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シャチの海で遊ぼう！

作者：寅杜柳

●夏真っ盛りのシャチの街
　獣人戦線、アメリカ南西部。
　仮初の繁栄を謳歌するこの国では娯楽も当然楽しまれていて、とある赤道に近いシャチ獣人達が多く住まう西海岸の街は観光客で賑わっていた。
　白い砂浜に燦々と降り注ぐ太陽、現地住民のシャチ獣人や他の地方からやってきたウサギ等の獣人達が様々なビーチスポーツを楽しんでいたり海で存分に泳ぎ回ったりしている姿はとても平和な風景である。
　しかしその楽しい街を幻朧帝国は見逃さない。海よりやってくる悪しきエージェントは、眩しい太陽の生命力とは正反対の地獄をこの地に顕現させようとしていた。

　グリモアベース。
「ほんと最近暑いねー。ちょっと獣人戦線のアメリカで事件の予知見えたからちょっと力を貸してくれないかな」
　そう猟兵達に呼びかけるのはシャチのキマイラであるヴィクトル・サリヴァン（星見の術士・f06661）。

「今回狙われてるのは西海岸にあるシャチ獣人達が多く住まう観光地の街だ。他の地方からも獣人が観光……というより海で遊びに来てるみたいだけど、どうもここを狙って幻朧帝国がエージェントを向かわせて来てるみたいなんだ。厄介な逢魔弾道弾持ってきてるみたいだし、どうにか爆発させられる前にエージェントに接触して撃破してほしい」
　そうヴィクトルは言って、予知の詳細について説明を移す。

「まず街は夏真っ盛りって感じだね。住民のシャチ達も観光客も水着に着替えて海で楽しんでる。土地柄他の地方から人が来るのには慣れてるみたいだから、存分にマリンスポーツとかビーチスポーツとか色々楽しんでいいんじゃないかな。水着はなかったら観光客向けに貸出もしてるみたいだよ。戦い続きなのもアレだし、羽を伸ばす感じで海で遊べばいいと思う」
　オブリビオンは夜にやってくると予知されてるからそれまでは気兼ねなく遊べる、とヴィクトルは言う。

「日中は流石にきついのかもしれないねー。夜の暗い海を泳いでやってくる幻朧帝国のエージェントは『海軍少尉・甲斐長門』、ウミサソリ獣人で頑丈な甲殻を持っている上に強化改造手術で強烈な毒を獲得している。頑丈さで粘り強く戦いつつ毒でじわじわ弱らせ勝利を狙う……そんな戦闘スタイルだね。上手く守りを抜いて戦ったり毒に対処しつつ戦うのがいいと思う。あ、一応海戦の方も得意としてるみたいだから注意しておいた方がいいかもね」
　そう説明したヴィクトルは首にかけたグリモアである鍵を手にして、転送の準備を開始する。

「シャチも猟兵に目覚めたものはまだいないけどいつかは目覚めるといいよねー。まあ先の話になるだろうし、一先ずはアメリカの夏の海をたっぷり楽しみつつ、現地の獣人達の命を守るために頑張ってほしい」
　そう言ってシャチのグリモア猟兵は話を締め括り、猟兵を太陽の眩しいシャチ達の街へと転送したのだった。

第1章 日常 『獣達も海で遊びたい！』

POW   :    ビーチスポーツを楽しむ！ SPD   :    遠泳や素潜りに挑戦だ！ WIZ   :    海の家とかでゆっくりしよう！ 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●半分オフの気分で
　アメリカ南西部、西海岸のシャチの街。
　幻朧帝国のエージェントが破壊工作を計画しているという予知によりこの地へとやってきた猟兵達は、観光客の獣人でいっぱいの海岸へとやって来ていた。
　エージェントが襲来すると予知されているのは夜、その時が来るまではこの仮初の平和を謳歌している夏の海を堪能するのも悪くはないだろう。

「へー、獣人さんの水着も色々あるんだ」
　マスコット等はいるけれども一般的に獣人はいない世界のアイドル☆フロンティア出身の熊ヶ谷・咲幸（チアフル☆クレッシェンド・f45195）は水着のレンタル店へと足を運んでいた。
　階梯も種族も様々に存在している獣人達、彼らに合わせて水着のデザインやバリエーションも様々で、他の種族でも着られる水着がないということはなさそうだ。
　アイドル志望の咲幸としてはデザインから学べることもあるかもしれないと色々と見て回っているのだが。
『……これ強度とか大丈夫なのリン？』
「一応大丈夫なんじゃないかな？　上の方厚めに仕立ててるみたいだし」
　クマリンが見ているのはシャチとかトカゲ等の尻尾が太い種族向けらしい大きな尻尾穴の開いた水着、よく見ると破れないように工夫とかはされているようだけれども、水着単品で見ると少々ぽっかり開いたインパクトが強すぎる。
　なお今の彼女はおしゃれではあるけれども普通の私服、一応今年の水着を仕立ててはいるけれども、それを着て泳いだりするかは少々悩みどころだ。
　まあ夜まで時間はたっぷりある。たっぷり悩みつつ、この獣人戦線の夏の海を楽しむ咲幸とクマリンであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

●海の家から見える風景
　白い砂に輝く太陽。
　そんなアメリカのシャチ獣人達の街で、轟・やゆよ（あにそん伝道師・f06396）は波打ち際から少し離れたところにある酒場のような、あるいはカフェのようなお店で甘味を楽しんでいた。
　アメリカらしい豪快な甘味のアイスはこの照り付ける太陽の下であっという間に溶けてしまいそうで、冷たいうちに食べねばと急ぐのだけれども、舌から脳天へと突き抜ける強烈な甘味と同時にくる冷たさと痛みがスプーンを動かす手を鈍らせてしまう。
　こめかみを抑えつつ、海の方をみやるやゆよ。そこではクマ獣人よりも一回り大きなシャチ獣人が海を縦横無尽に泳いでいて、観光客らしい他の種族の獣人たちもそれぞれ楽しんでいる様子が見える。
　やや沖の方に離れた位置にでかいシャチが見えた気がするが、土地柄あちらも階梯0か1の獣人なのかもしれない。
　それはさておき、この獣人戦線のアメリカは仮初の平和を謳歌しているのだが、お店のラジオから聞こえてくる音楽は戦意を高揚させるような勇ましい曲が多く、客の獣人たちも気に入って心地よさそうに聞いている。
　バーチャルキャラクターであるやゆよの使命、そう信じていることはアニソンを伝道すること。勇ましく闘志を燃やすような曲が好まれるなら熱血アニソンも案外ウケるのではないだろうか。
　幸いこのお店には歌のステージがあるようで、上手く店主と話をつけることができれば使わせてもらえるかもしれない。
　そう考えつつやゆよはアイスを食べきると、善は急げとばかりにシャチの店主へと歌の交渉にかかるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

●海で元気に！
　そしてもう一人、海で元気に時間を過ごしているのは諏訪野・みすず（不思議系ダンサー・f00636）というバーチャルキャラクターの少女。
　やや際どい布面積の桃色の水着姿の彼女は、持ち前のコミュ力で現地のシャチ獣人達と打ち解けてマリンスポーツを楽しんでいた。
　普通の人間の二倍近い身長のシャチ獣人、彼らの得意としているのは当然海中や海上でのスポーツで、その尾の推進力で水面から高く跳躍し、ざぶんと大きな音を立てて着水したりと持ち前の高い身体能力を見せつけていた。
「やるね！　でもみすずちゃんも負けてないよ！」
　そう言ってみすずはシャチ獣人の背を借りてジャンプ、ダンスや空中戦をも得意とするスカイダンサーとしてのバランス感覚や身体能力もあって、先程のシャチにも負けない――いや、それ以上の高さに飛んで、くるりと華麗に海に飛び込んだ。
『ちっこいのにすげぇ！　海鳥よりも身軽なんじゃないか？』
　華麗で高い跳躍に驚きつつ称賛するシャチ達に、みすずも少々照れくさく感じつつ、周囲の海をちらりと見やる。
（「邪魔になりそうな岩とかはなさそうかな」）
　夜にやってくるというエージェント、戦闘は人気がなくなったこの海や海岸で行うことになるだろう。サポートするには現地の地形などを知っておく方が効率は良い、遊びながらもやるべきことはやっているみすずであった。
　それはそれとして。
『ボールあるけど水中バレーとかやってみないか？』
「あ、やってみる！」
　シャチのお誘いに元気に返すみすず。物騒な戦いが始まる夜までは、この海での時間を楽しく過ごすのも悪くはない。
　そして日が沈むまでバーチャルキャラクターの少女はたっぷりとマリンスポーツを楽しんだのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 ボス戦 『海軍少尉・甲斐長門』

POW   :    断切鋏撃 【標的に食い込む歯の付いた両腕の大鋏】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。 SPD   :    死毒連打 【頑丈な甲殻と防御技術で攻撃を受け流す突進】で敵の間合いに踏み込み、【尾の猛毒針から強化改造で超強化された猛毒】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。 WIZ   :    尾毒散布 【尾節の各部にある猛毒の噴出口】から【周囲に拡散していく麻痺毒の霧】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。［周囲に拡散していく麻痺毒の霧］は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。 イラスト：撒菱．R 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●毒持つ海の襲撃者
　観光地の賑やかな海も、日が暮れて夜も深くなってしまえば獣人達の姿もすっかりなくなってしまう。
　そんな海岸に静かに上陸してくる青の甲殻纏う幻朧帝国のエージェント『海軍少尉・甲斐長門』、懐に隠した逢魔弾道弾はこの平和な観光地を歪んだオブリビオンの都へと変えるのに十分な威力を有している。
　しかしそれを阻止するべくこの地にやってきたのが猟兵達、上陸して逢魔弾道弾を設置させる前に素早く包囲、その破壊工作を妨害する。
『……排除する』
　言葉少なに呟いて、毒々しい蛍光色の針を有する毒を溜め込んだ尾を伸ばし身構える長門。拡散する毒は市街地であるなら周囲に被害を広げかねない厄介な代物だが、周囲に一般人は居ない事を確認しているためその被害を恐れる心配はないだろう。
　毒操るウミサソリの工作員からシャチ達の平和な街を守るべく、猟兵達はユーベルコードを起動し攻撃を開始するのだった。


●痺れる前に駆け抜けろ
　青の甲殻を有したウミサソリのエージェントは即座に長い尾の側面を猟兵達に見せつけるように伸ばし、その尾節の各所に開いた噴出口から麻痺毒を噴出する。
　それは猛毒、接近している相手ならば即座に全身を痺れさせ動きを止める程の強さで、しかも気化して周囲に拡散しながら暫く残るのだから厄介極まりない代物だ。
　当然毒の持ち主である長門はその毒霧の中でも自由に動ける、そのアドバンテージを活かし猟兵と立ち回りを繰り広げ勝利を狙っているのだが。
「ナメコ！　キノの足の早さを見せてあげるよ！！」
　そう叫びながら突如飛び込んできたのは毒々しいきのこ笠が目立つキノ・コバルトリュフ（｜キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074）、彼女が起動している【爆走！キノコロード】のユーベルコードにより地面から生えたキノコのような姿勢でスライドするかのように滑らかに長門との距離を詰めていく。
『……なんだこれは……？』
　困惑を隠しきれぬウミサソリ、そんな事はおかまいなしに迫るキノに尾を振り回し尾節の噴出口から猛毒を吹き付けようとしてくるが、
「マッシュルーム！　そんな攻撃だって完璧な走りで躱しちゃうよ！」
　直立姿勢に見えるが実のところそれは残像、彼女の両足は高速で動いている。その高速のステップで尾の攻撃をすり抜け至近距離からキノコスイッチをオン、すると不可思議な色彩のキノコがエージェントの全身から生えてくる。
『……腹痛に悪寒、体調不良……』
　｜異世界のキノコ《キノコつむり》の猛毒は猛毒を操るウミサソリにもその悪影響を与え、食中毒に苦しむかのようにエージェントは腹部を抑え元より青白い顔を更に蒼白にする。
「キノキノキノ！　キノの爆走！　キノコロードの前に敵なし！！」
　そんなエージェントの惨状には目もくれず、キノは麻痺毒の霧の空間を麻痺毒が効いてくるまでの短時間にあっという間に駆け抜け脱出したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●可愛さの裏にあるものは
『……損傷軽微、攻撃を再開する』
　食中毒の苦痛を堪えつつウミサソリ獣人のオブリビオンは構え直し、猟兵達に向かって高速で突進する。
　その頑丈な甲殻は純粋な防御能力も高いが、長門自身の防御技術により物理攻撃に対する防御、受け流しの性能は極めて高い。そして間合いを詰めたなら猛毒の尾の針が敵対者を連続で貫き、猟兵といえど四度受ければ即死させることもできる必勝の攻撃パターンだ。
　それに対抗するのは可愛らしい知恵の布を被ったブギーモンスターの納花・ピンチン（ブギーモンスターの勇者・f31878）、そして轟・やゆよ（あにそん伝道師・f06396）の二人。
「お仕置き開始ですわ！」
　そう言いながら可愛くデコられた勇者の剣を構えたピンチンが突進を躱しつつ高速で振るわれる毒針の尾を剣で受け流して。
「あたしも駆けつけてきたのよさ！」
　そしてつい先程まで海の家でたっぷりとアニソン布教を行っていたやゆよがマイクを手にして、
「ちょっと質問だわさ。どんな曲が好きなのよさ？　……それと一曲、いいかしら？」
『……いずれも却下』
　やゆよの問いかけに長門は拒否しつつ突進を敢行、しかしその問いかけと共に発動した【答えを識るまで、歌い続ける】のユーベルコードにより熱血アニソンがどこからか流れ始め、そしてやゆよが歌い始めれば情熱の機神が砂をかき分け召喚される。
　歌に呼応し動く情熱の機神は巨大な剣を振り上げ長門へと叩きつける。頑丈な甲殻に受け流されるが、機神は止まらず再度巨大剣を振るってくる。
　拒否はやゆよが満足できるようなものではなく、故に情熱の機神は長門を延々と剣で攻撃し続ける。
　機械であるから毒も通じず、休みなく続く攻撃にとうとう長門は防御失敗、まともに攻撃を受けて弾き飛ばされた。
　それでも頑丈な甲殻により内部に通るダメージは然程大きくはない。しかし、
「チャンスですわ！　へーんしーんっ！！」
　体勢を崩した所を好機と見たピンチンが【ブギー・ブギーフェイス】のユーベルコードを起動、知恵の布を脱ぎ捨ておぞましき異形の鹿へと変身し、長門へと猛スピードで突進していく。
　口から伸ばされる血を啜る肉の槍――鹿の舌がウミサソリの甲殻の隙間を狙って突き刺さり、的確にダメージを与えていく。
　猛攻から逃れようと後退する長門をもしつこく追撃する様はさながら煎餅を強請る鹿の如く、削られていく理性が完全に喪われてしまうまでに反撃を許さず攻撃を続け、更に重ねるように情熱の機神の強烈な巨大剣の一撃を叩きつけ有効打を叩き込んだ。
　距離が離れたタイミングでいそいそと知恵の布をピンチンは被り直し、一曲歌い終えて一息つくやゆよ。
　ダメージは刻めたがまだこのオブリビオンは倒れてはいない。さらなる追撃を仕掛けるため、二人は再びマイクと剣を構え直し次の攻撃の機を窺うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●処刑人の鉄槌を
『損傷拡大……任務続行可能』
　巨大剣に切られ甲殻の隙間から突き刺されダメージは積み重なっているが、ウミサソリのオブリビオンは淡々と呟きつつ両腕の大鋏を構えた。
　鋸の歯のようになった大鋏の刃は切断の用途のみではなく敵に突き刺してその装甲や守りを削り取る機能も有しており、毒針の通らぬ頑丈な相手であろうと確実に仕留めるための力なのだろう。
　しかし彼の前に現れた仇死原・アンナ（処刑人、炎の花嫁、魔女、屠る騎士、そしてあいどる☆・f09978）という女は愛用の【錆色の乙女】という鉄塊剣を構え、真っ向から叩き潰す構えだ。
「この一太刀で苦しみを絶ってやる……！」
　ユーベルコード【慈悲深き乙女の一撃】を起動、地形をも砕くその一撃はシンプルな重量と威力で頑丈なウミサソリの甲殻すら叩き潰しダメージを刻み込むことだろう。
　先に動いたのは長門、上段に構えたアンナに対し全速力で飛び込み右腕の鋏で彼女の胴を両断しようとし、そして間合いに入った瞬間アンナは錆色の乙女を全力で振り下ろす。
　鋏の到達が間に合わぬ――そう判断してしまったオブリビオンは左の鋏で鉄塊剣を挟もうと頭上に振り上げ、同時に左肩部の甲殻で剣の軌道を逸らそうとする。
　だがその抵抗虚しく左の鋏は砕かれて甲殻も砕かれ左腕を切り飛ばされ、衝撃波によりアンナから離れるように吹き飛ばされた。
「……浅い」
　悔しげに呟くアンナ、この一撃は生の苦痛を取り除き慈悲なる死を敵対者に与える力だが、防御された結果苦痛は長引く結果に――つまり仕留めきることに失敗したのだ。
　しかし重篤なダメージを与えたことは間違いなく、さらなる追撃を仕掛けこのオブリビオンに慈悲を与える事は可能だ。
　処刑人の乙女は静かに錆色の乙女を構え直し、追撃を仕掛けていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

●麻痺の霧を跳び越え打ち砕け
　痛烈な鉄塊剣の一撃を受けて満身創痍のウミサソリ獣人に、諏訪野・みすず（不思議系ダンサー・f00636）はレガリアスシューズから大量の圧縮空気と蒸気を噴出してかっ飛ぶように迫っていく。
「みすずちゃんにはパパ以外は、勝てないよー！」
　【スチームエンジン】のユーベルコードにより彼女の装備武器には蒸気エンジンが搭載され破壊力が向上している。
　彼女の手にしたバールのようなものにも当然のように取りつけさせられたそれは、エンジンの出力でウミサソリの甲殻も粉砕する事だろう。
　接近を阻むために長門は尾を前方へと回し、尾節各部の噴出口から拡散する麻痺性の猛毒を霧状に噴出する。だが、それを見切ったみすずは霧に飛び込む前に息を止め高く跳躍、丁度長門を着地地点にする角度で高く跳んでバールのようなものを振り上げ、振り下ろす！
　麻痺の猛毒が効果を発揮する前に幻朧帝国のエージェントの頭部は蒸気エンジンで強化された鈍器の一撃で砕かれ、そのまま遺言もなく崩れ落ちる。
「だから言ったでしょ！　みすずちゃんには勝てないよ！」
　ぴりりと僅かに痺れる感覚はあるものの、元気十分なみすずは堂々と砂浜に立ち、勝利を宣言するのだった。

　かくして平和なシャチ獣人の観光地は逢魔弾道弾の脅威から無事守られた。
　暗躍続く幻朧帝国の破壊工作から他の狙われた地を守るために、猟兵達はグリモアベースへと帰還したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2025年08月16日