ラブ☆ウォー~恋と戦争は手段を選ばず
●やっぱり手段は選んだ方がいい
ずっとあの人を見ていた。
初めて話しかける事ができた日の事は今だって忘れない。それから幸運にも共通の話題を見つける事ができ、少しずつ仲良くなれた気がした。そして告白しようと決めた、そんな時だった。
あの子が現れたのは。
あの子は私よりずっと可愛くて明るくて。そしてあの人の事が好きで。勝てるわけない。私にそう思わせるのに十分だった。でも。やっぱり。負けたくない。負けるわけにはいかない。
どんな事をしてでも。
「オ初ニオメニカカルにゃ。いんぷにゃ」
グリモアベースにてインプレッサターボ・フォレストハリアー(ワールドラリーエクスペリメンタル・f44230)はこの日がグリモア猟兵としての初仕事であった。アイドル風に言うならデビュー日ということか。ちなみにライドキャリバーらしいのだがその姿はどう見ても人間の女の子だが。
「コレハあばたートイウヤツにゃ」
平坦口調がちょっと非人間ぽい感じはする。それはさておき、事件の説明だ。
「恋ノらいばるニ対シテ暴力的ナ手段ヲ取ロウトスル女ノ子ガイルラシインデ、ドウニカシテ止メテアゲテホシイにゃ」
舞台はアイドル☆フロンティアのどこかにある高校だ。まずはそこでターゲットの女子高生を探す必要がある。彼女には好きな男がいたけど、その男が別の女に取られそうになっているらしいと。あまりの勝算のなさに、行きついてしまった先は……その女に物理的に対処する事。
「認メタクナイモノダナ、若サユエノアヤマチトイウモノハ……デモアヤマチジャスマナイヨにゃ」
という事でなんとかして止めなければならない。しかし見つけた所でそう簡単には止まらない。止めようとした瞬間、ターゲットから骸の海があふれ出し、あたり一面を汚染して自らと周囲の者をオブリビオンに変えるだろう。
「デモ、コノ世界はあいどる☆ふろんてぃあ、ソウナッタラあいどるノ出番にゃ」
相手がオブリビオンと化したらこちらはアイドルに変身して一般オブリビオンを浄化した後、ターゲットを浄化すれば解決だ……一応のところは。
「マア、後ノコトハ結局当人タチガドウニカスルシカナインダケドにゃ」
少なくとも凶行に及ぶ事だけはなくなるだろう。インプにはそう言うしかないようではあった。それでもまあ、事態の前進ではあるだろう。
「いんぷハ機械ダカラ色恋沙汰ハ正直ヨクワカラナイケド、ソレデモコノ事態ヲ解決シナキャナラナイ事グライはワカルンデにゃ、ドウニカシテホシイにゃ」
ぺこりと一礼すると、インプは猟兵たちをアイドル☆フロンティアに送り出すのであった。
らあめそまそ
宿敵のお披露目。らあめそまそです。
アイドル☆フロンティアのシナリオをお送りいたします。第1章探索パート、第2章集団戦、第3章ボス戦の3章構成となっております。
アイドル☆フロンティアシナリオの一般的な注意として、オブリビオンは非常に強大なため、第2・3章には戦争シナリオ等でいうところのプレイングボーナス的なものが存在します。それはズバリ「アイドルとして戦う」こと。すなわち観客を刺激する魅力的なパフォーマンスを加えて戦うのが非常に効果的になるとのことです。
今回のボスですが、一応アイドルです。ただし闇堕ちアイドルらしく、正統派なアイドル的戦い方ではなく、ちょっとした『裏技』を多用するらしいとか……具体的には見てのお楽しみということで。
それでは改めまして皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『絶望の坩堝』
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POW : 身体を張って調べる
SPD : テクニックで勝負
WIZ : ネットで探す
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●思いつく程度の架空の学校の名前って大体出尽くしてるよね
その高校は生徒数4000を誇るマンモス校であり、生徒の学力は国の最上級クラスの大学を目指せる者から補講追試の常連までピンキリ、スポーツ科や芸能科すらそろえているという、まさに高校生のあらゆるニーズに対応できるという、この世界ではよくある高校のひとつであった。
猟兵たちが到着した時には既に放課後。生徒たちはそれぞれの活動に従事していた。青春真っただ中と言える光景だが、この中にひとり、放置しておいたら確実に凶行に走ってしまう生徒がいるのである。それを見過ごすわけにはいかない。猟兵として、アイドルとして。しかし情報が足りない。彼女の事についてはグリモア猟兵にもつかめなかったらしいのだ。唯一得られた情報は彼女の名前……ノリコ。ただそれだけ。
高校に潜入するのは問題ないだろう猟兵だし……たぶんおそらく。だがどうやって探そうか?しらみつぶしに危なそうな人を片端からあたってみるか、それとももっと効率の良い手段があるのか?準備は猟兵、いやアイドルたちに一任されている。だから、その、なんだ。なんとかしてください。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
手段を選ばない前提なら、暴力以外の手段も有るでしょうに。
体型面等色々な意味で、紛れ込むのは難しそうですねぇ。
【幽測】を発動、『女神の波動』を纏い『視聴嗅覚での感知』を不可能にしまして。
更に『FLS』で『FPS』と『FHS』を召喚、『FHS』の『対機械透明化』で機械的なセキュリティや監視カメラも遮断して潜入しますねぇ。
『女神の波動』に触れた方からは、その方の持つ『知識』『記憶』『情報』が得られますから、すれ違った方々から『情報』を集め『ノリコ』という方を探しましょう。
『あの子が現れた』とのこと、『転校生や新入生がアプローチしている方』等の情報も繋がる可能性有でしょうかぁ?
●いかついなら当てはまるかも
「手段を選ばない前提なら、暴力以外の手段も有るでしょうに」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言葉はまったくもって正しい。まあ暴力的な手段を選んでしまうのは、たぶんだけどアイドル☆フロンティアの人々はみな心の中に骸の海を抱えているらしいので、そういう極端な手段に誘導されてしまう点がもしかしたらあるのかもしれない。むろん、だからといって暴走していいはずもないので、そのためのアイドルなわけだ。さて今回の舞台は高校という事で、情報収集をするならそれ相応の恰好をして潜入する事が望まれる。アルダワ魔法学園あたりでも同様に学生に扮した者はいるだろう。なのでるこるはそれをやっても良かったのだが。
「体型面等色々な意味で、紛れ込むのは難しそうですねぇ」
そうさねえ。確かにるこるの体格の人が制服着てたらうわキツと言う人もいるかも……いやいや年齢だけ考えれば20歳なのでギリセーフではあるんだけど。それでも今回は回避する事にしたようだ。代わりに選んだのは隠密裏の潜入だった。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『秘匿の加護』をお与え下さいませ」
ユーベルコードの名は【幽測】……珍しくわかりやすい漢字だ。読みの『ヒモトカレシクウハク』は『紐解かれし空白』であろう。幽といえばちょっと怖いイメージがあるが、本来は『微か』『仄暗い』という意味らしく、なるほど幽霊てのははっきりしないオバケつーことなわけだ。たちまちるこるの全身は女神の波動なるもので覆われ、外部からの探知が不可能になった。さらにこの波動には人や物の情報を得る効果があるらしい。なるほど知られないようにはかる、で幽測だと。
「では早速『ノリコ』という方を探しましょう」
るこるが召喚した情報収集用の祭器もまた不可視となる。ただこれは機械によるセキュリティを回避する力はないようだが、そこは祭器のひとつでカバーできるようだ。かくして隠密裏の内に学園に潜り込んだるこるは通りすがった学生たちの記憶から『ノリコ』についての情報を集めていった。そして運よく、ノリコと仲の良い複数の女子生徒のものと思われる情報が得られた。
(そういえば今日はノリコ見ないわね)
(あそこに行けばいつもいると思ったんだけど)
ノリコが放課後に普段いる場所、おそらくそこで好きな相手と会っているのだろうぐらいは予想がついた。だが今日に限っていないという事は?ライバルである『あの子』と一緒にいる事がいたたまれなくなったのか、それとも……
「……早めに見つけた方がよさそうですねえ」
さらに情報を集めるべく、るこるは探索を継続するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
エーファ・マールト
「駄夢魔ァッ」うひー当たりがつよい! 聞くに耐えない罵詈雑言! ……ひさびさの冒険で張り切ってらっしゃるカーニェさんに負けないよう、私エーファも頑張らせていただきますよ。タネも仕掛けもありません《棘戯術》! これで視線を感じた人の中から、激ヤバノリコさんを見つけるってすんぽう!
なになに…POWは身体を張って調べる……? ほうほう、ここはひとつアイドルらしく奇術ショーをば、ほらほらアイドルマジシャンもいますし、大道芸もね? ありだと思いませんこと? おほほ
まあ実際? タネも仕掛けもあってでも是が非でも喝采を、得たいのもわかりますけどね。他人を傷つけてもってのはわかりかねます。棘、使ってるけど!
●ここではアリ
「駄夢魔ァッ」
「ってまだ始まってもないのに当たりが強いぃ!?」
アイドル☆フロンティアに降り立ったエーファ・マールト(|魔道化《ピエロ》黒兎カーニェと|その助手《本体》・f28157)が最初に見たものは、左手に装着した黒兎のハンドマペット、カーニェの聞くに堪えないほどの強烈な罵詈雑言であった。
「何長い事サボってやがったッッッ具体的には9か月!!」
「い、いろいろ事情があったんですようっ、それにしても張り切ってますねえ、ひさびさの冒険だからですか?」
「ンな事どーだっていいだろッッッそれよりもとっととキリキリ働けッ」
「は、はいわかりましたッ私エーファも頑張らせていただきますよう」
これ以上怒られちゃ叶わんとばかりに早速エーファは動き出す。
「なになに…POWは『身体を張って調べる』……?」
「メタやめろ駄夢魔ッッッ」
「で、でも書き手の人はメタ好きそうですしぃっ!?と、とにかく、ひとつアイドルらしく体張らせていただきますぅ!」
ということで。エーファの本業は曲芸師ということで、やはり体を張るというとこの方向性になるのは当然の流れであった。世の中アイドルマジシャンてのもいるらしいので大道芸アイドルだっていたっていいだろう。かくして早速放課後の学園でゲリラ的にエーファのライブ奇術ショーが始まった。
「はいお立合い!タネも仕掛けもありません!ないったらないんです!」
物珍しさから暇を持て余した高校生たちがエーファの所にやってくる。もしかしたらちょっと過激目な服装に惹かれた一部高校生もいるかもしれないが。理由はどうあれ集まってくれるならなんでもウェルカムだ。そして視線がいっぱい集まったところで【|棘戯術《ソーンマジック》】を使う。これは視線が合った相手に効果のあるユ^ベルコードで、相手の潜在脅威度に応じてダメージを与えるものだという。
(まあ実際?タネも仕掛けもあってでも是が非でも喝采を、得たいのもわかりますけどね、他人を傷つけてもってのはわかりかねます……棘、使ってるけど!)
そしてユーベルコードに感あり。エーファのユーベルコードは確実にノリコをとらえていた。あとは急行するだけだった……が。
(ん~、でももうちょっと喝采を味わってから!!)
相手の居場所はだいたいつかめた。ならば眼前のお客さんをもうちょっと楽しませてからでも遅くはないだろう。学生たちの大歓声の中、エーファの大道芸はもうちょっとだけ続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
多環和・ひゃんたん
ひゃんたんゴーゴー!
えへへこの学校の制服カワイイひゃん
芸能科ならずっとライブしてていいんだよね?ひゃんひゃん♥
厄介客は寺生まれのTさんがなんとかしてくれるから安心ひゃん
「あなたの知ってるノリコちゃんのこと聞かせて」とファントーク
効きそうなら、激しくダンスして制服の下に着た「けしからん服」をちらみせ。何故か人が通ったりして肝心なところは見えないひゃん♥
沢山のノリコちゃんの情報を集めてたら、いつか辿り着けると信じてるひゃん
「ひゃんたんの探してるノリコたんはぁ、内に秘めすぎてこじらせちゃうタイプひゃん。ひゃんたんみたいにあけっぴろげの方がKANZENひゃん」
※アドリブ歓迎、ネタOK、お好きにどうぞ
●天職
「ひゃんたんゴーゴー!」
元気よく現れたのは多環和・ひゃんたん(ひゃんひゃんひゃんひゃん・f44628)。淫魔と呼ばれるダークネスであるひゃんたんはかつては灼滅者と呼ばれる者たちと敵対する立場にあった……はずなのだが、どういうわけだが幾度となく灼滅者と遭遇したにも関わらず戦うどころかむしろ灼滅者に助けられる事すらあり、結果として最後まで生き残って何の因果か今では猟兵としてその灼滅者と肩を並べて戦う事すらある立場だ。
「えへへこの学校の制服カワイイひゃん」
ただ、本人はあまりその事については深く考えていないようで。素直に現状を楽しんでいるようだ。とりわけ今の関心は、芸能科もあるというこの学校の制服。外見年齢は16歳なので見た目だけならバッチリ高校生だ……実年齢は以前から活動をしていた事を考えれば、まあアレだが、ささいな問題だろう。
「芸能科ならずっとライブしてていいんだよね?ひゃんひゃん♥」
早速ひゃんたんは学園内の目立つ所でゲリラライブを始めた。なにせマンモス校なので知らない生徒が紛れ込んでいたとしても、まあ自分が知らなかっただけで所属しているんだろう、で十分通用するのである。そしてアイドルの卵がストリートパフォーマンスするのもよくある事らしく、別に疑われる事もない、早速ひゃんたんの周囲には人が集まって来る。そして淫魔なものだから激しくダンスすればバツグンのプロポーションがさらに強調される上に制服の下に着こんだちょっとけしからん衣服がちらちらと。なおどういうわけだが謎の光が輝いたり人が通過したりするのでアイドルらしからぬ不純な光景は見る事ができない。
「破ぁ!!」
どこかで気合の入った声。どうやら一部生徒が不埒な行動に出ようとしたようで、寺生まれのTさんによって強制的に排除されたらしい。やっぱり寺生まれはスゴイ、ひゃんたんはいろんな意味で思ったとかとか。そしてライブの合間には、集まってくれてたぶんファンになってくれたであろうみんなと交流。その際には情報収集も忘れない。
「あなたの知ってるノリコちゃんのこと聞かせて」
こうして情報をかき集めているうちに、ついに決定的な情報が入る。ノリコの姿を見た者が現れたのだ。さっそくひゃんたんはそこに急行する。
(ひゃんたんの探してるノリコたんはぁ、内に秘めすぎてこじらせちゃうタイプひゃん)
語尾はおもしろいし態度もおもしろいが、それでもひゃんたんの考えは存外真面目なようだ。そしてノリコを救いたい気持ちもまた、確かなようであった。
(ひゃんたんみたいにあけっぴろげの方がKANZENひゃん)
……ちょっとあけっぴろげすぎると言いたくなる人もいるかもしれないが。
かくして情報を集めた猟兵達は、学園内のとある場所に自然と集まっていた。
そこにいたのは……。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ブレイブ・リーマン』
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POW : パワー☆ハラスメント(物理)
単純で重い【相手を傷付けるパワーハラスメント(物理)】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : オールタイム☆ビジネスマン
1日8時間以上【長時間労働(日付が変わるまで)】を行うと、次の日の[長時間労働(日付が変わるまで)]の成功率・効率・芸術性が3倍になる。
WIZ : ダーク☆カンパニー
レベルm半径内を幻の【自身の勤める漆黒の労働環境が蔓延る会社】で包む。これは遮蔽や攻撃効果を与え、術者より知恵の低い者には破壊されない。
イラスト:mosu
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●シナリオを出した後で気付いたのは内緒だ
そこにいたのはちょっと陰のある感じの女子高生。その手には出刃包丁。むろんこんな野外、それも何もない場所で料理など行うはずもなく、ジャパニーズヤンデレソードなる呼び名をされる時の用途で所持しているのだろう事は容易に想像がついた。
「みんな……私の事を邪魔しにきたのね」
猟兵たちの姿に、その女子高生……ノリコの中から骸の海があふれ出し、たちまちのうちに周囲を汚染し始めた。そして汚染された者たちが次々にオブリビオンと化していく。
『うおおー!あいつ憎いー!殺してぇー!!』
状況から行ってこのオブリビオンの元は学生なはずだが、ちょっとそうは見えないのは……まあ、オブリビオンなので理屈が通じない所もあるだろう。学生もリーマンもいろいろストレス抱えているのは一緒だしね。
ともあれ。
元が学生なはずのオブリビオン【ブレイブ・リーマン】の能力は以下の3種類だ。
【パワー☆ハラスメント(物理)】は物理的な攻撃だ。たぶん学生もサラリーマン同様のパワハラを受ける場面もあるんだろう、そういうストレスをそのまま叩きつけるのだからその威力はかなりのものであろう。
【オールタイム☆ビジネスマン】は長時間労働によって次の長時間労働の能力が上がるものだ。たぶん学生もサラリーマン同様長時間の作業を強いられる場面があるのだろう、既に労働は済ませた状況になっていると考えるべきか。そういうストレスをそのまま叩きつけるのだからその威力はかなりのものであろう(2回目)。
【ダーク☆カンパニー】は漆黒の労働環境を作り出して空間内の敵に精神的ダメージを与えるものだ。過ごしやすい学園に見えるが同様のストレスを抱えている学生もいるのかもしれない。そういうストレスをそのまま叩きつけるのだからその威力はかなりのものであろう(3回目)。
以上、青春の悩みも中年の悩みも深刻であり、それが骸の海で増幅される事で強大な敵となっている。だがここはアイドル☆フロンティア。そんな彼らを救う存在、すなわちアイドルがいるのだ。「アイドルになりたい」と願えば流れ星がアイドルステージを作ってくれることだろう。繰り返しになるが、相手が強敵であってもアイドル的なパフォーマンスを行う事で骸の海を浄化して救う事ができるだろう。
いずれにせよ彼らは尖兵に過ぎず、この後に本命が待っている。オードブルはさっくり平らげて、メインディッシュに供えようではないか。
(追記および訂正:オブリビオン【ブレイブ・リーマン】はいまだアイドルステージが現れていないため、第2章開始時点では凶行を起こしそうになっている高校生の姿のままであります)
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
どうやら、相当なストレスが溜まっていた様で。
アイドルは良く解りませんが、『ステージ』は『戦意』でも呼べる様ですから、何とか呼べそうです?
【パワハラ(物理)】は物理攻撃である以上、『射程から外れる』ことで対処出来そうですねぇ。
【鬭釁】を発動、高速飛行で上方に退避しつつ、下からの『投射』等の攻撃を『即時修復』の付与された『FMS』のバリアで遮断、貫通分だけであれば『祈域』で吸収すればよいですぅ。
そのまま両手と『FMS』からの『祝』による[切断]を連射、『FRS』『FSS』の[砲撃]を併せて叩きますねぇ。
オーロラ状のバリアと上から降り注ぐ光は、パフォーマンス的にも綺麗ですし?
●グラドルに近い
「どうやら、相当なストレスが溜まっていた様で」
暴れ回るオブリビオンリーマンたち……もとい。いまだアイドルステージは現れていないためオブリビオンはその姿を現しておらず、現時点では奇行に走る寸前となっている高校生たちを見ながら夢ヶ枝・るこるはつぶやいた。それでも解決方法は既に提示されている。アイドルになってオブリビオンを撃破すればオブリビオンと化した者たちは死ぬことなく元通りに戻るらしい……の、だが。
「私はアイドルが良く解らないんですよねぇ」
これはアイドルとしての立ち居振る舞いがわからないというのもあるが、それ以上にアイドルになる条件の事を指しているようであった。アイドルになるためには「アイドルになりたい」と強く願う必要があるらしいが、自ら信じる神に祈る事はあっても星に祈るというのがどうもピンとこないのかもしれない。ただ、るこるは以前もアイドル☆フロンティアで活動した事があり、その時ステージが現れる光景を目の当たりにしていた。
「たしかあの時は戦意を示す事でステージが現れてましたねえ」
それなら自分でもできそうだ。そんなわけでるこるはさっそく自らの信じる神に祈った。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて聖祭を捧げましょう」
そのユーベルコードの名は【鬭釁】。鬭=闘、釁は隙間の事だ。読みの『センエキノカミゴト』は『戦役の神事』であろうか。ともあれ、るこるの戦闘意志に応じて天から流れ星が降り、たちまち学園はアイドルステージと化した。それと同時に骸の海の影響を受けた学生たちはオブリビオンとしての姿、ブレイブ・リーマンに変じていく。
『うおーあの上司ぶっ殺すー!!』
その叫びは上司への怒り。おそらく相当なパワーハラスメントを受けているのだろう。ただし、その怒りは上司に向けられているようで、直接的な攻撃は部下へと向かうのであった。弱い者たちが夕暮れさらに弱い物を叩く。
『なんだ貴様の目はー!修正を加えてやる!!』
るこるの行動の何かが気に入らなかった、というより、目に入ったからとりあえずウップン晴らしに利用しようというのだろう。ブレイブ・リーマンのひとりがるこるにパワハラ(物理)を叩きつけるべく一気に駆けこんできた。
「たしかに当たると痛そうですが」
るこるはそれを高速飛行で上方に回避。パワハラは本来精神攻撃なので移動では回避困難だが、今回は物理攻撃なので射程から外れれば対処できる。当然といえば当然だ。
『ええい降りてこい!来ないとクビにするぞー!』
「いえ私はあなたの部下ではありませんから」
リーマンはるこるにそこらにあった物を投げてきた。パワハラぽい攻撃だが、バリアにくわえて鬭釁の効果で攻撃吸収の力がある折域が展開されていたためるこるまでパワハラは届かない。ならば今度はるこるのターンだ。
「ではアイドルらしく、パフォーマンス的に綺麗に見える攻撃でもやりますかねえ」
るこるは両手と展開した祭器から『祝』を放った。上空に張り巡らされたオーロラのようなバリアと、天空から降り注ぐ光である『祝』はたしかにアイドルコンサートの照明のような効果を見せてくれた。それが『祝』も効果を高める……実はこの文字、普通は祝う意味だが、断ち切るという意味もあるそうで。例えば出家するために髪を切る事を祝髪というそうな。強化された『祝』はリーマンをやすやすと切り裂き、さらにそこに祭器による砲撃もくわえられると、たちまちリーマンはボロ雑巾のようになった。
「これで本当に浄化されるのでしょうか……まあ、たぶん大丈夫でしょう、この世界のことわりがそうらしいですのでねえ」
大丈夫、素体となった学生はちゃんと浄化されたはずです……たぶんね。
大成功
🔵🔵🔵
エーファ・マールト
わかります〜! シナリオ出した時に予知した子と別のアイコンになってたりとか、足りたと思った成功度が足りてなかったりとか! あっあっカーニェさんそこ引っ張らないで! メタアイドルはウケませんか!
翻弄させつつ派手に、参りましょう。次の曲は銀鳩のシンフォニー♪ 鳩の足場を作って、そこで舞いながら歌っちゃいます。タネさえあればなんでもできてしまう万能系アイドルですから! いっえーい! 盛り上がってまいりましょーッ
「俺様が目立ってないだろォが!」
いやですね。もう十二分に目立ってますよぅ。ほらほらあのリーマンの血走った目! カーニェさんそっくりですね!
●メタネタは用法用量を守って正しくお使いください(自戒込み)
「わかります~!」
エーファ・マールトは当面の敵であるブレイブ・リーマンの方でも、最終的な敵であるノリコ(既にステージはできあがっているのでオブリビオンと化している)の方でもなく、なんかあさっての方向を向いて話し始めた。
「おいどっち向いてしゃべってるんだ駄夢魔ッッッ」
むろん視線の先にいるのはカーニェでもない。わかってくれますか。
「シナリオ出した時に予知した子と別のアイコンになってたりとか、足りたと思った成功度が足りてなかったりとか!」
いろいろ大変ですねえ。こちらの体験談としては、シナリオが出てみたら予定していたフラグメントとは別の物になってた事はありましたねえ。あとオープニング画像にボスを出したつもりがなぜかプルミーになってたとか。
「お互い大変ですねえ、うっうっうっ」
「メタいい加減にしろ駄夢魔ァッッッ」
「あっあっカーニェさんそこ引っ張らないで!メタアイドルはウケませんか!」
ああ、ついにきつめのツッコミが入ってしまった。まあメタを受け付けない人ってのはどうしてもおりますので仕方ないのですが。筆者的にもやりすぎには気を付けているつもりではいるのですが。
「いいから早く戦えつーの!」
「は、はい、いきますッッッ」
そんなわけでようやっとステージに上がったエーファを、早速ブレイブ・リーマンが迎え撃った。
『貴様ぁ!なんだその社会人らしからぬチャラチャラした格好はぁ!』
「そんな事言われましても!?」
まあ確かにステージ衣装のエーファはリーマンぽくはない。ただそもそもリーマンではないのでスーツでなくたって何も問題はないのだが、なにせ相手はブレイブ・リーマン。怒りのため理屈が通じる相手ではないだろう。
『労働者らしくここで24時間死ぬまで働けぇ!』
リーマンの叫びとともに、その周囲に恐怖の労働環境が現れた。エナドリ片手に死んだ目で黙々と作業を続けるサラリーマンたち。サラリーマンに理不尽なノルマを課しつつ自分は仕事をサボりまくり功績はきっちり自分の物にしていく極悪上司。それはまさに【ダーク☆カンパニー】の名に相応しい地獄絵図だった。
「こ、こんな所にいては私の精神も社畜になっちゃいます!ですがここは夢を与えるアイドルステージ!ブラック企業の現実も忘れさせちゃわないと!」
精神を削られつつ、エーファはひとまず脱出を図る事にした。幸いにも相手の領域は周囲LVm。ちょっと逃げるのは骨だが抜け出せない距離でもない。
「派手に、参りましょう!次の曲は『銀鳩のシンフォニー』♪」
エーファは【|魔法使いの銀鳩《PIGEON MIRACLE》】を発動させると、142羽の鳩が呼び出された。そして鳩を足場にしてどんどん高所に上がっていくエーファ。さすがに上空に逃げても敵ユーベルコードの範囲は東京スカイツリーの半分ぐらいまであるのでそこまで脱出は困難だろうが、それでも敵の手が届かない所までは来られた。
「タネさえあればなんでもできてしまう万能系アイドルですから!いっえーい!盛り上がってまいりましょーッ」
ただそれでも高い所のパフォーマンスは周囲のサイリウムたちにも高く評価されたようで、強化によってエーファはダーク☆カンパニーの効果を逃れる事はできたようだ……だが不満を持つ者もいた。
「俺様が目立ってないだろォが!」
「いやですね、カーニェさんは最初に出番あったからいいじゃないですか!それにもう十二分に目立ってますよぅ」
エーファが指さしたのははるか真下のリーマン。
『んなトコで油売ってねえで働きやがれッッッ』
「ほらほらあのリーマンの血走った目! カーニェさんそっくりですね!」
「ひとのことを何だと思ってやがんだぁ駄夢魔ッッッ」
カーニェとリーマンの怒りもどこ吹く風とばかりにエーファのライブは続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
多環和・ひゃんたん
あ「AとE」間違ってた(てへこつ)ひゃんたんは「健全アイドル」だよ★
ノリコちゃん発見
ねえねえ、ひゃんたんとライブしよ…あれれ?
(サラリーマン大量生産におめめぱちくり)
わぁああ、すごぉい!こんなにひゃんたんのライブに来てくれたひゃん?!
ひゃんたん、はりきっちゃうひゃん★
みんなストレスはライブでヒーリング(指♥)ひゃん
カセットデッキから流れる曲にあわせお尻フリフリ
「聞いて下さい、1曲目は『一家だらーん』です」
♪あ、あ 誰もがブラックで疲れてるぅ
♪1日が44時間あっても、だーめだめみゃん
♪死、死? よんだよーん
♪だから し・な・な・い
♪これで お・や・す・み
活力根こそぎ奪って強制的におねんねひゃーん
●24時間ライブできますか
本編に入る前に訂正をひとつ。ご本人からどうぞ。
「あ『AとE』間違ってた、てへ」
舌ぺろりと出しながら、多環和・ひゃんたんは自らの頭を拳でかるくこつんと。
「ひゃんたんは『健全アイドル』だよ★」
こういう時に訂正するかは悩むものですが、一応編集者のルールとしてはそのまま掲載するのが正しいようなので、今回はあえてそのまま掲載させていただきましたと。さすがにかつていろいろありすぎた身としては、自らを完全すなわちパーフェクト☆アイドルと呼ぶのにはちょっと抵抗はあったようで。あとたしかに隠してはいたけどああいうのをKENZENと呼んでいいかどうかは皆様のご判断にお任せいたします。ふけんぜんだっていいじゃないかいんまだもの……ともあれ本編。
「あ!ノリコちゃん発見!」
敵が通るのを待っていたのか、それともこちらから出向く予定だったのか。無表情のままジャパニーズヤンデレソードを構えて臨戦態勢のノリコに、ひゃんたんは全く恐れる様子もなく近寄ると声をかけた。
「ねえねえ、ひゃんたんとライブしよ……あれれ?」
だがその時、猟兵の誰かがステージを呼び出したのだろう。それに合わせてノリコと周囲の学生たちがオブリビオンと化していく。オブリビオン版のノリコの姿がどんな感じかは第3章のお楽しみとして(姿だけならもう見られるけどね)、とりあえずまずはブレイブ・リーマンへの対応が第一だ……の、はずだが、ひゃんたんの反応はさすがは健全アイドルといえるものであった。
「わぁああ、すごぉい!こんなにひゃんたんのライブに来てくれたひゃん?!」
おめめぱちくりしながら驚くのではなくむしろ歓喜。なんという前向きさ。
「ひゃんたん、はりきっちゃうひゃん★」
殺気立った目を向けるリーマンたちに向けて両手でハートを作り……いろいろなやり方があるようだが一番多いのは親指を下に反らし、他4本を丸めて両手あわせる事というタイプだろうか……ひゃんたんはアイドルらしい笑顔を作った。
「みんなストレスはライブでヒーリングひゃん」
『うおおお何がライブだぁ!』
むろんひゃんたんの期待に反し、リーマンたちは観客などではない。古き悪しき24時間働けますかを実践するジャパニーズビジネスマンなのだ。当然彼らは長時間労働を済ませた身。その心は既に次のブラック労働に向いている。
『そんな無駄な事に時間潰してる暇があるならお前も24時間働けぇ!』
リーマンの喧噪に構わず、ひゃんたんはカセットデッキのスイッチを入れた。音楽が流れ、それに合わせてひゃんたんはお尻をフリフリ。
「聞いて下さい、1曲目は『一家だらーん』です」
♪あ、あ 誰もがブラックで疲れてるぅ
♪1日が44時間あっても、だーめだめみゃん
♪死、死? よんだよーん
♪だから し・な・な・い
♪これで お・や・す・み
『ぐ、こ、これは……』
ひゃんたんの歌を聴いたリーマンたちは次々に倒れていく。
『こんな所で倒れるわけには……俺達には……仕事がッッッ』
そしてそのまま意識を手放していった。実はこの場はひゃんたんの【|えんどれす★たいきゅう★らいぶ《セイコンツキハテ・タオレルマデ・ハナサナイ》】によりエンドレス耐久ライブ会場に変わっていたのだ。そこにいる者は体力を激しく消耗する。ブラック労働に耐えるだけの気力が十分なリーマンたちであったが、気力だけで体力の消耗をカバーしていた状態ではエンドレスな耐久ライブには耐えられなかったようだ。決して退屈な歌に眠ってしまったわけではない……はず。たぶん。
「もうおねんねしちゃったひゃん?まだライブは始まったばかりひゃん」
オブリビオンを無力化できたのは良いが、ひゃんたんにはちょっと物足りなさもあったかもしれない。だが残念な事ばかりでもない。まず会場に集まったサイリウムたちは確実に盛り上がっていたのである。そして、その歌を聴かせるべき相手は、まだいるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
熊ヶ谷・咲幸
「ここはアイドルの出番ですね!」
流れ星に願っていざ変身!
「掴め、希望の元気星! チアフル⭐︎クレッシェンドここに参上です」
ポーズを決めている間に学校の設備とかが展開されて障害物になって襲い掛かられたり
「む、これが高校レベルの教育ってやつですね。でも、あたしだって中学生に今年なったんです!勉強とか頑張ってるところを見せてやります!」
そう言って学校の授業内容っぽいことを口走りながらUCを伴った【怪力】で知恵が低くても突き破る
「はうあーゆー? あいむふぁいん、ふぇんきゅー!」
「あい、りーびん、ざ・あーばんしてぃ!」
「しちしにじゅうし!」
たどり着いたらアクスボンバー
「うおおお!はなまるボンバー!」
●9×9=88
「ここはアイドルの出番ですね!」
天真爛漫という言葉がピッタリな笑顔で告げたのは熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)。今回二人目の『アイドル』だ……一応全職業『アイドル』になれるのだが、アイドル☆フロンティア固有のジョブである『アイドル』としては二人目である。そして偶然にも、その両方が、お騒がせ☆アイドルだという。なんという偶然か。まあ筆者のシナリオには合ってるかもしれない、とかよしなしごとを考えつつ。早速流れ星に願いを託すと、たちまちのうちにアイドルステージができあがり。そして咲幸はポーズをとった。
「掴め、希望の元気星!チアフ⭐︎クレッシェンドここに参上です!」
『なんだそのチャラついた格好はぁ!』
早速、ステージの影響で骸の海に汚染された者たちがオブリビオンと化して咲幸に襲い掛かって来る。
「怖そうな人たちです!ひょっとして高校の先生ってみんなこんな感じの鬼なんですか!?」
今回のオブリビオンはリーマンだ。どうも咲幸は今回のオブリビオンの服装が多少崩しているとはいてスーツ姿の大人という事で、学校の教師だと思ってしまったようで。咲幸は年齢的には中学生だ。幸運にも中学校でこんなおっかない感じの教師に会った事がないのだろう。高校の教師はこんな人ばかりではないから安心してほしい……はず、だ。たぶん。まあ教員も仕事でサラリーをもらっている点は会社員と変わらないから広義のリーマンではあるのかもしれないが。
『わけわからんことをッッッ』
怒ったリーマンたちは【ダーク☆カンパニー】を使用した。本来はブラック企業の幻を作るものだが、咲幸の勘違いが影響してか、その光景はブラックな学園生活をイメージしたものになっていた。勉強で擦り切れ、部活で擦り切れ、人間関係で擦り切れ、ボロ雑巾のようにされて脱落していく悲惨な学生生活。
「む、これが高校レベルの教育ってやつですね!」
しかしそのようなものを前にしても咲幸はまったくひるまない。アイドルは光の存在である。闇の学校生活が精神をむしばもうとしても、アイドルの光はそんなものには負けないのだ。
「でも、あたしだって中学生に今年なったんです!勉強とか頑張ってるところを見せてやります!」
宣言すると早速咲幸はブラック高校の幻影に突撃した。
「はうあーゆー? あいむふぁいん、ふぇんきゅー!」
微妙にI'm fine, thank youと違っている。そもネイティブはこんな風に言わないらしいとかだが、これは教育制度の問題なので咲幸にはまったく責任がない。そして力任せに幻を破壊していく。|だんだん強く《Crescendo》の異名が示す通り、その勢いはどんどん増していく。
「あい、りーびん、ざ・あーばんしてぃ!」
かつて咲幸は田舎暮らしをしていたらしい。それが今はアイドルとしてこうして都会に出てきている。I live in the urban cityか。なんだか知らないが言葉とともに振るわれるパワーは【クレッシェンド☆クラッシュエンド】の名に相応しいものであった。
「しちしにじゅうし!」
『お前せめて小学生でそれくらい覚えろッッッ』
まあ7の段は難しいからね、仕方ないね……などと考える間もなく、幻影を破壊して咲幸はリーマンのところに到達した。そして。
「うおおお!はなまるボンバー!」
『ギニャーッッッ』
腕を曲げた変形ラリアットの一撃で最後のオブリビオンが倒される。これでどうやら残されたオブリビオンはあとひとりのようだ……いつの間にかステージの中央にした漆黒のドレスの少女が、ゆっくりと|猟兵《アイッドル》たちに向き直った。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『闇堕ちアイドル』
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POW : 私はあなたのはるか上にいるのよ
【脳に直接届く、魅了洗脳効果のある歌声 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : あなたはこの世界に相応しくないわ
【いつの間にか仕込まれた画鋲 】【巧妙に仕組まれた冤罪】【隠密が得意なパパラッチによる盗撮】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 盗作なんて失礼だわ偶然似ちゃっただけよ
【歌 】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、歌 から何度でも発動できる。
イラスト:アイカワ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠インプレッサターボ・フォレストハリアー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●昔のアイドルマンガにおけるライバルキャラのイメージ
こんな感じのキャラを想像していただきたい。
そのアイドルは美貌と歌の才能、そして純粋無垢な清純派としてのイメージで大人気を博していた。アイドル☆フロンティアにおける分類でいうなら、間違いなくパーフェクト☆アイドルと言えただろう。だが、そんな彼女の前にとある新人アイドルが現れた。彼女はアイドルとしてはまだまだ未熟な存在だが、そのひたむきさ、歌の才能、そして幸運でどんどん人気を得ていった。出る杭が鬱陶しかったのか、それとも自分を上回るかもしれない才能を前に、自分の座が脅かされる可能性を恐れたのか……いずれにせよ、彼女はアイドルとして表の活動で彼女に勝つのではなく、裏の手段で潰す事を選んでしまった。
ノリコが変わったのは、そんな闇堕ちアイドルだった。恋敵を憎む気持ちがそんなオブリビオンを呼んだということだろうか。
『……あなたたちも、私の邪魔をしにきたのね……』
ノリコ、いや闇堕ちアイドルは|猟兵《アイドル》たちを深い憎しみをこめて睨みつけた。
『許さない……私の邪魔をするやつは……みんな!!』
闇堕ちアイドルの能力は以下の3種類だ。
【私はあなたのはるか上にいるのよ】は、脳に直接届く歌で相手を魅了し無力化するという、彼女の技の中ではアイドルらしいものだ。鼓膜を破こうが空気を乱そうが防ぐことはできないだろう。どうやって防いだものか?なお防御手段を持たない相手に対しては攻撃力重視で一気にカタをつけ、防御手段を持つ相手には命中率や攻撃回数重視に切り替えて防御をかいくぐろうとする事だろう。
【あなたはこの世界に相応しくないわ】は闇堕ちアイドルに相応しい技だ。例えばあなたの靴の中にいつの間にか画鋲が仕込まれていたり、なぜかあなたの懐に他人の物が入っていて、あなたが盗んだという濡れ衣を着せられたり、隠密行動の得意なパパラッチがあなたを盗撮してスキャンダルをでっちあげたりするらしい。それらのひとつひとつが多大な精神ダメージを与え、最後には追い詰められた挙句アイドル廃業を余儀なくされてしまうだろう。
【盗作なんて失礼だわ偶然似ちゃっただけよ】……なんでも、とある歌手が出すはずだった新曲が盗まれて他の歌手が先に自分の歌として出してしまった、という事件があったとか。それを彷彿とさせる技だ。なぜか彼女はあなたが使うユーベルコードとそっくり同じものを歌という形で使う事ができるのだ。自分の必殺技がそのまま帰って来るという恐怖にどう対抗すれば良いだろうか?
以上、どれも闇堕ちアイドルに相応しく恐ろしい技と言えよう。それ以前にアイドル☆フロンティアのオブリビオンはただでさえ強力な存在であり、骸の海を生み出す程の闇を抱えている存在ならなおさらといえる。だが光のアイドルとして、猟兵として、負けるわけにはいかない。繰り返しになるが、アイドルらしく戦えば|観客《サイリウム》の支持を得て、この強敵を打ち破る道筋も見えてくるかもしれない。まあ、残念ながら恋の問題自体の解決は当人同士でやってもらうしかないが、それでも少なくともこいつを倒せばノリコが凶行に走る事はなくなるだろう。だから、その、なんだ。なんとかしてくださいお願いします。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
『骸の海』と無関係なら、凶行含め「ご自由に」で良いのですが。
お相手致しますぅ。
『FAS』により飛行、『FLS』の空間歪曲障壁で『音の伝達』を歪め、発動までの時間を稼ぎまして。
『魅了』が影響を及ぼすには『精神の作用』が必須、【龢悰】を発動し私自身の『精神の作用』を抹消しますねぇ。
私達『使徒』の信仰の本質は『精神』ではなく『存在の上書き』故に影響は無く、『|神威《女神の加護》を象った生ける偶像』と化せば、本義としての『|偶像《Idol》』の性質を顕すことが出来ますぅ。
強化した『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]を重ね、逃げ場のない[範囲攻撃]で叩きますねぇ。
●あくまで今だけ
こじらせた恋心や恋敵への敵愾心を骸の海によって増幅され、破滅を引き起こそうとしたノリコに対し、何か助言的な事を考えている|猟兵《アイドル》もいるかもしれない。しかし夢ヶ枝・るこるは違ったようだ。
「『骸の海』と無関係なら、凶行含め『ご自由に』で良いのですが」
いつもの笑顔のままでなかなか強烈な言葉を述べた。それが他者への無関心がゆえなのか、それともあえて厳しく突き放しているのか。そしてこれがるこるの信じる女神の教えに基づくものなのか、それともるこる個人の思想なのかはわからない。ただ重要なのは、だからといって眼前のオブリビオンに対処しないという事ではないという事であった。猟兵として、骸の海と関係ある事なら相手をしないわけにはいかないのである。
「お相手致しますぅ」
『あなたが私の相手?』
闇堕ちアイドルはるこるを見下した目で見た。
『アイドルにしてはちょっと太りすぎじゃない?もうちょっと体を引き締めたら?そうじゃなきゃちょっと特殊性癖の人が見るようなビデオの方がお似合いなんじゃないの?』
パーフェクト☆アイドルとしての価値観と、闇堕ちアイドルとしての邪悪な精神が入り混じったような罵倒だが、さすがに体格いじりはるこるも慣れっこである。内心はともかく見た目には笑顔を崩さないあたりは本人の考える向き不向きとは別にアイドル向けの精神と呼べるかもしれない。さっそくるこるはエネルギーの翼を広げ、宙に舞った。アイドルステージにおいてはこれはかなりのアピールになったようで、観客席にいるサイリウムたちや、かつてるこるがアイドル☆フロンティアで戦い救った者の姿をした者たちは歓声をあげた。さらに空間を歪曲させる事で障壁を張る。
『そんな事で逃げたつもりかしら?』
闇堕ちしたとはいえ、今回使う技はアイドルらしく歌だ。音の秒速は340メートル、戦闘可能な距離を考えればどんなに離れたとはいえ数秒でるこるまで到達するだろう。ましてや闇堕ちアイドルの歌は空気を経ずして脳に直接到達するものだ。空間歪曲なら多少はマシかもしれないが、それでも防御しきれるかどうか……
「そのくらいはわかってますよぉ」
るこるの行動は防御ではなく時間稼ぎだった。防御の本命はやはりユーベルコードだ。るこるは信じる女神に祈る。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『静心の加護』をお与え下さいませ」
その名は【龢悰】といった。龢≒和、悰は楽しむ事だ。読みの『ギョウハクナルセンシン』は『澆薄なる洗心(専心?潜心?)』……そもそもの漢字も難しいが読みの方も前半と後半が別の意味で難しい。
『静心の加護ですって?』
その言葉に闇堕ちアイドルは鋭く反応する。
『そんな事で私の歌がどうにかなるわけではない事を教えてあげるわ!私はあなたのはるか上にいるのよ!』
アイドルは強く人を魅了するもの。それに挑戦するかのようなるこるの言葉を挑発ととったのだろうか。早速闇堕ちアイドルは歌い始めた。闇に堕ちたとはいえもとはパーフェクト☆アイドルに近い存在だ。その歌声は確かにすばらしいもので、正しく歌えば能力など使わずとも人々を魅了させるに十分なものであった。そしてそれが骸の海の力を得てるこるに襲い掛かる。心を静めたぐらいで抗えるものではなく、たちまちるこるは闇堕ちアイドルに洗脳される……はずであった。
『洗脳したら荷物持ちでもしてこき使ってやろうかしら、そのご立派な体ならさぞかし大荷物が運べる事……え?』
るこるは無反応だった。闇堕ちアイドルに魅了された様子など微塵も見られない。それどころか自らの精神そのものが消失したように見えた。るこるの『静心』という言葉は単に心を平静に保つというだけではない。自らの精神の作用そのものを抹消したのだ。
『おもしろいことをするわね!でもそんな事で私の歌を防げたと思ったら大間違いよ!』
それでも闇堕ちアイドルの強気はゆるがない。例えば古今和歌集の序文には「力をも入れずして天地を動かし」とある。素晴らしい和歌の前には意志を持たぬ天地すら感動して動き出すというのだ。ギリシャ神話のオルペウスの竪琴は禽獣どころか意志を持たぬ岩ですら感動したという。闇堕ちアイドルは無生物用の歌に切り替え、るこるを魅了しようとした……が。
「……」
『……え?』
るこるはただ心を封じただけではなかった。我が身を『神威を象った生ける偶像』と化したである。その神々しい姿に満場のファンたちはみな豊饒の女神に帰依、満場の応援がこれ以上なくるこるを強化し、洗脳ソングを跳ね返したのである。
『いや、その、|偶像《Idol》って……こっちのアイドルはそういうことじゃないでしょ!?』
抗議の声も虚しく、闇堕ちアイドルは超絶強化されたるこるの祭器による集中砲火を食らうのだった。これでもまだ戦闘不能にならないあたり、この世界のオブリビオンの強大さがうかがえるというものであろう。
大成功
🔵🔵🔵
エーファ・マールト
恋は……と思いましたけど、変に口出ししない方がいいのかもしれませんね、外野は! こういった試練を乗り越えることで精神的にも一回りふた回り成長することもあるかもしれませんし。
《霊鬼大戯芸》の始まり始まり! あなたが私の共演者です。受け止めて反撃? では私があなたの共演者です。同じじゃねーかって? 同じですとも
これから先どんな凶行に走ったとしても、同じように我々は止めにきますよ。というわけで観念しちゃってくださいね♪
●こういう返し方もあるのか
今回のオブリビオン、正確にはオブリビオンと化した一般女子高生のノリコは、恋愛に対する苦悩を抱えており、そこを骸の海に付けこまれて事件を起こす形になった。そんなわけで、恋愛についてアドバイスを試みようと考えた|猟兵《アイドル》もいたことだろう。
「恋は……」
エーファ・マールトも当初はノリコになにやらアドバイスをしようと考えていたようだ。だが。
「……と思いましたけど、変に口出ししない方がいいのかもしれませんね、外野は!」
やめておいたようだ。それは決して。
『そもそも論として堕夢魔に恋愛相談なんかできるわけねーだろ!』
と、左手のハンドマペットのカーニェが言うのが理由ではない……と本人は主張しているようだ。
「やろうと思えばできますよ!でもこういった試練は自分の力で乗り越えることで精神的にも一回りふた回り成長することもあるかもしれませんし!」
『本当かぁ!?』
「そんなことより!今は目の前の相手の方が重要です!」
長くなりそうな話を打ち切り、改めてエーファはノリコ……もとい闇堕ちアイドルに相対する。
『まーた無駄に肉付けた子がやってきたわね』
パーフェクト☆アイドルとしての厳しい視線と、闇堕ち者としての上から目線が入り混じったような言葉を、闇堕ちアイドルはエーファに向けた。
『そんなカラダじゃアイドルは無理ね、無駄に露出多くして写真でも撮られるお仕事の方が合ってるんじゃないかしら?』
『ケヒャヒャヒャヒャ!言われてるぞ駄夢魔ァ!!』
「むー!どっちの味方なんですかカーニェさんは!」
『どっちだっていーだろ堕夢魔に堕肉がついてる事に変わりねえんだからよォ!』
「むー!」
『……私を前に、ずいぶんと余裕のようねぇ』
闇堕ちアイドルに冷たい言葉を浴びせられて、それに怒るでも反論するでもなく、ふたり(?)で漫才のような会話を始めたエーファが、闇堕ちアイドルにとってはおもしろいものではなかったようだ。やはりアイドルたるもの、無視されるのは気に入らないわけである。
「な、なんか怒ってますよカーニェさん!」
『てめぇが話を脱線させたからだろ堕夢魔ァ!!』
「いやいやいや話のきっかけはカーニェさんじゃないですか!」
『……なんでもいいから、かかってきなさいな』
なんかこのままだと終わらない気がしたのか、闇堕ちアイドルは強引に話を進める事にした。マイクを握るとBGMが流れ出し、闇堕ちアイドルは歌い出す。その歌は闇堕ちしたとはいえパーフェクト☆アイドルと呼ぶにふさわしいものだ。このまま手をこまねいて見ているだけだと、本来エーファを応援に来たはずの|観客《サイリウム》たちの支持を全て奪われてしまう事だろう。こうなったらさすがに強大なアイドル☆フロンティアのオブリビオンに勝つのは難しくなってしまう。
『むこうもああ言ってるし、とっとと行け駄夢魔ァ!』
「言われなくても行きますよぉ!大道芸アイドルらしい所を見せてあげましょう!」
カーニェにせかされるようにエーファは闇堕ちアイドルの前に立った。余裕と侮蔑に満ちた目で、闇堕ちアイドルはエーファを見据える。眼前のエーファが自分に勝てるはずがないという自信の表れだ。
「確かに歌じゃ勝てないかもしれないけど!私の本領は歌じゃないんです!一世一代の大奇術を見せてあげましょう!【|霊鬼大戯芸《ENTERTAINMENT FUNNY FES》】の始まり始まり!」
ユーベルコードが発動した……眼前の闇堕ちアイドルをも、巻き込んで。
「あなたが私の共演者です!」
『……え?』
むろんそんな台本なんか闇堕ちアイドルは知らない。いつの間にかエーファの共演者にされてしまい、パーフェクトなはずの闇堕ちアイドルとてさすがに困惑したが、表情を変えないのはさすがといったところだ。
『……わけわからない技を使ってくれたみたいだけどね、あなただけが使えるとは思わない事ね!』
闇堕ちアイドルのユーベルコードは相手のユーベルコードをコピーして返すものだ。そしてその結果は。
「では私があなたの共演者です!」
『……え?(2回目)』
そう。カーニェのユーベルコードは相手を奇術の協力者にする事。つまりそれが返されても、結局カーニェと闇堕ちアイドルが奇術ショーを行うという結果には何も変わりがないのであった。コピー能力のこんな返し方があったとは。
『……結果、同じ?』
「同じですとも!」
そしてエーファにとってそれは単にコピー能力に見事なカウンターを返したというだけではない。
「これから先どんな凶行に走ったとしても、同じように我々は止めにきますよ。というわけで観念しちゃってくださいね♪」
『ぐっ……上等じゃないの!』
何度やっても結果は同じ。それを突き付けられたからというわけではないが、闇堕ちアイドルも覚悟を決めたらしい。
『どんなステージに立とうと私が最高である事をあなたに存分に見せつけてあげるわ!覚悟しておくことね!』
「その意気です!では、お客さんが待ってますよ!」
かくしてエーファと闇堕ちアイドルによる一世一代の大奇術ショーが披露された。エーファの見事な大道芸と、どうにかがんばってついていった闇堕ちアイドルのショーは、サイリウムの皆様にたいへん大うけであったそうな。
大成功
🔵🔵🔵
多環和・ひゃんたん
そっかぁ、ひゃんたんみたいなまだ下手くそだけどがんばり屋さんが恐いんだね?
あ、ラブを叶えるかーんたんな方法はね★(パンチラ乳揺れダンスをして)だひゃん
ひゃんたんのいた淫魔アイドル界のえらい人も「歌って踊ってエッ…もできる」が宣伝文句だったひゃん
ひゃんたんはー邪道だとー思いまーす
そーゆーのは見せて魅せるだけにしとけ主義ひゃーん
だから売れないひゃん
けどそれでいいひゃん
とりあえず悩んだら旅に出るひゃん
きさらぎ駅くんGO!
「♫行き先不明のデストレイン乗るのはてめえだぁ」
え、あなたの「きさらぎ駅」もレトロでお洒落ひゃん
ひゃんたんそっちから乗車だよ★
ノリコたんの肩を抱いて一緒に乗り込み共にダメージを喰らう
●返されても構わない技を使う
今回の敵、闇堕ちアイドルの設定らしきものを聞いた多環和・ひゃんたん。
「そっかぁ、ひゃんたんみたいなまだ下手くそだけどがんばり屋さんが恐いんだね?」
『あなたは……お騒がせ☆アイドル!』
答えの代わりに闇堕ちアイドルはひゃんたんに明確な敵意を示した。と、いうのもだ。
『失敗ばかりのドジばかりのくせに運だけで上がっていくお騒がせ☆アイドル!』
堕ちる前はパーフェクト☆アイドルに近い存在であっただけに、他者への目はかなり辛口になる傾向があるようだが、とりわけ闇堕ちアイドルが敵意を強く示す相手が、フレッシュ☆アイドルとお騒がせ☆アイドルであったようだ。その共通項はおそらく、不完全さ。その事自体が闇堕ちアイドルにとって腹立たしい上に、その相手が目の上のたんこぶとなりつつあるのだから、闇堕ち者としてはイチャモンのひとつもつけたくなるらしい。
「残念、ひゃんたんはまだ上がってはないひゃん」
『なお悪いわ!』
「あ、そうそう」
内心はともかく見た目は闇堕ちアイドルの罵倒にもまったく堪えてないように振る舞うひゃんたん。言われついでに言いたい事があったようで。
「ラブを叶えるかーんたんな方法はね★」
『え?』
「これだひゃん」
いきなりひゃんたんが目の前で踊り出したので、闇堕ちアイドルはちょっとあっけにとられたらしい。しかもそのダンスが、なかなか煽情的な感じというか、ひゃんたんの体格をよーく生かした感じの、胸揺れの上におぱんつちらりなやつだったもので。
「……そ、そんなの……やっぱり恥ずかしいです」
「ひゃんたんのいた淫魔アイドル界のえらい人も『歌って踊ってエッ…もできる』が宣伝文句だったひゃん」
思わずオブリビオンの闇堕ちアイドルではなくノリコの感情が出てきたようだ。
「でもやっぱりそこまでしないと」『しなくていいわ!!』
だがさすがにオブリビオン、そうそう主導権は握らせてくれない、というかむしろ今のがイレギュラー過ぎた。
『アイドルたるものがそんな……えっ……な行動を!』
このあたりは闇堕ちしたとはいえさすがはアイドルである。そう、アイドルは俗世から離れた存在でなくてはならない。例えばアイドルが花摘みに行くといったらそれは山野草を切り花にする以外の意味は存在しない。ましてやエッ…なことなど言語道断である。
「うんうん、ひゃんたんもー邪道だとー思いまーす」
『え?』
だが淫魔であるはずのひゃんたんは意外にもエッ…に関してはそういう考え方だったらしい。
「そーゆーのは見せて魅せるだけにしとけ主義ひゃーん」
『結局見せる事には変わりないじゃないの』
「だから売れないひゃん、けどそれでいいひゃん」
『いや売れないのは本当にそれだけが理由かしら?』
そろそろ話を切り上げて戦いに入るべき頃だろう。そう考えた闇堕ちアイドルは再び罵倒モードに入る。
『そんなおっきいのぶらさげといて!あなたはアイドルよりも……その、えっ……の方がお似合いだわ!』
直接的に言えないあたりは腐ってもアイドルである。そして罵倒されたひゃんたんはそんなの全く気にする様子もない。
「あなたも悩んでるみたいひゃん」
『誰のせいよ!』
「とりあえず悩んだら旅に出るひゃん」
『旅?』
「きさらぎ駅くんGO!♫行き先不明のデストレイン乗るのはてめえだぁ」
きさらぎ駅。
その昔某掲示板に、電車に乗っていたら「きさらぎ駅」なる聞いた事もない駅に止まり、下車して周囲を探索してみた、という書き込みが投下された事があった。その結末は、投稿者のスマホの電池切れにより書かれる事がなく、彼あるいは彼女がどうなったかを知る者はいない。
ひゃんたんが歌で呼び出したのはそのきさらぎ駅に向かう電車であった。これに乗ってしまえばどうなったものか、わかったものではない。
『……なかなか強烈な技ね!デストレインに乗るのはあなたよ!』
あくまで余裕を装いつつ、闇堕ちアイドルもまた歌った。偶然に似ただけと主張するその歌で呼び出されるは、やはりきさらぎ駅行きの電車。
「え、あなたの『きさらぎ駅』もレトロでお洒落ひゃん」
そして、自分の技を返されてもなお動揺するような素振りをなど見せる様子もないあたりは、ひゃんたんも立派なアイドルと言えるかもしれなかった。そしてひゃんたんは闇堕ちアイドルの肩を抱く。
「ひゃんたんそっちから乗車だよ★」
『え、ちょ、ちょっと待って!?』
そしてひゃんたんは闇堕ちアイドルと一緒に電車に乗った。そして電車は出発し、どこへとなく走り去って行く。そのどことなく幻想的な光景には集まったサイリウムたちや、かつてひゃんたんに助けられた者の姿をした者たちをおおいに沸かせる事になったのは言うまでもないだろう。
『電車に乗ったらダメージってそれ違う都市伝説じゃないの!』
「猿夢の方だったかもひゃん」
大成功
🔵🔵🔵
熊ヶ谷・咲幸
「うう、思わず心奪われそうになりますけど、ここで挫ける訳にはいきません!」
気合いと根性で耐えようとするが、おそらくそれも限界がある
「っしゃあ!!」
ステージに思い切り頭突きするなどして痛みで魅了効果を散らしてから、サイリウムと化してるファン達と【コール⭐︎アンド⭐︎レスポンス】
「みんなー!今日は来てくれてありがとう!ライブはまだまだ続くから楽しんでいってね!」
集まったファンの数だけ自身の能力とファンの応援力を強化。それによって魅了への抵抗力を上げる!
「あたし一人じゃ、とても弱いかもしれないです。でも、みんなの応援があれば、戦える!」
あとは闇堕ちアイドルに突撃してバックドロップあたり仕掛ける
●アイドルらしい手段とは
「掴め、希望の元気星!このチアフル☆クレッシェンドがあなたを救ってみせます!」
ボスキャラを相手に改めて熊ヶ谷・咲幸は高らかに名乗りを上げた。それに対し闇堕ちアイドルは冷たい目を向けた。
『またお騒がせ☆アイドル……』
闇堕ちアイドルがお騒がせ☆アイドルを嫌っているのは先刻も述べた通りである。その曇り一つないまっすぐな瞳が、闇堕ちアイドルにとってまぶしすぎて直視できなかったのか、それともドジばかりのくせにむしろ人々の支持を得ている事が、単に運に全振りしているだけと映ったのか。いずれにせよ、それは彼女にとって単なる路傍の石ではなく、自分の地位を脅かすかもしれない爆発力やポテンシャルをそこに感じ取ったのはおそらく間違いない。
『いらだたしい存在……!』
いずれにせよ、排除しなければならない相手である事には間違いない。闇工作で精神的に潰す事も考えたが、このテの輩はどんなイヤラガセをしても強運だけで乗り切ってしまう可能性がある。ならば取る手はこれしかない。闇堕ちアイドルはマイクを手に取った。
『わたしがあなたのはるか上にいる事を思い知らせてあげる!』
「くっ、なんという威圧感!これがアイドルですか!」
パーフェクト☆アイドルに近き存在を前に、まだアイドルとしての経験の浅い咲幸にも眼前の人物の脅威は嫌と言うほど理解できた。一挙手一投足がまさにアイドルという言葉の具現化。闇に堕ちた存在である事が心底惜しまれるが、そんな事を言っていられる状況ではない。未熟な自分がこれに対抗しなければならないという現実が眼前にあるのだ。
「ですが!あたしがなんとかしてあげます!」
幸いにもこれまでステージに上がった|猟兵《アイドル》たちが場を温めてくれている。ならば自分のやるべき事は、さらに会場のお客さんたちを楽しませる事。観客席のサイリウムたちの中に、これまで咲幸が救った者たちの姿も見て取れる。応援してくれる者たちのためにも負けるわけにはいかない。
『覚悟なさいな!』
闇堕ちアイドルは歌い出した。その歌は敵である事、彼女が邪悪なオブリビオンである事を差し引いてもなお人の心を動かすに相応しいものだ。他者から見たら傲慢としか見えぬほどの自信は決して何の根拠のないものでなかった事を、咲幸は嫌と言う程思い知らされていた。決意を決めたは良いが、眼前の敵は間違いなく強敵だ。しかもその歌は咲幸の脳に直接届き、敵でさえ惹かれずにはいられないほどの魅力を存分に伝えてくる。
「くっ、こ、こういう時は、気合と根性です!」
『そんな精神論を振りかざすぐらいならボイストレーニングの10分でも多くやりなさいな』
闇堕ちアイドルはさらに魅了を強めた。必死で耐える咲幸も、もはや限界か……と思われたその時。
「っしゃあ!!」
なんと咲幸は自らの頭部をステージにぶつけたのだ。痛みで洗脳から逃れるというのは古典的な手段であり、だからこそ確かに有効だ。ただ闇堕ちアイドルはしぶい顔をした。それは相手が洗脳を逃れたからではない。
『アイドルならもっとスマートな手段を取りなさいな、そんな泥臭い手に頼るなんてこれだから』
「わ、わたしはあなたじゃないからそうきれいな手段はできないんです!でも!」
逃れたとはいえ一時的なものであり、闇堕ちアイドルがさらに洗脳ソングの強度を上げてくる事は目に見えていた。なんとかしなければならない。
「アイドルらしい手段ならできます!」
『そう、だったら見せてみなさいな、あなたの言うアイドルらしい手段ってのを』
挑発するような闇堕ちアイドルの方を咲幸は見ていなかった。その視線の先は、満場の観客たち。
「みんなー!今日は来てくれてありがとう!」
咲幸の声に応える観客たち。それに応え返すようにさらに咲幸は続ける。
「ライブはまだまだ続くから楽しんでいってね!」
『こ、コールアンドレスポンス!?』
コールアンドレスポンス。アメリカにルーツがあるそれを日本に持ち込んだのは1970年代のとある男性歌手だそうな。その後日本のアイドル業界でも盛んに行われるようになったが、闇堕ちアイドルのモデルと思われる1980年代の女性ソロアイドルにはその風習はなかったようである。そんなわけで。
『そんな邪道な事をやるからアイドルは堕落したのよ!思い知らせてあげるわ!』
「あたし一人じゃ、とても弱いかもしれないです。でも、みんなの応援があれば、戦える!」
なんかイデオロギー論争みたいな感じになってきたが、咲幸と観客の掛け合いは互いの情熱を倍々ゲームのごとくに上昇させ、戦闘力をどんどん上げていった。その熱量の前には、いかに強力とはいえただのひとりで戦う闇堕ちアイドルが勝てるものではなかった。
『わ、わたしの歌が……負けるというの!?』
「今です!」
完全に洗脳ソングを振り切った咲幸は闇堕ちアイドルに突撃するとその背中に組み付き、思い切りバックドロップをくらわせた。そしてピンフォール!
「ワン!ツー!スリー!」
会場の声が統一され、咲幸の勝利を告げた……あれ?なんかおかしくない?
『……こ、こんなアイドルらしくない手段に負けるなんて……』
闇堕ちアイドルの声はあまりに無念なものであった。自分がアイドルらしくない手段を使おうとしたけど今回は機会がなかっただけという事はまあ、さておいて。
(……でも見てらっしゃい、次があったら必ず思い知らせてあげるんだから……)
ともあれ骸の海は払われ、全てが平和のまま解決した。
果たしてノリコの恋の行方がどうなるのか、それは猟兵にはわからない。ただ、いかなる結果になるにせよ、それがこの先の彼女の人生に前向きな影響を及ぼしてくれれば何よりだと、|猟兵《アイドル》たちは考えたのであった。
大成功
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