櫻大戰のあとしまつ〜隠遁せし標的を捕らえよ〜
帝都櫻大戰の折、山本五郎左衛門の要請を受けたキャンピーくんによって世界各地の有力者達が異世界に送り込まれ、猟兵達と共闘した。
しかし五郎左衛門の言葉足らずが原因か、キャンピーくんの気まぐれか、戦争が終わった後に有力者達の元へ迎えがくる気配はなく……それぞれ送り込まれた世界に置き去りにされることになってしまっていた。
「斎藤・福さんと彼女に随行する『首塚の一族』は現在、封神武侠界の人界に滞在されています。福さんだけならまだしも、首塚の一族全員を安全かつ確実に世界を渡って帰る手段を構築するのはそう簡単な物ではありませんので」
ルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)が言うその方法とは「渾沌化オブリビオン」を首塚の一族のユーベルコードの鎖で捕らえ、それを媒介にしてサムライエンパイアに通ずる橋をかける、というもの。早い話が「渾沌化オブリビオン」を人柱にするということだ。
「罪無き人々を人柱にするのは抵抗を感じられると思いますが、今回の相手はそういう遠慮が不要な極悪人―――かつて『韓信』配下であった邪仙の1人です」
配下という割には韓信が窮地に至っても表舞台に出てこなかったが、その邪仙は韓信から「水銀の渦」を受け取ったという情報が残っている。
「その水銀を飲んだ方々は生きながらにして『兵馬俑オブリビオン』―――彼が一度命令すれば彼を害する者すべてを滅ぼすまで止まらない尖兵と化します。あまりに当の邪仙の動きが掴めていないため、被害者の総数は自分も把握できておりません」
水銀の渦を得るためだけに韓信に取り入ったのか、猟兵を恐れて韓信からの救援要請を無視したのか、そもそも戦力に数えられていなかったのか……その真意は定かではない。しかしこのまま野放しにし続けるわけにはいかない。
「彼は『流れ者の宝庫』と呼ばれる『楽浪郡』の山間部に拠点を持っていて、人型宝貝である『明道』を周辺に放って我々の接近を警戒しているようです。ただ周辺に家屋の類はなく、もし彼が助けを呼んだとしても物凄い長丁場に陥らない限りは兵馬俑オブリビオンは駆け付けられないでしょう。むしろ間に合わなくても動いてくれた方が診療所に叩き込めるのでありがたいところでありますが」
そんな邪仙を捕らえるために振るわれる首塚の一族の鎖は「動きが非常に遅く、避けられやすい」という弱点がある。
「その為我々は渾沌化オブリビオンを殺さないようにしつつ、捉えきれない遠方に飛ばしたりせず、動きをぎりぎりまで鈍らせる必要があります。しかし相手はかつて我々を苦慮させた韓信から宝具を与えられた邪仙であり、渾沌化の影響で異形と化した身体部位から予測不能の攻撃を繰り出してくる―――手加減はすれど舐めてかからないようお気を付けください」
そう言ってルウは猟兵達を送り出した。
平岡祐樹
微力ではございますが、引き続きよろしくお願いいたします。
お疲れ様です、平岡祐樹です。
今回の標的となる渾沌化オブリビオンは以下の能力を持つ装備「水銀の渦」を常に使用します。この防具に対する記述が入っていた場合、プレイングボーナスが発生する可能性があります。
戦場全体に水銀の渦を発生させる。水銀の渦が存在する間、敵には内臓破壊ダメージを与え続け、自身は水銀を纏って戦闘力強化。
以上、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 集団戦
『明道参式』
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POW : 明道は滅びません、命令を完遂するまで現れます
他者からの命令を承諾すると【「出現する敵の数×1体」の明道参式の増援】が出現し、命令の完遂か24時間後まで全技能が「100レベル」になる。
SPD : 明道は進みますどこまでも、命令を遂行するまでは
非戦闘行為に没頭している間、自身の【主人の命令を遂行するために必要な行動】が【成功するまで専念し続け】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ : 明道は道具を選びません、万全に準備しています
自身の【主人の命令を完遂するために、用意した道具】を【命令を果たすために必要な機能を持つ宝貝】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
イラスト:Daifuku
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アラタマ・ミコト
荒魂鎮神命が命じるのでございます。
神器よ施されし封印を解きその力を示すべし!
荒魂鎮神命の無双をご覧に入れるのでございます。
……あらたまちゃんのらいふを削っているのです!
高れああいてむや素材をどろっぷするのです!!
「明道は視認しました、主人の招きを受けていない者を」
ろくに整備されていない獣道めいた山肌を転げ落ちないように進む。するとルウ曰く邪仙の住居を守っているという、人の姿を象った宝貝が声をかけてきた。
「明道は侵入者の排除を遂行いたします、主人の命令の通りに」
そしてここに来た理由を聞く姿勢を見せる素振りすらなく臨戦態勢に入った。だがその前に立っていたアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)は何も感じていなかった。
どうせ結局敵対することになる相手である、舌先三寸で誤魔化そうと考えることすら無駄だからだ。
「いいでしょう、このあらたまちゃんが返り討ちにしてくれます」
襲い掛かってきた宝貝の腹を鞘で打ち、体勢を崩させてから頭部を刎ねる。斜面に落ちた頭は勢いよく転がり始め、残された体は目が回っているかのようによろめいて足を滑らせて崖下に落ちていった。
しかし最初の一体が知らせた発見の報に、他の地点を巡回していた宝貝達が一斉に集合してアラタマのいる道を挟み込むように包囲した。
『明道は進みますどこまでも、命令を遂行するまでは』
「明道は許しません、主人の持つ物全てを害した者を」
「明道は倒します、主人に仇名す可能性がある者を」
「明道は応えます……」
「明道は……」
「一度に同じ見た目で同じ声でわーわー喋らないでください、くらくら頭が痛くなるのです」
時間が経つにつれてどんどん増えていく、全く同じ姿形の宝貝達が口々に告げる言葉の津波にアラタマは額を抑えながら呻く。
「荒魂鎮神命が命じるのでございます。神器よ施されし封印を解きその力を示すべし!」
そして耐えかねたように三種の神器の封印を解くと宝貝達の姿を覆い隠すように展開して、橋を渡るようにその上に飛び乗って走り出した。
「明道は追いかけます、不審者を逃がさないために」
宝貝達は逃がすものか行く手を阻む神器をどかし、空中に浮かぶ神器に足をかける。だが神器はアラタマが乗った時と違って踏まれた勢いそのままに落ち出し、宝貝達も巻き込まれるように一緒に落ちていった。
大成功
🔵🔵🔵
饗庭・樹斉
うーんもうちょっと頑張らないと帰れないかな?
ずっとこっちにいるとどんな悪影響あるか分かんないし、渾沌化オブリビオン捕まえる為にも頑張ろうかな!
それで相手は…何か圧が強い!
一斉に色々言ってるけどとにかくここを通さないって事だよね?
攻撃遮断されると面倒だけど…UC起動、呪言で宝貝達の思考能力と協調性を奪っちゃおうか。
遮断されるかは五分五分だけど、まあそれだけ数がいるなら連携取るの難しいよね?
呪言が効いててもなくてもわざと同士討ち誘うように間すり抜けて駆け抜けて、同士討ちとかで行動への専念を崩しちゃおう!
遮断解除されたら呪言は確実に効くだろうし、得た幸運活かしつつ天雲で倒してくよ!
※アドリブ等お任せ
「うーんもうちょっと頑張らないと帰れないかな?」
サムライエンパイアへの帰路をこじ開けるために張られた首塚の一族の鎖を改めて数え直していた饗庭・樹斉(沈黙の黄雪晃・f44066)は口をへの字にする。
「ずっとこっちにいるとどんな悪影響あるか分かんないし、渾沌化オブリビオン捕まえる為にも頑張ろうかな!」
そう決意をし直すと同時にどろんと妖狐によく似た姿を取った。ソロモンの悪魔の実験の生贄に使われた呪いを解くため「病院」の手によって霊子強化ガラスに鎧った「魂」以外の全てをダークネス化させた樹斉にとっては、全人類がエスパー化したことによって人の姿に戻っても支障がなくなった今でもこちらの姿の方が違和感がなかった。
しかし人の姿であろうと狐の姿であろうと、宝貝の目は一切見過ごさない。
「明道は視認しました、新たな侵入者を」
「明道は応えます、同機の援護を」
「明道は阻止します、これ以上の進出を」
「……何か圧が強い!」
一斉に集まって色々言い出しているが、総合するととにかくここを通さないことを伝えたいようだ。
だが、はいそうですか、と引き下がるわけにはいかない。何の罪のない仙人ならともかくこの先にいるのは韓信と手を組んで、いくつかの村を水銀の渦という宝貝によって秘密裏に支配下に置いたとされる邪仙なのだから。
『そのつながり、崩させてもらうね』
意味あるダークネスの言葉は全て呪いとなり災厄を齎す。樹斉が発した不和の災厄を齎す呪言は「侵入者を排除する」という戦闘行為に没頭していた宝貝達の思考能力と協調性を奪った。
「明道は排除します、明道は排除します」
宝貝達は口々にそう言いながら一斉に我先に突撃し、樹斉に手が届く前に互いにぶつかり合って転倒する。そして同時に立ち上がろうとしてまた衝突し合う。
「遮断されるかは五分五分だったけど、まあそれだけ数がいるなら連携取るの難しいよね?」
「明道は排除します、明道は排除します」
樹斉を追い払うこと以外に考えがいかなくなった宝貝達は仲間を足蹴にしつつ団子になりながら一歩一歩確実に前には進んでいく。
そこへ樹斉は紡がれた歌に反応して光を放つ、天を流れる雲のような印が刻まれた刃を高々と天に掲げて突入した。
「明道は排除します、明道は排除します」
飛び込んできた侵入者に立ち向かおうと宝貝は握り締めた拳を振るおうとする。しかしその拳は他の宝貝が振り上げた足の大腿部に衝突して止まり、遅れて振るわれた大剣によって丸ごと切り捨てられた。
「明道は排除します、明道は排除します」
侵入者が自ら迫ってきたことで輪唱のように宝貝達は同じ言葉を発して圧を強めてくる。しかしその宝貝から奪った幸運を頼りに、樹斉は一度たりとまぐれ当たりを受けることなく宝貝の群れを乗り越えてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
家綿・衣更着(サポート)
「衣更着参上!っす」
狸妖怪の忍者っす。
人と妖怪に友好的で人助けを好み、食べ物を粗末にできないっす。
どろんバケラーらしく【化術】と【おどろかす】を有効利用し、【迷彩】等忍者っぽい行動をするっす。
ユーベルコードは状況に応じて有効なものを使い、特に『綿ストール本気モード』や『妖怪忍法葉っぱ乱舞』を好んで使うっす。
戦闘時は妖怪煙を広域放出し【化術】で煙に【残像】を映してかく乱や敵の同士討ちを狙うっす。
攻撃は、【化術】で【おどろかす】事で敵をまとめ、遠距離時は忍者手裏剣【乱れ撃ち】。近接時はストールを槍にし【なぎ払い】っす。
エロは勘弁を。
アドリブ歓迎。よろしくおねがいします!
「福さんを始めとする首塚の一族の皆さんのため、綿狸忍者いざ参る! っす!」
何もない所からどろんと現れた家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)は宝貝の集団の中に飛び込むとその勢いのまま頭や肩を踏み台にしてどんどん進んでいく。戦闘モードに移行しない限りあらゆる接触を無効化する性質によって、どれだけの重みがかかろうと崩れることのない足場になってしまったのはある意味皮肉なことであった。
『明道は進みますどこまでも、命令を遂行するまでは』
「明道は追いかけます、侵入者を捕獲するまでは」
「明道は思考します、主人の本日の夕餉の献立を」
踏まれたことへ一切のダメージも感想も抱かず、宝貝は命じられたままただひたすらに衣更着を捕縛しようと追いかけ出す。
「うわ、この山にどれだけ潜んでるっすか!?」
走破した距離が伸びれば伸びるほどどんどん増えていく宝貝達の姿に衣更着は舌を巻きつつ、崖沿いに頭を覗かせていた岩に着地する。
そして宝貝達に向き直ると懐に常に忍ばせているどろんはっぱを投げつける。するとはっぱから噴き出した煙からは多種多様な妖怪達が飛び出して、悪路をものともせず宝貝達に襲い掛かった。
宝貝達は湧き続ける煙と妖怪達を払い除けながら、再び逃げ始めた衣更着を追いかけ前に進み続ける。
妖怪達の体はまるで風船のように軽く押し退けられた。しかし煙による視界の狭窄によって足を踏み外して転倒した者が足に引っかかってまた転倒してそれにまた別の者が突っかかってという将棋倒しが生まれ始めた。
倒れかけた宝貝がとっさに前にいた妖怪を支えにしようと手を伸ばす。しかし妖怪など初めからいなかったかのように手は空振り、乾いた地面に叩きつけられた。
成功
🔵🔵🔴
シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!
人柄
普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します
心情
仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています
基本行動
味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します
一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします
またUC【贖罪】により楽には死ねません
ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います
戦闘
味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用
戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます
「道具に罪はないのは分かっています。ですが、誰かを傷つけている者のために動かされているのならば、それを止めるのが私達の役目です」
前もって断りの祈りを捧げたシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)の両手に握られた二丁拳銃から楽器が奏でられているような小気味い音を発しながら放たれた銃弾が宝貝達の足元を穿つ。
『明道は道具を選びません、万全に準備しています』
そう呟いた宝貝の体から今までの物とは別種の駆動音が鳴りだし、女性を模したと見られる華奢な体が鎧武者のようになる。
防御を万全に固めた宝貝はシホが作り出した弾幕の中へ堂々と足を踏み入れる。
「なるほど」
銃弾が岩や砂よりも硬い物体に当たった音が山中に響き渡り、ソロの音楽会がデュオに移行する。短い吐息の後にその演奏が止まるとシホは拳銃に入れていた弾を入れ替えた。
『シュよ、この地をお守り下さい』
新たな弾丸が山肌に向かって放たれる。その射線に割り込んできた宝貝の体に当たると、先程までの物とは違う鈍い音が辺りに響いた。
「宝貝は止まりません。侵入者を全て排除するまでは」
勝ち誇ったような表情を浮かべた宝貝の体にめり込んだ銃弾が芽吹き出す。小さな凹みから湧き出るように伸びてきた根は周囲の宝貝達も巻き込みながら成長し、巨大な樹となって山道を塞いだ。
「宝貝は検索し直します。この木を迂回する道を」
この木を脅威だと認識出来なかった―――否、しなかった宝貝は幹に取り込まれた状態で蠢く同胞を見捨てて淡々と別のルートを割り出す作業に入った。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ(サポート)
「バトルの時間デース!」
雇われメイド、バルタン! 参上デース!
アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイルは物理系!
遠距離ならば、銃火器類の一斉発射が有効デース!
近距離ならば、武器を展開して白兵戦を挑みマース!
敵の数が多いor護衛対象がいるならば、バルタンズの使用もお勧めしマース!
状況に応じて行動して、他の猟兵のサポートに回っても大丈夫デス!
迎撃、防衛、襲撃、撤退戦。どのような戦場でも参戦OKデース!
指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
勝利のために頑張りマース!
『明道は滅びません、命令を完遂するまで現れます』
谷底に落ちて、浅い川辺に転がっていった宝貝が振り上げた足を戻して起き上がる。
そしてあてはなくともとにかく走り出そうとした時に、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は現れた。
「どれだけ距離を取られようと体が動く限り追いかけ続けようとする、その気概はヨシ! でもこれ以上進むことは許しまセーン!」
「明道は認識します、新たな侵入者を」
「明道は対応します、移動を中止して」
いくら谷底であろうとも侵入者は侵入者。宝貝達はすぐに臨戦態勢を取る。
話し合いによる解決は端から念頭には置かれてないようだ。バルタンは指の感覚を確かめるように一本一本折って拳を作ると、不敵な笑みを浮かべながら叫んだ。
『骸式兵装展開、蛮の番!』
メイド服姿を塗り潰すように湧き上がってきたかつて封神武侠界で猟兵達が対峙した魔獣「兀突骨」を彷彿とさせる骨の鎧をまとったバルタンの目から理性が消える。
「HAHAHAHAHAHA!!」
狂った笑い声を残して姿が消える。そして再び宝貝が視界内で認識した時には吐息がかかるほどの距離で、巨大化した拳を振り上げるバルタンがいた。
「みょ……」
周囲を揺らす衝撃と轟音が響き渡った後、周囲の水が出来たばかりの窪みに流れ込んでいく。
言い切る前に叩き潰された宝貝が川の中から浮かび上がってくることはなかった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『🌗日不見・一角』
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POW : 腐食豪雨
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【指型の触手】から【浴びた瞬間全てを腐らせ溶かす溶解液】を放つ。
SPD : 大地陥没
単純で重い【異形化した全身】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ : 蚯蚓暴走
自身が【怒りや不快感等の負の感情】を感じると、レベル×1体の【鋼の鱗を持つ巨大化した異形の蚯蚓】が召喚される。鋼の鱗を持つ巨大化した異形の蚯蚓は怒りや不快感等の負の感情を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:塒ひぷの
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「御園・桜花」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「何やら姦しいな」
邪仙、日不見一角は怪訝そうな表情を浮かべながら庵から出てくる。
「まぁよい、我には韓信から頂戴した『水銀の渦』がある。宝貝が止められずとも、兵馬俑オブリビオンが薙ぎ倒されようとも、それを乗り越えて我の元までたどり着くことは不可能だろうよ。万が一たどり着けたとしても、長年の修行で我にもたらされたこの力の前に屈するしかない」
そう得意げに呟く一角は異形と化した体を引きずりながら、昼餉の用意を始め出した。
饗庭・樹斉
どうにか突破したけど…あの庵の中に邪仙いるのかな?
水銀の渦は厄介だし使われる前にできるだけ近づきたいところ…あ、首塚の一族の人たち巻き込まれたらヤバいから弱らせて封じ込めきるまでは離れておいて貰わないと。
周囲の地形利用して身を隠し忍び足でお昼準備してる所に忍び寄る。
氷の属性のオーラで顔の周り覆い蒸気を冷やし液体に戻しつつ風を操って吹き飛ばし吸わないようガードは忘れず。
十分近づいたら不意討ち!
飛翔する前にジャンプしてUC起動、真上から天雲叩きつけて一気に削る!
触手とか渾沌化部位については呪歌で音を響かせ呪詛で汚染、鈍った所を見切って反撃回避しつつ仕留めきらぬよう削ってくね!
※アドリブ絡み等お任せ
竹や笹が生い茂る見通しの悪い地形を利用して身を隠し、近くにあの圧の強すぎる宝貝達の姿がないことを確認してから忍び足で降っていく。
「どうにか突破したけど……あの庵の中に邪仙いるのかな?」
邪仙にはこちらの接近をまだ共有されていないのか、「水銀の渦」という韓信が用意した宝貝が展開されている気配は無い。ただ凄まじい毒性を有する水銀が無尽蔵に湧き出し続ける戦場は厄介だし、使われる前にできるだけ近づいて何発も叩き込んでおきたいところである。
「……あ、首塚の一族の人たち巻き込まれたらヤバいから弱らせて封じ込めきるまでは離れておいて貰わないと」
相手に気づかれてしまうかもしれないため合図は送れてないが、|猟兵《こちら》が騒ぎを起こしている間に首塚の一族達もこっそり庵に向かっているはずである。もしまだ来れてなくても、彼らが到着するまでの時間を稼ぐのが今回の主目的だ、問題はない。
庵の片隅からは湯気による白い煙が上がっていた。遅めの朝風呂か昼食の準備でもしているのだろうか。
足音を立てないように軒先に侵入し、格子から中を覗き込む。すると今回の標的と見られる相手が宙を浮きながらキノコ汁を作っていた。無駄になってしまうのは心苦しいが、悪人に美味しいご飯を食べさせるわけにはいかない。
『さあ、響かせるよ!』
格子から距離を取り、跳び上がった樹斉は呪歌を纏わせた大剣を振り下ろして屋根を壊して突入する。邪仙の体から人の物とは似ても似つかない色の血が散り、キノコ汁が入っていた鍋がひっくり返った。
「ぐぬっ、明道参式は何をしておるのか!」
顔を顰めた邪仙は樹斉が開けた穴から外に飛び出しつつ、水銀の渦を展開し出す。
樹斉は顔の周りを覆った氷属性のオーラで蒸気を冷やすことで液体に戻しつつ風を操って吹き飛ばした。
邪仙の体から汗のように浮かび上がった溶解液も風に巻き取られて周囲に飛び散り、水銀の物とは違う嫌な臭いと音を立てながら触れた物を溶かしていく。
「狐め、本当ならズタズタにして鍋にしてやりたいところだが……禁忌に接してしまうのでな、代わりに畑の肥やしにしてやろう」
「うわ、全身毒物!?」
渾沌化したことで得たとみられる触手を振るい、邪仙は樹斉を水銀の坩堝に叩き落とそうとする。しかし天雲から響き渡る呪詛によって動きが鈍っているそれを樹斉はしっかりと見切って回避しつつ、強烈な風を当てて脂めいた溶解液を押し流す。そしてこじ開けた僅かな隙へ天雲の切先を突き刺した。
激痛によって傷口近くの目が潤み、衝撃によって口から唾が飛ぶ。それら水分もまた毒物であり、それが触れてしまう前に樹斉は刃を引っ込めた。
「ふん、仙人は皆修行の果てに仙術と不老不死を獲得した選ばれし存在。この程度の傷で我を仕留められると思ったか愚かな狐よ? やはり畜生は人の言葉が話せるようになっても地頭が弱いと見える」
あからさますぎる煽り文句に樹斉はカチンときたが、「首塚の一族が来るまでこの場に釘付けにする」という今回の目的を見失わないことを念頭に置き続けた。
大成功
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賤木・下臈
東大寺大仏の金めっきには水銀が用いられ、多くの作業者がその蒸気を吸って命を落としたと言われています。戦場を覆う水銀の渦もまた、目に入れば目を損ない、吸い込めば内臓を損なうでしょう。気体や液体が危険ならば、固体にしてみましょうか。しかし水銀の融点はマイナス39度、そんなに冷やすことは私にはできません。そこでUCを発動。水銀の融点をこらしめて300度位に上げます。失敗し返り討ちにあったら、廊下に立たされて反省します。
無事水銀が固まり地に落ちたら、対象へ接近し交戦を試みます。相手も身に纏う水銀が固まって動きづらいでしょう。とはいえ重い水銀を纏って動けるくらいですから、油断はできません。
「東大寺大仏の鍍金には水銀が用いられ、多くの作業者がその蒸気を吸って命を落としたと言われています。戦場を覆う水銀の渦もまた、目に入れば目を損ない、吸い込めば内臓を損なうでしょう」
賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)は庵を覆い隠す水銀の渦を前に、そう淡々と独り言つ。
どれだけの職人が関わったかを大々的に報じることはあっても、そのうちの何人が何の作業で倒れたかなんて負の印象がつく情報をわざわざ広めることはない。
だが僧職である賤木の耳には多少なりと真偽不明の噂話として入ってくる。そしてもし数人程度で済んでいたら、わざわざ大仏殿の近くに臨時の救護院を作ることはなかっただろうとまだまだ修行の浅い「下臈」であろうと察しはついた。
賤木が大仏を見た時、今感じている息苦しさは全くなかった。それはつまり今目前にある「液状の水銀」ではなく鍍金―――固体だったからだろう。
「気体や液体が危険ならば、固体にしてみましょうか」
ならば固めてしまえばいい、と賤木は筆を振るう。
賤木は知らないが、水銀の融点は-39度。そこまで冷やすことは下臈には……否、普通の人類にもできない。
しかし聞く者の認識を歪め、歌に詠まれた光景を現実のように錯覚させる歌人ならば。
「失敗し返り討ちにあったら、廊下に立たされて反省すればよいのです」
融点を「こらしめられた」水銀は渦巻いた形のまま固まる。僅かに開いた隙間からは浴びていた水銀がそのまま重りとなって動きにくそうな邪仙が見えるが、賤木が体を潜り込ませられそうな穴は視界の中には見当たらない。
「渦ならば上に大きな穴が開いているでしょうが……どなたか下臈を運んではいただけないでしょうか」
首を限界まで上にあげても見えない頂上と日の光に賤木は目を細める。すると水銀の壁の奥から何かがぶつかる音が聞こえてきた。
「ゆけ、我が眷属よ!」
盛り上がった地面がはじけ飛び、鋼の鱗を持つ巨大な異形の蚯蚓が顔を出す。そして目がない頭で下臈のいる方を見た。
「おやおや」
賤木が目を丸くした瞬間、固体だった水銀が本来の在り方を思い出して液状に戻る。しかし一度失った遠心力までは戻らず、形を崩しながらも巨大な塊を維持して邪仙と蚯蚓の上に降り注ぐ。
再び襲い来る咳に苦しみながら賤木は再び筆を取る。すると水銀は邪仙と蚯蚓に覆い被さる形でまた固まった。
「猪口才な真似を……!」
苛立ちながら邪仙は自らに張り付いた水銀の膜を剥がし取る。しかし投げ捨てる前に再び液状に戻って頭から被る羽目になり、憤怒の表情を浮かべ出す。その感情の機敏を共有しているかのように、異形の蚯蚓も暴れ出した。
成功
🔵🔵🔴
家綿・衣更着
アドリブ歓迎
水銀の渦やっかいっすね。速攻をかけるっす
クロムキャバリア「テングリーフ・ホワイト」に搭乗してUC『あやかしメダル「打綿狸の衣更着」』で水銀を遮断するための結界術。
EPメガスラスター「シューティングスター」による推力移動で敵拠点にアンブッシュ
「どうも衣更着と申しまっす!邪仙よ報いを受ける時っす!」
キャバリアは敵の攻撃から逃げるように自動操縦で撤退させ、自身は化術で明道の一体に化けて敵に接近。
毒使いで動きを鈍らせる強力な毒を複数用意し、毒入りお茶を淹れたり毒手裏剣投擲で毒状態に。
妖怪煙に隠れ化術と幻影使いで翻弄
「動くほど毒が回るっすよ?」
打綿狸の綿ストールを化術で鋼糸に変え拘束する
「水銀の渦やっかいっすね」
幾度と動きを封じても形を崩すことはあれど消滅はしない、毒を帯びた銀色の障壁に衣更着の表情は硬い。しかし全く活路がないわけでもない。
「速攻をかけるっす」
愛機テングリーフ・ホワイトに搭乗した衣更着は自分の本来の姿が刻印されたあやかしメダルを操縦席に貼り付ける。すると悪意を持つものを退け対象を守る結界がテングリーフ・ホワイトの周りに展開された。
流れ星の名前を冠したメガスラスターによる推力移動で音も無く邪仙が住まう庵に忍び寄る。その過程で飛び散った水銀に触れたが、テングリーフ・ホワイト並びに衣更着の体に異常が起こることは無かった。
「背後を取ったつもりか……だが、甘いぞ」
渦の僅かな歪みで接近に気づいていたのか、邪仙は振り向くことなく異形と化したことで背中から伸びた歪な肉塊で周囲を薙ぎ払う。
巻き込まれた木々が嫌な音をたてながら折れていく中、寸前で避けたテングリーフ・ホワイトは体勢を立て直すために正面を向きつつも素早く後退していった。
「ふん、何をしに来たのか。……それともしたいことを出来ずに終わったのか」
無様な逃走者の姿に含み笑いを浮かべる邪仙に、どこからともなく現れた宝貝・明道参式がお茶の入った盆を脇に置いた後に一礼して報告する。
「明道は報告します、数人の侵入者の」
「そんなことは分かっておる能無しが!」
その言葉と同時に振るわれた触手によって宝貝は吹っ飛び、同じ列にあった岩や木を巻き込み壊しながら山中に消えていった。
「まったく……」
自前の宝貝であるが、猟兵相手には形無しであることが分かっただけ僥倖かと邪仙は傍らに残された茶を小さく開けた腹の口に含む。しかし、数刻も経たないうちに邪仙は大口を開けてそれを吐き出した。
「ぐ、げほ、毒……!?」
「どうも衣更着と申しまっす! 邪仙よ報いを受ける時っす!」
ここで避けてしまったら宝貝じゃないと気づかれると、あえて攻撃を受けた衣更着は口の中に溜まった血を唾と共に吐いてから茶と同様の強力な毒を染み込ませた手裏剣を投擲する。
それらは邪仙の体に刺さらず強烈な打撃で跳ね返されたが、触れただけで皮膚から染みる、摂取した者の動きを鈍らせる毒は想定通りに邪仙の体を蝕んでいった。
「おっと、動けば動くほど毒が回るっすよ?」
「貴様……猪口才な真似をっ……!」
妖怪煙に隠れ化術と幻影使いで翻弄する衣更着の姿を邪仙は再び捉えることが出来ず、まるで涎のように全身の口から血の筋が滲みだす。
衣更着は綿ストールを首から外すと化術で鋼糸に変え、愚鈍になった邪仙の体に巻き付けてその動きを拘束しにかかった。
成功
🔵🔵🔴
アラタマ・ミコト(サポート)
|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。
此度は妖討伐の任を受け馳せ参じてございます。
極楽浄土より持ち帰りし法具の力を開放いたします。
活路は切り開きませたでございましょうか?
「|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。此度は妖討伐の任を受け馳せ参じてございます」
「妖か」
一礼するアラタマを邪仙は毒によって込み上がってくる血の味にむせかえりながら、忌々しそうな目で睨みつける。
「ならばあの我に毒を盛った狸をすぐにでも退治してもらおうか」
「いえ、討伐するのは貴方でございます」
アヤカシエンパイアで膨大な神通力を持って生まれたために仏法の為に生きながら屍となった|即身仏《アラタマ》と厳しい修行の果てに仙術と不老不死を獲得した|仙人《一角》は非常に似た経歴を辿っていると言えよう。
違うのはその力を向ける対象が違った、|一文《それ》だけだ。……だがそれには天と地ほどの差があった。
「力を向ける方向が分からず、人を傷つけるのは獣と等しくございます。故に荒魂鎮神命は貴方を討ちましょう」
真っ直ぐ曇りなき眼で告げるアラタマに邪仙の表情が歪む。
「しかし此度は貴方を人柱にしなければなりません。このまま毒に蝕まれて途中で頓死してしまえば大変なことになりましょう。ですから……まずは真の獣になっていただきましょう」
「ぐぶっ」
邪仙の頬が不意に膨れ上がる。込み上げてきた何かを食い止めようとしているのか、手で頭の口を覆い隠すがそれ以外の口が早々に陥落した。
苦しそうにのたうち回る蚯蚓の体のあちこちからも蓮の蕾が顔を出す。開くたびに体を蝕んでいた毒と正気を保つ意識は花を咲かすための栄養として吸収されていく。
そして大輪の花が咲き誇ると抵抗する動きもすっかり落ち着いて、新たな栄養を求めて徘徊する天上界の獣へ変じた。
成功
🔵🔵🔴
シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!
人柄
普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します
心情
仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています
基本行動
味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します
一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします
またUC【贖罪】により楽には死ねません
ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います
戦闘
味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用
戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます
「お待たせいたしました! こちらが今回の渾沌化オブリビオンですね!」
邪仙が正気を失ったことで、常人ならば近づくことさえ叶わない水銀の渦はもうない。駆け付けた首塚の一族はこの機を逃すにはいけないと着々と鎖の形成を始める。
鋼の糸に絡み取られ、全身から噴き出した花や蔓を纏い、前にも後ろにも行くことが出来ずゆらゆらと蠢くしか出来ない邪仙を前にシホは何とも言えない表情を浮かべていた。
人々を兵馬俑オブリビオンに変えて意のままに操ることが出来る邪仙を討つ、これは大儀である。
しかしその邪仙を首塚の一族の帰路を構成するための鎖に永久に繋ぎ止める行為、それは我々の身勝手であったからだ。
「うわっ!?」
突然上がった悲鳴にシホは自問自答から意識を取り戻す。そこでは異形の蚯蚓が暴れ出し、首塚の一族に襲い掛かろうとしていた。
蚯蚓は渾沌化オブリビオンではなく、それに飼われていた獣。故に猟兵達の攻撃対象であったが、首塚の一族の捕縛対象ではない。故に拘束が邪仙よりも少なく、逃れられてしまったのだ。
自らの体から枯れ落ちた蓮の花弁を轢き潰し、蚯蚓は首塚の一族を薙ぎ払おうと鎌首をもたげる。しかしそれによって晒された鋼の鱗の境目に銀の弾丸が突き刺さった。しかし一発二発ではその巨体を止めることはできない。
「蚯蚓さんは飼い主を助けたいだけ、それは分かります。ですが、首塚の一族の一件があろうとなかろうとここで止めなければいけないの。……『咲き誇って!私のエーデルワイス!』」
シホが掲げた二丁の拳銃が形を崩し、白銀のエーデルワイスの花弁となって離れて蚯蚓の体を覆い隠す。
全く前が見えない花吹雪の中で蚯蚓は最期まで暴れ回り、周囲の木々や岩石を打ち砕く。しかし終ぞその暴風の中を越えることは出来なかった。
花吹雪が止み、シホの手元に拳銃が戻ってくる。蚯蚓の姿はもう、この場にはなかった。
鎖が締められる音が響き、花が枯れたことで正気を取り戻した邪仙の苦悶の声が聞こえてくる。シホは蚯蚓の冥福と邪仙への赦しを乞う祈りを天に捧げた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『エンパイアロールを巻きましょう』
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POW : 力いっぱい巻いてみる
SPD : 巻き方は技術だよ
WIZ : 願いを込めて巻いてみる
イラスト:うさねぎ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
楽浪郡にはサムライエンパイアからの転移者やその子孫が集まる、彼らの故郷の原風景を再現した町が数多く並んでいた。そんな町の一角で斎藤・福はある物を見つけた。
「わあっ、見てください! のり巻きですよ!」
「ノンノン、おねーさん、これは『エンパイアロール』ね」
売り子はそう言って舌打ちをしながら人差し指を振る。どうやらこの街で「のり巻き」は独自の進化を遂げて「エンパイアロール」となったらしい。
「エンパイアロールですか……」
心無ししょぼんとして尻尾を垂らした福と共にこの街を探索するもよし、首塚の一族の面々と相互理解を深めるもよし、エンパイアロールを食べて小腹を満たすもよし、全てはこの場にいる猟兵達次第である。
饗庭・樹斉
これでまた一歩帰還に近づけたね!
一仕事終わったしゆっくり休んで次の戦いとか旅に備えましょー!
にしてもエンパイアロール…海苔巻きあるなら稲荷寿司も別名であったり?
少ししょんぼり気味な福さんお誘いしてこの街の観光したいかな。
偉い人だし失礼しないように注意。
名前が違うのはなんか残念…でも味とか作り方はそのものかも?
サムライエンパイアにも地方で具とか味とか違う海苔巻きもあるでしょうし、バリエーションって感じで頂いてみるのはどうでしょうかーと提案。
実際どんな風に変化してる感じなのかなー…自分で巻ける場所あれば大外れは避け易そうだけど…!
そんな感じで少しでも休息楽しんで欲しいなって。
※アドリブ絡み等お任せ
「これでまた一歩帰還に近づけたね! 一仕事終わったしゆっくり休んで次の戦いとか旅に備えましょー!」
樹斉は大きく体を伸ばし、組んだ手を解く。
「にしてもエンパイアロール……海苔巻きあるなら稲荷寿司も別名であったり?」
「イナリズシ?」
「……ごめんなさい、私も分からないです」
だが売り子どころか福も首を傾げた。
油揚げを使った寿司が江戸時代の文献で出てくるのは黒船がやってきたのと同じ頃。異なる歴史を歩んでいる世界であれど、食の進展にそこまでの差異はないらしい。
「油揚げで飯を包む? できないね、ワタシタチの油揚げ、縦だけじゃなくて横にもとってもロング」
樹斉の説明を聞いた売り子は手で立方体を作りながら改めて否定する。どうやらこの楽浪郡では厚揚げのことを油揚げと呼んでいるらしい。
「そっか、ないのかー」
「残念でしたね樹斉様」
親しみやすい調子であるが、相手は上様の乳母にして大奥を統括する女傑。失礼がないように気をつけながら、樹斉は福に話題を振った。
「サムライエンパイアにも地方で具とか味とか違う海苔巻きもあるでしょうし、バリエーションって感じで頂いてみるのはどうでしょうかー。名前が違うのはなんか残念……でも味とか作り方はそのものかも?」
「そうですね。江戸では干瓢を巻くんですが、大坂ではもっとたくさんの具材を一度に巻くのだと聞きました!」
手を合わせるとほぼ同時に少ししょんぼり気味だった尻尾がピンと張る。すると売り子が自分の背にある建物に親指を向けた。
「エドとオオサカは分からないけど、干瓢はあるよー。巻いてく?」
どうやら具材を選ぶだけでなく、自分で巻くことも出来るらしい。これなら未知の食材に不意に出くわすことは無さそうだ。
「私、巻いたことはないんですが、素人でも出来ますでしょうか」
「いっぱい欲張らなきゃダイジョブよー。2名様ごあんなーい」
半ば押されるように案内された樹斉と福の前に酢飯と海苔、そして直方体にカットされた具材が並べられる。
「へぇ、揚げ物とかもあるんだ」
|故郷の世界《サイキックハーツ》でも割と珍しい部類に入るトンカツを眺めていると福が悲鳴を上げた。
「な、生魚も巻くのですか!?」
冷蔵技術がそこまで発達してない世界かつ内陸の生まれである福にとって、魚の生食というのは馴染みのなかったようだ。
「はい、僕の世界だと結構定番の具材ですね。下手すれば干瓢よりも」
「干瓢よりも!? そうなのですね……」
樹斉の証言を聞いて、福は生唾を飲み込んでじっと赤色のサクを見つめる。じっと眺めていた売り子は焚きつけるように口を開いた。
「マーマー、ここはチャレンジね。新しい物を知るチャンスと思って」
「……そうですね、ではこのお魚をお願いいたします!」
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ(サポート)
「オー! ワタシはバルタン・ノーヴェ、デース!」
日常を満喫しマショー! アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
得意な技能:【奉仕・料理・掃除・裁縫・救助活動】デスネ!
たぶん戦闘はないと思いマスガ、バトルの時は元気に暴れマスネー!
料理が得意ですが、奉仕や救助活動(介護や子守り含む)といったメイド・アクションも可能デース!
にぎやかしとしてワイワイはしゃいでもOK!
こっそり裏方で労働に勤しんでもOKデース!
他の猟兵の方々と楽しめるように努めてマース!
公開UCやバルタンズ、アイテムの使用も問題なくOKデスヨ!
よろしくデース!
「海苔巻きならぬエンパイアロール……ワタシタチも負けていられまセーン!」
「バルー!」
謎の対抗心を燃やしたバルタン達は自前のキッチンカーに飛び乗ると何やら作業をし始める。そして見慣れない|屋台《キッチンカー》に町の人々が集まり出したところでバルタンは渾身の一作を披露した。
「海苔はご飯に絶対に巻かねばならぬと誰が決めた! エンパイアロールとは別の進化を辿った巻き寿司、カリフォルニアロールデース!」
それは海苔を食べず嫌いして剥いでから食べていた外国人の姿から発想を受けて作られた、具材と海苔をご飯で「裏巻き」にして、白ごまやとびっこを外側にまぶした一品であった。
「かりふぉるにあ?」
「なんか珍妙な見た目だな?」
聞き馴染みのない単語とビジュアルに、ずっと海苔巻きで育ってきた町民は興味を持ちはすれど手を伸ばそうとはしない。しかしここでバルタンの手は止まらなかった。
「まだまだ終わりまセーン! この上に……森のバターをプラス! チェンジ! キャタピラーロール!」
等間隔に切ったアボカドの実がカリフォルニアロールの上に乗せられる。
「続きましては、カモン、レインボーロール!」
さらに間髪入れずにゴマを纏った酢飯を覆い隠すようににさらに魚の切り身を巻かれて味の層を増やした巻き寿司がキャタピラーロールの隣に置かれた。
「さぁさぁ、今日限りの出店デス! 外の世界の巻き寿司3種、とくとご賞味アレ!」
カリフォルニアロールを載せた皿と箸、醤油を携えたミニバルタン達が一斉にキッチンカーから飛び出す。
「バールー」
試食ですどうぞ、と言わんばかりに差し出されるカリフォルニアロールを町民は恐る恐る口に運び、目を丸くしていた。
成功
🔵🔵🔴
家綿・衣更着
アドリブ歓迎
エンパイアロールおいしそうっすね!
斎藤・福さんら首塚の一族の方々にどんな具が好きか聞いたり、サムライエンパイアの海苔巻きとの違いに驚いたりしつつエンパイアロールを楽しむっす。
中華具材もおいしいけど、油揚げを巻いたものがないのは残念っすね(厚揚げを食べつつ)
瑞獣の人達は油揚げ食べないんすかね?
サムライエンパイアも封神武侠界も、外には海しかないんすよね。
もとから海だけなのか、本当は外の世界もあったけど失われのか、興味は尽きないっす
UDCアースだと九尾の狐と伝わる妲己の種族も妖狐じゃなく瑞獣なのは違和感っすね。
無事に福さんたちがサムライエンパイアに帰れるように帰還の準備もお手伝いっす。
「エンパイアロールおいしそうっすね!」
他世界で言うところの「鉄火巻き」を食べて耳をピコピコ動かす福を別の席から眺めていた衣更着は隣や対面に座る首塚の一族の面々に話しかけた。
「ちなみに皆さんは巻き寿司だと何が好きっすか?」
「いや、俺はこれが初めてだ」
「俺はあるけど特段好きなわけではないな……家でわざわざ酢飯なんて作らないし、外仕事の時は基本おにぎりだし」
どうやら首塚の一族では白米が一般的で、巻き寿司はそこまで普及していないらしい。
「なるほど。じゃあ……」
おにぎりの具材は何が好きか、という質問を投げようとしたところで店員が皿を持ってきた。
「お待たせねー、シンコのエンパイアロールと、家常豆腐ですー」
沢庵とは色が違う漬物が巻かれた寿司の隣に、衣更着の認識では「厚揚げ」と呼ばれる物が薄切りの肉と野菜と一緒にタレを絡めながら炒められた料理が置かれる。
「これがワタシタチの油揚げの料理ね。どうぞごゆっくりー」
さっそく自分の取り分をレンゲでよそい、箸に持ち替えてから口に運ぶ。すると豆板醬系のちょっとピリ辛な旨味が口の中に広がった。
「中華具材もおいしいけど、油揚げを巻いたものがないのは残念っすね。瑞獣の人達は油揚げ食べない……ってことはないっすよね。これがあるわけだし」
「ああ、俺聞いたことあるわ。油揚げって、坊さんが肉の代わりに食ってた厚揚げをより肉っぽくするために薄く切って作ったって」
「へぇ……! ってことはおいらの知ってる油揚げは日本で作られたってことっすか!」
首塚の一族からの蘊蓄に衣更着は目を輝かせる。ということはエンパイアロールを広めた人物は僧侶ではなかったのかも、と頭の中で考察が捗る。
「おや、兄ちゃん。こういうのが好きなタチかい?」
「そうっすね! よく分かってないことを知っちゃうと、どうしてそうなったのか、どうして伝わらなかったのか、って考え出しちゃって……でも、それを考えてる時ってとってもワクワクしちゃうっす!」
嬉々として喋り出す衣更着の様子に、首塚の一族は微笑ましい視線を送る。
「じゃあ俺らの世界とか、この世界の考察とかもやってるのかい?」
「もちろんっす! 例えば……サムライエンパイアも封神武侠界も、外には海しかないんすよね。元から海だけなのか、本当は外の世界もあったけど失われたのか、興味は尽きないっす。あとUDCアースだと九尾の狐と伝わる妲己の種族もここでは妖狐じゃなく瑞獣なのは違和感っすし」
「あー、それって他の世界の上様が羅刹じゃなくて人間として生まれ死んだってのと同じか?」
「え、なんで知ってるんすか!?」
「いや上様が福様に『見てください』って別世界の上様に関する読み物を持ってきたのを見てな?」
そうしてエンパイアロールをつまみに、様々な事柄に対する論議がしばらく繰り広げられたのであった。
大成功
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