●メガコーポからの依頼
「おはようございます、猟兵の皆さん」
グリモアベースに集まった猟兵達に、提示される一本の映像。
モニターの向こうには、どこかのオフィスで撮影された録画……そして、そこで優雅に一礼する、黒髪を2つシニョンにまとめたスーツ姿の女性。
それはサイバーザナドゥからの、依頼の証である。
「今回もはじめましての方がいらっしゃるでしょうから、自己紹介から始めましょう。私はメガコーポ、龍爪公司の|特級社員《カンパニーマン》、リー・ロンファです。皆さんへ依頼をしたく、こうして連絡を取らせて頂きました」
サイバーザナドゥを支配し、滅びへと向かわせる数多の|巨大企業群《メガコーポ》。それは、猟兵達が戦うべき敵である。
だが、そのメガコーポの一角、華僑系|複合企業《コングロマリット》である龍爪公司に所属するロンファは、猟兵の力に目を付けた。こちらに敵対メガコーポの計画情報を流し、その阻止を依頼する。それが彼女のやり方である。
長きに渡る猟兵との協力関係もあり、龍爪公司はロンファが属し猟兵との関係性を重視する『親猟兵派閥』と、逆に猟兵を積極的に排除しようとする『反猟兵派閥』の間で派閥抗争が生じる結果となった。
反猟兵派閥が強硬手段を取るようになったため、一旦は公司の本社ビルを離れて身を隠していたロンファだが、先日、猟兵の助けもあって支社ビルの一つを占拠。今はそこを拠点として活動している。
「さて、今回はこの支社ビル占拠の顛末から派生した依頼となります。ここの元支社長である、ガオ・カイルンの身柄を確保して欲しいのです」
カイルンは40代の男性|特級社員《カンパニーマン》で、反猟兵派閥に所属しつつ支社長として辣腕を振るってきた男だ。この場合の辣腕とはつまり、人々を虐げて多大な利益を上げていたと言う事になる訳だが。
だが、先日の一件で猟兵とロンファがこのビルを乗っ取ってしまった事で、失脚。今は制裁を恐れて|最下層街《ダストエリア》に逃げ込み、行方を眩ませていた。
「このカイルンの居場所が、判明しました。いえ、正確には、『反猟兵派閥がカイルンを見つけたと言う情報を入手した』と言う方が正しいですが」
反猟兵派閥はカイルンに対し、制裁兼口封じとして刺客を送り込んだようだ。まあ元支社長ともなれば社外に漏れてはならない情報を多く持っているため、放置されないのは当然だろう。
「それを横から掻っ攫い、カイルンを確保して情報を引き出してしまおう、と言うのが今回の依頼となります。反猟兵派閥の非人道的な行いの情報を引き出せるのなら、あなた方にとっても悪い事ではないでしょう?」
もちろんロンファにはロンファの思惑もあるだろうから、完全に信頼するのは危険かもしれない。とはいえ、このまま反猟兵派閥の思惑通りにカイルンが『処理』されてしまえば、猟兵達に何の利益もないのは確かである。
「加えて反猟兵派閥は、『処理』のために手段を選ぶ事はないでしょう。目的のダストエリア付近に、新型爆弾が持ち込まれたと言う情報もあります」
どうやら反猟兵派閥は、カイルンごとダストエリアを吹き飛ばす心積もりのようだ。もちろんそうなれば、そこに住む無関係な人々も一緒に吹き飛ばされる事になる。それを看過する訳にはいかないだろう。
「皆さんにはまずこの爆弾を処理し、カイルンの身柄を確保して、こちらに連れて来て欲しいのです。もちろん報酬はお支払いしますし、カイルンが得た情報については皆さんに共有しましょう」
もちろん全ての情報を無警戒に共有してくれる、などと言う事はないだろうが。とはいえ今までの事を思えば、ロンファにとって問題のない情報なら積極的に開示してくれはするだろう。
「報酬に関しては、カイルンの身柄を確認次第振り込ませて頂きます。いつも通り、物理報酬が良ければおっしゃってくだされば、そちらを用意させて頂きますので」
そう言ってロンファは、画面のこちらの猟兵達を見回す。完璧な営業スマイルで、通信の最後を締めくくった。
「今回も報酬は弾ませて頂きますので。皆さんの活躍を期待しています」
●くるるからの補足
「と、言う訳で。これが今回の依頼になる訳だけども。今回も、彼女からの依頼におおよそ嘘はない事は、グリモアの予知で保証するよ」
そうして消えたモニターから視線を移し。くるるは猟兵達にそう告げた。そこから依頼の補足説明に入っていく。
「ロンファの推測通り、反猟兵派閥はダストエリアで爆弾テロを起こそうとしている。まずは、この爆弾を無力化して欲しい」
爆弾はダストエリア全体にいくつも設置されつつある。1つでも爆発すれば、少なからず被害を及ぼす事だろう。
「爆弾は新型で、探知妨害機能がついている。ユーベルコードやアイテムなんかで場所を探ろうとしても、距離があると無効化されちゃうみたいだね」
逆に言えば、近くに行けば探知も有効と言う事になる。爆弾は物理的にも隠されている可能性が高いので、それを見つけるには有効だろう。
「爆弾を全て解除すれば、相手は強硬手段に出てくる。『掃除屋』達が、カイルンを殺害するために直接乗り込んでくるよ」
これを倒してカイルンを守り切る事ができれば、身柄の確保を試みる事ができる。
「で、カイルンに対してどういう扱いをするかは、キミ達に任せるよ」
ロンファの依頼通りに引き渡しても良いし、引き渡さずこちらで確保したり、殺害してしまったり、そもそも守らず掃除屋に殺させてしまっても良い。
もちろんそれらの行動の前に、予め情報を抜いておくのも自由だ。引き渡す際に、何らかの条件をつけても良い。
「当然、無条件で引き渡せばロンファの好感度や信頼度は上がるし、引き渡しを拒否すれば下がる。中間ならまあ、それ相応にって所だね。どの選択にもそれなりにメリットがあると思うよ」
ただカイルンはカンパニーマンとして以前は支社長を務めていた人物だけあってそれなりの実力者ではあり、脅迫やユーベルコードなどで完全に思い通りに言う事を聞かせる、と言うのは難しいかもしれない。
さらに失脚が猟兵のせいであるため恨みも抱いているが、一方で落ちぶれてしまっているので、立場的にはこちらが有利でもある。
「あとそれとは関係なく、ダストエリアを守れば人々に感謝されて、食事をおごってくれるよ」
カイルンの処遇に興味がないなら、単に屋台の食事を楽しむだけでも良いだろう。まあダストエリアの屋台なので、質は相応だが。
「ま、どんな方針を取るにせよ、キミ達の判断ならそう間違いにはならないと思ってる。いろいろと、思うようにやってみて欲しい」
そう補足したくるるは、わざとらしい可愛らしくポーズを取って猟兵達を見渡す。
「それじゃあ、良い知らせを待ってるよ!」
一二三四五六
ちょっと間が空きましたすみません。
ごきげんよう。5ヶ月ぶりの龍爪公司。一二三四五六です。
龍爪公司は華僑系の|複合企業《コングロマリット》で、社内は『猟兵と友好関係を結んだ方が安全に利益を確保できる』と言う親猟兵派閥、『猟兵なんか邪魔だからぶっ飛ばした方が利益を得られる』と言う反猟兵派閥に分かれています。
これまで猟兵達は親猟兵派閥のロンファ(https://tw6.jp/gallery/?id=160703)からいくつかの依頼を請け負い、信頼関係を築いて来ました。優秀な社員は随時募集しておりますので、カンパニーマンの方は『自分は龍爪公司・親猟兵派閥の社員だ』と主張しても構いません。ご自由にどうぞ。とはいえメガコーポである以上、完全に猟兵の味方と言う訳ではないでしょう。
一方で、反猟兵派閥には大変恨まれております。
過去の関連依頼はタグからどうぞ。もちろん、今回の依頼に参加する上で、把握している必要は一切ありません。次は、もうちょっと間をおかずに関連依頼を出したい。
今回は、ダストエリアで爆弾テロを阻止しつつ、失脚した元支社長の身柄確保となります。元支社長、ガオ・カイルンをどのように扱うかは、プレイングを見て総合的に判断します。
なお、カイルンは一般的なボス敵よりは落ちるが集団敵よりは上、ぐらいの能力を持っています(本調子ならむしろ平均以上ですが、公司のバックアップを失った事とダストエリアでの生活による疲労で能力が落ちています)。敵対したりユーベルコードで操ろうとする際は、侮らずに当たりましょう。
とかそういう諸々に興味なければ、第三章では屋台でなんか食べててもいいです。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
第1章 冒険
『爆弾テロを阻止せよ』
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POW : 足を使ってしらみつぶしに爆弾を探す
SPD : 作戦を立てて爆弾を探す
WIZ : 一般市民たちの混乱を抑え、避難させる
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
いやーロンファさんもお元気そうでなによりだよ
って、そんな軽口を叩いてる自体じゃなさそうだね
今回もきっちりしっかりご依頼をこなしちゃおっか
とはいってもあたしは探知能力とかあるわけじゃないから、人への聞き込みで探っていこうか
【ミラード・クローゼット】で情報を得やすそうな格好になっていけばよいかな
爆弾をセットした人が人払いをしてればそれが情報だろうし、人払いをしてなければ不審な人物を見かけてるだろうし、そういうのを調べていこう
「いやーロンファさんもお元気そうでなによりだよ」
久しぶりのロンファからの依頼だと、楽しげにそんな声を上げ……そしてすぐに表情を引き締める、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)。
何しろ、ダストエリアごと吹き飛ばさんとする爆弾テロだ。軽口を叩けるような事態ではない。
「今回もきっちりしっかりご依頼をこなしちゃおっか。とはいえ、便利な探知能力とかはないんだよね」
どうやって爆弾を探そうかと、少し首を傾げて考え込むサエ。爆弾は急に生み出された訳ではないのだから、設置した瞬間が目撃されている可能性は高いだろう。
「となると……やっぱり地道に聞き込みかな?」
その方針を固めた彼女はユーベルコードを発動し、ダストエリアに相応しい服に着替えていく。『よそ者』然としているより、場に適応した姿の方が情報は集まりやすい。彼女にとっては、いつものやり方だ。
「こんな感じ、かな? ちょっと大胆?」
何しろまあ最下層民の着る服と言えば、ボロ布よりは少しマシ、と言うような物ばかりだ。薄かったり穴が空いたりしているそれをサエが着るのは、なんとも煽情的である。
「ま、都合が良いっちゃ良いかな? それじゃあお兄さん、ちょっと話を聞かせてよ」
「ん? お、おぉ……」
その格好で話しかければ、色仕掛けとしては実に効果的だ。男を選べば鼻の下を伸ばして、何でもペラペラ話してくれる。
そうして聞き出した情報を分析し、爆弾らしいものの目撃証言を集めていくサエ。
「で、さ、この後俺と……」
「あ、ごめん、今ちょっと用事があって急いでるから!」
まあその後を求められても時間がないので、生殺し感はあったりするが。そこはまあ、我慢してもらう事にする。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
『龍爪公司の機密情報を手土産に、他のメガコーポに保護を求めなかった』のは、何か理由が?
『探知妨害』は厄介ですが、やってみますぅ。
【征境】を発動し『領域』を形成、内部の情報を把握出来る状態にするとともに、『FPS』の探査能力を『領域自体の情報確認』に用いましょう。
『隠蔽』ではなく『妨害』であれば、『此方の捜索系能力への干渉』が行われている状態になりますから、『FPS』で『|領域への干渉の有無《爆弾は捜索対象外》』を調べれば『干渉を受けている場所の近くに爆弾が有る可能性が高い』と推測出来ますので、『近づけば探査可能』との情報も併せて、その周囲を念入りに調べて解除しますねぇ。
「機密情報を手土産に他のメガコーポに保護を求めなかったのは、何か理由が?」
そんな疑問を口にして、首を傾げる夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。まあその理由は、本人に聞けば分かるだろう。もちろん正直に話してくれるとは限らないが。「ともあれ、早速探索を始めましょう。ですが、『探知妨害』は厄介ですねぇ」
隠蔽ではなく妨害であるなら、その『捜索系能力への干渉』自体を探知出来れば……と考えたが、流石にそう上手くはいかないか。と言うかそれが簡単に探知出来てしまうようなら妨害の意味が全くなく、もはや設計ミスであろう。
「探知結果を『爆弾がない』に強制的に書き換えられている、とかですかねぇ」
まあそうだとしても情報によれば、近づけば妨害が弱まるとの事だ。実際、領域を展開したままダストエリアを歩けば、程なくして領域内に情報が流れ込んでくる。
「なるほど、確かに近くにいくと探知出来ますねぇ」
妨害を突破して領域の感覚器官を伸ばした先は、一見すればただのドラム缶。だがその中を探査していけば、中に爆弾が隠されているのが分かる。
さらに感覚器官を集中し、内部構造をしっかりと確かめて。
「これなら、解体できそうですねぇ」
その部品の一つ一つに領域の力を行き渡らせると、爆弾としての機能を失わせていく。あとは安全に火薬だけを取り出し、回収して。
「こんな感じでいけそうですねぇ」
次の爆弾を探すため、ダストエリアの探索を続けていく。
大成功
🔵🔵🔵
賤木・下臈
メガコーポの内訌に興味はありませんが、爆弾テロは断固阻止します。人を傷つける爆発は私の主義に反しますので。しかし、いくら私でも直感で爆弾を探し当てることはできません。ではこうしましょう。
「ギリシア神話に曰く、ナルキッソスは泉に映る己に恋焦がれて死んで水仙を残した。後日あやしき下臈が泉を訪れ、己を見て『|下臈《げろ》いな』と呟いて去りドクダミを残したが、侵略的外来種として直ちに駆除された」
ドクダミが生えてきました。これは爆弾の放つ化学物質に反応し、数分で赤く変色します。ちなみに変色は早くないですが、こういう植物は実在します。遠くの爆弾は感知できないので、一日中歩きまわり、爆弾を探します。
「メガコーポの内訌に興味はありませんが、爆弾テロは断固阻止です」
『|下臈《げろ》さ』と言う独自の価値観を持つ賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)にとって、爆発とは自己表現の手段である。
その手段で他人を傷つける事を、彼は決してよしとしない。歌人の主義として、今回のメガコーポの蛮行を許す訳にはいかない。
「……しかしいくら私でも、直感で爆弾を探し当てる事は出来ませんのでな」
爆発に造詣が深い事と爆弾を探知出来る事は、全く別の話。ゆえに探索の手段はあらかじめ用意しており……そのトリガーとなるのは、|詩《うた》である。
「ギリシア神話に曰く、ナルキッソスは泉に映る己に恋焦がれて死んで水仙を残した。後日あやしき下臈が泉を訪れ、己を見て『下臈いな』と呟いて去りドクダミを残したが、侵略的外来種として直ちに駆除された」
その歌い上げは歌人として、実に堂に入っている。にも関わらずその内容は、何か根本的におかしい……いや、下臈いと言うべきなのだろう。
あまりの下臈さに、近くにいたダストエリアの住民がいったい何事かと、ぽかんと口を開けている。だが彼らが驚くのはこれからだ。
「な、なんだぁ!?」
周囲に突如として生い茂るのは、大量のドクダミだ。緑が地面を埋め尽くす様に、驚愕を露わにする住民。
そんな中で下臈だけは、冷静にそれを観察し……その緑の中で、赤く変色している一箇所へと向かう。
「ふむ、これですか」
このドクダミは、爆弾の化学物質に反応して変色するように育てられているのだ。赤の中心にあった金属の箱を拾い上げれば、不自然に密閉されている。これが爆弾で、間違いない。
「まずは一つ、ですね。ですが先は長い」
一つは回収出来たが、近くの爆弾しか探せない以上、後は足での勝負だ。早速、次の探索場所に向かう下臈。
そして突然歌って突然草を生やした変なじじいは、しばらくダストエリア住民の話の種になったとかならなかったとか。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
まあ思惑は色々あるけど取り合えず…爆弾テロは阻止しないとだね…
…探知UCは近距離なら通じるというなら……これで行こうか
【輝ける真実の光】を発動…隠されてる物が光るようにしようか…
…後は地道に光るところが無いか探していけば物理的に隠されても簡単に見つけることが可能…と
…爆弾を見つけたら電子型解析眼鏡【アルゴスの眼】のセンサを駆使して構造と威力を解析…
重奏強化術式【エコー】で爆発の威力に耐えるようになるまで強度を上げた障壁で爆弾を囲った上で術式で遠隔爆破して処理してしまおう…
それにしてもひと1人のためにここら一帯爆破は雑にも程があるね…それだけ重要な情報を握ってるのかな…
「まあ思惑は色々あるけど、とりあえず……爆弾テロは阻止しないとだね……」
メガコーポの対立云々よりも、まずは目の前の人命から。ユーベルコードを発動し、周囲に光の粒を撒き散らしていくメンカル・プルモーサ(星導の魔女・f08301)。
「探知は近距離なら通じるというから……これで行けるはず……」
その言葉の通り、光は一箇所に集まっていく。この粒は、隠蔽されたものに纏わり付く性質を持つ――メンカルの好奇心と知識欲を具現化したような物質だ。
設置された爆弾などと言うものは当然、暴き立てる対象に入る。瓦礫の山に隠されていた箱を、まずは人気のない所に運んでいって。
「さて……次は……」
その後は眼鏡の解析装置をオンにすると、箱にセンサーを走らせていく。やはりその箱は爆弾で……爆発すれば、その規模はかなり大きそうだ。何しろこれ1つではないとはいえ、ダストエリアごと標的を吹き飛ばそうと言うのだし。
「それにしても、ひと1人のためにここら一帯爆破は雑にも程があるね……」
使われている火薬の量に少し呆れた声を上げながら、爆弾を障壁術式で覆っていく。想定する爆発に対してなんとも心許ない障壁だが……何枚も重ねていけば、話は別。
しっかりと時間をかけ、十を超える多重発動によって、より強固な障壁を作り出す。隙間なくしっかり覆い尽くした事を確認すると、念の為しっかりと距離を取って。
「……着火」
そうして遠隔から爆破術式を爆弾にぶつければ、火薬に誘爆し、凄まじい爆発を巻き起こした。何枚もの障壁術式が一気に打ち砕かれていくが……時間をかけただけあって、全てが砕かれる事はない。
全ての爆発は、障壁の中に収まっていく。
「よし……成功だね……」
爆弾などと言うものは所詮使い捨て、爆発させてしまえば無力化出来るものだ。次の爆弾も同じ手で処理すべく、探索を再開していく。
大成功
🔵🔵🔵
ロジャー・カニンガム
ふむ、探知が困難な爆弾とは厄介ですね…
しかし人ひとりを確実に始末するのに手当たりに爆破するのではあまりに非効率です
龍爪広司側がどこまで当該人物の動向を掴んでいるかは不明ですが、ことダストエリアにおいて、食事や睡眠など生命活動を維持するにあたって不可欠な行為が比較的安全に行える場所は限られています
或いは構造的に破壊されれば大崩落が起こるポイントもあるでしょう
発案者が単に悪趣味な花火ショーを計画したのでなければ、上記のような地点を選んで爆弾を配置しているはずです
そこを重点的に捜索してみましょう
爆弾はその場で解除が困難なようなら一旦頭脳戦車キャリアーに載せ、安全な場所に輸送した上で処理します
「ふむ、探知が困難な爆弾とは厄介ですね……ですが」
ダストエリアを探索しつつ、探索方法を思案するロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)。
「人ひとりを確実に始末するのに手当たり次第に爆破するのでは、あまりに非効率です」
営利企業であるメガコーポが、果たしてそのような非効率をするだろうか。予算を惜しんで成功率を下げる事はしなくとも、同じ成功率なら効率の良い方を選ぶのが道理。
そう考えればある程度、爆弾の設置場所の候補は絞り込める。
「例えば、生命活動を維持するにあたって不可欠な行為が、比較的安全に行える場所」
ダストエリアにおいて、そういった場所は限られる。標的であるカイルンも利用している可能性は高く、ゆえに狙われる可能性も高い。
「あるいは、構造的に破壊されれば大崩落が起こるポイントもあるでしょう」
何しろ、ダストエリアにまともな建設計画などない。最小限の爆弾で最大限の破壊を求めるなら、その場所はある程度限られる。
カツラギ・アーマメンツ社の誇る彼の高性能AIは、相手の心理も計算に入れて爆弾の隠し場所を予測する。
「……ぬぉ、なんだおいっ!?」
「失礼します」
鉄くず山近くに構えられた屋台に立ち寄ると、店主が驚きの声を上げる。だがロジャーはそれを気にせず、周囲をぐるりと見回して。
「こちらのドラム缶はいつからここに?」
「あぁん? ……あー、覚えてねぇが、前から有ったって訳じゃねぇな」
そして質問の回答に頷いた彼は、そのドラム缶をキャリアーに積み込んだ。解除は後回し、まずは全て回収してから安全な場所で処理すればいいだろう。
「ご協力ありがとうございます。」
「ん、ああ。なんだったんだ、いったい……」
首をひねる店主を置いて、次の候補地へと向かっていく。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『メガコーポの『掃除屋』』
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POW : 『掃除屋』の確殺術
【指に格納したフィンガー・ビームウィップ 】で装甲を破り、【濃密なサイキックエナジー】でダウンさせ、【ツインブレード】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
SPD : エメラルド・カリギュラ
戦場内に【翠の稲妻の鎖 】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
WIZ : エメラルド・ウォッシュブレイン
【翠のサイキックエナジー 】を放ちダメージを与える。命中すると【ドレインエネルギー】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
万・梦猫
UC【液晶変面】を使い、戦いに巻き込まれたダストエリア住人の顔と戦ってる『掃除屋』の顔、誰でもない猟兵の顔。3つの顔を切り替え錯乱させながらカイルンの元へ、可能そうなら道中で『掃除屋』に不意打ちを入れます。
カイルンに近づけたら梦猫の顔に戻って挨拶します。
という訳でお久しぶりですカイルン様♡
ロンファ様からの命令でお迎えにあがりました。公司のためにもこちらについてきてもらいますね。
カイルンからの攻撃があればある程度は捌きつつも受け入れます。可能なら逃がさないよう密着。カイルンを『掃除屋』の攻撃から守れるよう盾として立ち回ります。
それはそれとして余裕があれば他猟兵の皆様を応援してます♡
※アレンジ歓迎
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
一応は発見、ですかねぇ?
『FAS』で飛行し『FMS』のバリアでカイルン氏を保護、『FLS』の空間歪曲障壁を展開しまして。
『FPS』で対象の『サイキック』の性質に有った『属性』を探知、該当属性を指定し【暜噄】を発動しますねぇ。
『ビームウィップ』は『科学属性』の産物、手前二つを『吸収』し封じてしまえば、『バリアの貫通』が難しい故に【確殺】を抑えられますぅ。
元々カイルン氏は優秀な方、『ブレード』だけなら仮に通っても防げるでしょう。
後は『万象吸収の波動』の[範囲攻撃]に『FRS』『FSS』の[砲撃]での[追撃]を重ね、着実に叩きますねぇ。
緊急時は一応、『FQS』の治療も視野に。
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
問題の掃除屋が現れたみたいだね
特にカイルンを守る義理もないんだけど、ロンファさんへの顔立ての為に今は守ってあげよっか
っていう事情を黙っておいたら、守る代わりに情報が貰えるみたいな約束に乗ってくれたりとかしないかな、とかも考えてみたりして
連続攻撃の確殺術は確かにやっかいだけど、トドメをツインブレードで行うって分かっているなら対策はあるよね
ってことで【狐の罠糸】を利用して【ストリップ・ストリングス】でツインブレードを奪っちゃおっかな
決め手が無くなった相手に【ファング・フォー・ファング】で武装したこっち、もう勝負はついたも同然だよね♪
ロジャー・カニンガム
ああ掃除屋=サン、こんな所までご苦労様です。
実はちょうどこの辺りに誰かが爆発物を置き忘れていくものですから、処理し終えた所で――
おっと!いくらダストエリアに来ているからと言って私まで|ダスト《ごみ》扱いとは心外ですね!
応戦すべく[砲撃]を行いますが、砲弾は明後日の方向に飛んでいきます
[情報収集]と[瞬間思考力]によって導き出した、敵の視界や行動を効果的に阻害できる場所に瓦礫を落とすべくあえて[地形破壊]を行ったのです
さらに[音響弾]によって音による探知能力も奪った上で、懐に飛び込みUCで切り裂いてやりましょう
ああ!申し訳ありません…びっくりしてつい散らかしてしまいました!
「爆発しない……? 何かあったのか?」
「大きな問題はない。プランBに移行する」
予定時刻を過ぎても、ダストエリアで爆発が生じる事はない。『掃除屋』達は怪訝そうな表情を浮かべるも、すぐに作戦を変更する。
その作戦とはすなわち、『掃除屋』自身による直接処理。ダストエリアに侵入した彼女達は、予め掴んでいた標的の居場所に向けて移動する。
向かった先はダストエリアの一角。薄いシートの上に座るその男は、髪も髭もボサボサで、薄汚れたボロ布を纏ったみすぼらしい姿。
だが、彼は掃除屋の姿を見れば舌打ち一つ、背後のゴミ山に隠した拳銃を取り出した。
「ちっ……メイランめ、流石に放っておいてはくれんかっ……!」
今の今までみすぼらしく窶れた典型的な最下層民と見えたその男は、瞳に強い光を取り戻し、掃除屋達を睨みつける。汚れた姿なのは変わらないままに、明らかに『只者ではない』と思わせる毅然とした立ち姿。
彼こそが今回の目的である龍爪公司の元特級社員、ガオ・カイルンに他ならない。
「標的を発見、処理を行う」
「ふん、そう簡単に処理されて堪るものかっ!」
こちらを取り囲む掃除屋を遠ざけようと、狙いもそこそこに銃弾を連射するカイルン。その動きには確かな実力を感じさせる。本来ならば、掃除屋達をまとめて片付ける事も容易なはずだ。
だが、流石に長いダストエリアでの潜伏期間による疲労は、彼の身体を大きく蝕んでいる。加えて企業からの支援も補給もなく逃げ出したままの装備となると、この数の差を覆す事は不可能だ。
「ちっ、この俺が、こんな連中にっ……がぁっ!?」
掃除屋が指から放つビームウィップが、カイルンの身体を痺れさせる。膝をついて動けない彼へと、トドメのブレードが振り下ろされて。
……だがそのブレードが、カイルンに届く事はない。展開された円盤から発生するバリアが、掃除屋から彼の肉体を保護する。
「イレギュラー発生、原因究明を最優先」
「っ、なんだっ……!?」
驚きに目を見開きながらも、慌てて周囲の様子を伺うカイルン。果たして彼が目撃したのは、オーラの翼を広げて飛翔する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
猟兵達が戦闘の騒ぎを聞きつけ、集まってきたのだ。
「一応は発見、ですかねぇ?」
「猟兵だと……!?」
カイルンが驚きを滲ませる一方で、掃除屋はこれも想定内だったか。まずは厄介なこちらからとばかり、動じる事なくサイキックエナジーを放ってくる。
「任務の障害となる者を排除する」
「排除される訳にはいきませんねぇ」
だが、るこるはそのエナジーを障壁で受け止めつつ、すぐに解析にかけていく。このサイバーザナドゥにおいては、サイキックは違法薬物の産物……強制的に脳の使われない部分を刺激し、それによって放たれる拡張脳波だ。
その内容を解析し終えると同時に、女神へ加護を祈っていく。
「あなた方の攻撃は、これでもう通用しませんのでぇ」
「っ……!」
指定した属性を吸収し己の力へと変える、収穫の加護。相手が強力なオブリビオンなら吸収しきれない事もありえるが、掃除屋のサイキック程度なら問題にはならない。
そのまま掃除屋の存在を吸収し動きを鈍らせつつ、砲撃を加えてトドメを刺していく。
「掃除屋と猟兵どもが……何故戦っている? 俺を守ろうとしているのか?」
(「うーん、理由を黙っておいたら、こっちの約束に乗ってくれたりとかしないかな」)
事態を把握出来ずに混乱を滲ませるカイルンを見ながら、首を傾げるサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)。
まあ流石にそれは都合が良すぎるかなぁと考え込んでいると、その隙を突くかのように掃除屋が迫る。斬り掛かってくる相手に対して、だが彼女は未だ構える事なく――。
「っ……!?」
「っと。そっちの攻撃は厄介だけど、武器を奪っちゃえば勝負はついたも同然だよね♪」
しかし彼女の周囲に張り巡らされていた不可視のワイヤーが、相手の身体を絡め取り、そのブレードを奪い取っていく。
「って事で、使わせてもらうから♪」
「がっ……!!」
奪ったブレードはそのままこちらが手にして、ワイヤーに動きを封じられた相手の身体を深く斬り裂いていく。それを見た他の掃除屋は、ワイヤーを警戒してサエから遠ざかろうとして。
そしてそのうちの一人の胸元から、別のブレードが生える。
「がはっ……」
「はい、失礼しますね♪」
もちろん、そんな機能が彼女達にある訳ではない。それは別の掃除屋が、仲間の心臓を後ろから貫いた事によるものである。
そして掃除屋が同士討ちする理由がないのも、当然の事。ブレードの血を払った彼女はおもむろに仮面を外し――そしてカイルンへと微笑みかける。
「という訳でお久しぶりです、カイルン様♪」
「貴様は……ネコ、か? ちっ、ヤツの差し金かっ」
その正体は、万・梦猫(龍爪公司の『ネコ』・f41478)。今までの姿は、ユーベルコードの仮面による変装だ。ダストエリアの民間人になりすまして潜伏し、戦闘が始まった所で機を見て掃除屋に成り代わり、奇襲を成功させたのである。
そしてロンファの元で動く公司の特級社員である彼女の事は、カイルンも知っている。その顔を見た時点で、今回の状況のからくりを掴んだのだろう。舌打ち一つ、こちらを睨みつけて来た。
「はい、お迎えに上がりました♪ 公司のためにもこちらについてきてもらいますね」
「ちっ、どの口で……! 誰のせいでこんな所にいると思っている!」
相手の言う事情を完全に理解した上で、いけしゃあしゃあと悪びれない梦猫。カイルンはそれを睨みつけ、銃口を向けて来る――が、こちらに斬り掛かってくる掃除屋に気づいて、やむを得ずそちらに銃口を移す。
「そうそう、今は争っている場合ではありません。賢いカイルン様ならお分かりかと♪」
「まあロンファさんへの顔立ての為にやってるだけで、守る義理はないからねぇ」
梦猫が満面の営業スマイルで微笑みかければ、サエも隠す意味がないならとはっきり口にする。カイルンも、メガコーポの支社長にまで昇り詰めた身。現状を理解できない男ではない。
「ちっ……好きにしろ……!」
「うん、それじゃあまあ詳しい話は後にして、さっさと片付けちゃおうか」
頷いたサエはさらにワイヤーを張り巡らせ、梦猫もカイルンの直衛に入る。完全に標的が守られたと理解した掃除屋は、一旦間合いを取ってこちらの様子を伺い。
「ああ掃除屋=サン、こんな所までご苦労様です」
「っ……!?」
そんな彼女達の後ろを、ロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)が通りかかる。突然現れた頭脳戦車に警戒を向けてくる彼女達に対し、まるで世間話をするような空気で語りかけて。
「実はちょうど、この辺りに誰かが爆発物を置き忘れていくものですから――おっと!」
爆弾を処理したのは自分だと告げれば、当然掃除屋から返ってくるのは攻撃だ。放たれるビームウィップを後退して回避しつつ、怒ったような声を発して。
「いくらダストエリアに来ているからと言って、私まで|ダスト《ごみ》扱いとは心外ですね!」
「……排除する」
まるで事態を理解していないかのような抗議と、見当外れの方向への砲撃。状況に合わない言動を見せるロジャーに対し、掃除屋は苛立ちを露わに斬り掛かってくる。
だが、その斬撃が、こちらに届く事はない。突然横合いから崩れ落ちた瓦礫の雪崩が、相手を呑み込んだからだ。
「!??」
「ああ! 申し訳ありません……びっくりしてつい散らかしてしまいました!」
言いつつ内蔵していたフォトンセイバーで、相手の首を斬り捨てる。まるで空気を読めない素振りとは裏腹に、的確に掃除屋を排除するロジャー。
先ほど外した砲撃も当然、計算しての事。あそこに撃ち込めば崩れた瓦礫が相手を呑み込むと、予めシミュレーションしての行動だ。
「敵と認定、排除に――がっ」
「もう遅いんじゃないでしょうかぁ」
ロジャーに対して強い警戒を向ける掃除屋だが、もちろんそちらに意識を取られた隙を他の猟兵が見逃すはずもない。
危なげない戦闘で、カイルンを傷つけさせる事なく全ての掃除屋を掃討していく。
大成功
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第3章 日常
『サイバネご飯』
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POW : 材料がよく分からない串焼きを食する
SPD : 二つで充分らしいヌードルを食する
WIZ : スシと呼ばれるスシのような何かを食する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ちっ、よもや猟兵に救われるとはな……だが感謝はせんぞ」
全ての掃除屋を倒した後、カイルンは猟兵達を睨みつけて来る。守ってやったのは確かだが、そもそも彼が掃除屋に狙われる事自体が猟兵達のせいなので、そう言われるのも仕方のない所ではある。
いわば盛大なマッチポンプではある。もちろん、猟兵が意図した事ではないが――強いて言えば、ロンファの思惑によるものだ。
まあそうは言っても、立場的にはこちらが上。もし猟兵達がここでカイルンに戦闘を挑めば、危なげなく殺せる状況にある。相手もそれを分かっているのか、すぐに攻撃してくる事はなく――。
「おぉ、あんたら。なんだか知らんが感謝するぜ!」
「……!?」
そしてそんな猟兵とカイルンの緊張などまるで意に介さず、横から中年の男が声をかけてくる。どうやら、ダストエリアの住民――この近くで屋台を引いている店主らしい。
「メガコーポの連中と来たら、俺達の事をなんとも思ってやがらねぇ。そんな奴らが痛い目見る姿はスカッとしたぜ!」
「…………」
店主は、掃除屋達がメガコーポの尖兵で猟兵達やカイルンはそれを倒してくれた、と考えているようだ。店主以外の周囲の住民達も、おおむね同じ認識のようである。
半分は見当外れだが、半分はまあ、当たっている。猟兵達が来なければ、この辺り一帯爆弾で吹き飛んでいただろうと言うのは事実だ。
「大した礼は出来ないが……良かったら食ってってくれよ! もちろんタダでいいぜ!」
厳しい最下層の環境に有りながら、彼らは朗らかに好意を向けてくる。この誘いを断るのは、逆に失礼かもしれない。
「いや、俺は……む」
「なんだ、腹減ってんのか? なぁに、遠慮すんな!」
そもそも掃除屋が来る原因を作ったカイルンは、流石に気が引けたようだが……その腹から音が鳴り響くと、店主に強引に屋台へ連れられていく。
まあ敵対する空気ではなくなった事だし、今なら話を聞いてくれそうではある。カイルンとの会話に特に興味がないなら、普通に屋台で食事をするのが良いだろう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
まあ、お互いに事情は有りますからねぇ。
私基準でしっかり頂いてしまうわけには参りませんので、串焼き等を幾つか頂くことにしまして。
折角ですし、カイルンさんにお聞きしたいことが。
最初からの疑問ですが、何故『龍爪公司の機密情報を手土産に、他のメガコーポに保護を求めなかった』のです?
考えられる理由は幾つか有りますが。
その上で『FPS』で会話を記録、此方が『ロンファさんとの会話と、サイト等で確認出来る知識しかない』ことを踏まえ、『龍爪公司についての基本的な情報』を含めた、『彼の視点で話して問題無い情報』をご教授願いますねぇ。
『引き渡し』までが契約ですから、きちんと執行したいですが。
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
うーん、今のままカイルンを引き渡してもいいんだろうけど、せっかく態度が軟化しているなら、そこをもっと突いていい感じにしておけないかな♪
てなわけで、カイルンにお酌でもしちゃおうか
元々反猟兵派閥だったわけだけどー、なんで反猟兵だったの~?
へぇ~、それって勘違いだよお、猟兵は公社の得になる存在だよ?
なーんて、食事の席で誘惑して【そこに心があるならば】を仕掛けて、猟兵友好派閥に本気で鞍替えでもしちゃいそうな感じに持ってけないかな
ま、少しでも心を揺らしておけば引き渡した後が楽になるだろうし、お礼もロンファさんに弾んでもらえるよね♪
万・梦猫
ご無事でよかったです、カイルン様♡
お食事ご一緒させてもらいますね。
お店の中ですし、メガコーポ社員としてのお話は小声で。
もしも店員に聞かれて面倒事になりそうな時は梦猫の魅力で有耶無耶にしましょう。
さて、これからどうされます?
これまでの件で猟兵の有用さはしっかりご理解いただけたでしょう。
ロンファ様に必要な情報を全て自分から話してもらえれば、また公司で働く事ができるかもしれませんよ。
一度は支社長まで上り詰めたカイルン様の実力がまた公司の為になることを期待しています♡
復帰に関して梦猫が勝手に言ってるのは言わなくてもバレると思いますがカイルン様の出方次第では協力を。
素体の影響で他猟兵に合わせることは可能
「ご無事でよかったです、カイルン様♪ お食事ご一緒させてもらいますね」
「……ちっ」
満開の営業スマイルを向ける万・梦猫(龍爪公司の『ネコ』・f41478)に、苛立ちを露わにするカイルン。
だがダストエリアの生活では、満足な食事も取れていなかったのだろう。しばし逡巡しつつも、苛立ちより空腹の解消を優先する。
「それでは、私も頂きましょうかぁ。串焼きを何本かいただけますかぁ?」
「あいよ、遠慮せずたんと上がりな!」
その食事に付き合うべく、注文する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。まあるこる基準で『遠慮せずに』食べるとダストエリアの食料を全部喰らい尽くすので、当然加減はするが。
実際の所、串焼きと言っても当然合成肉、それも最低品質の廃棄品レベルで、それを無理やりソースで誤魔化しているので無駄に味が濃い。他の食事を知る猟兵達にとっては大分苦しい味だが……これでもダストエリアでは貴重な栄養源であり、そして空腹を満たすための糧である。
上層の食事に慣れているであろうカイルンも、憮然としつつ文句も言わずに喰らっている辺りからも、このダストエリアの食糧事情は伺えると言うものだ。
(「うーん、今のまま引き渡してもいいんだろうけど」)
そんなカイルンの様子を見ながら思案する、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)。公司内の事情云々はともかく、ロンファに対しては個人的に好感もある。
ここで上手く態度を軟化させられれば、あとで『お礼』も弾んで貰えるだろう……そんな感情と打算から、カイルンの横に座っていく。
「さ、一杯どうですか~?」
「……なんだ、ハニートラップのつもりか?」
これみよがしの誘惑に対して、ジロリと睨みつけてくるカイルン。メガコーポの元支社長、元は強力なオブリビオンだけあって、誘惑への耐性は強いらしい。
だがサエの方も気にせず胸を押し付け、合成酒をコップに継いでいく。これも酔えれば良いと言うような、アルコールの味しかしない液体だが。
無理やりロンファに引き渡しても良いのだから、誘惑しても損などない。たとえ効果が薄かろうとも、試みるだけ得と言うものだ。
「元々反猟兵派閥だったわけだけどー、なんで反猟兵だったの~?」
「お前達は公司に害を為す。猟兵に潰された案件がどれだけあると思っている?」
サエの問いかけに対して、敵意を滲ませ睨みつけてくる。実際ガイルンは猟兵のせいで支社ビルを奪われ失脚したのだから、反猟兵から転向する理由などあろうはずもない。
「へぇ~、それって勘違いだよお、猟兵は公司の得になる存在だよ?」
「そうですよ、これまでの件で猟兵の有用さはしっかりご理解いただけたでしょう?」
だがサエは鼻にかかった声で誘惑を続けるし、梦猫は梦猫で一切悪びれない。にこにこと微笑みながら、利益をもって誘いをかける。
そのこれまでの件でカイルンが失脚した事など、分かっての上の事だろう。
「ロンファ様に必要な情報を全て自分から話してもらえれば、また公司で働く事ができるかもしれませんよ」
「ふん、猟兵に媚びる雌犬に寝返れとでも?」
もちろんカイルンにとってはロンファは敵対派閥の有力者で、猟兵をけしかけて来た元凶だ。その心情は最低に近く、さらに敵意を剥き出しにしてくるが。
「一度は支社長まで上り詰めたカイルン様の実力が、また公司の為になることを期待しています♪」
「……ちっ」
そんな言葉に対しては、不快そうに舌打ちしつつ視線を反らす。龍爪公司は特級社員ごとに独立独歩の気風が激しいが、『その行いは全て公司のため』と言う点では一致している。
どちらの派閥も、自分の行いが公司のためと信じて活動している。そんな中で今のカイルンは、公司のためどころか、野垂れ死ぬか処分されるかと言う状況だ。
梦猫の誘いを突っぱねれば自分がどうなるか、聡い彼が理解できないはずもない。
「裏切ると言えば……何故『龍爪公司の機密情報を手土産に、他のメガコーポに保護を求めなかった』のです?」
「それをお前に話す義理がどこにある?」
そんなカイルンに対してるこるが問いかけるが、それはにべもなく突っぱねられる。それがどんな些細な情報でも、のんびりと質疑応答に応じてくれるような間柄ではない。
答えて与える利益なり、答えず受ける害なりを提示出来なければ、得られる情報は何もない。
「龍爪公司についての基本的な情報とかも、お聞きしたいのですがぁ」
「ロンファにでも聞け」
2つ目の問いもバッサリと切り捨てられ、何か聞き出す方法を考えておくべきだったかと、困ったように首を傾げるるこる。
一方でサエと梦猫は、左右からカイルンへと迫っていく。
「ねぇねぇ。協力してよ、お願い……ね?」
「ロンファ様への口利きなら、おまかせください♪」
色仕掛けと、利益供与。それに対してカイルンは、打算の表情を滲ませる。敵対派閥に降るのは嫌だろうが、野垂れ死ぬつもりもないようだ。
「……良いだろう、ロンファに合わせろ」
「はい、では手配しますね♪」
カイルンの言葉ににこやかに微笑み、早速連絡を取る梦猫。程なくして現れた、ダストエリアの住民に偽装した諜報部員によって、カイルンは連れられていく。
彼がロンファと出会ってどのような会話をするのか、そこからどのような情報を得られて、それが猟兵にどのように影響するのか。
それが分かるには、もうしばらくの時を必要とする事だろう――。
大成功
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