#封神武侠界
#戦後
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●暴言暴言また暴言
封神武侠界は江夏郡鸚鵡洲、アース世界における中国で言うなら湖北省武漢市漢陽区。その地に、かつて始皇帝が猟兵たちを迎え撃った、空飛ぶ水銀楼閣【阿房宮】が出現していた。
『ひゃーっひゃっひゃっひゃ!世の中どいつもこいつもバカばっかりだぁ!』
その中心の玉座で、ひとりの男が高笑いをあげていた。
『とりわけ今の皇帝の司馬炎とやら?やつは到底人の上に立つ器じゃねえなあ!やつはせいぜい料理人がお似合いだぜ!まあ超級料理人には程遠いだろうがな!なんせあれだけの炎だ、煮物も焼き物も揚げ物も全部真っ黒こげにしちまうのがオチだろうぜ!ひゃーっひゃっひゃっひゃ!』
どうやら玉座を埋め尽くす水銀蒸気の影響を受けて、そうとうにハイになっているようだが、おそらくはそれで思考がゆがめられたというよりは、生来の性格が水銀のせいで悪い方に強化されてしまった、という方が正しいのかもしれない。
『この世界のどこにも皇帝の器たるヤツはいねえ!ならしょうがねえ!ここはこのオレ様が天下を盗ってやるしかねえな!』
ともあれ。水銀の夢にうなされた男は阿房宮を司馬炎のおわす洛陽へと向けるのであった。
グリモアベースにて。
「封神武侠界もすっかり平和になってたと思ってたんだけどねえ、まだまだ散発的なオブリビオンは出てくるものだねえ」
集まった猟兵達に大豪傑・麗刃(27歳児・f01156)はさっそく説明を開始した。
「えっと、かつて始皇帝が【殲神封神大戦】で使ってた移動要塞は、地下宮殿の【始皇帝陵】と、空中要塞の【阿房宮】てのがワンセットになってたわけだけど、今回の敵さんはどういうわけだかそれを入手したらしいので、みんなにはそれを攻略してほしいのだ。」
侵入する時は始皇帝陵から入って阿房宮に行く事になるが、この時、戦争でも稼働していた、始皇帝陵の【辰砂兵馬俑】と阿房宮の【水銀蒸気】は今回もしっかり稼働しており、突破のためにはこれらの対策は必須となるだろう。そして阿房宮に待ち構えている敵ボスだが……。
「……なんでも、むっちゃくちゃ口が悪いらしいんで、ちょっとそのあたり覚悟しといてほしいのだ」
どちらかといえばいつもおちゃらけている麗刃が真面目な顔をするぐらいだから、相当に口が悪いのだろう。おそらくはただの暴言にとどまらず、それすらも攻撃手段にしてくる可能性もある。気をつけた方が良いだろう。
「まああれだ、どっちにせよ、要塞は洛陽に向かってるらしいので、なんとかがんばって到着する前にやっつけてほしいのだ……あと!」
一度言葉を切り、何やら考え込むと、麗刃はきわめてまじめな顔で言った。
「ボーゲンはスキーの時だけにしておくのだ!」
あるいは麗刃のダジャレに暴言を飛ばしたくなった者もいるかもしれないが、ともあれ猟兵たちは封神武侠界へと向かうのであった。
らあめそまそ
せっかく作った宿敵お披露目。らあめそまそです。
封神武侠界のシナリオをお送りいたします。第1章が始皇帝陵の戦い、第2章が阿房宮の戦いと全2章構成になっております。やる事はちょっとギミックはありますが基本的には純戦とお考えいただければ問題ないかと。ただしグリモア猟兵が言った通り、今回のボスは大変に口が悪いです。無視するか、罵倒合戦に持ち込むか、怒りを言葉ではなく拳で示すか、それとも別の方法があるのか?すべては皆様にかかっております。
それでは改めて皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 集団戦
『面影鬼』
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POW : ここは桃源郷
【己が何者であったかを忘れさせる桃の香】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
SPD : もはや帰れぬ桃源郷
戦場全体に、【強い眠気と記憶障害を誘発する桃の木】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : 失われた桃源郷
【強い風とともに、闘争心を失わせる桃の花、】【困難に立ち向かう克己心を失わせる桃の実、】【生への執着心を失わせる桃の木の枝】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:high松
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●甘言一般兵あらわる
始皇帝陵に足を踏み入れた猟兵たちの前に、早速一般オブリビオンが立ちふさがった。
『この先に進んでもつらい思いをするばかり、ならばここで心を休めていくがよい』
とはいえ【増殖する辰砂】が様々な武器に変形しながら周囲を飛び交う中では到底心を休めるわけにいかないのだが。それを知ってか知らずか、相手は強引にでもこちらの心を休めさせようとするようだ。
今章の敵【面影鬼】は、今回のボスが暴言過多ということもあり、逆に甘い言葉で猟兵を褒め殺しにしようとするが、意図しての事か、それとも意図とは逆の事なのか、結果として本当に致命的な事になりかねない危険な相手だ。その能力は以下の3種類だ。
【ここは桃源郷】は、猟兵の心を癒すような甘い言葉とともに、甘い桃の香りを飛ばすものだ。この相乗効果で犠牲者は自らの記憶を失ってしまうという。記憶が失われては増殖する辰砂の攻撃を防御する事はきわめて難しくなるだろう。
【もはや帰れぬ桃源郷】は、猟兵の心を癒すような甘い言葉とともに、桃の木でできた迷路を作り出すというものだ。迷路は甘言との相乗効果で眠気や記憶障害を誘発する桃の木でできている。眠気や記憶障害があっては増殖する辰砂の攻撃を防御する事はきわめて難しくなるだろう(2回目)。
【失われた桃源郷】は、猟兵の心を癒すような甘い言葉とともに、桃の花、桃の実、桃の木の枝を飛ばすというものだ。これらは甘言との相乗効果で猟兵の戦闘や生命維持等の意欲を失わせるという。闘志が失われては増殖する辰砂の攻撃を防御する事はきわめて難しくなるだろう(3回目)。
以上、自らは妨害に徹してステージギミックを最大限に利用したなかなか厄介な敵だが、どうにかしなければなるまい。まずは不規則に宙を舞い、突然こちらに飛んでくる【増殖する辰砂】の対策は必須だろう。その上で、敵の能力にどう対抗するか。プレイングの字数に余裕があれば、敵がどんな甘言を言うか予測するのは有効かもしれない。いずれにせよ、連中は決して弱敵ではないが尖兵には変わりはない。前菜はあっさりと平らげ、メインディッシュに供えようではないか。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
暴言自慢となりますと、黄祖さんに斬られたあの方ですかねぇ?
『FAS』により飛行、『FLS』で『FQS』『FIS』を召喚しまして。
『FMS』のバリアで全方位を覆い【衎閡】を発動、『魔力壁』を形成しますねぇ。
『桃の香』は五感の一つである嗅覚をトリガーとする以上『五感干渉による影響遮断』で防げますし、守る対象が私一人であれば『辰砂』による攻撃は『魔力壁』貫通時点で1%以下まで軽減可能、内側に『FMS』のバリアが重複し、多少貫通しても『FQS』の治癒を重ねれば問題ありません。
後は『FRS』『FSS』の[砲撃]を『FIS』で転移、防御態勢を維持した上で[範囲攻撃]で叩きますねぇ。
●やったのは部下の呂公で投石
やはり今回も一番槍は夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)であった。そしてるこるには、どうやらグリモア猟兵が言っていた今回の敵について思い当たるフシがあるようで。
「暴言自慢となりますと、黄祖さんに斬られたあの方ですかねぇ?」
さて誰のことでしょうね。黄祖は三国志の人物で、荊州をおさめていた劉表の部下である。荊州の一部である江夏の太守であり、幾度となく荊州に攻め込んできた孫堅やその息子孫策、孫権と戦い、最後には敗死したものの、まあ結構がんばった人ではあった。その黄祖に殺された人といえば、やっぱり孫堅のことですかねえ。いやあれは斬られたんだっけ?まあいいか。
ともあれ、るこるはエネルギー翼を広げて始皇帝陵内部を飛行して移動した。屋内ではあるがそれくらいの高さはあるようだ。たださすがに攻撃が届かない程高く飛行は無理だったようで、たちまちるこるの動きは面影鬼に捕捉される。増殖する辰砂が飛び交う中、面影鬼はるこるに語り掛けた。
『そこまでのふくよかさ、余程育ちの良いご婦人に違いない』
一応褒めているらしい。まあ体格が良いのは食生活も良いという解釈なのだろう。現代アース世界において食事にカネかけない方が太りやすいのとはまた状況が違うのである。
『御令嬢がこの先に進むのはあまりに荷が重いであろう、ここで休んでいくが良い』
「育ちが良いかは知りませんけどねえ」
飛んでくる桃の香りに対してるこるは祭器を展開すると、ユーベルコードを発動させた。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『没我の加護』をお与え下さいませ」
その名は【衎閡】といった。衎は楽しむ事、閡は閉ざす事だ。読みの『バンジャクナルテンタン』は『盤石なる恬淡』か。これは感情および五感に対する影響を防ぐユーベルコードのようで、面影鬼が飛ばしてくる桃の香が嗅覚に働きかける影響を遮断し、さらには面影鬼の甘言も防げそうである。ならば物理攻撃はどうだとばかりに、るこるめがけて増殖する辰砂が飛んでくる。が。
「それも防げるんですよねえ」
衎閡の効果で、るこるが展開した祭器から魔力壁が発生してるこるを覆う。この魔力壁により、敵からのダメージは『レベル÷味方の数』分の1になるという。今回るこるはソロだから味方の数は1。るこるのレベルは165。つまりダメージは165分の1。なるほどるこるの言う通りダメージは1%以下に抑えられるようだ。
『残念だ、ここに留まっていれば苦しむ事もないものを』
「それを決めるのはあなたではないですからねえ」
るこるは転移用の祭器を使い、攻撃用祭器の砲撃を面影鬼に直接叩き込んだ。こうすることで自らは防壁の中にいながら敵に攻撃をくわえることができるという寸法だ。精神攻撃主体の面影鬼は直接攻撃には長けていないようで、るこるの猛攻を受けて次々に吹き飛んでいった。
大成功
🔵🔵🔵
諏訪野・啓太郎(サポート)
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
スペースノイドのスターライダー×電脳魔術士、34歳の男です。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、負傷した仲間には「元気に(俺、~くん、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●まだ僕には帰れるところがあるんだこんなうれしいことはない
諏訪野・啓太郎(さすらいのライダー・f20403)は放浪者である。気が付いた時は宇宙バイクを駆ってあちこち飛び回っていたそうな。なんでこんな生活になったのかは……おそらく覚えていてもどうでもいいと言うような気がしないでもない。で、ある時点から一人旅は二人旅に変わったらしいのだが、偶然にも今回は単独行であった。
「やれやれ、なんでこんな所に来ちまったかねえ」
その啓太郎が封神武侠界の、それも始皇帝陵の地下に来てしまったのは、まあ大した理由もあるまい。愛用の宇宙バイクに導かれるまま偶然に辿り着いた、とでも言っておけば十分だろう。だが来訪を受けた側としてはそう言ってられないわけで。
『放浪者がここに立ち寄ったのも何かの縁、ゆっくりしていくがよい』
出迎えた面影鬼は早速桃の香を飛ばした。それは啓太郎がバイクの長旅で蓄積された疲労をたちまちのうちに吹き飛ばしてくれるような心地の良いものであったが、同時に啓太郎は何やら危険なものを察知し、思わず飛びのいた。
『抗うでない、貴殿はお疲れのご様子、ここでしばし休んでいればよかろう』
「っち、ろくなもんじゃねえな」
啓太郎の予感は当たっていた。この香に包まれた者は体力回復と引き換えに記憶を全て失ってしまうのだ。そうなったら少し休むどころか、下手をすれば永遠に楽園の住人となってしまうことであろう。
『これ以上旅を続けても待っているのは苦のみですぞ』
「上等だね」
これ以上厄介な香を吸い込む前にと、啓太郎はは【森羅牙道砲】を連射した。敵を吹き飛ばす効果がある衝撃波は、面影鬼にダメージを与えるのみならず、桃の香を遠ざける効果も発揮してくれた。
「俺はただのろくでなしの旅烏ですよ、安住の地なんて俺には似合わねえや」
そのまま一気にも面影鬼を押し切り打ち倒し、啓太郎はつぶやいた。そして口にした事よりも重要な事が啓太郎にはあった。昔ならいざ知らず、今の啓太郎には場所はともかくとして、戻るべき相手がいるのだ。こんな所で朽ち果てるわけにはいかないのであった。
成功
🔵🔵🔴
カグヤ・モンデンキント(サポート)
モンデンキント級要塞艦に宿ったヤドリガミですわ。
女性に年齢を聞くものではなくてよ。
道具を由来とするヤドリガミの例に漏れず、私もまた、誰かに使ってほしいという願望を業として持っております
なので、他の猟兵の方と共にシナリオに参加いたしますわね
猟兵の方々はオブリビオンを殲滅することを目的としているご様子
ならばオブリビオンが発生した惑星を破壊すべく、地球型惑星を破壊できる規模の主砲であるユーベルコード「ジャッジメント・クセイド」を放ちますわ
止められたら、地殻を割らない程度に威力を抑えますが、近隣の津波や火山活動の活性化などにはお目こぼしくださいね
さもなくば別のユーベルコードを使いますわね
●オーバーキル
カグヤ・モンデンキントはヤドリガミである。そしてカグヤの元となったものは……スペースシップワールドの超巨大要塞であったらしい。それがいろいろあって今や猟兵生活である。人に歴史ありとはいえ、世の中おもしろいもので。
「さて、私を必要としているのはここみたいね」
そんなカグヤが封神武侠界に来たのは、兵器である自身が役に立てる場所はやはり戦場ということで、オブリビオンと戦う猟兵たちの道具としてその力を存分に発揮したいというのがあったようだ。そしてその力を振るうべき相手はまさに眼前にいた。
『長い、実に長い旅をしてこられたご様子』
相手が危険な戦略兵器であろうとも面影鬼の態度は変わらない。言語が通じる限り心を動かし篭絡する事はできるはずなのだ。
『それはそれは長きにわたる苦労の連続であったろうに』
「女性に年齢を聞くものではなくてよ」
カグヤは冷静に対応した。亜空間からの惑星破壊レーザーでいきなり吹き飛ばしても良いのだが、やはり地下という場所はちょっと気になった。いきなり大火力をぶっ放しては自分や他の猟兵たちも生き埋めになりかねない。
『だが、もはやこれ以上苦を刻むのを見ているのは心苦しい、しばし休んでいくとよい』
面影鬼は桃の花を飛ばしてきた。これが危険なものである事にカグヤはすぐに気が付いた。実際、これを受けると闘争心が失われてしまうのだ。そうなっては周囲に浮いている危険な辰砂兵馬俑を回避するのも難しくなってしまうかもしれない。
「ちょっと早いかもですが……行きますわ」
もう少し威力を計算する時間は欲しかったが、カグヤは【ジャッジメント・クルセイド】を放った。瞬間、天井を突き破って強大な光線が桃の花や辰砂兵馬俑もろとも面影鬼を焼き払った。そして天井が崩れ、カグヤの頭上からにも瓦礫が降り注ぐ。幸いにも天井が崩落する程ではなかったようだ。
「まあ、大地が割れなかっただけでもよしとしましょうか」
表情を変えないままになかなかぶっそうな事をカグヤは言った。
成功
🔵🔵🔴
飯綱・杏子(サポート)
狩った獲物は持ち帰ってもいいっすか?
|食材《オブリビオン》がヒト型でなければ料理して喰らうっす
ヒト型の食材を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが|マナー《マイルール》っす
リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす
悪魔だから|毒は利かない《【毒耐性】持ち》っす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす。|熟成肉《リビングデッド》うまうま
|八つ裂きにされても死なない《【切断部位の接続】持ち》っす
同行者の都合で、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ
白子もミルクも大好きっす
●食いしん坊万歳
「狩らせてもらうっすよ」
敵を前に飯綱・杏子(悪食の飯テロリスト・f32261)は満面の笑みを浮かべていた。だがそれは眼前の敵を強敵と踏んで戦いに心躍らせているわけでも、逆に弱敵と見て楽な相手だと余裕の笑みを見せているわけでもない。ズバリ、称号がその理由を示しているのであった。
「そして持ち帰りっす」
杏子は食道楽の悪魔として、オブリビオンを食す事にワルを感じていた。で、また周囲を舞っている増殖する辰砂についても、杏子は食える可能性を探していた。むろん刃物ほどに鋭い金属部分は食えないだろうが、その中には可食部があるに違いないと決めつけていたのである。
『なるほど、それが汝の願いか』
ただでさえ強大なデビルキングワールドの悪魔、しかも危険な思想持ちではあるが、それでも面影鬼は温和な表情を崩さない。精神を安らげる事に自信を持っているのだ。
『ならば思う存分美食を味わうが良い』
面影鬼は桃の実を杏子に投げつけた。これは命中した対象から困難に立ち向かう克己心を失わせてしまう恐るべき効果があった。桃の花や桃の木の枝とともに使用する事で、相手を完全に廃人にしてしまうという。そうなったら杏子はオブリビオンを存分に食らう覚めない夢を見ながら増殖する辰砂に切り刻まれてしまうだろう。が。
「うーん、そういうんじゃないんっすよねえ」
投げつけられた桃の実を杏子はあっさり回避した。普通に食べられるものを食べてもワルじゃないのだ。そしてお返しとばかりに杏子は毒リンゴを面影鬼に投げつけた。
「せめてこういうものを投げてほしいっす」
『!!??』
杏子にとって毒は酒みたいなものであるらしい。が、面影鬼にとってはやはり毒だったようで、まともに毒リンゴを口の中に放り込まれ、面影鬼はひとしきり悶絶した後倒れた。そして杏子は倒れた面影鬼を抱えた。
「さて、これは持ち帰っていいんっすよね」
ちなみにヒト型のオブリビオンを料理する時は杏子は人型をやめるらしいが、残念ながらそれがどんな姿なのか、それを知る者はいない。たぶん。
成功
🔵🔵🔴
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
●そもこっちの僵尸はあんまり吸血要素ないかも
風雷堂・顕吉(|吸血鬼《ヴァンパイア》|狩人《ハンター》・f03119)は日本語名に見えるが実際はれっきとしたダークセイヴァー出身で、読みはトルトニス・フォルトゥナトスと言うそうな。で、ダンピールとして同世界で長らくヴァンパイアと戦ってきたので、他世界を渡る理由もまたヴァンパイアを狩る、あるいはヴァンパイアの情報を集めるためであったそうな。そんなわけで封神武侠界を訪れたわけだが。
「果たしてここにヴァンパイアの情報はあるのだろうか?」
普段はサングラス着用の顕吉だったが、さすがに地下でははずしていた。さて封神武侠界にも『吸血鬼』ぽい者は一応存在する。同地における著名な不死人といえばむろん|僵尸《キョンシー》であるが、時として彼らが暴走してオブリビオンと化す事もある……とはいえやはりダークセイヴァーのヴァンパイアとは間違いなく別種なんだろうけど。
『汝は長き事戦ってきたようだ』
どういう理屈かは不明だが、面影鬼はそんな顕吉の事情を察知したようだ。本当にその境遇を憐れんでか、それとも単に精神的に屈服させるための手口としてなのか、面影鬼はそれを指摘し、顕吉に危険な誘いをかけてきた。
『さすがに少しお疲れのことであろう、せっかくここに来たのも何かの縁、少し休んでいくがよい』
「……む?」
顕吉は桃の香を感じ、すぐさまそこにヴァンパイアに相対した時のような危険を察知し飛びのいた。これまでヴァンパイアと死闘を繰り広げてきた経験が、記憶を失わせる脅威から顕吉を助けたのだ。そして顕吉は|小竜公《ドラクリヤ》の銘を持つ刀を抜いた。
「俺はこんな所で休むわけにはいかない、まだまだ闘うべき相手は世界中にいるんだ」
そして一気に面影鬼に接近するとこれを両断した。
「さて、この先にヴァンパイアの手掛かりはあるのやら」
なければないで、行きがけの駄賃にオブリビオンを狩るのも良いだろう。顕吉は先へと進んだ。
成功
🔵🔵🔴
かくして猟兵たちは無事に地下の始皇帝陵を突破し、空中の阿房宮へと突破した。
そこで待つ者は……。
『ひゃーっはっはっは!来やがったなバカどもが!いい加減待ちくたびれたぜ!』
第2章 ボス戦
『狂士・禰衡』
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POW : 天地広しといえども真当な人物はひとりもいないのか
【人物への酷評】を給仕している間、戦場にいる人物への酷評を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD : 漁陽參撾
【太鼓】から、物質を透過し敵に【感動】の状態異常を与える【絶妙の楽の音】を放つ。
WIZ : さしずめ祠の神様といったところだな
対象のユーベルコードに対し【対象のユーベルコードへの酷評】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:米田kome*
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠大豪傑・麗刃」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●よく狂士と言われるけどその出典はわかってない
禰衡。名の読みは『でいこう』あるいは『ねいこう』。まあ呼びやすい方で良いだろう。封神武侠界以外では正平という字も伝わっている。
その才能は並外れていたが、現在ではその才能よりもむしろ他者に対する容赦のない罵倒にも近い激辛の人物評で知られた人物であろう。いろいろあって曹操の所に行った時、傍若無人な振る舞いで曹操やその配下を激怒させ、劉表のもとに送られるもやはりそこでも劉表やその配下を激怒させ、最後には劉表の部下である黄祖に殺されてしまう末路となった。ただ、曹操やその配下を延々と罵倒したり、曹操の嫌がらせに対して機転を活かして逆襲したりと、確かに才能あった人物であり、当時すでに権力を握っていた曹操に対してここまでの振る舞いをやってのけたという事で、京劇の題材になる程に人気を博した人物でもあった。
かつて始皇帝が座していた阿房宮の玉座に座っていたのは、その禰衡であった。
『どいつもこいつも荀彧同然だな!見てくれだけで、弔問の使者あたりがお似合いだぜ!』
早速猟兵達を罵倒しにかかった禰衡。だが曲がりなりにも歴史に名を残した人物の言葉が、ただの悪口で済むはずがないのだ。
まず、かつての戦争のように、阿房宮の中は水銀蒸気で埋め尽くされている。いかに猟兵といえど、無策で突入してはたちまちのうちに全身を水銀に侵されてグリモアベース強制送還となってしまうだろう。これに対する対策は必須だ。その上で、以下に上げる禰衡の3つの能力が立ちはだかって来る。
【天地広しといえども真当な人物はひとりもいないのか】は猟兵への罵倒だ。それはもう情け容赦のない人物評をしてくる事だろう。だがそれに対して対応を誤ると行動速度が激減してしまう。そうなったら水銀蒸気への対策も破られてしまう可能性が高い。防ぐためには酷評を【楽しむ】必要があるらしいが、果たしてそんな事ができるのだろうか?なおプレイングの字数に余裕があれば酷評の内容を書くのも手かもしれない。
【漁陽參撾】……禰衡は曹操に太鼓を叩くように命じられ、その時に叩いた太鼓の打法がこの|漁陽參撾《ぎょようさんか》で、その演奏は禰衡に激怒していた曹操やその部下たちをすら感動させる程見事だったという。オブリビオンと化した禰衡の太鼓の音は、猟兵の防御すら貫いて脳に直接届き、感情のない者薄い者すら感動させてしまうそうな。そうなったら水銀蒸気への対策も破られてしまう可能性が高い(2回目)。
【さしずめ祠の神様といったところだな】その心はといえば、供物だけとってご利益は全くないと。これは禰衡が黄祖を罵倒した時の言葉だが、禰衡はこんな感じで猟兵のユーベルコードに対して強烈なダメ出しを行い、それをもってユーベルコードを消滅させてしまうそうな。ユーベルコードが消えたら水銀蒸気への対策も破られてしまう可能性が高い(3回目)。果たしてこれを破る手段はあるのだろうか?
以上、妨害のみに特化したオブリビオンであり、攻撃は全て水銀蒸気に任せる形になっているが、それだけに妨害能力は非常に高く、これを破るのはなかなか困難かもしれない。だが阿房宮のこれ以上の進撃を許すわけにはいかない。なんとしても禰衡をここで打ち破らなければならないのだ。手段を考えるのも、また罵倒全振りな点についてもなかなか大変な相手ではあるが、その、なんだ。なんとかしてくださいお願いいたします。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
|過去の存在《オブリビオン》相手ですし、或る意味弔問でも間違いないですかねぇ?
歴史に残る面罵を聞けるのは少々楽しみですが、確実とも言えませんので。
【瑋籬】を発動し『豊体』に変異、『豊玉』と『豊壁』を召喚しますねぇ。
「水銀蒸気」は『FPS』で情報を把握、『FES』の結界と『FLS』の空間歪曲、『FHS』の吸収結界を重ねた[結界術]で「水銀」の分子サイズを通さないフィルター状の結界を形成すれば動作が遅れても問題なく、『祭器』が侵食されても『超修復』で対応可能ですぅ。
同時に『広域存在吸収』であれば、限られた屋内での戦闘故に『酷評』で形成が遅れても何れ逃げ場は無くなりますので。
●私の体はゴムみたいなものでしてねえ
かつての荀彧同様、禰衡に弔問の使者がお似合いと言われた夢ヶ枝・るこる。その心は見てくれだけだという事。ただるこるはそれに対して別に動じるような事もなく。
「|過去の存在《オブリビオン》相手ですし、或る意味弔問でも間違いないですかねぇ?」
そしてるこるの眼前の禰衡も間違いなく過去の存在だ。ただし弔問と違うのは、るこるをはじめとする猟兵たちの目的は死者の死を惜しみこれを弔う事ではなく、復活した死者を再び送り返す事にあるわけで。
『なんだぁ?またさえない奴が来たもんだなあ!』
そして今回の死者は、舌禍によって死しておいて、むしろその舌鋒は衰えるどころかますます磨きがかかっているようであった。
「歴史に残る面罵を聞けるのは少々楽しみですが……」
ただ、るこるは禰衡が敵として現れる事は前もって予測していたようで、それだけに彼の罵倒を楽しむ心づもりはできていたようだ。ただそれとは別に、対策は練ってはいたようで。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『双宝の加護』をお与え下さいませ」
そのユーベルコードの名である【瑋籬】といった。瑋は美しい玉、籬は垣根。読みの【ナイジンノニナイテ】は【内陣の担い手】であろうか。そしてその力は、超兵器『豊玉』と超装甲『豊壁』という『双宝』を得る事。それはきわめて強大な力を持つが、オリジナルとなったユーベルコードはその代償として大切な記憶一つを失うという。るこるは自らの体を『豊体』なるものに変える事で記憶を失う代償の代わりとしていた。
『ぶ、ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!なんだあそりゃ!』
豊体と化したるこるの姿を見た禰衡は大爆笑した。るこるのユーベルコードには代償として身体変化を伴うものがいくつかあるが、その身体変化というのは、まさに豊体と呼ぶにふさわしいもの。よく「ぽっちゃり体型」とか言う時の、特別極端な感じを想像すれば大体当たっているかもしれない。
『そんなナリじゃあ弔問の使者すら無理だなあ!お前みたいなデブは厨房で客を接待するのがお似合いだぜ!やはりこの世界には真っ当な奴は誰ひとりとしていやしねえや!』
さっそく禰衡の情け容赦ない罵倒が飛ぶ。それはただの罵倒ではない。それを楽しめなかった者の行動速度を極端に低下させ、いかなる才人も凡夫に変えてしまう恐るべき魔技なのだ。るこるは水銀蒸気への対策として防御用の祭器を大量展開していたが、速度低下が祭器にまで及んだら?それでも張った結界そのものが侵されるとは考えづらかったが、パソコンが遅くなった時と同じで、祭器の遅延が誤作動に繋がってそのままクラッシュする事も勘案に入れる必要はあるかもしれない。
「なるほど史実通りですねえ」
果たして自分の対応が罵倒を楽しんでいる範疇に入るのか。それとは別問題としてるこるは得られた『双宝』を発動させた。まず『豊壁』はるこるが使用する祭器を超修復する力がある。祭器の稼働速度が減少した場合、これで即座に修復する事で水銀蒸気への防御を万全に使用という狙いがあった。そして攻撃に使う『豊玉』の力は広域存在吸収。閉鎖空間である以上、吸収範囲の増加速度が低下しようといずれは禰衡を射程におさめるというのが狙いであった。
『……っち、その脂肪でガードしたってかぁ!?』
結論から言えばるこるの速度は減らなかった。どうやら禰衡の罵倒を拳法殺しの肉体で受け止める事ができたようだ。自身の舌鋒が通じず悔しがる禰衡を、やがて豊玉の吸収がおよび、飲み込んでいった。
大成功
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荒珠・檬果
ああ、そういえばいましたね、彼…。演義だと罵倒の数増えてたりする彼…。
私の推しは左官屋でしたっけねえ。
水銀蒸気へは、EP硝子の盾から発生させた耐毒性浄化結界術で対処。
はー、私へも罵倒してきますか。弔問すらも似合わない、と。
まあ、シャーマンズゴースト、他の世界にもいても謎すぎるやつですけどね。
ただし、楽しみますけどね!ええ、あなたの罵倒にいちいち目くじら立てても仕方ないので!
それに、謎すぎるのはそれはそうなので。
そして、舌禍には舌禍を。
珠にした白日珠より、ビーム発射。ルールはただ一つ。
「言の葉を発するなかれ」
つまりは口閉じろってことです。簡単でしょう?
まあ、閉じてもビームは続けるんですけどね!
●舌はまだついているか
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は筋金入りの三国志ファンだ。彼女のユーベルコードの多くが三国志の武将を呼び出すものである事からもそれがよくわかる。そんな檬果だから、当然禰衡の事も知っていた。
「ああ、そういえばいましたね、彼……演義だと罵倒の数増えてたりする彼……」
そうなんです。最初に言った荀彧についての「弔問の使いがお似合い」は正史でも言っているが、他に罵倒されたのは曹操はじめとする4人。で演義ではもっと増えているわけだが、なぜか正史で罵倒された5人のうち演義で採用されたのが曹操と荀彧のふたりだけだった謎。
「私の推しは左官屋でしたっけねえ」
これは于禁のことだ。なお演義限定の話である。ともあれ、対毒武装であるEP硝子の盾から結界を発生させ、水銀蒸気を防ぎながら問題の禰衡の前に出た檬果に、早速容赦のない罵倒が飛んだ。
『なんだぁ?山海経にでも出てきそうな奴が来たぞ!』
|山海経《せんがいきょう》は三国時代よりも前の地理書であるが、動植物や鉱物などの産物等に並んで、どういうわけか妖怪やら神仙やらの記述が含まれているため、現在では妖怪辞典のような扱いを受けている。
『お前のようなわけのわからない謎な奴は弔問の使者すら無理だな!霊囿とやらで飼われるのが一番似合ってるぜ!』
「はー、私へも罵倒してきますか」
霊囿は周の文王が禽獣を話し合いにした園、すなわち中国史上最古の動物園である。シャーマンズゴーストなんか動物園で飼われるのがお似合いだとか言ったら猟兵の価値観からすればボコボコにされかねない発言であるが、まあそこは封神武侠界ということで。
「まあ、シャーマンズゴースト、他の世界にもいても謎すぎるやつですけどね」
確かに謎の多い生き物だ。その形状もなかなか独特であるが、それ以上に3つの世界に存在し、それぞれルーツが違いながら似た姿に同じ名前を持っているとか、なかなか謎である……まあ、それを言ってしまうと、そもごく一部の世界を除いたほとんどの世界で人間が最大勢力やっている事もなかなか謎っちゃあ謎なのだが。
『……っち、つまんねえな』
「ええ、あなたの罵倒にいちいち目くじら立てても仕方ないので!」
罵倒を受けて腹を立てる様子もない檬果に不満げな禰衡。とりあえず恐れていた速度減少はないようだ。EP硝子の盾もちゃんと作動し、水銀蒸気からの防御を続けている。
「それに、謎すぎるのはそれはそうなので」
シャーマンズゴースト本人が言うのだから、それはまあそうなんだろうねえ。ともあれ敵の攻撃は防いだ。あとは逆襲の時だ。早速ユーベルコード【|我、丞相の補佐なり《ゼッカニヨリミズカラヲタツ》】を発動……おいルビ。
「舌禍には舌禍を!楊儀さん!」
『むう……まあ、よかろう』
呼ばれた楊儀がかなり渋い顔をして現れたのは当然で、まさしくユーベルコードの読みが示す通り、禰衡と同様、才能は間違いなくあったのだが、その最期は舌禍により自殺に追い込まれたというものであった。いわば痛いところを突かれたわけだが、それでも協力はしてくれるのでまずは一安心か。そして楊儀の力で珠にした白日珠から発射されたビームは狙い違わず禰衡に命中した。そして檬果は言った。
「言の葉を発するなかれ」
『あん?何言ってやがんだ珍獣の分際でこの俺様から言の葉を奪おうなんざあばばばばばば』
たちまち禰衡を衝撃が襲う。ビームが命中した相手にルールを宣告し、破ったらダメージ。しかも簡単に守れるルールほど威力が高いという。ならば黙ってさえいればセーフな命令はさぞかし威力が高いだろう。そして処刑される瞬間まで黄祖の罵倒を続けていた筋金入りがその程度で黙るわけがなく、延々と檬果を罵倒してダメージを食らい続けるのであった。
「やはり楊儀さんをぶつけたのは正解でした」
『……それがしはここまでではないぞ』
檬果抗議する楊儀。実際どうなのかは皆様にご判断いただくとして。
大成功
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此原・コノネ
あら、あらあらあら。禰衡おにーさんって面白い人ね!
グリモア猟兵のおにーさんから頼まれてるから、|遊ぶ《戦う》わね!
水銀蒸気は、血液からの発火で結界みたくして自動防御。
ねえ、弔問って何かしら?ああ、お葬式に行くことね?
あたしは数少なかったけど…お葬式作る方だったわよ?
ええ、あたし、ダークネスの六六六人衆だもの!そうなるわ!
そして、禰衡おにーさん…それだけ口が回るなら…その悲鳴はきっときっと素敵だわ!
ありがとう、その罵倒で口が回ることを証明してくれて!【狂劇ノ舞】よ!
使うのは『餓血ナイフ』。切って突いて燃やして!
ああ、何て素敵な声と表情なのかしら!禰衡おにーさん相手の|遊び《殺し》は楽しいわ!
●ペンが剣より強いかは状況次第
「あら、あらあらあら。禰衡おにーさんって面白い人ね!」
『……ん?なんだぁガキかぁ?』
新たに入って来た此原・コノネ(|精神殺人遊び《マインドマーダーゲーム》・f43838)を禰衡は胡散臭い物を見る目で見た。たしかにコノネの無邪気な笑顔は年相応のそれに見えるものではあったが、むろん禰衡とてコノネがただのガキではない事ぐらいはわかっていた。なにせコノネがここに来たということは水銀蒸気をガードできているからということで、その時点で並みの者ではないのだが、その方法がまたすごかった。なにせ自分の血液を発火させて炎の結界を作る事で水銀蒸気から自らを守っているというのだから、並みのお子様の発想ではない。
「グリモア猟兵のおにーさんから頼まれてるから、|遊ぶ《戦う》わね!」
『遊ぶだぁ?俺様と遊ぶなんざ兆憶百千万年早ええぜ!』
それでもなお禰衡は言い放った。狂士と呼ばれた者として、あくまで相手をただのガキと扱い切る事は必須なのだ。早速禰衡はお子様相手にも全く容赦なく罵倒を飛ばした。
『お子様にゃあ弔問の使いも無理だろうぜ!せめてそれができるぐらいになってから出直してきやがれ!』
禰衡の罵倒にコノネはあくまで笑顔で答える。
「弔問……ねえ、弔問って何かしら?」
『っち、弔問もわかんねえのかよ!これだからガキは!』
「ああ、お葬式に行くことね?」
禰衡のペースを乱すようなコノネの語り口は確実に禰衡を苛立たせていた。これは間違いない、楽しんでいる。行動速度が低下してしまったら水銀から身を守るための血液の結界も効果が薄れてしまう恐れはあったが、どうやらその心配はなさそうだ。
「あたしは数少なかったけど……お葬式作る方だったわよ?だってあたしダークネスの六六六人衆だもの!そうなるわ!」
六六六人衆とはかのサイキックハーツ世界において暗躍していた種族ダークネスの一派である。殺人を旨とし、常に666人という数を保っており、仲間内で序列を常に争っている、等の特徴があるとか。さすがに現時点においては666人より数は少なくなっているとは思うのだが。ちなみにコノネは仲間内の殺し合いに関わっていなかったので生き残ったという経緯があるとかどうとか。
『ちっ、やっぱり化生の類だったか』
オブリビオンとしてはおまゆうな発言であったが、苦々し気に禰衡は吐き捨てた。いずれにせよ、ただのガキに封じ込める策はうまくいきそうにない。ならばと次の罵倒を飛ばそうとするが、既にターンはコノネに移っていた。
「ねえ禰衡おにーさん、それだけ口が回るなら、その悲鳴はきっときっと素敵だわ!」
コノネは棒を手に取ると、棒はコノネの血を吸って刀身を生やした。餓血ナイフを構えて、コノネは危険な笑顔を禰衡に向ける。
「ありがとう、その罵倒で口が回ることを証明してくれて!」
『ちいっ!小人はすぐそうやって暴力に訴えようとする!お前なんざ所詮黄祖同然だぜ!』
「いつまでその口が回るか、あたしに見せて!」
そしてコノネは餓血ナイフを用いた【狂劇ノ舞】で禰衡を存分に切り刻んだ。これはただ斬るだけではない。相手の痛覚を過鋭敏化させる効果があり、これを受けた者は激痛のため発狂するか、あるいは無駄を知りつつ許しを請うか、そのいずれかであろう……が、そこは狂士と呼ばれた男。
『なんだなんだぁ、お前は俺様を殺そうとしているのか?それとも眠気覚ましをしてくれてるのか?こんな程度じゃむしろ眠くなっちまうぜ!』
「本当に面白い人!禰衡おにーさん相手の|遊び《殺し》は楽しいわ!でも、もうちょっと素敵な声と表情も見てみたいわ!」
斬られてもなお罵倒をやめない禰衡だったが、残念ながらコノネの速度の落とす事は能わず、惨劇は終わる気配を見せなかった。
大成功
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高崎・カント
水銀蒸気は孔明モーラットさんの東南の風で吹き飛ばしてもらうのです
鍋一杯の鶏肋スープを用意してお椀に入れるのです
お椀には『一合鶏湯』と書くのです
ミ@`・ω・´@ミ<「鶏肋、鶏肋」
禰衡さんのお友達の楊修さんなら簡単に解いちゃうクイズなのです
才があるなら正しく答えられる筈なのです
字を分解すると、一ω、一口になるのです
一匹のモーラットはお椀のスープを一口で食べるのです
そしてモーラットが食べ物を呟くときは「食べたいのです」って意味なのです
自分の言いたいことだけ言って文脈を考えないところがダメなのです
褒めも罵倒も、相手をよく見るのです
だから曹洪さんと曹仁さんを間違えるのです!
きゅー! ダメダメなのですー!
●三国志演義を読んだ人が一度は疑問を持ったはず
かの三国志の時代からモーラットが人々と生活をともにしていた件についてはかの大豪傑出版から出ている『注釈三国志|猛裸闘《モーラット》伝』に詳しいところである。水銀蒸気うずまく阿房宮を前に、高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)は早速ユーベルコード【三国|猛裸闘《モーラット》集結】を使い、そんなモーラットの先人を呼び出した。
「もきゅー!孔明モーラットさん!よろしくお願いするのです!」
『もきゅっ!(よろしい、我が策をお見せしましょう)』
孔明モーラットが祈るとたちまち東南の風が吹き、水銀蒸気を吹き飛ばしてくれた。これなら安心と三国時代のモーラットたちを引き連れて、もっきゅもっきゅと突き進んだ先には問題の禰衡。
『おいおいまーた珍獣かぁ?』
シルバーレイン世界の古代中国にはモーラットがいたようだが封神武侠界では確認はされてはいない。あるいは楽浪郡あたりをよーく探せば見つかるかもとか、瑞獣あたりを探せばそれっぽいのいるかもとかはあるわけだが。ともあれ早速禰衡はカントたちを罵倒にかかった。
『所詮はケモノ風情、頭数をいくらそろえようがそんなものが何の役に立つってんだ!せめて口が回る奴を連れてきやがれ!』
「もぎゅー!たしかに口が悪いのです!」
だがむろんカントとてこれがただの悪口ではないのは知っていた。ユーベルコードにダメ出しを行い打ち消してしまう恐るべき効果があり、三国猛裸闘集結が消されたら当然水銀を防いでいる孔明モーラットも消えてしまう。そうなったら大ピンチだ。
「でもこんなこともあろうかと用意してきたのです!」
モーラットたちが運んできたのは大鍋であった。その中には鶏ガラでダシを取ったうまそうなスープ。これにはさすがに禰衡も罵倒を止め、怪訝そうな顔をする。
『なんだぁ?貢物でも持ってきたのか?珍獣にしては大した心遣いだが、その程度で俺様が動くと思ったら……ん?』
そして禰衡は気が付いた。お椀に書かれた『一合鶏湯』の文字。そしてモーラットたちが口々に言うには。
ミ@`・ω・´@ミ<「鶏肋、鶏肋」
『謎かけのつもりか?』
「禰衡さんのお友達の楊修さんなら簡単に解いちゃうクイズなのです、才があるなら正しく答えられる筈なのです」
『別に友達ってわけじゃねえがな、だがこんなのは子供だって知ってるぜ!」
これは曹操が出し、楊修が説いた謎かけだ。一合を分解すると『一人一口』となる。つまり鶏湯をひとり一口分ずつ皆で分けろという事。そして鶏肋はスープはとれるが食べるには肉がない、捨てるには惜しいけど別に捨てても構わない物程度の意味で、漢中で劉備に負けた曹操が撤退を決めた時の言葉……。
「違うのです!」
『何?』
よもやの不正解に、さすがに才を頼みに生きてきた禰衡の顔に怒りが浮かぶ。カントによれば。
「字を分解すると一ω、一口になるのはいいとしても、一匹のモーラットはお椀のスープを一口で食べるのです!」
『なんだそりゃ?』
「そしてモーラットが食べ物を呟くときは『食べたいのです』って意味なのです!」
『むむ……』
つまり合わせると、鶏湯をいっぱい食べたいと。そういう事であろうか。クイズに正解できなかった事でさすがに黙り込んだ禰衡に対し、カントは続けた。
「自分の言いたいことだけ言って文脈を考えないところがダメなのです!褒めも罵倒も、相手をよく見るのです」
『ちょっと待て、俺様が相手を見てないってのか?』
相手のダメ出しに対する逆ダメ出し。謎かけはともかく罵倒についてのダメ出しが始まった事にさすがに禰衡は抗議したが、カントには切り札があった。
「だから曹洪さんと曹仁さんを間違えるのです!」
『!!??』
禰衡がかつて曹操の部下たちを罵倒した中に「曹仁は銭取り太守」というのがあったが、金銭にがめついのは曹洪ではないかとカントは指摘したのだ。それは才を頼みにしていた者にとっては致命的なダメ出しであった。
「きゅー!ダメダメなのですー!」
『ぐっ……!!』
あるいは万全の状態の禰衡ならそれを打ち破る理屈をこねたかもしれないが、それをやるには禰衡のダメージは蓄積しすぎていた。怒りと恥辱のあまり禰衡は血を吐いて倒れ、そのまま二度と起き上がる事がなかった。
(ちっ、俺様とした事が下手打っちまったようだな、だが次は見てやがれよ……!!)
「もきゅー!凱旋なのです!」
ここに事件は終わり、カントは罵倒ではなく優しい言葉をかけてくれる人の所に帰る事にした。そして他の猟兵たちも、すぐに次の依頼に飛び込むなり、一時の休息を挟むなり、それぞれの道を再び進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵