人形館のクリスマスパーティ! 2024
テフラ・カルデラ
●グループ参加
人形館のクリスマス
ミニスカサンタ服で参加なのですよ~♪
と、意気揚々とシエナさんのパーティに参加するのですが…
●ノベルに登場してもらうシエナの『お友達』(テフラの宿敵)
キャンドルサービスメイカー
https://tw6.jp/gallery/?id=66279
自分をアイドルだと思い込んでいるサンタ娘で自身家
大きな袋の中身は溶けた蝋(生暖かい)が詰まっている
袋から召喚される蝋スライムや蝋触手の他、袋へ直接押し込んでドロドロ蝋まみれのまま固める行為をする
固められた相手の頭に火を灯して(本体は溶けない)文字通りクリスマスキャンドルとして飾る
数名のレッドクロスをバックダンサー代わりに従えて人形館を取り囲む魔獣の森でライブらしきものを開催しライブに誘われてきた生者を蝋で固めている
●その後
なんだか外の方が騒がしいので行ってみたら…どーして封印したはずの宿敵がいるんですかねぇぇ…!?
その直後に目が合ってしまったが最後…袋から飛び出す蝋触手に捕らわれ袋の中へ押し込まれてしまいます
中は溶けた蝋の壁、そして蝋触手に襲われて全身ドッロドロの蝋漬けに…(もちろん悦んでいます)
解放された時には段々固まっていき…悲惨な程の蝋塊と化し、パーティ会場へ運ばれて蝋燭として火を灯される羽目に…
ポーラリア・ベル
●グループ参加
人形館のクリスマス
シエナんのクリスマスパーティに参加だわ。
サンタっぽい冬の恰好してきたの!
招待状を貰って来たそこには……今までの宿敵さんが人形になった奴がいっぱい!?
と、とりあえず敵でないなら大丈夫なら、一緒にパーティのお手伝いでもももも(なにかされた)
●ノベルに登場してもらうシエナの『お友達』(ポーラの宿敵から追加枠)
スニェチカ
https://tw6.jp/gallery/?id=67106
口調おまかせ。サンタの孫娘な雪娘です。吹雪と冬妖精召喚が得意です。
参考シナリオ
https://tw6.jp/scenario/search?word=enemy%EF%BC%9A%E3%82%B9%E3%83%8B%E3%82%A7%E3%83%81%E3%82%AB&sort=7&world=0&fragment_type=0&chapter_number=0&condition=0&condition2=0
シエナの能力(ユーベルコード)で出現した玩具工場の管理をしてもらっている。
●ポーラその後
耐性があっても凍らされかけて大変だったけどとりあえず切り抜けると
他の宿敵さんがポーラや他の猟兵達を敵意なく狙っている。
きゃー!わー!って叫びながら逃げ、他の人達がお菓子や装飾に変えられているのを見ていると
最終的にスニェチカさんの所へ戻ってきましたとさ。
スニェチカの持つサンタ袋の中にポーラが吸い込まれ、ガタゴトしていると
数分後には氷のスノーグローブで幸せそうなポーズ取ったサンタポーラのクリスマス玩具が出来上がりしましたのです。
(ふぇ……ふぇぁぁぁぁ……誰かお助けにー……!)
この状態でパーティが始まります。
スノーグローブを抱えたスニェチカさんがサンタ妖精と共に席についてきゃっきゃわいわいするところを
ポーラは氷の中の特等席でいつまでも見続けるのでした。
佐東・ころも
●グループ参加
人形館のクリスマス
シエナさんがクリスマスパーティを開くと聞いてみんなよりも早くやってきたのだわ!
ふふふ…たとえクリスマスでも私はハロウィン魂を忘れない…
このでっかいプレゼントボックスの中からどーん!と登場してみんなを驚かせちゃうのだわ…!
…なんだか外が騒がしくなってきたような…みんなの声もするのだわ!
ちょっと早い気もするけどこれはイタズラ決行チャンス!
どーん!!メリークリ…
●佐東 ころも
~なのだわ が口癖、ハロウィンに強い拘りを持っておりお菓子とイタズラを愛する
クリスマスに関してはハロウィンよりメジャーなことに嫉妬しているが、それはそれとして基本的に皆で集まって騒ぐのが好きなので普通に楽しみにしていた
●シチュに関係しそうなシエナが呼び出す『お友達』
①暴食少女の暴食少女のオットーフォン(シエナの宿敵)
参考シナリオ
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=15510
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=21259
厨房にてパーティに出すお菓子以外の料理を作っている
但し、その調理方法は材料担当が所定の場所へと運んできた物をヒッポ君に捕食させた上で美味しい料理に造り替えるというものであり、所定の場所に配置された物はそれが何であろうと美味しい料理に造り替えようとする
②スニェチカ(ポーラリアの宿敵)
シエナがユーベルで呼び出した玩具工場内でレッドクロス達が運び込んでくる材料の玩具、照明器具、調度品へ振り分け等の管理しています
生者を見つけると【貴方の望むプレゼントはこれ?】による無限ループを始めようとするがうっかり凍結した者をプレゼント袋に入れたり、玩具工場の機械に奪われたりしている
●ころもの行動
クリスマスパーティを開くと聞いて他の参加者よりも早く訪れてイタズラを仕掛けようとプレゼントボックスの中に潜んで機会を伺っていた
箱の中からは外の様子が分からず、騒がしくなってきたところで勢い良くプレゼントボックスの蓋を開けて驚かせようとする
…が、挨拶を言い終わるよりも先に他の参加者を狙った吹雪のUCに巻き込まれてカチンコチンに瞬間冷凍
そのまま勢いよく転倒し、築地のマグロのように床を滑ってオットーフォンの料理の材料の所定位置へ…
丸呑みにされ、ヒッポ君の体内で解凍には成功するもそのまま手も足も出ずにこね回され潰され、とろりとしたチーズの乗った美味しそうなピザにされて食卓の上に並べられてしまうのであった
コミカル寄りの描写でお願いします
アドリブや難しい部分の描写削り・変更等も大歓迎でございます
●パーティのその前に
「るるらら♪ うぃっしゅ、あ、めりぃくりすます♪ ふんふふ~ん♪」
魔獣の森の人形館に軽やかな歌声が響きわたる。
これは館の主のシエナの歌声だ。いまシエナは、上機嫌に歌をくちずさみながら『お友達』たちとクリスマスパーティの準備を進めている。
シエナが上機嫌なのは『お友達』たちとのクリスマスパーティが楽しみであるからだ。
今回は人形館で仲良く過ごす猟兵達にもパーティの招待状を送っている。そしてこの招待はシエナ|曰く《いわく》、『お友達』の要望なのだとか。『お友達』の望みが叶うことはシエナの喜び。つまり招待した通りにみんなが来ることが、とても楽しみだという事になる。
さてこのパーティを手伝っている『お友達』は、いずれも元オブリビオンをシエナの術でお人形にした者たちである。そしてシエナはそんな『お友達』たちの仕事を見回ったり手伝ったりして忙しなく動き回っていた。
そんな最中にシエナはパーティ会場に見知らぬハロウィン飾りの箱があるのに気づく。
「あれ? こんなところに大きなプレゼントボックスがあるね? とシエナは首をかしげます」
シエナは飾りつけ作業をする『お友達』に聞いてみるが、レッドクロスやスニェチカは首を横に振るばかり。けれどシエナは特に怪しまず。
「誰かが置いて行ったサプライズかな? みんなが揃ったら聞いてみよう、とシエナは納得して準備の続きを再開します」
そう納得してパーティの準備を続けていくのだった。
もとよりこの人形館では普段から知り合いの猟兵が出入りする。なのでそのうちの誰かが招待状を受け取った後に荷物を置いて行くことはおかしくない。
謎の大きな箱を会場に残し、準備はつつがなく進んでゆく。料理の材料の確保も飾り付けも順調で、この調子なら招待客が来る頃にはちょうど準備がおわっているだろう。そう思っていたのだが……。
カツン、カツン、とドアノッカーの音がして、続けてチリンチリリンと音が鳴った。
「呼ばれて来たよ、ごきげんよう! 冬の香りを運んできたよ!」
「やっほ~、来たよ♪ シエナちゃん主催のクリスマスパーティ、今日で合ってるよね?」
招待客が予定よりも早く来てしまったのだ。
●開始まで、もう少し待っててね
「あれれ? パーティの時間はもっと後のはずだけれど……、とシエナは首をかしげます」
本日二度目の首かしげ。シエナが館の玄関口に出ていくと、やっぱりパーティに招待した猟兵たちがそろっていた。
「みんなようこそ! とシエナは歓迎します。けれどパーティの時間にはまだ早いよ? とシエナは同時に疑問も伝えます」
「えっ、そうなんですか……? でも確かに招待状には……」
そういって、テフラが取り出した招待状に書いてあるのは間違いなく今の時間。シエナは再び首をかしげて招待状をのぞき込む。
「ひょっとして、招待状の書き間違いでしょうか?」
「そのようですね。まぁ、稀によくあります」
ゼーアと雪乃はそう結論付けた様子。確かにこの招待状のミスでみんな早く来てしまった様子だ。
「どうやら開催時間を書き間違えていたみたい。ごめんなさい、とシエナは謝罪します」
ここに来ているメンバーは六人だ。サンタ姿のポーラリアとテフラ、そしてクローネ、ゼーア、雪乃といった人形館の面子に加えて雪乃にそっくりな人物がもう一人。
「ところで一人はじめましての人がいるね? あなたも招待状を受け取ったのかな? とシエナは確認します」
この問いに雪乃が答える。
「あ、私が連れてきました。突っ込み役と犠牲枠が足りないと思ったので」
「彩香よ。御影彩香。雪乃がお世話になってるらしいから、挨拶しておこうと思って。って、突っ込み役ってどういうことなの? というか犠牲枠って何!?」
背格好と顔が瓜二つ。けれどよく見れば新顔の方は悪魔の角とこうもり羽が生えている。ざっくり説明すると雪乃の双子の姉であるらしい。そしてこの新たなキャラと引き換えに、よく知る一人の姿が見当たらなかった。
「ころもさん、先にこちらに着いてたりしませんか?」
そう聞いたテフラだが、シエナはころもの姿を見ていないので首を横にふる。そう、お砂糖魔女っ娘のころもだけ、行方がわからなくなっているのだ!
「何かドジしてお砂糖のお菓子になったり、ぺちゃんこになったりしてるんじゃないですかね」
そう雪乃そう言うと、皆で「あー……」みたいな反応に。
「佐東ちゃんなら確かに、ありえるね……♪」
「ころもんだし……」
「溶けたり固められたりしてなければいいのだけれど」
「待って、それ良くあることなの!?」
「割と、よくあるね……★」
玄関口で長々と立ち話してもどうしようもないため、シエナは一旦招待客を館の中に招いていった。
「それじゃあこの後のことだけど……、パーティはまだ準備中なの。お料理もこれからだから、急いで準備を進めるけれど、その間は時間まで自由に過ごして待ってほしいな、とシエナはみんなに伝えます」
「OKOK♪ それならクローネちゃんも準備を手伝うよ♪」
「ポーラもお手伝いするー!」
「ありがとう、とシエナは感謝を伝えます。シエナの『お友達』たちが準備をしているから、手伝ってくれるとうれしいな、とシエナは皆に伝えつつパーティの準備に戻ります」
シエナはそう伝えると、パーティの準備を終わらせるべく急いで館の奥に戻って行くのだった。
●準備のお手伝い
パーティの準備を早く終わらせなくっちゃという気持ちと、招待を受けて来てくれたという喜びが、シエナと『お友達』たちを高揚させる。
そのことがちょっっぴり……いや割とけっこう、『お友達』の制御をゆるくしてしまっていた。
ちょっとずつ開き始める本能と歓喜の|迷宮《ラビリンス》の入り口は、やがて第一の犠牲者を飲み込んでゆく……。
「一番上のお星さまつけたよ!!」
「よしよし、いい感じだね★ ツリーはこれが無くっちゃ。ほかの飾りも付け終えたし、ツリーはいい感じだねぇ♪」
「お星さまのあるてっぺんのことだけど、ベルを追加で飾っちゃっても?」
「良いんじゃないかな? クリスマスといえばヒイラギの飾りとベルだもんね♪ つけちゃえ★」
「わーい♪ それじゃあ付けちゃおう! じんぐるべーる、じんぐるべーる♪」
サンタ姿のポーラリアと、クローネはパーティ会場の飾りつけを手伝っていた。
最初にここを担当していたのはキャンドルサービスメイカーとスニェチカに、ポーラリアは「今までの宿敵さんが人形になった奴がいっぱい!?」とびっくりしたけれど、攻撃してこないのならと初めはおっかなびっくり今はすっかり慣れて楽しく手伝っている。
真っ白なテーブルクロスにはスニェチカが出した|きれいな燭台《プレゼント》が並べられ、キャンドルサービスメイカーが普通の蝋燭を立てていた。
「プレゼントはこれね? プレゼントはこれね?」
「人間蝋燭がひとつ、人間蝋燭がふたつ♪」
並べている蝋燭は小さいごく普通のもの。この二人は話しかけても決まった言葉を繰り返すのみで言葉に意味は無い様だ。それでいて自分の仕事はこなしているあたり、人形としての機能は問題ない。
そして燭台に蝋燭が並んだころ、キャンドルサービスメイカーは、手持ちの蝋燭がなくなったことに気が付いた。
雰囲気のために部屋の明かりを蝋燭にするのなら、蝋燭はテーブルの上だけではなく壁にもあったほうが良いだろう。
「蝋の沼へ向かいましょう~♪ 深~く、深く。遊びましょう~♪」
キャンドルサービスメイカーは歌うようにこう言うと、蝋燭を補充するため部屋から出て行った。
ここに入れ替わるようにレッドクロスが数人、食器を人数分もってきてテーブルへと並べてゆく。
「わわ、フォークとナイフが出てきた!? ということは……料理がもうすぐ出てきそうな予感!」
「うんうん、そうだね♪ 部屋の飾りつけももうすぐ終わるし、料理に間に合うようにペースアップしていこうか★」
●徐々に始まる暴走
そんな最中、クローネは部屋に入ってきたレッドクロスたちが気になっていた。
(クローネちゃんが召喚できる子とは違うし、シエナちゃんが召喚した子かな?)
そう思っているとレッドクロスの一人がおもむろに眼帯を外して目をクローネへとむけてくる。
「良い飾り発見☆ 飾りつの任務を遂行じゃんね☆」
「えっ!?」
金色の光線が眼帯の下の目から放たれて、クローネは一瞬で黄金の像になってしまった。
ちょうどクリスマスリースをどのあたりに飾ろうかと飾りを持ったまま両腕を上げおり、その状態でレッドクロスの方を向いたのでクリスマスリースを高く掲げる像になってしまっている。腋が見え胸を突き出すようなポーズで表情は不意を突かれた驚きの表情のままだ。
「うわーっ!? クローネおねえちゃんが黄金像になっちゃった!!」
ポーラリアがびっくりしていると、会場にあったハロウィン飾りの大きな箱がガタガタと動き出す。なんと行方不明だった佐藤ころもが飛び出した!
だがそのドッキリは暴走スニェチカのサンタ型ガジェットがカットイン。ころもは瞬間冷凍で凍り付いた。
「今こそイタズラ決行チャンスなのだわ! どーん!! メリー……!!」「あなたの望むプレゼントはこれ?」
このときポーラリアも瞬間冷凍に巻き込まれるもこちらは耐性のお陰で難を逃れる……。
「ふぇあ!? あぶなかった、耐性が無かったら凍ってた!?」
間一髪、危機を脱したポーラリアはいちど天井までひらりと飛ぶと、シャンデリアの裏側へと退避する。そこから下をのぞき込むと、箱から出たころもが冷凍と解凍を延々と繰り返されていた。
「……ークリスマス……!!」「あなたの望むプレゼントはこれ?」「……なのだわ……!!」「あなたの望むプレゼントはこれ?」
その間クローネはレッドクロスたちに運ばれて部屋の隅に飾られていた。
クローネの像の頭にサンタ帽をちょこんと乗せたなら、たまたま手に持っていたクリスマスリースと相まって素敵なクリスマス黄金像だ。
「あわわ……シエナんのお人形たちが暴走してる……!」
突然攻撃してきた『お友達』たちに戦々恐々とするポーラリア。やがて凍ったころももどこかへと運ばれて、レッドクロスたちの目が一斉にポーラリアのほうを向いてくる。
「飾りつけじゃんじゃん行くじゃん☆」
「ひぇっ!?」
ニンジャは忍ぶものを見逃さない。そこに慈悲はなく、ポーラリアは魔眼使いの忍者軍団のレッドクロスたちに襲われる。
ポーラリアは魔眼の金色の光線をかいくぐり、必死に部屋を逃げ出した。
「うわー!!? 追いかけてくる!?」
ポーラリアを追うレッドクロスたち。油断したら一発で黄金化する鬼ごっこが始まった。
●異変
ポーラリアとレッドクロス達が去ったあと、会場にはプレゼントを出しては引っ込める動作を延々と繰り返すスニェチカと、クローネの黄金像だけが取り残される……。
そんな準備途中のパーティ会場で、びっくり顔の黄金サンタ像はふと思うのだった。
(ひょっとして、早く準備を終わらせなきゃって方向で暴走しているのかな? うーん、シエナちゃんに連絡できれば抑えられるかもだけど。クローネちゃん動けないからなんにもできないね……★)
こういった展開は、人形館ではまあまあ良くあること。なので今回もいつも通りと言えばいつも通りなのだが……。果たして無事にクリスマスパーティは開催できるのだろうか。
一方でこちらは人形館の客間のひとつ。準備が終わるまで待つことにした組である。
「なんだか部屋の外が騒がしいですね……」
「そうね……準備ってこんなにドタバタしたり叫んだりするものじゃないわよね」
「確かに、この騒ぎはトラブルが起きてそうです」
テフラ、彩香、ゼーアは部屋の外の様子が気になり始めていた。
なぜならば、走り回る音とポーラリアの悲鳴が聞こえてくるからだ……これは絶対に何かが起きている。
「助けが必要な状況かも……、ちょっと行ってみませんか?」
そう提案したテフラだが、雪乃だけ首を横に振る。
「嫌な予感がするので私は遠慮します」
この態度に身内として彩香が苦言を言うが、雪乃の意思は変わらない様である。
ちょっぴり険悪な雰囲気になるも、テフラは二人をなだめて話を先に進めていった。
「まぁまぁ……、とにかく様子を見に行きましょう。何もなければそれで良しということで……。もしわたしたちが戻らなければ、そのときは雪乃さんに後の事をよろしくお願いしますね」
テフラがそう伝えると、雪乃は「ん」とだけ短く答えて頷いた。
さてひとりを残して屋敷内の様子を見に行くことが決まった面々。ゼーアはやることをいったん確認する。
「とりあえず館の中で起きてる事を確認するのよね。もし大変なことが起きていたらいったん戻ってきて作戦会議かしら?」
「ええ、そうですね。できれば準備のお手伝いをしているポーラリアさんやクローネさんとも合流したいところです。合流出来たらいろいろ状況もわかりそうです~」
「わかったわ。だったら私は厨房を見てみようかな」
「了解、じゃあ私はパーティ会場の方ね」
「よろしくお願いします。わたしはシエナさんを探してきます。解決のためにも一人でも多くいた方がいいですから」
ゼーアは調理場を、彩香はパーティ会場を、そしてテフラはシエナを探すため。三人はそれぞれ部屋を出ていくのだった。
●ラビット・クリスマスキャンドル
こうして三人が分かれた矢先、角を曲がってすぐそこでテフラはいきなり運命の出会いを果たす事になる。
「人間蝋燭の素材だ~♪」
「どーして封印したはずの宿敵がいるんですかねぇぇ……!?」
そこにいたのはキャンドルサービスメイカー。
パーティ会場を飾っていたシエナの『お友達』の一体であり、同時にテフラが【魔法少女式封印術】で封印したはずの宿敵である。
いまシエナの『お友達』たちは、急いでパーティの準備を進めなければと暴走気味になっている。
そんなところにちょうど『良さそうなサイズの素材』を見つけてしまったら、ソレが招待客かどうかは関係なくなってくる。
キャンドルサービスメイカーは部屋に飾るのにふさわしいキャンドルを手に入れるべく、大喜びしてプレゼント袋を構えた。
「人間蝋燭素材一名様ご案内~♪」
「うわわ……!?」
キャンドルサービスメイカーの袋から、どろりとした蝋が大量に噴出する。
それはテフラへと降りかかり、全身にまとわりついて動きを阻害した。重く、重くまとわりついて触手のようにテフラを引きずり込んでゆく。
「こ、このままじゃ不味いですっ……!」
封印したはずのキャンドルサービスメイカーに驚いて、あっさりと掴まってしまったテフラ。テフラはそのことを後悔しながらもドロドロの蝋の触手に引きずり込まれてゆく。
……目の前には蝋を垂らして開く袋。あの中に引きずり込まれてしまったら、きっともう助からないだろう。ドロドロのヌルヌルが全身を包み込んで、自由を奪い、徐々に固まって動けなくなる事は容易に想像できた。けれど、その状態を想像したテフラはついつい胸の高鳴りを感じてしまう。
袋まであと十数cm。
抵抗をしないのかそれとも出来ないのか。それさえも解らないほどにテフラの胸中は警告と期待が混ざり合っている。
やがてテフラは逃げなければと結論づけたが、その判断はあまりに遅すぎた。
袋の口が鼻先まで迫って顔に蝋がとろりと垂れて、テフラはそのまま袋の中に飲み込まれてしまった。
キャンドルサービスメイカーは大きく膨らんだ袋を肩に担ぐと改めて歩みだす。
これでパーティ会場の明かりはバッチリ、これだけ大きな蝋燭ならばきっと会場を明るくきれいに照らしてくれることだろう。
彼女はとても満足気に軽い足取りでパーティ会場へと戻ってゆく……。担いだ袋は暫くもごもごと動いていたが、その動きは次第に緩慢になっていき、やがて動かなくなってしまった……。
……袋の中身はうさ耳の人間大の蝋燭がひとつ。その大きな大きな蝋燭の頭の部分には顔のような凸凹が存在し、よく見ればだらしなく恍惚とした表情の様になっていた。
●調理場で……
「……ここならしばらく大丈夫なはず……」
ポーラは調理場に逃げ込んでいた。
大きな棚の上に身を潜め、まわりをこそっと覗いてみる。レッドクロスたちの姿はなく、どうやらうまく逃げ切れた様だ。
鍋には大きな寸胴がひとつあり、コトコトとビーフシチューが弱火で煮込まれている。けれど他の料理や食材は見当たらず、皿の準備しかされていない。
ここで作業をしていた『お友達』は料理の準備の過程で一時的にここを離れている様である。
ポーラリアが一息ついていると、すぐに食材を運んだ『お友達』たちが調理場に入って来た。やって来たのはオットーフォンとディロッペの二人だ。
二人はそれぞれ食べ物にする材料を運んでおり、さっそく調理を開始する。
オットーフォンはカバ型ガジェットのヒッポ君に壊れた椅子を食べさせた。するとヒッポ君のお腹のドアがオレンジに光ってチンと鳴り、ドアがパカッと開くとタレがたっぷり皮はパリパリの美味しそうな骨付きチキンが完成する。
どんなものでも料理にしてしまうこの能力はパーティの準備ではとても役立つ能力だろう。
さらに飴細工メイドのディロッペも、持ってきたお花や蝶々を水飴スライムに付け込んで綺麗な飴細工へと加工していった。飾りとデザートを兼ねた飴細工もまたパーティでは主役のひとつだ。
けれどこの二人の『お友達』も暴走していないとは限らない。つい先ほどまで『お友達』に追いかけられていたポーラリアは、隠れているのがバレませんようにと引き続き息をひそめて様子を伺っていた。
するとレッドクロスたちがやってきて、完成した料理を次々と持って行き始める。
出来立ての料理を運んで行く様子から、パーティの準備はもうすぐ完了するのだろう。
つまりこのまま隠れていればすぐにでも逃げ出す機会は見つけられそうだ。
そのとき、ゼーアもちょうどこの調理場を覗き込んでいた。
飴細工を作るスライムをどこかで見たような聞いたような気がしたものだから、ゼーアはひとさし指を頬にあててぼんやりと記憶をたどってゆく。
もちろんゼーアは今の『お友達』たちが暴走気味であることを知らない。それ故に無防備に考え事をしてしまっていた。
ディロッペはそんなゼーアに気付くと、じっと彼女を見ながら飴細工スライムをこぽこぽと増殖して……。
「あなた、綺麗ね! 美しいわ!」
そう言いながら、ディロッペはゼーアへと飴細工スライムの群れを投げつけた。
●お料理開始!
「きゃっ……! えっ、何これ……!?」
ゼーアはベタベタのスライムを投げつけられて、手足がそのまま飲み込まれてゆく。
スライムを払い除けようとしたのだが、なぜか腕や足が動かない……。辛うじて動く首を動かし身体を見ると、手足が透き通ったカチカチの飴へ変わり始めていた。
「えっ、うそ、……やだ、うごかない……!」
そう言う間にもスライムはゼーアの身体を徐々に飲み込んでゆく。腕から肩、胸元へ。足元からはお腹へと。包まれるにしたがって身体は透き通った固い飴へと変わっていく……。髪も、服も、まるごと飴に変化して、ゼーアは人間大の飴細工となってしまった。
この日のゼーアはクリスマスパーティと聞いてめいっぱいおしゃれをしている。そのために飴となった姿もとても綺麗で可愛らしい。表情とポーズが怖がったものになってしまっていたけれど、そこはディロッペがちょちょいと飴細工の加工をして可愛らしい微笑みへと変えていく。
(う、動けない……私どうなっちゃったの……?)
意識はある、けれど動けない。不安になったゼーアだけれど、飴細工となったいま表情は可愛らしい微笑のままだった。
(あわわわ……ゼーアさんもお菓子になっちゃった……)
一部始終を目撃したポーラリアは見つからないようにと、よりいっそう身を小さく縮めて棚の上に隠れ続ける。
ディロッペは飴になったゼーアの服やポーズなど細かい加工に夢中になっている様だ。
そしてオットーフォンはシチューをお皿に盛りつけて仕事中。逃げるなら今だろうかとポーラリアは考える。
これはどう考えても、シエナを探して『お友達』たちを一度止めてもらうべきだろう。
けれどレッドクロスが再びやってきたものだからポーラリアはまたもや脱出の機会を失ってしまった。
レッドクロスは何か大きなものを二つ、台車でガラガラと運んで来ていた。
ひとつは冷凍マグロのような凍結ころも。そしてもうひとつは、レッドクロスの能力で丸々と膨張して動けなくなっている彩香だ。
「私は招待客よ! こんなことしてただで済むと思ってるの!? あとでパーティの主催に言いつけてやるんだから!!」
そう言ってじたばたと暴れる彩香だが、ボールのように膨らまされて手足が届かずまともに身動きがとれていない。それどころか角や羽が却って球体を安定させてしまっている。
彩香はこのまま意味のない抵抗を続けていたが、飴細工になったゼーアに気付くと顔を青ざめて静かになる……。
「その飴細工、ゼーアさん……? もしかして私達ここで料理されちゃうの!?」
よく見れば、ころもには『冷凍生地』、彩香には『七面鳥』というラベルが貼られていた。
運ばれてきた"食材"の前にオットーフォンが立つ。
「次の料理を始めるわ。ヒッポ君! 美味しい料理を作るのよ!」
オットーフォンは冷凍ころもを抱えて持つと、料理に加工するべくヒッポ君の口へと押し込んでいった。
●お料理の完成
解凍されたお砂糖は捏ねられていくうちに徐々にと小麦粉の生地へと変わってゆく……。
凍らされていたころもの意識が戻った時には、時すでに遅く、ころもの身体はすっかりピザの生地に変化してしまっていた。
(……へ!? 何がどうなっているのだわ!?)
手足をばたつかせようとしたが、うにょんと動かすそばから何かに力を加えられて身体がうまく動かない。それもそのはず、ピザ生地となったころもの機動力はスライム以下。ヒッポ君の中で抵抗することもできず、ただただ美味しくなるためだけに捏ねられてゆく。
びたん、びたん、と叩きつけられて、伸ばされてぐるりと回されて。ころもは方向感覚がすっかりわからなくなってしまっていた。最後に棒のようなものでうすーく伸ばされてしまったなら、ペラペラになって完全に動けない。
(何かに加工されてるのだわ……)
そして上にソースをペタペタと塗られたあとに、ぱらぱらと具材を乗せられたならどんな料理に加工されているのかがはっきりしてくる。
(私、ピザにされてるのだわ!?)
オーブンに火が入れば生地はこんがりと焼かれてチーズもとろりと溶けてゆく。
こうしておいしいピザがひとつ完成した。
「凍ったまま会ったから名前知らないけど、魔女っ子さんがピザにー!?」
「さあ次の料理を始めましょう。ヒッポ君!」
「あ、次私!? まって、私おいしくない! おいしくないわきっと!」
そう言った彩香だが、最後の抵抗も虚しくあっさりとヒッポ君の口に入れられてしまった。
再びヒッポ君の中で料理への加工がおこなわれて、お腹のドアがオレンジに光って過熱が開始されてゆく……。
完成の音がチン、と鳴れば中からは丸々としたクリスマスターキーが出て来るのだった。
飴細工になったゼーアと、ピザになったころもとターキーになった彩香がそれぞれパーティ会場へと運ばれてゆく……。
料理が完成したら調理場の役目はひと段落。そこに居た『お友達』たちもパーティ会場へと移動していった。ポーラリアは誰もいない事を確認すると隠れていた所からフラフラと出てゆく。
猟兵はだいたいの事はなんやかんやで復活する。だから大丈夫だとは思うのだけれど……。
「とりあえずシエナんに伝えた方がいいかも……?」
と、ポーラリアは考えた。けれど。
「最後の飾り、発見じゃん☆」
「ひぇっ!?」
ポーラリアを追いかけていたレッドクロスが、まだポーラリアの事を探し続けていたのだ。
「わー!!!」
ポーラリアは慌てて、全力で逃げ出した。
●クリスマスパーティの開始
料理も運ばれて、パーティ会場も準備万端のはず。
だったらパーティ会場にいけばシエナんや他の無事な知り合いがいるかも! とポーラリアは会場めがけて飛んでゆく。けれどそれは、まだちょっとだけタイミングが早かった。
パーティ会場にシエナはまだ居なかったのだ。ポーラリアが会場に飛び込むとそこには『お友達』たちが勢ぞろいしており、全員の目が一斉にポーラリアへと向く。
ある者は料理に、ある者は飴細工に。または黄金像にして飾り付けるか、蝋燭にして飾り付けるかとギラついていた。
「きゃー! わー!!」
ポーラリアは必死に、部屋中を飛んで逃げ回った。けれどその途中で間違って、スポッと何かの袋に突っ込んでしまう。
「……あら? これは貴方へのプレゼントね?」
……スニェチカのプレゼント袋だ。
スニェチカはプレゼント袋に飛び込んだものを探して、取り出してみる。すると袋に飛び込んだ妖精は氷で出来たスノーグローブ(スノードーム)に加工されていた。
「まぁ、プレゼントね!」
スニェチカは氷の玩具になった元ポーラリアを抱えて席にちょこんと座る。対するポーラリアは抵抗できず動けないままだった。
(ふぇ……ふぇぁぁぁぁ……誰かお助けにー……!)
だがここにいる仲間はみんな加工済みで動けない。
動ける者が気づいてくれるまで確実に元に戻れないことだろう……。
さて、準備が出来た連絡を『お友達』から受け取ったシエナは客間で待つメンバーに声をかけていた。
残っていたのは雪乃のみ……。激減した招待客にシエナは首を傾げ、館の中も一応探してからパーティ会場に入って来る。
「みんなどこに行ったんだろう? とシエナは疑問に思います。雪乃さん、何か知っている? とシエナは質問をします」
「私は客間に残っていたので詳しくは知りません。館が騒がしかった様ですが、何かトラブルありました?」
「『お友達』たちはパーティの準備に一生懸命だったし、その準備もこうして無事に終わったところを見ると何も無かったはずだよ? とシエナは答えます」
シエナは再び首をかしげる。本日四回目の仕草である。
「緊急の任務でやむを得ず辞退したのかな? とシエナは判断します」
招待したみんなと過ごせないのは残念ではあるけれど、何故か『お友達』たちはとても満足していて機嫌が良さそうだ。みんなを招待したのも『お友達』の要望だったので、『お友達』たちが満足してるならまあいいか! とシエナは気持ちを切り替える。
「それじゃあパーティ自体はこのまま開始するね。みんな、メリークリスマス! とシエナはパーティの開催を宣言します!」
ちょっと予定通りとはいかなかったけれど、準備は無事に完了! こうして魔獣の森の人形館の2024年のクリスマスパーティが始まった。
●みんなと過ごしたクリスマス
「ターキーにピザにシチューにチキン! 飴細工まであって豪華だね。とシエナは調理担当の『お友達』を褒めます」
「ええ、美味しいですね」
二人と『お友達』たちは料理を食べ、装飾でクリスマス感を感じながら時間を過ごしてゆく。
またパーティ中の、キャンドルサービスメイカーが盛り上げてくれていた。彼女はレッドクロスたちをバックダンサーに迎えて、たくさんのキャンドルが灯す明かりの中でクリスマスソングを歌声で奏でている。
「たくさんのキャンドルのお陰でいい雰囲気が……おおう」
感想を述べる雪乃は何かに気付いて言葉を濁す。……蝋燭になっているテフラに気付いてしまったのだ。
さらによく見れば飾られている黄金像はどう見てもクローネで、大きな飴細工もゼーアにとてもそっくりである。
スニェチカが抱える玩具の中の小さな人形もポーラリアの様な気がしないでもない。
「…………」
雪乃はふと料理の素材が気になったが、それについては考えない事にした。
「どうかした? 雪乃さん、何か気になる事があったのかな? とシエナは様子を気にします」
「いえ……。みんな、料理を食べられなかったのは残念でしょうね、と思いまして。でもクリスマスパーティ自体はみんな参加できましたね」
「????」
この場に居なくて料理を食べられないのに参加はしている……そんな意味不明な言葉に、シエナはまたもや首を傾げるのだった。
このあと意識のある面々は見る事しかできないパーティをしょんぼりと見続けることとなった。
特に飴細工となったゼーアは体中をペロペロ舐め溶かされてゆく甘くて不思議な経験をすることになる。
そして料理になったころもと彩香は、雪乃とシエナと『お友達』たちにもぐもぐと咀嚼されての胃袋に収められ、テフラは溶けないクリスマスキャンドルとして最後まで部屋を照らし続けるのだった。
成功
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