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ケルベロス・ウォー④〜Miracle Oracle

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #パラディオン

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 大地を揺るがす巨大な四足。その一歩ごとに家屋が潰れ、ビルがへし折れる。
 其を以て歩み征くは鋼鉄の巨鯨。その威容は地上の戦艦が如し。
 機械仕掛けの体内にては、今まさに無数の機兵が生み出されゆく最中。
 己が巨躯と、解き放ちたる機兵らによって、都市を蹂躙し、地球の精髄を簒奪せんと。

 なれど、そんな巨大災厄の進路。真っ向立ち塞がる者達が在る。
 聖職者を思わす装いの彼ら彼女らは歌を紡ぐ。高く低く、戦場に在って朗々と響き渡る聖歌を。
 其は只の祈りに非ず、同胞を守り敵を撃ち払う奇蹟の聖歌。ユーベルコードに非ざりながらデウスエクスをも怯ませる、力ある歌。
 人の身に過ぎたるその力は、己が命数を激しく削る諸刃の剣。なれどその場の一人とて、此処で抜くを躊躇いはしない。
 すべては、地球を守るために。



「皆様、我らが故郷ケルベロスディバイドの地球を守る為の戦への参戦、深く感謝致します」
 グリモアベースに集った猟兵達を前に、グリモア猟兵、イルミナ・フィロシェット(嘆きの泉・f44587)は恭しい一礼と共に謝意を示す。
「|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の護りを破るに足る|決戦配備《ポジション》の数が揃うには暫しの時間を要しますが、未だ戦は始まったばかり。ひとつひとつ、着実に遂行して参りましょう」
 イルミナの告げるに、猟兵達が頷けば。彼女の見た予知に基づく任務の仔細が語られる。

「此度、皆様には、東京タワー目掛け進撃する強力なデウスエクスを迎え撃って頂きたく」
 イルミナが差し上げた掌から噴き上がる獄炎。その中に、巨大な金属の鯨と見える存在の姿が浮かび上がる。
「目標となるデウスエクスは、この『レヴィアタン』となります。ご覧の通り、鯨の如き巨体を持つ|機械系デウスエクス《ダモクレス》です」
 歩くだけで街並みを踏み潰し、体当たりでビルをも倒壊させ。更には体内で生産されたダモクレス軍団を周囲に展開しさえする、都市部においては存在するだけで凄まじい被害を齎すデウスエクスだ。無論、巨体相応の戦闘力も備えており、猟兵でも複数名で当たらねば厳しい相手であろうことは確実。
「ご覧になった通りの凄まじい強敵ですが――有利な条件も存在はしています」
 それは何か。問う猟兵にイルミナは頷き。
「失伝ジョブのひとつ『パラディオン』の方々が、これを食い止めるべく既に戦場へ展開しておられます。その身に『奇蹟』を降ろすことで、不思議な聖歌を歌う秘儀を受け継いでこられた方々です」
 奇蹟の力はユーベルコードにさえ迫る凄まじいものだが、定命の身には過ぎたる力である。奇蹟を降ろすことは肉体に強烈な反動を齎し、使い手の命数を少なからず削る。なれど彼ら彼女らは其を恐れることなく、地球を守る為に奇蹟を行使することだろう。
「それだけに、奇蹟の力を乗せ歌う聖歌は、皆様にも確かな助けとなります。どうか、此を存分に活かしてレヴィアタンと戦って頂ければと」
 それともうひとつ。イルミナは更なる手段を提示する。
「奇蹟の力は、皆さんが直接その身に降ろすことも可能です。パラディオンの方々の助けを借りれば難しいことではないでしょう――が」
 然しイルミナは表情を硬くする。というのも。
「本職のパラディオンではない方が無理矢理降ろすためというのもあって、奇蹟の力は埒外たる皆様の身にも少なからぬ負荷を齎します。寿命の削れる程度はお覚悟なさった方がよろしいかと」
 それだけの覚悟のある者のみ、この手段を用いるべきだろう。

「私からは以上となります。それでは、現地へと転送致しますね」
 説明を終えると共に、イルミナの掌の上の獄炎が一層広がって――その内に、世界を超える門が形成される。
「理不尽なる蹂躙を食い止めるべく――皆様、どうかよろしくお願い致します」

 そして猟兵達は征く。数多を破壊せんと地を踏み荒らす、鋼鉄陸鯨を迎え撃つために。


五条新一郎
 命懸けの奇蹟。
 五条です。

 ケルベロス・ウォー、続いてのシナリオは対艦戦。
 奇蹟の歌い手達と共に、街を踏み荒らす巨大地上戦艦を粉砕してくださいませ。

●目的
『レヴィアタン』の撃破。

●戦場
 ケルベロスディバイドの東京都内。
 市街地ですが、レヴィアタンの通ってきた経路は踏み荒らされて瓦礫と化しています。
 住民は避難済みなので人的被害は無いようです。

●味方NPC
『パラディオンの皆さん』
 失伝ジョブ『パラディオン』の人達。男性は神父風、女性はシスター風の装いをしています。
 猟兵到着後は支援に徹するようです。

●プレイングについて
 OP公開と同時にプレイング受付開始、ある程度のご参加を頂いたところで〆切の予定です。
 募集状況はタグにて掲示しますが、〆切と書いていなければ受付中と考えて頂いて問題ありません。
「パラディオンの発動させる「奇蹟」の力を受けて戦う/パラディオンならざる身でも、無理矢理自分の肉体に「奇蹟」を降ろして戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。
 後者の場合は肉体に多大なる負担がかかります。

 それでは、皆様のミラクルなプレイングお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『レヴィアタン』

POW   :    巨鯨上陸
単純で重い【脚部ユニット】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    インビジブル・ワン
見えない【ステルス型ダモクレス】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    ロールアウト
レベル×5体の、小型の戦闘用【新型ダモクレス】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
パラディオンの皆様方の命の歌に合わせて、歌い踊る藍ちゃんくんなのでっす!
ひしめく新型ダモクレスの大群の注目を集め、おびき寄せちゃうのでっす、レヴィアタンさんの方へと!
当然、藍ちゃんくんは攻撃されるでっしょうがー。
時に新型さん達を盾にし、時に新型さん達が盾になってくれたりなのでっすよー!
どころか藍ちゃんくんを狙った新型さん達の攻撃が、他の新型さんやレヴィアタンさんの方へと飛んでいったり!
レヴィアタンさんの攻撃が藍ちゃんくんを狙う新型さん達の方へと飛んでいったり!
同士討ちなのでっす!
藍ちゃんくん達の歌は敵味方を超えて、皆々様をファンにしちゃうのでっす!


カタリナ・エスペランサ
……命を削る覚悟、ね
見上げた志だけど、アタシとしては実践まではしてほしくないかな
せめて手早くケリを付けよう

響かせる歌声は《鼓舞+回復力+リジェネレート+祝福》生命力を補填する《歌唱+多重詠唱》
敵UCの不可視は《第六感》と《心眼》で看破、
《早業+怪力》や《羽を飛ばす+爆破+誘導弾+弾幕》で対処するよ

さて……アタシ自身の生命力も賦活されてるのはついでだけど
《禁呪+ドーピング+召喚術》のコストとして有効利用しようか
【黒鉄の暴嵐】
戦禍より生まれ堕ち戦禍を殺す――あらゆる|兵器《悪》の存在を赦さないが故の最終兵器だ
《ハッキング+プログラミング》、街への被害は最小限になるよう干渉しつつ真正面から打ち砕こう


山吹・慧
いささか規格外の相手ではありますが、
巨大な敵とはこれまで何度も戦っていますからね。
これ以上の被害を広げない為にもここで片付けましょうか。

では、奇蹟の力で援護してもらいましょう。
よろしくお願いします。
その命を削るのであれば短期決戦を狙いましょう。
戦いはまだまだ続きますから無理はしないで下さいね。

エンジェリックウイングで飛翔し、
【残像】を伴う動きで攪乱しながら接近します。
敵の攻撃は【空中機動】を駆使して回避。
敵がこちらの間合いに入ったならば、
【リミッター解除】した【羅山砕甲掌】を放ちましょう。
装甲を破壊したならば、そのままドリルガントレットによる
【乱れ撃ち】を放っていきます。



 グリモアベースより転移を果たした猟兵達。前方を見れば、力強く地を踏み叩きながら迫る鋼鉄の巨鯨。『レヴィアタン』、此度の撃破目標たる大型ダモクレスだ。
「あやー、確かに大きいでっすねー」
 手を庇代わりにして見遣る紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は率直なる感想を漏らす。とはいえ。
「いささか規格外の相手ではありますが、巨大な敵とはこれまで何度も戦っていますからね」
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)の語る通り。猟兵達はその戦いの中で、あの鉄鯨さえ上回る巨体の敵を何体となく倒してきた。巨大なだけの敵なら今更恐れなどはしない。
「全くだね……で」
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)も同意を示すと共に、己らの後ろに居並ぶ集団を振り返る。男女其々に聖職者と思しき装いをした一団、此度猟兵達と共に戦うパラディオン達である。
「猟兵の皆さん、助勢感謝致します」
「皆様の助けとなるべく、身命惜しまぬ所存です」
 一様に、丁寧な物腰で語るパラディオン達。そんな彼ら彼女らの様相に、カタリナは僅かに眉根を寄せる。
(――見上げた志だけど、アタシとしては実践まではしてほしくないかな)
 文字通り命を削る、パラディオンの奇蹟。その覚悟には敬意を示せど、自ら命を擲つ行いには良い顔ができぬ。彼ら彼女らに悟られぬよう、密かにだが。
「はい、よろしくお願いします。戦いはまだまだ続きますから、無理はしないで下さいね」
 慧は普段と大きく変わらぬ物腰と微笑でパラディオン達に挨拶するが、再び藍とカタリナの隣へ並べば。
「――彼らの業が命を削るなら、短期決戦を狙いましょう」
「――そうだね。せめて手早くケリをつけようか」
 そう語る慧の表情は真剣そのもの。彼も奇蹟の代価には思う処があるのかもしれない。カタリナは頷く。
「ではでは皆々様! いざ迎撃開始なのでっす!」
 敵もかなり此方へ接近しつつある。状況の開始を藍が呼びかけると共に、猟兵達は敵へ向け動き出す。
「はい――それでは、いきます!」
 パラディオン達が一斉に、祈るが如く両手を組めば。程なくして、彼らの総身が淡い光を帯びて輝き始める。
 そして誰からともなく一斉に、声を発し歌いだす。流麗なる旋律ではあれど、広く強く響き渡る力の籠った歌声が、これから戦場となる都市へと響いてゆく――

「――これは」
 直後、三人は感じる。響く歌声を通して、己らの身に漲る力を。確かな力強さがありつつも、何処か温かみも感じられるその力、これが『奇蹟』の力以て紡ぐ聖歌か。
「これならば、やれそうですね」
「ああ、速攻でいけそうだよ」
 頷く慧にカタリナも応える。これならば先に語った通り、速攻も叶うと。
「~~~♪」
 一方、藍は紡がれる旋律に合わせて歌いだしていた。彼自身は奇蹟を降ろしていないが、元より歌を以て力と為すは藍ドルの領分。此度はパラディオン達とのコラボレーションという形を取ったまでのことだ。
『前方に敵性存在を確認。新型ダモクレス部隊、出撃』
 やがて、前進を続けるレヴィアタンの方も、猟兵達に気付いたようだ。その身から機械的な音声が発されたと思えば、鯨の後部を思わせる前部装甲が展開。その内側から、無数のドローンじみた小型兵器――ダモクレス群が飛び出し、三人へ向けて襲い掛かってゆく。
「来ましたね……! ですが!」
 慧は其を確かめるや否や跳躍、そのまま背に装着せし光翼を以て飛翔を開始、空中よりの突破を期す。
「っと! 何の、当たりませんよ!」
 残像すら残しながら不規則な軌道で飛び回る慧、ダモクレス達は次々と銃撃を繰り出すものの、碌に慧を捉えられず。フレンドリーファイアで僚機を撃ち落としてしまう者すらある。
「――そっちか」
 一方、カタリナに向かってきたダモクレス群の数は少なく、その攻勢は彼女にとっては容易く回避できる程――と見えていたが。カタリナ、徐に敵の攻撃とは無関係な横跳びで回避行動。というのも。
「ステルス機が混じってるか。味なことをするね」
 彼女の第六感は、其処に姿なく襲い来るステルス型ダモクレスの存在を知覚する。背の翼を羽ばたかせて羽を弾丸として撃ち込めば、空中に刺さる羽が敵存在を確かなものとする。聖歌の
 とはいえ、見える敵に混じって見えない敵がいるという状況は小さからぬ負担を齎す。聖歌の助けがあるとはいえ、このままではうまくないが――カタリナが思案しだした、その時。
「む、敵の動きが変わった?」
 ダモクレス群を回避しつつレヴィアタンへの接近を試みていた慧が気付く。敵の動きに変化。己を包囲せんとする動きは変わらずも、明らかに精彩を欠き出している。まるで何かを気にするように――
「~~~♪」
 ふと視線を流せば、尚も歌う藍の姿。彼へもダモクレス群は攻撃をかけているが、その動きは慧へ向けたものより更におかしい。ある個体が藍へと銃撃をかけたかと思えば、その射線に別の個体が滑り込んだり。或いは明らかに有り得ない角度で射線がずれて、別の個体を射撃してしまう個体もある。
(うまく同士討ちして下さってるのでっす)
 己の狙いは此処まで当たっている。歌いながら心中で頷く藍。彼の愛くるしき歌声はあらゆるものを魅了する。それこそ機械の如き芸を解さぬ存在さえも。聖歌の援護はもとより魅力的なその歌声をより引き立て、魅惑の力を一層高めていた。以て、敵は藍の行動を妨げぬ、藍の身を傷つけぬようにプログラム外の行動を取るよう動くに至っているのだ。。
(あとは、レヴィアタンさんの方へ向かうだけでっす!)
 勿論、敵の布陣は彼の行く手を阻む目的を既に放棄している。その中を真っ直ぐに駆けていけば。
『敵性存在、近接範囲に接近。直接攻撃開始』
 目前まで迫ったレヴィアタンが、脚で藍へと蹴りつけてくる。真っ直ぐ藍を狙うその攻撃、流石にこれ程の敵には充分な魅了効果は発揮できないか。
 だが己の業に頼り切りの藍ではない。其が真っ直ぐ己へ向けての攻撃と見れば、直ちに跳躍して回避。其を追って繰り出された筈の小型ダモクレス群の銃撃が、母艦たるレヴィアタンに突き刺さる事態を齎した。
『更なる敵性存在が接近。此方も直接攻撃対象とする』
「っ、流石に気付きましたか――ッ!?」
 その隙を突いて接近を試みた慧だが、己の間合いに捉える前に生じた敵の動きに目を剥く。レヴィアタンが、跳躍した!?
「――ですが!!」
 あの巨体で跳躍までこなすとは。一瞬だけ驚きを見せた慧だが、その飛翔速度を捉えきれなかったか、跳躍からの踏み潰しを狙っただろう敵の狙いは甘い。呑まれることなく、落ち着いて高度をより上げて回避すれば。
「今度は此方の番です!」
 落下軌道へと転じたレヴィアタンの上部へと取りつき、腕に纏ったドリルガントレットを振りかざす。備わるドリルが力強い螺旋回転を始め、闘気が纏われる。其は聖歌の作用か、常に増して力強い唸りを発し。
「打ち砕け――羅山砕甲掌!!」
 そして拳を振り下ろせば、唸るドリルが装甲を捉え。激しい火花と穿孔音を撒き散らしながら、猛烈な勢いで穴を穿つ。分厚い上部装甲へ、それこそ地面を穿つように穴を開け、広げていっている。
「混乱しているね。なら、今が好機か」
 藍の歌声に加え、母艦が直接攻撃を受けている状況に、敵軍の動きが明確に乱れてゆく。その隙にステルスダモクレス群を始末しきったカタリナも、母艦たる巨鯨を狙って仕掛けてゆく。
「獄禍解放――!」
 ユーベルコードを励起、行使するは禁呪たる召喚術。聖歌によって賦活された生命力により、其を代償とするが常より容易となったその術を、此度の切り札として切ったのだ。
 以て召喚されたるは、その身に無数の兵器を装着せし機械龍。其は戦禍より生まれ堕ち戦禍を殺す、あらゆる|兵器《あく》の存在を赦さぬモノ。兵器を殺す兵器、故にこそ最終兵器と称されしモノ。
 そのAIへと魔術を以てハッキング、命令系統と火器制御系統へ干渉。目標を前方の機械陸鯨と設定すると共に、都市への被害を最小限とするよう火力投射範囲を限定。その条件下にて――殲滅形態、発動。
「さあ――撃ち砕け!」
 その命令を言葉として発すると同時、機龍の全身の火器群が火を噴いた。機関砲に電磁砲弾、ビームにレーザーにミサイルにロケット弾、無節操とも見える程に多様な火器が一斉に放たれ、鉄鯨の身を穿ち削る。
『前方より高火力攻撃、反撃を――』
 其を繰り出した機龍を最大の脅威と見たか、新型ダモクレス群に反撃命令を発するレヴィアタン。だが当のダモクレス群は。
「新型さん達は既に藍ちゃんくん達のファンでっしてー!」
 曲の合間に藍が言い放った通り。新型ダモクレス群の多くは命令に従うもののその動きは鈍く。藍への攻撃もまともに彼を捉えられぬばかりか、母艦たるレヴィアタンの方へと向く始末。半ば統制から外れつつあるようにさえ見えた。
「このまま、破壊し尽くしてみせましょう……!」
 慧はドリルで穿った穴を目掛け、立て続けにドリルを撃ち込み内部構造までをも穿ちだす。伴って内側で響く破裂音が、巨鯨の悲鳴の如く響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
見事な覚悟ですねぇ。

出来る範囲で負担は減らしましょう。
『FLS』にて全『祭器』を召喚、パラディオンの方々の支援を受けると共に『FQS』『FXS』を彼らの周囲に配し、治癒を行いまして。
『FAS』により飛行、【辠兦】を発動し速攻を仕掛けますねぇ。
『攻撃動作中の|無敵化《スター●リオ状態》』で巨鯨の『脚部』の攻撃を透過、『対巨大兵器』を想定した『FDS』の[爆撃]で装甲を貫通させ、『|脚部《部位》破壊』の『威』を以て回避行動を阻害、巨体故に影響を受け易い『FGS』の重力波で抑え込みましょう。
更に最大サイズ化した『FJS』の『波動砲』も投入、全『祭器』の攻撃を集中させますねぇ。


アンジェリカ・ディマンシュ
星が全てを照らす様に、悠久と久遠の果てに紡がれた神と人の楽園へと希望の光を。過去の私が否定してもこの星の道を紡ぎましょう――

そんな生命賛歌を謳いながら、元パラディオンとしてパラディオンの『奇蹟』をその身に宿す
わたくしはブレイド世界ではパラディオンであった身…!
ならば、反動への耐性は確実にあるはず!

その耐性を活用しながら、わたくしはUCを発動
想像し創造する運命を超克する強い希望の光の演奏を戦場内に轟かせ、指定した対象のみに与えられる運命超克属性のダメージを
ダモクレス相手ならば、無機物特攻が良く乗る事でしょうね!
新型ダモクレス諸共、レヴィアタンを奏でて砕いていきますわ



 先行した猟兵達の攻撃により、レヴィアタンの進撃はその速度を鈍らせた。其処に追撃をかけんと、次なる猟兵達がレヴィアタンへ向かってゆく。
「見事な覚悟ですねぇ……」
 攻撃開始に先立って言葉を交わしたパラディオン達、その決然たる様相を思い、オーラの翼で飛翔する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は驚嘆混じりの声を漏らす。己の命を代償とする力だというのに、ああも迷いなき様子で行使できるものか。
「それがパラディオンというものです。わたくしも、本来は同じパラディオンですから」
 故に理解はできる、と、地を駆けるアンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)が応える。|もうひとつの世界《ケルベロスブレイド》においてはパラディオンであったという彼女、それ故にパラディオン達の在り方はよく理解している。
「なるほどぉ……ところで、アンジェリカさんは大丈夫です?」
 唸るるこる、其処でアンジェリカへと話を向ける。というのも、彼女の表情が本来以上に険しいものであったことに気付いたからだ。
「……今は違うとはいえ、元々パラディオンであった身。他の猟兵よりは反動への耐性はありますとも」
 額に脂汗を滲ませつつも、アンジェリカは応える。先程、彼女はパラディオン達の協力のもと、その身へ『奇蹟』を降ろしていた。埒外たる猟兵にも負担を強いる代物とはいえ、元々パラディオンたる身なれば耐性はある筈、と踏んでのものであったが。
「正直な処、完全に抑え込めると思っていましたが……そううまくはいきませんね」
 今はパラディオンではないのと、そもそも力の性質に微妙な差異があるのか。そんなアンジェリカを以てしても、『奇蹟』の反動は無視できぬものであった。少なくとも命数を削るほどではなさそう、との事ではある。
「そうですかぁ。私の祭器が助けになれば良いのですがぁ」
 アンジェリカの背後、彼女へ従うように浮遊する二種の花型祭器を見遣りつつ、るこるは言う。治癒能力を持つこれら祭器は、パラディオン達のもとにも展開している。これらが彼らの負担を軽減できればと思いつつの行動だったが、アンジェリカが自らに『奇蹟』を降ろしたので一部を割いて彼女に随わせたのだ。
「ええ、感謝致しますわ。おかげで随分楽に――と、そろそろですわね」
 其へアンジェリカが謝意を述べかけたところで、敵のもとへと到達した。ならば此処からは戦いの時だ。
「はい。始めると致しましょうかぁ」
 応えてるこるは得物たる祭器群を展開。総数1000を超える多様な祭器が、地上戦艦たる大型ダモクレスを囲むように展開される。
『敵群第二波接近。ダモクレス部隊、出撃』
 其を感知したレヴィアタン、鯨の口部を模したる前部装甲を展開、その内より無数の新型ダモクレス部隊を放つ。以て祭器群の破壊と猟兵達への攻撃を為さんとする――が。
「――星が全てを照らす様に――」
 其処へ響くは、アンジェリカの放つ歌声。伴って放たれるは、眩しくはなくも強い輝きを帯びたる光。希望の徴を思わせる光。
「――悠久と久遠の果てに紡がれた神と人の楽園へと希望の光を――」
 其を浴びたるダモクレス群が、忽ちのうちに破壊されてゆく。其は、想像し創造する運命を超克する光。以て奏でる音楽に、運命を超克する力を――理不尽なる運命を打ち砕く力を持たせるもの。以て敵を打ち砕く力。
『――敵の音波攻撃を確認。対策装備の生産を開始――』
 無論、レヴィアタン自身にもその影響は与えられる。齎された損傷は随分と深い。というのも、この光は無機物に対してより絶大な破壊力を発揮するが為。機械ゆえに無機の存在であるダモクレスには、この上なく効果的に作用する光だ。
「その前に叩かせて頂きますねぇ」
 そして、その間に祭器群の展開を終えたるこるも攻撃開始。笏型祭器によって展開された重力場が、巨鯨を捕らえ逃がさない。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その厳罰の執行をここに」
 励起せし|女神の加護《ユーベルコード》が、響く聖歌と相まって祭器群へ一層の強化を齎す。卵型祭器から爆弾が次々と投下され、レヴィアタンの装甲を拉げ砕けさせていき。
 其処へ降り注ぐ祭器群からの光線や炸裂弾、魔力の矢や弾丸。激しい砲火の雨に、さしもの機鯨も耐えきれぬか、とうとうその場に擱座してしまう。
 そしてダメ押しとばかりに現れるは、巨大な砲塔の如き形を成した祭器。砲口内には夥しいほどの強烈なエネルギーが渦巻き高まって。
『――過去の私が否定しても、この星の道を紡ぎましょう――』
 聖歌と共に響き渡るアンジェリカの歌声に乗せるが如く、高まりきったエネルギーは猛烈な勢いで放出され。動けぬ鉄鯨を貫き穿ち、その機体へ重篤なる損傷を齎したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミスト・ペルメオス
・POW

──やるぞ。ブラックバード。

愛機たる機械鎧を駆って参戦。
パラディオンの方々の支援により、奇蹟の力を受けてレヴィアタンに挑む。
彼らの覚悟、無駄にはしない……!

装備等を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
出力最大。最大稼働ッ──【フォースド・アサルト】!
極超音速と防御フィールドにより対空砲火も脚部による格闘戦も突破しつつ、ドレッドノート・デバイスによる応射で攻撃を行う。
加えて船底を潜り抜けざま、レヴィアタンの前脚の関節部分を狙って砲撃を叩き込んでいく。
一度でダメなら二度、三度。反復攻撃、搭載火器と関節部に砲撃を集中して……関節を破壊、その巨体の自重も利用して擱座に追い込んでやる!


ラウラ・シュトラウス
あのデカブツの侵攻とはまた厄介だね
でも好きにはさせない
パラディオンの人達の覚悟に応えて、奴を宇宙へ叩き返そう

事前にコンビニで沢山買ったチョコバーなどの軽食を皆で分けて食べよう
【Refresher】で全員の力を解き放ち、寿命への負担軽減をした上で最高の「奇蹟」を借りるよ

彼らの確かな覚悟と想い、誇りを感じる
あたしも仕事柄よく分かるんだ
でもこれを最後の晩餐にはさせない
どうせなら生きて勝ち抜こう
……これなら、やれるね

透明化した敵は[戦闘知識]と[戦闘演算]で経路を予測し、MGLの[範囲攻撃]で迎撃

最後に無防備でガラ空きの胴体にグングニルの[貫通攻撃]で炸裂弾をお見舞いして、気持ちよく風穴を空けてやろう


秋月・信子
●POW

巨大陸上戦艦が地上を蹂躙…クロムキャバリアでも見ない光景ですね
『相手は何万光年先の惑星から侵略してるからね。もう何でもありなんでしょ』

シュラークヴォルゼンで出撃します
機兵は手持ちのガトリングで駆逐しつつ、レヴィアタンへの有効射程まで接近
可能であれば装甲が最も薄いと思われる腹部の下まで行きたいのですが…
『ヘマしたら、あの脚部ユニットでペシャンコ。右部ウェポンラックの大型ミサイル垂直射撃で軌道を反らせるしかないわね?』
通信越しの奇蹟の力を乗せて歌う聖歌の加護を祈りましょう

ポイントに到着しましたら、左部のバントライン砲をUCと共に展開
奇蹟の力を降ろして強化された魔弾なら…行けるはずです!



『機体中破。歩行機能20%低下。工廠機能、第2及び第6生産ライン稼働不能』
 猟兵達の攻勢により、大きな損傷を受けたレヴィアタン。発されるシステムチェック音声にも、その被害の大きさが現れている。
『――指令に従い、任務を続行する』
 だが、その状態を意にも介さずとばかり、機鯨は再び歩みだす。それがこの|機兵《ダモクレス》に与えられた指令。完全破壊されるまでに、一歩でも人類の防衛線へ食い込めとばかりに。

『――やはり未だ動くか』
 猟兵達とパラディオン達の防衛線にて。愛機たる機械鎧『ブラックバードIII』のアイカメラ越しに敵艦の移動再開を認め、搭乗者たるミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は唸る。損傷は決して浅くはないが、それでもあの巨鯨艦は侵攻を止めない、そんな予感はしていた。
『巨大陸上戦艦が地上を蹂躙……クロムキャバリアでも見ない光景ですね』
『相手は何万光年も先の惑星から侵略してるからね、もう何でもありなんでしょ』
 ブラックバードIIIより一回り小さな重装キャバリア『シュラークヴォルゼン』からは秋月・信子(|魔弾の射手《フリーシューター》・f00732)の呟くに続き、信子とは似て非なる声音での呆れ気味な声。信子が『姉』と呼ぶ彼女自身の二重身である。
「まったく厄介だね。でも、好きにはさせない」
 両機の間に生身で立つラウラ・シュトラウス(|狼《ルプス》・f32573)が、簡潔な言葉で同意と、その上で意志を示す。かの巨大地上艦を、宇宙へ叩き返してやると。
 その意志がユーベルコードと共に、肉体に宿る潜在能力を解放する。常よりも身体に力滾り、思考が明瞭となるのをラウラは感じる。だが、それだけではない。
「――これは……この力は……?」
「なんだか、身体の奥から漲ってくる感じです……」
 パラディオン達が困惑気味な様子を見せる。己の身体から湧き上がる、常よりもなお大きな力を感じている。
『力が湧いてくる……ラウラさんのくれたパンでしょうか』
『さっきのチョコバーに何か入れていた……?』
 更にはミストと信子もまた。最も多くの経験を経た猟兵たる彼らなれば、その能力の凡その当たりはついているようだが。
「あれはただのお菓子と軽食。食事をしたこと、それ自体があたしのユーベルコードの誘因になる」
 簡潔なラウラの答え。この局面に至る直前、ラウラはチョコバーやドーナツ、パンにおにぎり等をパラディオン達やミストや信子に振る舞っていた。それ自体は事前にコンビニで買いこんだありふれたものだが、何であれ直前に食事をしていれば、ラウラのユーベルコードは効果を及ぼせる。
「これで、少しは反動が抑えられるはず」
 その為のユーベルコード、と告げながら、ラウラはパラディオン達の一人一人へと視線を巡らせる。その表情、見返す視線。誰もが強い覚悟と想い、誇りを抱いてこの場に在るのだと理解するには充分な力を感じさせる。幼い頃から傭兵としてUDCアース各地を巡っていた彼女には、それがよく理解できる。だが、だからこそ。
「さっきの食事を、最後の晩餐にはさせない。どうせなら、生きて勝ち抜こう」
 彼らの覚悟に報いつつも、其を此処で終わらせはしない。そんな想いを以て呼びかければ。パラディオン達からは一様に是の応え。彼らとて、叶うならば生還したいのだ。その意志を確かめ、ラウラも頷く。
(……これなら、やれるね)
 以て全員での帰還を。其が叶う道筋ができたと、ラウラは僅かに目元を緩めた。
「さあ――行こう」
 振り向けば表情は既に普段通り。機動兵器に座する二人の猟兵へ向けて呼びかけるが早いか、その身は疾走を開始。迫り来る鋼鉄の巨鯨を目掛け。一直線に駆けてゆく。
『了解――やるぞ、ブラックバード』
 ミストは応えるに続け、愛機へと呼びかける。其に応えるが如く、黒鋼の巨鳥は地より浮き上がり、戦場の空へと飛び上がる。
『ええ、行きましょう。――シュラークヴォルゼン、出る!』
 信子が返事に続けて宣言を発すれば、直後に蒼黒の重騎兵は地を滑るが如く疾駆しだす。碧の単眼に、駆るべき鋼鯨を見据えながら。
「猟兵の皆様に……力を――!」
 其を見届けるパラディオン達もまた、己の為すべきを為す。その身が神々しき光に包まれたかと思えば、声高らかに歌を紡ぎだす。奇蹟の力が聖歌となって、戦場へと広がってゆく。
『――これが、奇蹟の力』
 響く聖歌が届くと共に、サイキッカーとしての念動力が常よりも高まりゆくことを、ミストは感じる。元より機体のフルコントロールを成すべく隅々まで行き渡らせている念動力が更に高まり、普段よりも一層鋭敏かつ強靭な駆動を実現するかのようだ。
『こっちも機体出力が高まっています。機体にまで作用するとは、凄まじい力ですね』
 信子も奇蹟の力で強化された機体の調子を確かめつつ応える。通信を介して聖歌を機内に響かせている故もあるだろうか、と内心で思案もしつつ。
「本当に、凄い力」
 ラウラも己の身へと届いたその力をまた実感する。自身のユーベルコードで高めた身体能力が、より一層高まっていく。これが、負担軽減によって実現した、最高の『奇蹟』だろうか。
「――いける。ううん、やってみせる」
 ならば、今度は己らが其に応える番だ。頷くと共に、得物たる対物ライフルを構える。敵が装甲目標なれば、この|神槍《グングニル》の出番だ。
『彼らの覚悟、無駄にはしない……!』
 此処までの支援を受けたからには確実に。ミストのその意志に応え、機体に搭載されたる特殊兵装がその形を変えてゆく。以て現れたる形は長砲身重粒子砲。其は対艦戦闘に最適化された|恐れ知らずの巨砲《ドレッドノート》。
『敵戦力接近。対空火器全力稼働。工廠機能最大稼働、ダモクレス歩兵部隊、全機出撃』
 そして交戦距離へと到達。レヴィアタンも猟兵達の接近を察知、全身の火器群が展開して迎撃態勢を整えると共に、鯨の口部と思しき部位からは無数のダモクレスが溢れ出し、隊列を組んで猟兵達を目掛け前進を開始。その様はまさしく|終末を齎さんとする魔獣《レヴィアタン》。
『ええ、この力があれば必ずやれます……!』
 其を前に信子は機体の滑走を停止、主武装たるガトリングガンを構える。其を以て敵の機兵軍団を薙ぎ払う|打撃力《シュラークヴォルゼン》を示さんばかりに。

 以て、決戦が始まった。

 レヴィアタンの上部火器が一斉に火を噴き、戦場たる都市外縁の空に濃密なる弾幕を展開。不用意な飛翔存在を瞬く間に撃ち砕く鋼鉄の雨が、逆しまにブラックバードIIIへと襲い掛かる。
(出力最大。限界突破、最大稼働ッ――!)
 なれどミストは只それだけで墜とされる鳥ではない。瞬時に意識を集中、高まった念動力を機体周囲へ展開。其へとエネルギーを纏わせることで念動力のフィールドとエネルギーバリアを構築。襲い掛かる火線の悉くを防ぎ留め、機体には一発の銃弾を掠らせさえしない。
(フォースド・アサルト――行くぞッ!)
 そうして守りを確立すれば今度は攻めだ。そのまま極超音速――最大時速15700kmにての空中機動を開始。砲火を跳ね除け格闘攻撃の狙いを乱し、迎撃に一瞬の空隙を生めば、其を縫って重粒子砲を発射。大出力のビームが鋼鯨の背を穿ち、対空砲の一部を破壊しながら分厚い装甲にも深い痕を穿つ。
『邪魔はしないで貰いましょうか!』
 地上では、信子の声と共に機体の構えるガトリングガンが火を噴く。二重の強化は火器にも及び、撃ち出される弾丸の勢いはまさしく豪雨。其に打たれたダモクレス群は一瞬にして鉄屑と化し、或いは爆散してゆく。
 そうして開いた戦線の穴を、ラウラが共に駆けてゆく。レヴィアタンへの肉薄を果たさんと――
「そこ」
 刹那、ラウラはライフルと共に携行していたグレネードランチャーを構えて撃ち放つ。リボルバー式機構によって数発纏めて射出された榴弾は狙い違わず戦域の一角、数機の量産ダモクレスの在る一帯へと次々着弾し――立て続けに爆発。其を以て、機兵達を吹き飛ばした。
『今のは――』
 位置関係的に脅威の少ない敵だったが何故唐突に。一連の動きを見ていた信子は訝しむが、直後にその理由を悟る。
 榴弾の着弾点の中心、何も無かった筈の空間に、一機のダモクレスの姿。先程まで在った機兵とは明らかに別種。つまり、あの場に姿は見えずとも存在していた――ステルス機能を搭載したダモクレスだ。
「予想通り。ステルス機がいるのは分かってたし」
 小さく頷きながら応えるラウラ。言い終えるが早いか再度グレネードランチャー発射。今度は逆方向のステルス型ダモクレスを爆発に巻き込み、見事に粉砕してみせた。
 実戦で磨かれた戦闘知識と、其を基とした戦闘演算。底上げされた身体能力と幸運が、それらの精度をより高めていた。
 以てダモクレス部隊は壊滅。なれど時間をかければ更なるダモクレスが生産されてくるだろう。その前に母艦たる鉄鯨を沈めてしまわんと、肉薄を果たす二人だが。
「やっぱり狙い目は腹部。潜り込んで風穴開けてやろう」
『そうですね、腹部が一番装甲が薄いでしょうし』
 再度対物ライフルに持ち替えたラウラが言うに信子も同意を示すが。
『ヘマしたら、あの脚部ユニットでペシャンコよ?』
 二重身のツッコミが入れば唸る二人。ちょっとしたビル並の太い脚がかの巨鉄塊の質量と共に叩きつけられれば、生身のラウラどころかシュラークヴォルゼンでも瞬時にスクラップとなりかねない。どうしたものか――
 と、その時。
『そういうことなら……!』
 上空から対空火器を粗方潰しきったミストの声。次いで超音速で降下してきたブラックバードIIIが、そのままレヴィアタンの艦体底部を滑るように潜り抜け――直後、その右前脚部の根元で爆発。潜り抜けざまに重粒子砲を発射し、その付け根へと撃ち込んだのだ。
(どうだ……!)
 再度上空へと飛び上がったブラックバードIIIから下方の機鯨を見下ろし、ミストは攻撃の効果を確かめる。これで駄目なら、二度三度と撃ち込むつもりだが――
 レヴィアタンは動かない。否、動けない。先に交戦した猟兵に与えられたダメージも合わさり、鋼鉄陸鯨の前脚関節部は最早限界を迎えつつあった。機体本体とは別の震えを見せたかと思えば、直後、硬質な破裂音と共に関節部装甲が断裂。大質量を支える脚部のひとつを失った鉄鯨はそのまま、為す術なくアスファルト上に擱座してしまった。
『これで敵はもう動けませんね』
「そうだね。今こそ狙いどころ」
 其を受けて、半ば横倒しとなったレヴィアタンの側面へと移動する二人。其処にブラックバードIIIも着陸し、半ば死に体の地上戦艦へと狙いを定める。その様子は正しく、陸に打ち上げられた鯨のようで。
『バントライン砲展開、重武装モードへ変形』
 信子の声に応えるが如く、シュラークヴォルゼンが機体左部に搭載した|長距離砲《バントライン》を展開。と同時、機体の下部を中心として全体に増加装甲が纏われ、バントラインにも追加パーツが装着されてゆく。ユーベルコードの作用で重武装形態化しつつあるのだ。
『魔弾装填、目標捕捉――ロックオン完了』
 その弾倉に込められたるは、信子の有する異能を以て生み出された魔弾。此度は奇蹟の力をも込め、更なる破壊力を其処に宿す。これならば、いける。
「もう逃げられないし、進めない。ここで、終わりにするよ」
(これで、決める)
 ラウラもまたライフルに炸裂弾頭を込め、がら空きの胴部に狙いを定める。ミストも決着の意志を込め、重粒子砲の照準を定めて。
『――行けぇっ!!』
 信子の叫ぶを合図として、魔弾と、炸裂弾と、重粒子ビームがほぼ同時に撃ち放たれ。その全てが腹部へと突き刺されば、其処に生じた盛大な破壊がトドメとなり。
『損傷率……限界超過……任務……続行、不……の――』
 断末魔じみたシステム音声も中途で途切れ。此処に、地上戦艦型ダモクレス『レヴィアタン』は完全に破壊されたのである。



 以て、猟兵達はこの戦域でも勝利を収めた。この勝利は敵に対する確かな打撃となると共に、|決戦配備《ポジション》の展開を進める確かな助けとなることだろう。
 ケルベロスディバイドの地球の命運を賭けた戦は、次の段階へ進もうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月09日


挿絵イラスト