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太陽と炎に抗え、東京よ

#ケルベロスディバイド #太陽神スーパーアポロン #黙示録指令 #東京

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「ケルベロスディバイド世界の東京が襲撃を受けておる。至急向かってほしい」
 グリモアベースにて。前置きなしに御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は集った猟兵たちに事件の説明を始めた。
 菘が指をぱちんと鳴らすと浮かび上がる立体スクリーン。そこには既に戦闘が発生している大都市、東京の姿が写し出されている。
「数日前から波状的に、デウスエクスの集団が東京に攻め込んできておる。
 本来であれば『東京で、人類への襲撃事件が起きた』と言うべきなのだが、この規模だと事実上『東京という都市に攻め込んできた』だ。もし放置してしまったらどれほどの被害者、犠牲者が出るか分からん! 気張って迎撃してくれ」
 それにだ、と菘は言葉を続ける。実は、数日経っても一般人の避難が完了していない地域が多いのだそうだ。
「初回の事件解決とかは、都市の防衛ラインと現地のケルベロスでうまいこと片付いてしまってな。それで終わりかと思われたようで……まさかこうも次々と大規模な襲撃が続くとは想定しておらんかったようだ。少し失態だな」
 東京は日本の中心地。戦闘が発生していながらも、普段と変わらずに動かし続けて止められない事柄が多くあるのだ。そして東京の人口全員を避難させることは、しかも速やかに実行するのは現実的に難しい。
「まずは至急、民間人が戦闘に巻き込まれている現場へと駆けつけ、民間人を救出しつつデウスエクスを迎撃。しかる後に、お主らは本格的に襲撃してきた敵集団どもを決戦配備を活用しつつ殲滅してくれ。
 さらに! 今回のデウスエクスたちは、主である十二剣神の|黙示録指令《スーパーオーダー》を受けて強力になっておる! これを受けたデウスエクスは戦闘能力を大幅に強化される上、理性や自我を失ってしまうようなのだ。決して気を抜くなよ」
 お主らならできるであろう? と菘は舌をちろちろと出しながら猟兵たちに笑いかける。

「とまあ、ここまで概要は説明したが、実は今回の襲撃にはもう少し詳しく話しておかねばならんことがある。
 ……お主ら、少し変だと思わんか? 敵の戦力、目的の割にちょっとショボくない?」
 こそこそ話をするようなジェスチャーをする菘。
「普段バトる敵よりはずっとずっと強いのだがな。……でも、東京を攻めるのだぞ? 詳しく説明するまでもないが、東京って全世界クラスの中でも重要度ランキングが相当高い都市だ。ゆえにガッチガチに防衛体制を築いてある。あと何故だか他の都市よりケルベロスが多く住んでおるらしいぞ。
 もし東京をマジで落とそうとするんなら、事前にじっくりと時間をかけて謀略を張り巡らせて都市の防衛機能等を弱体化、最高のタイミングで十二剣神本人が直接指揮をして、配下をありったけ動員して全力で攻め込む! それぐらいの覚悟は必要だよ」
 もちろん、そうなった場合は人類側は全世界の協力体制の元、ケルベロスや猟兵たちが大集結して戦闘……いや戦争となるだろう。
「敵は強い。だが特に賢い方針が見えるわけでもない、単なるワンパターンで断続的な進攻なのだ。被害や犠牲者はすでに出てしまってはいるが……」
 この進攻は特務機関DIVIDEの目を逸らす陽動なのかとも考えられたら、そうでもない。
「なんとゆーか、やりたいように味方の駒を動かしていて、その上で敵である人類側の抵抗なんて全然考えてない作戦だな。だいたい、攻め込んできてる全員が理性を失ってるとか何なのかのう?」
 攻めてきたデウスエクスたちはひたすらに暴れ回るだけ。破壊目標だとかそんなものは存在しないし設定もできない。
 はっきり言って無理筋なのだ。被害は出ても、東京を陥落させることができるスケールの戦力と作戦ではないのだ。

「で、だ。妾は先ほど|黙示録指令《スーパーオーダー》と言ったであろう?
 こんな素敵な作戦を動かしてるのは、十二剣神の『太陽神スーパーアポロン』とゆー奴だ」
 ……名前が強い。猟兵たちも微妙な反応になってしまう。
「おお、その反応を見るに知り合いに似たような名前の者でもおるのか? それは結構災難かもしれんのう。動画配信者のネームとして見るなら、インパクトのレベルが高くて実に素晴らしいと思うがな」
 もちろん菘のコメントは、スーパーアポロンに対するフォローではない。侮蔑である。
「どんな奴かは詳しく知らんが、こういうことをやってくる奴、という理解で十分であろう。
 繰り返すが、指揮官の性格だとかは別にして、その能力、|黙示録指令《スーパーオーダー》は非常に強力だ。理性を失った強敵が山盛り! 油断するなよ?」
 そう、間違っても油断から東京を陥落させるわけにはいかないのだ。

「それでは皆の衆、戦いに赴く覚悟はできたかのう? 作戦の成功を信じておるぞ!
 はっはっは、では行ってくるがよい!」
 高笑いとともに菘のグリモアが輝く。猟兵たちは東京へと転送されていくのだった。


雨森
 OPをご覧いただきありがとうございます。雨森です。
 今回の戦闘の舞台は、ケルベロスディバイドの東京。もしかしたら戦争になっていたかもしれない事件を解決しましょう。
 今回は三連戦となり、どの敵も普段よりも強め。プレイング判定がやや厳しくなります。

●第一章
 集団戦です。|黙示録指令《スーパーオーダー》により理性を失ったデウスエクスが民間人を襲っている現場に駆け付けます。
 民間人を助けつつ、デウスエクスたちを撃退してください。

●第二章
 同じくデウスエクスとの集団戦です。
 前章で民間人を多く救出することができていた場合、|決戦配備《ポジション》の要請を出すことができます。

●第三章
 ボス戦ではありますが、今回はそのボスが集団戦のように大量に出現します。一体残らず殲滅しましょう。
 第二章と同じく、第一章の戦況次第で|決戦配備《ポジション》の要請を出せます。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『蠍灼のヴリシュチカ』

POW   :    赫灼延焼
【魔炎を纏わせた鞭】が命中した対象を燃やす。放たれた【灼熱の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    腐食乱舞
【両腕と両脚に、劣化の呪術を含ませたタール】を纏ってレベル×5km/hで跳び回り、触れた物品や対象の装備を破壊、あるいは使用不能にする。
WIZ   :    炎鳥飛翔
【空中に描いた魔法陣】からレベル×6体の【魔炎の鳥】を召喚する。[魔炎の鳥]は弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾・自動攻撃する。

イラスト:尾崎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

暗都・魎夜
【心情】
黙示録指令か
たしかに首都攻め落とすには不足だろうし、デウスエクス側の消耗もでかい
正直、作戦としちゃあ下の下だ
けど、目的のない侵略なんて、受ける被害としちゃあ最悪だぜ
だから、ここから先へは行かせないぜ

【戦闘】
UCを発動して「グラップル」で攻撃
攻撃を「心眼」で「見切り」、炎のエネルギーを用いて「空中機動」で迎え撃つ

初手から随分な連中がお目見えじゃねえか
炎を扱う力もタールによる呪術も大したもんだ

なら、タールを燃やしてやるぜ
この熱量なら着火に十分だろ
太陽のエネルギーを「フェイント」「残像」でぶつけて、タールを無効化

太陽神スーパーアポロン、名前のセンスはかっこいいと思うんだけどな



 炎が狂い、街を焼く。
「まさに獣、いやそれ以下だな!」
 大東京のビル街を自在に跳ね回る『蠍灼のヴリシュチカ』たち。地面が割れ、ビルが凹み、破壊が生まれて炎が起こる。
 そのうちの一体が、救援に駆けつけた暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)へと前方から襲い掛かるが、魎夜はその軌道を見切って綺麗に避けた。
 自分の後ろへと流れていったヴリシュチカの方に振り向かずに、魎夜はすぐさま高く跳躍。……直後、魎夜が元居た場所へと再び仕掛けてきたヴリシュチカの突進は空を切る。
「フウウウウウウッ!!」
 ヴリシュチカのタールにまみれた四肢は、どうやらひたすらに動くものを追いかけているかのよう。そして跳ねるたびに激しい炎が巻き起こっている。

「初手から随分な連中がお目見えじゃねえか。炎を扱う力もタールによる呪術も、大したもんだ。……が」
 |黙示録指令《スーパーオーダー》が無ければ、果たしてどのような戦法を使ってきたのか。卑怯を好むシャイターンであればこそ厄介極まりなかったはず。だが暴れ回る今のヴリシュチカたちの有り様は、強いがあまりにも拙い。
 そしてこの程度では、首都を攻めて落とすには戦力が足りていないのは明白。せめてもう少し兵士の頭数を増やさないと、戦力は無駄に消耗されていくだけだろう。
「|黙示録指令《スーパーオーダー》か。……正直、作戦としちゃあ下の下だな」
 かつて数々の大規模な戦争の渦中に身を置いてきた魎夜からすれば、評価できる点がどこにもない。目的を見失った侵略など、受けさせられる被害としては最悪だ。
「こんな作戦、ほんの僅かでも達成させるわけにはいかない。ここから先へは行かせないぜ!」
 ヴリシュチカの突撃を幾度も躱す魎夜の視界の端には、突如発生した戦闘から必死で逃げようとする民間人の姿。それらが見えなくなった頃合いを見計らい、魎夜は攻勢に出た。

 呪力を纏ったタールに塗れた腕に触れたものは、ことごとく劣化させられてしまう。それが驚異的な高速移動の中で繰り出されたら、犠牲者にはなぶり殺しの未来しかない。
 しかし。
「盛大に、燃えろ!」
 魎夜の熱き魂を、太陽のエネルギーを込めた渾身の拳が……今この瞬間に負ける道理など存在しなかった。
 ――響いたのは、ヴリシュチカの腕が砕ける音。そしてその身に纏うタールへと火が付き、燃え上がる音。
 力押しの相殺、単なるカウンターではない。実のところはフェイントなどを駆使し、魎夜への攻撃が当たらず伸びきってしまった腕への的確な一撃。歴戦の技巧による繊細な攻め。
 不快な悲鳴を上げながら炎上するヴリシュチカにはもう目もくれず、魎夜は次の標的へと意識を向けるのであった。

 ところで。
「太陽神スーパーアポロン、名前のセンスはかっこいいと思うんだけどな」
 戦闘後に仲間たちに尋ねたところ、残念なことにあまり賛同は得られなかったらしいという結果は付記しておく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

比良坂・彷
俺の知ってる帝都とは随分と赴きが違うねぇ
何処であれ|超弩級《猟兵》の仕事はひとつ

予め一般人の退路を確認、逃走の安全の維持を最優先

敵との間に割り込み、そこらの瓦礫を盾にかばう
麻雀牌を鞄からばらまいて威嚇射撃
「あちらの影に隠れて逃げて。此奴はお任せあれ」

腐らせるなら武器は使い捨てが一番だ
襲撃でそこら中に瓦礫はあるだろうさ
コンクリ拾って攻撃受け、カウンターぶん投げ
崩れた建物の影に行き近づいてきたら脆くなった壁を蹴飛ばし押しつぶす
など
その場に瓦礫を武器と盾にして戦う、そういうUCだし
肉体と鞄は使わない、換えが効かねぇもん腐っちゃ困るわ

襲われる一般人を他で見つけたら即庇い逃がす
敵は纏めてなぎ払いで対応



 そこかしこと見回す眼差しに、興味津々の感情が多分に含まれるのは仕方のないことだ。
「いやはや、俺の知ってる帝都とは随分と赴きが違うねぇ」
 煙草の煙の向こうには、天を衝かんばかりの数多のコンクリートのビルヂング。|サクラミラージュ《故郷》が百年もしないうちにこうなるかもしれない、とは比良坂・彷(天上随花・f32708)には俄かに信じがたかった。そしてなるほど、猟兵になって後に知己となった友人が、帝都タワーを見てもさして驚かなかった理由もよく知れた。
「しかしまあ、関心ばかりもしていられんね」
 何処であれ彷の、|超弩級《猟兵》の仕事はひとつ。今まさに崩れ落ち、炎上しているこの都市を救うことだ。

 彷がまず動いたのは、ヴリシュチカの迎撃ではなく、一般人の避難の支援のためであった。
「おっと、それはちょっと見過ごせないねぇ」
 するりと、まるで図ったようなタイミングで、逃げる一般人とヴリシュチカの間に割り込む彷。両腕に持っていた大きな瓦礫へとヴリシュチカの蹴りが盛大にめり込む。
 瓦礫は、堅い物が砕けるようにではなく、まるで砂を固めて模っていた物だったかのようにして爆散した。
 そんな現象はとっくに想定内と、彷は鞄に手を突っ込み、握り込んだ麻雀牌をヴリシュチカへと投擲。散弾めいた牌の威力に敵が怯んだ隙に、一般人を避難させる。
「ほら、あちらの影に隠れて逃げて。此奴はお任せあれ」
 顎をしゃくり、一般人を安心させるべく微笑を見せてやる。しかしながらその顔はやや胡散臭げではあった。

「立派な建材を使ってるはずだろうがねえ……」
 一進一退というより、ずっとうまく一退し続けていると例えるべきか。
 これを砕けと言われたら自分ではかなり困る、今はそこら中に落ちているコンクリートの瓦礫を盾としてヴリシュチカの攻撃を受け、凌ぎ続ける。
 間違っても着けているインバネスなどで受けたくはない攻撃なら、使い捨ての武器で対処するに限る。もちろん、換えの効かない鞄や自身の肉体で受けて腐っても猶更困る。
「そら、頭上注意だ」
 盾として使い物にならなくなった瓦礫を投げつけ、敵がこちらを見失った隙に崩れた建物の陰に移動。戦闘の余波により脆くなっていた壁を蹴っ飛ばし、怯ませた個体だけではなく他のヴリシュチカも巻き込んでまとめて圧し潰す。
 止めを刺すにはやはり威力が足りないがそれでも痛撃にはなるし、何よりヴリシュチカの怒りの感情は一般人ではなくこちらに向く。
「安手アガりの一つも許しゃしないよ。いやそもそも、人の命はちっとも安くないがね」
 目的は攻勢、殲滅ではない。一体のヴリシュチカとの交戦継続にも意味はない。
 一般人の避難を円滑に、確実に完了させるべく、彷は荒れる首都を駆け回るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

賤木・下臈
この世界は現在、ここ東京をはじめ各所が襲撃を受けているようです。スーパーアポロンとやら、いずれとっちめてやらねば。
さて、まずはやっこさんの相手です。手数が必要なのでUC発動。この世にいる100人のあやしき下臈を全て召集します。総員を以て、民間人の救出、および敵との交戦に当たります。緊急事態につき、全個体に攻性自爆を許可。

さて、太陽と炎に抗うには、雨がよろしいでしょう。私も平安歌人の端くれ、和歌の力で降らせてみましょう。しかし私の力では広く降雨をもたらすのは困難ですので、偉大な歌人・大伴家持卿の力をお借りします。
「わが欲りし 雨は降り来ぬ かくしあらば 言挙せずとも 年は栄えむ」



 頑丈そうな太く高い石?の柱――なんとすべて建造物なのだそうだ――が林立する様を見て。賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)はこの世界の文明水準を推し量った。
 そして、この世界における敵は、都市襲撃のような大規模な事件すらも易々と起こせるという事実を、燃えながら崩れていくビル群から重々察するのだった。
「スーパーアポロンとやら、いずれとっちめてやらねば」
 気合いを入れて呟きつつ、着古した直垂の袖を捲り上げる。
「ええ、まったくです」
「まずはやっこさんたちの相手でしょう」
 そんな下臈に近づきながら声を掛けてくる、下臈と同じ姿形をした者……いや、あやしき下臈たち。招集され、いつの間にか百人以上も寄り集まっている。いわゆる平安時代の平民姿な中年男たちは、民間人の救出と敵との交戦のために動き出した。

 ……もしヴリシュチカたち理性があったのなら、大いに戸惑ったはずだ。
 標的に襲い掛かった次の瞬間、それは爆発するのだ。密着距離で発生する爆発を逃れる術など、さすがにヴリシュチカにも無い。巻き込まれたら下臈ごと消し飛ぶしかない。
 緊急事態につき攻勢自爆を許可されたあやしき下臈たちは、あえて目立つように都市内を掛け回っていた。まさにヴリシュチカを釣るための釣りだ。
 あまりにもこれ見よがしな作戦だが、それでも食いついてしまうのが|黙示録指令《スーパーオーダー》の脆さだった。

「さて」
 そこかしこで爆発の音が響く中、本体である下臈はビルの屋上に立っていた。
「太陽と炎に抗うには、雨がよろしいでしょう」
 消防車の喧しいサイレンの悲鳴には、趣など微塵も感じられない。高く鳴くなら鳥がよろしい。
「私も平安歌人の端くれですが、広く降雨をもたらすのは困難。であれば」

 ――『わが欲りし 雨は降り来ぬ かくしあらば 言挙せずとも 年は栄えむ』

 言の葉には力が宿る。それが人口に膾炙した和歌であれば猶更に強い。
「力をお借りします。偉大なる歌人、大伴家持卿」
 中納言が雨の恵みを喜ぶ歌。それが詠まれたのであれば、喜雨はすでに降っているということ。

 ……ざあざあと、都市を苛む炎は消えていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セシル・バーナード
大地が灼ける匂い。随分と久しぶりだ。
だけど、相手が何の意思も持たない人形同然なのは、ぼくの美学とは相容れないなぁ。
命の遣り取りは、お互いの緊張が極限まで張り詰めてこそ。君達みたいなものは、失格だよ。

一気に片付けよう。
「範囲攻撃」切断の「属性攻撃」「鎧無視攻撃」「斬撃波」で空間裁断。
狙いなんて必要ない。過程をすっ飛ばして、ただ切り刻む。

炎の攻撃は、自分の周囲に張った「結界術」と、「オーラ防御」「火炎耐性」「激痛耐性」で対応しよう。
威力が強化されてる以上、相手の攻撃は注意しないとね。

前線に一人取り残されないように、周囲の優勢劣勢を見極め、進むか下がるか考えるよ。
考えながら空間裁断を使い続けるけど。



 不可視にして無音の斬撃が、唐突にヴリシュチカたちを切り刻む。
 何をされたか、何が起こったか、を思考するだけの知性を今のヴリシュチカたちは持ち合わせていない。
 だから、攻撃された怒りのままに、恐らくは仕掛けてきたに違いないモノ……セシル・バーナード(サイレーン・f01207)へと殺意を叩きつけた。

「大地が灼ける匂い。随分と久しぶりだ。……だけど」
 事件、という規模のスケールは逸脱した東京への襲撃。
 初期対応として民間人を救うべく猟兵たちが動く中、セシルは極めて攻勢の方針を採用した。
 すなわち、最前線でのヴリシュチカとの戦闘。民間人の退避は仲間に任せ、セシルは徹底的にヴリシュチカを叩くべく動いていた。
 ヴリシュチカが燃え上がる鞭を振るう。音速を超えた鞭先は凄まじい勢いでセシルに襲い掛かる。しかしその攻撃は空を切り、同時に生まれた標的の魂までも焼き焦がす魔炎を、しかしセシルはやや冷めた気持ちで切り散らす。
 ……炎は余波すら熱く、思わず顔をしかめるほど。注意して結界術やオーラによる防御を重ねてもなお身体を焼く。
「相手が何の意思も持たない人形同然なのは、ぼくの美学とは相容れないなぁ」
 その攻撃は、ただ威力が強力なだけ。歪められた凶暴性には、命の遣り取りを行うだけの価値など少しも感じられない。
「君達みたいなモノは失格だよ」
 命の価値とはとてつもなく重い。互いの緊張を極限まで張り詰めさせてこそ、得られるものがあるのだ。

 前線に取り残され孤立しないように気を付けつつ、セシルはヴリシュチカたちを裁断していく。
 つまらない作業とまではいかないのだ。一撃必殺に近い攻撃を凌ぐのに気は抜けない。周囲の優勢劣勢に注意し、踏み込むか否かを常に思考し続ける。
 セシルのその姿を、まるで心ここにあらずの様子、とヴリシュチカが思うこともない。
 熱く、淡々とした激闘が続いていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェル・オオヤマ
・心境
違う世界だろうとアポロンと名乗るデウスエクスってどいつもこいつも残念でござるか…

一般人を助け、敵を討つ!了解したよ!
私の目の前で誰かが死ぬ…なんて事はさせるものか!

・戦闘
[月光刃ヘイル]とビームシールドを装備して出撃
その耳とタール…シャイターンかっ!

【かばう/盾受け/激痛耐性/火炎耐性】を用いて一般人を護ります
デウスエクスよる殺戮なんて罷り通す訳にはいかないんだから!

敵の攻撃から一般人を護ったら反撃開始!
[我竜・月渦氷陣]を発動!敵を凍てつかせて動きを鈍らせたら
月光刃ヘイルで斬り断つ!
【凍結攻撃/高速詠唱/一刀両断/2回攻撃】の技能を使用します

他キャラとの連携・アドリブ歓迎


月隠・新月
ただ暴れまわるだけでも、地球側にとっては十分すぎるほどの脅威です。
作戦が杜撰なのは不幸中の幸いですが、早くデウスエクスを倒さなければ……

【遠吠え】で敵の【注目を集める】ことで、敵の注意を俺の方に向けさせたいですね。負傷して弱っている【演技】等すれば、民間人よりこちらを優先的に狙うのではないでしょうか。まあ手負いの獣が目立つ行動をとるのは不自然なのですが、敵は理性を失っているようですからその辺りは大丈夫でしょう。

敵の召喚する魔炎の鳥は【魔獣領域】による魔力の奔流で破壊したいですね。民間人の方へ飛んで行っては事ですので。
敵もこれで倒せればいいのですが、倒れないようであれば爪で【追撃】しましょう。



 グリモア猟兵の説明で触れられた、指揮官である十二剣神『太陽神スーパーアポロン』について。
 その名を聞いて微妙な反応をしてしまったのが、例えばフェル・オオヤマ(氷焔操る紅の竜姫士・f40802)や月隠・新月(獣の盟約・f41111)の二人だ。
「違う世界だろうと、アポロンと名乗るデウスエクスってどいつもこいつも残念でござるか……」
「……今のところ、否定できる要素はありませんね」
 お互い同意するしかない。強く愚かであるだけならまだしも、それが組織の上位に君臨しているのは迷惑極まりない。
「デウスエクスがただ暴れまわるだけでも、地球側にとっては十分すぎるほどの脅威です」
「ええ、まずは一般人を助け、デウスエクスを討つでござる!」
 だからこそ、
「ケルベロスが、そして猟兵が」
「デウスエクスに死を」
 二人は、もう一つの東京へと征く。

 ヴリシュチカたちの放った炎が一般人に直撃する寸前、両者の間に間一髪で盾を構えたフェルが身を割り込ませる。足元のアスファルトが、鈍い音を立ててひび割れる。
 猛烈な火勢に吹き飛ばされそうになるも、フェルは気合いを込めて堪えた。
「デウスエクスよる殺戮なんて、罷り通す訳にはいかないんだから!」
 ヴリシュチカたちの殺気がフェルへと集中する。……と、その時。ヴリシュチカたちの後方から叩きつけられたのは、低く長い遠吠え。
「――――ッ!!」
 今のヴリシュチカにとっては、新月の咆哮は単なる獣の唸り声であるとしか認識できない。
 彼女が何故吠えたのか、その遠吠えに何の意味があるのかなど何一つ理解せずに、新月という存在を認識したヴリシュチカたちは標的を変更した。ヴリシュチカたちは狂喜として空中に魔法陣を描く。
 生み出されるのは、無数の炎鳥。
「敵の注意を俺に向けさせたいとは考えていましたが、こうも見事に引っ掛かるとは」
 シャイターンであればこちらに気も引かれるであろうと、負傷した手負いの獣のフリも一応してみたが、そこまで演技をする必要すらなかったかもしれない。新月の状況の不自然さなど、理性を失ったヴリシュチカたちにとってはどうでも良いことなのだ。
 ……もっとも、空を埋め尽くさんばかりの赤い炎鳥の群れをどうやって凌ぐか、凌げるのかはまた別問題である。
 つくづく、作戦が杜撰なのが不幸中の幸いだ。
 この鳥が的確に建造物の破壊や民間人の方へと襲い掛かっていたかもしれないなどと考えたら、まだ自分で対処する方が気も楽というものだ。
「早く倒さねば……」 
 遠吠えによって形成された魔力の奔流は、新月へと向かってきていた炎鳥の飛行軌道を大いに乱した。
 それだけで破壊するにはまだ至らない個体も多かったが、そういう炎鳥に対しては爪も使い、新月は確実に削り潰していく。

 一方、炎鳥を召喚した術者であるヴリシュチカたちの方はというと。

「ご支援、感謝!」
 口調をきりりと戻していたフェルが|太刀《月光刃ヘイル》を構える。
「私の目の前で誰かが死ぬ……なんて事は、させるものか!」
 数瞬、新月の方にばかり気を取らていたヴリシュチカたちの足元から、凍てつく竜巻が巻き上がった。
 新月の作り出した魔獣の領域により賦活され、より強力となった斬氷風刃がヴリシュチカたちを凍てつかせ、切り刻んでいく。
「その耳、タール……シャイターンめっ!」
 事の顛末を思うと、ローカストという種族全体を憎む気持ちは薄い。しかし逆に、シャイターンに対して情けをかける理由などどこにもない。
 凍てつき、動きを止められたヴリシュチカたちへとフェルは敢然と斬りかかる。
 一閃、二閃。
 冷えた白刃が、穢れた咎人を次々と斬り断っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

叢雲・紗綾
作戦とも言えない単純すぎる攻撃ですけど、脅威は脅威です。
きっちり撃退するとしましょう。

纏まった数の敵が攻め込んできてるトコへ向かい、街の人を襲おうとしてる横合いから不意打ちをかけます。
行使するのは弐拾壱式放電式浮遊機雷散布。
理性が無いとはいえ正面からじゃ撃ち落とされそうですが、不意打ち気味に仕掛ければある程度効果はあるでしょう。

発動後は「月蝕・参式」を単射モードで構えて、動けない敵を順次撃ち抜いていきます。
まだ動ける敵がいるなら、牽制射撃をかけて意識を惹いた上で、うまく距離を取りつつ、動けない敵を処理していきます。

その間に、街の人達には避難を呼びかけ。
大丈夫です、こんな低能共に私は負けません。



 ヴリシュチカたちの頭数は、猟兵の迎撃でいよいよ減ってきていた。が、残った者たちは恐れるでも心配するでもなく、だからといって猛るでもなく、ただひたすらに其々に東京に破壊を振りまいている。
 作戦とも言えない単純すぎる攻撃だが、東京という都市にとって脅威なのは間違いない。
「愚かしいですね」
 残ったヴリシュチカたちの群れを破壊音を頼りに駆けながら、叢雲・紗綾(嘲り詰る兇弾・f40836)は呟く。都市内戦闘であれば、本来であれば無数にある物陰からの狙撃を選びたいところ。しかし今回は状況が異なる。
「間に合いましたか」
 ビルの谷間から出て視線のすぐ先は、逃げてきた民間人を追ってきたヴリシュチカたちの丁度横合い。
 急停止の勢いでふわっと浮かんだ紗綾のスカートから、一体どこに隠していたのかと不思議なぐらいの量の機械球――高電圧を放つ浮遊機雷だ――が飛び出す。
「理性が無いとはいえ正面からじゃ撃ち落とされそうですが、不意打ち気味なら」
 浮かぶ機雷は、音もなくゆっくりとヴリシュチカの方へと動いていき……接触。
「!?」
 ――眩い閃光、そして破裂。
 雷撃による爆発は、側面から仕掛けてきた紗綾には気づきもしなかったヴリシュチカたちに痛撃を与えた。

「皆さん、こちらへ!」
 声を出し、自分の後ろへと民間人の避難を促す。 
「そのまま走っていってください。ここで押し止めます」
 民間人の駆ける先、後方を向くことなく、紗綾は|プラズマライフル《月蝕・参式》を単射モードにして構えた。電撃で麻痺したヴリシュチカを撃ち抜いていく。また動けている相手にも牽制の射撃を放ち、高速の飛翔を阻害する。
 それに、初撃で接触をしなかった機雷はまだそこかしこに浮いている。それに直接触れるのはさすがにまずいと察するのは理性ではなく生存本能の働きだろう、ヴリシュチカの機動は精彩を欠く。
 つまり、動けるようになっている個体もまた、紗綾の射撃の的ということだ。
 彼我の距離をうまく調整しつつ、敵を討伐……いや、処理していく。

「大丈夫です、こんな低能共に私は負けません」
 猟兵の決意を伴う行動は、人々に勇気を与え、そして最善の結果を生み出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『炎の闘士ボッティチェリー』

POW   :    闘志業炎格闘技
【闘志の炎】を纏い空中高く舞い上がった後、敵めがけて急降下し、[闘志の炎]が尽きるまで【燃え盛る炎の格闘技】で攻撃し続ける。
SPD   :    闘志の炎拳
【己の拳】を【闘志の炎の発破】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
WIZ   :    闘志の陽炎
【闘志の炎を纏った四肢】による近接攻撃の軌跡上に【闘志の陽炎】を発生させ、レベルm半径内に存在する任意の全対象を引き寄せる。

イラスト:十姉妹

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵の健闘により民間人の避難はほぼ完了した。
 少なくとも戦闘が発生すると予想される区域に非戦闘員は残っていない。あるいはそれは生存者は残っていない、とも言い換えることができるのだが。
 ともあれ、以降は決戦配備も問題なく活用できるだろう。

 そして、次なる理性無き襲撃者が、闘炎の行使者が、東京へと迫る――!
暗都・魎夜
【心情】
さて、2R目の相手はこいつか
まったく、敵に目標がねえから、かえってやりづれえ
どこまで被害を抑えることが出来るかの勝負だな、こりゃ

【決戦配備】
クラッシャーを要請
こっちが敵の脚を止めている間に攻撃を行ってもらう

【戦闘】
扱う炎の強力さ、格闘技の腕前、これは真っ当に戦うことになったら強敵だったろうな
そういう意味じゃ、黙示録指令ない方が手ごわい相手だったろうぜ
とは言え、ガタイででたらめに攻撃してくるだけでも、面倒な相手だ
油断はせず行かねえと

UCを発動し、攻撃を「心眼」「見切り」
決戦配備に情報を伝えて、防御の体勢を整える

「さて、最後はどんなのが出てくるんだ?」



 押し寄せてきたボッティチェリーたちが都市内を荒らしまわっている。避難はすでに完了し人的被害は出ないであろうが、その分、破壊の標的は密集する建造物へと向いていた。
「さて、2ラウンド目の相手はこいつらか」
 もちろん、そんな暴挙を許すはずがない。魎夜は両の拳を強く打ちつけあう。
 そんな至近で気合いを入れた魎夜に気づく者、まだ気づけない者と、ボッティチェリーたちの反応は様々。今はまだ目の前の|玩具《建物》を壊す方が楽しいようだ。
「……まったく、こっちは臨戦態勢だってのに。敵に目標が無えからかえってやりづれえ」
 闘気を当てれば、ようやくほとんどの敵が魎夜へと向けるのだった。

「どこまで被害を抑えることが出来るかの勝負だな、こりゃ」
 獲物へ群がる野生動物のように、魎夜へと殺到するボッティチェリーたち。己の拳を爆発させ勢いを上げ、突進してくる。
「なるほど」
 防具を用い攻撃を防いだとしても、そのまま連撃で畳みかけられる。もし一発でも当たれば大怪我の可能性がある攻撃を、絶え間なく放たれるのはあまりにも脅威だ。
 ただし全ては、もし当たれば、の話だ。
「……これは、真っ当に戦うことになったら強敵だったろうな」
 魎夜の冷たい呟きは、嘲りというよりは悲哀が混じったもの。
 |黙示録指令《スーパーオーダー》が無い方が手ごわい。
 二体、二方向から放たれた同時の拳撃。だがそれはボッティチェリーたちがタイミングを合わせたわけではなく、二体が偶然同じ瞬間だっただけ。拳に纏う炎の勢いは強いが、格闘技の技巧など一切感じられない、単なる大振りの一撃と一撃。
 魎夜の戦闘経験は、そして歴代のストームブリンガーたちの記憶は、気が抜けるような初動からの厄介な瞬間的変化を予測したが……そうはならない。
 単調な挙動と軌道を読み切った魎夜はあっさりと攻撃を避け、更に迫る他の個体の追撃へと意識を向ける。そして攻撃を避けられ態勢を崩したボッティチェリーに、銃撃やミサイルが襲い掛かった。
「的確な攻撃、感謝だぜ」
 巨体が出鱈目に攻撃してくるだけでも面倒ではあるが、魎夜も気を抜くつもりはない。それは魎夜が依頼していた決戦配備だ。
 魎夜が攻撃を凌ぎボッティチェリーの足を止めている間に、周辺のビルに普段隠蔽させて搭載されていた火器による攻撃が突き刺さった。

 魎夜は時間をかけ、支援を受けつつ確実に頭数を削っていき、そして周囲の敵の殲滅を完了させる。とはいえ、まだ作戦は完了していない。
「さて、最後はどんなのが出てくるんだ?」
 続き現れるであろう最後の脅威を待ち構えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・紗綾
今度はまた力強そうな敵ですね。
脳筋ですらないとはいえ、速度と突破力は侮れません。

とはいえ、決戦配備が使えるってならこっちのモノです。
その力と速度、活かす機会なんて与えません。

決戦配備でディフェンダーを要請、都市内に隔壁を展開し侵攻経路の封鎖をお願いします。
ただし全部は塞がず、一箇所だけ経路を開けておく形で。
敵は隔壁も簡単に壊せるパワーがありそうですが、別のルートが開いていれば其方へ向かうと予測します。
そうして敵の侵攻経路を限定し、動きを読みやすくするのが目的ですね。

後は、経路を見渡せる高所に陣取り、「雀蜂」での死点狙撃で一体ずつ仕留めていきましょう。
お前達は捕食者ではなく、獲物です。



 ヒトから見て体格が良い敵が、必ずしもパワータイプであるとは限らない。
 が、こと『炎の闘士ボッティチェリー』に関して言えば、まさにおおよそ見た目通りの戦法を得意とする敵のようであった。
「今度はまた力強そうな敵ですね」
 そこかしこへのビルへと闇雲に攻撃を仕掛ける姿は、まさ暴徒かそれ以下か。
 ゆるやかに揺れているビルの屋上から、迫る敵群をじっくりと観察する紗綾。紗綾の身の丈ほどもある巨大な|光線狙撃銃《雀蜂》のスコープ越しに向けた視線は、努めて冷静であり感情は極力排されたもの。
 脳筋ですらない、ただただ破壊を振り撒きながら進む集団とはいえ、純粋にその突破力は侮れない。

 とはいえ、だ。
 その力と速度を活かす機会など与えるつもりはない。
「決戦配備が使えるってのなら、こっちのモノです」
 伏せている紗綾の身体の揺れが、先程から揺れていたビルの振動が止まる。紗綾が要請した決戦配備の配置が完了したのだ。
 周囲の辺り一帯の隔壁、防壁が要請通りに展開され、ボッティチェリーたちに認識できる進撃路は一本に狭められていた。
「あまりにあからさまではありますが、それでも嵌まりますか」
 目の前で、進むルートを敵に限定されても怪しまない。燃える拳で殴ったりしてみるが、さすがに隔壁となるとそこまで容易な破壊は不可能だ。ならば塞がれていない道を進むことを選ぶ。
 紗綾の作戦は明快だ。隔壁によってボッティチェリーの侵攻経路、動線を限定し、進攻の動きを読みやすくする。
 意図的に集められた今の状態であれば、紗綾にとっては大量の的でしかない。

「お前達は捕食者ではなく、獲物です」
 鷹の目の如く、標的の弱点を捉える。今狙っているボッティチェリーは紗綾に背を向けた状態。そして背に甲羅を着けているが、今の紗綾には関係ない。
 その甲羅の最も弱い部分、撃ったら貫けると確信した一点を狙い、紗綾は静かに引金を引く。
「……ヒット」
 あるいは頭を、あるいは胸を。ボッティチェリーの急所を。
 命を奪うべく、淡々と、レーザーが貫いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェル・オオヤマ
・心境
敵の第二波か
これ以上被害を出させる訳にはいかないよ!

・戦闘
決戦配備はジャマー
[銀の月]とビームシールドを装備して戦闘

この攻撃は…防ぐより避けるのを優先した方が良さそうなのと…延焼を防いでおかねば…かな?
ジャマーの皆さん!煙幕と消火剤の散布をお願いします!
回避優先【気配感知】 闘志の炎が強くてどこ狙おうとしてるのかバレバレだよ!
回避が難しい場合は【盾受け/激痛耐性/火炎耐性】を用いて防御します

銀の月に氷の魔力を纏わせ攻撃しつつチャンスが来たら
[我竜・属性雨]を発動
炎と氷と雷の波状攻撃で敵集団を攻撃します
【凍結攻撃/高速詠唱/範囲攻撃/追撃】の技能を使用

他キャラとの連携・アドリブ歓迎


賤木・下臈
決戦配備:ジャマーを要請します。敵の動きを鈍らせる他、下臈冗句の聞き役として。

敵の名称はボッティチェリー。ルネサンス期の画家と似た名ですね。絵と言えば、人類史上至る所で我々「あやしき下臈」は描かれてきました。ラスコーの洞窟から、ピラミッド、ナスカ、アジャンター石窟、システィーナ礼拝堂、そして小さな子供の落書きにまで……至る所に我々は存在するのです。

「意味が分からん」と皆様は思うでしょう。ないです、そんなの。しかし、場の下臈さ、すなわちナンセンスな雰囲気が高まっているのがお分かりでしょう。

UC発動。攻撃した敵の部位に|下臈さ《ナンセンス》を流し込み、爆破させます。戯れ絵にもなりませんね。



『炎の闘士ボッティチェリー』は亀型のドラグナーだ。見ての通り接近戦、格闘で戦うタイプである。
 いかにも肉弾戦が強そうな、そして理性を失ったボッティチェリーたちが群れを成して都市内を進攻してくる様は、まさに炎による洪水とでも呼べるだろうか。
 だが、
「どれだけの敵が来ようが関係ない、これ以上被害を出させる訳にはいかないよ!」
 フェルは迫る恐るべき大群を前へと、決意を込めて敢然と立ちふさがる。

 炎を纏った何の捻りもない単純な殴打は、フェルの掲げたビームシールドに当たり盛大な音を上げた。
「~~ッ!」
 一瞬、腕が折れたかと勘違いするような衝撃。吹き飛ばされないよう堪える。
 防ぐというだけであれば全く難しくないが、身体や武装がいつまでも耐えられる威力ではない。加えて発せられた炎は中々に厳しい。
「この攻撃は……避けるのを優先した方が良いね。延焼も防いでおかないと」
 苦し気な顔のフェルへと追撃を仕掛けるボッティチェリー。だがその時、ドラグナーの頭へと浴びせられたのは……ラーメン。
 えっ、ラーメン?
「まったく、食べ物を粗末にしてはいけません」
 そう、どんぶり入りの熱々ラーメンだ。ボッティチェリーの攻撃に、下臈が横槍を入れていた。
「見目麗しきお嬢さん、ジャマーの要請をお願いいたします」
「は、はい。……ジャマーの皆さん!煙幕と消火剤の散布をお願いします!」
 決戦配備の要請を入れるフェル。頭にどんぶりを被り、麺やスープを垂らして咆哮を上げるボッティチェリー。さすが理性を失っているとしても、ラーメンを頭から被ったらキレる。 
 ボッティチェリーの殺気が下臈へと向いた次の瞬間、戦場は上空高高度に待機したヘリから落とされた、攪乱と消火の煙幕により一気に白い霧に包まれた。

 ――敵の名称はボッティチェリー。ルネサンス期の画家と似た名ですね。絵といえば、人類史上至る所で我々「あやしき下臈」は描かれてきました。ラスコーの洞窟から、ピラミッド、ナスカ、アジャンター石窟、システィーナ礼拝堂、そして小さな子供の落書きにまで……至る所に我々は存在するのです。
 下臈のあやしき声が、白い靄にけぶる戦場に幽々とひびく。
 声の発生源を探すべく、炎を曳光させたボッティチェリーたちがやたらめったら飛び回っている。
「『意味が分からん』と思うでしょう?」
 ……ぬらり、という風情で、着地したボッティチェリーの背後に下臈が立っていた。肩を跳ね上げたボッティチェリーの心情は、まさに『ぞくり』か。
「ないです、そんなの。しかし、場の下臈さ、すなわちナンセンスな雰囲気が高まっているのがお分かりでしょうか?」
 下臈がボッティチェリーの身に突き刺したのは、木の枝。おそらくは本当に、単なる木の枝のはずだ。
 だがその枝は深く刺さり、高まりに高まった|下臈さ《ナンセンス》を流し込まれ……盛大に爆ぜた。
「戯れ絵にもなりませんね」
 散る肉片を見やる下臈の視線には、果たしてどのような感情が込められていたのだろうか。

 一方でフェルは、靄の中で動くボッティチェリーの突進攻撃を回避していた。
「闘志の炎が強くて、どこ狙おうとしてるのかバレバレだよ!」
 ボッティチェリーが身に纏う炎は強い殺気を放ち、視覚的にも非常に目立つ。煙幕で全員の視界が制限された状態の中でも、はっきりとそれぞれの個体の挙動は読める。
 ましてやフェルを発見できず、ただ闇雲に動き跳び回っているのだ。仕掛けるイニシアチブはフェルにあった。
「亀は亀らしく、地に這いつくばれ!」
 氷の魔力を纏わせた斬撃で、攻撃しては身を隠してを繰り返す。一撃で止めまで誘うとは考えていない。消火煙幕剤の投下による支援はずっと続いており、下臈の何やら不可思議な冗句も響いている。現状ではフェルは目立たない存在であり、確実に敵の戦力を削ぐことに成功していた。
 そして、そろそろ頃合いと見てフェルは一気に攻勢に出た。
「炎よ、氷よ、雷よ……!」
 広く降り注ぐは、火炎、氷柱、雷の混じった豪雨。
 突然の上からの攻撃に、ボッティチェリーたちは為す術がない。雨に穿たれ、身に纏った炎があっさりと消えていき、そして巨大な身体が凍り付く。
 動きの止まったボッティチェリーたちへ、ここぞとばかりにフェルは斬り込むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セシル・バーナード
また暑苦しいのがでてきたなぁ。シャーベットが食べたくなるよ。

|決戦配備《ポジション》要請、アタッカー。この辺、派手に空爆して。

理性が飛んでるのなら、こういう手はどう?
「全力魔法」「範囲攻撃」で時空迷宮を展開。内部は小部屋と通路で、敵がまとまれないようにする。
自分で作ったものだから、ぼくは次元断層の壁を抜けられる。

相手を寸断したら、単独から少数で行動してるやつを相手に「鎧無視攻撃」の貫手で「暗殺」を仕掛ける。狙い目は首かな。
数の暴力が使えなくなったら、相手にならないね。落ち着いて対処していこう。
敵に引き寄せられたら、その流れに乗って「カウンター」で急所狙いの一撃を。

ぼくの担当はこれでいいでしょ。



「|決戦配備《ポジション》要請、アタッカー。この辺、派手に空爆して」
 巨体のボッティチェリーたちが都市内を暴れ回る。四肢に炎を纏い、その力を好き勝手に無秩序に建造物にぶつける様子を見て、セシルは投げやりと言えそうな支援要請を出した。
 セシルの居合わせた周囲の一帯の建物は、既に半壊かそれ以上の被害を受けている。いっそ派手な爆撃で更地に返してしまった方が復興も楽だろう。
「まったく暑苦しいなぁ。シャーベットが食べたくなるよ」
 飛来するミサイル群を認識して喚き立てるボッティチェリーたち。着弾の爆発が生まれると同時に、セシルも仕掛けた。

「理性が飛んでるのなら、こういう手はどう?」
 そこで何が起こったか、ボッティチェリーたちには最期まで理解ができなかっただろう。
 月並みな表現をするならば、不可視の硬い壁がそこかしこに発生したということ。空爆に対抗しようとしたボッティチェリーたちが、それにぶつかり動きを制限されてしまった。
 実際には、それは壁ではなくセシルが生み出した次元断層なのだが、何にせよ『こちら』と『あちら』を分断する透明な壁にであることに変わりはない。そして閉鎖空間ではなく小部屋と通路で形成された迷路なのだが、敵にそれを察するだけの知性は残されていなかった。

 自分が作った時空迷宮の壁をするりと抜けて踏み込むセシル。ボッティチェリーはそれに反応するが、無様に見えない壁にぶつかるばかり。そして、それぞれがすっかり分断されてしまっていることも認識できていない。
「まるで動物園、いやサファリパークかな」
 燃える拳が壁に打ち付けられ、迷宮内の空気全体が震えている。だが所詮、脅威とは感じられない程度。仮に大勢がタイミングを合わせて破壊を試みたら、状況は好転させられたかもしれないが……。
「数の暴力が使えなくなったら、相手にならないね」
 狂える獣たちを前にして、セシルは落ち着いて対処していく。
 敵は通り抜けられない壁の向こう側へ、単独に区切られてしまっている個体へ。まさかセシルが踏み込んでくるとは考えてもいない者の元へ。
 硬い装甲など一切無視をするセシルの貫手が、ボッティチェリーの急所をずるりと貫く。
「ぼくの担当はこれでいいでしょ」
 気は抜けないが、高揚など生まれない単なる作業でしかない。
 セシルは次々と、混乱した迷宮の中で死を生み出していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

比良坂・彷
やぁだ暑苦しい御仁だこと
防御したら壊れるまで殴るってただの力押しじゃない
そういうステゴロ喧嘩殺法だぁい好き
けど複数を同時に相手取ると分が悪いんだよねえ

決戦配備「ディフェンダー」
隔壁で群れをある程度孤立させ、多くても2体ずつ処理
煙草を額にジュッてしてUC発動
運気を奪い極力攻撃をスカらせる

惹きつけカウンターで麻雀鞄でぶん殴る。たまに回し蹴りや足払い
羽ばたきで素早く距離を取り攻撃はなるべく躱す
隔壁を盾にはしないよ
壊されて孤立させた他のが来たら詰むからね

なんにしても運任せだからねえ
煙草を咥えて闘志の業火で火入れで挑発、ミスを誘ってみたり
被弾したら精々凄絶に笑って下がらずカウンターで殴るよ

※流血負傷歓迎



 彷はギャンブラーだ。知性や理性や狂気を手札に持ち、敵と渡り合う。
「やぁだ、暑苦しい御仁だこと」
 ……ならば、こういう知性の吹き飛んだ輩と争うのを厭うかのといえばそうでもない。むしろ逆。
「防御したら壊れるまで殴るって、ただの力押しじゃない。そういうステゴロ喧嘩殺法だぁい好き」
 徹底的な暴力と炎を前に、きらきらと目を輝かせる。眩い正義感など僅かも混じっていない、淀んだ狂喜の光だった。
 ボッティチェリーたちの周囲を囲うように、隔壁がせり上がる。無秩序に撒き散らす被害を減らすというより、彷が戦いやすい方向へと導くための|決戦配備《ポジション》だ。
 隔壁で区切られた戦場は、狭い路地裏を思わせた。
「それじゃ、やりますか」
 上機嫌のまま、銜えていた煙草をそのまま額へ。ジュッという肉の焼ける音を切っ掛けとし、戦いは始まった。

 敵をぶん殴るために強く踏み込んだその足元で、道路が陥没するなど想像できただろうか?
「おや、ツイてないねぇ」
 よろけたボッティチェリーの頭へと、全力で麻雀鞄を叩きつける。吹き飛ばされた先には、同じく仕掛けてきていていた別の個体。まったくもって運が悪い。
 もちろん意図的なもの。今この戦場は彷に運気を操作されている。
 といっても賽の目を偏らせることはできても、絶対とはならない。それは神の領域であり、博徒が忌むべき世界だ。
 それはともかく、さすがに複数を同時に相手取ると分が悪いので、精々二体までと絞るために隔壁を立てたのだ。むしろ壊されて孤立させた他のが来たら詰むため、盾としての活用は考えていない。
「ガッ……!」
 そして運任せ、不運任せの戦法は無敵ではない。回し蹴りが防がれ足を掴まれ、焼かれながら地面に叩きつけられるようなことも起こる。そこで彷の足を手放してしまう所が不運の巡りかもしれないが。
 だが、その程度の負けは想定されたもの。そして好機へ転じさせることができるのがギャンブラーの力。
 骨は……どこも折れていない。唇が切れた。つまり問題ない。
「あっちゃー、火が消えちゃったよ。……それ、ちょっと貸してくんない?」
 口の端から血を垂らし凄絶に笑いながら、煙草をボッティチェリーの腕へと向けてやる。
 怒りの咆哮と、挑発の笑い。血飛沫が盛大に舞う路地裏の乱闘が、続いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月隠・新月
民間人の避難はほぼ完了……とはいえ、デウスエクスの進攻を許せば同じことです。
ここで押しとどめなければ。

【霧重無貌】で身を隠しつつ、敵を迎撃しましょう。視聴嗅覚で感知できないとはいえ、魔力探知などされれば見つかる恐れはありますが……理性の無いデウスエクスに、そこまでの慎重さはないでしょう。多少は大胆に立ち回って、早く敵を倒すことを優先しましょうか。
決戦配備・スナイパーを要請します。遠距離攻撃で敵の殲滅の手助けをお願いします。俺は爪撃等で攻撃しましょう(【引き裂き】)

敵が闘志の炎を纏った状態では手出しがしづらい。オルトロスチェインを伸ばして敵を【捕縛】し、生命力を奪えば炎が尽きるかもしれませんね。



 突如着弾、しかる後に響くいくつもの銃声。長距離からの狙撃は、暴れるボッティチェリーの身体に傷をつけた。
 当たり所が良ければデウスエクスと言えども致命傷にも至ることができるほどの威力の銃弾だが、さすがにそううまくはいかない。新月が依頼した狙撃の|決戦配備《ポジション》は単独では半ばしか機能しない。
 狙撃、いや己に発生した怪我に気がついた集団に、新月が静かに仕掛ける。

「民間人の避難はほぼ完了……とはいえ、デウスエクスの進攻を許せば同じことです」
 ここで大群を押し留めんと、朧な魔力を纏い、足音を殺しながら新月は静かに駆ける。
 狙撃を攻撃と認識して理性無くただ吠える者、怪我を訝しみ遠くの攻撃の発生源を探る者、敵の反応は様々。狙い目は……集団の中でも最も外縁に居る者。
 速度を保ったまま跳躍。前脚を振るい、鋭い爪で喉を狙う。着地しても勢いは殺さず一気に駆けて移動し、攻撃されたボッティチェリーが倒れる頃には、静かにまったく別の位置へ。
 狙撃によって生み出された乱戦状態の中、鋭利な疾風が奔る。

 新月の隠密機動は視覚や嗅覚では感知できないが、逆に言えば聴覚や魔力探知などでは発見される可能性はある。
「しかし理性の無いデウスエクスに、そこまでの慎重さはないでしょう」
 少なくとも普段であればこんな大胆な作戦は選ばない。この状況下で早く敵を倒すことを優先した結果だ。
 そしてこの場からの離脱か、あるいは見えぬ何かへの攻撃か。炎を纏い高く飛び上がろうとする者には黒鎖を伸ばし捕縛。暴れる相手は手出しがしづらいのでそのまま拘束を続け、生命力を奪っていく。
「さすがに命と共に炎も尽きますか」
 火が消える様をただ眺めている余裕など無い。
 外部からは長距離狙撃、内側からは新月による爪撃。ボッティチェリーは、混乱の中で頭数を減らされていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『厄災』カラミタース』

POW   :    絶望の焔夜
【すべてを灰燼に帰す天を衝く六柱の焔 】が命中した対象を燃やす。放たれた【超高温の青い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    滅びの焔夜
【すべてを灰燼に帰す天を衝く六柱の焔 】を放ち、命中した敵を【超高温の青い焔】に包み継続ダメージを与える。自身が【奉納の舞】していると威力アップ。
WIZ   :    厄災の焔夜
高速で旋回する【すべてを灰燼に帰す天を衝く六柱の焔 】を召喚する。極めて強大な焼却攻撃だが、常に【奉納の舞】を捧げていないと制御不能に陥る。

イラスト:ゆりちかお

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠識城・麗です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 世界がもし炎に包まれて滅ぶのであれば、このような姿なのかもしれない。

「~~♪」
 高層ビルの一本一本が、まるで蝋燭か、あるいは松明であるかのように青く燃え上がっていた。
 狂い火が、青き焔が、踊る踊る。
 本来であれば、作戦に向かった猟兵たちが全員で討伐に当たるような軍勢の指揮官クラス。それが何体も降臨していた。

 しかし、だからどうしたというのか?
 デウスエクスの強さが、任務達成の困難さが、果たしてケルベロスの、そして猟兵の、臆し退くべき理由となるわけがない。
 此処に、炎に包まれた東京決戦の最終幕が上がった。
賤木・下臈
此度の襲撃で都市は損なわれ、人命も失われました。奴らにも必ず、死を以て償わせます。

「げろちゃんシール」を用意します。これは貼った人間の下臈さを高めます。11枚以上貼ると下臈さが高まり過ぎてやがて自爆します。これを12枚貼ります。はい、自爆前提の攻撃を仕掛けます。

決戦配備・ジャマーの援護を借りたいと思います。一体だけでも、少しの間だけでも、敵を拘束します。そして下臈さを高めた最大火力で自爆します。爆風の制御には自信がありますので、無駄な破壊は致しません。全火力を敵の破壊に費やします。なぜなら私は下臈だから!

焼き尽くされるのは貴様の方だ。髪の毛一筋この世には残さん。私には髪の毛ないけど。



 胡乱な輩であるという人物評を、下臈は否定はしないだろう。普段の言動や行動からは、どうにも拭いきれない一抹の『あやしさ』が感じられるのだから。
 しかしながら、それがどこまで彼の本質なのかは分からない。
「此度の襲撃で都市は損なわれ、人命も失われました」
 少なくとも、青き炎により灰燼へと帰さんとしている都市を睨む下臈の声色は、そして決意は。
「奴らにも必ず、死を以て償わせます」
 どこまでも強く、真剣であった。

 踊り狂う 『厄災』カラミタースがいわゆるトリモチのような粘着物質に覆われたのは、僅かな瞬間のみであった。
 周囲の武装ビルやヘリからの一斉射。決戦配備の発動による行動阻害は、攻撃力を持たせていない分、デウスエクスであっても数分かそれ以上の拘束を可能とする。ともすれば呼吸困難も狙えるだろう。
 だが数秒後には、爆発的な青炎によってトリモチは消し飛ぶ。今のカラミタースにとって、それは踊りを少々邪魔されたという程度の認識でしかない。
 しかし下臈にとっては、それで十分であった。
「焼き尽くされるのは貴様の方だ」
 カラミタースのすぐ側まで接近していた下臈。身体中に、下臈の顔が描かれたシールが貼られている。しかも12枚も。
 よくよく見るとそれぞれのシールで表情が違っている辺り、丁寧で憎い仕事だ。
 カラミタースは困惑するしかない。あまりにも下臈な……それは本当に、下臈であるとしか例えようのない風体の者なのだから。
「髪の毛一筋、この世には残さん。私には髪の毛ないけど」
 だから、その口が紡ぐ決意の文言になど気付けもしなかった。

『なぜなら私は下臈だから!』

 ――超高温の炎を消し飛ばす、応報の大爆発。さながら破壊消火であろうか。
 横方向、周囲の建造物への被害は極めて少ない。下臈の自爆の全火力は、カラミタースを討つためだけに集約されている。爆風は、無駄な破壊は望まぬ下臈によって制御され、主に真上方向へと威力の矢印が向けられていた。

 ……爆発の納まった痕には、何も残っていなかった。下臈も、カラミタースも。
 だが下臈の身を案ずる必要も無いだろう。彼はどこにでも居る。
 この場からは消えただけで、すぐに他の場に現れるに違いないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セシル・バーナード
敵は全部炎の化身だったか。夏はまだ先だっていうのに。
季節の先取りが早すぎるんじゃないかな、お姉さん達?

|決戦配備《ポジション》はメディック。消化剤の空中散布をお願い。

ぼくは真の姿に転化。金色の九尾の狐へ。

長く尾を引く鳴き声を一つあげて、「全力魔法」砂の「属性攻撃」「範囲攻撃」で砂塵蹂躙。
装甲を強化、移動力半減。
この砂嵐の中では、放とうとした焔の柱は砂の渦に触れてすぐに暴発するよ。投射出来たとしても、砂嵐の壁に波紋を起こすのが精々。
ぼくは態勢を低くして砂嵐をやり過ごし、敵の脚が見えたら飛びかかって首を食い千切る。
あーあ、もったいない。こんなお姉さん達となら、ベッドの上で熱い夜を過ごせそうなのに。



 今ここで役立てなければいつ役立つのかと言わんばかりに、ほとんど大雨のような勢いで消火剤が空から散布されている。
 しかしまだ、都市への青い炎の侵略を止めきれる段階ではない。まずは焔の発生源を止めなくてはならない。
「敵は全部、炎の化身だったか。夏はまだ先だっていうのに」
 焔の柱からは十分に距離を取っている。にもかかわらず放熱はセシルの身を焦がさんばかり。
「季節の先取りが早すぎるんじゃないかな、お姉さん達?」
 溜息ですら喉を焼きそうになっていると感じながら、セシルは眼前の少女を蹂躙すべく切り札を切る。

 ――甲高い、とても長く尾を引く鳴き声だった。

 ビルを燃やす炎を、更に覆い尽くさん規模の鈍色の靄。それは極めて微細な砂鉄で構成された砂嵐だ。
 その砂嵐の中心にて、四肢でしっかりと地を踏み締め、高く鳴いている金色の九尾の狐。
 それこそがセシルの真の姿であった。

 カラミタースがセシルという存在を認識し、砂嵐の中心に座する彼を燃やそうと青い炎を放つ。
 が、炎はセシルまで届かない。焔と砂が衝突し拮抗する。砂塵は容易く燃えてしまうが、いくらでも追って供給されるのだ。
 もし固体の壁で炎を防いでいたらその盾は焼き溶かされていたかもしれないが、砂嵐は濃密な砂鉄の集合体。性質は不定形で液体や気体に近い。
 ましてやこれはセシルの本当に全力の攻撃。どれだけ強力な攻撃であろうと、闇雲な力押しだけでは簡単にどうにかできるはずもない。
 砂嵐の壁に炎が阻まれるばかりとなったならば、じり貧になったカラミタースがどうするかといえば。
「だろうね」
 必殺の間合いへ。標的を確実に燃やし尽くせる距離までの接近。もちろんそれはセシルにとっても同じなのだと、理解もせず。

 砂嵐の中心で、態勢を低くして砂嵐の勢いをやり過ごしていたセシルは、砂嵐の中からカラミタースの脚が見えた瞬間に勢いよく飛び掛かる。狙うは細い首。
「――!」
 ……喉笛を食いちぎられたカラミタースが、最期の瞬間に何か声を発することはできなかった。あるいはできたとしても、何の意味もない言葉ではなかっただろうか。
「あーあ、もったいない。こんなお姉さん達となら、ベッドの上で熱い夜を過ごせそうなのに……あつつ」
 霧散していく焔の柱。倒れ込むカラミタースに向け、口内を火傷したセシルが残念そうに呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月隠・新月
このクラスのデウスエクスが何体も……余計に退くわけにはいきませんね。

あの超高温の焔、防ぐ術は限られますね。
俺は被毛に含んだ魔力である程度の【火炎耐性】はありますが(【魔力防御】)、これだけでは不十分でしょう。
決戦配備・ディフェンダーを要請します。炎を防ぐ魔術等付与してもらえると助かります。長時間もたせろとは言いません、短期決戦を狙います。

【降魔真拳】で手数と威力を増やして攻撃しましょう。できるだけ急所を狙って攻撃したいですね(【急所を見抜く】)
ここで倒さないことにはどうしようもないのですから、形振り構ってはいられません。多少ダメージを受けたとしても、攻撃を優先しましょう(【捨て身の一撃】)



「なるほど、これほどの威力とは」
 青い焔が発生させた熱の照り返しを受けながら、新月は冷静に状況を分析していた。
「このクラスのデウスエクスが何体も……」
 ビルを丸ごと一気に炎に包めるだけの力は、さすがに新月も驚く他ない。ヒールが効果を発揮しないのがもどかしい。が、それはそれとして、即座に最善の攻め手を思考し始める。

「あの超高温の焔、さすがに防ぐ術は限られますね」
 魔力を含んだ新月の被毛には火に対する耐性があるが、不十分であるは否めない。ヒットアンドアウェイで速度を活かして削っていくような持久戦は望めないだろう。
 であるならば、逆に短期決戦を狙う。
 新月の方針は決まった。現地のケルベロスたちに|強化《エンチャント》の魔術を付与してもらう。
「長時間持たせろとまでは願いません。ただ一撃、二撃と攻撃を叩き込めるだけの間、持ってもらえたら行幸です」

 遠吠えの音は高く大きく。その鳴き声を発した側とは別方向から、新月は一気にカラミタースへと躍りかかった。
 鬼の魂をオーラとして纏い、伸ばした爪はカラミタースの首筋を狙う。
 ぐずりと食い込み、一気に前脚を振り切る。
「!」
 半ば断たれた首。ぐらぐらと不安定に揺れた頭はぐるりと新月へと向けられ、直下から噴き上がる焔柱が新月を包んだ。
「――ッ!!」
 意識は……手放、さない! ここで倒さないと、どうしようもないのだ。
 身を焼く焔など噛み潰し、新月は攻める、獣のように攻め続ける!
「形振り構ってはいられません!」
 ……それは、実際には1分にも満たない時間だっただろう。カラミタースは、遂に地に伏した。
 焔の柱は消え失せ。その中からは、満身創痍ながらも生きる意思を漲らせた新月が無事に現れるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェル・オオヤマ
・心境
こいつは…初めて見るデウスエクスが…複数も!?
それなら猶更気を引き締めねば!

・戦闘
どうやら敵は踊るとあの火の勢いが増すみたいだね
それならば決戦配備はスナイパー
一瞬でもいいから敵の舞を中断するため狙撃をお願いします!

[月光刃ヘイル]とビームシールドを装備
炎の勢いが弱まったタイミングを見計らって【ダッシュ/オーラ防御/火炎耐性/身かわし】を使用し炎を強引に突破しつつ敵に接近
間合いに入れば[我竜戦術・月光刃ヘイル]を発動!
そちらが舞って炎を強めるのなら…こちらは舞うように氷を纏わせた太刀を振るうのみ!
【凍結攻撃/一刀両断/2回攻撃/追撃】の技能を使用

他キャラとの連携・アドリブ歓迎



「こいつは……」
 大都市の中に青い焔の柱がいくつも聳え立つ様は、まさに地獄のようであった。そして少なくともフェルの交戦経験があるデウスエクスでもない。しかも、これほどの実力者が何体も襲撃してきているという事実。
 しかし気圧される理由などない。フェルは気を引き締めて相対する。

 臆さず、慢心せず。敵前へと立つ前に、フェルは仕掛ける予定となる踊り狂うカラミタースの動きをよく観察した。
 ……その間にも街は燃えていく。焦れる気持ちをぐっとこらえた。
「……どうやら敵は、踊るとあの火の勢いが増すみたいだね」
 もちろん踊っていない時間もあり、それが踊り始めると連動するように炎の勢いも上がる。つまり、そういうルールのようだ。ならばとフェルの採る作戦も定まる。
「一瞬でもいいから敵の舞を中断するため、狙撃をお願いします!」
 作戦を決戦配備の狙撃部隊へと連絡。
「さあ、行きましょう!」
 敢然と、カラミタースの前へと躍り出た。

 フェルの登場に反応した踊るカラミタースは、しかし次の瞬間その体勢を大きく崩した。狙撃部隊の遠距離からの射撃が綺麗に命中したのだ。同時に、周囲の焔の柱の火勢もぐっと弱まる。
 生み出した好機を逃さず、ビームシールドを前に構えたままフェルは吶喊する。一本の炎柱がフェルの進路を塞ぐが……関係あるか!
「はああああっ!」
 青い炎の中を強引に突破、冷気を纏う|蒼銀の太刀《月光刃ヘイル》を振るう。
 氷の斬撃がカラミタースの首筋に食い込む。が、まだ浅い。灼熱の中で氷気が薄まっているのだ。
 しかし。
「相性のことなど承知の上!」
 負ける気はない。するはずもない。
 こんな理性すら失った炎に、私の氷が負けるはずがない!
「そちらが舞って炎を強めるのなら……こちらは舞うように、氷を纏わせた太刀を振るうのみ!」
 斬撃の種類を次々と切り替え、カラミタースを斬り刻む。
「青き焔よ、凍え果てろ!」

 ……そうして、最後には。災厄の焔は消えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・紗綾
作戦は馬鹿なのに投入してきた戦力の質と数は馬鹿になりませんね……
ともあれ、これ以上燃やされては叶いません。可能な限り素早く排除しませんと。

決戦支援はスナイパー、狙撃部隊の出動を要請です。

単体でも強敵ですので、出来るだけ一対一の状況を作って交戦します。
射撃と後退を繰り返し、狙撃部隊の皆さんが待ち構えてるエリアへ誘導。
十分引きつけたところに磁性引力弾を撃ち込み、引力で敵の動きを制限。
其処へ一斉に狙撃を撃ち込んで貰います。
勿論私も「雀蜂」で攻撃に参加、可能な限りで致命的な部位を【スナイパー】してくれましょう。

どれだけ数を揃えようと、私達には勝てはしませんよ。



 彼我の距離は決して短くない。にもかかわらず豪炎の熱が身を炙る感覚に、紗綾は眉を顰める。
 今は瓦礫の物陰から、膝立ちで射撃体勢を取り、瓦礫で銃を固定させてカラミタースを観察している。
「投入してきた戦力の質と数は、本当に馬鹿になりませんね……」
 作戦自体は馬鹿なのに、と思わず罵倒してしまうのも仕方あるまい。これでもし進攻に統制が取れていたらと考えるとぞっとする。
 ともあれ、だ。
「これ以上、東京を燃やされては叶いません」
 愚痴るのは止めだ。あとは可能な限り、素早い敵の排除を実行していくだけだ。

 スコープ越しのカラミタースの頭が、大きくのけ反る。
「……ヒット」
 やはりというか、通常弾を頭に一発当てる程度では足りない。いや、肌に触れた瞬間に弾が溶けたか?
 そして敵への命中を確認すると即座に退く。狙ったのは、何体もいる中でも特に位置的に孤立していた一体。紗綾は後方を確認せずに全力で駆ける。……追ってきているのは、背中を炙る青い熱で嫌というほど分かる。
「命懸けの鬼ごっこ、だと思わせておきましょう。今は」
 紗綾はとにかく必死に後退し、敵がこちらを見失ったところで再度射撃、後退を繰り返す。そしてカラミタースは、紗綾が決戦配備の狙撃部隊を控えさせた一角へと誘導されていった。

「そこ動くんじゃねーですよ!」
 紗綾が銃弾を切り替えたことに、もちろんカラミタースが気づく筈もない。撃ち込んだ磁性引力弾は領域に範囲を及ぼす。カラミタースが、銃弾の命中をさして気にもせずに踊り続けようとして……あれ、という顔をしながら動きを止める。
「舞が止まった今です!」
 周囲の焔の勢いが弱まると同時に、狙撃部隊と紗綾は一斉に仕掛ける。
 無数の狙撃の線は、ただ一点で集束。カラミタースの胸に大穴を開け……るどころか、胸部を消し飛ばした。
「どれだけ数を揃えようと、私達には勝てはしませんよ」
 転がる首や下半身がまさか再度動かぬことを警戒しながら、紗綾は次の標的を狙うことを考えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
いい加減バテてきたんだが、年は取りたくねえもんだな
強敵みたいだし、このまま家帰って寝てたいところだが……そうもいかねえ
こっからは本気で行くぜ
「イグニッション!」

【決戦配備】
ディフェンダーを要請
街を巻き込まないように防衛
および
炎以外の攻撃に対する防御

【戦闘】
全てを灰燼に帰す天を衝く六柱の焔が武器って訳か
黙示録指令のこと考えりゃ、ただ暴れるだけでも都市を壊滅させてお釣りが来るぜ

「リミッター解除」した「火炎耐性」と共にUCを発動
戦場の炎を吸収する

複数で来てくれたのはかえって助かる
全部まとめて、その炎を使わせてもらうぜ

「捨て身の一撃」で敵を焼き尽くす

「悪いけど、その炎は返させてもらうぜ」



「まったく、年は取りたくねえもんだな」
 次の戦闘に入る前の一旦小休憩。連戦の疲れを感じた魎夜は、武装を解き水をがぶ飲みしながら、バテた様子で荒い息をついていた。
 いよいよ年齢も三十を越え、若い頃のようには身体が動いてくれない。もっとも、誰から見ても全盛期の強さを維持していると判断されるだろう。問題なのは、身体の動きに僅かなキレの悪さを感じられてきているという自覚での部分だ。
「強敵みたいだし、このまま家帰って寝てたいところだが……そうもいかねえ。うっし!」
 頬を強く両手で叩き、気合いを再装填。魎夜は本気を出すべく、カードを掲げる。
「イグニッション!」

 カラミタースたちと魎夜を囲うように、まるでリングのように巨大な隔壁が投下されていた。戦場の隙間を完全に無くせはしないが作戦遂行には十分だ。カラミタースがいくつもの焔柱を壁にぶつけるが、耐火性能に特化させた代物なのですぐに焼け落ちはしない。
 それでも、即座には、という程度か。世界の科学技術力の結晶である壁が、見る間に焼け、溶け崩れていく。
「全てを灰燼に帰す天を衝く六柱の焔が武器って訳か」
 まさに天災、神の領域。
「黙示録指令のこと考えりゃ、ただ暴れるだけでも都市を壊滅させてお釣りが来るぜ」
 もしも行動に統制が取れていたらと恐ろしいものがあるが、そうでなくとも現状は十分に危機的だ。
「だが、それもここで終いだ! 全力を出すぜ!」

 猟兵一人につき、カラミタース一体程度を相手取れば十分であるというのが当初の作戦だ。しかしそれ以上を担当できるのであれば、もちろん問題など何もない。
「確かにお前らはとてつもなく強い。が……」
 いくつもの焔の柱が魎夜へと迫り、ぶつかる。青い炎は獲物を捕食するように高く天に伸びる。
 ……だが。
「それでも相性ってもんがあるんだよ」
 柱は次第に細り、薄まり消えていく。
 魎夜が炎を吸収していくのだ。躍起になってカラミタースたちは炎をけしかけるが、即座に魎夜の力へと化していく。
「悪いけど、その炎は返させてもらうぜ」
 そして、何事もなかったかのように全ては消えた。
「さあ、お前らがに耐えられるかどうか、試してみやがれ!」

 カラミタースたちの生み出した青い焔よりもずっと熱い、正義の炎が、太陽の爆発が。眼前の敵すべてを消し飛ばすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

比良坂・彷
【彼岸】
きっちゃん(f22796)と

煙草に火をつけたら
「あらま、遊んでたのバレちゃった」
「割と。きっちゃんはどう対処すんの?」

いつもの力押しかぁ
橘のお顔が燃やされそうになったら掌で遮り庇う
「だめだよ、この人は俺のだーいじな人なんだから」
炎を握り潰し麻雀鞄を叩きつけ
「殺すなら俺が先だよ、お嬢さん。踊ってる暇なんてないから、ねっ!」
鞄で殴り回し蹴り
橘に巻き込まれ斬られても気にしない
以後
橘が燃やされないよう回り込みタゲとり
ジリジリと砲台の着弾点へ誘導する

敵が蜂の巣で
残り火を煙草に向けたら腕を引きずりあげられる
「痛ぇよ…お姫様抱っこかぁ、寵姫だけに?さぁ煙に巻く火を頂戴よ」
いつも命を継ぐ火はあなたから


六道・橘
【彼岸】
彷(f32708)と

決戦配備Sn
集中砲火依頼し誘い込む

「彷、ああいう話の通じない手合いは苦手でしょ?」
「斬るのみよ」

UC使用
羽根生やし刀でラッシュを仕掛ける
燃やされても気にせず体力が切れるまで斬る

彷が庇いに来たらため息
「またそういうことを…あなたを巻き込まなくて済むように九回斬りは避けたのに」
彷ごと敵を斬る、死なない加減はするわ
彷が誘い込むのに呼吸を合わせ吹き飛ばし

敵の残り火からもらうなんて許さない
ズカズカ歩いて行き腕を掴み上げる
「帰るわよ、なんならお姫様抱っこしましょうか?」

手持ちの桜香の煙草を与え、咥えてたのは回収
マッチで火を入れる
…今日もちゃんと迎えにこれた

※性格漢前、彷に片想い



「ふう」
 先の交戦で痛む身体を辛抱し、彷は一服つく。ニコチンが身体を巡る感覚に任せ、空を見上げる。
 視界に入るのは、青き焔柱で燃え上がる巨大なビルの数々。
「……あらま、遊んでたのバレちゃった」
 それらから視線を外さぬまま彷が呟く。ふと傍らに居るのは六道・橘(|逸脱の熱情《橘と天》・f22796)だ。
 それが何故、ということもない。彷がひとり遊んでいたら声を掛けてくる。よくある話だ。
「彷、ああいう話の通じない手合いは苦手でしょ?」
 同じく見上げている橘。炎の中で、小さな影が激しく蠢いていた。
「割と。きっちゃんはどう対処すんの?」
「斬るのみよ」
「だよね」
 鞘持ち刃の鍔に指を掛け、堂々先行く様もまたよくある話。そんな橘の影を踏む距離で、彷も後を追う。

 地を這うような地面ギリギリの低空を、白い翼を生やした橘が飛び回る。橘を追い詰め燃やそうと迫ってくる炎の柱を警戒に避けながら、速度を活かしてカラミタースへと斬りかかる。
「……!」
 肉を斬り骨を断つ感触は、災厄といえど他の数多と同じか。……翼に火がつき、身が燃えようとも、わたしは生きる。
 ――逃さず、このまま刻みきる!
 一方で、追ってきた敵の青い炎は橘の身を炙ってくる。焔がその顔すらも焼こうとした時。
「だめだよ、お顔を狙うなんて。この人は俺のだーいじな人なんだから」
 迫る炎を己の掌で受けてやり、握り潰す彷。置いてけぼりになるはずもなく、彷は橘に追随していた。
「もう。いつもの力押しかぁ」
 苦笑しながら、返す刀でもう片方の手に持っていた麻雀鞄をカラミタースに叩きつける。
「殺すなら俺が先だよ、お嬢さん。踊ってる暇なんてないから、ねっ!」
 続けざまに回し蹴り。容赦はない。

「またそういうことを……あなたを巻き込まなくて済むように、九回斬りは避けたのに」
 殺人鬼の刃は味方をも切り刻む。橘にもそれなりに自制の心はあるのだ。
「気にしなさんな。俺、ちゃんと避けられるから大丈夫」
 うそぶく彷の言い方に、溜息をひとつ。
「でも、そうね。それなら有難く」

 殺刃の乱舞は勢いを増す。
「死なない加減はするわ」
 カラミタースの意識と攻撃は今、彷へと向いていた。敵からも味方からも攻撃を受けている状態で、それはそういうものだと割り切っており、必死に防ぎ、避ける。彷の役割は橘の攻撃を一方的にカラミタースへと通すことだ。
 と同時に、じりじりと戦場自体を誘導していた。
 示し合わせたポイントは大きな交差点の真ん中。四つ辻へ。
「ふっ!」「せいっ!」
 依頼した決戦配備による集中砲火の着弾点へ、息を合わせてカラミタースを吹き飛ばすと……人類は災厄など許しはしないとばかりに、砲弾の雨が彷たちとの交戦で弱った標的へと降り注ぎ、敵は蜂の巣となり消し飛んだ。

 ――青い炎が東京から消える。すべてのカラミタースが討伐され、東京は大襲撃を切り抜けた。

 都市が受けた被害は決して小さくない。戦いで破壊されたものを片付けるために人々が動き始める。
「さて……、……あ、ちょ、痛たた」
 戦い終わって彷もさて一服だ。咥えていた煙草の火はいつの間にか消えている。
 しゃがみ、残骸に僅かに残る青炎へ煙草を向けたら、刃を鞘に納め、ズカズカと歩いてきた橘に腕を引きずり上げられてしまう。
「帰るわよ、なんならお姫様抱っこしましょうか?」
「痛ぇよ…お姫様抱っこかぁ、寵姫だけに? さぁ煙に巻く火を頂戴よ」
「分かってるわ」
 敵の残り火から貰うなど許さない、そんな嫉妬もまた炎。
 橘は桜の香る煙草を懐から出し、彷が口に咥えているものと交換。慣れた手つきでマッチで火を点けてやる。
 ――いつも命を継ぐ火はあなたから。
 ――……今日もちゃんと迎えにこれた。
 至近で視線が交わり、互いにふわりと微笑み合う。

 ちなみにその後、彷は本当に橘にお姫様抱っこをされて帰還をしたそうだ。

 
 もちろん太陽神スーパーアポロンの侵略作戦はこれで終わりではない。しかし人類は決して屈しはしない。
 猟兵たちは、次なる戦いを見据え戦意を漲らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月29日


挿絵イラスト