●街の噂
ねえ、ねえ、知ってる?
この街には、遊園地があるよね?
そこで思いっきり楽しんでるとさ、おかしな世界に連れて行かれちゃうんだって。
その世界は、辺り一面、夕焼けみたいに真っ赤な色なの。
そこにいると、あっという間に、自分が誰なのか分からなくなっちゃうんだ。
それで、正気でいられなくなって、戻って来られなくなるの。
怖いよねえ。
●彼は語る
「……ってのが、今、UDCアースの街に流れてる噂だ」
宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)は、グリモアベースに集まった猟兵達に説明する。
「俺の予知によれば、これはただの噂じゃない。UDC怪物、『噂語り』が広めたものだ」
流されたこの噂は、呪いのようなものだと拓未は言う。実際に、その街の遊園地で日常を満喫していると、異空間に取り込まれる仕組みになっている、と彼は説明した。
「そこで、だ……皆には、まず、その遊園地で思いっきり楽しんでもらって、他の民間人ではなく自分達が、異空間に取り込まれるように仕向けて欲しい」
超高速で駆け抜ける、スリル満点のジェットコースター。ゾンビパニックをテーマにしたお化け屋敷に、錯覚で不思議な感覚に陥る鏡の迷宮ことミラーハウス。くるくる回るメリーゴーランド、ゆったりと景色を眺められる観覧車。
それらを楽しんでいれば、遊園地の風景は、昼間にもかかわらず、不意に夕暮れのように赤く染まるだろう――それは、猟兵達が異空間に引きずり込まれた証である。
異空間には、UDC怪物『噂語り』達がひしめいている。猟兵達が取り込まれてからしばらく時間が経てば、わらわらとやって来るだろう。
「つまり、皆にやって欲しいことは、まず、遊園地を全力で満喫することで、異空間に自分達が取り込まれるよう仕向けること。それから『噂語り』を異空間の中で一網打尽にすること。この二つだ」
『噂語り』を全滅させれば、異空間からは脱出できる、と拓未は語る。
「けど、一つ問題があるんだ。その異空間なんだが……噂の内容通りで、『自分が誰なのか分からなくなる』効果がある。それを起点に、じわじわ精神が侵食されて……確実に、狂気に陥る」
すなわち、異空間に入ってから『噂語り』が来るまでの間、猟兵達は狂気に晒されるということだ。
「……はっきり言って、キツいぜ。どうにかして狂気から逃れることができなければ、『噂語り』と戦うどころじゃなくなる可能性もある。けど、俺は信じてるぜ。皆なら、きっと耐えきってくれるって」
拓未はこの場の猟兵達に信頼を込めた眼差しを向け、UDC組織が手配した遊園地のチケットを配ってから、転送準備に入った。
地斬理々亜
地斬です。
よろしくお願いします。
●第1章
遊園地を楽しむ。(日常)
●第2章
異空間で狂気に陥り、そこから立ち直る。(冒険)
●第3章
『噂語り』と戦う。(集団戦)
このような流れとなります。
●補足1
第2章では全員例外なく、必ず正気を失います。
(自分が誰なのかが分からなくなり、狂気に陥ります)
強靭な精神力の発揮、現実を感知し冷静さを取り戻す、術や智慧の駆使などによって、どうにかして狂気から立ち直ってください。
●補足2
『噂語り』との集団戦も異空間の中で行うことになりますが、正気を失ったまま戦う必要はありません。
(正気を失ったまま戦いたい方は、それはそれで問題ありませんので、第3章のプレイングにお書きください)
異空間の中には一般人はいませんので、避難誘導などは不要です。
執筆状況は自己紹介ページに記載しますので、必要に応じてご確認ください。
それでは、ご健闘をお祈りします。
第1章 日常
『楽しい遊園地』
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POW : ジェットコースターに乗る
SPD : お化け屋敷やミラーハウスに入る
WIZ : メリーゴーランドや観覧車に乗る
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
波狼・拓哉
遊園地か…そういや最後に行ったのっていつだっけ…
まあ、いいや。ちょっと命の危険が後に残るけどこういう機会でもないと一人じゃこないしな!…言ってて悲しくなってきた。今度知りあい誘ったりしてみるか…
楽しむことが条件か…ふっならばジェットコースターでスリルを味わさせて貰うか…!猟兵の仕事とはまた違ったスリルだしね!…レール外れたりしなよね?大丈夫?
さて他のコースターがあるならそっち行ってもいいしもう一回乗るのもいいな…それともちょっと飲み物とか買って落ち着くのもいいし他のアトラクションいくのもいいかもしれない…何時来るか分からんから出来るだけ楽しんでおかないと…!
(アドリブOK)
「遊園地か……そういや最後に行ったのっていつだっけ……」
波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は、ぼんやりと己の記憶を探る。これまで、あまりに色々なことがあった。遊園地という何気ない日常の思い出は、それらの記憶に埋没してしまっている。
「まあ、いいや。ちょっと命の危険が後に残るけど、こういう機会でもないと一人じゃ来ないしな!」
ひゅう、と風が吹く。春とはいえ、気温はまだ少し冷たい。
「……言ってて悲しくなってきた」
今度は知り合いを誘ったりしてみるか、などと考えながら、拓哉はチケットを使って遊園地に入場した。
「楽しむことが条件か……ふっ」
拓哉は不敵に笑う。
「ならば、ジェットコースターでスリルを味わわせてもらうか……!」
猟兵の仕事とはまた異なるスリル。期待に胸膨らませ、拓哉はジェットコースターへ向かった。
行列に並んで順番を待ち、スタッフの指示に従って、コースターに乗り込み、安全バーを下ろす。
(「……レール外れたりしないよね? 大丈夫?」)
そんな不安が、若干、拓哉の胸を過ぎる。
拓哉を乗せて、ゆっくりと出発したコースター。それは、勾配に合わせて加速し、風を切って駆け抜け、浮遊感と爽快感、それに胸のドキドキを拓哉にもたらしてくれた。もちろん、レールを外れることもなかった。
「ふう……さて」
ジェットコースターを降りた拓哉は、遊園地のパンフレットに載っている地図に視線を落とす。
(「他のコースターもあるみたいだからそっち行ってもいいし、今のにもう一回乗るのもいいな……。あるいは、ちょっと飲み物とか買って落ち着くのもいいし、他のアトラクションに行くのもいいかもしれない……」)
やりたいことはたくさん。迷ってしまう。
「いつ来るか分からんから、できるだけ楽しんでおかないと……!」
まずは飲み物を買うことに決めて、拓哉は歩き出した。
大成功
🔵🔵🔵
婀鎖路・朔梛
※アドリブOK.大歓迎!
朔梛『すっっごく久しぶりの遊園地!!』朔椰「遊園地‥!たくさん、遊びたい!」
朔梛『全力で楽しむのがあたし達の仕事だよ。つまり、時間の許す限り回って遊びつくす!』
『「出発!」』
・『朔椰?…いや、待って。
お願いだから、お化け屋敷だけは勘弁して!
いやいや、朔椰は妹でしょ?
あたしのもう一人の人格でもあるじゃん。幽霊と違うから!?』
・「お姉ちゃん。
メリーゴーランドより、コーヒーカップに・・乗りたい。
壊れるまで、二人で、回しまくる。‥壊しちゃ駄目?
…気を付ける。」
・『お腹空いたね‥。でも、ミラーハウスも気になるよねー。どうする?』
ラザロ・マリーノ
【POW】
いやあ、遊ぶのが仕事だなんて最高だぜ。
楽しめるのは最初だけだとわかっちゃいるが、遊園地なんて話に聞いた事しかねえからな。
今日は、思いっきり楽しませてもらうぜ。
まずは腹ごしらえからだな。チュロス?だったけか。変わった名前だが美味そうな奴があったよな。
ああ、甘いもんだけじゃ無くてレストランなんかもあるのか。
乗り物も色々あるみてえだが、やっぱりジェットコースターだよな。
尻尾が邪魔でうまくシートに収まらねえけど、まあ大丈夫だろ!
※アドリブ・連携歓迎
穂結・神楽耶
【アドリブ・連携歓迎】
遊園地。そういえば訪れるのははじめてですね。仕事で来ているのは理解していますが…せっかくですし、少々楽しんでもバチは当たりません、よね?
遊園地といえば…まずジェットコースターですかね? 他の方に『情報収集』すればどれがそうなのかは理解できるでしょう。
混んでいたとしても、並ぶだけで楽しいですね。こんな風に待つなんて、はじめての経験です。
あ…えっと、これに乗るのですか? 本当に? 『歌唱』で鍛えた喉から出る絶叫がうるさくなければ良いのですけれど… …きゃああああああああ!?
「遊園地。そういえば訪れるのは初めてですね」
「いやあ、遊ぶのが仕事だなんて最高だぜ」
穂結・神楽耶(守れずのヤドリガミ・f15297)の横で、ラザロ・マリーノ(竜派ドラゴニアンのバーバリアン・f10809)が言う。神楽耶は、彼に視線を向けた。
「仕事で来ているのは理解していますが……せっかくですし、少々楽しんでもバチは当たりません、よね?」
神楽耶は言う。それを聞いたラザロは、トカゲのような顔――文字通り、鱗に覆われた顔である――に、笑みを浮かべた。
「もちろんだ。楽しめるのは最初だけだが、遊園地なんて俺も話に聞いたことしかなかったからな。今日は、思いっきり楽しませてもらおうぜ」
「そう……ですね。ええと、ジェットコースターはどれでしょう?」
「こっちだな。俺も後で乗るぜ」
ラザロの案内でジェットコースター乗り場にたどり着いた神楽耶は、礼をラザロに言い、チュロスを買いに行く彼の背を見送った。
(「並ぶだけで楽しいですね」)
行列で順番を待つ。これも、神楽耶にとっては初めての経験だ。
やがて、巨大で物々しいコースターが、神楽耶の眼前に姿を現す。
「あ……えっと、これに乗るのですか? 本当に?」
恐る恐る神楽耶は乗り込み、そして……。
「……きゃああああああああ!?」
歌唱で鍛えられた喉からは、絹を裂くような高音の絶叫が思いっきり響き渡ったのであった。
「おお、神楽耶は楽しんでるな」
チュロスをかじりながら、ラザロはジェットコースターを見上げる。
変わった名前の揚げ菓子は、粉砂糖がたっぷりかかっていて、表面はカリカリ、中はもちもち。ラザロの見立て通り、美味である。名物食べ歩きが趣味の彼は、心満たされる。
「ああ、甘いもんだけじゃなくてレストランなんかもあるのか」
本格的に腹ごしらえすべく、ラザロはそちらへ向かうことにした。
『すっっごく久しぶりの遊園地!』
「遊園地……! たくさん、遊びたい!」
瓜二つの少女二人が、遊園地入り口ではしゃぐ。それは、双子の姉妹。姉の、婀鎖路・朔梛(表裏一体の双子・f12701)と、妹、朔椰である。
だが、その実、朔椰は、死産した妹の魂が朔梛の体に宿ったものである。ユーベルコード『オルタナティブ・ダブル』の効果で、このように、二人で場に存在することが可能になっている。
『全力で楽しむのがあたし達の仕事だよ。つまり、時間の許す限り回って遊び尽くす!』
ぐっと拳を握って、朔梛は、朔椰を見た。妹は表情を変えないながらも、こくりと頷く。
『「出発!」』
姉妹の声が重なる。
最初に、朔椰が朔梛の手を引いて向かったのは、お化け屋敷。
『朔椰? ……いや、待って。お願いだから、お化け屋敷だけは勘弁して!』
その姉の言葉に、朔椰は、自分を指差して、不思議そうに首を傾げる。
『いやいや、朔椰は妹でしょ? あたしのもう一人の人格でもあるじゃん。幽霊と違うから!?』
「ダメなのは、幽霊? なら、大丈夫……ここ、出るのはゾンビみたいだし」
『朔椰ー!?』
結局お化け屋敷にも入ることになり、朔椰はぐったりモード。次はゆったりしたアトラクションを、と、選んだのはメリーゴーランドだ。彼女の袖を、朔椰が引く。
「お姉ちゃん。メリーゴーランドより、コーヒーカップに……乗りたい」
『ん、そっか。朔椰がそう言うなら』
方向転換し、朔梛はコーヒーカップに向かう。
「壊れるまで、二人で、回しまくる」
『え、壊しちゃ駄目だよ!?』
「……気をつける」
力持ちの妹がコーヒーカップを壊すようなこともなく、堪能し終えて、姉妹は一息つく。
『お腹空いたね……でも、ミラーハウスも気になるよねー。どうする?』
「何か食べてから、ミラーハウス……行く」
そんな会話を交わした二人は、レストランへ向かう。
途中、レストランでの食事を終えたラザロとすれ違った。
「さて、やっぱりジェットコースターだよな」
心わくわく、ラザロはジェットコースターへ。
やがて順番が来て、彼はコースターに乗り込んだ。
ぎゅむっと邪魔な竜のしっぽのせいで、上手く体がシートに収まらない。
(「まあ大丈夫だろ!」)
かくして、ラザロを乗せコースターは出発する。
体が投げ出されないかという、普通とは違ったスリルを味わうことになったラザロだが、コースターから降りてきた彼の表情は、実に楽しそうであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
彩波・いちご
アルテミスさん、アイさんと一緒
※2人とも私の事女性と思ってます
「鎧脱いだアルテミスさんも新鮮で、可愛いですよ」(にこっ
何か様子がおかしいですけど…?
私達は子供のようにはしゃぐアイさんの保護者役ですかね?
って張り切りすぎですよっ?!
UCで疲労する彼女を支えつつ、連れられるままに一緒にアトラクションに
「無理は禁物ですよ?慌てなくてもいいので、じっくり楽しみましょう?」
3人でメリーゴーランドや絶叫マシン楽しんで
そしてお化け屋敷
案の定怖がるアイさんに抱きつかれ
「大丈夫、一緒にいるから怖くないですよ」
と優しく頭を撫で
アルテミスさんも?
普段は勇敢なのに…
両手に花に苦笑しつつ
2人に抱きつかれたまま進みます
アルテミス・カリスト
いちごさん、アイさんと一緒
いちごさんのことは女の子だと思っています。
いちごさんとのお出掛け。
気合を入れてお洒落して遊園地にやってきました。
「いちごさんと遊園地……
はっ、これって、デートなのではっ!?」
い、いけません。私は騎士です。
女の子相手なのに、そんなことを考えてはっ!
それに、今日はアイちゃんを楽しませるのが目的です。
ふふ、子供みたいにはしゃいじゃって。
まるで、私といちごさんの子供みたい……
って、だから、いちごさんは女の子だからだめですって、私!
ジェットコースターやお化け屋敷では、怖がるふりをして、
いちごさんに抱きついちゃいましょう。
「これくらいなら、騎士道を破ったことにはならないですよね」
アイ・リスパー
いちごさん(女性と勘違い)、アルテミスさんと一緒
「わぁっ、これが遊園地っ!」
研究施設にいた頃に夢にまで見たアトラクションの群れが目の前に広がっています。
「いちごさん、アルテミスさんっ、あれ乗りましょうっ!」
ジェットコースターやメリーゴーランドを指差し、二人の手を引っ張ります。
「ええっと、限られた時間ですべてのアトラクションを巡るには……」
【チューリングの神託機械】を発動。
代償に吐血しながらも時間内にアトラクションをまわる最適経路を計算します。
よし、これなら全制覇可能です!
ですがお化け屋敷では……
「うう、お、お化けなんて非科学的なものは存在しません……
ぴゃああっ」
涙目でいちごさんに抱きつきます。
彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)とのお出掛け。アルテミス・カリスト(正義の騎士・f02293)は、気合を入れてオシャレして、遊園地にやって来た。
「鎧脱いだアルテミスさんも新鮮で、可愛いですよ」
にっこりしていちごは言う。だが、それを聞くアルテミスは上の空。
(「いちごさんと遊園地……これって、デートなのではっ!? ……い、いけません。私は騎士です。女の子相手なのに、そんなことを考えてはっ!」)
いちごの性別を女だと思い込んでいるアルテミスは、ぶんぶん首を横に振って自分の考えを振り切る。
(「それに、今日はアイちゃんを楽しませるのが目的です」)
アルテミスが見やる先、アイ・リスパー(電脳の妖精・f07909)は、赤い瞳をきらきら輝かせていた。
「わぁっ、これが遊園地っ!」
アイがかつて研究施設にいた頃に、夢にまで見た、アトラクションの群れ。それが今、現実の光景として、目の前に広がっている。
「いちごさん、アルテミスさん、あれ乗りましょうっ!」
「ふふ、子供みたいにはしゃいじゃって」
「私達は保護者役ってとこですね」
手を引くアイを、アルテミスといちごは微笑ましく見やる。
(「子供……保護者……まるで、アイちゃんが、私といちごさんの子供みたい……って」)
アルテミスは、空いている方の手で自分の頬をぺちぺち。
(「だから、いちごさんは女の子だからだめですって、私!」)
誤解は未だ解けず。なお、アイも同様にいちごは女だと思っている。
「ええっと、限られた時間で全てのアトラクションを回るには……」
アイは電脳空間にアクセス。万能コンピューターの計算能力を己に宿した。ユーベルコード、『チューリングの神託機械(チューリング・オラクル・マシン)』である。
「よし、これなら全制覇可能です!」
笑顔で言ったアイの口元からは、流血。
「張り切り過ぎですよっ?!」
あわててアイを支えるいちご。
「無理は禁物ですよ? 慌てなくてもいいので、じっくり楽しみましょう?」
「はい、いちごさん!」
アイは変わらず、ぽややんと笑顔を浮かべて頷く。
回るメリーゴーランドに、スリルいっぱいのジェットコースター。三人で存分に楽しんだ後、向かった先はお化け屋敷。
「うう、お、お化けなんて非科学的なものは存在しません……」
アイは涙目である。次の瞬間、リアルな特殊メイクでゾンビに扮したスタッフが、目の前に飛び出す。
「ぴゃああっ」
アイは涙目でいちごに抱きつく。
「大丈夫、一緒にいるから怖くないですよ」
いちごは、優しくアイの頭を撫でた。
「ヴァアア!!」
別の方向から、もう一体ゾンビ。その時、アルテミスはアイの反対側から、いちごにそっと抱きついた。
(「これくらいなら、騎士道を破ったことにはならないですよね」)
心の中で、そんな風にアルテミスは考える。
「アルテミスさんも? 普段は勇敢なのに……」
両手に花。そんな状態に苦笑するいちごは、アルテミスの行動が『怖がるふり』であることには気づいていない。
しっかりと己にしがみつく二人を連れて、いちごはお化け屋敷の出口を目指した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネムネ・ロムネ
遊園地
はじめて来るのです。依頼とはいえ、ちょっと落ち着かない様な気分になるのですよ
楽しそうな音楽
愉快な装飾
美味しそうな香り
こんな世界も、あったのですね。
ん。これはあくまでお仕事なのです
宙夢さんも言ってたじゃないですか
キツい、って
気を引き締めて行くのですよ
とはいえ、ネムはこういう娯楽施設は初めての経験です
普通に楽しんでしまうのです
特にゾンビパニック的なアトラクション
スリルがあってネム好みですね
今度お友達と一緒に遊びたいです
ゾンビ、ですか
そういえばネムの知り合いが『哲学的ゾンビ』なんて話をしてたですね
今は関係のない話ですけど
決戦に備えて武器はしっかり携行するのです
さぁ行くのですよ
ネムに任せて下さい
ネムネ・ロムネ(移植された心・f04456)は、初めて来る遊園地の風景に、目を奪われていた。
(「依頼とはいえ、ちょっと落ち着かないような気分になるのですよ」)
場に流れるのは、楽しげなBGM。
装飾は、どれも愉快な雰囲気で。
鼻をくすぐるのは、美味しそうなキャラメルポップコーンの香り。
「こんな世界も、あったのですね」
思わず、そんな言葉が、ネムネの口から漏れる。
(「ん。これはあくまでお仕事なのです」)
ネムネが思い返せば、確か、グリモア猟兵も『キツい』と言っていた。
「気を引き締めて行くのですよ」
ネムネは呟き、園内に歩を進める。
とはいえ。こうした娯楽施設は、ネムネにとっては初めての経験である。
(「普通に楽しいのです」)
どのアトラクションも、心躍る。
特にネムネが気に入ったのは、ゾンビパニックがテーマのお化け屋敷である。
(「スリルがあってネム好みですね。今度お友達と一緒に遊びたいです」)
お化け屋敷を出たネムネは、ベンチで一休み。
(「ゾンビ、ですか」)
そういえば、とネムネは思い出す。
(「知り合いが、『哲学的ゾンビ』なんて話をしてたですね。今は関係のない話ですけど」)
どんな意味だったか――心の哲学で使われる言葉だった気がするが。
今、ネムネが向き合っているこの事件とは、関わりのないこと。……そのはずだ。
「さぁ、行くのですよ」
いつ異空間に飲み込まれても良いように、武器の類が詰まっている荷物を背負い直し、ネムネは立ち上がった。
大成功
🔵🔵🔵
忠海・雷火
遊園地なんて、来るのはいつ以来だろう
「カイラ、貴女、遊ぶのが目的になってないかしら?」
「……雷火は、あくまで手段として遊ぶのか」
スタンスは違うものの、ともあれしっかり遊ぶつもり
まずはジェットコースターだ。いや、アイスの買い食いでも良い。遊園地なら何処かに売店がある筈
……せめて落ち着きなさい、って、そう言われても。楽しい気持ちは抑えられない
ああ、じゃあそこにあるミラーハウスは? まず童心に帰るという意味でも良いと思う
と、賛同して入ったは良いけれど……床と鏡の境を見れば、すぐに出られるのよね
ああ、でも。まだ猟兵でなかった頃は、私達が同時に鏡に映る事なんて無かったから
これはこれで、良い経験だと思うわ
(「遊園地なんて、来るのはいつ以来だろう」)
忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)の別人格、カイラ。彼女の内心は、易々と表に出ている。感情を表に出さない主人格の雷火とは、対照的だ。
雷火もまた、『オルタナティブ・ダブル』の使用によって、カイラをこの場に出現させている。
そんな雷火は、カイラに向けて言った。
「カイラ、貴女、遊ぶのが目的になってないかしら?」
「……雷火は、あくまで手段として遊ぶのか」
遊園地での遊びに対するスタンスは、それぞれ異なる。とはいえ、どちらもしっかり遊ぶつもりである。
「まずはジェットコースターだ。いや、アイスの買い食いでも良い。遊園地ならどこかに売店があるはず」
案内板の前に立ち、忙しなくカイラは地図上に目を走らせる。
「……せめて落ち着きなさい」
「そう言われても。楽しい気持ちは抑えられない」
雷火の言葉に、一旦カイラは案内板から視線を外した。その視界に、あるアトラクションが映る。
「ああ、じゃあそこにあるミラーハウスは? まず童心に返るという意味でも良いと思う」
「そうね、確かに。私も良いと思うわ」
雷火はカイラに賛同し、ミラーハウスに一緒に入った。
(「入ったは良いけれど……」)
床と鏡の境界の部分を見れば、この鏡の迷宮からはすぐに出られてしまう、ということを雷火は知っている。
(「ああ、でも」)
まだ猟兵でなかった頃は、カイラと二人で同時に鏡に映ることなど、なかった。
鏡の中には、楽しそうなカイラ。そんな彼女と共に立つ、雷火自身。
(「これはこれで、良い経験だと思うわ」)
雷火は、深紅の瞳をゆるりと伏せた。
成功
🔵🔵🔴
シキ・ジルモント
※アドリブOK
異空間に行くにはここで遊ぶ必要があるようだが…さて、どう過ごすか
遊園地という物は俺の生まれ育った世界には無かったものだ、どうせならまだ体験した事がない遊具を試してみ…今のは悲鳴か?
ここは…お化け屋敷?
なるほど恐怖を楽しむアトラクションか、さっきの悲鳴の原因はこれだな
大の大人が何人も泣いて出て来たが、そんなに怖いものなのか?
よし物は試しだ、入ってみよう
薄暗さと演出も併せて恐怖を煽る仕組みか、ゾンビの造形もよく出来ているな
確かに不気味ではあるが、作りものだとわかっていればたいしたことは…っ!!?
…待て、ちょっと待て。でかい音で脅かすのは反則だろう、今のは無しだ(驚いて尾の毛が逆立つ)
狼の耳と尾を備えた男が一人、遊園地を歩く。シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)である。
(「異空間に行くにはここで遊ぶ必要があるようだが……さて、どう過ごすか」)
遊園地というものは、彼の生まれ育った世界にはなかったものである。こうした場での過ごし方に、シキは慣れてはいない。
(「どうせならまだ体験したことがない遊具を試してみ……」)
「きゃあああぁーーー!!」
シキの思考を、つんざくような甲高い声が中断させる。
(「……今のは悲鳴か?」)
まさか、UDC怪物が現れたのか……そんな懸念を抱いたシキは、声が聞こえた方向に急いだ。
そこにあったのは、お化け屋敷である。
(「なるほど、恐怖を楽しむアトラクションか。さっきの悲鳴の原因はこれだな」)
道理で、一般人達が慌てて逃げ出したりしていないわけだ、とシキは胸を撫で下ろす。
見れば、大の大人が何人も、泣きじゃくりながらお化け屋敷から出てくるではないか。
「そんなに怖いものなのか? ……よし」
物は試しだ、と、シキは入ってみることにした。
中は暗く、おどろおどろしい音が聞こえてくる。加えて、あちこちをゾンビが行き交っている。
(「薄暗さと演出も併せて恐怖を煽る仕組みか、ゾンビの造形も良くできているな」)
あくまで落ち着いた様子で、シキはアトラクションの内容を観察する。
(「確かに不気味ではあるが……」)
シキは考えながら歩く。やがて、鉄格子の向こうで、動かないゾンビが床に転がっている場に差し掛った。
(「作りものだと分かっていれば大したことは」)
「ヴァアアアアァァーーーッ!!」
突如として起き上がったゾンビが、大声を上げながら、ガシャンガシャンと激しく鉄格子を揺らした。
「……っ!!?」
シキの尾の毛が、ぶわわっと逆立つ。
「……待て、ちょっと待て。でかい音で脅かすのは反則だろう」
どくどく脈打つ胸を押さえ、シキは言う。
常に冷静であるよう努めている己であるがゆえに。
「……今のはなしだ」
そう主張したい、シキである。
成功
🔵🔵🔴
未不二・蛟羽
【POW】
了さん(f00664)と行動
とにかく最初は楽しんだもんがちってことっすよね!得意分野っす!
遊園地……なんかきらきらで楽しそうっすー!
UDCアースの遊園地は初めての為、目的そっちのけで大はしゃぎ回ってあちこち眺め
ジェットコースター?イケイケな見た目でかっこいいっす!乗ってみたいっす!
えっ…めっっちゃ速いっす!跳ぶより、飛ぶより速いっす!あとめっちゃ高くて、テンションアガるっすー!すごいっす!もう一回もう一回っすー!(以下エンドレス)
席を変えてみたり、自由落下の際に手を離してみたりと何度も繰り返し乗って
ずっと遊んでいたい、なんて思っちゃうっすね!
…ってあれ?了さん大丈夫っす?
アドリブ歓迎
萬場・了
【POW】
蛟羽(f04322)と行動
何、遊園地だあ!?
詳しく聞けねえままバタバタと蛟羽に連れてこられちまったが
とりあえず、今回は思いっきり楽しまなきゃいけないって?
よし、なら今回も一緒に盛り上がっていこうぜッ!
ゾンビは俺がユベコで出せちまうからなあ
お化け屋敷じゃあ、普段と代わり映えしねえか。
ふひひ、どうせ行くなら派手なヤツだろ!
お…案外高いもんだな……
恐怖は首の寄生型UDCが食っちまうから、こんなもん何とも……ぉッ!!!
(恐怖の消化はそこまで早くない)
け、結構スリルがあったな…!
ふひひ、楽しすぎて、膝まで笑ってらあ
これで何度めだ……?
ちょっと待て……蛟羽、エンタメにもな。緩急が大事なんだぜ……
萬場・了(トラッカーズハイ・f00664)を連れて遊園地に来た、未不二・蛟羽(絢爛徒花・f04322)。彼は、初めて見るUDCアースの遊園地に、藍色の瞳を輝かせる。
「なんかきらきらで楽しそうっすー!」
目的そっちのけで、蛟羽は大いにはしゃぎながら周囲を眺めた。
「とりあえず、今回は思いっきり楽しまなきゃいけないって?」
がしがし、とピンク髪を掻き乱し、了は笑う。
「よし、なら今回も一緒に盛り上がっていこうぜッ!」
「とにかく最初は楽しんだもの勝ちってことっすよね! 得意分野っす!」
蛟羽もまた、了へと朗らかな笑顔を向けた。彼の尾の蛇頭が、ハイテンションに動く。
「最初はどこ行くっすか?」
「ゾンビは俺がユベコで出せちまうしなあ」
ユーベルコード、略してユベコ。了が言うのは、『愉快な仲間達(ナイス・オブ・ザ・デッド)』のことである。戦闘用のゾンビ兵の召喚が可能だ。
「お化け屋敷じゃあ、普段と変わり映えしねえか。ふひひ、どうせ行くなら派手なヤツだろ!」
びしっと了が指を向けた先には、ジェットコースター。
「イケイケな見た目でかっこいいっす! 乗ってみたいっす!」
大喜びの蛟羽。彼と共に、了はコースターに乗車した。
ゆっくりゆっくり、傾斜をコースターは登ってゆく。
「お……案外高いもんだな……」
了の額にうっすら冷や汗が浮く。
彼の首元に寄生している、牙の並んだ口の姿をした、ネックウォーマー型のUDC。それは、恐怖を糧として食う性質を持つ。
(「だから、こんなもん何とも……」)
ガコン――急速落下開始!
「……ぉッ!!」
そんなに恐怖の消化は早くなかったのであった。
一方、蛟羽はというと。
「えっ……めっっちゃ速いっす! 跳ぶより、飛ぶより速いっす! あとめっちゃ高くて、テンションアガるっすー!」
怖がるどころか、ものすごく楽しそうである。
「け、結構スリルがあったな……!」
ややよろめきながら、了は、停止したコースターを降りる……が。
「すごいっす! もう一回もう一回っすー!」
了を待っていたのは、テンション最高潮の蛟羽によるエンドレスループであった。
蛟羽は、席を変えてみたり、自由落下の際に手を離してみたりしながら、繰り返し繰り返しジェットコースターに乗る。了と一緒に。
「ふひひ、楽し過ぎて、膝まで笑ってらあ」
言葉通り、了の膝は笑っている。ぷるぷるぷるぷる。
「これで何度目だ……?」
「ずっと遊んでいたい、なんて思っちゃうっすね!」
「ちょっと待て……」
再びジェットコースターに、嬉しそうな様子で乗ろうとする蛟羽。その行動を、了は制止する。
「……ってあれ? 了さん大丈夫っす?」
蛟羽は、きょとんとして、心配げに言った。
「……蛟羽、エンタメにもな。緩急が大事なんだぜ……」
了は言う。つまりは――もう休みたい、と。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
現夜・氷兎
自分が誰かわからなくなる異空間……興味があるね。是非覗かせてほしいものだ。
観覧車には乗ってみたいと思っていたんだよ。なかなか、こういう場所には縁がなくてね。いい機会だ、楽しむとしよう。
特に目的があってどこか登る訳でもなく、座って運ばれた高所よりゆったりと地上を眺める。他ではあまり出来ないことだと思うから。展望台ともまた違った趣があるよね。
遊園地なのだから、上からジェットコースターを眺めることも出来るだろうし。
あとはそうだなあ。土産物屋とか、覗いてみたいね。
今はどんな品が流行っているんだろうね、ついでに記念のメダルでも作って行こうか。
※アドリブOK
(「自分が誰かわからなくなる異空間……興味があるね。是非覗かせてほしいものだ」)
現夜・氷兎(白昼夢・f15801)の胸にあるのは、恐れではなく知識欲だ。
そんな彼が足を向けるのは、観覧車である。
(「乗ってみたいと思っていたんだよ」)
なかなか、このような場所には、氷兎は縁がなかった。それゆえに、いい機会だからと楽しむことに決めている。
何か目的を持ってどこかに登るのではなく、座席に座ってゆっくりと運ばれた高所から、ゆったり、地上を眺める。これは、他ではあまりできないことだ、と氷兎は考える。
「展望台ともまた違った趣があるよね」
ゴンドラの中で、氷兎は独り呟く。ガラスの向こう、見下ろす視界には、高速で移動するジェットコースターがある。楽しそうな悲鳴も微かに聞こえてきた。
ゴマ粒のように小さくなった人々の姿。きっと彼らは笑顔なのだろうね、などと氷兎は思う。
やがて、観覧車のゴンドラは地上に近づき、眺望を楽しむ時間は終わりを告げた。
続いて氷兎が向かったのは、土産物屋である。
(「今はどんな品が流行っているんだろうね」)
見れば、この遊園地のマスコットキャラクターの、カラフルなぬいぐるみやキーホルダーが売られていた。モチーフは偶然にも、兎である。
「なるほどね。さて、と」
氷兎は、記念メダルの刻印機に歩み寄った。
まず隣の販売機でメダルを買って、刻印機にはめ込む。それから、自分の名前と今日の日付を入力し、スタートボタンを押した。
待つことおよそ10秒。取り出し口に、赤いメダルが落ちてきた。
(「……赤、かい?」)
確かメダルは金色だったはず、と氷兎が自販機を見れば、見本のメダルも全て赤い。
いや、自販機自体が、赤い。
刻印機もぬいぐるみもキーホルダーも、風景の何もかもが、夕焼けのように赤い。
土産物屋の店員や客の姿は、どこにもない。
「なるほどね……どうやら、ここが、例の――」
――狂気を誘う、異空間。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『狂気空間へようこそ』
|
POW : 自我を見失いながらも、強靭な精神力を全力で発揮することで狂気を振り払う
SPD : 正気を損ないながらも、現実を感知し冷静さを取り戻すことで狂気から抜け出す
WIZ : 理性を削られながらも、自らの術や智慧を駆使することで狂気を拭い去る
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達は、誘われた。夕暮れのように全てが赤い、異空間に。
黄昏時は、逢魔時。大きな災いを受ける時間。
タソガレの語源は、『誰そ彼』。人の顔の区別がつかなくなる頃。
ようこそ、ようこそ、タソガレ遊園地へ。
さあ、あなたはだあれ? ――ほら、もう、分からない。
現夜・氷兎
聞いていた通り全てが赤い、こうやって塗り潰されて判らなくなるのかなあ。
僕には自分について認識が曖昧な部分がある。
己が鬼か人か、それともまた別の何かか。
そんな曖昧すら塗り潰される恐ろしい感覚に、思わず笑ってしまうだろうねえ。
ああ、待っていたよ!
僕はこれが見たかったんだ。素晴らしい、こういう感覚かあ!
ああ、でも
此処に来た目的、"自分"の見たかったもの。思い出せてしまえたら、もう狂気ではいられないだろう。
自分を取り戻してしまう。欲が強いのも考えものかな。
まあ、見せて貰ったものは確か。貴重な経験をさせてくれたモノには御礼をせねばならないね。
※アドリブ歓迎
(「聞いていた通り、全てが赤いね」)
氷兎の全てが、夕暮れの色に塗り潰され、侵食されてゆく。
――元より、氷兎の自己認識は曖昧であった。
氷兎は、人の世で育てられた鬼だ。
己は、昼を歩く人なのか、夜を彷徨う鬼なのか。あるいは、いずれでもない、別の何かなのか。そんな漠々たる自己認識すら、ぐちゃぐちゃと掻き混ぜられて、意味をなさないものにされてゆく。
昼と夜の境界、黄昏の色。美しいグラデーション。それをキャンバスに描いていた画家が、癇癪を起こしたかのように。氷兎の自我は、乱暴に混ぜられ、溶け、潰れ、壊されてゆく。
「はは……あはははっ」
口からは、笑い声が漏れた。
体が震える。
恐怖が、心に満ちてゆく。
――けれど。
(「ああ、待っていたよ! 『僕』はこれが見たかったんだ。素晴らしい、こういう感覚かあ!」)
『境目』の研究者は、同時に喜びを覚える。
……ふと、黒曜の瞳に光が戻った。
(「そうだよ。それが、ここに来た目的だったんだよねえ」)
氷兎は、取り戻す。『自分』を。
ひとという名の鬼、鬼の身の人。それが、自分だ。
(「欲が強いのも考えものかな。まあ、見せてもらったものは確か。貴重な経験をさせてくれたモノには――」)
氷兎は、すらりと刀を抜いた。
「――御礼をせねばならないね」
笑うその表情に、もう狂気の影はない。
成功
🔵🔵🔴
波狼・拓哉
さてさて、ここが噂の空間って奴か。んー赤いね?
あーうん。なるほど?段々靄が掛かってきたような・・・あー何で此処に来たんだっけ、というか此処は何処で・・・自分は誰だ・・・?何でこの世に存在してるんだ・・・・・・
いつの間にか、傍には動く箱が。・・・やるべき事はこいつが教えてくれるのか。なら行こうか。どうせ自分なんて誰もわからんもの。やるべき事さえ分かれば、後はどうとでもなるだろうよ。
(アドリブ絡み歓迎)
ネムネ・ロムネ
※アドリブ、絡みOK
ネムってなに?
私ってだれ?
ネムの体は人形
じゃあこのネムの意識ってなんです?
ただの脳から出る電気信号がネム?
ネムって生きてるの?死んでるの?
嬉しい?悲しい?
そんなの全部電気信号?
ネムはなんでここにいるの?ネムってなんだろう?
『ネムネ・ロムネ』って
な ん の こ と ?
ぬいぐるみがネムの手に触れるかもしれません
【手をつなぐ17】
あれ?ネム、この子たち連れてきましたっけ?
でもおかげで思い出しました
そんな事、ずっと昔から考えてた事じゃねーですか
何を今更悩んでやがるです
ネムはネムです
昔からも
これからも
ん。
ネムはもう大丈夫です
知ってましたか?
ネムって本当は
怒ると怖いんですよ?
「さてさて、ここが噂の空間ってやつか。んー赤いね?」
異空間に囚われた拓哉は、まだ余裕の表情である。
「気をつけるですよ」
傍にいたネムネが、鋭く警告を発する。
「大丈夫、分かってる……けど……あーうん。段々、靄が掛かってきたような……」
すりガラスの向こうに置いた物を見るかのように、拓哉の認識がぼやけてゆく。
「あー何でここに来たんだっけ、というかここはどこで……自分は誰だ……?」
「しっかりしてくださいです! ……っ」
拓哉を正気に戻そうと叱咤したネムネだが、彼女は不意にびくりと身をこわばらせる。
ネムネは、顔を覆うかのように、自分の両手のひらを見た。
「……ネムってなに? 私ってだれ?」
目の前には、作り物の、人形の手が二つ。
(「ネムの体は人形」)
人間の部分は、移植された脳だけだ。
(「じゃあこのネムの意識ってなんです?」)
ただの脳から出る、電気信号が、『ネムネ』だとでも言うのか。
(「ネムって生きてるの? 死んでるの?」)
嬉しいという気持ちも、悲しいという感情も、電気信号に過ぎないのか。
(「ネムはなんでここにいるの? ネムってなんだろう?」)
ぐるぐると渦を巻いていくネムネの思考。その時、声が聞こえた。
「なんでこの世に存在してるんだ……」
それは、自分を見失った拓哉の言葉だ。
「ネムは、なんでこの世に……」
彼の狂気につられるかのように、ネムネもまた――分からなくなる。
(『ネムネ・ロムネ』って、…………なんのこと?」)
表情をなくした、二人の『猟兵だった何か』が、力なく場にうずくまった。
赤い空間の中、ただ、静寂。
二人はもう声すら発しない。
何も、考えない。
とん、と拓哉の手に、箱が触れた。
ふわり、とネムネの手に、ぬいぐるみが触れた。
「ん……」
「……あれ?」
二人は顔を上げる。
拓哉の元には、動く箱型生命体の姿がある。
「……やるべきことはこいつが教えてくれるのか」
拓哉は箱の角を撫でて、立ち上がる。
「なら行こうか」
自分なんて誰も分からないもの。やるべきことさえ分かれば後はどうとでもなる、と、拓哉は立ち上がった。
ネムと手を繋いでいるのは、クマの『テキマ』に、鳥の『Pちゃん』、ブタの『ムク』。
「ネム、この子たち連れてきましたっけ? ……でもおかげで思い出しました」
さきほどぐるぐる考え込んでいたことは、ずっと昔から考えていたことだ。
(「何を今さら悩んでやがるです。ネムはネムです。昔からも、これからも」)
すっくと、ネムネもまた力強く立ち上がる。
「歩けるか?」
「ん。ネムはもう大丈夫です」
拓哉の問いに、ネムネはこくりと頷いて応じた。
(「知ってましたか? ネムって本当は――怒ると怖いんですよ?」)
こんな目に遭わせてくれた報いを、敵に、受けさせる。
(「それが、俺のやるべきこと、か」)
二人の猟兵は、確かな足取りで歩きだした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
彩波・いちご
【恋華荘】
お化け屋敷を出たところで、予知にあった赤い空間に…
…あれ、私、いや、僕はなんで、こんなところで、こんな格好を…
男なのに、スカートとか…
自分がわからなくなると同時に、自分の格好に疑問が
ふと見ると、近くに2人の女の子が
その片方に抱きつかれて
それで思い出します
あ、そうか、恋華荘の寮生の…
女装しだしたのは、女子寮の管理人が男だなんて知られたら寮のみんなの外聞が悪くなるから…それでだった
抱きついた彼女の事も思いだし、そっと手を重ね
「ありがとうございます、アルテミスさん」
もう1人、目の前で泣き叫ぶ子も…
「アイさん、大丈夫。私達がいますよ」
安心させるように、優しく背後から抱きしめます
アイ・リスパー
【恋華荘】
いちごさんは女の子だと誤解中
「いちごさん、アルテミスさん、遊園地って楽しいですねっ!」
いちごさんにしがみつきながらお化け屋敷を出た瞬間。
周囲の景色が私が生み出された研究所に変わっていました。
気が付いたら、二人の姿もありません。
「や、やですね……
まだお化け屋敷、終わってなかったんですか?」
ひとけのない研究所を一人で歩きまわります。
「誰か……いないんですか……?」
大部屋に入ると、昔、研究所で実験体として死んでいった仲間たちが手招きをしていて……
「きゃああっ」
ですが、そこに聞こえる優しい声。
「え、いちご……さん?」
抱きしめてくれたいちごさんが男性だと気付き、胸がとくんと鳴るのでした。
アルテミス・カリスト
【恋華荘】
いちごさんは女の子
「さっきまで楽しくいちごさんとデートしてたのに……
もうちょっと楽しませてくれてもいいじゃないですかっ」
空気を読まない展開に文句を言いますが、
気がつけば、予知されていた赤い空間。
だんだん自分や二人のことがわからなくなってきます。
「私は一体、何者でしょう……」
自分の名前も騎士の誇りも忘れた私は
目の前に居るいちごさんを見て、唯一つだけ感情を思い出します。
ああ、私、この人……この男の子のことが好きなんでしたっけ。
ただの女の子として、いちご君に思いっきり抱きつきます。
「いちご君、大好きですよっ」
なお正気に戻ったら、このことは記憶に残っておらず女の子だと誤解したままなのでした。
「いちごさん、アルテミスさん、遊園地って楽しいですねっ!」
笑顔でお化け屋敷を出たアイは、目の前に広がった情景に、びくりと足を止めた。
前を見たアルテミスといちごの視界には、一面が赤の光景。
「や、やですね……まだお化け屋敷、終わってなかったんですか?」
ふらふらと、一人でアイは歩き出す。
(「さっきまで楽しくいちごさんとデートしてたのに……もうちょっと楽しませてくれてもいいじゃないですかっ」)
アルテミスは思わず、文句を心に浮かべるが、その表情は次第に抜け落ちていった。
「私は一体、何者でしょう……」
自分の名前も、騎士の誇りも。アルテミスの内面を構成するもの全てが、失われてゆく。
そして、いちごもまた。
(「……あれ、私、いや、僕はなんで、こんなところで、こんな格好を……」)
男なのにスカートを履いている理由が、分からない。
なぜ自分は、このような服装を?
……自分?
『自分』とは、どういう意味だった?
いちごは、呆然と立ち尽くす。
その姿に視線を向けたアルテミスは、ただ一つだけ、感情を思い出した。
(「ああ、私、この人……この男の子のことが、好きなんでしたっけ」)
今のアルテミスは、騎士ではない。ただの、一人の女の子だ。
彼女は思いっきり、いちごに抱きついた。
「いちご君、大好きですよっ」
その瞬間、いちごは思い出した。
(「あ、そうか、この二人の女の子は、恋華荘の寮生の……」)
同時に、自身が女装していた理由も、取り戻す。
(「女子寮の管理人が男だなんて知られたら、寮のみんなの外聞が悪くなるから……それでだった」)
いちごは、アルテミスの手に、そっと自分の手を重ねる。
「ありがとうございます、アルテミスさん」
礼を言ったいちごに対して、アルテミスはにっこりと嬉しそうに笑い返した。
ふといちごが前方に視線を戻すと、そこには、赤い空間の中をうろつき回るアイの姿。
「誰か……いないんですか……?」
今の彼女には、周囲の赤い遊園地の風景すら見えていない。
アイは扉を開けるような仕草をして、その場で凍りついた。
(「みんな……? いえ、確かに、実験体として死んでいったはずです。私を呼んでいるんですか……? 私は死ぬ? 私……『私』って、一体?」)
過去も今も、掻き混ぜられ、境界を失い、一つになった。アイの中にあるのはただ、圧倒的な恐怖だけ。
「……きゃああっ!」
耐えきれず、叫びを上げたアイ。いちごは彼女を、背後からふわりと優しく抱き締めた。
「アイさん、大丈夫。私達がいますよ」
「え、いちご……さん?」
アイは我に返る。同時に、いちごに抱き締められたことで、いちごが男であることに気づいた。アイの胸がとくんと鳴る。
「もう、三人とも大丈夫そうですね。アイちゃん、いちごさん、行きましょう!」
アルテミスが言った。
彼女の、いちごの呼び方は、元に戻っている。
狂気の中の記憶は、狂気と共に拭い去られた。
アルテミスの中で、いちごは、女の子のままである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
◆SPD
※アドリブOK
ここが異空間だな
後は奴らを待って…奴ら?
奴らとは何だ、俺は何の為にここに…
いや、その前に…俺は、誰だ?
自分が何者か分からなくなり冷静さを失う
ひどい目眩がして体の感覚が遠くなる
呆然と立ち尽くし、手からハンドガン・シロガネが滑り落ちる
落下した銃をぼんやり眺め
失くしてはいけない物だった気がして呆けたまま拾うと、慣れた触感に少し現実感が戻る
瞬間、銃の前の持ち主が「シキ」と自分を呼ぶ声を思い出す
俺が孤児でも人狼でも忌避せず助けてくれた、恩人の声
それを引き金に自分の事を思い出す
完全に狂気を振払い自分を『鼓舞』する為、上空に向けて一度発砲
…今は仕事の最中だ、こんなものに呑まれてどうする
「ここが、異空間だな」
シキは油断なく、ハンドガンを抜く。
(「後は奴らを待って……」)
そこまで考えたところで、シキは動きを止めた。
(「……奴ら? 奴らとは何だ」)
自分の記憶を読み取ることができない。まるで、一部が塗り潰された文章を読もうとしているかのよう。
(「俺は、何のために、ここに……いや、その前に」)
唇から、言葉がこぼれる。
「……俺は、誰だ?」
分からない。
もう、冷静さを保ってなどいられない。
彼の青い瞳は小刻みに揺れる。
目眩を感じ、ぐらりと体が倒れそうになり、反射的に左手を近くの壁につく。半ばぶつけるような形になった手のひらが痛みを訴えたが、その痛覚すら、壁一枚隔てたかのように、遠い。
「……」
ただ、呆然と立ち尽くす。
右手から、ハンドガン・シロガネが、するりと滑り落ちた。
「…………」
ぼんやり、落下した銃を見下ろす。
うっすらと、それは失くしてはいけない物だったように思えて、彼は呆けた状態のままそれを拾い上げた。
ずしりとした重みと、慣れた触感。ほんの少しだが、現実感が戻ってくる。
その瞬間。
『シキ』
と、自分を呼ぶ声を、思い出した。
実際に聞こえたわけではない。けれど、薄れていた記憶の中から、その声は鮮烈に蘇った。
それは、ハンドガンの前の持ち主の声。
(「俺が孤児でも人狼でも忌避せず助けてくれた、恩人の声だ」)
それは、引き金。
シキが自分を取り戻すための、トリガー。
「……思い出した」
狂気を脱したシキは、上空へシロガネの銃口を向けた。
タァン、と銃声。不気味な赤い空へ、一発の弾丸が吸い込まれてゆく。
「……今は仕事の最中だ、こんなものに呑まれてどうする」
正気も、冷静さも取り戻したシキは、自分自身に言い聞かせるように呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
穂結・神楽耶
【アドリブ歓迎】 【WIZ使用】
誰そ彼と、われをな問ひそ…と詠うように。ほんとうに分からなくなるものですね。自我
は燃え、正気は焼け、理性は砕かれ、何もかもが分からなくなる。
朱に溶けていく。緋に呑まれていく。『我』が、消えて──
ああああああああああああああっっっ!!!
結ノ太刀。
わたくしの本体で、この身体を裂きましょう。傷付き血を流す痛みで以て、己が意識を現実へと立ち返らせましょう。
正気を蕩かされるならば、刃を打ち立てこの場所に繋がります。痛いという実感を、居たいというに想いに繋げます。
…それにしてもおかしな話。
そもそも『我』の名は、疾うの昔に焼失していますのにね。ふふっ。
「誰そ彼と、われをな問ひそ……と詠うように。ほんとうに分からなくなるものですね」
赤い風景の中で、神楽耶は涼やかに笑った。
自我が、燃え落ちてゆく。
正気が、焼け焦げてゆく。
理性が、砕け散ってゆく。
何もかも、何もかも、分からなくなってゆく。
黄昏の朱色に、溶けてゆく。
タソガレの緋色に、呑まれてゆく。
『我』が、消えて――。
「ああああああああああああああっっっ!!!」
絶叫が喉からほとばしった。
すらり、と。彼女は、黒塗りの鞘から刀を抜いた。
『結ノ太刀』。ヤドリガミである彼女の、本体である。
これ以上、正気が蕩かされる前に、と。迷いなく、その刃先を、自分の太腿に突き立てた。
傷口から鮮血が溢れる。それにも構わず、肉を裂くように、さらに力を込めた。
筋肉が断たれ、血管が切れる。傷が裂け、広がる。
(「いたい」)
『痛い』、という実感。
それを、『居たい』という想いへと、繋げる。
(「この場所に、居たい!」)
神楽耶は、血塗れの刃をずるりと引き抜く。
額に浮いた脂汗を拭い、神楽耶は荒い呼吸を繰り返した。
「……耐えきることができたようでございますね」
懐紙を取り出し、御神体に付着した血を拭う。
(「……それにしてもおかしな話」)
そもそも『我』の名は、とうの昔に焼失しているのだから。
「ふふっ」
神楽耶は、また笑った。
成功
🔵🔵🔴
忠海・雷火
赤い、赤い。何もかも赤い
話に聞いた通り、
……聞いた。 誰に?
私が?
私って……誰?
混乱する
どうなってる。一体どうしたら良い?
へたり込む中で、左手が何かに触れる
これは……刀?
触れている左手の何かが目に入る
これは、紋様のようなこれは……呪わしい記憶の象徴だ
思い出す
丁度今のように全てが赤く血色に染まった日、家族を殺され全てを失ったあの日
依代としての術式が何故か刻印として機能し、力を得て生き残ったあの日……「私達」の意識も初めて明確に別たれた
そう、最初は何方も同じ。だから名前に意味はない
でも今は、「私」が曖昧でも、内に居る別の「私」を感じる。それこそが「私達」の証明
……行こう。私達は猟兵、過去を殺す者だ
(「赤い、赤い。何もかも赤い」)
雷火は、辺りを見渡した。
(「話に聞いた通り、……」)
思考が、ふと停止する。
(「……聞いた。誰に? 私が?」)
彼女は、自分の顔を両手でつかんだ。
「私って……誰?」
分からない、分からない。
記憶が、正気が、混濁してゆく。
(「どうなってる。一体どうしたら良い?」)
その場に力なくへたり込む中、左手が何かに触れた。
「これは……刀?」
金属に近い材質でできているが、よく見れば違う。銘はない。
それから、刀に触れている左手が目に入った。
「これは……」
左手には紋様のようなものがある。それは、呪わしい記憶の象徴だ。
不意に、思い出す。
(「ちょうど今のように全てが赤く血色に染まった日、家族を殺され全てを失ったあの日」)
邪神の召喚のために、教団の実験台にされた日。依代としての術式が、何故か刻印として機能したことで、彼女が力を得て生き残った、あの日。
(「あの日……『私達』の意識も、初めて明確に分かたれた」)
そう、最初はどちらも同じ。だから名前に意味はない。
(「でも今は、『私』が曖昧でも、内にいる別の『私』を感じる。それこそが、『私達』の証明」)
そっと、自分の胸に手を当てる。
「……行こう。私達は猟兵、過去を殺す者だ」
もう一人の自分に、そう呼びかけて。
雷火、あるいはカイラの名を持つ女は、両の足で立ち上がった。
大成功
🔵🔵🔵
婀鎖路・朔梛
※アドリブOK
(来る前に心配だからUCは解除済み)
ここが異空間…何処も全部赤い世界見ていて気持ち悪い。
どんどん自分が曖昧になって、記憶が薄れていく‥。
朔椰大丈…あれ?朔椰って誰?‥もう、自分の事も分からない。
なのに…曖昧になるとあたしの中の「誰か」も曖昧になって消えそうなのが分かる。
凄く大切なんだって事だけは分かるんだよ。
それを失いのが一番怖い。
落ち着いけ。
「朔椰」って誰?
ずっと一緒だった。そう…きっとこの世に生まれる前から。
今もずっと、あたしを呼んでる気がするんだ。
―――ああ、そうだよ。
君は、「朔椰」はあたしの大切な片割れの妹。
あたしは姉の『朔梛』だ。
ありがとう。ごめんね。
もう、大丈夫だよ。
「ここが異空間……どこも全部赤い世界、見ていて気持ち悪い」
朔梛は、思わず口元を押さえた。
(「どんどん自分が曖昧になって、記憶が薄れていく……」)
とっさに、自分の中の妹へ、朔梛は呼びかけようとした。
「朔椰、大丈……あれ?」
不思議に思って言葉を切る。朔椰とは、誰のことだったろうか?
(「……もう、分からない」)
自分のことすらも。
(「なのに……あたしが曖昧になると、あたしの中の誰かも曖昧になって消えそうなのが分かる」)
その存在が、とても大切なものだ、ということだけは、分かる。
それを失うことが、何よりも、耐えがたい恐怖だ。
押し潰されてしまいそうになる。そうなったら、きっと……。
(「落ち着け」)
ぱん、と、軽く自分の両頬を叩く。
朔椰、とは、誰のことか。それを考えるべきだ。
(「ずっと一緒だった。そう……きっとこの世に生まれる前から」)
お姉ちゃん、と。自身より少し低い声で、今でもずっと、自分を呼んでいる気がする。
「――ああ、そうだよ。君は、朔椰は、あたしの大切な片割れの妹。あたしは姉の、朔梛だ」
朔梛は、己を取り戻した。
それは、自分の中から呼びかける朔椰の声があったからこそだ。
「ありがとう。ごめんね」
朔梛は、朔椰に向けて、礼と、心配をかけたことへの謝罪を口にする。
「もう、大丈夫だよ」
双子の姉妹が、この異空間に惑わされることは、もうないだろう。
成功
🔵🔵🔴
萬場・了
蛟羽(f04322)と共に。
警戒はしてたが。こりゃあ、第2ステージってことだよな?
ふひひっ……これ以上、兄を。目的を。忘れるなんて俺が許さねえ…!
武器として構えたカメラを再生モードに切り替え
〈兄について書かれたノート〉の最後の頁に今の目的と友の名、覚えていることを書きなぐり続ける。
「一緒に戦うっす。了さん!」以前の記録映像から自分と蛟羽がUDCと戦うやり取りが聞こえる。
ああ、戦おうぜ蛟羽。
側にいる友の肩をぱんっと叩く。
自分が分からなくなるということは
体に宿すUDCの制御の仕方も分からなくなるということ。
狂気を振り払えず苦戦した場合、ユーベルコードを発動
次の戦闘のクリアを優先させる。
アドリブ歓迎
未不二・蛟羽
【SPD】
了さん(f00664)と行動
おれは、だれ…?
…やだ、なくならないで
過去は無くてもいい、今があるから
そう思ってた
でも、今も無くなったら?
何にもない、いやだ、おれはだれ、なに…!?
人も獣も、区別はつかず
泣くを知らない獣は吠えるばかりで言葉も理性も消えて
何にもなくなることが怖いと。初めて「失う恐怖」を知りパニックに
蛟羽、と名前を呼ばれれば反応して
側で狂気と戦う了さんを、その表情を見て、心に引っかかるものを感じ
えがおが、いい
みんなきらきらしてて、だからすきで
なにかわからなくても、何回今がなくなっても…無くなる度にきっとそう思うから
ああ、これは失くならない、っすね
それが…俺、っす!
アドリブ歓迎
「警戒はしてたが。こりゃあ、第2ステージってことだよな?」
蛟羽と背中合わせに立ち、了は、赤に染まった空間を見渡して言う。
蛟羽からの返事はない。
「ふひひっ……」
自らの記憶が侵食され、失われてゆく感覚に、了は苦しげに笑う。
(「これ以上、兄を。目的を。忘れるなんて俺が許さねえ……!」)
3年前に消えて、周囲の誰もが『知らない』という兄。自分までもが忘れてなるものか!
「おれは、だれ……?」
ぽつりと蛟羽が呟く。
(「……やだ、なくならないで」)
過去の記憶はないけれど、今が楽しいからそれでいい。そう思っていた。
けれど、その、大切な『今』さえもなくなってしまったら。
もう、何もない。
(「いやだ、おれはだれ、なに……!?」)
言葉も、理性も、やがて溶けて消え失せる。
「うう、ああっ。うあああっ」
もはや、口から出るのは獣の吠え声だけ。
『失う恐怖』を初めて知ったことで、恐慌状態に陥った、獣。
泣くことは、知らない。
彼が吠え続ける声には、了が筆記を続ける音が重なっていた。
がりがりと書き殴り続ける先は、兄について書かれたノートの、最後のページだ。
漢字を使っている余裕などない。
『わすれるなわすれるなわすれるなたたかえUDCをたおせゆるすなわすれるなみずはみずはみずはみずはみずはみずはおれは』
今の目的、友の名、覚えていること……書き続けていたその手が止まった。
『おれは』……その後、何と書こうとしたのだったか。
その時、声が響いた。それは、あらかじめ再生モードに切り替えていた、了のビデオカメラからだ。
『一緒に戦うっす。了さん!』
再生されていたのは、以前の記録映像。了と蛟羽がUDCと戦った時のやり取りの一部。蛟羽の声だ。
止まっていた了の手が動く。『おれは』の後に、『とおる』と書き足した。
「ああ、戦おうぜ蛟羽」
ぱんっ、と、了は蛟羽の肩を叩く。
名前を呼ばれて、驚いたように顔を上げた蛟羽は、了の表情を見た。
苦しそうなその顔に、何か心に引っかかるものを蛟羽は感じる。
(「えがおが、いい。みんなきらきらしてて、だからすきで」)
なにかわからなくても。
何回、今がなくなっても。
なくなるたびに、きっとそう思う。だから。
(「ああ、これはなくならない、っすね」)
決して失われることはない、自分の中核。
「それが……俺、っす!」
ようやく、見つけた。
狂気に囚われていた蛟羽は、その狂気を振り切った。
了は、笑う。
「行くぜ、蛟羽」
「OKっすよ、了さん!」
二人は互いに、はっきりと、名を呼んだ。
自分も、友も、取り戻して。二人は、来るであろうUDC怪物に立ち向かうべく、構えをとった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ラザロ・マリーノ
【SPD】
確かさっきまで遊園地に…あれ?
誰かに何か頼まれてたような…俺の用事だったっけ?
何だこの傷跡?いつの間に怪我したんだ?
これは…貴族のお坊ちゃんと決闘したときの傷か!
ボンボンのくせにやたら強かったな。大怪我させないように立ち回るのに苦労したぜ。
この傷は、豪商のお嬢さんの警護をした時のだな。
まさか、街一つ巻き込んだ大規模な争いが、ただの親子喧嘩だったとは。
この辺は城攻めで煮えた油をかけられた時の火傷。
こっちは、黒騎士と白騎士につけられた奴だな。
いくらオブリビオンっつってもあいつら強すぎるだろ…オブリビオン?
…ああ、オブリビオンを倒す。それが俺の、俺達の用事だったな。
※アドリブ・連携歓迎
ラザロは、赤に染まった遊園地の風景をきょろきょろと見回す。
「確かさっきまでは普通の遊園地に……あれ?」
はたと気がつく。……思い出せないことがある。
「誰かに何か頼まれてたような……俺の用事だっけ?」
それから、自分の体を見下ろした。
「何だこの傷跡? いつの間に怪我したんだ?」
思い出せない……いや。
肉体に刻まれたそれらは、自らがたどってきた道のりの、マイルストーンだ。
落ち着いて、思い出す。
「これは……貴族のお坊ちゃんと決闘した時の傷か!」
ラザロは笑う。
「ボンボンのくせにやたら強かったな。大怪我させないように立ち回るのに苦労したぜ」
続いて、別の傷に触れる。
「この傷は、豪商のお嬢さんの警護をした時のだな。まさか、街一つ巻き込んだ大規模な争いが、ただの親子喧嘩だったとは」
世界中を放浪しながら荒事で生計を立てるラザロの体は傷だらけだ。それが、こんな形で役に立つなんて、思ってもみなかった。
「この辺は、城攻めで煮えた油をかけられた時の火傷。こっちは」
体の、刃物による切り傷。それに、鱗の焼き切られた痕を、ラザロは撫でる。
「黒騎士と白騎士につけられたやつだな。いくらオブリビオンっつってもあいつら強過ぎるだろ……」
そこまで言って、自分の言葉に疑問を覚える。
「……オブリビオン?」
オブリビオン……どういう意味だったか。
……猟兵の、倒すべき敵を指す言葉だ。
「……ああ、オブリビオンを倒す。それが俺の、俺達の用事だったな」
そう、ラザロがはっきりと口にした時。
周囲から、無数の気配が感じられた。
「お出ましだな」
ラザロは、ハルバードを構えた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 集団戦
『噂語り』
|
POW : 自分ソックリの妖怪『ドッペルゲンガー』の噂
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使ってきた猟兵のコピーを生み出し、操り】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
SPD : 学校の七不思議『動く模型』の噂
戦闘用の、自身と同じ強さの【動く骨格模型】と【動く人体模型】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : 予言をする妖怪『くだん』の噂
対象のユーベルコードに対し【使ってくるユーベルコードを言い当てる言葉】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:安子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『ねえ、ねえ、知ってる?』
『こんな噂、知ってる?』
男女の声が、あちらこちらから聞こえる。
そちらに猟兵が視線を向ければ、全身がモノクロの、人間のような何かの群れがそこにいた。
赤い世界の中、それでも色を保っている猟兵達とは対照的に、この存在に色はない。
顔を見れば、なんとなく見たことがある気もしたし、全く知らない他人のようにも見えた。
誰でもない、誰か。
虚実入り混じる噂を操る、UDC怪物。
『ねえ』
『ねえ』
『くすくす』
『きゃははは』
ぽっかりと空いた穴のように真っ黒な口内を見せながら、そいつらは――『噂語り』は笑う。
シキ・ジルモント
◆SPD
アドリブOK
現れたか、後はこいつらを片付ける
この面倒な異空間に招待してくれた礼をしないとな
『聞き耳』を立てて音で包囲と不意打ちを警戒、危険なら退避
噂を語るやかましい話し声、利用させてもらうぞ
模型を召喚したか
骨格模型の方はさほど重くはなさそうだな
こちらを狙う模型達を常に視界に入れて攻撃を『見切り』、回避しつつ隙を見て改良型フック付きワイヤーを骨格模型へ射出
ワイヤーで拘束し人体模型に『投擲』してぶつける
模型の行動を僅かな時間でも阻害できればいい
二体が体勢を立て直すより前に銃を『クイックドロウ』で素早く構え直し、噂語り本体をユーベルコードで狙撃する(『スナイパー』)
悪いが、もうお喋りは終いだ
現夜・氷兎
漸くお出ましかな、君達も楽しかったかい?
楽しい時間には終わりが来るものだ。
『目覚めは遠い』。
君達はそろそろ、骸の海へ帰って眠る時間だよ。『高速詠唱』『属性攻撃』で作り出す氷の針は他の猟兵への『援護射撃』にも出来るだろう。
攻撃は『見切り』躱しつつ、縫い止め追い立てて着実に、彼らを守るものがあるならば『怪力』『鎧無視攻撃』でそれごと断ち斬る。
厄介な力を使うようだからね、怪しい動きをみせた者から潰してあげよう。あまり素早い動きは得意でないから、そこは同業者の力を借りることになるかな。
「最後まで楽しませておくれよ」
※アドリブ歓迎
「現れたか」
「ようやくお出ましかな」
シキ、それに氷兎が、小さく呟いた。
「後はこいつらを片付ける、この面倒な空間に招待してくれた礼をしないとな」
「同感だよ、キミ」
『礼』をするというシキに、氷兎は同意の言葉を向け、それからUDC怪物の群れを見た。
「君達も楽しかったかい? 楽しい時間には終わりが来るものだ。君達はそろそろ、骸の海へ帰って眠る時間だよ」
高速で詠唱を行った氷兎は、瞬きの間に、百本近い氷の針を作り出して放ち、前方に布陣した『噂語り』の群れを地面に縫い止めた。
「後ろだ!」
聞き耳を立てていたシキが警告を発する。振り向いて奇襲を見切り、左右それぞれに飛び退いた氷兎とシキのいた場所に、骨格模型と人体模型の腕が振り下ろされた。
「模型を召喚したか」
「最後まで楽しませておくれよ」
シキを狙う骨格模型と、氷兎を狙う人体模型。それらは手足での殴打による連続攻撃で彼らを翻弄しようとするが、二人は落ち着いてそれをかわしてゆく。
(「骨格模型の方はさほど重くはなさそうだな」)
シキは敵の隙を見て、骨格模型へと腕輪型射出機を向ける。そこから射出されるのは、フック付きワイヤー。それは瞬時に、骨格模型を拘束した。
そのまま腕を大きく振るい、シキは骨格模型と人体模型とを衝突させた。がしゃん、と大きな音が鳴る。
「今だね」
絡み合って倒れ込んだ模型達の隙を、氷兎は見逃さない。上段に構えた刀を、怪力を用いて勢いよく振り下ろした。模型それぞれの両脚が断たれ、転がる。模型は起き上がれなくなり、もがいた。
『――君が使おうとしている力は』
模型を召喚している個体とは別の『噂語り』が、予言の力を使おうとする。自分達の劣勢を悟ったのだ。
「頼むよ、キミ」
あまり素早い動きを得意としていない氷兎は、自分では間に合わないと判断し、シキへと言葉を向ける。その時にはもう既に、シキはハンドガンを両手で構え直していた。
「……」
シキは無言で『噂語り』を睨みつけて狙いを定め、引き金を引く瞬間、息を止める。
撃ち出された弾丸は、次々に、『噂語り』一体一体の額を正確に射抜いていった。『ブルズアイ・エイム』である。
「悪いが、もうお喋りは終いだ」
薬莢が転がるとともに、『噂語り』がばたばたと倒れ、同時に模型達も消滅した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ネムネ・ロムネ
※アドリブ絡み歓迎
出ましたね?
待っていたのですよ
今度はネムの番ですよね?
数が多いですね
模型も増えて厄介なのです
持ってきていた武器は惜しみなく使っていくのです
敵の密集した所では【投擲】を使って『手榴弾』を投げ入れたり、『バズーカ』や『ガトリングガン』も駆使して【範囲攻撃】や【衝撃波】【なぎ払い】で数を減らしていくのですよ
予想外なのは…
猟兵のコピー、ですか
もしドッペルゲンガーを使用して来るようならネムもUCで対抗です
ネムのガジェットスーツは相手に合わせて形状が変わるのです
面白いです
ネムが相手です
え?最後に一言です?
そうですね
噂に振り回されるよりももっと有意義な事をしましょー、ですね(ピースサイン)
ラザロ・マリーノ
しっかし、この世界のオブリビオンは厄介だな。
事前に異空間の話を聞いてなかったら、自分を取り戻せたかどうか…。
まあ、切った張ったは俺の得意分野だ。派手にやらせてもらおうか。
まず、真の姿を開放(体格が一回り大きくなり、牙・角・翼が生えて、よりドラゴンに近い外見に)。
さらに、攻撃力重視でUC「極限の領域」を発動。
【ダッシュ】で一気に接近して、発勁による【衝撃波】付きのハルバードを【怪力】【なぎ払い】で叩き込む。
搦め手なんて使う間もなく、力づくで片づけてやるよ!
※アドリブ・連携歓迎
「しっかし、この世界のオブリビオンは厄介だな」
事前に異空間の話を聞いていなければ、自分を取り戻せたかどうか分からない、と、ラザロは横に首を振った。
「出ましたね、待っていたのですよ。今度は、ネムの番ですよね?」
ネムネは言い、周辺の敵の姿を目視で確認した。
「数が多いですね」
「まあ、切った張ったは俺の得意分野だ。派手にやらせてもらおうか」
呟いたネムネへと言ったラザロは、真の姿を解放した。
一回り大きなものへと体格が膨れ上がり、牙と角が生える。さらに、背中からは、ばさり、と竜の翼が広がった。
「いくぜ! 俺の全開!!」
心理的・生理的な限界を超え、ドラゴンオーラを過剰に生成することで、ラザロは己を強化する――『極限の領域』に到達する。
「まずは数を減らすのです。ラザロさん、伏せるですよ」
ネムネはラザロへと言葉をかける。それに従ってラザロが地面に伏せた直後、ネムネは手榴弾を敵の密集地点へ向けて投げ入れた。爆音と衝撃波が起きて、『噂語り』達は瞬時に黒い液体となって飛び散り、消滅する。
ラザロは起き上がり、まだ残っている敵目掛けて駆けた。
「力づくで片づけてやるよ!」
怪力を大いに発揮してハルバードを振り回し、発勁による衝撃波を伴って振るう。頭を割られ、胴を断たれ、一体、また一体と、『噂語り』は消えてゆく。防御してドッペルゲンガーを生み出そうにも、耐えきることが不可能だ。
「そちらの方向は任せるです。こっちのはネムが相手するですよ」
ラザロの背へと、ネムネは言葉を投げた。
「分かった、任せな!」
ラザロは返答する。それを聞いたネムネは、別方向の敵群に視線を向けた。
ネムネはまず、バズーカを発射。ロケット弾が敵陣に吸い込まれていき、爆発が生じる。
続けて、ネムネは油断なく、ガトリングガンで薙ぎ払うように射撃を行っていった。
ラザロはハルバードによる豪快な攻撃で、ばったばったと敵を倒してゆく。
やがて、二人によって、この近辺の『噂語り』は一掃された。
「ガジェットスーツの出番はなかったですね」
ガトリングガンの銃口を下ろし、ネムネが言う。
「他の場所では別の猟兵が戦っているだろうが……ひとまず、これで安心だな」
ラザロが歩いて戻ってくる。
「一言言わせてもらうなら。噂に振り回されるよりももっと有意義なことをしましょー、ってとこですね」
ネムネは、ピースサインをラザロへと向けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
波狼・拓哉
あれか、それじゃあ沈めようか。
さあ、いつも通り化け、撃ち滅ぼそうか…!空を飛び回って攪乱しつ相手が召喚した奴に打ち込んでいくサポートに回りな。本体みたいな方は何か当てるの失敗したら面倒なことになりそうだし。
自分はいつも通りに衝撃波を弾に込めて撃ち倒しに行こうか。体に染みついた戦闘知識から一体一体確実にいこう。相手の傷口を抉るように同じ箇所を連続で狙う感じかなぁ…あ、別にこれは不思議な能力とかじゃないしお前達にこの弾丸を避ける方法は自分たち以外の何かで守るしかないんじゃない?…まあそれはあいつが撃ち落としてくれるんだけど。
…しかし自分の事、思い出せなくても何とかなるもんだな。
(アドリブ絡み歓迎)
穂結・神楽耶
【アドリブ・連携歓迎】
ねぇ、ご存知ですか?
この世界には怪物がおり──されど抗う力も確かに存在するというのです。
噂で流れるものは、悪い話ばかりではないのですよ。
癒したとはいえ、先ほど自傷した脚で大立ち回りは不安が残りますね…。此度は『援護射撃』に徹しましょうか。
【神遊銀朱】。UC故に射撃は緩急自在。時に死角から『だまし討ち』、時に正面から『なぎ払い』。
攻撃を返されたら『オーラ防御』を。それでも負った傷は【茜小路の帰り唄】で速やかに癒しましょう。『歌唱』には自信がございます、誰にも負傷は残しません。
だって、無事に帰るまでがお仕事ですからね。
「ねぇ、ご存知ですか?」
『噂語り』の言葉をなぞるように、歌うように、神楽耶は言葉を口にする。
「この世界には怪物がおり――されど抗う力も確かに存在するというのです。噂で流れるものは、悪い話ばかりではないのですよ」
言い切って、敵を見やる視線はそのままに、自分の太腿を撫でる。癒したとはいえ、先刻、自ら傷つけた脚での大立ち回りは不安が残る――ゆえに、この戦いでは援護射撃に徹することにした。
「あれを倒せばいいんだな。それじゃあ、沈めようか」
拓哉は、召喚した箱型生命体を、宇宙戦艦に化けさせる。ユーベルコード、『偽正・械滅光線(バトルシップ・ドーン)』だ。
「さあ、いつも通り化け、撃ち滅ぼそうか……!」
飛行する宇宙戦艦は、彼の言葉に呼応するかのように、敵を撹乱し、光線を撃つ。狙いは、『噂語り』が召喚している模型達だ。
拓哉自身は、モデルガンの弾に衝撃波を纏わせて、確実に一体一体、『噂語り』本体を打ち倒していく。傷口を抉るように連続して、同じ箇所を正確に狙撃された『噂語り』達は、力尽きていった。
ユーベルコードではない拓哉の攻撃を防御する手段を、『噂語り』は持たない。拓哉が考えていたように、骨格模型や人体模型にかばわせることぐらいしかできないが、模型達は、宇宙戦艦に化けた存在から撃たれる光線に対応するので精一杯だ。
拓哉は、自分は見失っても、戦闘知識は失っていない。
さらに、時に死角から、時に正面から。神楽耶の刀が、敵へと飛ばされる。
ユーベルコード『神遊銀朱』によって複製された、神楽耶の本体。それが、敵の胸を、額を、貫いてゆく。
『君は――』
この場の『噂語り』の最後の一体が、神楽耶に対して『くだん』による予言をしようとした瞬間、その個体は拓哉の弾丸に射抜かれ、果てた。
「……自分のこと、思い出せなくてもなんとかなるもんだな」
呟いた拓哉を、神楽耶は見た。
「思い出せていないのですか?」
無事に帰るまでが仕事。心身ともに、誰にも傷は残したくない。それが、神楽耶の願いだ。
「上手くいくか分かりませんが――また明日、おはようと言うために」
神楽耶は歌う、懐かしいわらべ唄を。それは、治療のユーベルコード、『茜小路の帰り唄』。
もっとも、その歌に拓哉が共感しなければ効果はないし、共感したとしても精神的な治療までできるかどうかは分からない。拓哉次第、とも言えるだろう。
「……ありがとう」
拓哉は神楽耶へ、微笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
婀鎖路・朔梛
※アドリブと連携OK
朔梛『やっと出てきた。
よくもこんな気持ち悪い空間作ったね。
知っていても、こっちは妹を忘れかけたりとやっぱり大変だったんだよ!
噂を語るどころかもう喋れなくしてやるから!!』
UC使用。
『分かってるよ。朔椰も怒ってる事くらい。後ろは任せて。』
朔椰「うん。ぶっ飛ばしてくる。」
今回は…僕がメイン。【戦闘中:怪力】
お姉ちゃんは後ろで【時間稼ぎ2】や【ハッキング2】等でサポートしてくれる。
敵の攻撃は回避。
ただSPD技は【武器受け】の後【カウンター】や仲間と連携で【だまし討ち】や本体に【気絶攻撃】。
もし敵のPOW技が成功したら【UC:護柩ノ盾】で仲間を守る。
忠海・雷火
敵の悪趣味に付き合うのも此処まで
さあ、仕事だ。徹底的にやろう
この数に囲まれるのは拙い。まずはネクロオーブで死霊達を呼び寄せ、敵達の足止めさせて
足が止まった所で不知人魂を使用、敵一体に対し火を2、3個飛ばして燃やす
それで倒し切れなければ近付き刀で斬り殺す。近くに複数の敵が居るなら、横薙ぎに薙ぎ払っても良い
一息に近付ける距離でない敵には短刀を投擲する
不知人魂は、基本的に再使用はしない方針
使うのは隙を見せていない敵を相手にする時、敢えてそれを相殺させる間に刀で攻撃する騙し討ちを行う場合のみ
しかし敵の知能次第とはいえ、それも通じるのは一度だろう
以降は死霊の召喚による攻撃や、周囲の猟兵のサポートを行う
「敵の悪趣味に付き合うのもここまで。さあ、仕事だ。徹底的にやろう」
雷火は――否、カイラは、ブレスレットをかざす。そこにはめ込まれた『ブラック・オパール』――小粒のネクロオーブの力を借りて、死霊達を呼び寄せ、敵の群れへと放った。目的は、足止め。
死霊に纏わりつかれて、『噂語り』達の動きが鈍る。それを見計らって、カイラはユーベルコードを放った。
「骸の海より来たれ、来たれ。我が意に従い、彼岸、此岸、隔てなく燃やせ」
放たれたのは、『不知人魂(シラヌヒトダマ)』。名も知れぬ死霊達の鬼火が、敵の各個体へと向かった。10体前後もの『噂語り』が、悲鳴も上げずに燃え尽きてゆく。
それでもまだ敵の数は多く、全滅には至らない。カイラは踏み込み、刀で薙ぎ払い、複数体を斬り払った。
その時、この場に到着したのは、援軍。仲間の猟兵である。
『よくもこんな気持ち悪い空間作ったね。知っていても、こっちは妹を忘れかけたりと、やっぱり大変だったんだよ! 噂を語るどころかもう喋れなくしてやるから!』
敵に向けて怒っている彼女は、朔梛である。
ユーベルコード『オルタナティブ・ダブル』を発動し、朔梛は妹の朔椰と並び立つ。
『分かってるよ。朔椰も怒ってることくらい。後ろは任せて』
「うん。ぶっ飛ばしてくる」
メインの戦力として地を蹴ったのは朔椰。力強く『噂語り』達を叩き潰し、蹴り飛ばしてゆく。
朔梛は後方で、腕時計型PCを使って電脳空間を展開。ハッキングのプログラムを具現化して、朔椰のサポートに回る。
「支援する」
『ありがとうね』
カイラが、朔梛を手伝う形で死霊を呼び出し、朔梛が短く礼を言う。電脳と心霊、二重の足止めを受けた『噂語り』達が、朔椰に次々とぶちのめされていった。
『――!』
『噂語り』が、意味をなさない声を上げる。それと共に、骨格模型と人体模型が召喚され、朔椰へと飛びかかった。
同時に、模型の召喚に回っていない、別の『噂語り』が、朔椰へと襲いかかる。
合わせて三体による、一斉攻撃である。
「お姉ちゃん! それに、あなたも!」
朔椰は、後方の朔梛とカイラへ叫んだ。それと共に、朔椰は人体模型の懐に潜り込む。
『任せて』
「承知した」
朔梛とカイラが応じる。
まず、朔梛がPCを操作し、ハッキングによって骨格模型の動きを封じた。
朔椰は人体模型の一撃をガードし、カウンターで人体模型の首を叩き落とす。
カイラによって再び放たれようとしている『不知人魂』に、朔椰へ飛びかかった『噂語り』の個体は気を取られた。
『それは、死霊達の鬼火だね?』
『くだん』の予知で相殺。だが、カイラが使用したそのユーベルコードは、囮だ。騙し討ちの、カイラによる刀が、その『噂語り』を貫いた。
それから朔椰は、模型を召喚した『噂語り』の個体の腹部に拳を叩き込んだ。『噂語り』は黒い液体を吐き出し動かなくなり、模型と共に消滅する。
この場の、多重人格を持つ猟兵達が、勝利したのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
未不二・蛟羽
【POW】
了さん(f00664)と行動
【ブラッド・ガイスト】で【No.322】を解放
刻印の力を手足に纏い、触れるものを喰らう虎の爪へ
めっちゃ嫌な思いしたっすからね
ちょっと、おこっす!
コピー?似てるかもだけど…中身は違うっす
俺たちのナカにあるものは、俺たちだけのものっすから!
だから、友達の姿相手でも戦えるっす!
了さん姿の鬼には【怪力】で真っ向勝負、組み敷くっす!
…そんな顔はさせたくない、っすよ?
悪趣味もここまでっす
アンタらなんか、【大食い】【生命力吸収】で喰ってやるっす!
撃破後に了さんとハイタッチ
了さん!遊園地、ゲーセンコーナーあるみたいっすよ!行くっす!
…うん、そっちの「笑顔」の方が好きっす!
萬場・了
【POW】蛟羽(f04322)と共に。
体に宿すUDCを解放。首の寄生型の大口を残し異形へ変化。
参加者は揃ったか?【オニゴッコ】を始めるぜ!
代償?なら、俺の足を止める「不安」や「恐怖」をくれてやる。
ごっこ遊びだ。戦闘が終われば預けたものは戻ってくる。
ははは、そうだな!力が足りないなら鼻も耳も…ああ!あとは
いけね、欠けても見失うな。
大丈夫だ「俺」ならまだここにいるぜ!
蛟羽のコピーと向き合って。
〈おびき寄せ〉〈第六感〉で捉え逃さない。
俺らは自分より、互いの動きの方が良くわかる。
ヤツらに無い友情パワー見せてやろうぜ!
ゲーセン!?
こっちは日々鍛えてんだぜ、今度は負けねえ…!!
終われば友人と笑い合って。
「めっちゃ嫌な思いしたっすからね。ちょっと、おこっす!」
怒りのままに、蛟羽は『ブラッド・ガイスト』を発動した。自らの血液を代償に、右腕の刻印を解放。血紅色の帯が漏れ出して、蛟羽の手足がそれを纏い、虎の爪となる。
「参加者は揃ったか? 『オニゴッコ』を始めるぜ!」
了は、体に宿すUDC怪物を解放した。了の姿が、青い鬼のようなものへと変わる――『渡し鬼』。
(「代償? なら、俺の足を止める『不安』や『恐怖』をくれてやる」)
これはごっこ遊び。戦闘が終われば、『鬼』に預けたものは戻る。
「ははは、そうだな!」
了は笑う。力が足りないのであれば、鼻も耳も預けてしまおう。
(「……ああ! あとは」)
感情と、肉体と。
あとは。
(「いけね」)
欠けたとしても見失ってはならない。
(「大丈夫だ、『俺』ならまだここにいるぜ!」)
自らに言い聞かせ、了は『噂語り』達に向き合う。
「行くぜ、蛟羽!」
「オッケーっす!」
声を掛け合って、二人は地を蹴った。
蛟羽の爪が、了の牙が、続々と敵を捕食してゆく。獣が、鬼が、敵を喰らう。
だが、かろうじて一撃での致命傷を避けた『噂語り』二体が、蛟羽と了、それぞれのドッペルゲンガーを召喚した。
虎の爪を手足に纏った蛟羽のドッペルゲンガーが、蛟羽と同じ構えをとる。
青い鬼と化した了のドッペルゲンガーが、牙を剥く。
「ヤツらにない友情パワー見せてやろうぜ!」
「分かったっす!」
了に言われて動いた蛟羽は、了のドッペルゲンガーに飛び掛かり、組み敷いた。
(「外見は似てるかもだけど、中身は違うっす! 俺達のナカにあるものは、俺達だけのものっすから! だから、友達の姿相手でも戦えるっす!」)
蛟羽の頭にかぶりつこうとする了のドッペルゲンガーだが、怪力で押さえられ、ままならない。
「……そんな顔はさせたくない、っすよ?」
了のドッペルゲンガーの表情を見た蛟羽が言う。
攻撃に失敗した了のドッペルゲンガーは、薄れ、消えた。
(「俺らは自分より、互いの動きの方がよく分かる」)
了は蛟羽のドッペルゲンガーと向き合い、自分への攻撃を誘った。
虎の爪が振るわれるその動きを、第六感で捉える。触れたものを全て削り喰らうその爪には触れないようにし、両手首をつかんで、万歳させるかのように宙に持ち上げた。
じたばたしていた蛟羽のドッペルゲンガーは、やがて、諦めたように笑って、消える。
二体のドッペルゲンガーが消え、残るは、『噂語り』のみ。
「悪趣味もここまでっす。アンタらなんか、喰ってやるっす!」
蛟羽の、『暴食』の性質を持つ爪が、『噂語り』を屠った。
それと同時に、周囲の赤い風景が、色を取り戻す。
一般人が笑い、行き交う、遊園地。……『噂語り』の殲滅に成功し、猟兵達は異空間から戻ってきたのだ。
蛟羽と了はハイタッチを交わす。
「了さん! ゲーセンコーナーあるみたいっすよ! 行くっす!」
「ゲーセン!? こっちは日々鍛えてんだぜ、今度は負けねえ……!!」
二人は笑い合い、駆け出した。
(「……うん、そっちの『笑顔』の方が好きっす!」)
それは、きらきらした、大事な宝物。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵