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発展の限界値

#クロムキャバリア #【Q】 #地下帝国 #人工理想郷トウゲン #「口惜しや……あな口惜しや……」

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#【Q】
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#人工理想郷トウゲン
#「口惜しや……あな口惜しや……」


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「シンに逃げられちゃったんだねぇ……」
 先日の猟兵達の戦いの記録を眺めていたヴェイロンが紅茶片手にクッキーを頬張ると、眉間にしわを寄せる。同じテーブルについていたイヨは小さく唸り。
「皆様、特級戦力の方々ですし、何とかなるとは思いますが……」
「巨神の出力はそれ一つで地形を書き換えるのに、二機の巨神が武装を撃ち合う戦場になるからね。猟兵とは言え、果たして何人が戦場に辿り着けるか……」
 ヴェイロンはテーブルにクッキーを置くと、ケーキ用のフォークを立てて。
「まぁ、彼らはフィナンシェの身で食器に食らいつくような無茶をするんだ。今回も何とかなるんじゃないかな?」
 などと、焼き菓子を二つに割ってしまうのだった。

「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」
 大神・狼煙(偽者・f06108)は資料を広げると、一部の猟兵達にはなじみ深くなってきた地図を示す。
「何かと付き合いが長くなった小国家、ラウンズと現在冷戦に近い状態にあるトウゲン。こちらについに攻め込む段階まで事態が進んだようですね」
 何かと情報が少ない小国家、トウゲン。猟兵をして攻め込めなかった理由の一つが。
「どうやっているのか分かりませんが、トウゲンは巨神兵器を運用しているようです。コレに対し、別の巨神をぶつけて一先ず戦える状況を作る作戦ですが、周囲は余波で凄まじい熱波が吹き荒れます。猟兵本人はさておき、キャバリアの装甲が熔解しかねない高温になるでしょう。しかし、装甲を破壊されれば敵機の有毒装甲から発せられる対人毒にやられて死にます」
 超高温の戦場、相応の対策をしなければ戦列に加わる事すらできないだろう。
「それでは皆様、ご武運を」
 一礼したグリモア猟兵は転移門を開くのだった。


久澄零太
さーてそろそろエンディングが近づいて来た……

久澄です

トウゲンの真実(?)が見えて来ましたが、ネタ依頼の予定だったんですが諸事情により『ガチ依頼』になりました

ゆーて判定そのものはいつものユルユルでいきます

ただし、いつもと違って採用するプレは絞って、これなら書けるってモノのみを採用します

初回執筆は十三日の予定

プレは当日十六時までにプレくれると嬉しいな!
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第1章 ボス戦 『機械体・破滅を司り導く破滅』

POW   :    悔いに身を貫かれる恐怖
命中した【両腕の顔面の目と口】の【中から、額と同じ結晶】が【生えて伸びると錐状】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    闇へと身を飲み込まれる最後
【両腕の顔面から放つ無数の波動弾】が命中した対象に対し、高威力高命中の【精度で脚部の「口」から巨大な黒い波動】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    内より自身を暴かれる絶望
【射出した後に巨大化する両腕の顔面】が命中した対象の【全身を挟み込むと対象の全身】から棘を生やし、対象がこれまで話した【幸せな思い出、それが失われる絶望への比例】に応じた追加ダメージを与える。

イラスト:エンドウフジブチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はイリス・アンリリンキッシュです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィリー・フランツ
※タイフーンカスタムに搭乗
心情:前回はやられたな、目前の敵だけだと思ってアウル複合索敵システムの出力を上げなかったのが敗因だ。
今回は小細工無しで行かんとヤバそうだが。

手段:「外気温度上昇、自然発火するぞ!?」
カグヅチの戦闘領域からは出来るだけ離れる、フォートレスアーマーもサブジェネレーターで出力強化してるがフルパワーの熱波なんぞ食らったら何時まで持つかわからん、同じ理由で砲弾も徹甲弾以外は使えん、砲身で早爆したら目も当てられん。

基本はヤグアルⅤでの遠距離狙撃、もしミドルレンジまで詰められたらRS-S連装ショルダーAAガンによる弾幕を張って接近する前に仕留める。
敵は近接機だ、この方が安全だろう。


皇・絶華
神機
「あのAIめ…逃げるとかふざけやがってぇ…!」

まぁそういうなさっちゃん
確かに灼熱地獄のようだが我がチョコを持ってすれば元気もりも
「ちょ!?この依頼シリアスなんですよ!?ってカシムてめぇ!?何考えてやがる!?」
おお!カシムは理解ってくれていたか!では今こそ皆に圧倒的なパワーを進呈しよう!
UC発動
さっちゃんにも
「ぐげぇ…あ、あれ…?」
おお、皆いつも以上に元気に飲んでるな!(心身ダメージ無力化

【戦闘知識】
敵の能力把握

うむ…素晴らしき力とパワーを兼ね備えているな!
これは…我がぜっちゃんチョコの材料に相応しい!
「あれ有毒装甲持ってるんですが!?」
【念動力・空中機動・弾幕・貫通攻撃】
神機の主発動
さぁころちゃん!出番だぞ
「って朕このままなんですか!?やけくそである!」着ぐるみ少女が怒りの幼女パンチ☆
飛び回りながら念動光弾を叩き込む
【二回攻撃・切断・爆破・薬品調合】
鎌剣で切り刻み
何という事だ…その絶望…私は理解っている!パワーが足りないんだな!
ならば!お前にも!圧倒的なパワーを与えよう!
チョコ捻じ込


カシム・ディーン
神機
あの野郎…このカシムさんを出し抜くとかふざけやがって
「でもどうする?メルシーは耐熱障壁使えるけど皆って訳じゃないよ?」
(心底忌々し気に)
…ぜっちゃん…あのドリンク?を僕らにも振舞え
「ええ!?」
UC起動
医術の神の子発動
カカオ汁を飲む皆に降りかかる心身ダメージ無力化!
こ、これで…デバフ無視で往ける筈だ!

皆が飲み終えた所で解除
【情報収集・視力・戦闘知識】
やっかいな能力だな…
ってこいつ…スパロ〇Jのファー〇ゥムじゃねーか!?
「や、やばいよー!」
顔面の動きと攻撃の癖は把握
【属性攻撃・念動力・空中戦・弾幕】
炎を機体に付与
熱耐性の補助
速足で駆ける者発動!
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を叩き込み顔面にはぶつからねぇ
あの技使うとなんか戦闘不能に追い込まれそうな気がしないでもないからな馬鹿野郎!
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
ムー〇デュエラー〇ではラスボスよりヤバイと評判だったようだが!
此処ではずたずたにしてやるぞごらぁ!
「之からくる相手の前座としては悪くなかったぞ☆」
鎌剣で切り刻み金目の物強奪!!


皇・銀静
何とも気色の悪い敵だな
さっさと潰すぞ
「そうだね☆主の思い出も潰されちゃう☆」

ギガスゴライア出撃発動

ごぶ
「げぶっ☆ここは叡智皇に感謝だね☆」
「grrrr?」(スゴく嫌な予感してたけど今は大丈夫みたい!)
まぁ不味くないのは最高だ

【戦闘知識】
敵の結晶等の動きを解析

【オーラ防御・念動力・弾幕・砲撃・属性攻撃】
荷電粒子砲による援護砲撃と共にUC発動
飛び回りながら念動光弾を叩き込み
熱波はオーラよりエネルギー吸収!
そのまま灼熱弾幕展開
「ふふふーグリムちゃんは他の巨神に遅れはとらないよ☆」
【二回攻撃・切断・功夫・串刺し】
魔剣で切り刻み拳や脚擊から槍で串刺しにして蹂躙
サリアと連携してボコボコにする!!



「あのAIめ……逃げるとかふざけやがってぇ……!」
 サートゥルヌスの制御支援AI、そのヒューマノイドスタイル、通称さっちゃんが忌々し気に奥歯を噛む。戦場に先行したとある猟兵を主とみなした巨神が発する高熱と、トウゲンの国土と思しき建造物群から飛来する光が衝突し、戦場は瞬く間に赤熱した空間へと変貌を遂げた。本来であれば別のキャバリアの協力を得て戦場を維持する予定だったが、交渉前に攻撃を仕掛けた為に逃げられてしまい、地下空間という閉所を赤く染める余波の中、作戦行動を進める事態になってしまった。
 神機と銘打たれた規格外の性能を誇るサートゥルヌスですら、戦場に立っているだけで装甲が摩耗していく。自身の本体の消耗、及び主の生命の危機に苛立ちを覚えるさっちゃんを、皇・絶華(影月・f40792)がたしなめて。
「まぁそういうなさっちゃん。確かに灼熱地獄のようだが、我がチョコを持ってすれば元気もりも……」
「ちょ!?この依頼シリアスなんですよ!?」
 さっちゃんがツッコミを入れている一方で、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は同じ依頼に赴いた際に遭遇し損ねた機体に舌を打ち。
「あの野郎……このカシムさんを出し抜くとかふざけやがって」
「でもどうする?メルシーは耐熱障壁使えるけど皆って訳じゃないよ?」
 カシムが乗るメルクリウスは彼の魔力、念動力とリンクしており、属性魔術の応用で障壁を展開できるが、それはあくまでも自機に対してのみ。僚機をカバーするだけの出力は持ち合わせていない。無論、熱への対策は各々に任せるのも一つの選択肢だが。
「……ぜっちゃん……あのドリンク?を僕らにも振舞え」
「ええ!?」
 絶華が扱うチョコレートは、チョコとは名ばかりの漢方薬に等しい。効能に優れる反面、食した者が精神を病むレベルの損傷を味覚に引き起こすのだ。
 そんな代物を明確に求められ、絶華は目を輝かせるとサートゥルヌスの両手を頭上に掲げさせ、渦巻く焦げ茶色の液体を生成し始めた。
「おお!カシムは理解ってくれていたか!では今こそ皆に圧倒的なパワーを進呈しよう!」
「カシムてめぇ!?何考えてやがる!?」
 これがどれだけヤバい代物かを文字通り身をもって知っているさっちゃんは、怒号とも悲鳴ともつかない声を上げるが。
「アポロンソウルリンク開始。ナノマシン起動!」
「あ、そっか!ご主人サマ、あの味覚への攻撃を全部無効化するつもりなんだね☆」
 メルクリウスから医神の威光が放たれて、サートゥルヌスからチョコの瀑布が降り注ぐ。比較的耐性のあるカシムでもできれば口にしたくない代物だが、背に腹は代えられない。
「こ、これで……デバフ無視でいける筈だ!」
 意思を持っているかのように流れ込んで来て、口の中に侵入する焦げ茶色の粘液。それが臓腑へ沈む際に発する苦々しく刺々しい、食文化への冒涜に、油断していたカシムは一瞬意識を手放しかけた。
「カハッ!?おいぜっちゃん!このチョコ僕のUC貫通してきたぞ!?」
「貫通?何を言っているのだカシム!我がぜっちゃんチョコは支援UCだぞ!!」
「希望なんてない希望なんてない希望なんてない……」
 大丈夫なのかと思ったらダメだった為に、さっちゃんは双眸の光を失い、コックピットの片隅で膝を抱えて丸くなり、ブツブツと同じ言葉を繰り返し始めた。
 この悲劇に巻き添えを食った皇・銀静(陰月・f43999)は殺意を迸らせて。
「所詮は屑ガキか……!」
「げぶっ☆叡智皇はやっぱり役立たずだね☆」
「grrrr?」【あ……おじいちゃん(プロトタイプ)が尻尾振っておいでおいでしてる……】
「サリアちゃーん!?早く再起動してー!?」
 グリームニルの補助ヒューマノイド、グリムが青筋浮かべたかと思ったら、機能停止しかけたギガス・ゴライアを叩き起こそうと今度は青ざめる。
 アスクレピオスはあらゆる傷病を癒すが、ぜっちゃんチョコの脅威は身体への悪影響ではなく、『ただひたすらに美味しくない』という点であり、UCによる回避ができないのだ。
 神機乗りが三人(正確には二人と一機)揃って全滅する傍ら、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は味覚への拷問をものともせず、コンソールに点滅するアラートに冷や汗を流す。
「外気温度上昇、自然発火するぞ!?」
 いつもの重量級と異なり、機動力に重きを置いたタイフーンカスタムを球状の力場で包み、上空でぶつかる荷電粒子砲と熱の鎧の鍔迫り合いにより降り注ぐ、プラズマ一歩手前の重金属原子の雨から離脱。荷電粒子に熱エネルギーが詰め込まれて、原子の一つ一つが核兵器もかくやという威力を持って戦場に散らばるのだ。無論、荷電粒子砲の直撃に比べればまだマシかもしれないが、さりとて被弾すればただでは済まない。
 見た目は火の粉のような爆発物の雨から後退したヴィリーは、機体の損耗具合とジェネレーターの稼働状況を照らし合わせて継戦時間にアテをつけながら。
「前回はやられたな、目前の敵だけだと思ってアウル複合索敵システムの出力を上げなかったのが敗因だ。今回は小細工無しで行かんとヤバそうだが……あん?」
 もはやほとんど役に立たないかと思われたサーマルセンサーに、妙な感がある。
「そこら中熱波で全く見えねぇが……天井に穴が開いてんのか?」
 地下にひっそりとたたずむトウゲン。地上と全く同じ小国家がそこにある様は、ラウンズにも見られた国家存亡の危機に復興するための、予備の建造物にも見えた。その直上の天井には、まだら状に温度が低い場所がある。加熱されるだけの天井が存在していないということかもしれないが。
「上か下か、どっちかが本物のトウゲンでどっちかがデコイって可能性も否定はできんが……あそこに穴なり熱に強い建材なりを、あんな散らして用意する意味はなんだ……?」
 どちらにせよ、目視や暗視による確認ができない以上、そこから先は何も分からない。それよりも……。
「おっとお出迎えだ……!」
 戦場を埋めつくす火花と光で視覚情報はほとんど役に立たない。サーマルセンサーで低温存在……敵機の影を捉える事でその姿を追うヴィリーが見たモノは、蠍の形状に蝙蝠の骨格を繋ぎ合わせ、二本に増えた尾の先端に針の代わりに人面を貼り付けたような異形。
 不気味に笑う人面の尾は本体の前方に構えられたまま、天井を駆けずり回り猟兵達を見下ろしている辺り、どうやらこれらは尾ではなく腕であり、こちらに狙いを定めているようだ。
「ファック!こっちからはロクに見えねぇってのに……!」
 炎と光に呑まれて目視叶わず、サーマルセンサーによる温度の違いで何とか敵の位置を捕捉して盾を構え、スリットに銃身を食い込ませる形で狙撃銃を構えて腰を落とすタイフーンカスタム。
 脚を止めた機体目掛けて腕が伸び、盾で受けて撃ち返そうとするヴィリーだったが、腕部装甲に伝わる振動から嫌な予感がして後退。盾を放棄すると。
「おいおいなんの冗談だ……!?」
 打撃か頭突きか、攻撃の分類はさておき、命中した人面の目と口から緑色の結晶が伸び、盾を串刺しにしているではないか。
「ヘヴィタイフーンなら耐えたか……?いや、乗ってないモンの事は考えるな!」
 乗り慣れた重装甲機と異なり、低空飛行で後退しながら狙撃銃を構えるヴィリーだが、盾を投げ捨てて左右の腕で連打されては狙いをつける隙が無い。
「やっかいな能力だな……ってこいつ……スパロ Jのファー ゥムじゃねーか!?」
「や、やばいよー!」
 動きこそ単調だが、凄まじい速度による連撃を見せる敵機にメルシーが青ざめ、カシムはメルクリウスに炎を纏わせて、周囲の熱波よりも低い温度で機体を包むことで熱波への対策を成しながら。
「ムー デュエラー ではラスボスよりヤバイと評判だったようだが!此処ではずたずたにしてやるぞごらぁ!」
 敵が天井に張り付いている為に、高速飛行しようとして。
「ご主人サマ!危ない!!」
「は……?」
 メルシーが機体のコントロールを奪い、機体に纏わせていた炎を前方に向かって射出しながら脚部方向に念動弾を放ち、その反動で機体をムーンサルトさせて突っ込んで来た荷電粒子砲を回避する。
「な……まさか、カグツチが墜とされたのか!?」
 目の前を駆け抜けた光に僚機の撃墜を予感するカシムだが、頭上では今なお強烈な光と熱の拮抗が続いていた。
「撃ちっぱなし!?平定の雷が二機以上あるってのか!?」
「分かんない……でも、さっきの射撃精度からして、『航空機動戦は撃墜される』よ!」
「天井の相手に地べたから撃てと!?」
 飛行能力を封じられ、天井を動き回りながら人面腕で殴り掛かって来る敵を見上げながら動き回り、炎の鎧と荷電粒子砲の余波の火の粉を掻い潜らねばならなくなったメルクリウス。逃げ回る神機を眺めて銀静が目線をグリムへ放る。
「で、あっちはあんな状態だが?」
「ふふふーグリムちゃんは他の巨神に遅れはとらないよ☆叡智皇と違って!叡智皇と違って!!」
 大事な事なのか二回言ったグリムが周囲の熱を吸収し始めるも、敵の人面腕が巨大化して天井を覆い尽くす。
「やべぇ、避け切れねぇ……!」
 いかにメルクリウスが高速で動こうと、そもそも敵の攻撃に当たらない場所が存在しなければ意味がない。
「サリア!」
「Grooooou!!」
「悪いが便乗させてもらう!」
 ギガス・ゴライアが巨大な爪を振るって岩盤を抉り、足元に塹壕を突貫工事。グリームニルが飛び込めば、タイフーンカスタムも滑り込んで来た。サリアも何とか納まるが……。
「くそ、間に合わな……」
 メルクリウスが人面の影に呑み込まれた瞬間。
「メルクリウス……実に、本ッ当に遺憾だが……主様の寛大な御心に感謝しな!」
「すまないなさっちゃん!危ない時、子どもを庇うのは大人の役目なのでな!!」
 ガァン!サートゥルヌスがメルクリウスの背中を蹴り飛ばし、穴の中に叩き込んだ。
「ぜっちゃん!?」
「さっちゃん!?」
 カシムとメルシーに見送られるように、サートゥルヌスは巨大な人面に圧殺され、その内部より無数の棘に串刺しにされてしまった。人面腕が元の大きさに戻れば、そこにはスパークとオイルを噴き出して倒れ伏すサートゥルヌス……しかし。
「何という事だ……その絶望……私は理解っている!」
 その棘は心の闇。幸福な人生を歩む者に、その幸福が失われる絶望を与え生き物として生かしたまま人として殺す、パイロットを狙った対人兵器。ただし……。
「パワーが足りないんだな!ならば!お前にも!圧倒的なパワーを与えよう!」
「おっかしいな……俺、今ムスコ(意味深)を斬り殺された瞬間の記憶がフラッシュバックしたかと思ったら、主様が目ェキラッキラさせてたんだけど……」
「朕も……あの女に頭【OS】を弄り回された屈辱を思い出してたはずだったが、気が付いたら主が謎の光を振りまいておった……」
 絶華は既に、経験済みである。
「おぉ、懐かしきあの時よ!あれはさっちゃんとの出会いの瞬間であったな……」
 かつて、絶華、あるいは彼と同じ名を冠する異なる歴史を歩んだ者は、天命を全うして地獄に堕ちた。本人は世の為人の為と思いながら、幾人もの人、及び人ならざる者共に地獄の責め苦を与えた故に。
「人々に幸福と健康を振りまいていた日々が否定されたかのような苦痛だった……しかし!今なら分かる!アレはさっちゃんという相棒と出会うための試練だったのだと!!」
「……って、言っておるが?」
 ころちゃんに半眼ジト目を向けられたさっちゃんは人差し指を突き合わせて目を逸らし。
「いや、地獄になんか使えそうな奴が来たなって思ったら、コテンパンにされちゃって……」
 経緯はさておき、仮にも神の一柱に名を連ねるサートゥルヌスに生身(?)で精神的損傷を刻みつけたのがこの皇絶華という男である。
 そんな彼は天井からこちらを見下ろす敵機を見つめて。
「うむ……素晴らしき力とパワーを兼ね備えているな!これは……我がぜっちゃんチョコの材料に相応しい!」
「あれ有毒装甲持ってるんですが!?」
 絶華がもはや狂気の領域に片足突っ込んでんじゃねぇかって感想を抱き、さっちゃんがツッコミを入れた。すると今度はハッチを開いてサートゥルヌスの指先でころちゃんをつまんで。
「さぁころちゃん!出番だぞ」
「って朕このままなんですか!?えぇい!こうなればやけくそである!」
 飛んだら撃墜されるため、投げるという手段を取った絶華。なお、ころちゃんが撃墜される可能性がなかったわけではない事に触れてはならない。
「いっけー!!」
「朕の怒りと八つ当たりの鉄拳、受けるがいい!!」
 凄まじい速度で投げ飛ばされたころちゃん。しかし、敵機はひょいっと片側の脚を上げて回避。そのまま天井を貫通したころちゃんはどこか遠くへ飛んでいった……。
「今だ!」
 その瞬間、タイフーンカスタムが銃口を向ける。狙うは敵機を天井に固定している脚!
「気色悪い動きしやがって……だが、蜘蛛みてぇに糸で粘着してねぇなら……!」
 ころちゃんが天井の一部に穴をあけ、外気が供給された為に戦場はより激しく燃え盛る。その分炎の揺らめきも大きくなり、敵の姿が見えた瞬間をヴィリーは逃さない。
「落ちろ、ムシケラ!」
 トリガーキーと連動してタイフーンカスタムが撃鉄を引く。撃ちだされた弾丸は真っ直ぐ敵機の脚部を狙うが、自分に照準が向けられている事に気づいた敵機はすぐさま飛び退いて回避するも。
「生憎、貫通弾にはこういう使い方もあるんだ」
 天井に着弾すると同時に弾丸が潰れ、扁平に伸びながら岩盤の内部へ潜り込む。内部が空洞化した特殊な弾丸は、命中時に向こう側へ突き抜けるのではなく、着弾地点の内側を食い破るのだ。
 これがキャバリアの装甲であれば内側から抉り抜かれるだけだが、そこかしこに穴が開いた岩盤に命中すれば……。
「ッ!?」
 強度の限界を超えて、亀裂を走らせて崩落する。
「サリア!」
「Grrrrrr!!」
 天井から岩塊諸共撃ち落された敵機をサリアの尾の一撃が叩き伏せ、体勢を立て直す前に踏みつけて押さえ込む。そこへグリームニルが吸引した熱エネルギーを弾幕として展開。サリアがパルスシールドを張る傍ら敵機も人面腕で防御に出るが、こちらはデコイ。
 防御に回った腕の目前まで踏み込んがグリームニルが槍を突き刺して片方の人面腕を敵機本体に磔にすると、もう片方を魔剣を振るい刎ね飛ばした。
 無防備になった胴体の中心に、大鎌の切っ先が突き刺さると。
「手こずらせてくれやがって……!」
「これからくる相手の前座としては悪くなかったぞ☆」
 メルクリウスの鎌が機体を両断し、沈黙させるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『フィールドランナー』

POW   :    パターンA 全弾発射
【重狙撃砲、連装機関砲、両肩腕武装の一斉射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    パターンB 連携攻撃
【装甲及び半戦車形態の機動力活用】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【仲間と共に撹乱しつつ重狙撃砲】で攻撃する。
WIZ   :    パターンC 最後の手段
【胴体格納兵器による自爆を目的とした】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【事前に武器を配布した仲間】の協力があれば威力が倍増する。

イラスト:FMI

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 敵機の沈黙を確認した猟兵達だったが、続けざまに岩盤を吹き飛ばして黒い戦車の群れが姿を現した。機体を畳み、戦車の形状をしていたキャバリアは胴体を跳ね起こして二脚型に変形すると、一斉に砲撃を仕掛けてくる。
「おいおいおいおい今度は何だ!?」
「戦車軍団だね☆」
「見れば分かる……既に囲まれているな」
「空に逃げる……と撃墜されそうだね☆地上にいても巨神同士?の鍔迫り合いの余波で焼かれそうだけど」
「この数が相手では、単純な技術だけでは蜂の巣にされそうだな。ここはやはり圧倒的パ……」
「もっと現実を見ましょう!?これ本当に全滅しますよ!?」
「要するに、技能だの何だのでごまかしが効く状況ではないということだろう!?」
「お前等くっちゃべってないで構えろ!考えるより先に動け!力押しでどうにかできる相手じゃねぇ……!」

※戦場には触れれば装甲が吹き飛ぶ火の粉が降り注ぎ、高速機動を仕掛けると荷電粒子砲で抹殺され、技能やUCでゴリ押ししようとすると数の暴力で圧殺されます。戦力差を意識した立ち回りを求められるでしょう。次回執筆は十四日。当日十六時までにプレくれると嬉しいな!
ヴィリー・フランツ
心情:クソ!装備の策定をしくったか?いや、あの鈍亀じゃこの原初の炎は避けられん、何とか凌ぐしかねぇ!
手段:盾を初っ端から損失したのは想定外だ、余裕が無くなったぞ!
兎に角後退だ、全員で遮蔽物に隠れながら反撃するぞ!俺も両肩のショルダーAAガンを乱射しながら援護する。回避は低空を動き回るしかねぇ!
だがコレじゃジリ貧だ‥一か八か、生き埋めになる可能性も高いが、最大威力のUCを誰かぶっ放すしかねぇか?こっちは援護に徹する、敵の攻撃を阻害する弾幕が必要ならRS一六式自動騎兵歩槍に持ち替えてショルダーAAガンと一緒に撃つし、狙撃で敵の武装を壊すならヤグアルⅤを使う、使える手段は何でも使うぞ。


カシム・ディーン
おいこらぁ!力押しでどうにかとうか相手が力押しじゃねぇこれ!?
「こうなったら幼女祭…」
ダメに決まってるだろ!焼かれて終わりだぼけぇ!
【情報収集・視力・戦闘知識】
そもそも敵だって此方と同じ状況な筈
なら灼熱対策をしている筈だ
敵の高熱対策を解析
陣形や動きと戦力を正確に把握して仲間にも情報共有
【属性攻撃・弾幕・念動力・空中戦】
高速で飛び回りながら念動光弾を乱射して敵を足止めして
UC発動
属性は炎
ただでさえ熱々だからな…このまま灼熱に飲まれて散れよやぁ!
どうも自爆兵器も持ってようだからそのまま誘爆させてやる!
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
距離を詰めて鎌剣で切り刻み胴体格納兵器を掴んで敵にぶん投げる!


皇・絶華
おお…敵が増えてきたなさっちゃん
「この状況で物量とかずるいぞこらぁ!つか…この荷電粒子砲…巨神兵器とは別に飛んでくる…あ…もしかして…あのクソ野郎か…!」
知ってるのかさっちゃん!?
「多分主様も知ってる奴だ!彼奴だったらぶち殺す!!」(激切れ
【戦闘知識】
敵陣の陣形と動きを解析
【念動力・弾幕・空中機動】
低空を飛び回り念動光弾を叩き込みながら
【二回攻撃・切断・貫通攻撃】
鎌剣による連続斬撃
空から落下してきたころちゃんもパンチ☆
「朕ってばお星様が見えてたぞ!」
おお、ころちゃんもきたならこれだな!
UC発動
ころちゃんを飛ばし弾丸を乱射
光速の蹂躙
自分も突撃
「「ぐわーっ!」」
これぞ叡智溢れる戦略というものだな!


皇・銀静
機神搭乗
サリア騎乗
…今度は物量か
全く面倒くさい
「カグツチ君も頑張ってる様だね☆」
【属性攻撃】
炎をグリムとサリアに付与
熱波に対する耐性とする
【戦闘知識】
敵機群の動きと攻撃の癖を把握
【念動力・属性攻撃・オーラ防御・弾幕】
オーラに炎を付与して火炎耐性を継続
念動光弾と荷電粒子砲で敵を薙ぎ払う
【二回攻撃・切断・功夫】
近づく敵は剣で切り刻み槍で串刺しに

何方にせよ物量でねじ伏せる戦略なら…サリア…お前の本質を見せる時だ
「Grrrr?」(ぼくの本質
イザリスから聞いたが…お前の力は戦略を潰す不条理らしいからな
「大丈夫☆グリムちゃんも手伝うよ☆」
【砲撃・蹂躙】
UC発動
敵の密集地点に戦略級荷電粒子砲発射…!


皇・弐奈
描写から弐奈は集団戦とは別にカグツチ様の中で敵巨神兵器と戦ってると思ったのでその想定で出します
違ったらすみません

下手に他の猟兵の手助けに行くとこちらがやられるだろう。向こうも気になるがこちらに集中しなければ。

こちらに注意を向けさせるのと情報収集のために祈りやカグツチ様の通信機能で巨神兵器へ交信を試みる。
呪詛と【【気合い耐え】LV1000】で精神汚染などがあった場合に少しでも対処出来るよう準備。
能力から相手は破壊されたはずのタケミカヅチ様だと予想しているが、なぜアシハラへ攻撃を行ったのか?推測もできるけどその理由を確認したい。

【ヨモツヨリナガレデル】を同時使用で自分の生存率を高める
※アレンジ歓迎


桃枝・重吾
アドリブ連携歓迎
梵天丸搭乗
遅れてきたのでUCの盾を構えて荷電粒子砲を防ぎつつダイレクトエントリーします

■心情
【マスター、俺は死にたくないんですが?】

この盾はね、ソリッド系のシールドじゃなくて、
ワープゲートの応用で次元の層をずらして兎に角どんなエネルギーをも無差別に何処でもないに飛ばすから、こう言う突入時には無類の強さを誇るんだよ。
【つまり流れ弾とかランダムに飛んでくるのにはべらぼうに弱いんですね】

■行動
両手に大盾状態で前進を基本に味方に一息つく猶予を作ることに専念します。
余裕があるならアブホランスウィールの重力糸での信管の作動や砲身の方向転換を試みます。

この盾、使い過ぎると熱的死早まるんだよね



「おお……敵が増えてきたなさっちゃん」
「この状況で物量とかずるいぞこらぁ!」
 ゾロゾロと出てきた戦車軍を前にどこか呑気な絶華に対し、さっちゃんが敵軍に向けていちゃもんをつけた途端に、戦場をなぞるようにして荷電粒子砲が駆けぬける。
「さっちゃん!回避!!」
「分かってますよ!!」
 友軍を巻き込むのも構わず、真っ赤な直線が刻まれた戦場は岩石が溶け、水飛沫を上げた。熱線に対して直角方向に運動し、躱したサートゥルヌスだが、さっちゃんの眉間にしわが寄る。
「確かに高威力だが……アシハラを吹き飛ばした時の一撃にしては火力不足過ぎる……つか、この荷電粒子砲、巨神兵器とは別に飛んできてる?」
 直撃を貰えば神機と言えど、機能停止は避けられない一撃。しかし、それにしてもかつて放たれた平定の雷は『戦場そのものを塗り潰す』砲撃だったはずだ。もし、あの一撃が放たれていたなら、こうして避ける事すら叶わなかっただろう。
「あ……もしかして」
 そもそも、キャバリアを一撃で粉砕するほどの荷電粒子砲はそう簡単に運用できるものではない。それをこうも軽々しく連射するばかりか、高速機動を見せたメルクリウスを正確に狙撃して見せるなど、もはや御伽噺の領域に片足を突っ込んでいる。だが、だからこそ、さっちゃんの知っている『神話』と一致した。
「あのクソ野郎か……!」
「知ってるのかさっちゃん!?」
「多分主様も知ってる奴だ!彼奴だったらぶち殺す!!」
 サートゥルヌスが敵の砲撃の正体に見当をつけた頃、メルクリウスは地上スレスレを低空飛行し、砲弾の雨を掻い潜っていた。
「おいこらぁ!力押しでどうにかというか、相手が力押しじゃねぇこれ!?」
 カシムがブチ切れるのも無理はない。ただでさえ戦場に立っているだけで機体は上空の巨神兵器のぶつかり合いの余波を受け、損耗し続けているというのに、数に物を言わせて飽和攻撃を仕掛けられては、直撃弾を回避したところで砲弾の破片や砕けた岩盤の飛散物までは防げない。
「こうなったら幼女祭……」
「ダメに決まってるだろ!焼かれて終わりだぼけぇ!」
 数の暴力に数の暴力で応えようとしたメルシーを怒鳴りつけ、カシムはハッとした。
「いや、そうだ。この戦場にいる以上、あっちだって条件は同じはず……あいつら、こんな状況でどうやって動いてるんだ?」
 猟兵達の機体が灼熱の戦場に悲鳴を上げる中、敵機は何食わぬ顔で砲撃を続け、メルクリウス目掛けて吶喊してくる。何の対策もしていなければ、装甲が熔け落ちてしまうはずだ。
 敵の突進に合わせて大鎌で地面を抉り、粉塵を巻き上げて姿をくらましたメルクリウスが敵機の横をすり抜け様に、至近距離でソナーを投げる。返って来た反応は……。
「ウソだろ……こいつら、自分達が熔けるのも構わず戦ってやがる!!」
 突進を躱された敵機は装甲の耐久限界を迎えたのだろう。徐々に動きが鈍り、やがて搭載されていた武装の弾薬に引火したのか、大爆発を起こして鉄屑に変わってしまった。
「そんな……この人達、生きて帰る事を想定してないの……?」
「そーだった……これがトウゲンのやり方だったなぁ……!」
 無尽蔵とも思える兵士と兵器。それを使い捨てにする波状攻撃こそがトウゲンの十八番である。戦場に機体が耐えられないというのなら、その最期を迎える際にほんのわずかでも猟兵を巻き込む可能性を見越して火薬兵器を搭載し、一機一機を爆弾として運用しているのだ。
「怒るのも貶すのも後にしろ!一発でも直撃を貰ったら、そこからあっという間に熔けて装甲がオシャカだぞ!!」
 メルシーが口元を覆い、カシムが奥歯を噛めばヴィリーから怒号が飛ぶ。常の愛機と異なり機動力を持ったタイフーンカスタムはブースターによるショートジャンプを繰り返し、人間臭いバックステップを見せて砲弾の雨を躱しながら、上空から降り注ぐ火の粉を警戒。目立った損害こそないものの、ジリジリと焼かれる装甲にイエローランプが点灯したコンソールに傭兵は舌を鳴らす。
「クソ!装備の策定をしくったか?いや、あの鈍亀じゃこの原初の炎は避けられん、何とか凌ぐしかねぇ!」
 ヘヴィタイフーンなら多少の被弾などものともしなかっただろう。しかし、機動力が足りず降り注ぐ火の粉を浴びて、物言わぬ棺桶と化していたかもしれない。
 吹き荒れる炎と陽炎を突っ切って、後退するタイフーンカスタムの目の前に飛び出して来たのは重戦車。キャタピラを畳んで脚部を構築しながら起き上がったオーバーフレームが、腕を形成して肩の武装を起こしながら蕾のような腕部を開き、機関砲の銃身が回転し始める。マズルフラッシュが視界を覆うより先に、後方に向けていたブースターを前傾させて敵機に真正面からぶつかると、押し付けたアサルトライフルの引鉄を引いた。
 貫通性の高い弾丸をまとめて叩き込み、装甲諸共コアをぶち抜いてブリキ人形に成り果てた残骸を蹴り飛ばして、思い出したようにヴィリーの心臓が早鐘を打つ。
「盾を初っ端から損失したのは想定外だ、余裕が無くなったぞ!兎に角後退だ、全員で遮蔽物に隠れながら反撃するぞ!」
「遮蔽物!?そんなのどこにあるんだよ!?」
「ビュンビュン飛び回ってたお前さんは忘れてたかもしれねぇが、ここには天井ってもんがあるんだよ!!」
 怒鳴り返したカシムに対して、ヴィリーが弾丸を撃ち込んだのは天井。そこら中穴だらけだった岩盤は容易く崩落し、戦場に降り注ぐ。散らばった岩の陰に飛び込んで、背中を預けたタイフーンカスタムは残弾がゼロになる前に軽くなったマガジンを捨て、新しい弾倉を叩き込むと。
「だが、これも時間稼ぎにしかならねぇ。このままじゃジリ貧だ……一か八か、生き埋めになる可能性も高いが、最大威力のUCを誰かぶっ放すしかねぇか?」
「そういう事なら任せてもらおう」
 飛来する砲弾に削られていく岩塊が砕け散る前に、別の岩陰に飛び込みながらコアユニットに徹甲弾を撃ち込んだヴィリーに声をかけたのは、銀静。
「今度は物量で押し切ろうなどと、全く面倒な敵だと思っていたところだ」
 グリームニルがサリアの背に跨り、手綱を握るようにして魔力を繋ぐ。
「この手の戦略を使う輩はコイツの……サリアの本質を見せるのにちょうどいい」
「Grrrr?」
 サリア本人が首を傾げているが、銀静は微かに目を細め。
「イザリスから聞いたが……お前の力は戦略を潰す不条理らしいからな」
「大丈夫☆グリムちゃんも手伝うよ☆」
 ギガス・ゴライアの巨躯を動かす為に、その動力炉もまた通常の機体とは比べ物にならない出力を誇る。そこへグリームニルの魔力を流し込み、過出力状態にすることで発生するエネルギーを背部荷電粒子砲へ送り込み、金属粒子に電荷をかけて『機体内部へ戻す』。
 両脚のクローを地面に突き刺し機体を固定。アンカーも打ち込んで重心を落とし、尾を真っ直ぐに伸ばして機体を地面と水平にして背部ブースターが淡く火を灯す。両手を機体にピタリを張り付けて、喉から腹部にかけた装甲版の隙間から白煙と稲光を吐き始めたサリアに、ヴィリーが口笛を吹いた。
「中々派手なモン持ってたみたいだな。援護はいるかい?」
「僕もグリムも、この『じゃじゃ馬』の制御で手一杯になる。自衛くらいは何とでもなるが、いかんせんこうも炎と煙が立ち込めていては狙いがつけられない」
「よーするに、視界を確保してくれれば後はこっちでぜーんぶ吹き飛ばしちゃうよ☆」
「言ったな陰キャ野郎!しくじったら許さねーぞ!」
「外したらめっちゃ笑いものにしてやるんだゾ☆」
 メルクリウスが地面に向かって念動弾をばら撒き、粉塵を巻き上げ目くらまし。戦車群が構わず突き抜けようとした先に待ち構えていた物は、無数の炎の矢をまとめてアームボウに番えたメルクリウスであり。
「ただでさえ熱々だからな……このまま灼熱に飲まれて散れやぁ!」
「ご主人サマ、はい!ここにチューモク☆」
 メルシーがマルチロックオンして見せたのは、敵機オーバーフレームの変形機構の下部。上半身に武装が集中している為、そこには弾薬を補充するための装填機構があった。
「どうも自爆兵器も持ってるようだから、そのまま誘爆させてやる!」
 一射百中。ばら撒かれた炎の矢は弾薬が詰められた装甲に突き刺さり、敵機を内部から吹き飛ばしてしまう。敵の軍勢が炎の壁と化した様を、銀静は鼻で笑い。
「口ほど程度は仕事をするようだ」
「カグツチ君も頑張ってるみたいだね☆こっちも負けてられないゾ☆」
「Grrr……?」
 エネルギーインゴットの変換と荷電粒子の生成、濃縮にあたり、身動きの取れないサリアが視線だけ向けた上空。光と炎のぶつかり合いの最中にあったのは、アシハラが巨神の一柱、カグツチ。
「下手に他の猟兵の手助けに行くとこちらがやられるだろう。向こうも気になるがこちらに集中しなければ……」
「お姉さん!もっと集中して!壱号と弐号の出力がずれてる!!」
 眼下の連携に加わる余力がない事に歯噛みするパイロット、皇・弐奈(イノセントの鬼道衆・f43250)をカグツチが一喝。この機体には七つの発熱機関が搭載されており、それらの出力をコントロールする事で荷電粒子砲『平定の雷』を真正面から受け止めるだけでなく、消滅させて周囲への被害を抑えているのだ。それでも余波を撒き散らしてしまう事に、弐奈はやや悔し気ではあったが。
「しかし、何故タケミカヅチ様はあのような事を……?」
 彼女にとっての、大きな疑問。巨神機体は強力な兵器と同時に自我を持ち合わせており、自らが認めた搭乗者にしか力を貸さない。だというのに、先の一件ではタケミカヅチの荷電粒子砲がアシハラという国が存在した土地そのものを消し飛ばしてしまった。
「カグツチ様、このような時分に申し訳ございませんが、タケミカヅチ様と交信は図れませんか?」
「やってみたけど、無理だった。多分、タケミカヅチは完全に死んじゃったんだと思う……残骸だけ掻き集めて、兵装だけ復元したんじゃないかな?」
「なんと……しかし、ならば誰がこの砲撃を……?」
「そこが怪しいんだよ」
 少し低くなったカグツチの声に、弐奈の眉間にしわが寄る。
「お姉さんが僕のコントロールに物凄く気を使うように、平定の雷を暴発させずに使うにはとんでもない演算能力と、武人の勘?みたいなものが必要なんだ。正直、僕はそれが実行できるだけの機体をタケミカヅチしか知らないよ」
「にもかかわらず、相手は平然と運用している……?まさか、タケミカヅチ様は自らの意思で敵につき、こちらからの交信を拒んでおられるのか……?」
 そうでなければ説明がつかない現状に、弐奈は苦渋の表情を浮かべるが彼女の思考は鳴り響く警報に突き破られた。
 オーバーヒートのアラートが響く発熱機関『焔珠』の壱号機、弐号機からの放熱を、砲撃として叩き込むことで荷電粒子砲を掻き消した弐奈だったが、休む間もなく次の砲撃が飛んできて参号機、肆号機で対応。
「くっ、絶え間ない砲撃であるな……あちらに稼働限界はないのですか!?」
「あるよ!ただ、タケミカヅチの平定の雷は二機あるから、片方撃って片方を冷却してるんだと思う!!本気になったら二機同時運用してくるんじゃないかな!!」
「なんですと!?」
 タケミカヅチの半分の出力を相手にいっぱいいっぱいになっている事が明かされた弐奈だが、既に彼女の肌はカグツチ自身の発する熱に当てられて、チリチリと痛覚を刺激するほどの熱を宿している。今以上の砲撃を叩き込まれれば、捌き切れる保証はない。
「是非も無し……カグツチ様!伍号機を使います!!」
「えぇ!?お姉さんの体がもたないよ!?」
「地獄の業火に比べれば、何ともありませぬ!」
 三機の発熱機関を同時運用し、荷電粒子砲を相殺するどころか押し返して着弾地点に火柱を上げたカグツチだが、弐奈の体は皮膚の一部が炭化し、滲み出る血に押し流されて溶けだしているかのような有様だが。
「なんとも皮肉な話よ……不老不死たる我が、黄泉の主のような有様になろうとは……!」
 荷電粒子砲が途絶えた隙に弐奈が両の手を合わせ、追従してカグツチが柏手を響かせた。
「死なば諸共、とは言わぬ……死してなお連れていくぞ……!」
 ゾワリ。命ある者の背に、抗えぬ悪寒が駆けぬけていく。戦場はなおも煌々と照らす炎に包まれているはずなのに、体の芯から冷えるような気配。
 真っ赤に燃えていたはずのカグツチの炎は紫炎に染まり、発熱機関は不気味な光を放ち始める……。
「お姉さん、来るよ!構えて!!」
「御意!」
 再び戦場を駆ける閃光をカグツチが受け止めて、戦場に禍々しい火花が降り注ぐ中、上空よりの飛来物が一つ。
「おぉ、帰って来たのだなころちゃん!」
「朕ってばお星様が見えてたぞ!」
 サートゥルヌスがころちゃんを受け止めると、彼女は小さく丸まって震えていたが。
「ころちゃんが来た今、合体技を使うしかあるまい!」
「クロノスチャクラム全機展開、連結確認。タイムドライバ、起動まで三、二、一……」
「……え?」
 一人、置いてけぼりのころちゃん。突然ふわっと投げられたかと思ったら。
「さぁ、行くぞ!三位一体の必殺技!!」
「コロニス……悪く思うなよ……」
「え?え?え?」
 困惑したままのころちゃんの背中に、サートゥルヌスの鉄拳が命中。
「一気に突き抜ける!!」
「「ぐわーっ!」」
 並んだ円環を突き抜けて、加速したサートゥルヌスは光速に至るがその分機体にかかるGの負荷も凄まじい。さっちゃんところちゃんは悲鳴を上げ、押しつぶされかけながらも円環を突き抜けると。
「いっけー!!」
「朕をなんだと思っているんですかーっ!?」
 サートゥルヌスの腕をカタパルト代わりに、ころちゃんを発射。戦場のど真ん中に撃ち込まれたころちゃんが巻き起こす衝撃波は敵も味方も吹き飛ばし、辺り一面の炎を薙ぎ払う。
「捉えた!」
「ターゲットロック、行けるね?サリアちゃん!」
「Gruaaaaaa!!」
 射線が通ったギガス・ゴライアは大きく顎を開き、内包されていた砲門を晒すが、チカッ。
「マズい……!」
 こちらから射線が通るという事は、相手もまた狙撃できるという事。サリアよりも先に敵の荷電粒子砲が放たれ……。
「梵ちゃん、このまま突っ込んで!」
「マスター、俺は死にたくないんですが?」
 桃枝・重吾(スペースデコトラ使いXL・f14213)が梵天丸を駆り、射線に飛び込んだ。防衛機構を持たない梵天丸だが、その背後から追走してきた星降丸がドッキング。梵天丸の肩から腕を覆い、両腕を重ねる事で巨大な盾となった。
「うぉおおお!?意外と耐えてる!?」
「この盾はね、ソリッド系のシールドじゃなくて、ワープゲートの応用で次元の層をずらして兎に角どんなエネルギーをも無差別に何処でもない場所に飛ばすから、こう言う突入時には無類の強さを誇るんだよ」
 などと、直撃すれば機体ごと消し飛ぶはずだった砲撃を受け止めて見せた星降丸に感動した梵ちゃんに重吾が説明すると、梵天丸、ある事に気づく。
「つまり流れ弾とか、ランダムに飛んでくるのにはべらぼうに弱いんですね」
 ぺとっ、ジュワァ……。
「あっぢぢぢぢぢぢ!?」
 上空で荷電粒子砲を抑えるカグツチがまき散らす火の粉を被った梵天丸は装甲が熔解し始め、このままでは耐えきる前に環境ダメージで撃墜されかねないのだが。
「梵ちゃん、我慢!男の子でしょ!!」
「キャバリアの俺に根性論を説くのはやめてもらえませんかねぇ!?」
 梵天丸が動くとグリームニルとサリアがまとめて消し飛ばされるため、重吾はポジションを維持。しかし、コックピットに響き始めるアラートに顔をしかめて。
「この盾、使い過ぎると熱的死早まるんだよね」
「マスター!?なんでこの状況で俺の心が死にかねない事をボソッと溢すんですか!?」
 悲痛な声を上げる梵天丸に、重吾は「あはは」と笑いながら。
「まぁ、それ以前に身動きできない以上、狙われたらお手上げなんだけどね」
「だったら何で荷電粒子砲の前にダイレクトエントリーしたんですかぁあああ!?」
 周囲から向けられる戦車群の砲門に、梵天丸が人の身であればサーッと血の気を引かせていたところだろうが。
「そのまま押さえとけ!露払いはこっちでやる!!」
「こいつら自体がグレネードみたいなもんなんだろ?投げ返してやるよ!!」
 タイフーンカスタムが滑り込んできて両肩の対空砲から弾幕をばら撒き牽制、怯んだ隙に砲門の稼働部位にアサルトライフルを叩き込み、武器を破壊すると機体の間をスラロームするメルクリウスがオーバーフレームを刈り取り、大鎌の柄で自爆用の格納兵器を弾き飛ばして念動弾で撃ち抜き、起爆。その間にサリアのエネルギー充填が完了。
「目標、敵軍中心!発射準備良し!」
「さぁ、お前の咆哮を見せてやれ!!」
「――ッ!!」
 背部に搭載した二門の荷電粒子砲。そこから放たれるはずだった荷電粒子を濃縮して、インゴット反応炉から直に供給されるエネルギーと魔力の混合物で加速させる。狙いも制御もあったものではない一撃を、口腔内に備えられた砲身から放つことで機体全体で押さえつけ、強引に命中させる。
 砲弾と言った方が正確な粒子の塊が着弾した瞬間、周囲の物質が消滅してできた空白を大気が埋めようと殺到。周辺の物体を吸引するが、暴走するエネルギーに吹っ飛ばされて暴風と衝撃が全てを薙ぎ払う。
 後に残されたのは巨大なクレーターと、舐め尽くされたような更地だけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『天雷神機『ユピテル』』

POW   :    神敵撃滅機構『神の拳』
【追尾する敵Lv×100発のロケットパンチ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【パンチの集中攻撃から合体しての巨大鉄拳】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    BXS万能攻防雷撃兵装『ケラウノス』
【ケラウノスより放たれる雷撃】が命中した敵を【全方位に放たれるプラズマスパーク】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[全方位に放たれるプラズマスパーク]で受け止め[ケラウノスより放たれる雷撃]で反撃する。
WIZ   :    絶対秩序維持機構『天空の神』
【殲禍炎剣へ限定的なアクセスを行う事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【殲禍炎剣による回避不能の砲撃】で攻撃する。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテラ・ウィンディアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 敵軍を一掃し、戦場をまっさらにした猟兵達。迎撃するように、トウゲンから飛来したのは一機のキャバリア。
「何処の羽虫が騒いでいるのかと思えば……」
 黄金の機体は、一部のキャバリアを見て嘆きの声を漏らした。
「無様……なんと無様な……神機の名が泣いているぞ……」
 機体の名を、天雷神機『ユピテル』。周囲に謎の砲台を浮遊させたそれは、見下した視線を向けて。
「人間などという脆弱な種族の手を取ったが為に、貴様らの性能はその程度しか発揮できないのだろう?いかに優れたUCだろうと、いかに磨いた技術であろうと、それを扱う担い手が劣等種ではたかが知れている……逆だ、我々神機が劣等種共を支配する事でこそ、この世は更なる発展を遂げるのだ」
 神機の一柱として名を連ねる機体は、猟兵と共にある同族に、二門の荷電粒子砲をワイヤーでつないだヌンチャク染みた武装を構え。
「せめてもの情けだ。神機の恥さらしとして後世に残らぬよう、欠片一つ残さず消し去ってくれる……!」


※敵は通常攻撃とは別に『平定の雷』や謎の荷電粒子砲をぶっ放して来ます。更に戦闘を長引かせると平定の雷に十分なエネルギーが充填され、一部の猟兵が目撃した『国家一つを消し飛ばした一撃』が放たれ全滅するでしょう。ついでに今回の敵さんはやたら性能が高く、キャバリアのスペックや猟兵の能力ではまず敵いません。人間の意地というモノを見せつけてやりましょう。難易度がおかしい?ナンノコトカナー?
 次回執筆は十五日の予定。当日の二十一時くらいまでにプレくれると嬉しいな!
皇・絶華
神機の主発動中
「やっぱりてめーかユピテルぅ!何度も沸き腐りやがって…!この俺にぶち殺され過ぎて癖になったかこの…ど腐れ愚息がぁ!グレた不良息子は躾ねぇとなぁ!タルタロスに叩き落として反省させてやるぞごらぁ!」
「なんとユピテル様だと!?確かにあの方は殲禍炎剣も限定制御できる権能があるが…!」
おお、さっちゃんもやる気のようだな?
【戦闘知識】
過去に戦った記録と今の状態の照合
ヌンチャクの性質と動きの癖を分析

「主様!ここは俺の力を使ってください!たかが空のポンコツ衛星玩具にしてイキったカスを解らせてやります!」
【空中機動・弾幕・念動力】
UC発動

超高速で飛び回りながら念動光弾を叩き込みつつ転移も繰返

さっちゃん
他の神機とも合わせるぞ
タイマンでは厳しそうだからな
何、相手が強かろうと奴は今は一人
ならやれるさ
ケルベロスブレイドの時代では茶飯事だったとも

【二回攻撃・切断・爆破】
「てめーの玩具共々ぶった斬る!」
次元切断でヌンチャクもユピテルも狙いつつ仲間達と息を合わせ連携するように立回

戦闘後
可能ならトウゲン調査


桃枝・重吾
アドリブ連携歓迎
使用UC・ライガーブレイブ

■心情
うーん、あの強化具合、コアとか色々取り込んだとしても、
トウゲンクオリティを考えると『使い捨て』かな?
【現実でチートをチートで殴って来ましたね】
どんな詐術かわかればトウゲンの底も見えるかな?

■UCははじめから
よし、ここに来る前に書かされた申請、通った!

丁度ヴィリーさんとかコロちゃんとか必要だろうし。皆にこの盾渡すのにセンサーとか駆使して視界に収めるのに集中。
仕様的に、カシムさん、ブチギレそう?
【マニュアル読みました、本来はお互いに死角を補う軍団用装備です。
殴ればチャージしてるエネルギーも少しか散るみたいです。
後、使いすぎたら死ぬのはこの宇宙です】


皇・銀静
機神搭乗
サリア騎乗

「主ー☆ユピテル様だよ☆」
あー…あの時戦った奴だが…出力が上がってる上にパワーアップしてるなこれ

「あは☆アーレス大陸でアーレス君に無様に潰されたどスケベクソ野郎が笑える事言ってるよ☆君の時代なんてとっくに終わってるんだよ☆もう鋳潰されて仏像になっちゃえ☆後は第三世代主神機たるグリムちゃんが人類を導くからさ☆」
お前なんぞに任せてたまるかぼんくらロボ共
「ちょ!?グリムちゃんまで!?」

戯れ言は終わったか鉄屑?お前も巨神っぽいしな
イザリスの依頼を果たすとしよう
サリア…巨神を潰す最新鋭の力を見せてもらうぞ?
「grrrrrraa!!」(解った!ぼくも負けない!)

UC発動中
ギガスゴライア出撃継続

【戦闘知識】
敵の能力と状況把握
【空中戦・念動力・弾幕】
極・戦艦斬り発動
超高速で飛び念動光弾を叩き込みヌンチャクも攻撃
【二回攻撃・リミットブレイク・功夫】
仲間やサリアと共に息を合わせ爪や魔剣や槍で切裂
【砲撃・属性攻撃・切断】
距離をおけば
次元切断でユピテルを追い詰
神・デストラクションバスター発射!


ヴィリー・フランツ
心情:来やがったな、狂った人工知能風情が吠えるじゃねぇか、二度と夜迷い事を叩けないようデリートしてやる!

手段:「次弾発射までの猶予はどれくらいだ?」
RS一六式自動騎兵歩槍に【指向性EMP発振弾頭】を装填、神機だとか大層な事を言っても実際はAI制御の無人機に過ぎん、ショルダーAAガンを撃ちながら奴に接近、弾幕に紛れて本命のライフルからEMP弾で奴のAIコアをサージ電流で焼いてやる!
最悪、僅かな生還の可能性に賭け他の猟兵の為に捨て駒になる必要もあるだろう。

敵のロケットパンチはキャバリアスラスターを全開にしジグザグ飛行で回避を試みる、バリアもあるがアレは念の為だ、ダブル荷電粒子砲はあくまで後方だから集中して連発出来ただけで、視認距離での戦闘なら他の猟兵の攻撃もある、それに合わせて飛ぶぞ。
おい❘カグヅチ《クソガキ》、攻撃のやり方はもう完璧だよな?タイミングはお前に任せる、こっちはフォートレスアーマー+サブジェネレーターの出力全開にして死ぬ気で援護する!お前は取っておきの一撃を食らわせてやれ!!


皇・弐奈
呪術において見立てる事、模倣する事は類感呪術と言い呪いの力を高めます。
先程自身で言った通りカグツチ様の炎に焼かれ、黄泉の力も扱うこの状況は黄泉の主『伊邪那美命』と見立てる事が出来なくもない。

つまり弐奈は呪術で超強化状態になっていると背後霊的には言い張ります。

【【気合い耐え】LV1000】で『焔珠』をフル稼働させ、平定の雷に対処を続け味方のカバーを続ける。

制限時間がある為、周りとの連携・様子を見てココぞの時を探してから【ヨモツヨリオニキタル】を同時使用。
今ならば全力の黄泉の力をカグツチ様に乗せれる事が出来る!

※アレンジ歓迎


カシム・ディーン
UC継続

またおめーかよドスケベカス野郎
「きっとイヨちゃんも狙ってるしカグツチ君の尻も狙ってるよ☆」
アーレス大陸でもやってる事はド屑だったもんなぁ
「まぁ別個体かもしれないけどね☆それに…何時ものユピテル様以上にスペックが上がってるぞ☆」
…敵わねーってなら…全力全開尽くすしかねーか
「……愚かですねユピテル。我ら神機は本来「人類を救う為」に生み出されたモノ。骸の海に沈み本来の在り方も忘れましたか。ならば…貴方同様の十二神機が一角として…次代の主神機として…貴方に引導を渡しましょう。」

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機と謎の砲台
平定の雷
それらの動きと能力を正確に分析し把握
情報共有

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽

【空中戦・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
速足で駆ける者発動!
超絶速度で飛びながら鎌剣による連続斬撃と共にヌンチャクやら武装の強奪狙
【弾幕・念動光弾】
念動光弾と共に竜眼魔弾発動
土属性の誘導セメント弾を撃ち込みその動きの封じに!
陰キャ野郎!いけ!!



「やっぱりてめーかユピテルぅ!何度も沸き腐りやがって……!この俺にぶち殺され過ぎて癖になったかこの……ど腐れ愚息がぁ!グレた不良息子は躾ねぇとなぁ!タルタロスに叩き落として反省させてやるぞごらぁ!」
「なんとユピテル様だと!?確かにあの方は殲禍炎剣も限定制御できる権能があるが……!」
「おお、さっちゃんもやる気のようだな?」
 敵の姿を見るなり、さっちゃんは怒号を上げて、ころちゃんは目を見開いた。対するユピテルは首を傾げ。
「貴様、まさかサートゥルヌスか?人間に支配され、そのような姿に成り果ててまで生き恥を晒しておいて、俺様を愚息だと?笑わせるな。貴様こそタマも魂も削ぎ落とされた生ゴミではないか」
 ぷっつーん。ブチ切れたらしいさっちゃんは微笑みながら口の端をひくつかせて。
「主様!ここは俺の力を使ってください!たかが空のポンコツ衛星玩具にしてイキったカスを解らせてやります!」
「さっちゃん」
 怒りに拳を握る彼女へ、絶華は優しく語り掛け、周囲の仲間達を示す。
「他の神機とも合わせるぞ。タイマンでは厳しそうだからな。何、相手が強かろうと奴は今は一人……ならやれるさ。ケルベロスブレイドの時代では茶飯事だったとも」
「ケルベロスブレイド……?ディバイドではなく?」
 不思議そうな顔をするころちゃんへ、絶華は懐かしむように。
「私がまだ、番犬だった頃の時代の話だ……昔話は帰ってからするとしよう」
 サートゥルヌスがブースターに火を入れる一方で、グリムは額に手を当て金ぴか装甲を眺めて銀静は頭を抱えていた。
「主ー☆ユピテル様だよ☆」
「あー……あの時戦った奴だが……出力が上がってる上にパワーアップしてるなこれ」
 敵の強さに対して銀静が頭痛を覚える事などあるだろうかと言えば、ない。彼がこめかみを押さえた理由はそこではなく。
「あは☆アーレス大陸でアーレス君に無様に潰されたどスケベクソ野郎が笑える事言ってるよ☆君の時代なんてとっくに終わってるんだよ☆もう鋳潰されて仏像になっちゃえ☆後は第三世代主神機たるグリムちゃんが人類を導くからさ☆」
「お前なんぞに任せてたまるかぼんくらロボ共」
「ちょ!?グリムちゃんまで!?」
 このように、遭遇した機体の中身が何やらロクでもない匂いがしていた為に。改めて冷え切った眼差しをユピテルに向けると。
「戯れ言は終わったか鉄屑?お前も巨神っぽいしな……イザリスの依頼を果たすとしよう。サリア、巨神を潰す最新鋭の力を見せてもらうぞ?」
「Grrrrrraa!!」
 グリームニルがサリアに騎乗している事で魔力と反応炉がリンク。動きの鈍重さがネックになっていたはずのサリアは天馬の如く空中をかけ、敵機周辺を飛び回る。
「またおめーかよドスケベカス野郎」
「きっとイヨちゃんも狙ってるしカグツチ君の尻も狙ってるよ☆」
 同じ案件に関わっていたらしいカシムは呆れ切った様子でため息をつき。
「アーレス大陸でもやってる事はド屑だったもんなぁ」
「まぁ別個体かもしれないけどね☆それに……何時ものユピテル様以上にスペックが上がってるぞ☆」
 対峙しただけで分かる。生半可な戦力、技量で何とかなる相手ではない。カシムは頬を張り、操縦桿を握り直すと。
「……敵わねーってなら……全力全開尽くすしかねーか」
 腹を括ったカシムに呼応して、メルシーの両目から光が失われる。見開かれた双眸はユピテルに向けられていて。
「……愚かですねユピテル。我ら神機は本来『人類を救う為』に生み出されたモノ。骸の海に沈み本来の在り方も忘れましたか。ならば……貴方同様の十二神機が一角として……次代の主神機として……貴方に引導を渡しましょう」
 交流用の疑似人格を維持する余力すらも機体制御に回し、リアユニットが光を放ち始めたメルクリウスは水のヴェールを纏い、光を屈折させて自機を隠蔽。
「ブーツオブヘルメース、起動」
「このスピードに……ついて来れるもんならついて来な!」
 目視も、熱感知も許さぬメルクリウスお得意の不可視の高速機動攻撃。そこにグリームニルの超高速飛行から放たれる念動光弾にサートゥルヌスの次元転移を用いた特殊軌道攻撃。三柱の神機による同時攻撃を前にして、ユピテルはその場から一歩も動くことなく、左右に首を揺らした。
「どうやら、人間なんぞと肩を並べた為に、貴様らはとことん堕ちる所まで堕ちたようだ」
 迫りくる光の弾幕を周囲に浮遊していた砲台が薙ぎ払い、次元跳躍するサートゥルヌスを稲妻が掠める。打ち消した光の弾幕の向こうから飛び出して来たのは巨獣に乗ったグリームニルであり、青い覇気を纏った神機は魔剣を掲げ、その対面。直線から少しずれた斜め後方より迫るは見えざる大鎌を振り上げたメルクリウス。
「――取った!」
 それは、誰の声だっただろう。勝利を確信した一言に、稲妻が応える。
「所詮はその程度か」
 ユピテルは迫る三つの刃に対して躱すでも防ぐでもなく、グリームニル目掛けて踏み込んだ。ノーマークで背後を取ったカシムが直撃を確信した瞬間、機体が大きく揺れる。
「なん……ッ!?」
「装甲大破、右腕、左脚喪失」
 淡々と、メルシーが事実を告げた。見えない、感知されない、かつ高速で移動しているメルクリウスは浮遊砲台に左右から挟撃されて、右腕と左脚は吹き飛ばされてしまい、手足を奪った光条は止まることなく貫通。当たり所が悪ければ、コックピットまで焼かれていただろう。
 不意打ちをするはずが、逆に手痛い反撃に遭ったメルクリウスが墜ちていく様を見えずとも感じ取った銀静が奥歯を噛み。サリアを蹴って飛び込み刃を受け止められる前に振り抜こうとするが、ユピテルのタックルで武器を押しのけられた隙に、周囲を取り囲むように展開していた浮遊砲台の光に焼かれ、グリームニルは全身に開いた風穴から白煙を上げながらサリアに受け止められた。
「コイツ、一体どんな手品を……!」
「そこだな、サートゥルヌス」
 多角的次元転移により出現位置を予測させず、死角を取ったはずのサートゥルヌス。その胴体が、高圧電流に焼き貫かれてジェネレーターが焦げ付き、アイカメラが光を失った。
「さっちゃん!目を覚ませ!さっちゃん!!」
 機体が撃破された事で疑似人格のさっちゃんも意識を失ってしまい、絶華の呼びかけもむなしく機体は地面に叩きつけられ、粉塵の向こうへと消えていく。
「な、何が起こってるんだ……?」
 混乱のあまり、動揺するカシムが倒れ伏したメルクリウスの頭を起こさせると、浮遊するユピテルの周囲を無数の砲台が踊る。
「あんな小さい誘導兵器で、神機の装甲を貫通しただと!?おかしいだろ!!」
「否定」
 感情のままに叫んだはずの言葉に、メルシーが返す。
「いかに神機と言えど、殲禍炎剣の直撃には耐えられません」
「は……?おいメルシー、あのちっこいのが、殲禍炎剣だってのか!?」
「肯定。探査と被害状況から算出された予測出力から、アレは殲禍炎剣をスケールダウンさせたものだと断定します」
 呆然とするカシムへ、ユピテルの哄笑が降り注ぐ。
「ポンコツ衛星玩具に撃墜される気分はどうだ、サートゥルヌス?あぁ、ケラウノスと併用した電磁砲に回路を焼かれて、もはや機能などしていないか……」
 ユラリ、首を傾けたユピテルの視線が、メルクリウスへと向かう。
「地に伏したそのザマはなんだ、メルクリウス?貴様が『一度は避けた』俺様の砲撃を予測できずに食らったのは、他でもない貴様を動かす人間の実力不足故ではないか?」
「否定。誘導兵器が殲禍炎剣である可能性を考慮していなかった私の計算ミスです」
「あっ……」
 カシムの脳裏にフラッシュバックする、戦闘開始直後の一撃。アレは、目の前の敵機ではなく遠方から飛来した……ユピテルが撃っていた物……!
 正直、舐めていた。所詮は人間臭い神機シリーズの一機。大したことはないのだろうと、いつも通りの戦術のまま挑んだ。その結果が、このザマだ。
「フン、そのコックピットのゴミを捨てれば見逃してやろうかとも思ったが、最期まで人間を庇うか。ならば消し飛ぶがいい。どうせ、お前は手足が吹き飛んだくらいならすぐに再生するだろうからな……一滴も残さず抹消してくれる」
 展開される殲禍炎剣が、メルクリウスの頭上で回る。くるくる巡るそれは、砲門に一斉に光を宿して……。
「よし、ここに来る前に書かされた申請、通った!間に合え……ッ!」
「目標捕捉、武装複製開始、転送します!」
 電子申請書の『承認』の文字をぶん殴る重吾に合わせて、梵天丸が二挺拳銃から特殊な弾丸を放つ。猟兵達の下に到達して爆ぜた弾から飛び出したのは星降丸の複製体。先ほど梵天丸が使って見せた盾を形成し、キャバリア達へ装備させると同時に、自力で動けない機体に覆いかぶさるようにして庇う。
 降り注ぐキャバリアを焼く光を耐えるでもいなすでもなく、『逃がす』事で機体とパイロットの命を繋いだ。一先ず安堵のため息をついた重吾が額を拭いながら。
「うーん、あの強化具合、コアとか色々取り込んだとしても、トウゲンクオリティを考えると『使い捨て』かな?」
「現実でチートをチートで殴って来ましたね」
「どんな詐術かわかればトウゲンの底も見えるかな?」
 何とか凌いだものの、状況は好転していない。三柱の神機が墜とされ、強力な盾を獲得したもののこれは正面からの攻撃に対して無敵を誇るのであって、自在に動きまわる敵の浮遊砲台に対してはどれだけの防御力を発揮できるか怪しい。
 敵の情報を得ようとする重吾に対して、ユピテルは鼻で笑うと浮遊砲台を呼び戻して並べて見せる。
「底も何も、貴様らは既に何度も目にしているだろう?」
「何度も……?殲禍炎剣なんてそうそう見る物じゃないと思うけど……」
 重吾には心当たりがないようだが、カシムと銀静が同時に思い出した。
「ラウンズに仕掛けてきた奴が持ってたのはこれか!」
「なるほど……アレは試験運用だったというわけか……!」
 先日、別件で強烈な対空砲を持った敵と交戦していた猟兵達。放っておいたらバカみたいな理由で国が吹き飛ぶところだったが、本命は兵器実験に過ぎなかったのだ。
「そして今、完成したイミテーションホーリーグレイルは既に量産体制に入っている。馬鹿の一つ覚えのようにモノを複製する技術に長けた国だったからなぁ、ここは!」
 両手を広げれば、浮遊砲台は戦場に広がり猟兵達の頭上に陣取ると。
「人間共が生み出した技術を、人間共を滅ぼす為に使ってやるのだ、感謝するがいい……」
「狂った人工知能風情が吠えるじゃねぇか、二度と世迷言を叩けないようデリートしてやる!」
「ほう?」
 わざわざ盾を一旦置いて、中指を立てて見せたタイフーンカスタム。ヴィリーの言葉にユピテルはわずかに興味を示し。
「言うではないか。やれるものならやって見せるがいい!」
 握り込んだ拳を射出したユピテル。その腕から新たな拳が生み出されて、優に一万発を超える飛翔拳がタイフーンカスタムを狙い、その隙間を縫うようにしてイミテーションホーリーグレイルの雨が降り注ぐ。
 重吾に貸し出された盾を頭上に掲げ、命中即死の光学兵器を防ぎながら鋭角的にバックステップ。左右に機体を振りながら後退して追尾してくる鉄拳に包囲されないよう逃げ回りながら、ヴィリーが通信を飛ばす。
「おいカグツチ【クソガキ】!お前、タケミカヅチの武装を知ってるんだよな!?アレはどのくらいで本命の一撃をぶっ放せる!?」
「分かんない!でも、タケミカヅチのジェネレーターがあってようやく連発できるような武装だもん!本気の一撃を放つなら、数分は充電しないといけないはずだよ!」
「それにしたって数分かよ……!」
 さらに言えば、ユピテルは猟兵達がこの戦場に踏み込んだ瞬間から攻撃を仕掛けて来ていた。だとしたら、最初のクモとサソリの中間のような敵と交戦した時から充電している可能性とて、なくはない。
「いつ吹き飛ばされてもおかしくねぇってこったな……攻撃のやり方はもう完璧だよな?タイミングはお前に任せる、こっちはフォートレスアーマーにサブジェネレーターの出力全開にして死ぬ気で援護する!お前は取っておきの一撃を食らわせてやれ!!」
「とっておき……」
 カグツチがふと、自身の腹部を見る。そこには血みどろになった弐奈が収まっているのだが。
「カグツチ様、呪術において見立てる事、模倣する事は類感呪術と言い、呪いの力を高めます。この身はカグツチ様の炎に焼かれ、黄泉の力も扱うこの状況は、黄泉の主『伊邪那美命』と見立てる事が出来なくもない……」
「え、ママ?なんで?」
 自分とこではそういう神様がいるって話をしたかった弐奈だが、今はその数秒すら惜しい。印を結び、コックピット内部に鬼の手を呼び出すと。
「ざっくり説明すると、物凄く痛い思いをすることで物凄く強くなれるという事です!」
 その爪を、股座に突き立てさせる。股間から突き刺さる鬼の爪は臓腑を貫き、なぞるように下腹部まで引き裂かれて、切り開かれた腹から零れ落ちる肉と内臓。コックピット内部まで伝わってくるカグツチの熱に焼かれて瞬く間に焦げ付いていくが、それこそはとある国生みの神の片割れが辿った末路。
 あまりの激痛に脳がオーバーフローを起こしてショック死を迎えた弐奈は眼球がひっくり返り、筋肉が脱力して口が開きっぱなしになるが、垂れ流しの血潮から白いものが湧き出して来る。細長く蠢くそれは、雷の蛇。物言わぬ肉塊と化した弐奈の体に、蛇が噛みついた瞬間、バヂンッ!!
「……さぁ、参りましょう、カグツチ様」
 一瞬だけ体を跳ねさせて、顎を打ち鳴らし目玉が翻る。死を乗り越えた弐奈は両目をギョロギョロと動き回らせて。
「時間がありません、出し惜しみも躊躇も、一切なしです!」
「え……壱号から七号まで全部使うの!?」
 展開された砲台の位置を把握した弐奈は降り注ぐ荷電粒子砲を掻い潜り、カグツチに備えられた七つの宝珠は一つずつ、光を灯す。弐奈の妖力に模倣神意によって借り受けた黄泉の力を織り交ぜて、ドス黒い炎に呑まれるカグツチ……。
「妙な真似をする輩もいたものだ……」
 ユピテルがイミテーションホーリーグレイルを差し向けようと腕を上げ、呼応した浮遊砲台がカグツチを取り囲もうとすると。
「怯むなッ!!」
 無数の飛翔拳に追われるヴィリーが一喝。飛び回る浮遊砲台目掛けてライフルの引鉄を引きっぱなしにしながら、狙いをつける為に減速。おびただしい数の機械の手に捕まれ、呑まれ、包み込まれ……やがては連結して一つの巨大な掌となった飛翔拳に、握り潰されていく。
「後は……任せたぞ……!」
 笑いながら、金属が圧縮される悲鳴の中に消えていくヴィリーに、ユピテルは蔑視を向け。
「フン、無駄な事を……」
 カグツチを撃ち落そうとするのだが。
「何故だ……イミテーションホーリーグレイルが反応しない……!?」
 浮遊砲台はその場で動きを止め、砲撃はおろか移動すらしない。
「なるほど。お前本体はさておき、あちらはどうやら実質通常兵器という事のようだな!?」
「なんっ……サートゥルヌス!?」
 突然背後に現れた機体にリアユニットを斬りつけられ、反応する前に蹴り飛ばされて地面に墜ちたユピテル。すぐさま体勢を立て直した彼は忌々し気に。
「どうなっている……確かに演算回路を焼いたはず……!」
「うむ、さっちゃんは絶賛お昼寝中だな!」
「主様……これめっちゃきついんですけど!?」
 サートゥルヌスのコックピットでは、気絶したさっちゃんに代わって、ころちゃんがOSを動かしていた。神機を二柱所持していた絶華ならではの力業である。
「安心しろころちゃん!そんなに辛いなら我がぜっちゃんチョコのパワーで……」
「ま、まだまだいけまーす!!」
 しかし、無理して動こうとしたサートゥルヌスは動きが鈍り、ユピテルに蹴り飛ばされてしまった。邪魔者を排除した隙にイミテーションホーリーグレイルを再起動させようとして、ヴィリーに撃ち込まれた弾丸が浮遊砲台に食い込んでいる事に気づく。
「これは……EMP兵器か!おのれ……やってくれたな人間風情が……!」
 武装を無力化されたユピテルはヌンチャク染みた武装に電圧をかけ、特殊な形状記憶合金でできていたワイヤーをピンと伸ばした。
「ウソォ!?あれ、弓だったの!?」
「驚いている場合かグリム!アレを撃たせるな!恐らくはアレこそが平定の雷だ!!」
 銀静がグリームニルを動かそうとするも、装甲がボロボロになった機体はロクに言う事を聞いてはくれない。自機の上に覆いかぶさる盾すら退かせられなかったが、不意に上が明るくなる。
「Grrr……」
「サリアちゃん!無事だったんだね!!」
 盾を退けたサリアが背中にグリームニルを乗せれば、再び魔力のリンクが始まる。サリアは爪とアンカーを打ち込み機体を固定。顎を開き砲身を露出させる。
「一撃で仕留められなくてもいい……狙いをつけさせるな!」
 しかし、ユピテルは弦を引き稲妻を番えると。
「愚か者め、消し飛ぶがいい……!」
「フルチャージじゃなければ、もう撃てる状態ってコト!?」
「……ッ!」
 グリームニルとサリアに狙いを定めた、その瞬間、速乾性の泥のようなモノが叩きつけられてユピテルの動きが鈍り、番えていた矢を放してしまう。あらぬ方向に放たれた矢はグリームニルを掠め、装甲を赤熱爆散させながらも、その後方の岩盤を熔解させるにとどまり。
「陰キャ野郎!いけ!!」
「お前に指図される謂れはない!!」
 援護射撃を飛ばしたカシムの声に銀静が舌を打ちながら、トリガー。解き放たれた濃縮荷電粒子砲がユピテルに向かって……。

 ――カッ

 天からの光に打ち消された。
「な……に……?」
 目を見開く銀静の前で、ユピテルは肩で息をしており。
「まさか、本物の殲禍炎剣を使う事になるとはな……!」
「そうか……天井に開いてた穴は……」
「暴走衛星の砲撃の痕跡だったか……!」
 最後の一撃を防がれ、歯軋りするカシムと銀静……しかし、その背後から巨大な黒蛇が鎌首をもたげる。
「な……なんだこのバケモノは……?」
 ユピテルが見上げたその正体は、弐奈の体が朽ち果てるほどの高温を纏ったカグツチ。七つの発熱機関『焔珠』をフルドライブさせたそれは、劫火の災厄としてユピテルへと迫る……!
「おのれェ……!!」
 殲禍炎剣というカードを切ってしまったユピテルは平定の雷を再度放つも、同じアシハラ製の兵器の出力は拮抗し、発生する熱はユピテルの装甲を焦がし、弐奈の体を焼く。だが……先に限界を迎えたのは、弐奈。
「カグツチ様!?」
 黒い炎を消し、平定の雷を蹴り上げて軌道を逸らしながら距離を取った機体に、弐奈が声を上げるが。
「これ以上は本当にダメだよ……お姉さんの体が持たない……!」
「ふん、やはり人間など足手まといよ……だが」
 引かざるを得ないカグツチの姿に、ユピテルは苦虫を嚙み潰したようだが。
「此度は痛み分けといこうか」
 彼の装甲もまたボロボロであり、これ以上戦える状態ではない。
「メルシー!」
「はい。今ならトドメを刺せます」
 この機を逃すまいと失った手足を復元し、メルクリウスが盾の下から飛び出したが、大きな揺れが戦場を襲う。
「マスター!なんですかアレ!?」
 圧壊したタイフーンカスタムの救助に当たっていた梵天丸に、重吾は乾いた笑みを浮かべて。
「うーん、ちょっと世界が間違ってるんじゃないかな?」
 ゆっくりと浮かび上がっていく小国家、トウゲンを見上げていた。
「殲禍炎剣を制御しうる俺様には、空中要塞こそが相応しい……元はトウゲンとか言ったか?くだらん。この国こそ、俺様という神機を崇める機械世界の第一歩にしてこの世の理想郷……『アルカディア』である!!フハハ、ハハハハハハハ!!」
 猟兵達を見下ろすユピテルの笑い声が響き、急にピタリと止まった。
「此度は相打ちとなったが……次こそは貴様らを確実に排除する……首を洗っておくがいい……!」
「メルシー!今ならまだ……」
 飛び去って行くトウゲンだったモノとユピテルに、カシムはなおも食い下がろうとするが、サポートAIは首を振って。
「否定。援護に向かわなければ、グリームニルとサートゥルヌスが崩落する瓦礫の餌食です」
「……チクショウ!!」
 カシムはコンソールを殴りつけ、傷ついた猟兵の救援に向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年03月16日


挿絵イラスト