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カラスのきらめき☆糧食クッキング

#獣人戦線 #戦後 #幻朧帝国 #【Q】 #ヨーロッパ戦線 #カラス

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●くすんだ街にカラフルを
 ヨーロッパ、カラス獣人達の住まう街。
 そこは、色彩豊かとはいえなかった。厳密には、輝きがない。ネオンなど派手なものはなく、街灯にも地味な色と最低限の光量しか与えられていない。
 色彩の控えめさは、人々の服飾にも反映されている。アクセサリーも地味で、宝石を身に着けているものなどいない。
 なぜならば、きらきら光るものは、カラスの正気を失わせると、この街ではそう伝えられているからだ。
 だからこそ、カラス達は別の、ほどよいきらめきを求めた。料理である。色彩豊かな、料理である。
 そして今、この街では、見た目の華やかな|糧食《レーション》料理の作成が、ブームとなっていた。
「どうだ、このつやつやフルーツパフェは! 宝石箱も真っ青!」
「やだ素敵! けれどワタシのレインボーサラダも負けてはいませんことよ?」
 そんな平穏の裏で、破滅をもたらそうとするものが迫っていることに、人々はまだ気づいていないのだった。

●カラスの街のイベント
 タビタビ・マタタビ(猫勇者一歩手前・f10770)は『獣人戦線』の新たな危機を伝えた。
「幻朧帝国が、性懲りもなく獣人の街を襲うつもりなんだ」
 ひそかに潜入した幻朧帝国のエージェント『情報部中尉・伏見広葉』 が、影朧兵器『逢魔弾道弾』を炸裂させ、街をオブリビオンであふれる『逢魔が辻』に造り替えようとしているのだ。
 だが、この危機にも、タビタビは、ふふん、と余裕の構え。
「エージェントが兵器を設置しようとしている場所は突き止めてあるよ!」
 問題は、敵が空中戦を得意とするということだ。
 できれば、こちらもそれに対応できるに越したことはないが、ここはカラスの街。カラス獣人の力を借りられれば楽に戦えるとタビタビは言う。
「まだカラスさん達は猟兵に覚醒しているわけじゃないけど、|猟兵《みんな》と一緒なら、敵ともやり合えるはずだよ!」

 ただ、そのためには、カラス達の協力を取り付ける必要があるわけで。
 ちょうどよいことに、懇親を深めるのにうってつけなイベントが街では開催されているという。
「糧食アイデアクッキング大会だよ!」
 この世界の料理は、果実や穀物から作られた『糧食』を加工したものだ。
 お菓子からお肉まで再現する技術が確立しているのだが、見た目も美しい料理のブームがこの街では起きており、このたび、糧食アイデアクッキング大会が開催されるというのだ。
「これに参加して、なんかすごい料理を作るんだよ」
 この街では、しきたりとして、きらきら光る華美な装飾や建築は控えられている。その分、華やかでカラフルな料理に、輝きを見出すようになったのだという。
「食べものならセーフ、っていうかグレーゾーン……ってコト?」
 もちろん、食べて美味しいことに越したことはない。
 このイベント参加を通してカラス達と友好を結び、来る敵エージェントとの戦いに備えるのだ。

「カラスさん達の覚醒までもう少し……な気がする! カラスさん達を助けて、いい感じの料理も作っちゃおう!」
 料理の腕はさっぱりなタビタビだけれど、カラスを助けるやる気は人一倍なのだった。


七尾マサムネ
 キラキラ、なんかわかんないけどなんかいいですよね。
 というわけで今回は、カラス獣人の街に向かうシナリオです。

●第1章
 カラスの街で開催されている、糧食クッキング大会に参加します。
 糧食を素材に、なんか見た目も素敵で美味しい料理を作りましょう。今回は、味よりも見た目が重視されるようです。
 作った料理を振る舞ったり、反対にカラス達の料理を試食させてもらったりして、交流しましょう。
 ちなみに、カラス達に好き嫌いはないので大丈夫です。

●第2章
 敵エージェント『情報部中尉・伏見広葉』 の暗躍現場を取り押さえ、これを撃破します。
 なお、1章でカラス達と交流していれば、力を貸してもらう事ができます。
 相手の空中戦力に対抗することで、有利に戦いを進められるでしょう。

 それでは、皆さまのご参加、お待ちしております!
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第1章 日常 『糧食料理を作ってみよう』

POW   :    豪快な料理を作る

SPD   :    繊細な料理を作る

WIZ   :    変わり種の料理を作る

イラスト:仁吉

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セレス・ホークウィンド
落ち着いた色彩もこれはこれで…
言い伝えは昔宝石等の煌めきの奪い合いで大惨事でも起こしてしまった、かもしれないな。
料理なら長く残らないからきらきらでも問題ない、と。
…なんかすごい料理とはまあまあ無茶ぶりに思えるが、頑張るとしよう。

大会に参加、造型の綺麗さで華やかさを引き立てるのはどうだろう。
花や草木の形に切ったり彩のバランスで目立たせたり、お菓子作りの方でそういう技術もあると聞くのでその応用。
鮮やかな色の甘味風の糧食を凍らせて宝石型にカットしてデザートにするなどもいいかもしれないな。
出来たらカラスの参加者に振る舞いつつ、試食させて貰いその工夫を楽しみつつ感想を言い合えれば。

※アドリブ絡み等お任せ


村崎・ゆかり
召喚した黒鴉を一羽肩に留まらせて会場へ。
みんなやってるわねー。気合いが入ってる。
それじゃあたしもエプロン類を一式借りて、挑戦してみましょうか。

あたしは、カロリーバータイプの糧食を砕いてから、ホットケーキミックスよろしく、フライパンで焼いていくわ。
出来たホットケーキには、色とりどりのグミキャンディを埋め込んで。
それを何段も重ねて、パンケーキタワーの天辺から、キラキラした顆粒を混ぜ込んだ蜂蜜をかけ流す。

作品名? そうね……『光の塔』でいいわ。ナイフで切れば、断面にはグミキャンディが顔を覗かせる。

さて、料理中会場内を見て回らせてた黒鴉のチェックで、他の皆がどんなものを作ったか食べて回ろうじゃない。



 案内された、欧州の地。
 セレス・ホークウィンド(白楽天・f44144)は、新たに訪れたカラスの街並みを観賞していた。
「落ち着いた色彩もこれはこれで……」
 悪くはない、と呟くセレスは鳥人姿で、カラス獣人の街でも馴染んでいた。
「かの言い伝えは、昔宝石等の煌めきの奪い合いで大惨事でも起こしてしまった、あたりかもしれないな。料理なら長く残らないからきらきらでも問題ない、と」
 にしても、『なんかすごい料理』とは、まあまあ無茶ぶりに思えるが、
「頑張るとしよう」
 そういうことにした。
 セレスが向かったクッキング大会の会場。そこは、ちょっとした、というには広いホールだった。多くのカラス達が集っている。ブーム、という名に偽りなし、といったところか。
 さっそくセレスもエントリー。案内されたクッキングスペースで、いざクッキング。
 その頃、村崎・ゆかり(“|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》”/黒鴉遣い・f01658)もまた、会場入りを果たしていた。
 その肩には、鴉が一羽。召喚した式神の黒鴉だ。
「みんなやってるわねー。気合いが入ってる」
 カラス獣人達の、やるぞ、という気持ちから生まれる熱量が活気となり、ゆかりにも伝わってくる。好きでやっていることなのだから、熱くなるのも当然か。
 そんな場所にやってきたからには、ゆかりもやる気だ。エプロン類を一式借りて、黒鴉を会場に放つと、クッキングにいざ挑戦。
 ゆかりが用意してもらったのは、素材となる糧食の中でも、カロリーバータイプのもの。戦場や山登りなどにも持っていきやすい携行食型だ。
 ゆかりはそれを細かく砕くと、粉末に変える。ちょうど、ホットケーキミックスの要領で、溶いたそれをフライパンで焼いていく。
 出来上がるのは、まさにホットケーキ。しかも、普通のミックス以上に栄養素や味わいがこめられているので、ちょっと上級のホットケーキだ。
 栄養分や味でいえば、この時点で既に問題はない。ただ、今回の大会は、見た目が大事。きらきらが必要だ。
 そこでゆかりは、ホットケーキに、色とりどりのグミキャンディを埋め込んでいた。
 同様のものを何段も重ねれば、パンケーキタワーの出来上がり。仕上げとして、タワーの天辺から、蜂蜜をとろりとかけ流す。
 混ぜ込んだキラキラした顆粒が、照明を浴びて、星のよう。
「おっ、これは芸術的ですらあるような」
「料理の名前はあるのかな?」
 きらきらに惹かれて集まってきたカラス獣人達に、ゆかりはそうね……と少し思案した後、
「『光の塔』でいいわ」
 向こうが賑やかだな、と振り返るセレス。他の参加者も、各々の技術やアイデアを生かして、それぞれのきらきらを目指しているようだ。
 作り上げられていく料理の見た目は、実に様々。
「こうなると……造型の綺麗さで華やかさを引き立てるのはどうだろう」
 幸い、調理器具は充実している。というか、工具めいたものまであるのはどういうことか。
「調理前提で殺菌消毒済ですのでご安心を」
 スタッフがそう言っている。
 とりあえずセレスは、工夫を凝らした。
 素材となる糧食を、花や草木の形にカットしたり、彩のバランスで目立つ飾りつけにしてみたり。お菓子作りで用いられる技術を応用したものだ。
 メインは出来た。冷凍庫から、調理に先駆けて用意しておいた、鮮やかな色の甘味風の糧食を取り出す。
 すっかり凍結したそれを宝石型にカットして、透明感のある器に盛り付ければ、きらきら涼やかなデザートの出来上がりだ。

 さて、こちらはゆかりのきらめきパンケーキタワー。
 ゆかりが、すっ、とナイフを入れると、グミキャンディが顔を覗かせる。
 煌めく断面を見て、周りの獣人達が、おおっ……と声を上げる。
「まさにこれは宝石のよう」
「それでは、いただきます」
 ゆかりにパンケーキを振る舞われたカラス達が、舌鼓を打つ。
「口の中にキラキラが広がっているかと思うと嬉しくなるね」
 カラス達の反応に満足げなゆかりの元に、黒鴉が戻ってくる。ゆかりが料理している間、会場内の料理をチェックして回っていたのだ。
 料理の情報を得ると、ゆかりはさっそく、他の参加者達が作ったきらめく料理の元へ向かう。
 セレスも、一通り料理ができたところで、カラスの参加者達に振る舞ってみる。
「わ。これはいいきらめき」
「文字通りの華やかさね。こちらの宝石アイスもひんやり美味しくて心がきらきら……」
 評判は上々のようだ。
「私も試食させて貰おう」
 セレスが気になったのは、タワーのようなパフェだ。チョコレートやゼリーに彩られた、荘厳な塔の様相。
「このサイズなら大勢で楽しみを分かち合えるというわけか」
 しかも、匙ですくうたび現れる様々な食材が、食べる者を飽きさせない。
 そんな工夫を楽しみつつ、他のカラス達と、きらきらタワーパフェの感想を並べ合うセレス。そこへ、カア、とカラスの鳴き声。ゆかりがやってくる。
「これが、黒鴉の見つけた宝石風アイス。なるほど、目に狂いはなさそうね」
「それは光栄だ。どうぞ召し上がれ」
 そうして、セレスや他のカラス達の料理を、しっかり堪能させてもらうゆかりだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『情報部中尉・伏見広葉』

POW   :    工作員の抜け道
【地形をも削り取る風魔法や地形変換魔術】で長さ1万÷レベルmの洞穴を掘ると、終点が「同じ世界の任意の場所」に繋がるワープゲートになる。
SPD   :    ハラハラ風見鶏
自身と武装を【接触者の冷静さと判断力を奪う特殊な竜巻】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[接触者の冷静さと判断力を奪う特殊な竜巻]を飛ばして遠距離攻撃も可能。
WIZ   :    形あるなら思うがままに
【触れたものを急速に劣化させる疾風】を纏ってレベル×5km/hで跳び回り、触れた物品や対象の装備を破壊、あるいは使用不能にする。

イラスト:うぶき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠禹・黄風です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 皆がきらめきを作り、心ときめかせる。
 そんなきらきらに満ちたクッキング会場の裏で、怪しく蠢く小さき影。
 ホールの裏手に現れたその正体こそ、『情報部中尉・伏見広葉』であった。その足元……というか、目の前には、自身より大きなサイズの影朧兵器。
「楽しい時間のまま魔都へと呑みこまれるといいわ。私からのせめてもの慈悲よ」
 そんなスズメ獣人の姿が、突如照らし出された。
「まぶしいっ……これは照明……そして料理!?」
「見つけたぞ、悪いヤツ!」
「私達のきらきらは邪魔させない!」
 伏見は、囲まれていた。カラス獣人達によって。皆、エプロンなどを着けた調理姿。そして、料理を手にしている。
「どうして私の居場所が……潜入作戦が漏れていたという事!?」
 驚いていた伏見だったが、カラス達から距離を取ると、プロの目に戻った。
「気づかれようが、同じこと。弾道弾が炸裂すればこの街は書き換えられてしまうのだから」
「そんな勝手なこと、させるもんですか!」
「こっちには猟兵さんがいるんだ、お前の好きにさせるもんか」
 カラス達がエプロンを脱ぐ。
 ここからは、きらきらを、そして街を守るための戦いだ。
諏訪野・啓太郎(サポート)
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
 スペースノイドのスターライダー×電脳魔術士、33歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、負傷した仲間には「元気に(俺、~くん、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 任務を妨害するカラス獣人達を排除しようと、戦闘モードに移行する敵エージェント・伏見中尉の目の前を、疾風が駆け抜けた。
「増援!?」
 伏見の体を震わせたのは、いわゆる鋼鉄の愛馬。
 疾風伴い宇宙バイクで駆け付けたのは、諏訪野・啓太郎(さすらいのライダー・f20403)だった。
「まだ猟兵がクッキング大会に潜んでいたようね」
「なあに、唯のろくでなしの旅烏ですよ……っと」
 バイクにまたがったまま、啓太郎は、カラス獣人達を一瞥した。ここは任せろ、と。
「そちらが疾風を呼ぶのなら、こちらは疾風そのもの!」
 伏見が風を招いた。
 ユーベルコードの魔風は、竜巻となってうねり、スズメの小柄を鎧のように守った。
 こちらのいくつかの感覚から逃れているようで、啓太郎からは、その存在感があいまいになっている。
 しかし、伏見が、こちらに突撃を敢行した事自体は、おぼろげに感じとれた。野生の勘、という奴だ。
「カアっ! 気を付けろ猟兵さん!」
「なるほど、竜巻に触れるとヤバそうだ」
 カラス獣人の助言から全てを察した啓太郎は、バイクを走らせた。
 疾走しながらも変形し、小回りの利く、機動力重視形態をとる。伏見に対抗するに相応しいフォルムを選択したのだ。
 勘をフル稼働させ、敵の位置を感知する啓太郎。
 敵が纏う竜巻は、飛翔能力の強化機能まではないようだ。伏見が啓太郎に追いつくことはできていない。
「今の私を捉えるとは。ならば!」
 伏見が再び羽ばたいた。
 すると、竜巻鎧から分化した小型竜巻が、啓太郎に向けて発射された。
 次々打ち出されるそれを回避しながら、啓太郎は壁を駆けあがり、反転。伏見の頭上を取る。
「竜巻が飛んでくる方さえつかめば、本体の位置もだいたいわかるってもんだ」
「! かくなるうえは、肉を切らせて骨を断つ!」
 伏見は、逃げなかった。迷いなく向かってくる啓太郎を、竜巻で迎え撃つ。
 啓太郎は、空中で機体を捻り、直撃を免れる。かすめた竜巻の異能で、思考能力が乱されるが、ぎり、と歯を食いしばり、耐える。
「肉を切らせて、は、こっちも同じだ」
「な……ッ!」
 激突。
 四散する竜巻。
 真正面から宇宙バイクの吶喊を喰らった伏見は、そのまま地面にしたたかに叩きつけられたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。



 カラス獣人との空中戦を繰り広げるエージェント・伏見中尉を待ち受けていたのは、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)。
 合流したカラス獣人達と、とっさに協力。挟み撃ちにすることで、敵の逃走を封じる。
「カラスの皆さん。アタシの力が入用かい?」
「新しい猟兵さん! 助かったぜ」
 カラス獣人達が、多喜を歓迎する。
「もう逃げるつもりかい? 『逢魔が辻』を生むのを諦めてくれるのは歓迎だけど、だからって、ここで逃げようなんて都合のいい真似はさせないよ!」
「ちッ」
 それは、舌打ちか、それともスズメの鳴き声か。
 小さく音をこぼした伏見は、再び戦闘態勢をとる。
「にしても、幻朧帝国はなんだって未覚醒の獣人ばかり狙うんだろうね?」
「それを迂闊に口走るとでも?」
 まあそうだろうねぇ、と多喜は、伏見の討伐に本腰を入れる。
「バイク乗りなら、その足を奪ってしまえばいいだけの事」
 伏見が羽ばたくと、風を呼んだ。巻き起こる疾風が、小さな身体を包む。
 その姿が、掻き消える。
「おっと」
 とっさに、バイクを始動させる多喜。歴戦の猟兵が有する、直感、という奴だ。
 どん、と大気を叩く衝撃音を置いて離れた直後、伏見が通過する。
 すると、撒き散らされた疾風が、構造物に触れた瞬間、急速に劣化していくではないか。
「ありえない劣化速度だね。絡繰りはその風か」
「その通り。私に触れればそのバイクも一瞬で鉄屑に変わる」
 バレた仕掛けなら、ペラペラと喋っていいというわけらしい。
 多喜は、周囲のカラス獣人達に離れるよう促すと、電撃を撃ち出した。
「その程度の花火で!」
 疾風で受け止め、あるいは身を捻って旋回。ほとばしる電撃をかわしながら、多喜を狙う伏見。
 突進してくる敵に対し、多喜は、真っ向勝負を挑んだ。
 愛機を球状のバリアで包むと、フルスロットル。伏見へと直進を仕掛けたのだ。
 対する伏見も、速力を緩める事はない。
 崩壊もたらす疾風と、帯電するバリアが、高速でぶつかり合う。
「……!」
 二者が交錯した後、吹き飛ばされたのは、伏見の方だった。
「これぞ肉を切らせて骨を切る、ってね」
 生じた切り傷の血を、ぴっ、と払いながら、多喜がカラス達に笑いかけた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします



「いったん、態勢を立て直さないとね……!」
 機動力を生かした猟兵との交戦から退避しようとするエージェント・伏見。
 しかしその行く手にも、カラス獣人と猟兵が待ち受けていた。
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
 礼儀正しく挨拶一つ、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)だ。
 既にその手には虎の子……イグニッションカード。
「――|起動《イグニッション》!」
 背に出現したのは、反重力発生装置内蔵大型背負子『轟蘭華』。
「おのれ猟兵。好き勝手に火力を……!」
 先ほどまでの交戦が脳裏をよぎったか、伏見が内心を素直に吐露する。
 オブリビオンとの戦闘で、猟兵が手を緩める道理はないので、影華も、全力で殲滅行動を取った。
「如何に頑健強固な兵装でも、それを扱う者の思考が正常でなければ性能を発揮できないでしょう」
 不敵にそう告げると、伏見は、竜巻をその身に纏った。影華の視界から、その姿が薄れていく。
「気を付けて、あれを喰らうと正気を奪われるんだ」
 これまでの戦いを見ていたカラス獣人が、警告を飛ばす。
「そういうことなら、この火力で制圧しましょう」
 二門の熱線銃が火を噴いた。視覚や聴覚から逃れようと、影華には、第六感がある。ある程度の位置は推測できる。
 しかし、敵もさるもの。雀の小柄と、機動力を発揮して、射線上から逃れていく。
 更に、影華の射撃の合間を縫うようにして、竜巻を射出してくる。
「そういう使い方も出来るのね、竜巻」
 思わず、感心する影華。
 敵の扱う、攻防一体のユーベルコード。しかし影華は、冷静に対処。
 銃器を高々と掲げると、弾丸ではなく……黒燐蟲を解き放った。
「ひいいっ」
 驟雨の如く降り注ぎ、この場を埋め尽くさんとする黒き蟲の大群に、カラス獣人達がおののく。
 だが、頭を翼で抱えたカラス達を、黒燐蟲達は素通りしていく。
 でたらめに飛び回っているようでいて、蟲達は、ただ標的……伏見だけへと向かっていくのだ。
 蟲達は、竜巻の気流へと飛び込むと、それをも侵食。第一陣が竜巻を破った所に、第二陣が突撃する。
「なっ、これは……」
 影華の視覚が、再び伏見の姿をしかと捉えた。
 竜巻の鎧を失った伏見は、その身を蟲に喰らわれる感覚に、身もだえするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

村崎・ゆかり
ホールに潜んでたのか。見逃したわ。
悪党はこの場で討滅してあげる。魂魄すらも残さずにね。

建物を壊さないよう気を遣う屋内戦は得意じゃないけど、対応出来るものはあるのよね。
「全力魔法」虚の「属性攻撃」「呪詛」「精神攻撃」「禁呪」で六魂幡。
広がる黒衣の内に取り込んで、魂までも消滅させてあげる。骸の海にすら行かせない。
敵のユーベルコードは「封印術」で減衰させましょう。その上で、「霊的防護」と「魔法防御」「呪詛耐性」で抵抗する。
あたしの六魂幡とあなたの竜巻、どちらが先に相手を喰らい尽くせるか、勝負よ。
カラスの人たちには、「逃亡阻止」の要領を伝えて、逃げ道を塞いでもらうわ。
さあ、大人しく消滅してちょうだい。


セレス・ホークウィンド
成程、こんな場所に。
その企みは崩させて貰おう。
この街のきらきらを守るために…カラスの皆に負けぬよう頑張らねば。

氷属性の魔力誘導弾で敵を牽制。
接近してくるようなら纏う疾風に触れぬよう大きく回避して武装の劣化をできるだけ抑える。
向こうの飛翔突撃を凌ぎつつUC起動して動きを観察、死の永劫点を見出し氷の属性を纏わせたツグルンデでその点を突く。
見切ったこの点を他の猟兵やカラス達にも伝え回復不可の致命的なダメージを重ねていこう。
小さく狙い難い、しかし多くに同時に狙われれば全てを避けきることは困難になる。
この素晴らしいカラスの街を魔都に変えさせなどしない。
さあ悪しき雀よ、滅んでしまえ。

※アドリブ絡み等お任せ



「バイクに銃火器、猟兵め、好き勝手してくれるわね! ……なっ!?」
 場所を移しつつ、交戦を続ける伏見中尉を、カラス獣人達とともに包囲したのは、セレス・ホークウィンド(白楽天・f44144)だった。
「成程、こんな場所に。だが、その企みは崩させて貰おう」
「ちっ」
 嘴を鳴らす伏見広葉。
「全く、猟兵とは神出鬼没なものね」
「その評価、そっくりお返ししよう。この街のきらきらを守るために……カラスの皆に負けぬよう私も頑張らねば」
 セレスらとともに、睨みを利かせる村崎・ゆかり(“|紫蘭《パープリッシュ・オーキッド》”/黒鴉遣い・f01658)。
 その視線の先にいるのは、小さき間者。
「ホールに潜んでたのか。見逃したわ」
 獣人とはいえ、その体格は異世界でなら普通に見かけるスズメとさして変わらない。小柄を潜入者として生かしたのは、さすがのプロフェッショナルというところか。
「けれど、悪党はこの場で討滅してあげる。魂魄すらも残さずにね」
「そうはいくものですか。任務を果たすまではこの命、捨てはしない」
「こちらも同じこと。だろう、カラス諸君」
「「カアーッ!」」
 上がる、勇ましき鳴き声。
 味方の賛同を得たセレスは、討魔の木槍を杖のように振るうと、氷の魔法弾を放った。
 威力こそユーベルコードに及ばないものの、コントロールは万全。牽制の効果は十二分だった。
 しかし、敵もさるもの。小さなスズメの躰と機動力を生かして、氷の妨害を切り抜けると、術者……セレスの元に接近を図る。
 更にその身に、疾風が纏われる。しかしそれは、加速のための加護ではない。
 風に触れた構造物が、急速に劣化・崩壊していく様を、セレスは捉えていた。
「ずいぶん物騒な竜巻だな、これは」
「身を守ろうと止められはしない! この攻撃は!」
 だが、セレスは、滅びの疾風から颯爽と逃れた。その身や武器も、触れられれば被害は免れないだろう。
「同じ鳥人だけに、こちらの手の内もある程度は想定済というわけね。だとしても、この速さからは逃れられない」
 セレスに一定の評価を与えつつ、幾度も飛翔突撃を繰り返す伏見。
 だが、セレスもただ回避にリソースを割くばかりではない。
 ユーベルコード、発動。向こうの飛翔突撃を凌ぎつつ、相手の動きを観察。
「……見えた」
 命の致命箇所、|死の永劫点《ホロウ・デス・ポイント》。見出した弱点目掛け、氷の属性を纏わせた|討魔の木槍《ツグルンデ》を繰り出す。
「!!」
 致命を突かれた伏見の飛空が、破られる。
 しかし、錐もみしつつも、地上すれすれで再上昇、ゆかりへと転身した。
「さあ、消し飛ばしてあげるわ」
 巻き起こる竜巻。ゆかりの五感のいくつかから、伏見の存在が消えていく。
 屋内であろうとも、伏見に何ら配慮はない。どうせ弾道弾で全てを破壊し、造り替えるつもりなのだから。
 竜巻が、ゆかりに迫る。背後にはカラス獣人達もいる。
 ゆえにゆかりは、封印術を駆使。更には、各種防御耐性を重ね合わせ、肉体と精神を両面からガードする。
「いつまで耐えられるものかしら」
 伏見が勝ち誇る一方、ゆかりの方は、無差別に攻撃を仕掛けるというわけにもいかない。建物はもちろん、カラス達も巻き込む事になるからだ。
 ゆかりにとって、建物を壊さないよう気を遣う屋内戦は、得意な方ではない。
 伏見がゆかりの能力を見抜いたわけではないだろうが、猟兵が周囲を巻き込む事を好まないことくらいは承知だろう。
 だとしても、ゆかりにも、対応する術はある。
「広がる黒衣の内に取り込んで、魂までも消滅させてあげる。骸の海にすら行かせない」
 呪言とともに、ゆかりが黒翼を広げた。ユーベルコード『|六魂幡《リッコンハン》』。
 全力魔法や、虚なる属性攻撃、呪詛、精神攻撃、禁呪……様々なスキルをこめた黒外套が蠢き、伏見を襲う。この範囲攻撃からは逃れられぬ。
 伏見もまた、竜巻を打ち出して対抗、二者の超常の力がぶつかり合う。
「あたしの六魂幡とあなたの竜巻、どちらが先に相手を喰らい尽くせるか、勝負よ」
「く……!」
 ゆかりの優位は、セレスが見切った死の永劫点。
 セレスはそれをカラス達にも伝え、攻撃を頼む。味方の黒翼が羽ばたくたび、敵に回復不可の致命的ダメージが重なっていく。
「小さく狙い難い、しかし多くに同時に狙われれば全てを避けきることは困難になる」
「やってくれるわね……!」
 長所を逆手に取られ、伏見もなすすべがない。セレスの作戦勝ちだ。
 ゆかり達の共闘によって、伏見はいよいよ追い込まれた。
「長期戦になればこちらが不利」
 伏見の判断は早かった。
 あっけなく、その身を翻したのだ。作戦目的は、猟兵やカラス獣人の抹殺ではない。それを見失ってはいなかった。
 だが、伏見の行く手に、黒い影が立ちはだかる。ゆかりのアドバイスで、敵の逃走経路を封じていたカラス獣人達だ。
「この素晴らしいカラスの街を魔都に変えさせなどしない。さあ悪しき雀よ、滅んでしまえ」
「さあ、大人しく消滅してちょうだい」
 セレスの槍に貫かれ、ゆかりの黒外套に呑みこまれ。
 遂に伏見は消え去ったのだった。

 きらきらが、再び溢れ出す。
 カラス達から猟兵への、感謝の雨あられだ。
「助かったよ、危ないところだった」
「けど、なんか俺達も強くなった気がする」
「次にこんな事があってもなんとかできるさ、きっとな!」
 明日へ向かう活力……新たなきらきらを得たカラス達は、内なる力の目覚めの時を迎えようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月28日


挿絵イラスト