昌盛のライスメキア
●帝竜
黄金の飛翔竜『帝竜女媧』、その黄金の体は禍々しくも美しき巨躯である。
全長10kmにも及ぶ金属の体は地図にない孤島『蓬莱島』に突如として出現した。
睥睨する視線は鋭く、見る者全てを圧倒するようであった。
煌めく黄金の輝きと共に『蓬莱島』に出現したのは、『赤』と『青』の体高5m級の人型戦術兵器――『抗体兵器』であった。
嘗ては『セラフィム』とも呼ばれ、また同時に『熾盛』とも呼ばれた白銀の『キャバリア』の如き姿をした『抗体兵器』を駆るは『死兵』たるオブリビオンたち。
「生命よ、消えよ!」
『帝竜女媧』は咆哮する。
『蓬莱島』に響き渡る咆哮に|月帝姫《ルナエンプレス》の伝承を守り、彼女たちを守り支える使命を受け継ぐ激昂の魔女たち戦慄した。
『抗体兵器』を操るオブリビオンの軍勢のみならず、『帝竜女媧』の傍らには、妖狐七星将『巨門』の姿があった。
猟兵に覚醒した『巨門』ではない。
それを彼女たちは知っていた。
「あれが『世界の脅威になりうる者の情報を記すメガリス』、『夢魔随筆』によって生み出された『巨門』の複製体……!」
しかも、帝竜と化した『帝竜女媧』に随伴しているのだ。
冷静に考えて、『蓬莱島』に在りし月光の魔女たち全ての力を併せても太刀打ちすることはできないだろう。
「……現状できることは限られています」
「ええ、ここは籠城策を取らねばなりません。この事は恐らく猟兵の方々に予知されているはず。それを頼みの援軍として耐える他ありませんね」
彼女たちは動き出す。
時間は多くはない。
けれど、まだ己達は生きている。
「なら、歌いましょう。あの歌を。生きる限り、私達は歌い続けなければなりません。それが、生命賛歌!」
「おぞましき歌だ! あの歌を止めさせろ! 不確定要素たる生命! 可能性! 世界を汚す歌など! 消えよ!」
『帝竜女媧』は憤怒に震えた。
怒り狂っていると言ってもいい。
「生命よ、疾く絶命せよ――」
●シルバーレイン
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。シルバーレイン世界、小笠原諸島のさらに先に浮かぶ地図のない孤島『蓬莱島』に嘗て帝竜戦役にて出現した『帝竜女媧』が『夢魔随筆・下巻』の力で生み出された妖狐七星将『巨門』の複製体を伴って、再び出現することが予知されたのです」
ナイアルテの言葉に猟兵たちの中の何人かは理解を示したかも知れない。
帝竜戦役。
それはアックス&ウィザーズ世界にて勃発した大いなる戦いである。
出現した帝竜の内の一体が『帝竜女媧』であった。
しかも、『夢魔随筆・下巻』で生み出された『巨門』の複製体は猟兵に覚醒する以前の残虐な性質を持った過去の彼自身なのだ。
コピー元である猟兵の『巨門』はかつて己が行ってきた非道を『償いがたき過去の罪』と認識していることが、それを複製体は受け継いでいない。
嘗ての彼のように『蓬莱島』にて殺戮を楽しもうとしている。
「強大な敵だけではありません。『蓬莱島』近海には『帝竜女媧』配下のオブリビオン『死兵』が『抗体兵器』を装備して蠢いています」
この『抗体兵器』はキャバリアのような体高5m級の人型戦術兵器である。
白銀の人型戦術兵器を駆る『死兵』たちを全滅させるのは、短期間ではまず不可能である。
そして、『蓬莱島』にて籠城している月光の魔女たちと合流するためには、これらの極めて数の多い敵を蹴散らし、迅速に進路を切り開かねばならないのだ。
「『蓬莱島』に上陸することも困難な上に複製体の『巨門』、そして『帝竜女媧』……この決戦はあまりにも苛烈なる戦いとなることでしょう」
だが、それでも『蓬莱島』の危機を救うためには進まねばならないだろう。
「『蓬莱島』の月光の魔女たちと合流することができたのならば、『帝竜女媧』との戦いも支援を受けて優位に進めることができるかもしれません」
いずれにしても、激戦である。
ナイアルテは再び頭を下げた。
今再び、嘗ての帝竜戦役と銀の雨降る世界での戦いを再現することになるのだ。
それでも彼女は猟兵達を送り出す。
災禍を再び世界にもたらさぬためにならば、猟兵達は駆け出すことを知っているからだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
嘗て、アックス&ウィザーズ世界で勃発した帝竜戦役に出現した『帝竜女媧』が『夢魔随筆・下巻』の力で生み出された妖狐七星将『巨門』の複製体を伴って、故郷であるシルバーレイン世界に現れました。
出現地点は『蓬莱島』。
今は月帝姫の伝承と彼女らを守り支える使命を受け継ぐ月光の魔女たちが籠城しています。
しかし、『帝竜女媧』の戦闘力は蓬莱島の戦力を遥かに上回っています。
蓬莱島に急行し、『帝竜女媧』を打ち取るシナリオになります。
●第一章
集団戦です。
蓬莱島の近海には無数のオブリビオン『死兵』が『抗体兵器』であるキャバリアのような体高5m級の白銀の人型戦術兵器を駆り、蠢いています。
数は極めて多く、短期間に殲滅はまず不可能です。
仁祖奥に進路を切り開くことに集中し、蓬莱島に上陸を目指さねばなりません。
●第二章
ボス戦です。
メガリス『夢魔随筆・下巻』によって複製された『巨門』との戦いになります。
現在、猟兵に覚醒した『巨門』とは違い、過去の『巨門』と同じく殺戮を楽しむ残虐な性質を持った複製体です。
言うまでもなく彼も強敵です。
これを一気呵成に打ち破り、『帝竜女媧』へと迫らねばなりません。
●第三章
ボス戦です。
故郷であるシルバーレイン世界に出現した『帝竜女媧』との決戦です。
帝竜戦役同様に、必ず先制攻撃をしてきます。
これに対処しなければなりませんし、また前章までの結果で蓬莱島の月光の魔女たちと無事に合流できていたのならば、彼女たちの支援を受けることもできるでしょう。
また彼女たちの支援を有効に扱えるのならば、戦いが優位に運ぶができるかもしれません。
それでは、過去の敵の再びに再来、そして決戦に挑む皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『死兵』
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POW : ラスト・スタンド
【肉体のあらゆる損壊を無視した状態で攻撃】を放ち、命中した敵を【自身が死亡しても消えない呪詛】に包み継続ダメージを与える。自身が【致命傷を受けた状態で戦闘を継続】していると威力アップ。
SPD : ラスト・アタック
自身が戦闘不能となる事で、【直前に自身を攻撃した】敵1体に大ダメージを与える。【仲間】に【敵の情報】を語ると更にダメージ増。
WIZ : ラスト・コマンド
自身が戦闘で瀕死になると【体内】から【生者を呪い殺す怨念】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:雲間陽子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オブリビオン『死兵』たちは、文字通り死兵である。
しかし、如何に『死兵』とは言えど『抗体兵器』である体高5m級の白銀の人型戦術兵器を駆る姿は脅威であった。
「……」
彼らに言葉はない。
抗体兵器とは、嘗てシルバーレイン世界のゴーストたちが使用していたと言う『生命と敵対する武器』である。
シルバーレイン世界にて起こった第二次聖杯戦争にて出現した抗体兵器と似通っていたが、しかし、その色は白銀である。
第二次聖杯戦争にて確認された赤と青の戦術兵器と形は似てはいるが、色が違うことに意味はあるのか。
その意味は判然としない。
だが、確かなことが一つだけある。
抗体兵器は生命に敵対する兵器。
それは呪いに満ちた力。
生命を枯らせる効果は、当然猟兵たちにも効果を及ぼすだろう。
しかも、蓬莱島近海には蠢くほどの数の『死兵』で埋め尽くされている。
月光の魔女たちとの合流も急がねばならない。
猟兵達は、この並み居る『生命に敵対する兵器』に対処し、進路を切り開かねばならないのだ――。
儀水・芽亜
『死兵』とは厄介な相手です。|彼らは眠らない《・・・・・・・》。
ならば、すり抜けてゆく他ないでしょう。
来なさい、ナイトメア。
ナイトメアに「騎乗」して、敵の足下をすり抜けます。
「地形耐性」で「足場習熟」した上で、「軽業」じみた曲芸も要求されるでしょう。そして何より、即座に反応出来る「瞬間思考力」で、敵の脚をかわした先がまた脚だった時に回避出来るように。
踏み潰そうとしてくる相手には「フェイント」をかけましょうか。
このキャバリアの群がどこまで続くか知りませんが、通常は平地での運用が想定されているはず。平地であるのなら、私の『|愛馬《ナイトメア》』も決して引けは取りません。
さあ、駆け抜けましょう!
蓬莱島近海を埋め尽くすのは、白銀の抗体兵器……人型戦術兵器を駆るオブリビオン『死兵』たちであった。
『帝竜女媧』は知っている。
猟兵の厄介さを。
なぜなら、一度は敗北したからだ。
だがしかし、彼女は一度の敗北から何も学ばないという愚を犯さない。
如何に猟兵が凄まじき進撃速度を持つのだとしても、そもそも戦場である蓬莱島に辿り着くことができなければ、その力を振るうことができない。
そして、抗体兵器はただそこにあるだけで生命を枯らす。
これを近海を埋め尽くすほどに展開していれば、猟兵たちの足止めができる。
その間に蓬莱島を護る月光の魔女たちを始末してしまえば、『帝竜女媧』の勝利は揺るがない。
「……」
『死兵』たちは物言わぬ。
ただ、その命ぜられるままに、すでに失われた生命のままに抗体兵器を駆り、来るであろう猟兵たちに備えていたのだ。
そんな軍勢を見やり、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は息を吐き出した。
『死兵』の厄介さは彼女にとっては格別であった。
なぜなら。
「『死兵』は、|彼らは眠らない《・・・・・・・》」
彼女は息を吐き出して『死兵』を打ち倒すことを、まず横に置くことにした。
己たちの目的を違えてはならない。
今回の戦いで重要視されるのは速さだ。
つまり、膨大な軍勢である『死兵』たちを全滅させる暇などない。そうしているだけで敵の術中に嵌まってしまうことになる。
「来なさい、ナイトメア」
呟く彼女の傍らに純白の来訪者『ナイトメア』が召喚され、彼女をその背に乗せる。
「行きましょう」
「……」
いななきと無言。
対照的な両者。芽亜は『ナイトメア』と共に海上を疾駆し、『死兵』操る人型戦術兵器の抗体兵器の足元をすり抜けるようにして駆け抜けていく。
放たれる銃撃。
海面にいくつも立ち上がる水柱。
海水の飛沫を受けながら芽亜は、それでも即座に交戦ではなく、この軍勢を切り抜けることを優先していた。
攻撃よりも速度。
「もっと早く……!」
駆け抜けることを優先した芽亜は、さらに速度を上げる。
体高5m級の戦術兵器を模した人型の足元を跳ねるように純白の『ナイトメア』が駆け抜けていく。
「このキャバリアもどきの群れがどこまで続くのかしりませんが……速さでは私の|愛馬《ナイトメア》も決して引けは取りません。さあ、駆け抜けましょう!」
芽亜はユーベルコードに輝く瞳と共に迫りくる白銀の抗体兵器の群れを突っ切るように、攻撃ではなく移動飲みに注力して駆け抜けていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
花葉・黄蘗
ここの世界での暦で2011年。
月帝姫がこの地球に行く前準備の時、僕は神隠しにあったんやけど…。
まさか、月から落ちた後に…巨門や女媧と戦ってたなんてなぁ。
…いや、今はここを突破することに注力しやんと。蓬莱島の月光の魔女言うたら、月の民の末裔なんやから。
やから…僕は、聖者の鉢に乗って、全力で突き抜け、上陸を目指すまで。
キャバリア言うたっけ、これ。龍頚珠から幻影使いで僕の動く幻影出して惑わす。
僕自体は、曲芸飛行視野に入れながらいかんと。小回りは、こっちの方がきくんでな…!
歴史というものは面白いものである。
過去は積み重ねてきたものであるし、置き去りにしたものでもある。
なら、歴史は編み上げるようなものだ。
いくつもの可能性が交わり模様を描く。
振り返れば、それは過去そのものであろうが、しかし描かれたものは未来から振り返ったときにしかわからないものである。
その時、その時を懸命に生きた者にとっては振り返る余裕すらなかっただろう。
けれど、今ならばわかることもある。
あの時、花葉・黄蘗(卜者/夢の防人・f44417)が神隠しにあったのは、運命であったのだと。
「まさか、月から落ちた後に……『巨門』と『女媧』と戦ってたなんてなぁ」
歴史は振り返ることで、その時おきたことを知ることができる。
関与することはもうできない。
けれど、振り返ったときに見える景色から学ぶことはできる。
「……いや、今はここを突破することに注力しやんと」
そう、眼の前に広がるのは蓬莱島近海を埋め尽くすオブリビオンの大群。
『死兵』と呼ばれる抗体兵器……人型戦術兵器を駆る存在が猟兵たちの道を阻んでいるのだ。
彼らの役目は、その名の通り足止めだ。
死んでもかまわないし、死ぬことを前提とした兵力。
それが『死兵』である。
彼らはすでに死んでいる。
それは確定した事実であり、また同時に彼らが抗体兵器を手繰る理由にもなっただろう。
「蓬莱島の月光の魔女言うたら、月の民の末裔なんやから助けな」
黄蘗は、浮かぶ鉢……『聖者の鉢』の乗って蓬莱島近海を埋め尽くすオブリビオン『死兵』たちの群れへと飛び込む。
目指すは上陸。
全力で突き抜けるためには、やはり吶喊しかない。
「……」
迫る『死兵』が操る人型の戦術兵器。
「キャバリア言うたっけ、これ」
白銀の戦術兵器は、黄蘗を襲わんと迫っている。
手にした宝珠から放たれる光が幻影を生み出し、これを躱す。
が、敵の数が如何せん多すぎる。
躱しても躱しても、次から次に襲いかかってくるのだ。
「これじゃあ、曲芸飛行やな」
くるりと空中で一回転しながら、『死兵』たちの追撃を躱す。
確かに抗体兵器は生命を枯らす力を持っている。
近づくだけで生命を吸われているような感覚になるし、めまいも起こる。けれど、小回りはきくのだ。
「このまま突っ切らせてもらおうな!」
海の風を感じながら、黄蘗はさらに浮かぶ鉢と共に追撃を振り切るように蓬莱島を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
オー! これが帝竜『女禍』でありますか!
見事なビッグサーイズ!
そして交戦経験を得られるビッグチャンス!
伝聞名高い帝竜戦役を体験させてもらいマショー!
巨門殿諸共、レッツファイトであります!
まずは前哨戦、キャバリアサイズの兵器に乗った死兵が相手デスナ!
半端なダメージは無視し、撃破しても呪詛を飛ばす無数のエネミー……。
全てを殲滅する手間はノット必要! ここは忍んで参りマース!
「骸式兵装展開、透の番!」
全身と装備を透明人間化させて、滑走靴で空中機動してすり抜けて行きマース!
密集した抗体兵器の陣形であれ、5m級であれば入り込む隙間は生じるもの。
気づいた相手だけパイルバンカーで潰して強行突破であります!
猟兵への覚醒。
それは全てが同時期に覚醒を得るものではないことは言うまでもないことだろう。
だからこそ、大いなる戦い……オブリビオン・フォーミュラによる起死回生の一手を切っ掛けにした戦いに参戦したことのある猟兵もいれば、時期がズレていたが故に馳せ参じることのできなかった猟兵もいる。
アックス&ウィザーズ世界にて勃発した帝竜戦役。
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、この戦いに参加することができなかった。
帝竜はいずれもが巨体を誇る存在ばかりであった。
故に、バルタンは遠く蓬莱島に見える『帝竜女媧』の金属を思わせる体躯が光る姿を認め、感嘆の声を上げた。
「オー! あれが『帝竜女媧』でありマスカ! なるほどなるほど。ここから見てもビグサイーズ!」
そう、巨体であることがうかがえる。
しかし、蓬莱島近海には無数のオブリビオン『死兵』が抗体兵器たるキャバリアの如き人型戦術兵器を駆って待ち構えているのだ。
「以前の戦いには参加できマセンでしたが! ここで交戦経験を得られるビッグチャンス!」
バルタンにとって、それは願ってもないことであった。
全て伝聞によることしかバルタンは知り得なかった。
だが、実際に戦う機会があるというのならば、彼女は喜んで戦場に飛び出すだろう。
加えて、『巨門』の複製体とも拳を交える機会を得たのならば、彼女は躊躇いなく己が滑走靴による推力を得て海の上を滑走するように飛ぶ。
「そのためにはまず、前哨戦デース! レッツファイトであります!」
敵は『死兵』。
そして、その数は圧倒的だ。
蓬莱島へと近づけさせまいと展開していることが見て取れる。
「……」
彼らは文字通りに『死兵』なのだ。
猟兵達を足止めするためだけに、死すら厭わぬ兵士。もとより死しているのだから、倫理観もなにもあったものではない。
「全て殲滅する手間はノット必要! ここは忍んで参りマース! 骸式兵装展開、透の番!」
バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
模倣様式・透明軍神(イミテーションスタイル・ソウマコジロウ)。
それは己が肉体を存在が把握しにくい透明人間へと変異させるユーベルコードである。
そう、バルタンは『死兵』たちの妨害を打ち破って吶喊するのではなく、彼らに構わず通り抜けることを選んだのだ。
「HAHAHAHA! これで『死兵』はワタシを認識できないデース!」
あ、それ、とバルタンは『死兵』たちが駆る抗体兵器の群れをすり抜けるようにして飛ぶ。
簡単なことだった。
なぜなら、『死兵』が駆る抗体兵器は5m級の戦術兵器。
であれば、当然その間を縫って飛ぶことなど造作もないこと。
敵からすれば、こちらを足止めするための戦力として期待したのだろうが、逆にこちらが敵をすり抜け、蓬莱島に急行するという手を取るとは考えていなかったのだろう。
「気が付かないならそれで良しデース! でも、気がついたのなら!」
そう、それでもバルタンに気がつく『死兵』はいるだろう。
気が付かれた、と判断した瞬間にバルタンは飛翔靴で海面を蹴って、構えたパイルバンカーで叩き潰して、さらに高く飛ぶ。
「ぶっ潰して強行突破デース!」
バルタンは破壊した『死兵』の駆る抗体兵器を足蹴にして、さらに蓬莱島を目指して飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
あのような抗体兵器まで持ち出して蓬莱島を狙うとは
一体何が目的なのでしょう……?
まあ考えるのは後にして、今は一刻も早く
道を切り開くとしましょうか。
エンジェリックウイングで飛翔して進撃しましょう。
敵の攻撃は【空中機動】で回避し、
無数の光の【羽を飛ばす】ことで攪乱。
進路の敵は【気功法】で高めた【衝撃波】で
【吹き飛ばし】ていきます。
敵が寄って来たならば【リミッター解除】した
【転玄脚・嵐】を放って纏めて薙ぎ払い、
そのままクラッシュ49を振るって突き進んでいきましょう。
こんな所で手間取るわけにはいきませんね。
アドリブ等歓迎です。
白銀の人型戦術兵器……体高5m級のそれは、他世界を知る猟兵からすればキャバリアを連想させたことだろう。
しかも、それが抗体兵器であるというのならば、生命を殺すためだけに生み出された存在であると言える。
「あのような抗体兵器まで持ち出して蓬莱島を狙うとは。一体何が目的なのでしょう……?」
『帝竜女禍』の帰郷とも言うべき事件に山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は訝しむ。
しかし今は、それを考えている時ではない。
蓬莱島近海を埋め尽くすのはオブリビオン『死兵』たちである。
彼らが駆る抗体兵器を躱して、道を切り開く。
それが急務であったのだから。
「今は一刻も早く蓬莱島の救援のために道を切り開かねばなりませんね」
慧の背に聖なる光を宿した翼が噴出するように羽ばたく。
そのまばゆい輝きに『死兵』たちは一斉に呼応する。
敵。
阻むべき敵。
その認識だけが彼らにはあった。
彼らは文字通り『死兵』なのだ。死ぬことが前提の存在。もとより死んではいるが、しかし、それでも猟兵たちにとっては障害となるだろう。
「……」
言葉はない。
死ぬことに意味はない。彼らにとって、それは恐れと同義ではないからだ。
「まさしく捨て身、ですね」
慧は理解した。
この蓬莱島近海を埋め尽くす『死兵』たちは、やはり時間稼ぎなのだ、と。
『帝竜女禍』は己達猟兵との戦いで、こちらの進撃の恐るべき速度を理解しているのだ。だからこそ、こうやって数で足止めしようとしている。
周囲を見回せば、取り囲むように白銀の抗体兵器と共に『死兵』が迫ってきている。
それを認め、彼の瞳がユーベルコードに輝く。
「ならば、こんなところで手間取るわけにはいきませんからね」
呼気が漏れるようにして吐き出された瞬間、慧の体が宙を走る。
それは音速を越えた踏み込みであった。
闘気の嵐。
吹き荒れるような回し蹴りの一閃が『死兵』たちを薙ぎ払うようにして吹き飛ばす。
そして、その放たれた蹴撃は烈風となって戦場に残り、慧はその烈風を背に噴出する光の翼に受けて飛ぶのだ。
飛翔する彼は蓬莱島に一閃を描く。
「『クラッシュ49』、ドリルガントレットの真髄は此処に」
烈風を受けたドリルガントレットが螺旋を描いて、壁となった『死兵』たちを穿つ。
破壊の跡が刻まれる。
止まらない。足を止めては、また囲まれる。
ならば、足を止めないことこそが敵の目論見を打ち砕く方策なのだ。
故に慧はさらに蓬莱島へと近づくために力を振るい、破壊を齎しながら光の翼を羽ばたかせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
亡国の主【操縦】『逆鱗抗体兵器』発動
自機、逆鱗加速戦鎚に機械鉄片を合体【武器改造】戦鎚RX兵装化
サイキックシールド展開【オーラ防御】残りの機械鉄片を引き連れ
壊し、併呑し、突き進め!!
自身の【闘争心】と抗体兵器の夥しき呪いとを同調、戦場に満ちる呪い、消えない【呪詛】を【捕食】し、メガスラスター・ロケットブースター増強【推力移動】
ォォオオオオオ!!!
侵攻を塞ぐ死兵達を戦鎚でなぎ払い【念動力】破壊した抗体兵器達の、その呪いとも同調、己がものとし【解体】機械鉄片増量
蝗の群れの如く引き連れた機械鉄片群で死兵と抗体兵器達を飲み込み融合捕食攻撃。後方からの死兵の追撃を抑え呪いを喰らい力に変え、勢いを強める!
白銀の壁。
そう表現するのが正しいだろうと朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は思ったかも知れない。
己が操るは『亡国の主』。
その周囲には無数の機械鉄片が浮かんでいる。
「壊し、併呑し、突き進め!!」
ユーベルコードの煌きと共に小枝子は吠えた。
鉄片が『亡国の主』へと突き刺さり、手にした赤と青とに染まりゆく。
斑のように交わることのない赤と青は、その駆体を染め上げていき、そして手にした戦鎚を振るい上げた。
「蝕せ」
逆鱗抗体兵器(グレイブ・ローカスト)。
無数の機械鉄片は、赤と青。
小枝子の意思によって自在に操られる夥しい呪い。
それによって小枝子は己が駆体と武装とに抗体兵器の生命枯らす力を付与して、迫る『死兵』操る白銀の抗体兵器……まるでキャバリアの如き鋼鉄の巨人とぶち借り合う。
激突してもたらされる破壊。
それは互いに文字通りの存在であるがゆえであった。
『死兵』がまさしく死んだ存在であり、また同時に捨て駒であったように、小枝子もまた自覚がないとはいえ、悪霊である。
共に死せる存在でありながら、こうも違うのかと言うほどに小枝子は己の人口魔眼より炎を噴出させながら叫ぶ。
「ォォオオオオオ!!!!」
その咆哮と共に駆体からメガスラスターのロケットブースターでもって『死兵』の操る白銀の抗体兵器に激突する。
火花が散る最中に、振るわれた鉄槌の一撃が白銀の抗体兵器の頭部をひしゃげさせながら砕く。
薙ぎ払う。
打ちのめす。
ただそれだけなのだ。
それ以上はいらない。
ただただ破壊する。
敵が抗体兵器を操るというのならば、その駆体に内包された呪詛すらも小枝子は手繰り寄せ、同調し、己がものとする。
そのたびに機械鉄片が増えていくのだ。
赤と青。
斑模様のように交わることのない二つの鉄片が周囲に荒れ狂うようにして吹き荒れ、蓬莱島近海におびただしい数でもって展開していた『死兵』たちを打ちのめしていく。
破壊と融合。
積み重なっていく二つの要素が、小枝子を更に突き進めさせる。
「退かなくていい。ただ、そこにいろ。自分が、その呪いを壊す。壊して、飲み込む。ただ、それだけだ!!」
小枝子の咆哮と共に迫りくる『死兵』の尽くを喰らい、力に変え、さらなる勢いと共に小枝子は『亡国の主』と共に戦場を引き裂くように突き進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
…まさか女媧が沸くとはな
「ご主人サマも戦ったんだっけ☆」
まぁな
既に彼奴のめんたまは奪ってるが復活したなら若しかしたらもう少し強化できるかもしれねーし狩るか
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵軍の陣形
何より乗ってるキャバリアを観察
ってかあれセラフィムじゃね?
何であれが此処に在るんだよ!?
意味不明にも程があるぞおい!?
取り敢えず効率的に殲滅しつつの突破ルートを解析する
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
【念動力・弾幕】
UC発動
風の弾丸と念動光弾の不可視の弾幕展開
【二回攻撃・切断】
鎌剣で邪魔な敵を切り裂きそのまま目標地点への一点突破を狙う!!
「……まさか女禍が沸くとはな」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は思わずうめいていた。
帝竜戦役。
アックス&ウィザーズ世界にて勃発した大いなる戦い。
それは苛烈なる戦いの記憶であったことだろう。現れた帝竜は脅威と呼ぶほかない存在ばかりであった。
オブリビオンである以上、過去から歪みにじみ出るものである。
しかし、それが他世界……いや、『帝竜女禍』にとっては、この世界こそがにじみ出すべき世界であったのかもしれない。
『ご主人サマも戦ったんだっけ☆』
『メルクリウス』に騎乗したカシムに声が届く。
まぁな、とカシムは頷く。
すでに奪った瞳。けれど、カシムは強欲であった。
「奪ったのは確かだが、復活したならもしかしたら、もう少し強化できるかもしれねーし、狩るか」
しかし、その前に敵を如何にかしなければならない。
蓬莱島近海を埋め尽くすオブリビオン『死兵』たちが駆るのは白銀の抗体兵器であり、人型戦術兵器であった。
その造形にカシムは見覚えがあったかもしれない。
「ってか、あれ『セラフィム』じゃね?」
『そうだね☆』
「なんであれが此処に在るんだよ!? 意味不明にも程があるぞおい!?」
カシムにとって、それは何故、の連発であった。
しかし、厳然たる事実として抗体兵器として、それは存在している。
そして、『メルクリウス』を取り囲むように……いや、壁として存在しているのだ。
「突破ルートは……」
『こういう時は強行突破なんだぞ☆』
「そういうかもしれねーが! やるしかねーってんなら、やるっきゃねーんだろーな!」
『そいうこと☆』
カシムの瞳と『メルクリウス』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
「竜眼魔弾(リュウガンマダン)で蹴散らす!」
『ヒャッハー☆』
『メルクリウス』の首位に浮かぶのは、魔法のミサイル。
風纏う魔弾は、念動光弾と共に弾幕を形成し、迫りくる白銀の抗体兵器を打ち据える。
猪突猛進というには違うかもしれないが、『死兵』たちは愚直とも言える突進によって『メルクリウス』に掴みかかろうとしているのだ。
「光学迷彩……見破られているのか?」
『多分、抗体兵器に乗っているから、その呪いでメルシーちゃんたちを感知しているんだねー☆』
「呑気に言ってる場合か! 結局力押しかよ!」
カシムは鎌剣を構え、迫りくる『死兵』を押しのけるようにして、その駆体をっきり咲く。
目指すは蓬莱島である。
目的を違えてはならない。このオブリビオンの軍勢を全て退けることは不可能だ。ならば、時間はあまり残されていない。
一点突破を狙うようにカシムは『メリクリウス』と共に戦端を穿つように飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
機神搭乗
おお、この世界は銀静の住む世界の一つだな
ならば私も力を尽くすとしよう
銀をイメージしているのも良いし銀誓学園というのも中々に良い名前だからな!
「流石に関係ないと思いますが!?」
【戦闘知識】
敵軍の陣形と動きを見据え
うむ…本当は皆に我がぜっちゃんチョコを与え圧倒的なパワーを与えたい所だが少し数が多いか?
「主様!ナイアルテの奴も殲滅は難しいから突破口を開きましょう!」
おお!そうか…なっちゃんもそう言っているなら仕方あるまい!
「なっちゃん!?」
UC発動
【二回攻撃・切断・弾幕・念動力・空中機動】
念動光弾を乱射して飛
次元切断と転移で敵軍を切り捨てながら蓬莱島へと突撃する
…そういえば見た事ある機体だな
銀の雨降る世界。
シルバーレイン。その世界には生命が溢れていた。
「おお、この世界は生命に溢れているな」
それが皇・絶華(影月・f40792)の第一印象だった。
生命溢れる世界において、『帝竜女禍』は生命を許さない。生命は不確定なる可能性であり、それが汚れであると彼女は言う。
「ならば、私も力を尽くすとしよう」
眼前に広がるのは、白銀の抗体兵器。
人型戦術兵器の形を取っているのは、なんの因果か。
「銀をイメージしているのも良いし、銀誓館というのもなかなかに良い名だからな!」
『流石に関係ないと思いますが!?』
『サートゥルヌス』の言葉に絶華はそうかな? と首を傾げる。
見据えるはオブリビオン『死兵』が駆る白銀の抗体兵器――キャバリアの如き戦術兵器の陣形であった。
いや、それは陣形と呼ぶほどのものでもなかった。
「これではただの壁だな」
そう、蓬莱島近海を埋め尽くす白銀の抗体兵器。
圧倒的な物量に、これを全滅させる事は不可能であろうと絶華も理解していた。
「うむ……本当は皆に我がぜっちゃんチョコを与え、圧倒的なパワーで轢き潰してやりたいところだが……」
『これは流石に数が多すぎますよ! 殲滅は無理ですって! 突破口を開くほうが幾分現実的ってやつですよ!』
「うむ、そうだな。確かに。なっちゃんもそう言っているのなら、仕方あるまい!」
『なっちゃん!?』
よくわからない愛称に『サートゥルヌス』は驚愕する。
いや、今はそれどころではないのだ。
『主様!』
迫るは『死兵』たちの駆る白銀の抗体兵器の群れ。
その圧倒的な数は、絶華たちにとっては脅威であったことだろう。
放たれる念動光弾すらも『死兵』達は構わずに突っ込んでくるのだ。文字通り『死兵」である。
生きることを目的としていない。
そもそもが死んでいる存在。
であればこそ、彼らは猟兵の足止めに全てを注ぐのだ。
「さっちゃん、行くぞ! 亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』(キョジンゾクノオウ)だ!」
『承知致しました主様!」
『サートゥルヌス』が飛翔し、迫る『死兵』たちを次元切断でもって切り捨て、蓬莱島への道を切り開く。
次元を切断するユーベルコードの力を前にして抗体兵器は両断される他ない。
「……そう言えば見たことある機体だな」
抗体兵器。
その人型の戦術兵器をもした存在を絶華は見たことがあった。
けれど、それが如何なるつながりを持つのかまではわからない。どちらにせよ、この敵を打倒していかねば、そもそも立ち行かない。
迫りくる敵を打ちのめし、絶華は急ぎ蓬莱島へと飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メリー・スペルティナ
ふふ、相手が帝竜だろうとこのわたくし、メリー・しゅペッ‼
……
……メリー・スペルティナ、負けはしませんわ!
(久々の名乗りで噛みましたわ……)
抗体兵器にこの数、まともに全員を相手どるのは厳しいみたいですわね
だったらさっさと突破してしまうだけですわ!
武器を構え、闇に紛れて移動、攻撃は第六感でかわし、それでもきついときはこの剣で武器受けをして防ぎますわ!
……気のせいか妙に攻撃が来ない気がしますけど、それならそれで都合がいいですわね!警戒しながら走るのは結構疲れるんですから。
(……というより、目を逸らされているような…?)
まあいいですわ、さあ、さっさと月光の魔女とやらと合流しますわよ!
「ふふ、相手が帝竜であろうと、このわたくし、メリー・しゅぺッ!!」
ガツン、と音がした。
それはメリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)の口腔から響く音であり、彼女が己の名前を噛んだ証でもあった。
彼女が舌足らずなのではない。
「……」
ただ、彼女の名前がちょっとその、読み上げづらい、というだけの話なのだ。別に久々の名乗りで噛んでしまったのだとか、そんなことはないのである。
「……このメリー・スペルティナ、負けはしませんわ!」
先程までの失態をまるでなかったかのようにメリーは取り繕うまでもなく、堂々と胸を張って、蓬莱島近海に居並ぶ『死兵』たちが駆る白銀の抗体兵器を見やる。
数の暴威とはこのことを言うのであろう。
まともに全員を相手取るのは得策ではない。むしろ、まともに相手をするほうが余程下策であると彼女は感じたことだろう。
そもそも、猟兵たちの目的は蓬莱島にて籠城する月光の魔女たちを救うことにある。
であれば、オブリビオン『死兵』たちを相手にするということは、それだけ彼女たちとの合流するタイミングが遅れるということだ。
それが『帝竜女禍』の目論見であるというのならば、メリーはこれを突破しなければならないのだ。
「……」
オブリビオン『死兵』が駆る白銀の抗体兵器。
その数は蓬莱島近海を埋め尽くすほどである。これを殲滅することは不可能であろう。
「だったら、さっさと突破してしまうだけですわ!」
手にした黒き剣は、血と命を啜る『シュバルツシュルテン』。
闇の呪詛纏うメリーは、並み居る『死兵』たちの操る抗体兵器の合間を縫うように飛ぶ。
彼女の存在を『死兵』たちは感知できていないかのように、飛ぶメリーへと攻撃を行うことができなかった。
何故か。
そう、何故か、というのはメリーのユーベルコード故である。
彼女の強化呪式?:刻の空隙(ヤサシイセカイ)。
それは己が失敗――いや、失敗でもなでもないけれど、まあ、失敗というのならば、失敗と呼ぶべき己が名乗りによって、メリーは他者から認識されなくなるのだ。
故に彼女は蓬莱島近海にありて、「おかしいですわね……」と訝しみながらも、『死兵』たちの合間を縫うようにして蓬莱島を目指しているのだ。
「いえ、これはこれで好都合! 警戒しながら飛ぶのは結構疲れるのですから!」
というか、なんだか目を逸らされているようにさえ思えてならない。
当然、それが彼女のユーベルコードの効果故であるところをメリーは知る由もない。
メリーは、そんな解釈をしながら己の身に降りかかる違和感を払拭するように海面を駆け抜けていく。
「まあいいですわ、さあ、さっさと月光の魔女とやらと合流しますわよ!」
敵の目的が時間稼ぎだというのならば、こうしている間にも敵に利することになる。
であれば、どんなに不可解な状況であろうとも利用するのがメリーの淑女としてのやり方なのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
古森・ちゆり
ちゆり、がんば…ぴゃーん!数が多いしおっきいよう……!
こ、こうなったら…!
【高次能力模倣:疑似魔狼降臨】を使って、全長50mのぬいぐるみフェンリルを呼び出すよ…!
それで、ぬいぐるみフェンリルに乗せてもらって、きょうこうとっぱ、を図るよ…!
下手に時間をかけちゃダメみたいだし、|この子《ぬいぐるみフェンリル》も手伝ってくれる時間があるから、ぱこーんってけっとばしたりするだけにしてもらって、相手の攻撃にはわたしの『ちゆりねっと』をたてにしたり、とばした敵をあらかじめ地形を利用して作った『ちゆりねっと』にひっかけたりしておとなしくしててもらって、突破を優先するよ…!
がんばろう。
がんばらなくちゃ。
それが古森・ちゆり(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35520)の心に灯ったものだった。
そう、本当は早く|領域《おうち》に帰りたい。
けれど、蓬莱島の危機なのだ。月光の魔女を助けなければならない。
その一心で彼女はここまでやってきたのだ。
「ちゆり、がんば……」
改めて声に出してみよう。
意気込みを言葉にすれば、行動だって変わる。
だから、ちゆりは自分に活を入れるつもりで、がんばろうと言葉にしようとして、蓬莱島近海を埋め尽くすオブリビオン『死兵』の数を見て、身を震わせた。
「びゃーん! 数が多いよう!?」
それに、と眼前に広がるのは白銀の抗体兵器……体高5m級の人型戦術兵器なのだ。
『死兵』たちは、その巨大な抗体兵器を駆り蓬莱島近海を埋め尽くして、救援に向かおうとする猟兵達を足止めしようとしているのだ。
「それにおっきいよう……!」
だが、それでちゆりはあきらめない。
諦めてはならないことを彼女は知っている。
「こ、こうなったら……ぜ、ぜんぶ……やっつけちゃう、よ……!」
ちゆりの瞳がユーベルコードのに輝き、彼女の周囲に現れるのは巨大な狼……否、全長50mはあろうかという巨大なぬいぐるみフェンリルであった。
それは異様な光景であった。
白銀の抗体兵器が取り囲む巨大な狼のぬいぐるみ。
その頭の上にちゆりは座る。
「あ……まちがった、ちがった……きょ、きょうこうとっぱ、だよね……!」
そう、敵の目論見は猟兵を足止めすること。
であれば、この数を前に殲滅を目指してはならない。
ちゆりの言う通り、敵陣を突破することが肝要なのだ。
「お、おねがいね……!」
ちゆりの言葉に巨大ぬいぐるみフェンリルが頷き、海面を蹴って飛ぶように駆け抜けていく。
その突進の威力は凄まじいものであった。
だが、敵の数が多い。
全て突進で蹴散らすことはできないし、それだけ強大な力であれば、成約がつきまとうものだ。
ちゆりの能力では、この巨大なぬいぐるみフェンリルを顕現させていられるのは、もってニ分。
その間に、この蓬莱島近海を埋め尽くす『死兵』の壁を突破しなければならないのだ。
「びゃーん! むずかしいよう……でも、この子は……いけるっていってるから!」
ちゆりから放たれた蜘蛛の糸がネットのように飛び出し、ぬいぐるみフェンリルに迫る『死兵』を阻み、次々とコースを作っていく。
「こ、この……コースを走って……!」
ちゆりは、敵を妨害しながらあくまで蓬莱島に到達することを目的として、ぬいぐるみフェンリルと共に海原を駆け抜けていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん?
なるほど、あれが『帝竜女媧』ですかー。時期的な関係で、私たちは交戦したことないんですよねー。
これが良い機会となりましょう。
では、【それは雷のように】行きましょう。
ええ、攻撃が付随してますけどー、本命はこの速度で突破することですー。
小回りという点では、私たちの方が有利ですがー…油断なく経路を見切って突っ走るわけでしてー。
『死兵』を最前線に置くのは、理にかなってますけどー。
ええ。そういう目論見を潰してこそ、猟兵ですよねー。
我ら四悪霊、今を生きる者たちを助く存在なれば。
帝竜。
それはアックス&ウィザーズ世界にて勃発した帝竜戦役の恐るべきオブリビオンである。
黄金に輝く金属の如き体躯。
その巨体は言うに及ばず。
圧倒的な力は、まさしく帝竜と名乗るに値する力であったことだろう。
「なるほど、あれが『帝竜女禍』ですかー。時期的な関係で、私達は交戦したことがないんですよねー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、蓬莱島の方角にて見える姿に頷く。
呆れるほどの巨体である。
しかも、その力は蓬莱島を守る月光の魔女たちの総力を上回っているのだという。
恐るべき敵である。
しかし、『疾き者』は脅威と取るよりも、良い機会であると思ったようである。
「しかし、敵も此方の恐るべき点をよく理解しているようですねー」
そう、猟兵の恐るべき点は、凄まじい進撃速度にある。
一気呵成と呼ぶにはあまりにも苛烈すぎる進撃は、どのオブリビオンにとっても脅威であると言えるだろう。
故に、此度もそうなることを『帝竜女禍』も理解していたのだろう。
だからこそのオブリビオン『死兵』である。
白銀の抗体兵器たる人型戦術兵器が、近海を埋め尽くしている。それは時間稼ぎのためであったのだろう。
壁のように彼らは立ちふさがり、猟兵を蓬莱島に近づけさせぬと立ちふさがっているのだ。
「……」
「では、それは雷のように(ウゴクコトライテイノゴトク)」
ユーベルコードによって『疾き者』の姿が変化する。
翼の生えた虎へと変貌した『疾き者』は一気に戦場を駆け抜ける。雷が共に迸るが、それはおまけ程度のものでしかない。
敵にとっては防御するしかない攻撃であるが、防御をする、ということは此方に行動を阻害される、ということでもあるのだ。
「この速度で一気に駆け抜けさせてもらいましてー」
加速する体躯。
羽ばたく翼が雷鳴のように風を切り裂き、一気に戦場を縫うようにして駆け抜けていくのだ。
油断はない。
あるのは抗体兵器を駆る『死兵』たちの合間を縫う経路を見切ることのみ。
『死兵』はまさしく『死兵』なのだ。
『帝竜女禍』にとっては、ただの捨て駒でしかない。
「確かに理にかなってますけどー」
そのような目論見を踏破してこその猟兵であるとも言えるだろう。
「我ら四悪霊、今を生きる者たちを助く存在なれば」
それこそが本望であると言うように『疾き者』は、ユーベルコードの残光だけを戦場に越して、蓬莱島へと飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
遠野・路子
【沙夜と】
ふむ、あれが当時の巨門……
あの穏やかな廉貞が『あの糞餓鬼は』と言わしめた悪童
……3日も取れない悪臭とか再現されなくてよかった……
沙夜、いける?
キャバリアに生身で向かうのも大概だけど
私たちなら問題ないはず
移動手段は、うん、なんか誰か助けてくれるよ
まずはアレらを落とす
支援して
それにしても壮観だね
人の身にあの抗体兵器はあまりにも威圧的すぎる
第二次聖杯戦争ではこちらにも力を貸してくれたけど
本来は生命を厭う側
良くないね
ならばその行き先塞いでみせよう
【ヘヴンリィ・シルバー・ストーム】
銀色の雨があなた達を討つ
蓬莱島まで届けば月光の魔女の助けにもなるけど
それは欲張り過ぎかな
沙夜に雪斗、お願いするね
霞・沙夜
【路子と】
なんだか懐かしい名前を聞いたわ。
それにしても3日とれない悪臭って、それもう公害よね。
そっちのほうが再現されたら嫌だったわ。
ん、大丈夫。行けるわ。
身体が大きい敵ならいくらでもいたし、問題はないかな。
それに『生命に敵対する兵器』っていうなら、処理は専門分野だしね。
ゆきちゃん!
雪斗を喚び出したら、【紫電の舞】で路子さんをフォロー……。
というか、路子さんを護る感じかな。
稲妻の間縫って『死兵』の数を減らしていこう。
雪斗は死神。
この子ならあなたたちをいるべき場所に送り届けてくれるわ。
安心して死になさい……ってもう死んでるんだっけ。
このまま『蓬莱島』までいけそうな感じもするけど……どうなのかしら?
妖狐七星将『巨門』。
それは残虐なる者。
遠野・路子(悪路王の娘・f37031)にとっては、当時の『巨門』は伝聞でしか知り得ない存在であった。
穏やかな『廉貞』が語るところの『糞餓鬼』を彼女は想像しづらかった。
だが、そんなかつての『巨門』と相まみえる機会が得られるのは幸いであっただろうか。
「……3日も取れない悪臭とか再現されなくてよかった……」
「懐かしい名前を聞いたけれど、3日も取れない悪臭って、それもう公害よね。そっちのほうが再現されたら嫌だったわ」
伴する霞・沙夜(氷輪の繰り師・f35302)の言葉に路子は頷いた。
本当にそれ、と言いたげであった。
が、問題はここからだ。
眼の前には白銀の抗体兵器を駆るオブリビオン『死兵』たち。
彼らは文字通り捨て駒なのだろう。
だが、蓬莱島近海を埋め尽くすほどの軍勢は、確かに猟兵の進撃を阻むには適していたとも言える。
死を恐れない兵士。
『帝竜女禍』が彼らを選んだのは、それなりに理由があってのことだったのだと路子たちは理解した。
「沙夜、いける?」
「ん、大丈夫。行けるわ」
居並ぶ白銀の抗体兵器の体高は5m級である。
彼女たちからすれば、巨人との戦いと変わりないものであったことだろう。
だがしかし、彼女たちは恐れない。
「キャバリアみたいな相手に生身で戦うのは大概だけど」
「うん、体が大きい敵ならいくらでもいたし、問題はないかな」
それに、と沙夜呟いた。
「『生命に敵対する兵器』っていうなら、処理は専門分野だしね――ゆきちゃん!」
彼女の言葉に呼応するように糸繰り人形『雪斗』が飛び出す。
ユーベルコードの輝きと共に舞うは、紫電の舞(シデンノマイ)。
「この子は死神。この子なら、あなたたちをいるべき場所に送り届けてくれるわ。安心して死になさい……ってもう死んでるんだっけ?」
彼女が手繰る人形『雪斗』は『死兵』操る白銀の抗体兵器を前にして、手にした鎌を振るう。
それは『死兵』たちに向けての言葉だったのだろう。
オブリビオンとしても、『死兵』たちは文字通り『死兵』なのだ。生命ではない。ただ死んだ骸なのだ。
だから、このような捨て駒のような扱いをされても不平一つこぼさない。
ただただ『帝竜女禍』の命令にしたがって、猟兵達を蓬莱島へと近づけさせぬと言わんばかりに囲いを強めるばかりなのだ。
迫る抗体兵器の一撃を『雪斗』の手にした鎌が受け止め、切り返す。
斬撃は抗体兵器の装甲を切り裂き、路子の進路を確保し、その瞳にユーベルコードを輝かせる。
「それにしても壮観だね」
彼女はユーベルコードの輝き宿す瞳で、居並ぶ白銀の抗体兵器たちを見やる。
あの鋼鉄の巨人たちは、人の身に対してあまりにも威圧的すぎる。
生命を殺す目的で造られた兵器であるのだから、当然と言えば当然である。
かつて、シルバーレイン世界で起こった第二次聖杯戦争においては、猟兵たちに力を貸してはくれたものの、本来は生命を厭う側なのだ。
むしろ、これが自然な対立の形であるともお言えただろう。
「善くないね。なら、その行先塞いでみせよう」
降り注ぐは銀色の雨。
ヘヴィンリィ・シルバー・ストーム。
それは万色の雷となって『死兵』たちを打ち据え、降りしきる銀の雨の中の中に沈める。
「沙夜、道が開けたよ。蓬莱島までは……届かなかったみたいだけれど……」
「大丈夫。このまま『雪斗』といっしょに蓬莱島まで行こう!」
「うん、お願いするね」
二人は己たちがユーベルコードによって切り開いた道をまっすぐに進み、蓬莱島を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
この空気感……これは……これは……|シリアス《勇者殺し》!
ステラさん、どうしましょう!
ひさびさのドシリアスで練乳の消費が止まりません(ぢゅうぢゅう
って、いつもの聞いたらちょっと落ち着きました。
さすがステラさん、ブレないですね!
あ、でも練乳はもう足りないです。ポチってなかったです。
それにしても生命賛歌……なんてわたしと相性バッチリの……って!
なんで演奏したらダメなんですか!?
賛歌ですよ!歌には演奏が付きものじゃないで……。
いやー!?
選ぶ前に咥えられてるんですけど!?
なんでフォルさん出てきた瞬間にぶら下げられてるんですか!?
あーもー。わかりましたよぅ。
演奏していいなら我慢しますー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!
香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!!
優雅に美しくメイド参上ですっ(はーと)
皐月様と花様のお姿は無いようですね
いえ、ここだけが戦場では無いのですから
あの抗体兵器に立ち向かうならば適材適所
ルクス様、準備(練乳の補給)は十分ですか?
では生命を謳いに行きましょう
ノー!演奏ノー!!
空中戦、移動を考えるとここは!
フォル!いらっしゃい!!(鳥型キャバリアを呼び寄せ
ルクス様、いきますよー
生身がいいかキャバリアがいいか、選ぶがいい!
フォルが許すかどうかは別です
そんなところで
フォル、【ファム・ファタール】
迅速に一点突破しつつ
ルクス様の|奏魔法《広域破壊音波》で蹴散らすとしましょうか
居並ぶはオブリビオン『死兵』。
白銀の抗体兵器に騎乗した数は、蓬莱島近海を埋め尽くすほどであった。
圧倒的な数を前にして猟兵達は、これが己達を蓬莱島への上陸を阻むものであり、同時に時間を稼ぐための方策であることを知っただろう。
時間の猶予はない。
であればこそ、事態は急を要するのだ。
「この空気感……これは……これは……|シリアス《勇者殺し》!」
もう、そうやってルビ打ってる時点でシリアスではないような気がする。
「ステラさん、どうしましょう! 久々のドシリアスで練乳の消費が止まりません!」
ちゅうちゅうと音を立ててチューブから直に練乳を接種するルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)。
その姿にはどこにもシリアスはなかったように思えたが、誰も突っ込まなかった。有り体に言えば、ツッコミどころ満載であった。
しかし、である。
そう、相方のボケをステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はどう処理するのか。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!!」
答えはボケでボケ返すである。
「優雅に美しくメイド参上ですっ」
はーと。
ボケの天丼である。
そんなステラはキョロキョロと周囲を見回していた。
蓬莱島近海。
探すのは敵ではない。
「『皐月』様と『花』様のお姿はないようですね」
探していたのは、銀誓館学園の教師と生徒である。しかし、ここにはいないようだった。
まあ、とステラは一人頷く。
そう、ここだけが戦場ではないのだから、むしろ、あの交代兵器に立ち向かうのならば適材適所というやつなのだろうとステラは一人で納得していた。
「ルクス様、準備は十分ですか?」
「準備というか、いつもの聞いたらちょっと落ち着きました。さすがステラさん、ブレないですね!」
ちなみに練乳はもう足りない。
なので、ポチっておかなければならないのだが、在庫がない。
仕方ないことである。
「よろしい、では生命を謳いに行きましょう」
「生命賛歌ですよね! なんてわたしと相性バッチリなんでしょう!」
「ノー! 演奏ノー! ですよ!」
「なんでですか!? 敵の数が多いんですよ! それに讃歌ですよ、歌には演奏がつきものじゃあないですか!」
「いいえ! ここでインターセプト! フォル! いらっしゃい!!」
これほど強引なインターセプトもないのではないかと言うほどにステラの掲げた手に呼応するように虚空より現れるのは一騎の鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』であった。
「さあ、ルクス様、いきますよー! 生身がいいかキャバリアがいいか、選ぶがいい!! フォルが許すかどうかは別ですが」
「いやー!? 選ぶ前に咥えられてるんですけど!?」
ルクスはすでに『フォルティス・フォルトゥーナ』のくちばしに咥えられていた。
ノールックというか、シームレスというか。
すでに準備万端とも言える。
「いやー!?」
「フォル、あなたの速度で全てを置き去りになさい!」
ステラの言葉に『フォルティス・フォルトゥーナ』のアイセンサーが煌き、音速を越えて飛翔する。
それは一点突破。
敵の軍勢が、あくまで此方を足止めするためだけにあるのだというのならば、これを貫き突破することこそが猟兵の為すべきことであった。
「あーもー! 演奏します! 空気の壁だろうがナンダロウが、演奏できるなら我慢しますよー!!」
ルクスはルクスでもうやけっぱちであった。
響き渡るのは悪魔のトリル(アクマノトリル)。
音の洪水でもって迫る敵ではなく、空気の壁をぶち抜きながら、さながら暴走超特急のようにけたたましい音を立てながら、二人は蓬莱島へと迫るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
●囮策
飛ぶ!粉砕する!超巨大[球体]くんたちの群!
グループ敵には全体攻撃でドーーーーンッ!!
てやってる横でボクはそれもワンパターンじゃないか?と思ったんだよ
そうボクは賢いから倒さなくてもいいなら倒さない神!
略して倒さな倒さな神!
●本命
[ドリルボール]くんたちによる海底トンネル掘削!これがクレバーなやり方だね!
時間が?何の何の!ボクは大陸間海底開通トンネルツアーも一年で一から開催できると言われた[トンネル掘り]の達人だからね!
ボクの|計算《【第六感】》によれば今から掘り始めればいい感じのタイミングで到着するはずさ!
じゃあとよろしく~と球体くんの上でゴロゴロしてよう!
いつもであったのならば、と前置きする。
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)にとって、敵というのは粉砕するべきものであった。
立ち塞がるのならば粉砕。
向かってくるのならば粉砕。
向こうがこなくても粉砕。
つまるところ、見ればぶっ飛ばす位の感覚であったのだ。
それくらいにロニは単純明快なるシンプルなる戦法を取っていたのだ。
実際、蓬莱島近海のオブリビオン『死兵』たちを襲っていたのは、巨大な球体の群れであった。
だがそこに手繰るロニの姿はない。
「ドーーーーンッっていまごろやってるんだろうなぁ。ワンパターンだなぁって思われてるのかも知れないけれど」
うん、とロニは今、海上にいなかった。
どこにいるのかと言うと、海上ではなく海中でもなく、海底であった。
ワンパターンと言われるのならば、それ以外のパターンもあるって所をみせてやろうじゃあないかというわけである。
それに今回は『死兵』達を無理に倒さなくていい、という話なのだ。
むしろ、そんなことをすれば敵の目論見に嵌まっているのと同じだったからだ。
「ボクは賢いから倒さなくていいなら倒さない神! 略して倒さな倒さな神!」
変な略し方である。
そんな賢いロニが取った方法は、海底を掘り進めて、蓬莱島を海底トンネルでつなごうという大胆不敵なる策であった。
問題は時間である。
「時間なんて関係ないよ! ボクは大陸間海底開通トンネルツアーも一年で一から開催できると言われたトンネル堀の達人だからね!」
言ったもん勝ちである。
掘削球体がゴリゴリと海底を掘り進める中、ロニはぐうたらしながら、蓬莱島へと繋がるトンネルが掘り終わるの待てばいい。
海上では、きっと『死兵』と球体たちがとんでもくドタバタな戦いを繰り広げているかもしれないが、ロニには関係なかった。
「じゃ、あとよろしく~」
ロニはあいも変わらずゴロゴロしている。
彼にとって必要なのはトンネルだけ。
戦わなくてもいいというのならば、戦わない。
本当にそれでいいのか? いいのだろか? だが、問題はない。
実際に蓬莱島までトンネルが掘削できれば、大変便利である。大抵のことはやる前から反対されるし、批判もされる。
だが、ロニと同じようにやったもの勝ちだというのならば、やり遂げてしまえば、あとはその偉業を認めるしかないのだ。
ただそれだけのことなのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
織部・藍紫
故郷に寄ろうと考えたら、この状況。
何や…やれることはやったろやないかい!
月光の魔女のためにも、突破することを優先した方がええんやろ?なら、このUCやよなぁ。
わずかでも速度低下させたら、戦い慣れとらんわしでも、避けられるやろ。相対速度は、わしのほうがずっと速いんでな…!
あと、強い毒は致死性だけは含まんように。マヒとかそのあたりにしとこか。
そう、戦い慣れとらん。猟兵として戦うんは、これが初めてやけんな!
でも、月に関することやから…放っておけんのよ。
他世界を知り、渡ることのできる猟兵にとって故郷たる世界は格別の思いがあると言えるだろう。
少なくとも、神隠しにあって以来、シルバーレイン世界の土を踏むことのなかった織部・藍紫(シアン・f45212)にとっては、そうだったのだ。
「故郷に寄ろうとしてたら、この状況。なんや。なんなんや」
己に突っ込めと言われているような状況であった。
伝え聞くところにおける帝竜。
その一柱が蓬莱島へと侵攻しているのだという。
蓬莱島に住まう月光の魔女。
彼らが籠城を決め込んでいるらしいが、『帝竜女禍』は島の戦力の総力を持ってしても及ばぬ力を持っているのだという。
「なんや、けったいな敵がいるっていうことかいな。なら、やれることはやったろうやないかい!」
翼の生えた蛇に返信した藍紫は、一気に蓬莱島近海を飛ぶ。
飛翔し、見下ろすのは抗体兵器を駆るオブリビオン『死兵』の姿であった。
敵はこちらを足止めするためだけの戦力だ。
だが、それでも近海を埋め尽くす軍勢。
まともに戦っていては、敵の目論見に嵌まってしまうことは言うまでもないことだった。
だからこそ、藍紫は、その瞳に輝くユーベルコードでもって飛翔しながら戦場に速度低下の毒を撒き散らす。
「戦い慣れとらんわしでも、敵の速度が落ちるんなら……!」
相対速度というものがある。
此方の速度は変わらず、けれど、敵の動きが鈍るのならば軍勢の壁を突破することも容易である。
「しかし、もとより死んでる兵士かいな。毒は意味がないっちゃ意味がないな、これは」
問題はない。
要は、敵を躱すのが目的なのだ。
であれば、速度低下の毒性さえまけるのならば、後はなんとでもなる。
「でも、やっぱり不安は不安よな……」
猟兵として戦うことは、これが初めてなのだ。
初戦から敵対するのが、妖狐七星将と帝竜。
その脅威なることは最早語るまでもないだろう。
だが、藍紫は捨て置けなかったのだ。
「月に関することやから……放ってはおけんのよ」
それだけなのだ。
たったそれだけのことか、と言われるかも知れない。
だが、それで十分なのだ。戦うことで傷つくこともあるかもしれない。けれど、今はそれで十分。
戦う理由なんていうものは、いつだって、それだけでいいという納得と共にあるのだから。
藍紫は飛翔し、『死兵』たちの追撃をかわして蓬莱島を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『妖狐七星将『巨門』』
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POW : 黄龍の風
レベルm半径内を【吹きすさぶ風】で覆い、範囲内のあらゆる物質を【突風】で加速、もしくは【逆風】で減速できる。
SPD : 黒腕伸撃
【伸縮する黒き手甲】で攻撃する。命中すると【敵の返り血】を纏い、レベル分間[伸縮する黒き手甲]の威力と切断力が上昇する。
WIZ : 震脚大破壊
【震脚で起こした衝撃波】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
イラスト:みずの瑚秋
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
足止めの『死兵』たちを躱した猟兵達は蓬莱島に上陸を果たす。
だが、その前に現れたのは、妖狐七星将『巨門』の複製体であった。
たった一人。
されど、その一人が問題であることを猟兵達は対峙して知っただろう。
「キミらが猟兵っていうの?」
彼は笑っていた。
浮かぶ表情は無邪気さそのものであったが、みなぎる殺気は狂人そのものであった。
相対するものを傷つけずにはいられない。
戦いの享楽に溺れるように、その瞳は爛々と戦意と殺意がない交ぜになった輝きを宿していた。
「なるほどねー。これは楽しめそうじゃあないか、とってもね」
にこり、と笑む。
重圧が膨れ上がって猟兵たちの肌を灼くだろう。
彼の中で戦意と殺意は同義であった。
殺すために戦うし、戦い続けるために殺す。
それだけのことだった。それだけが己の存在意義であったし、それ以外はどうでもいい。振り返る意味もないし、そう言われることも意味がわからない。
だからこそ、彼は笑ったのだ。
「やろうか! 楽しい楽しい殺し合いってやつをさ――!」
儀水・芽亜
これが、複製された妖狐七星将の巨門。殺戮に溺れていた時期の彼の方ですか。殺意が、実体を持っているようです。
ですが、彼のことも一度は越えてきた身。推して参ります。
「結界術」「全力魔法」「範囲攻撃」眠りの「属性攻撃」「精神攻撃」「回復力」でサイコフィールド展開。
どうです、瞼が重くなってきませんか?
睡魔が彼を襲っている間に、拷問具『鎖蛇』で彼と打ち合いましょう。あの手甲に合う間合いの武器はこれですから。「フェイント」を絡め、「なぎ払い」当たれば「傷口をえぐる」ように打撃を加えて。
手甲の動きは、赤手と似て非なるものですね。何とか「見切り」、攻撃を受けたらサイコフィールドの力で回復しましょう。
これが、と儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は、蓬莱島に上陸したものの、すぐさまに己達を補足した妖狐七星将『巨門』の身より発せられる殺意に体を震わせたかもしれない。
それほどまでの殺意であった。
ただ殺意だけなのだ。
悪意はない。
戦意と殺意がまるで彼には区別できていない。
戦うから殺すのではない。殺すために戦うのだと言うように、単純に殺戮を楽しんでいる。
複製された『巨門』は無邪気に笑っている。
「あれが、殺戮に溺れていた時期の彼の方ですか」
まるで殺意が刃のように芽亜の肌を突き刺すようであった。
「ですが、彼のことも一度は越えてきた身」
「へえーそうなんだ? でもさ、それってあんまり意味なくない? 一度越えられたからって、今回もそうとは限らないでしょ? 殺し合いってそういうものだと思うんだよね。一度たりとて同じ殺し合いがないのと同じでさ」
にこ、と『巨門』は笑って、その手の黒き手甲を構えた。
「推して参ります」
「来なよ。上手に殺してあげるよ」
ひりつく殺気。
芽亜の瞳にユーベルコードが輝くのと『巨門』が彼女の間合いに飛び込んできたのは同時だった。
速い、と思うより早く伸縮自在たる黒き手甲が奔る。
鋭い爪。
その一撃が芽亜の頬を斬り裂く。
鮮血が舞う中、芽亜は鴇色の陽炎を纏ったドーム状の結界、サイコフィールドを展開させる。
初手を譲った形になったが、しかし、それは芽亜にとっては致し方のないことであった。
それだけ『巨門』の力は強い。
初撃をこの程度で済ませられたことは、僥倖であるとさえ言えた。
しかし、振るわれる黒き手甲が膨れ上がる。
「……ッ!!」
「だから、どうしたっていうのさ。君は、ここまでだよ」
微笑みと共に打ち下ろされる一撃。
だが、その一撃は芽亜を大きく外れ、地面をえぐっていた。
「……?」
『巨門』は訝しむ。
狙いが外れた? 何故、と言わんばかりに瞠目しているのだ。
「瞼が重たくなってきませんか?」
畳み掛けるように芽亜は『鎖蛇』でもって『巨門』を責め立てれう。
黒き手甲と打ち合う『鎖蛇』が火花を散らす。
逆に芽亜は最コフィー0ルドの力によって頬の裂傷が癒えていくのだ。
「君、僕に何をしたのかな? なんだか、これって寝起きみたいなんだけれど?」
「いいえ、寝起きではありません。睡魔というのですよ、それは」
「どっちだっていいよ……ああ、考えがまとまらないなぁ、これ!」
そうでしょうとも、と芽亜は『巨門』が睡魔に抗いながらも、此方を圧倒する動きを見せるのを歯がゆく思いながら、彼を消耗戦に引きずり込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
花葉・黄蘗
【月蛇】
…なんや、お前さんも来とったか。ある意味、当たり前か。
今の名前は藍紫、やっけ。油断すんな、行くで。
かつて、月を見張るためにも派遣されてた巨門…今はちゃうみたいやけど…僕がよく知るその性格のままか。
幻影使いで、数多の僕と藍紫(人間態)を創造しての撹乱!
ああけど、傷を負うんは仕方ないか…!それほどまでに、巨門は強敵やけんな。
で、僕は…消えて、なくなれってな!
月と地球で、魔術も盗み盗まれしてたんや、再現方法くらい考えるわ!
でな、藍紫も幻影使いで再現したんわな…理由がある。
いけ、我がオロチ。その力を示せ。
織部・藍紫
【月蛇】
うえ、主!?
いやまあ…考えてみたらそうか…。月の民のこと、考えとった主やし…。
ええ、油断はしませんよ。七星将とか、強敵にもほどがある。
わしは【クレセント・スラッシャー】で軌跡を残すのが最初。つか、あの巨門の黒腕、めちゃ怖いな!?
が、わしの幻影出たら、変身解除。オロチやってな!
まあ、「オロチ」って聞こえたら、デカいの想像するやろうけど。
残念、今のわしは50cm程しかない蛇やねんて。
やから…その小ささ活かして意識外から素早く近づいて、巨門に近づいてから噛み付いて、「オロチの毒牙」で眠気毒を流し込んだるわ!
「うえ、主!?」
「……なんや、お前さんも来とったか」
そのやりとりは蓬莱島に上陸したタイミングが偶然か、はたまた必然かによって成されたものであった。
織部・藍紫(シアン・f45212)と花葉・黄蘗(卜者/夢の防人・f44417)。
二人はなんとかオブリビオンの大群を掻い潜って、蓬莱島に到達していた猟兵である。その二人がこれから月光の魔女たちと合流を果たそうとした時、互いの姿が見えたのだ。
「まあ、ある意味当たり前か」
「いやまあ、そうですね。考えてみなくてもそうか……」
「ねえねえ、僕をおいてけぼりにして二人の世界に入らないでほしいな~」
そんな二人を前に現れたのは、猟兵との戦いによって消耗し始めた妖狐七星将『巨門』の複製体であった。
彼は首を傾げて二人を見ている。
値踏みするようでもあったし、一人ずつ殺すべきか、それとも二人一片に殺すべきかを考えあぐねているようにも見えた。
「どっちからにしようかな。それとも二人いっぺんがいいかな。迷うな~」
今現在を生きる猟兵として覚醒した『巨門』ではない。
複製体いは過去の『巨門』である。
殺戮を楽しみ、思うがままに力を行使していた頃の、何の呵責もない存在。
それが二人を見ていたのだ。
「今の名前は」
「藍紫です」
「そっか。油断すんな、行くで」
「ええ、油断はしませんよ。妖狐七星将とか、強敵にもほどがある」
「おやおや~? もしかして僕らのことを知っていたりする感じ? なら、わかるよね。うん、わかっちゃうよね?」
無邪気に微笑む『巨門』が掛けた。
一瞬で、黄蘗と藍紫の体が黒い手甲の鋭き爪の一閃で薙ぎ払われる。
「ほら、悠長にしていられないでしょ? 僕を前に幻影とかさぁ~……そういうのってあんまり良くないって思うんだよね!」
伸縮自在の手甲は黄蘗の生み出した幻影を撹乱と分かっていながら、振り抜き一撃でむさんさせていく。
まるで黒い嵐そのものであった。
「うえ……! めちゃ怖いな!?」
「言うたやろ、油断すんなって! 今はちゃうみたいやけど……僕がよく知る性格そのままか」
「どうだっていいよ~むしろ、真っ向から楽しもうよ! せっかくなんだからさ! 思う様に拳を奮って、さぁっ!!」
黒い手甲と藍紫のはなったクレセント・スラッシャーの一撃が激突して火花が散る。
三日月型の衝撃波が戦場に残り、その衝撃波を叩き割るように『巨門』の黒い手甲が打ち下ろされる。
衝撃に藍紫の体が吹き飛び、さらに追撃の一撃が放たれる。
「くっ!」
人間形態から変身を解除して藍紫の体が縮む。
本来の蛇としての姿へと変身した藍紫は、その体躯故に『巨門』の一撃を躱せたのだ。
「あら、小さくなっちゃった! でもさ、そういうのって、一度やったらもう意味ないんじゃない? むしろ、通用するって思ってる時点で舐めてるでしょ、あははっ!!」
迫る藍紫の体躯が走るのを見て『巨門』は砕いた衝撃波の残滓を蹴って空中へと飛ぶ。
「せやな。だからこそ、そこに隙が生まれるちゅうもんや――消えて、なくなれっ!」
再現:白燐蟲大拡散砲・月(ツキニテサイゲンセシビャクリンノワザ)。
それは、月の魔力で再現された白燐蟲の群れ。
迸る裂帛の気合と共に『巨門』の体が打ちのめされ、吹き飛ぶ。
辛うじて手甲で防御したようであるが、盛大に吹き飛ばされた体が地面を割りながら押し込まれていく。
「あははっ、いいね! やっぱり殺し合いが一番楽しいよ! 何の代わり映えもない監視なんてつまらないもんね~! あ~やっぱり、殺し合いって最高だよ。こんな楽しいこと、なんでみんな嫌がるんだろうね?」
「それもわからんか」
「わかんないな~。だって、こんなに楽しんだから、他のことなんてどうでもよくない?」
黄蘗は息を吐き出す。
やはり、と思うであろう。
猟兵として覚醒した『巨門』とは明らかに違う。
この殺戮を楽しむ純粋さこそが『巨門』の強さ。だが、猟兵と覚醒し、過去の非道を償い難いことであると後悔している『巨門』が弱いとも思わない。
強さの定義は異なる。
だが、黄蘗は思うのだ。
「力を示す、ということは、たたいたずらにひけらかせばいいというものではない」
「どうでもいいよ。楽しければさ!」
「ならば、お前は此処までだ」
複製体と言えど、その力は本物である。それを示すように『巨門』の重圧は益々膨れがっていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
山吹・慧
あの頃は太刀打ちできる相手ではありませんでしたが、
今は違う……と思いたいですね。
我が玄武の拳があなたの黄龍の拳にどこまで通用するか……。
お相手願いますよ。
真っ向勝負でいきましょう。
敵の攻撃を【ジャストガード】と【オーラ防御】を駆使して
凌ぎながら、【学習力】で手甲の動きを憶えていきます。
玄武の拳は守りの拳。そう簡単には崩せませんよ。
そして【セカンド・イグニッション】を発動。
【功夫】と【グラップル】の技術で攻めに転じ、
手甲の攻撃が来たならば【集中力】で【受け流し】て
浄黒で【リミッター解除】した【カウンター】を放ちます。
良いものですね……こういう勝負は。
妖狐七星将『巨門』。
かつての強敵の複製体は、あの頃と変わらぬように山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)には思えてならなかった。
事実、その通りであったことだろう。
あの『巨門』は、殺戮を純粋に楽しむことしか頭にない。
「アハハッ、楽しいね! やっぱり何も考えずに拳を風流ことができるのは、心地よいよね~」
からからと笑う『巨門』は敵対者でありながら、どこかさっぱりとしていた。
なんのしがらみもなく、ただ相手を屠る。
殺戮こそが己の喜びだというように、その黒き手甲を唸らせ、慧へと攻撃を叩き込んでくるのだ。
そう、この実力を彼は知っている。
あの頃は太刀打ちすることができる相手ではなかった。
けれど、今は違う。
違うと思いたい。
「我が玄武の拳が、あなたの黄龍の拳にどこまで通用するか……御相手願いますよ」
「いいね! キミ! そういうの僕はとっても楽しいって思うんだよ。小細工なし、だよね、勿論!!」
喜びいさむように『巨門』が迫る。
伸縮自在なる黒き手甲が、大蛇のようにうねり、慧の頭上へと叩き込む。
その衝撃に意識が飛びそうになるが、それでもオーラを重ねた防御でもって慧はなんとか耐えていた。
「これも耐えるんだ! いいね~いいよ~! もっと、さあ!!」
覚えている。
あの動きを。
手甲は確かに伸縮自在で規則性を見いだせないかのような動きをしているが、それでも慧は覚えていた。
そして、玄武の拳は護りの拳。
であればこそ、攻め立てるように迫る黒き手甲に打ち破れる道理はない。
「守ってばっかりじゃあ、楽しくないよ!」
「いいえ、護りこそ僕の本領。であれば……起動せよ、詠唱兵器! さらなる力を見せよッ!!」
ユーベルコードに煌めく慧の瞳。
猟兵に覚醒した力。
セカンド・イグニッションとも言うべき輝きと共に慧は一気に踏み込む。護りから一転して攻めに。
踏み込んだ高尾節の一撃が『巨門』の手甲をひしゃげさせながら吹き飛ばす。
「おっ、おお~っ!? キミ、能力者だろ? なに、今のは!」
「猟兵として覚醒した力です……ここからは!」
互いの手数は多い。
打ち合う拳と拳。
慧のドリルガントレットが火花を散らして『巨門』の黒き手甲の装甲を引き剥がし、さらにリミッターを解除された発剄手袋の一撃が、防御すら浸透して『巨門』の臓腑を揺るがすのだ。
「やるね~! いいよいいよ、楽しいね!」
「あなたの楽しいとは、また違うかもしれませんが……」
良いものだ、と慧は思う。
これが勝負だというのならば、それもまた喜び。
あの死と隣り合わせの青春を思い出しながら、慧は踏み込んだ『巨門』の懐、そのゼロ距離での発剄たる一撃を叩き込み、己の成長を実感するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
霞・沙夜
【路子と】
妖狐七星将の複製……。
複製ってだいたい歪んでるものだけど、今回はあまり変わった気がしないですね。
オリジナルから歪んでたからなのでしょうか。
せっかくなら歪んで真っ当になってもよかったのだけど。
どちらにしても、いまさらあなたの出番はありません。
骸の海に還った方が良いと思います。また石になりたいのですか?
そうですか。
ならこんどはわたしたちが猟兵として『教育』してあげましょう。
路子さんの援護を受けつつ、雪斗とともに巨門に向かいます。
なんとか懐に潜り込んだら【終の一閃】。
できれば深手を、そうできなくても巨門に隙を作って、
路子さんに一撃入れていただきましょう。
ただの複製では勝てませんよ。
遠野・路子
【沙夜と】
ふむ、妖狐七星将の『巨門』
私のイメージは見た目わんこなのに、いたずらして廉貞とか破軍とかに怒られてる巨門
でも『目の前』のコレは……月から帰ってきた時の複製なのか
うーん、見た目トゲトゲしくて強そうだけど……
全然ダメだねカッコ悪い
猟兵になって弱くなった、とか言ってた気がするけど
『今』の巨門の方が断然カッコいいね
強い方が残る、シンプルなルールでいいはず
沙夜がボコボコにする……冗談
いこう、沙夜、雪斗
接近戦は沙夜達に任せる
私は『蒼銀の光芒』を連続で叩き込んで進路を支援
隙が出来たら仕掛ける
【瑠璃銀奏刃】――貫け、瑠璃の弾丸
もしかしたら『今』の巨門なら凌げたかもね?
力だけで生命を奪えると思わないで
アハハハ、と無邪気な笑い声と共に妖狐七星将『巨門』は蓬莱島に上陸した猟兵達と戦いを繰り広げていた。
ユーベルコード同士の激突は苛烈そのものであったし、彼の体は消耗の一途を辿っているはずだった。
「もっと楽しませてよ! せっかくの戦いなんだしさ! キミらもそうだろう? 戦うためにわざわざこんなところまでやってきたんだろうしさ!」
『巨門』のその言葉に霞・沙夜(氷輪の繰り師・f35302)と遠野・路子(悪路王の娘・f37031)の二人は、やはり猟兵に覚醒した『巨門』ではないのだと理解しただろう。
あれはまごうこと無く複製体だ。
少なくとも、路子にとってはそうだった。
彼女の中の『巨門』は見た目わんこであった。
「いたずらして『廉貞』とか『破軍』に怒られるよ」
「アハハッ、知ったことじゃないよ! 今楽しければ、それでいいじゃあないか!」
振るわれる黒き手甲。
伸縮自在なる黒き手甲は、まるで生きた大蛇のように路子へと襲いかかる。その一撃を彼女は受け止め、踏みこらえた。
「……月から帰ってきた時の複製なのかな。うーん、見た目トゲトゲしくて強そうだけど……」
「複製体って歪んでるものだけど、今回はあまり変わった気がしないですね。オリジナルが歪んでたからなのでしょうか」
「言ってくれるじゃん! なんのことか全然わからないけど!」
『巨門』の身より噴出する黄龍の風。
吹きすさぶ風は、あらゆるものを吹き飛ばし、沙夜と路子の二人を弾き飛ばす。
更には、彼女たちに向かい風でもって動きを止め、さらに伸縮自在なる黒き手甲のレン撃でもって攻め立てるのだ。
「せっかくなら歪んで全うになっても良かったのだけど」
「全然ダメだね、カッコ悪い」
猟兵として覚醒した複製体ではない『巨門』は、弱くなったと彼自身が語っていた。
だが、眼の前の複製体の『巨門』を見れば路子は思わずにはいられない。
「『今』の『巨門』の方が断然カッコいいね」
「今って何さ。そんなの知らないよ! 僕はね、今が楽しくって仕方ないんだ! だから!」
振り抜かれた一撃に路子の足が沈む。
「どちらにしてもえ、今更あなたの出番はありません。躯の海に還った方が良いと思います。また石になりたのですか?」
「僕は楽しく殺し合いたいだけさ! それだけ!」
「そうですか。なら今度はわたしたちが猟兵として『教育』してあげましょう」
沙夜の言葉と共に路子と『雪斗』が『巨門』に迫る。
「風を斬り裂く……ボコボコにする」
「ええ、ボコボコにしましょう」
「……冗談」
けれど、沙夜の目は笑っていなかった。
むしろ、それくらいの気概がなければ『巨門』を如何にかすることなどできなかっただろう。
それほどまでに苛烈なる戦いが繰り広げられていた。
「行こう、沙夜、雪斗」
「はい! 霞流、絶技……!」
沙夜と共に『雪斗』が『巨門』を中心に据えるように挟み込み、終の一閃(ツイノイッセン)を打ち込む。
初撃の一撃から流れるように『巨門』の体を縛り上げる操り糸。
それは『巨門』の動きを僅かに止めるばかりであったが、一瞬であっても隙は隙。
沙夜と『雪斗』はこの一瞬の隙を作るために『巨門』を挟み込んでいたのだ。
「ハハハッ、やるじゃないか! でもねぇ!」
「いいえ、あなたはただの複製。勝てるわけないじゃないですか。だって」
そう、これまで歩んできたものが違う。
彼が月から帰ってきた殺戮しか知らぬ『巨門』であったのならば、己たちとは決定的に歩みが違うのだ。
だからこそ、路子の瞳がユーベルコードに輝く。
「瑠璃銀奏刃(ルリギンソウハ)――貫け、瑠璃の弾丸」
放たれる一点を貫く一撃。
それが『巨門』の防御すらも貫通し、その身をうがったのだ。
「ハ、ハハ? え、なんで? これ……防いだのに」
「もしかしたら『今』の『巨門』なら凌げたかもね? 力だけで生命を奪えると思わないで」
「わたしたちは歩み続けている。オリジナルの彼も。だから」
過去だけの『巨門』には勝てないのだと言うように、二人は『巨門』の複製体を退けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
これは……これは……。
これは、勇者として許したらいけない案件ですね(きりっ
……フォルさん、せっかく決めたんですから下ろしてくださいよぅ。
うふふふふ。
めずらしくわたしの中の勇者魂が燃えています。そして言っています。
|巨門《あれ》は倒さなければいけない存在だと!
あーいうのは絶対碌なことしないんです。
おんなじ考え方の人たちで山奥とかでやりあっていればいいのに、
無駄に人里に降りてきて、無理に喧嘩ふっかけるんですよ。
田舎ヤンキーとおんなじ思考回路の人たちなんで、駆除するしかないんです。
ですよねステラさん!ね!
ということで、今は勇者モードでいきますよ!
過去の存在は骸に戻れ。世界を正しき姿にー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
なるほど、これが……妖狐七星将『巨門』!
敵に回ると厄介な相手と見受けます
ルクス様、シリアス死しないように練乳……アレ?!
何か覚醒してます!?
ばかな……年に何度かの勇者デーだったのですか今日!!
まぁ勇者魂はさておき、倒すべきという意見には賛成です
本物じゃないのなら倒してしまっても問題ないのでしょう?
田舎ヤンキーとはよく言ったもの
ルクス様、今日なにかすごいですね!?
その調子で全力で突っ込んでくださいませ!
さて、派手に踊って頂きましょうか
【アウクシリウム・グロウバス】で支援します!
『ニゲル・プラティヌム』の二丁から
弾幕作る勢いで連射!
ルクス様、今です!
久しぶりに勇者炸裂でお願いします!
ぐらりと揺れる妖狐七星将『巨門』の体。
穿たれた体躯から溢れる血潮を見つめながら、しかし彼の顔に浮かんでいたのは喜びだった。
「アハハハッ! やっぱり楽しいね!」
あるのは純然たる殺意。
ただ相対するものを殺すための意識。
それだけが彼を突き動かしていた。敵対者が何者であろうと関係ない。関係性があろうがなかろうが、どうでもよかったのだ。
ただただ殺す。
殺戮を楽しむものにしか理解できない思考。
「さあ、もっともっと楽しもうよ!」
溢れる出る風。
それは周囲に在りしもの全てを退ける風であった。
「これは……これは……これは、勇者として許したらいけない案件ですね」
きりっ、と無駄にシリアスに決めているが、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』のくちばしのさきに咥えられっぱなしであった。
非常に決まりきらない。
「あの、せっかく決めたんですから降ろしてくださいよぅ」
「いえ、別に決まってはいないですよね」
吹きすさぶ風の中、ステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』から降り、ルクスへと迫った黒き手甲を二丁拳銃で弾いた。
「ひえっ」
「なんだい、邪魔しないでほしいなぁ」
「妖狐七星将『巨門』……まさしく戦うためだけの存在そのもの。猟兵として覚醒した『巨門』とはまた……厄介な相手と見受けます」
「それ、あんまり僕には意味ないと思うんだよね~」
「ですが、それでも『今』のあなたとは違うのです。意味なくとも……」
そこでステラは気がついた。
この空気。
シリアス! ルクスが最も苦手とする状況である。シリアス死しないように練乳を、と振り返ったステラであったが、そこにいたルクスは笑顔を浮かべて立っていた。いつの間に。
「うふふふふ。めずらしくわたしの中の勇者魂が燃えています」
いや、いつも燃やしておいて欲しいものである。
「そして言っています。|『巨門』《あれ》は倒さなければならない存在だと!」
「いいねいいね、やる気があっていいね~? けどさ、そういうのは、実力を示してからにしてほしいな!」
振り上げられる黒き手甲。
その唸るような一撃が叩き込まれ、しかしステラによって阻まれる。
手にした二丁拳銃の銃身が再び、その一撃を防いだのだ。
「キミもやるようだけどさ~、もうちょっと頑張ってほしいな」
「いえ、それよりも……ルクス様、何か覚醒しています!?」
「わかってます! あーいうのは絶対ろくなことしないんです。おんなじ考え方の一太刀で山奥とかでやってればいいのに、無駄に人里降りてきて無駄に喧嘩ふっかけるんですよ。俺より強いやつに会いに行くって言って!!」
「そりゃそうでしょ。飽きるもん」
「ほら、それ! それが田舎ヤンキーとおんなじ思考回路なんですよ! そんなの駆除するしかないんです! ですよねステラさん! ね!」
視線を向けられてステラは、嫌だなぁって顔をした。
まあ、田舎ヤンキーとはよく言ったものである。
だが、しかしである。
田舎ヤンキーよりも『巨門』はたちが悪いのだ。
ただのチャレンジャー精神にあふれているのならば、まだマシだ。
けれど、彼は殺戮を楽しんでいる。
ただそのためだけに方方で騒動を巻き起こす。
「というわけで、勇者モードでいきます! 過去の存在は骸にもどれ。世界を正しき世界にー! 世界調律(セカイチョウリツ)!!」
放たれる調律波が『巨門』を容易く吹き飛ばす。
え!? とステラは思わず目をひん剥いてしまった。
ルクスがやる気に溢れているだけでもあれなのに、なんだあの威力は?
『巨門』とて容易い敵ではないはずだ。
なのに、今日のルクスはなんだか一味も二味も違うのだ!
「久しぶりの勇者炸裂、すごすぎませんか!?」
「多分、チャージ制なんですよ。ターン制バトルと似た感じですよね!」
わ、わからん!
さっぱりわからんが、なんか今日のルクスはとんでもないぞ――!?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メリー・スペルティナ
殺し合い、といいつつ自分が殺す気しかない……さては貴方殺人狂とか戦闘狂の類ですわね!?
UCを使用してからの闇に紛れたりしつつのシュバルツシュテルンでの剣戟戦ですわ!攻撃は第六感で…なんとかします!多少の傷や流血であれば構いはしませんのよ、このぐらいの痛みは我慢ですわ!
ええ、確かにそのUCを下手に受ければどんどん攻撃は鋭く研ぎ澄まされ不利となる。けれど……わたくしの「返り血」を纏うなんて……いいんですの?
返り血とともに、この血がその内に取り込み浄化も追いつかず濃縮され続けた呪詛や怨嗟を浴びせ、
更にUCによる行動失敗率上昇のダメ押しで動きを鈍らせ、そこに一太刀お見舞いしてやりますわよ!
猟兵の一撃に吹き飛ばされた妖狐七星将『巨門』は無邪気に笑っていた。
血に塗れながら、それでも、だ。
彼にとって戦いとは殺し合いだ。
殺戮なき戦いに興味などない。戦ったのならば殺さずにはいられない。
それが戦いの決着、ただ一つだったからだ。
「いやぁ、ほんっと強いなぁ! 楽しくなってきちゃったよ!」
その笑う凄絶なる姿にメリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)は嘆息するしかなかった。
「殺し合い、といいつつ自分が殺す気しかない……さては、貴方殺人狂とか戦闘狂の類ですわね!?」
「そうなのかな? そうかな? そうかも!」
あはは、と『巨門』はメリーの言葉に笑う。
否定はしない。
けれど、肯定しきれるほどに彼は己のことを知らないのだろう。
己が殺戮を楽しんだことを非道とすら認識できないのだから、当然と言えば当然であった。
「でもキミはそうじゃないのかなぁ?」
振るわれる黒き手甲が伸縮自在にメリーへと襲いかかる。
唸る大蛇のようにメリーを打ち据え、手にした『シュバルツシュルテン』が火花を散らして打ち返す。
その応酬はメリーの第六感でなんとか成り立つものであった。
しかし、それでも凄まじい連撃は彼女の身を引き裂き、流血を齎すのだ。痛みが襲いかかり、メリーは顔をしかめる。
「アハハッ! どうやら僕とは全く違う人種みたいだ! でもでも、殺すことにあんまり変わりはないよねぇ!!」
メリーの血潮が黒き手甲のみならず『巨門』の皮膚にも飛ぶ。
返り血を浴びれば浴びるほどに『巨門』の攻撃は冴えわたるようだった。
「……いいんですの?」
「何が?」
「それはわたくしの『返り血』なのですよ?」
そう、メリーのケツ系は全てが呪詛や怨嗟。
内に取り込みながら浄化も追いつかぬ呪詛と怨嗟が血に濃縮されてるのだ。
それは『巨門』の傷ついた体躯から染み渡っていくのだ。
「……? それがどうかしたの?」
振るう一撃がメリーから大きく反れる。
大地をえぐるほどの一撃であったが、しかしメリーは健在だ。躱すこともせず、ただ立っている。なのに『巨門』の攻撃がまるで当たらないのだ。
「どういうこと、これ?」
「簡単な話ですわ。呪詛と怨嗟。わたくしの身に宿るそれと同等の呪いが今、貴方に降り掛かっているのです。いえ、決して、わたくしのぽんこつ具合と同じになっているということではありませんのよ」
そう、それは伝播する呪い(オマエモポンコツダ)。
メリーの身に流れる呪いを『巨門』にも味合わせるユーベルコードが、返り血を浴びた時点で発動していたのだ。
対するメリーは徐々に喪った血と共にポンコツ具合が回復してきているのだ。
「それってつまり?」
「こういうことですわよ!」
振るう剣の一撃が『巨門』の黒き手甲ごと押し込むようにして放たれ、その身を袈裟懸けに切り裂いた――。
大成功
🔵🔵🔵
古森・ちゆり
ぴゃ、ぴゃーん!!
こ、ここ、こわいけど、ここで退くわけにはいかないもん……負けられないもん……!
ユーベルコード【ちゆりディフェンダー】…!
周りの地形をりようして、『ちゆりねっと』をいっぱい張って攻撃に対処するよ…!
さらに『蟲笛』で白燐蟲たちを呼んで(蟲使い)、攻撃してもらうよ…!
わたしも「ちゆりねっと」の隙間から『赤弓手』で妖気の矢を放って(スナイパー)攻撃するよ…!
もしちゆりねっとを突破されたら、『身代わりちゆぐるみ』で|受け止め《盾受けし》て、
『にゃにゃこ』『白燐蟲』『赤弓手』でのいっせい攻撃をするよ…!
こ、怖い。
戦いはいつだって怖いものだ。
けれど、眼の前の敵は格別に怖い。
妖狐七星将『巨門』。その力は強大に有り余るものであったし、古森・ちゆり(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35520)は相対しているだけで身をすくませてしまうものだった。
「おや、子供がどうしたんだい? いや、子供だからってどうだってわけでもないんだけれど」
無邪気に笑うのは、血に塗れた『巨門』であった。
彼の体にはいくつもの傷が刻まれている。
これまで猟兵たちとの戦いで消耗しているのだろう。その傷跡は裂傷もあれば、穿たれたような跡もあった。
そんな身になっても『巨門』は退くことをしなかった。
むしろ、体の痛みに喜んでさえいるようだった。
「こ、ここ、こわいけど、ここで退くわけにはいかないもん……負けられないもん……!」「えー、そっか~? えらいね~? なら、いいよね?」
何が、と問うまでもない。
ちゆりを襲うのは黒き手甲。
うねる大蛇のように振り降ろされた手甲がちゆりを圧殺せんと迫っていた。
だが、ちゆりの姿はそこにはない。
彼女は周囲に張り巡らせた蜘蛛の糸……『ちゆりねっと』でもって引き寄せられるように手甲の一撃をかわしたのだ。
「へえ~やるじゃん! なら、これならどうだい!」
鞭のように撓る手甲が躱した彼女を更に追いかけるようにして奔る。
「びゃーん……!」
ちゆりは涙目になりながら、しかし、その瞳にユーベルコードの輝きを宿す。
それこそが、ちゆりディフェンダー(チユリディフェンダー)。
彼女のユーベルコードは蓬莱島の地形をりようし、『ちゆりねっと』でもって攻撃を躱し、受け止め、さらには蟲笛でもって呼び寄せた白燐蟲たちでもって『巨門』を追い詰めるのだ。
「白燐蟲……鬱陶しいなぁ!」
振るう黒き手甲の勢いが削がれている。
その身から血を失い続けているからであろう。その鈍った動きをちゆりは見逃さなかった。
己が張り巡らせた蜘蛛糸の合間から腕覆う鎧型の詠唱兵器から矢を『巨門』へと射掛けるのだ。
だが、それすらも『巨門』は構わず、ちゆりへと突進するように踏み込んでくるのだ。
「アハハッ! たのしいね、お嬢ちゃん! でも楽しい遅日はこれまでさ!!」
振り降ろされた手甲。
その一撃がちゆりを両断する。
「手応えがない……」
そう、彼が両断したの『身代わりちゆぐるみ』であった。
わたが溢れ出し、ちゆりが飛び出す。
「まさか……身代わり!」
「びゃーん……い、いくよ、『にゃにゃこ』……!」
左右から『巨門』を挟み込むのは、ちゆりと『にゃにゃこ』。
白燐蟲と放たれた矢、そして『にゃにゃこ』の放つ拳の一撃が『巨門』を打ち据えた――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
HAHAHA! ベリーグッドな威勢デース!
ドーモ、巨門殿! バルタン・ノーヴェであります!
複製体である御身は初見でありましょうが、我輩はアナタの強さをしっかり見聞きしてマース!
なので今回の機会はとても喜ばしいでありますな!
殺意も戦意も絶好調! 楽しいバトルを満喫しマショー!
黄龍の風を前にして、ノーマルの武装ではハイリスク!
なので「六式武装展開、風の番!」
風の見えざる手で応戦しマース!
突風も逆風も、告風楼の圧縮空気で掴んで押え込むストロングスタイルであります!
あとは手甲や蹴り技に注意しながら、ファルシオンを片手に白兵戦をエンジョイしマショー!
互いに鎬を削り合うことは、実に素晴らしいことデース!
「っあー……血を失いすぎたのかな、頭がクラクラするよ」
ふらつく体をゆすりながら妖狐七星将『巨門』は頭を振った。
確かに彼の身から流れる血は相当量のものであった。
今でも五体満足に体が動かせている事自体が、驚異的なことであった。
しかし、それでも彼は退くことをしない。
むしろ、溢れる脳内物質のせいか、ハイテンションと言ってもいい様子であった。
「でも、楽しいねぇ。やっぱり殺戮っていうのは血の匂いがしないと!」
「HAHAHAHA! ベリーグッドな威勢デース!」
「ん? 君は?」
振り返った『巨門』の前に現れたのは、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)だった。
「ドーモ、『巨門』殿! バルタン・ノーヴェであります!」
「ドーモ、ってお返しすればいいんだっけ? いや、よくわかんないけど」
「HAHAHA! それでオーケーでありマース! 複製体である御身は初見でありましょうが、我輩はアナタの強さをしっかり見聞きしてマース」
「へえ? それで?」
どうするのだと言わんばかりに『巨門』の身より溢れるのは風であった。
向かい風にバルタンの体が圧される。
凄まじい風は、それだけ『巨門』の力の強大さを知らしめるようでもあった。
「今回の機会はとても喜ばしいでありますな! 殺意も戦意も絶好調! 楽しいバトルを満喫しマショー!」
「ハハッ、君とは気が合いそうじゃあないか! だったら!!」
轟々と吹き荒れる風。
その風に圧倒されるようにバルタンは『巨門』が踏み込み、その殴打の一撃を己が身に叩き込んだ衝撃に吹き飛ぶ。
だが、バルタンを打ち据えた拳にまたもや手応えがないことを『巨門』は知る。
「なんだいまた身代わり……いや、違うね、これは……空気を殴ったみたいだった!」
「オー! よくおわかりに! そう、これこそは、六式武装展開、風の番!『巨門』殿、あなたの拳、視えぬ空気の手で受け止めさせていただきマシタ!」
「視えない拳か。それは面白そうだ!」
「そうでありましょう! 名付けて告風楼(コンプレスド・エアー・アームド)! あなたの風も取り込み抑え込むストロングスタイルでいかせていただきマース!」
バルタンは迫る手甲をファルシオンで切り払いながら、さらに踏み込む。
ここで立ち止まったり、躊躇ったりしては押し込まれる。
だからこそ、バルタンは『巨門』の気迫に圧倒されること無く前に踏み出し、その一撃を叩き込むのだ。
「アハハハッ、楽しいね!」
「ええ、実に素晴らしいことデース!」
火花を散らすように互いに打ち合う二人。
それはさながら演舞のようであったし、まるでじゃれる獣のようでもあった。
互いにしのぎを削り合うことは刺激を与えうということ。
共に研鑽した戦いの術がある。
それを示すように二人は互いに攻撃を叩きつけ、さらにバルタンは一歩踏み込んでファルシオンの一撃と共に視えぬ空気の拳を鉄槌のように『巨門』の頭蓋へと叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
おいおい…おめーあれか
殺し合いでしか生きる意味を見いだせないとか戦闘狂気取りかこのやろー
あのわんわん野郎みてーだな
「もっと楽しい事も一杯あるのにね☆」
まぁいいや…取り合えずボコるぞ
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の攻撃とその癖の把握
【念動力・属性攻撃・空中戦・弾幕・オーラ防御】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾と共に凍結弾を乱射
更に念動障壁を展開しつつ出血防御
このカシムさんの血を野郎なんぞにやってたまるかぼけぇ!
【電撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣と打刀による連携連続斬撃を叩き込み切り刻み
金目の物になりそうな武装諸々を強奪!
お前なら身包み剥いでもいいよなぁ!
「マッパにしちゃえ☆」
頭蓋を打ち据えられて血潮が舞う。
視界が赤く染まって尚、妖狐七星将『巨門』は笑っていた。
顔面はもう血潮にまみれ、乾いた血潮がパラパラと地面に落ちている。
ゆらりと揺れた体は限界ではないのかと思えるものであったが、しかし、その顔に浮かぶのはやはり無邪気な笑顔であった。
「たのしいねぇ。全力を出しても壊れないどころか、僕を壊す勢いだなんてさ。こんな楽しいことなんてないよね!」
唸るように黒き手甲が伸縮自在たることを示すように鞭のように撓る。
「おいおい……おめーあれか。殺し合いでしか生きる意味を見いだせないとか戦闘狂気取りかこのやろー」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の言葉に『巨門』は首を傾げるばかりであった。
「そうかな? 名前に意味はないけど。生きるってことは戦うってことだから、それ以外の何に意味を見出すのさ。他にもあるのかい?」
「ったく、あのわんわん野郎みてーだな」
カシムは頭を振る。
『もっと楽しいこともいっぱいあるのにね☆』
「あるかな? 少なくとも僕はないかな!」
撓る黒き手甲がカシムへと襲いかかる。
「逃げないってことは、どこでも壊していいってことだよね!」
「馬鹿か、んなわけあるかよ!『メルシー』!」
『ラジャったよご主人サマ♪』
その言葉に『メルシー』が少女形態でもって一気にカシムと『巨門』の間に割って入り、その黒き手甲を掴み上げて『巨門』の体を振り回す。
「お、おお? なんだい君、小さな体をして力持ちだね!」
『それだけじゃないんだぞ☆』
さらにカシムが『巨門』に入れ替わるようにして踏み込み、その鎌剣と打刀の連続攻撃を叩き込む。
距離を離しても念動光弾と凍結弾の弾幕が襲いかかり、間髪入れずに追い込んでいくのだ。
「あははっ! 早い早い! 君等二人で一組なのかな!」
「そうかもしれねーが!」
魔力と思考を共有するユーベルコード。
『名付けるなら、メルシー&カシム『ロバーズランペイジ』(キシントトウゾクノダイジュウリン)、だよね☆』
「変な名前つけんじゃねー!!」
カシムは互い高速機動の連続攻撃と共に『巨門』を追い込んでいく。
反撃の暇など与えない。
それが速さと共に二人にはできるのだ。思考も共有しているがゆえに、その連携に隙はない。如何に『巨門』が強大な力を有しているのだとしても、その嵐の如き連続攻撃は出血おびただしい『巨門』にはしのげるはずもないだった――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
おお、この者が巨門の複製体だったか
本人が存命なのに出現するとは…私達にも起こりうることかな?
「俺ら神機シリーズも何機か出てるから可能性はありますね?」
しかしながら恐ろしい殺気だ…さてはお前…脳髄にパワーが足りず狂気に侵されているな!ならばこの私が圧倒的なパワーのチョコで救済して見せよう!
「ぴぃ」
【戦闘知識】
敵の能力と動きを把握
あの爪は危険そうだな
【第六感・念動力・弾幕・空中機動】
UC発動
神機の主もついでに発動
「序って何!?」
超高速で飛び回り念動手裏剣を叩き込み
【二回攻撃・切断】
鎌剣とTCで切り刻んでから
【薬品調合・爆破】
今こそ救済の刻!
真・ぜっちゃんチョコを巨門のお口に捻じ込み捻じ込み
どかーん
血染め、というのが正しいほどに妖狐七星将『巨門』の身には猟兵たちの攻勢による傷が刻まれていた。
だがそれでも彼が立っているのは、その強大な力が示すとおりである。
「うんうん、やっぱり殺し合いが一番楽しいよね! 生きてるって感じ!」
血まみれになりながら『巨門』は笑っていた。
その様を、皇・絶華(影月・f40792)は見やり頷く。
あれがそうなのか、と。
「この者が『巨門』の複製体だったか。本人が存命なのに出現するとは……私達にも起こり得ることかな?」
彼の言葉に『サートゥルヌス』は首を傾げた。
可能性はあるのかもしれないが、如何せん事例というものが乏しいのだ。
であれば、可能性がないとも言い切れない。
「まあ、俺等神機シリーズも何機かでてるから可能性はありますかね?」
「うむ。しかしながら、恐ろしい殺気だな!」
「そう? ただ楽しいねって言っただけなんだけど」
『巨門』の言葉に絶華は頷く。
血を失いすぎているからか、『巨門』の言葉はどこかふわふわしているように思えてならなかったのだ。
「さてはお前……脳髄にパワーが足りず狂気に犯されているな! ならばこの私が圧倒的なパワーのチョコで救済してみせよう!」
「何言ってるのか全然わからないけど」
「いいや、わかるはずだ!」
その言葉に『サートゥルヌス』は悲鳴を上げる。
「わかんないってば! しつこいなぁ!!」
振るわれる黒き手甲。
鞭のようにしなりながら、振り降ろされた一撃が絶華に襲いかかる。
あの一撃はかわさねばならない。
危険な香りがする、と絶華は思ったことだろう。
だからこそ、出し惜しみはしない。
「四門…『窮奇』……開門!!…グ…ガ…ガァァァァァ!!!!」
四門『窮奇』(ゼッチャンマッハモード)。
そのユーベルコードの輝きが残光となって『巨門』に疾走る。
凄まじい速度での踏み込みは、それだけ空気の壁をぶち抜く轟音と共に『巨門』へと迫り、念動手裏剣お一撃を叩き込む。
それだけではない。
『巨門』の周囲から疾走るは斬撃。
一瞬で彼は『巨門』の周囲を取り囲むように鎌剣の斬撃を叩き込んでいたのだ。
「今こそ救済の刻!」
「速いのはわかるんだけど、本当に何言っているのか全然わかんない!」
振るわれる黒き手甲を躱し、絶華は『巨門』の口へとチョコをねじ込む。
「もがっ!? ぶへっ!? え、なになに!? なにねじ込んだ!?」
「これが真・ぜっちゃんチョコ! 変わるだろう、パワーを!」
「わかんないけど!?」
次の瞬間、チョコが爆ぜた。
それは『巨門』に理解不能なる一幕と共に、さらなる消耗を齎すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
とうちゃーっく!と地面を突き破って颯爽ボク登場!
でも地面から登場するっていうのは颯爽って言えるかなー?
まあいいか!
●風VS風
ボクに風で立ち向かおうだなんて生意気だ!
と意気揚々として風でゴロゴロ転がるボク!
楽しいけども!相手は倒さなきゃね!
そして今日のボクはクレバーだからね!
そう今ここの地下にはボクが掘り進んだトンネルがある!
そこを[ドリルボール]くんに進んでいってもらって奇襲だよ!
そしてえーとえーとクレバークレバー…
うん特に言うことも無いね!
ここまで近づいてしまえばやることはシンプルに…
UC『神撃』も交えてやろう!楽しいバトル!
妖狐七星将『巨門』は肩で息をしていた。
これまで戦ってきた猟兵たちの攻撃は苛烈であった。
血に塗れた体を推して戦う理由は、そんなに多くはない。だが、それでも戦いをやめないのは、彼がこの戦い事態を楽しんでいるからであった。
「はぁ……いやぁ、次から次にわけわかんない連中ばっかりくるじゃあないかー。でも楽しいな。殺せないのは残念だけど、加減しなくっていいっていうのは、本当に自由で……」
たまらないな、と無邪気に血まみれの笑顔を浮かべる『巨門』の足元が盛り上がる。
もこ、と盛り上がった瞬間、飛び出したのは、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)だった。
「はい、とーちゃーっく!」
颯爽と到着したロニは『巨門』を突き上げながら大地に降り立っていた。
「あれ? なんか跳ねたような気がするけど……ま、いっかー!」
「地面から? いや、普通は海から来るもんじゃないの? 君」
『巨門』はロニを認めて理解できないと言わんばかりに困惑した顔をしていた。それもそのはずである。
多くの猟兵達は蓬莱島近海のオブリビオンの軍勢を掻い潜って上陸しているのだ。
なのにロニだけは海底トンネルを掘り進めて上陸したのだ。
明らかにおかしい。
不審者である。
まあ、どのみち蓬莱島に上陸した時点で『巨門』にとってはそう大差ない相手でもあった。
「まあ、どっちでもいいか。殺すことには変わりないからね」
轟々と吹き荒れる風と共に『巨門』はロニへと踏み出す。
「お? ボクに風で立ち向かおうだなんて生意気だ!」
わー、と言いながらロニは放たれる風に転がってしまう。楽しいらしく笑っている。
「楽しい?」
「楽しいね! でもまあ、君は倒さなきゃならないらしいから……」
今日のロニはクレバーである。
自称であるが、クレバーと言っておけば大丈夫なのである。
そこで気がついた。
先程の地面から到着した時、同時に攻撃しておけばよかったのでは、と。
むしろ、そのためのトンネルであるとも言えた。
せっかくの奇襲作戦をロニは己が颯爽と登場することで台無しにしてしまっていたのだ。
「……えーと、えーと……」
「何? どうしたの」
「うん! 特に言うこともないからね! あとはシンプルに! どーんっ!」
振るわれる神撃(ゴッドブロー)の一撃。
それは単純で重い一撃。
向かい風であろうとなんであろうとロニは構わず、その拳を『巨門』へと叩きつけるのだ。
「やろう、楽しいバトル!」
「それはそうだね! なら、思いっきり!」
やろう、と二人はどこか意気投合したように互いの拳をぶつけ合う。
汗の代わりに舞うは血潮。
しかし、その血は『巨門』だけのものだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
武器:漆黒風
第二次聖杯戦争で共闘はしたことあるのですがー。なるほど、昔の『巨門』殿ということですかー。
なれば、全力で。
その伸縮する手甲、厄介ですねー。どこから来るかは…戦闘知識からくる第六感で避け。さらに、四天霊障での位置錯誤の呪詛をしつつ武器受けジャストガードを。
手甲部分を避けるように、【四更・風】にて漆黒風を数多投げましょう。
猟兵の積み重ねの攻撃が、撃破への最短距離ってのは、よくあることですからねー。
ええ、ここで止まっているわけにもいきません。本命は、この先なんですからー。
ああ、本当に楽しいなぁ、と妖狐七星将『巨門』は猟兵と戦いながら、やはり無邪気に笑っていた。
殺戮は楽しいことだ。
殺せる事は良いことだ。
血が滾るし、相手が抵抗するのならもっと楽しい。
それが『巨門』の複製体である彼の存在意義であった。
「でもまあ、血は失いすぎたかなぁ」
くらくらする、と彼はやはり笑っていた。
猟兵との戦いの中で傷を負い、血を失い続けて消耗しているのだ。
そんな彼の姿を認め、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は猟兵に覚醒したという『巨門』とはやはり違うのだと理解した。
第二次聖杯戦争にて共闘を果たしたことがある。
だが、それとはにてる部分はれど、やはり違うと思えたのだ。
「なるほど、昔の『巨門』殿ということですかー」
「そうらしいね。でもあんまり、それ、意味なくない? 戦う以上、それってただの雑音だと思うんだよね」
瞬間、出し抜けに振るわれる黒き手甲。
鞭のように撓った手甲は、『疾き者』へと迫る。
消耗して尚、この速度と威力であることを『疾き者』は知っただろう。
「なれば、全力で」
「むしろ、そうでなくっちゃあさ~! つまんないじゃん!」
唸るようにして手甲が伸縮自在たる一撃を『疾き者』へと叩き込む。
位置齟齬の呪詛であっても、正確に此方を狙ってくるのは確かに戦いの申し子と呼ぶにふさわしい戦闘センスであるとも言えただろう。
受け止めた手甲の重みに圧されながら『疾き者』は静かに棒手裏剣を構え、投げ放つ。
これで仕留められるとは思ってもいない。
むしろ、己の一打は積み重ねの一打でしかないことを理解している。
「おっ! っと! 速いな、それ! まるで銃弾みたいじゃあないか!」
「そうですね。ですが」
「軽い!」
そう、軽いのだろう。だが、構わない。敵の消耗の具合から見て、『巨門』はジリジリと消耗していくだろう。
ことを急がなくてもいい。
むしろ、こうやって己たちのペースに引きずりこむことこそが、勝利への積み重ねになるのだ。
「遠回りこそが最短距離だった、なんてことは猟兵であれば、何度も経験してきたことですからねー」
とは言え、ここで立ち止まってもいられない。
この戦いの本命は、この先なのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
『逆鱗抗体兵器』集めた機械鉄片を亡国の主に追加融合合体させ、
機体強化【操縦】
悦楽も、苦悶も、不要だ!自分も、貴様も!!ただ壊れろ!!
ただ壊せ!!主よ!!潰し、壊せーー!!!
ロケットブースターでRX化逆鱗加速戦鎚を【吹き飛ばし】
巨体の【怪力】とで減速に負けず振るい、
【フェイント】懐におびき寄せ、抗体兵器装甲の内側から
無数の戦塵縛鎖を放ち【早業貫通攻撃】穿て!!
無数のケーブルを突き立て【捕縛】しながら質量と【念動力】で圧し出し【2回攻撃】
この|複製《クローン》を!!壊せェエエエエエエ!!!!
【武器改造】逆鱗加速戦鎚を覆う機械鉄片を変形させ破砕機化し【重量攻撃】叩き潰し、粉砕し、破壊する!!!
『亡国の主』が蓬莱島の大地を踏みしめた。
破壊と共に突き進んできた駆体に、さらなる鉄片が融合を果たしていく。
破壊され、破壊し、その連綿たる繋がりの先にこそ朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の進むべき道があることを彼女自身が要理解していた。
鉄片が融合を果たすたびに、力が満ちていく。
逆鱗抗体兵器(グレイブ・ローカスト)へと変貌した駆体は、ただそこにあるだけで生命を枯らしていくのだ。
「蝕せ」
小枝子は、妖狐七星将『巨門』を見下ろす。
すでに血まみれの体である。
程なくして、この男は崩れるようにして消えていくだろうということを小枝子は知る。
だが、その無邪気な顔を見て小枝子は思い直した。
そう、ただ消えていくなどそんなことをさせるつもりはなかった。
「悦楽も、苦悶も、不要だ!」
「そうだよね。戦うの楽しいもんね。それだけでいいもんねぇ?」
「そうだ! 自分も貴様も!! ただ壊れろ!!」
互いにユーベルコードが瞳に宿る。
風が吹き荒れ、『亡国の主』が圧されるほどの圧倒的な風が轟々と戦場に吹き荒れている。
『巨門』はもう限界のはずだ。
なのに、それでも彼は踏み出していた。
追い風を背に受けて『亡国の主』、小枝子へと襲いかかる。
ロケットブースターで加速した駆体が抗体兵器の鉄槌の一撃を『巨門』へと叩き込む。
その鉄槌へと振り抜かれた『巨門』の拳はひしゃげたが、その槌すらも拳は砕いてみせたのだ。。
だが、それでも小枝子は止まらなかった。
武装が破壊されたからとて、何だというのだと言わんばかりに彼女は『巨門』へと無数の縛鎖を解き放ち、その体を貫く。
血反吐が撒き散らされる。
「ぐっ……っ、ハハハッ! 楽しいね! まだこんなにっ!!」
「主よ!! 潰し、壊せ――!!!」
小枝子の咆哮と共に『亡国の主』が縛鎖に貫かれた『巨門』を押しつぶすようにブースターの加速と共に飛び込む。
念動力での圧砕。
だが、それすらも『巨門』は腕で受け止めていた。。
「ハハハハッ! すごいすごい! もっと、もっとできるよね!」
「黙れ、この|複製《クローン》を!! 壊せェエエエエエ!!!!」
砕かれた槌を更に機械鉄片が再構築していく。
古い挙げられた鉄槌は柄を保たず、まるで鉄球のように『巨門』へと叩き込まれる。
まるで粉砕機のように放たれた一撃を、小枝子の念動力が上から抑え込むようにし叩きつける。
その重量は圧倒的であったことだろう。
「アハハッ、楽しかった、なぁ――!」
その言葉が最期だった。
振り抜かれた粉砕機の如き赤と青の斑。
その機械鉄片の集約された塊は、『巨門』の体を圧壊させ、霧散させたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『帝竜女禍』
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POW : 抗体霊波光線
【宝珠から、知性ある生命体全てを殺す光】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 金毛九尾の尾
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【抗体ゴースト】が出現し、指定の敵だけを【抗体兵器『惨殺剣』】と【抗体兵器『鏖殺剣』】で攻撃する。
WIZ : 災厄の嵐
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
イラスト:佐々木なの
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
妖狐七星将『巨門』を退けた猟兵たちは、蓬莱島の中心へと疾走る。
時間はない。
籠城する月光の魔女たちを救うために猟兵達は、巨大な金属を思わせる体躯を持つ『帝竜女禍』を見上げた。
「生命よ、滅びよ」
それは怒りに満ちた声であった。
月光の魔女たちが籠城する領域を、その凄まじき力でもって圧壊せんとしていた『帝竜女禍』は、背後に迫った猟兵たちに気が付き苛立つように振り返った。
「チッ……騒々しい生命どもめ……此処まできても邪魔立てするか。忌々しく穢らわしい」
汚物を見るように睥睨する『帝竜女禍』。
その瞳には怒りばかりであった。
「かつては静寂が広がり、美しいばかりだったこの世界に生命という騒々しくも醜きものがはびこっている。貴様ら猟兵も力ある者である。であれば、何故わからない。オブリビオンになることこそが、至高なのだ。変わらぬ、不変。それこそが最も美しいのだ。なのに」
何故、理解しないと『帝竜女禍』は怒りと共に力を振りかざす。
その姿に月光の魔女たちは、月光の魔力を解き放つ。
「生命の煌きを知らぬ者よ。その思い上がりこそが、破滅を導くのだと何故わからぬのです!」
「生命は可能性。それを認めぬものには!」
周囲に満ちるのは月光の魔力と空飛ぶ月光の刃。
それは猟兵達を援護する月光の魔女たちのユーベルコード。
「救援の猟兵の皆様方がいらっしゃった! ならば、ここから反撃し、『帝竜女禍』を!」
そう、再び滅ぼさねばならない。
しかし、そんな生命の煌き、その眩さを厭うように『帝竜女禍』は怒りと共に、その咆哮を轟かせた――。
儀水・芽亜
これが『帝竜女禍』ですか。やはり大きい。『大いなる災い』以上ですね。
まずは、先制で仕掛けてくる交代ゴーストの群を凌がなければ。
「オーラ防御」を張った上で、裁断鋏で攻撃を「受け流し」「なぎ払い」ましょう。
包囲されないよう、「集団戦術」で敵の動きを読みながら、死角を潰すように動きます。
こちらが動けるようになったら、「歌唱」「全力魔法」「音響攻撃」鎮静の「属性攻撃」「範囲攻撃」「精神攻撃」「歌魔法」でアンチウォーヴォイス。
抗体ゴーストはこれで抑えられるはず。
「軽業」で周囲の竹を足場に跳躍し、『帝竜女禍』に迫ります。
いかに巨体を誇ろうと、頭を潰せばそれですみます。裁断鋏を、その一つ目に突き刺しますよ!
「愚か……力持ちながらオブリビオンへの道を選ばぬとは」
『帝竜女禍』は、あくまで己に立ち向かう意志を見せた猟兵たちに対して侮蔑の表情を浮かべ、見下していた。
生命が可能性に満ち、この静寂の宇宙を騒音で満たしたというのが彼女の感じるところであったのならば、停滞し続けるオブリビオンこそが至高であるというところは理解できるものであっただろう。
だが、それを受け入れるかどうかは、まったくもって別の事柄であった。
「これが『帝竜女禍』ですか。やはり大きい」
体長10kmはあろうかという黄金の如き金属の巨体。
それを見上げ、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は思わず呟いていた。
『大いなる災い』。
それ以上の巨体であると彼女は知り、しかし、出現した抗体ゴーストの群れが遅い来る光景を目の当たりにした。
手にしているのはやはり抗体兵器。
あらゆる生命を殺す剣を二振り携えた抗体ゴーストたちは、『帝竜女禍』の身より出現し、道を阻む猟兵を抹殺せんとしているのだ。
「敵の数が多い! これまでの比では!」
芽亜は迫る抗体ゴーストたちの攻撃をオーラで防ぐ。
だが、抗体兵器は其処にあるだけで生命を蝕む呪いを発揮するのだ。
生命の埒外とは言え、生命力を有する猟兵である芽亜にとって抗体ゴーストの群れ、その数は如何ともしがたいものであったことだろう。
だが、その抗体ゴーストたちを薙ぎ払う月光の魔力があった。
「猟兵の方! 抗体ゴーストは我ら月光の魔女が引き受けます!」
「貴方様は『帝竜女禍』を!」
彼女たちの言葉に芽亜は頷く。
このままでは抗体ゴーストの群れにすり潰されかねない。だが、月光の魔女たちが、抗体ゴーストたちを受け持ってくれるのならば、彼女はこの先制攻撃を凌ぐことができる。
「ありがとうございます!」
芽亜の瞳がユーベルコードに輝く。
喉を震わせるのではなく、心を震わせる。
そのユーベルコードは彼女の歌唱によって生まれる、アンチウォーボイス。
「さあ、爪牙を収めましょう。刃は鞘の中、銃砲は蔵の中。偃武の心で、平和を築くのです」
歌声が『帝竜女禍』へと迸り、生み出され続ける抗体ゴーストたちの精神を揺るがし、さらに平和の喜びを歌い上げる歌と共に芽亜は跳躍する。
「何が平和か。宇宙の平和とは即ち、生命の抹殺。それをわかるのであれば!」
巨体が吠える。
だが、芽亜は怯むこと無く、『帝竜女禍』へと迫る。
「如何に巨体を誇ろうと、頭を潰せばそれで済みます」
芽亜が振るい上げた裁断鋏。
その鋭い切っ先が『帝竜女禍』の単眼へと振り降ろされ、突き立てられる。
狂おしいほどの絶叫が響き、芽亜は大地へと投げ出されるも、なんとか着地して見上げる。
そこには怒り狂った咆哮が雷鳴のように轟き、この蓬莱島に生きとし生ける者の鏖殺を持って贖わねばならぬと言う『帝竜女禍』の力の発露を示していた――。
大成功
🔵🔵🔵
織部・藍紫
【月蛇】
主に運ばせるのもあれなんで、人間の姿に戻ってたんやが。
なーに勝手なこと言うてんねん。最近、ようやっと人間姿に慣れてきたけど…楽しいんやで。
いや、こいつも油断したらアカンのは重々承知やったんやけど…それに、わしに何かを降らせる気やろ!?
いや…わし狙いならええか。主にも月光の魔女にも影響ないし。
おそらく、時間稼ぎにもなる攻撃してくるんやろうけど、そいつは結界で減衰してから避ける!
その上で、またUCによる三日月の蹴りをな!
時間かけたらアカン、おそらく、わし、囲まれるし!
まあ、囲まれたらまた蛇の姿になって
ニョロニョロ逃げるんやけどな!
花葉・黄蘗
【月蛇】
……たぶんやけど。藍紫が囮になりそうな気がしてんよ。
あれ、元が元やから、自分の命を大切な物カウントせやんのよ。
…ええか、囲まれたら逃げろ。おそらく、群れは抗体兵器持っとる。
いうて、僕も囲まれるし!
まあ、幻影使いからの撹乱しつつ、龍頚珠で凍結光線して一瞬でも凍らせる。それで、切り抜けるしかない!
ここは月の民の末裔が、ずっとずっと守ってきた島や。
なら、|月帝姫《ルナエンプレス》たる自分が…これやるのも当然やろ?
身に宿る月魔力を集中。そっからの【極月煌光・散花】。散るんは、そっちやで。
…藍紫。あとで話あるからな?
『帝竜女禍』の単眼に突き立てられた一撃が、その瞳より血潮を噴出させる。
朱に染まった視界の中で『帝竜女禍』は怒りを発露した。
変わらぬこと。
停滞し続けること。
それは即ち、不変である。変わりようがなく、変わる必要もない。
生命のように腐り落ちることもなければ、老いることもない。
あらゆるものごとの天頂が維持され続ける。
それだけのことであるというのに、生命は生きたがる。
「醜悪……!」
『帝竜女禍』に生命はそのように視えていた。
「醜い。醜い、醜い、醜い!! 生命などという醜悪なものを守るなど、力ある者のすることではない!」」
ユーベルコードの煌きが周囲に満ちていく。
現れたるは、抗体ゴースト。
群れ為す姿は脅威そのものである。
手にしているのは抗体兵器。そこにあるだけで生命を枯らす力を持つ恐るべき兵器。
即ち、惨殺剣と鏖殺剣。
『帝竜女禍』の生命に対する憎しみを現すかのような二振りを持つ抗体ゴーストの群れが出現していた。
「鏖殺せよ。殺戮せよ。惨殺せよ。全ての生命を殺し尽くせ。そして、この世界に静寂を取り戻すのだ!!」
その言葉に呼応するようにして抗体ゴーストたちが疾走る。
「なーに勝手なこと言うてんねん。最近、ようやっと人間姿にも慣れてきたけど……楽しいんやで」
「馬鹿馬鹿しい。人でもないものが、ヒトの真似事をして何が楽しいのだ。愚かな。愚かな。愚劣極まりない」
「藍紫! 囲まれとるで!」
黄蘗の言葉に藍紫はむしろ、これでいいのだと頷いた。
「わかっとります。こいつも油断したらアカンのは重々!」
「だったら、ちゃっちゃと……って、僕も囲まれとるな!?」
周囲には抗体ゴースト。
幻影で撹乱したところで、抗体ゴーストが狙うのは生命のみ。
生命宿らぬものに端から興味などなく、標的にもんされないのだ。しかし、それでも切り抜けなければならない。
凍結光線を放つも、抗体ゴーストは次々とこれを突破してくる。
まるで意に介していないのだ。
「くっ……!」
「猟兵の方! 今の内に!」
放たれる月光の魔力が形成する刃が、抗体ゴーストを斬り裂く。
振り返れば、そこには月光の魔女たちの姿があった。
「そちらの方も!」
藍紫に群がっていた抗体ゴーストたち囲いを斬り裂く刃に藍紫も飛び出す。
「無茶しおって!」
「いやぁ、時間稼ぎになるんかもなぁって思ったんやけど、結界じゃ無理がありましたわ! けど!」
囲いを取り除くことができたのならばと、藍紫はクレセント・スラッシャーの一撃を叩き込む。
放たれた一撃が抗体ゴーストを薙ぎ払い、さらに藍紫は駆け出す。
「おい、ちょいまち!」
「いいえ、待ちませんってば。あれは時間かけたらダメな敵ですよって! 囲まれてもなんとかしますから!」
「……!」
「この島、守るんでしょ!」
「……そうやな。ここは月の末裔がずっとずっと守ってきた島や。なら、ルナエンプレスたる自分が……これやるのも当然や」
身に宿る月の馬鹿を集中させ、己の周囲に三つの赤い月が作り上げられる。
それは熱を伴わない赤き月光。
「散るんは、そっちやで」
極月煌光・散華(ウルティメイトルナ・ジ・エンド)。
そのユーベルコードの輝きは、視認した抗体ゴーストの全てを赤き月光で染め上げ、打ちのめし、更には『帝竜女禍』の身すらも赤く照らすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メリー・スペルティナ
あれ?この世界に帝竜っておりましたの?もしや経歴詐称…!?
……まあいいですわ、やることに変わりはないのですし
何はともあれ攻撃には第六感!最悪剣での武器受けで防ぎますわ!
……そしてこういう時は……来るのですわ!「死霊蛇竜ケルパー」……!
ケルパーは|死霊蛇竜《オブリビオン》、生きていないのだから貴方のUCはケルパーには通りませんわ!
後は騎乗して攻撃を……ケルパー?あれこれ暴そ……きゃわーーー!!
た、退避を…いえ、ここはむしろ逆転の発想!暴れるケルパーの上に乗る事で標的認定されないようにし、相手の攻撃をケルパーの巨体で防ぎつつ、隙をついてあの巨体にクロスボウでの攻撃で呪詛を浴びせてやりますわ!
見上げるは金属の巨体。
長大なる体躯は、それだけで見る者に恐怖を齎す威容であった。
だが、対峙するメリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)は恐怖よりも先に驚愕していた。
「あれ? この世界に帝竜っておりましたの? もしや経歴詐称……!?」」
メリーにとって帝竜とはアックス&ウィザーズ世界の存在であるという第一認識があった。
無論、猟兵たちが帝竜と接触したのはアックス&ウィザーズ世界であるのだから、その認識は間違っていない。
問題なのは『帝竜女禍』である。
その名は、このシルバーレイン世界においては災厄の名でもある。
巨大な宝珠が煌めく。
ユーベルコード、とメリーが気がついた瞬間、周囲は吹き荒れる光線で満ちていた。
「生命よ、消えよ! その騒々しい音で静寂の宇宙を汚すのは許さぬ!!」
荒れ狂うような光線の猛攻にメリーは戦場を駆け抜けながら、黒き剣で受け止める。
凄まじい威力。
帝竜の名にふさわしい一撃にメリーは吹き飛ばされながら体勢を整える。
第六感で躱しきれない。
それもそのはずだ。
まるで光線は雨のように降り注ぎ続けているのだ。
圧倒的だった。
「可能性などという醜悪に踊らされる生命など、静寂の宇宙には必要ない!!」
生命への怒りで狂う『帝竜女禍』のユーベルコードは苛烈であった。
「……帝竜だろうがなんだろうが、やることに代わりはないのですわ。そして、こういう時は……来るのですわ!『死霊蛇竜ケルパー』……!」
メリーの瞳がユーベルコードに輝く。
召喚されるは、死霊蛇竜。
大蛇の如き姿。
その姿が膨れ上がっていく。
「――ッ!!!!」
咆哮が上がる。
「なんて、恐ろしい姿……!」
月光の魔女たちもメリーの召喚した『死霊蛇竜ケルパー』の姿に慄くばかりであった。
それほどまでに巨大化した『死霊蛇竜ケルパー』の威容は『帝竜女禍』に等しい巨大さであった。
「ケルパーは|死霊蛇竜《オブリビオン》、生きていないのだから、貴方のユーベルコードはケルパーには通りませんわ!」
その頭上に立ち、メリーは『帝竜女禍』を指差す。
だが、あれ? とメリーは首を傾げる。
己の召喚した『死霊蛇竜ケルパー』が震えているのだ。なんだか様子がおかしい。
「あの、ケルパー? えっと、あのオブリビオンに突撃を……きゃわー!!?」
瞬間、メリーを載せた『死霊蛇竜ケルパー』が暴れ狂うようにのたうちながら『帝竜女禍』に襲いかかるのだ。
理性などない。
コントロールなど効かない。
それが彼女のユーベルコードなのだ。
「鬱陶しい! 何をする! 不敬ぞ!!」
『帝竜女禍』と『死霊蛇竜ケルパー』は絡みつくように互いの力を解き放つ。
「ぼ、暴走しております、これ!? ……た、たいひ……! いえ、ここはむしろ逆転の発想! 暴れるままにさせちゃいましょう!」
隙を付いてクロスボウで『帝竜女禍』に呪詛を浴びせつつ、メリーは二匹の蛇が絡まりのたうつ怪獣大決戦の如き様相の中、振り落とされまいとしがみつきながら、なんとかクロスボウを構え、戦うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
異世界に迷い出たとは聞いていましたが、
やはりこちらの世界にも現れましたか。
まあ再会を喜ぶような相手でもありませんので、
もう一度生命の輝きでもって滅びてもらうとしましょう。
エンジェリックウイングで飛翔して接近。
月光の魔女の方々には援護をお願いしましょう。
敵の攻撃は【残像】を伴う【空中機動】と
無数の光の【羽を飛ばす】ことで攪乱して回避します。
そして炸裂弾をバラ撒いて激しい爆発と光による【目潰し】
を仕掛ける事で【認識阻害】を狙います。
敵が怯んだならばその隙を突き、
【気功法】で高めた【功夫】の打撃で攻めてから、
そのまま【羅山天昇波】を撃ちましょう。
猟兵のユーベルコードによって召喚された大蛇と『帝竜女禍』が激突している。
その苛烈なる戦いの中、山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は光の翼で飛翔し、『帝竜女禍』の姿を認める。
彼が猟兵から伝聞した知識の中には、アックス&ウィザーズ世界にて『女禍』が迷いでたという事実もあった。
当然、オブリビオンである。
ならば骸の海を介してシルバーレイン世界以外にも滲み出すことは十分考えられた。
「再会を喜ぶような相手でもありませんが」
「騒々しいぞ! この静寂の宇宙を可能性などという下劣なもので汚す生命共!!」
咆哮が響く。
怒り狂うような咆哮に慧は頭を振った。
「もう一度、生命の輝きでもって滅びてもらうとしましょう。月光の魔女の方々」
慧は、そう言って蓬莱島を守っていた月光の魔女たちとに視線を向ける。
彼女たちはそれだけで委細承知したようだった。
「援護はおまかせを! 猟兵の方、ご助力感謝いたします!」
「いえ、当然のことです。では」
行きます、と慧は光の翼を強く羽ばたかせ、一気に『帝竜女禍』へと飛び込む。
「消えよ!!」
宝珠から放たれる光線が雨のように慧を襲う。
凄まじいまでの物量。
苛烈な光線の雨を慧は羽ばたきながら躱す。残像を伴う空中機動。
されど、光線は残像ごと慧を打ち据える。
無数の光の羽を飛ばして尚、撹乱できない。いや、そもそも撹乱などものともしない物量の光線が降り注いでいるのだ。
「消えよ、消えよ! 生命など! この宇宙を汚す汚物!! 疾く消えよ!!」
光線はまるでカーテンのように注ぐ。
その中を慧は破るように一気に飛び込む。
『帝竜女禍』の単眼には傷が生まれている。流れる血潮で彼女の視界は赤く染まっているだろうが、それ以上に怒りに染まっていた。
光線の一撃が慧に致命傷にならぬのは、そのためであったのだろう。
「怒りにくらんだ視界……潰させて頂きます」
放たれる炸裂弾の爆発と光。
満ちる光に『帝竜女禍』は呻く。瞬間、慧は深く懐に踏み込んでいた。
呼気を吐き出し、吸い込む。
己に内在する気と周囲に存在する森羅万象の気を合一する。
内にて練り上げられた気は、彼に見方するようにユーベルコードの輝きとなって、その瞳を輝かせた。
「生命など、可能性など、けがらわしい! この私に寄るなッ!!!」
「いいえ、生命の輝きは」
美しいのだ。
それゆえ、森羅万象の気は己の中に溶け込み、一つになる。
放つは、羅山天昇波(ラザンテンショウハ)。
その一撃は、天を貫く衝撃波となって『帝竜女禍』の顎部を打ち据え、その巨体を勝ち上げる。
「この世界を遍く照らす可能性。それを潰えさせはしません――」
大成功
🔵🔵🔵
古森・ちゆり
ぴゃーん…!で、でも、あともうちょっとだもん…!みんなのおうちを護るためにも、がんばる…!
さっきと同じように『ちゆりねっと』で周りの地形を利用して…
ぴゃーん!災厄の嵐なんて来ちゃったら大変だよぅ…!
で、でも、わたしは逃げないよ…!わたしにだって、自然現象をどうにかする手段はあるんだもん…!
ち、【ちゆり式呪いの魔眼】をあいての災厄の嵐に向けて、ちゆりたちに「友好的に」動いてもらうよ…!もし抵抗されても、その分「せいぎょ」は難しくなるよね?
せいぎょに苦労してたり、暴走させちゃって大変になってる間に、『赤弓手』からの矢で|攻撃《スナイパー》するよ……!
カチ上げられた巨体。
『帝竜女禍』の巨体が猟兵の一撃でのけぞるようにして大地に沈む。
蓬莱島全体が揺れるかのような衝撃。
だが、まだそれでも『帝竜女禍』は消滅していない。のたうつまでもなくうねるようにして『帝竜女禍』の体が空へと舞い上がる。
その声は怒りに満ちていた。
「不遜、不敬! 許さぬ! 生命ごときが、至高の存在となった我を打ち据えるなど! 許されぬ暴挙! その罪、存在の消滅でもって贖え!!」
咆哮と共に放たれるのは、光の嵐。
荒れ狂う自然現象と属性とを併せた災厄の嵐は、蓬莱島を守っていた月光の魔女たちをも巻き込んで猟兵たちに迫る。
「びゃーん……!」
怖い、と古森・ちゆり(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35520)は泣いた。
けれど、涙を拭った。
怖い。怖い。けれど、あともうちょっとなのだ。自分がここに何を成しにきたのか。そう、守るためだ。
「みんなのおうちを護るためにも、がんばる……! あともうちょっとだもん……!」
「くだらぬ! 消えよ、生命!!」
光の嵐が迫る。
大変だ、とちゆりは吹き飛ばされる月光の魔女たちの体を己がはなった蜘蛛糸でつなぎ、それ以上吹き飛ばされないように繋ぎ止めながら戦場を走る。
「か、かたじけない……!」
「びゃーん……だ、だいじょうぶ! た、大変だけど……がんばろう!」
災厄の嵐は凄まじい。
大変すぎる。でも、逃げないと決めたのだ。どんなに恐ろしくても、ちゆりは諦めない。
その瞳がユーベルコードに輝く。
「光の風さん……っ!」
見つめる。
ちゆり式呪いの魔眼(ノロイノマガン)。
それは願いに満ちた魔眼だった。
彼女の瞳は、自然現象にすら彼女に友好的にさせる力を持っている。
「我が力に干渉するだと……? 生命如きが!」
「びゃ、びゃーん……! じ、じぃーっ……!」
ちゆりの瞳に力がこもる。
これは力と力の綱引きだ。無論、『帝竜女禍』に敵うべくもない。けれど、彼女の魔眼は『帝竜女禍』が操る光の嵐の制御をかき乱す。
「か、風が弱まっている……!」
「くっ……魔眼如きが!!」
「じ、じぃーっ……! みんなのおうちをこわさないで! ち、ちゆりは……! みんなのおうちを護るためにがんばる……!」
自分だけではない。
誰かのために。それができるのが、ちゆりという猟兵なのだ。
「猟兵の方、いまです!」
月光の魔女たちの放った月の魔力が刃となって嵐を切り裂き、『帝竜女禍』へと叩き込まれる。たたらをふむように空中で身をよじった巨体。その隙を月光の魔女たちが作り出したのだ。
「びゃ、びゃーん!」
彼女の魔眼は、嵐を緩ませ、己の信念を載せた矢を『帝竜女禍』へと放ち、その痛烈なる一撃でもって災厄を退けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
久しぶりだな女媧?
もうおめーの目玉はゲットしたんだが…まぁ…わざわざ湧いてくれたんだからもう一度…目玉を貰うとしようか
帝竜たるおめーの目玉…少しは役に立ちそうだからな
「メルシーは初めましてだぞ☆」
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の動きと攻撃方法を解析
おめーどちらかというと狐じゃね?
「もふもふしてないからどうしようもないぞ☆」
【念動力・属性攻撃・空中戦・弾幕】
UC発動
超絶速度で飛び回り念動光弾と火炎弾を叩き込み
何分ものんびり待つと思ったか?
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で切り刻み手に持ってる宝珠とか鱗とか金目の物は身包み剥ぐ
当然目玉も切り刻み強奪を狙う
少しは僕の為に役に立て
光の嵐が解けるようにして風へと変わり、散り散りになって消えていく。
その様を『帝竜女禍』は忌々しげに見た。
「おのれ! 生命風情が、この我の力を……!!」
怒りに視界が染まっていく。
もとより血の赤に染まっていた視界が、さらに怒りに我を忘れるようにユーベルコードの輝きに満ちていく。
「久しぶりだな、『帝竜女禍』?」
その眼前に『メルクリウス』を駆るカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が現れた。
「もうおめーの目玉はゲットしたんだが……まぁ……わざわざ湧いてくれたんだからもう一度……目玉を奪うとしようか」
「黙れ。その不敬、万死に値する!」
『メルシーははじめましてだぞ☆』
瞬間、現れるは抗体ゴーストの群れ。
まるで軍勢である。
しかも、その手にしているのは抗体兵器。
惨殺と鏖殺の力をもつ、生命枯らす力。無数に溢れた抗体ゴーストたちが『帝竜女禍』に従い、『メルクリウス』へと迫っているのだ。
「ここだけ見るとおめーどちらかというと狐じゃね?」
鋼鉄の竜の体躯。
それは確かに恐ろしい威容であったことだろう。だが、カシムは挑発するように笑うのだ。
「不変こそ、至高なのだ。故にオブリビオンこそが最も正しき姿。貴様ら生命体のように不確定でもなければ、醜悪でもないのだ。それを謗る不敬!!」
『もふもふしてないからどうしようもないぞ☆』
その言葉を遮るように抗体ゴーストたちが襲いかかる。
「この数……まあ、お前の力でどうにかしてみせろ……神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)、起動!」
迫る抗体ゴーストたち。
『メルクリウス』のアイセンサーが煌き、その速度を一気に引き上げる。
踏み込んだ大地が砕けるより速く『メルクリウス』は戦場を駆け抜ける。
その軌跡を追うようにして念動光弾が抗体ゴーストたちを打ち据える。
「のんびりと待つと思ったか? さあ、もう一度だ。その大仰な宝珠やら鱗やら金目のものは、身ぐるみ剥がせてもらおうか」
「この我を、宝物程度と見るか!!」
怒り狂う咆哮が注ぐ。
だが、カシムは不敵に笑う。
一度は倒した相手だ。強敵と言えど、倒したのだ。
なら、いくらでもやりようはあるう。
「そうだよ。少しは僕の為に役立て」
そう告げ、『メルクリウス』は加速していく。
いかに巨体と言えど、加速した『メルクリウス』から放たれる高速の連続攻撃を防ぐ手立てはない。
金属の駆体を引き剥がすように振るわれた鎌剣は、まさしく鱗剥がしのように『帝竜女禍』の体を切りつけるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
壊せ、主よ!!
亡国の主【操縦】臓腑から【なぎ払い呪詛ブレス攻撃】
過去も生命も壊さんとする崩壊霊物質で抗体ゴースト達を【解体】し『破壊翼』発動。
過去が、貴様の存在そのものが!魔女達を猟兵を|生命《いのち》を酷く夥しく輝かせる!!!『故に壊す。』
亡国の主、主と融合していた抗体兵器と融合し、帝竜女禍を覆い尽くさんと、抗体ゴースト達を【怪力】で払いのけ超巨大翼を広げ|羽根【弾幕】《崩壊霊物質》放射。戦塵縛鎖を伸ばし【エネルギー充填】
敵を壊せ!!それが自分だ!!自分が朱鷺透小枝子だ!!
帝竜女禍、抗体ゴースト、抗体兵器の放つ生命への呪いを吸収し、己が|【闘争心】《破壊衝動》で染め上げ崩壊霊物質へと強化、帝竜女禍への弾幕をより苛烈なものへと変えていく!
壊せ!壊せ壊せ壊せ!!!
【推力移動】帝竜女禍に撃ち込んだ無数の羽根を戦鎚で叩き【重量攻撃】
硬く大きな岩を割るように、その身深くへと|羽根《楔》を打ち込む。
打ち込む。打ち込む。打ち込む打ち込む打ち込む!!
こぉおおおわれぇええろォオオオオオオオオオオ!!!!
溢れる抗体ゴーストたちの群れ。
手にするのは抗体兵器。生命枯らす呪いを宿した剣である。
しかし、相対するは悪霊。
生命なき存在である朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、その悪霊としての特性から、抗体兵器に対する有効打を持ち得る猟兵であった。
彼女に己が悪霊だという意識はない。
ただあるのは。
「壊せ、主よ!!!」
そう、破壊の意志のみ。
敵が抗体ゴーストであろうと『帝竜女禍』であろうと彼女にとっては関係のないことであった。
彼女が見るのは壊すべき敵。
即ち、オブリビオンである。
「何故歯向かう。生命こそ我らが敵。静寂なる宇宙を汚す汚物だということが何故わからん!」
怒り狂う『帝竜女禍』」は咆哮する。
だが、小枝子には届かなかった。
『亡国の主』を駆り、その臓腑から放たれる呪詛の吐息が崩壊霊物質と共に放たれ、抗体ゴーストたちを飲み込んでいくのだ。
「過去が、貴様の存在そのものが! 月光の魔女たちを、猟兵を、|生命《いのち》を酷く夥しく輝かせる!!! 故に『壊す』」
「愚かな。生命など、その可能性など、ただ宇宙を乱すものにしかならぬと何故理解しないのだ!!」
「知ったことか!!」
広げるは、破壊翼(カスラクライム)。
融合したユミルの子と抗体兵器。
崩壊霊物質を纏った小枝子が『帝竜女禍』へと迫る。
抗体ゴーストたちが手にした抗体兵器は、悪霊たる彼女に効果を及ぼさない。
「敵を壊せ!! それが自分だ!! 自分が朱鷺透・小枝子だ!!」
並み居る抗体ゴーストたちを薙ぎ払い、払い除け、更に踏み出す。
広げられた崩壊霊物質の翼から放たれる羽根が戦場に破壊を齎し、さらに呪いを吸収していく。
「呪詛のまみれた壊れた存在が、ほざく!」
「壊せ! 壊せ壊せ壊せ!!!」
苛烈なる弾幕と共に『帝竜女禍』へと小枝子は飛び込む。
敵が巨体であろうと何であろうと彼女には関係ない。叩き込まれた羽根を手にした戦鎚で叩き込み、さらに傾がせるのだ。
「わからぬ奴め! どうしてそうまでして生命に味方する! 奴らは静寂の宇宙を、美しき宇宙を汚す存在なのだぞ。可能性など!」
「こぉおおおおわれぇえええろォオオオオオオオオ!!!」
振るう戦鎚は狂ったように『帝竜女禍』へと叩き込まれる。
打ち据える音が響く。
頑強なる体躯であろうとも関係ない。
小枝子は己が腕がひしゃげ、体躯を構成する霊物質が霧散しようとも、再構成しては叩き込む。
そこに意志は唯一つなのだ。
破壊。
それだけを小枝子は宿している。
『帝竜女禍』の語る言葉は、何一つ小枝子に響かない。
生命を壊し、世界を壊さんとするものがいるのならば、それを破壊する。ただそれだけのために己の体はあるのだというように小枝子は戦鎚を『帝竜女禍』の頭部に叩きつけ、傷つけられた単眼ごと押し込むように大地へと、その巨体を失墜させるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
ドーモ、女禍殿!
元気に煌めくライフ生命、月光の魔女殿たちの援軍に駆け付けた猟兵デース!
アナタの怒りのエモーションに、喜色を見せて戦闘開始しマース!
不確定要素がお嫌いのような女禍殿には、可能性のエッセンスを塊でぶつけマショー!
放つはカオス、出づるは混沌! カオスメモリ、ロゴスイグニッション!
制御不明の無限増殖! 混沌魔法カオスヘッダーであります!
我輩と分裂体たちが光線を避けながら生命賛歌のデスコーラス!
デスボイスでデスメタルなライフソングを熱唱しマース!
さあ月光の魔女の皆様もご一緒に!
歌って踊って、囲んでボコりマショー!
隙を見つけたら予測不能な軌道を描く突進、ハイパーカオスチャージであります!
叩きつけられた巨体、その手にした宝珠がユーベルコードの輝きに満ちる。
『帝竜女禍』は、大地に打ち据えられながらも怒りを発露した。
「童蒙した者どもが、この我を退けるなど絵空事をッ!! 生命よ、消えよ!!!」
怒りの咆哮と共に放たれる光の雨のごとき光線の乱舞。
その恐るべき力の本流の中、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はいつもの調子はまるで崩してはいなかった。
「ドーモ、『帝竜女禍』殿! 元気に煌めくライフ生命、月光の魔女殿たちの援軍に駆けつけた猟兵うデース!」
「黙れ! さえずるな! 静寂の宇宙をかきみだす元凶がッ!!」
「オー! 怒りのエモーションデスネー! HAHAHA! 喜色満面とはこのとデース!」
バルタンは怒りの咆哮を受けてさえ、笑っていた。
光線はバルタンを打ちのめし、さらに彼女の体を吹き飛ばす。
だが、バルタンは立ち上がり駆ける。
「不確定要素がお嫌いのようデスネー! ならば、可能性のエッセンスを塊でブツけマショー!」
バルタンの瞳がユーベルコードに輝く。
そう、可能性とは混沌。
あらゆるものが渾然一体となっているからこそ、そこから生み出されるものは誰にも予想が付かぬものなのだ。
「カオスメモリ、ロゴスイグニッション!」
瞬間、バルタンの姿が変貌する。
カオスを具現させる混沌魔術師。
それが今のバルタンであり、模倣様式・混沌魔法(イミテーションスタイル・スーパーカオスマジシャン)。
その手の中には、まさしく混沌があった。
「放つはカオス、出づるは混沌! これこそが、制御不明の無限増殖! 混沌魔法カオスヘッダーであります!」
無限に増殖していくバルタン。
「騒々しいにも程があるぞッ! 生命など、そのけたたましさが、静寂を汚すのだと! 何故わからない!」
「HAHAHA! これぞ生命賛歌のデスコーラス!」
吹き荒れるはデスボイスの歌。
それは『帝竜女禍』にとっては、耳をつんざくかのような音であったことだろう。
のたうつように光線を解き放つ。
その一撃をバルタンたちは躱しながら、一気に走る。
「さあ、月光の魔女の皆様もご一緒に! 歌って踊って取り囲んで、ボコリマショー!」
バルタンは月光の魔女たちと共に戦場を埋め尽くす光線の中を走る。
歌う。
歌う。
そう、歌い続ける。
生きている限り、歌い続けるのが生命なのだ。
ならばこそ、バルタンたちは『帝竜女禍』を取り囲むようにユーベルコードの輝きを解き放つ。
「これが予測不能な軌道を描く突進、ハイパーカオスチャージであります!」
無限増殖したバルタンたちが『帝竜女禍』の体躯へと突進し、その体躯を揺るがすように押しやる。
その勢いは苛烈であり混沌そのものだった――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
機神搭乗
おお…!お前も帝竜とやらか!
竜の中の竜!
最強の存在!
我が世界でもそうだった!
なので思ったのだ
帝竜って栄養価が高くてチョコの材料に良いのでは
と!
「あ、あわわわ…!」
【戦闘知識】
敵の動きと宝珠の性質も把握
【念動力・破魔・浄化】
念動障壁に浄化と破魔の力を込めて防御!
後は魔女の皆さんにも結界お願い
うむ!終わったら皆にぜっちゃんチョコを振る舞おう!
UC準備開始
【空中戦・弾幕】
飛び回りながら念動光弾を乱射
その動きを妨害
【二回攻撃・切断】
鎌剣で切り刻み
あと素材採取
UC準備完了
【爆破・薬品調合】
女媧よ!お前がその様な狂気に陥っているのはパワーが足りないからだ!
だが喜べ!
今から圧倒的なパワーを与えよう!
さぁ!宇宙を感じ!喜びの叫びを上げるがいい!
地獄のUC発動
分かっている!足りなかったらどうしよう!と心配なのだな!
大丈夫だ!我がぜっちゃんチョコは量も自慢だ!存分におかわりできるぞ!
この命溢れるパワーを感じ!生命の輝きに触れ!その素晴らしさを理解するがいい!これぞまさに祝祭だ!
「地獄の宴じゃ…!?」
苛烈なる戦いだった。
蓬莱島を巡る戦いは、誰も彼もが傷つかずにはいられない戦いだった。
月光の魔女も、猟兵も。
誰もが傷を得ていた。
迫るは『帝竜女禍』。その巨体を揺るがしながらも、しかし、未だ健在たるを示すように、その宝珠から放たれる光線の雨を降らせ続けていた。
圧倒的である。
それほどまでに彼女の力は強大なのだ。
「生命どもがッ、この静寂の宇宙を揺るがすだけではなく、汚し、それでもなお醜く抗うとは許しがたいッ!!!」
怒り来る咆哮と共に放たれる光線を受けながら、『サートゥルヌス』は飛ぶ。
「おお……! お前も帝竜とやらか!」
皇・絶華(影月・f40792)は、そのコクピットの中で見やる巨体に感動を禁じ得なかった。
「竜の中の竜! 最強の存在! 我が世界でもそうであった。なので思ったのだ!」
何をと、『サートゥルヌス』は思ったがなんとなく予想ができてしまった。
次に主が何ていうのかを、理解していしまった。できてしまった。
それくらいには毒されていると言ってもいい。
「帝竜って栄養価が高くてチョコの材料に良いのでは!」
その言葉に「帝竜女禍』は僅かに止まる。
「お前は何を言っている?」
本当にそれ、と『サートゥルヌス』は思った。うんうんと頷くところであった。
だが、同時に主である絶華はこういい出したら止まらないことも理解していた。
「あ、あわわわわ……!」
これ以上ゲテモノ材料をチョコに投入されては敵わない。敵わないが、止められないのもまた事実であった。
降り注ぐ光線を念動障壁で受け止める。
やばい。
これはまずい。
とってもまずいぞ、と『サートゥルヌス』は慌てる。
「あ、あの、主? ええっと、な、どう見ても金属だし、チョコには解けないのではないか?」
「なら火力を上げればヨシ!」
全然よくない。
「終わったらみなにぜっちゃんチョコを振る舞おう!」
うわぁ。
やめて欲しい。
本当に思ったが、迫る光線を躱すので精一杯であった。
振るわれる鎌剣の斬撃が『帝竜女禍』の鱗めいた装甲をなんとか引き剥がす。
「これでよし! さあ、『帝竜女禍』よ! お前がそのような狂気に陥っているのはパワーが足りないからだ! だが喜べ! 今から圧倒的なパワーを与えよう! さあ! 宇宙を感じ! 喜びの叫びを上げるがいい!」
その言葉と共に『サートゥルヌス』は己の体が勝手に動く恐怖を味わうことになった。
「これが!」
『帝竜女禍』の口へと飛び込んで飛び込むのは、カカオ濃度1万%の漢方チョコ邪神植物である。
「いや、わかっているぞ! 足りなかったどるしよう! と心配なのだな!」
もがもがと何か言おうとしている『帝竜女禍』であったが、絶華は頭を振って振って笑むのだ。
満面の笑み。
どうしてそんな顔ができるのか不思議でった。。
「大丈夫だ! 我がぜっちゃんチョコは量も自慢だ! 存分におかわりできるぞ! この生命溢れるパワーを感じ! 生命の輝きに触れ! その素晴らしさを理解するがいい! これぞまさに祝祭だ!」
何を言っているのかさっぱりわからない、と月光の魔女たちは思った。
『サートゥルヌス』も同様であった。
「地獄の宴の間違いじゃ?」
その言葉は何故か絶華には届かないし、溢れる地獄のような味わいに『帝竜女禍』はますます怒り狂い、のたうつのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
●見解の相違
アハッ!
過去が不変で、美しいって?
あいかわらず変なこと言うね!
ボクはよく「いやそんな出来事無かったよね?過去を改変してない?」て突っ込まれるし!
「いやあああ思い出したくない~!」ってなる黒歴史だってたくさんあるっていうのに!
●命や知性とは
無縁の(それはそれで愛らしい)ドカデカ[球体]くんたちを突っ込ませて攻撃させてからのーーー…
UC『神撃』でドーーーンッ!!
キミにとっては重ねた敗北の歴史すら美しいものだっていうの?
まあそれならそれで評価に値するかもね!潔し!
命にとって『過去』は消えいき、『今』は惑い、『未来』は沈黙しているもの
それが命の|良い所《悪い所》さ
のたうつ巨体が空に翻る。
怒りに満ちた瞳が、真赤に染まっている。
世界に満ちる生命は、『帝竜女禍』にとっては穢そのものであった。
静寂の宇宙を騒がせる、不協和音。
「消えよ、消えよ、消えよ! 汚物ども!! 過去こそが不変でもっとも美しいのだ! それを汚す汚物は、全て浄化させるのだッ!!」
宝珠が煌き光線が雨のように戦場に降り注ぐ。
幾度目かわからない。
それほどまでに苛烈なる光の奔流が注ぎ続けている中、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は笑った。
「アハッ! 過去が不変で美しいって? 相変わらず変なことを言うね!」
「理解せぬ愚かさを許すほど我は寛容ではない。疾く消えよ!」
注ぐ光。
それを球体で防ぎながらロニは言う。
「ボクはよく『いやそんな出来事なかったよね? 過去を改変してない?』って突っ込まれるし! 『いやあああ思い出したくない~!』ってなる黒歴史だってたくさんあるっていうのに! それなのに過去が不変で美しい?」
そんなわけないじゃん! とロニは球体で防いだ光線を押しのけて飛んだ。
いや、球体を押し込んで『帝竜女禍』の巨体にぶつけたのだ。
「変わらぬことこそが、最も美しいのだ。変遷していくものは醜いからだ。至高の存在は変わらない、変える必要がない。間違えぬ。それだけのことだ!」
「ハハハ、ならさ、キミにとっては重ねた敗北の歴史すら美しいものだっていうの?」
ロニは球体を蹴って更に飛翔する。
それは『帝竜女禍』の頭上を取るほどの高さであった。
月光の魔女たちの助力があってこそ、ロニは『帝竜女禍』の頭上を取ることができたのだ。
「敗北だと? この我が? 貴様たちにはわからぬ!」
「負けたじゃん。帝竜戦役でがっつりさ! それを見なかったことにして、なかったことにしてっていうんなら、キミの言うところのボクらとおんなじさ。大した存在じゃあない。しょーもない存在だってことだよ!」
潔さ冴えないのならば、評価に値しない。
生命にとって過去は消えていくもの。今は惑い続けるもの。そして未来は語らぬもの。
お先真っ暗とも言うけれど。
けれど、その暗闇の中を進む事ができるのが生命だ。
可能性に満ちた輝きだ。
自らが発する光だけを頼りに前に進んでいく。
「それが美しいってことだし、生命の|良いところ《悪いところ》さ」
ロニの拳がユーベルコードに輝く。
否定するばかりじゃあ疲れる。
だからこそ、ロニは神撃(ゴッドブロー)の一撃を『帝竜女禍』の頭蓋へと叩き込む。
その一撃は信心無き者にすら神を感じさせる拳。
痛烈なる衝撃と共に『帝竜女禍』は再び叩き伏せられるように大地へと打ち込まれ、ロニは笑う。
「生命の良いところも悪いところも愛してこ――!」
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
上陸前から思ってましたが…大きくて長いですねー、女禍。
ええまあ、それだけで終わらせませんが。
あの先制で繰り出された抗体ゴーストの群れは…四天霊障による結界術を展開。そのまま武器受けからの受け流していきましょう、
影から、陰海月が密かに援護のパンチしてくれてますねー。
そして、UCが可能になったら即座に使いましょう。これだけ抗体ゴーストもいるのですし…生命力はともかく、運気と霊力は莫大ですよねー。
月光の魔女殿たちも、相対的に幸運になりましてー。ええ、敵の攻撃は簡単には当たらない、と。
この幸運をもって、女禍へと漆黒風を投擲。
ところどころ金属がなく露出している部分への、破壊をね。
巨体が大地に叩きつけられる。
蓬莱島の戦いは佳境に至る。だがしかし、それでも『帝竜女禍』の周囲には無数の抗体ゴースたちが蠢いていた。
夥し数の抗体ゴーストたちが手にするのは抗体兵器。
生命枯らす呪いを放つ剣を手にした彼らは蓬莱島に存在する生命全てを刈り取らんと走る。
その様を馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は見ていた。
上陸する前から見えるほどの巨体。
10kmにも及ぶ全長は、その巨体から恐れを発していると言っても過言ではなかった。
「ええまあ、それだけで終わらせませんが」
抗体ゴーストたちが迫る。
しかし、もとより死せる身。
悪霊であるがゆえに抗体ゴーストたちが手にした抗体兵器は効果を発揮しない。だが、物量を前にしては押し切られてしまうだろう。
だからこそ、結界術による霊障でもって受け止める。
「生命など不要。この静寂なる宇宙こそが、真の姿なのだ。生命の可能性など必要ない」
怒り狂う咆哮。
『帝竜女禍』にとって、生命は穢なのだ。
その穢を宇宙から排除する。
それだけのために彼女は蓬莱島をまずいの一番に制圧しようとしたのだろう。
「静寂が満ちるのだとして、それでどうするのです」
「何も」
そう、何もしない。
『帝竜女禍』にとって宇宙の静けさこそが、真。
それ以上、それ以下でもない。
ただ生命を消し去るだけなのだ。
「お前にもそれがわかるだろう。生命なきものよ」
その言葉に『疾き者』たち四悪霊たちは頭を振った。
「いいえ。生きとし生けるもの全ては可能性に満ちている。その輝きが私達に影を落とすのだとしてもー」
それでも生きて欲しいという願いがある。
「ならば、お前たちはなんだというのだ?」
「……悪霊なり」
それでいい。
己達を違えるつもりはない。必要もない。
開放された呪詛が戦場を包み込み、抗体ゴーストと『帝竜女禍』から運気、霊力を奪う。
満ちる不幸。
そして、対岸にあるのは、奪った霊力の総量に応じた幸運。
己を境にして、月光の魔女たちに幸運を付与するユーベルコード。
命なき者であっても、己達は生命の側に立つ。
「生命ある者たちを護る。それが我らでして」
握りしめた棒手裏剣が放たれる。
それは決別の一投。
生命を羨むでもなく、厭うのでもなく。ただ、其処にあってほしい、と願う思いを持って『疾き者』たちは『帝竜女禍』へと、その一撃を叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
えー……。
ボス戦のあとに、我こそが真のボス!
とか、レトロゲームじゃないんですから勘弁してほしいですよぅ。
それに、これ倒したら今度は第二形態とかあったりするんじゃないですよね?
なにより……わたしの|SP《シリアスポイント》はもうゼロですよ!
ぜーろー!
練乳ももうストックないんです。回復もままならないんですよ!
しかたありません。
ここは|音楽家《ほんとう》のわたしに戻って演奏で勝負で痛いです!?
なんでステラさんから攻撃受けるんですかー!
フレンドリーファイアダメ絶対!
だいじょぶです。
勇者のわたしも音楽家のわたしも、未来を見ていますから問題なしです!
あんな過去の遺物には負けないですよ!
ステラ・タタリクス
脅威のひとつは去りましたか
というか、何故、この世界のセラフィムは抗体兵器なのでしょうね?
抗体……生命が神秘を侵すならそれに抗うモノなのでしょうか
いえ、考えている時間は無さそうですね
ルクス様引き続き……タイムアップ早い!!
可愛いだけで勇者出来るなら誰も苦労しないんですよ!!
いいでしょう
讃えるのはメイドの役目
謳うは生命の可能性
ならば……ケルーベイム!!
まずはシードで威嚇射撃を!
おっと間違えましたうっかり|演奏家《破壊者》を狙ってしまいました
冗談ですよここからは本気でいきます
フローリス展開! ――【ヘレヴ】!!
全力で仕掛けます!
|生命の熾火《プロメテウス》を今此処に!
コール! プロメテウスバーン!!
妖狐七星将『巨門』を退けたルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、蓬莱島にて荒れ狂う怒りを解き放つ『帝竜女禍』を見上げた。
「脅威の一つはさりましたが……」
「えー……ボス戦の後に、我こそが真のボス! とか、レトロゲームじゃあないんですから勘弁して欲しいですよぅ」
ルクスは辟易していた。
激戦の後の激戦。
約束されたボス戦である。げんなりしているのは、もうシリアスポイントがゼロだからだろうか? 練乳で回復されるポイント・イズ・何?
「それに、これ倒したら今度は第ニ形態とかあったりするんじゃないですよね?
「さあ、存じ上げません。ですが」
ステラは見上げる巨体が苛烈なる光線を宝珠から解き放つのを見た。
凄まじい物量である。
嵐のような光の雨。
その最中を二人は駆ける。正直言って尋常ではない。破壊が渦を巻いて己達を引きずりこむかのようであった。
「何故、この世界の『セラフィム』は抗体兵器なのでしょうか。抗体……生命が神秘を侵すものなら、それに抗うモノなのでしょうか」
考えている暇はない。
「ルクス様!」
「わたしの|SP《シリアスポイント》はゼロですよ! ぜーろー! 練乳のストックもないんです! 回復もままなりませーん!」
ほら、蕁麻疹でてる! とルクスは腕をまくって並走するステラに示す。
「情けないこと言わないで下しあ、勇者! 可愛いだけで勇者できるんなら誰も苦労しないんですよ!!」
むちゃくちゃである。
「もー! しかたありません! ここは|音楽家《ほんとう》のわたしに戻って演奏で勝負で痛いです!?」
光の雨を躱しながら並走しているステラから器用なげんこつが飛ぶ。
余裕あるな。
「なんでステラさんが攻撃してくるんですか! フレンドリーファイアってやつですよ! ダメ絶対!」
「当然です。『ケルーベイム』!!」
ステラが掲げた掌に呼応するように虚空より『ケルーベイム』が出現し、ステラをコクピットに収める。
そして、その掌にルクスを収めて、大地を蹴って飛ぶ。
「『ケルーベイム』か。生命を讃える反逆者。貴様らの役目はとうに終わったのだ。出しゃばるな!」
『帝竜女禍』の咆哮が迸り、苛烈なる光線が『ケルーベイム』を襲う。
「讃えるのはメイドの役目。謳うは生命の可能性なのです。それを!」
「黙れ。騒々しい生命。可能性を謳うというのは宇宙を汚す行いなのだ。静謐なる宇宙こそが真理ッ、それをッ!!!」
「めっちゃ、怒ってません!? でも、だいじょうぶです!」
「何がです!」
ルクスは自信満々であった。
その瞳がユーベルコードに輝く。
「何を……まさか!」
「勇者のわたしも音楽家のわたしも、未来をみていますから問題なしです! あんな過去の遺物には負けないですよ!」
ストップという暇もなくルクスの演奏が奏でられる。
それは凄まじ衝撃となって『帝竜女禍』の金属めいた体躯をひしゃげさせ、めくれあがらせるのだ。
「ぐ、おおおおっ! 喧しいにも程があるぞ! 生命よ、消えよッ!!!」
「やかましくありません!」
「いえ、鼓膜がどうにかなりそうです……ですが、『ケルーベイム』!!」
跳ね上がる装甲板。
スラスターが噴射し、『ケルーベイム』が飛ぶ。
「祈るものて、剣を取らないわけではないのです!」
ルクスの放つ衝撃波がめくれ上がらせた鱗を『ケルーベイム』の両腕が押し広げ、さらに音が響き渡り、『帝竜女禍』の巨体を大地に叩きつける。
「我が駆体を!」
「これが全力です! |生命の熾火《プロメテウス》を今此処に! コール!」
『ケルーベイム』のアイセンサーが煌めく。
讃えよ、『ケルーベイム』。
生命の讃歌は響く。
「プロメテウスバーン!!」
吹き荒れる火線が『帝竜女禍』の体を穿ち、凄まじい熱波を周囲に撒き散らした――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霞・沙夜
【路子と】
巨門の次は女禍ですか。
懐かしい名前ですけど、思い出の中だけにしておきたいですね。
それにいろいろとツッコミたいことはたくさんありますが……。
とりあえず『不変が至高』というところにもの申させていただきましょうか。
あなたの場合、『不変が至高』なのではなく、変わることができないのでしょう?
可能性の失われたただの過去、それが今のあなたですから。
それに対してこちらにあるのは無限の未来。
良いものになるか悪いものになるかはわからないですけど、
選択肢があるというだけでも、過去よりはマシです。
わたしは不変のゼロよりも、可能性をとらせていただきます。
ですから、あなたにはここでお還りいただきましょう。
遠野・路子
【沙夜と】
帝竜女媧……金毛九尾の尾だったにもかかわらず
抗体ゴースト化して|再孵化《オブリビオン化》して
また登場、と
うん、確かに変わってないね
どう思う、沙夜?
というか、生命生命とちょっと差別しすぎだね
ゴーストならいいの?私みたいな新世代ゴーストだっている
結局オブリビオンの性質に囚われているだけ
可能性をみせようか
紡ぐ歌は生命を讃えるものではないけれど
此処にあるは心魂の調べ
――【心魂賛歌】!!
生命賛歌ほどの力はないけれど共に戦うならば十分な力になるはず
月光の魔女たちも詠唱銀の槍があれば攻撃に参加できる
沙夜も遠慮なく攻めて
もちろん私も投げつける!
どれだけ巨大でも折れることの無い
私たちは未来へ進む
『帝竜女禍』の巨体が大地に叩きつけられ、穿たれた。
溢れるは、血潮か。それとも呪詛か。
黄金のごとき巨体は猟兵たちの猛攻によってめくれあがり、傷を刻まれていた。
軋むように体を揺らして『帝竜女禍』は飛ぶ。
「おぞましき生命どもがッ」
炸裂するのは宝珠からの光線。
雨のように戦場に降り注ぐ様に月光の魔女たちも攻撃を防ぐので精一杯であった。さらに光が嵐となって吹き荒れる。
自然現象すら手繰るユーベルコード。
『帝竜女禍』の力は、消耗させられてなお、その力を発露させ破壊を齎していた。
「懐かしい名前ですけど、思い出の中だけにしておきたいですね。いえ、していたかった、というのが正しいのかもしれませんが」
霞・沙夜(氷輪の繰り師・f35302)は迫る光の雨と嵐を前にしながらたじろぐことはしなかった。
「そうだね。『帝竜女禍』……金毛九尾の尾だったにもかかわらず、抗体ゴースト化して|再孵化《オブリビオン化》してまた登場、と。うん、確かに変わってないね」
「思うところは多々あります」
遠野・路子(悪路王の娘・f37031)は、沙夜と共に光満ちる戦場を疾駆する。
敵の攻勢は未だ苛烈。
だが、諦めるわけにはいかない。
どんな強大な敵にだって立ち向かってきたのだ。
ここで立ち止まることは、これまでの道、轍を刻んできたものたちを裏切る好意だった。
だから彼女たちは立ち止まらない。
「停滞、不変、それこそが真の姿。可能性などという不確定要素は、宇宙に必要ないのだ。故に生命など穢そのもの。この宇宙には必要ない!!」
『帝竜女禍』の言葉に沙夜は息を吐き出す。
「あなたの場合、『不変が至高』なのではなく、変わることができないでしょう?」
「する必要があるか? これ以上、何を変わることがある。変わることは老いだ、衰退だ。それを理解できぬ生命風情がッ!!」
炸裂する光。
その一撃を前に沙夜の瞳がユーベルコードに輝く。
「可能性が失われたただの過去、それが今のあなたですから。それに対してこちらにあるのは無限の未来」
「不確定な未来に思うか!」
「たしかにそうですね。良いものになるか、悪いものになるかわからないですけれど、選択肢があるだけでも、過去よりはマシです」
絡繰り糸が『帝竜女禍』の巨体へと絡まり、その動きを止める。
終の一閃(ツイノイッセン)が『雪斗』より放たれ、穿たれた体躯を揺るがす。
「わたしは不変のゼロよりも、可能性を取らせていただきます。ですから、あなたにはここでお還りいただきましょう……路子さん!」
その言葉に可能性の調べが満ちる。
「我らは『生きて』いる。『生命』ならずとも今を歩む『魂(いのち)』がある! ならばこそ共に駆け抜けよう! 響き渡れ心魂の調べ!」
それはユーベルコードの輝きと重なる『蒼銀の宝石』。
砕けて散った宝石から放たれた銀光が沙夜と月光の魔女たちを包みこんでいく。
光の嵐も、雨も彼女たちを傷つけることはできない。
放たれた光は、路子の掌に集約され、銀の槍へと変貌する。
「喧しいぞ! 生命共! この煩わしさが! 静寂を、美しさを汚すのだと! 何故わからない!」
「わからない。だって、私たちは新世代ゴースト。可能性はいつだって生まれる。路は一つじゃあないけれど、選ぶことができる喜びは今も胸にある。結局」
あなたは、と路子は『帝竜女禍』を見上げる。
「オブリビオンの性質に囚われているだけ」
掲げた銀の槍は、心魂賛歌(タマシイアルイハイノチヲタタエルウタ)と共に光を解き放つ。
「可能性を見せよう。みなの心に宿る調べが、私に力を貸してくれる」
「それがどうした! 宇宙を汚すだけの存在が!」
「音は響く。交わって響いて、旋律になる。だから、私達は謳うことができる。どれだけ巨大でも折れることのない心がある」
路子は、沙夜、月光の魔女たちと共に銀の槍を振りかぶる。
ただ一人でどうにかできるわけがない。
一つの可能性は、やはりただの可能性にすぎないのだ。
運命を打破できるほど力が強いわけでもない。
けれど、もう知っている。
歩みは、可能性は、いつだって続いていくことにこそ意味がある。
弛みなく歩んでいくは繋ぐこと。
新世代ゴーストと呼ばれる己達だって、次なる世代に託す。
その意味を知っているからこそ、路子は放たれた銀の槍が『帝竜女禍』の身を穿ち抜き、その巨体を消滅させていく光景を見ただろう。
「どれだけ生命が醜いのだと言われても」
何一つ意志は損なわれることはない。
これまでとこれからを繋ぐのが己達なのだ。
だから。
「私たちは未来に進む――」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵