●チャンピオンなんとかは出てきません
どっかの世界でどっかのオブリビオンがこんな事を叫んだらしい。
『私は絶対にアスリートアースとやらに行ってやる!そしてプロレス・フォーミュラにタイトル戦を挑み、私が新チャンピオンになるのだ!』
『……む?』
それと関係あるかはわからないが、現在アスリートアースを離れてクロムキャバリア世界にて奮闘中のデスリング総統の耳はたしかになんらかの声をとらえた……ような気がした。
『何者かがワガハイを呼んでいる?』
それは幻聴かもしれないが、もしかしたら本物かもしれない。ならばそろそろアスリートアースに戻った方が良いのでは?さすがの総統もふとそんな事を思わないわけでもなかったようだ。だが肝心の戻る手段がない。理屈の上では既に見いだせているのだが、いかんせんそれを実行するだけの準備がまだ足りていないのである。
『……まあ良いわ!』
別に誰に呼ばれようと関係ねえや。結局のところ総統は自分の目的を果たす方を選んだようだ。すなわち、いつもの通り強敵に戦いを挑む事であった。眼前のファーストヒーロー、ザ・スターに。
同じころ、グリモアベース。
「まあ、今戻ってもたぶんその呼んだ人には会えないんだけどね」
大豪傑・麗刃(26歳児・f01156)はどういうわけだが、その『呼んだ人』に心当たりがあるらしい。ただそのオブリビオンには現時点で世界間移動能力がないらしいのでアスリートアースにはたぶん来ないだろうと……少なくとも現時点では。猟兵とオブリビオンの力についてはネバーセイネバーではあるにせよ。
「それでもまあ、そろそろ総統くんにはお帰り頂いた方がいいかもしれないのだ。アスリートアースのみんなもきっと総統の帰りを相当待ちくたびれているはずなのだ」
……。
「……総統を相当待ちくたびれてる!」
……話を進めよう。
総統が帰るためにはパワーを溜める必要がある。そのためにはザ・スターと戦わなければならない。猟兵はそれを助けなければいけないだろう。だいたいこんな流れになるらしい。
まず総統は生身のザ・スターと戦っているが、この時は総統自らが戦う必要があるらしい。なので猟兵がすべき事は間接的な援護だ。プロレス・フォーミュラである総統を援護するためにはプロレス的に盛り上げる手段を考えるのが一番わかりやすいかもしれない。
やがてザ・スターはオブリビオンマシンに搭乗するらしい。こうなったらさすがに猟兵も直接攻撃で戦っても良いだろう。その際はオブリビオンマシンに対抗するために猟兵もキャバリアに乗る等の手段を取るべきだろう。むろん生身で戦い続ける総統の援護を続けても良い。
そしてザ・スターを倒したら大量のオブリビオンマシン軍団が出現するのでこれを全滅させればミッションはクリアだ。
「ということでがんばって総統と一緒に敵を掃討してほしいのだ!」
……。
「総統と掃討!!」
……猟兵たちはクロムキャバリア世界に向かうのだった。
らあめそまそ
デスリング総統の帰還のお手伝いをする事にいたしました。らあめそまそです。
OPではいろいろ書きましたが、もっといい方法があると思えばそれを採用していただくでもよろしいかと。ただ、以前生身でキャバリアと戦った事ある猟兵の方もおられるかもしれませんが、なにせ今回の相手はザ・スターの乗るオブリビオンマシンですし、このシナリオに限ってはなんらかの手段を取った方が良いかもしれません。
それでは皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ファーストヒーロー『ザ・スター』』
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POW : バスター・ナックル
【拳】を構えて【エナジー・ゲートから降り注ぐ光】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD : スーパー・ノヴァ
自身の【装備】を【輝く「超新星モード」】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ : レミニセンス・ザ・ワールド
常識的な行動を囁く【「ザ・スターの心」の幻影】と、非常識な行動を囁く【「ザ・スターの肉体」の幻影】が現れる。[「ザ・スターの肉体」の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●悪役対悪役
猟兵達が到着した時、既に戦いは始まっていた。
『その実力、なるほどプロレス・フォーミュラの肩書は伊達ではないようだな』
『ふ、ふん、まだまだワガハイの力はこんなものではないぞ!グロロロロロロ!』
残念ながら明らかにデスリング総統が劣勢だ。オブリビオンと化したとはいえヒーローであるザ・スターは敵手の実力を素直に称賛しつつも、並の者なら一撃で骸の海送りとなる総統の技を受けてもこの通り健在だ。一方でザ・スターの攻撃は着実に総統の体力を削っていた。このままではピンフォール負けもそう遠くないだろう。なんとかしなければ……。
ザ・スターのユーベルコードは以下の3種類だ。
【バスター・ナックル】は強力無比な拳の攻撃だ。あのデスリング総統がかなりのダメージを負っているという時点でその威力が想像できるというものだろう。発動前後が無防備になるという弱点があるらしいが、総統がそれに気づいていないのか、気付いてはいるが存外その隙が短く突けずにいるのか。
【スーパー・ノヴァ】は装備を輝かせて能力を大幅に上げるものだ。別の能力がひとつ下がるという弱点があるようだが、やはり総統はそこを突けずにいる。上がる能力下がる能力を予測し、いかにして総統にそこを突かせるかを考えるのは有効かもしれない。
【レミニセンス・ザ・ワールド】……生身のままオブリビオンと化したザ・スターは、かつての正しきヒーローの心と、オブリビオンと化して正義がゆがめられた肉体が分離した状態になっているらしい。で、破壊を是とする肉体に従う事で行動成功率を挙げるらしいが、二重人格の隙を突く方法はあるのだろうか?
以上、どの能力も強力ながら癖があるが、ザ・スターの素の能力がそも強大なため隙を突くのはなかなか難しいかもしれない。実際総統ですら苦労しているのだ。なので猟兵が直接武力介入しても良いのだが、やはりプロレス的には安易な乱入を行って試合をぶち壊すより、プロレス的に盛り上げて総統のプロレス魂を燃え上がらせ、パワーアップさせて対抗するのが美しいかもしれない。具体的には実況を行う、観客として声援(総統はヒールなのでブーイングでも良いだろう)を投げかける等。その他思いつく手段があればその方法は猟兵に一任されるだろう。まあ、その、なんだ。よろしくお願いいたします。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
確かに、総統もお帰り頂いた方が良い頃ですねぇ。
何とかやってみますぅ。
プロレス自体知らない関係上、盛り上げ方も同様ですからねぇ。
素直な支援に入りましょう。
『FLS』で必要となる|『祭器』《未装備含》を召喚、【卛囙】を発動しますねぇ。
『FPS』による探査であれば、お互いの行動把握は問題有りません。
【ナックル】は『隙となる時間』を『時空間操作』で拡大、総統が発動前に攻撃を入れキャンセルさせられれば良いですし、後の先を狙うなら『因果律完操作』で『失敗した結果』に繋げダメージを防ぎましょう。
後は『FQS』で消耗した総統を治癒、『FKS』の加減速で彼我の速度を操作し支援しますねぇ。
●どうやら気付かれなかったようだ
キャンピーくんによって世界移動をした者たちもその役割を終え、帰還を考えても良い頃である。猟兵たちの活躍によってもとの世界に帰還できた者たちも多いが、まだまだ帰れずにいる者もいた……デスリング総統のように。
「確かに、総統もお帰り頂いた方が良い頃ですねぇ」
ということでクロムキャバリア世界に来た夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。で、そのデスリング総統は今ザ・スターと戦っている真っ最中。帰還を進めるためにはこの闘いに勝利させないといけない。グリモア猟兵によればザ・スターの技は弱点が多いが、もともとのスペックの差からデスリング総統はそこを突けずにいた。なので総統を強化して弱点を突けるようにすれば良いのではないか、とのことだが。
「ですが私はプロレスがわからないんですよねぇ」
その言葉通り、るこるはこれまでプロレス的な場面であってもあんまりプロレスぽく見えない手段で切り抜けていた。まあ最優先はプロレスではなく勝利なので、他に手段があるならプロレスにこだわらなくても良いのだ。
「まあ、何とかやってみますぅ」
プロレス的な盛り上げ方はよくわからない。さりとて総統自らが乱入を指示したわけではないのにザ・スターに直接攻撃をくらわせたのでは総統のメンツというものもあるだろう。ならばとるこるが選んだのは……早速準備に必要な大量の祭器を呼び出す。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『宿業の加護』をお与え下さいませ」
そのユーベルコードの名は【卛囙】。卛=率、囙=因、読みの『ショウチュウノシュウソク』は『掌中の収束』だろうか。言葉とともにるこるの全身に『神紋』が描かれ、戦場の全てが神気で覆われた。そして探査用の神器が戦闘の状況をるこるに逐一伝えてくる。
『くらえ!バスター・ナックル!』
『ぐっ!だがワガハイはプロレス・フォーミュラ!攻撃は全て受けきるのだ!』
最後の最後、これを受けたらKOされるという状況ででもなければプロレスラーは攻撃を受け続ける。総統の行動はまさにその意志の現われだった……ただし、半分は。
「よければいいと思うんですよねぇ、特撮の怪人さんとかも」
ヒーローが大げさな動きで、技名を叫んで予告まで行って、それで繰り出された技をなぜか敵は無防備にくらって爆破四散する。そんな光景が連想されたが、もう半分の理由がたしかにあった。すなわちザ・スターの攻撃があまりに素早過ぎ、そもそも回避をしたくてもできないのだ。発動前後の隙を突くのが困難なのは前述の通りである。もしかしたらくだんの特撮もそんな要素があるのかもしれないとかよしなしごとを考えつつも、今気にするべきは眼前の事だ。
「それなら総統でも突けるぐらいに隙を大きくすれば良いですねえ」
卛囙とはそのためのユーベルコードだった。祭器による探査で、ザ・スターの動きは文字通りるこるの掌中にあった。そして神気によりザ・スターの動きの操作を始めた。
『バスター・ナックル!』
『……む?これはどうしたことだ?』
ザ・スターが繰り出したこの日何度目かの必殺の一撃だったが、総統の目にはそれはこれまでとは違って見えた。明らかに発動前の隙がありありと見えていたのだ。るこるがバスター・ナックルの前後の隙を拡大させたのだ。さらにるこるの祭器が総統の体力を回復させ、移動速度も上昇させていた。くわえてザ・スターの速度はきっちり低下させ、これで互いの実力差は縮まり、総統が弱点を突く事も可能になった。
『なんにせよ好機!くらえワガハイのフェイバリット!』
『これはどうしたことだ?急に敵の動きが……ッッッ』
総統が決めた投げは今までで一番いいものであった。それでもなお骸の海に送られないザ・スターも大したものだが、いずれにせよ総統が勝利する道筋を作る事はできた。あとは他の猟兵がこれに続くだけだろう。
大成功
🔵🔵🔵
高崎・カント
もきゅきゅぴぴ、ぴっぴー!
カントは想到したのです
スターさんの力は総統さんと相等
掃討は相当大変なのですが、勝利に協力するのです!
カントもマスクを被って応援なのです
デスリング総統さんの試合をコールで盛り上げるのです
もきゅぴぃぴっ! もきゅぴぃぴっ!
もーきゅーぴー! もーきゅーぴー!
ぴょんぴょん躍って歌って、いっぱい応援するのです!
タンバリンもシャンシャンするのです!
もきゅ? スターさんはパンチを打つ前後に動きが止まるみたいなのです
きゅ! 総統さんに教えるのです
プロレスは相手の技を受けるものなのです
タンバリンでリズムを取って反撃のタイミングを教えるのです
総統さん、カントのリズムに合わせるのです!
●あくまで今回のザ・スターに限った思想ではある
高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)はデスリング総統とはそれなりに縁があった。アスリートアースで戦った事もあるし、クロムキャバリアの件ではグリモア猟兵として案内した事も、自ら出向いた事もあった。その縁で総統とのタイトルマッチを望むあの人にアドバイスした事もあったっけそういえば。
「もきゅきゅぴぴ、ぴっぴー!」
そんなわけで、デスリング総統とザ・スターの実力についてもある程度分かっていたようで。
「カントは想到したのです!スターさんの力は総統さんと相等!」
その語彙の豊富さには、今回カントを案内したグリモア猟兵が聞いていたらなかなかやるなと感心したか、それとも悔しがったか。たぶん後者な気がするがまあそれはそれだ。
「掃討は相当大変なのですが、勝利に協力するのです!」
総統にはがんばって争闘してもらうとして、さてカントはいかにして協力するのだろうか。
『むう!なにかおかしいぞ!』
デスリング総統は珍しくもちょっと困惑していた。カントの見立てでは総統とザ・スターの実力は相等だったようだが、それでも総統はかなり苦戦を強いられていた。だがつい先刻ザ・スターの隙を確かに見出し、有効な一撃を加えたわけだが。
『どうした総統とやら、貴様の力はその程度か』
『ふ、ふん!ワガハイをなめるでないぞグロロロロロロ』
どうやら双方とも、外的要因により一瞬だけその力が拮抗し、また戻った事には気付いていないようだ。ただ、少なくともその方針がある程度効果を及ぼしたのは確かだ。同じ方針の手段は有効だろう。ということで選んだのは。
「もきゅぴぃぴっ!もきゅぴぃぴっ!」
『む?この声は?』
観客席……はこの戦場にはないか。ともあれどこかから戦いの場に響き渡ったモーラットの声。その意図する所に総統はすぐに気が付いた。
「もーきゅーぴー!もーきゅーぴー!」
『おお!ワガハイを応援してくれているのか!』
それもそのはず。カントはデスリング総統がかぶっているのと似たマスクを装着していたのである。好きな覆面レスラーのレプリカマスクをかぶって応援するというのは、プロレスファンの中でもかなりディープな部類だ。
『グロロロロロロ!これでワガハイは元気百倍だ!』
アスリートアースではダークレスラーは悪役であり、当然応援ではなくブーイングを浴びるものである。なので普段総統はブーイングを力に変えてきたわけだが、それでもこうやってたまーに応援を受けるのはやっぱりプロレスラーなら心地よいものであろう。そんな総統をカントは一生懸命に応援した。ぴょんぴょんと躍り飛び跳ね、総帥を応援する歌を歌い、タンバリンを鳴らしまくった。その応援は確かに総統の力となっていた。
『ならばいずれが正しいか拳で決めてやろう!我がバスター・ナックルを受けるがいい!』
この日数度目の必殺拳の予告。応援で強化されたとはいえ総統がこれを受けきれるかどうか……だがカントの応援はただ力を与えるだけではなかった。
「総統さん!スターさんはパンチを打つ前後に動きが止まるみたいなのです!」
『なんだと?……おお!本当だ!確かに見えたぞ!』
これまでの総統ならカントの指摘も無駄だっただろう。だが応援で力が上がった総統には、バスター・ナックル発動時に生じる無防備をしっかり確認する事ができた。
「総統さん、カントのリズムに合わせるのです!」
『やってやろうではないか!グロロロロロロ!』
タンバリンのリズムに合わせて総統が動く。その攻撃は無防備状態にあったザ・スターを正確にとらえていた。強烈な一撃を前にザ・スターは後退を余儀なくされる。
『応援を力に変える、か』
それは、守るべき者たちに応援されようと逆に石を投げられようと等しく守らなければならないヒーローとは真逆の思想といえた。そしてそれは確実にヒーローの猛攻を押し返そうとしていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
天野・陽輝
盟友の麗奈さん(f44908)と参加
ああ、プロレスは家族に教わった。戦いもパフォーマンスにするのは見事なものだ。
デスリング総統は総統だけあって組織のトップだろう。長い事組織をあけとくのはまずいんじゃないか?不束ながら帰還のお手伝いをしよう。
盛り上げる方がいいと。まあトップのプロレスラー同士、乱入するのは無粋というものだろう。いつもケイロンの進軍を待機させとくが、基本的にマンドリンで【楽器演奏】【鼓舞】【パフォーマンス】で盛り上げる曲を奏でる。
麗奈さんは・・・こっそり総統の強化?それは有りなのか?まあ相手が強すぎるようなので少しハンデをつけてもいいかも。
あ、一応【残像】【オーラ防御】の備えを。
神城・麗奈
盟友の陽輝(f44868)と参加
プロレスは子供達が好きでねえ。戦っているのが映えるのはすごいと思う。好きな子供?元気な成人済みの娘と13歳なのに背が高い男の子かな。二人で中継みて騒いでる。
まあ、組織のトップは早くメンバーの元に帰らないとね。手伝うよ。
え?トップ同士の対決だから乱入するのは野暮だと。わかった。氷界の女王発動!!この強化の効果は味方にしか効果ないしね。こっそり強化の効果に【瞬間強化】【魔力供給】を仕込む。まあ、ズルなんだが総統がシャキッとしないので気合いをいれる意味でね。
スターの方は吹雪の効果の方がいくので冷たさで変わったりしないかね?
一応【身かわし】【オーラ防御】の備えを。
●それぞれのやり方
天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)と神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)の関係はちょっと複雑だ。一応お互いはそれぞれの事を『盟友』と認識してはいるようだが、人間関係で言うならまず麗奈には息子が、陽輝には孫娘がおり、そのふたりが結婚しているのである。つまり麗奈にとって陽輝は息子の義理の祖父で、陽輝にとって麗奈は孫娘の義母だ。こういう関係を一言で表す言葉は日本語には存在しない……はず。なので盟友という関係性ができているならそう表現するのが一番早いかもしれなかった。さておき、この盟友同士のふたりが訪れたクロムキャバリア世界で、アスリートアース出身のダークレスラーとヒーローズアース出身のヒーローが戦っているという状況もふたりの関係と同じくらいに複雑なものであったが、やる事自体はシンプルだった。
「プロレスは子供達が好きでねえ」
麗奈の実子は男ひとりだが、息子の嫁の両親(つまり陽輝の実の娘と義理の息子だ)には男女ふたりの養子がいた。麗奈にとっては息子の嫁やその子たちも我が子同然のようで。で、プロレスが好きなのは息子の嫁と、陽輝の義孫のうち男の子の方のようで。
「二人で中継みて騒いでるよ。私も見るけど、戦っているのが映えるのはすごいと思う」
「ああ、私も教わったよ。戦いもパフォーマンスにするのは見事なものだ」
ふたりとも、プロレス大好きだという子供たちほどかはわからないが、少なくともある程度の造詣はあるようだった。で、今回助けるべきはそのプロレスラーの方であったと。
「デスリング総統は総統だけあって組織のトップだろう。長い事組織をあけとくのはまずいんじゃないか?」
陽輝の言う通りであった。デスリング総統は『天空要塞デスリング』なるダークレスラーのトップであった。ちなみに総統の名を取ってデスリングという団体にしたのか、逆に本名不明な総統が団体の名を名乗っているのかはちょっとわからなかった。ただダークレスラーたちが総統の帰りを心待ちにしているのは間違いないだろう。
「まあ、早くメンバーの元に帰らないとね」
「不束ながら帰還のお手伝いをしよう」
そのデスリング総統はザ・スターとの戦いの真っ最中であった。
『どうした、応援がなければその程度か』
『ふん!確実にワガハイに追い詰められている割に口の減らない事よグロロロロロロ』
戦いの流れは一度はデスリング総統に傾きかけたが、再びザ・スターが盛り返してきたようだ。だが猟兵の介入があれば再度総統が優勢になる事は今までの事から考えても間違いあるまい。
「どうやら盛り上げればいいようだね」
陽輝はグリモア猟兵おすすめの方法をとることにしたようだ。念のためいつでも武力介入の準備ができるようにしておきながら、音楽家らしくマンドリンを取り出した。一方の麗奈は。
「乱入するのは野暮なのね?わかってるわ」
「……それは有りなのか?」
準備したユーベルコードを見てちょっと危ぶむ陽輝だったが、麗奈は全く気にする様子はない。
「乱入じゃないわよ、だから大丈夫よ」
「……まあ、相手が強すぎるようなので、それもいいかもね」
陽輝の了承を得た所で、ふたりはそれぞれの手段で早速介入を開始した。
『くらえ!バスター・ナックル!』
『ぐわっ!?な、なかなかやるようだなグロロロロロロ!』
減らず口だけは一丁前な総統だが、口とは裏腹になかなか打開策を見出す事ができずにいた。だがそこに鳴り響く陽輝のマンドリンの音。独自の心地よいトレモロの響きが殺伐とした会場を満たしていく。
『む!これはワガハイを応援してくれているのか?』
それは陽輝にとっては生まれた時より慣れ親しんだ楽器だ。それにより奏でられる音楽は本来のプロレス会場の喧噪で鳴り響くBCMとは異なるものかもしれない。それでもそのパフォーマンス性にあふれた音楽は総統を確実に鼓舞し、そのプロレス魂を燃え上がらせていった。
『ならばプロレスラーとしてそれに応えねばなるまいグロロロロロロ』
『また応援による強化か、我とてそう何度も同じ手段でやられるわけにはいかん!』
応援による強化で攻撃の隙を突いて来るであろう総統。だが、だからといってバスター・ナックルを封印するのは悪に対して逃げる事だ。なにより眼前の敵は必殺技を温存して勝てる相手ではない。ザ・スターは意を決して再度のバスター・ナックルを放とうとした。まさにその時。
『……ん?なんだこれは?』
戦場を突然の猛吹雪が襲った。それはあっという間に総統とザ・スターの双方を包み込んでいく。むろんこれは麗奈が使用した【氷界の女王】の効果である。リング外から使ったのだから乱入ではない、という理屈のようだ。ただ直接攻撃のように見えたのでそのあたり陽輝には少し引っかかったようだが、実際この吹雪はダメージを狙ったわけではないようだ。
(|汝の使命を思い出せ《REMINISCENCE the WORLD》)
冷気に当てられたザ・スターの脳裏に響き渡る声。それは紛れもないザ・スターのものであった。オブリビオンと化した肉体の精神とは別に存在する、本来の精神。
(眼前の相手はこの世界同様、我の戦うべき相手ではない)
『黙れ、貴様こそ使命を思い出せ、眼前の相手は世界の平和を乱す存在だ!』
突然の冷気はザ・スターの肉体が一度は制圧したはずの精神を呼び戻し、混乱を引き起こしたようだ。一方で総統は。
『おお!なんだか知らんが冷気で気合が入ったぞ!』
「どうやらシャキッとしたようだね」
麗奈は笑顔を浮かべた。この吹雪は一方にはこのように強化を与える効果があったのだ。これに加え、陽輝の応援による強化もプラスされて今や総統の戦意は最高潮だ。
『くらえ!バスター・ナックル!』
『ふん!今のワガハイにはそんなもん通用せんわグロロロロロロ!』
精神的に動揺した状態では必殺拳の隙も膨大なものになっていた。今の総統がそこを見逃す事などありえない。フェイバリットがこれまで最高の切れ味をもってザ・スターに決まる。
『今度こそ骸の海に送ってやろうぞ!』
『ぐっ……だ、だが我にはまだ使命があるのだ!まだ倒れるわけにはいかん!』
それでもまだ倒れないザ・スターも大したものであった。だが今や勢いが完全に総統に傾いているのは誰の目にも明らかであった。決着の時はそう遠くないだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス
「総統、今回もよろしくっすよ〜」
そんな感じで戦場に参加する狐のお面
「この姿はまだザ・スターに見せてなかったっすかね。総統、一緒に戦うっすよ!」
【跳梁白狐】でデスリング総統のコスチュームに変身して取り憑く。トレードマークのマスクとパンツはそのままだが、身に纏うのは九尾の狐をイメージした白と朱を基調としたマントと腰巻き。
しめ縄の如く太く血のように朱い帯紐がベルトにつけたデスリング軍団のドクロの証を飾り、九つに分かれた腰巻きが踊るように広がる
「行くっすよ無敵のデスリング総統!」
あらゆる物理ダメージを無効化し、向こうのナックルも悠然と受けた上で、その後の隙に反撃のフェイバリットを叩き込むっす!
●そういえば隙は発動の前後だった
今回参加した猟兵の中でリカルド・マスケラス(希望の|仮面《マスカレイド》・f12160)は間違いなく最もデスリング総統と関わっている。アスリートアースで敵として何度も戦ったし、総統がクロムキャバリアに来てからは幾度となく共闘している。
「総統、今回もよろしくっすよ〜」
『グロロロロ……貴様か!助太刀はありがたいがここは1対1!余計な乱入なら御免こうむるぞ!』
意外なところで真面目な総統。ダークレスラーは基本凶器乱入全てを認める方針だし、総統も口では凶器や反則ぐらい使うと言ってはいる。が実際は自分の肉体と技術だけで戦っているわけで。まあ自分で戦った方が強いからという事なのかもしれないが。ともあれ、いかに顔なじみであったとしても手出しはしてほしくないらしい。
『我は構わんぞ、何人でかかってこようが戦い抜く事こそヒーローの務めだからな』
『勘違いするな!余計な助力などワガハイの足手まといでしかないのだ!』
「いやいやいやいや戦うのは総統がやってもらえばいいっすよ」
リカルドもそれはわかっていた。だが、これまでの猟兵と同様に応援するとか逆にこっそり敵の力を弱めるとかの間接的なやり方なら良いのだろう。実際これまで問題なかったし。
『うむ、それはいわば相手がロープに走った時にセコンドが足を引っ張るようなもの。さりげない協力はむしろ芸術的とすら言える』
『……それは乱入とは違うのか?』
『違うのだ!』
このあたりの総統のこだわりはプロレス素人のザ・スターには分かりづらいものであった。いやプロレス知ってる人でも分からない人はいるかもしれない。ただまあリカルドには分かるようで、単に乱入をするつもりではなかったようだ。
「いやいや総統の邪魔なんかしないっすよ、むしろ好きに暴れてもらうっす」
『何?』
「あ、そういえばこの姿はまだザ・スターに見せてなかったっすかね」
リカルドが発動したのは【跳梁白狐】。たちまち狐の仮面は総統の新たなコスチュームとなり、その身にまとわりついた。マスクとパンツはそのままに、白と朱を基調としたマントと腰巻きは九尾の狐をイメージしたものらしい。さらにしめ縄の如く太く血のように朱い帯紐がベルトにつけたデスリング軍団のドクロの証を飾り、九つに分かれた腰巻きが踊るように広がる……
『これは試合用というよりは入場コスチュームみたいだな、ちゃんと動けるのか?』
「そのあたりは心配無用っすよ、総統の動きはまったく阻害しない上に防御力は申し分ないっすから」
このユーベルコードの元は無敵状態になる代償として自身が全く動けなくなるというものだった。強力だがデメリットも大きいがゆえ使い方が難しいものだったが、他人に装着してもらう事で自身の無敵状態で装着者を守り、かつ動けなくなるデメリットも抑えられるという。なるほどなかなか理にかなっている。
『おお!コスチュームが動かないから装着したワガハイも関節部分が動かないとかいうオチではなさそうだ!これはいけるぞ!』
総統は軽く手足を動かして問題がない事を確認した。
『それはやはり1対2な気もするが』
「違うっすよ」『違うのだ!!』
『そうか、まあ良い、いずれにせよ我が拳を叩きつける事に変わりはなし』
別に本当に1対2でも構わないけど一応気になったから聞いてみた程度のザ・スターは改めて気持ちを切り替え戦闘態勢に入ると、必殺のバスター・ナックルを撃ち込んだ。
「行くっすよ無敵のデスリング総統!」
必殺の拳を胸部で受ける総統。たしかにリカルドが化けたコスチュームの無敵ぶりはすばらしく、これまでさんざん総統を痛めつけてきた必殺拳の一撃にもびくともしない。逆にザ・スターは技後の隙をさらす羽目になった。
「今っす!」
『おお!くらえワガハイのフェイバリット!』
技の隙に必殺投げを食らってザ・スターの身体が宙に舞った。それでも骸の海送りにならなかったあたりはさすがファーストヒーローといったところではあるが、おそらくは決着の時も近いだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィルデ・ローゼ
【連携・アドリブ歓迎】
実はデスリング総統とは初めましてなのだけど、やっぱりプロレスラーを応援しちゃうわよね。
さてさて、ザ・スターの攻略といきましょうか。レミニセンス・ザ・ワールド、心と肉体が分離しているということは、反対に心はちゃんと残っているということなのかしらね。
ということは、自分が守るべき弱き者にブーイングを飛ばされたり、総統の味方になられたりしたら迷いが生じたりしないかしら?
「汚いわ!さすがヒーロー汚い!」「今よ!総統!」
ザ・スターが総統に攻撃を加えるたびにブーイングを飛ばし、行動パターンを読んで総統を声援で援護するわ。UCを使ってあからさまに総統を治しちゃってもいいかも。
●やっぱり応援はあった方が良い
ヴィルデ・ローゼ(苦痛の巫女・f36020)はデスリング総統とはこれまで縁はなかった。ただ冒頭に出た声の主にはたぶん心当たりはおおいにあっただろう。それと関係あるかどうかはわからないが。
「やっぱりプロレスラーを応援しちゃうわよね」
ということでクロムキャバリアに来たのであった。で戦場を見ると総統とザ・スターの戦いは既に佳境。素の能力ではザ・スターが勝るが、猟兵の援護を受けた総統はこれと互角以上に渡りあっていた。
『グロロロロロロ!この程度かファーストヒーローとやらの力は!』
『な、なんの我はまだ負けてはおらぬ!』
オブリビオンと化し正義がゆがんだとはいえ一応素は高潔なヒーローであるザ・スターは総統が猟兵の援護を受けている事など言い訳にはしない。一方の総統も本質的にヒールなので猟兵の援護を受けている事を別に恥と思ってもいない……乱入云々の是非はまた別問題として。
『我には使命がある!このような所で負けるわけにはいかんのだ!|汝の使命を思い出せ《REMINISCENCE the WORLD》!』
ザ・スターは気合を入れた。例えその使命というのがクロムキャバリア世界における全てのプラントの破壊とかいうものであっても彼にとっては使命であり正義だ。使命を遂行する事こそヒーローならば。
「なるほどねえ、心と肉体が分離してるってのは本当みたいね」
そもそもザ・スターは邪心の複製体『レディ』の製造元をつきとめ破壊する事を目的にヒーローズアースを離れ、なんと生身でありながら骸の海を渡ってクロムキャバリア世界まで到達したのだ。だがその代償は大きく、肉体は生きながらにしてオブリビオンと化してしまった。で、肉体はクロムキャバリア世界こそレディの製造元と断じて(それが真実なのかザ・スターの妄想なのかはわからないが)その破壊をもくろみ、一方で心はそれを阻止しようとしている事らしい。
「と、いうことはちゃんと心は残っているという事よね」
その通りである。なので実際に心は肉体を止めようと呼びかけを続けているようだが現時点で肉体はまったくそれを聞いていないようで、そのためユーベルコード【レミニセンス・ザ・ワールド】の行使下においては常に肉体に従っている状況になるため行動成功率は常時8倍という事になる。
「それじゃ強いわよね」
まったくもって。実際総統はここまでザ・スターを追い詰めつつも、いまだにとどめを刺しきれないでいる。このままでは再度逆転してしまう事だってあり得るだろう。
『グロロロロロロ!?ここまでワガハイの猛攻を防ぐとはそれなりにやるようだな!』
『当たり前だ!多少おくれはとったが最後には我が正義が勝つのだ!』
行動成功率上昇で猛烈に総帥を攻め立てるザ・スター。だがそこに。
「ぶーぶー!!」
『む?』
ヴィルデによる強烈なブーイングが飛んだ。これにはザ・スターもちょっと顔をしかめた。解せん。時としてヒーローが石を投げられる事はないでもないが、だがそれは基本ヒーロー活動がうまく行っていない時である。なぜ正義である自分が悪に対して有利になっているのにブーイングを受けなければならないのか?
(それは我の行いが正義でないからだ!使命を思い出せ!)
『だ、黙れ!貴様こそ使命を思い出すのだ我が心よ!』
「うまくいったみたいね」
守るべき弱い者にブーイングを飛ばされたり総統に味方されたりしたが心を揺り動かす事ができるのではないだろうか。ヴィルデのその狙いはどうやら当たったようだ。あとは総統が攻撃するだけだ。
「今よ!総統!苦痛の女神よ!」
『む!なんだかわからぬが傷が癒えてきたぞ!』
ヴィルデの【|静寂の帳《VEIL of SILENCE》】で体力を回復させた総統はザ・スターの精神と肉体の分裂の隙を突き、必殺の投げ技を決めた。これまでで一番いい一撃が入り、骸の海に送られる事こそなかったがついに無敵のザ・スターは大地に倒れた。これであとはピンフォールをするだけ……そう、誰もが思っていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ファーストヒーロー『ザ・スター』』
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POW : バスター・ナックル
【拳】を構えて【エナジー・ゲートから降り注ぐ光】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD : スーパー・ノヴァ
自身の【装備】を【輝く「超新星モード」】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ : レミニセンス・ザ・ワールド
常識的な行動を囁く【「ザ・スターの心」の幻影】と、非常識な行動を囁く【「ザ・スターの肉体」の幻影】が現れる。[「ザ・スターの肉体」の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●お約束の巨大化
『グロロロロロロ!貴様!まだ切り札を残しているだろう!』
よせばいいのにわざわざ挑発するデスリング総統。おまえはセル編のベジータかと言いたくもなるが、まあ相手に全力を出させて勝つ事に意義があるのかもしれない。いやオラ強ええ奴と戦いてえとかじゃなくて、帰還に必要な流れとして。
『……いいだろう。我が切り札を見るがよい!来たれ!レミニセンス・エニグマ!』
それに応じてザ・スターが呼び出したのは専用の巨大人型兵器、黄金のキャバリアであった。それに乗り込むと今度こそ不覚は取らぬとばかりに気合を入れた。
『さあかかって来るがよいデスリング総統!我の正義が貴様を叩き潰すであろう!』
『上等だグロロロロロロ!相手にとって不足はないぞ!!』
それに対し総統は真っ向から突っ込んでいった……生身で。
キャバリアに乗ってもザ・スターのユーベルコードは以下の3種類から変わりはないらしい。一応、再度説明させていただく。
【バスター・ナックル】は強力無比な拳の攻撃だ。生身の時も強力だったが、それでもデスリング総統はその攻撃に耐えてはいた。だがキャバリアに乗って繰り出されたら総統もヤヴァいだろう。発動前後の隙も一緒だが、キャバリアの能力相手ではその隙を突くのも困難が予想される。
【スーパー・ノヴァ】は装備を輝かせて能力を大幅に上げるものだ。別の能力がひとつ下がるという弱点があるようだが、キャバリアの能力が凄まじいため下がったとしてもかなり高いだろう。それでも弱点を突くならそれ相応の工夫が必要になってくるかもしれない。
【レミニセンス・ザ・ワールド】……生身のままオブリビオンと化したザ・スターは、かつての正しきヒーローの心と、オブリビオンと化して正義がゆがめられた肉体が分離した状態になっているらしい。で、破壊を是とする肉体に従う事で行動成功率を挙げるらしいが、二重人格の隙を突く方法はあるのだろうか?
以上、どの能力も強力ながら癖があるが、キャバリアに乗ったザ・スターの能力が強大なため隙を突くのもなかなか難しいかもしれない。なので今回は相手に直接ダメージを与えるような行動もアリだろう。キャバリア相手なのでこちらもキャバリアに乗る、あるいはそれに準じた手段を取った方が良い。この時もできれば近接戦ではなく遠距離攻撃の方が総統の気分を害さないかもしれない。また前章同様にチャンピオンの力を上げる手段も有効だが、敵は第1章より強力なため、より強力な強化手段をこちらも用意しないといけないだろう。
いずれにせよ大変な状況ですが、その、なんだ。よろしくお願いいたします。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、そろそろ手の出し時ですねぇ。
距離を離したまま『FLS』で『FDS』『FJS』を召喚、『FJS』を『スーパー戦車級巨大戦車』に変化させ各『祭器』を収納、巨大版を展開しまして。
【濟奠】を発動、全『祭器』を『時空間超越形態』に変形させますねぇ。
キャバリアには『搭乗席』という明確な弱点が有りますから、『FPS』で動向を把握、時空間を越え『搭乗席内』に直接『FDS』の[爆撃]を送り込みますぅ。
スターさんを直接叩くことに加え、『操縦席』が破損し機能しなければ、どれ程の技量が有っても総統へ対応するのは困難でしょう。
『FBS』で[追撃]、『四肢を動かす回路』の[切断]を併せても?
●ヒーローがやっていい手ではない
身長5mのキャバリア相手であっても生身のまま突っ込んでいくデスリング総統に対し、そのキャバリアに乗り込むザ・スターは馬鹿にするでも驚くでもなくあくまで冷静に迎えた。
『我がレミニセンス・エニグマを前に真っ向から来るその度胸だけは大したものだ』
『いかな巨大な相手であってもワガハイの技で骸の海送りにする!これこそダークレスラーの本懐よグロロロロロロ』
『よかろう、無謀と勇気の間に大きな差がある事を存分に学んで骸の海にでもアスリートアースとやらにでも帰るがよい』
「さすがの総統でもいくらなんでも無理がありますよねえ」
冷静なのは後方で見ていた夢ヶ枝・るこるも一緒だった。そもザ・スターが生身の状態であっても猟兵の介入がなければ総統には手も足も出なかったのだ。キャバリア、それもザ・スターのためにカスタマイズされた専用機とあっては間違いなく生身で戦うよりはるかに強いだろう。それでもなお総統が真っ向勝負をやめないのはダークレスラーの頭目としてのプライドか、はたまた単なる自信過剰か。
「いずれにせよ、そろそろ手の出しどきですねぇ」
早速るこるは祭器を召喚した。そのうちのひとつであるFJSは様々な乗り物に変形できる球体とのことだが、今回はそれは巨大戦車にその姿を変えた。その大きさはかのアポカリプスヘルの戦争で猛威を振るったスーパー戦車と同様だという……具体的にどのくらいのサイズだっけ?失念してしまったが、とにかくでかいのだろう。で、巨大祭器を召喚して攻撃の準備を整えた所で、るこるは力ある言葉を唱える。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その巡合の理をここに」
そのユーベルコードの名は【濟奠】と言った。濟=済、奠はお供え物の事らしい。読みの『トゲラレシリッカク』は『遂げられし律格』か。たちまちるこるの周囲に空間を歪曲する結界が張られ、展開された祭器は全て時空間超越形態なるものに変わった。この状態だと祭器の攻撃力と射程が3倍になる代わりに移動力が0になるらしい。なるほど冒頭で誰かが言っていたおすすめにしたがい、これで遠距離から攻撃を仕掛けるというわけか。敵に打撃を与えられ、なおかつ総統のプライドにもそこまで差しさわりのない良い策……
「そうではないんですねえ」
え?違うの?
「やはり遠くから撃ち込むよりは至近距離から攻撃した方が効果的だと思うんですよねえ」
まあそれは道理だろう。だが移動力0では遠くから撃つしかないのでは?
「ですから言ったではないですか、『時空間超越形態』って」
とか言っている間にザ・スターは必殺のバスター・ナックルを総統に叩き込もうとしていた。キャバリアの体格でそんなものまともに食らったら総統とて良くて一撃でノックアウト、悪ければちょっとお見せできないような有様になりかねまい。
『くらえ!バスター・ナック……!?』
『む!来るか……む?』
破滅的な攻撃に身構えた総統。だが予想された攻撃は……来ない。ザ・スターの必殺技の宣言が突如中断したと思ったら、発動前後の隙どころではない完全な無防備状態を晒しているではないか。それどころかキャバリアの内部が激しく明滅し、中からは煙など噴き出している。
『な、なんだこれは!?』
ザ・スターは困惑するどころの騒ぎではなかった。なにせである。攻撃を仕掛けようとしたら眼前で爆発。自身へのダメージもかなりのものだがそれより操縦席へのダメージが深刻だ。
「これではどれほどの技量があっても総統へ対応するのは困難でしょう」
いつもの表情を全く変えずにるこるは言った。そう。るこるの攻撃はまさに時空間を超越してレミニセンス・エニグマの操縦席に直接叩き込まれたのだ。さすがにカスタム機だけあってある程度耐性があったためか致命的な打撃にはならなかったようだが、それでも間違いなくその動きは止まった。
『敵の前で隙をさらすとは大したことがないなグロロロロロロ』
むろん総統には何が起こったかなどわかるまいが、好機な事ぐらいは分かった。そして無防備のキャバリアに組み付くと、なんと巨体を投げ飛ばしてみせた。惜しくも骸の海には届かなかったようだが、それでも等身大の総統がキャバリアから一本を取ったのだ。これはザ・スターにしてみればとんでもない衝撃だっただろう。
「うーん、さすがにカスタム機だけあって頑丈ですねえ」
操縦席のみならず四肢の破壊も目論んでいたるこるだったが、存外抵抗が激しい敵を前に、次の猟兵に任せる事にしたようだ。それにしても虫も殺さぬ顔と体格をしながらこの作戦、敵には回したくないと誰かは知らないが強く思った事であろう。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィルデ・ローゼ
総統とのツープラトンで行きたいのもあるけれど、息を合わせないとねぇ。引き続き精神面から攻めることにしましょうか。
なかなか|面倒くさい《私好みの》ヒーローさんね。総統、今から私があの人の動きを止めるわ。ほんの数秒かもしれないけれど、そこで決めて。
ザ・スターにUCを使って「プラントを破壊されて窮する民衆の幻影」を見せるわ。
これがあなたが正義を執行した後の世界よ!この世界の人たちはプラントを破壊されたら生きていけない。この地獄を作ることが、あなたの正義なのかしら!
苦痛は何も肉体的なものばかりじゃないわ。心の痛みもまた我が女神の領域なのよ。
●分かる人にとっては最大級の賛辞
なかなか強烈な妨害を受けたザ・スターだったが、カスタマイズされたキャバリアはたちまちのうちにコントロールを戻してあっさりと戦線復帰を果たした。
『なにやらわけのわからん策を使ったようだが、この程度で我を倒せると思うなら大間違いだ』
『当たり前だ!ワガハイとて自らの手で貴様を骸の海に放り込んでこその完全勝利よグロロロロロロ!』
一応、猟兵の介入があった事ぐらいは総統にも認識はあるのだろうか。ともあれ戦いはまだまだこれからだ……という所でヴィルデ・ローゼは考えた。
「やっぱりここは総統とのツープラトンで行きたいわよねえ」
なにせプロレスラー型のオブリビオン、それも幹部級と幾度となくやりあってきたヴィルデである。投げ技や関節技にはそれなりに自信を持っていた。ならば投げ技を得意とするデスリング総統と合体攻撃だってできるだろう……が。
「でもツープラトンには息を合わせないとねぇ」
これは結構悩みどころである。ただでさえヴィルデは総統とは初対面なのだ。そして打ち合わせの点もそうだが、グリモア猟兵が言ってたように、なんかこの後に来る第3章では普通に乱入してもいい雰囲気らしいけど、第2章ではあくまで総統がシングルで戦い、猟兵はあくまでそれを助けるという体裁なのである。ちょっと現状では息を合わせるのは難しそうだ。それにいくら総統の助けがあるとしても自分があの巨大なキャバリアを投げ飛ばすと考えると、やはり別の手を考えた方が良さそうであった。で、自分の得意分野は何かと考えた結果。
「引き続き精神面から攻めることにしましょうか」
なにせ、ザ・スターはヴィルデにとって『なかなか|面倒くさい《私好みの》ヒーロー』であるらしい。そっちの方面で対処するには最適の相手だったようだ。
『ぐわっ!?』
キャバリアの一撃を、総統は直撃こそ辛くも回避したものの、わずかにかすめただけでこの有様だ。ハッキリ言って勝負になるはずがない。プロレス界ではスーパーヘビー級の総統も相手がキャバリアとあってはボクシングのヘビー級と最軽量級の戦いよりもさらにひどい事になる。そりゃ猟兵とオブリビオンの戦いでは一般人の戦いほどサイズの差が決定的な戦力差にならないと言われてはいるが、そもプロレスラーというものが体格をもって戦闘力とする傾向のある職業なので、同じく巨大さを戦闘力としているフシのあるキャバリアとの相性は最悪なのであった。
『どうしたダークレスラーとやら、お前が強いのはその大口だけか』
『ほざいているが良いわ!追い込まれてからがプロレスラーの本領よグロロロロロロ』
口調だけはいまだ強い総統だが、少なくとも追い込まれているのは確かだ。ただしそこから立て直せるかといえばはなはだ怪しいと言わざるを得ない。急がねばならない……ヴィルデは早速【|追憶夜陰《TWILIGHT of GRIEF》】を発動させた。
「苦痛の女神よ、痛哭の帳を此処に」
『む!こ、これは?』
次の瞬間、ザ・スターの脳裏に浮かんだビジョン。それは……クロムキャバリア世界を支えるもの『プラント』。荒廃した世界において、鋼材や食料など様々な資源を人々はこれに依存して生きている。オブリビオンと化した今のザ・スターは、クロムキャバリア世界こそ悪の巣窟と判断し(繰り返すがそれが真実なのかは現時点で誰も知らない)、プラントを破壊する事で『悪』を滅ぼそうとしている。そしていまだヒーローとしての精神を保ったザ・スターの心はそれを止めようとしているが、現時点で体を止める事ができずにいた。
「これがあなたが正義を執行した後の世界よ!」
ヴィルデがザ・スターに見せたのはプラントが全て破壊された後のクロムキャバリア世界だった。そこにあったのは緩慢な滅亡。ある所では悲嘆と無気力が、別の場所では加熱するばかりの暴力が、それぞれ世界に蔓延し、やがて緩慢な時の流れは急加速してたちまち破滅へと向かっていく……心の痛みに訴えかける。まさに苦痛の女神の巫女の本領発揮といったところであろう。
「この世界の人たちはプラントを破壊されたら生きていけない。この地獄を作ることが、あなたの正義なのかしら!」
(その女性の言う通りだ、我が肉体よ)
ヴィルデの言葉にザ・スターの心も同調する。
(使命を思い出せ我が肉体よ、真の平和と安らぎこそ我らの目的ではないか)
『ええい黙れ黙れ!』
それでも肉体は頑強に抵抗をする。オブリビオンと化した事で変質した精神はそう簡単に翻意する事ができない……が、少なくともその間は戦闘などできるものではなかった。
「今よ総統!ここで決めて!」
『おお!ヒロ斎藤ばりの見事なサポートぶりだ!』
動きを止めたキャバリアに総統の必殺の投げが決まる。レミニセンス・エニグマは再度宙を舞い、受け身も取れぬ角度で脳天から地に落下し、機体と操縦者に多大なダメージを与えたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス
「こっからは自分も自分もキャバリアに乗らせてもらうっすよ!」
キャバリア『ヴェガ』に搭乗
「と言っても、やることはサポートっすけどね。行くっすよ、竜巻地獄!」
【木の葉竜巻の術】で吹き飛ばし効果のある竜巻を起こしてサポートっすよ
この竜巻をデスリング等々が起こす竜巻と合体させて威力を上げて遠距離から攻撃するのもいいっすし、
「竜巻コンビネーション、デスリング魚雷っすよ!」
竜巻の力でデスリング総統を勢いよく射出し、バスター・ナックルに対抗できそうな勢いで攻撃してもらう
「流石にこのまま骸の海ヘリングアウトとか都合のいい決着は望めそうにはなさしょうっすね〜」
●どちらかといえば火玉弾
兵器として巨大人型ロボット的なものが存在する世界観において、基本的には巨大ロボットに対しては巨大ロボットで対抗するのが王道とされている。むろん王道にこだわらず変化球から邪道な部類に属する手までいろいろ用意されている事も多いし、こと猟兵ともなればキャバリアに乗らずしてキャバリアに対抗する手段はいろいろあるだろう。それこそ生身で立ち向かう者すらいる。だが今回の相手はヒーローズアース最強のヒーローが自分専用にカスタマイズしたキャバリアだ。無謀にも生身で向かっていったデスリング総統が目下の所大苦戦を強いられている時点でその強さが分かるというもの。
「こっからは自分も自分もキャバリアに乗らせてもらうっすよ!と言っても……」
ということでリカルド・マスケラスが愛用のキャバリア『ヴェガ』に搭乗するのはごく自然な流れといえた。ただヴェガは基本支援機だ。結界による防御力はかなりのものがあるようだが、反面攻撃力については一般的なキャバリアと比べてもちょっと見劣りするかもしれない。
「やることはサポートっすけどね!」
『おお!なかなか見栄えのするセコンドではないか!』
対峙するレミニセンス・エニグマと同サイズのヴェガが味方についた事を、総統は存外素直に喜んでいた。
『小川直也のセコンドにつくジェラルド・ゴルドーぐらい頼もしいぞ!』
正直この例えはわかる人にはわかるけどプロレス者としてはどうかなあな気もするがまあ悪役だしね。
『1対2を仕掛けるか、それもいいだろう』
むろんザ・スターはキャバリアが敵に回ろうがビビったりはしない。ヒーローやってりゃ悪人が集団でかかってくる事など日常茶飯事である。群れたがるのは弱い者の習性だとばかりにあくまで泰然としていた……ように見えた。本人はコクピットの中なので実際はわからないが。
「じゃあお言葉に甘えて遠慮なく行くっすよ、竜巻地獄!」
早速リカルドは【木の葉竜巻の術】を発動させると、キャバリアサイズに相応しい竜巻がリングに巻き起こった。普段は人間大の目標を吹き飛ばすのに使われる術だが、この威力ならキャバリアですら吹き飛ぶだろうと思われる程の威力だ。だが。
『大した風力だが、我がレミニセンス・エニグマにとってはそよ風も同然だな』
ザ・スターは豪語した。キャバリアは飛行可能ではあるが、それでも凄まじい強風の前では吹き飛ばされる……本来なら。だがレミニセンス・エニグマの飛行能力は、|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》によって飛行ができないはずのクロムキャバリア世界ですら自由自在に飛び回る事ができるほどに凄まじいのだ。たしかにちょっとやそっとの暴風ではこれを吹き飛ばす事はできそうにない。
「なら総統!合体攻撃っすよ!」
『おう!ワガハイに合わせるのだ!』
リカルドの意図をすぐに理解し、総統は剛腕を思い切り振るった。四次元竜巻を飛ばす必殺の【デスリングラリアット】だ。これまで幾度も放たれたがレミニセンス・エニグマどころか、生身のザ・スターにも通じなかった技だ……これまでと一緒なら。
「合体竜巻っす!」
そこにリカルドが飛ばした竜巻が合わさり、神殺しの骸の海送りの四次元竜巻がキャバリアサイズにまで巨大化した。なめてかかっていたのか、レミニセンス・エニグマはそれをまともに受ける。強力な飛行能力を持つはずの巨体が木の葉のように宙に舞った。
『くっ!1対2とはいえ、やるな!今度はこちらから行くぞ!』
それでもザ・スターはすぐに体勢を立て直すと、キャバリアの拳を輝かせた。来る、バスター・ナックルだ。リカルドは竜巻をふたつ作ると、デスリング総統に呼びかけた。
「総統!この竜巻の間に入るっすよ!」
『む?なんだかわからぬが、承知したぞ!』
言われるがままに総統が竜巻に挟まれたのを見て、リカルドは叫んだ。
「行くっすよ!竜巻コンビネーション!デスリング魚雷っすよ!」
ふたつの竜巻が高速で回転し、総統の体を高速で射出した。突然の高速移動だったがさすがは総統、すぐに意図を察してそのままキャバリアに突っ込んでいった。一方のレミニセンス・エニグマは既にバスター・ナックルの体制を完了していた。
『グロロロロロロ!』
『面白い!我の必殺拳と貴様の人間ロケット、どちらが強いか勝負だ!』
両者の必殺技が真っ向から衝突し、轟音と閃光が炸裂して人々の目を焼いた。そしてそれがおさまった後、両者の姿はそこにはなかった。よく見たら互いに別々の方向に吹き飛ばされてダウンしていたのがわかるだろう。
「流石にこのまま骸の海ヘリングアウトとか都合のいい決着は望めなかったっすねー」
リカルドはそう言うが、それでも相手に与えたダメージは大きい。総統のダメージも大きそうだが、まあそこはそれということで。
大成功
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高崎・カント
もきゅっ! きゅぴぴきゅい、もきゅー!!
あんなおっきなキャバリアに向かっていくなんて……
さすが総統さん! かっこいいのです!!
もきゅぴぴ……
でも、キャバリアの相手は大変なのです
カントがこっそりお手伝いするのです
試合を盛り上げるため、とっても危険なリングにするのです
竜巻電流デスマッチなのです!
8mちょっとの高さをグルグル回るのです【UC使用】
もっきゅっきゅ……!
この高さは総統さんの行動は邪魔しないけど、キャバリアはジャンプすると竜巻の餌食なのです!
もきゅ? これは平等なルールなのですよ?
当たったらみーんなパチパチなのです
公平じゃないけど、今のカントはとっても悪いモーラットなので
気にしないのです!
●竜巻電流デスマッチ
『グロロロロロロ!まだまだワガハイは元気イッパイなのだ!』
互いの大技が真っ向衝突し、双方ともに吹き飛ばされ、ダメージは大きいはず。だがデスリング総統は少なくとも口では万全をアピールしていた。
『猟兵のサポートを得たとはいえ、キャバリアに乗る我と生身でここまで戦えるとはな』
一方のザ・スターもまだまだ健在だ。そして両者は相手に向かって走ると、ちょうどつい先刻までぶつかっていた場所で再び激突した。
『貴様が正義の道を行かなかった事が実に惜しまれる、できれば敵として会いたくはなかったものだ』
『ワガハイは貴様とこうして敵として相まみえる事ができて実に楽しいぞグロロロロロロ』
「もきゅっ!きゅぴぴきゅい、もきゅー!!」
そんな様子を高崎・カントは歓声をあげながら見物していた。
「あんなおっきなキャバリアに向かっていくなんて……さすが総統さん! かっこいいのです!!」
なにせカントも自分専用のキャバリアを持っており、キャバリアサイズの相手と戦うとなったらまずそれに乗り込む事を考えるのが普通である。そういう巨大兵器に頼らずキャバリアに突っ込んでいくデスリング総統の勇ましさよ。勇気と無謀は別物と言ってやりたい人はいるだろうし、実際総統の行為が無謀寄りな気がするのは現時点での苦戦ぶりからしても明らかだ。
「もきゅぴぴ……でも、キャバリアの相手は大変なのです」
だがカントのように、それがゆえに手を貸したくなる者もいるだろうから、案外悪い選択ではなかったのかもしれない。まあ総統がそこまで計算していたかといえば、間違いなくそんな事はないとは思うが。
「カントがこっそりお手伝いするのです!」
戦いは新たな局面に移っていた。ザ・スターの乗り込むキャバリア『レミニセンス・エニグマ』がこれまで使用していなかった技を解禁したのだ。
『我が切り札を見せてやろう!超新星モード発動!』
黄金のキャバリアの全身がさらに光輝いた。その有様はまるで|超新星《SUPERNOVA》のようだ。
『超新星という事は、言うならば星が消える前の最期の輝きという事だな!』
『せいぜい大口を叩き続けるがよい、我が攻撃に耐えられるものならばな』
チャンピオンの挑発に取り合わず、レミニセンス・エニグマが動き出した……速い。明らかに速くなっている。能力ひとつを大幅に上げるという超新星モードで、どうやら移動力を上昇させたようだ。
『む!でかいくせに速いとか、きさまはクラッシャーバンバンビガロか!』
『わけのわからない例えだが、言いたい事はなんとなく理解した』
相変わらず口だけは余裕ありげな総統だったが、さすがに危険な状況にある事は理解できていた。あれだけでかい奴が高速で動くのだから攻撃回避も困難になる事は間違いない。一発グモの可能性も増してきた。これは大変だ……と、思っていたが。
「もっきゅっきゅ……!」
カントが【モラ・スピン】またの名を【カント・タイフーン】を使い、超高速で移動を開始したのはまさにその時であった。やがてカントは空を飛び、上空8mに達した所でふたりの周囲を囲むように回りだす。カントの軌道が竜巻となって残り、上空8mの所に四角い枠が形成された。
「試合を盛り上げるお手伝いなのです!これはとっても危険なリングなのです!」
『む?リングとな?ロープにしてはちょっと高い所ではあるが……まあここは素直に応援と受け取っておこう!』
『……なんだかわからないが、危険とは思えんな』
総統とザ・スターは両極端な反応を示した。確かにキャバリアよりも高所にあるスクエアはカントの言葉に反してふたりの戦いの妨害をしそうには見えない。ともあれ戦いは再開された。相変わらず高速移動する巨体に総統は翻弄されるばかりだ。そして。
『せめてとどめは貴様の好きなプロレス風につけてやろうではないか』
レミニセンス・エニグマが飛んだ。もともと飛行能力のあるキャバリアだが、その性能も上がっている。空中からの攻撃で位置エネルギーもくわわりさすがの総統とてぺしゃんこになるのは目に見えていた、が。
「危険なリングだって言ったのです!」
『何?こ、これは!!』
ジャンプしたレミニセンス・エニグマがカントの作ったスクエアにぶつかった瞬間、電流の流れた竜巻が発動した。おそらく速度を上げるために装甲を犠牲にしていたのだろう、キャバリアは動きを止めてそのまま自由落下。
『お、おのれ、やはり妨害だったか』
「もきゅ?これは平等なルールなのですよ?当たったらみーんなパチパチなのです」
仮に総統がロープに触れていたらやはり同様の事になっていただろう。しかしさすがの総統とて8mの高さまでは届かない。実質被害を受け得るのはザ・スターだけだので公平ではないのだが、今のカントは悪いモーラットなので気にしないのだ。
「今です総統さん!」
『おお!せっかくだし利用させてもらおう!』
ダウンしたキャバリアを総統はさらに天高く放り投げ、再び電撃攻めにして地に落とす。今は戦いの趨勢ははっきりと総統に傾いていた。
大成功
🔵🔵🔵
天野・陽輝
盟友の麗奈さん(f44908)と参加
これが孫達のいうお約束の巨大化ってやつか。孫の二人は成人してるのに若い孫二人とお約束がでるパターンをみて楽しんでるとか。似てくるものだね。一緒にいると。
ただでさえ強大すぎるのを更にただ手強くされるのは迷惑なだけなんだが。全く。老体に鞭打つとするか。
高貴なる誇り発動。総統、攻撃は私が【オーラ防御】【回復力】【かばう】で受け止めるので攻撃に集中してくれ。貴方は必殺の一撃の為に力をためておいてくれ。
まあ、舞台の主役を引き立てるのもプロデューサーの役目だ。後で麗奈さんもひかえているのでね。こういう役目も必要だ。
神城・麗奈
盟友の陽輝(f44868)と参加
ええと、孫達のよくいうお約束の巨大化ってのはやられた後のリベンジで巨大化、だっけ?まあ間違ってないかもしれないが、ただでさえ厄介なのが更に厄介にだけだね。
総統の気持ちもわからなくはないが。まあ、なってしまったからにはしょうがない。
ハシバミの加護発動。一撃のダメージが大きいだろうから回復を飛ばしながら流れ弾でダメージで倒れないよう【身かわし】【残像】【オーラ防御】【回復力】で対策。
本当に無茶するね陽輝さん。本当に響と奏にそっくりだ。フォローはまかせてくれ。ハシバミの加護の攻撃に【凍結攻撃】と【魔力増強】を載せて撃つ!!
●ゴーグルファイブとかバイオマンとかその他もろもろ
さて今回のシナリオは珍しい構成である。というのも第1章の敵がザ・スター、第2章の敵がザ・スターが乗り込むキャバリア、レミニセンス・エニグマと一応違っているのに、ユーベルコードがまったく一緒なのだ。なので極端な事を言えば第1章と同じプレイングでも問題ないのではないか、そんな風に考えた猟兵もいたかもしれない。で、この件について天野・陽輝が考えたのは家族の発言であった。
「これが孫達のいうお約束の巨大化ってやつか」
「ええと、やられた後のリベンジで巨大化、だっけ?」
「孫の二人は成人してるのに若い孫二人とお約束がでるパターンをみて楽しんでるとか」
神城・麗奈に対してしみじみと語って見せる陽輝。その顔は戦場にありながら戦士ではなくおじいちゃんのものであっただろう。ちなみに計4人の孫うち、成人しているひとりは陽輝の娘の娘なので実の孫、もうひとりは孫娘の婿で麗奈の息子なので義理の孫である。残りの若い孫ふたりは娘夫婦の養子なので血縁のない義理の孫である。
「似てくるものだね。一緒にいると」
血縁はないが、それでも孫としての愛情に変わりはない。生まれた場所も世界観も違う者たちが同じもので盛り上がっている光景はなかなかに微笑ましいものがある、が。それはそれとして。
「まあ間違ってないかもしれないが……」
神城・麗奈にはちょっと疑問があったようだ。あれだ、倒された相手が巨大化する場合、基本は倒された本人が復活した上で巨大化して襲ってくるわけだから、巨大ロボットに乗るケースってのは巨大化とはちょっと違うような気がしないでもないという主張だ。ただ一応そういうのも存在するようで。調べてみたら意外に多かった。
「ただでさえ強大すぎるのを更にただ手強くされるのは迷惑なだけなんだが。全く」
「本当にねえ。老体に鞭打つとするか」
いずれにせよ、敵が巨大化したなら技が同じであっても同じ手段で対抗するわけにはいかない。こちらも巨大ロボットに乗るなりして同じ条件で戦うのが正しい在り方だろう。で、ふたりが選んだ作戦は……。
『ま、まだ我は負けたわけではない!』
『当たり前だ!ワガハイとてまだ勝ったなどと言うつもりはないぞ!貴様を骸の海に放り込むまではなグロロロロロロ』
戦いの趨勢は今やデスリング総統に傾いていた。だが総統とザ・スター、両者の戦意はまったく変わる事がない。事実、素の力だけならキャバリアに乗り込んだザ・スターの方がいまだに上なのだ。これからいくらでもひっくり返される可能性はある。今の青丸の数が何個とかは関係がない。どちらにとってもまだまだ勝負はむしろこれからなのだ。
「加勢するぞ総統」
そこに割って入ってきたのはプラチナの|守護巨人《ゴーレム》だった。その正体は【高貴なる誇り】でその姿を変じた陽輝だ。本来の身長175cmの陽輝は身長が3倍になった事で5m統一のキャバリアを上回る体格となっている。巨大な相手ならこちらも巨大化して立ち向かおうというのはたしかに理にかなっていると言えた。
『グロロロロロロ!余計な手助けは無用と言っただろう!』
「総統の気持ちも分からなくはないがね」
抗議をしようとした総統に麗奈が割り込んだ。
「こと相手がこうなってしまったからには、しょうがないわよ。大人しく援護されときなさいな」
『むむう……』
まあ今まで直接乱入じゃないとはいえ猟兵に援護を受けてきた身である事は総統にもわかっていた事だし、たしかに今更乱入に目くじら立てても仕方ないと判断したのだろう。
「むこうの攻撃は私が受け止める、貴方は必殺の一撃のために力をためておいてくれ」
『……いいだろう、そこまで大口を叩くからには失敗は許されんぞグロロロロロロ』
もうすぐ乱入上等な第3章が控えているわけだし、ちょっと早くなったけどいいか。そんな風に総統が考えたかどうかは定かではないが、結局ふたりの加勢を受け容れる事にしたようだ。
『相手が何人であっても問題はない、我の必殺拳でひとりづつ叩きのめすだけよ』
相手の数が増えてもまったく文句ひとつ言わないあたり、オブリビオンに堕ちたとはいえザ・スターもヒーローの精神は残っているようだ。しかしそれはこれまで総統が受けてきた苛烈な攻撃を陽輝が、場合によっては麗奈も受けなければならない事を意味していた。
『くらえ我が渾身の一撃!バスター・ナックル!』
「……くっ!」
当たる瞬間に渾身の防御機構を働かせた事で陽輝は必殺の一撃に耐えた。自らのサイズをキャバリア大に上げた事も作用しただろう。それはまさしく文字通り高貴なる誇りの為せるわざと言えた。
「何発も耐える事はできないか、まあ、舞台の主役を引き立てるのもプロデューサーの役目だ」
それに陽輝はひとりで耐えているわけではない。後方に控えていた麗奈もまたユーベルコードを発動させた。
「本当に無茶するね陽輝さん、フォローはまかせてくれ」
その姿は陽輝の娘と孫娘の姿を思い起こさせるように麗奈には見えた。そしてそんな陽輝の無茶に応えるべく、麗奈は【ハシバミの加護】を発動、陽輝のダメージを回復させつつレミニセンス・エニグマには遠距離攻撃を仕掛けていった。
『むう、存外粘るな猟兵、だがいつまでもつかな?』
「いや、そろそろ出番を譲るタイミングだね」
しつこい相手を打ち倒さんと気合を込めるザ・スターだったが、陽輝はあっさりと相手の気合を受け流した。今回の主役は別にいるのだ。
『グロロロロロロ!猟兵にしておくのはもったいない、我がデスリングに欲しいほどの耐久ぶりだったぞ!』
『!!』
陽輝とザ・スターの戦いの隙を突き、満を持して総統がレミニセンス・エニグマの巨体に組み付いたのである。そして生身のサイズでこの日何度目かの必殺投げが決まったのだ。耐久力が奪われていたレミニセンス・エニグマは明らかに受け身の取れないヤヴァい角度で地面に衝突した。これは決まっただろう……そう、誰もが思った。
大成功
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第3章 集団戦
『ドランギム』
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POW : バレット・ストリーム・アタック
【ジャイアントバズーカ】と【マシンガン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : アックス・ストリーム・チャージ
【ヒートアックスで斬りかかるホバー機動の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【同型機】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ : ホバー・ストリーム・アタック
【敵を惑わす複数機での連携機動による幻惑】が命中した対象に対し、高威力高命中の【複数機の連携による連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
イラスト:純志
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●荒野を走る死神の列
『ま、まだ終わったわけではない……出でよ!』
愛機と共に消滅する間際にザ・スターは上空のエナジー・ゲートを開放した。そしてそこから現れたのは大量のオブリビオンマシン。一機一機の力こそつい今しがた倒されたレミニセンス・エニグマには劣るが、それでも巨大兵器が数を頼みに攻めてきたとあっては脅威としか言いようがない。
『ほう!バトルロイヤルか!』
そんな状況にも関わらず、またダメージが決して少なくないだろうに、デスリング総統はにやりと笑った。
『こうなったら総力戦あるのみだ!ワガハイを助けて戦う事を許すぞ猟兵ども!せいぜい足を引っ張るでないぞグロロロロロロ!』
めでたく直接戦闘の許可が下りたところで、改めて今回の敵【ドランギム】について説明しよう。ホバー移動を採用した事で重量級キャバリアでありながら高機動力と重装甲という相反する要素を両立させた傑作量産機と言われているらしい。それがオブリビオンマシンと化したのだからきわめて厄介な相手といえよう。そのユーベルコードは以下の3種類だ。
【バレット・ストリーム・アタック】は火器による攻撃だ。攻撃力重視のジャイアントバズーカ、命中率や攻撃回数重視のマシンガンを使い分け、さまざまな状況に対応できるようだ。それが数をそろえて攻めてくるのだから脅威としか言いようがない。
【アックス・ストリーム・チャージ】は僚機と協力してホバー移動によりヒートアックス突進攻撃をくわえるものだ。その強烈な勢いに防御者は後退を余儀なくされるだろう。それが数をそろえて攻めてくるのだから脅威としか言いようがない(2回目)
【ホバー・ストリーム・アタック】は複数機が敵を幻惑するような連携軌道をとる事で、強力かつ命中率の高い連携連続攻撃を仕掛けるという恐るべきコンビネーションだ。それが数をそろえて攻めてくるのだから脅威としか言いようがない(3回目)
以上、でかくて速くて硬いというだけで脅威なのに、きっちり高火力も備えており、さらに緊密な連携をとって攻めてくるというのだから、ボス戦の後に集団戦なら楽勝だとかなめてかかると痛い目を見るかもしれない。だがこいつらを倒す事がデスリング総統の帰還につながるのだ。だから、その、なんだ。なんとかしてください。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
了解致しましたぁ。
一時引き受けますので、総統は『FQS』の結界で回復を。
この相手なら、遠慮は無用ですぅ。
【纓貙】を発動、600m級の『|ヴァキアスEAT《クエーサービースト》』を召喚&融合、『擬人化星獣娘』の様な姿に変化しますねぇ。
星獣としては小さめですが、キャバリア相手でも人間と虫程度のサイズ差ですし、『身体強化』『移動力強化』も有る以上、行動も支障有りません。
更に『ヴァキアスEAT』の持つ『分解液の霧』を展開する能力を発動すれば、接近した機体も各火器による攻撃も命中前に溶解可能でしょう。
『祭礼の女神紋』により同比率で巨大化した『祭器』各種も併せ、一気に潰しますねぇ。
●デカいは強い
もはやプロレスのルールにこだわる必要がなくなったとあり、いつものように夢ヶ枝・るこるは真っ先に飛び出していった。
「了解致しましたぁ。一時引き受けますので、総統はしばらく回復に専念してくださいねえ」
ただ休ませるだけではなく、回復用の祭器を送って実際に体力を回復させる心配りを見せつつ、るこるは荒野を走る死神の列の前に立ちはだかった。
「この相手なら、遠慮は無用ですぅ」
『グロロロロロロ、気づかいは無用、ワガハイはまだまだぜんぜんやれるぞ……と言いたいのは山々だが、せっかくの配慮だ!存分に味合わせて頂こう!』
実際はダメージを受けていたのか、それとも本当に継戦可能だったが本人の言う通り『せっかくの配慮』をしてくれたるこるに気を使ったのか、総統はしばらく休む事にしたようだ。
『ワガハイの代わりに戦うのだ!腑抜けた戦いなどしたら貴様から骸の海に放り投げてやるからな!』
「それは怖いですねえ、まあ、たぶん総統に怒られるような戦いにはならないと思いますぅ……大いなる豊饒の女神、≪楽園の地≫に在りし霊獣の恵みを此処に。」
総統の檄も入ったところで、早速るこるは力ある言葉を唱えた。ユーベルコードの名は【纓貙】。纓は纏う事、貙は獣の事、読みの『ショウアクセシショウルイ』は『掌握せし生類』であろう。まあ名前からすれば、掌握した生類を操っていろいろとするようなユーベルコードだと想像はつく。つくのだが……。
「では、早速いでよですぅ」
やはり生類を呼び出すものか……いや何も間違いではない。間違ってないのだ。るこるは確かに生類を呼び出した。だがその生類というのは蛇のように手足がなく、代わりに巨大な牙と外殻が発達していた。そして何より、でかすぎた。でかすぎたのだ。大事な事だから2回言うぐらいにはでかかった(これで3回目)オブリビオンマシンには操縦者は搭乗していないようだが、仮に彼らに意志があったならば驚愕というレベルでは済まなかっただろう。その名は【ヴァキアスEAT】。スペースシップワールドにクエーサービーストと呼ばれる生物だ。本来は惑星級のサイズなのだが、地上行動仕様のためか600m級程度に縮小している。それでも5mのキャバリアからすればとんでもないサイズ差であろう。
「では、合体ですぅ」
るこるはヴァキアスEATを取り込み、その中間の姿になった。言うならば擬人化星獣娘……容姿の具体的な描写についてはお手数ですが各自でスペースシップワールドのシナリオをあたってヴァキアスEATの実際の姿をチェックした上でるこるの姿と各自脳内合成していただきたい。
『これはでかいな!できれば是非ともワガハイの手で骸の海に放り投げてやりたいぐらいだ!』
等身大サイズなのに総統は600mの巨大生物に闘志を燃やしていた……むろん今回はさすがにやらないが。
「さて、まいりますよお」
巨大生物がキャバリア軍団に迫る。それでも恐怖を知らないオブリビオンマシンは次々とジャイアントバズーカやマシンガンを撃ち込むが、ゴジラに自衛隊の通常兵器が通用しないのと同様、いやサイズ的にはそれ以上か。るこるにとっては蚊が刺したようなものであろう。さらに、せっかく用意したのだしとヴァキアスEATの固有能力である分解液を霧状にして展開すれば、もはやドランギムに通用する武器はない。このままぷちっとやっても良かったのだろうが、せっかく祭器も大怪獣サイズに巨大化したのだからと一斉放火を食らわせれば、こいつは戦闘と呼べるものではありませんな、一方的な虐殺だ。
『うおお!このまま手柄を大怪獣に全部取られてなるものか!ワガハイも行くぞ!』
るこるの戦いぶりにおおいに発奮した総統は休憩はこれまでと戦場に躍り出ていった。まだまだ倒すべき敵はいっぱいいるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス
「さて、ここからはキャバリア戦と洒落込むっすかね」
ヴェガに乗った状態で継続。基本的に攻撃は【結界術】でバリアを張って防ぐ
「で、流石に守ってばかりじゃいられないっすからね。アルタイル!」
宇宙バイク『アルタイル』を呼び出して【牽牛星覚醒】でヴェガ、ついでに飛行ユニット『デネブ』と合体。そしてビーム砲『ミルキーウェイ』を展開
「さあ、まとめて焼き払うっすよ!」
3機のマシンのパワーを使ってのビームで薙ぎ払い、更にはミサイルランチャーの【一斉発射】で吹き飛ばす。
「目には目を、火力には火力を、ってやつっすね」
これで早いとこ帰還できるといいっすね
●合体ロボット
『グロロロロロロ!今のワガハイは絶好調だー!敵などいなーい!』
「おー、たしかに絶好調っすね……さて、自分もここからはキャバリア戦と洒落込むっすかね」
高笑いしながら次々とオブリビオンマシン軍団を骸の海に放り投げて行くデスリング総統を横目にリカルド・マスケラスも動き出した。第2章で登場した自前のキャバリア『ヴェガ』を敵マシン軍団の前に移動させると、やはり同サイズの相手は標的にしやすいのだろう、たちまちドランギム軍団が殺到してきた。初見の相手に対してまずは命中率を重視しているのか、それぞれ手にはマシンガンを装備していた。
「お、来るっすか?受けて立つっすよ」
早速飛んでくるマシンガンの雨あられに対し、ヴェガは結界を張り巡らせて対抗する。もともと防衛目的のキャバリアだけあって、いかな猛烈な弾幕であってもそう簡単に通しはしない。攻撃が不首尾に終わったのを見て、ドランギムは武装をジャイアントバズーカに切り替えた。リカルドにはすぐに敵の意志がわかった。命中率よりも攻撃力を重視した構えだ。
「無理やりぶち抜こうって事っすか」
結界には自信はあった。なので耐えられるか試してみてもよかった。このまま耐え続けて攻撃は味方に任せっきりでもまあ青丸はもらえるだろう。
「とはいえ流石に守ってばかりじゃいられないっすからね」
あまり積極的でない策なんかとったら隣で奮闘中の総統に竹刀ごっつあんですされてしまうかもしれない。プロレスにおいて受けは重要だが、受けきったらこちらから攻めなければならないのだ。
「アルタイル!すごいとこ見せてやるっすよ!」
呼び出したのは愛用の宇宙バイク『アルタイル』であった。早速ユーベルコード【|牽牛星覚醒《アルタイル・オーバーロード》】でパワーを増強、もともとスピードよりもパワー重視のアルタイルはさらにパワーを増強させた。さらにヴェガを分解してアルタイルの装甲として合体させ、加えて飛行補助ユニット『デネブ』も合体。夏にはちょっと早い季節だが大三角形が全てそろい、その姿は言うならばフルアーマーアルタイルか。合体中は攻撃しないのが基本的にはセオリー応用的にはまあいろいろ……かどうかは知らないが、オブリビオンマシン軍団はアルタイルの合体が終わったのを見計らうかのタイミングで襲い掛かって来た。先刻見た結界の防御力を見たためか、引き続きジャイアントバズーカで来るようだ。
「さあ、まとめて焼き払うっすよ!」
集団で突っ込んできたドランギム軍団めがけて搭載されたビーム兵器『ミルキーウェイ』が火を噴いた。名前の通り乳白色のビーム……かどうかは不明だが、3機のマシンのパワーによりその出力はおおいに増している。いわばトライアングルアタックという事か。恐るべき破壊力の前に先頭を走るドランギムの数機がなすすべもなく吹き飛ばされた。重装甲をもってしてもこれだ。先制を受けた形になったドランギム軍団も反撃とばかりにジャイアントバズーカを撃ち込んでくる。単発のバズーカもこれだけの数が一斉発射すれば弾幕も同然だ。
「目には目を、火力には火力を、弾幕には弾幕を、ってやつっすね。全弾一斉発射!」
対抗してリカルドは機体に搭載されたミサイルランチャー『リベルタス』を起動した。こちらは単機でミサイルの弾幕が撃てる仕様だ。大量の砲弾とミサイルがぶつかり合い、轟音と閃光が幾つもの花を咲かせた。その中を突き抜けたミサイルはさらにドランギム軍団に打撃を与えていく。アルタイルは……無事だ。ここまでやれば総統に怒られる事もないだろう。
「これで早いとこ帰還できるといいっすね」
いまだ敵のただ中で大暴れを続けている総統を見ながらリカルドはつぶやいた。
大成功
🔵🔵🔵
高崎・カント
もきゅー! やっぱりキャバリアはおっきいのです
でも総統さんが生身で戦うなら、カントも頑張るのです!
相手の連携に対応するため、カントもM.O.F.戦術を駆使するのです!
「Momentum Orchestrated Formation」の略で、モフなのです【UC使用】
ゆーいっちゃん(幻影)が後ろで指示をしてくれるので、まずは敵の初撃を躱すのです
危なくなってもゆーいっちゃんが回復してくれて安心なのです
回避ついでにふわっと飛んで敵を踏んづけて、メインカメラに張り付いてパチパチなのです
カントのこの手が真っ赤に燃えるのですー!
終わったらゆーいっちゃんにもふもふしてもらうのですー!
わーい!
●俺を踏み台にしたぁ
「もきゅー!やっぱりキャバリアはおっきいのです!」
そんな巨大なキャバリアが頭数揃えて突っ込んでくる様子はなかなか壮観なもので、高崎・カントでなくても声をあげたくなるというものであろう。だがそれよりもさらにすごいのは。
『グロロロロロロ!図体ばかりでかくてもワガハイのプロレスの前では無力無力ぅ!どんどん骸の海に放り投げてやろう!』
そんなキャバリア軍団と生身で渡り合うデスリング総統であろう。ファーストヒーローが乗る特別性のキャバリアと相対してはさすがに苦戦は免れなかったが、一般オブリビオンマシン相手なら何機で来ようと全く問題ないと言わんばかりの戦いぶりだ。そんなわけで、カントも自分専用のキャバリアを持っているので、あるいはキャバリアに対抗するには自分もキャバリアに乗るべきだとか考えた事もあったかもしれない。だが。
「でも総統さんが生身で戦うなら、カントも頑張るのです!」
たしかにグリモア猟兵はキャバリア乗るとかした方がいいよとは言った。だが猟兵だって超強いヒーローが乗る超超強いオブリビオンマシンでもない、数だけはいるただのオブリビオンマシン相手なら、別に生身で頑張ったって何も問題はないのだ。
さてドランギム軍団は【ホバー・ストリーム・アタック】なる連携戦術を使ってくる。例えば3機が縦列移動を行い、先頭の機体が敵の目を引き付けている間に後列の機体が先頭を飛び越えて頭上から攻撃を仕掛けてくる、とかいう戦法をとってくるようだ。この幻覚に惑わされた日には強力かつ回避不能困難な攻撃を受けてしまうだろう。
「連携には連携なのです!相手の連携に対応するため、カントもM.O.F.戦術を駆使するのです!」
MOF……この略しかたをする単語はいくつかあるが、とりあえず戦術に関係ありそうなものはちょっと見つからない。では実際は何かといえば。
「『Momentum Orchestrated Formation』の略で、モフなのです」
あえて日本語に訳すなら『攻勢を指揮する構成』とでも……ちょっと日本語としてあやしいし期せずしてダジャレになってしまったのも苦しい。まあ実際の動きを見てもらった方が分かりやすいだろう。
「カント君!敵が来るよ!」
「もっきゅー!」
変幻自在の幻惑起動をとる敵に対し、カントは後方からの的確な指示でこれを回避した。なるほど後衛からの指揮で前衛のカントが動くフォーメーションという事か。ちなみに突然出てきた人物はカントの『嫁』である高崎・優一、通称ゆーいっちゃんらしい。とはいえ猟兵ではないので本来なら異世界にいるはずがない。その正体はカントのユーベルコード【|Till death do us part《死がふたりを分かつまで》】によって生み出された幻影であった。
「もきゅー!危なくなってもゆーいっちゃんが回復してくれて安心なのです!」
幻惑行動に惑わされたりしなければ恐るべき敵の攻撃も回避は容易だ、とはいえ保険はあった方がいいだろう。単に万が一の備えというだけではなく安心感も大きい。それが本当に愛しい気持ちで結ばれた相手からもたらされるものならなおさら心強いだろう。そして敵の攻撃を回避したのと同時にカントは大きく飛んだ。真っ先に突っ込んできたキャバリアの頭部に飛び乗ると、それを踏んづけるようにしてさらに跳躍し、次の機体の顔面に張り付いた。
「カントのこの手が真っ赤に燃えるのですー!」
全力のパチパチはメインカメラを破壊するのみならずその頭部を吹き飛ばした。頭部を破壊された者が失格になるわけではないが、さすがにたかがメインカメラをやられただけだとは行かず、たちまちオブリビオンマシンは戦闘不能に陥った。それを見ながら次の機体に取りつき、再び頭部破壊で行動不能に陥らせる。
「終わったらゆーいっちゃんにもふもふしてもらうのですー!わーい!」
そこまでやって初めてMOF戦術は完遂と言えるのである。そしてその時はそう先の事ではなさそうだ。
大成功
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天野・陽輝
盟友の麗奈さん(f44908)と参加
ん?この外見、孫と見た有名なロボットアニメに出てきたような?
それにこれまで異常事態2連発なので最早慣れてるというか。いや、慣れるな、と家族に言われそうだが。脅威であることは間違いないのでなんとかするか。
連携して突進攻撃か。でも突進攻撃なら【回避音感の心得】でなんとかなるか。移動音も派手だろうしな。でもヒートアックス攻撃は怖いので【残像】【第六感】【オーラ防御】での備えは万全に。
連携が主体な以上、連携を崩せばなんとかなる。もちろん二丁拳銃による【制圧射撃】【マヒ攻撃】【目潰し】など妨害はたっぷりと。
こちらも手段を選んでられない。依頼主が大物だし。
神城・麗奈
盟友の陽輝さん(f44868)と参加
確かに外見が子供たちの大好きなアニメに出てきたのに似てるね。なんか混ざってる気がするんだが。まあ、あれだけ異常事態が連発されると最早慣れるというか。息子に呆れ顔されそう。とっとと終わらそう。
確かに連携されて突進攻撃は脅威だ。陽輝さんの援護を得て【残像】【身かわし】【オーラ防御】で凌ぐ。うわ、強烈だねえ。
これは早く止めた方がいいね。【高速詠唱】で氷華氷嵐舞!!めたらやたら駆け回って実にうっとおしい。とっとと止まりな!!
総統も地元に戻って暴れたいだろうねえ。なんか不満爆発しているようにみえる。早く帰還できるといいね。
●それ以上いけない
猟兵たちが、デスリング総統が奮闘し、倒しても倒してもドランギム軍団はまだまだいっぱい出てくる。こいつらを呼び出したザ・スターの執念おそるべし、驚異のメカニズムおそるべし、といったところである。そしてそのオブリビオンマシンを見た天野・陽輝と神城・麗奈の疑似家族組はそのデザインに思う事があったようで。
「ん?この外見、孫と見た有名なロボットアニメに出てきたような?」
「確かに外見が子供たちの大好きなアニメに出てきたのに似てるね。なんか混ざってる気がするんだが」
いかん、それを言っちゃあいかんぞ。そういうネタは筆者大好物ではあるのだが、それでもあんまり触れたらヤヴァイような、いいぞもっとやれなような、ちょっと微妙なラインだ。とはいえ別の猟兵も似たようなネタをやった事だしなにを今更という感じもしなくもない。
「そう言われても、そもそもこの章のタイトルからして」
……それはさておき、陽輝の『孫』かつ麗奈の『子供』は実際の血縁に非血縁あわせて4人いるわけだが、アニメ見てたのは誰だろう。特撮と同じで4人そろって見ているとかだったらなかなか微笑ましい光景ではあるのだが。
「これまで異常事態2連発なので最早慣れてるというか……」
陽輝の言う異常事態2連発とは何を指しているのだろうか。とりあえず、このシナリオの1章2章はまあ敵の『巨大化』はなかなかの異常事態といえた。1章と2章で2連発なのか、それとも別の場所での異常事態、例えば先日いきなり宇宙に放り出された事とかも含めるのだろうか、と思いきや。
「確かに、立て続けに来たから私も慣れたわ」
麗奈は陽輝の宇宙の話に関わってないので、やはり1章と2章で2連発なのだろう。まあアスリートアースのフォーミュラとヒーローズアース最強のヒーローにして現オブリビオンが両者ともまったく関係ない世界で戦ってるというのはよくよく考えたら異常事態だよね。
「慣れるな、と家族に言われそうだが」
「私も息子に呆れ顔されそう」
とはいえ、毎回毎回新鮮な感じで驚いているのもなんかゲーッとかなんだってーとかを思い出させる感もあるし、歴戦の猟兵としては多少突飛な出来事が続いたら慣れてもいいのではないかな、と思わないでもない。むろん毎回驚き顔をするのもそれはそれで芸になりそうだし。まずは子供達や孫達と相談してみるのはいかがだろうか。
「そんな事より」
そろそろ話を元に戻すべきだろう。陽輝と麗奈は鋼鉄の巨人の群れを見上げた。
「脅威であることは間違いないのでなんとかするか」
「そうだね、とっとと終わらそう」
ふたりともキャバリア軍団を前に生身で立ち向かうつもりのようだ。ただデスリング総統にあてられたからというわけではないようだ。陽輝も麗奈もクロムキャバリアや獣人戦線でキャバリアと戦った事はないが、キャバリア同様のサイズを誇るバハムートキャバリア世界の|獣騎《バルバ》を相手にした事はある。むろん生身でだ。ならば先刻のような特別性のキャバリアでもない限り、十分行けるはずだ。そう考えたのかもしれない。陽輝は二丁拳銃を、麗奈は氷華の杖をそれぞれ手に、ドランギム軍団に向かった。等身大の相手だろうと容赦をするつもりのないオブリビオンマシン軍団はふたりの姿を認めると猛烈な突進を仕掛けてきた。
「うわ、強烈だねえ」
「連携して突進攻撃か、たしかに強力だね」
なにせドランギムの【アックス・ストリーム・チャージ】は同サイズの相手だろうと吹き飛ばす突進攻撃だ。生身の人間が食らったらミンチよりひでぇよとなりかねない。それでも陽輝は恐れることなく巨大な敵に向かっていった。
「そんな派手な移動音をさせる突進攻撃ならなんとかなるか。音楽家は音で動きを把握できるのだよ」
強烈な突進攻撃を陽輝はどうにか回避した。音楽家として培われた経験に基づく【回避音感の心得】だ。ドランギムのエンジン音から行動を予測した結果である。とはいえそう簡単にできる事ではない。そも音で動きを読む事が困難な上に、キャバリアの巨体が高速で突っ込んでくるのを回避するのは予測できたとしても至難の業といえよう。それでも猟兵としても音楽家としても歴戦のつわものである陽輝はそれを成し遂げたのである。
「めたらやたら駆け回って実にうっとおしい!とっとと止まりな!!」
敵が陽輝に気を取られている隙を見計らって麗華の【氷華氷嵐舞】が発動した。たちまち戦場全体に氷のような水晶の嵐が吹き荒れ、ドランギムに炸裂していく。それはキャバリアの耐寒対策をも容易につらぬき、ダメージを与えるとともに動きを阻害していった。
「連携を崩せばなんとかなるかな、とはいえ手段を選んではいられないね、依頼主が大物だし」
敵の動きが乱れたのを見て陽輝も二丁拳銃をドランギムに撃ち込んだ。むろんキャバリアに傷を負わせる威力はないが、かく乱効果なら十分に期待できる。そして陽輝と麗奈が鈍らせたドランギムは、大物の依頼主ことデスリング総統が片端から骸の海に投げ込んでいった。
「総統も地元に戻って暴れたいだろうねえ。なんか不満爆発しているように見えるしね。早く帰還できるといいね」
その暴れっぷりに麗奈は思わずつぶやいた。だが、おそらく帰還の時もそう遠い話ではないだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィルデ・ローゼ
いよいよデスリング総統と共闘というわけね、いいじゃない。
「ふっふっふ、今宵の私は一味違うわよ!」
蝶柄の派手なマスクを被って登場よ。打撃技重視で行くわ。総統に投げつけてもらったり、UC「夜の静寂の召喚」で空中に多数のクッションを作ったりして、立体機動の空中殺法よ。
「総統!あなたの傷は私が治すわ。防御なんか考えないで存分に暴れてちょうだい!」
私や総統のダメージがいい感じで蓄積してきたらUC「苦痛与奪」でまるまる敵に押し付けちゃうわね。
やっぱりプロレスは楽しいわね!
●フロートライクアバタフライ
「ふっふっふ……」
不敵な笑みを浮かべてヴィルデ・ローゼは戦場に立った。なにせ前章では控えたデスリング総統との共闘の時なのだ。プロレス者としては待ち望んでいた瞬間であろう。
「今宵の私は一味違うわよ!」
マスクマンの総統に合わせてか、ヴィルデは蝶柄の派手なマスクをかぶっていた。なんとなくだが服装はいつもと変わらないような気がするのでプロレスラーともなにか別のお仕事の人とも取れなくもない感じだが、まあ気合が入っているのだけは確かだ。
『おお!ワガハイと組むというのか!その意気やよし!』
どうやらヴィルデの気合とやる気は総統にも伝わったようだ。戦いでの高揚もあってか、存外あっさりと組む事を了承してくれた。
『だがワガハイと組むからには並みの働きでは納得せんぞ!気の抜けた戦いぶりなどしたら貴様から骸の海に放り投げてやるからそのつもりで戦う事だグロロロロロロ!』
「心配しなくても大丈夫よ!さっきも言った通り、今宵の私は一味違うって所を見せてあげるわ!」
ヴィルデが豪語したのとほぼ同時に大量のドランギム軍団がこちらに向かってくるのが見えた。本当に大言豪語を聴きつけたのか、それとも派手すぎる戦いぶりを見せていたデスリング総統に向けての突撃でありヴィルデはついでだったのかはわからない。ただひとつ言えるのは、下手な戦い方をしたら総統に骸の海に放り投げられる前にオブリビオンマシンによってグリモアベースに強制送還されてしまうだろう事であろう。
「行くわよ総統!合体攻撃よ!」
『いいだろう、やってみせろ』
一流のプロレス者同士でもタッグを組む時に事前の打ち合わせは必要だが、猟兵とプロレス・フォーミュラともなれば以心伝心で行けるのだ。相手を幻惑するような動きの【ホバー・ストリーム・アタック】で一撃必殺を狙ってくるをしてくるドランギム軍団に対し、こちらの方から敵をかく乱するムーブを狙ったヴィルデの意図を、総統は一瞬で察したのだ。
『グロロロロロロ!行けい!』
ヴィルデの腕をつかむと総統は思いっきり投げ飛ばした。むろんその先は骸の海などではなく、先頭を行くドランギムだ。キャバリアよりはるかに小さい相手が飛んできたということもあり、そのまま体当たりでもかましても良かったのだが、相手を幻惑するという当初の予定通りに後方の機体が先頭の機体を飛び越え、頭上からの両手パンチ攻撃、通称ダブルスレッジハンマーをくわえようとした。
「今よ!」
だが必殺の拳がヴィルデをとらえる瞬間、ヴィルデは軌道を変えて大きく横に飛んだ。空を切る拳、突然の事に驚愕した(ように見えるだけかもしれないが)ドランギム軍団。ヴィルデは【|夜の静寂の召喚《NIGHT SPIRIT》】で夜の精を呼び出し、クッションやジャンプ台代わりにできるそれを踏み台にして軌道を変えたのだ。むろん夜の精は俺を踏み台にしたぁとは言わない。その後もヴィルデは夜の精を次々に呼び出してはそれを足場に飛び回り、ドランギム軍団を幻惑していった。
「総統!あなたの傷は私が治すわ。防御なんか考えないで存分に暴れてちょうだい!」
『グロロロロロロ!言われずとも!』
ヴィルデに気を取られていたオブリビオンマシン軍団は総統によって次々に骸の海送りにされていく。とはいえ総統も第1章からずーっと戦い詰めだ。途中でインターバルも入ってはいたが、それでも疲労やダメージは溜まっている事だろう。
「苦痛の女神よ!」
頃合いとみたヴィルデは【|苦痛与奪《PAIN to TRANSFER》】を発動、自分経由で総統のダメージをドランギム軍団に移動させた。おかげで総統はノーダメージのように暴れ回り、ドランギム軍団が完全に壊滅するのも間もなくの事であった。ただこのやり方だと一時的に総統のダメージをヴィルデが味わう事になるわけで。
「……やっぱりプロレスは楽しいわね!」
おかげで心底満足する事のできたヴィルデであった。
大成功
🔵🔵🔵
●もうちっとだけ続くんじゃ
かくして強敵ザ・スターおよび、自身が登場するキャバリア『レミニセンス・エニグマ』、ならびに召喚したオブリビオンマシン軍団は猟兵たちとデスリング総統の奮闘によって全て倒された。いまだ上空にはザ・スターが生み出したエナジーゲートが残っていたが、やがてそれは崩壊し、そして。
『グロロロロロロ!なじむ、なじむぞッッッ』
破片は全てデスリング総統に吸収されていった。こうして四次元殺法が十分に強化を果たした暁には、総統は四次元殺法を自らに使用する事でアスリートアースに帰還する事ができるという。その時はもうすぐなのか、それともまだ当分先なのか……いずれにせよ猟兵たちはそのための一歩を踏み出す手伝いは確実にできたのだ。
「ここまで強くなったら総統からベルトを奪うのは楽な事じゃないあろうなあ」
猟兵の誰かがそんな事をつぶやいたとか。果たして冒頭の誰かが本当に総統に挑む日が来るかどうかは誰にもわからない。ともあれ、ひとつの戦いは終わりを告げた。しばしの休息をとるか、すぐに次の戦場に向かうか。それとも……いずれを選ぶにせよ、猟兵たちはそれぞれの道を歩み始めるのであった。