3
交殲猟域666

#クロムキャバリア #【Q】 #殲滅回路

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#クロムキャバリア
🔒
#【Q】
🔒
#殲滅回路


0




「クロムキャバリアで、|殲滅回路《ホーリーユニット》っつー厄介なチートアイテムが出回ってるわ」
 グリモア猟兵、白鐘・耀は顔を顰めた。

「早い話が接続したキャバリアをオブリビオンマシン化させるユニットなのよね、これ」
 それ以外にも問題はある、と耀は続けた。
「けど、「既存のキャバリアのコックピットに取り付けると性能が飛躍的に向上する」っていう風評は正しくもあって、しかもその強化率はただオブリビオンマシン化をはるかに凌駕しているわけ。
 どこの誰が流通させてるのかまではわからないけど、こんなもんを放置していると大変なことになるわ」
 ゆえにオブリビオンマシン化したキャバリアを破壊し、ユニットを回収してほしいと云う。

「今回向かってほしいのは、厳密には小国家じゃなくて複数の小国家がぶつかり合う土地よ。
 元々はなんとかっていう国があったみたいだけど、戦争に負けて滅んで、今は主戦場と化しているの。
 プラントはもちろん、戦争の過程で破壊された機体の残骸とか、埋没資源も山程あるんだからね」

 ゆえに付いた名は、|霊廟《マウソレウム》。
 死が堆く積み重なり、新たな死を呼び込む絶対交戦領域。
 滅びた都市の残骸には、危険と未知と可能性が詰まっている。

「こんな土地があったら、どの小国家もより強いキャバリアを求めるのは当然のことよね。
 ……そこに登場、接続するだけで誰でもチートできる簡単お手軽アイテム。どうなると思う?」

 耀は嘆息した。
「そのつもりがあるのか知らないけど、早速一機のチート野郎が暴れ回ってるから、それを止めて。
 交戦領域を取り囲む小国家はいくつもあるけど、どこも苦戦させられてるはずだから話を聞くのは簡単よ」
 膠着した戦場はある種の冷戦めいた拮抗を生んでいた。だがそれをオブリビオンマシンが崩した。
 霊廟の荒廃は加速度的に広がり、どの小国家も国土をじりじりと失い――それゆえに、これまで以上に戦力を投じる。
 クロムキャバリアではありふれた悪循環は、プラントの新規獲得なくして打破できない。

 ならば崩壊した小国家が持っていたはずのプラントを、他の国家より先に手に入れなければならない。
 あるいはせめて、放置された資源を奪取せねば。

 それが出来なければ失った国土の回復を。
 殲滅回路の効果がオブリビオンマシンの蹂躙で証明されれば、さらなる地獄が待つ。
 すべての小国家が回路を導入すれば――最終的には、霊廟は何倍もの広さに拡大するだろう。

 グリモアが異形のキャバリアの全体像を投影した。
 名を『エクストラ』。
 歪な『光の翼』と、あるべき頭部の代わりに『光輪』を戴く、天使型のサイキックキャバリアである。

「こいつはあらゆる損傷を即座に回復し、補給を受けてる気配もないのに弾数も無限。
 おまけに異常なスピードでビュンビュン飛び回るから、生半可な攻撃はそもそも当たらない。
 まさに、チートね。だからどの国も一方的にやられている……でも、無敵じゃない」
 耀は断言した。
「元となる機体のクセ、それがどこかにあるはずなのよ。たとえばスピードダウンする瞬間とか。
 実際に戦闘したキャバリア乗りや、戦ってるのを目撃した人たちなら、知ってるかもしれない。
 だから話を聞いて、その情報を集めてほしいの。『エクストラ』が戦場に現れるまでの間にね」

 ひとたび『エクストラ』が出現すれば、交戦領域は死の阿鼻叫喚に曝される。
 だが、それはどの小国家にとってもチャンス。他の国が『エクストラ』に蹂躙されている間に死体漁りめいて霊廟を探索すれば、いち早く有用な技術や物資が得られるかもしれない。あるいは未知のプラントが。
 そうすれば|完全勝利《ゲームオーバー》だ。ある国の危機は他の国にとっての好機である。

「どこもそう考えるから戦力を出して、結局全部やられる……まあ、戦争なんてそんなものよね。
 多分『エクストラ』と戦う前に滅茶苦茶な混戦状態になるから、うまく邪魔な兵力を撤退させて。
 でないと、『エキストラ』と戦っているだけで余波で被害が拡大するわ。それは本意じゃないでしょ」
 耀は肩を竦めた。
「そりゃどこもアホなことはしてるけど、だからって一方的に殺されていいもんでもないんじゃない?
 まあ、あんた達に任せるけどね……どのみち、うろちょろしてる奴は確実に足手まといになるわ」
 戦乱の絶えぬ世界の中で、なお醜い争いの続く死の世界。
 猟兵とて、そこに絶対的な平和を齎すことは不可能――だが対処療法は可能だ。

 耀は火打ち石を取り出し、鳴らした。
「根治治療にはまだまだ遠いけど、そのためにはこういうのも必要よ」


唐揚げ
 きなこロールです。今回は戦場の臭いを感じさせるシナリオをお届けします。
 主な舞台となる『霊廟』は、名もなき小国家が滅び複数の小国家の戦場と化した土地です。
 何処かにあるはずのプラントを求め、周辺国家が争っているキルゾーン……でした。

 そこに殲滅回路を搭載したオブリビオンマシンが登場し、状況が一変。
 周りの都市国家が送り込んだ戦力はドカドカ落とされ、戦線の拡大に伴い各国家の領土もジリジリ喪失。
 それでは困るということで、どの国家もさらに戦力を送り込む。泥沼の状態ですね。

 このままだと「そんな回路があるなら使うしかないじゃん」ってんでさらなる地獄が予想されます。
 そうなる前にエクストラを撃墜し、殲滅回路を回収しなければなりません。
 まずは交戦領域を取り囲む小国家を巡り、生還者や目撃者から情報を集めましょう。

『エクストラ』は尋常ではない強さを誇っているので、正攻法だとまず勝てません。
 速くて攻撃が当たらず、当たっても無効化ないし回復され、向こうはエネルギー無限かつ範囲も広い。
 まさにほとんど無敵です。どんなユーベルコードを使おうと凌駕するのはほぼ不可能でしょう。
 打破するにはなんかしらの「機体のクセ」を知る必要があります。

 というわけで、ご参加お待ちしています。
533




第1章 日常 『鋼鉄の墓標』

POW   :    それでも、やるべきことがある

SPD   :    嘆く暇はない

WIZ   :    燃え盛る炎を一瞥する

イラスト:madoka

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●クロムキャバリア:"霊廟"周辺小国家のひとつ、ゲナバキス
 かつて都市国家の一部だった領域は、"霊廟"に飲まれるかのごとく荒廃していた。

 全ては『エクストラ』の出現による戦域の拡大。それが国土を侵食しているのだ。
 朽ち果てたキャバリアは墓標のように列をなし、今も戦火の残焼にじりじりと焦がされる。
 
 それでも人々は集まり、たくましく生きる。
 荒れ果てた廃墟にはバラックや煤で汚れた屋台が連なり、出どころのわからない品々が物々交換でやりとりされているのだ。
 当然、その顔ぶれも多彩。誰もがギラつき、灰の中から金を探すように目を光らせる。
 エクストラの打倒を目論む野心的な傭兵、他の国に一矢報いようとする職業軍人、あるいはこの混乱に乗じて"霊廟"での探索を狙うスカベンジャー……。
 戦後の闇市を思わせる猥雑で混沌とした空間には、相応の流儀というものがある。
大宝寺・朱毘
連携歓迎。
公序良俗に反する行動、利敵行為、過剰に性的な描写はNG。

アイドルでありロッカー。
ロック(漢気があるとほぼ同義)な様を好み、「ロックだ」と感じれば味方はもちろん敵でも賞賛することがある。
民間人への被害を嫌い、救助活動などには全力を尽くす。

使用武器は黒いボディに炎の模様が入ったギター『スコーチャー』
演奏によって音の爆弾や衝撃波を生み出してぶつけるという戦法を好む。
必要なら演奏を続けつつ蹴りなども行う。

冒険では、魔力任せに障害を吹き飛ばすといった行動が得意。ただし地頭が悪いわけでもないので、搦め手が必要ならその都度考える。

台詞例
「いいね、ロックじゃん」
「こっちゃ世界の命運背負ってんだよ!」


大宝寺・風蘭
連携歓迎。
公序良俗に反する行動、利敵行為、過剰に性的な描写はNG。

へらへらしているが、やると決めたことはちゃんとやるタイプ。
民間人への被害を嫌い、救助活動などには全力を尽くす。

使用武器は、木刀のような見た目の革命剣『木刀れぼりゅーしょん』
正規の格闘技の心得はなく、斬撃とパンチ、キックを雑に組み合わせた喧嘩殺法で戦う。
オウガ(二足歩行の人間大の猫のような見た目で、名前はモチズキ)との連携を好む。

冒険では、力任せに障害を吹き飛ばすといった行動が得意。ただし地頭が悪いわけでもないので、搦め手が必要ならその都度考える。

台詞例
「アタシだってヤるときゃヤるんだぜぃ!」
「つまり、全員ぶっ飛ばしゃ解決っしょ」


ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。


アメリア・イアハッター(サポート)
『あの空にいったい何があるんだろう』
 ヤドリガミのスカイダンサー×スターライダー、20歳の女です。
 普段の口調は「馴れ馴れしい(私、~くん、~ちゃん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、友達には「甘えたがり(私、相手の名前、なの、よ、なのね、なのよね?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
よほど切羽詰まった状況でない限り、皆と一緒に行動することを楽しみ、笑顔で人にあたり、褒めたり勇気付けたりします。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


仇死原・アンナ(サポート)
普段はぼんやりですが敵前では獄炎操る処刑人と化します

鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います

UCは指定した物どれでも使用

普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)

ぼんやりしつつ日常を楽しみます。一人で楽しむ事も苦じゃないみたいです
ダークセイヴァー出身なので複雑な機械の操作はかなり苦手ですがキャバリアの操縦はそこそこ(本職に比べたら劣る)
流行には疎いけどまぁそんなモノもあるんだと認識する感じです



●墓標の如き街
「……なるほど、|霊廟《マウソレウム》か。言いえて妙だな」
 仇死原・アンナは小国家の国境線にいくつも並ぶ、今も燃え続けるキャバリアの残骸を眺めた。

 この複数の小国家に囲まれた戦闘領域『霊廟』には、危険な|殲滅回路《ホーリー・ユニット》で規格外の性能を手に入れたオブリビオンマシンが存在する。
 正攻法では決して太刀打ちできないオブリビオンマシン『エクストラ』を破壊するためには、その再生能力・機動力・無限の破壊力を打破するための弱点――つまり、ごく小さな機体のクセを見抜かなければならないのだ。

「どこの人たちも疲れて、ぐったりしてるにゃ。大変そうにゃ」
 ミーヤ・ロロルドは蚤の市のようなテントの列を眺め、眉根を寄せた。
 激しい戦闘は傭兵を呼び、ビジネスのチャンスを生む……だがそもそも、戦争とは国を死に至らしめる最悪の行為だ。
 ただでさえ戦乱にまみれたこのクロムキャバリアで、さらに勝利の可能性が見えない慢性的な戦闘が何ヶ月も続けば、人々は疲れ果て未来への希望を失う。
『エクストラ』が出現するまでは、ある種の膠着状態によって、最低限の秩序が保たれていた。
 複数の小国家が対等に戦力を投入するからこそ、どの国家も沈むことなく、逆に浮くこともなく――決して有意義でも生産的とも言い難いが――一種の安定を見せていた。
 全ての国が共倒れになるような最悪の事態は、かろうじて防がれていたのである。

「もしも殲滅回路がここで流通するようになれば、オブリビオンマシンが増える。
 しかもそいつら一体一体がチート級の無敵かましてたら、泥沼どこじゃなくなるね」
 大宝寺・風蘭も普段のへらへらした表情は鳴りを潜め、嫌悪と怒りを浮かべていた。
 一体どこの誰が殲滅回路などという危険な代物を作り出し、流通させているのか……それは、まだ全く分からない。
 今できるのは一刻も早く『エクストラ』を破壊し、殲滅回路を回収して、この地の戦争を再び安定させることである。
「とはいえ、やることやっても元の木阿弥ってのはロックじゃねえが……」
 大宝寺・朱毘は、そのことにあまり気乗りしていないようだった。
 仮に事態を解決しても、『霊廟』そのものがなくなるわけではない。
 つまり、これまでのように小国家同士の散発的な戦闘が再開される、ということだ。
 場合によっては、いずれかの国家の民間人に被害が生じる可能性もある。
 可能であればその戦禍の根を断ち切りたい……そんなだいそれた願いが、朱毘の心に燃える。

「だけど、それはクロムキャバリアという世界そのものの問題を解決しないと難しいと思うの」
 アメリア・イアハッターが口を開いた。
「納得できないところがあるのも、私にはわかるよ。でも……」
「ああ、わかってるぜ。ここで投げ出すのも、それはそれでロックじゃねえしな」
 朱毘はアメリアに頷き返した。
「……では、手分けして情報を集めるとしよう。キャバリア乗りはもちろん、『霊廟』に出入りしているジャンク拾いの住人なども、『エクストラ』の戦闘を目撃した者がいるかもしれんからな」
 アンナが話をまとめ、今後の方針を打ち出す。
「なんだかいい匂いがするにゃ! まずはみんなでご飯を食べて、それからにゃー!」
 と、ミーヤは嗅覚を頼りに飛び出してしまった。
「へっ、腹が減っては戦は出来ぬ、ってか? いいじゃん、悪くないね!」
 風蘭がその後を追っていく。
「って、調査はどうするの!? みんな~!」
「仲間でテーブルを囲んで飯を食うのも、ロックじゃん! 気合入れてこうぜ!」
「……わ、私も食べるぞ、おなかすいてるから……!」
 最後にアンナがついていき、ひとまず全員で食卓を囲むこととなった。

 とはいえ、最前線の料理は決して上等なものではない。
 それでも仲間と語らいながらの食事は、それはそれで格別というものだ。
「首無しの天使か……見たことあるぜ」
 しかも運の良いことに、屋台を出していた店主が偶然にもキャバリアを目撃したことがあるというのだ。
「ありゃあ恐ろしいバケモンだ、腕の立つ傭兵が何人束になっても敵わねえし、子供みてえに蹴散らされちまった」
「それで……何か特徴的な動きなどは見受けられなかっただろうか?」
 処刑人モードのアンナは、鋭い瞳で店主を見据え質問した。
「そうさなぁ……何故かはわからんが、真正面から近づいてきたキャバリアは必ず接近戦で仕留めていたような気がするぜ。何かのこだわりなのかねぇ?」
「……どうやら、うまく攻撃を誘導すれば付け入る隙はあるみたいだね」
 アメリアは一同を見渡した。
「それだけ危険、なんだけど……」
「そんなもんでロッカーが尻込みするわけねえじゃん!」
「そういうこと。アタシの気合見せてやるよ!」
「それじゃあ戦う前に、もっともっと腹ごしらえにゃー!」
 天真爛漫なミーヤは、五人の中で一種の清涼剤のようになっていた。笑いが起き、あえての食卓を再び囲む猟兵たちだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『戦闘中の市街を抜けて』

POW   :    攻撃されれば反撃しつつ強行突破

SPD   :    攻防に巻き込まれようと気にせず早く突破することだけを考え、駆ける

WIZ   :    両者を共倒れさせるなどで危険を排除してから進む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 交戦領域『霊廟』。
 かつて名も知れぬ小国家だった場所は、無数の朽ちた建築物とその残骸、破壊されたキャバリアがおもちゃ箱をひっくり返したように散乱する鋼鉄の荒野だ。
 この土地の何処かに、小国家が隠匿していたプラントが眠っているという。
 仮にそんなものがなくとも、遺棄されたスクラップはプラントの生成能力を補うためには極めて有用。
 試作型キャバリアの秘密技術や、希少なパーツを求め、傭兵やパーツ漁りが危険を顧みず飛び込むのだ。

「エクストラが出たぞ!」
 誰かの広域通信が、爆撃を知らせるサイレンのように轟いた。
「今のうちに他の奴らをやっちまえ!」
「お宝を頂くのは俺だ!」
 欲深き簒奪者たちは、オブリビオンマシンに殺される危険性より、他の奴らが逃げ散った隙に火事場の宝を盗み出すことを優先した。ゲリラめいた乱戦が始まる。
『エクストラ』を迎撃するには、準民間人とでもいうべき通常のキャバリアやパーツ漁りを強制撤退、あるいは振り払わねばならないのだ。
鳥羽・弦介
参加させてもらうぜ
回点号【操縦】『ディストーションフィールド』発動
念動歪曲空間の|【念動力】《プレッシャー》で弱ぇ奴らをまず退去させる!
火事場泥棒とジャンク漁りしか能がねぇ雑魚は引っ込んでな!
…まぁこれでもビビらねぇ奴いるだろうが殲滅回路回収する時にちゃちゃいれられても困んだ。
力尽くでも退いてもらう

おら、いつまでも此処にいるとマジで死ぬぜ!!
エクストラに立ち向かう気ねぇならさっさと逃げな!!

【第六感】で逃げねぇ奴を感知し、一応警告。それでも逃げねぇ、襲ってくる奴ぁ、メガスラスター【推力移動】一気に距離詰めて【早業】双剣変形フォースサーベルで腕や武装を斬り落とす。
足は残した逃げろ。次は殺すぞ!!



●退避勧告
 欲望の坩堝と化した回廊に、手前勝手な銃声と砲音が響く。
 誰もが『エクストラ』を恐れていた。そして、恐れているがゆえに、他の臆病者どもが逃した――あるいは逃すであろう――チャンスを手に入れたいと、全員が考えている。
 人間とは欲深いものだ。この戦乱こそがその証だ。

「どいつもこいつも、火事場泥棒とジャンク漁りしか能がねえ雑魚どもが!」
 回点号を駆り、鳥羽・弦介が戦場に出現。
 ディストーションフィールドを展開し、念堂歪曲空間を通じて強烈な|念動力《プレッシャー》をあらゆる方角に放射した!
「な、なんだ!? 頭が痛ェ!」
「吐き気がしやがる……!」
「全員邪魔だ。死にたくなきゃ引っ込んでやがれ!」
 弦介の叫びは念動歪曲空間を伝い、通信機ではなくそれぞれのキャバリア乗りやジャンク漁りの精神に直接伝わった。
 音ではなく念波。それは、弦介と己の圧倒的力量差をも理解させる――百獣の王を目の前にした獣が、生物学的なスペックの違いを痛感して逃げ去るように。
 砲声は止み、多くのキャバリア乗りが尻尾を巻いて逃げ出した。

 だが、何事にも例外はある。
「邪魔するんじゃねえ! お宝は渡さねえぞ!」
 無駄に胆力があるというべきか、あるいはこんな戦場で終わらせるには惜しい腕か。
 念動力の脅しに抗ったキャバリアが、弦介に襲いかかる。
「まあ、いるだろうな――なら脅しじゃねえってのを教えてやる!」
 次の瞬間、回点号は機体の背後にいた。

「え?」
 KBAM! キャバリアの両腕が脱落し、切断部から火を吹いた!
 一瞬ですれ違いながらの、双剣フォースサーベルによる両腕切断。文字通り目にも止まらぬ早業……!
「足は残しておいてやる。でねえと逃げられないよな?」
 弦介は振り返らずに告げた。
「次は殺す――さあ、さっさと逃げな!!」
 己の分を弁えぬ愚か者はほうぼうの体で逃げ出し、エクストラに匹敵する恐ろしいキャバリアの噂を市井に広めることとなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリッツ・バーナー
鉄火と硝煙、錆の香り
サイバーザナドゥの喧騒も嫌いではないが、やはり戦場の空気は堪らない
そして相手は|規格外な機体《エクストラ》!
これが心踊らずにいられようか

私の歓喜に呼応したバルバロッサが空間を引き裂いて顕れる
荒々しく着地した機体に触れて一体化だ

機体を中心に、全方位へ放たれる衝撃波
元より手を組んでいる場合は勿論、私という脅威に対し異なる勢力同士の連帯感が生じただけでもUCの効力は見込める

同士討ちを生き延びた者を衝撃波にて物理的に吹き飛ばしつつ、背面の推進機構を広げて飛翔
標的へと向かおう

極上の獲物を前に気が逸るのは理解しよう
しかし今回ばかりは|我々《猟兵》で総取りだ
諸君、悪く思わないでくれ給えよ



●窒息
 銃声。砲音。罵声。爆音。轟音。
 此処には死が満ちている。ならば翻って生が際立っている。光が影を色濃くするように、影が光のコントラストを映えさせるように。どちらが欠けても成り立たない。

「やはり、戦場の空気は|いい《・・》」

 フリッツ・バーナーは両手を広げ、恍惚と呟いた。
 故郷とは特別なものだ。|国家《くに》ではない、|世界《ばしょ》である――愚かしくも忙しなく争い合うこの世界は、いつ来てもフリッツを満足させる。
 弾丸が乱れ飛び、廃墟と化した建物が崩れ、土煙が上がり、誰かが死ぬ。生まれた|空白《スペース》に滑り込んだ別の誰かは幸運を喜び、生を実感するのだ。
 なんと愚かで愛おしき人間讃歌。その渦中に立つは|規格外《エクストラ》!

「嗚呼、堪らない!」

 フリッツは感極まった指揮者のように叫んだ。
 その瞬間、背後の空間を引き裂き現れたのは、臓物のように赤黒い機体だった。

 臓物。
 成る程、歓喜に応え現れたオブリビオンマシンは、闘争に満ちたこの世界の|はらわた《・・・・》とも言えよう。
 同時にフリッツという浪漫主義者の在り方を、本性をまざまざと形にしたようだ。
 |赤髭《バルバロッサ》に一体化したフリッツは、より拡張された|装甲《はだ》で戦場を感じ取る。渦巻く生と死、誰かの怒号と誰かの怒号を|集音装置《みみ》で聴き、|映像装置《まなこ》で廃墟を見つめる。
 機体が震えた――恐怖? 武者震い? どちらでもない。歓喜だ。打ち震えるような喜びは、空間を揺るがす衝撃波となって廃墟を吹き飛ばし、何処かの誰かを貫通した。

 土煙と悲鳴。敵も味方も区別なく――厳密にはフリッツはこの場の全てを両方とみなしている――巻き込んだ衝撃波は、それ自体が物理的な威力を持つ。
 加えてその力は、生き延びた者をさらなる闘争へ駆り立てる。味方に猜疑心を抱かせ、生存という最大の報酬を独り占めする欲望を疼かせ、そして銃を取らせるのだ。

「諸君、愉しみ給え。せっかくの戦場だ」

 銃声。砲音。罵声。爆音。轟音。
 激しい闘争の嵐が、赤髭を中心に広がる。
 ついさっきまで肩を並べていた味方同士でつかみ合い、啀み合い、奪い合い、殺し合う地獄。
 生き延びたところで、颯爽と走る機体の生み出す第二・第三の波が、文字通り鎧袖一触とばかりに吹き飛ばしていく。
「残念だが、今回は|猟兵《われわれ》の総取りだ。悪く思わないでくれ給えよ」
 嘯く声音に、罪悪感など欠片も乗ってはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロイド・サングルガット
ふむ、散歩中だったのだが……お困りごとかね?
といった成り行きで途中参加するとも。

ご覧、フィン。彼らは生きることに必死だ。燃え尽きるような一途さだ。儚いね。
此処で尽きるには惜しい眩しさだ。
私のフィン。手伝ってくれるかい?

フィンの力を借り、能力を範囲攻撃化する。私の視界いっぱいに、効果範囲を広げよう。
逃げられぬよう結界を張り、反抗されぬよう睡眠術をかけ、一斉に【瞬間移動】させる。
1km……程度では、すぐ飛んできてしまうか。キャバリアを壊すのも、資源が足りない世界と聞けば気が引ける。
100kmほど離れた地に飛ばしておこう。少なくとも、本命を倒すまでには間に合うだろう。



●燃え盛るいのち
 吸血鬼とは、誰より死から遠く、生からも|見放された《・・・・・》者である。

「ご覧、フィン」

 強大なる貴種、血に光輪を宿せしロイド・サングルガットは、眩しげに目を細めた。
 |陽光を歩く者《デイウォーカー》たるロイドにとって、クロムキャバリアは心地よい散歩道だ。
 闘争のうねり、失われ散りゆく命、それらを糧に育つ人間たちの営み。
 人が流れる川や青い空に浮かぶ雲を眺めて歩くように、ロイドはあまりにも長大な時間感覚で戦乱を眺め、通り過ぎる。

 であれば時として、彼らの行いに手を出そうという心も湧いてくるものだ。
「彼らは生きることに必死だ。燃え尽きるような一途さだ――儚いね」
 腕に留まる神炎の不死鳥が甲高く鳴く。炎こそこの世で何よりも儚く一瞬のものであるはずなのに、この世ならぬ灯火は消えることはない。
 ロイドと契約し一体化したことで、炎は永遠を与え、炎もまた永遠となった。彼らが腰を落ち着けるには、この世界はあまりにも忙しなさすぎる。何もかもが、風塵のように容易く滅び興っていくのだから。

 此処で尽きるには惜しいと、貴種は考えた。炎はその意を汲んで羽ばたいた。
 生きるために争い、啀み合う者らは、ロイドの存在に気付かない。キャバリアに比してその身は小さく、一方で存在格は大きすぎる。惑星の表面を歩くときに、その丸さと雄大さに思いを馳せる生き物など滅多にいないのと同じだ。
 鎧にして矛を破壊するのは、容易い。が、気が引ける。子供が手間暇籠めて作り上げた砂上の楼閣を、躍起になって壊す大人がいようか? それもやはり、同じことだ。

「では」

 指揮者がタクトを振るうような気軽さだった。
 神なる炎の力で拡張された力は、争い合う人類を想像もつかぬほど彼方へと追いやった。

「え?」
「な……」
「ど、どこだ、ここは?」

 見知らぬ小国家に突如出現した大量のキャバリアと武装兵士は、問題の国家に少なからぬ混乱と動揺を引き起こす。しかし当事者らも戸惑うばかりでは争いにもなり得ない。
「これで時間は稼げるだろう」
 ロイドは安心だとばかりに頷いた。少なくともこれで、彼にとっては片付いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エクストラ』

POW   :    ソウル・イモレーション
【揺らめく光の翼】から【熱線】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    レッド・エンフェーブル
【サイキックエナジー】を籠めた【両腕の短槍】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
WIZ   :    ブルー・リベレイター
【剣のような短槍】による素早い一撃を放つ。また、【背面のエネルギー噴射】等で身軽になれば、更に加速する。

イラスト:仁吉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠薄翅・静漓です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 首のない天使。
 エクストラという異形の機体を表すのにもっともふさわしい単語だ。

 猟兵たちの働きにより、戦場から余計な邪魔者は片付けられた。
 今や荒廃した〈霊廟〉は、その名を示すかのような静寂に包まれている。

 このままエクストラを放置していれば、外縁部にある全ての小国家が同じ静謐に包まれるだろう。
 殲滅回路によってオブリビオンマシンと成り果てた機体に、飽きや疲労はない。ゆえに際限なき破滅をどこまでも繰り返す。
 たとえ殲滅回路の導入を推し進める愚者がいなくなろうとも、人々が駆逐されてしまえば同じことだ。

 ゆえに、この場で一刻も早く敵を滅ぼす他に道はない。
 光の翼がゆったりと広がると、廃墟のビル群がドロドロに溶け、熱のない炎がじわじわと広がっていく。
 何もかもを真っ平らにして、死という永遠の停滞を齎すため、破滅の天使が羽ばたいた。
ロイド・サングルガット
Extra.
こちらの言葉では、「余分、過剰」といった意味合いの単語だ。
しかし機体は頭部が欠けている。なかなか皮肉な意味合いだと思わないか、フィン。ああ、戦力としては過剰なのかな。

よろしい。私の音楽会にお付き合い頂きましょうか、|破滅の使者《ANGELOS》殿。
フィン、力を貸してくれるね。

フィンと合体し、【金と銀の混ざりもの】を発動。25メートルの火の鳥に変身し、熱線を食らう。もう効きませんよ、それは。
天候操作、大豪雨。楽器演奏と超音波、音の波による破壊。結界術でしっかりと周囲空間から隔離をして。

それではお見せしましょう、太陽フレアです。
三分間だけ保っていただければ、そちらの勝ちですよ。



●破滅の先触れ
 今や、霊廟には二つの炎が生まれていた。

 一つは頭部なき死の天使、破滅の使者エクストラが戴く光の翼だ。
 それ自体が熱線を生じ敵対者を跡形もなく解かす、まさしく神の槌。

 一方、相対するように燃えるのは数倍もの巨大な――実に25mという規格外の巨体を誇るロイド・サングルガットだった。

『さあ行こう、フィン。共に素敵な音楽会を催そうね』

 不滅の神炎と融合した今、ロイド自身が不死鳥となっていた。
 広げれば翼長はさらに巨大となる。エクストラが、恐怖や慄然を示すことはない。
 首なしの天使は、競うかのごとく光の翼を何倍にも広げ、熱線を放った。

『残念ですが、|破滅の使者《ANGELOS》殿』
 炎の中から静かに響く声が言った。
『|熱線《それ》は、もう効きませんよ』
 大海に一滴の毒液を垂らしたところで、海そのものが病んで枯れるわけではない。
 雄大なる大山に針を突き刺したところで、山そのものが死に絶えることはない。
 燃え盛る神炎に熱線を幾条と突き刺そうが、それは似た行いをしているのと同じだ。

 空間が、見えざる壁と天井で覆われた。
『それではお見せしましょう――これが、太陽フレアです』
 たちまちのうちに、形あるモノでは耐えられぬ破滅が吹き荒れた。
 超音波、雨の如く降り注ぐ炎、熱波――太陽という絶対なる昼の支配者が、地上に降臨したかの如き破壊。
 首なき天使は膝を折り、存在しない頭を垂れるかのごとく打ちのめされるのみ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリッツ・バーナー
圧倒的な破壊の光
およそ殲禍炎剣に勝るとも劣らぬ力と見える
それは天の御業か、或いは人の業か
いずれにせよそれに抗うもまた人間の|業《サガ》である
我が|業《歓喜》、とくと照覧あれ!

沸き立つ歓喜のエネルギーが機体より漏れ出し、|高密度の靄《オーラ防御》として周辺を漂う
機体内部の『ODE/AN-DIE-FREUDE』が励起し、自身の心臓のように鼓動するのが感じられる
歌でも一つ歌いたくなるような最高の気分だ
募る感情のままに機体の口腔が開放され、前方へ指向された衝撃波が放たれる

〝今や我々は炎のように酔いしれて、崇高なる霊廟へと踏み入らん〟
さあ、その心の儘に|告《うた》え!
我らの歓喜を高らかに!



●歓喜の歌
「おお――」
 破滅の光が、フリッツ・バーナーの瞳を爛々と輝かせる。
 モニタを通じて目の当たりにする光輝は、まさに彼の思う世界の終わり――すなわち|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の熱量に比して劣らぬものと見えた。
 天の|みわざ《・・・》。
 あるいは人の|業《カルマ》か。
 果たして|光輝《これ》を生み出したるはいかなる業深き存在なのか。

「業、か」
 フリッツは自嘲のような笑みを浮かべた。
 だが、後悔や慙愧の念は欠片も見受けられない。
「よかろう、先触れの天使よ。我が業、とくと照覧あれ!」

 フリッツの瞳の輝きが増した。
 といっても、実際に発光しているわけではない。
 破滅の熱線の照り返しよりも強い感情――ぎらぎらと鈍く輝く歓喜のエネルギーが、慄くほどの生気となって瞳を燃やしているのである。
 そして沸き立つ歓喜は、物理的な靄となってマシンを覆った。

「"歓喜よ、神々の麗しき霊感よ、天上楽園の乙女よ!"」

 朗々としたバリトン・ポイスを紡ぎ上げ、彼は機体と一体化した。
 心臓の高鳴りは、まさに|歓喜の歌《ODE/AN-DIE-FREUDE》の|銘《な》を冠した動力源と同期し、一方が一方を高め、無限めいた頂点へ向かい駆け上がり続ける。
 エクストラは世界そのものを包みこまんばかりに光輝の翼を広げ――そして、無数の熱線を雨のごとく降り注がせた。

「"今や我々は炎のように酔いしれて、崇高なる霊廟へと踏み入らん!"」

 マシンの顎部に出現した口腔から、世界を震わせる音が発射された。
 音と光。本来物理的に相殺しあうことのないはずの力は、しかし超常の理のもとでは等価となる。
 熱線は見えないドームに弾かれるように捻じ曲げられ、衰滅し――そして、おお、見よ。光を散らし、食い破り、自らもまた世界を破滅させんと高らかに上がる産声を。

 然り。相対する両者は本来同じ破滅の機械。
 ならば純粋なる出力こそが上を行く。今や、バルバロッサの衝撃波は破滅の熱量をも超えたのだ。
 心赴くままに|告《うた》う男、歓喜に震えし戦士は、己がその力で滅びたとしても――おそらくは、何処までも高く高く笑い、滅び去るのだろう。

 だがそれは今日ではない。今ではない。
 破滅を退ける歓喜の歌は、廃墟を粉微塵に砕きながらエクストラを退けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紡刈・縫助
こっちの方から困ってる気配がしたんでぇ!来ました!
うわーーっ強そう!!速い!!眩しい!!コワイ!!
でっ、でもでもあれっしょ、こいつが居ると皆さん困るんでしょ!?
だ~ったら頑張んないとっすね!いちおーカミサマやってるんで!!

ここに来る前に避難してる人たちからお話聞いたっす!真正面から戦うと接近戦するって!
オレ、キャバリアじゃないんすけど!まあやってみましょ!
同じくらいのサイズに|変化《化術》!雲に乗って真正面から正々堂々カチコミカチコミ申す!
うおおおおオレは出来る絶対出来る!風操って後ろの噴射の軌道ずらして神通力で鉄壁にした傘を槍に添えてずらして耳目で見て聞いてタイミング!

爪で!槍ごと切り裂く!



●カミサマの責務
「うおおお! お!! お!!!」
 破裂、破裂、破裂――断続的な火花がストロボライトのようにガラス状に融けた地面を照らす。
 キャバリア同等のサイズに化けた紡刈・縫助は、剣を思わせる短槍の凄まじい連撃を爪で打ち払い、風をスラスター代わりに跳びながら後ろへ下がり続ける。

 だがいかんせん、エクストラの攻撃は疾い。尋常では考えられないほどに。
「強そうって思ったらホントに強い! っていうか疾い! あと眩しいし怖い!!」
 打ち払う、受け流す、弾く……攻め込めない。攻撃に転じる一瞬が存在しない。
 油断すれば赤い長槍の突きが来る。かといって離れるのは最悪手で、光輝の翼から無数の熱線が降り注ぐのだ。
 中途半端な攻撃は、オブリビオンマシンにはありえない再生力で凌がれるのがわかりきっていた。破滅的な攻撃を幾度も受け、なお稼働しているのがその証。

 それでも、凌ぐことは現状できていた。
 そして、|凌げるならば縫助は続ける《・・・・・・・・・・・・》。

「ヤバいヤバいやられちゃう! オレ死ぬかも!!」

 口では臆病に叫びながら、逃げる素振りは一切ない。
 正面切っての近接戦闘が殲滅回路への対抗策。それは実証できている。彼を救いの主と見込んで語った避難民たちの情報通り。
 助けを求めている人々がいる。
 困っている者たちがいる。
 であれば――。

「けどオレ、カミサマなんでぇ!」
 破裂、破裂、破裂――縫助は攻撃を全力で見極める。
 存在しない隙を見出そうとする……否、生み出す。ないならば、作るのだ!
「オレは! 出来る!! 絶対出来る!!!」
 自己催眠と称するのも烏滸がましい、ただの強がり。
 それが、長生きした|だけ《・・》の分不相応な|金狐《カミサマ》に力を与えるのだ。

 風が吹いた。
 音は世界から吹き飛び、生物では耐えられないスピードの世界に二体はいた。
 縫助は傘を手放し、爪をぎらりと光らせる――一閃。分子構造の隙間を見通す一撃。ありえない反撃が、エクストラの脇腹部分をすり抜けながら抉るような傷を与えた。

「……っはぁー!! 怖かったぁ!!!」
 呼吸を思い出してぜいぜいと肩を上下させるその姿は、やはりどこか間抜けだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳥羽・弦介
デバイス(f43671)と連携

破壊の天使ってかおい!ああやってやるよ!!

回点号【操縦】メガスラスター【推力移動】
真正面から突っ込んで接近戦に持ち込み『マージナル・アッパー』
回点号の性能を最も近接するチート機体と同値にして双剣変形フォースサーベルで槍と打ち合い、サイキックシールド【オーラ防御】
デバイスに当らねぇよう熱線の流れ弾も防ぐ

機体性能が一緒なら!後は武装と操縦テク次第だぜチート野郎!!

【第六感】で2槍の矛先を読み、双剣で逸らし、
サイキックシールドで体当たり【シールドバッシュ】
【念動力】の衝撃波をコックピットへ通す!中身人間なら効くがどうだ!?

まぁ本命はこっちだがなァアアアアアアアア!

|機体性能【限界突破】《オーバーロード》デバイスの砲撃の中でウイングブースターを吹かし【早業】エクストラのコックピットへ素早く腕を伸ばしながら【武器改造】爪状に形勢したサイキックシールドを纏った指先で【貫通攻撃】エクストラの装甲をぶち抜いて、コックピットをシールドで覆い強引に毟り取って殲滅回路を回収だ!!


クロガネ・デバイス
鳥羽弦介(f43670)連携

ステルス実行中 敵機足止メヲ要請

ディスポーザブル03【操縦】『レイテント』発動中。
超後方より敵から認識されないようにし鳥羽機が接近戦を仕掛けている戦闘の間、【戦闘演算】鳥羽機と敵機の戦闘状況を収集、流れ弾に注意、
メガスラスター【推力移動】【悪路走破】必要に応じ回避。
同時に、対消滅サイキックエンジンから03へ【エネルギー充填】
両腕のハイペリオンツインランチャーにエネルギーを集中。

いっけ~~~!!!

鳥羽機が敵機と重なり、敵の機動を止めた瞬間を狙い【砲撃】
『レイテント』により放たれた超巨大荷電粒子ビームは鳥羽機を透過、
敵機のみ、ビームの長時間照射で焼き尽くしに掛かります。



●激突
 二つの光が、繰り返し流星のような軌跡を描いてはぶつかり合う。
 角度を変え、無限を思わせる軌道を空に刻む――その様を、戦域の遥か彼方から観測する者がいる。

 |潜伏《ステルス》中のクロガネ・デバイスは、じっと耐えた。
 鳥羽・弦介の駆る回点号は、いまのところエクストラと正面から渡り合えている。
 無限を思わせる再生力は、実のところ無限ではない。
 猟兵たちの戦いが与えたダメージと疲労の蓄積が、確実にオブリビオンマシンを蝕んでいるのである。
(「……」)
 観測するだけでも、一般的な機器ではスピードと発生するエネルギー量の両面の問題で困難を極めるだろう。
 攻撃のための待機となればなおのことだ。|演算装置《クロガネデバイス》をして一切の攻撃を止め、全性能を注いでようやくといったところ。
 ディスポーザブル03は、じっとその時を待つ。必ず来るであろう反撃の一瞬を。
 単にぶつかって競り勝てるなら、彼女の存在は不要だ――|法外《チート》とまで称される破格の性能。たとえ回点号でさえ凌ぐのは困難。

 これまで猟兵が集めてきた情報に加え、エクストラの実際の動きを|彼女《クロガネ》が観測、分析、収集し、そのデータをリアルタイムで弦介へ送る。
 まるで巨大な山を蚤一本で削り、指先ほどの宝石を作るような作業だ。
「この野郎ッ!!」
 回点号は弦介が耐えられる限界ギリギリの速度で旋回し、コクピット狙いの槍を双剣型のフォースサーベルで受け流す。
 敵は物理的にあり得ないスピードで後ろへスラスターを噴射、そしてやはり即座に前方へ突撃。紅槍が繰り出される。
 この|動作《マニューバ》はクロガネの分析で予測できていた。ピンポイントに収束させたサイキックシールドが見えない壁となり、槍の穂先を弾く。

「まだまだ! てめぇがチートなら、こっちもチートだ!」
 同等性能への強引な|強化《アップデート》。それは弦介個人の肉体に、相応の負荷を強いる。
 殺人的なGが内臓を圧迫。意識がブラックアウトしかねない中、気力で保ち、撃ち合う――弾く。突く。斬る!
 性能が同等ならば、あとは武装とパイロット次第だ。フォースサーベルがエクストラの片脚を断ち切る――そして、生える。槍が抉るような螺旋を描いた。回点号はそこにいない。
「そっちだって、|中身《パイロット》は無事じゃねえだろ!!」
 ゴッ――急加速して激突した瞬間、弦介は胴体中腹の一点に念動力を注いだ。
 エクストラは、まるで頭部をもがれた虫の反射のようにビクビクと痙攣した。少なくともその動きを数秒抑え込むことは出来たのだ。

 チ、チ、チ――ディスポーザブル03の対消滅サイキックエンジンが120%のフル充填を告げる。
 莫大なエネルギーが、両腕のハイペリオンツインランチャーに流れ込む――砲口から漏れ出した光が、ステルス迷彩を灼いた!

「いっけ~~~!!!」

 極大の荷電粒子ビームが、戦場を貫いた。
 エクストラは避けられない。サイキックシールドを全面に展開した回点号が体当たりを仕掛けているのだから。
 そして、ビームは回点号を一切傷つけることなく、駆け抜けた。

 莫大なエネルギーによって全身を焼かれ、エクストラは再生力でも追いつかないほどの甚大なダメージを受けた。
「喰らい、やがれッ!!」
 そしてその胸部に、心臓を抉るような爪が突き刺さる。
 布石に布石を重ねた本命の一撃。ついに装甲は貫通され、生死不明のパイロットと殲滅回路を搭載したコクピットブロックを、物理的に剥離する。
 回点号は全速力で離脱しながら、遠方のディスポーザブル03へサムズアップめいたサインを送った。
 二機は最大戦速で〈霊廟〉の圏外へ。

 数秒後、エクストラに残留する莫大なエネルギーが行き場を失い爆発した。
「周りの小国家は、これからどうすんのかね……」
 太陽のような光を振り返り、弦介は呟いた。
 戦乱の中立地帯は、文字通り綺麗さっぱり消え失せた。プラントなど最初から存在しなかったのだろう。
 空白地帯は新たな戦乱の火種となるのか、あるいは消極的な平和が訪れるのか。
 確かなのは、より最悪の未来が訪れる可能性は、猟兵たちの尽力により見事に潰えたということだけである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年07月27日
宿敵 『エクストラ』 を撃破!


挿絵イラスト