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ケルベロス・ウォー⑥〜作戦:後衛を狙う

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 彼の戦場は常に、最前線のすぐ後ろだった。
「生きることを諦めるな! 気合いでも根性でも何でもいい、絶対に死んでたまるかと強く思うんだ!」
 自分にできることを、なけなしの勇気と良心を振り絞って、ずっとやってきただけだ。そう思っている。
 救えなかった命などいくらでもある。
 あの時もっと自分に力があったなら、より正しい判断を下せていたなら。後から後悔したことはいくらでもある。
 個人の栄誉を求めず、決して驕らず。

 ただひたむきに、人類の救けになろうとしてきた男の、次の活動の場が東京であった。今はただそれだけのことだ。

「ケルベロス・ウォーが始まったな。お主ら、気合は十分かのう?」
 グリモアベースにて、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は不敵な笑みを浮かべながら集った猟兵たちに説明を始めた。
「仕掛けてきた十二剣神どもの狙いは、特務機関DIVIDEの本部である東京タワーの地下にある重要なブツ……『地球の精髄』とやららしい」
 現在、東京タワー目掛けて敵の大軍が押し寄せてきている。速やかに迎撃を行わなくてはならない。

「で、お主らに今回お願いしたいのは、機動診療所への襲撃の迎撃だ」
 機動診療所とは、戦争の最前線であらゆる味方の救護を行う施設のこと。大規模なものから一個人単位まで規模は様々で、民間人やケルベロス、猟兵の別を問わず、戦闘で発生した負傷者を迅速に救護、治療する。
「戦争のルールで救護部隊には攻撃禁止、なんて世界もあるようだが、今回はもちろん違う。むしろ逆だ。
 グラビティ・チェインの収奪が目的のデウスエクスどもからしたら、機動診療所なんて目障り極まりない存在であろうな」
 そして今回戦闘に巻き込まれるのは、たった一人のとある心霊治療師による軌道診療所となる。
「彼は五十代のイギリス人でな。つまりワンマンアーミーならぬワンマンメディック、とでも呼ぶべきかのう。最前線を一人で身軽に動き回り、瀕死の重傷を負ってしまった民間人やケルベロスを、ひとまず蘇生処置や最低限の応急治療を施して安全な後方へと送るのを専門としておる」
 そのままではすぐに死亡してしまう者たちを一人でも多く助ける。彼が戦っているのは、戦場での文字通りデッドラインだ。
「ちなみに心霊治療師というのは失伝ジョブで、えーと……エクトプラズム? なんかこう、うにゃうにゃとしたブツで外傷とかを塞ぐ能力者らしい」
 専門外の分野に対する、菘のあまりにもアバウトな説明を猟兵たちは適当に聞き流す。とにかく概要としては、心霊治療師とは過去にはユーベルコードを有していたが、現在はそれが失われてしまったジョブであるそうだ。

 また、戦闘において敵は積極的に心霊治療師の命を狙ってくるぞと菘は皆に注意を促した。
「頼めば、戦っているお主らに対しても治療を施してくれる。回復の色々なユーベルコードよりは効き目が弱いが、それでも手助けになるのは間違いない。
 そりゃー戦闘において、そういう支援担当を真っ先に狙うのは作戦として正しいからのう」
 敵の攻撃を受けても、彼はおそらく一撃や二撃程度では死にはしないはず。自分自身を治療することもできるからだ。が、だからといって易々と狙わせるのは当然許されない。
「頼むぞ、必ずや襲撃から守ってやってくれ。
 ……さて、それでは準備は万端かのう。作戦の成功を信じておるぞ、はっはっは、では行ってくるがよい!」
 菘の持つグリモアが輝く。猟兵たちは東京へと転送されていくのだった。


雨森
 OPをご覧いただきありがとうございます。雨森です。
 本件の登場人物とは関係ありませんが、ケルベロスブレイドの世界ではウィッチドクター×心霊治療師という回復支援特化の純正メディックで活動していました。懐かしいです。

 今回は戦争シナリオにつき、一章のみの構成の集団戦です。
 戦場の最前線で治療行為を行っている心霊治療師を狙ってくる敵を迎撃しましょう。今回、敵は割と積極的に心霊治療師を狙ってきます。
 またユーベルコードほどの効果はありませんが、依頼すれば心霊治療師の方に回復を行ってもらえます。心霊治療師は五十代の男性、イギリス人です。

 プレイングボーナス……心霊治療士を守って戦う/心霊治療士の治療行為を手伝う。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『竜牙砲兵』

POW   :    竜牙固定砲台
自身の【骨の肉体】を【魔導書中心に組み替えて固定砲台】に変形する。変形中は攻撃力・射程が3倍、移動力は0になる。
SPD   :    竜牙速射砲
【魔導書】から無限に供給される【球状の魔力弾ブレス】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
WIZ   :    模倣ドラゴンブレス
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【魔炎】属性の【ドラゴンブレスを模倣した禁術】を、レベル×5mの直線上に放つ。

イラスト:塚原脱兎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フローレンス・セブンスター
絡み・アドリブ共に可

〇チーム名:アポカリプス・ドクターズ

よりによって医者を狙うとはな…そうはさせるか。
ジェシー、サジタリア。相手が何であれ遠慮は無用だ。派手にいけ!
私もドローン(UC)で援護しよう。
「脆いとは言え500体以上のドローンだ。凌げるものなら凌いで見せろ」

そしてその後はドクワゴンを治療士の元へ寄せ、彼に避難を促す。
(ドローンの何体かは上空に待機)
後は連中が襲ってきそうな所を分析・予想し、助手の二人にはそこを防御するよう指示しつつ、
可能な限り彼の手助けをしよう。
「頭に闇とつくが、私も医者の端くれ。手助けが必要なら遠慮なく言ってくれ。
…あと、可能なら一服させてほしい」


ジェシー・オーガスタス
絡み・アドリブ共に可

〇チーム名:アポカリプス・ドクターズ

(ドクター(フローレンス)の言葉を聞いた後)
了解!じゃあ…サジットちゃん、行こう!
UCを発動して、ヒットアンドアウェイを意識しながら戦場を縦横無尽に走り回る。
「自慢のマシンについてこられるかしら!」
敵の足を止めないように立ち回りつつ、
こちらは相方の援護射撃で敵を足止めします。
「ワタシ達がいる以上、皆を癒そうとする人に手出しはさせません!」

-そう。
故郷を-地球を失うなんて事は絶対にさせない!
故郷を亡くして辛い思いをするのは…ワタシ達だけで充分!

そう心中で誓いつつ敵に銃口を向け、戦闘可能な限り最後まで粘ります。


サジタリア・ロスエリアン
絡み・アドリブ共に可

〇チーム名:アポカリプス・ドクターズ

(ドクターの言葉を聞いた後で)
りょ、了解しまシタ!いきなりフルパワーでいきマスヨ!(UC発動)
ユーベルコードで倒せなくても、キャバリアのロケットランスで薙ぎ払いマス!

あとはドクターの指示を聞きながら、
キャバリアを駆使しつつ、ジェシーと一緒に治療士とドクターの防衛に徹しマス。
その際、周囲の状況をモニタリングして、
その都度ドクターのコンピューターへデータを転送しマス。

途中。
腰に下げているゾディアックソードに目線を移して、
「-これで良いのでショウカ?」と呟きつつ、
最後までジェシーと共に戦います。



 作戦として理解はできるが、納得はいかない。いくはずがない。
「よりによって医者を狙うとはな。……そうはさせるか」
 ややぼんやりとした表情で、こちらへと砲口を向ける竜牙砲兵たちへと視線を向けるフローレンス・セブンスター(サイバー“ヘヴィースモーカー”ドクター・f25726)。だがその瞳は一切笑っていない。
「助けに来た。あなたのような人物を、死なせるわけにはいかない」
 背後へと庇った心霊治療士に声をかけ、敵としっかり相対する。そして用意してきたドローンを一気に展開し、
「ジェシー、サジタリア。相手が何であれ遠慮は無用だ。派手にいけ!」
「了解!じゃあ…サジットちゃん、行こう!」
「りょ、了解しまシタ!いきなりフルパワーでいきマスヨ!」
 すでに臨戦態勢に入っていたジェシー・オーガスタス(世界を駆ける運び屋・f25752)とサジタリア・ロスエリアン(故郷を追われし|異邦人《ストレンジャー》・f39226)は、一気に交戦を開始した。

 砲火の飛び交う戦場とはまさに今この場、この瞬間のことだろう。
 綺麗に舗装された道路を|大型バイク《シャドウチェイサー・Ω2220》に乗ったジェシーが疾走する。その走行は単純で直線的なものではない。ジェシーが身体を傾け進路を少し変えた次の瞬間、その場所には竜牙砲兵から放たれた魔力弾が飛んできていた。
「その程度の腕前で当たるわけないでしょ!」
 お返しとばかりにブラスターで撃ち込んだビームは、うまく頭に命中した。
 一発で止めを刺せはしないが気にしない。倒れるまで何発でも撃ち込めば良いだけだし、そもそも今は三人で戦っているのだ。自分が戦場を縦横無尽に走り回ることで敵の気を引きつけるというのもチームワーク。
「ワタシの自慢のマシンについてこられるかしら!」
 ほんの一瞬、愛機を優しく撫でて、一気にフルスロットル。
「隙ありデス!」
 その急加速に追いつこうと首を振った竜牙砲兵の横っ面へと、サジタリアが騎乗した|白亜の騎兵《キャバリア》が持つナイトランスの薙ぎ払いが盛大に叩き込まれた。

 ランスを引くサジタリアへと向けられる、他の竜牙砲兵の砲口。しかし攻撃が行われる前に、空から無数の銃弾が降り注ぐ。フローレンスが呼び寄せたドローンからの射撃だ。
「脆いとは言え、500体以上のドローンだ」
 一発の威力は微々たるもの。しかしその数があまりにも多い。
「凌げるものなら、凌いで見せろ」
 鳥の群れのように空を黒っぽく染めた状態からの一斉攻撃は、さすがのデウスエクスたちでもひとたまりもない。生み出された隙の間に、フローレンスは心霊治療士を自分の|医療用ワゴンカー《ドクワゴン》へと乗り込ませる。
「二人はこの地点で防御に徹して攻撃を抑えてくれ。私は彼を避難させる」
 ジェシーとサジタリアに指示を出しつつ、自分では心霊治療士が救護していた怪我人を優しくひょいひょいとドクワゴンに積み込んでいく。
「私は戦場から逃げる気はないよ」
「承知している。あの敵どもを排除するまでの一時的な避難だ。それに、頭に闇とつくが、私も医者の端くれ。手助けが必要なら遠慮なく言ってくれ。
 ……あと、可能なら一服させてほしい」
 少しだけ申し訳なさそうな態度で、フローレンスは心霊医療士に断りをひとつ入れた。

 フローレンス達がこの場を離脱する一方。サジタリアはキャバリアを手慣れた操作で動かし戦闘を継続させながら、ドローンの力も借りつつ周囲の状況をモニタリングしていた。敵の襲撃は一方向だけからとも限らない。
 ジェシーが軽快にバイクで場を搔き乱しながらビームを撃ち、フローレンスのロケットランスの重い一撃で竜牙砲兵を仕留めていく。
「ワタシ達がいる以上、皆を癒そうとする人に手出しはさせません!」
 ――そう、故郷を……地球を失うなんて事は絶対にさせない!
 それは固い誓い。
 かつて故郷を無くした過去がある。辛い思いをするのは自分たちだけで十分だと、ジェシーは銃口を敵に向ける。
 そして、サジタリアは。
「……やはり、ワゴンはあまりこの場から離れないのデスネ。ここが怪我人が出る最前線だから」
 モニタリングから一瞬意識を逸らし、操縦席の中、自分の腰に下げている輝くゾディアックソードに目線を移す。
「――これで良いのでショウカ?」
 その呟きは、他の誰にも聞こえないほどの小ささで。すぐに気持ちを切り替え、操縦桿を強く握り迎撃を続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

守るのに頭数が必要だよね?
それなら、クローネちゃんに任せてよ!

召喚したアイスエルフちゃん達と共に診療所の【拠点防御】を行うよ♪
診療所の周囲を囲むように陣取って、近寄ってくる敵を迎え撃つね♪

UCは『クローネちゃんのアイスエルフ軍団★』
アイスエルフちゃん達を召喚して、氷結輪投擲による【切断】と氷の【ブレス攻撃】で敵を寄せ付けることなく攻撃してもらうよ★
クローネちゃん自身はガンナイフによる射撃で【弾幕】をはるね♪
敵の攻撃は【結界術/鉄壁/硬化/霊的防護/火炎耐性】で防ぐよ♪



 ひとまずの危機を脱した心霊治療士。しかしそれは本当に一時的なもの。怪我人の治療を終え車を降りた彼は、次に発見した重傷者を発見し、追ってきた竜牙砲兵に追われることとなる。
「守るのに頭数が必要だよね?」
 しかし猟兵たちも作戦は続けている。次に心霊治療士の助けに入ったのはクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)だ。
「それなら、クローネちゃんに任せてよ!」
 声と共に現れたのは、数多の救いの手だった。

 漆黒の肌を持つエルフたちの集団が、治療活動を行っている心霊治療士を取り囲む。
「アイスエルフちゃんたちが攻撃から守るから、どうぞ続けて♪」
「ありがとう」
 百数十名ものアイスエルフたちは、銘々が敵の迎撃を開始する。周囲の瓦礫を集めて即席の壁を構築する者、氷結輪を投擲したり氷のブレスを吐いて竜牙砲兵を攻撃する者。各人が高い練度でてきぱきと行動していく。
「へー、射撃から砲撃に切り替えたみたいだね♪」
 こちらの防御拠点を崩すのは難しいと判断したのか、敵は砲台型に変形。堅固な拠点からのアイスエルフたちの攻撃と、それを破壊しようとする竜牙砲兵の砲撃がぶつかりあう。
 その中でクローネは、ガンナイフからの射撃で弾幕を張り竜牙砲兵を確実に一体ずつ破壊していく。

 互いに動けない状態からの射撃戦なら、攻撃力や防御力、差し引きでより強い方が勝るのが当然の結果だ。
「治療が終わるまで、一発たりとも通しはしないよ★」
 クローネの力強い宣言通り、万全の拠点は敵の攻撃を防ぎきるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
ああいう根性入った医療従事者には頭が上がんねえんだよな
安心して…って言うにはハードな現場だが、治療はそのまま続けてくれ
攻撃がそっちに来ねえようにやるのがオレの仕事だ

今の相手は攻撃特化の的状態、加えて回避行動もできやしねえ…なら【|特攻《ブッこ》】むしかねえよな
【祈り】を捧げてからバイクに跨り敵に突っ込む
敵の攻撃の核に魔導書を使用してるなら、相手の攻撃を【魔力制御】で撃つ方向に干渉する
敵に近づいたら【魔力増強】でブーストかけてからUC発動
体勢を崩す…というか変形した固定砲台を崩すことで敵の攻撃を中断させる

――|Tchao, enfoiré.《じゃあな、クソ野郎》


紅葉・紅葉
診療所を狙うとは許しがたいデウスエクス!
ルール無用の虐殺犯から診療治療師の方を守るために全力を尽くしましょう!

遅れてすみませんミスター!
どうぞお乗りください、移動式段ボール箱が貴方を警護します!
治療行為を施すための脚(移動手段)としてご活用ください!
以心伝心モードで戦場を駆け巡り、私のUCを行使してもらうことで突破力を得てもらい、安全を確保できるだろうという算段です!
(他にもっと安全そうな車両や結界があれば、アドリブで別の猟兵の方やサムシングを載せてください)

竜牙砲兵のブレスなどは、我が車輪の走行で引き千切って逃れましょう!
攻撃速度が早くなっても我がフラップの装甲でお守りしましょう!



 デウスエクスたちはどこまでも自分本位だ。いくらでも恨みを買っている。例えばそれは、この世界の住人である紅葉・紅葉(歩く宅配便・f40976)からもだ。
 診療所を襲うとは、あまりにも許しがたい。ルール無用の虐殺犯の脅威から守るべく、紅葉は勢いよく心霊治療士の元まで駆けつけ急制動し、声をかける。
「遅れてすみませんミスター! どうぞ私にお乗りください」
「君は……失礼ながら、ミミックかい?」
「その通りです!」
 かろうじて一般常識から正答を導き出す。心霊治療士から見た紅葉の姿は、車輪の付いた段ボール。いかにも頼りなさげという第一印象はすぐに捨てる。この世界での強さや優秀さは外見とはまったく一致しない。
「移動式段ボール箱が貴方を警護します! 治療行為を施すための|脚《移動手段》としてご活用ください!」
「ありがとう、足で駆け回るのも限度があるからね。力を借りるよ」
「どうぞご随意に! 診療所を狙うとは許しがたいデウスエクス! ルール無用の虐殺犯からあなたを守るために全力を尽くしましょう!」
 いそいそと紅葉に乗り込む――段ボール箱の中に入り込む――姿は、少し滑稽にすら見えた。
 だが今この瞬間、彼らは何よりも誰よりも頼りがいのある、堅固で優秀で速い機動診療所であった。

 まるで雨のように撃ち込まれてくる竜牙砲兵の射撃を避けながら、そしてできるだけ車体を揺らさぬように注意しながら、市街を疾走する紅葉。箱の中では重傷者を数人拾った心霊治療士が施術を行っている。
「大丈夫かね!?」
「ご安心を、あなたには決して当てさせはしません! それに援軍が来ました!」
 と、そこに並走してくるバイクが一台。
「ほんと、大したもんだよ。あんたみたいな根性入った医療従事者には頭が上がんねえんだよな」
 |魔導バイク《Galgalim》の上から話しかけてきたのはギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)だ。|サングラス《solaires:Cyber Xanadu》を指先でちょいと上げ、心霊治療士と確り目を合わせる。
「安心して……って言うにはハードな現場だが、治療はそのまま続けてくれ」
 不敵に笑い、ギュスターヴは遠くの敵へと目線を動かす。
「攻撃がそっちに来ねえようにやるのが、オレの仕事だ!」
 そしてバイクを傾け、一気に竜牙砲兵たちの方へと突っ込んでいった。

 竜牙砲兵たちは足を止め、射撃というより砲撃の体勢に入ったようだ。攻撃特化とは恐ろしいが、逆に言えば回避ができない良い的でもある。
「なら、|特攻《ブッこ》むしかねえよな」
 祈りの聖句を真摯に捧げ、ブーストをかけてバイクを一気に加速。
「攻撃の核は魔導書なんだろ、なら干渉してやるよ!」
 勢いそのままに、ギュスターヴは竜牙砲兵へと突撃する!
「――|Tchao, enfoiré《じゃあな、クソ野郎》.」
 砲撃を撃ち始めるよりも僅かに前、一切の躊躇なく轢殺せんという勢いでぶつかり、敵を盛大に撥ね飛ばすのだった。
「まずは一匹……さあ次!」

 一方で、紅葉たちは攻撃を避けながら走行を続けている。
 フラップによって頭上も守られた紅葉の内部は、極めて堅牢で安心な領域となっていた。
 時折車体が揺れるのは攻撃の当たったためだろう。しかし危機感を覚えるような感じにはならない。高速での移動の割には揺れも少ない。
「どれだけ攻撃が激しくなろうが、我が車輪の走行で引き千切り、フラップの装甲でお守りしましょう!」
 その宣言は力強く、そして完璧に守られるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
ふっ、望むところだね
《|矜持を示す+負けん気《誇り》》と《騎士道》に懸けて守り切ってみせようじゃないか!

《爆破+カウンター+結界術》の《早業》多数展開
心霊治療師や治療対象を守るのは勿論、
敵の攻撃も巧く迎撃して周辺被害は最小限に抑えたいね
序盤も序盤の前哨戦、こんなところで消耗してる訳にはいかないからさ

狼弾を放つ【絶演】《狩猟+追跡+属性攻撃+蹂躙+弾幕》
類似系統UCの打ち合いで後れを取りはしないよ
《第六感+戦闘知識》直感と論理を併用し《心眼》を補強して敵の動きを見極め
《空中戦》の高速機動と足を止める事による攻撃速度の上昇を適宜使い分けて殲滅しよう
味方を《鼓舞》する景気付けがてら、派手に決めるよ!



 心霊治療士を狙う砲火、射撃の数は確実に減ってきていたが、執拗に続いていた。決戦の初期段階で優秀な支援の芽を摘むことの重要さを、敵は理解しているのだ。
 そしてそれは人類の側もである。
「ふっ、望むところだね」
 竜牙砲兵の前に敢然と立ちふさがるカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)。
 必ず守り切ると誓い彼女が懸けるのは、誇り――あるいは矜持か、負けん気か――、そして騎士道。
 閃風の舞手は一気に地を蹴り、敵へと躍りかかる。

「遅いよ!」
 撃ち込まれる魔力弾に対して臆することなどない。
 ぱっ、ぱっ、と点滅するように瞬間的に展開される結界は、カタリナが駆ける中で自身へ直撃しそうな弾だけを弾く。もしくは背後の心霊治療士たちへと向かうか、周りのビルへと良くない軌道で飛ぶ物も。
「こんなところで消耗してる訳にはいかないからさ」
 力押しでもどうにかできるが、技巧に依って消耗は削る。まだ序盤も序盤の前哨戦だ。後に控える首級のために色々と温存しておくべき。
「さあ、粛清の時間だよ」
 翼を強く羽搏かせ、一際に高く跳躍。眼下に敵群を収める。
 現れるのは雷狼の群れ。……であると竜牙砲兵たちは気づけなかった。
 頭部というのはその構造上、上下よりも左右に振る方がよく動くのだ。それはデウスエクスである竜牙砲兵でも同じことだと、カタリナは射撃を避けながら挙動を観察して悟っていた。
 突然の跳躍に反応できないまま、竜牙砲兵たちは雷狼に食い千切られていく。

「その攻撃、同じ系統のユーベルコードだろう? だったら打ち合いで後れを取りはしないよ」
 機動力を活かして攻めるばかりかと思いきや、足を止めて放つ狼の数を増やす。淀みない攻撃方法の切り替えに敵は全くついていけない。
「景気付けがてら、派手に決めるよ!」
 初戦で消耗すべきではないのは確かだが、後に続く戦いのために味方を鼓舞しておくのも重要なこと。
 眩い雷光が戦場を奔り、着実に敵は数を減らしていく。
 そして、遂にはすべての敵が殲滅されるのだった。

「君たちは次の戦場へ向かってくれ。戦うのが君たちの役目だからね。武運を祈る」
 心霊治療士はいったん落ち着いた近辺を捜索して、引き続き重篤な者の救命を行うようだ。
 互いのできること、為すべきことを果たすべく、猟兵たちと心霊治療士はそれぞれの次の戦場へと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月07日


挿絵イラスト