
激しい射撃戦の応酬となるだろうが、耐衝撃装甲を持つイグゼクターはそう簡単に怯まないぞ!

そして!お側にはメルヴィナ殿下がいる!
殿下への忠義で立つ俺は決して倒れない!
ンアーッ!


メルヴィナ・エルネイジェ
●聖竜騎士団
動きがめちゃくちゃなのだわ
あの四機は仲が悪いのだわ?
喧嘩してるように見えるのだわ

お姉様が敵を引き付けている間に攻撃するのだわ
私には手加減できるほどの余裕はないのだわ…
そういうのはお姉様とルウェインに任せるのだわ

素早く飛び回られてると狙えないのだわ
盾象砲嵐の弾幕で動きを封じるのだわ

精度の高いビーム砲は命中を狙うのだわ
連射が効くガトリングはばら撒くように撃つのだわ
ミサイルは追尾するから敵の注意を逸らせるのだわ

機関砲の反撃を受けたらパルスシールドで防ぐのだわ
装甲も丈夫だからきっと耐えられるのだわ
シールドファンダーじゃどうせ避けられないから動かず撃ち続けるのだわ


ソフィア・エルネイジェ
●聖竜騎士団
嵐の如き猛襲…
獣の如き闘気…
この闘気はまるで…!

連携は取れずとも、単騎ではエースと呼ぶに相応しい能力です
こちらは連携で対抗しましょう

敵の狙いが私に集中している?
メルヴィナ!ルウェイン!
敵はインドラが引き付けます!
その隙に攻撃を集中なさい!

さあ!貴方達の獲物はこちらです!
聖光城塞!
否が応でも攻撃を引き寄せます
防御を固め、ショットガンで反撃を
衝撃で動きを止められれば、攻撃を集中させる好機です
間合いに入ればランスも多用します
敵のプラズマナックルより射程の長い武器で反撃し、踏み込む隙を与えません
それでも懐に入り込むのであれば受けて立ちましょう
牙と爪を用いた格闘で捩じ伏せます



 機体の損傷などまるで意に介さぬ戦いぶりを見た。
 それは獣そのものたる振る舞いであったし、また知性無き人間の所業であるようにも思えてならなかった。
「こいつらは……まるで獲物を取り合う獣だな」
 ルウェイン・グレーデ(メルヴィナの騎士・f42374)は『ヴェロキラ・イグゼクター』を駆り、鈍重なキャバリア『シールドファンダー』に座すメルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)を守るように位置取りをした。
 獰猛性は本物だ。
 まるで獣と言ったが、まさしくその通りであった。
 度重なる猟兵との戦闘で損壊しても尚、機体が動くのならばと四騎の『ケルビム・ミルトス』は、苛烈なる攻勢を仕掛けてきているのだ。
 手加減ができる相手ではない。
 しかし、それでもルウェインの真芯にあるものは、いささかも揺らぐことはなかった。
 すなわち、忠義である。
 そう、獣に忠義はない。
 だが、人間には忠義がある。そして、己をメルヴィナの剣と規定するルウェインにとって、獰猛なる獣が相手とて、怯む道理などどこにもなかったのだ。

「動きがめちゃくちゃなのだわ。あの四騎は仲が悪いのだわ? まるで……喧嘩しているように見えるのだわ」
 メルヴィナにとって、それは子供の喧嘩のように思えてならなかった。
 我先にと獲物を狙って動く機体。
 お気に入りの玩具を取られまいとするような、子供じみた挙動に思えたのだ。
 それ自体は多くの子を望むメルヴィナにとっては微笑ましくも思えたかもしれない。が、ここは戦場である。
 今のメルヴィナには加減もできる余裕はなかった。
「メルヴィナ……殿下、タイミングを合わせられますか!」
「ええ、ルウェイン、任せるのだわ」
「承知!」
 その二人の姿に姉たるソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は何を思っただろうか。

 いや、それよりも、だ。
 明らかにソフィアは、己に向けられる重圧が一際強いことを理解した。
 あの四騎の『ケルビム・ミルトス』のうち、一騎は真っ直ぐにこちらへと向かってきていたのだ。
『ヴリトラ・ナイトオブリージュ』が与し易いと判断したわけではないだろう。
 逆に排除しなければならない脅威として認められたというわけでもない。
 むしろ、それは……。
「なぜだかわからねェ! だが、胸がざわめくッ! その原因はテメェだろうが、そこの竜もどきィ!!!」
 咆哮と共に迫る『ケルビム・ミルトス』のプラズマナックルの一撃。
 構えたラウンドシールドと激突して衝撃が走り抜ける。
 だが、光の障壁がプラズマナックルの一撃を見事に受け流していた。
 さらに他の猟兵と交戦していた三騎の『ケルビム・ミルトス』さえも、損傷していながらソフィアへと狙いを集中させていたのだ。

「私に集中してる?」
 ソフィアは即座に理解しただろう。
 連携していない。だが、単騎でも『エース』と呼ぶに相応しい能力を有している。であれば、こちらは連携で対抗しなければならない、と。 
 しかし、だ。
 ソフィアには覚えがあったかもしれない。 
 嵐の如き猛襲。
 獣の如き闘気。
「この闘気はまるで……!」
『黒騎士』。
 そして、重なるのは己が父の影であった。
 明らかに異常な事態である。

 なぜ、このような感触をソフィアが覚えるのか。
「お前は俺のッ、獲物だ……! 焦がれるような、この、っ、よくわからねェッ!!!」
 錯乱するように振るわれるプラズマナックル。
 乱打とも言える衝撃。
 身にさえ伝わる。
「メルヴィナ! ルウェイン!」
 その言葉に二人は頷いただろう。
 ただこの一言で、呼びかけるだけで二人はどのように動くべきかを知ったはずだ。
「私が貴方の獲物だというのならば、手に入れて見てはどうです」
「そうさせてもらうつもりだ! お前を、俺は……!!」
 防御を固めた聖光城塞(シャイニングフォートレス)たるソフィアは、難攻不落。
 四騎の『ケルビム・ミルトス』の猛攻を前にしても、光の障壁は崩せない。
「手に入れるッ、俺は、お前を……!!」
 貪欲なる獣。
 そう思わせる4つの意志にさらされながら、ソフィアは堪えていた。

 瞬間、四騎の『ケルビム・ミルトス』に叩きこまれたのは、ルウェインの対空ミサイルだった。
 六発を全て叩き込み、身軽となった『ヴェロキラ・イグゼクター』の踏み込みの速度は、迅雷のようだった。
 爆風の中、しかし決定打にならぬ『ケルビム・ミルトス』の挙動にルウェインは舌を巻く。
 しかし、隙は生み出せた。
 継いで放たれるデュアルガンポッドの連射は、弾雨猛襲(バレットスコール)となって降り注ぐ。
「チッ……邪魔をすんじゃァねェ!!!」
「邪魔? そうかもしれないな。だが、獣の如き子らよ。お前たちではソフィア殿下を手に入れることはできない。何故なら!」
 凄まじ連射は弾幕。
 目眩ましになるのは言うに及ばず。
 では、何から目を隠すのか。
 言うまでもない。

 ルウェインの目的はただ一つ。
『ケルビム・ミルトス』の凄まじい機動力を封殺することだ。弾雨の如き猛襲に彼らは足を止めた。
 その一瞬にメルヴィナの『シールドファンダー』のパルスシールドが展開する。
 それは搭載された火器を異性に解き放つ、盾象砲嵐(エレファントストーム)。
 弾雨があるのならば、砲嵐ありけり。 
 創示すようにメルヴィナの『シールドファンダー』が放つ砲火の凄まじさは言うまでもないものだった。
 ガトリングをばらまくビーム砲。
 ミサイルが火線を引きながら、周囲に爆発を巻き起こす。
「クッ……ソがァ!! 邪魔を!」
「話は終わっていない! お前たちは我が強すぎる。それでは得られるものも得られまい!」
「説教かよ!」
「ああ、その通りだ。今の俺の傍には、メルヴィナ殿下がいる! お前たちには寄る辺がない。ただその我欲を寄る辺としているだけにすぎののならば、殿下への忠義で立つ俺は決して倒せまい!! ンアーッ!!」
 ルウェインは絶叫した。
 メルヴィナは気持ち悪いな、と思ったが、以前よりはちょっとはマシに……なった、なった、かな、と思ったかも知れない。

 そんな砲火の中を一騎の『ケルビム・ミルトス』が踏み越えていた。
 目指すはソフィアの『インドラ・ナイトオブリージュ』。
「二人の十字砲火を抜けて来ましたか。であれば」
 懐に踏み込む一騎の『ケルビム・ミルトス』。それはもとよりソフィアを真っ先に狙った機体だった。 
 故に損壊が最も少なかった、とも言えただろう。
「俺は、お前を……ッ!!」
「受けて立ちましょう」
 ソフィアもまた踏み込む。
 振るわれる槍をプラズマナックルが弾き、ひしゃげさせた。構えた盾に阻まれて、拳は届かない。 
 だが、砕いて割る、と言わんばかりに打ち込まれた拳にラウンドシールドがひしゃげた。
「……勝った! これで、お前は俺の……!!」
 ものだ、という声を遮るように『インドラ・ナイトオブリージュ』が舞う。
 サブアームから離したラウンドシールド。
 それを目眩ましにしてソフィアは槍すら捨てていた。
 最後に残されたのは牙と爪。
 振り下ろされた爪が『ケルビム・ミルトス』の背面の翼の如きスラスターを引き裂く。

 振り返る機体。 
 だが、速度が足りない。
 反撃に移るよりも早く、『インドラ・ナイトオブリージュ』のバイトファングの一撃が、その素っ首を噛み切り、下すのだ。
「ねじ伏せます。黒き獣の如き少年。私は貴方のものにはなりません――」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
……その強さは、本物
四人の中から、最も鋭く動く少年に狙いを定める
生まれてからずっと、戦うことでしか自分を証明できなかった――そんな気配を、あなたから感じる

迫る拳――退かず、正面から受け止めるわ
覚悟を込めたオーラを滾らせ、全身の力を結界へと集中
衝撃を吸収し、反転させた電撃で機体を包み込む
これは殺すためではない、動きを奪うための一撃

壊すことでしか灰色の世界を照らせないのね
その破滅願望、否定はしないわ。私の中にも、同じ感情はある
だからこそ、対等に話すの
戦いの熱を交わしながら、真正面から見詰めて――

……けれど、あなたが望むのは、本当にそれだけ?
嘘も飾りもなく、ただ一人の人間として問いかける



 四騎のうち、一騎がねじ伏せられた。
 残された三騎はいずれもが損耗激しい状態であった。
 両腕を失った機体は、さらされた暴風の中にて動きを止めたし、背面のスラスターを失った機体は、全身がぼろぼろになっていた。
 動けるのは一騎のみ。
 隻腕となった機体だけだった。
 主兵装であるプラズマナックルの起点となる腕部。
 それを片腕とは言え失ったのは、大きな痛手だ。 
 だが、それでも。
「破壊を……俺はッ! この灰色の世界を壊さなくちゃあならねェんだよ……もっと、キラキラと輝くような、戦いの火で!!」
 獰猛なる獣。

 そう思わせるような俊敏な動きに、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は生身単身ながら真っ向から立ち向かった。
「生まれてからずっと、戦うことでしか自分を証明できなかった――」
「俺の何を知っていやがる!」
「そんな気配を、あなたから感じる」
 振るわれるプラズマナックル。
 その一撃は生身で受け止めるには、あまりにも苛烈な一撃であった。
 しかし、静漓には覚悟があった。
 覚悟こそが全てに優先されるものであった。

 自信も根拠も理屈も。
 全てが覚悟を上回ることはなかった。
 故にオーラがほとばしり、みなぎり、全身の力でもってプラズマナックルの一撃を静漓は受け止めた。
 オーラと激突するプラズマがエネルギーの奔流となって周囲に破壊をもたらしていく。
 だが、衝撃はすぐさまに吸収され、反転された雷となって『ケルビム・ミルトス』を弾き飛ばしていた。
「なんだァ!?」
「……その強さは本物」
「何をした!」
 反転して『ケルビム・ミルトス』の背面スラスターの光の翼が膨れ上がる。

 加速する。
 その踏み込みは、静漓の反応速度を越えていただろう。
 側面から叩き込まれた一撃を受けた結界が赤熱している。
「壊すことでしか灰色の世界を照らせないのね」
「そうだよ! 俺が生まれたのは、そのためだからな!! 人の破滅を望む心が! 戦う力を与えたんだろうが!!」
 揺らぐような衝撃。
 隻腕でありながら、打ち込まれる連打は結界を崩さんとさえしていただろう。
 ほとばしるプラズマが静漓の身を感電左遷と迫る。
 瞬間、静漓の身を守る結界に宿った巫術が『ケルビム・ミルトス』へとプラズマの力を弾き返したのだ。
「な、ァッ!?」
 弾かれたプラズマナックルの反動に機体が傾ぐ。

「その破滅願望、否定はしないわ。私の中にも、同じ感情はある」
「だったら、なんだってんだ。否定しないなら受け入れてくれるってのか!」
「対等だと言いたいの」
 真正面から見つめる静漓の瞳の青さに赤い瞳は揺らいだ。
 こんなにも真正面から見つめられた経験がなかったからかもしれない。
「破滅を求める心……けれど、あなたが望むのは、本当にそれだけ?」
 そこに嘘も飾りもなかった。
 虚飾ですらなかった。
 あったのは、ただの真心だけだった。
 真摯に見つめる瞳に赤い瞳が歪む。
 そう、それだけではなかった。
 彼らは、何故か一人を求めていた。それが何故なのか、当人たちにもわからない。
 遺伝子に刻み込まれたなにかなのかも知れないが、その理由さえ彼らは知らなかったし、知らされなかった。

 だからこそ、だ。
 彼らは狂気に犯されて初めて自覚したのだ。
「俺は……!」
「そう、好きな人がいるのね。顔も知らないけれど、どうしてか惹かれる人が」
「ば、馬鹿なことを言うなッ!」
「いいえ、あなたの心には、破滅だけではないのが証明」
 故に、と静漓はほとばしるプラズマを集め、『ケルビム・ミルトス』へと叩き込んだ。
 駆体がひしゃげ、脚部のフレームが砕けて膝をつく。
 もはや四騎は戦うことすらできないだろう。

『天使の群れ』は何を運んだのか。
 静漓は静かに戦闘不能となった四騎のオブリビオンマシンを見やり、静かに見つめる。
 彼らの心は狂気に浸されて尚、人間らしさを持っていた。
 その感情の名を知らなかっただけ。 
「『ケルビム・ミルトス』……あなた達は、ただ、ここに彼らを運んだだけ。あなたたちでは、彼らの心まで冒せなかった――」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『いざ、小国家観光へ』

POW   :    その小国家の食文化などを楽しむ

SPD   :    その小国家の芸術文化などを楽しむ

WIZ   :    その小国家の人となりなどを楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 四騎の『ケルビム・ミルトス』は沈黙した。
 コクピットから這い出した四人の少年たちは、皆同じ容姿をしていた。四つ子とも取れるほどにそっくりなのだ。
 そんな彼らは黒髪を揺らし、呆然と猟兵達を赤い瞳で見上げることしかできなかっただろう。 
 先程までの猛烈な……それこそ、苛烈な獣じみた性格は鳴りを潜めていた。
「……」
 そんな彼らの元にやってきたのは、四人の『神機の申し子』たちであった。
 『エルフ』、『ツヴェルフ』、『ドライツェーン』、『フィーアツェン』と呼ばれる、『ビバ・テルメ』の主導者に据えられた若者たち。
 彼らは襲撃に対して防衛線が突破された報を受けて駆けつけていたのだ。
「彼らが……」
 彼らは人工的に造られたアンサーヒューマンだ。
 しかし、『ケルビム・ミルトス』を駆っていた四人は後天的なアンサーヒューマンである。
 似通っているが違うのだ。
「彼らの処遇をどうするにせよ。ひとまずは」
 そう、彼らをオブリビオンマシンの残骸から引き離さなければならない。
 
 それはともかくとして戦いは終わったのだ。
 温泉小国家と名高い『ビバ・テルメ』である。
 休暇を楽しんでもいいだろう。四人の少年たちを導くことをしてもいいだろうし、尋問をしてもいいだろう。
 どれだけの情報が得られるかはわからないが、しかし無駄にもならないだろう。
 そして、これからの彼らのことをどうするのか、四人の『神機の申し子』たちに助言をしてもいいはずだ。
 直接戦った猟兵立ちには、その権利があるのだから――。
イクシア・レイブラント
戦闘終了を確認。
さて、せっかくの観光地、デートに誘いたい人もいるけれど…今は彼らのケアが最優先ね。
オブリビオンマシンから降りた4人は、それぞれどんな人物なのかしら?
コクピットからの脱出に手を貸しながら話しかけるよ。
改めてこんにちは。外に出た気分はどう?
戦いの中であなた方が否定していた穏やかな世界だけど、まだ苛立ちが収まらない?

もし、機体から降りても世界が灰色に見えるのなら
サイバーザナドゥ製の視覚情報ツールを提供して色覚をサポートするつもりだけど、
ありのままの世界を正常に感じ取れているのなら無粋なことはしない。

喧噪のない平穏というものもいいものでしょ? 私たちはこの時間のために戦っているの。



 なんのために戦うのか。
 理由はそれぞれに抱くものである。
 しかし、その理由が身を滅ぼすこともあるだろう。 
 刹那に破滅を願えば、それは狂気とも言える。なら、その狂気が喪われた今、後天性アンサーヒューマンとなった四人の少年たちは何を思うのか。
 イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は、破壊されたオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のコクピットハッチが開かれたのを見て、その前に降り立った。
 差し伸べたのは手だ。
 小国家『ビバ・テルメ』は彼らの侵攻から守られた。
 しかし、彼らがオブリビオンマシンによって狂気に侵されていたと証明する術はない。
 何故なら、オブリビオンマシンを認識できるのは、猟兵だけだからだ。
 彼らにも、他の猟兵でもない人々からも、四人の少年たちが何故このような暴挙を行ったのかを理解できはしない。

「改めてこんにちは」
「……あんたは」
 見上げたイクシアの姿に四人の少年たちはそれぞれ赤い瞳を向けた。
 四人が四人、いずれもが同じ姿をしていた。
 四つ子と言われても信じるほどには同じ顔だったのだ。
 差し伸べた手を彼らは取れずにいたから、イクシアは強引に引きずり出すように彼らの手を掴んだ。
「外に出た気分はどう?」
「わからん。というか……なんで俺を殺さなかった?」
 その言葉にイクシアは頭を振った。
「殺す理由がなかったから、かしら。戦いの中であなた達が否定していたのは、この世界のことでしょう?」
 イクシアは示した。
 荒涼たる戦いの跡。
 けれど、それでも今の彼らは異なる風景に見えるかもしれないとイクシアは思ったのだ。

 今の彼らに世界が灰色に視えないのならば、彼らが見ていた景色はやはりオブリビオンマシンの狂気が見せていた世界に過ぎないのだろう。
 彼らの様子を見ればわかる。
 彼らに苛立ちの感情はない。
 ただの少年にしか思えない。
 イクシアはサイバーザナドゥ製の視覚情報ツールを使うまでもない、と判断した。
「……ああ」
 短く答えた少年たちにイクシアは満足げに頷いた。
 何も言うことはなかった。
 これ以上何かを言うことも、言及することも無粋に感じたからだ。

 今まさに彼らは生まれ変わったと言ってもいい。
 狂気に侵された感情はない。
 ならば、色眼鏡も曇った認識もない。
 彼らは正常だ。
 ただ、一つだけイクシアは言いたかった。
「喧噪のない平穏というものもいいものでしょう?」
 穏やかな小国家の日常。
 それはこのクロムキャバリアおいては、誰もが求めるものであったし、誰しもが得られぬものであった。
 イクシアは思う。
 彼らにもこの尊さがわかるはずだ、と。
「私達はこの時間のために戦っているの」
 その気持を込めた言葉は、少年たちの心にいかなる変化をもたらしただろうか。
 それはわからないけれど、それでも明るくない未来ではないことだけは、確かだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
とりあえず……オブリビオンマシンの残骸の処理をしておきたいわね
殆ど知識なども少なく情緒的にも幼い、容姿のよく似たオブリビオンマシンを駆る4人組…多分|あいつ《ノイン》絡みの案件だろうし、それならどんな仕掛けがあるか分かったもんじゃないわ

……あの4人が変わらずクソガキのままなら、国を維持するのがどれだけ大変か身を以て実感させるためにあの国でこき使うことを提案するけど、そうでないようなら、多分、私にできる事はないし…

残骸から情報を回収したい人がいるなら待つけど、
そうでないなら『アルカレクス』のドリル化した両腕とUCで大きいものを破砕し、残った細かい部分はドラクティスで捕食・分解させて処理するわね



 戦いが終わってもアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は融合合身を解くことはなかった。
 オブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』。
 破壊されているが、完全に破壊しきったわけではない。
 何故なら、『ケルビム・ミルトス』のパイロットである少年たちを殺すわけにはいかなっかったからだ。
 故にアルカは、彼らがコクピットから這い出すのを認め、『アルカレクス・ドラグソリス』を一歩前に踏み出した。
 彼らは情動的に見ても幼い容姿そのままであるように思えた。
 おそらく、とアルカは推測する。
 いや、己のの推測は十中八九正しいだろうという確信があった。
「……|あいつ《ノイン》絡みの案件なんでしょう、どうせ。であれば」
 彼女が見下ろすのはオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』の残骸である。

 この残骸に如何なる悪辣な仕掛けが組み込まれていてもおかしくないと思ったのだ。
 これはこれまでの経緯をたどれば頷けるものであったことだろう。
 時に『殲滅回路』なるパーツも出回っているのだという。
 であれば、この機体の残骸を再利用しようとすれば……あらたな悪意が芽吹くきっかけになりえるかもしれないのだ。 
「何を仕掛けているかわかったもんじゃないっていうのなら……壊すのみよ。それに……」
 アルカはコクピットから這い出した四人の少年たちの様子を見やる。
 もしも、彼らが相変わらずの悪童めいた態度をとるのならば、その身に小国家の平穏を維持するのがどれほどに大変なことなのかを実感させてやろうと思っていた。
 それだけのことを彼らはしたのだ。 
 だが、アルカから見て、彼らはそのように思えなかった。
 
 態度が粗野なのは、元々なのだろう。 
 だが、彼らが自発的に破壊に赴いたとは思えなかった。
 オブリビオンマシンに乗ってから、そのうちにある衝動が増幅させられた、と視るのが正しいだろう。
 であれば、アルカには彼らをどうこうするつもりはなかった。
 なにかできることがあるか、と問われたのならば、おそらくなにもないと彼女は首を横に振ったことだろう。
「残骸からなにか情報を回収したい人がいるかしら……」
 しばらく待つ。
 だが、この件に関わった猟兵達は『ケルビム・ミルトス』の残骸を回収しようとする者はいないようだった。
 回収するにしても厄介だ。ものがものだけに。
 なら、とあるかは『アルカレクス・ドラグソリス』の腕部を鉄球に変化させ、『ケルビム・ミルトス』の残骸を粉砕する。
 細かく砕けたパーツすらも悪意を宿している可能性がある。
 捕食、分解。
 これを繰り返し、処理を行いながらアルカは思う。

『ケルビム・ミルトス』――『天使の群れ』と呼ばれたオブリビオンマシン。
 この周辺小国家を巡る事件において、『セラフィム』と呼ばれるキャバリアや、それに類するオブリビオンマシンが存在する。
 ケルビムもまた天使の名である。
 何か関係があるのか。
 因縁めいたものを感じずにはいられない。
「本当にただの偶然……? それとも」
 必然なのか。
 アルカにはまだわからない。
 けれど、必然であったのならば、これはきっと運命なのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『凝視眼倍』で少年達を調べながら

意識は大丈夫の様ですね
この場合、貴殿らはビバ・テルメの捕虜となりましょうか?
兎も角、早速で申し訳ありませんが、貴殿らは何故此処に来る事になったのか、何をされたのか、簡潔で構いませんので、説明できますか?

先に蘇生した方々に改めて報告しに戻り、
できる限り彼らが冷静に少年達と接する事ができる様に説得せねばなりません
彼らは五体満足で蘇生しましたが、一度少年達に殺された事に変わりない
故にこそ、彼らの境遇を知り伝える事が関係改善の第一歩、
蟠りを完全に解くのは少年達と彼らの相性と努力次第ですが、元より平穏を求めた方々です
酌量の余地さえあれば、きっと歩み寄ってくださるでしょう。



 意識の混濁はない、と朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は四人の少年たちの目を見ていた。
 オブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のパイロット。
 彼らのもたらした被害は甚大であると言える。
 しかし、小枝子のユーベルコードによって戦場の死者はゼロになっていた。
 無法と言えば無法である。
「意識は大丈夫のようですね」
 そう告げた小枝子は、後ろに控えた『神機の申し子』の一人である『ツヴェルフ』に告げる。
「そうですか。ですが、彼らは……」
「ええ、『ビバ・テルメ』の捕虜、という形になるのでありましょう」
「彼らがあの機体に乗っていた、というのであれば」
「でしょうな。ですが、それにはまず尋問を行わねばなりません。早速で申し訳ありませんが」
「ハッ、なんで勝った側がそんな卑屈な態度をとるんだよ。もっとドンと構えろよな。やりづらい」
 少年の一人がそう言えば、他の少年たちも同感だと言わんばかりであった。

 小枝子は、ユーベルコード凝視眼倍(ガンマ・ステアー)によって彼らの情報を開示していた。
 キャバリア操縦の高い適正。
 そして、戦闘への高い意欲。
 身体能力も並の人間のそれを上回っている。
 彼らが後天的にアンサーヒューマンになったことはグリモア猟兵からの情報で知れているが、しかし、それでも彼らが全く同じ容姿をしているという点が気になった。
「そうでありますか。であれば、ここになぜ?」
「ここに求めるものがあると思ったからだ」
「求めるものとは?」
「……言いにくい、が。それは通用しないんだろ? 衝動に近いものだよ。そうしなくては、と思ってしまったんだからしかたない」
 小枝子は彼らの言葉を飲み込む。

 確かにオブリビオンマシンの狂気に晒されたとは言え、彼らの行ったことは、戦闘行為だ。
「何をされたのか理解はしていますか?」
「『不思議な光』を浴びてから、俺の思考力は格段に跳ね上がったように思える。思えるっていうのは、確信がないからだが」
「そうでさりますか。『ツヴェルフ』殿、後はお任せできますか」
「あなたは?」
「蘇生した方々に改めて報告を」
 守備隊の者たちは小枝子は蘇生した。
 生命が喪われたわけではないが、しかし、少年たちが一度奪ったことは事実だ。
 であれば、少年たちの殊遇がどうなるにせよ、説明しなければならない。

「彼らとの関係改善……それがやはり蟠りを解く鍵になりましょう」
「それに、彼らとて」
「ええ、平穏を求めた方々。情状酌量の余地があると知れば……歩み寄ってくださるでしょう」
 激情にかられ、互いを滅ぼし滅ぼされる間柄にはならないはずだ。
 小枝子はそれを願っている。
 人間の激情の凄まじさは言うまでもない。
 だからこそ、信じたいのだ。
 この小国家の集った者たちが、どんな思いで平穏を求めてきたのかを。
 戦禍を生き延びて、たどり着いた先が、真の楽園であったと証明するのならば、今こそ乗り越えねばならないのだと、小枝子は強く信じるように足を踏み出したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・エルネイジェ
●聖竜騎士団
彼らは四つ子…と言うには似過ぎていますね
クローン体と見るべきです

それに、今も発せられている闘気
やはりあの黒騎士…そして我が父に似ている
目にしてもそうです
色の問題だけではありません
その獣の如き鋭さには、我が父と似通うものが秘められています
偶然で片付けてよいものでしょうか?

私はソフィア・エルネイジェ
エルネイジェ王国の第一皇女です
あなた達の名前を聞く前に、確認しておきたい事があります

グレイグ・エルネイジェ

これは我が父の名です
憶えはありませんか?

貴方達はどこから来たのです?
全ての人には必ず出自があります
私がマリア女王陛下とグレイグ皇王陛下の間に産まれたのと同じく
貴方達の起源を教えて下さい


メルヴィナ・エルネイジェ
●聖竜騎士団
やっと大人しくなったのだわ
声のうるささならルウェインと良い勝負だったのだわ
…私も子は欲しいけど、ここまで元気過ぎるのは考えものなのだわ

4人をどうするかは私には決められないのだわ
ビバ・テルメの人達が決める事なのだわ

お姉様も言ってる通り…お父様に似ている気がするのだわ?
特に赤い目が…お父様を若くしたみたいなのだわ
まさか親戚の四つ子なのだわ?
お父様に兄弟がいるかは分からないのだわ
だからあり得ないとは言い切れないのだわ

戦いが好きなのもお父様に似ているのだわ
そんなに戦いたいならビバ・テルメで雇って貰えばいいのだわ
どうせ今後も敵に狙われるのだわ
あなた達が満足できるような強敵もきっと現れるのだわ


ルウェイン・グレーデ
●聖竜騎士団
こいつら…似てる…グレイグ皇王陛下と…

俺は直接グレイグ皇王陛下と面識があるわけじゃない
だがその御姿は写真でよく知っている
なにせ黒い嵐の異名で敵味方から恐れられる御方なのだからな
その大きな背中に憧れを抱く者も多い
俺もその一人だ

彼らの実力は紛れもなく本物だった
グレイグ陛下を思わせる荒々しさ
まるで4つの嵐だったな

処遇について、俺は口を挟む立場にない
だがメルヴィナ殿下が仰るように、その実力を有効に活用する道を探すのも悪くないんじゃないか?
ビバ・テルメはきっと優秀な兵を求めている
お前達がしたのと同じく、安寧を狙う輩というのは必ずいるものだ
ともすれば、闘争への渇望も満たされるんじゃないか?



「やっと大人しくなったのだわ」
 メルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)は『シールドファンダー』から降り、戦いが終わったことに息を吐き出した。
 安堵、というものであったかもしれない。
 やはり『リヴァイアサン』ではないキャバリアに搭乗しての戦闘行為は苦手だと改めてメルヴィナは認識したかもしれない。
 隣に降り立った『ヴェロキラ・イグゼクター』からルウェイン・グレーデ(メルヴィナの騎士・f42374)が降りてくる間、メルヴィナは捕らえられた四人の少年たちを見た。
 彼らはオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のパイロットだ。
 思った以上に幼い、とメルヴィナは思ったかもしれない。
「声のうるささならルウェインと良い勝負だったのだわ」
「あァ? なんだよ。どういうことだよ。誰が誰と良い勝負だったって?」
「……私も子は欲しいけど、ここまで元気すぎるのは考えものなのだわ」
 噛みつくように四人のうちの一人の少年が赤い瞳をメルヴィナに向けた。
 まるで狂犬だと思っていたが、今はオブリビオンマシンの狂気が喪われ、どこか仔犬めいた姿のような印象を受ける。

 重圧もない。
 むしろ、この状況に対して見くびられぬように虚勢を張っているのかもしれない。が、乗騎から降り立ったルウェインは、そんな噛みつくような視線を遮るようにメルヴィナの前に身を踏み出した。
「こいつら……似ている……」
 ルウェインは、黒髪を揺らし、赤い眼差しを向ける少年たちを見て、己が奉じる小国家『エルネイジェ王国』の皇王を原子した。
 直接の面識はない。
 だが、その姿は写真などでよく見知っている。
 そう、『グレイグ皇王』だ。
 メルヴィナの父であり、女皇に継ぐ実力者。
 弱肉強食が必定たる『エルネイジェ王国』において、平民、それも敵国から寝返った後、実力のみでのし上がった英傑だ。

 その彼の異名は『黒い嵐』である。
 四人の少年たちの戦いぶりは味方からすらも恐れられたと言われるものに思えてならなかったからだ。
「ええ、確かに」
 その言葉にソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は直に彼らと対面せねばならないと考えて身をさらしていた。
 危険だ、とルウェインは思ったかもしれない。
 四人の少年たちは明らかにソフィアに狙いを集中させていた。
 彼女の身の安全を思えば、おいそれ接近させてはならないと思ったのだ。
「不要です、ルウェイン。あなたはメルヴィナの騎士でしょう」
「……ハッ、出過ぎた真似をいたしました」
「それで、あなたも感じましたか?」
「……恐れ多くも」
「でしょうね。今も私に向けられている視線……闘気。やはりあの『黒騎士』に類し……そして、我が父に似ている」
「……言われてみれば、お父様に似ている気がするのだわ? 特に赤い目が……」
 メルヴィナは少年たちの姿を認める。

 確かに言う通り、己が父の容貌を幼くしたのならば、少年たちのような姿になるのだろうか、と思ったのだ。
 まさか、と彼女は目を見開く。
「お父様の親戚の四つ子なのだわ?」
「父は親兄弟なく、と語られていました。ですが」
「あり得ないとは言い切れないのだわ。戦いが隙なのもお父様にているのだわ」
 メルヴィナたちの会話にルウェインは割って入るつもりはなかった。
 だが、確かに四人の少年たちの実力は本物だった。
 かの『黒い嵐』を思わせる戦い方。まるで4つの嵐と対面しているような重圧を感じたことは、対峙したものでしかわからぬことであったことだろう。

「……メルヴィナ、あなたが語った通り、目、姿をしてもそうです。問題は……」
 ソフィアは己に突き刺さる獰猛な獣の如き鋭さに父を幻視した。
 偶然で片付けてよい問題ではない。
 彼らの処遇がこれからどうなるのかは、『ビバ・テルメ』次第だろう。
「……」
 彼らにソフィアが一歩近づく。
 それだけで視線の鋭さが和らいでいくのをソフィアは感じたかも知れない。
 少年たちはあれだけ鋭い視線で己を見ていたというのに、距離が近づくにつれて、視線を泳がせ始めたのだ。
 何故、とは理解できなかった。
 が、しかし、ソフィアは尋ねなければならなかった。
「私は、ソフィア・エルネイジェ。『エルネイジェ王国』の第一皇女です」
「その折は」
 と、四人の少年たちの間に入ったのは、『神機の申し子』の一人『エルフ』だった。
 彼はソフィアたちと面識がある。
 裁判での一件において、入国も果たしたことがあった。
 他国の介入を警戒しているのかもしれないが、しかし、それでも無礼を働くつもりはないことは明白だった。

「わかっております。ですが、一つだけ」
「ご随意に」
「ありがとうございます……あなた達の名前を聞く前に、確認しておきたいことがあります。『グレイグ・エルネイジェ』。これは我が父の名です。覚えはありませんか?」
 ソフィアは知りたかった。
 彼らがどこから来たのか。
 その出自を。
 己が母と父の間に生まれたのと同じように彼らにも起源があるように思えたのだ。

 だが、彼らの口から発せられたのは、彼女の想像通りだった。
「俺は、俺達は『タイプG』のクローンだと言われている。『タイプG』っていうのが何を示して、一体誰のクローンなのかもわからないが、失敗作だということだけは、俺たちの扱いを見ればわかるだろう」
 言葉に勢いはない。
 それは敗れたからではないことをソフィアは知っていた。
 メルヴィナとルウェインからすれば意外だった。
 彼らは戦いを求めていた。であれば、この『ビバ・テルメ』は『プラナスリー』から宣戦布告を受けている小国家。
 争いは常であるから、雇ってもらえばいい、と。
 そうすれば闘争への飢えも満たされるだろう、と。

 だが、彼らにはオブリビオンマシンに乗っていた頃のような凶暴性は取り払われているように思えた。
 それは一見すれば、狂気から開放されたから、とも取れる。 
 ルウェインならばわかるかもしれない。
 彼らの態度は、なんていうか。
「……まさか、お前達……照れているのか? ソフィア殿下に?」
「ば、馬鹿か! テメェは!! なんっ、で! 俺が照れるんだよ!!」
 火を見るより明らかじゃないか、とルウェインは思っただろう。
「……そうなのだわ?」
「……わけわかんねェんだよ……俺にだって」
 少年故の多感さ、なのかもしれない。
 彼らはソフィアを前にしてどうにもしどろもどろになっている。

「……どこから来たのかですか?」
「……わかるだろ。『プラナスリー』だよ。俺たちは用済みってことだよ。捨てられたってことだ。言わせるな、情ねェことを」
「……そうですか」 
 ソフィアは考える。
 彼らがこの先どのような処遇を受けるのかは、『ビバ・テルメ』に委ねるしかないところなのかもしれない。
 どうなるにせよ、ソフィアは何故、彼らが『タイプG』……おそらく父である『グレイグ・エルネイジェ』の遺伝子を持って造られたクローンなのかを知らねばならない。
 未だ謎は闇の中ではあるが、それでも解き明かすことは争いの根源にある者を突き止めるには必要なことなのだろうと、改めて思い知らされるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

せっかく『エイル』さんの力を継いでるのに、もったいなさすぎます。
これはしっかりとした『教育』が必要ですね。

たしかヤンキーって拳で負けたら絶対服従なんですよね?
それならもうわたしたちには逆らわないでしょうし、ステラさん、引率はお願いします!

いわれなくとも!
みたいな顔しないでください。それに目、バッキバキで怖いですよ!?
ほら、4人もちょっと引いてるじゃないですか。

だいじょぶですよ。
こう見えて『エイル』さん絡まなければいい人ですから。
あ、絡んでるからダ(いたいの)

ま、まぁ、それはおいておいて。
みなさまには落ち着いた心が必要です。
そのために、わたしの音楽を聴いて情操教育をいたしますね!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふぅ、終わりましたか
彼らも落ち着いたようで……エイル様の因子を継いだ子らが
犠牲になってほしくはないですからね
……新しく四つ子ですか(ぽっ)

ルクス様もやる気の様子
わかりました、立場の違いを教えて差し上げましょう
私が! エイル様の!! 正妻です!!
……ヌル様とはまた話を付けます
ちょっと忘れてました

引いてる?
ダメですよエイル様の因子を継いだ者が
ここなら貴方がたの先輩……いえ、兄姉がいますし
しばらく世間を知るのもいいでしょう
役に立つ為に生きるのではなく
生き抜いた先で役に立つ事を覚えてください

誰がやべーメイドですか
せっかくいい話してたのに!
それからその演奏はステーイ!?
皆様にげてーー!!



「新しく四つ子ですか」
 そう呟いたのは、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)だった。
 彼女の視線の先にあったのは、四人の少年たちだった。
 いずれもが黒髪に赤い瞳を持つ少年。
 コクピットからでてきた姿に、ステラは何故か頬を染めた。なんで?
 いや、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)からすれば、想像できた展開ではあった。
 戦いは終わった。
 四人の少年たちはオブリビオンマシンの狂気から開放されて落ち着いているように思える。

 無論、ルクスだってステラと同じ思いだ。
『エイル因子』の組み込まれた者たちが、戦いの犠牲に放ってほしくない。
 が、ステラとは違ってルクスは、どちらかというともったいないな、と思うばかりであった。
 折角、戦える力があるのだ。
 振るうのならば、正しいことに使って欲しいと思うのだ。
 であれば、しっかりとした『教育』というものが必要だと思ったのだ。
「確かヤンキーって拳で負けたら絶対服従なんですよね?」
「どこの無法地帯の話をしてんだよ」
 ルクスの言葉に少年の一人が、ケッ、と毒づく。 
 可愛くない。
 ルクスはそう思ったが、しかし、彼女はにこりと微笑んだ。
「強いものが偉いんですよ。それがヤンキーの流儀ってものでしょう? あなたたちはわたしたちに負けた。であれば、逆らわないのがルールですよね?」
「ルクス様もやる気の様子ですね。わかりました、立場の違いを教えて差し上げましょう!」
 ステラの目が見開かれている。
 バッキバキのバキであった。
「私が!『エイル』様の!! 正妻です!!」
「いや、それもちょっと。なんか目がバッキバキで怖いですよ!?」
 ルクスは、四人の少年たちが若干、いや、かなり引いているのを目の当たりにした。
「わかっておりますとも。『ヌル』様との協議が終わっていないことは。また話をつけます」
 ちょっと忘れていただけです、とステラはテヘペロっとしていたが、そういう問題じゃあないことはルクスが一番わかっている。

「なんだこいつ……」
「こわ……」
「あ、だいじょうぶですよ。こう見えて『エイル』さん絡まなければいい人ですから」
「駄目ですよ。この程度で引いているのは。『エイル』様の因子を継いだ者が……」
 ステラはバキバキの目で、ずい、と四人の少年たちに歩み寄る。
 自然と体が後退しているのを少年たちは自覚しただろうか。
「絡んでいるからダメですね」
「誰がやべーメイドですか。今からいい話をするんですから、邪魔をしないで頂けますか」
 スリッパがルクスの後頭部に炸裂する。
「いたいの」
「いいですか、ここなら貴方がたの先輩……いえ、兄姉がいますし、しばらく世間を知るのです。役立つ為に生きるのではなく、生き抜いた先で役立つことを覚えてください」
「……わけわからん」
「あれ、わかりません!?」
「急に言われても……」
「あれー!?」
「まあ、いいじゃないですか。みなさまには落ち着いた心が必要だってことはステラさんの話のとおりです。であれば!」
 まさか、とステラはおののく。
「そう、わたしの音楽を聞いて情操教育をいたしますね!」
「ルクス様、演奏はステーイ! 鼓膜が壊れちゃう! 皆様逃げてー!!!」
 ステラの叫びとルクスの演奏。
 一体どちらが速かったか。
 まあ、いずれにしたって、四人の少年たちの未来は、まだわからない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
神機
「ご主人サマー☆戦闘終了だぞ☆」
つかよー…それならもうやる事なんて決まってるだろ!
お前ら―!ビバ・テルメ観光だおらぁ!
「ひゃっはー☆」
という訳で神機の申し子に案内お願いしつつ四人組と共に観光!
そして…お風呂にサウナだ!
「やっぱり☆」
先ずはお風呂でくつろぎ!
「メルシーは水着だぞ☆」

次は判ってるな…サウナだ!
という訳でサウナに突入
つーかお前ら結局何でここに襲いかかってきたんだ?
なんて質問をしながら…
5~10分後に上がり水風呂だ!
そして…身体をよく拭いて…外気浴
之を三回繰り返す
なぁ…キまるだろ?

処遇
ただでさえビバ・テルメは戦力不足なんだから此奴ら使えるんじゃね?
まぁお任せするけどな?



 戦いが終わったのならば、やるべきことは一つだ。
 そう、とカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は拳を高く突き上げた。
「やることなんて決まってんだろ!」
「きゃーご主人サマー☆」
『メルシー』は大はしゃぎだった。
 戦いの場は観光小国家として名高い『ビバ・テルメ』である。
 豊富な温泉資源。
 これを活用したアスレチックなレジャーランドと化した温泉施設を楽しむのだ。

「ひゃっはー☆」
「というわけで、案内よろしく!」
「え、ええと、まだその、戦闘の余韻が……後片付けもしないと、ですし」
『神機の申し子』たちの言葉にカシムは目を見開いた。
「何をけちくせーことを言ってんだ! 戦いの後は風呂! そう決まってるんだよ! そんでもって風呂ときたらサウナだろうが!!」
「やっぱり☆」
 カシムの言葉に『神機の申し子』たちは困惑したが、それもそうだとも思っていた。
 そもそも、この小国家は争うために生まれた小国家ではない。
 覇権も興味がない。
 あるのは、ただ戦禍から逃れることだけなのだ。

 温泉は、そのための一つの手段でしかない。
「わかりました。こちらに」
「わかればいい! いくぞー!」
 おらー!とカシムは案内された入浴施設へと『メルシー』と共に飛び込む。
 オブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のパイロットである四人の少年たちもノーサイド、とは行かないだろう。
 彼らは彼らで今から尋問や処遇を決めるために熟さねばならいことが多くあるのだ。
「メルシーは水着だぞ☆」
「温泉に水着は伝統だからな! 温泉に身を浸したら! 次は判ってるな?」
「かしこまりー☆」
「サウナだー!」

 カシムはサウナに入って考える。
 あの四人の少年たちは結局、何故、この小国家『ビバ・テルメ』に襲いかかってきたのだろうか、と。 
 単純に気に食わないから、なのか。
 それとも尖兵として送り込まれたのか。 
「それにしちゃ、なんていうか鉄砲玉みたいな扱いなんだよなぁ。なんていうか、帰ってこないことを前提としているような……」
 うーん、とカシムは考えながら、サウナの作法をこなしていく。
 サウナ12分。
 水風呂。
 外気浴。
 このサイクルを繰り返すことによって得られるのは、『整う』ことである。

「はぁ……キまる」
 言葉面だけ見たら、完全にアウトであるが、サウナのことである。
 心地よい疲労感と多幸感。
 じんわりと広がる体の感覚にカシムは息をゆっくりと吐き出す。
 確かに彼らの処遇は難しいところだ。
 だが、『ビバ・テルメ』はただでさえ戦力不足なのだ。
 であれば、恩赦とかいって戦力に組み込めれば……。
「結構支えるんじゃね? まあ、決定は連中に任せるとして……あ~……だめだ、あとにしょ。整う……キまる……」
 カシムはサウナの極上の心地よさにうたた寝するように、ベッドチェアに仰向けになったまま、浸るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
神機
…なんだ
闘いは終了か
「始まりがあれば終わりがあるよ主☆グリムちゃんは始まったばかりだけどね☆」
ふん…それなら観光するとするか
折角なので此処の名所と名物を堪能する事にする
そしてお土産も買っておくか
名酒があれば頂く

…此処は温泉が売りだったようだな
という訳で温泉を楽しむ
「グリムちゃんは全裸で行きたかったけど水着だよ☆」
全裸になった瞬間切り捨てるからなっていいぞ
「わぉ☆過激♥」(水着
後はサウナだが…クズ小僧までいるのか
「お母サマまでいるね☆」
…まぁいい
基本サ道に従い整いを楽しみ

何だお前ら…食の楽しみがまだのようだな?
【料理】
此処なら温泉料理だろ
温泉卵
温泉粥
地獄蒸
海鮮物に野菜にちまき
等を馳走する



 終わってしまえば、戦いはあっけないものだった。
 大規模な戦闘に思えたが、来襲したのはたった四騎のオブリビオンマシンなのだから、結果的に見れば小規模戦闘……小競り合いでしかなかったのだろう。
 だが、小競り合い程度で終わったのは、猟兵たちの活躍が大いに寄与していることは言うまでもない。
「……なんだ」
 しかし、皇・銀静(陰月・f43999)はつまらなそうに呟いた。
「はじまりがあれば終わりがあるよ主☆ グリムちゃんは始まったばかりだけどね☆」
 その言葉に銀静は頷いた。
 戦いが終わったのだ。
 後は帰るだけだと思っていたが、しかし、ここは温泉小国家である。
 クロムキャバリアの歴史を紐解いてみても、稀有な小国家であることは言うまでもないだろう。

「観光しよ☆ 観光☆ クロムキャバリアで観光なんて滅多にできないぞ☆」
「ふん……それなら観光するとしよう」
 口車に乗る、という意味もあったかも知れない。
 もしかしたら、名酒なども手に入るかもしれないという期待がなかったかと言われたら、嘘になるだろう。
「観光と言っても、ここは温泉が売りなのだろう?」
 白い湯気が立ち込める市街地。
 あちこちに湧き出る温泉を使った湯宿がある。
「なになに……水着着用だと?」
「全裸ではないのか!」
「なってもいいが、瞬間切り捨てるぞ。それでもいいのなら」
「わぉ☆ 過激❤」
 そんなやりとりをしながら、銀静は溜息を吐き出す。

 だが、どうやら彼にとっては快くないものがいるようだった。
「お母サマまでいるね☆」
「……まぁいい」
 どのみち、ここでの戦闘行為はご法度というより、無粋だ。
 であれば、己は己で温泉施設を楽しむまでなのだ。
 銀静はゆっくりと温泉にひたり、入れ替わるようにサウナへと入っていく。
 戦いの後の疲労感が溜まっている、ということはない。
 が、それでも癒やしは自然と体の中に染み込んでくるものだ。
 心地よい時間に酔うように銀静は湯気立つ体に浴衣をまとって温泉施設の食事処に向かう。

「食事の楽しみだ。生半可なものでは……」
 彼の眼の前にあるのは様々な温泉料理の品々であった。
 温泉卵は言うに及ばず。温泉粥、地獄蒸は海鮮に野菜やちまきといったものが多くある。
 四人の少年たちにも、これらをごちそうしてもいいかもしれない。
 彼らは尋問など、処遇を決めるために多くの時間がかかるだろう。であれば、その合間に届けさせるのもいいかもしれない。
「気が変わるかもしれんしな」
 銀静は、そうつぶやきながら観光小国家に恥じぬ味わいを堪能し、彼らもまたこの味に絆されるだろうな、と思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒョウガ・イブラヒム
人気のないかつ寝るのに丁度いい場所でアイマスクを付けて寝る。
その様子はさっきまで覇気を出して戦っていた人物とは思えない程、緩い感じである。
誰か来た時は
「…俺に何か用か?」
とそのまま尋ねる。やってきた人物が何か話したい様子であれば、欠伸をしつつアイマスクを外す。
「…何か言いたそうな顔だな。人を見た目で判断しないでくれ。これでも俺は緩い正義を信条としている軍人だぜ」
と言い、『いや見た目通りでしょうが!?』的な感じでツッコまれる。
「まぁ、アレだ。俺は他人の正義を真っ向から否定するつもりはねぇ。正義ってのは立場で色々変わるもんだしな。吟味した上で正しいと思った事をやればいいんだよ」
アドリブ・連携可。



 アイマスクに遮られた光。
 視界が染まる闇の中で、ヒョウガ・イブラヒム(サクール帝国軍大将『氷雪帝』・f45448)は温泉の香りを楽しんでいた。
 無論、湯に浸かることも楽しみではあったが、戦いの後なのだ。
 ゆっくりしたいと思う。
 そもそも休暇中なのに猟兵の仕事に勤しむ、というのは、なかなかのワーカーホリックというやつではないだろうか。
 気を緩めてはいるが、しかして彼の感覚は完全にオフにはなっていないようだった。
 その証拠に彼はアイマスクをずらして、瞼を開いた。
 視線の先にあるのは、四人の『神機の申し子』たちであった。
 彼らはこの小国家『ビバ・テルメ』を手動している四人なのだという。

「……俺に何か用か?」
「先程の戦闘において、傭兵として参加された方ですね」
 ヒョウガの視線に四人は問いかけた。
 彼らにとって他国の存在は当然、警戒するべきところであるのはヒョウガも承知するところであっただろう。
 欠伸一つ。 
 所作一つとっても、外交の場においてはしくじりを許されない。
 そういう意味では緊張感が走る場面であったはずだ。
 けれど、ヒョウガが欠伸を噛み殺すでもなく、呑気に吐き出したということは暗黙の了解を得たようなものであった。

「……何か言いたそうな顔だな」
「いえ、この場においては正式ではない、ということだけが確認できれば結構です」
『ツヴェルフ』と呼ばれる『神機の申し子』の一人は、ヒョウガの所作一つで全てを汲み取ったようだった。
「人を見た目で判断しない、というところは感心するところだがね」
「いえ、こればかりは慎重に、というのは外交の常でしょう。あなたが軍人としてここにいる、というのであれば、如何なる信条であろうとも関係はありません……が」
『ツヴェルフ』は他の三人を後ろに下がらせた。
 無闇に威圧するつもりなんてないのだ、と言うようにも取れただろう。

「これでも俺は緩い正義を信条としているつもりだし、自負も、周りにもそう写っていると信じているんだが」
「感じ取れるものがあるのならば、そればかりではないということでしょう」
「そっちは感じ取れている、と?」
「ええ」
「……まぁ、アレだ。俺は他人の正義を真っ向から否定するつもりはねぇ。そっちがその気ならってところだが」
「我らは観光を資源としています。争いの火種はつきねど、しかし我らが戦う理由は常に守るためですから」
「専守防衛とでも? まあ、それも否定するつもりはねぇよ。正義ってのは立場で色々変わるもんだしな」
「あなたの正義と私達の正義が相反しないことを望みます」
「だろうな。で、午睡は続けても?」
「ええ、構いません。先程も告げた通り。我々は観光を資源としています。そして、この小国家に訪れる人々は皆、歓迎します。それが」
「観光地ってもんだと?」
「はい。ですから、どうぞ午睡をお楽しみください。我らは無粋な真似をした珍客とでも思っていただければ」
 そうかい、とヒョウガは頷き、穏やかな午睡に浸る。
 この平穏が守られただけ、それは幾分、機嫌良い午睡となったはずだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロガネ・デバイス
炉心サイキックエナジー 散布 だいじょうぶ?
『サイキックサンクチュアリー』展開。
ケルビム・ミルトス元搭乗者達を癒す。

当機名称 クロガネデバイス
疑問 識別名称ハ 未設定デスカ?
そっかー なまえがないのは こまる
わたしはね なまえがふたつあるの!くろがねこまこ! 
あなたたちのなまえ、いっしょにかんがえてあげる!
はなびや ひかりがすきなんだよね うーん

ハナビ パイロ ワークス
カーリット ダイナ オクトー ニトロ
雷汞 光華 (その他にも色々)

花火や光に関する語句から名前に適そうなものを抜き出し提示。
いい感じの由来を示せる程ちゃんとした感性が育っていない為、
いつ、最終的にどう名乗るかは、彼らの感性任せ。



 健康状態に異常がないとはいえ、敵の意図というものが見え隠れする以上、戦いが終わっても予断を許さぬ状況であることに代わりはなかった。
 故にクロガネ・デバイス(頭脳戦車猟兵・f43671)は、対消滅サイキックエンジンに宿る、対消滅爆発的サイキックエナジーを解き放ち、『ケルビム・ミルトス』のパイロットである四人の少年たちの気力を取り戻していた。
 それはともすれば、利敵行為に見えなくはなかっただろう。 
 だが、四人の『神機の申し子』たちは止めなかった。
 ここで彼らを処断することは簡単だ。
 だが、それをしてしまえば、この小国家『ビバ・テルメ』のあり方が揺らぐ。
 故に彼らはクロガネのやることを止めなかった。

「炉心サイキックエナジー 散布 だいじょうぶだった?」
「ええ、かまいませんよ。負傷者、ということに彼らもなるでしょうから」
 そう告げたのは『神機の申し子』の一人であった『エルフ』だった。彼はクロガネの行為を止めなかったし、むしろ好意的に捉えているようだった。
「ありがとうございます」
「不要 いいよー! かんたんなことだもん」
「それでも感謝は忘れてはなりませんから」
 その言葉にクロガネのアイセンサーが明滅する。
「対象者 接触可能デスカ おはなししていーい?」
 クロガネがそう尋ねると『エルフ』は頷いた。

「ええ、尋問……と処遇については後ほどになりますから。その間であれば」
「ありがとうー!」
 クロガネはそう言って、四人の少年たちに振り返った。
「当機名称 クロガネデバイス」
「あァ? 機械がなんで……」
「疑問 識別名称ハ 未設定デスカ?」
 その言葉に少年たちは眉根を寄せた。
 疑問、というよりも、またか、という具合であった。
「ねェよ、ない。ないって。俺を作った連中ってのは、そういう連中だ。名前なんて一々決めたりはしないし、呼ばれても識別番号っつー、くそくらえなものばっかりだよ」
「そっかー なまえがないのは こまる」
「困りゃしねェよ。どうせ、死ぬ身だ」
 それはわからない、とクロガネは思っただろう。

 少なくとも『エルフ』の様子を視るに、それはないだろうと思ったのだ。
「わたしはね なまえがふたつあるの! くろがねこまこ!」
「そうかよ。けど意味ねェと思うが」
「あなたたちのなまえ いっしょにかんがえてあげる!」
「あァ!? なんでそうなるんだよ!」
「だって なまえがないのはふべんだもの いつまでも なまえがよべないのは こまる」
 困らねェよ、という彼らを無視してクロガネは僅かに押し黙った。
 確か会話をした限りでは、とクロガネの中で反芻する。 
 花火や光が好きだったように思えたのだ。それは彼女なりの独特な完成であった。

 いくつかの単語が浮かぶ。
「ハナビ パイロ ワークス カーリット ダイナ オクトー ニトロ 雷汞 光華……」
「おいおいまてまて! 何を勝手に候補を上げてやがる」
「あとはねー」
「だから待てって!」
「いっぱいあるから!」
 そう言ってクロガネは次々と名前の候補を四人の少年たちに告げていく。
 その有無を言わさぬ態度に彼らは辟易していたようであるが、しかし、同時に好意のみの言葉に押されるようになってしまっていた。
 どれを選ぶのかは彼ら次第だろう。
 けれど、確かに何かが変わったような気がした。
 少なくともクロガネにとっては、だ。
 だからこそ、クロガネはカメラアイを瞳を細めるように絞って、彼ら四人の顔を認識するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
ふーむ、とりあえず小童どもと話をしてみようか
ついでに『ワルルーナアイ』も使うぞ。…貴様らの欲求などそれなりにお見通しである!

……むー……むむ?これの感じは……よし、【魔王軍招集:第7冠】を試してみるとしよう。何となくだが!

んー、おほん。
ふっふっふ……貴様ら、誰か気になる相手がいるのではないか?
なーに、貴様らがこれからどう生きていくにしても、貴様らだけでは色々と不便であろう?後ろ盾とか必要であるよな?
故に我が貴様ら相棒をつけてやろうというのだ、そしてどうせ相棒を貰うなら好みに合致している方が良かろう?ほれほれー、全部洗いざらい、希望を喋ってしまうがよいぞー?

※アドリブ等は歓迎であるぞ!



 名前がない四人の少年たち。
 彼らは、皆同じ風貌をしていたし、同じ顔をしていた。
 見分けなどつくはずもない。
 それに彼らは、そうしたことを必要としていなかった。そもそも、ここで彼らの生命は終わりを告げるはずだったのだ。
 しかし、猟兵たちの活躍によって、それは阻まれた。
 今も、名前をつけるだのつけないだので猟兵と戯れるように言い合いをしているではないか。
 まるで童だな、とワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)には感じられて仕方なかった。
「ふーむ」
 こうしてみると、本当にただの童である。
 であれば、と彼女はユーベルコードに輝く瞳を持って、彼らの欲求というものを見やる。
「……むー……むむ? この感じは……」
 そんなワルルーナの様子に四人の少年たちは訝しむ顔をする。
 さっきからなんなんだ、と言わんばかりの顔であったが、ワルルーナはまるで構わなかった。

「よし、試してみるとしよう!」
「だからなんだよ。説明しろよ!」
「ええい、集中しておる! というわけで聞けい!」
「ホント急に何……」
 困惑する彼らを前にワルルーナは演説を打つ。
「んー、おほん」
 咳払いをしたのは、なんでなのか。
 威厳を保ちたいというより、威厳を醸し出すためであったのかもしれない。彼女はもったいぶったような様子を見せた。
 少年たちは、益々警戒する。
「なァ、俺はこのまま尋問なんだろう? なんでこんなことを……」
「ふっふっふ……」
「なんで笑ってんの、こいつ……」
 にやり、とワルルーナは意地の悪い魔王らしい顔をした。

「貴様ら、誰か気になる相手がいるのではないか?」
 ワルルーナの言葉に彼らの眉根が僅かに揺れた。 
 それを彼女は見過ごさなかった。
「図星であろう! なーに貴様らがこれからどう生きていくにしても、貴様らだけでは色々と不便であろう? 後ろ盾とか必要であるよな?」
「いや、その前に処断されるだろうがよ」
「いいや。事の経緯を見てきた我が断言しよう。貴様ら普通に生きているはずだ、これからも! であれば、やはり必要である!」
「この人も急に何……」
 困惑する彼らにワルルーナはさらににじり寄る。
「故に我が貴様らに相棒を見つけてやろうというのだ!」
「ほんと急だな……」
「貴様らどーせ文句を言うのだ。どうせなら、あっちがよかったこっちがよかったやれこうであるべきだ、とな!」
「言わんけど……」
「いーや、言う! ひゃくぱー! 言う! 我のワルルーナアイの見立ては間違っておらぬ!」
「すんごい強引じゃん……」

 ワルルーナはユーベルコードを発露する。
「魔王軍招集:第7冠(アナタニリソウノオアイテヲ)! これが貴様らの好みに合致している相棒である!」
「ぬ……ッ! ってこれは!!」
 ワルルーナがユーベルコードで呼び出したのは、四体の魔物女子であった。
 いずれもがピンク色のロングヘアーである。 
 どこか気品が漂っているように思えるのは気の所為ではなかった。
「ぐっ……」
「うっ……」
「ほれみよー! ほれほれー我慢は毒じゃぞー!」
 いたいけな少年たちの純心を弄ぶワルのムーヴ。
 これこれぇ! これが一度やってみたかったんじゃ、とばかりにワルルーナは悪い笑みを浮かべる。
 彼らは頭を振る。
 強い意志である。

「まあ、その態度は語るに落ちる、というやつじゃなー。あとでせいぜい後悔しないようにのー」
 断固として拒否する四人をよそにワルルーナはまた笑う。
「欲しくなったら、いつでもいうんじゃぞー!」
 その姿は、なんていうかお節介な世話焼き姉さんであったが、どこかからかうような雰囲気があったことを四人はきっと忘れないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
破滅だけを望むのではない。そこに、確かな光が宿っている
好きな人――それが彼らのしるべ

四人の中で、先ほど対峙した少年を見つめ、その表情の色を探る
同じ顔に見えても、私と勝負をして、話をしたのは一人だけ
だから、反応を見れば見分けはつく
怪我はないか問いかけ、必要なら治療するわ
……多分、傷があっても隠そうとするんじゃないかしら

あなたがこれから、どう生きるのかはわからない
でも、ここで聞く言葉や、知ることが、何かを変えるきっかけになるかもしれない
だから……もし知りたいことがあるなら、教えてあげるわ

今でなくても、いい
ただ、彼に――『知らないことを知りたい』という気持ちが、生まれたらと思う



 ある猟兵が四人の少年たちの心の内側を具現化しているのを薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は見ていた。
 ピンク色の髪。
 揺れる赤い瞳。
「破滅だけを望むのではない。そこに、確かな光が宿っているのね」
 彼女は、彼らが慌てふためくように、それを否定していたのも見ていたが、理解していた。
「それが、あなた達の。好きな人――しるべなのね?」
「違う!」
 そう叫ぶ四人の少年たち。
 肯定することが恥ずかしいのだろうと思う。
 いや、そもそも彼らの中に芽生えている感情がなんなのかを彼ら自身が知らないのだ。
 知るにはまだ幼すぎたし、生まれを想像すれば、其れも難しいことだったのかもしれないと静漓は思っただろう。
 故に彼女は、先程の戦いで対峙したオブリビオンマシン『ケルビム・ミルトス』のパイロットである少年を見つめた。

「な、なんだよ……」
「あなたね」
「何が……」
「私と戦ったのは、あなた」
 静漓が言い切ったことに少年は驚いたようだった。わかるものか、と思っていたことを言い当てられたような気分であったかも知れない。
 確かに同じ顔に見える。
 だが、静漓にはわかっていた。
「私と勝負をして」
 そう、勝負。彼女にとってこれは殺し合いですらなかった。
 勝負なのだ。
 勝敗が決定される勝負。
 故に、殺し合いではない、と彼女は言っているようだった。

「話をしたのはあなただけだもの」
「……なんでわかった」
「見ていればわかるもの。見分けがつくわ。怪我はない?」
「……見りゃ分かんだろ。テメェらのおかげさまでな。敵だったのに情を懸けるのは、無駄じゃあないか? そうだろ?」
「他の猟兵達はお見通しね。あなた達なら、傷があっても隠そうとするだろうから」
 そういう意味では、と静漓は肯定した。
 けれど、情をかけるという点においては頭を振った。
 無駄じゃあない、と。

「あなたがこれから、どう生きるのかはわからない」
「そもそも生きられるのかね。普通、こういう場合、俺みたいな鉄砲玉ってのは、処理されるもんだぜ?」
「それでも、あなたは知らなければならない。ここで聞く言葉や、知ることが、何かを変えるきっかけになるかもしれない」
「そんなことがあるとでも? 心変わりがあるって、そう思ってるんなら、おめでたいな」
「そうかしら」
 静漓は見た。
 まっすぐに赤い瞳を。 
 確かに対峙した時に感じた凶暴性は強烈なものだった。
 しかし、オブリビオンマシンを降りた今では、それは感じられない。
 であれば、だ。

「もし、知りたいことがあるなら、教えてあげるわ」
「……ふん」
 顔を背けた少年の瞳の色が揺らいでいるのを見た。
「変なヤツらばっかりだ。ここは」
「そうね。でもそれが良いところ」
「気が変わらねぇかもしれねェぞ」
「今でなくても、いい。でも、私は」
 願っている。
 彼が、彼らが『知らないことを知りたい』という気持ちに目覚めることを。
 かつての己がそうだったように。
 知って、変わっていった己がいるように。
 彼らもまた変わっていくことを、静漓自身が望んでいる。

 すぐさまに変わるものなどない。
 もしも、すぐさまに変わるものがあるのならば、それは元よりそうだった、というだけのこと。
 変わらないものなどない。
 何故なら、生きているのだから。
 過去に流れ着くのは在り得なかった可能性だという。けれど、未来にあるのは、あり得るという可能性ばかりだ。
 であるのならば、変わり続けることこそが、『知らないことを知り』続けるということなのだと静漓は理解している。
「いいわ。色々なことを、知ったから……私もそう在れた」
『天使の群れ』が運んできたものを。
 その行く末を知りたいと思ったことは、彼女の中で何一つ間違っていなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年08月10日


挿絵イラスト