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マジで病んでる☆アブないアイドル!?

#アイドル☆フロンティア #ヤンデレ #ドジっ子アイドル

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●止まない想いに病んだ先
「誰かを好きになるって素敵なことですよねぇ。私にも、いつかは白馬に乗った王子様が現れて……って、そんな話をしに来たんじゃありませんでした! アイドル☆フロンティアで、恋に破れちゃった女の子が闇堕ち……じゃなくて、オブリビオンに憑依されたんです!」
 過度なストレスを感じた者がオブリビオン化してしまうのは、アイドル☆フロンティアの日常でもある。しかし、今回の事件は単なる迷惑行為に留まらず、放っておくと本当に人が死にそうだと、咲村・菫(ハナの妖精さん・f43842)は慌てた口調で猟兵達に告げた。
「オブリビオンになってしまう女の子は、|天野・絢瀬《あまの・あやせ》さんという人です。内気で控え目な人なんですけど、なんでもソツなくこなせる優秀な高校生ですね」
 その点、自分とは正反対のパーフェクト人間だと菫は続けた。もっとも、そんな絢瀬にも不得意なものは存在する。それは、自分の想いを好きな人に伝える行為である。
「絢瀬さんは、同じ高校に通うクラスメイトの|浅倉・優《あさくら・ゆう》君のことが好きだったみたいなんですけど……ずっと想いを胸に秘めていたら、告白するチャンスを失ってしまったみたいで……」
 その一方で、優は誰から見ても爽やかなイケメンであり、他の女子達からの人気も高い。そんな優が他の女の子と仲良くする度に絢瀬の心は徐々に病んで行き……とうとう凶悪なヤンデレ系オブリビオンアイドルとして覚醒してしまったのである。
「オブリビオン……ヤンデレガールになった絢瀬さんの下には、既に現地のアイドルが駆け付けています。|桜野・彩華《さくらの・いろは》さんという絢瀬さんのクラスメイトで……絢瀬さんの数少ないお友達だった人でもあります」
 普通なら、このアイドルに任せておけば、猟兵の出番はないはずである。だが、悲しいことに、彼女は天性のお騒がせ系アイドル! いつもドジばかりで、個人での勝率は今のところゼロ! なんやかんやで他のアイドルに助けられてばかりの、ちょっと悲しいアイドルだ。
 その一方で、ヤンデレガールと化した絢瀬は相手を殺すことに何の躊躇いもない危険な相手。そのため、彼女は出現したアイドルステージ上の様々な道具を駆使して、邪魔者を排除しようと攻撃してくる。
「アイドルステージ上には、学校をイメージした舞台セットが展開されています。でも、気をつけてください。絢瀬さんは、どんな物でも上手い具合に組み合わせて、殺人道具にしてしまうので……」
 それこそ、サイキックハーツ世界の六六六人衆顔負けの方法で、彼女はあらゆる物品を組み合わせて敵対者を殺害しようとする。ドジっ子の彩華では、何もしなくても勝手に自滅して死に兼ねない。
 それでなくとも、絢瀬は既に学校のクラスメイト達をもオブリビオンとして取り込み、舞台の奥に優を監禁しているのだ。彼らを誰一人として傷つけることなく助けるには、猟兵の力が不可欠というわけである。
「ステージ上の罠を全て切り抜けると、絢瀬さんはオブリビオンになったクラスメイトの女の子達を嗾けてきます。見た目はギャルっぽい感じなんですけど……たぶん、絢瀬さんの中では、男の子を誑かす悪い女の子のイメージがギャルなんでしょうね」
 それらのギャル達も退ければ、いよいよ絢瀬との戦いになる。ヤンデレガールとなった絢瀬は監禁している優のことを殺しこそしないが、その代わりに自分が敵と判断した者に対しては執拗に攻撃を繰り返す。
「このままだと、絢瀬さんは自分のお友達も殺して、優君からも完全に嫌われてしまいます。とても難しいとは思いますけれど……できれば、絢瀬さんの夢も応援する形で、ヤンデレガールを倒して欲しいんです」
 恋愛の暗黒面に陥り心を病んでしまった絢瀬を正論で説き伏せるのは不可能に近い。しかし、もしも彼女の心を前向きにしてからヤンデレガールを倒すことができれば、失恋しても再び闇に沈むことはないかもしれない。
 クラスメイトに恋い焦がれた先が、親友でさえ平気で殺す殺人鬼という末路は笑えない。なんとか彼女の心を取り戻してあげて欲しいと告げ、菫はアイドル☆フロンティアの高校にて展開されている、アイドルステージへと猟兵達を転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 アイドル☆フロンティアにて危険なヤンデレが出現しました。
 放っておくと鮮血の結末必至なので、オブリビオンの凶行を止めてください。

●第一章(冒険)
 学校を模した舞台にて、学校にある物品や設備を組み合わせた、様々な罠が襲い掛かってきます。
 罠を退け、先に進みましょう。

●第二章(集団戦)
 バッド・ガールとの戦いになります。
 彼女達は不良や相手の恋人を略奪する女のイメージで登場し、そのような振る舞いを優先して行います。

●第三章(ボス戦)
 ヤンデレガールと化した|天野・絢瀬《あまの・あやせ》との戦いになります。
 彼女の精神はオブリビオンに引っ張られて病んでしまっているので、自分の邪魔をする者は誰であろうと敵と見做し、殺害しようと襲い掛かってきます。

●|桜野・彩華《さくらの・いろは》
 絢瀬の友人で、オブリビオンと戦うアイドルでもありますが……超絶なドジっ子なので戦力としては期待できません。
 一応、変身している限りは滅多なことでは死なないので、主に絢瀬への説得に協力してもらいましょう。
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第1章 冒険 『狙われた学園!』

POW   :    身体を張って守る。きっと大丈夫!

SPD   :    むしろ自分のほうに魅了する。きっとへっちゃら!

WIZ   :    心を込めて説得する。きっと平気!

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カーバンクル・スカルン
妄想の中で勝手にストーリー組み立てて、暴走したってこと? なんて傍迷惑な。どうせ闇堕ちすんならリアルで砕け散ってからにしろや。そもそも闇堕ちすんなって話だけれども。

とりあえず用具が殺傷武器として飛び交う危険な廊下を両手にそれぞれカタリナの車輪を持って【狩人強打】で強行突破だ。これを回しながらいけば防御はもちろん、床にある罠も長時間跳んで回避できるしね。

……なにあれ? なんでカーテンで宙吊りになってんのあの子? あれが例のお騒がせアイドルちゃん? とりあえず断ち切って救出するか。



●噂のドジっ子アイドル!?
 秘めたる恋心が暴走し、ネガティブな妄想から最悪の凶行に至ってしまう。ヤンデレヒロインのテンプレともいえる行動だが、しかしリアルに同じことをされれば、迷惑以外の何物でもない。
「妄想の中で勝手にストーリー組み立てて、暴走したってこと? なんて傍迷惑な……」
 未だ告白さえしていないのに病んでしまった綾瀬の話を聞いて、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)はひたすらに呆れていた。
 どうせ闇堕ちするなら、せめて告白してからにして欲しい。いや、そもそも失恋ぐらいで闇堕ちし、殺人サイコパスにならないで欲しい。
 まあ、それでも文句を言っていたところで始まらない。アイドルステージに上がってみれば、そこは危険な凶器が飛び交う殺人舞台。一見して普通の学校にしか見えない舞台装置の数々は、綾瀬の意思によって瞬く間に殺人武器へと変化するのだ。
「回避するのも面倒だね。……ぶちかます!」
 物理法則を無視して飛んでくるハサミやカッターナイフを、カーバンクルは手にしたカタリナの車輪で弾き落として行く。そのまま廊下の上を滑るようにして飛んで行けば、なるほど廊下のあちこちが水浸しになっており、そこには壊れたコードが散乱していた。
 恐らく、あれを踏んだが最後、感電して一発で黒焦げになるのだろう。なかなかにえげつない罠を仕掛けてくれると考えながら飛んで行くと……なにやら、カーテンに引っかかっている人影が。
「……なにあれ? なんでカーテンで宙吊りになってんのあの子? あれが例のお騒がせアイドルちゃん?」
 カーバンクルの予想通り、それは自ら罠に突っ込んで盛大に自爆をかました桜野・彩葉であった。アイドルに変身したのはいいが、ドジっ子な性質が災いし、あっという間に罠に引っかかってしまったのである。
「んぐぐ……く、苦し……」
 見れば、彩葉は首にカーテンが巻き付いており、このままでは遠からず窒息死してしまうだろう。放って置くわけにもいかないので、カーバンクルは周囲に罠がないことを確認した上で、彩葉の首に巻き付いているカーテンを断ち切った。
「……っ!? げほっ! がほっ! ……あ、ありがとう。助かったわ」
 咳き込みながら、彩葉がふらふらと立ち上がる。こんなことでは先が思いやられるが……しかし、彼女の存在が綾瀬を救う鍵になるかもしれないため、仕方なく同行させるしかないのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

熊ヶ谷・咲幸
お騒がせ☆アイドルとして、あまり他人な気がしません!
「お助けに来ました!チアフル☆クレッシェンド、ただいま参上です!」
とにかく、まずは先へ進めばいいんですね!
「まずはあたしが! うおりゃああああああうわあああ!!」
ダガダガと駆け抜けて行こうとするが、いきなり罠に引っかかり、備品が飛んできたり天井が落ちてきたりなど、常人だと重傷になりそうなトラップが殺到する
「このくらい! ふぬぁっ!!」
【怪力】【気合い】【根性】で正面から受け止めて突き進む。彩華ちゃんは安全になった後ろからついてきてもらうってことで、成功率アップかな?
「ちょっとの失敗じゃへこたれません! それがあたしだから!」



●身体を盾に強行突破!?
 何をやっても本人の意思とは関係なしに失敗ばかり。しかし、そんな超絶ドジっ子でも、友達のためには身体を張る。
 お騒がせ☆アイドルとして、熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)は彩葉に対し、妙な親近感を覚えていた。
 なにしろ、咲幸自身が究極のお騒がせアイドル。アイドルなのに、一番強いのは腕力であり、おまけに自分でもあまり制御できていないという有様なのだ。
「お助けに来ました! チアフル☆クレッシェンド、ただいま参上……あばばばばばっ!?」
 案の定、登場早々に水に濡れた床に破損した電気コードが触れている場所に着地し、盛大に感電してしまった。それを見て、慌てて彩葉が助けに向かったが、彼女もまた考え無しに濡れた床に足を突っ込んだせいで、二人して揃って感電である。
「「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」」
 最後はスパークしたコードが大爆発を起こし、二人とも盛大に吹っ飛んだ。それでも死ななかったのは、主に変身によるアイドル補正の賜物だが、しかしこんなことを続けていれば今に彩葉の方が先に参ってしまう。
 ここは、自分が身体を張る他にないだろう。そう考えた咲幸は、自ら率先して罠に突っ込み、全てを破壊しながら進むことにした。
「まずはあたしが! うおりゃああああああうわあああ!!」
 天井から落下する備品の数々、吹っ飛んでくるハサミやカッター、最後は危険な理科実験道具や換気扇のファンまでもが飛んでくるが、それでも咲幸は怯まない! 頭にハサミが突き刺さり、全身は水や油や、他にも得体の知れない薬品でズブ濡れになり、最後は衣服にガスバーナーの炎が引火して真っ黒焦げになってしまったが、それらを全て気合でガード!
「このくらい! ふぬぁっ!!」
 髪の毛は毛先が縮れ、衣服は焼け焦げ、もはや見る影もない咲幸だったが、それでも彼女は諦めなかった。ギリギリのところで顔面と急所への致命傷だけは避けつつ、なんと全ての罠を強引に突破してしまったのである。
「さあ、これで罠は全部発動させたから安全だよ! 彩葉ちゃんも、早く来て!」
「あ、ありがとう……。でも……その……だ、大丈夫なの?」
 満面の笑みで彩葉を誘う咲幸だったが、肝心の彩葉はドン引きしていた。普通に考えれば、どう考えても死んでおかしくないだけのダメージを食らっているはずなのだ。それらを全て気合で耐えるなど、そんなアイドルは彩葉も今までに一度も見たことがない。
「ちょっとの失敗じゃへこたれません! それがあたしだから!」
 しかし、当の咲幸は全く意に介さない様子で、彩葉に向かって言い放った。
 ドジっ子であろうと気合と根性とパワーでカバー! なぜなら、アイドルは皆を笑顔にする存在。どれだけ痛い目に遭ったとしても、笑顔を忘れさえしなければ、最後は絶対にハッピーエンドになるのだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
他の猟兵に迷惑はかけないよ♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこい♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪
よろしくおねがいします★



●その罠は効きません!?
 何も知らずに踏み出せば、学校内のあらゆる物が罠となって機能する。なかなかに危険なステージではあったが、しかしクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)にとっては、この程度の罠など恐れるほどのものでもなかった。
「罠だらけの場所とか、今までもたくさん経験して来たしね★」
 それこそ、全身をズタズタのバラバラにされるような罠のあるダンジョンから、エッチなトラップ満載のダンジョンまで。冒険とは、常に危険と隣り合わせ。そんな数々の修羅場を掻い潜ってきたクローネにとっては、学校内の備品で作られた罠など子供だましである。
「え〜と……とりあえず、地面の水には気をつけた方が良さそうだね★」
 それでも、電撃や炎を食らっては消耗してしまうので、クローネもそれらの罠には注意を払っていた。その一方で、物理的なダメージを与える罠に関しては、こちらは殆ど気にも留めない。
「……あっ! カッターナイフが頭に刺さってたね★ でも、この程度じゃクローネちゃんは死なないよ」
 頭に刺さったナイフを平然と引っこ抜き、笑顔のままに放り投げる。傷口からは出血さえしない。ただ、ほんの少し黒い液体が漏れた気がしたが、それも直ぐに消えて傷が瞬く間に塞がって行く。
 少女の姿こそしているが、クローネの正体はブラックタール。漆黒のスライム状の生命体であり、その姿を変幻自在に変えることができる。クローネは主に少女の姿を好んで使用しているが、その気になれば何にでもなれるし、粉々にされない限りは余裕で再生してしまう。
「これで終わり? なんだか少し物足りなかったかも★」
 頭に金槌が直撃したところで、クローネは何事もなかったかのように、顔面にめり込んだそれを引っこ抜いて投げ捨てた。痛みは感じるものの、これらの攻撃では致命傷にはならない。特に苦労することもなく、クローネは余裕で罠が仕掛けられたエリアを突破してしまった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『バッド・ガール』

POW   :    たむろする不良
【不良仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[不良仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    イマドキファッション
【着ている服がその時の流行に合ったもの】に変形し、自身の【学力や善性、健康等】を代償に、自身の【各種ステータスと不良仲間との連携力】を強化する。
WIZ   :    不良の溜まり場
レベルm半径内を【不良の溜まり場】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【非常識で素行が悪い者】が強化され、【常識的で素行が良い者】が弱体化される。

イラスト:おおやけさかな

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●泥棒猫は全員不良!?
 罠の張り巡らされたエリアを抜けると、途端にステージの様子が変化した。
 今まで学校の廊下や教室を表していた大道具が全て撤去され、代わりに現れたのは体育館。そして、そこには大量のギャルが控えており、彼女達は全員が虐めや意地悪を趣味とする不良だった。
「あはは! な〜んか、だっさいやつらが来たし〜♪」
「あいつらも、アタシ達の玩具にしちゃおうよ♪ 死んじゃっても、また別の玩具を用意すればいいんだから、使い捨てでオッケーだよね!」
 他人を玩具扱いし、その尊厳を破壊することに喜びを感じる悪いギャル達。バッド・ガールの名は伊達ではなく、彼女達は遊びと称してターゲットを容易く虐め殺すだけの悪辣な性格をしているようだ。
 これが、綾瀬の考える『悪い女の子』のイメージなのだろう。実際にはこんな不良など学校にいないのかもしれないが、しかし綾瀬にとって自分の好きな人に声を掛ける女子は、全てバッド・ガールのように見えているということか。
 どちらにせよ、彼女達の妨害を乗り越えなければ綾瀬には届かないし、彼女達を倒さない限りは元の学生に戻してやることもできない。この事件に関わってしまった全ての人を救うためにも、遠慮なくブッ飛ばしてしまった方が良さそうだ。
カーバンクル・スカルン
わお、男を誑かすレベルじゃない不良が出てきたわ。彩華さん……はもう返り討ちにあっとるな。なんだかんだここは敵の本拠地なんだからもうちょっと警戒しなさいな。だから「個人勝率0%のポンコツお騒がせアイドル」呼ばわりされるんよ? ポンコツは言われてない? うん、今私が付け足した。

とりあえず殺したらめんど……まずいことになるから、【五馬分屍】で不良どもを拘束。普段は四方八方に走らせることで八つ裂きにするんだが、今回はプカっと空中に浮かぶ風船も取り付けーの……全部同一の方向に走らせることで擬似凧あげの形にして法定速度無視の学内ドライブにいってらっしゃーい。

いつ止めるのかって? 本丸を落としてからかなー。



●悪い子にはお仕置きです!
 ステージが入れ替わると同時に現れた大量のギャル。その扇情的な格好も然ることながら、人を玩具にして虐め殺しても何ら罪悪感を抱くことのない性格には、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)もドン引きであった。
「わお、男を誑かすレベルじゃない不良が出てきたわ。彩華さん……はもう返り討ちにあっとるな」
 見れば、彩華は真っ先に敵に特攻した挙げ句、不良に囲まれてボコボコにされていた。見た目はイケないギャルでしかないが、それでも相手はオブリビオンなのだ。しかも、この世界のオブリビオンは無駄に強い。アイドルに変身したところでサイリウムからの応援がなければ、勝ち目はないに等しいわけで。
「なんだかんだ、ここは敵の本拠地なんだから、もうちょっと警戒しなさいな。だから『個人勝率0%のポンコツお騒がせアイドル』呼ばわりされるんよ?」
 多少、辛辣な言い方になったものの、カーバンクルはズタボロの彩華を引っ張り出して自分の後ろに放り投げた。雑な扱いに抗議する彩華だったが、この状況では致し方あるまい。
「うぅ……。で、でも、ポンコツは酷くない? そこまで言われないわよ……」
「ポンコツは言われてない? うん、今私が付け足した」
 とりあえず、これ以上はドジを踏まれても困るので、彼女には観戦していてもらおう。その上で、今は目の前の不良どもをなんとかしなければならない。彼女達はオブリビオンではあるのだが、元は何の罪もない彩華のクラスメイト達。迂闊に殺せないが手加減もできない以上、まともに相手をするのは得策ではない。
「あはは! 次は誰を玩具にしようか?」
「そこにいる女でいいんじゃね? 服をひん剥いて、ネットに晒しちゃおうよ♪」
 そんなことを考えていると、ギャル達はカーバンクルに狙いを定め、とんでもないことを言い出した。女性を無理矢理に脱がせた挙げ句、その姿をネットに晒すとか、これはもう虐めというレベルを越えている。間違いなく犯罪であり、それらの行為を平然と行えてしまえる人間性からは、彼女達の辞書に『反省』という言葉はなさそうだ。
「これは、ちょっとだけ厳しいお仕置きが必要かな? あんまり甘く見ない方がいいかもよ?」
 見境なく突っ込んでくるギャル達を前に、カーバンクルはニヤリと笑う。次の瞬間、彼女の操る巨大な車輪から鎖が射出され、それらはギャル達の身体に絡みつき。
「え? な、なにこれぇ?」
「なんか飛んでるし! ってか、これじゃ戦えないじゃん!」
 拘束したギャル達に、カーバンクルは次々と風船を付けて行き、その力で彼女達を浮かび上がらせた。身体は鎖で繋がれたままなので、ギャル達は風船を割ろうにも両手が使えず動けないのだ。
「次は〜、八つ裂き〜……じゃなかった。今回は特別、擬似凧あげの形にして法定速度無視の学内ドライブにいってらっしゃーい」
 そのまま車輪を走らせることで、漏れなくステージ外へサヨウナラ。ギャル達は集まることで力を発揮するようだが、仮に力を発揮できたとして、今の彼女達に何ができるだろうか。
「うわぁぁぁぁ! ちょっと、止めろよバカ!」
「なにしてくれんだよ! さっさと降ろせ〜!」
 暴言を吐きまくるギャル達だったが、仮に彼女達が鎖を引きちぎるパワーを発揮したところで、そうなれば盛大に地面に叩きつけられるだけである。大ダメージは免れないし、生きていたとしてもステージに戻る頃には、彼女達の活躍できる場はないだろう。
「いつ止めるのかって? 本丸を落としてからかなー」
 とりあえず、可能な限り多くのギャルを浮かび上がらせ、カーバンクルはステージ外へ引っ張られて行くギャル達に手を振った。このステージを牛耳るオブリビオン、綾瀬の変身したヤンデレガールを倒してしまえば、彼女達も元に戻せるはずだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

熊ヶ谷・咲幸
「ギャルって、もっと筋は通す感じの人たちかと思ったんですが、ギャルの道から外れた人たちですかね」
どっかの朝ドラのギャルを思い浮かべつつも、彩華さんは後ろに下がってもらい、戦いの様子を見てもらいましょう
「さあ、握手会の時間ですよ」
バッド・ガールの【手をつなぐ】と、そのまま【怪力】で抱え込み、【シェイクハンド☆フォルテッシモ】で大地へぶん投げる。相手の強化や連携もパワーでねじ伏せます
「さあ、握手券は要りませんよ」
そんな感じで次々と相手を地面に突き刺してゆきます

あとは連携アドリブ等お任せします



●恐怖の人柱握手会!
 ギャル。それは、一見チャラいが意外なところで芯はしっかりしている女の子達。そんなギャルの定義からすれば、熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)の前に現れたバッド・ガール達は、ただの外道に過ぎなかった。
「ギャルって、もっと筋は通す感じの人たちかと思ったんですが、ギャルの道から外れた人たちですかね?」
 どこぞの朝ドラではあるまいし、こんな連中をギャルだとは認めたくない。もっとも、これはあくまで綾瀬の考える『悪い女の子』の姿なので、あれこれとツッコミを入れるのも野暮である。
「とりあえず、彩華さんは下がっていてくださいね。そのダメージでは、もう戦えないでしょうから」
「うぅ……面目ない」
 満身創痍の彩華を下がらせ、咲幸は改めてバッド・ガール達と対峙した。こいつらは、敵を虐め殺すためならば手段を選ばない。おまけに、集まることで戦闘力を強化するため、迂闊に飛び込めば彩華の二の舞。
 ならば、ここは相手に連携される前に、アイドルらしく排除してやろうと咲幸は考えた。いきなり相手を攻撃する素振りを見せず、あくまで非戦闘行為を行うと見せかけるのだ。
「さあ、握手会の時間ですよ」
「握手会? アハハ! だったら、その手を握り潰してあげるね♪」
 アイドルの握手会と聞いて、バッド・ガール達は咲幸の手を握り潰そうと力を込めた。が、しかし、反対に悲鳴を上げたのはバッド・ガールの方だ。咲幸は見た目によらず怪力の持ち主。そのパワーを全開にして相手の手を逆に握り潰すと、そのまま抱え込んでブン投げたのである。
「掴んだその手、絶対離しません! うおりゃああああ!!」
「ちょっ……! これヤバ過ぎ……ぶべらっ!?」
 抵抗する暇もなく、バッド・ガールは顔面から床に突っ込んで、そのまま動かぬ人柱と化した。どうやら、まだ死んではいないようだが、これではまともに動けまい。
「さあ、握手券は要りませんよ。次の希望者は誰ですか?」
「「「う、うわぁぁぁぁ! 逃げろぉぉぉぉっ!!」」」
 笑顔の裏に底知れぬ危険性を感じ取り、バッド・ガール達は一斉に逃げ出した。そんな彼女達を追いかけ、咲幸は投げる! また投げる!
「ふぅ……。とりあえず、こんなところですかね?」
 気がつけば、辺りは床に突き刺さったバッド・ガール達が何本も人柱と化した物で溢れていた。
 これぞ、まさしく人間竹林。なんとも尊厳破壊の匂いがする舞台になってしまったが、これも全てはオブリビオンを倒すためなので仕方がないのである……たぶん。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーガン・クイン(サポート)
 はぁい♪
サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。

 私のユーベルコードの拡大魔法や縮小魔法、
アイテムの巨大化薬や縮小薬で色んなものを大きくしたり小さくしたり。
きっと楽しいことが出来るわね♪

 ミュールフォンは無口で無表情だけど従順で私を守ってくれる、
剣と盾で戦う天使ちゃん。
戦闘面はこの子にお任せ♪
巨大化で蹂躙しちゃいましょう♡

 サポートに不思議な魔法の力はいかがかしらぁ?
私のことを好きに使ってみてね♡


クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系はばっちこい★状態変化もばっちこい♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは集団召喚系か範囲攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪


轟・やゆよ(サポート)
語尾に「だわさ」「なのよさ」とかつく熱いアニソン好きな女の子
元気で正義感が強い

またわらわらと出てきただわさ…
まとめて倒すのよさ!
(虫系の敵は苦手でちょっと怯える)
説得の通じる相手なら説得を試みるしワケありの相手には思わず情を口にするだわさ

その場で必要なUCや技能を使って攻撃や支援をするだわさ

もちろん公序良俗に反することや他人の迷惑になることはしないのよさ!

アドリブ絡み歓迎



●悪い虫は摘まみ出せ!
 倒しても倒しても、奥から湧いてくるバッド・ガール達。その人数は尋常ではなく、どうやら学校中の生徒がバッド・ガールにされていると考えてもおかしくはなさそうだった。
 こんな人数で大挙して襲い掛かられれば、さすがに猟兵とて無事では済まない。肝心の彩葉は役立たずで戦闘には期待できないし、果たしてどうしたものかと思われたのだが。
「はぁい♪ サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。なんだか、面白そうなことになってるわね」
「あ~、こういうイケないタイプの不良か~♪ ちょっとお楽しみしてもいいかもだけど、さすがにアイドルステージでストリップショーは拙いかな?」
 ミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)とクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)の二人は、大量のギャルども相手に全く怯まない。どう考えても多勢に無勢なのだが、何故だろう……この二人の前では、どんな悪辣なギャルもクソビッチも、全く恐れる必要がないように思えて来る。
「アハハハ! イキってるとこ悪いけど、たった二人で何ができるわけ~?」
「ってか、オバサンの数がどれだけ増えても、アタシ達は怖くないし~♪」
 そんな二人に、おバカなギャルどもは堂々と喧嘩を売ってきた。こいつらからすれば、二十歳を過ぎた女性は全員オバサンなのかもしれないが、しかし大多数の女性にとって、それは盛大なる地雷なわけで。
「大人の女がオバサンなら、あたしもオバサンってこと? 失礼極まりないのよさ!」
 遅れて登場した轟・やゆよ(あにそん伝道師・f06396)が、これみよがしにギャルどもを睨む。こういう身の程を知らないおバカなギャルには、少しばかり痛い目に遭ってもらうしかなさそうだ。
「それじゃ、まずはこっちから仕掛けてやるなのよさ! はい、注目だわさ〜!」
 開口一番、やゆよが声高に叫んで指を掲げれば、ギャル達の視線が一斉にそちらへと向いた。
 いや、だから何なのかと、何も知らない者からすれば思っただろう。だが、これは立派なユーベルコードによる攻撃であり、そしてこれ以上にない味方へのフォロー。彼女がダンスをしながら指先を向ければ、その先にいるギャルは、途端に自分とやゆよ以外を認識できなくなってしまうわけで。
「へ? な、なんか仲間が消えたんだけど……あがっ!?」
 ドサクサに紛れ、クローネがギャルの頭を殴り飛ばす。慌てて敵を探すものの、やゆよのユーベルコードが効果を発揮している間は、彼女はクローネのことを認識できない。
「ちっ……! あのババアのクソダサなダンスを早く止めるよ!」
「りょ☆ アタシ達の方が人数多いし、皆でボコっちゃえばいいよね♪」
 このままでは拙いと判断したのか、残るギャル達はダンスを続けるやゆよへ一斉に向かって行く。さすがに、この数の敵相手に認識阻害を行うのは不可能であり、このままでは一方的にやられてしまう……と、思われたのだが。
「残念、そうはさせないからね★ 来たれ、清めの風よ!」
 今度はクローネが高々と手を掲げれば、彼女の身体は羅刹の如き姿へと変貌し、同時に繰り出される癒しの風が味方の負傷を回復させて行く。
「はぁ? なんか、攻撃効いてないっぽい!?」
「っていうか、なんかこいつら、いつの間にか大きくなってね?」
 先にクローネを倒さんと殺到したギャル達が、だんだんと異変に気付き始めた。
 確かに、ブラックタールのクローネには、生半可な物理攻撃は効果を発揮しない。しかし、それにしても、これは少しばかり異常だ。攻撃が通用していないばかりか、相手との身長差がどんどん開いているのだから。
「んっふっふ~♪ ようやく効果が出て来たわね~♪」
 どこからか、エコーのかかった声がした。ギャルどもが振り向くと、そこにいたのは従来の何倍ものサイズまで巨大化したミーガンだった。
 いや、ミーガンだけではない。気が付けば、クローネもやゆよも、この場にいる猟兵達が全員巨大化している。先程までの戦いは、あくまで時間稼ぎに過ぎないもの。全てはミーガンが魔法陣を描くための前座であり、魔法陣が完成した今、猟兵達はその効果によって巨大化を果たしていたのである。
「は~い、それじゃ悪い子は、しばらく舞台から降りてもらうわね♪」
「人のことをババアとか、クソダサダンスとか言ってくれた分、た~っぷりお仕置きしてやるだわさ!」
 唖然とするバッド・ガール達を摘まみ上げ、ミーガンとやゆよは次々と舞台の外へ放り投げて行った。なにしろ、身体のサイズが違い過ぎるため、普通に投げ飛ばすだけでも大ダメージ。圧倒的な体格差を前にしては、いくら不良集団が集まろうと意味はない。猫も杓子も関係なく、とにかく蹂躙されるだけである。
「こ、こんなの無理だって! 勝てるわけないじゃん!」
「ひぃぃぃぃぃ! 逃げろぉぉぉぉっ!」
 あまりの戦力差に、残るギャルどもは一斉に逃げ出した。が、それとて虚しい抵抗だ。彼女達の前に巨大化したクローネの脚が現れて道を塞ぐと、後ろからは残る二人も迫って来る。完全に逃げ場を失ったバッド・ガール達は、一人残らず片っ端からステージの外へと放り捨てられてしまった。
「ふぅ……これで少しは片付いたかしら?」
「さすがに、もう生き残りはいないみたいようだわさ」
 やがて、元のサイズに戻ったところで、ミーガンとやゆよが辺りの様子を伺った。もっとも、ステージ場にいくつかの人柱が立っている以外は、特に新たな敵の気配もしなかった。
「それじゃ、いよいよ舞台もクライマックスかな? 私達は、楽屋に引っ込んだ方が良いかもね★」
 最後にクローネがそう言った瞬間、学校のセットが音を立てて崩れて行き、やがて広く無機的な空間へと姿を変えた。
 天井からぶら下がる裸電球。この部屋の明かりは、それだけだ。薄暗がりの中、微かな明かりを頼りに進んで行くと……果たして、その先に待っていた者は、手にした包丁を構えて薄笑いを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヤンデレガール』

POW   :    邪魔者は絶対に逃さない……。
狙った対象1体を殺すか凶器「【包丁 】」を手放すまで不死となり、対象への殺傷力と追跡力も3倍になる。
SPD   :    あの人は、私だけのものなんだから……。
【包丁 】で対象の【急所】を攻撃する。自身が対象に抱く【憎悪・嫉妬・怒り】の感情が強い程、[急所]への命中率が上昇する。
WIZ   :    誰にも邪魔させないわ……誰にも!
自身が【愛する人との恋路を邪魔される気持ち】を感じると、レベル×1体の【自分と同じ戦闘力を持った分身】が召喚される。自分と同じ戦闘力を持った分身は愛する人との恋路を邪魔される気持ちを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:猫宮遊紀

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠咲村・菫です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヤンデレは深淵に笑う
 艱難辛苦を乗り越えて、ついにヤンデレガールと化した絢瀬へとたどり着いた猟兵達。しかし、そこにいたのは絢瀬だけではない。彼女の想い人であり、未だに彼女が告白できていない片思いの相手。浅倉・優もまた椅子に縛り付けられる形で、裸電球の下に置かれていたのだ。
「んっ! ぐぐ……がっ……」
 椅子に縛られている優は目隠しと猿ぐつわをされており、耳も遮音機能のあるヘッドホンで塞がれている。視覚と聴覚と言葉を奪われ、精神的にもかなり追い込まれているようだ。
 だが、そんなことを一切気にせず、ヤンデレガールと化した絢瀬は狂った笑みを猟兵達に向けて来た。
「アハハハ! どうやら、まだ私から優君を奪おうとする邪魔者が残っていたみたいね。でも、それもおしまいよ。あなた達は、ここで私が綺麗に排除してあげるから」
 優への狂信的な愛情に支配されてしまった絢瀬には、自分と優以外の全ては邪魔者なのだろう。勿論、それは許されざる歪んだ愛情だ。そんなものに囚われてしまった友人の姿を、彩華も黙ってはいられなかったのだろう。
「もうやめてよ、絢瀬! こんなことしても、何もならないよ!」
 まずは真っ向から正論で止める。それでどうにかなるとは思っていないが、それでも声を掛けなければ始まらない。
「あら? 誰かと思ったら彩華じゃない。いくらあなたでも、私の優君を奪おうっていうなら容赦しないわよ?」
「そんなんじゃない! 私は、ただ絢瀬に元に戻って欲しいだけ! まだ告白もしてないのに、いきなりこんなことしたって……優君は、絢瀬の方を見てなんかくれないよ!」
 少しでも相手の心を揺さぶることができれば、そこに勝機を見出せるかもしれないと思い、彩華は懸命に絢瀬へ声を掛け続けた。だが、肝心の絢瀬は全く動じることもなく、むしろ自身に満ちた笑みを浮かべるだけだ。
「うふふ……それは心配ないわ。だって……もうすぐ、優君の心は私だけのものになるんだから。ここまで『教育』するの、大変だったのよ?」
 それは、教育ではなく調教というのではなかろうか。そのためにどんな手段を取ったのか、できれば考えたくないところではある。
 どちらにせよ、この状態の絢瀬を言葉だけで抑え込むとは至難の業であり、放っておけば優の精神状態も危険だ。なんとかして彼の拘束を解くか、最悪の場合は言葉だけでも喋れるようにして、絢瀬の心を揺さぶるのに力を貸してもらう必要があるかもしれない。
「もう……戦うしかないんだね、絢瀬。あなたを基に戻すためには……」
「元に戻す? それは余計なお節介よ。私は今の姿に満足しているの。だから、優君との素敵な時間に水を差さないでもらいたいわ」
 包丁を構える絢瀬と対峙する彩華。ドジっ子の彼女には、オブリビオンと化した絢瀬との戦いは荷が重い。それぞれ、考えられる限りの方法で絢瀬の心を揺さぶりつつ、彼女が変貌したヤンデレガールを撃破して、元の姿に戻ってもらうしかなさそうだ。
ミーガン・クイン(サポート)
 はぁい♪
サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。

 私のユーベルコードの拡大魔法や縮小魔法、
アイテムの巨大化薬や縮小薬で色んなものを大きくしたり小さくしたり。
きっと楽しいことが出来るわね♪

 ミュールフォンは無口で無表情だけど従順で私を守ってくれる、
剣と盾で戦う天使ちゃん。
戦闘面はこの子にお任せ♪
巨大化で蹂躙しちゃいましょう♡

 サポートに不思議な魔法の力はいかがかしらぁ?
私のことを好きに使ってみてね♡


印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしいので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、強者にビビるし弱者に慎重な面もありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください

 UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこいだよ♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは少人数を召喚する系か単体攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪



●強敵! ヤンデレガール!
 暴走する狂愛。それを止めるためには、時に非情に徹して戦う他にない。かけたい言葉は数あれど、それを相手が受け入れる可能性は極めて低い。説得する前に彩華が殺されては一大事。そういうわけで、ここは猟兵の出番なのだが……相手がヤンデレ少女と知って、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は早々に気後れしていた。
「うへぇ、ヤンデレかぁ……。あの手の女の子って、見た目によらず異様に戦闘能力だけは高いんだよね……」
 それこそ、ヤンデレ女は『告白以外は何でもできる』とまで言われている。愛する人のためであれば、殺人だってなんのその♪ 一見して可憐な少女でありながら、ヤンデレスイッチが入った状態では鉈で相手の頭をカチ割ったり、鋸で恋敵の頸動脈を掻っ捌いたりといった、信じられない戦闘スキルを発揮する。
 そんなヤンデレが、オブリビオンとして目の前にいるのだ。恐らく、今の絢瀬は状況次第ではキャバリアで踏みつけられても死ぬことはなく、何度でもゾンビのように復活しては襲い掛かって来るだろう。
「う~ん……後は楽屋で様子見って思ってたけど、さすがにそれは拙いかな?」
「そうねぇ……。恐怖の感情は好きだけど、精神的にイッちゃってるのは、さすがにちょっと勘弁ね」
 だが、ここで臆しているわけにはいかないと、クローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)とミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)も楽屋や観客席から飛び出して来た。もはや、ステージを楽しんでいる場合ではなさそうだ。
「とりあえず、あの男の子を助け出せばいいのかな? そういうことなら……これからも、『友達として』クローネちゃんとナカよくしてね★」
 まずはクローネが軽く指を鳴らせば、それに合わせて現れたのは大量のオーク! 怪力と触手、そして謎の白濁液による攻撃で絢瀬のことを拘束し、辱めてしまおうというのだろうが……対する絢瀬も負けてはいない。
「アハハハ! そ~んな豚野郎なんかで、私を止められると思ってるの? 誰にも邪魔はさせないわ!」
 なんと、絢瀬は自分の分身を大量に呼び出し、それをオーク軍団に差し向けて来た。たちまちステージ場では乱闘が発生し、血で白濁液を洗い流すバイオレンス・ショーの開幕である。
「おのれぇぇぇ……優君にしか触らせるつもりのない私の柔肌を……絶対に殺す!」
「死ね! 死ね! 死ねぇぇぇぇ! 豚はまとめて解体してやるわ!」
 鬼気迫る勢いで、絢瀬の分身はクローネの呼び出したオーク達を屠畜し始めた。普通の少女であればオークの触手に怯み、辱められれば攻撃の手を止めたかもしれない。
 だが、ヤンデレガールと化した絢瀬にとっては、そんなものは恐怖の対象でもなんでもなかった。彼女が恐れるのは想い人と引き裂かれることだけであり、それを阻止するためであれば、全裸にされながらも目の前の敵を屠ることに躊躇いはない。
「アハハハハ! 優君、今夜の晩御飯はトンカツにしましょうねぇぇぇぇぇ!」
 裸身に返り血を浴びながら、狂った笑顔でオークに何度も包丁を振り下ろす絢瀬の分身。中には逆にやられて消滅している分身もいるので戦闘的には拮抗しているのだが、残虐性だけなら圧倒的に絢瀬の方が上である。
「うわ……これは想像していた以上ね。まずは、あの分身をなんとかしないといけないわね」
 もはやアイドルパフォーマンスどころではなくなった血の舞台を前に、さすがのミーガンもドン引きしていた。
 こうなれば、あの分身を本体諸共に纏めて叩き潰してしまおう。そう考えたミーガンは、巨大化して一気に勝負を決めることにした。
「み~んな踏み潰してあげるわぁ♪」
 自分の身体を100倍以上に巨大化させ、バイオレンス・ショーを繰り広げている絢瀬の分身やオーク軍団を纏めて踏み潰す! その身体は既にステージの外にはみ出しており、観客まで踏んでいるような気もしたが、それはそれ。
 巨体による震脚は、それだけで凄まじい衝撃波を発生させ、あらゆるものを纏めて吹き飛ばした。衝撃で、彩華や絢瀬だけでなく、椅子に縛られていた優まで吹っ飛ぶ。絢瀬の分身とオーク軍団は全て赤い染みと化し、勝負は着いたかに思われたのだが。
「……っ! 痛ぁぁぁぁい!!」
 突然、ミーガンが爪先を抑えて悲鳴を上げた。そのショックで彼女の身体は元のサイズに戻ってしまう。すると、目の前には血まみれになり満身創痍状態でありながらも、包丁を持って笑みを浮かべる絢瀬の姿があった。
「お前……よくも優君を吹き飛ばしたな! 優君は私のもの……絶対に渡さない!!」
 包丁の先に着いた血を見て、ミーガンは理解した。先の痛みは、あの包丁による攻撃だ。巨大化したミーガンからすれば絢瀬の包丁など小さなトゲ程度の代物だったが、その包丁を絢瀬はあろうことかミーガンの爪の隙間に捻じ込んで来たのである。
 少し考えてみよう。爪と肉の隙間に、細くて鋭い金属の針を強引に捻じ込まれることを。恐らくは、考えただけで背中に冷たいものが走るのではないだろうか。絢瀬の包丁はミーガンにとって、正にその針だったのである。
「なかなかやるね……。これは、ちょっと遊んでいる場合じゃないかもね」
「そうねぇ……。確かにこれは、悪戯気分で戦って勝てる相手じゃなさそうだわ」
 クローネもミーガンも、完全にシリアスモードのスイッチが入っていた。やはり、ヤンデレというのは見た目以上に危険な存在だ。そんなヤンデレ女を前に、もはや戦意喪失しそうなラビニアであったが……この状況で、まだ余裕をブッこいている者が一人だけいた。
「フハハハハ! そんなに男とひとつになりたいか、貴様は? ならば、真の合体というものを貴様にも見せてやろう!」
 ラビニアの乗機であるオブリビオンマシンの劫禍だ。この状況でヤンデレを煽るとか、正に火に油を注ぐような行為なのだが、それはそれ。
「ラビ子! いよいよ俺様と一つになる時が来たな!」
「言い方が気持ち悪いよ!」
 なんと、劫禍はラビニアの強化服兼武装として彼女自身と融合し、大幅なパワーアップを果たしたではないか!
 これなら勝てる! 何の根拠もなかったが、なんとなくそんな気がして、ラビニアは一転し絢瀬へ突撃! 火力と機動性の違いを生かして四方八方からボッコボコにするのだが……何故か、どれだけ攻撃されても絢瀬は倒れない。普通のオブリビオンならとっくに骸の海へ帰っているはずなのに、全く倒れる様子がない。
「うふふふ……そう簡単に、私は死なないわ……。邪魔者は、絶対に許さないんだから……」
 ユーベルコードの効果によって、絢瀬は包丁を手放さない限り『死ねない』身体になっていたのである。おまけに殺傷力と追尾性能も上がっているとなれば、これは劫禍と融合していても危険である。
「ひぃぃぃっ! やっぱり無理ぃぃぃっ!!」
 狂笑を浮かべながら迫って来る絢瀬に、ラビニアはすっかり戦慄してしまった。既に、後一押しすれば倒せる程にまでヤンデレガールはダメージを受けているはずなのだが、それでも倒れないのは彼女の恐るべき執念故か。
 やはり、ヤンデレとはどこまで行っても危険な存在だ。善戦する猟兵達ではあったものの、しかし絢瀬を元に戻すには、後少しの何かが必要だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カーバンクル・スカルン
自分に酔いまくってるわ、こりゃ処置なしだね。

頭から否定した私へ包丁を突き出したところに後ろからカタリナの車輪を突っ込ませて拘束。そして湯船にしっかりとお湯をためて【水責め】スタンバイ。

はーい、|尋問《しつもん》入りまーす。
あなたは浅倉さんに好きだと言うことをオブリビオンになる前に伝えましたか? そもそも話そうとしましたか?
やってフラれたならご愁傷様。だからと言って他人を巻き込むんじゃねぇと沈める。
そもそもやってないなら……一旦沈めて溺れる前に引き上げて詰問して態度が変わらないならまた沈めてを徹底的に繰り返す。
その間に|彩華《ポンコツ》ちゃんは人質を救出! さすがにそれぐらいは出来るでしょう!?



●告白以外はできる女!?
 どう考えても致命傷に等しいダメージを負いながら、しかし決して倒れない綾瀬。ヤンデレガールと化した彼女を支えているのは、その内に秘めたる歪んだ愛情。
「アハハハハ! 私と優君の中を引き裂くことは誰にもできないの! 誰にもね!」
 全身血塗れ状態で、包丁を片手に狂った笑みを浮かべる綾瀬。どう考えても、ホラー映画のモンスターにしか見えない。仮に優を監禁拘束できたとして、これではドン引きされるのが関の山だと思うのだが、それはそれ。
「自分に酔いまくってるわ、こりゃ処置なしだね……」
 もはや言葉だけでの説得は不可能だと、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)は早々に綾瀬を倒す方へと切り替えたようだった。もっとも、そのまま攻撃すれば下手すると優を巻き込んでしまう。綾瀬の性格からして彼を巻き込むことはないと思うが、さすがにこのまま放っておくのも気が引けるわけで。
「はーい、尋問しつもん入りまーす。あなたは浅倉さんに好きだと言うことをオブリビオンになる前に伝えましたか? そもそも話そうとしましたか?」
 恋愛において根本的に基本的な部分を、カーバンクルは綾瀬に訪ねた。告白してフラれたならともかく、告白もしていないのに勝手に病むのはどうなのかとも思っていたからだ。
「そんなの……できるはずもないじゃない! でも、こうして優君を捕まえて私の想いを伝えたから、きっとわかってもらえたはずよ♪」
 そして、帰ってきたのは案の定というかとんでもなくズレた答え。ヤンデレというのは往々にして、告白以外は何でもできる女だと言われている。それこそ、場合によっては人を平気で殺せるだけの度量を持ちながら、しかし告白するための勇気は持っていない。
「はぁ……やっぱり、そんなことだろうと思ったわ。だったら……水でも被って、少しは目を覚ましなさいな」
 次の瞬間、カーバンクルの溜息と同時に、巨大な車輪が現れ綾瀬のことを拘束した。そして、それは高速で回転しながら、何度も綾瀬を水の中へと叩き込む。
「あばばばば……がぼ……ごぼ……」
 さすがの綾瀬も連戦に次ぐ連戦で、戦う力が残されていなかったのだろう。禄に抵抗もできないまま水に沈められて行くのを見て、カーバンクルは彩華に優を助けるように指示を出す。
「ほら、|彩華《ポンコツ》ちゃんは、今の内にさっさと人質を救出しなさい。さすがに、それくらいはできるでしょう!?」
「わ。わかりました! よ〜し……」
 カーバンクルに促され、ようやく彩華も動き出す。だが、果たして彼女に優を助けることなどできるのか。なにしろ彩華は凄まじいまでのドジっ子なのだ。
「あ、あれ? おかしいな、解けない……。ここを、こうして……あぁっ! 反対に絡まっちゃった!?」
 やはりというか、優の拘束を解こうとして、逆に紐をキツく結んでしまう始末。それでも、なんとか頑張って優を解放したものの、そのまま逃げられないのもまたお約束。
「はぁ……はぁ……。よ、ようやく解けた。さあ、早く逃げ……って、きゃぁぁぁぁっ!?」
 なんと、優を連れて逃げようとした矢先、自分が解いてその辺に投げていた縄に絡まってしまったのである。
「あわわわ……誰か〜! 助けて〜!!」
 そして、暴れれば暴れるほど、何故か縄は彩華の身体に絡まって行く。この女、マジで本当に何の役にも立ってねぇ!
「えっと……君、大丈夫?」
 結局、彩華は助けた優に縄を解いてもらうことになり、これではどちらが人質だったのかもわからない。あまりに常軌を逸したドジっ子ぶりに、カーバンクルは先程よりも更に大きな溜息を吐きながら、改めて綾瀬の方を見たのだが。
「あぁぁぁぁぁっ! 私の優君が……優君がぁぁぁぁぁ!!」
 こちらはこちらで、もはや質問さえできるような状況になかった。眼の前で想い人が奪還されたことで、完全に我を失っている。
「ふんごぉぉぉぉぉっ!! ま、負けるもんかぁぁぁぁっ!!」
 優への歪んだ愛情。ただそれだけで、綾瀬は火事場のクソ力を発揮して、なんと車輪の拘束を引きちぎってしまった。あれだけ痛めつけられていたというのに、まだこんな力を残していたというのだろうか。
「あぁ……優君……私の優君……。誰にも渡さないわ……誰にもぉぉぉぉ……!!」
 もっとも、残された体力は殆どないのか、今の綾瀬は惨めにステージの上を這うことしかできていなかった。だが、それでも優へと迫らんとするあたり、その執念だけは化け物だが。
「これだけ拷問されても心さえ折れないとか……。それなのに、なんで告白だけはできないのよ……」
 やはり、ヤンデレというのは告白以外なら何でもできる生き物なのだろうか。オブリビオンになった影響もあるのだろうが、しかしそれにしても極端過ぎる生態に、カーバンクルはそれ以上は何も突っ込めなかったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

熊ヶ谷・咲幸
「綾瀬さん、貴方には彩華さんの気持ちが分からないんですか!? 綾瀬さんと彩華さんの過ごしてきた時間は偽りじゃなかったはずです!」
ゆっくり綾瀬さんに近づいて説得を試みます。そして、包丁への攻撃は身体なら【怪力】で筋肉を締めて、顔なら歯で受けて刃の侵入を防いでがっちり掴んで逃げられないようにします
更には向こうの攻撃の瞬間、彩華さんに【君だけの☆アイドル】を踊っておもらい、綾瀬さんの注意を一瞬でも引けたらUCによる【慈悲の抱擁】で【締め上げる】を行い、【希望の力】で【浄化】します
「貴方の悪意の力、ここで浄化します! 消え去れえええええ!!」
あとは彩華さんの頑張りオーラが今後の綾瀬さんを助けると信じる



●最後の賭け
 ヤンデレガールになった綾瀬には、もはや想い人の優しか見えていない。あらゆる説得は無駄であり、優を失うことは綾瀬にとって死を意味する。
 もはや、さっさと倒してステージを終わらせ、綾瀬を元に戻した方が早いような気もする状況。だが、それでも熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)は、まだ最後の望みに賭けていた。
「綾瀬さん、貴方には彩華さんの気持ちが分からないんですか!? 綾瀬さんと彩華さんの過ごしてきた時間は偽りじゃなかったはずです!」
 友達だった彩華が、これだけ心配してくれているのだ。現に、彼女は超絶ドジで自力では絶対にオブリビオンに勝てないアイドルでありながら、こうして綾瀬を助けるために、色々と身の危険を顧みずやってきてくれたのだから。
 もっとも、そんな咲幸の言葉さえも、今の綾瀬には届かなかった。彼女からすれば、目の前にいるのは全て自分から優を奪う敵なのだ。
「許さない……絶対に許さない……。私の優君を返せぇぇぇぇ!!」
 既に戦う力など残っているはずもないのに、綾瀬は包丁を握りしめて咲幸へと突っ込んできた。しかし、咲幸はそれを避けることもなく、敢えて真正面から受け止めた。
「……っ!!」
 腹部に走る激痛。ヤンデレガールと化した綾瀬の攻撃は、的確に狙った相手の急所を貫いて来る。そのまま包丁を回転させ、内臓を抉って相手を殺す。それが綾瀬の必殺技だったが、しかし咲幸もさせなかった。
「くっ……! 包丁が……動かない!?」
 なんと、咲幸は腹の筋肉を締めることで、自らの肉で包丁を抑え込んでいたのである。当然、刃は内臓にまで達してもいない。怪力自慢の咲幸の身体は、実は筋肉の塊でもある。その筋力を使って刃を食い止めただけでなく、ガッチリと刃を挟んで抜けないようにしているのだ。
「さあ、彩華さん! 今の内に、あなたの力で綾瀬さんを引き付けて!」
 ドジっ子とはいえ、それでも彩華とて腐ってもアイドル。ユーベルコードのひとつやふたつは使えるわけで、そんな彩華が歌って踊れば、その瞬間だけ綾瀬は彼女しか認識できなくなってしまう。
「綾瀬、もう止めて! 本当に優君のことが大好きなら……彼が幸せになれることを考えてあげようよ!」
 監禁して愛を囁いたところで、それではいつまでも一方通行で虚しいだけだ。大事なのは、告白して成功するか否かではない。本当に相手のことを愛しているのであれば、どんな形であれ相手の幸せを喜べるはず。もしくは、その幸せを与えることを、自ら率先して行うはずだと。
 それができていない時点で、綾瀬のやったことは優に恐怖を与えただけだ。このまま彼を洗脳しても、それは心の壊れた彼の抜け殻が手に入るだけ。本当に、そんなものが欲しかったのかと彩華が問いかければ、さすがの綾瀬も少しばかり動揺し。
「そ、そんな……。私の愛は……間違っていたというの!?」
 今の綾瀬は、優のことしか考えられない状態である。だからこそ、彩華の言葉が深く刺さった。愛する人を全く喜ばせられないばかりか、その心を破壊しようとしてしまった。そうなれば、二度と再び自分の愛した優は彼女の前に現れることはないからだ。
「……よし、今ね!」
 そして、綾瀬の心の動揺を、咲幸は決して見逃さなかった。腹に包丁が刺さったまま綾瀬に抱きつき、そして怪力のままに締め上げる。もっとも、それは綾瀬を潰すためではなく、あくまで逃げられないようにするためであり。
「貴方の悪意の力、ここで浄化します! 消え去れえええええ!!」
 自分のダメージも顧みず、咲幸は綾瀬に浄化の力を注ぎ込んだ。ヤンデレパワー全開の状態であればそれも跳ね除けたかもしれないが、今の綾瀬には、さすがにそこまでの力は残っておらず。
「そ、そんな……あぁぁぁぁぁっ!!!」
 浄化の光に包まれて、綾瀬の身体が変わって行く。オブリビオンの因子だけが骸の海へと戻されて、本来の綾瀬が姿を現す。
「あ、綾瀬! あぁ……良かった……」
 慌てて彩華が駆け寄れば、そこにいたのは黒髪眼鏡の実に地味な少女だった。これが、あのヤンデレガールの正体なのか。人をここまで変貌させてしまう骸の海の力に脅威を覚えつつも、事件は誰一人として死者を出さないまま、静かに終劇を迎えたのであった。

●とりあえずモデルから?
 ヤンデレガールの巻き起こした騒動は、猟兵とドジっ子アイドルによって解決された。だが、事件が解決しても、綾瀬の心の問題は残ったままだ。それでも綾瀬は優に自分の行いを謝ろうとしたが、しかし優は静かにそれを制した。
「もう、いいよ。全ては済んだことだからね。それに……」
 自分が他の女に奪われるのではないか。そんな心配も、また必要ないと優は告げる。なぜなら、自分はどんな美しい女性が目の前にいても、決してなびくことはないのだと。
「だって、僕はそもそも……男にしか興味がないからね♪」
「「……っ!?」」
 絶句する彩華と綾瀬の二人。なんと、優は女子にモテモテのイケメンと思わせておいて、実は男のくせに男が大好きな薔薇男子だったのである!
「う、嘘でしょ……。学園ナンバーワンのイケメンが、男にしか恋しない男子だったとか……」
 さすがの彩華も、これには軽く退いていた。だが、その反対に綾瀬は眼鏡の奥で何かを輝かせながら、級にスッと立ち上がり。
「そう……そういうことだったのね。優君は、男が好きだったのね……」
 もしや、また絶望してオブリビオン化のスイッチが入ってしまったのだろうか。不安そうに綾瀬の方を見つめる彩華だったが、彼女の心配とは反対に、綾瀬の瞳は輝いていた。
「なぁんだ、そういうことだったのね! だったら、もっと早く言ってくれればよかったのに!」
 優を見つめる瞳が、恋する少女のそれから別のものに変わっている。いったい、何が起きたのかと周囲の者達が唖然とする中、綾瀬は懐からメモを取り出して。
「これは、うかうかしていられないわ! 目の前に最高のモデルがいるんですもの! 早速、新作の準備に取り掛からなくちゃ!」
 そういうわけで、色々と話を聞かせて欲しいと優に迫る。そう……何を隠そう、綾瀬はBL本が大好きな腐女子要素も持っていたのである!
「えぇと……これ、ハッピーエンドでいいんだよね?」
「うん……たぶん……」
 顔を見合わせる咲幸と彩華。そんな彼女達を他所に、綾瀬は勝手に盛り上がっている。そして、どうやら優もまんざらではないらしい。
「こうなったら、今年の冬コミは優君スペシャルよ! ああ、創作意欲が止まらないわ!」
「僕をモデルに漫画を描いてくれるのかい? いやぁ、嬉しいな♪」
 恋愛という形ではなかったかもしれないが、これで全ては丸く収まった。もう、二度と再び、綾瀬がヤンデレガールになることはないだろう。理想のモデルを手に入れた彼女は、心の闇を全て捨て、真のBLガールへと覚醒したのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年10月08日


挿絵イラスト