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ウシの歩みのように確実に

作者：寅杜柳

●平和を学び、戦を体感し
　グリモアベース。
「先月のケルベロス・ウォーはお疲れ様！　あっちも大変なんだけど、獣人戦線の予知が見えたからちょっと力を貸してくれないかい？」
　ふかふかした毛並みの白熊のグリモア猟兵、雨河・知香（白熊ウィッチドクター・f40900）は元気よく集まった猟兵達に切り出す。

「獣人戦線の世界各地で幻朧帝国のエージェントが逢魔弾道弾での破壊工作を行うって事件が多発してる。逢魔弾道弾を起爆させてしまえばその周囲一帯は逢魔が辻に変えられてオブリビオンが跋扈する魔の都になってしまう……それを特定の種族が多く住む街の重要地点でやろうってんだから絶対に阻止しなきゃならない」
　そう知香は強く言い、彼女が見た予知についての説明に移る。

「今回狙われるのはアメリカ北部のウシの街……もうちょっと具体的にはバイソンっぽい見た目のウシ達が八割以上を占めている街になる。アメリカは獣人戦線の中でも｜F.O.N《フィールドオブナイン》の裏からの支配で仮初の繁栄を謳歌している地、その影響かこの街の兵士はあまり戦闘経験がない新兵も多いみたいだよ。街の中心の広場で色々訓練してるみたいだけど、こっちが猟兵だと伝えれば興味津々に話を聞いたり技術を知りたがって来るだろうから、そこで色々教育するのがいいかもしれない。上手く交流したりできれば、この後にやってくる幻朧帝国のエージェントでもいい感じに共闘できる……かもしれないね」
　言葉を尽くすのでもいいし、実際に戦闘技術を披露するのもいいかもしれないと知香は言い添える。

「そしてこの町を狙ってるのは『凍瞳氷狼『クレバス将軍』』だ。軍人だからか訓練や教育を行っている広場に直接襲撃をかけて、ウシ達の抵抗する意志をへし折ろうとしてくるみたいだよ。新兵には少々荷が重い相手ではあるが皆なら問題なく倒せるはずだよ」
　そうして説明を終えた知香は、猟兵達を転送する為にグリモアを取り出す。

「獣人世界大戦が終結して一年と少し、ウシを狙った破壊工作も随分阻止されてきた。もしかしたらもうすぐ……いや、先の事を期待してると鬼が笑うかもしれないね。ともかく、このウシの新兵達と街を守るために頑張ってほしい」
　そう知香は明るく話を締め括ると、猟兵達を北米のウシ獣人の街へと転送したのだった。

第1章 日常 『平和教育』

POW   :    自分の身を守る術を教える SPD   :    誰かを救う技術や道具を教える WIZ   :    倫理や道徳など観念的な事柄について教える 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●身を守るための教育を
　仮初の平和を謳歌するアメリカ北部のとある街。
　この地に多く住まうのはアメリカで中心となっているウサギ獣人ではなく、ライオンの鬣のように首周りから肩にかけて分厚い毛に覆われた頑強なウシ獣人。バイソンのような姿形の彼らに合わせて広々とした道や空間がよく目立ち、建物も彼らの力や重量に耐えるだけの高強度な物が多いようだ。
　しかしそんな頑丈な造りの街であっても逢魔弾道弾の起爆の前ではひとたまりもなく逢魔が辻へと変えられてしまう。
　惨劇を未然に防ぐため、転移してきた猟兵達はこの街の広場で訓練を行おうとしているらしきウシの兵士達に接触する。
『あー、猟兵！　噂だけでしか知らないけど本当にいるんだなあ』
　戦火からは遠いこの街の人々は猟兵の存在も遠い存在ようで、驚きつつも興味深げに猟兵達を見て、そして実戦経験のない自分たちに歴戦の猟兵の教えを乞いたいと言ってくる。
　オブリビオンのエージェントに狙われているこの街、その要請を断る理由もなく、猟兵達はウシの新兵たちに自分たちの命を、そして平和を守るための教育を開始した。

　自分の身を守る術というのは戦うことだけではない。
　サイボーグの百地・モユル（ももも・f03218）、そして赤星・緋色（サンプルキャラクター・f03675）という二人の少年は、ウシ達と近接格闘の特訓はそこそこに、兵士ではない一般獣人の避難誘導や彼らを守りながら戦う術について教育していた。
　外見からして一般人含め頑健な肉体を持つものの多いウシ獣人、しかしユーベルコードの攻撃の前ではさほど大きなアドバンテージにはならない事も多い。
　だから二人が重点的に教えるのは避難、撤退の重要性。敵の標的になりにくいように身を隠しつつ、戦場から速やかに離脱する。それができれば実際に戦う側も戦闘に専念し集中できるだろう。
　そんなわけで二人がウシの兵士たちと行うのは鬼ごっこ。数組に別れたウシの兵士たちに避難地点を目指す一般人役と護衛兼避難誘導役とを割り振り、猟兵二人が鬼役で一般人役を狙うというもの。
「ひゃっはー！」
　ユーベルコード【何か乗って移動できる便利なヤツ】によりガジェットを変形させ騎乗、向上した移動力であっという間に迫り、護衛役がその突撃を阻もうとする。
　数人がかりで抑え込もうとするウシたちの動きを見極めつつ、緋色は白い小瓶を一つ一般人の避難する方向目掛け山なりに投げ上げれば、小さな白小瓶が地面に落ちる寸前にユーベルコード【白い病室】で小瓶内のユーベルコード製の広い異空間に入っていたモユルが飛び出してきて、驚く一般人役のウシ達にタッチした。
「こんな風にユーベルコードはいろんな力があって何をやってくるかわかんないから、何が起きたらまずいかを予想しながら動くのもいいと思うぜ！」
　モユルの言葉、そして二人が示した実例に深く感心するウシ獣人達。
　目に見えてわかる激しい攻撃だけではなく、支援や補助の効果をもったユーベルコードも多い。その実例を示しつつ、次は猟兵の純粋な身体能力で護衛を突破し、同対応するのがいいか一緒に考え、実践してみるモユルと緋色。
　これもまた平和を、命を守る為の知識としては重要になるだろう。

　そして少し離れた場所では、ウシの兵士の一人が白狐面――ヒーローマスクのリカルド・マスケラス（希望の｜仮面《マスカレイド》・f12160）を側頭部に被り、他の兵士たちと訓練を行っていた。
『これが猟兵の動き……目、目が追いつかない〜』
「大丈夫っす、そのうち慣れてくるっすよ」
　普段できないような速度で動いている新兵は目を回しつつ、体を操るリカルドの忍者の感覚を体感していた。
　自身の学んだ技術を現地の人々に伝える、直接操り感覚に慣れて貰う事も含め、何か彼らに残せるものがあればいい。そう考えながら白狐面のヒーローマスクはウシの体格でも比較的扱いやすい体術や隙の作り方、そして彼らが使用できるようになるだろう技能等を味方との実践形式の訓練で教えている。
　因みにリカルドを装着したウシの髪に当たる部分の毛が藍色に変化していたりするが、外せば元に戻るので問題はないだろう。

　そんなふうに街の広場でウシの新兵と共に訓練し、友好を深めていく猟兵達。
　しかしそこに、この街の平和を破壊せんと、幻朧帝国のエージェントの魔の手が忍び寄ってきていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

第2章 ボス戦 『凍瞳氷狼『クレバス将軍』』

POW   :    120mm迫撃弾 【120mm迫撃弾】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。 SPD   :    アイスクロー 【機械の手】からレベル個の【触れると凍る氷の爪】を射出する。射出後も個々の威力を【機械の手】で調節でき、低威力ほど視認困難。 WIZ   :    広範囲式氷結弾 【背部120mm迫撃砲】から【広範囲式氷結弾】を放ち、【凍結】により対象の動きを一時的に封じる。 イラスト：はるまき 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●野蛮なる機械の氷狼を迎撃せよ
　それはオオカミ、ウシの頑健な巨体に負けぬクマのように大きな体を持つ幻朧帝国のエージェントは『凍瞳氷狼『クレバス将軍』』という名のオブリビオン。
　ゾルダートグラードの技術で機械化改造された彼は、何の因果か幻朧帝国の手先としてこの遠いアメリカの地に逢魔弾道弾を携えやって来ていた。
　自身の力を誇示するかのようなオブリビオンは隠れる事さえなく堂々と――真っ向勝負で全てを捻じ伏せ、そして逢魔弾道弾を起爆して破壊しようとしているようだ。
　しかしその到来を知らされていたウシ獣人達は速やかに一般人を避難させ、余計な犠牲を出さぬようオブリビオンを街の中心の広場へと誘導する。
『なんだァ？　猟兵もいるのか。まあいい、そこの兵士ごと一発で片づけてやろう！』
　改造された機械の腕の氷の爪を光らせ、そして背部迫撃砲を猟兵とウシの新兵達に構えるクレバス将軍。
　いきなりの実戦ではあるが、ある程度は新兵の彼らも動けるようにはなっている筈、彼らの支援を受けながら戦えればもしかすると有利に戦う事もできるかもしれない。
　どう戦うにしてもこの街を守り抜くにはこのオオカミのオブリビオンの撃破は必要不可欠、覚悟を決めて武器を構えたウシの兵士達、そして猟兵達は街を守るべく戦闘を開始するのだった。




●氷と大槌、そして炎矢
　最初に切り込んでいくのはダガーを手にした黄色がかった砂色のコートの青年、仲佐・衣吹（多重人格者のマジックナイト・f02831）。
　接近してくる衣吹へと巨躯のオオカミは前傾姿勢を取り、背部に装着した迫撃砲を向ける。
「物騒ね。美しくないわ」
　好青年風の外見から飛び出してきたのは女性言葉、多重人格者の衣吹の美術好きな別人格『ネイル』は、咄嗟にルーンカルテを袖口から抜いて光の魔力を籠め、クレバス将軍の目を狙い投擲する。
　軽く手で振り払おうとするオブリビオンだが、手が触れた瞬間強烈な閃光がカードから放たれ、周囲を光で覆い尽くす。
『クソッ、舐めやがって！』
　顔を顰め毒づく幻朧帝国のエージェント、その後方から人狼の少女が一人、巨大な打ち出の小槌型のハンマーを振りかかり飛び掛かってくる。
「な！か！よ！く！　しよーねーっ！」
　後ろに回り込んでいた彼女は瑠璃・やどり（チャイナウルフガール・f03550）、光で視界が一瞬封じられたクレバス将軍に対し、背部に装着された迫撃砲を『双喜』というハンマーでで思い切りぶん殴る。
『そっちにもいたか！　だがこの位じゃ倒れねえよ！』
　強烈な衝撃を受けながらもクレバス将軍自身には然程ダメージにはならず、即座に振り返り迫撃砲から氷結弾を放とうとした。
　広範囲に渡り氷結させるその砲弾は猟兵さえも凍結させる極寒の砲弾――しかし氷結弾は発射されず、迫撃砲内部で爆発、クレバス将軍自身を強烈な冷気で凍結させた。
　その理由はやどりのユーベルコード【脳！天！直！撃！】、打撃を命中させた相手――無機物である迫撃砲だろうと友好的な行動を行わせる力により、迫撃砲はやどりに氷結弾を発射させず砲身内で炸裂させたのだ。
　機械化改造を施されたオブリビオンでも自身の攻撃手段を至近距離から無防備な状態で受ければただでは済まない。凍結したオオカミに対し、ネイルは抜け目なくユーベルコードを起動する。
　発動するのは【それはまるでチートのような、とんでもない才能】、するとネイルの周囲に幾つもの魔法陣が展開され、魔力を炎の矢の形へと組み替えていく。
　導かれた力は【ウィザード・ミサイル】のユーベルコード、芸術を愛するネイルの性質を表したかのように美しい815本もの焔の矢の群れがクレバス将軍の巨体に殺到し、凍てついた体を貫き焼き焦がしていく。
　しかしクレバス将軍は全身を凍らされ、焼かれながらも体内の機械を駆動させその熱で凍結を解除、炎の魔法の矢を振り払いつつ二人から一旦距離を取り低い姿勢で睨みつけてくる。
　戦意は全く衰えていない、しかし手応えは確かにあった。ネイルとやどりはそれぞれダガーと巨大ハンマーを構え直しつつ、次の攻撃を仕掛けていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●氷を砕くような衝撃を
　距離を取ろうとするクレバス将軍にウシの新兵達が実戦には慣れていない手つきで銃を構えて追撃を行う。
　ウシの体格に見合った大型の銃、狙いこそやや甘いもののクレバス将軍の足を止めさせず行動を妨害するには十分な効果を発揮して。
　舌打ちしつつ走り回り銃弾を回避するクレバス将軍に、二台の宇宙バイクがエンジン唸らせ疾走し距離を詰めていく。
　燕のような黒い流線型のボディのバイク『エアハート』に乗ったヤドリガミのアメリア・イアハッター（夢想空流・f01896）は、迎撃しようとオブリビオンが発射する120mm迫撃弾を巧みな騎乗技術で躱して翻弄。
　そしてその隙に大型宇宙バイクで諏訪野・啓太郎（さすらいのライダー・f20403）が一気に距離を詰めてユーベルコード【森羅牙道砲】を起動、不可視の衝撃波を巨躯のオオカミへと叩きつける。
『ぐっ……！』
　その衝撃波が命中したクレバス将軍は大きく吹き飛ばされる。障害物がなければ1630メートルもの距離を吹き飛ばされていただろうが、広場を囲っていた鉄条網に激しく衝突するに留まる。
　しかし衝突の衝撃は強烈、クレバス将軍の意識が一瞬飛びかけた瞬間を狙いアメリアがエアハートを駆りユーベルコード【Air Max Heart】を起動する。
「一緒に踊ろう、エアハート！」
　快活な声でアメリアが呼びかけて、それに応じるかのように流線型の黒いバイクはアメリアと融合、クマのように大きなクレバス将軍と同じ程度の大きさのロボへと変形する。
　黒の流線型のボディに赤い髪、本体たる古びた赤の帽子を被り直し、ヤドリガミは思い切り地を蹴って跳躍する。
　空から落ちてきた影はまるで燕のよう、驚愕の表情を浮かべたオブリビオンは即座に迫撃砲を空に向けアメリアを撃墜しようと発射する。
　その砲撃をアメリアは体重移動で上手く射線から逃れ回避、そのままクレバス将軍の頭に痛烈な蹴りを叩き込む。
　無機物――それもエアハートと融合し最大の効果を発揮しているアメリアの一撃は、頑丈なクレバス将軍にも十分響く一撃となる。
　咄嗟に爪で引き裂き振り払い、全速でアメリアから距離を取るクレバス将軍の足取りはややふらついていてかなりのダメージが蓄積されているようだ。
　休み立て直す時間を与えぬようウシの兵士達が支援射撃でクレバス将軍を狙ってくれている。もう一押し、オブリビオンを仕留める為に二人の猟兵は次の行動にかかるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●オオカミ締めるべあはっぐ
「ふーん、やっと、ボスのお出ましか……」
　ウシの新兵達の支援射撃を走り回り回避する幻朧帝国のエージェントであるクレバス将軍を、政木・朱鞠（狐龍の姫忍・f00521）は見定めるように鋭い目を向けていた。
　このオブリビオンは恨みを晴らすなどの怨恨ではなく、ただ単に破壊する為だけにこの街にやってきて、そして無辜の人々を逢魔弾道弾の災禍に晒そうとしている。
　未遂とはいえ、その咎は決して見逃せるようなものではなく速やかに骸の海へと還す他はないだろう。
「ぜったいに、負けません！」
　朱鞠の近くにいた赤髪の少女、熊ヶ谷・咲幸（チアフル☆クレッシェンド・f45195）はレジェンドパクトを取り出して、開き変身しようとする。
　けれど何故か中々開かぬコンパクト、固い二枚貝のようなそれを気合と共にえいっとこじ開ければ、咲幸の姿はアイドルのそれへと瞬時に変化した。
『お前たちも猟兵か……こんな所で負ける訳にはいかねえな！』
　二人に気付いたクレバス将軍が機械の手を開き、氷の爪を咲幸に向けて発射する。
　透き通り視認困難な氷の爪は見辛くして確実に当てる事を優先しているから低威力、しかし外見からして戦闘に向いていなさそうなアイドルを倒すには十分だと甘い判断をしてしまったのだろう。
「うおりゃあああっ！！！」
　対する咲幸は視認困難な氷の爪もなんのその、がむしゃらな力技で真正面から突っ込んで氷の爪に取り出した『チアフル☆ロッド』を振るい、叩きつけて粉砕していく。
　何とも強引な戦法、それを行う咲幸を支援するように、朱鞠は【忍法・火煙写身の術】のユーベルコードを起動する。
　それにより召喚されるのは狐火で朱鞠自身を象ったような小型の戦闘用分身達で、
「言霊にて煙火に暫しの魂魄を与えん……疾く攻めよ！」
　朱鞠の号令に狐火の分身達は一斉に散開、クレバス将軍を包囲するように移動して一斉に斬りかかっていく。
　迎撃で連射されるクレバス将軍の背部に装着した120mm迫撃砲からの氷結弾、広範囲を凍結させる強烈な冷気に狐火の分身達は一撃で消滅していくが、その範囲の外にいた分身が氷結弾の砲撃の合間を狙い一撃を叩き込んでクレバス将軍の体力を削り取っていく。
　更に拷問具『荊野鎖』が狐火達を貫くようにしてクレバス将軍へと延び絡み付く。鞭の形状のそれから生えた鋭いスパイクが茨のように巨体のオオカミに絡みつき、巻き付いた機械の腕に食い込んでその自由を奪い取る。
　そして機械の腕が封じられた隙に咲幸がクレバス将軍へと肉薄、そのまま巨体の狼の胴体に抱き着いて、
「貴方の骸の海、私が浄化します！」
　掛け声と共に起動するのはユーベルコード【チアフル⭐︎エンブレイス】、アイドルの体から希望の力が溢れ出してきて、そのまま彼女の類稀なる怪力でオオカミの胴体が締め上げられる。
『ぐふっ！？　何だこの力！？』
　見た目に依らぬ剛力を宿す咲幸、我武者羅に力を発揮する彼女に抱き着かれたクレバス将軍の胴体から生物や機械からしてはいけない音が響き渡り、オオカミの口から血の泡が噴出。
「うおおおおおお！！　消えろぉ！！！」
　気合の咆哮、直後ねじ切れるオブリビオンの胴体。上下に分かたれた幻朧帝国のエージェントの体は機械の破片を落としつつ、そのまま消滅したのだった。
　――なおその光景を見ていたウシ達は少々ひいていたようにも見えるが、きっと気のせいだろう。

　かくしてアメリカのウシの街を狙った破壊工作はこうして無事阻止された。
　この仮初の平和の地で実戦を経験することになったウシの新兵達に別れを告げた猟兵達は、グリモアベースへと勝利の報と共に帰還したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2025年06月27日