ケルベロス・ウォー①〜Centaur Charge
迫り来るは無数の影。
その身に数多の獣の特徴宿せし、偽神の手になる獣。
数多の群れ成し、主命のままに進撃する。地球の精髄を目指して。
なれど、その前に立ちはだかる者達あり。
「デウスエクスめ、これ以上の侵攻は許さん!」
「我らの身命を賭して、お前達を食い止める!」
其は、人の上半身に馬の身体からなる下半身を持つ者達。未だ埒外たる力は持たずとも、地球の危機に立ち上がった者達。
「さあ行くぞ! 総員、突撃ィッ!!」
手に手に槍を、長斧を、多様なる武器を構え。馬の四肢で力強く大地を蹴り、迫り来る獣の群れへ勇ましく突撃してゆく。
●
「皆さん、ケルベロスディバイドの地球の危機です!」
グリモア猟兵、叢雲・紗綾(嘲り詰る兇弾・f40836)は緊張の面持ちで告げる。
曰く、かねてよりかの世界の地球を侵略せんとしていたデウスエクス達が、ついに本格的な侵攻を開始。|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の半数に当たる六柱に率られた大軍勢が、東京へと侵攻しているのだという。
「奴らの狙いは、東京タワーの地下、特務機関DIVIDE《ディバイド》本部の更に下に広がる地球の精髄。此処に踏み込み、グラビティ・チェインを根こそぎ奪うつもりです」
其を許してしまえば、待つのは緩やかな地球の崩壊。滅亡へのカウントダウン。無論、斯様なことを許すわけにはいかない。
「この危機を前に、DIVIDEは『|全世界決戦体制《ケルベロス・ウォー》』を発令しました。全世界のあらゆるリソースを、全てケルベロスの戦いに投じるんです」
参ずる人々の命は保証されず、資源や予算の投入により世界経済にも深刻な後退を齎す体制。全ては、其を以てこそ建造し得る『|決戦配備《ポジション》』を以て、|永遠回廊《グラビティ・ゲート》に護られし十二剣神へとケルベロスの牙を届かせる為。
「敵はオブリビオンではなくデウスエクス、ですが地球の存亡のかかった戦いです。猟兵の皆さんも、どうか協力をお願いします……!」
かの世界を守るべく戦ってきたケルベロスの一人として。紗綾は、猟兵達にも参戦を願う。
此処に、『ケルベロス・ウォー』が幕を開けたのである。
参戦を決めた猟兵達に、紗綾は己が最初に見た予知を語る。
「東京の北の方から、デウスエクスの一群が高速で侵攻してきてます。皆さんには、この連中をまずブチ倒してきて欲しいんです」
其は十二剣神が一柱『黄道神ゾディアック』配下の軍勢。これを殲滅することで、かの剣神の勢力に打撃を与えることが叶うだろう。
「この群勢は『神造デウスエクスモドキ・ビースト』。名前通り、デウスエクスに作り出された紛い物の獣です」
知性はほぼ無く、主命と本能だけで思考・行動するが、そのパワーとスピードは結構な脅威。何より数もとても多い。如何にしたものかと思案する猟兵達に、紗綾は続けて語るには。
「現地には、失伝種族のひとつ『セントール』の人達が先行して迎撃に向かってます。彼らと連携して戦ってくれればと」
此度の戦には、かつてユーベルコードを操る力を有していた種族や職能の者達の末裔──失伝種族・失伝ジョブと呼ばれる者達が参戦している。セントールもそんな失伝種族のひとつであり、人の上半身と馬の下半身を持つ──所謂ケンタウロス、或いは階梯3の馬獣人というべき見目の者達だ。
「セントールの人達は見た目の通り機動力に長けています。お願いすれば、うまいこと敵を追い込んで一箇所に纏めてくれるのではないかと」
其処に範囲攻撃を叩き込めば、追い込まれたデウスエクスを一網打尽にできる。そんな連携が望ましいのでは、とは紗綾の見解だ。
「ともあれ、これは地球を守る戦いの第一歩。きっちり勝利を掴むためにも、皆さんよろしくお願いしますね!」
そう結び、紗綾はグリモアを起動。猟兵達を、大戦の嵐渦巻く都市へと送り出していった。
五条新一郎
嵐吹く街。
五条です。
というわけで始まりましたケルベロス・ウォー。
此度も勝利を掴むべく、当方も微力を尽くして参りたいと思いますゆえ、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて最初の戦争シナリオは、半人半馬の失伝種族との共闘。
彼らの機動力を存分に活かし、敵群を一網打尽としてやりましょう。
●目的
『神造デウスエクスモドキ・ビースト』の殲滅。
●戦場
ケルベロスディバイド、東京都内の幹線道路。
道は広いので、セントールの方々も走りやすいと思われます。
●味方戦力
『セントールの皆さん』
半人半馬の妖精種族。詳細はTW5のデータベースをご参考に(見なくとも問題はありません)
年齢性別は様々ですが、比較的若い人が多い模様。
槍や長斧など、ポールアーム系の武器で武装している人が多いです。
●プレイングについて
OP公開と同時にプレイング受付を開始します。募集状況はタグにて掲示しますが、〆切と書いてなければ受付中と考えて頂いてOKです。
「セントールと連携し、まとまった敵群に範囲攻撃を叩き込む」ことでプレイングボーナスがつきます。
それでは、皆様の風を切るプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『神造デウスエクスモドキ・ビースト』
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POW : ビーストトリガー
【超戦闘野獣モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ビーストクラッシュ
自身の【腕】を【獣爪】化して攻撃し、ダメージと【止血不能】の状態異常を与える。
WIZ : 進化していく獣
【自身の角や爪や牙】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【獣(ビースト)】に変身する。
イラスト:as太郎
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、開戦ですねぇ。
参りますぅ。
『FPS』で戦場の情報を把握し『FAS』により飛行、【瑋籬】を発動し『豊体』に変化しまして。
セントールの皆さんに或る程度の配置へ敵方を誘導してくれる様要請、『FMS』『FBS』『FKS』を随伴させますねぇ。
『FMS』のバリアでセントールさん達をガード、【超戦闘野獣】は『速く動く物』を狙いますから、緊急時は『FKS』の操速結界で『FBS』を加速し囮に、『豊壁』の『祭器超修復』が有りますから、全破損を短時間で修復出来ますぅ。
そして、或る程度集まったところで『豊玉』の『広域存在吸収』を発動し[範囲攻撃]、各『祭器』の[砲撃]も重ね叩きますねぇ。
「ガウッ! ガウゥゥゥ!」
「ガオォォォォン!!」
獰猛な吠え声を上げながらアスファルトを疾走する獣人の群れ。理性も知性も欠片程も感じられぬ、最早ケダモノとすら言って良い様相だが、その速度は暴風めいて力強さも伴う。
「さて、開戦ですねぇ」
展開した探査祭器で其を把握しつつ、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は頷く。迫り来る敵は、もう間もなく作戦領域へ到達しようとしていた。
(ただ、市街地で散開されると効率的な殲滅は叶いませんねえ……)
一方で懸念事項を心中にて口にする。敵は理性が無いだけに、放っておくとどのような動きを取るか読めないところがある。それなりに入り組んだ市街地で散らばられると、広域殲滅が得意なるこるといえど手間取る可能性は充分有り得るが。
「皆さん、よろしいでしょうかぁ」
「ええ、どう動きましょうか」
後ろに居並ぶ半人半馬の戦士達へと声をかける。彼女と連携行動を取ることになったセントール達は、如何なる作戦で行くのか、彼女の判断を待っていた。
「散開した敵を誘導して、此方の大通りへ誘導して頂きたいのですぅ」
即ち懸念事項への対処。敵が理性と引き換えに戦闘力を大幅に増強している以上、危険な役割ではあるが。作戦を把握したセントール達の表情に、怯懦の色は全く見えない。
「了解しました! では!」
「あ、少々お待ちをぉ」
だが備えるに越したことはない。早速出撃しようとした彼らを呼び止めたるこる、その一人一人に己の祭器群を幾つか伴わせる。銀盤、戦輪、八角形のメダル型、其々をひとつずつ。
「これで安全になるかと思いますぅ」
傍目には如何な効果を持つか想像もつかぬそれらの道具。なれど猟兵たるるこるの戦道具なれば確たる意味があるのだろう。セントール達は礼を述べ、改めて走りだしてゆく。
「それでは、私も準備致しましょうかぁ」
其を見送りつつ、るこるは背にオーラの翼を広げ飛び上がり。誘導地点に選んだ大通りを見下ろしながら、奉ずる女神へ祈りを捧げ始める。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『双宝の加護』をお与えくださいませ――」
それからおよそ1分後。
「ガオオオオオン!!」
雄叫びを上げて偽神獣が追うのは男女二人のセントール。脇道に逸れて獲物を探そうとしたところに槍での攻撃を受け、反撃せんと追いかけてきたのだ。
「くっ、思った以上に速い……!」
「ってかやっぱり強い……!」
馬の四足を駆使するセントール達の疾走は充分な速度を持つ。だが、かの獣人が地を駆ける速度は、そんな彼らにさえ追いつける程のものであり。
「シャアァァァァァァ!!」
「………っ!」
追いつくと共に、その手の鋭い爪を振り下ろす。来るだろう痛みに耐えんとばかり、女性セントールの表情が強張る。が。
「……これは……!」
覚悟した痛みが無い。見れば、己と敵との間に銀盤――るこるが伴わせた祭器が割り込み、バリアを展開。以て爪を押し止めたのだ。更に。
「! ギャォォォン!」
突如として明後日の方向を見たかと思うと、其方へ向けて走り出した。視線の先には、高速で飛翔する戦輪とメダル。これも祭器だ。
「……あれを追いかけてるのか……?」
男性の方のセントールが、状況からそう推察する。その推察は正しい。理性を失った偽神獣達は、より高速で動くものを無差別に追いかけるという特徴がある。るこるはそれを見越して、速度操作機能付きのメダル型祭器と共に囮用の戦輪祭器をセントール達に付けたのだ。
「ともあれ、あいつの誘導は最後までやらないと。行こう」
「う、うん!」
何かあれば己らが対応せねば。頷き、セントール達は魔獣人を追いかけてゆく。
「集まってきましたねぇ」
大通り上空のるこるが見下ろす先。都市各所から、ビースト達の姿が次々と現れてくる。セントール達の誘導で此処まで追い込まれてきたのだ。
「それでは、一網打尽とさせて頂きましょう」
手を合わせる。すると直後、魔獣人達の姿が白く崩れたかと思えば、光となってるこるの下へと飛翔。彼女の身へと吸い込まれていった。
其はるこるの発動したユーベルコードの攻撃的作用。敵対者の存在を吸収してしまう力。かのビースト程度の存在格ならば、吸収するのは困難ではない。
以て、この一帯の制圧は成った。探査祭器で其を確かめ、るこるは確りと頷いた。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
セントールの皆々様、観客の皆様方の誘導、よろしくお願いしちゃうのでっす!
まとめてお連れくだされば、後は藍ちゃんくんの魅力でノックアウトしちゃうのでっしてー!
連れてきてくださった後はどうするかって?
それはもちろん!
シークレットステージの開幕なのでっす!
幹線道路上にまさかまさかのライブハウス築城なのでっす!
パワーとスピードはかなりのものとのことでっすがー。
知性はほぼ無いということでっすからねー。
どれだけのパワーがあろうと、ライブハウスを壊すことはできないのではー?
出てこれない以上は数が多くとも脅威ではないのでっす!
響き続ける音響攻撃効果でハートキャッチなのでっす!
デウスエクス迎撃の戦場となった幹線道路の上、響き渡るは美しき歌声。
「らー、らー、らー……♪」
其は只の|発声練習《ウォーミングアップ》ではあれど、既にして聞く者を惹き付ける魅惑的なるもの。声の主の鍛え抜かれた歌唱力の程を感じさせる。
「――ん、バッチリなのでっす!」
今日もコンディションは万全だ。其を確かめた声の主――紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)はにっこり笑う。口元より覗く白いギザギザの歯が眩しい。
彼は今、セントール達が敵たるビースト達をこの道路上に誘導してくるのを待っている処。その待ち時間を使ってコンディションチェックをしていたのがたった今、という訳だ。
と、そこに。
「――丁度いらっしゃったようでっすね!」
鋭敏なる聴覚が拾った、此方へ向かってくる蹄音と吠え声。どうやらセントール達が『観客』を誘導してきてくれたようだ。
それから10秒も経たずして、幹線道路に幾つもの人影――下半身が馬の形を取った人影が飛び出してきた。藍の依頼に基づき、敵の誘導に赴いていたセントール達だ。
「藍ちゃんくーん! 『お客様』をお連れしたよー!」
妙に軽いノリで呼びかける少女のセントール。なれど声音には緊張感が滲む。その理由を示すが如く、彼ら彼女らの背後から、歪な獣とも人ともつかぬ人影が幾つも飛び出してきた。
「ブゴオォォォォォ!」
「シギャオォォォォォォ!!」
奇妙な雄叫びを上げながら地を駆けるは、幾つもの獣の特徴が混ざった獣人達。此度の敵たる神造デウスエクスモドキ――かつ、此度の藍ドルライヴの『観客』である。
「ありがとうございまっす! 後は藍ちゃんくんにお任せでっしてー!」
セントール達へと感謝を述べ、己の横を駆け抜けていく彼らにギザ歯輝く笑顔を向ける藍。そして改めて、セントール達を追ってきた偽神獣達に向き直れば。
「皆々様ー! 藍ちゃんくんでっすよー!!」
此方へも満面の笑顔で挨拶してみせる。だが彼の身は同時に、この場を制するユーベルコードを励起していた。即ち。
「今日は皆々様を、秘密のライブハウスにご招待しちゃうのでっす!」
宣言するが早いか、藍と獣人達を囲むように大きな何かが顕現し、形成され始めてゆく。瞬く間に形を成した其は、彼の宣言した通りの建物――ライブハウスだ。彼は幹線道路のド真ん中に、瞬時にしてライブハウスを築城せしめてみせたのである。
「ガウゥッ!?」
「グラァオ!?」
突如として閉鎖空間に閉じ込められたことに戸惑うビースト達。すぐさま脱出せんとライブハウスの壁を殴り始めるが。
「申し訳ありませんが、今日のライブは途中退出をご遠慮頂いていますのでっす!」
藍がライブの注意事項めいて告げた通り、ライブハウスの壁は全くびくともしない。ユーベルコードの産物たるこのライブハウスは、藍より知恵の低い者には破壊できないという特性がある。
「ガウッ! ガウゥゥゥ!!」
「ブモオォォォォ!!」
藍の注意事項も聞かず、ひたすら壁を殴り続ける偽神獣達。グリモア猟兵の情報通り、まるで知性の感じられないその行動。如何にパワーが優れていようと、彼らにこのライブハウスを破壊することは不可能。そう確信するには充分であった。
「ではでは皆々様、これよりシークレットステージの開幕なのでっす!」
舞台は整った、ならば此処からはライブの時間だ。宣言するが早いか、ライブハウス内に音楽が流れだす。
「~~~♪」
「「グオオォォォォ……!?」」
音楽に合わせて藍が歌いだせば、獣人達が驚き混じりの呻き声を上げる。其は藍の歌声に乗せて繰り出される音響攻撃。ライブハウスの壁や天井に反響して響き渡る其は、歌声を何倍にも増幅し、攻撃力もまた大幅に高めていた。
そんな藍の|領域《テリトリー》たるライブハウスの只中に閉じ込められたビースト達は、狂ったように壁を、床を殴り続ける。歌声が幾重にも反響しているが故に、攻撃の発生源がステージ上の藍だと気付けないのだ。
最早、二曲目を歌うまでもないかもしれない。藍の歌声は、見事にこの神造デウスエクスモドキ達の|命を捉え《ハートキャッチ》ていたのである。
ちなみに。
「うわぁ……なんだか、すっごい……」
ライブハウスの外では、突如幹線道路のド真ん中に現れたライブハウスを前にしたセントール達が唖然としていた。このライブハウス、外部への防音も完璧故に、外部からは何が起きているのか全く分からないのである。
とはいえ、彼らが内部のデウスエクスモドキを全滅せしめた藍の姿を再び見るまで、そう長い時間はかからないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
これはまたすげー規模の戦争ですね。
負けたら滅びるのはいつもの事ですけど、一般人含めて全力投球みてーなもんですよね。
良いじゃねーですか、生存闘争だってーなら全員で全力尽くして生きる価値を示すのが道理です!
良いですか半分馬のやろーども!
その脚、全力でボクに貸しやがれです!
野獣モードだかでおバカになってる敵軍の前でセントール達が全力疾走すれば、きっと追いかけて攻撃しようとしてくるはずです。
道路を利用して敵の陣形を長細く出来れば上等、そこでボクが突撃してまとめてぶった切ってやるですよ!
縦に長い分にはどこまででも行ってやるです。
今度は一番速いボクを追って来やがれです、返す刀で真っ二つですよ!
「グルァァァァァァ!」
「ギャオォォォォォム!!」
アスファルトを蹴り、濁った吠え声を上げながら疾走するビースト達。彼らが狙うは、前方を逃げるように走る半人半馬の者達。セントールだ。
「連れてきたぞ……! 後は頼む!」
セントール達は、本来以上の速度で地を駆ける偽神獣達から逃れるべく全力疾走中。向かう先で待ち受ける猟兵の姿を確かめれば、後は彼方の役割と声を張る。
「やってみせたですね、半分馬のやろーども!」
その猟兵、ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、そんな彼らへ口の悪いなりに労う声を向ける。その脚を全力で己に貸せとの求めに応えてくれたのだ、其には謝意を示すべきであろう、と。
(それにしても、またすげー規模の戦争ですよね)
其処でふと、此度の戦の概要を思い返す。この手の大規模な戦は、猟兵の敗北が|世界の滅び《カタストロフ》を意味するのが常。其処に関してはいつものことではあるが。
(一般人含めて全力投球みてーなもんですからね……)
猟兵ならぬ一般人も参戦する戦もこれまで幾度かあったが、此度はその規模と勢いが違う。まさに地球全てが戦っている――そう感じられる程のものだ。
(でも、良いじゃねーですか)
なれど、だからこそファルコはその戦いを肯定する。敵たるデウスエクスもまた、生き延びる為に戦っているという。即ちこれは生存競争。ならば全員で全力を尽くし、以て生きる価値を示すのが道理というものだ。
そして、セントール達は己らの全力を示してみせた。ならば、今度はファルコが其に応える番だ。
「行きますよ! スラスター、モード・スパーダ!」
跳躍、己へ向けて駆けてきたセントール達を跳び超える。同時、ファルコの背に沿って浮かぶパルスプラズマ・スラスターが唸りを上げる。ユーベルコードによって普段以上の出力を発揮せんとする前兆。
黄桃異彩の瞳が、迫り来る獣人の群れを捉える。幹線道路を|真っ直ぐに《・・・・・》走り来る獣共。――狙い目だ。判ずるが同時、スラスターが猛烈なるプラズマ炎を噴出し――
「……突撃です!!」
宣言と同時、ファルコの身が一陣の閃光と化す。そう見える程の速度で以て、幹線道路を真っ直ぐ駆け翔んだのだ。
そして、その経路上にはその身を両断された獣人達。ファルコの翼に肉体を切断された者達。其は直後に巻き起こった激しい|衝撃波《ソニックブーム》によって更に爆ぜ砕かれ、そのまま消滅へと至る。
「グルォォッ!?」
「ガウゥゥゥ!!」
両断を免れたビースト達も、衝撃波に身を裂かれ小さからぬ傷を負う。なれどユーベルコードの恩恵か、よろめきかけながらも踏み止まると、そのままファルコを目指して走りだす。
(狙い通りです)
そんな敵の動きは完全に予想通り、と身を翻したファルコは内心頷く。敵の攻撃力や耐久力を高めるユーベルコードは、状況に関わりなく一番速い存在を標的としてしまうリスクを持つ。今のこの戦場で間違いなく最速のファルコを狙ってくるだろうことは、容易に予想できた。
此処まで走ってきた幹線道路を逆走し、真っ直ぐファルコを狙って駆ける偽神獣共。そう、『真っ直ぐ』である。
「そんなら全員纏めて――」
再度プラズマスラスター点火。ファルコの|飛翔突撃《ユーベルコード》は、直線上の敵を纏めて攻撃する代物。真っ直ぐな幹線道路を走らせれば、必然的に敵は一直線に並ぶ形となる。つまり、纏めて突撃に巻き込める。
「――真っ二つですよ!」
まさに狙い通りの形で迫るビースト達へ向け、ファルコは再度飛翔突撃。その全てを鮮やかに両断し、仕留めてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
賤木・下臈
セントールの方々には、敵をうまく追い込んで一か所にまとめていただきたいです。
では――「私はとても下臈いので、アメリカ合衆国と個人的に軍事同盟を結んでいません」。無意味な妄言で場の|下臈さ《ナンセンス》を高めます。
「げろちゃんシール」を自分に貼り、さらに下臈さを高めます。1、2、3、4、5。ところで今何時でしたっけ。4時ですか。5、6、7、8、9、10。11枚以上貼ると下臈さが高まり過ぎて、やがて自爆します。今の私のように!
物凄くあほなことをした今の私はスーパー下臈。強いです(諸説あり)。敵群の中に飛び込み、片っ端から敵に下臈さを流し込み爆破、最後は自爆します。皆様は巻き込まれないようご注意を。
デウスエクスの軍勢迫る都市の幹線道路上。セントール達との合流を果たした賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)は、彼らと作戦の相談を行っていた。
「――我々が敵をうまく追い込み、其処を貴公が一掃する、という連携だな」
「はい、問題ありません。どうぞ宜しくお願い致します」
作戦が纏まり、改めて確認するセントールの青年に、下臈は頷き肯定を示す。幾つもの皺を刻まれた顔は、落ち着いた微笑の形を取る。老境に至ってなお現役、そんな雰囲気を連想するセントール達だが。
「では――」
「ああ、早速作戦開始と――」
下臈が発する言に、作戦行動の開始を促しているのかと判じて青年は応えかけるが。
「――私はとても下臈いので、アメリカ合衆国と個人的に軍事同盟を結んでいません」
「――は?」
突然飛び出した頓狂すぎる一言に、思わず間の抜けた声を漏らしてしまう。それは、下臈が何より追及する独自の価値観――『|下臈さ《ナンセンス》』を求めた結果の発言であった。
ともあれ改めて作戦行動に入ったセントール達と下臈。幹線道路上で待機すること暫し、周囲から雄叫びや蹄の音が聞こえてきた。セントール達が敵を引き付けてきてくれたようだ。
「そろそろですね」
ならば、己も仕掛ける準備をせねばなるまい。判じた下臈、ひとつ頷くと――何処からともなく取り出したシールを一枚一枚、己の顔やら首やらに貼り始めてゆく。シール自体も下臈自身を模したデザインの代物だ。
一枚、二枚、三枚、四枚――
「――ところで、今何時でしたっけ。四時ですか」
四枚、五枚、六枚、七枚――八枚、九枚、十枚。
合計11枚――下臈自身は10枚と認識している様子――のシールを貼り終え、納得げに頷く下臈。そもそもこのシールは何なのか。下臈曰く、貼られた者をより下臈くするための代物だそうだが。
果たして、これに何の意味があるのか。それは、このすぐ後に証明されることとなる。
「ガオォォォォォ!!」
「グルァァァァ!!」
幹線道路上に次々とセントール達が飛び出し、其を追って何匹ものキメラめいた姿の獣人と思しき存在が飛び出してくる。あれが神造デウスエクスモドキ・ビースト、此の地を蹂躙せんとする偽神の獣だ。
「……っ! 猟兵よ、後は頼む!」
先の青年セントールも、獣人達を引き連れ戻ってきた。その身には小さからぬ傷を負っていたが、役割は果たしたと下臈へ向けて声を張る。
「心得ました」
下臈は頷き応えるが早いか、地を蹴り走り出す。セントール達がその身を賭して追い込んできたデウスエクスモドキを目掛けて。
先の青年とすれ違うと同時、肉薄したビースト目掛けて拳を構え――真っ直ぐに拳を繰り出す!
「ガォゥッ! グルァ――」
其はビーストの胸を捉えるが。理性と引き換えに耐久力の高まっていたビーストは、猟兵たる下臈の拳でも一撃で倒せるとはいかず。反撃の爪を、彼目掛け振るわんとするが――その直後。
「――ギャバァァァ!?」
その身が突如大爆発、跡形もなく吹き飛んでしまった。一体何が起きたのか。引き付けてきた偽神獣を下臈へ任せたセントール達は。其を前に唖然としていた。
一方の下臈は、仕留めたことだけ確かめれば再度疾走。前方より迫りくるビーストの群れへと果敢に飛び込む。
「ギャオォォォ!」
「ブモォォン!」
当然の如くビースト達が爪や牙、時には角で襲いかかるが。それらに対し、下臈が素早く拳を打ち込めば。
「グバァァ!?」
「ボヘォォ!?」
襲い掛かったビースト達は悉くが爆発四散。その後もビースト達を相手に拳を打ち込めば、それらを悉く爆ぜ飛ばしてゆく。
その爆発の正体は、下臈さによるもの。先の妄言や自身にシールを貼る行いによって高まった|下臈さ《ナンセンス》を拳に乗せて流し込んでいるのだ。充分に高まった下臈さは、ユーベルコードで強化された偽神獣共をも一撃で爆破できる程のエネルギーと化していたのだ。
「物凄くあほなことをした今の私はスーパー下臈。強いです」
諸説あります。
とはいえ、ビースト共を寄せ付けぬものであることは間違いなく。獣人共は次々に下臈さの爆発で吹き飛んで――
「――はっ、しまった」
残り僅かとなったその時、下臈は気付く。先程、間違えてシールを11枚貼ってしまったこと、其によって下臈さが高まり過ぎていることに。それが齎す結果は――
「皆さん、離れ――」
セントールへ向けて警告を発そうとした、その直後。下臈の身は、盛大な大爆発を起こし。残っていたビースト達諸共、その場から吹っ飛んでしまった。
「な、何だったんだ……?」
其を見届けたセントール達は、暫し呆然と爆発痕を眺めることしかできなかったという。
尚、下臈はなんやかんやで生還を果たした模様。
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
地球を狙う宇宙人……宇宙神?をぶっ飛ばすぞー!
ウマウマした人と共闘!
持ってんのは長柄武器? 私も持ってるよ! 覇王方天戟だ!
牛飲馬食! 牛と馬は相性はいいハズだよ!(根拠ZERO)
幹線道路サーキットを【ダッシュ】で駆け抜けて追いかける! びゅーん!
長柄武器で薙ぎ払って進路を制限して、敵を集めてもらって……
今だ! 【猛牛超特急】!! 闘気(覇気)を纏って吶喊!!
むぉー!!!
敵が爪を振るうよりこっちの頭突きのが速ぇーぞ!! どりゃー!!(捨て身の一撃)
勢いそのまま【軽業】【ジャンプ】!
【功夫】の身のこなしで追撃の爪を躱して、覇王方天戟を【怪力】で【薙ぎ払う】!
ぶっとべー!
結城・有栖
成る程、纏めたところを一網打尽ですか。
「私達も広域殲滅は得意ダヨー。連携して頑張ろうカ」
了解です、オオカミさん。
セントールさん達もよろしくです。
まずは、セントールさん達に頼んで、敵の追い込みをお願いしましょう。
私もウィンドボードに乗って、空中から追従します。
敵の動きを【野生の勘で見切り】、想像暗器(クナイ)を【念動力】で飛ばして追い込みを援護。
敵が一箇所にまとまったら、炎の魔鳥さんを【召喚術】で具現化。
152羽の炎の魔鳥さんの【集団戦術】で敵を包囲し、纏まった場所に向けて飛ばして、【範囲攻撃】と炎の【属性攻撃】で纏めて燃やしてあげます。
セントールさん達を巻き込まないように注意もしましょう。
暗都・魎夜
【心情】
地球規模での支援とは、大きく出やがったな
負ければ世界は滅ぶが、ここをこらえれば大勝利
俺も派手に手伝わせてもらうぜ
【戦闘】
セントール、こいつは頼もしそうな連中だぜ
俺も昔は先陣切って突っ込むのが仕事だったしな、気は合いそうだ
バイクを「運転」で一緒に戦場を進む
「細かいことはごたごた言わねえ。真っ向勝負でぶつかってやれ!」
見たところ、知性の低い、単純な動きをする奴みてえだ
なら、こっちもまとまれば、向こうも散りはしないはず
白兵戦が始まったら、UC発動
敵のど真ん中に「天候操作」で万色の雷を放つ
セントールたちも、優しい雨で回復を
「うちの世界でも、クラッシャーってのはこういうやり方が得意なんだよ!」
幹線道路を疾走するセントール達。彼らと共に、自らの脚で駆ける少女と、フロートボードに乗る少女、バイクに跨り走る青年の姿がある。無論、猟兵だ。
「しかし、地球規模での支援とは大きく出たな」
この世界の人類社会全てが、此度の戦に力を投じている。これまでの戦争とは異なる形のスケール感に、バイクを駆る暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は実感を以て頷く。
「宇宙からの侵略者が敵とはいえ、とても大掛かりですよね」
風の魔力を宿すフロートボードで空を滑る結城・有栖(狼の旅人・f34711)が応えて頷く。一般人と共に戦う戦も過去に幾度かあったが、此度の規模はその比ではない。
「それで今回はウマウマした人達と共闘ってワケだ!」
自らの脚でセントール達と並走する劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)は楽しげな声を上げると共に得物たる方天戟を掲げる。セントール達も槍や長斧、ハルバードといった長柄武器を得物としている者が多い故、其処に親近感を覚えたようだが。どうやら、それだけではないようで。
「牛飲馬食! 牛と馬は相性良いハズ!」
「いえ、それはどうなんでしょう……」
己の頭の牛の角を示しながら得意げに宣った。其を聞いていたセントールは怪訝そうだが。尚、涼鈴としても特に根拠は無い。
「牛と馬の相性はさておき、頼もしそうな連中だってのは確かだよな」
一方、魎夜も涼鈴とは違う意味ながらセントールには親近感を覚えている様子。それはかつてシルバーレインにて繰り広げた大規模な戦いにおいて、常に先陣を切って敵に突撃する役割を担っていたが故かもしれない。
「ええ、私達も頼りとさせて頂きますね」
『勿論私達も頑張るケドネー』
有栖が頷いて同意を示すと共に、彼女の内から別人の声がする。オウガブラッドたる彼女と共生するオウガ『オオカミさん』のものだ。
「と、敵だ! みんな、作戦はさっきの打ち合わせ通りに!」
其処に涼鈴が気付く。道路の向こう、此方へ向けて地を駆ける無数の影が在ることに。此度の戦いでも最大の敵集団だ。
「おう!」
「承知しました!」
「了解だぜ!」
涼鈴の呼びかけにセントール達も意気高く応え、各々の得物を構える。
「敵を纏めたところを一網打尽、でしたね」
『私達も広域殲滅は得意ダカラ、きっちり殲滅するヨー』
有栖が作戦概要を口にして確かめると共に、オオカミさんも意気込みを語る。仕上げを担うは己らの役割、確とこなさねば。
「おうよ! 緒戦から躓くワケにはいかないからな!」
魎夜もまた応え、その手にイグニッションカードを抜く。負ければ世界は滅ぶが、ここをこらえれば大勝利――そんな戦いの、第一局面。
「派手に行くぜ! イグニッション!」
叫ぶと共にカードを掲げれば、其処から生じた銀色の炎が七支の魔剣を形作る。闘志の高まるを示すが如く、跨るバイクのエンジンが唸りを上げる。
「皆さん、改めてよろしくお願いしますね。行きましょう、オオカミさん」
『アイヨー』
有栖は皆に呼びかけた後、フロートボードへ魔力を注ぐ。呼びかけに応えるオオカミさんと共に、敵の頭上へ。
「よーっし! 地球を狙う宇宙人……宇宙神? をぶっ飛ばすぞー!!」
「「「おおおおおおー!!」」」
涼鈴が声を張るにセントール達も喊声で応え――直後。
「グルアァァァァ!」
「ガオオォォォン!」
「ブムォアァァァ!」」
前方から浴びせられるは悍ましき雄叫び。神造デウスエクスモドキ・ビーストの群れが、猟兵達とセントール達の目前まで迫っていたのだ。
真っ向突撃する両軍。そして、激突が始まった。
「細かいことはごたごた言わねえ、真っ向勝負でぶつかってやれ!」
魎夜の呼び掛けるに応え、セントール達は隊伍を組み、相対せし獣人達と交戦開始。隙を突かれぬよう、互いに補いながらの攻防。
「おっと、向こうの敵が回り込もうとしてる!」
「了解、抑えます!」
先頭でビーストを相手取る涼鈴、ふと視線を横へ流せば側面よりの浸透を狙っているのだろう偽神獣の姿を認める。呼びかける声を上げれば、応えたセントールの一人が対応。ハルバードを大きく振るい、回り込まんとした敵の動きを咎める。
『有栖、あっちにも回り込もうとしてる敵がいるヨ』
「了解です、止めます」
上空からは有栖が敵の動きを監視。先に涼鈴が反応した方とは逆側に、回り込まんとするビースト達が在るにオオカミさんが気付く。
有栖は応え、その手より想像力もて作り出した苦無を数本投げ放つ。飛来する苦無に気付いた獣人達は飛び退いて其を躱すが、これ以上の浸透を阻止するという目的は果たせた。
「よし、このまま纏まって凌ぐぜ! そうすりゃ向こうも散りはしないだろ!」
魔剣を振るってビースト達を押し止めつつ、魎夜はセントール達へ呼びかける。此処までの交戦で、敵は知能が低く単純な動きしかできないのだと判断できた。精々が先程のように敵の側面や背後へ回り込む程度だろう。
ならば、纏まって敵を押し止め続ければ、敵もまた纏まるしかないだろう。そうして暫し押し止めれば、やがては。
そんな魎夜の予想は正しく、敵は前線の後ろへ溜まって侵攻が止まる。側面からの浸透を果たして動いた敵も、セントール達や有栖によって牽制されそれ以上進めていなかった。
「――ここだな! よし……!」
そんな敵の状態を直感した魎夜、ならばとばかりユーベルコードを励起、魔剣握る手を掲げれば、天が応えてたちどころに雲を生み、そして雨を降らせる。ただの雨ではない、銀色の雨――シルバーレインに降る、詠唱銀を含んだ|銀色の雨《シルバーレイン》。そしてその直後。
「ガギャァァ!?」
「グバァァ!」
突如、戦場に降り落ちたるは幾筋もの雷が、密集した獣人群の中心へと炸裂。その場のビースト達を黒焦げにしながら吹き飛ばした。
それもまた只の雷ではなく、無数の色彩を孕み輝く奇妙な代物。生命の敵たる抗体ゴーストの力の象徴――万色の稲妻。
それらは共に、ストームブリンガーたる魎夜の力が励起せしもの。かつてのアビリティがユーベルコードへと昇華したものだ。
故に齎されるのは万色の稲妻による破壊だけではない。優しい銀色の雨は、此処までの交戦で猟兵やセントール達が負った傷も癒してくれる。
「よーっし、今がチャンス!」
稲妻の降り落ちるに混乱した様子の獣人共へ、涼鈴も追撃にかかる。その身を屈めると同時、全身を真紅の闘気――覇気が包み込み。
「――むぉーーーー!!!」
そして雄叫びと共に走りだせば、その速度は常の実に四倍。角を振りかざしての突撃が、進路上のビースト達を次々と吹き飛ばしてゆく。
「ガゴォォォォ!」
其に気付いた獣人の一匹が、両手の爪を構えて涼鈴を迎え撃たんとする。今の涼鈴は回避能力こそあれど守りの力が衰えている状態、攻撃を当てられれば倒される可能性はあるが――
「そんな爪よりこっちのが速ぇーぞ!! どりゃぁぁぁぁ!!」
「グギャァァァァ!!」
なれど涼鈴、恐れることなく地を蹴り跳躍。そのまま頭からビースト目掛け突撃、速度の乗った頭突きアタックを喰らわせた。其をまともに喰らった偽神獣は、アスファルトを跳ねるように吹っ飛び。そのまま致命へと至らしめられた。
「今がチャンスですね」
『セントールさん達巻き込まないよう気をつけてネー』
有栖もまた此処が攻め時だと判じ。オオカミさんの注意に頷きつつも、その間にも有栖の周囲には無数の炎が生じ。それら全てが、鳥の形を取ってゆく。
其は有栖が励起せしユーベルコード。想像力より形成されし炎の魔鳥群。152体にまで及ぶそれらは一斉に飛翔、偽神獣の群れ目掛けて襲い掛かる。
「ギャアァァァァ!」
「グゲェッ!」
絶え間なく襲い来る万色の稲妻と炎の魔鳥群の攻撃に、ビースト達は次々と倒れ。生き残ってもセントール達によってトドメを刺され。
「ぶっとべー!!」
何とか反撃の爪を振るわんとしたものも、涼鈴の方天戟に薙ぎ倒されて。全滅に至るまで、長い時間はかからなかった。
大成功
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アレフ・フール
機神搭乗
セント―ルか
共に戦える種族が増えるというのであれば協力するのは吝かではないな
「どうやら敵を一か所に集めてくれるみたいだぞマスター!」
ならばあれでいくのが良かろう
【戦闘知識】
全知・超克発動
セント―ルと敵の能力と陣形と状況を正確に把握
【属性攻撃】
炎を機体に付与
【二回攻撃・重量攻撃・貫通攻撃】
UC発動
飛び回りつつセント―ルと息を合わせての鉄拳や魔剣を振るい蹂躙し
敵が一か所に集まるなら
更にそのまま集めるのを手伝おう
超重力球を展開
それを敵の中心に放ちそのまま敵を更に収束…その重力で圧壊させにかかる
こういうべきか…重獄の海に沈め…!
「重力はヘカテイア様の十八番ではあったんだけどなー」
「よし、後はこいつらだ!」
「油断するなよ、まずは纏めてからだ!」
前方でセントール達がビースト達と交戦しつつ、その動きを牽制しながら群れを追い込みにかかる。其を見守る、巨きな影がひとつ。機神『アレウス』、異界より来たりて今は猟兵と共にある、自我持つキャバリアだ。
「――セントールか」
そのアレウスのコクピット内、前方で交戦を繰り広げる半馬精らをアイカメラ越しに眺めるはアレフ・フール(愚者・f40806)。かつてはデウスエクスであったが、ひとたび死して今はケルベロスとして在る者。
『何だマスター、気になるのか?』
其処に届く声。アレウスの自我が発した声だ。その声の意図するは問い。なれどアレフは首を振る。
「いや。共に戦える種族が増えるというなら、協力するのは吝かではない、とな」
あくまでそう思っただけだとアレフは語る。己と異なり、彼ら彼女はかつてデウスエクスであったということはなかった筈だ。なれば、特に繋がる処は――
『と、敵が一箇所に集まってきてるぜマスター!』
其処へ戦況の変化に気付いたアレウスの声。見れば成程、神造デウスエクスモドキ共がセントール達の攻防の末に随分と密集していた。他の猟兵からの情報では、纏まった集団はこれで最後ということだ。
「なら、あれで一気に仕留めてくれよう」
『アレだな、了解だ』
アレフの言にアレウスが応え、以て黒き機神が飛翔する。その身は瞬く間に最前線へと到達し。
『皆、このまま一気に殲滅するぞ!』
「「おう!」」
セントール達へ呼びかけると共に、炎纏う拳や魔剣を振るい獣人共を薙ぎ倒す。倒されるに至らぬ者も傷は深く、そのままセントール達にトドメを刺されていく。
(やはり、把握していた通りだ)
アレフの見立てる限り、敵は纏まってこそいるものの特に隊伍を組んでいるわけではなく、連携さえ碌に行わない。その見立ては、交戦を経て正しいと確信できた。敵は只々闇雲に攻撃を仕掛けて来るだけで、戦術的な動きが全く見えない。知性に乏しいというグリモア猟兵の見立ては間違っていなかった。
ならば連携しつつ攻める己らの敵ではない。アレフとセントール達の油断なき攻勢の前に、ビースト達は瞬く間にその数を減らしていく。
『よし、残りは一気に仕留める! 皆、離れよ!』
生き残りは最早僅か。ならば一掃を試みる。アレフの呼び掛けるに応えセントール達が距離を取れば、アレウスの翳した手の先に漆黒の球体が形成されてゆく。
『全部ぶっ壊してやるぜ……行け!』
アレウスの叫ぶと同時に球体が射出され。其が敵群の中心へと着弾すれば、球体の漆黒は一気に広がり、敵群全てを包み込む暗黒の領域を形作る。
「アガァァァァ……!」
「ギァァァァァ……!」
領域内からはビースト達の苦悶の声。超重力に囚われ、全身を押し潰されそうになっているのだ。
(此処は……こう言うべきか)
その様子を見て取り、アレフは考える。確か、こういう場面に最適な決め台詞があったなと。そう。
『――重獄の海に沈め……!』
そう言い放ってみてから、然程の間を置かずして。限界に達したビースト達の身体は圧壊し、そのまま潰れ砕けていった。
『重力はヘカテイア様の十八番ではあったんだけどなー』
其を見届け、アレウスはふと呟く。彼方には及ばずとも、この業はどうやら確かな力として扱えそうだ、と。
●
斯くして、セントール達と協力してのデウスエクス部隊迎撃作戦は成功を収めた。
なれど、戦いはまだ始まったばかり。ケルベロスディバイドの地球を救う為の、これは未だ第一歩だ。
更なる戦いへ向けて、猟兵達は其々次の戦場へと向かってゆくのであった。
大成功
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