届かぬ先、|唯一の光《CallSine》
●光或る処に影は在り
ネット上でもそうじゃなくても、輝いてる人はどこでも目に入る。そんな人々にあこがれた有象無象。その中にいる私。今では思い出せない記憶。小さい頃に偶然見かけた|その存在《アイドル》に心から惹かれ、放たれた光に脳を焼かれてしまったのだろう。夢と希望の光を受け取ったと言えば何ともロマンチックに聞こえてるでしょう。
私も憧れに背を押されて様々な事を試した。やってみたの。でも…現実と言うのは非情である事しか教えてくれなかった。私の何がいけなかったのかも教えてくれないのに、口先だけで放たれる罵声と嘲笑、そんな私と対照的に何をやっても黄色い声に包まれてる有名人たちに嫌気が指す。
晴れない気を変えれそうと公園に来てみたが、陽の光も穏やかな風も感じられない、感じさせてくれない程に、胸の奥底に溜まった汚泥が、ヤニめいた粘っこい感情から聞こえる慟哭が、体を内側から塗りつぶされる感覚が止まない。視界の隅に映るクラシックなメイド服の白がまぶしく見える。私が欲しかったのはなんだったのかな。
揺れる草原の真ん中で少女がへたり込む。息は荒く、零れる涙が徐々に黒く、黑く…。
地を跳ねた涙は、草原を波紋めいて黒く染め広がり──地を覆ってく。
●草を揺らす風が伝える物は
「猟兵さん、新しく見つけたアイドルの世界って知ってます?」
『そこでこう…なんかすごい危ない感じの人を見つけたのです。』
グリモアベースに集まった者達を一瞥してあくあ、あるまは話し出すと同時にドローンがホログラムを展開する。映るのは二つの駅間を埋める程の広さを持つ超巨大な公園で、遊具とかよりも木々や草原が広くあるタイプで、冬が終わり、三寒四温の続く春前で青々とたくましく広がる芝生が綺麗な公園だった。
「場所は東京にある大きな公園で、重たい心を抱えた人を中心に骸の海が溢れて大変な事になっちゃう感じです。」
『しかも溢れた骸の海は公園の人を巻き込んでしまうんですが…その、誰がその人なのかが良く見えなかったの…』
非常に広大な公園のどこかに居る事しかわからない「後手」の案件ではある模様。
ドローンが映像を変える。キャンピングカーと、クラシカルなメイドの装いに身を包む、萌え萌えキュン方向ではない、真逆の正統派な方々がキッチンに奉仕を行っている様子が映し出された。
「でも、行った先ではメイドさんのイベント?がやってて、公園でピクニックみたいな事とか、そんな感じのしてるのです。」
『その人がそこに来るかはわからないですが、普段から戦ったりいっぱいしてるのでちょっとゆっくりしてみるのどうです?』
「多分、その人もお散歩とかそういう感じで来るはずです。どす黒い感情も一緒に抱えたまま、溢れ出してしまうのですが…」
『それを防ぐのは無理そうです。なので…助けてあげてください。彼女の心を照らしてあげるように、です。』
話し終えたあくあ、あるまはアイコンタクトを交わし、慣れた手つきで空間に穴をあけ、輝くグリモアが穴を転送門へと変えた。
悲哀の言葉は青色で、心を満たす血潮は|赤紫《マゼンタ》。憧れの筈の黄色い光が、混ざり混ざって、黒に堕つ。
chankori
プリキュアやアイドルアニメを見た事ないので初投稿です。
chankoriと申します。新世界きましたね。まぶしい
よろしければお好きな曲の要素(ジャンル?)をくれたら嬉しいです。聞きに行きます。
この度のシナリオでは、有象無象の雑言に塗りつぶされ、慟哭を上げる堕ちたアイドルの種たる少女を助けるシナリオです。
そんな心には歌が必要だってプ〇セカの映画で言ってましたので歌ってきてください。
ちなみに例の子の名前は「三好 ミカ」。名前で呼んであげてください。ぶっ刺さるはずです。
●第一章
この公園に例の子が来るらしいですが、まだ来てません。ゆっくり待つとしましょう。
クラシカルなメイドさんに、メイドさんが営業してるキッチンカーも来てるらしいです。
●第二章
例の子を中心に広がるアイドルステージ。
彼女の歪んだ欲求が具現化してるのせいか、とてもたくさんのメイドさんが。
●第三章
取り巻きのメイドさんをどかしてついに例の子に接触。
同じくアイドルステージ上での戦闘です。
彼女の心を濁らせた三原色を、光に変えてあげてください。
第1章 日常
『一休み』
|
POW : 食事や睡眠などとにかく回復
SPD : 自身の趣味に没頭
WIZ : お忍びでどこかに遊びに行く
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天気は快晴。春の前だからか、ぽつりぽつりと咲いた花が道を飾り、時折吹く風が色を取り戻す芝生を優しく揺らしている。道行く人は各々の目的で道を行き、子供と子犬が芝生を駆けまわり、幼馴染の様に見える少女たちが歌を謳い、ベンチに腰を掛けるご老台の方々がおしゃべりを弾ませて茶を飲む。平和そのものと言える空間が広がっていた。
予言では姿がはっきり見えなかった彼女…「三好 ミカ」と思われる、暗い雰囲気の子はどこなのか。2つの駅の間を占める広さの公園で見つけるのは骨が折れる作業であろう…ただ、見えた光景では、人が少ない芝生の中心でうずくまり、嘔吐き、涙を零していたのだ。他に見えた内容は、クラシカルなメイドさん達がやっていたキッチンカーと、給仕する様子。
ただ、そのキッチンカーを見つけたとて彼女がすぐ近くにいるかはわからない。だからこそ、嵐の前の静けさともいえる平穏な公園で英気を養ってからでも…遅くはならない。
グリモアの先に集ったのは、幾度の世界を乗り越えた者達。または、真に星に願いを掲げて光に身を宿した救世のアイドル達だから。
熊ヶ谷・咲幸
「わぁ、都会の中にもこんな原っぱがあったんだ」
公園にやってきて、そんな感想を漏らすのはあたし熊ヶ谷・咲幸。もうすぐ中学1年生。アイドルとしてお仕事頑張ります!
「でも、とりあえず待てばいいんだっけ?」
とりあえず、キッチンカーでメニューでも
「えへへ、キッチンカーでお買い物なんてオシャレな体験初めてだな〜」
ホットドッグを買っていざ食べようとしたら、力みすぎてソーセージが元気よく射出!
「ああああっ!?」
落下前にキャッチ、もしくは3秒ルール……とか思いつつ飛んでくソーセージを追いかけるが、横からワンちゃんが飛び出して掻っ攫われる
「あああああああ!!」
芝生の中心でうずくまり、慟哭し、涙を零していたのだった
●のどかな風景にこそ
「わぁ…都会の中にもこんな原っぱがある場所、あったんだ~…」
晴れ渡る空の下、優しく吹く風に揺れる芝生が広がる公園に女の子が一人、もうすぐ中学1年生になる熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)がゆったりと歩いていた。田舎暮らしが長かった彼女であっても、コンクリート等で舗装された都会の中に広がる草原たる風景は、また違った新鮮さを味わわせてくれていた。
「予知にあった彼女…ミカさん、だったよね。でも、こんな広いと見つけるのも大変そう…」
軽く周囲を見わたせば先の予言に合った人々の他に、犬の散歩をしている人や、ランニングコースを回る男性も見えた。如何せん人数も種類も多く、誰が「彼女」なのかを今判断するのは難しそう…と思う中、ふとキッチンカーが目に留まる。
「とりあえず、待ってみればいいんだっけ?」
キッチンカーに向いた目線が反射的に時計へ向くと、ちょうど11時半頃。時間も丁度良いし、ただ待つだけなんて味気ない。
軽快な足取りでキッチンカーに並んでいる列の最後尾へ。財布の都合も特に大丈夫そうだし、なにより腹が減ってはアイドルも出来ぬとはどこかの本にも書いてあった…筈。
「えへへ~…キッチンカーでお買い物なんてオシャレな体験は初めてだな~…♪」
並んでしばらく後、咲幸は草原に小さなクッションを置き、キッチンカーで買ったホットドックを手に、風と共にるんるんと揺れてご機嫌な様子で座っていた。心地よく吹く風がホットドッグから出る湯気をひゅぅぅと揺らし、芳醇な匂いがふわっと広がっていくのを感じる。匂いの次の主役たる味わいの為、一口…握りこんで口を開けたその時──
すぽっ
「…?」
ホットドッグの間から何かが滑った。いや、飛んでった。
しっかりと前を見据えれば、手元にあるべきソーセージが陽光を反射していつの間にか空を舞っていた。
「わあぁぁぁぁぁ!?!?!?」
あまりにも見事な跳躍。まるでソーセージから「じゃあの」というセリフが聞こえてしまいそうな程に綺麗な軌道で空を駆ける。
(…落下前に取ってしまえば!…いやもしくは三秒ルール…)
後半は確実にアウト。アイドル的にアウトなのは置いといて身体はすでに動き出していた。ソーセージの抜けたホットドッグを開く様に構えて落下地点を予測して手を添える──
一瞬、影がよぎったのが見えたが…そんな事よりも案外いい感じにソーセージが落ちてくる──!
「やった…!これでセー──」
安堵したのも束の間、先ほどの影がよぎった方より丸っこい影が飛んでいた。
先のよぎった影の方より、ホットドッグ(ソーセージ欠)の上を、コーギーが綺麗なジャンプをしていたのだ。
「あ──!」
呆気にとられるその刹那、逆光に照らされたコーギーは、自由落下体勢に入っていたソーセージを完璧な予測跳躍を以って、キャッチしてしまったのだ。
ぽすっという音は可愛い足音か、はたまた芝生に落ちたフリスビーの音か。獲物を捕らえたコーギーは満足気に飼い主の元へUターンして戻って行った──
「ぅ…う…うわぁぁぁぁぁぁん!!」
芝生の拡がる公園の真ん中で取り残された咲幸は、重なった理不尽に耐えきれず涙を流していた。
「ちょっと、何でソーセージを…?あっ…」
咲幸の元に駆け寄って来たのは件のコーギーの飼い主さん。涙を流す咲幸に対してハンカチを渡していただいたことに加え、少しお話をしたりしたら、先のホットドッグをもう一個買っていただける事になりました。
咲幸はこれからいろんな事を体験するお年頃、今日みたいに理不尽に見舞われる日もありますが…悪い事があった後には大体良い事もあるはず。
この後も…もっと良い事があるはずですね。そうだよね、ポメ太郎?
「?」
コーギーがこっちを向いていた。ちゃう。あんたはコーギーや。
大成功
🔵🔵🔵
咲村・菫
キッチンカーで食べ歩き……学生時代を思い出します♪
(主にマラソン大会をサボって買い食いをしていた)
とりあえず、定番のホットドッグからいただきますね
あ、でも、デザートの分のお腹を空けておかないと!
クレープが食べられなくなったら大変です
お土産には、メロンパンでも買って帰りましょう
十分に堪能したら、芝生で一休み……ハッ!
な、なんだか、たくさんの鳥さんが集まっている気が……
「こ、これは私のおやつです! 絶対にあげませんよ!
迫りくるカラスの群れからメロンパンを死守するべく逃げ回ります
箒を振り回して追い払いますが、メロンパンを守れるかどうかは運次第?
●春のそよ風は何を運ぶか
各々がのびのびと憩いの時間を過ごすそよ風の心地よい公園を、咲村・菫(ハナの妖精さん・f43842)は風景…よりもキッチンカーのお品書きに目を向けていた。
「キッチンカーで食べ歩き…懐かしいなぁ…学生時代を思い出します…♪」
かつて通っていた武蔵坂学園にあった行事の一つ。菫が浮かべた光景は秋の運動会シーズンにあったマラソン大会…なのだが、どちらかと言えば道を逸れ、赴くままに美味しいごはんのキッチンカーの並ぶ公園へ向かっていたとか。かつてと同じくキッチンカーの列に並ぶ背格好は変わらないのかもしれない。
その頃に培っていたセンサーは衰えず。財布の紐が緩む音と共に選ばれたのは定番を行くホットドック。案内された席に着き、運ばれてきたそれを受け取る。時折吹く優しい春風に流されてきた他の方の料理の香りもまた、このような場所で頂く事の特別感をより一層引き立てていた。
そんなよそ見も控えめに、受け取ったホットドッグをはむっといただく。程よい温度になった肉汁と、柔らかなパンの芳醇な味わいに頬も緩くなる。
「むふー…美味し…♪…あ、でも…デザートの分のお腹も空けておかないと!」
先のキッチンカー以外にも春の陽気に誘われたのか、他のキッチンカーや屋台が出店しているのが見えた菫は、今頂いているそれ以外に何を頂くか。特に好みのクレープだったら何を頼もうか…と考えながら、ゆっくりとホットドッグに口を付けた。
暖かなホットドッグを食べ終え、広々とした公園の道にぽつぽつと出店する屋台を見ながらm時折頼みながら公園を歩む菫。思い出の中にあるマラソン大会の様にではなく、一人の休日として歩む光景はまた違った色合いを映しだしていた。
途中で買ったクレープの包み紙を折りたたんで小袋にまとめ、ちょっと高級なメロンパンの包みを抱えながら公園の景色を一通り堪能した菫は、個人的に一番と思った公園の芝生で一休みしていた。
「うーん…すごい久々ににたくさん歩いたなぁ…」
ゆったりとした姿勢で一言、誰に伝えるわけでなく、風に乗せる様に呟いた言葉に意図せずカァと返事が返ってくる。
「うん…。うん!?」
驚きつつも返答が来た方向を向くと、毛並みの綺麗なカラスが2羽、割と近くまで来ていた。そのカラスは菫の顔と抱えるメロンパンの包みを交互にちらちらと見ている。
「ごめんね、これはだめですよ」
視線を察した菫は優しく声をかけて数歩横を離れるが…そんな彼女に対してぴょんぴょんとカラスは近づいてくる。動いた時に少し開いたのか、包みから漏れたように香りがした。
「こ、これは私のおやつです!…絶対にあげませんよ!」
メロンパンの包みをカラスから遠ざける様にスッと持ち上げた菫だが、それを追う様にカラスは座る菫の足の上にぴょんと乗ってくる。想定以上に距離感の近いカラスに菫もびっくり。
「わぁぁ!!だめですって!これは帰ってからのお楽しみなんですー!」
軽く足を動かしてカラスをどかした後に駆けだす菫。それに動じずカラスは羽ばたき彼女を追う様に飛び立った。
たまに「わぁぁ!!」と可愛げのある悲鳴も聞こえた公園。菫は愛用の箒を軽く振って追い払おうとするも、空を自在に駆けるカラスは見事に回避して彼女の周りを飛んでいた。彼女のメロンパンの無事や如何に…。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『アイアンメイデン』
|
POW : それが私のメイド道!
【全てのメイドの頂点に立ちたい】という願いを【ライブステージやその配信を見ている観客】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD : メイドは一日にして成らず
1日8時間以上【ライブステージやファンサービス】を行うと、次の日の[ライブステージやファンサービス]の成功率・効率・芸術性が3倍になる。
WIZ : メイド冥利に尽きる
【自身のコラボ商品(主に飲食物)】を給仕している間、戦場にいる自身のコラボ商品(主に飲食物)を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
イラスト:川上らいと
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
日が真上からほんのり傾いたお昼過ぎ。風景の平和さは変わらないが、主観的に割と不穏な目に会う子も…なんてあった公園。
そんな公園の一幕…猟兵達も御用達になっていたメイドさんのキッチンカーの近くを歩く一人の女の子。服も乱れておらず、遠目から見ても整っていると形容できるその見た目の子でも、表情は暗く、目からは光が喪われていた。先の予言での話では出てきていなかった彼女「三好 ミカ」その子であった。
不安定な足取りで歩くミカは、少し離れた草原の中心で、耐えかねたが如く急にへたり込んでしまう。ふと顔を抑えるその手から見えた雫は、墨の様に黒かった。
覆う手から溢れた雫が地の草原に零れたその瞬間、広まった何かに周囲は上書きされた。
ミカを中心にして広がるステージ。囲む観客は非ずとも、中心で変わらず座っている彼女の傍らには多数のメイドたちは彼女を囲み歌を口ずさんでいる。
メイドたちを見るミカは一見、望みがかなった様な笑顔が見えたが、その目に光は無かったのだ。
骸の海で映し出された偽りの「導き」。彼女が抱えた物の深さは筆舌に尽くしがたいものであるがそれは彼女の救いにはならない。闇に濁った彼女に光を、道を照らすための燈火を。手遅れになって全てが閉ざされてしまう前に──
流れ星が、煌きだす。
熊ヶ谷・咲幸
アドリブお任せ
ついに来たみたいですね。予知に出てた子が
「アイドルの出番ですね!」
流れ星に願いを込めていざ変身!
「掴め、希望の元気星!チアフル⭐︎クレッシェンドただいま参上です!」
まずはミカさんと話をする為にもメイドさん達にどいてもらわないと
「ここを通してくださぁい!」
相手のUCで行動速が落ちてなかなか辿り着けなくなる。コラボ商品を楽しむとミカに話しかけられなるのジレンマに苦しむが
「とにかく、どいてくださぁい!」
UCによる【怪力】での力技で空間をかき分けでこじ開けて進み、メイドさんに
「後で助けるので、今は大人しくしていてくださぁい!」
と、バックドロップで地面に埋め込んで邪魔されないようにします
「ついに来たみたいですね。予知に出ていた子が…!」
三好ミカとその周囲の状況の異変に気付く。先の公園を楽しんでいたアイドルの一人、熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)がいた。
ミカの周囲を占める状況を見て思った事は一つ。彼女の闇を晴らすのは咲幸が昔に受けたのと同じ、アイドルの光であると──
「…あなたの灯りになれますように…!」
手を握って小さく祈る。すると暗い色のステージの周りに一つ、流れ星が煌いて現れたのはミカの場と似た様なアイドルステージ。対象的にとても明るく、周りには彼女のファンたる概念のペンライトも浮くステージの中央には、先程まで可愛げのある泣き顔を浮かべていた顔とは違う、その身に明かりを宿した様な衣装に身を包んだ咲幸が居た。
「掴め、希望の元気星!チアフル⭐︎クレッシェンドただいま参上です!」
実際の声は非ずとも、彼女の周りのステージからまるで歓声の上がった様な暖かさが拡がる。
その優しい温もりがミカを包む偽りの「導き」たるメイドたちにも届き、多数のメイドの視線が咲幸に向けられる。
それに構わず、ミカの元へ向かおうと駆け出す咲幸、その身に宿した光を感じ取った囲むメイドたちは咲幸を阻む様に並びだして──
「私はミカさんとお話に来たんです!ここを通してください!」
阻むメイドたちをどかして進もうとしたその瞬間、メイドの肩を押したその手は素早い動きで避けられ、反対にメイドたちから押されて数歩下がる──
「…!!」
見た目以上に速いメイドの動きにびっくりする咲幸。否、メイドたちが早いのではない。咲幸の方が|遅く《・・》されたのだった。
メイドたちが展開した|力《UC》によるものである。咲幸の視界外でメイドたちが嗜むは春に合わせた丁度良い暖かさの紅茶。広がる香りに不快なモノは無く、優しい香りが場に広がるミカのステージでは、複数のメイドたちが代わる代わるに紅茶を嗜んでは咲幸を少し後退させるという所作も行動も綺麗な空間が広がる──
ちなみにミカも同様に紅茶を嗜んでいた。その手に取るカップはキッチンカーで提供されていたのとそっくりで。
「むぅ…ちょっと羨ましいです。でも!今は…」
代わる代わる現る複数のメイドたちに咲幸は手を伸ばす──
「とにかく!どいて!くださぁい!!」
指が届いたのはメイド服の袖の端。狐を摘まむ様に端を捉えた所、圧倒的な腕力で一気に咲幸のペースで引き込む──
服の端から腕、腰へ、くるりと体重移動を兼ねた足取りと共にメイドを一人、身体を背後より捉えたら──
「もう…!とりあえず!!なんとかなれーっ!!」
肩を抱える様に手を掛け、もう片方は腰に添えて持ち上げるように、体幹の捻りを加えて勢いよく持ち上げたメイドを容赦なく地面へ叩きつける──
「そー…れっ!!」
重たい衝撃音と、周囲全員が数センチ飛び上がる程の強い衝撃波が拡がる。投げられたメイドは頭部が肩まで地面に突き刺さる様相で止まってた。
その様子を見ていた周りのペンライトがまるで褒めるが如くわーっと揺れる。
「わっ…。えっと…後でまた助けるので、今は大人しくしててください!」
埋まったのを見た咲幸はちょっとびっくり。埋まるのは予想外だったみたいで、口先が若干もにょるが…今は気にしてはいけない。今は|彼女《ミカ》の元へ向かうのが最優先だから。
先のメイドが刺さる様子を以っても、変わらず他のメイドたちが向かってきた。しかし先の一手でコツをつかんだか、技巧と速さを駆使するメイドたちの隙、速さに遅れた服を掴んでは咲幸のぺースへ持ち込む投げへ。
初手のぎこちなさは何処へやら、一人ひとり確実に|大人しく《・・・・》させていく──
大成功
🔵🔵🔵
咲村・菫
心に闇を抱えた人がオブリビオンに?
私達の闇堕ちと似て……いえ、周りまで一気に巻き込む分、闇堕ちよりも性質が悪いですね
本当なら、私も真の姿になるべきなんですけど……ステージの上で、あの姿(人間の鼻から手足の生えたナマモノ)になるのは恥ずかし過ぎます
パフォーマンスにも自信ありませんし、ここはインパクト勝負ですよ!
鋼のクマさんを巨大化させて大暴れさせます
巨体を生かしたボディプレスに、腕力に任せたパンチ攻撃
「このクマさんの中身は砂鉄です! 当たると重いし痛いですよ!
弱ったメイドさんから、天高く放り投げさせちゃいましょう
周りに味方がいないなら、3連続の無差別攻撃で大暴れです!
また一人、|三好ミカ《彼女》へ救いの手を伸ばさんとしていた咲村・菫(ハナの妖精さん・f43842)は、いつの間にか顕現していたアイドルステージに立っていた。慣れない場所に戸惑いつつも、|三好ミカ《彼女》の居座る場所見ると共に、今起こってる現象に既視感を感じていた。
「心に闇を抱えた人がオブリビオンに…?灼滅者の戦っていたダークネスと似てますが、周囲を巻き込む分闇堕ちよりも性質が悪いですね…」
菫もかつてはその灼滅者の一人であったが故に思ったことは昔と変わらない。|ミカ《彼女》を堕とすその闇を撃破するのだと。
そんな菫に気づいたメイドたちは他の猟兵と同様に止めようと迫ってくる。
未だ普段着のままの彼女は|まだ《・・》この世界のアイドルの様に慣れない事に加え、パフォーマンスにあまり自信がないとは本人の言故に、取った一手はインパクト勝負であった。
そこで取り出したのは、可愛らしい熊のぬいぐるみ。
「このクマさんの中身は砂鉄です!当たると重いし痛いですよ!」
その重たいぬいぐるみをぽーんと放り、魔法の杖を取り出して言を唱えた瞬間、ブワっと巨大化、自立する頼もしい味方へと変化した──
「私一人じゃできなくても…助けてくれる人がいるからここに居るのです!だから…全力で行って来てください!」
菫の言葉に応じた様に大きくなったぬいぐるみはそのかわいらしい見た目に反して重たく、パワフルながら素早い身のこなしと共にメイドへ自慢のパンチを放って止めるだけでない。ちぎっては投げを繰り返す大立ち回りを繰り広げる──
「私のくまさんは怒るととても怖くて…でも、とっても頼もしいですから!」
それを離れた位置で応援している菫。他のペンライトの者達と一緒に見守っている最中、ふと自分を見に来てくれた様に見えた灯かりたちへ優しく手を振れば一際大きく盛り上がる。その瞬間、大立ち回りを繰り広げるクマのぬいぐるみの動きのキレが増した──
たとえ行動が小規模だとしても、闇に飲まれた物へ屈する事無く、その者達への救済の為に動くその心意気は、替え難き灯かりに間違いないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
エリス・シルフィード(サポート)
『それじゃあ皆、宜しくね♪』
オラトリオの戦巫女×シンフォニア、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」、大切な人には「少女(わたし、あなた、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
猟兵達各々がそれぞれの得意分野を以って偽りの導きでミカを囲むメイドたちを退かしていく最中、アイドルステージにもう一人、闇をものともしない純白の翼を広げたオラトリオ。エリス・シルフィード(金色の巫女・f10648)が柔らかな灯りを放ちながら現れた。
気品ある立ち姿と放たれる光。まだ行動を起こしていないにもかかわらずペンライト達が大きく振るわれている。
「わっ…えっと…そんな喜ばれても何もでませんよ~…」
困惑の面持ちを上げる当の本人とは裏腹に、ステージの周囲の人たち…たるペンライトは、わぁぁっと揺れていた。
開幕から大歓迎ムードに包まれたエリスを見るメイドたち。視線と気配に応える様に振り向いたエリスは、メイドたちから感じた闇たるオーラを見抜くと共に、その先に囲われたミカの表情だけの笑顔。偽りに満ちた空間を見て、即座にやる事を確信する──
「…あの子…だよね。なら、私ができる精いっぱいをあげますね!」
当然エリスにやらせまいとメイドたちが床を蹴る。ユーベルコードの効果で移動速度が5倍近く違うメイドたちがエリスを抑えようとしたその時、触れる直前に白い光、具現化した聖なる浄化の炎がエリスに触れようとしたメイドたちの腕を覆う──
「ありがとう精霊さん。…アイドルとは違うかもしれませんが、あの子の為に歌います…!」
そのままゆっくりと歩を進めるエリス。彼女を止めようと迫るメイドたちは触れる前に浄化の炎で勢いを挫かれて横に逸れる。聖なる浄化の炎が照らし出した綺麗なステージの中心でエリスが奏でるのは人の心に寄り添う為の歌。距離が、心が離れていても関係ない。今まで彼女が救って来た数多の人達へ贈ってきた透き通る様に透明で、綺麗な歌声。
弘法筆を選ばずと言う様に、彼女は場所を選ばず。求める者へその歌声を奏で届ける人である。
そんな歌声が響き出すアイドルステージ。ミカの目には、ほんのりと涙が浮かんでいる様に見えた。
成功
🔵🔵🔴
ステラ・カガミ
状況がかなりまずそうだから急がないと。
……とはいってもあたしは歌姫や踊り子が本業で戦闘は苦手なのよね。
いくら相手がメイドとはいってもまともに行ったら数の差で取り押さえられるのが落ちだから、マザーズウィスパーで眠らせて無力化してやり過ごすわ。
マザーズウィスパーなら体は動かなくても声さえ出れば使えるはずだから。
あたしは踊り子兼歌姫、この世界はむしろあたしのためのステージみたいな物。
踊り子兼歌姫、ステラのステージを見せてあげる。
「状況は…かなりまずいみたいね…。」
それぞれの猟兵達が三好ミカを中心として広がるアイドルステージへ赴き、得意なパフォーマンスで襲い来るメイドたちを退けていく最中、新たに足を踏み入れる者が一人。ステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)である。その身を包む可憐な衣装は大好評。ペンライトの皆さまもより光を振っている──。
数歩引いた位置でステージを俯瞰するステラ。彼女の本業たる歌と踊りに自信があっても、実力行使の妨害ありとなれば話は別。
「あんまり…戦闘は得意じゃないのよね。メイド達の動きも妙に速いし…!」
そんな彼女の憂う様子もよそ目に複数のメイドたちが、彼女の行動を抑えんと迫る。メイドたちの展開するユーベルコードのせいか、行動は正確かつ素早く──。
「そうやって「実力行使」に出るのでしょう?それならあたしも|そう《・・》させてもらおうかしら」
軽く床を蹴る。迫るメイドたちを舞う様に避けながら、小さく呼吸を整える。その足取りはステージ上で披露する舞の如し、動きの速いメイドたちに対し、風に揺られるリボンの様に隙間を縫って身を躱していく。
ステージに響く靴の音、身を翻して扇を開く。それに構わずと迫るメイドたちに対し、ステラから聞こえて来るのは…まるで、親が子を寝かす為に歌う小さく優しい子守唄──。
歌が拡がるアイドルステージ、先ほどまで素早い動きを続けざまに繰りだしていたメイドたちが、ステラの近くへ踏み寄ったときには瞼を落として床に就く。
「あなた達の嗜んでいた紅茶、とても良い香りの物でしたね。出し続けるのは疲れるでしょう…。ごゆっくり。」
1曲歌い終えたステラが扇を閉じ足を止めて一礼すると、メイドたちは穏やかな眠りについたと共に、観客たちも大盛況といった風に、沢山のペンライトが称える様に暗い空間に各々の色の光が揺れていた。
ミカを囲っていたメイドたちは皆出払った様子で、先程まで覆われていたその姿を初めて目視で確認する。ステージの中心にいる彼女は、変わらず空を仰いで座っていた──。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『オブリビオン・アイドル』
|
POW : コール・オブ・ダークネス
【精神をかき乱す歌声】を放ちダメージを与える。命中すると【オブリビオン化エネルギー】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
SPD : ブラッククロス・リベレイター
視界内に【黒き十字の閃光】を召喚する。[黒き十字の閃光]はレベル秒間存在し、レベルm半径内の全員に【「骸の海」流出】の精神異常を与える。
WIZ : 暗黒の歌声
視界内の任意の全対象を完全治療する。ただし対象は【心の内に秘めた「骸の海」】に汚染され、レベル分間、理性無き【オブリビオン】と化す。
イラスト:稲咲
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メイドたちを退けた猟兵達。ステージの中央に座っていた彼女は骸の海に浸食されたといえ、装いは纏う暗い闇を以ってしても醜悪ではない。黒を基調とした綺麗なモノを彼女は纏っていた。
「あなた達ですか。せっかく集めたメイドさん達を散らしてしまったのは。」
喜怒哀楽のどれにも該当しない「無」たる虚ろな表情、生気が抜けて光が差し込まれない瞳がこちらを見る。
近付いてみれば分かる。彼女は実力が無かったという訳ではない人なのだ。
「なんだか久しぶりにいい夢が見れた気がしたんだけどね…どうしてここでも邪魔されなければいけないのかな?」
すくりと立ち上がるミカ。近くにあったマイクスタンドの中間を握り、魔法の杖の様に持って猟兵達の方へ振り向く。
「昔見たあの眩い光、それを目指して頑張っても…あなた達とは違って、誰も見てくれなかった…!」
「私の何がいけなかったって訳…?ねぇ、教えてよ。あの人とは違うけど…同じような光を持ってるあなた達ならわかるんでしょ!ねぇ!」
話す言葉に怒気が加わる。虚ろな瞳に溜まった小さな涙が、猟兵達の持つ光を反射して小さく煌めく。
心から湧き出る慟哭に満ちた表情を向けて相対する彼女は、形が違えどアイドルであった。この様な出会い方でなければよかったのにと思うほどに──!
熊ヶ谷・咲幸
ミカさんに聞いてみたいことがあります
「貴方はアイドルになったら、自分を見てくれる人達に何をしてあげたいんですか?」
滅私奉公みたいなのは言い過ぎでもファンの人に何かしてあげたいって気持ちがアイドルには大事なんだと、思う。ミカさんは自分のことしか見えてないんじゃないかな
「あたしは、昔あたしを救ってくれた人みたいに、誰かを助けたい!元気付けたい!希望を与えたい!」
そう言ってミカの手を握る。オブリビオン化エネルギーは気合いと根性で耐えられるといいな
「この感覚!でもここからあたしは戻ってこられた!次は貴方の番です!」
【希望の力】を込め、そのまま【シェイクハンド☆フォルテッシモ】を叩き込みます
それは誰に向けたのかわからない。もしかしたら自分宛かもしれない。そんな悲哀に満ちた慟哭の声を以って溢れるどす黒い力を広げるミカに対し、真向から向き合うのは…同じく「失敗に満ちた道を歩む者」でありながらも、人々の光であり続ける熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)。
不幸にも似た境遇を持つ彼女だからこそ、今のミカの状況に対しては逸らさず流さず、真正面から向き会おうと歩み寄る──
「ちょっとした小話です。ミカさんは硬く閉ざされた胡桃を開ける為にカラスがどんな行動を取るかを知っていますか?」
「何が言いたい…?」
ミカが悲し気を纏ったまま困惑の表情を浮かべてても彼女は関係なく話を続ける。
「一つの例ですが、|車に轢かせて《・・・・・・》割った動画があるんだよね。自分よりも大きな存在の力をちょっぴり利用する。とても賢い鳥さんなんだよ。理由があれば自分より大きな人間、車に|助けて《・・・》貰うぐらいに」
「あっそ…。」
怪訝な表情のまま黒い力を止めないミカ。そんな彼女に向けて咲幸は手を横へ振れば霧払いの如く、一時的に暗いモノに覆われた場が晴れる──
「私も同じ。ちっちゃい頃は|一人で《・・・》大きすぎる力に振り回されて大変だったんだ。でも、そんな私を|助けて《・・・》くれたアイドルさんがいた。だから一人から二人になれて、少しずつ友達もできたの。」
「…。」
空気が変わった。手で払った黒いモノが戻らずまた溢れる黒い力が上書きせんと覆っていくが…咲幸の周りから少しずつ、光が拡がっていく──
「カラスが一匹だけで胡桃を割れないみたいに、アイドルって一人じゃなれないの。失敗で溢れた私のいろんな事も、歌も、見たり聞いたりして笑ったり、喜んだりくれる人がいるから、私は|私を覆っていた硬い殻を割れた《アイドルになろうと思えた》の。」
「だから…なんだっていうのッ!」
長々とした話を遮る様に、ミカは変わらず力を広げる。話を聞きたくないとの意思の表明をするが如く歌を奏でだすが、咲幸も、放たれる光も変わらない──
「なら教えてください。貴方はアイドルになったら、自分を見てくれる人達に何をしてあげたいんですか?」
「──!」
「見えていたはずの|歌を届けたい人《みんな》が見えなくなって、自分の事しか見えなくなっていませんか?」
黒い力の伝播が一瞬止まる。鳩が豆鉄砲を食ったような顔で咲幸を見たミカが、更に不機嫌そうな顔を浮かべて声を荒げる──!
「うるさいうるさいうるさい!!!だって!!!何をやったって|私を嗤う人が《・・・・・・》いつも出てくるんだよ!!見たくないのに!!」
「そう…そんな綺麗な声なのに、|そういう人《・・・・・》にばっかり、目が向いてたんだね」
「えっ…」
初めて咲幸とミカの目がまっすぐに合った。放たれた黒い力を濃くしたオイルの様なモノがミカの瞳、否。|瞳孔《・・》の上を覆う様に浮いている──!
「…いいや、見たかったはずなのに、|自分に不都合なもの《そういうの》しか見えなくなっちゃったんだ。」
「|みんな《・・・》いつも、何をやっても…!」
「私にもそういう人、来るよ。」
「!?」
「でもね、あたしはそんな人を構ってる|時間《・・》はないの。」
先程と同じように、黒い力の勢いが止まったのを咲幸は見逃さず、ぽんっと現れたチアフル☆ロッドを振るえば暗い霧が晴れた様に明るくなる──!
「あたしは、昔あたしを救ってくれた人みたいに、誰かを助けたい!元気付けたい!希望を与えたい!その為にあたしはあたしを嫌う人に、構ってる時間なんて1秒たりとも無いの!」
「──!!!」
大きな演説めいた彼女の声は輝きを伴って周りに伝播していく。するとアイドルステージの周りには、花が咲き誇る様にサイリウムが点き拡がっていく──!
「そして!この力は|あたしを好きでいてくれる人全員《・・・・・・・・・・・・・・・》に使いたし、闇に飲まれそうな|あなたにも《・・・・・》使いたいの!!」
悲哀に満ちた慟哭を、絶望を殴り飛ばす喜びの声で跳ね返し、更に距離を詰めてミカの前に立つ──!
「あたしね、SNSで見たあなたの歌を聞いた時びっくりしたの。繊細で綺麗で、まるでお姫様みたいだったのを覚えてる!」
「えっ──!」
「だから…もう一度聞きたい!悲しい泣き声じゃない、あなたの一番大好きな歌声を!!」
一足の距離を踏み抜いた咲幸は、真正面からミカの手を握る。その手からは先ほどのオーラの非じゃない程、嫌なモノ流れてくる気配がしても関係ない──!!
「あたしは殻を砕いて戻って来れた!だからあたしも!次に貴方が戻って来られるように光を届けるの!」
迸るは握力…じゃなくて希望の力。嫌な感覚を総て吹き飛ばし、腕を内側に優しくひねればくるりと回って背を抱く様に体勢が変わる──
「きゃっ…!何──!!」
「貴方の中にある悪い物を、全部ぶっ飛ばす為です!!」
そのまま背後を取ったまま抱き上げる。ちょうどサイリウムがまだいなかった方向とは真逆に背を向けて──
「うおりゃああああ!!」
優しく希望に満ち溢れた言葉とは真逆。かなりやばいバックドロップが、アイドルステージを越えて闇に満ちた空間を震撼させる──!!
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・カガミ
あたしだって酒場で歌った時に上手く行かなくて酔っ払ったお客さんにお酒をぶっかけられたり、歌なんていいからさっさと脱げと言われたこともあるし、上手く行かない時の気持ちは分かるから無理に頑張ってなんて言えないわ。
でも、歌の力を人を苦しめるために使うのは間違ってるし、歌で生きる者の一人として放ってはおけないわ。
向こうが歌で来るのなら、あたしも歌の力で対抗するわ。
聖歌で彼女に集まった骸の海を浄化出来ないかやってみるわ。
あたしの歌の力が彼女にもう一度立ち上がるきっかけになってくれると良いのだけど。
強烈な希望の光と、目覚めの一撃を受けても尚、彼女の纏う骸の海は未だ健在であった。ただすべてが元通りに治った様子は無く、纏う衣装の暗い部分、衣装と共に物体化したであろう骸の海が剥がれ落ちて床に破片を散らしていた。
その衣装を纏ってマイクスタンドを握る少女、三好ミカは…誰に言われたわけでもなく。何のためかをも思わず、身に満ちた悲哀と慟哭を広げる様な歌声を広げ始める──
「…ほんとに…歌声は綺麗だからこそ、もったいないね…」
浄化の光を浴びて纏う闇にヒビが入っても尚、衝動に動かされる様に歌うミカを離れた位置で俯瞰するステラ。彼女の歌声に共鳴したのか、断片的な|過去の嫌な記憶《フラッシュバック》が脳裏に映し出される──
かつての記憶。昼間とは別のギラギラとした光に満ちた夜の店の舞台に立った彼女を迎えたのは…人々の悪意。
人に投げかけるべきでない醜悪な言葉と、ステージ上に立つ者へ向けられる歪んだ感情からなす妨害。呂律の回らぬ真っ赤な客から投げられた安酒の臭い、異臭に満ちた言葉。自ら選んだステージに立って悔やんだ事もあったからこそ、今のミカの取り巻く不運の環境を無視した「聞えがいい希望の言葉」を投げかける事は出来なかった。
「でも、そんな綺麗な歌を、あなたの持つ歌の力を…他人を苦しめる為に使うのは間違っている。私が言わなくても…本心じゃわかっているのでしょう?ミカさん?」
「──…。」
「そんなの…言われなくても分かってるわよ…でも…!」
悲しみに満ちた歌声が止まって項垂れる。表情は先と変わらず曇ったまま──。
「溢れて止まらないこの黒いモノを、抑えられなくなった今はどうすればいいか、私でもわからないのよ!」
再度周囲に響くミカの叫び。バケツに溜まった水が決壊するが如く、黒いモノがあふれてくる。無彩色の床が真っ黒に塗りつぶされていく最中、ステラは逃げる事は無かった。
「…そう。それならよかったわ。あなたが本心から…こんな結末を願ったのではなかったのね。」
「…。」
「ならばあたしも|対抗する《応える》わ。あなたを蝕むその骸を、骸に蝕まれたその心を癒す為。またあなたが…あなたの好きな歌を歌えるようになるために!」
扇を握る反対の手。指をパチンと鳴らすと現れたのはステラ愛用のシンフォニックデバイス。
「あなたの苦しみをあたしは理解したりするのは難しいけど…それでも、あなたがもう一度立ち上がるきっかけに慣れるように。あたしから一曲…如何でしょうか?」
迫る黒い海より離れるバックステップ、数メートル離れた先で靴を鳴らすと合図を待っていたデバイスが起動してステラの周りを浮かびだす──。
「あたしのすべて。酸いも甘いも苦いも全部!持ってきたあたしを…ここに!」
天高く扇を振り上げると共に奏でるのは…ステラの聖歌。聖なる浄化の力を込めた歌声が、シンフォニックデバイスの調律、増幅が加わって真っ暗なステージ、セカイに広がりだす──!
彼女の広げる光に満ちた聖歌は、溢れ出す真っ黒の津波を押し返して霧散、その中心にいたミカへは直接の外傷は無いのに、まるで爆風を受けた様にミカの身体からはどす黒いジェルめいた物が弾けて飛んでいく──!
真っ暗闇に閉ざされそうだったアイドルステージ。黒の海は干上がってできた場所に現れた満場一致のペンライト。ステラの歌へ喝采を送る様に光を振るう──!
大成功
🔵🔵🔵
シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦
称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。
複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を攻撃しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!
アイドルステージを囲むセカイの根幹たるミカが内包する骸の海が、少しずつそぎ落とされていく中、暗中であっても存在感を薄れさせない藍紫色の光が一つ、ステージへ降り立つ。
性別を問わず、見た者の心を揺さぶるほどの美貌を持つ彼、シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は
「…拍子抜けだ。ここまでの舞台、衣装まで用意されているのに。君はまるで…操り人形だ」
「来て初っ端貶さないと済まない様な人に…!」
鋭い刃物の切っ先のごとき視線と態度、。「美」をさも当たり前の様に持ち、自らとしているその気迫に満ちた彼の立ち姿へミカが向けるのは…嫉妬の声。
「貴方のように…最初からすべてそろっている人にはわからないでしょ!」
「いいや?むしろ僕は君の持っている|モノ《・・》自体は良いと思うんだが。その自分を認めていない|今の在り様《・・・・・》が似合っていないんだよ。」
「知った様な口を…!!」
飄々とした歪みのない立ち姿に、一言一句自身への疑問の無いまっすぐな物言いを受けたミカは、スタンドマイクを魔法の杖の様にシェーラへ構える。が、その素振り、体の動きを見逃さなかったシェーラは、ステップを踏みながらステージの床板へ舞う様に銃弾を叩き込む──。
取り出した複数の拳銃を以って、自分の身体を覆い隠せる程の大きさの丸を書く様に床に銃弾を放つ。そのまま穴を開けた床板の一辺へ強く踏み込めば、ぐるりと床板が回って持ち上がる──!
「床が…!」
「遮蔽物がないからって油断しただろう。そんなものが、僕に通用するとでも?」
ミカがマイクスタンドを構えるよりも早く上がった床板は、遮蔽物の無いステージに放たれんとしたミカの視線から覆い隠す様にシェーラの前に立っていた。驚きの表情を浮かべるミカに対し、間髪入れずに放たれる、床板越しの銃弾がミカの衣装を覆う骸の海に容赦なく突き刺さり、弾き飛ばしていく──!
「今の在り様は見るに堪えない物だが…君は悲観する程に醜い顔も、酷い歌声もしていない。骸の海に浸食されていても尚、君は自身に似合う物を纏っている。いい|感性《センス》だ」
銃撃を受けてよろめくミカに対し、シェーラが向けた言葉は皮肉や悪態の含まれない純粋そのものであった。
成功
🔵🔵🔴
咲村・菫
UCを使って『真の姿(巨大な人間の鼻から手足が生えたナマモノ)』に変身します
超絶恥ずかしいですが背に腹は代えられません
私も誰かに『ありがとう』を言われたくて、保育士さんのお仕事をしています
でも、いつもドジで園児達にも泣かされて、頼りないとか情けないとか散々に言われますよ
おまけに正体はこんな姿ですし……
それでも……あなたが本当の悪者になったら、応援してくれた人たちも悲しむと思います
私は子ども達を悲しませたくないから、たくさん泣くけどめげません
こんなナマモノにできるんですから、アイドルさんにだってできますよ
だから、私が悪い心を追い出してあげますね
光の翼を広げて鋼のクマさんで20回連続殴打!
各々の猟兵達が持つ、得意分野による|パフォーマンス《対処療法》、受けるミカにとっては辛い部分、見たくない部分を直視するが如き荒療治ではあった。だが、いつの間にか彼女の纏う衣装の黒い部分に入った亀裂はより広がり、その下にあった彼女の持つ本来の色、真っ黒に塗りつぶされた心の奥底にあった本来の色、その片鱗が見えだしていた。
ステージの中央にはミカが最初の悲哀に満ちた表情とは違う、見た物、聞いた言葉の処理が追い付かないといった様子でへたり込んでいた。また、変わらず衣装から欠片が剥がれ落ちていっている黒い物は、彼女を侵していた骸の海も、病んでいた心と共に浄化されていっている事の証明でもあった。
そんな彼女へ咲村・菫(ハナの妖精さん・f43842)は特に構える様子も無く歩み寄る。
「…さっき、あなたが答えられなかった「アイドルになったらやりたかった事」。私はちょっと違うかもしれないけど…私が思ってる事でも話しましょうか。」
「…!」
「私は、誰かに「ありがとう」って言われたくて保育士さんのお仕事をするようになったんですよ。でも、いっつもドジな事しちゃったり、園児達にも振り回されるし…頼りないとか情けないとか。散々に言われてますけど…。」
「じゃあ…どうしてそんなに…笑っていられるの…!」
「単純ですよ。私は今のお仕事でも、|学生時代にやってたこと《武蔵坂学園での日々》でも、誰かの「ありがとう」の為に動こうと思って、|実際に行動してる《・・・・・・・・》だけです。」
「そんなの…嘘っぽい事言ったって…!」
「いいえ、今話した以外の理由も、大義名分もありません。ただ…あなたから|昔見た人達《闇落ちした方々》と同じ雰囲気を感じたのもありますから。」
「…。」
「それに…あなたが本当の悪者になったら…応援してくれた人達はもっと悲しむと思いますから。私だってお仕事では沢山泣いたりしても、そんな頼りないだけの先生じゃ子供達だけじゃない。親も困らせてしまいますから決してめげません。」
「…だからと言って、じゃあ何があなたをそんなに突き動かしているの…!」
顔を上げたミカと菫の目が合う。涙でぬれたその顔には菫に対する疑いの気持ちが変わらず映し出されていた。対する菫もただ話すだけでは終わらないと思って話を続ける。
「信じてくれないって様子ですね…それじゃ、私の事もちょっと話しましょうか」
先の戦闘でも一緒だったクマのぬいぐるみを抱きかかえながら菫は恥ずかしそうに顔をそむける…。
「あなたの知らない世界の昔話。ただの一般人が人体改造を受けていろいろありまして。私はその|生き残り《・・・・》。改造の結果、変身できるようになった姿も変な|ナマモノ《・・・・》でしたが…そんな私にもできるんですからアイドルさんにでだってできますよ。」
「ナマモノって…言われたって何が…!」
「うぐ…私も正直見られたくない姿なのであまり…でも、|武蔵坂学園の頃《その学生時代》に見たあなた達の様な、まだ戻れる人に対してやったのは、すっごいシンプルな事ですよ。」
「…それって…」
「悪い心を|叩き出す《・・・・》のです。…その周りに散らばる黒い欠片が、あなたを蝕んでいたもの二間違いありませんから!」
バックステップで下がった菫が、抱えていたぬいぐるみをぽーんと放ってミカの視界を覆ったその瞬間…彼女の姿は話していた「|真の姿《ナマモノ》」へと変わっていた。彼女の発現の通りでもあり、創造の斜め上を突き破るその姿は、ミカにとっては筆舌に尽くし難いと言わんとする表情だったが…
「…なにそれ…ほんとに…」
小さく吹き出して笑顔になった。そんな様子でも菫にとって恥ずかしきことには変わりない──!
「ミンナニハ、ナイショデスヨ」
そう、一言不思議なイントネーションの言葉が聞こえた瞬間には、菫もクマもミカの視界からは消えていた。
その瞬間、視野外の死角から襲うのは柔らかく重たい打撃。視野と頭が姿を捉える間も無く20発の打撃が撃ち込まれ、骸の海の濃い粘液めいた物が彼女の内より弾け飛んだ──。
大成功
🔵🔵🔵
ミカの内に残った骸の海が叩き出されたその時。歪んだセカイの根幹が崩れ、ステージを覆う闇天井が割れて光が差し込む。
光の刺し込むステージの中央、仰向けに倒れていたミカは差し込む光に照らされて小さくつぶやいた。
「あぁ…私も…あんな光に…なりたかったんだな…」
刺し込むまぶしい光の中、真っ白に明転していく最中、脳裏に浮かぶのは相対した猟兵。みな違って皆輝かしい、唯一の光を持つ者達。
そんな存在になっていない自分へいつも浮かんでいた嫌な言葉は、今だけは浮かばなかった。
---
ふと顔を覆っていた手を離すと、見覚えある草原に変わっていない街の風景。先ほどまでいた公園であった。日も頭上からそこまで動いておらず、時間もそれほど経っていない。
「あれ…。私は一体、何を…?」
先程まであった事がなんだかうまく思い出せないが、出かける前にあった澱んでいた感覚がなく、なんだか胸のすく様な気分だった。
訳も分からず周囲を見渡すミカ。ふとポケットに入れたスマホに着信が届いていたのか、バイブレーションを鳴らしている。疑問に思って確認してみると、届いていたのは着信ではない。先日SNSに投稿した…歌ってみたの動画が、今までにない拡散具合で広がっていた。
いいねだけにとどまらず、スクロールしても追いきれない程に肯定的なコメントが並ぶ通知画面の中を見ていくと、一人、見覚えのある名前があった。
「…本当に、見てくれていたんだね。」
何故今まで見つけられなかったのか。今まで自分が見ていなかったコメント達から目を離して青々と広がる空を見る。
言葉にならない感情が空いた胸の中へ満ちていく感覚がすると共に、何故か溢れてくる涙を抑えられそうになかった。