ケルベロス・ウォー⑪〜本体よりも厄介なもの
●やつは十二剣神の中でも最弱!
「あ~、やっぱり盛大にズッコケてるね、あの神様は……。なんというか、残念の度合いで考えると、スケールが大きい分だけこっちの方が残念かな?」
最後の十二剣神に届く扉が開かれたが、その正体はやはり残念なものだった。とりあえず倒して戦争の勝利に貢献しておこうと、成谷・理奈(ウェアライダーの鹵獲術士・f40874)は猟兵達に、太陽神スーパーアポロンの討伐を依頼した。
「この残念神様の言葉を信じるなら、この世界の太陽……夜空に輝く全ての星かな? それを作ったのは、このスーパーアポロンってことになるのかな? 確かにそれだけで考えれば、すっごい神様なのかもしれないけど……」
このスーパーアポロン、なんと十二剣神の中では最弱クラスなのだという。こいつが弱いというよりも、他の十二剣神が強過ぎるのだ。おまけに傲慢な性格で人望に欠け、配下のデウスエクスや他の十二剣神からも信用されていない。
「もう、気づいている人もいるかもしれないけど……どこかで聞いたような話だよね、これ」
何を隠そう、このスーパーアポロンは、ケルベロスブレイドの世界にて十二創世神の一柱を名乗っていた、太陽神アポロンの弟だという。だが、あの残念太陽神の弟だけあって、残念の度合いもスーパーな具合で酷い。そのため、猟兵や地球人のことを完全に舐め切っているだけでなく、ケルベロス達がブレイドの世界でアポロンに敗北して逃げて来たと勘違いしている始末なのだ。
「まあ、敗北どころか、アポロンはボク達に真っ先に倒された十二創世神なんだけどね。最後の最後で復活したけれど、死神の操り人形みたいなものだったし、殆ど良いところなしで終わったんだよ」
そんなデウスエクスよりも強いと言われたところで、そもそも他の十二剣神より劣る戦闘力しかないのだから、猟兵が本気を出せば簡単に倒せてしまうだろうと理奈は続けた。もっとも、今回は簡単に倒そうとした場合、地球が甚大な被害を受ける可能性があるので、可能な限り苦戦を演じながら戦って欲しいとも付け加え。
「実はね……スーパーアポロンは太陽からガンマ線バーストっていうのを呼び出して、それを全身に浴びることでパワーアップできるんだ。まあ、元が元だけに、パワーアップしてようやく他の十二剣神と同じくらいの強さってところなんだけどね」
なんというか、何をやっても残念な神である。しかし、このガンマ線バーストが地球を直撃した場合、スーパーアポロンが暴れるよりも酷い被害が出るというのでやってられない。
科学者の計算によれば、仮にこのガンマ線バーストが地球を直撃し続ければ、最悪の場合、地球上の9割近い生物が死んでしまう可能性もあるという。だからこそ、スーパーアポロンがそれに気づく前に倒さなければならない。ガンマ線バーストをスーパーアポロンだけに集中させ、安全に吸収させた上で。
「スーパーアポロンの言葉を信じるなら、ボク達の世界のデウスエクスも、こっちの世界からやって来た存在ってことになるのかな? 似たような歴史を辿っているから、並行世界なのは間違いないんだろうけど……」
その辺の謎は、今は考えるのはよそう。それよりも、まずは残念神様がヤケクソになって、ガンマ線バーストで地球を焼くといった暴挙に出るのを防ぐのが先決だ。
くれぐれも、ガンマ線バーストの本当の危険性に気づかれないよう注意しなければならない。そこだけ念を押し、理奈は猟兵達を太陽神スーパーアポロンの待つ戦場へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは戦争シナリオになります。
1章で終了する特別なシナリオです。
降り注ぐガンマ線バーストをスーパーアポロン以外に当てさせないよう戦うと、プレイングボーナスが得られます。
ガンマ線バーストが地球を直撃した場合、さすがにいきなり9割の生命が死ぬことはありませんが、それでも甚大な被害が出てしまうので注意してください。
第1章 ボス戦
『十二剣神『太陽神スーパーアポロン』』
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POW : スーパーアポロンソード
自身の【太陽の光を凝縮したスーパーアポロンソード】が触れた対象に【太陽の如き熱エネルギー】を注ぎ込み、身体部位をねじ切り爆破する。敵との距離が近い程威力増大。
SPD : スーパー蝗群捕食
【高温の炎で出来た蝗の群れ】をレベルm半径内の対象1体に飛ばす。ダメージを与え、【炎蝗がその熱で噛み千切った】した部位の使用をレベル秒間封じる。
WIZ : スーパー絶対暴食令
【周囲のデウスエクスが絶対暴食モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:カス
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
賤木・下臈
どうも、以前の黙示録指令で東京を賑やかしてくださった御礼に参りました。
相手が太陽の力を得るならば、私は水金地火木土天海他の力を借りて攻撃力を中心に自分を強化します。相手の剣を手持ちの武器で受け、それが無惨に砕ける様に驚愕してみせます。この戦いでの私の狙いは「私が恐れているのは(ガンマ線バーストではなく)その剣である」と相手に信じ込ませることです。当たったら洒落にならないのは事実なので、嘘ではありません。最後に残した槍『グソグニル』で、スーパーアポロンの脚を狙います。刺さったら「死力を尽くしてやっと少し傷を与えた」感じを演出しつつ逃げます。手詰まりなのは事実ですので、他の猟兵に後を託します。
●実際、普通に強かった
ガンマ線バーストによる強化を得たスーパーアポロンは、盛大に調子に乗っていた。
「ンナハハハハハ! 今の我は最強なり! 猟兵でもケルベロスでも、なんでも来いであるぞ!」
自分は最強。自分が負けるはずはない。そう思い込んでいるが故に、油断も隙もありまくり。
だが、ここでこちらが調子に乗れば、スーパーアポロンにガンマ線バーストの真のヤバさを気づかれてしまうかもしれない。だからこそ、もっと相手を調子に乗らせ、どんどんガンマ線を吸収してもらわなければならないのだ。
「どうも、以前の黙示録指令で東京を賑やかしてくださった御礼に参りました」
最初は丁寧に挨拶をし、賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)は油断なく武器を構えた。とりあえず、こちらが相手を脅威に思っていることが伝わればそれで良い。
「なんだ、最初の相手はジジイではないか! 貴様など、我の敵ではない!」
下臈の見た目だけで判断し、スーパーアポロンが真正面から突っ込んでくる。ガンマ線バーストによって強化されたスーパーアポロンソードの威力は、確かに猟兵からしても脅威ではあるが……それにしても、あまりに考えなしに突っ込み過ぎではなかろうか。
「なるほど……それでは、こちらはは水金地火木土天海他の力を借り、迎え撃たせていただきましょう」
それに対し、下臈はユーベルコードで武器の威力を強化すると、真っ向からスーパーアポロンと斬り結ぶ。無論、そんなことをすればスーパーアポロンソードからエネルギーを注ぎ込まれ、武器はあっという間に砕けてしまうのだが。
「なんと! これだけ強化しても、まだ足りぬというのですか!」
「ンナハハハハハ! どれだけ強化しようと、所詮は惑星程度の力! 我の力の源たる、恒星には及ばぬわ!」
星のランクでは自分の操る力の方が上なのだから、勝つのは当然であるとスーパーアポロンは豪語する。まあ、実際に攻撃を食らったが最期、こちらの肉体が木っ端微塵にされてしまうため、脅威であることに違いはなく。
「ならば……少々卑怯ですが、足止めをさせていただきましょう」
続く斬撃を食らえば命はないため、下臈は槍でスーパーアポロンの足を貫くと、そのまま大地に縫い止めた。致命傷ではないが、とりあえずダメージを与えることには成功したわけだ。こうなれば、もはやこの戦場に用はないので、下臈は早々に撤退して行く。
「後のことは、続く方々にお任せいたします」
敢えて悔しそうな演技をしつつ、下臈は戦場から離脱した。それを見て調子に乗るスーパーアポロンだったが……下臈からすれば、実際に強敵であることに変わりはなかったので、スーパーアポロンは彼の行動に何の疑いも持たなかったのであった。
成功
🔵🔵🔴
リリエッタ・スノウ
んっ、最後の1匹が現れたね。
理奈お姉ちゃんのお話だととっても残念なヤツ?
時間があまり残ってないから楽な相手が残ってて安心だね。
むぅ、ガンマ線バーストでずっとパワーアップしていてもらわなきゃダメなんだね。
それじゃあ、スーパーアホロンもおだてれば木に登るよ作戦を決行するよ。
襲い掛かってくる蝗の群れを撃ち落としながら苦戦しているフリ。
これ以上あの光でパワーアップされたら宇宙一の強さになっちゃうよっと焦ってるように見せちゃうね。
ある程度相手をしたところで【ピアッシング・バレット】を使って目にもとまらぬ速さでド頭を撃ち抜いちゃうよ。
※アドリブ連携大歓迎
メリーナ・バクラヴァ
(ざ、残念な人が力ばっかり持ってるとすごい残念……!)
(さて、私は元役者の渾身の【演技】で苦戦を演じます♪)
(蝗の群れに翻弄されて右往左往です。ナイフは普段両手で一本ずつ持っているのですが、うち一本はわざと噛みちぎられます! あーこれでつかえないなーこまったなー!!)
くっ……やはりガンマ線の強化が厳しいですね。あの熱量、近づけない――!
(そして「近づけないので渋々」といった風情で、遠距離攻撃のユーベルコード【終幕】を使用します!)
(このように何かにつけては苦虫を噛み潰すような顔して戦って、敵さんには「ガンマ線しててよかったぁ!」とご満足いただきましょう―!)
早門瀬・リカ
色々と残念な相手のようだけど、
他の十二剣神と同等の実力にはなるようだし、
油断する訳にはいかないな。
ガンマ線バーストを地上に向けさせない為にも、
苦戦を覚悟で逃げ回らずに挑み続けないと。
向こうは高温の炎で出来た蝗の群れを
けしかけてくる筈だから
それを凌ぎつつ追い込んでいこう。
UCは群れの迎撃メインでスーパーアポロンへの攻撃は
風魔幻舞刃による遠距離攻撃や接近してからの
斬霊刀《影渡》での斬撃でかな。
熱のある相手に常に接近するのは危険だし
一撃離脱を繰り返していこう。
地上を攻撃させない為にも挑発し続けて僕の方に向けさせよう。
敢えて向こうの言い分に便乗させてもらおうか。
兄の方よりは大した事がないみたいだなと。
雨河・知香
ソニア(f40904)と
似てはいるけど関わりのない別物…じゃないのかもしれないね。
縛り上げて問い詰めたい所だけど…本当に厄介な力…!
ともかく地上をガンマ線にやられないよう守りながら頑張るか!
スーパーアポロン相手には弱気の演技しながら煽てつつ戦闘。
なんて力…ブレイド世界から渡ってきたアタシ達でもこんな強敵相手したくないけど…守りに回ったらあっという間にやられる!
ソニア気を付けるんだよ!とか。
UC起動、とにかくあまりその場から動かさずガンマ線誤爆防ぐため周囲を回るようステップ踏みながら拳を叩き込む。
炎蝗は火炎耐性で耐えつつ消耗してるフリしつつ超再生で回復、耐えつつ抑え込むよ。
※アドリブ絡み等お任せ
ソニア・コーンフィールド
知香ちゃん(f40900)と!
そんな残念な十二創神だったんだ、アポロン。
こっちも負けず劣らず…印象だけだともっとブーストかかってそうな残念さだけど地球滅ぼせる力あるのは間違いないよね。
うん、頑張ろう知香ちゃん。
知香ちゃんに合わせ弱気で懸命に抗ってる風に演技。
大丈夫、頑張れば抵抗はできる筈…だよ?
UC起動、敵に有効そうな耐火捕獲ネットのガジェットを召喚!
炎蝗の群れは翼広げ飛びながら腕とかは齧られないよう注意して回避に専念するね。
そしてガンマ線バースト浴びた直後とか誤爆の可能性少ないタイミングでネット発射、動きを縛りつつ締めあげてダメージ与えるね!
後は知香ちゃんぶん殴りごー!
※アドリブ絡み等お任せ
●兄弟揃って残念だ!
ついに姿を現した最期の十二剣神は、しかしとてつもなく残念なやつだった。その残念度合いを知る術はないものの、しかし事前の情報からだけでも明らかに他の十二剣神より格下であることは理解でき、リリエッタ・スノウ(ちっちゃい暗殺者・f40953)は少しばかり安心していた。
「んっ、最後の1匹が現れたね。理奈お姉ちゃんのお話だと、とっても残念なヤツ?」
決して油断しているわけではないが、この程度の相手なら自分のペースで戦えそうだとリリエッタは冷静に状況を把握する。その一方で、ケルベロスブレイドの世界を故郷に持つメリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)は、スーパーアポロンの残念さを嫌でも理解せざるを得なかったようで。
(「ざ、残念な人が力ばっかり持ってるとすごい残念……!」)
兄の太陽神アポロンも酷かったが、こちらの弟もかなり酷い。能力だけなら凄いのに、それを活かすだけの頭脳もなければ配下からの信頼もない。おまけに身体能力的にも十二剣神最弱となれば、これはもう力の方に使われているといっても過言ではなく。
「そんな残念な十二創神だったんだ、アポロン……。こっちも負けず劣らず……印象だけだと、もっとブーストかかってそうな残念さだけど……」
それでも、地球を滅ぼせる力があるのは間違いないと、ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は警戒を緩めることをしなかった。同じく雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)も、相手の能力が能力だけに、こちらが慢心に囚われてはならないと警戒し。
「似てはいるけど関わりのない別物……じゃないのかもしれないね。縛り上げて問い詰めたい所だけど……本当に厄介な力……!」
ヤバいのは、あくまでガンマ線バーストの方なのだが、それはそれ。ブレイドの世界出身の者としては、太陽神アポロンの残念さは知っているが、同時に往生際の悪さも知っているため、中途半端に追い詰めると何をするか分からない心配がある。
「色々と残念な相手のようだけど、他の十二剣神と同等の実力にはなるようだし、油断する訳にはいかないな」
早門瀬・リカ(星影のイリュージョニスト・f40842)にとっても、スーパーアポロンがガンマ線バーストで地球を焼くことだけが懸念事項だった。だからこそ、あの駄神には最期まで調子に乗ってもらい、気がついたらやられていたみたいな流れに持ち込まなければ。
相手を調子に乗らせることはあっても、決して自分達が調子に乗ってはならない。慢心に陥った敵を相手にする際、己の中の慢心もまた、深淵からこちらを覗いているかもしれないのだから。
●戦い方も残念だ!
「ンナハハハハハ! ガンマ線バーストを吸収した我は無敵なり! 故に、どれだけ数を揃えたところで、全て食らい尽くしてくれようぞ!」
自分が最強と信じて疑わないスーパーアポロンは、猟兵達の姿を見るなり、大量の蝗の群れを向かわせてきた。炎の蝗は噛み千切った部位の使用を封じるため、確かに厄介な存在には違いないのだが。
「なんて力……! ブレイド世界から渡ってきたアタシ達でもこんな強敵相手したくないけど……守りに回ったらあっという間にやられる! ソニア、気を付けるんだよ!」
「うん、大丈夫! 頑張れば抵抗はできる筈……だよ?」
言葉では苦戦を演じているが、知香もソニアも全く苦戦はしていなかった。その理由は、主に知香の使用しているユーベルコード。彼女は自らの肉体を銀の月により強化して、超高速の連続パンチで迫りくる蝗を次々と叩き落としていたのである。
「ンナハハハハハ! ブレイドの世界から逃げ出してきた貴様らなどに、我が負けるはずもない!」
そんな二人を見て、更に勘違いを加速させて行くスーパーアポロン。よくよく見れば知香が苦戦していないことなど分かりそうなものなのだが、自分に自身があり過ぎるあまり、完全に瞳が曇っているようで。
「あー、ナイフが〜! これでつかえないなーこまったなー!!」
棒読みの酷過ぎる演技ではあるが、メリーナもわざとナイフを捨てる形で苦戦を演じる。もっとも、いつまでも大根役者をやっているわけにもいかないので、本気で苦戦しているように見せねばなるまい。
「くっ……やはりガンマ線の強化が厳しいですね。あの熱量、近づけない……!」
「むぅ、これ以上あの光でパワーアップされたら、宇宙一の強さになっちゃうよ……」
メリーナに合わせて、リリエッタもまたスーパーアポロンのことを無駄に褒め称えるような言葉を呟く。もっとも、実際は得意の二丁拳銃で蝗の群れを叩き落としているため、戦場のイニシアチブを握っているのはリリエッタの方なのだが。
「このままじゃ、埒が明かない! 僕が切り込んで隙を作る!」
それでも、このままやられる演技をしているだけでは勝てないと、リカが蝗の群れを払い除けながら切り込んだ。
「我が呼び出すは虚なる雷の獣、目の前を敵を噛み砕け!」
ユーベルコードで呼び出した雷獣の牙を使い、蝗の群れと相殺させる。その隙に、リカは一気に距離を詰めると、スーパーアポロンの周りを飛び回りながら一撃離脱で斬撃を重ねて行く。
「この熱量……やっぱり、近づき過ぎるのは危険だね」
「えぇい! 鬱陶しいわ!」
リカの削りに嫌気が差したのか、スーパーアポロンは更にガンマ線を吸収して来た。相手の戦闘力が強化されるのは面倒だったが、これでより地上の被害を気にすることなく戦えるようになったわけで。
「仕方がありませんね。こうも近づけないのであれば……」
「よ〜し、今だ! とっておき、見せてあげるね!」
今がチャンスとばかりに、メリーナが影絵で、ソニアが耐火捕獲ネットで、それぞれにスーパーアポロンを捕縛する。ガンマ線を吸収することで拘束を強引に破壊しようとするスーパーアポロンだったが、メリーナの影による重力汚染のせいで、思うように力が溜まって行かず。
「さあ気合い入れていくよ! 歯ぁ食いしばりなぁ!」
そうこうしている内に、極限まで力を高めた知香が距離を詰め、渾身のボディブローをブチかましてきたから堪らない。
「ぐはぁっ! も、悶絶ぅぅぅぅっ!!」
盛大に吹っ飛んで行くスーパーアポロン。ガンマ線バーストの強化を得ているとはいえ、これは完全には防げなかった模様。膨大な熱量を持つ肉体を殴ったことで、ソニアの手も溶けてしまったようだが、しかし彼女の手は直ぐにユーベルコードで再生されたので、スーパーアポロンだけが一方的にダメージを食らったようである。
「おのれぇ……! ならば、更に多くのガンマ線を吸収してや……っ!?」
「んっ、狙う暇なんていらないよ。貫け……ピアッシング・バレット!」
そして、最期はダメ押しとばかりに、リリエッタの放った魔弾がスーパーアポロンの眉間を撃ち抜いた。強大な力を持ちながら、しかし雑な戦い方しかできないスーパーアポロンは、最後まで自分が何故にこうもやられているのか理解できなかった。
「なんだ、兄の方よりは大した事がないみたいだな。ガンマ線バーストっていうのを、もっと吸収していたら違っていたかもしれないけどね」
程よくダメージを与えたところで離脱しながら、リカが最後にスーパーアポロンへと告げる。それを聞いたスーパーアポロンは、何を勘違いしたのか、更に多くのガンマ線バーストを自らの身体へと降り注がせるのであった。
大成功
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儀水・芽亜
何ともひどい神もいたものです。駄目人間というのも実際にいますから、それに倣えば駄目神でしょうか。
“断頭卿”、今回の成否はあなたにかかっています。よろしくお願いしますね。
スーパーアポロン、私の“断頭卿”がお相手します。四半分間違えれば、首が飛びますよ。あなたの実力はこの程度じゃないんでしょう? γ線とやらで本気を見せてください。
“断頭卿”は、スーパーアポロンの熱を「魔力吸収」して回復しながら、上手く苦戦を「演技」してくださいね。
勝機が見えたら、私も「武器に魔力を纏(う)」った裁断鋏でスーパーアポロンに斬りかかります。息を合わせましょう、“断頭卿”!
γ線をこれ以上降り注がせることなく、討滅です。
●駄神、討滅す!
傲慢、脳筋、低能、下劣。おまけに本体は最弱で、強いのは保有している能力のみ。およそ、駄目な人間の駄目な部分だけを寄せ集めたようなスーパーアポロンに、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は完全に呆れ返っていた。
(「何ともひどい神もいたものです。駄目人間というのも実際にいますから、それに倣えば駄目神でしょうか」)
この世に神を名乗る存在は多しといえど、ここまで酷い神を芽亜は知らない。というか、神が人間よりアホというのはどうなのだろうか。一応、恒星を創造する力はあるようだが、こんな神に創造されたこの世界の星々が哀れで仕方がない。
もっと言ってしまえば、その星々よりもスーパーアポロンの方が残念野郎である疑惑さえあった。少なくとも、この世界の星々は、ゾディアックと猟兵の美しさ勝負をフェアに判定するだけの判断力はあるはずなのだ。それなのに……ああ、それなのに! 肝心の創造神がこれでは、創造された星々も報われない。
(「『断頭卿』、今回の成否はあなたにかかっています。よろしくお願いしますね」)
心の中で呟きながら、芽亜は改めてスーパーアポロンへ勝負を申し込んだ。彼女が創造したのは攻撃力と防御力を兼備する虐殺師ギロチン。しかも、芽亜が疑念を抱かない限り、その性質は『無敵』である。
「スーパーアポロン、私の『断頭卿』がお相手します。四半分間違えれば、首が飛びますよ。あなたの実力はこの程度じゃないんでしょう?」
ガンマ線バーストとやらを限界まで吸収し、そちらの本気を見せてみろ。そう言って芽亜が挑発すれば、スーパーアポロンは簡単に誘導に引っかかり、自らの肉体へどんどんガンマ線を集中させて行く。
「本気を出せだと? ならば、死ぬ前に目に焼き付けておくが良い! そして後悔するのだな! 我を本気にさせたことを!」
調子に乗ったスーパーアポロンは、『断頭卿』がどんな存在であるかも禄に確認することなく、スーパーアポロンソードで斬り掛かってきた。太陽の熱を注ぎ込み、万物を爆破するというユーベルコードは確かに強力だ。その効果が真に発揮されればの話だが。
「ンナハハハハハ! どうだ、我が太陽剣の熱は! このまま貴様を溶かし、そして爆破してくれるわ!」
防戦一方になっているのだと勘違いしたスーパーアポロンは、ギロチンの刃に自分の熱が吸収されていることに気がついていない。本当に、何から何まで残念なやつだ。
これ以上は、遊んでいても意味はない。そう判断し、芽亜は早々に勝負を決めることにした。
「息を合わせましょう、断頭卿!」
魔力を纏った裁断鋏を構え、左右から挟み撃ちにする形でスーパーアポロンへ斬り掛かる。今まで余裕を持って戦えていたと思っていたスーパーアポロンは、突如として芽亜が攻めに転じたことが理解できなかった。
「な、なんだと!? 貴様、苦戦していたのではなかったのか!?」
断頭卿を操る芽亜自身は大したことがないだろうと侮っていたことも相まって、スーパーアポロンは対処が遅れた。召喚系の能力を使う者が、まさか自ら斬り掛かってくるとは思わなかったのだ。
慌ててガンマ線バーストを吸収し、更にパワーアップしようと試みるが、もう襲い。これ以上のガンマ線は吸収したくとも吸収できず、既にスーパーアポロンは限界までパワーアップしていたのだから。
「これで終わりです……」
神を名乗るのであれば、せめてもう少し頭の中身と実力を伴ってから名乗れ。芽亜の鋏と断頭卿のギロチンがスーパーアポロンの首を刎ね、傲慢なる駄神は最後まで何が悪かったのかも分からないまま討伐されてしまったのであった。
大成功
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