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RockHeart & LockedHurt

#アイドル☆フロンティア

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#アイドル☆フロンティア


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 とある地方都市にある、市民の憩いの場たる公園。
 その中心地近くにはちょっとした野外ステージが設置されており、此処では時々地元や近隣地域のアマチュアミュージシャンが集まってライブイベントを開催することがある。
 憧れのミュージシャンへ追い付かんとする夢への第一歩、承認欲求の充足、或いは純粋なる自己表現。動機は様々ながら、共通して音楽を愛する者達。そのパフォーマンスは皆第一線のプロに比すれば拙いながらも、其処には確かな情熱が宿る。
 故にこそ、そのイベントには各ミュージシャンのファンのみならず、公園の利用者や近隣住民も集まり、毎回それなりの盛り上がりを見せていた。

 その日に催されていたライブイベントもまた、参加ミュージシャン達のパフォーマンスによって盛況となっていた。
 今ステージに上がっているのは、二十歳前後の男女からなる五人組ロックバンド。単独ライブでも少なからぬ客を呼べる知名度を獲得しており、メジャーデビューも近いと噂される程度には実力も備わってきた者達だ。
 そんな彼らの演奏もあって、会場は普段以上に盛り上がる。未だ吹く風の寒い中なれど気にならぬ程の熱気が、野外ステージの周辺を包み――次の瞬間。

「―――ッ!?」

 突如止まった音楽。ステージの上、ギタリストの女性が崩れ落ちる姿を人々は呆然と見上げる。
 倒れた彼女の傍ら、呆然とした表情を鮮血に染めた少女の姿。その手には、血の滴る包丁が握られていた――。



「っていう事件が起きるのを、みんなに止めて欲しいの!」
 グリモアベースにて猟兵達に訴えるのは、グリモア猟兵、七色・くるみ(ウィッシュフル☆レインボー・f45138)。このたび猟兵達が新たに到達した世界『アイドル☆フロンティア』出身の猟兵である。
「この女の子、心の中に抱えてた骸の海が溢れだしちゃって。それであんなことを……」
 アイドル☆フロンティアの住民達は皆、その心の中に骸の海を抱えている。それが溢れ出した時、人は奇行や凶行へと走り――社会へ迷惑をかけたり、時には此度のような悲劇を引き起こすこともあるのだ。
「こんなことは絶対に止めないと! あのバンドの人達や、何よりこの女の子の為にも!」
 骸の海が溢れ出るのは、本人には自覚さえ出来ぬ完全なる不幸の産物。斯様な理由で他者の、それ以上に当人自身の人生が滅茶苦茶になるなどあってはならぬ。
「だから、そうなる前に――流れ星にお願いして、アイドルになってあの子を助けて欲しいの!」

 アイドル☆フロンティアの最たる特徴が、この『アイドルステージ』である。骸の海の溢れ出した者の在る場で『アイドルになりたい』と願いをかけることで、宙より降り落ちてきた流れ星がその場にアイドルステージを展開するというものだ。
 アイドルステージの上、溢れ出した骸の海はオブリビオンとして実体化を遂げる。これを打倒することによってこそ、骸の海の溢れ出した者を救うことが可能なのだ。

「ただ、問題の女の子の見た目は、細かくは分からなかったんだ。高校生くらいの女の子、ってところまでは見えたんだけど……」
 ライブ会場には、その年頃の少女が多数居る。まずは会場に入り、何らかの兆候を見せている少女を見つけ出す必要がある。そうしてこそ、彼女の凶行を未然に防ぎ得る故に。
「会場ではライブを見るだけでもいいけど、ライブは飛び入り参加も歓迎だから、音楽に自信ある人はそっちで参加してもいいかも?」
 ステージの上からの視点でこそ見えるものもあるやも知れぬ。歌や演奏に覚えのある猟兵は検討しても良いだろう。

 少女を見つけたら、先の通りアイドルステージを展開することで彼女の凶行は止められる。だが、本番は此処からだ。
「骸の海が溢れること自体は止められなくて……それを会場にいる他の人達が浴びて、オブリビオンになっちゃうの」
 それらのオブリビオンは然程強力ではないが数は多い。撃破すれば人々は元に戻るので、着実に打ち倒してもらいたい。
「で、女の子なんだけど……凄く強いオブリビオンに取り込まれちゃうんだ」
 そのオブリビオンは『タブー・ケージ』。本来の人格――この場合は少女をその内に閉じ込める形で実体化する、鳥籠型のオブリビオン。有する力は極めて強大、歴戦の猟兵達であっても苦戦を免れ得ない敵だが。
「まともに戦うと厳しい相手だけど――アイドルとして、|観客《みんな》の声援を受けて戦えば、きっと勝てるはずだよ!」
 くるみの語る其は只の精神論ではない。アイドルステージを囲む無数のサイリウム――その形を取った人々の無意識に対し、彼らを刺激する魅力的なパフォーマンスを交えた戦いを見せれば、それら観客から声援を受け、以てパワーアップが図れるというのだ。
 観客を魅了するパフォーマンスにて声援を受けながら戦う。まさにアイドルというワケである。

「わたしからはこんなところかな……? それじゃ、転送始めるね。みんな、用意は良い?」
 説明すべきことを伝えたと判じたくるみは猟兵達に問う。全員の是を受ければ、くるみは頷いて。
「みんなの心を救うため……みんな、よろしくお願いしますっ!」
 くるみの掲げた指先に星が灯り、其が眩きグリモアの輝きを放って。猟兵達を、かの世界へと送り出していった。


五条新一郎
 お願いシンげふんげふん。
 五条です。

 いよいよやって参りました新たな世界は、変身ヒロインめいたアイドルの世界。
 溢れ出す骸の海が導く悲劇を食い止め、少女の心を救ってくださいませ。

●目的
 オブリビオンの殲滅。

●舞台
 アイドル☆フロンティアの日本、とある地方都市の公園にある野外ステージ。
 複数組のミュージシャンが集まってのライブイベントが開催されています。
 時刻は昼過ぎ~夕方、天気は晴れ。観客の数は比較的多いです。

●第一章
 ライブイベントに参加しつつ、骸の海を溢れさせようとしている少女を探し出す「日常」です。
 少女は骸の海が溢れ出す寸前で、何らかの兆候が出ていることが予想されます。
 尚、イベントは観客として参加しても良いですが、ミュージシャンとして飛び入りでステージに立つことも可能です。

●第二章
 アイドルステージを展開し『オブリビオン・ロッカー』との「集団戦」です。
 撃破すればオブリビオンに変じた人々は無傷で救出できます。

●第三章
 引き続きアイドルステージにて『タブー・ケージ』との「ボス戦」です。
 敵は非常に強いため、パフォーマンスによって声援を受けつつ戦うことが推奨されます。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。
 募集状況及び〆切はタグにて。

 それでは、皆様の綺羅めくプレイングお待ちしております。
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第1章 日常 『みんなで☆手作りステージ』

POW   :    コール&レスポンスで盛り上げる

SPD   :    ミュージシャン達とアドリブでコラボする

WIZ   :    後方から訳知り顔で見守る

イラスト:ぽんち

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シビュラ・ヴェルムリープ
楽しいライブを台無しにする|終焉《エンディング》、わたくしが破壊してみせるわ!
そう言って人々とライブを楽しみながら瞳を合わせていく
わたくし達エンドブレイカーは瞳を合わせた者の大きな変化…エンディングを観ることが出来る
なら、そこを介して骸の海を溢れさせようとしている少女を探す事も可能!
UCで近くに白騎士のドローンを展開させ、対象の因果その物に直接干渉する量子機能も活用しながら正確無比な未来予想仮想機能を用い、未来を見据えていくわ
しかし、心の淀みを晴らしたいという心があれば誰でもアイドルになれる…
エンドブレイカーに通じるものがあるのだわ
そんな風に感心しながら、ステージ前近く陣取るわ


白金・ヒカル
※アドリブ歓迎、共闘希望

WIZ判定

【作戦】
フェアリーの姿で
観客席上の照明があるような場所(ステージの屋根など)から
下を見下ろして【スターフェアリー☆ライト】で席を照らし
それでも元気の出ない、様子のおかしい少女を見つけて皆に知らせる

【心情】
みんな楽しそうで希望が溢れてるピカ、
希望の光でもっとも~っと盛り上げてあげるピカ~。
(発光する)
それでも元気が出ない子がいたらボクたちで勇気づけてあげるピカ!
むむむ~、あそこに居る子が何だか俯いたままみたい?
誰か声をかけてあげて欲しいピカ!

ハッ、ボクはここからどうやって降りれば良いピカ?
誰かボクも助けてほしいんんだピカ~!(涙目)



 転移を果たし、早速件の公園を訪れた猟兵達。既にライブイベントは始まっており、ステージからは演者の奏でる音楽と盛り上がる観客達の賑わう声が聞こえてきていた。
 そんな会場を見遣り、シビュラ・ヴェルムリープ(光桜天樹スプリールの聖女・f39562)は口元を綻ばせる。演者も観客も、ライブを楽しんでいる様子がありありと見て取れるが故に。然し。
(こんな楽しいライブを台無しにする|終焉《エンディング》が迫っているのね)
 シビュラの表情が引き締まる。それがグリモア猟兵の見た予知。骸の海を溢れさせた少女が引き起こす|悲劇《エンディング》。当の少女も望んではおらぬ、理不尽なる終焉。
(そんなエンディングは、わたくしが破壊してみせるわ)
 其を捨て置くなど己の心が赦さない。エンドブレイカーとしての矜持を以て、シビュラは行動を開始する。その|終焉《エンディング》を叩き潰す為に。

 さて一方、そんなステージの上方。ステージや観客席を照らす照明が設置された柱の上に、ピンク色の毛玉めいた小動物の姿がある。額に星型の飾りをつけた彼女は白金・ヒカル(マジピュア☆フェアリースターズ・f45148)、人々の心を救うべく地球へやって来たスターフェアリーだ。
「みんなとっても楽しそうピカ~」
 出演するミュージシャン達、彼らの音楽を聴く観衆達。誰もが催しを楽しんでいることがありありと分かる、会場の盛り上がりぶり。希望に溢れていてとても良い、と頷きながら、ヒカルも響くメロディに耳を傾ける。
(けれど、こんな場所でも沈んだままの人はいるものピカ)
 会場を一望できるその場所から視線を巡らせる。観衆の殆どはステージへ視線を向けているが、中には明らかに違う方向を見ている者も。あらぬ方向へそっぽを向く者、地面へ視線を向けて俯く者。あの中に件の少女が含まれるのだろうか。ならば。
「もっとも~っと、盛り上げてあげるピカ~」
 なんて口にするが早いか。ヒカルの身体が、穏やかなる光を放ち始める。其は真下の照明が放つ光に紛れて、会場をさりげなく――なれども確かに照らしてゆく。

 その頃、ステージの上では、男女三人組のダンサー達が切れのあるダンスを披露している。そのBGMは疾走感溢れるレイヴサウンド。観客達も其に合わせて身体を揺らしたり腕を振ったり、思い思いにノリに乗っている様子だ。
 会場へと入っていったシビュラもまた、歩調を音楽に合わせたり身体を揺らしたりしてテンポに乗ってゆく。傍目には控えめながらに場の雰囲気を楽しむ少女と見えるが、それは無論、場の雰囲気を壊さぬ為のもの。本来の目的への意識に曇りは無し。
(――この人ではないわね)
 予知で聞いていた年頃の少女、その一人一人へとそれとなく視線を向ける。その見る先は彼女達の瞳。即ち、対象の瞳に近い未来のエンディングを見る、エンドブレイカーとしての力。其を以てしての捜索だ。
 更に上空には、141機にも及ぶ未来予想仮想機能搭載型ドローンを飛ばしている。目標の因果にさえ干渉可能な量子機能を合わせれば、瞳を見た相手の辿る未来は高精度で予測可能だ。
 なれども少女達の瞳に見えるエンディングは悉く、ステージ上の少女がバンドの女性を刺す光景。第三者視点。つまり件の少女ではない。
 とはいえ『違う』という情報が得られれば十全だ。同様にして会場にいる類似特徴の少女達を一人一人確かめてゆく。
(それにしても、皆とっても晴れやかな表情をしているのね――いえ、これは)
 その過程で人々の表情を見てきたシビュラはふと気付く。その場に在る人々の誰もが、何の蟠りも無さそうな明るい表情をしていることに。そして己自身も、心に何処か安らぎを感じていることに。
 其を以て彼女は気付く。其は、ヒカルが放っている光の作用によるもの。己の身の内から放出されるココロの光。浴びたる者の心に安らぎを、或いは勇気を齎すもの。成程、これ程の力があるなら――
「……あれ? これでも元気の出ない子がいるピカね?」
 一方、照明柱上のヒカルは気付く。先程目星をつけた者達のうち、心の沈んでいる風であった少女達は皆、ココロの光で以てある程度元気を取り戻したように見えたが。一人だけ、未だ俯いたままの少女がいる。
「きっと、あの子が骸の海を溢れさせかけてる子ピカ!」
 以て断定する。己の光も届かぬということは、恐らくは、と。早速誰かに向かって欲しい――そう思ったところで、シビュラがその少女のもとへ向かう姿が見えた。
「――失礼。あなた、調子が悪そうだけど……大丈夫かしら?」
「……い、いえ……大丈夫……です」
 その少女へと声をかけたシビュラ。応える為に顔を上げた少女の瞳を見て、確信する。
(――この人だわ)
 胸を刺された女性が、鮮血を散らしながら崩れ落ちる光景。其を眼前で見届け、己の手を見下ろす。血で染まった両の手を。
 そのエンディングこそ、探していた|終焉《エンディング》。お下げ髪の、一見大人しく引っ込み思案と見える少女の瞳にそんなエンディングを見たシビュラは、彼女こそが件の少女と断定する。
(……何か、抱えているものでもあるのかしら)
 彼女は平静を取り繕っているが、その表情は思い詰めている様子が明らかなもの。その心の骸の海が溢れ出そうであるのと、何か関わりがあるだろうか。
 なれど行動に出るは暫し先だ。動くは彼女がステージへ乗り込もうとしたその時。其処で遅滞無く動けるよう、シビュラはステージ脇へと向かってゆく。先のエンディングからすれば、かの少女は確実に此処を通る筈。いつでも動けるよう構えながら、シビュラは時を待つこととした。

「目星はついたピカね。それじゃ――」
 其を見届けたヒカル、自らも動くべき時に備えようと移動を開始――しようとしたが。
「――ハッ、ボクはここからどうやって降りれば良いピカ!?」
 其処で気付く。ココロの光を万遍なく届かせるべく昇ったは良いが、降りる際のことを全く考えていなかったことに。
 地面までは優に10mはある。小さなスターフェアリーの姿では余計に高く見える高さだ。流石に此処から飛び降りるのは正直怖い。
「……だ、誰かボクも助けてほしいんだピカ~!!」
 故に、涙目で助けを呼ぶより他に無かったヒカルであった。尚、最終的になんやかんやで降りることには成功した模様。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
此方が新しい世界です?
また大変なことになっておりますねぇ。

【幽測】を発動し『女神の波動』を纏い、視聴嗅覚での探知を封じまして。
更に『FLS』で『FPS』と『FHS』を召喚、『FHS』の『対機械透明化』で『監視カメラ』等の『機械による察知』も防ぎますねぇ。

『現場:ステージ上』『凶器:包丁』と判明している以上、事件を起こす為にはステージに近づく筈ですから、周囲を不可視になった『FMS』のバリアでゲート状に覆い、近付く方の持つ『情報』を奪えば、犯人特定は可能でしょう。
並行して、同様に『波動』を纏った『FPS』を会場に飛ばし情報を集めますねぇ。
接近前に見つけられれば最良ですし。



 事件現場となる公園のステージへと歩みを進めながら、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は視線を巡らせ、周囲の風景を眺め回す。人の手で確と管理されていると思しき公園の木々、その向こうへ見えるビル街。どうやら文明レベルとしてはUDCアースやサイキックハーツ等の世界とほぼ同等の世界と思しい。
(この世界も、また大変なことになっておりますねぇ……)
 人々が心に骸の海を内包し、其が溢れることで事件が起こる世界。形こそ独特なれど、この世界もまたオブリビオンの脅威に晒されていると言えようか。
(では、ひとつやってみるとしましょうかぁ)
 なれば其を解決することこそ己の務め。頷くと共に、るこるの姿が風景へ溶け込むように消えてゆく。否、不可視の状態へと遷移したのだ。行使したユーベルコードによって纏われた女神の波動が、彼女の身の視聴嗅覚による認識を不可能としているのである。

 その状態で以て会場へと入ってゆくるこる。女神の波動には内部で生じた音を遮断する機能もある為、会場にいる者は誰一人としてるこるの存在には気付かない。監視カメラに映る事態を防ぐべく、祭器を用いて機械による知覚まで遮断する徹底ぶりだ。
 それなりの観客が入っているとはいえ、言わば草の根のイベントだけに会場を埋め尽くすという程ではない。会場を横切るに然程の労力は要さず、るこるはステージ下まで移動を果たす。
(では、これをぉ……)
 其処まで到達した処で、更に祭器を展開。祭器にも同様に波動が纏われているので、これも不可視の状態だ。
 先ずは円盤型祭器群でステージ周囲にバリアを展開。ステージへ上がる階段の周囲へゲートを設置するかの如き形を取る。祭器にも纏われる女神の波動には、触れた者から必要な情報を取得するという効果もある。以て、ステージへ近づく者が凶器を持っていないか確かめる為だ。
 更には情報解析を担う涙滴型祭器を会場内へ飛ばしてゆく。同様に女神の波動を帯びる此方は、受動的な手段であるゲートに対し、積極的な情報収集を行う為のもの。目標が近づいてくればそれを把握できるゲートだが、それより前に目標を発見できるに越したことはない。
 会場を飛び回る祭器が観衆の傍を掠め、女神の波動を当てることで彼らの情報を回収してゆく。目標特定の為に必要な情報はシンプル。凶器が包丁であることは分かっているので、其を所持しているかどうかを調べれば良いのだ。
 そうして観衆の情報を得て回ること暫し。やがて、目標となる人物――包丁を持ってこの場に在る人物の存在が確認された。
(あの方ですねえ)
 祭器からは目標の外見や位置の情報も取得済み。グリモア猟兵が語った通りの若い少女だ。るこるの現在位置からでも、視線を向ければその姿は認められる。何やら、随分と思い詰めている様子ではあるが。
 何にせよ、凶行は阻止せねばならぬ。動くべき時に備え、るこるはかの少女を監視する態勢に入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カンナハ・アスモダイ
※アドリブ連携等歓迎
将来の|契約者《ファン》予備軍の不幸は見過ごせないわ!
早く探し出さないと!

……それにしても、このミュージシャン
初めて聞いたけど……すごくいいじゃない!

こんなパフォーマンスを見せつけられて何もしないなんて、
悪魔法少女の名が廃るってもんだわ!

プリンセスハート!メ~クアップ!
みんなに笑顔を!完全無敵★最強アイドル!
悪魔法少女★あすも☆デウス!

このミュージシャンのファンには悪いけど、
飛び入り参加させてもらうわ!

明るく元気いっぱいの曲調で<歌魔法>をお届け!
<アイドル力>全開の<パフォーマンス>でリンクアピール!

やっぱりステージの上っていいわね!
|契約者《ファン》の顔がよく見える!



『Okey,baby! 盛り上がっていこうぜ!』
 ステージに立つのは男性四人組のロックバンド。比較的ポップス寄りの音楽性と、何よりそのノリの良いパフォーマンスは、会場を大いに沸かせていた。
(初めて聴いたけど……凄くいいじゃない、この人達!)
 腕を振るったりヘッドバンキングしたり、其々の動きでノリに乗ってゆく観衆。そんな中に、驚嘆の表情でステージを見上げるカンナハ・アスモダイ(悪魔法少女★あすも☆デウス・f29830)の姿はあった。
 以前からサクラミラージュにてアイドル活動をしてきた彼女。故に将来|契約者《ファン》となり得る者達の不幸は見過ごせぬ、と此度の任務へと参加したが。そうしてやって来たライブ会場にて、このバンドのパフォーマンスを目の当たりにした、その結果。
(こんなパフォーマンスを見せつけられて何もしないなんて、悪魔法少女の名が廃るってもんだわ!)
 カンナハはその心中に滾るものを覚える。彼らの魅せた見事なパフォーマンスが、彼女のアイドル魂に火を付けたのかもしれない。いずれにせよ、彼女が取った行動は即ち。
「プリンセスハート! メ~クアップ!」
 その手を突き上げ叫ぶが早いか。カンナハの身が黒き光を発したかと思えば、その装いはダークでありつつも愛らしく華やかなステージ衣装へと変化を遂げた。
 突然の事態に驚く観衆を後目に、ステージへと跳び上がるカンナハ。驚きのあまり演奏を中断したバンドのヴォーカルの隣まで駆け寄れば、観衆へと向き直り。
『みんなに笑顔を! 完全無敵★最強アイドル! 悪魔法少女★あすも☆デウス! 飛び入り参加させてもらうわ!』
 決めポーズと共に堂々と名乗ってみせる。このバンドのファンには悪いと思いつつも、自分もパフォーマンスしたいという欲求は止められなかった。
 そんなカンナハを前として、呆気に取られていたバンドメンバー一同だが。やがてヴォーカルの青年がひとつ頷くと。
『――セッションってワケだな! よぉし、一丁やってやろうぜ、皆!』
 自分達も共にパフォーマンスするとの宣言。残るギターとベースとドラム各々の担当メンバーも応を返す。
 其を確かめたカンナハが頷くと共に、ステージに明るいアップテンポのメロディが流れ始める。可愛らしくも元気いっぱいなそのナンバーは、カンナハの持ち歌のひとつだ。
『~~~♪』
 そしてカンナハが歌いだせば、響き渡るは聞く者にも元気を与えるような明るい歌声。魔法の如く会場を席巻したその歌に、戸惑っていた観衆も次々と惹かれだす。今、ステージはまさにカンナハの色一色に染まったのである。
 跳ね回るような歌い出しから、少し落ち着いたBメロへ移行。視線を巡らせながら、曲の進行に合わせてステージの一番前まで歩み――いよいよサビへ入ろうという直前で。
『Heyっ☆』
 掛け声と共に決めの笑顔でポーズ。見る者のハートを撃ち抜かんばかりの決めパフォーマンスに、観衆から盛大な声援が上がる。
 そのままサビへと入れば、疾走感あるBGMにバンドの演奏が華を添える。その中でカンナハはステージを駆け回るが如く右へ左へ全身を大きく使うようなダンスを見せ、観客の視線を余すことなく惹きつけて。
 締めには今一度の決めの笑顔とポーズ。アイドルらしさ全開のパフォーマンスが、会場をより一層盛り上げてみせる。
『ありがとー!』
 満面の笑顔で大きく手を振りながら声援に応えるカンナハ、会場を見渡せば楽しそうな観衆――この場で|契約者《ファン》となった者も少なからず在ることだろう。
(やっぱりステージの上っていいわね! |契約者《ファン》の顔がよく見える!)
 それはアイドルとして最も楽しい瞬間のひとつと言えるかもしれない。カンナハはそんな観衆への顔を見渡して――やがて、一人の少女の顔に目を留めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
あやー!
とっても素敵なライブなのでっす!
バンドの方々の演奏も、ファンの皆様の応援も、燃えたぎってるのでっす!
ではでは客席からの雰囲気もビリビリと感じさせていただきましたし、飛び入りしちゃおうなのでっす!

藍ちゃんくんでっすよー!
バンドの皆様の歌と演奏に即興で合わさせてもらうのでっす!
知名度のお陰で情報収集も捗りましたしー。
観客として皆様の癖なども感じさせていただきましたので。
歌も曲もばっちりなのでっすよー?
新曲でもアドリブで合わせれるのでっす!

ステージに立つということは観客の皆様の注目を集めるということ。
ですが、ええ。
もしもギタリストの女性を刺す方が、誰でも良かったわけでなく、狙って女性を刺すのなら。
その方は藍ちゃんくんが乱入して尚、藍ちゃんくんへの注目が薄いのではないでっしょかー?
コラボすることでバンドさん達へのファンの皆様の感情も一緒に浴びて感じることができるので、色々気づけるやもでっすしねー。
歌に合わせたUCで凶行も弱体化できるのでっす!
悪意弱体化で様子にも表れるかとー!


オリヴィア・ローゼンタール
全人類の心に骸の海が……
アイドルという防波堤があったとは言え、よく今まで滅亡しなかったですね、この世界

演奏は少々難しいですが、【ダンス】なら得意です
紅い踊り子衣装を纏い、ミュージシャンというよりパフォーマーとして参加(パフォーマンス)
明るく激しい曲調に合わせ、寒さなんて【吹き飛ばす】ほど【情熱】的に踊る
【情熱の艶舞】で観客の【注目を集める】
ライブイベントを見に来て、|獅子女神《セクメト》の力を宿す私の踊りにまったく興味を示さないなら、それは「別の目的」を持つ者しかいない
自覚がなくとも、目が、心が、何かを探している
ステージで真夏の太陽の如く熱い輝きを放ち、それに染まらぬ闇を見極める



 猟兵達の一部が飛び入り参加したのもあり、ライブイベントは大いに盛り上がっていた。ミュージシャン達の音楽も、観衆の歓声も、公園中に広く響き渡っている。
 今は、グリモア猟兵の予知に見えた男女五人組バンドが演奏している処。その技術の高さもあり、観衆の盛り上がりも最高潮に達しようとしている。
「あやー! とっても素敵なライブなのでっす!」
 観衆の間からステージを見上げ、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)はそんなライブの燃え滾るような空気を、存分に感じ取っていた。こうしてミュージシャンとファンとが一体になれる空気感。これぞ良きライブと言えるだろう。
「この熱量、皆さんこの場を大いに楽しんでいるようですね」
 藍の隣、同道していたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)も納得と共に頷くが、その表情は何処か険しい。というのも。
「――しかし。よく今まで滅亡しなかったですね、この世界……」
 口に出すのは世界の状況への驚き。この世界の人類は、例外なくその全てが心に骸の海を抱えているという。これまでの世界を鑑みれば、それだけでカタストロフに至ってもおかしくない気がする。
「それはきっと、アイドルの皆々様の頑張りのおかげではないでっしょうか!」
 藍の見解に、オリヴィアも首肯する。きっとこれまでこの世界に在ったアイドル達が、防波堤めいて溢れる骸の海で対処していたのだろう。だが、今は己ら猟兵もいる。
「ではでは、いざ飛び入りなのでっす! |客席《こちら》からの雰囲気もビリビリ感じさせて頂きましたし!」
「そうですね。次は、ステージから見てみるとしましょうか」
 更に藍が提案するに了解を返すオリヴィア。両者とも、其々に近しい方法を以て、件の少女を探そうとしていた。

 ステージ上のバンドが演奏を終え、ちょっとしたMCに入ったところで。
『藍ちゃんくんでっすよー!』
 突然マイクに割り込む元気良い声。見れば、ステージに上がってくる藍とオリヴィアの姿がある。
『飛び入りで即興セッションしたいと思うのでっす!』
「皆さんの音楽に、私のパフォーマンスで華を添えられればと」
 其々の言葉で、藍とオリヴィアは飛び入り参加への意志を示す。実は此処までの時間、藍は彼らのバンドの情報収集を行ったり、観客としてメンバーの癖の把握などに努めていた。その甲斐もあり、初見の楽曲であろうとアドリブで合わせられると自信ありげだ。
 一方オリヴィアは、演奏にはあまり自信がないのでと踊り子衣装を纏い。パフォーマーとして飛び入り参加を希望していた。未だ寒さ残る時期なれど、踊り子ならばとそのスタイル抜群の肢体は惜しげもなく晒されている。
『OK! そういうコトなら一緒に楽しもう!』
 そんな二人の希望を受け、リーダーらしいベーシストの青年は申し出を快諾。此処に変則セッションが開幕と相成ったのである。

 バンドメンバー達の演奏は常に増して巧みに、かつ力強く会場へ響き渡る。其を受けた観衆のヴォルテージもまた、より一層高まっているようだ。
『『~~~♪』』
 ヴォーカルの青年と藍とが楽しげな様子でデュエットしてみせる。先の宣言に偽りは無く、藍は初めて聞く楽曲にも関わらず、見事に合わせてみせていた。こっそり発動していたユーベルコードの恩恵もあろうが、凄まじいアドリブ力である。
 その隣では、オリヴィアがダイナミックにして華麗なるダンスパフォーマンスを見せていた。楽曲の明るく激しい曲調に合わせた、四肢を大いに躍動させるダンスは、紅い踊り子衣装も相まって、寒さなど吹き飛ばしてしまいそうなほどの情熱的な様相だ。その様はさながら、真夏の太陽の如し。
 歌と踊り、二人のあまりに見事なパフォーマンスぶりは、観衆の視線も興味も大いに惹きつける。本来はバンドの音楽を聴きに来た者であっても意識せずにはおれぬ、抜群の存在感を其処に示す。
(――感じるのでっす)
 そんな観衆の注目と共に、其へ籠った感情も共に浴びる藍は気付く。明らかにベクトルの外れた感情が、其処に混じっていることに。
(自覚があるかは分からんが――その目、その心。何かを探しているのだろう)
 オリヴィアもまた気付く。己へ向いていながら、己を見ていない視線の存在。即ち、無関心――今この場に合って、藍とオリヴィアに些かも興味を示さない者がいる。それは何故か。
(探しているのは――此方のお姉さん、でっすかねー?)
 藍は視線をギタリストの女性へと向ける。グリモア猟兵の予知では彼女が凶行の犠牲となっていたが、それは偶然なのか、それとも最初から狙われていたのか。
 試しに、パフォーマンスの流れから彼女の方へと近づいてみれば。向けられる視線に熱が混じる。間違いない。
(成程――それが目的か)
 藍の動きからオリヴィアもまた察する。どうやら犯人は、かの女性に何らかの強い感情を抱き――それ故に、骸の海を溢れさせんとしているらしい、と。
 この場に在って尚、其に染まらぬ闇を抱えた少女。視線を巡らす藍とオリヴィア。
(――あの子でっすね!)
(――彼女か)
 二人がほぼ同時に視界へ認めた、お下げ髪の少女。一見大人しげな表情は、何処か苦悩を滲ませる。骸の海の影響だろうか。
 何にせよ、目標は定まった。後は、仕掛けるタイミングを待つのみだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オブリビオン・ロッカー』

POW   :    反逆の薔薇
【エレキギター】で楽曲「【反逆の薔薇】」を奏で、曲に込められた【社会への憎悪】に圧倒された対象全員にダメージと畏怖を与える。
SPD   :    闇のイバラ
【演奏によって具現化した「闇のイバラ」】を最大でレベルmまで伸ばして対象1体を捕縛し、【骸の海】による汚染を与え続ける。
WIZ   :    バイオレンス・ロック
【エレキギターの激しい演奏】で【闇色の爆発】を発生させ、レベルm半径内の対象全てを攻撃する。連続で使うたび命中力と攻撃速度が上昇。

イラスト:nitaka

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(先輩……)
 ステージの上、溌剌とギターを奏でる彼女を見上げる。
 彼女は己に気付いているだろうか。気付いてはいても、意識はしていないかもしれない。彼女にとってはきっと、己など後輩の一人に過ぎないのだろうから。けれど。
(……わたしは、先輩のこと……)
 それは許されない感情。彼女にとってはきっと迷惑だろう。だからずっと抑えていた。影ながら、世界へ飛び立とうとしている彼女を応援していようと思っていた。
 けれど止められなかった。自分だけの彼女であって欲しい、そんな気持ちが溢れ出して。気が付けば、自宅にあった包丁を持ち出して此処に居た。
(これで……わたしは、先輩を……)

 ずっと、わたしだけのもの。
 その響きは、あまりにも甘美すぎた。

 コートの下に隠した包丁を握りしめ、ステージへ向けて歩みだす。もうすぐ彼女達の出番は終わる。急がなければ――



 猟兵達がマークしていたその少女が動きだしたのは、件のバンドが出番を終える――最後のナンバーがクライマックスへと入った、まさにその時。
 このままいけば、グリモア猟兵の予知した惨劇が現実のものとなってしまう。今こそ、彼女を止める時だ。即ち、アイドルの力で以て。

 誰ともなく星に願えば、天より一条の流れ星が地へと降り落ち、ステージへ命中する。伴い広がる光が、その場の光景を一変させる。
 それまでに増して絢爛たる煌めきを纏う舞台、その下で揺れる無数のサイリウム。まさにアイドルの為のステージが、此処に展開されるのだ。

「これ、は……あ、あぁ……っ!?」
 ステージへと上がろうとしていた少女は、突如現出した光景に驚く――間もなく、その身に異変が生ずる。白とも黒ともつかぬ煙状の何かが、全身から溢れ出し。その身を包んでしまったのだ。これは、少女の心から溢れ出した骸の海の具現だろうか。
 煙は更に周囲へと拡散、バンドメンバーやその他のミュージシャン達、観客達をも次々と呑み込んで――
「世界はクソだ! 社会はクソだ!」
「夢も希望もありゃしねえ!」
「こんな世界はブッ壊せ! 邪魔する奴らはブッ殺せぇ!」
 直後、其処から現れ出た彼らは、刺々しいファッションにギターを携えた、パンクロッカーめいた姿へと変貌していた。少女から溢れた骸の海の影響で、彼らもオブリビオン化してしまったのだ。
 まずは彼らを打ち倒し、正気に戻していかねば。今こそ猟兵の――アイドルの|出番《オンステージ》だ。

※『オブリビオン・ロッカー』との集団戦です。
※彼らの強さは普通の集団敵相当です。倒す際は普通に攻撃して問題ありません。
※既にアイドルステージが展開されていますが、「流れ星に願いをかける」プレイングをかけて頂ければ、別途ステージ展開シーンの描写を盛り込ませて頂く所存でおります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、この様な舞台になるのですかぁ。
とは言え、まずは対処ですぅ。

先に備えて『見た目』も鑑み、『FCS』で『FAS』の色彩とデザインを『純白の翼』とした上で飛行、『FLS』の空間歪曲障壁を展開しまして。
【仰域】を発動、『乳白色の波動』を纏いますねぇ。
【反逆の薔薇】は『音楽&精神干渉』という「『非実体の攻撃手段』による【UC】」ですから、『波動』で吸収し易い全ての条件を満たしておりますので、込められた『憎悪』がどれ程の物であれ、問題無く吸収が可能ですぅ。
後は『FGS』で回避行動を阻害し、吸収した力を乗せた『FRS』『FSS』の[砲撃]による[範囲攻撃]で一気に叩きましょう。


シビュラ・ヴェルムリープ
天使核を運用する終焉破壊の|棘《ソーン》……それを展開し、『流れ星に願いをかける』
わたくしはオラクルのエンドブレイカー!
その託宣を以て、理不尽なる|終焉《エンディング》を砕くわ!

『不滅の羽ばたき』と『植物の癒しの森』を発生させ、自身から142m半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる……それはつまり、サイリウムによる強化が『再行動による再度の応援』によって2倍になるという事!
アイドルステージに集まった142万人のサイリウムはわたくしの味方なのは間違いなし!
さぁ、『不滅の羽ばたき』と『植物の癒しの森』よ……彼女の瞳に移るエンディングを破壊しなさい!



 ステージに上がるべく動き出した少女。其へ真っ先に気付いたシビュラ・ヴェルムリープ(光桜天樹スプリールの聖女・f39562)、毅然たる表情で空を見上げる。
「わたくしはオラクルのエンドブレイカー! その託宣を以て、理不尽なる|終焉《エンディング》を砕くわ!」
 其を願いと受け取ったか、空から降り落ちるは流れ星。其がライブ会場のステージへと命中すれば、会場の風景は一変。シビュラの姿はステージの上へ、周囲には幾つものサイリウムが揺れる観客席。アイドルステージの展開である。
「そして終焉を破壊せよ、我が星の輪!」
 更なる宣言と共に、シビュラの周囲に棘の結晶めいた物質が生じ、ステージ上から観客席へ至るまで広く展開されてゆく。其はエンドブレイカー世界の根源物質『|棘《ソーン》』、かつては理不尽齎すマスカレイドの糧とされた事もあったが、今や正しき姿を取り戻し、猟兵たるシビュラの手で更なる力を得たるもの。
 ステージ一帯に広がった|棘《ソーン》は、その周囲から草花を生成し、ステージを小さな森めいた姿へと変えてゆく。見る者の心身に安らぎを齎す、癒しの森へと。
「成程、このような舞台になるのですかぁ」
 そんなステージの上に、更なる猟兵の姿。煌めくアイドルステージの風景を見渡し、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は得心いったように頷く。願いに反応して降り落ちる流れ星、其が展開するアイドルステージ。如何なる術理が働いているのか興味深い処ではあるが。
「とは言え、まずは対処ですぅ」
 視線の先にオブリビオン――パンクロッカーめいた姿の男達を認め、得物たる祭器群を展開。その背には純白の翼を広げ、ステージより僅かに浮遊する。
「アァ? 神様の遣いってかぁ?」
「神様なんざ偉ぶってるだけの雑魚だぜ雑魚」
 そんなるこると、聖女らしい装いにて立つシビュラの姿を認めたロッカー達が口々に罵声を飛ばす。何もかもへと怒り反逆せんとする彼らにとり、神というものは格好の攻撃対象ということだろう。
「託宣が形を持たない以上、仕方のないことではあるわね」
「ですが、此処は力を示してみせるべきですねぇ」
 あくまで天啓という形にてエンディングを見るのみのシビュラは兎も角、信仰に生きる身であるるこるとしては思う処がある様子。奉ずる女神の威を示さんばかり、その身へと乳白色の波動を纏う。
「困った時の神頼みってかぁ!? 雑魚すぎるぜテメェら!」
「世界はクソだ神様もクソだ! 全部全部ブッ壊れやがれ!」
 その様が更にロッカー達の勢いを煽ったか、更なる罵倒を飛ばしつつ、一斉にギターを構える。弦へと指を這わせば、ノイズ混じりのメロディがステージへ響き渡る。
「「「行くぜ! 『反逆の薔薇』!!」」」
 そして奏でられ始めるは、社会への憎悪を込めたロックサウンド。歌唱や演奏自体は巧みとは言えずとも、怒りと憎悪を叫ぶが如き歌声と雄叫びじみたチョッパー音は聴衆を圧倒して余りあるものだ。
 が。
「成程、力強さはある曲ですねえ」
「技術の拙さは頂けないわね」
 そんな彼らの演奏を前に、率直な感想を述べるるこるとシビュラ。その歌にはそれなりの感じるところがあるようだが――ダメージは無い。歌唱と演奏を続けながら、ロッカー達は驚愕していた。
 理由は単純。るこるの展開した波動によって、音楽と共に彼らの放ったユーベルコードが吸収されてしまった為だ。非実体のユーベルコードによる攻撃に対しては特に高い吸収効率を発揮するこの波動の前に、彼らの音楽は無力であった。
「んなバカな!? 何で俺らの歌が――」
「これが、豊饒の女神様の御力ですよぉ」
 彼らの扱き下ろした『神頼み』の力で以て、彼らの力を退けてみせたるこる。此処からは、更なる力を示してみせる時だ。
「そして、これが女神様より賜りし祭器の力ですぅ」
 展開されるは浮遊砲台型の祭器群。彼女が攻撃に際し行使する砲撃武器だ。更に。
「わたくしの力も上乗せさせてもらうわ!」
 シビュラの宣言と共に、ステージ上へ風が吹く。其はシルバーレインの不滅の使者を思わせる不滅の羽ばたき。受けたる者の生命力を活性化する力。以て為すは、行動の為の力の活性化。
「ありがとうございますぅ。それでは――」
「ひぃっ!?」
「や、やべぇ……!」
 砲口がロッカー達へと狙いを定める。其処にきて危機を覚えるロッカー達だが、その身はろくに動かない。予め展開された重力結界が、彼らの動きを妨げているのだ。
「一気に叩かせて頂きますねぇ」
 そして砲台群が一斉に砲撃。熱線と炸裂弾の嵐が、ロッカー達を呑み込んで、これを吹き飛ばし――爆風の退いた後には、倒れた観客達の姿が残されていた。全員、傷も無ければ命に別状も無しである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カンナハ・アスモダイ
※アドリブ連携等歓迎
えええっ!?
……随分とロックじゃない!


だったらこちらも最高にワルできゃわいく衣替えといこうかしら!
お願い、流れ星!

光あるとこ闇があり!渾渾沌沌★陰陽アイドル!
悪魔法少女★あすも☆デウス・|混沌変身態《カオスフォーム》!絶唱☆

最高にロックでスタイリッシュな<アイドルダンス>で<存在感>をアピールしつつ回避!
クールでロックな<|歌魔法《デスボイス》>に乗せて、今度は光魔法と闇魔法のセッションといかせてもらうわ!

……いいわね、今のあなた達、最高にロックだわ!
でも、今の私はクールでロックでトゥインクル……光と闇の輝きを併せ持つ者!
闇の煌めきなんかに負けやしないんだから!


白金・ヒカル
※アドリブ歓迎、共闘希望

POW判定

【心情】
これが初戦闘、しっかりと活躍して
マジピュアになって一緒に活動してくれる人を探すピカ!

【作戦】
ステージで失敗して助けを求め、
逃げ惑いながら味方の行動を支援する

【内容】
人間変身してステージ上に出てアイドル衣装に着替えようとするが
変身の名乗りモーションをギタリストの憎悪の旋律に邪魔されて
耳を抑えながら逃げ回って助けを求めます。

【セリフ】
(小学生ほどの少女の姿フェアリーライトを構え)
「フェアリースター☆ウェイクアーップ!
星のキラメキを受け……、」
(耳を抑えながら逃げ回る)
「キャー、キャーッ!うるさくて耳が痛すぎでございます~。
どなたか助けて下さい~(涙目)」



「えええっ!?」
 アイドルステージの上、現れたるオブリビオン・ロッカーの集団と対峙したカンナハ・アスモダイ(悪魔法少女★あすも☆デウス・f29830)は驚いたように声を上げる。だが、その声音に籠る感情は驚きだけではない。
「……随分とロックじゃない!」
「なんだか楽しそうピカね!?」
 続くカンナハの感想に、並び立つ白金・ヒカル(マジピュア☆フェアリースターズ・f45148)が思わず突っ込みを入れる。因みに今のヒカルは人間の姿――桃色の髪と瞳を持つ幼女の姿となっている。彼女もアイドルとしてオブリビオンと戦う意志を固めているのだ。
「ええ、ロックはワルで格好良いもの! 良いライバルってところね!」
「ハッ、分かってんじゃねぇか!」
「なら俺達の邪魔はしねぇで貰おうか!」
 肯定するカンナハ。そんな彼女にはオブリビオン達も悪い感情は無さそうだが、それはそれとして彼女が己らを止めんとしているのは理解しているのだろう、敵意は明らかだ。
「そうはいかないピカ! 憎悪塗れのその心、ボク達が救ってあげるピカ!」
 対抗するように声を上げるヒカル。猟兵としてもアイドルとしてもこれが初陣。人々を救うのは勿論、確と活躍しマジピュアとして覚醒させる相手の発見に繋げねば。
「そのロックに対抗するなら、私も最高にワルできゃわいく衣替えといかなきゃね!」
 カンナハはあくまでアイドルとして対抗する構え。その意志を口にすると共に、空へ向けて手を掲げれば。
「お願い、流れ星!」
 呼びかけると共に、上空高く星が煌めき――其が流星となり真っ直ぐ降り落ちて、カンナハへと命中。伴って広がる眩い光に、やがて黒き輝きが入り混じり。それらが渦巻く中で、カンナハの衣装が変化を遂げる。
「光あるとこ闇があり! 渾渾沌沌★陰陽アイドル!」
 口上と共に白黒の光が弾け飛び、カンナハの姿が露となる。その身に纏うは白と黒の、中華っぽい意匠を随所に有しつつもパンクな雰囲気を纏ったアイドルドレス。
「悪魔法少女★あすも☆デウス・|混沌変身態《カオスフォーム》! 絶唱☆」
 そして決めポーズを取ってみせれば、白黒二色の光が周囲に煌めく。まさに光と闇が合わさったロックなアイドルというべき様相だ。
「ボクも続くピカ! フェアリースター☆ウェイクアーップ!」
 ヒカルもまた変身せんと杖を構え、其を頭上高く掲げれば、その身は光に包まれて。身に着けた服はアイドルらしい可憐なドレスへと変化を遂げる。
「星のキラメキを受け」
『反ッぎゃァァァァァァァく!!』
「キャーッ!?」
 が。口上を始めようとした処で、ロッカー達が攻撃を開始した。持ち歌『反逆の薔薇』を歌い出したのだ。そのシャウトに圧倒されたヒカル、伴う|衝撃《ダメージ》に思わず怯む。
「光なんざいらねぇ! 闇だ! 闇に染まっちまえぇぇ!!」
 演奏担当のロッカー達はギターを激しくかき鳴らし、ステージ上の至る処に闇色の爆発を発生させる。其はカンナハの立つ位置へも生じようとするが。
「当たんないわよ!」
 なれど爆発の瞬間を見切ったカンナハ、ひらりと身を躱し爆発を回避。回避先にも更に爆発が生じるも、慌てず再度の回避。その動きは軽やかではあるが、それだけではない。
 アグレッシブでありつつもシャープなその動きは、ロックでありつつスタイリッシュ。挙動のひとつごとに決めポーズめいたアピールモーションを挟む様は、アイドルとしての存在感をその場へ示すが如し。
「キャー! キャーッ!」
 一方ヒカルは、耳を抑えてステージ上をあちこち走り回っている。尚も響く反逆のナンバーと、更に襲い来る闇の爆発から必死に逃れ続けているのだ。
「う、うるさいですし危ないですしあちこち痛すぎでございます~!」
 絶え間なく響くメロディは、ヒカルに反撃を許さない。その上で追撃も来るとなれば、現状通り逃げ回るより他になく。
「どなたか助けてください~!」
 涙目で助けを求める始末。最早何をしに来たのか不明なほどのお騒がせアイドルぶりだが――実の処、これでも彼女は己の役割を果たせていた。
 行動に失敗した時にこそ発動するユーベルコード、其がカンナハの身へとオーラを纏わせ、彼女の動きをより機敏なものとさせしめているのだ。
 その足捌きはメロディに合わせて、かつ華麗に。圧倒する世界への憎悪も、黒き爆発も、今のカンナハを捉えるには至らない。
「……いいわね、今のあなた達、最高にロックだわ!」
 彼らの奏でるロックを感じながら此処まで踊ってきたカンナハ、ロッカー達の歌唱と演奏へ敬意を示す。敵であれども音楽を以て己を示さんとする者達、アイドルとは決して相容れぬものではない。
「てめぇのダンスも大したモンだが! だがなぁ!」
「俺らは止まらねぇぞ! このクソみてぇな世界を全部ブッ壊すまで!」
 ロッカー達もまた、カンナハのダンスとアピール――アイドルとしての在り方を率直に評価するが。それでも敵対意志は止むことなく。
「ええ、ええ。そうでしょうね」
 なれどカンナハは彼らを肯定する。何故ならば。
「でも、今の私はクールでロックでトゥインクル! 光と闇の輝きを併せ持つ者!」
 己の在り方で以て、彼らを圧倒してみせる。そんな意志を示すと共に、カンナハの周囲に黒と白の光が溢れ出す。
「闇の煌めきなんかに、負けやしないんだから――」
 ダンスによる回避行動は続けながらも、大きく息を吸い込んで。直後、繰り出される其は。
『――Vooooooooooooid!!!』
 低く力強い、デスヴォイスによるシャウト。伴って励起されるは、歌声で以て繰り出される歌魔法。其がカンナハの周り、黒白の光へと反応し――生ずるは、二色の光が織りなす、猛烈なる光の波動。
「「「ギャーッ!!?」」」
 其はロッカー達を纏めて呑み込み、以てその全てを戦闘不能へと追い込んでゆく。倒れた彼らは程なく元の姿へと戻り、カンナハのパフォーマンスにやや興味を示す様子は見せつつも。やはりこの場は危険ということで、ステージを離れていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
…………ナメているのか、戯けどもが

赫怒に呼応し、総身に宿る炎の力が増していく
春の恵みを思わせる陽光は、灼熱の烈日へと豹変する
人間の生存が許容されている、それがどれだけ幸福なことか識るがいい

反逆の薔薇とやらを真っ向から聞く
だが、生きるということをナメ腐ったぬるま湯のような意識からなる社会への憎悪など、赤子の癇癪に等しい
取るに足りぬわ、片腹痛い
社会や世界のせいにするな、もっと本気になれ!
抜山蓋世の気概あらば、やってやれないことはないだろう!
それこそが叛逆――ロックやパンクの神髄だろうがよ!!

我が咆哮と【灼滅の吐息】を以って、その腑抜けた魂に熱をくれてやる!(焼却・気合い)



「反逆しろ! このクソ社会に!」
「反逆しろ! クソッタレな世界に!」
「俺達は! 自由だ!!」
 喚くような歌声と共に、ギターをかき鳴らし歌い叫ぶオブリビオン・ロッカー達。彼らのその歌は持ち歌であると同時にユーベルコードでもある代物。其へ込められた社会への憎悪を以て、聞く者を圧倒し、以て心身への衝撃を齎す|音楽《ロック》。
「……………」
 だが、そんな歌唱と演奏に真っ向から正対するオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は動じない。先のライブ中から引き続いて|獅子女神《セクメト》めいた踊り子衣装を纏うその身は、宿す炎の闘気を表出させ、以て総身を包む状態に至っていた。
 ロッカー達を見据える視線は鋭く、厳しい。彼女の目には、相対せし彼らのその在り方が、極めて軽薄なものと映っていた。
「……ナメているのか、戯けどもが」
 やがて口を開けば、放たれるは静かな、然し煮えたぎるが如き怒りを帯びた声音。其は騒々しき奏楽の中に在っても 驚く程によく通る。
「アァ!? ナメてんのはテメェだろうがよ!」
「俺らの怒りを! 憎しみを! バカにしてんじゃねぇぞ!」
 其を受けたロッカー達、一部が反論すると共にその演奏をより激しいものとしてゆくが。やはりオリヴィアは動じない。
「貴様らの怒りなど取るに足りぬわ、片腹痛い」
 なれどオリヴィアは其をも真っ向より切り捨てる。彼らの憎悪など、生きるということを舐め腐ったぬるま湯の如き意識より生じた、赤子の癇癪にさえ等しきもの。其がオリヴィアの、彼らの音楽への評価であった。
 物心ついた時より聖槍を手に闇を駆け、闇と戦い、以て絶望へ抗ってきたオリヴィアにとって、彼らの歌う怒りや憎しみなど、世界の違いを差し引いても全く薄っぺらい代物でしかない。にも関わらず、知った風に世界への憎悪を|歌う《わめく》様は、彼女の逆鱗に触れる代物とすら言って良い。
 赫怒と称し得る域にまで達した怒りは、その身に纏う炎をより強く激しいものへと変えてゆく。其は、周辺の環境さえも変えるほどに激しきもの――
「な、何だ……!? 急に暑く……」
「ってかクソ熱ぃぞこれ!?」
 ロッカー達が困惑混じりに叫ぶ通り。ステージ上の気温が瞬く間に上昇し、灼熱地獄と言って良い程の高熱にまで至る。其は春の恵みを思わせる陽光が、灼熱の烈日へと豹変したが如し。
「人間の生存が許容されている、それがどれだけ幸福なことか――思い知ったか」
 慌てふためくロッカー達を睥睨するが如く、オリヴィアが睨み据える。この程度で慌てふためくようならば、あの闇の中を生き抜くなど到底できまい。
「その憤懣、社会や世界のせいにするな! もっと本気になれ!」
 以て喝破する。彼らは斯様な憎悪を語る域になど至っていないのだと。その前に為すべきことがあろう、と。
「抜山蓋世の気概あらば、やってやれないことはないだろう!」
 その言を形とするが如く、纏う炎が一点へと集束する。オリヴィアの眼前へと。
「それこそが叛逆――ロックやパンクの神髄だろうがッ!!」
 力強く吼えると同時。集束した炎が暴風じみた勢いで以てロッカー達を目掛け放たれ。これを焼き尽くしてゆく。彼らの腑抜けた魂へ熱をくれてやる、と言わんばかりに。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
憎悪の歌を奏でてはダメだなんて、藍ちゃんくんは思わないのでっす!
ですけど、ええ。
無理矢理歌わされてるというのなら話は別でっすよー?
歌は歌わされるものではないのでっす。
想うがままに、歌いたいから歌うものなのでっす!
藍を込めて、心を込めて歌うのでっす!
観客の皆様だけでなく、オブリビオンになってしまった皆様へも届けと歌うのでっす!
ただただ優しい歌を。
皆様がこのイベントに来ていたということこそが、ここに皆様の夢と希望があったその証!
クソでもなければ壊したいものでもないものが、皆様にある証なのでっす!
憎悪を癒やせば圧倒されず、憎しみ煽る皆様を包んだ骸の海だけを攻撃するのでっす!



「反逆だ! この世界に反逆しろ!」
「ブッ壊せ! 踏み潰せ! 何もかも!」
 猟兵達の攻撃により、オブリビオン・ロッカー達は次々と打ち倒され、元の人々の姿を取り戻してゆく。なれども未だ残るロッカー達はギターをかき鳴らし喚くように歌い続ける。世界への憎悪に塗れた歌を。
「ええ、ええ。それもまた、ひとつの音楽だと思うのでっす!」
 彼らの歌を、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は肯定する。憎しみとて確かな人の想いなれば、其に基づく歌を奏でてはならぬなどと、彼は考えない。だが。
「ですけど、無理矢理歌わされてるというのなら話は別でっすよー?」
 其は、あくまでも彼ら自身の元より宿す憎悪に由来している場合に限る。植え付けられた感情のままに歌わされているなら、其を肯定することはできない。
「うるせえ! 俺らは歌いたいように歌うだけだ!」
「社会はクソだ! 世界はクソだ! 何もかもブッ壊れちまえ!」
 聞く耳持たぬとばかりに喚きながら、ロッカー達は奏で、歌い続ける。そんな音楽の齎す心身への衝撃を感じつつも、藍は揺らがぬ意思を語る。
「歌は歌わされるものではないのでっす。想うがままに、歌いたいから歌うものなのでっす!」
 其はオブリビオンとして在る彼ら以上に、オブリビオンへ変えられてしまった人々へ向けたもの。つい先程まで、そうした歌を楽しんでいた人々への呼びかけ。
「|藍《愛》を込めて――心を込めて、歌うのでっす!」
 その理念を行動で以て示すべく。藍はマイクを握る。周囲で揺らめく|サイリウム《かんきゃく》達へ、そしてオブリビオンと化した人々へ向けて、歌い始める。
『~~~♪』
 其は只々、優しい歌。藍のあるがままの祈りと願い、そして心を込めた歌。以て伝えるは、夢と希望の在処。
「反逆……反逆……くそっ、何だってんだ……!?」
「気持ちが湧いてこねぇ……何もかもブッ壊してぇって気持ちが……」
 其を耳にしたロッカー達に異変が生ずる。演奏も歌声も、瞬く間に勢いを失い。只々呆然と立ち尽くしながら、異変への困惑を示すばかりとなる。
(そう、皆様には確かにあるのでっす。皆様は今日、此処のイベントに参加していたのでっすから)
 歌い続けながら、藍はその想いを心中にて示す。ミュージシャンとしてステージに立っていた者も、観衆として其を楽しんでいた者も。その心には夢や希望があったのだと。故にこそ、此度のイベントに参加していたのだと。
(それはクソでもなければ壊したいものでもない、そうしたモノを抱いている証なのでっす!)
 だから社会を、世界を憎む必要など無い。ロッカー達へ、ロッカーへと変じた人々へ呼びかけるように、藍は歌い続ける。
「ああ……なんだこれ……心が、あったけえ……」
「不思議だ……憎いって気持ちが、全然湧いてこねえ……」
 其はあらゆる理屈も条理も飛び越え、ロッカー達の心へ届く。憎しみに染まった心を癒し、憎しみの元凶たる骸の海を浄滅せしめてゆく。
 やがてロッカーの姿は溶け崩れるように消えていき、後には元の、イベント参加者の人々の姿が在った。骸の海の影響が消え、元の姿へと戻ったのだ。
 どうやら、己の歌は確と彼らへと届いたらしい。手応えを感じつつ、安心したように頷く藍であったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『タブー・ケージ』

POW   :    スクリーミング・ギロチン
【体内に囚われた『本来の人格』の悲鳴】を披露する事で【禁忌の悪魔】に変身し、戦場内の敵全てを攻撃する【ギロチン刃】を降らせる能力を得る。
SPD   :    黒薔薇迷宮
【心から溢れ出した「骸の海」】に自身の血液を1〜100%捧げ、戦場を怪物蠢く【黒薔薇】の迷宮に変える。迷宮難度は捧げた%に比例。
WIZ   :    コラプサー・フラッシュ
【鳥籠の目への魔力集中】で【激しい輝き】を発生させ、レベルm半径内の対象全てを攻撃する。連続で使うたび命中力と攻撃速度が上昇。

イラスト:湯べし

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオン・ロッカーと化していた人々は、猟兵達の力によって全員無事に元の姿へと戻ることができた。彼らをステージの外へと避難させ、残るは、溢れる骸の海の大本――先の少女のみだ。
「―――――」
 ステージ上の少女は、鳥籠めいた檻の中に居た。その装いは、先と異なる純白のドレス。ヴェールを被り、虚ろに佇む姿は、外の世界を拒絶するかの如し。事実、少女は猟兵達を前にしても一切の反応を示さない――何も見えない、聞こえないかのように。
 代わりに、檻に咲いた黒い薔薇から茨が伸び、無数の眼を具える禍々しき翼が広げられる。この檻自体がオブリビオンなのだ。その動きは、少女を猟兵達には渡さじとするかのよう。
 奇怪な姿のオブリビオンだが、猟兵達には感じ取れよう。この鳥籠が宿す、凄まじい力の程を。まともに戦えば、歴戦の猟兵とて容易く退けられてしまうだろう、圧倒的な力。果たして、如何に対抗すべきか――
 否、対抗の術は間違いなく有る。ステージ下で揺れる無数のサイリウムがその答えだ。この世界の人々の無意識を形とした、アイドルを応援したいという意思。
 パフォーマンスを通じ、彼らに己を示せば。応援は更に強く、大きくなる。以て、かのオブリビオンへ対抗し得る力となる。それこそが勝利の鍵となろう。
 猟兵達よ、今こそクライマックスの時。己の在り方を示し、かのオブリビオンを打ち倒すのだ。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
この様な環境になるのですねぇ。

翼の演出は継続、『FMS』のバリアを乳白に染め守りを固めまして。
【僓戠】を発動し『神符』を召喚、祈りを捧げ『神符』の支援を受けた『FRS』『FSS』の[砲撃]で攻撃しますねぇ。
そして『攻撃中無敵化』で『ギロチン』を凌ぐ間に『意思』へ示しましょう。

我は『信仰心』の下、心も魂も全てを女神への供物とした『使徒』。
捧げた心魂を地上での活動の為に下賜された存在故、有り様の全ては女神の御許に。
様々な『|加護《UC等》』により自在に変ずることこそ本質也。

『FQS』で『意思の力』を効率的に汲み上げ『女神紋』を暴走、『万象崩壊印』による攻撃を仕掛けますねぇ。



 アイドルステージ上にてオブリビオンと対峙する猟兵達。その周囲には幾千幾万ものサイリウムが色とりどりに揺れ、|戦場《ステージ》に更なる彩りを添える。
「この様な環境になるのですねぇ」
 其を眺め渡し、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は得心いったかのように頷く。グリモア猟兵から話に聞いていた通りの光景である。
「そして、これが……」
 視線を移し、改めて対峙せしオブリビオンを見据える。成程、話に聞いていた通りの凄まじい力が感じられる。これまで多くの強大なオブリビオンと交戦してきたが、この敵を超えるものはそう多くない――とまで感じられる程。
「――大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『摧破の加護』をお与え下さいませ」
 なれば出し惜しみはできまい。奉ずる女神へと祈りを捧げれば、その手へと現れ出るは一枚の符。指を滑らせれば、その表面に浮かぶは女神を示す紋様。
「かの敵を打ち倒す為の力を、此処に――」
 神符を手に祈りを捧げれば、応えるが如く武装たる祭器群が浮かび上がる。浮遊砲台の形を取ったそれらは相対せしオブリビオンへと狙いを定めるが早いか、一斉に砲撃を開始。熱線と炸裂弾とが、絶え間なく撃ち放たれては黒き檻へと叩き込まれてゆく。
『アアア、アアアァァァァ!!』
 上がるは少女の悲痛なる悲鳴。なれど、このオブリビオンを殲滅できれば彼女もまた助け出すことは叶う筈。そう判じ、るこるは攻撃を継続。立て続けに叩き込まれる炸裂弾の起こす爆風に、オブリビオンと少女の姿が飲まれてゆく。
「―――――!」
 其処に降り落ちてくるは、無数の黒きギロチンの刃。どうやら敵のユーベルコードで呼び寄せられたものらしい。なれど神符に浮かべた女神紋の加護あらば、攻撃を続けている限り己は無敵。加え、銀盤型祭器によってバリアも展開している。故に守りは万全。それらを恃んで攻撃を続けるるこる。だが。
「……っ!?」
 以て殆どのギロチンを寄せ付けぬ、るこるの肉体。だが攻撃を続ける祭器群、そしてバリアを形成する祭器、それら自体はそうもいかない。降り落ちて来るギロチンを受け、ひとつ、またひとつと破壊されてゆく。
 このまま祭器群を全て破壊されてしまえば、無敵の護りも失われ無防備を晒すこととなる。更に、問題はもう一つ。
(殆ど効いていませんねぇ……)
 探査祭器から伝わって来る敵の状態。ユーベルコードによる特攻効果を上乗せしたにも関わらず、敵は殆どと言って良いほどダメージを受けていない。かの鉄檻に、何らかの防護がある訳ではない。単純に防御能力が高すぎるのだ。
 現在進行形で攻撃祭器が破壊されている以上、このまま続けても状況は悪化する一方だ。ならば、別の手を打つ必要がある。そして、その手段も既に想定済みだ。
「――では、示させて頂くとしましょうかぁ」
 祭器群に攻撃を継続させつつ、るこるは両手を広げ。其に合わせて、背に負う白きオーラの翼をも広げながら、ステージ上空へと浮かび上がってゆく。
「――我は『信仰心』の下、心も魂も全てを女神の供物とした『使徒』」
 以て語るは己の在り方。女神への信仰に文字通り全てを捧げたもの、それこそがるこるという存在の在り方。
「捧げた心魂を地上での活動の為に下賜された存在故、有り様の全ては女神の御許に」
 己は己の為に在らず、只々女神の為にこそ在る。そんな彼女の姿は、ある種の神性を伴ってこの場に示される。其が観衆たる人々の意思へ齎す影響は如何程か。
「様々な『加護』により自在に変ずることこそ本質也」
 やがて感じられる、己の内へと齎されてゆく力。高まりゆく力を神符へと込めれば、其は常よりも大きく強く。此を以てすれば、かのオブリビオンに対しても十全なる効果を示し得るだろう、そう確信できる力。
(これなら……いけそうですねぇ)
 神符に描かれたる紋様が光を放つ。注がれた力と相まって、その輝きは本来よりも格段に激しい。其を確かめ、るこるは視線を魔檻へと向けて。
「――いきますよぉ!」
 そう発するが早いか。鉄檻がミシミシと軋み音を発しながら震えだす。るこるが解放したその力は、彼女の望む万象を崩壊させるという代物。並のオブリビオンなれば殆ど瞬時に崩壊へ至る程の力だ。
 やはり強大なるオブリビオン故にか、崩壊へ至らしめるまでには少なからぬ時を要するようだが、それでも有為なダメージが入っていることは探査祭器を通して明らかだ。これも観衆からの応援によって得られた力ゆえだろう。
 後は神符が崩壊するまで攻撃を続けるのみ。既に攻防を担う祭器群は全て破壊されてしまったものの、神符での攻撃を続ける限り無敵の護りは健在。其を恃みに、るこるは攻撃を続けてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

カンナハ・アスモダイ
※アドリブ連携等歓迎
……とても勝てそうにないわね


私が一人だったら、の話だけどね!

全世界に点在する|契約者《ファン》とその予備軍数千億人……
彼らの応援が、私にどこまでも力をくれる


始めるわよ、ライブ配信!

はーい!
世界中の|契約者《ファン》と|契約者《ファン》予備軍のみんな!
今日もあすもでうす@ちゃんねるの時間よ!

準備はいい?
一瞬たりとも見逃しちゃダメよ?


動画映えを意識した<歌唱><パフォーマンス>で全世界に<存在感>をアピール

激しい輝きをギリギリで躱しつつ、
契約者《ファン》からの<鼓舞><励まし>で
限界まで高めた<アイドル力>で準備は完了!

いくわよ!乙女魔法「ウルティメイト☆乙女光線」!


オリヴィア・ローゼンタール
鳥籠――まるで彼女の心の壁がオブリビオン化したかのようですね

ステージ上で舞い踊るは【情熱の艶舞】
見る者に【情熱】的な感情を与え、【鼓舞】するだけの【ダンス】
これには撃滅の力も、守護の力も、何もない
だが、今ここで必要なのはそんな力ではない

あなたに足りないものは、才能でも容姿でもない
ましてや血塗れた刃でなどあろう筈もなし
ただ一歩を踏み出す【覚悟】!
そして如何なる結果であろうと受け止める【勇気】!
そこに閉じ籠っていては、決して「答え」を得ることはできません!
心の檻を打ち破るのです!

彼女の骸の海を干上がらせるのは、彼女自身の心の成長をおいて他になし



 戦場に幾筋もの閃光が迸る。鳥籠型のオブリビオン、その随所より生えた翼に備わる無数の眼が、激しい輝きの光条を放って攻撃してきているのだ。
「くっ、速い……!」
 踊るような動きで閃光を躱すオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)だが、同時に焦りも覚える。初撃よりも攻撃速度が速い。繰り返す毎に加速する攻撃、いつまでも躱しきるは厳しいだろう。
「わきゃー!?」
 一方、カンナハ・アスモダイ(悪魔法少女★あすも☆デウス・f29830)は悲鳴を上げつつも回避に成功。何とか避けられているが、余波だけでも凄まじい力の程が感じられる。直撃した場合どうなるかはちょっと想像したくない。
「これ……とても勝てそうにないわね」
 そんな言葉さえも口から漏れる。何を弱気な、と言いかけるオリヴィアだが、カンナハの表情を見て言葉は止まる。その貌に怯懦の色は無く、寧ろ。
「私が一人だったら、の話だけどね!」
 其処に在るのは不敵な笑み。そう、彼女は一人ではないのだ。オリヴィアはじめ共に戦う猟兵達が在り、何より、此処だけではない数多の世界に点在する|契約者《ファン》達とその予備軍。推定総数は実に数千億人と信じる彼らの応援あらば、己の力に限界は無し。
「というわけで始めるわよ、ライブ配信!」
 ならばとばかりに宣言するが早いか、ステージを取り囲むように無数の撮影用ドローン群が浮かび上がってきた。これこそが彼女とファンを繋ぐ手段、ライブ配信の映像を中継するドローン群だ。
「今から、ということは私も?」
「勿論! 今回は私とアンタのコラボ配信ってコトで!」
 確認じみて問うオリヴィアに、当然とばかりカンナハは肯定する。互いのパフォーマンスで以て、会場の観衆も配信視聴者達も盛り上げよう、というわけだ。
「わわ、っと! というわけで――」
 更に放たれてきた光条を躱して、一番手近なドローンへと視線を向ける。レンズ横のランプが赤から緑へ。配信開始の合図。
「はーい! 世界中の|契約者《ファン》と|契約者《ファン》予備軍のみんな! 今日も『あすもでうす@ちゃんねる』の時間よ!」
 カメラ目線でいつもの挨拶を繰り出すカンナハ。戦闘の真っ只中ということを感じさせぬ笑顔と併せ、如何なる状況でも変わらぬ己を示すはアイドルの矜持か。
「今回は私、オリヴィアもご一緒させて頂きます。宜しくお願いしますね」
 オリヴィアもまた、手近なドローンへ向けて挨拶してみせる。カンナハがドローンを呼び寄せた時は少々驚いたが、そういうものだと理解すれば戸惑いは無い。この状況へと素早く順応してみせた。
「それじゃあみんな、準備はいい? 一瞬たりとも――見逃しちゃダメよ!」
 カメラを指差しながらカンナハが言い放つ、その言葉がライブ開始の合図。戦場に、ステージの煌びやかさに合わせたアップテンポなサウンドが響き始める。
『―――――!』
 其を妨げんばかり響く、声無き声。其は少女の悲鳴にも似るが、伴って檻に備わる翼の眼から放たれる輝きは紛いなき殺意によるもの。
『~~~♪』
 音楽に合わせて歌いながら、カンナハは凶光を翻めき躱す。ライブ開始に伴って送られたファン達の声援が、ユーベルコードを通して彼女の力を高め。以て、先程よりもずっと速度を増した閃光を躱させしめているのだ。
「先程までよりもずっと速い……ですが!」
 オリヴィアにもその強化は齎されている。以て回避を果たすと共に、その足はステージを踏み鳴らし、腕は音楽に合わせてダイナミックに振るわれる。其は見る者に情熱を齎す舞。配信を通して見る者達に対しては勿論だが。
「鳥籠の中のあなた! 聞こえていますか!」
 視線を向けた先には、魔檻の中の少女の姿。時々悲鳴めいて声無き叫びを上げる姿、どの程度外界を認識しているかは未知数だが、少なくとも反応を示し得る程度には認識できている筈だ。そう判じ、オリヴィアは呼びかける。
「あなたに足りないものは、才能でも容姿でもない! ましてや血塗れた刃でなどあろう筈もなし!」
 語気を強めるごと、腕を、脚を大きく振るい。発される言葉にも情熱を伴わせながら、少女へ向けて言葉を紡ぐ。
「それは、ただ一歩を踏み出す覚悟! そして、如何なる結果であろうと受け止める勇気!」
 グリモア猟兵の予知から垣間見えた、彼女の行動の理由。抱えていた想い。故にこそ骸の海の溢れてしまった原因。其を踏まえて訴えるは、少女の本当に為すべきこと。
「其処に閉じ籠っていては、決して『答え』を得ることはできません! 心の檻を、打ち破るのです!」
 其は叱咤であり、激励であり、後押しである。骸の海の檻を壊す為に必要なのは、己ら猟兵達の力以上に、少女自身の心の成長。そう信じるが故の訴え。
『―――――』
 少女の口が何事かを紡ぐように動く。告げんとした言葉が何かは分からねど、オリヴィアの言葉は届いている――そのように感じられる動き。
『熱いコト言ってくれるじゃない! ほら、|契約者《ファン》の皆からも応援とスパチャがいっぱい!』
 そんなオリヴィアの一連の呼びかけを、一曲歌い終えたカンナハが評する。ドローンから投影されているのか、二人の周囲には視聴者からのコメントが幾つも飛び交っている。カンナハの言葉通り、オリヴィアに宛てたものも少なくない。
『それじゃあ、私達からもあの子が自分の檻を破れるよう、手助けしてあげるとしましょうか!』
 呼びかけるはファン達に対して。応えるコメントとスパチャ、そして会場の観衆達の盛り上がりが、歌の披露で高まっていたカンナハのアイドル力を更に加速度的な勢いで高めて。
『いくわよ! 乙女魔法――』
 掲げた両手に収束するは、そうして高めた力によって成るエネルギーの光。敵も再度閃光による攻撃を繰り出そうとしているようだが、構うまでもなし。
『――ウルティメイト☆乙女光線!!』
 そして両手を振り下ろすと同時、エネルギーの光は奔流となって撃ち出され。彼方の放つ輝きをも斬り裂いて、少女を囚えた魔檻へと命中。その強大なる存在格を、大きく揺らがせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
お嬢さん、無反応でっすかー!
藍ちゃんくん達には興味なしでっすかー!
ですが、これならどうでっすかー!
観客の皆様方どうかご一緒に!
リーアー・アイリッス!
無意識が集うこの場所なら、助け出したバンドのギタリストのお姉さん達もいらっしゃるはず!
その歌声に無反応でいるなどと、お嬢さんにはできないのでっす!
どれだけ高難易度の迷宮が展開されようとも。
この歌は迷宮を超えて戦場全体に響き渡り、怪物さんにも、お嬢さんにも届くのでっす!
殺したところでお姉さんはお嬢さんだけのものにはならないのです。
音楽は殺せないのでっす。
今日ここに集ったファン達に。
未来のファン達にずっとずっと愛されていくのでっす。

お嬢さんが鳥籠で護っているのはご自身なのでっす。
拒絶されたくない自分自身なのでっす。
お姉さんが欲しいならお姉さんを閉じ込めた姿になったでしょうに。
告白ではなく殺すことを選んだ。
お姉さんよりも自分を選んでしまったのです。
告白すれば拒絶されるかも知れない。
でも。
きっと、あなたのことはずっと覚えていてもらえると思うのでっす。


白金・ヒカル
※アドリブ歓迎、共闘可

WIZ判定

【作戦】
【マジピュア・ジュエリーパクト】を使用
「ジュエリーパクト!あの子を助けるために力を示すでございます!」

内部に込めるUCは
1,【スターライト・ペンダント】
「さあペンダントを持って、皆に頑張れーって応援するでございます!」
(歌いながら観客にペンダントを渡し、振って一緒に応援してもらう)

2,【スターフェアリー・ライト】+【マジピュア・ホープドリーム】
「あなたにも希望の光をお届けするでございますよ!」
(相手の精神世界に分身を作り出し癒やしの光で治癒して勇気を与える)

3,【ユーベルコード・ミルフィーユ】+【マジピュア・エンゲージ】
「さあ、上を向いてください。
こんなところに閉じこもっていては良くないでございますよ?」
「アナタには自分で立ち上がって歩みだす力がもう有るはずです、
希望の未来に向かって一歩を踏み出すのでございます!」
(自身に無敵の【アイドル衣装】を創造、
対象を増やし鳥籠中の女の子にもアイドル衣装を着せる
そのまま自分の力で中から出て来るように応援する)



『~~~♪』
 アイドルステージに響く歌声。其は紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の紡ぐ歌。鳥籠の中の少女へ呼びかけんとする歌。彼女を助けだすことを人々へ訴えかけんとする歌。
 其に合わせるかの如く、観客席ではサイリウムが揺れる。姿は無くとも確かに在る人々の意識が、藍の歌声と一体となりステージを盛り上げてゆく。
「聞こえるでございますか、この歌声が! 感じるでございますか、この熱気を!」
 藍の歌が間奏へと入ると共に、彼と共に歌っていた白金・ヒカル(マジピュア☆フェアリースターズ・f45148)は声を張り呼びかける。魔檻の中、俯いたままの少女へと。
「皆、あなたの戻られるのを待ってるでございます! さあ、どうかその檻から……!」
 少女は応えない。代わって響くは金属の軋む音。彼女を閉じ込める魔檻の悲鳴めいた音。此処までの猟兵達の攻撃により、頑丈極まりなきかの檻も随所が拉げ歪み、格子にも脱落が散見される。破壊に至るまでは後少し。
「――お嬢さん、無反応でっすかー!」
「この歌も熱気も、届いている筈でございましょう!」
 なれども藍もヒカルも、あくまで少女への呼びかけに力を尽くす。この強大なるオブリビオンは、彼女の心を――彼女の秘めた想いを核として在る、そう考えるが故に。
 然し少女には些かの反応も見えない。自分達には興味無いということだろうか――藍は考える。自分の歌に興味を持って貰えないのは藍ドルとして結構ショックだが、それはそれとして。
「であれば――」
 己の歌で駄目ならば。藍が視線と共に手を伸べた先は観客席。揺れるサイリウムの中に、幾つもの人影が浮かんで見える。其は、この世界の人々の無意識が集うこの場に在って、明瞭なる形を得るに足る由のある者達。
「皆様方、どうかご一緒に! リーアー・アイリッス!」
 呼びかけると共に流れだすメロディ。藍が其に合わせて歌いだせば、彼の歌声へ重なるように、幾つもの声からなる歌声が響き始める。ステージを満たしていくその歌声に、少女の身がびく、と震えた。
「あの子に反応が……? ……もしかして、この歌声……!」
 其を認めたヒカルは、彼女のその反応を示した理由に思い当たる。そして観客席、人影の浮かぶ一帯を見て確信する。少女が反応せずにおれぬ理由を。
 人影の正体は、先程オブリビオンと化さしめられた処を猟兵達に救助された、ライヴの観客達と参加ミュージシャン達。その中には、件のギタリストの女性の姿も在った。成程、少女が想いを抱く相手である彼女の歌声ならば届くということか。
「それなら……!」
 ならばとヒカルは何処からともなくひとつのコンパクトを取り出す。開けば、その内側には幾つもの宝石が並び、希望の輝きを発している。『マジピュア☆ジュエリーパクト』、伝説のアイドルたるマジピュアのアイテムのひとつだ。
「ジュエリーパクト! あの子を助けるために力を示すでございます!」
 コンパクトを掲げてヒカルが声を上げれば。其に応えるが如く、並ぶ宝石のうちの五つが眩く輝きを放ち。やがてそのうちのひとつに輝きが収束すると共に、観客席で歌う人々の手元へ星型のペンダントが現れる。戸惑うでもなく、人々がペンダントを手に取れば。
「さあ、それを振って応援するでございます!」
 ステージ上で歌う藍を、そして檻の中の少女を。ヒカルの呼び掛けるに応えて、人々は歌いながらペンダントを掲げ、サイリウムと同じペースで振り始める。ペンダントが齎すは、持ち主を仮初のアイドルへ変身させる力。藍やヒカルには及ばずとも、彼ら彼女らもまたアイドルとして、その歌で以て戦う力を得たのだ。
 ヒカルもまた彼らと共に歌いだし、響く歌へと更なる力を重ねてゆく。ステージを満たす歌声は、先程までとはまた異なる熱気を伴い響き渡る。
(心強いのでっす! さあ、如何でっすかお嬢さん!)
 共に歌う人々の歌声が更なる力を帯びるを感じ、藍も負けじと声を張る。皆の歌声が励起したユーベルコードは魂の歌となって魔檻を攻めたて、少女の心を揺さぶってゆく。
『アアアア! アアア……!!』
 頭を振り、少女は叫ぶ。懺悔とも、拒絶とも聞こえる、悲鳴にも似た叫び。其と同時、少女の全身から溢れ出す白黒の瘴気――骸の海。瞬く間にステージを覆った其は、次の瞬間には無数の茨が絡み合い黒薔薇咲き乱れる壁を形成する。ステージ上に、黒薔薇の迷宮を形成したのだ。
(迷宮に籠って身を守るつもりでございますね。ですが)
 歌いながらヒカルは状況を把握する。迷宮に蠢くは黒薔薇で身体を形作ったかの如き怪物。これを以て歌声の中心たる藍を倒そうというのか。だが。
(歌声は、どんな高難度の迷宮をも超えるのでっす!)
 既にステージ全体を席巻するに至った歌声は、迷宮をものともせずに響き続ける。少女が何処に居ようとも、この歌声は確実に届く。心中にて藍は確信を以て呟いた。
(そのお心。拒絶への不安に満ちておられるのでございますね)
 ヒカルの手に在るコンパクトの宝石のうち二つが輝きを増す。励起されるは、少女の心中に自らの分身を生み出すユーベルコード。そしてその分身からココロの光を放つユーベルコード。
(ならば、希望の光をお届けするでございますよ!)
 少女の心の闇を祓わんと、ヒカルの分身は光を放つ。癒しと勇気を齎すココロの光を。その効果の程は目に見えぬものなれど、やがて状況に変化。迷宮を形作る茨が、黒薔薇が、瞬く間に枯れてゆく。藍に襲いかかろうとしていた怪物も、その手が届くより先に崩れ落ち、消え失せてゆく。後には、檻に閉じ籠った、震える少女の姿。
『……アア……わたし……わたしは……』
 譫言めいて少女は呟く。その声音は、気を抜けば破裂しかねぬ狂気を孕みながらも、戸惑い、怯え、様々な感情を綯い交ぜとした、不安定なもの。
「――お嬢さんも、本当は分かっていると思うのでっす」
 歌を止め、藍がそんな少女へ歩み寄る。檻に纏われる茨が、翼に備わる眼が蠢くが、攻撃を仕掛ける様子は無い。
「あのお姉さんを殺したって、お姉さんはお嬢さんのものにはならないのです」
 少女の身がびくりと震える。己の為そうとしたことを、思い出したのだろうか。
 そう、音楽は殺せない。例え彼女が此処で死んだとしても、その音楽を知る者達――今日この場に集った者達に、未来にて生まれるだろう新たなファン達に、ずっと、ずっと愛されていくのだ。
「向けるべきは、刃ではなく、その想いでございますよ」
 続いてヒカルが声をかける。なれど少女は首を振る。其は許されない、許される筈が無い、とばかりに。
「その鳥籠――お嬢さんが護っているのは、ご自身なのでっす」
『―――!』
 そんな少女の様子を見て、藍は告げる。拒絶を恐れたが故に、己を――己の想いを閉じ込めたのだと。少女は目隠しされたままの顔を藍へ向ける。その表情は窺えぬが、恐らくは驚愕の類だろうか。
「告白ではなく、殺すことを選んだ――お姉さんよりも自分を選んでしまったのです」
 その指摘は弾劾にも似ると感じたか。少女は唇を噛む。其処から漏れるは声なき声。唸るような、すすり泣くような。
「告白すれば、拒絶されるかもしれない。それは間違いないのです。でも――」
 だが、告げたい言葉はそれだけではない。続ける藍の声音は、諭すような形を取る。其を感じ、少女の声が止まる。
「――きっと、あなたのことはずっと覚えていてもらえると思うのでっす」
 彼女の隣には居れずとも、彼女の心の中には居られる筈、と。少女は俯く。なれど、その様相にそれまで程の後ろ向きな気配は無く。
『――わたし、は――』
 己の真に為すべきことを悟った、そのようにも見える。と同時に、後一歩が踏み出せぬ、そんな様相をも共に滲ませる。
「さあ、上を向いてください。こんなところに閉じ籠っていては良くないでございますよ?」
 故にヒカルは促す。彼女の背中を押すように。同時に掲げたコンパクト、最初に光を放った五つの宝石の残る二つが輝いた――次の瞬間。
『―――!?』
 少女の視界が広がる。そして己の姿を見て驚愕する。その身に纏うは、それまでの純白ではない、桃色基調の愛らしきドレス。アイドルの衣装そのもの。コンパクトから励起したユーベルコードの産物。
「アナタにはもう有るはずです、自分で立ち上がって、歩みだす力が!」
 戸惑う少女へヒカルは呼びかける。少女の顔を真っ直ぐ見据える瞳で以て、彼女への信頼を示す。自分は彼女を信じているのだ、と。
『―――』
 頷く少女。檻の格子へと手をかける。猟兵達の攻撃に晒され続けながらも、此処まで耐えてきた頑丈極まりなき檻だが。
「さあ、希望の未来に向かって一歩を――」
「踏み出す時は今、なのでっす」
 ヒカルと、藍の後押しに応えるように。少女がその手に力を込めれば――檻の格子は、それまでの頑丈さが嘘であったかのように、呆気なく砕け折れた。



 斯くして、少女の心中より現れ出たオブリビオンは滅び。少女自身も含め、一人の死傷者を出すこともなく、事件は無事に解決を迎え――
「――先輩! 菊乃先輩!」
 否、今一つの課題が残っていた。アイドルステージの消えた後、少女が真っ先に向かった先は、件の女性の下。
「あれ、美亜ちゃん? どうしたのさ、その格好……?」
 菊乃という名らしいその女性は、少女――美亜の纏ったアイドル衣装に驚いた様子を見せるが。彼女の真剣な表情に気付けば、寧ろその理由が気になったようで。
「先輩……わたし、先輩に、伝えたいことが……あるんです」
「伝えたいこと……か」
 美亜の告げるに復唱めいて呟きつつ頷き、彼女へと真っ直ぐ視線を向ける。その伝えんとする言葉を待つように。
「……はい。……わたし、わたしは……」
 視線を受けた美亜の頬が朱に染まる。緊張の度が増したかのように声音が上擦り、辿々しさを増すが。それでも、諸々を捩じ伏せるかのように言葉を続ける。
「……私、その、先輩のこと、が……、――」
 そして告げた、決定的な言葉。彼女がずっと心に抱え続けてきた想い。其を、とうとう本人へ向けて告白したのである。
「―――――」
 菊乃、小さな驚愕の表情と共に、暫し沈黙。その告白は多少想定はしていたようだが、直接告げられればやはり驚きは隠し得ない。場に数秒間、沈黙が漂う。
「――そっか」
 やがて漏れた言葉は、微笑みと共に。何処か高揚の滲む呟きの、その直後。
「―――!?」
 己を包む、しなやかながらも柔らかな感触。其が菊乃の抱擁であると美亜が理解するまで数秒。理解した直後、彼女の口から声にならない叫びが上がった。それでも喜びははっきりと伝わる叫びが。
 歓声が上がる。ライヴの観客達が、その一部始終を見ていたのだ。祝福とも冷やかしとも聞こえる其を耳に、美亜の顔は其を照らす夕日よりも赤く――安堵したような笑みが、浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年04月12日


挿絵イラスト