5
エクソダスは語り継がれるか、エースと呼ばれた闘神よ

#クロムキャバリア #【Q】 #殲滅回路 #ACE戦記 #ACE戦記外典 #グリプ5

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#クロムキャバリア
🔒
#【Q】
🔒
#殲滅回路
#ACE戦記
#ACE戦記外典
#グリプ5


0




●憂国学徒兵
 その名は現代においてテロ組織の名である。
 小国家『グリプ5』において、幾度か台頭した組織。
 彼らは国家を転覆しようと目論んでいた。当然、彼らが小国家内にて警戒されていないわけがなかったし、排除も行われていた。
 しかし、蜂起によって『グリプ5』という小国家の興り、その真実がさらけ出されていた。
 国父として知られる『フュンフ・エイル』、そして九人の英雄たち。
 その真実は、闘争に塗れたものだった。

 百年前、『サスナー第一帝国』を滅ぼしたのを皮切りに、周辺章国家を瞬く間に制圧。
 抵抗する小国家は滅ぼし、同盟を望む小国家とは友好を結ぶ。
 だが、それは長きに渡る戦禍をクロムキャバリアの一端に蒔いたに過ぎなかった。
 禍根は、百年後も残っている。
 彼らがやったことは、徒に戦場を拡大しただけのことだった。
 大陸を離れ、大陸外の小国家にまで介入を開始したのは、百年経った今でも、『グリプ5』の孤立を強める原因にもなったのだ。

 故にテロ組織『憂国学徒兵』は蜂起したのだ。
 しかし、『殲禍炎剣の代行者』と呼ばれるオブリビオンマシンすら手繰ってなお、彼らは敗北した。
 無論、主導した『憂国学徒兵』の人員たちは国外追放されることになった。
 処刑や拘留をしなかったのは、『グリプ5』に戦争犯罪者を処断する余裕がなかったからだ。
「……それで?」
 女性の声が響いた。

 その声の前に膝をついているのは『憂国学徒兵』の生き残った人員たちだ。
 彼らは皆一様に項垂れ、その表情は昏い。
「……も、もう一度、我らにチャンスを」
「それで?」
 その言葉に彼らの眼の前にいた女性『ノイン』は同じ言葉を繰り返した。
「もう一度、もう一度、あなた方は、そう言って何度失敗したんでしょうね?」
「それは! 妙な傭兵連中が、邪魔を……!」
 その頬を張り倒す『ノイン』は、行動とは裏腹に穏やかな声色で告げる。
「でしょうね。それも想定の内、だと私は言いました。必ず、連中はやってくる、と。なのに、どうしてあなた方は対策を取らなかったのでしょう? 来るとわかっているものに対して対応できないのならば、死ぬしかないのです」
 だが、彼らは生き残っている。
 何故か。
 言うまでもない。
『連中』――つまるところ、猟兵たちの詰めが甘いからだ。
「圧倒的な力を持たぬが故に、人間は智慧を絞り、工夫を凝らし、巨大な存在に打ち勝ってきました。はるか昔、石槍しか持たぬ人間がそれをできたというのに、キャバリアという兵器を以て、これを行えぬあなた方は、一体なんなのでしょうね?」
『ノイン』は優しげな声色とともに『憂国学徒兵』の人員たちを前に膝を折った――。

●脅威
 それは恐るべき暴威であった。
『アーレス』――闘争を司る巨神と伝えられるキャバリア。
 本来であれば、そのような機体がまともに動かせるわけがない。なぜなら、『アーレス』は搭乗者にもまた闘神足り得るを求める性質があったからだ。
 只人では搭乗することすら敵わぬ殲機。
 それが『アーレス』である。

 だがしかし、眼の前には恐るべき重力波を手繰り、テールアンカーを自在に操る巨神の姿があった。
「……『アーレス』か」
 赤い二騎のキャバリア――『熾盛・改』と呼ばれた二人羽織のキャバリアが分離した機体を駆る『パッセンジャー』と名乗る黒髪の青年は翡翠の瞳で小国家『グリプ5』の近郊にて猛威を振るう『アーレス』を認めていた。
「違う、と『エイル』が言っている」
 片割れたる機体の『サツキ・ラーズグリーズ』は、戸惑うようにサポートAIである『エイル』の言葉を聞き、確信した。

 己が駆る『熾盛・改』の演算装置であるところの『ファフニール』には膨大な戦闘の記録が残されている。
 その中に『アーレス』との交戦記録も残されている。
 だが、違う、と『エイル』が言っているのだ。
 あれは、そうではない、と。
「なら、何だと言う」
「わからない。けれど、あれは……」
「偽りの平和を破壊する! ううおおおおおおッ!!」
『アーレス』のパイロットは咆哮し、さらに力を振るう。
 だが、その猛威は長く続かなかった。

「なんだ、一体どうしたっていうんだ!?」
「ああああっ!!!」
 一際鮮烈な咆哮がほとばしった瞬間、『アーレス』の駆体が力を喪ったように漲る力を失わせ、だらりと腕部を力なく垂れ下がらせた。
「止まった……?」
「いや、違う」
『パッセンジャー』の言葉通り『アーレス』は追い込んでいた『熾盛・改』への追撃をやめ、踵を返して一瞬で離脱していったのだ。
 何故か。
 このまま戦えば、確実に『熾盛・改』を撃破できていたはずだ。
 なのに、それをせずに離脱したこと。
 それが解せないのだ。
 だが、脅威は去ったのだ。束の間であったとしても。
「また、来るのか?」
「だろうな。来ない理由になっていない」
「……次は、確実に負ける……」
 対策を立てなければならない。だが、一体どうやって――?

●|殲滅回路《ホーリー・ユニット》
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア世界の小国家『グリプ5』の近郊に現れたキャバリアに『既存のキャバリアのコックピットに取り付けると性能が飛躍的に向上する』という触れ込みの謎のユニットが組み込まれているというのです」
 それだけであったのならば、猟兵が出張る理由にはなっていないように思えた。
 だが、ナイアルテは告げる。
「いえ、その謎のユニット……|『殲滅回路』《ホーリー・ユニット》は、恐るべき機体性能の向上が確認されているのです。同時に、組み込まれたキャバリアはオブリビオンマシン化しているのです!」

 それが理由か、と猟兵たちは頷く。
 だが、その恐るべき機体性能、とは?
「本来ならば扱えるはずのない恐るべき性能の機体を、扱えるようになる、という機体性能の……向上、でしょうか、これは?」
 どういうことだ? と猟兵たちは首を傾げる。
「元となったキャバリアの性能が驚異的過ぎる故に扱えないが、扱えるようになるチート、と言えば良いのでしょうか? デチューンではなく、扱いやすさだけを底上げした、ような……と言えばよろしいのでしょうか?」

 よくわからないことになっているな、と猟兵たちは思っただろう。
 だが、この『殲滅回路』を流通させた黒幕の正体がわからぬ以上、このチート級オブリビオンマシンを放置することはできない。
 現場に急行し、オブリビオンマシンを破壊し、できるのならば組み込まれていた『殲滅回路』を回収しなければならないだろう。
「はい、そのとおりです。此度の戦い……恐らく最大の脅威となるはずです。どうかお気をつけ下さい」
 これまでの比ではない、とナイアルテは転移する猟兵達の背中を心配そうに見送ることしかできなかった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリア、小国家『グリプ5』近郊に現れた謎のオブリビオンマシン『アーレス』。
 チート級性能を持ち、『殲滅回路』が組み込まれたことによってオブリビオンマシン化しています。
 本来では只人には扱えない機体ですが、『殲滅回路』によって扱いやすくなったという性質を持っています。
 これをなんとか打倒し、『殲滅回路』の回収を目指すシナリオになっております。

 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。

●第一章
 日常です。
 オブリビオンマシン『アーレス』は『殲滅回路』によって扱いやすくなっていますが、それ以外にもチート級能力を持ち得ているようです。
 ほぼ無敵といえる超強化ですが、本当に完全無敵ではありません。
 この機体と交戦した経験のあるキャバリアのパイロットを復興が進む『グリプ5』の市街地の中から探し出し、戦いの突破口を得ましょう。

●第二章
 冒険です。
 復興が進む市街地に突如として現れた『アーレス』。
『アーレス』は如何なる手段か、市街地のあちこちに時限式の爆弾を転移させています。
 これを先に解除か排除しなければ、人々に被害が出るばかりか、復興がまた遅れることになるでしょう。
 転移された時限式の爆弾を探し出し、これを解除、排除しましょう。

●第三章
 ボス戦です。
『殲滅回路』によってチート級オブリビオンマシンとなった『アーレス』との対決になります。
 ほとんど無敵に近い戦闘能力を持っていますが、第一章で得たこの機体がもともと持つ弱点や、クセや、隙、そうしたものを利用できれば、ダメージを蓄積させて撃破に持ち込むことができるはずです。

 それでは、現れた謎の闘神『アーレス』。その脅威を退けるために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
273




第1章 日常 『市街地修復』

POW   :    大量の資材を運び込む

SPD   :    現地の人と協力し、大掛かりな作業を行う

WIZ   :    今後の戦争にも備えて、防備を固める

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 小国家『グリプ5』の市街地は、漸く復興が進んでいるように思えた。 
 だがしかし、戦乱の傷はまだまだ癒えてはいない。
 そんな中、近郊とは言え『アーレス』の出現の報は人々の心を不安にさせるものであったことだろう。
 迎撃に出た『熾盛・改』ですら撃退できず、『アーレス』が何故か離脱したことでなんとか事なきを得たのだ。
 そんな驚異的な性能のキャバリアがいつまた襲ってくるかも知れないという恐怖は、人々の作業効率を著しく低下させる要因になっていただろう。
「でも、『フュンフ』兄たちでも、撃退できなかったなんて……」
「彼らとて万能でもなければ、全能でもないのです。頼り過ぎはいけませんよ」
『ズィーベン・ラーズグリーズ』の言葉に『ツヴァイ・ラーズグリーズ』はたしなめる。
 とは言え、『アーレス』と呼ばれるキャバリアが再度来襲することがあれば、これを如何にかする目処は立っていない。
 現状、『グリプ5』にて動かせるキャバリア戦力は多くない。
 この小国家最高戦力である『熾盛・改』ですら敵わない相手ともなれば殊更に問題が浮かび上がらされるような思いであった。
「せめて、『クリノ・クロア』と『ツェーン』が『フュンフ』を連れて『フルーⅦ』から戻ってきてくれていれば……」
「それこそないものねだりだよ」
『サツキ・ラーズグリーズ』は、そう言って『ズィーベン・ラーズグリーズ』をたしなめる。
 そう、無いものは仕方ない。
 けれど、それで足を止めてもいられないのが運命だ。
 刺して待つこともできない。
 滅びが運命だというのなら。
「それでも抗わないと――」
村崎・ゆかり
『グリプ5』も復興道半ばか。色々あったものね。

さあ、黒鴉たち。復興現場を回って、『サツキ・ラーズグリーズ』を見つけ出してちょうだい。彼の居場所が分かる『ラーズグリーズ』の人でもいいわ。

『サツキ』が見つかったら、尋ねましょう。『アーレス』と似て非なるという機体の在り様を。
攻撃力、機動力、防御力。その何が飛び抜けているのか。
そして動作にどういう癖が見られるのか。些細なことでいいわ、あたしたちはそこから切り崩す。

どこから来てどこへ帰ったのかは知らないけど、それは何か弱点を抱えてるんじゃないかしら。例えば稼働時間とか性能超過とか。
次は克服してくるかもしれないけど、こっちも相手を知っていれば何とかなる。



「『グリプ5』も復興半ばか。色々あったものね」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、その色々というもの大半がオブリビオンマシンによる事件であることを知っている。
 猟兵ではない人々にとってオブリビオンマシンとキャバリアの区別はつかない。
 気がつけばいつのまにかすり替わり、搭乗者の精神を歪めさせる。
 歪められた精神は、破滅的な思考に陥り、周囲を争乱に巻き込んでいく。
 行き着く先は破滅だ。
 だからこそ、猟兵はオブリビオンマシンの蠢動に駆けつけ事件を解決するのだ。

 今回もそうだ。
「さあ、黒烏たち。『サツキ・ラーズグリーズ』を見つけ出してちょうだい」
 黒鴉召喚(コクアショウカン)によって召喚された鳥型の式神。
 空を飛ぶ式神は空から『サツキ・ラーズグリーズ』の姿を探す。
 もしくは、彼の居場所を知っている者……『サツキ・ラーズグリーズ』の親類縁者でもいいとゆかりは思っていた。
 復興に進む市街地。
 それを眼下に収めながら、ゆかりは小国家『グリプ5』には随分と余裕がないことを知る。
 キャバリア戦力だって十全ではない。
 いくつかの機体が見えるが、どれもが十分な整備や補給が受けられているとは言い難い状況のようだった。

「……いた」
 ゆかりは亜麻色の髪が風に揺れる姿を認めて市街地を走る。
「『サツキ・ラーズグリーズ』!」
「……あなたは」
「久しぶり、というご挨拶は後にさせてもらうわね」
「ええ、恐らく来てくださると思っていました」
『サツキ・ラーズグリーズ』も感じていたのだろう。直近の襲撃。そのキャバリアの異質性を。
 そして、その異質性が猟兵たちを呼び寄せることも。

「あなたが交戦したっていう『アーレス』、似て非なる機体の在り様を感じたようだけれど、どうして?」
 ゆかりはグリモア猟兵の予知によっておおよその事態を把握している。
『殲滅回路』。
 それを組み込まれたキャバリアは尋常ならざる性能を持つのだという。
 攻撃力、機動力、防御力。
 そのいずれかが飛び抜けている、というのならば、そこから対策が立てられるかもしれないと彼女は思ったのだ。
「癖があった? どんな些細なことでもいいの。あたしたちは、そこから切り崩すから」
「いえ、全ての性能において規格外というほかない機体でした。ただ……」
「ただ?」
「どうして退いたのか、と思って」
 そう、彼らはその規格外の存在と渡り合って無事でいるのだ。

 それは彼らの技量が優れているから、で片付けられる要因であったが『サツキ・ラーズグリーズ』はそうではないと感じているようだった。
「どこから来てどう帰ったのかはわからないけれど、弱点を抱えているのではないかしら」
「こちらにとどめはさせたはずです。でも、離脱した……」
「稼働時間とか、性能超過、とか?」
「そうかもしれません」
「次は克服してくるかもしれないってなったら、厄介ね。けど、こっちも相手を知っていればなんとかなる」
 ゆかりは、そう告げて力強く頷くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
『グリプ5』……『サツキ』たちもここにいるのね。
本来なら、オブリビオンマシンについて話を聞くべきなのでしょうけれど

つい、『ヌル・ラーズグリーズ』はどうしているのかしら、と気になってしまうわ
彼女は、きっと私の顔も知らないでしょう
それでも……もし彼女に危険が迫っているのなら、助けになりたいと思う
そんな気持ちが、私の中に確かにある

この想いに『セラフィム・クレセント』が関係しているとは思わないわ
『クレセント』は新しく生まれ変わった機体
仮に何らかの影響があったとしても、それはきっと些細なもの

ただ――私が、彼女のことをもっと知りたいと思っているの



 猟兵としての役割を為すのなら、本来は『サツキ・ラーズグリーズ』に会いに行くべきだとわかっている。
 彼らが対峙したオブリビオンマシン。
『殲滅回路』なるユニットを取り付けられたチート級の性能を発揮する存在。
 攻略の切欠を掴まねばならないのだ。
 けれど、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は足早に彼の母親である『ヌル・ラーズグリーズ』の元を尋ねていた。

 どうしても気になっていた。
 彼女は己の顔を知らない。
 この小国家『グリプ5』にいるのならば、彼女の危機だ。
 助けになりたい。 
 自然にそう思っていたのだ。
 何故、と問われたら彼女はわからない。わからないが、この思いが彼女の乗騎である『セラフィム・クレセント』に関係し、起因しているものであろうことは、思いもしなかった。

 あの機体は再誕した機体。
 生まれ変わったと言ってもいい。
 仮に何らかの影響がアッたとしても、それはきっと些細なものなのだと彼女は思っている。
「防犯上の都合、面会時間は限られています」
 そう告げたのは『ツヴァイ・ラーズグリーズ』だった。
 本来ならば、面会すら許されない。
『ヌル・ラーズグリーズ』は、テロ組織『憂国学徒兵』によって真実をさらけ出された存在だ。
 嘗て在りし平和も偽りであった、と。
 そして、彼女自身、オブリビオンマシンに乗って小国家『フルーⅦ』との平和条約締結の場を壊した者でもある。
 未だ処断されていないのは、小国家の元首として『ツヴァイ・ラーズグリーズ』がいるからだ。
 血縁なくとも家族であると彼女は思っているのだろう。
 だから、母である『ヌル・ラーズグリーズ』を切り捨てられず、隔離することで人々の目から隠している。
 それが情であることは言うまでもない。

「それで、あなたは何をお聞きになりたいのです」
 少し、やつれただろうか、と静漓は思う。
 無理もない。
「……私は、あなたのことをもっと知りたいと思っているの」
「知ってどうするのです。私は大罪人。あなたのように何かをもはやできることはない。無駄に生きながらえてしまった。死時を見失ったと言ってもいいでしょう」
 それは母の瞳であった。
 本来ならば、彼女は息子たち……『ラーズグリーズ』の子供たちのために死ぬべきだったのだろう。
 他ならぬ彼女自身がそう思っている。
 だからこそ、静漓は静かない頭を振った。
「いいえ」
 死ぬべきではない。

 子と親の別れは必然だ。必定でもある。
 自然に訪れるべきものだ。 
 だが、争乱の中では違うと思う。
「別れはいつだって突然だけれど、そろえでも幸せであったと思うことは、別れの言葉を言えること。あなたは生きている。なら、生きて、生きて、生きて……その最期に言葉を送るべきだわ」
 静漓は告げる。
 言葉で何かが変わるかはわからない。
 けれど、そう伝えなければと思ったのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「『無敵』...ね。教えてあげるわ。『無敵』っていう称号は、いつか破られる運命にあるってことを…ね。」
あと最強と絶対と完璧。

【行動】
さて、捜索ね。
復興の支援を壁ノ工房の仲間と一緒に行いつつ、ボクは先の戦闘に参加してたパイロットを探し出して話を聞きに行きますか。

あ、あと破壊された施設やキャバリアに『ハッキング』して『情報収集』当時の映像や記録などデータか何か残ってないかも調べておくか。

さて、集めた情報と現場検証から『瞬間思考力』で素早く情報を精査。
うーん。ひょっとして...。



『殲滅回路』を取り付けられたキャバリアは、チート級の性能を持ち得るのだという。
 眉唾ものだ、とユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は思った。
「『無敵』……ね」
 それは強大な力の証明でもあったことだろう。
 けれど、ユj-リーは思う。
「教えてあげるわ。『無敵』っていう称号は、いつか破られる運命にあるってことを……ね。後ついでに最強と絶対と完璧も」
 彼女にとって、それは言葉でしかない。
 絶対はなく、最強は崩れ去るものであるし、完璧は綻ぶものである。
 だからこそ、その一助となるべく情報を探して彼女は小国家『グリプ5』の復興の兆しある市街地にやってきていた。

 壁ノ工房出張サービス(ヘキノコウボウシュッチョウサービス)のトレーラーが市街地に入り込み、復興支援に努める名目であった。
 もちろん、名目なのはユーリーだけだ。
 彼女以外の整備クルーたちは皆、市街地の復興に駆け出している。
 そんな中、ユーリーは件のオブリビオンマシン『アーレス』と直接対峙したパイロットを探す。
 とは言え、この復興が続く市街地を当てもなく探したとて、見つかるものではないだろう。
「ま、そうだよね。けれど……あれって、ついこの間の戦闘で破損したキャバリア?」
 ユーリーは、市街地に抉られるようにして破壊されたキャバリアの一機を見つけ尋ねた。
「ああ、そうだよ。あの黒いキャバリアにやられたんだ」
「へぇ、パイロットは?」
 頭を振る市民にユーリーは、そっか、と頷く。

 破壊されたキャバリアを見る。
 コクピット付近を一撃で抉られるように破壊されている。
 これではパイロットは助かってはいないだろう。軽く黙祷してユーリーは破壊された機体によじ登る。
「……データは残っているかな」
 ユーリーは無事だった頭部ユニットのハッチを開く。
 接続されたコネクタから情報を集める。
 センサーが頭部に集中しているのならば、カメラの情報も残っているはずだ。
「あった、これだ」
 ユーリーは引き出した映像データを確認する。

「一瞬だね。攻撃が見えない。それくらい速い、ってことか……キャバリアのコクピットを一撃で抜くような攻撃ができる……それも強烈なのを乱発できるってのがまた……でも、それだけの出力なんだから、エネルギーインゴットの消費も激しいはず」
 足りなくなるはずだ。 
 では、足りないものはどうするのか。
「……離脱したって話だったよね。長期戦になれば、確実に此方が負けるっていう状況だったにもかかわらず。なのに、離脱した……ってことは、ひょっとして」
 エネルギーの消費が激しく、戦闘継続能力が低い、と見るべきだろうか。
 だが、それだけだろうか?
 ユーリーは考える。
 問題は機体の燃費か?
 いや、違うように思える。
「パイロットに問題が、ある――?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
キャバリアの整備場に、熾盛・改の元へ行きます。苛烈な戦いの後ともなれば機体も修理途中でありましょう。対アーレスにおける防衛の要ともなれば最優先の筈。
見つけられなくともそういう場であればラーズグリーズの誰かと渡りをつけてくださる方も見つかるでしょう。

久方ぶりでありますね。熾盛・改。
早速で申し訳ございませんが、『絆げ』

首尾よくいけば『機械交絆』で熾盛・改と自身を繋げ、
直接、|彼《エイル》から交戦記録や本物のアーレスとの比較情報を聞き出します。『アーレス』とはどの様な戦いを、敵が退くまでどの様にして持ちこたえたのですか?
敵パイロットの様子は?操縦の技量は?些細なものでも全部、教えて頂きます。



 赤い二人羽織のキャバリア『熾盛・改』。
 その整備をする建造物の前に朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は向かっていた。
 格納庫があるはずだと思っていたし、戦いの後ともなれば、機体の修復や整備もあるだろう。
 オブリビオンマシン『アーレス』に対する防衛の要となるのであれば、最優先にて行われているはずだと思ったのだ。
 だが、小枝子は赤い二人羽織のキャバリアが格納庫ではなく、市街地に立っているのを認め、目を見開いた。
「何故、格納庫に収容していないのです?」
 その言葉に黒い髪の青年が翡翠の瞳を向ける。

「必要がないからだ」
「必要ない? 何故でありますか。戦闘の後は、どこに異常が出ているかわからないであります」
 小枝子の言う通りだった。
 だが、黒髪の青年は女人のような顔を向け、頭を振った。
「必要ない。あの機体は整備を必要としない……正確に言うのならば、人間の、整備を行う者の手を煩わせない機体だ」
 そんなわけがない。
 なのに必要ないとは、と小枝子は釈然としなかった。

「わからない、というのならば実際に見てみればわかるはずだ」
 その言葉に小枝子は頷く。
「では、早速……『絆げ』」
 小枝子の瞳がユーベルコードにきらめく。
 機械交絆(メカニカルボンド)。
 制御されていない機体に対して自身の精神を接続し、その内部をつぶさに知るのだ。
「破壊の権化か」
 声が聞こえる。
「『エイル』でありますな。件のオブリビオンマシン……『アーレス』の情報を」
 小枝子は知るだろう。

『熾盛・改』の装甲は、明らかに技術水準がこのクロムキャバリアのものではない。
 まるで『生きて』いるような有機的な性質を持った無機物のようだった。
 なだれ込む情報に小枝子の鼻腔に血の匂いが香る。
「……ッ」
「構わないが、情報のオーバーフローにだけは気をつけることだね」
 その言葉に小枝子は頷く。
 彼らは、あの『アーレス』は本物ではないと言った。
 であれば、本物との比較情報が要る。
 嘗て交戦したという『アーレス』の力は尋常ではなかった。
 それは機体の動きだけではない、性能もまた異なるものだった。

「……違う」
「そうだろう。なにせ、パイロットが違う。凡百のパイロットでは、そもそもあの『アーレス』が贋作であったとて、動かせるものではない。なのに動かせている。そこに何の代償がないわけがない」
「であれば」
 小枝子は理解する。
 あの『アーレス』は明らかにパイロットとしての技量が要求水準に到達していない。それを埋めるために生命を削っている。
 であれば、だ。
 前回の戦闘で急に退いたのは。
「パイロットに限界が来たからだろうね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
うーん、聞いた事ねーですね。
でも確かにちょっと欲しい気も……うるせーですよ杓原ァ(f28476)!
確かにボクは才能ないって言われたですけど、てめーだってクロムキャバリア的にはまともな方法で操縦してねーんですからね!
まぁとにかく探すかね、戦闘したヤツ。
杓原の地味に嫌な術で特徴とか方向を聞いたら、ボクが視力全開で低空を飛んで探してやるとするです。
名前が分かってたらもっと良いですね。
適当にあたりを付けたら大声で名前を呼んでやりゃあちょっと反応したりはするでしょうから。
ボクも何か聞いとくですかね。
キャバリアの戦い方、武器とか得意な距離とか。
後は空を飛ぶかどうか!
ここは重要ですよ、ボク的には!


杓原・潤
ふーん、そんなパーツあるんだぁ。
ピヨちゃん(f42991)知ってた?
組み込んだらオブリビオンマシンになる、かぁ……もしかしてうちのテルビューチェにはノーリスクじゃない?
まぁうちの子はじゅーぶん強いし良い子だから、そんなのいらないけどね。
ピヨちゃんはキャバリアの操縦下手っぴだから持っといても良いかもね!
それはさておき何か知ってる人探さなきゃね。
とゆー事で、いつも通りその辺の人にお願いして教えてもらっちゃおうかな!
見つけたらやっぱりお願いしよう。
ねぇ、どんな感じだった?
うるうは特に敵が撤退した時の雰囲気とかが知りたいな。
焦ってたとか疲れてたとか……同じパイロットなら分かるんじゃない?相手の気持ち!



『殲滅回路』。
 それはキャバリアの性能を一気に引き上げるチートの如きパーツである。
 クロムキャバリアの小国家の情勢を一気に変えうるものであることは言うまでもない。他者よりも性能の良いキャバリアを手に入れる事ができたのならば、それこそ覇権を狙うこともができるからだ。
 戦乱渦巻く世界において、それは劇薬だった。
「ふーん、そんなパーツがあるんだぁ。ピヨちゃん知ってた?」
「うーん、聞いたことねーですね。でも確かにそんなにお手軽に性能が上がるんなら、ちょっと欲しい気も……って、ピヨちゃん言うなですよ、杓原ァ!」
 杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)とファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、そんな異常な性能のパーツを搭載したオブリビオンマシンが到来するという小国家『グリプ5』にやってきていた。

「それって組み込んだらオブリビオンマシンになるんだよねぇ? なら、うちの『テルビューチェ』はノーリスクなんじゃない?」
 元よりオブリビオンマシンである。
 しかし、オブリビオンマシンの狂気を猟兵が御せているだけであるので、もしも、『殲滅回路』を組み込んだのならば、今まで異常の狂気が潤を襲うかもしれない。
 そうなれば、御することができなくなってしまう可能性は恐らくあるだろう。
 そうなった時、彼女の狂気を止めうる者がいるかと問われたのならば……難しい話だろう。
「まぁうちの子はじゅーぶん強いし良い子だから、そんなのいらないけどね」
 潤は胸を張る。
 そういうのが必要なのは、と視線を向けたのはファルコにだった。
「ピヨちゃんはキャバリアの操縦下手っぴだから持っていても良いかもね!」
「うるせーですよ! 確かにボクには才能ないって言われたですけど、てめーだって、クロムキャバリア的にはまともな方法で操縦してねーんですからね!」
「でも『テルビューチェ』、良い子だもん。って、それはさとき、何か知ってる人を探さなきゃ!」
「わかってるってんですよ! ったく」
 ファルコは低空で飛びながら、市街地の復興を行っている作業員たちに向かって声をかける。
「この中に、キャバリアで直近に戦闘したことあるやつ、いやがりますかー!!」
 その声に面を上げた少年がいた。

「杓原ァ! いたでですよ!」
「はいはい、無駄に声がおっきんだから」
「なんだとこのやろー! おかげで見つかったんじゃないですかー!」
「はいはい、ねぇ、おにーさん」
 潤は、ファルコがガミガミいうのを背で聞きながら市街地の復興作業を行っていた作業着の少年に声を掛ける。

「え、俺?」
 彼は意外そうな顔をしていた。
『ゼクス・ラーズグリーズ』はキャバリアのパイロットであるが、復興の作業も手伝っているようだった。
 潤に声をかけられた彼は首を傾げる。
「何? 今、作業中で……」
「ねぇ、おにーさんもキャバリアに乗ってるんでしょ? あのつよーいっていうキャバリア、どんな感じだった?」
「空を飛んでましたか!」
「ピヨちゃん、それ重要?」
「ボク的には重要ですよ! それは!」
「いや、空は飛ばなかったけど……なんだかよくわからない移動方法を持っているみたいだったよ。それに……」
 それに? と潤はずいと『ゼクス・ラーズグリーズ』に近づく。

「焦ってた?」
「いや、パイロットは正気じゃないみたいだった。必死、というより疲弊しているような……」
「なんでだろ? 操縦がしんどかったのかな?」
「それはあるかもしれない。パイロットは結局体力勝負なところもあるから。けれど、あれだっけの機体なんだからとしても異常だと思う」
「ふーん? じゃあやっぱり長期戦を嫌って逃げちゃったのか?」
「それはあるかもしれない」
「戦闘方法はどんな感じだったですか?」
「見えない衝撃みたいなのを放つ……テールアンカーのような武装もあったけど……一番怖いのは、武装に頼らずとも攻撃力が高いってことだよ」
 なるほど、とファルコと潤は頷く。
 ある程度の情報を得られたことは喜ばしいことだ。
 けれど、だからといって打開策を得られたかと言えば、そうではない。
 ここからは自分たちの工夫次第だと彼女たちは頷くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……とりあえずは『フローリア』に復興現場の手伝いをさせつつ、
【ARC-05 フェルム・アニマリア】を出してサツキ・ラーズグリーズか、
もしくは「アーレス」との交戦経験、または機体情報を知っている相手を探すわ

設計時に想定もしていないと思われる要素を追加して本来のバランスを変えている以上、必ず何処かに歪みが出ているはずよ。
例えば機体の出力や反応性をいじれば、継戦時間、反応速度、火器管制などにも影響が出る。
……操縦者の方に何か干渉してる可能性もあるけど、結局そっちに負荷がかかる訳だから同じことよ

……推測だけど、機体かパイロット、どちらかに「無理をさせてる」と思う。どういう種類の「無理」かはともかく。



 工具を担いだ小型の機械人形が復興を目指す市街地にトタトタと走る。
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)が派遣した『フローリア』である。
 作業を行わせながら、アルカはオブリビオンマシン『アーレス』と接敵した『熾盛・改』の搭乗者である『サツキ・ラーズグリーズ』を探していた。
 彼が対峙した『アーレス』の情報を得なければならないと思っていたからだ。
 ARC-05 フェルム・アニマリア(フェルム・アニマリア)によって、市街地のどこかにいるであろう彼を探し出す。
 小動物に偽装された自律機械は、すぐに『サツキ・ラーズグリーズ』の姿を発見していた。

 アルカは指定された座標に走り、『サツキ・ラーズグリーズ』の前に立っていた。
「聞かせて、あなたが対峙した『アーレス』について」
「もちろん。僕らだけでは、あの機体には勝てない。そもそも……」
「そもそも?」
 アルカは、訝しんだ。
 彼が駆る二人羽織のキャバリア『熾盛・改』の性能は知っている。
 彼自身の技量もだ。
 それを持ってして次は、と思わせたオブリビオンマシンの性能のことを言っているのだろうか?
「そもそも、あれは只人では操縦できない性能を持っている。そもそも起動もできないはずなんだ。なのに、できている」
「それがおかしい、と?」
「そうだ」

 チート級の性能を元より持ち得るオブリビオンマシン『アーレス』。
 その代償に只人では起動させることもできない無用の長物。
 贋作と言えど、それは変わらない。
 であれば、だ。
「『殲滅回路』を組み込んだことで……只人のパイロットでも操縦できるようにした、と考えるのが妥当だと、いうこと?」
 機体のバランスは崩れていない。
 性能も十全。
 なのに、パイロットを選ばない。
 アルカはキャバリアという兵器が思った以上に繊細な兵器であることを知っている。

 確かにキャバリアの汎用性は高い。
 オーバーフレームとアンダーフレーム、この二つによって様々局面にも対応できるし、即応性もある。
 けれど、機体の出力や反応性をいじれば、様々な要因に影響を与えるものだ。
 であれば、だ。

「機体かパイロット、どちらかに『無理をさせてる』と思う」
「きっとそうだろう。機体は……パワーダウンしているようには思えなかった」
「であれば、やはりパイロット側に負担を強いているのでしょうね」
 どんな種類の『無理』かはわからない。
 けれど、確実に戦うことができないほどの『無理』であることは言うまでもない。
 その限界値を見極めることができれば、勝機を見出すことができるかもしれない。アルカは『サツキ・ラーズグリーズ』との対話でそう確信するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

血と硝煙の匂い……これは、どシリアス確定演出!
し・か・し! 勇者頭のいい子。勇者は学ぶのです。

いくぞシリアス――練乳の貯蔵は充分だ!

|ステラさんの雄叫び《シリアスブレイカー》がなければ開幕五体投地もあり得ましたが、
最初の一吸いができればこっちのものですよ!

でもキャバリア対策ですか。
可愛いだけの一音楽家にはなかなかヘビーですね。

わたしには演奏で応援することしか……って、魂が抜けちゃったら困りますね。
そこまでの感動を与えてしまうわたしの演奏も、時には害になってしまうんですね。

え?ご飯?
なるほど。勇者と並ぶわたしの特技、お料理で応援ですね!

みなさまの英気を養うために、ヌン活しましょうー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!
叫び比2倍でお届けしますっ(はぁと)
サツキ様、パッセンジャー様おひさしゅうございます!
ラーズグリーズの方々もお元気そうで何より!
ルクス様、演奏ステイ
確かに一時的に恐怖からは脱却できますが!
魂が脱却しかねないので!
ご飯にしましょうご飯

さて
ここは|エイル《ヴィー》様にお話聞いた方が良さそうですかね
ファフニール
ケルーベイムも一度は触れた事があります
あのアーレスが過去とどう違うのかその差は重要であるはず
其処から作戦を練りましょう
しかしセラフィムにケルビム
熾盛・改にケルーベイムを随伴させれば?
いえ、私の我が強すぎてダメですかね



 血と硝煙の匂い。
 それはクロムキャバリアにおいては争乱の香りと同義であった。
 小国家同士の争い。 
 絶えぬ争いは泥沼の様相であり、その汚泥から少しでも早く抜け出すためにはキャバリアの開発は急務である。
 他者より優れたキャバリアを持ち得る事ができたのならば、泥沼の戦場を支配することができる。
 そうなれば、覇権を握ることも難しくない。
 それ故にキャバリアの性能向上は至上命題でもあったのだ。
「……これは、どシリアス確定演出! し・か・し! 勇者頭いい子できる子。勇者は学ぶのです」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、そんな空気の中、一人奮戦する。

「いくぞシリアス――練乳の貯蔵は十分だ!」 
 通販で買い占めたからね。 
 たくさんあるのである。
 シリアスアレルギーって大変なんだなぁ、と他人事に誰もが思っただろう。
 しかしだ。
 最初の一吸いができなければ、意味がないのではないだろうか。
「だから、学んだのです!」
 誰に言っているのかはわからないが、きっと世界に言ったのだ。
「|『エイル』様《主人様》の!! 香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!!」
 そんな世界のツッコミを受ける前にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫び迸る。
「ナイスインターセプトです、ステラさん! 見ましたか、世界これが|ステラさんの雄叫び《シリアスブレイカー》ですよ!」
 これがなければ、開幕五体投地であった。
 それはそれでどうなんだと思わないでもない。
「叫び比二倍でお届けしますっ」
 はぁと、ではない。
 ルクスのシリアスアレルギーキャンセラーとなったステラは、しゅばっと『サツキ・ラーズグリーズ』と『パッセンジャー』の元に現れ、カーテシーをキメていた。

「おひさしゅうございます!『ラーズグリーズ』の皆様もお元気そうで何より!」
「最初の一吸いができればこっちのものですよ!」
「……それで」
『パッセンジャー』は二人の様子に特にどうじていなかった。
 うーん、この鉄面皮。
 まるで表情が変わっていないのが口惜しい。
「でも、キャバリア対策って何すれば員でしょうか。かわいいだけの一演奏家にはなかなかヘビーですね」
「そうなんです。あのキャバリア……普通じゃあなかった」
『サツキ・ラーズグリーズ』はルクスの言葉をスルーしていた。
 ここで一々疑問を呈していたら、話が進まないことを学習していたとも言える。

「わたしには演奏で応援することしか……」
「ルクス様、演奏ステイ。確かに一時的には恐怖からは脱却できますが! 魂が脱却しかねないので!」
「確かに困りますね。そこまでの感動を与えてsまうわたしの演奏も、時には害になってしまうんですね」
「そうです、そのとおりです。まずはご飯にしましょうご飯」
「え? ご飯? なるほど。勇者と並ぶわたしの特技、お料理で応援ですね」 
 ルクスは勝手に納得していた。
 そうかなぁ、と『サツキ・ラーズグリーズ』は言葉に出そうとして慌ててステラに口を噤まされる。
「もが」
「『サツキ・ラーズグリーズ』様、ここはこらえてくださいませ!」
「みなさまの英気を養うために、ヌン活しましょうー!」 
 ヌン活。
 アフタヌーンティー活動。
 どうして、そこで略したのか。ヌンチャク活動かと思った。
 大暴れって意味では間違ってなさそうなのが質悪い。

「さて、|『エイル』《ヴィー》様にお話を伺うことは可能でしょうか」
「機体にいる。何か気になることが?」
「ええ、しばしお待ちを」
「みなさーん、こっちですよー! 美味しい紅茶を入れてありまーす! スコーンもありますよー!」
 ルクスの声が響く中、ステラは『熾盛・改』のコクピットハッチを開く。
 そこにはモニターディスプレイに表示された『V』の文字があった。

「お久しぶりです。お尋ねしたいことがいくつか」
「構わないよ。『アーレス』のことだろう?」
「ええ、あの『アーレス』が過去とどう違うのか、その差異は重要です」
「あれのオリジナルと対峙したことがある。今回現れたあれは、贋作だ。だが、贋作と言えど、オリジナルとの性能差が顕著、というわけではない。問題なのは、搭乗者だ」
「つまり?」
 ステラは尋ねる。
「機体は贋作でも、本来の性能としてパイロットを選ぶんだ。誰でも乗れるわけではない。けれど、あれは『誰でも乗せていた』。選んでいない」
「……つまり、パイロットは」
「ああ、機体を動かす度に消耗していく」
「……なるほど。しかし、『セラフィム』に『ケルビム』。『熾盛・改』に『ケルーベイム』を随伴させれば……」
「『奉仕者』の意味を知っているかい?」
「私の我が強いとでも?」
 自覚あるだろう、と『V』と表記されたモニターが僅かに揺らいだのは、笑ったからかもしれなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
【理ジェ】
およびとあらば参じましょう!
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんな事ないもん!!
えっ、泥棒ですか?ちょっとクノイチ倫理的にNG……
本職じゃないですよ!?
じゃあシリカさんがこっそり忍び込んでぎにゃぁぁぁぁぁ!?
何故!?断ればいいだけなのにひっかくの何故!?
とはいえ、情報が必要なのは事実
こういうのって、街の人が見かけた光景にヒントがあったりなかったりしないでしょうか
私ちょっと分身して聞き込みいってきます
ついでに街の中にキャバリアの破片とか落ちてないか調べてきましょう
理緒さんがりおりおしそうですし!!
ファントムシリカとシリカさんは置いていきますのでチューンとしちゃってください!


菫宮・理緒
【理ジェ】

なんかまたあやしげなモノがでてきたねー。
こういう怪しいモノ……とりあえず欲しい!バラしたい!中見たい!

ねー、サージェさん、なんとか盗ってこれない?
クノイチなんだから、こういうの本職だよね?

ほら、口上キャンセルしないであげたんだから、なんとかしてよ。
はりあっぷ、ごーごー!

え?さすがに無理?
もーしかたないなー。それじゃやっぱり直接捕獲するしかないか。

さてそうなると、いろいろパワーアップしないとだね。

資材は【ネルトリンゲン】の使えばいいとして、問題は時間か。
パイロットに合わせた効率化がいいかなぁ。

『希』ちゃん、みんなの生体パターンから居場所捕まえて。
話聞きながらチューンするから!



『殲滅回路』。
 それはキャバリアの性能を向上させるユニットである。
 組み込まれたキャバリアは既存の性能を大きく上回る性能を発揮し、その力は強大そのものとなる。
 しかし、クロムキャバリアに生きる猟兵ではない者たちは知らない。
『殲滅回路』を組み込んだキャバリアはオブリビオンマシンへと変貌し、搭乗者を狂気にいざない、破滅的な思想にとりつかせてしまうのだ。
「なんかまた怪し気なモノがでてきたねー」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、うーん、と首を傾げた。
 明らかに怪しいし、性能を向上させると一口にいっても眉唾ものでしかないと思っていた。

 けれど、そうした怪し気なものがあるというのならば、メカニック根性が燃え上がるのもまた道理であっtあ。
「……とりあえず欲しい! バラしたい! 中みたい!」
 理緒は欲求に素直だった。
 倫理観? 人を狂気に陥らせる者のほうがよほど倫理かないのでセーフである。
「ねー、サージェさん」
「はい、お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、胸が大きくてしのべてないとかそんなことないもん!!」
 いや、そのたわわでは無理である。
 正直無理である。
 クノイチでしょ、もっと露出増やして。役目でしょ。そういうことである。
「え、どういう……?」
「ねえ、あれってなんとか盗ってこれない? クノイチなんだから、こういうの本職だよね?」
「いえ、あの、泥棒ですか? ちょっとクノイチ倫理的にNG……え、本職じゃないですよ?」
「じゃあ、クノイチのお仕事ってなんなの? 色仕掛け?」
「それもあるかもしれませんが……あ、じゃあ、『シリカ』がこっそり忍び込んでぎにゃあああああ!?」
 安定のバリバリである。
 お断りすればいいだけなのに、爪とぎの刑である。

「クノイチなんだから盗るべし、と『シリカ』さんも言っているよ。なんとかしてよ、はりあっぷ、ごーごー!」
「そんな事言われましても……ですが、その前に情報が重要なんですよね?」
 サージェの言葉に理緒は頷く。
 そう、『殲滅回路』をどうにかするにせよ、まずはオブリビオンマシンをどうにかしなければならない。
 そもそも、今回の『アーレス』は、本来の性能がチート級なのだ。
 これをどうにかしなければ、そもそも盗む盗まないの段階にすら足を踏み入れることはできないのだ。
「こういうのって、街の人が見かけた光景がヒントになったりならなかったりしないでしょうか? 私、緒と分身して聞き込みいってきます!」
「あ、逃げた」
 理緒は、サージェが聞き込みという名の離脱をキメたところで、少し考える。

『アーレス』の性能は、恐らくクロムキャバリアの中においても屈指であろう。
 であれば、流石に無理ではないかと思うj。
「鹵獲しようにも動きを止めないといけないわけだけど、そもそもそれが通用するのかって話なんだよね」
 理緒はパワーアップを図ろうと考える。
 しかし、問題はいくつかある。
 そもそも『グリプ5』のキャバリア戦力の少なさである。
 未だ復興のさなかにあるがゆえにキャバリア増産の目処が立っていない。

 現在、戦力になるのは『サツキ・ラーズグリーズ』の駆る二人羽織のキャバリア『熾盛・改』くらいなものである。
 他は防衛戦力に割くしかない。
 となれば、『アーレス』に対抗できるのは、猟兵達の戦力のみと考えるのがいいだろう。
「うーん、キャバリアの破片はみんな、此方側のものばかりですね。うーんーうん、そろそろ理緒さんがりおりおしてそうです!」
 サージェはちょっと怖気が走る。
 このままでは、『ファントムシリカ』が理緒によってチューンされちゃうような気がする! それもなんていうか、殺人的な加速とかできそうになってそうな気がしてならないのだ。
 気のせいかも知れないけれど!
 けれど、サージェは速い所戻ろうと心に決めて、市街地を走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジュディス・ホーゼンフェルト
闘神アーレス
遠い遠い大昔、聖母アナスタシアと共に、八百万の神悪を調伏し、大陸を拓いた|機械神《巨神》

その名と力はやがて外界にも広まった

ある者は崇拝し
ある者は妬み
ある者は我が物にしようとした

そして断片が外界に持ち出され、多くの贋作が生まれた

たぶんアレもその内のひとつでしょうよ
アナスタシア聖下は良しとされていない
アーレス大陸の最終防衛システム
アーレスはそのアーレスただ一機あれば良いってさ
だから処分しに来ましたよっと

交戦経験のありそうな奴を捕まえて聞き出してみようか
とにかく強いってのは察しがつく
でも急に撤退したんでしょ?
だとしたら持久戦には向かないチューンがされてるかもね
勝ち筋があるならそこだ



 闘神『アーレス』。
 それは遥か昔。
 昔々で語られる御伽噺ではない。
 語られるは『聖母アナスタシア』と共に八百万の神悪を調伏せし、大陸開拓の神話にして|機械神《巨神》の物語。

 神話が語るべきものは戒めであり、また同時に調和である。
 その力と名前は自ずと波及していく。
 ある者は崇拝し。
 ある者は妬み。
 ある者は我が物にしようとした。
 それは全て足りぬからだ。不足しているからだ。
 十全たる万能に求めるは、その欠けるものを満たすものである。
 例えば、力。
 例えば、権力。
 例えば、不死。
『聖母アナスタシア』は、正しく万能の願望を叶えうる器であったのかもしれない。

 伸ばされた手は、彼女は慰み者にするが如く断片を外界へと放つ。
 持ち出された、というのが正しいのかも知れない。
 それ故に多くの贋作が生まれた。
「アレもそのうちの一つでしょうよ。けれど……」
 ジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)は、己に命ぜられた聖令に思考することをやめた。
 正しいのは、聖令を下したアナスタシア聖下のみ。
 彼女が『良しとしない』のであれば、己は執行するまでである。

「アーレス大陸の最終防衛システム……『アーレス』はその『アーレス』ただ一騎あれば良い……てさ、だから処分せよってことなんだから、まあ、これもお仕事よね~」
 とは言えだ。
『殲滅回路』が組み込まれているということをグリモア猟兵から伝え聞き、ジュディスは、あのグリモア猟兵は何処まで知り得たのかと思ったかも知れない。
 オブリビオンマシンの事件を予知するグリモア猟兵。
 彼女が見たのは、本当に事件のあらましだけなのか。
 その憶測をジュディスは思考の隅に投げ捨てた。
「で、どうだったの?」
 彼女の眼の前にいる『パッセンジャー』と名乗る青年に尋ねる。

 あの二人羽織のキャバリア『熾盛・改』の片割れ。
 搭乗者の一人であることをジュディスは知っている。調べはついているのだ。
 女人のごとき美しい容貌。
 翡翠の瞳がジュディスを見やる。
「どうもこうもない」
「とにかく強いって?」
「そうだ。あれは『今』手に負える相手ではない」
「でもさ、急に撤退したんでしょ? だとしたら持久戦には向かないチューンがされてるのかもね」
 ジュディスは、そうでしょ? と首を傾げる。
 だが、『パッセンジャー』は頭を振る。
「いや、あれはデチューンだ。改悪と言ってもいい」
「どういうことよ」
「『あれ』は誰でも扱えるものではない。並は論外。『エース』でも無理だ。闘神たる者でなければ、本来動かせない。そんな者が都合よく居るとおもうか?」
「じゃあ何よ、デチューンってのは……」
「只人でも起動させられるように敢えて感度を下げられている。そして、その代償は」
 言うまでもない。
 パイロットだ。

「なら、そこが勝ち筋ってわけね――?」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『時間よ、とまれ』

POW   :    近辺の人々を避難させる

SPD   :    爆弾の時限装置を解除する

WIZ   :    時限爆弾を見つけ出す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが『アーレス』についての情報を集める最中、それは突如として現れた。
 空間を割くような白い光。
 いや、白い粒子。
 まるで空より落ちる落雷のように『アーレス』は白い粒子を纏って、小国家『グリプ5』に現れた。
「偽りの平和に破壊を」
 その声は『アーレス』のコクピットから響いた。
 そして、市街地のあちこちから爆発が巻き起こる。

「……爆発!? なんで!」
『サツキ・ラーズグリーズ』はうめいた。
 乗り込んだ『熾盛・改』のサポートAIである『エイル』が答えた。
「どうやら時限式の爆弾を仕掛けられていたようだ。だが、いつのまに……だが、今のは第一波だ。まだ爆弾の反応がある」
「だけど、『アーレス』が!」
「あれは一先ず俺とアンタで抑える」
『パッセンジャー』の言葉が響く。
 彼の翡翠の瞳が猟兵達を捉える。

「頼めるか」
 時限式の爆弾を見つけ出し、解除しなければならない。
 それは懇願というよりも依頼だったし、それを猟兵が突っぱねることはないだろうという確信に満ちた言葉だった。
「時間の猶予はない。だが、保たせて見せよう」
「でも……!」
「理由になってない」
 二人羽織のキャバリアが分離し、二騎へと変貌し、迫る『アーレス』と交戦を開始する。
 激しい爆発が巻き起こる最中、人々の悲鳴が響く。
 時限式の爆弾が仕掛けられているのだとしたのならば、一体どこか。
 それをまず探り出し、猟兵たちは悪楽な時限式の爆弾を解除、排除しなければならない――。
村崎・ゆかり
この状況で、爆弾なんてどうやって仕掛けたのよ!? 協力者がいるわけないでしょうに。
街の図面貸して。黒鴉の視点で、爆発のあった箇所に印!

キャバリアを食い止められている間に、出来る限り見つけなきゃ。
不発の爆弾があれば持ってきてくれる?
それを元に、「失せ物探し」で仕掛け場所を判じる。
爆弾の在処が見つかったら、すぐに黒鴉を向かわせるわ。兵は住民に避難を呼びかけて。この時代だもの。いつもやってるんでしょ、避難訓練。

爆弾処理はコード類を切ればいいのかしらね? 最悪人がいない状況で爆発させてもいいわ。
逃げ遅れてる人がいれば空き地にでも場所を移して。

なめたことしてくれるじゃない、あのキャバリア。覚えてなさい!



 爆発の轟音に村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は身をすくませた。
 それは市街地から響き渡る音であり、あまりにも距離が近かったからだ。
「この状況で、爆発!?」
 ゆかりは目を見開いた。
『サツキ・ラーズグリーズ』を探す道程で、そのような怪しい爆発物があれば気がつくはずだった。
 だが、そんなものがあるようには思えなかった。
 まるで、突如として爆弾が現れ、爆発したかのような状況に、ゆかりは戸惑う。
「まさか協力者がいるわけないでしょうね!?」
 それはないはずだ。
 如何にこの小国家『グリプ5』の国力が低下しているのだとしても、だ。
 
 そして、追い打ちをかけるように『アーレス』が出現しているのだ。
 二人羽織の赤いキャバリア『熾盛・改』が抑えていくれている間に、ゆかりたちは爆弾を可能な限り発見し、排除しなくてはならない。
「不発の爆弾はどこかにない!? 連絡は!?」
「まだです! 至急、情報伝達を行っていますが……!」
 ゆかりは歯噛みする。
 どこまでも用意周到だった。
「街の図面は! 黒鴉の視点で爆発のあった箇所に印を付けて、そこから割り出す!」
 ゆかりは即座に黒鴉召喚(コクアショウカン)にて、召喚んした式神を手繰り、周囲を探らせる。
 
 復興しかけていた市街地を再び破壊に導く爆弾。
 敵は明らかに『アーレス』と『熾盛・改』の戦いに猟兵を介入させまいとしている。
 この爆弾が明らかだ。
 こちらの手を遅らせ、取り返しのつかない状況にしようというのだろう。
「そうはさせるものですか!」
 ゆかりは視界を共有させた鴉の式神と共に市街地を飛ぶ。
 何か不審物があれば、と声を発する。

「避難誘導を! 何か不審物を見た者はいない!?」
「さ、さっき、急に現れた変な箱みたいなのがあっちに!」
 作業員の言葉にゆかりは式神を飛ばす。
 示された方角にあったのは、確かに箱めいた物体だった。
 明らかにカウントダウンが表示されていて、それが時限式の爆弾であることが見受けられただろう。
「爆弾処理っていっても、なによこれ……ええい、最悪ね! 周囲の避難誘導は!」
「できています!」
「なら、ここで爆発させて処理するわ!」
 ゆかりは式神を時限爆弾に突っ込ませ、起爆させる。
 炸裂した爆発が巻き起こり、ゆかりは人的被害がないかを再度確認する。
「被害はないけど……ったく、なめたことしてくれるじゃない、あのキャバリア! 覚えてなさい!」 
 怒りに震えながら、ゆかりは赤い二騎のキャバリアと交戦する『アーレス』を睨めつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「時限式の爆弾…復興作業中に見つけれなかったの!!」(壁ノ工房から「なかったよんなもん!!」との返答を受けつつ)

【行動】
待機させてたレスヴァントMk-2のアマテラスを射出して『索敵』して爆弾の位置を『情報収集』
『瞬間思考力』で一瞬で覚えて、復興したばかりの町を破壊しないように注意しつつ、ユーベルコードを使用して最大速で向かうよ。
これ今使うと後が辛いけど、んなことより住民!!
爆弾の起爆時間ぎりぎりまで回収できるだけの爆弾を回収して空いてたコンテナに纏めて。
爆弾はね爆発させるのが一番確実なのよ。
集めた爆弾を街の外の空中に投げ飛ばし、ダークマンティスの『レーザー射撃』で破壊する!!



 突如として市街地の複数箇所に現れた時限式の爆弾。 
 一陣と言わんばかりに炸裂した爆発にユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)はうめいた。
「時限式の爆弾……んばんで復興作業中に見つけられなかったの!!」
 壁ノ工房のクルーたちにユーリーは怒鳴った。
 復興作業に従事していたのならば、不審物に気がつくタイミングなどいくらでもあったはずだったからだ。
 だが、クルーたちは頭を振る。
「なかったよ! んなもん!!」
「嘘でしょ、じゃあ、どうして爆発物があんなにあるっていうのよ!」
「突然現れたって証言もあるんだ。もしかしたら……」
「爆発物だけ転移させてきたってこと!? なんって、面倒なことを……っていうか、あの白い粒子……まさか、またッ!」」

 そう、ユーリーには身に覚えがあった。
『アーレス』が突如として現れた瞬間、白い粒子を纏っていた。
 あれは、一時的にとは言え、殲禍炎剣の影響を受けない特殊粒子だ。
 それを転用して『アーレス』は『グリプ5』の市街地に飛来したのだろう。
「まったくやってくれる!」
 ユーリーは苛立ちながら『レスヴァントMk-2』から『アマテラス』を射出し、市街地の情報を習得する。
 爆発して炎上する建造物。
 その合間をかいくぐり、最大速度で爆発物らしきものが出現したという報を受けてユーリーはコクピットから飛び出す。
「これがそうなの?!」
 彼女の言葉に現場に残っていた作業員が頷く。

「そうだ! 急に現れて……!」
「ありがとう、あなた達は万が一がある。退避していて!」
「わかった! 向こうの方にも同じようなものがあるって言ってるが……!」
「それも任せていて!」
 ユーリーは視認した爆発物らしきコンテナを見やる。
 全て違う形とは思えない。
 なら、同一の怪しいコンテナは全て回収すべきだと彼女は感じただろう。
「……タイムリミットは……まだ、ある。今なら!」
 ユーリーは己が体が痛むのを感じた。
 最大速度で飛翔してきたのだ。
 当然、身体にかかる加速度Gの負荷は凄まじいものだろう。
 だが、かまっていられない。

 今は住民たちの安全が第一なのだ。
 敵はこの特殊粒子を敵地へと『アーレス』を運ぶために使った。
 なら、己が人を救うために使わねばならないと彼女に決意させる。
「似たようなコンテナの目撃情報をボクに集めて! 回収する!」
 ユーリーは『レスヴァントMk-2』と共に市街地を走り抜け、集めたコンテナをギリギリまで抱える。
「……リミットは……今!」
 抱えたコンテナが空へと舞い上げられるように投げ飛ばし、『ダークマンティス』の砲身が狙いを付ける。
「いけ!!」
 炸裂するレーザー射撃。
 その一撃が空中でコンテナを打ち抜き、一瞬遅れて盛大な爆発が市街地の空にて広がる。
「爆弾は爆発させるのが一番確実なのよ」
 そう言って、ユーリーは、この騒動を仕掛けた張本人とも言える『アーレス』を睨めつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
うーん、敵が来るのは分かってたけどこーゆー手で来たかぁ……!
おっけーピヨちゃん(f42991)、ここはその計画に乗ってあげる、
うるうのアレンジも添えて、ね!
とゆー事で宝探しの時間だよ、スライム・シャーク!
ピヨちゃん、あっちとそっちにあるみたい!
見つけた爆弾は氷の属性攻撃で氷漬けにしたら時間稼ぎ出来る、ってドラマで見た!
凍らせた爆弾は召喚術で呼んだサメにも運ばせてピヨちゃんに投げて貰うんだけど、確かに効率悪いなぁ。
よーし、じゃあ冷やすついでにいっぱい集めて大きな凍り爆弾の塊を作ろう!
仕上げにしっかり凍っててねってお願いしたらかーんぺき!
ほらピヨちゃん、一気に投げちゃって!
たーまやー!


ファルコ・アロー
来やがったですね、噂のアーレスってヤツが。
それも物騒なお土産付きで……杓原ァ!(f28476)
とっとと爆弾探しやがれです!
それをボクが怪力全開でぶん投げれば街の外くらいには持っていけるでしょう。
何発爆破されようが、人も建物もない所なら意味ねーですからね!
さすがボクです、これ以上ない完璧なプランですよ!
しかし良くもまぁこんなにいっぱい仕掛けたもんですね、知らねー間に!
ちまちま何度も投げるなんて性に合わねーんですけど……お、気が利くじゃねーですか杓原!
おう、出来るだけデカく纏めるです!
このくらいなら殲禍炎剣まで投げ飛ばしてやるです!
ちょっと離れてろです。
行くですよ……ふ・る・ぱ・わー!



 グリモアの予知によって敵が来ることはわかっていた。
 だが、その手段は杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)とファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)にとっては、意外であったし厄介であった。
「来やがったですね、噂の『アーレス』ってヤツが。それも物騒なお土産付きで……」
 ファルコは歯噛みする。
 市街地に転移してきた爆弾。
 時限式であり、今の爆発が一陣でしかないことをファルコは知る。
「うーん、敵が来るのはわかってたけど、こーゆー手で来たかぁ……!」
「感心してる場合じゃあねーですよ、杓原ァ! とっとと爆弾探しやがれです! 口動かす前に手と足を動かすんですよ!」
「そうはいうけどね、ピヨちゃん、当てずっぽうに探したって疲れちゃうだけだよ」
「それでもやるしかねーでしょ!」
「見つけたとしても解除しなくちゃあならないんだよ? もう少し考えて……」
「そんならボクが怪力全快でぶん投げればいーんです!」
 その言葉に潤は目を丸くする。

 ぶん投げる?
「何発爆破されようが、人も建物もない所なら意味ねーですからね! さすがボクです、これ以上ない完璧なプランですよ!」
「そうかなー……でも、おっけーピヨちゃん、ここはその計画に乗ってあげる! 潤のアレンジを添えて、ね!」
「だから、その呼び方やめろってんですよ!」
「さあ、宝探しの時間だよ、スライム・シャーク!」
 ファルコの憤慨を背に潤は『スライム・シャーク』を呼び出し、市街地を走らせる。
「ほら、ピヨちゃんも!」
「ったく、しかたねーですね!」
 ファルコは街中を低空で飛行し、コンテナ型の爆弾を探す。

 もともと仕掛けられていたものではなく、転移させられてきたというのならば、見慣れないもののはずだ。
 目星をつけてコンテナらしきものを見つけるとデジタル表示された時限爆弾がセットされているのを見つける。
「よくもまぁこんなにいっぱい仕掛けたもんですね、知らねー間に!」
「こっちにもあったよ! ほら、凍らせて!」
 潤はコンテナ毎、氷の属性で氷付かせる。
「なんで凍らせてんですよ?」
「ドラマで見た! 時間稼ぎできるって! さ、鮫さん、おねがーい!」
 ぱちん、とウィンクして潤は召喚した鮫たちを操って、ファルコの元へと見つけた爆弾を運ぶのだ。

「よしきたです! しかし、ちまちま何度も投げるなんて性に合わねーんですけど……」「確かにね! 効率ワルワルだよねぇ。あ、そーだ! 冷やすついでにいっぱい集めて大きな氷爆弾の塊にしちゃえばいいんだ!」
 潤は氷漬けにしたコンテナをさらに山積みにして氷漬けにしていく。
「しっかり凍ってね!」
 潤の言葉にユーベルコードの発露が自然に行われていた。
 彼女の瞳は、それだけで無機物を問わずに魅了する。
 コンテナと共に凍りついた大きな山のような塊が出来上り、潤はファルコに向き直る。
「ピヨちゃん! 一気に投げちゃって! かーんぺきに凍りつかせたから!」
 流石に大きすぎる。
 人が一人で持ち上げるものではない。
 だが、ファルコは獰猛に笑った。

「気が利くじゃねーですか杓原ァ! このくらいなら殲禍炎剣まで投げ飛ばしてやれるってもんです!」
「じゃあ、おねがーいね!」
「おうともですよ! ちょっと離れてろです……行くですよ」
 ファルコはその小さな身に有り余る力を発露する。
 氷の塊を掴み上げ、ファルコは氷漬けされた爆弾コンテナを持ち上げる。
 ミシミシとフレームが軋む。
 だが、ファルコの瞳は見開かれ、そこにユーベルコードの輝きを宿すのだ。

「ふ・る・ぱ・わぁぁぁぁ!」
 持ち上げきっただけではない。
 ブンブンと振り回し、砲丸投げの要領でファルコは爆弾を集めて凍りつかせた塊を空へと投げ放つのだ。
「たーまやー!」
 瞬間、衝撃を受けた爆弾は空中で爆散し、氷が破砕されて空に舞う。
 光を受けてキラキラと輝くさまは確かに潤の言う通り、花火のように見えて、その剣呑さをわずかでも忘れさせる光景を生み出したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……爆発!?いつの間に……!?それにあの機体……
いえ、今は爆弾への対処を優先!

とはいえ、フェルム・アニマリア達じゃ見つける事は出来ても対応ができない……なら、荒療治だけど、これに賭ける…!!

来て、ドラグレクス……【XXX-07D ドラゴニックロアー】!!
味方(熾盛・改)は対象外だし、仕掛けられた爆弾自体に自我が無いのであれば問題なく「機能不全」へと追い込めるから、その間に位置を特定して、その後は……

……あまり褒められた話じゃないけれど、『ヘキサ・アームズ』で爆弾に触れ、そこから『ドラクティス』での「捕食」、金属細胞による侵食で根本の構造から分解・解体し、「爆弾だったモノ」へと変える!!



 市街地から響く爆発。
 それは不意の出来事だった。
「……爆発!?」
 何故、という思考がアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)に走った。
 復興を手伝っていた彼女の機械人形たちから、そのような不審物があったという報告は受けていない。
 あるはずのない爆発物。
 なら、一体どうやって、とアルカは思っただろう。
「いつの間に……!? それに、あの機体……!」
 白い粒子を纏って飛来したキャバリア……いや、オブリビオンマシン『アーレス』。
 それに対処するために『熾盛・改』が飛び出している。
 自分もと、アルカは思ったが踏みとどまった。
 今は爆弾への対処を優先しなければ、市街地の人々に被害が出る。

「……情報捜査……フェルム・アニマリア達……」
 集中する。
 自律機械から得られる情報から爆弾らしきコンテナが複数、市街地に現れていることをアルカは知る。
 だが、時限爆弾の仕掛けられたコンテナを見つけても、対処ができない。
「もっと情報がいる……位置情報を!」
 位置を把握する。
 思った以上の数が設置されていることをアルカは知り、焦りが募る。
 一つ一つ解除していては間に合わない。
「……荒療治だけど、これに賭ける……! 来て、『ドラグレクス』……!」
 アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女の背後に転移出現した『ドラグレクス』の顎が開く。
 それは、XXX-07D ドラゴニックロアー(ドラゴニックロアー)であった。

「――ッッッ!!!」
 咆哮が迸る。
 それは一気に市街地へと走り抜け、敵味方を識別した衝撃波。
「ドラゴニックロアーなら、機械の機能を停止させることができる……そして、自我のない機械の類だっていうのなら、機能停止に追い込めるはず!」 
 それは一つの賭けであった。
 味方を識別するということは『熾盛・改』には効果がない。
 そして、仕掛けられた爆弾事態に自我があるわけもない。
 ならば、機能不全は即ち、爆発しない、ということだ。
 だが、それだけでは不十分だろう。

「反響定位……! 機能不全の反応がでたのは……!」
 アルカは反応があった場所へと走る。
 眼の前にはコンテナ。
 無機質な鉄の箱にあるかは武装腕である『ヘキサ・アームズ』を向ける。
 触れた金属。
 そこにアルカの体の細胞……金属細胞に寄る侵食によって分解・解体し、爆弾であったものへと変えるのだ。
「褒められたことじゃあないかもだけど……でも、今はこれが」
 精一杯なのだとアルカは次々と爆弾を解除し、市街地を走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

さすがステラさん、ついに『ノイン』さんの匂いまで……。

あ、練乳は大丈夫ですよ!
見てください、ロングストロー付きの水筒用意したんですよ♪
かわいいですよね!

これでいつでも練乳吸えます!

って、そんな便利な演奏さすがにありませんよ!?
いくら演奏家兼勇者だからと言って、なんでもありなわけでは……。

『ルクス』ちゃーん。爆弾ってどうすれば見つかる?

地道に探す?
魔術師ちゃんはあいかわらず真面目だね。
勇者ちゃんは……適当に物陰とか覗いてみればいい?

ということなので、てきとうにその辺から探してみましょう。

あ、あった!ステラさんありましたよー!
さすが勇者ルクスちゃん、勇者はいつも可愛正しいですね!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル《ヴィー》様の情報によれば
アーレスのパイロットはさながら『消耗品』
替えの効くパーツなのでしょう
……ヒトの尊厳を踏みにじる……
ええ、ノイン様の匂いがしますね
だとしても何が狙いなのか……
熾盛・改の打倒?
いえ、あの女がそんな浅慮な作戦を立てるはずが……

ふぅ
ルクス様、練乳の補給は十分ですか?
気合入れて爆弾回収です
サツキ様とパッセンジャー様の負担を減らしますよ
というか、ソナーレ、こういう作業は苦手ですよねえ
その、爆弾だけ発見できる音波とか出せませんか?

私はケルーベイムの速度で爆弾を上空へ排除します!
この一時、この街の番人なれば
【クーストース】!
爆弾の位置さえわかればこっちのものです!



 闘神とよばれたオブリビオンマシン『アーレス』。
 そのオブリビオンマシンと交戦した経験のある機体『熾盛・改』に搭載されたAIであるところの『エイル』……『ヴィー』からの情報を受けてステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は確信していた。
『アーレス』は元よりチート級のオブリビオンマシン。
 それを扱うことには多くの制限が課せられている。
 だがしかし、『殲滅回路』を組み込むことで、そうした制限をないものとしているのだ。
 その代償は何か。
「さながらパイロットは『消耗品』ですか。代えの利くパーツ、と」
 それは人の尊厳を踏みにじるような行いのようにステラには思えてならなかった。

「……ええ、『ノイン』様の匂いがしますね。だとしても何が狙いなのか……」
 振り返った先に在るのは『アーレス』と交戦する『熾盛・改』である。
 二騎に分かたれた赤いキャバリアが激しい戦闘を繰り広げている。
「『熾盛・改』の妥当? いえ、あの女がそんな浅慮な作戦を立てるはずが……」
「さすがステラさん、遂に『ノイン』さんの匂いまで……」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はちょっとゾッとしていた。
 ステラが匂いでなんかこう、『主人様』のことを判別していることは知っている。
 だが、更に別の匂いまで識別できるようになっているのは、ちょっと引く。
「ルクス様、練乳の補給は十分ですか?」
「え、あ、大丈夫ですよ! 見てください、ロングストロー付きの水筒を用意したんですよ♪ かわいいですよね!」
 遠足気分かな?
 しかし、水筒に練乳いれるって相当である。
「これでいつでも練乳吸えます!」
 人生で何度も聞くセリフじゃないことだけは確かであったが、ルクスはルンルン気分であった。

「では、気合い入れて爆弾回収です。『サツキ・ラーズグリーズ』様と『パッセンジャー』様の負担を減らしましょう。こういう時、どうにかできませんか。『ソナーレ』で、こう、一気に」
 ステラの言葉にルクスは頭を振る。
「いくらなんでもそんな便利に演奏できませんよ!?」
 そう、ぶっ壊すことくらいである、ルクスの演奏は。
 他の猟兵ならできたかもしれないが、少なくともルクスにはできない。
「爆弾だけ発見できる音波とかありませんか?」
「いくらなんでも、そんなになんでもありじゃあないんですよぅ。あ、そうだ。『ルクス』ちゃーん。爆弾ってどうすれば見つかる?」
 便利なユーベルコード、勇者の特権(ユウシャノトッケン)によってルクスは二人の小さなルクスを呼び出す。

「地道に探しましょ! 足で稼ぐのです!」
「魔術師ちゃんは相変わらず真面目だねぇ。勇者ちゃんは?」
「タンスの中とかツボの中とか探せば?」
「うーん、適当!」
 いや、RPGのコマンドじゃないんですから、とステラは思った。
「ルクス様、私は『ケルーベイム』で待機致します」
「え、そうなんです? じゃあ一応、そこらへんの物陰を……、え。あー!? ステラさん、ありました! なんか見るからに怪しいコンテナっぽいものが!」
「え」
「さすが勇者ルクスちゃん、勇者はいつも可愛正しいですね!」
 ほら見て、とルクスはデジタル表記がカウントするコンテナを見つけて、笑顔である。

 そんな簡単に見つかるものか?
 偶然課? それとも必然か。
 ステラは頭を抱えながら、しかし、見つけたのならば処理しなければならない。
「……致し方ありません」
 コンテナを『ケルーベイム』が掴み上げ、上空に春歌にどうにも等しい移動でもって排除し、ステラは息を吐き出す。
 さらにルクスは、「あ、ここにも! あっちにも!」と次々と爆弾のコンテナを見つけ出し、ステラに早く早くと急かすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【理ジェ】

爆弾?いまさら?

どう考えても時間稼ぎだよね。
でもなんでいまさら時間稼ぎなんて……?

『アーレス』の不自然な離脱、そしていまさらの時限爆弾……。

そっか、そういうことか!
『アーレス』はチート級の機体。だけど、乗っているパイロットはふつう。
つまり、パイロットが保たない!

そのための時間稼ぎだったとしたら、
サツキさん、パッセンジャーさんとの交戦は予定外……のはず!

ならここは、いろんな意味でも素早く爆弾を処理するのが良し!
【ストラクチュアル・イロージョン】で周囲一帯の爆薬を無効化しちゃえ-。

あとはサージェさん、爆弾の位置送るから回収よろしく!

推理が間違っててもそれはそれ。爆弾は処理できるからね!


サージェ・ライト
【理ジェ】
正攻法で来ると思いきやまさかの搦め手
かく乱……というよりはサツキさんとパッセンジャーさんの動揺を誘いたい
が正解ですかね
長引けば長引くほど街が壊れて動揺が広がる
そこを突く
イヤラシイ作戦ですね
性悪な女が作戦立ててます?

理緒さんの言う通り、速攻で爆弾を処理するのが最適解と見ました!

かもんっ!『ファントムシリカ』!

理緒さんから来た位置情報を元に爆弾処理しますよー!
ファントムシリカの機動力なら!
回収というか確保したら上空へ
そこへ【快刀乱麻】でさくっと爆破!
これを繰り返していけば!
間に合わないやつあったー!?
ええい、【快刀乱麻】の力お見せしましょう
起爆装置だけブレイク!!できるか私に!!



「爆弾? いまさら?」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、市街地で起こった爆発に首を傾げた。
 市街地にて炸裂した爆発は確かに被害を齎すものだった。
 しかし、だ。
 これで此方をどうにかしようとは思っていないはずだった。
 であれば、当然これが時間稼ぎであることは理緒にとって明白だった。
「でも、今更なんで時間稼ぎなんて……?」
「正攻法でくると思いきや、まさかの搦手。撹乱、なんですかね?」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はオブリビオンマシン『アーレス』と二騎に分かたれた赤いキャバリア『熾盛・改』の姿を認め、頷く。
「どうなんだろう。前回の戦いは、不自然な動きをしていたみたいだし……今更の時限爆弾も合わせると、わたしたちをどうしても遠ざけたいってことなかな?」
「であれば、長引けば長引くほど街が壊れて動揺が広がっていってしまいます。爆弾の爆発が段階的にわけられているのもこちらの動揺を誘うためなんでしょう」
 サージェは頷いた。
 此方の動揺を突くのはいやらしい、とサージェは思った。
「性悪な女が作戦立ててます?」
「どうなんだろ! でも、わかったよ。『アーレス』はもともとチート級の機体。だけど、それを誰でも使えるようにしたのが『殲滅回路』なら、乗せるパイロットは何も特別な人じゃなくてもいい……普通のパイロットでもいいんだから……つまり、パイロットが保たないから、離脱したんだよね?」
「そうなります、ね?」
「きっとそうだよ。だから、時間稼ぎのために爆弾仕掛けたんだよ。なら、『サツキ・ラーズグリーズ』さん、『パッセンジャー』さんとの交戦は予定外……のはず!」
 なら、と理緒はサージェに向き直る。

「ここは色んな意味でも素早く爆弾を処理するのが良し!」 
 理緒は己のデバイスから、ストラクチュアル・イロージョンによってウィルスを放つ。
「確かに理緒さんのおっしゃられる通りですね! かもんっ、『ファントムシリカ』!」
 サージェの言葉に現れるのは『ファントムシリカ』であった。
「理緒さん、位置情報よろしくです! 爆弾を回収します!」
「ありがとう! 位置送るから回収よろしく!」
 理緒は撒き散らされたウィルスから周囲にあった爆発物を認め、その情報を『ファントム・シリカ』に送り出す。
「空に投げ飛ばします!」
「サージェさん、次!」
「わかっております! でも……!」
「距離が遠いよ! 間に合わない……!」

 理緒の言葉にサージェの瞳がユーベルコードに輝く。
 何一つ爆発させない。
 動揺はこれ以上広げさせない。
「できるか私に!!」
 サージェは、複雑に絡みついたクロムキャバリアを覆う思惑……その糸を切り裂く、快刀乱麻(ブレイクアサシン)の如き疾走でもって間に合わぬ距離にあったカウントがゼロに近づいた爆弾コンテナへと三日月状のエネルギーを放つ。
 その一撃は、コンテナを空中へと弾き飛ばす。

 起爆装置だけをブレイク。
 だが、衝撃でコンテナが炸裂する。
 上空で割く爆発の花。
 それを認め、理緒は『アーレス』を見やる。
「理緒さん、爆弾の数は!」
「この周辺は今ので最後! 後は!」
「ええ、行きます!」
 サージェは力強く頷き、『アーレス』へと向かうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
煩わしい事を!ですがそうなんでも思い通りにはさせません!
クレイドル!この戦場の全てに響け、|呪え《唄え》『揺籃の子守唄』

戦場全体にドロモス・コロスを発生させ、
クレイドルに人海戦術で時限爆弾を探し出させ、同時に、【催眠術楽器演奏】魔楽機で|魔法の楽曲《オーバード》を弾き、アーレスと対峙する熾盛・改の二人に、爆発で恐慌状態にいる者達、避難を呼びかける者達、戦場にいる全員を響き渡る音色で回復!迅速に、正確に考動できるようにします!

ク『爆弾らしいものがあったら近づかず、私に教えてねー!
あ、そっちは家屋が崩れてるから向こうから逃げてー!』

見つけた爆弾はドロモスから放つ【衝撃波】で上空へ吹き飛ばし爆破!!



「煩わしいことを!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は市街地のあちこちから響く轟音と立ち上る爆煙を認めて歯噛みした。
 苛立つ。
 この状況においての爆発物の転移。
 そいて、今の爆発は第一陣にすぎない。
 波状攻撃のように市街地に転移させられた時限爆弾が連鎖反応のように爆発を引き起こすのだろう。
 そうやって、己達の足を留め置く算段であるように思えてならなかった。
「ですが、そうなんでも思いどおりにはさせません!」
 小枝子は苛立ちを噛み殺して、今己がしなければならないことを規定する。

「『クレイドル』! この施錠全てに響け、|呪え《唱え》、揺籃の子守唄(クレイドル・ララバイ)!!」
 小枝子の瞳がユーベルコードにきらめいた瞬間、現れるのは無数の『ドロモス・コロス』たちであった。
 小人型ビット。
 楽団とも言いかえる事のできる数が浮遊し、人海戦術とでも言わんばかりに市街地に仕掛けられた爆弾のコンテナを探させるのだ。
「爆弾はコンテナの形状をしている! 虱潰しだ!」
 さらに響き渡るのは魔法の楽曲。
 オブリビオンマシン『アーレス』と対峙する『熾盛・改』、そして爆発で恐慌状態に陥る人々を落ち着かせ、さらには避難を呼びかける者たちにも、その心に落ち着きを取り戻させるのだ。

「避難の指示を! 落ち着き、退避を願うであります!」
 小枝子は楽曲と共に声を届ける。
『爆弾らしいものがあったら近づかず、私に教えてねー』
『クレイドル・ララバイ』の声が響く。
 さらに『ドロモス・コロス』を中継して、爆発が起こった建造物から離れるように指示を飛ばす。
 やるべきことは多い。
 だが、小枝子は今ここで自分がしなければならないことを知っている。
「落ち着いての行動を!『クレイドル』! 爆弾は!」
『奏者こそ落ち着きなよ。一応、他の猟兵たちもいるんだからさ』
「いいえ、今は人手が一つでも必要なのであります! 爆発物の入ったコンテナは……」
『わかってるって、『ドロモス・コロス』たちの衝撃波で空中で爆破させる!』
 小枝子は頷く。

 未だオブリビオンマシン『アーレス』と『熾盛・改』の激しい戦闘が繰り広げられている。
 焦れる気持ちがないと言えば嘘になる。
 だが、それでも。
「爆発物の撤去ができ次第、自分も向かいます!」
『市街地に転移したであろう爆弾は順調に排除できているよ、もう少しだ!』
 その言葉に小枝子は頷き、迫る戦いの熱に臓腑が滾るのを感じたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジュディス・ホーゼンフェルト
爆弾処理の仕事があるなんて聞いてないんだけど?
アタシはそっちの専門家でもないし
ったく、肝心のアーレスが出てきた矢先にこの騒ぎとはね

という事はだ
あのアーレスとパイロットの背後には誰かがいて、この茶番を仕組んだ
一人でこんな仕掛けができるほど器用でもないでしょうに

それで?
肝心の爆弾は?
アタシなら派手に爆発するところに仕掛けるね
エネルギーインゴットの貯蔵庫とかさ

時限式の爆弾ならカウントなり遠隔操作の信号を発してるんじゃないの?
ガルムのスキャニングセンサーで探ろう
見付けたらパルスクローで電子回路を切る
爆発をビビる事はない

高性能な爆弾っていうのは、ちゃんとした手順を踏まないと爆発しないようにできてるんだよ



 市街地にて巻き起こる爆発。
 混乱が満ちていく様子を見やりながら、ジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)は落ち着き払っていた。
 どこで爆発が起こるともしれないということは、人々の心を恐慌状態に陥らせるには十分だった。
 だが、ジュディスの心は揺れない。
「爆弾処理の仕事があるなんて聞いてないんだけど?」
 自らそうした工作の技術がないわけではないが、専門家ではない。
 彼女が狙うは『アーレス』のみである。

 しかし、この状況では、それも難しいだろう。
「ったく、肝心の『アーレス』に、この状況……ということは、だ」
 ジュディスは群衆の波に逆らうように歩む。
「あの『アーレス』とパイロットの背後には誰かがいて、この茶番を仕組んだのがいるってことよね?」
 それも一人の思惑ではできないようにジュディスはお揉めてならなかった。
 であれば、やはり背後にあるのは小国家ということになる。
「派手に目を惹きたいってなるわよね? 肝心の爆弾ってのは……アタシなら、そうjね。エネルギーインゴットの貯蔵庫とか?」
 今この小国家『グリプ5』は脅威にならない。
 それほどまでに疲弊しているからだ。
 逆に言えば、狙い目であるとも言える。

 キャバリアの絶対数が少なく、エネルギーインゴットは余っていると言って良い。
 眼の前にはキャバリア整備倉庫。その隣に配置されたエネルギーインゴット倉庫など格好の的であるとも言えるだろう。
「わっかりやすいわね~……」
 ジュディスは倉庫付近に配置されたコンテナを見やる。
 見やれば、デジタル表示された文字列。
 カウントダウンが始まっている。
「『ガルム』のスキャニングセンサーを使うまでもないわね。ふむ……なるほどね。電子回路を焼き切りましょう」
 ジュディスは躊躇うことなく時限爆弾のコンテナを『ガルム』のクローでこじ開け、配置されている電子回路をパルスクローでもって焼き切る。

 爆発を恐れていなかった。
 むしろ、ジュディスは確信を持って行動していた。
「ほらね、高性能な爆弾っていうのは、ちゃんとした手順を踏まない限り爆発しないようにできてるんだよ。ということは、やっぱり手引してる連中がいるってことでしょ。狐でも狸でもないってことは……鼠かしらね?」 
 いずれにしても、だ。
 ジュディスは無効化した爆弾のコンテナを捨て置いて、二人羽織の赤いキャバリアが二騎に分かたれた『熾盛・改』と激しい戦闘を繰り広げる『アーレス』を見やる。
「贋作とは言え、存在してはならないものがあるのなら、聖下のご命令通り排除しなくちゃあね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
竜眼号搭乗
……またあいつらに…アーレスかよ
「ご主人サマー☆爆弾回収だぞ☆チートな手段に対抗してやるならもうあれだぞ☆」
ぬがぁぁぁ!

地獄のUC発動…!
【情報収集・視力・戦闘知識・念動力】
幼女軍団が念動力を広げ爆弾やら諸々の察知
どうやって仕掛けたかも解析

後は散開して回収作業開始!
「「ひゃっはー☆」」
圧倒的な物量で可能な限り爆弾を回収して無力化
爆弾事態についても解析を行う

殲滅回路とか…ご丁寧に上の衛星と同じ名前か……
何度か回収を狙ってみてもいいかもな
「名前が気になるんだ?」
まぁ…こりゃ殲滅衛星は…オブビリオンなのはほぼほぼ間違えねーだろうな
下手すりゃ衛星にもその回路とやらをぶちこまれたのかもな



「……またあいつらに……『アーレス』かよ」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、帝竜大戦艦『竜眼号』のブリッジで片肘をついてため息を吐き出していた。
 気分が重い。
 オブリビオンマシン『アーレス』の性能はチート級である。
 本来ならばパイロットも相応の存在が求められるが、あの『アーレス』は『殲滅回路』を組み込むことによって『誰でも使える』ようにしているのだろう。
 元よりチート級性能。
 その制限であったパイロットの問題が解消された、というのは厄介極まりないことだった。
『ご主人サマー☆ 爆弾回収だぞ☆ チートな手段に対抗してやるならもうあれだぞ☆』
 そんなカシムの気分の重さにのしかかるようにして『メルシー』が更に気が重たくなるようなことを言うのだ。
 依代を持って生み出される幼女『メルシー』たち。
 対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)と呼ばれるユーベルコード。
 これによって無数の幼女『メルシー』達による人海戦術を行おうというのだ。

 確かに、この状況では有効である。
「ぬがぁぁぁ!」
 やりたくない、とカシムは思ったが、そんんあ逡巡すらも通り越して幼女軍団が市街地に降り立つ。
 念動力によって広がった知覚領域。
 不審物を見つければ、即座に駆けつけ、それがなんであるのかを識別していくのだ。
「こっちにもあったー!」
「あっちにも!」
「こっちこっちー!」
「みーつけた!」
 そんな声が響く。
「ひゃっはー☆」
「騒々しいったらないな、ありゃ……」
 圧倒的な物量で市街地を駆け抜けていく幼女たち。

 どうやって仕掛けたのだろうと思うが、何処からともなく転移させられてきているのだ。
 痕跡らしいものは見当たらない。
 であれば、とカシムは爆弾の解析を行わせる。
「……ふーん、時限式か。それにしても『殲滅回路』、か」
『名前がきになるんだ?』
「そりゃあな、どう考えても、あの暴走衛生絡みだろ。オブリビオンなのか、あの衛生は? ほぼほぼ僕は間違いねーって分でるんだがなぁ……下手すりゃ、あの衛生にもそのなんちゃら回路とやらがぶち込まれていてもおかしくねーんじゃねーか?」
 カシムは考える。
 だが、今は爆弾をどうにかするのが先決だ。

「ま、とりあえず爆弾は全回収だ。解除、無力化は任せたぜ」」
 そう言ってカシムはブリッジにて背中を反らせた。
 後はあのオブリビオンマシン『アーレス』への対処だ。
 それが、最も困難であることは承知の上。
 だがしかし、それでもやらねばならないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
爆発音――考えるよりも先に、身体が動いていた
近くにいた彼女を結界術で守りながら、そっと声をかける
『ヌル』……大丈夫?
不思議に思うかもしれないけれど
私は本当に――あなたが無事でよかったと思っているの

この爆発、ただ事ではないわね
……此処も、安全とは言えないかもしれない
それなら、来て――『セラフィム・クレセント』
召喚した機体に『ヌル』を乗せ、退避させる
本来なら……あなたが継いでいたかもしれない機体
きっと、乗りこなせるはずよ

『ヌル・ラーズグリーズ』
どうか、命を大事にしなさい
『クレセント』、彼女を守って――必ず

私は全速力で爆弾を探すわ
見つけたら、結界術で包み込んで、爆発の被害を最小限に抑える



 爆発音が響く。
 瞬間、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は考えるよりも先に体が動いていた。
 身を挺するように『ヌル・ラーズグリーズ』の身を覆うように我が身で護り、結界術を張り巡らせていた。
 年齢で言えば、彼女よりも年上であろう『ヌル・ラーズグリーズ』。
 そんな彼女を静漓は母親がそうするように抱えていた。
「『ヌル』……大丈夫?」
「え、ええ……ですが、今の爆発は……」
「わからない。けれど、何か起こっている。それよりも……」 
 よかった、と静漓は『ヌル・ラーズグリーズ』を見やる。
 この感情は本物だ。
 だからこそ、静漓は彼女の肩を掴んで言い聞かせるように言葉を紡ぐ。

「不思議に思うかも知れないけれど、私は本当に――あなたが無事でよかったと思っているの」
「あなたは、一体……」
 そう問いかける『ヌル・ラーズグリーズ』。
 しかし、続けざまに爆発音が響く。
 他の猟兵たちが爆弾を処理しているのだろう。
「ただ事ではないようね……ここも安全とは言えないかもしれない」
「ですが、私は、ここからは離れられません。そうしてはならないんです」
「でしょう、ね。それなら、来て――『セラフィム・クレセント』」
 サイキックロードから現れるのは、白銀のキャバリア。
 走るは青色。
 アイセンサーが『ヌル・ラーズグリーズ』を見下ろし、コクピットハッチが開く。

「こ、これは……お父様、の……何故、あなたが」
「本来なら……あんあたが継いでいてもおかしくない機体よ。きっと乗りこなせる」
 静漓は困惑する『ヌル・ラーズグリーズ』を押しやって、わずかに笑む。
「『ヌル・ラーズグリーズ』、どうか命を大事にしなさい」
「あなたは……!」
「『クレセント』、彼女を守って――必ず」
 その言葉を最後に静漓は市街地へと走る。
 仕掛けられた爆弾の数は残り多くはないだろう。
 けれど、それでも一つでも残っていれば、人々が犠牲になる可能性がある。それを限りなくゼロにするために静漓は市街地を疾駆する。

「あれ、ね」
 静漓は見つけた不審物……コンテナを認め、結界術で包み込む。
「爆発を止められないのなら、爆発を閉じ込める」
 最小限に抑えるため、静漓は結界の中に閉じ込めたコンテナが炸裂する瞬間を認めてわずかに力を込める。
 これが最後の一つだったのかもしれない。
 周囲からはもう爆発の音は響かない。
「……なら、残るは」
 あのオブリビオンマシンのみ。
『アーレス』は二騎に分かたれた二人羽織の赤いキャバリア『熾盛・改』と激しい戦闘を繰り広げている。
 チート級の性能を誇るオブリビオンマシン。
 その恐るべき敵を前にしても静漓は恐れ抱くことなく、しるべ(シルベ)が示す先へと走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『アーレス』

POW   :    機神刻衝拳
【貫手】で装甲を破り、【蹴撃】でダウンさせ、【掌底】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
SPD   :    戦哮重獄波
【収束や拡散等、多様に性質を変える重力波】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    剛覇尾衛攻
【テールアンカー】が命中した敵を【先端部のクロー】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[先端部のクロー]で受け止め[テールアンカー]で反撃する。

イラスト:御崎ゆずるは

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠桐嶋・水之江です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「偽りの平和に破壊を」
 その声は、再びの邂逅とは思えぬほどに落ち着いた声色だった。
 オブリビオンマシン『アーレス』は、元より圧倒的な性能を持つ『巨神』である。
 闘神とも呼ばれた機体。
 そして、その搭乗者にもまた闘神足り得るを求められる。
 だが、その制限を取り払ったのが『殲滅回路』である。唯一の欠点とも言うべき搭乗者の制限を取り払った代償は、言うまでもなくパイロットの生命である。
 故に長く戦うことができない。
 しかし、『アーレス』の背面には奇妙な装置が取り付けられていた。
「……以前交戦したときには見受けられなかった装置がある」
『パッセンジャー』は、翡翠の瞳でそれを認め眉根を寄せた。
「生体反応!?」
『サツキ・ラーズグリーズ』はAI『エイル』の言葉に耳疑った。
 背面の装置。
 再び現れた『アーレス』に、以前とはことなる装備が配されていたのだ。それ自体はまだいい。

 だが。
「偽りの平和に破壊を」
 膨れ上がる重圧。
 それは機体より発せられるものであり、同時に内部……コクピットからも発せられるものであった。
「こ、の重圧……まさか!『エース』が、乗っているのか!?」
「……」
『パッセンジャー』は、彼にしては稀有な苦虫を潰したような表情を浮かべていた。
「……そういうことか」
「何が!」
「つまり、『あれ』は」

 そう、『十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない』といのならば、また逆も然りだ。
『疑似脳』と呼ばれる技術がある。
 クローニングされた脳。
 その脳は嘗ての|『憂国学徒兵』《ハイランダー・ナイン》の再現された脳であり、肥大化していたのは、ただクローニングっしただけでは彼らのキャバリア操縦技術を再現できなかったからだ。故にコクピットに収まるほどの脳でなければならなかった。
 そして、それらの技術が十分に発達したのならば。
 死人を肉体という器に降霊させることもまたできるということ。
 迫る重圧が、それを証明していた。

 ――苦しみに道行く足を止めてはならない。懊悩に手を縛られてはならない。辛さを誰かと共有してはならない。何故なら、それは己が選んだ理由だからだ。

「偽りの平和に破壊を」
 その声を知る者ならば、理解しただろう。
 闘神『アーレス』の贋作は、その魔法の如き、科学技術によって、百年前の『救世主』にして『悪魔』とも呼ばれた『フュンフ・エイル』をパイロットという器に降ろしたのだ。
 今まさにここに新たななる異名が生まれた。

 選べ。
 相対するのか、それとも逃げるのか。
 今、眼の前にあるのは、『エース』と呼ばれた『闘神』そのものである――。
村崎・ゆかり
なるほど、わざわざ縁もゆかりもない百年前の人間を降ろしたか。

いいでしょ、相手になるわ。
「全力魔法」重力の「属性攻撃」「範囲攻撃」で盤古幡。
一気に重力五百倍をお見舞いするわ。

合わせて、「除霊」の符を『アーレス』の追加ユニットに飛ばす。霊を降ろしているなら、還せばいいだけ。あたしはね、そっちの方面の方が専門なのよ!

高い機動性は重力で殺し、攻撃も出来ないようにしてあげるわ。
念のため「式神使い」で『鎧装豪腕』による「盾受け」の用意もしておく。
射撃系の兵装がなくて助かったわ、この機体。
さあ、重力の渦に沈みなさいな! まだ足りないというなら、重力千倍!
身動きできなければ逃げられないでしょ。



『十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない』のならば、それは理外の法と呼ぶしかないものだった。
 疑似脳から連なる技術体系。
 百年前の汎ゆる戦闘データの集約。
 そして、細胞。
 それらから導き出された『ハイランダー・ナイン』の復元は一定の成果を見せていたといえるのかもしれない。

 そして今、只人であるパイロットを受け皿として、嘗ての『フュンフ・エイル』の戦闘データを『全て』注ぎ込んだ結果、生霊とも言える存在を降ろしたような状態となったパイロットは『殲滅回路』を持って扱うことのできるオブリビオンマシン『アーレス』を操る。
 背面の装置。
 それが一体何を示すのかを村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658は知らなかった。
「戦闘時間が限られているんでしょ……そして、無理くりにでも何の縁も所縁もない人間に降ろしたっていうのなら……いいでしょ、相手になるわ」
 ユーベルコード。
 その光を放つ瞳が見据えたのは『アーレス』の駆体。
 ゆかりは、己の霊力を代償にし、盤古幡(バンコハン)を駆動させる。
 分子模型のような黒い球体。
 変化した力は重力となって『アーレス』に解き放たれる。

 機体にかかる重力は無限に増大する。
 そして、同時に追加された背面のユニットへと除霊の符を飛ばす。
 だが、あくまでそれは本当に降霊させたように見えるほどに完璧なデータを人間という器にインストールしただけに過ぎない。
 だからこそ、ゆかりは『アーレス』のパイロットが嘗て『救世主』とも『悪魔』とも呼ばれた『闘神』ではないと知る。
「限界はあるんでしょ!」
 だが、凄まじい重力が迸る。
『アーレス』は元より重力波を操る機体。
 ゆかりの盤古幡によって生み出された重力にもまた影響を及ぼしている。

 大地を踏み抜く機体の脚部。
 けれど、その動きは早くはない。
 念の為『鎧装剛腕』でもって用意をしていたが……。
「さあ、重力の渦に沈みなさいな! まだ足りないというのなら、重力千倍!」
 踏み抜いた足が爆ぜるようにしてゆかりへと踏み込む。
 貫手の一撃。
 だがそれは、思う以上の威力ではなかった。
『鎧装剛腕』で受け止められる。だが、それも長くは続かない。
 ゆかりの霊力も豊富と言えど、長くは保たないだろう。
 だからこそ、重力を操る『アーレス』は無意味と知りつつも、ゆかりへと攻撃を仕掛けてきていたのだ。
 これが一対一ならば、ゆかりはジリジリと削られて敗北を喫することだっただろう。
 だが、ここには己一人ではないのだ。
「『サツキ』、『パッセンジャー』! やりなさいな!」
 その言葉とともに左右から赤い二騎のキャバリアが『アーレス』へと飛びかかり、交錯するように、その駆体へと一撃を見舞うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「外道の手段に落ちた存在を世間はエースとは言わない。悪魔…って呼ぶのよ!!」
アレはまさに悪魔の兵器!!
この世にあってはならないッ

【行動】
レスヴァントMk-2…ボク達の矜持をあいつに見せてやるよ!!

「無敵は破られるための称号ってやつを教えてやる!!」

一章の『情報収集』で集めた情報をベースに『戦闘演算』と『瞬間思考力』で『敵の行動を『見切り』、『存在感』ある『分身』を囮にしつつ接近する
重力波…なら『高重力適応』『低重力適応』した『オーラ防御』を展開。これで!!

ようはあの背面の装置を破壊すればいいんでしょうがッ!!
《瞬間同位攻撃戦術》を行い、背面の装置に連続攻撃を叩き込む。



 オブリビオンマシンにして闘神『アーレス』のアイセンサーが煌めく。
 それは脅威。
 駆体に宿すのは嘗ての『悪魔』にして『救世主』。
「偽りの平和に破壊を」
 パイロットの意識は、すでに落とし込まれた嘗ての『フュンフ・エイル』のものに上書きされている。
 背面のユニットが、それをなしているのだ。
 一度、交戦した『熾盛・改』との対決の中で離脱したのは、恐らくパイロットの限界を超えたからだ。
 負荷、とも言うべきか。
 それこそが無敵に思えた『アーレス』の唯一の弱点。

 だがしかし、その強烈な性能は重力波となって戦場を襲う。
「偽りの平和に破壊を」
 その言葉と共に放たれる一撃を白いキャバリア『レスヴァントMk-2』かいくぐる。
 初撃を躱し、されど、迫る重力波に機体が捕まる。
「くっ……!」
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は衝撃に揺れるコクピットの中、そのモニターに映る『アーレス』の姿を認める。
「外道の手段に落ちた存在を世間は『エース』とは言わない。『悪魔』……て呼ぶのよ!!」
 まさしく今の『アーレス』は悪魔の兵器。
「この世にあってはならないッ」
 ユーリーは『レスヴァントMk-2』の脚部が重力波によって握りつぶされた感触に呻く。

 だが、負けていない。
「『レスヴァントMk-2』……ボク達の矜持をあいつに見せてやるよ!! それに、無敵は破られるための称号ってことを教えてやる!!」
 戦闘演算。
 割り出される攻撃の軌跡。
 瞬間思考がひらめき、ユーリーは破損した片足をパージしながら跳ねるようにブースターを噴射させる。
 さらに掌のように重力波が頭上より迫る。
「……ッ! 今、ならァッ!!」
 一瞬、『レスヴァントMk-2』より放たれたのは高重力適応と低重力適応によって生み出されたオーラだった。
 相手が重力を操るというのならば、その一撃を複雑な演算をもってユーリーは相殺するように放ったのだ。

 だが、それも僅かな時間しか防げない。
 一瞬。
 それこそ刹那。
 だが、その無効化された刹那に横っ飛びのように機体が走り、振り下ろされた重力ナみを躱す。
 背面のスラスターウィングがひしゃげる。
 機体が傾ぐ。
 だが、一瞬でユーリーは判断した捨て身の攻撃。
 手にしたキャバリアソードが投げ放たれ、『アーレス』は重力波で、それをはたき落とす。
 さらに叩き込まれる弾丸。
 アサルトライフルの弾丸が火線を描きながら機体に吸い込まれる。
 だがそれも躱され……た、が!

「ようは!! あの背面の装置を破壊すれば良いんでしょうがッ!!」
 瞬間同位攻撃戦術(シンクロイズタクティカル)。
 ユーベルコードによって煌めく瞳。
 アイセンサーから迸る光によって『レスヴァントMk-2』の砲身、ダークマンティスが『アーレス』に突きつけられる。
「ゼロ距離!」
 放たれるレーザー。だが、それすらも『アーレス』は躱す。
 だが、それが狙いではなかった。
 ユーリーは砲身を握りしめるようにしながら、『アレース』の背面に向かって叩きつけるように振り下ろす。

 背面ユニットがひしゃげ、ユーリーは笑む。
「見たかッ! これが! 無敵を破る『エース』の力、だぁぁぁぁぁッ――!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
サツキ殿、パッセンジャー殿、背面のユニットを切り離す事は可能ですか?
接続を断つ事ができるならば、状況は有利になりましょう。
あれが後付けならば、他と比べ装甲も接合も甘い筈……!

ディスポーザブル01【操縦】追尾光線砲台展開【レーザー射撃】
サイキックシールド展開【オーラ防御】テールアンカーの一撃をシールドと【鉄壁】機体装甲で受け止め重機爪の【怪力】で掴みメガスラスター【推力移動】アーレスの機動を妨げる!

戦い続けろ!この命壊れ果てるまで!!『ディスポーザブル!!!』

【継戦能力】己が【闘争心】続く限り!死んでも戦い続けろ!
パルスアトラクターより強化電磁音波を叩きつけ二人が攻撃する隙をこじ開ける!!



 オブリビオンマシン『アーレス』の背面には本来存在しないものが接続されていた。
 それがなんであるのかはわからない。
 わからないが、『アーレス』にとって急所であることは間違いないように朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)には思えてならなかった。
 故に彼女は『ディスポーザブル01』を駆り、『アーレス』へと急接近していた。
 もしも、あの背面にユニットを破壊する……または接合を乱すことができたのならば、この状況を少しでも猟兵側に優位に働かせることができるのではないかと思ったからだ。
 それには、自分ひとりでは駄目だとも思っていた。
「『サツキ』殿、『パッセンジャー』殿、背面のユニットを切り離すことは可能ですか?」
「どうするつもりだ」
「あれの接続を断つことができれば、状況は有利になるかもしれません」
「確証は」
「勘であります!」
 小枝子はそう言い切った。

 だが、他の猟兵の戦いを目の当たりにして小枝子は思ったのだ。
 砲身の一撃が『アーレス』の背面にユニットに当たった瞬間、その機体の制御がわずかにぶれたように思えてならなかった。
 急所、とまではいかないが、何か状況を良くすることができるはずだ、と。
「ですが、あれは恐らく後付でありましょう。であれば、他と比べ装甲も接合も甘い筈であります……!」
 放たれるレーザーと共に小枝子は迫るテールアンカーの一撃をオーラで受け止める。
 だが、次の瞬間『アーレス』は『ディスポーザブル01』に肉薄していた。
 放たれたクローの一撃がオーラを切り裂いて『ディスポーザブル』へと迫る。

「くっ!」
「偽りの平和に破壊を」 
 振るわれた一閃が『ディスポーザブル01』の装甲を切り裂く。
「小枝子さん!」
『熾盛・改』が援護に入るが、『アーレス』は容易くその一撃をかわし、類まれなる格闘性能でもって分かたれた一騎を蹴り飛ばす。
「ぐっ、く……! こいつ……!」
「おおおっ! 戦い続けろ! この生命壊れ果てるまで!!『ディスポーザブル』!!!」
 咆哮と共に小枝子が『アーレス』へと迫る。
 振るわれたクローが汎ゆる攻撃を弾き飛ばし、カウンターを決めるように鋭い一撃を『ディスポーザブル01』の駆体へと叩き込む。

 砕けた装甲。
 貫かれた体躯。
 だが、小枝子の瞳にユーベルコードがきらめいていた。
「この生命が壊れても」
 コワセ。
 コワセ。
 コワセ。
 ただそれだけが頭にこだましている。
 たとえ、死んだとしても黄泉帰ってくる自覚なき狂霊。
 その闘争心が突きぬ限り、小枝子は『ディスポーザブル01」を突き動かし、貫かれた胸部倉庫を展開する。 
 そこに配されたパルスアトラクターから放たれる電磁超音波でもって『アーレス』へと解き放ち、小枝子は叫ぶ。
 敵に一部の隙すらないというのならば、それをこじ開けるのが己だ。
 血反吐をちらしながら小枝子は咆哮する。

 コワセ、と――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
ピヨちゃんゆーなです杓原ァ(f28476)!
なーにが乙女の勘ですかこの色ボケ魔女が!
でも同感です、ボクの気配感知にも得体の知れない反応がありやがるですからね。
正直この世界じゃボクは本当の性能を活かせねーです。
悔しいですけどまずはてめーに任せますよ、杓原!
その間に敵の動きをなるべく近くで観察して、瞬間思考力と瞬間記憶でどの辺を狙うべきか考えとくです。
杓原の鮫キャバリアが敵の動きを止めたら攻撃開始ですね。
チャンスが来たら推力移動で一瞬飛んで、敵に取り付いて怪力でしがみつくですよ!
そしたら背中の装置もまとめて超至近距離からGブラストをお見舞いしてやるです!
杓原ァ!逃げる時はボクも連れてけですよ!


杓原・潤
うるうの乙女の勘にぴーんと来たよ、ピヨちゃん(f42991)!
どうにかしてねって言ってるようなあの背中のランドセル。
あれをどうにかすれば何とかなっちゃうかもよ?
どうなるかは……やってみてのお楽しみ!
さぁ行くよ、テルビューチェ。
うるうと一緒に皆を守ろうね!

うるうの魔法でテルビューチェは絶対壊れない。
このまま接近戦を挑むよ!
陸じゃテルビューチェがあのスピードに敵わないのは分かってる。
だったら敵の攻撃を全部受け止めて、まずは尻尾を掴んじゃえ!
格闘攻撃からピヨちゃんをかばうのだってお手の物。
テルビューチェの怪力で敵の尻尾や手か足を捕まえたら準備完了!
仕上げは任せたよピヨちゃん、よーく狙ってね!



 漆黒の機体が揺れる。
 しかし、オブリビオンマシン『アーレス』は、その一分の隙すら見せぬ凄まじき挙動でもって猟兵達の挙動に大立ち回りを見せていた。
 凄まじき技量である。
 機体性能もまたチート級と呼ぶに相応しい。
 通常のキャバリアのように火器を携行しているわけでもないのに、汎ゆる距離に対応してくるのだ。
「偽りの平和に破壊を」
 搭乗者は並。
 本来なら扱えぬ者が扱えるようになるという『殲滅回路』のチート。

 その暴威は正しく一騎当千と呼ぶに相応しい。
 だが、杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)には活路が見えていたようだった。
「うるうの乙女の勘にぴーんと来たよ、ピヨちゃん!」
「ピヨちゃんゆーなです杓原ァ!! なーにが乙女の勘ですかこの色ボケ魔女が!」
「あーひっどーい! うるうのことそんなふうに思ってたんだぁ!」
「いいから、どうにかしないとまずいですよ、あいつは!」
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は潤の言葉にがなり立てた。
 そもそも彼女はこの世界では十全に己の性能を発揮できない。
 航空戦力に特化したレプリカントである彼女にとって、クロムキャバリアに生まれたこと事態が間違いであった。 
 けれど、間違いであろうとなんであろうと生きているのだ。
 なら、それを嘆く暇などファルコにはなかった。
「どうにかしてねって言ってるようなあの背中のランドセル。あれをどうにかすればなんとかなっちゃうかもって思わない?」
 その言葉にファルコは悔しいが同館だと頷く。

「ボクの気配察知にも得体の知れない反応がありやがるです」
「それってどんなの?」
「よくわかんねーです! けど、真っ当なもんじゃあないでしょ、あれは! 悔しいけど……まずはてめーに任せますよ、杓原!」
「うん! どうなるかは……やってみてのお楽しみ! いくよ、『テルビューチェ』!」
 潤の瞳がユーベルコードとともに輝く。
 アイセンサーの光が『テルビューチェ』の駆体を魔法で圧縮された水へと変貌させる。
 その光を拭うように漆黒の駆体『アーレス』が迫る。

 肉薄した瞬間を留め置くことすらできなかった。
 それほどまでの踏み込む。
「うるうと『テルビューチェ』が、みんなを護るんだから!」
 組み付くようにして『テルビューチェ』が『アーレス』へと手を伸ばす。
 だが、それを払うように『アーレス』のテイルアンカーが走り、鞭のように機体を打ち据える。 
 しかし、『テルビューチェ』の体は傷つかなかった。
 なぜなら、今の『テルビューチェ』は。
「世界でいっちばん硬くって、決して壊れない!『テルビューチェ』!」
 その言葉に呼応するように『テルビューチェ』が迫るクローを受け止め、組み付く。
 スピードでは敵わない。
 けれど、決して『テルビューチェ』は壊れない。
 なら、と潤は『アーレス』のテイルアンカーを掴み上げ、動きを止める。

「準備完了! ピヨちゃん!」
「任せろってんですよ!」
 ファルコは見ていた。
 一瞬。
 確かに『テルビューチェ』は『アーレス』の動きを止めた。だが、それは一瞬だ。すぐさま『アーレス』はその性能故に『テルビューチェ』を破壊できずとも振り払うだろうい。
 故にチャンスは一瞬。
「Gディフレクター、アサルトモード起動……フルブラスト!」
 ファルコのリアクターから生み出されたエネルギーが拳に集約される。

 ファルコは一瞬の内に動きを止めた『アーレス』に迫っていた。
 背面を狙っていたが、それを理解したのか『アーレス』が『テルビューチェ』ごと振り返る。
 なんたる出力であろうか。
「よーく狙って!」
「くっ……おおおおお!! ふる、ぱわー!!!」
 ファルコは飛び込む機動を無理やり曲げて『アーレス』の背中に飛び込む。
「その背中の装備! まとめてどっかーんですよ!」
 振り下ろした拳が炸裂する。
 ユーベルコードの輝きと共に打ち込まれた一撃が『アーレス』の背面ユニットをひしゃげさせた。
「杓原ァ! 逃げる!」
「はぁい!」
 二人はその爆発に巻き込まれながらもよろめく『アーレス』を見ながら離脱するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

『エイル』さんの偽物ですか!?
そ、そんなの、天や地や神が許しても、ステラさんが絶対許さないのでは……。
(ぎぎぎぎ、と首回して)

ほらー!
地雷踏み抜くどころか、ピンポイントハイフライフローですよ!

ああもうオーラがヤバいです。
頭にきすぎてクールになっちゃうやつですね。

それにしても『エイル』さんも難儀ですよね。

『世界を平和に』『世界に救いを』

わたしも勇者なんでそのへんも解るんですが……。
ずっと平和になんてならないんです。
世界を救うとかも、どんなに力があっても一人では無理なんです。
それを納得できなかった『エイル』さんは、純粋すぎたんですね。

でも。
それを支えられなかった周りの方にも責任はありますよ?

わたしは周りの方にそれを教えていただいたし、支えていただきました。
だから、すべての責任を『エイル』さんに背負わせた人たちは、ちょっと嫌いです。
さらに、その力だけを利用しようとするなんて許せないですね。

ここでしっかり止めさせていただきますよ!
なんかステラさんには頼られてないですけどね(ちょい拗


ステラ・タタリクス
【ステルク】
この、声……!エイル様!?
バカな、疑似脳で声まで……
こんな技術……あの性悪女……!!
もはや手段すら選ばなくなったというのですか!!
『フュンフ・エイルの望みを叶えたい』のでしょう貴女は!!
その為にエイル様に地獄を見せようというのですか!!

はっ!そうか、これ……!
『前』に零れ聞いた、地獄!!
サツキ様さがって!ルクス様と態勢を整えて!
その間押し留めます!
ケルーベイム!【テフィラー】!

戦いに際しては心に平和を
と謳いながら
『どうすれば『平和』になるのかわからない。
どうやれば世界を救えるのかわからない』から
エイル様は此処に居てはいけないと姿を消した
それを無責任と言うのならば
その責を負わせたのは誰なのです!
今なお、その名に頼っているのは!

ええ、ケルーベイム
私は『奉仕者』足り得ません
私はメイドです
時に、主人が望まぬ道を征くというのなら
我が身を挺して阻止するが務め!
サツキ様!パッセンジャー様!お力を貸してください
アレは此処で!この世から消します!!

【ヘレヴ】!
この剣が、貴方の祈りに添い遂げる!



 う、とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わずうめいていた。
「偽りの平和に破壊を」
 それは『エイル』と呼ばれる者の声に思えた。
 ニセモノ? とルクスは思っていたが、それ自体は問題ではなかった。
 もしも、だ。
 もしも、本当にニセモノであれ『エイル』をどうにかできたというのならば、ぎぎぎぎ、とルクスは振り返った。
 もう遅いかも知れない。
 天が、地が、神が許しても、メイドが赦さない。
 絶対に赦さない。
 そう思えたのだ。

「この、声……!『エイル』様!?」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は動揺していた。
 響く声。
 それはまごうこと無き『フュンフ・エイル』のものであった。
 変声期を迎えたか、迎えていないか。
 けれど、ステラが『主人様』と認めた彼の声を聞き間違えるわけがなかった。
「バカな、疑似脳で声までは、再現できていなかったはず、なのに……これは、まさ、か……こんな、技術……あの性悪女……!!」
「ほらー! 地雷踏み抜くどころか、ピンポイントハイフライフローでうしょ!」
「もは手段すら選ばなくなったというのですか!!」
 ステラの目がバキバキになっていた。
 瞳孔は開きっぱなしである。
 正直に言って怖い、とルクスは思った。
 オーラがやばい、とすら思えた。
 頭に来すぎてクールになっているというやつなのだと思えただろう。

「は! そうか、これは……!『前』に溢れ聞いた、地獄!!『サツキ』様下がって! ルクス様と体勢を整えて下さい! その間に押し留めます!」
「何を……待って下さい!」
『サツキ・ラーズグリーズ』がステラを止めようとする。
 だが、それよりも早くステラの瞳がユーベルコードに輝く。
 響くは讃美歌。
「賛美を歌う……祈る者こそが起源なれば……聖なるかな」
 青き稲妻が戦場に迸る。
 その最中をオブリビオンマシン『アーレス』が疾駆し、雷撃の一撃一撃が視えているかのように動き、躱していくのだ。
 凄まじい挙動。
 まさに『エース』そのもの。

「偽りの平和に破壊を」
「戦いに際しては心に平和を」
 二つの言葉が響く。
 ステラは祈る。
 どうすれば平和になるのか。
 どうすれば世界を救えるのか。
 わからない。
 けれど、とステラは思うのだ。そう言って世界から去った者を無責任とそしるのならば、その責を背負わせたのは誰なのか。
「それでもな、その名に頼っているのは!」
 誰なのだ、とステラは叫ぶように歌う。 
 青い稲妻が戦場を埋め尽くしていく中、ルクスは思う。

 難儀なことだ、と。
「『世界を平和に』、『世界に救いを』。わたしも勇者なんでそのへんも解るんですが……ずっと平和になんてならないんです」
 重力波が『アーレス』から放たれる。
 巨大な掌が頭上から己が身をおさえつけるようであった。
 けれど、ルクスは面を上げた。
「ずっと平和になんてならないんです。世界を救うとかも、どんなに力があっても一人では無理なんです」
「偽りの平和に破壊を」
 響く声。
『フュンフ・エイル』を降ろしたかのような『アーレス』の挙動は恐るべきものだった。
 きっと、とルクスは思う。

 彼は純粋すぎたのだろう。
 擦れることすら赦されなかったのだろう。
 それ故に懊悩する。
 けれど、人は一人では生きてはいけない。
「誰かが支えてくれるし、支えようとするのが人なんです。なら、周りの人は何をしていたんです!」
 ルクスにはそれを教えてくれる者がいた。
 支えてももらった。
 だからルクスは思う。
「だから、すべての責任を『エイル』さんに背負わせた人たちは、ちょっと嫌いです」
 その言葉を聞く者はもういないだろうけれど。
 けれど、その力を利用しようとする者がいる。
「その力だけ利用するなんて許せないんですよ!」
 迸るは音の洪水。
『アーレス』がたぐる重力波の力に作用されぬ音波は、『アーレス』の動きを止めた。
 背面のユニットが破壊されているからか、隙というものが生まれ始めえていた。

「そのとおりです」
 ステラは祈り、歌う。
 讃えよ、ケルビム。
 その歌声と共にステラは叫ぶ。
「私は『奉仕者』たりえません。私はメイドです」
『ケルーベイム』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
「時に主人が望まぬ道を征くというのなら、我が身を呈して阻止するが務め!『サツキ』様、『パッセンジャー』様! 御力を貸してください。アレは此処で! この世から消します!!」
 迸る雷撃の雨の中を赤い二騎のキャバリアが疾駆する。
「なんかわたしは頼られてないみたいなんですけど!」
 ちょっと拗ねるルクスの声が響く中、二騎のキャバリア『熾盛・改』が『アーレス」の両側から迫る。

「うう、おおおおっ!!」
 プラズマブレイドの一閃を『アーレス』が腕部のクローで受け止める。
 走る奔流。
 激突する力と力。
 その輝きをステラは認め、祈る。
 誰かの祈りに添い遂げるのならば、その憂いを認めなければならない。
 そして、それでも寄り添うと決めたのならば、はじめてそれは優しさとなるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【理ジェ】

うわぁ。
やっぱりこれは、生者に対しても死者に対しても冒涜だよね。

それにしても、ねー。
『偽りの平和に破壊を』?

それじゃ、偽りじゃない平和ってどんなの? って聞きたくなるよね。
この問いに答えられるから、そう言ってるのかな?

平和なんて『たかだか数十年~百年程度の戦いのない時間』なのに。

これならまだ、『戦いに際しては心に平和を』のほうが解るよ。
こっちは自分の心構え、自分への戒めだし。

なんにしても、『偽りのフュンフ・エイル』が偽りを語るとか、片腹痛いね。

選べというなら相対一択。

『希』ちゃん、過去のデータから攻撃予測して共有。
同時に【リフレクションマリス】展開!

サージェさん、攻撃は任せたー!


サージェ・ライト
【理ジェ】
おっと、これはえらく厄い
|死霊術《ネクロマンシー》ってことですかね?
どうして魔法も科学も人の幸せを願うのに
人の不幸を誘うのでしょうね?

ふーむ、私のガラではないんですが
ちょっと|シリアス《真面目》にいきますか

かもんっ!『ファントムシリカ』!!

偽りの平和に破壊をって
偽りでも平和ならいいでしょ?
進むために壊したいというのなら
そんな力など捨ててしまいなさい!!

【威風堂々】と
アナタ相手なら忍ぶ必要などありませんし
機動力で翻弄してみせましょう
ファントムクォーツユニット展開!
エンジェライトスラスター起動!

いっきますよー!
「強き想いは信念をも砕く! 参ります!」
攻撃力重視の【疾風怒濤】で決めます!



 禍々しい。
 そう思わせるほどにオブリビオンマシン『アーレス』の放つ気配は強烈なものだった。
 人の怨念めいたもの。
 そして何より、重圧。
 その場にあるだけで他者を制圧するかのような重圧のほとばしりは、『アーレス』の只人であるパイロットに降ろされた何かを原因としているようだった。
 十分に発達した科学は魔法のごとく。
 であるとしても、だ。
「うわぁ」
「おっと、これはえらく厄い」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)とサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は思わずうめいていた。

 それほどまでに『アーレス』の放つ重圧が彼女たちの胸を押しつぶすかのようであったからだ。
「これって、|死霊術《ネクロマンシー》ってことですかね?」
「うん、それに近しいんじゃあないかな」
「……どうして、魔法も科学も人の幸せを願うのに、人の不幸を誘うのでしょうかね?」
「そうだね。これは、生者に対しても死者に対しても冒涜だよね」
 たとえ、その始まりが誰かの幸せを願うものであったとしても、かけがえのない尊いものであったとしても、それ自体が強烈な光を放つのならば、誘蛾灯のように多くを集めるものになるのだろう。
 そういうものなのだ。
 ひしゃげた背面ユニット。
『アーレス』は、その漆黒の装甲を、両側から迫った二騎の赤いキャバリアのプラズマブレイドをクローで受け止める奔流の光で照らしながら吠えるように凄まじい重力波をもって吹き飛ばしていた。

「偽りの平和に破壊を」
「それじゃ、偽りじゃない平和ってどんなの?」
 問い返しても、答えは返ってこない。
 理緒はやはり、背面ユニットが完全なものではないと理解しただろう。あれが破壊されただけでは説明がつかない。
 そして、理緒はサージェと目配せする。
「平和なんて『たかだか数十年から百年程度の戦い時間』なのに」
 なのに、偽りも真もないと理緒は思う。
 それに、と彼女は『アーレス』が此方に標的を定めたのを知りながら、言い放つ。
「偽りの平和に破壊を」
 その言葉に相対する言葉。
「まだ『戦いに際しては心に平和を』のほうが解るよ。自分の心構え、自分への戒めなんだからね。なんにしても、さ!」
 理緒は選ぶ。
 一択だ。
 実質のところ、そうするしかないし、そうするつもりなのだ。
 だからこそ、理緒はその瞳をユーベルコードに輝かせる。

「『偽りのフュンフ・エイル』が偽りを語るとか、片腹痛いね!」
 放たれた重力波が反転する。
 それがリフレクションマリス。
 反射された重力波を『アーレス』は受け止める。
 受け止められることは予想できた。問題なのは、その攻撃を受け止めるために一瞬の隙が生まれることだ。
 その僅かな隙があれば、サージェは……『ファントム・シリカ』は戦場を駆け抜けることができる。
「偽りの平和に破壊をって、偽りでも平和ならいいでしょ!」
 サージェは柄じゃないと思った。
 けれど、言わねばならない。
「進むために壊したいというのなら、そんな力など捨ててしまいなさい!!」
 疾風怒濤(クリティカルアサシン)と『ファントムシリカ』は『アーレス』に踏み出す。

 振るわれるは徒手。
 そう、キャバリアにありながら『アーレス』は徒手空拳でもってクローを振るう。
 その速度、尋常ではない。
 打ち込まれる拳は、全てがファントムクォーツユニットによって生み出された幻影を貫いた。
 アイセンサーの残光が走る。
『アーレス』は捉えていた。
『ファントムシリカ』の加速そのものを。
 だが、それでも手数は『ファントムシリカ』のほうが上だというように、超連続攻撃が走る。
「強き想いは信念をも砕く! 参ります! そにっくぶろー!!」
 叩き込まれる一撃が『アーレス』のクローを砕き、破片が舞い落ちる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
子を想う心は、きっと彼女を支えてくれる
思いは繋がるもの
それは、独りではないということ

敵とは距離を取り、光の矢で援護射撃するわ
相手の射程に入らぬよう『ダッシュ/ジャンプ』や『早業』で俊敏に立ち回る

偽りの平和を壊そうとするあなた
どれほど強くても、苦しそうね
我が子にすら気づかずに……
あなたは、何を見て、誰のために戦っているの?
たとえ『闘神』になったとしても
そのままでは、世界を救えても、人を救うことはできない
あなたはもう、そのことを知っているでしょう?

――魂に宿る灯をともし、彼を浄化する
たとえそれが、己の選んだ道だったとしても……
その覚悟を知る者となら、辛さを分け合っても、よかったはずよ



 確信がある。
 人の心は折れても、また立ち上がることができるという確信がある。
 それを知ったからこそ、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は己が乗騎でもって『ヌル・ラーズグリーズ』を守った。
「子を想う心は、きっと彼女を支えてくれる。思いは繋がるもの」
 たとえ、間違いだらけだったと思ったとしても、生まれた生命に間違いなどない。
 望まれて生まれて。
 祝福と共に産声を上げた。
 その生命があるのだからこそ、彼女は独りではない。
 だからこそ、脅威は払わねばならない。

 静漓はオブリビオンマシン『アーレス』の猛威を見た。
 己にできるか。
 その思考すら置き去りにするように静漓は疾駆する。
 ふわりと、彼女の軽い体躯が宙に浮かび、『アーレス』は静漓を認めてアイセンサーを輝かせた。
 敵意。
 突き刺すような鋭い槍めいた敵意が彼女を睨めつけ、そのテイルアンカーが鋭く迫る。
「偽りの平和に破壊を」
「偽りの平和を壊そうとするあなた」
 静漓は、その青い瞳に『アーレス』を認める。
 背面ユニットが破壊されているが、しかし、その動きに緩慢なところはなかった。
 ただただ敵を穿ち屠るためだけに力を行使する。

「どれだけ強くても、苦しそうね。我が子にすら気づかずに……」
「おおおおっ!!」
 プラズマブレイドの一閃と共に『サツキ・ラーズグリーズ』の駆る『熾盛・改』が『アーレス』と激突する。
 力の奔流が迸る中、静漓はそのさまを見やる。
「あなたは、何を見て、誰のために戦っているの? たとえ、『闘神』になったとしても、そのままでは、世界を救えても、人は救うことはできない」
 猟兵がそうであるように。
 けれど、自分たちは猟兵である前に人を救いたいと想う。
 だからこそ、静漓は光の矢を携え、迸るオーラを放つ。

「偽りの平和に破壊を」
「あなたはもう、そのことを知っているでしょう?」
 それ事態が偽りなのだと。
 真のことに力は宿る。確かに『アーレス』は力の象徴なのだと思う。けれど、と静漓は弾き飛ばされた『熾盛・改』の姿を認める。
 親と子が争う。
 それは悲しいことだと思う。
 だが、それもまた人の営みなのだと彼女は思った。
 あり得なかった親と子との争いが、今此処に結実している。嘆くのならば、それが過去に歪んだことだろう。
 健全ではない。
 正しくはない。だから、悲しい。
 
 だからこそなのかもしれない。
 ともせ(トモセ)、と呟く彼女の唇が紡いだのはユーベルコード。
 光がオーラとなって戦場に降り注ぐ。
「たとえ、それが己の選んだ道だったとしても……その覚悟を知る者となら、辛さを分け合っても、よかったはずよ」
 それを理解する子がいる、と静漓は『サツキ・ラーズグリーズ』の戦う姿を見る。
 親から子へ。
 紡がれた何かが、其処に発露しているように思えてならなかったのだ。
 静漓の放つ光は『アーレス』、そのコクピットの只人たるパイロットに降ろされた何かを浄化せんとし、その輝きを示し続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
…継ぎ接ぎの模造品だろうともどのみち力量ではこっちの負け。
体を張るしかないから守りは捨てる。

Eフィールドを牽制と盾に使い接近戦を誘い、相手の攻撃に合わせるようにUCでアルカレクスの片腕を変異させた槍…【HXA-4 ヴォルトスピアー】を繰り出す!

反応され受け止められても構わない!ヴォルトスピアーよりそのまま放電を実行!「槍を受け止めた」クローを介して機体へと高圧電流を流し込み、機体の電装系にダメージを与えてやるわ!

パイロットを介しユニットが機体を動かす以上、その連動の間のどこかで問題が起きればその戦闘力は維持ができない。隙ができたなら幸い、もう片腕をドリルに変え、その装甲、ぶち抜いてやる…!!



 歪なツギハギだとアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)はオブリビオンマシン『アーレス』を見て思った。 
 確かに性能はチート級なのだろうと思う。 
 たとえ、贋作、模造品出会っとしても、その性能は本物だ。
 だからこそ、『殲滅回路』は本来ならば起動すらさせられない『アーレス』を起動させるために使われている。
 それは言ってしまえば、只人のパイロットという足枷を『アーレス』に嵌めるようなものだった。
 そして、さらにそこに背面ユニット……これをもって只人に過去の『エース』を魔法のような科学でもって降ろしている。

 なんとも歪だ。
 その歪さは、『アーレス』の動きに顕著にあらわれているように思えた。
 踏み込むようにして『アーレス』は迫る二騎の赤いキャバリアを弾き飛ばしながら、アルカが駆る『アルカレクス・ドラグソリス』へと迫っていた。
 テイルアンカーの一閃。
 その鋭い一撃を躱すことはできず、エネルギーフィールドで受け止める。
 瞬間、その砕けた腕部クローの一撃が『アルカレクス・ドラグソリス』の頬を打ち据える
「……クッ……どのみち力量ではこっちが負けてる! このままでは……押し切られる!」
 たとえツギハギであっても、その力で押し込まれるのならば敗北は必定である。
 ならば、とアルカは己にできるただ一つを為す。
 そう、覚悟である。

「体を張るしかない! 守りは……捨てる!」
 更に迫るクローの一撃に合わせるようにして『アルカレクス・ドラグソリス』の腕部が突き出される。
 盾となるエネルギーフィールドのエネルギーを腕部に回す。
 今しかないとはなった片腕。
 くれてやるつもりで放たれた一撃はしかし、テイルアンカーによって串刺しにされ、動きを止めた。
「……ッ! うっ!?」
 さらに叩き込まれるクロー。
 機体が傾ぐ。
 今の一撃ですら対応された。
 だがアルカは諦めなかった。串刺しにされて動きを止めた腕部を強引に引きちぎりながら、残された片腕を放つ。
 それすらも『アーレス』はいなしたのだ。
 何たる技量か。

 引きちぎれた腕部が宙に舞う。
「偽りの平和に破壊を」
 勝ち誇るように『アーレス』の一撃がアルカへと迫る。
 だが、宙に舞う腕部が姿を変えていた。
 それは、HXA-4 ヴォルトスピアー(ヘキサアームズフォー・ヴォルトスピアー)。
 アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
 初撃は、すでに放たれている。
 それは槍型刺突機構へと変じた腕部。いなされた片腕の一撃に機体が翻り、引きちぎれながらも槍へと変貌した腕部を掴み、『アーレス』へと叩き込むのだ。

「受け止めてもッ!」
 そう、それすら受け止められる。防がれる。
 だが、関係ない。 あるかは吠える。
「少し……しびれてなさいっ!!!」
 放つは高圧電流。 
 それは機体に流れ込み、アルカの目論見通り『アーレス』の機体に深刻なダメージを及ぼすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
集れ、集れ、集れ!
戦うものたち、戦えぬものたち、戦死者たち、集れ!!

ディスポーザブル01【操縦】『禍戦・瞋憎喰』戦闘続行!
【継戦能力】敵味方全員、この戦場に渦巻く怨念を纏い、戦闘力増強、
己が【闘争心】とする!目的は敵の破壊と、殲滅回路の確保、忘れるな!!
メガスラスター【推力移動】最大速度!動体【視力】、【瞬間思考力】を以て貫手を腕の腕刃で受け流し、戦塵髪展開、機体各所から無数のコードを生やしまくり【追撃】を行わんとするアーレスの攻撃を機体で受け【カウンター】代わりにコードで絡め取る!!

限界が来れば逃げるのだろう!逃がさん!!

纏う戦場怨念より戦塵霊物質を生成し継戦能力増強戦闘続行、何重にもコードを生やし、背面ユニットを【怪力】と【切断】で捩じり斬り取らんと締め上げ、【念動力】で千切れ飛ばされるコードをアーレスへ付着させ、アーレスが踠く程に幾重にも覆い尽くし、霊障怨念結界でも覆い尽くし、【呪詛結界術】外界との繋がりを物理的にも概念的にも断ち、逃げられない様に締め上げる!!!

止まれ、闘神。



 オブリビオンマシン『アーレス』に走る電流。
 それは機体の制御系にダメージを与えるものだった。震える機体。
「偽りの平和に破壊を」
 揺らぐような駆体の中で、『それ』は呟いた。
 破壊。
 そう、破壊である。
 偽りであるのならば、真が撃ち負ける理由などない。
 故に踏み出した。

 だが、その前に立つ者があった。
「集れ、集れ、集れ!」
 咆哮のような叫び。
 怨念のような声。
「戦うものたち、戦えぬものたち、戦死者たち、集れ!!」
 それは呼び声であったが、同時に知らしめるものであった。
 鋼鉄の駆体、『ディスポーザブル01』の中で、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の人工魔眼は燃えていた。
 戦争が生み出す怨念。
 それを小枝子は纏っていた。
 己の闘争心が怨念を支えていた。

「瞋憎を喰らえ」
 禍戦・瞋憎喰(デッドオーバー・ハート)。
 小枝子は、この戦場に渦巻く怨念を全て身にまとい、漲るような力と共に踏み出した。
 怨念は質量を持ったように『ディスポーザブル01』を鈍重にしていた。
 踏み出すだけで大地を踏み抜く巨躯。
 噴射したメガスラスターの光は明滅するようであったし、その加速は『アーレス』の間合いに踏み込ませるには十分だったのだ。
「偽りの平和に破壊を」
 振るわれるは、拳。
 腕部クローは砕けているが、それでも一撃は重たく『ディスポーザブル01』を打ち据える。
 しかし、怨念によって重量増す機体は折れることなく、さらに突き進む。
 更に叩き込まれる一撃を頭部で受け止める……否、頭突きのように拳を砕こうとしているのだ。

 その一瞬にて放たれた貫手を腕部の刃で受け流す。
 火花を散らせながら、腕部の刃に亀裂走り、砕けた。
「……ッ!!」
 さらに振り乱すようにして頭部から放たれた戦塵髪が無数のコードとなって『アーレス』へと放たれる。
 追撃の一撃を阻むように視界を覆い尽くし、その素行へと叩き込まれるのだ。
「……偽りの平和に」
 動きが鈍る。
 これまでの猟兵との戦いでパイロットが保たないのだろう。
 加えて、背面ユニットによってパイロットに『フュンフ・エイル』を降ろしている。その負荷は尋常ならざるものだろう。

 故に小枝子は理解した。
「逃さん!!」
 踏み込む。
 怨念をもって形成された霊物質。
 如何に機体が砕けようとも、頭髪の如きコードが幾重にも生まれ、さらに『アーレス』の背面ユニットへと襲いかかる。
 ひしゃげたユニットは、まだその力を発揮しているだろう。
 故に小枝子は走るコードでもって背面ユニットの完全破壊を目論むように叩きつけ、さらに機体へと絡みつかせる。

 怨念結界が『アーレス』を離脱させぬと囲い込む。
 それは言ってしまえば、リング。
 決闘場。
 逃れ得ぬ戦いの場。
 故に小枝子は咆哮する。
「止まれ、闘神。止まれないのならば、ここで壊れろ」
 幾重にも巻き付いたコードが『アーレス』の四肢を締め上げ、その装甲をひしゃげさせていく。
 それこそが争いを憎む怨念そのものだというように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジュディス・ホーゼンフェルト
やっと仕事に取り掛かれる
ガルムもさっきから唸りっぱなしだ

背中のアレは狙ってくださいと言わんばかりだね
誘いに乗ってやろっと

もしも本物のアーレスをそっくり真似てたとしよう
そしたらパイロットはアーレスの動きに付いていけるもんかねぇ?
デチューンされてるってのはそういう意味でしょうよ

アーレスに振り回されて中身がへバるのを待つ
ガルム、それまで遊んでやりな

動き回ってジャミングスモークを撒く
あたりが真っ暗になればいい感じだ
重力波を無駄撃ちさせてやる
時々ハウリングシャウターでおちょくってやろう
姿が見えなくたってガルムは鼻(ジャミングキャンセラー)が効くんでね
疲れを見せたら、収束モードのVVBCで背中をぶち抜く!



 唸り声を上げるような『ガルム』のジェネレーター。
 その駆動音を聞いて、巫女たるジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)は、やはり唸っていると思っただろう。
 比喩ではない。
 文字通り『ガルム』は唸っている。
 それは怒りか、それとも警戒か。
 いずれにしたってジュディスは己のやるべきことはただ一つだと理解している。
「やっと仕事に取り掛かることができるってものよねえ。まったくもって、面倒なことになっているみたいだけれど……お膳立てはできているってことよね?」
 彼女は猟兵たちの攻勢によって追い詰められた『アーレス』を認める。

 たとえ、贋作と言えど『アーレス』である。
 その性能は言うまでもない。
 だがしかし『殲滅回路』は、『アーレス』の性能を底上げするものではなかった。
 只人では扱えぬ機体を扱えるようにするチート、が精一杯なのだ。
 そして、その『殲滅回路』は皮肉なことに『アーレス』に只人という搭乗者、足枷をするものであった。
 せっかくのチート級性能を持ち得る『アーレス』の贋作、欠片だとしても、あの『アーレス』には幾重にも雁字搦めの枷が嵌められているようなものだ。
「そこに『フュンフ・エイル』をおろす、ねぇ?」
 焼け石に水だ。
 はっきり言って無駄だ。

 そんな機体を逃さぬとばかりに四肢を拘束していたコードを振りほどき『アーレス』が背を向けていた。
 背面ユニットが既に破壊されている。
 それを認めてジュディスは『ガルム』と共に走る。
 すでに『アーレス』の性能と『フュンフ・エイル』を降ろしたことでパイロットは限界を超えているだろう。
「遊んでやるまでもなかったわねぇ?」
 唸り声は咆哮に変わる。
 周囲に煙が満ちる。
『ガルム』のジャミングスモークによって、『アーレス』の周囲は闇色に染まるだろう。

『アーレス』は己の逃亡を阻む煙を払わんと重力波を放つ。
 晴れる闇。
 けれど、『アーレス』は己の背後に揺らめく赤いアイセンサー、その双眸を認めることがでいなかった。
「――ッ!!!」
 ハウリングシャウターが放った音は、生物に対して根源的な恐怖を引き起こすものだった。
 パイロットが生身の人間であればなおのことだ。
「どんな人間だってねぇ、怖いもんは怖いものよねぇ」
『ガルム』は恐慌状態に陥ったパイロットが放つ重力波を容易く躱すように疾駆し、『アーレス』を翻弄する。
 機体は枷で雁字搦め。
 パイロットは二重の意味で疲弊。
 その馬脚を顕にしている。
 であれば、だ。

「負ける道理なんてない……アナスタシア聖下はわかっておられたのね」
 自分一人、単独で派遣された意味を。
「この状況なら……『ガルム』!」
 VVBC(ヴァリアブル・ヴェクタード・ビーム・キャノン)。
 背面のビームキャノンの砲身が『アーレス』を狙う。
 収束モードで放たれた光条の一閃が『アーレス』の背面を打ち抜きながら、その機体を爆散させる。
『闘神』ならぬ者が乗る機体は『闘神』たりえず。
『闘神』の如き『エース』とて、ただ降ろされただけなのならば、ただその技量に枷されただけに過ぎず。

 故に。
「撃ち抜かれるんでしょうよ。ま、悪いけど、こっちもお仕事なんで~」
 爆散した『アーレス』を尻目にジュディスは『ガルム』と共に去っていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年06月30日


挿絵イラスト