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想いを乗せて!ハートフルクッキング♪

#アイドル☆フロンティア

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#アイドル☆フロンティア


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 心の中をそっと開いて、思い出してみてほしい……それは幼少期の、とっておきの思い出。
 あなたの中にも、そんな素敵な「味」があったはず──。

 小さなころにねだって買ってもらったスーパーのごく普通のお菓子だったり、喧嘩をした後に仲直りのしるしにと渡された手作りのお菓子だったり、誕生日に奮発してもらった豪華なお菓子だったり……記憶に紐づく、大切な味が誰にでもあるはずなのだ。
「さて、今回のお悩み相談は~?」
 デデン!というSEに乗って、でかでかと踊るテロップの文字。
 御馴染み、『お答え☆お悩み相談』のコーナーが画面に映し出されると、途端にどこかの誰かの心が揺さぶられる……それは、内側からどうしようもなく沸き上がってくる衝動であった。
「俺にも……ちっぽけながら幸せがあった……はずなんだ……グオオオオ……!」
 その人物とは、一見どこにでも居るようなサラリーマン。
 けれど、日々の残業や上司からの物言いに苛まれて、いつしか心に「骸の海」を抱え込んでしまった。
 ……どこにでもある、いつもの光景。
 このサラリーマンに限ったことではなく、日常の中には同じようにどこか悲しい影を持ちながら、それを表に出さずに生活している人間が殆どだろう。
 けれど、このサラリーマンは違っていた。
 心に抱えた「骸の海」が、とうとう抱えきれない状態に達しそうになっている、非常に危険な状態なのだ。
 些細なことにイライラが止まらなくなってしまい、今日の右足の靴下には穴が開いてしまっていたし、飲み物を買おうと自販機のボタンを押せば、目的の微糖コーヒーは甘い甘いココアになっていた。
 そんなことが積もり積もって、グルグルと蠢いて止まらない。
「幸せにヘラヘラしている奴らなんぞ、俺がぶち壊してくれる!」
 そうして、ステージに現れてしまったサラリーマン……が変化してしまった、凶悪なオブリビオンを止められるのは、もはやアイドルの力だけなのだ。

「……そんな彼にも、小さい頃はあったんですよ」
 ユミナス・チャイブ(マジカル☆強化ナイト!・f22254)は、ため息をつきながら、集まった猟兵達にグリモアの予知を説明し始めた。
 アイドルステージ上でサラリーマンの男がオブリビオンに変身してしまう未来。
 その力は極めて強力であると予測され、例え観客席からの応援を受けながら戦ったとしても、正面突破は困難だ。
「現在、このステージ上ではバラエティ番組のお悩み相談収録が行われています。この後には料理対決が控えています」
 誰もが持つ、何らかの『特定のお菓子』に並々ならぬ思い出と感情。
 具現化したオブリビオンに食べさせることができれば……「お菓子にまつわる優しい記憶」を揺さぶることで一気にオブリビオンを弱らせられるはず!
 収録は生放送で、これを壊すことは出来ない。
 シームレスに「お悩み相談」から「料理対決」まで場を繋ぐことも、アイドルに求められる力である。
「アイドルステージでオブリビオンに「料理対決」を挑み、真っ暗闇の心では作れない「想い出の味」を再現して、オブリビオンに打ち勝ちましょう!」
 それはきっと、彼の心を浄化出来る今唯一の光の匙。
「皆さんの思いを込めた手作りのお菓子で、彼の心を救ってあげてください……!」

 はてさて、皆はどんなお菓子の思い出を持っているものだろうか?
 ステージから観客席の力を借りて、力いっぱいのアイドルパワーで伝えよう!


ロミナ毅流
 猟兵の皆様、お疲れ様です! ロミナ毅流です。
 新世界がやってきましたね! という訳で早速救ってあげて欲しいオブリビオンにご登場いただきました。
 美味しいお菓子、優しい味、伴う思い出……甘いものも、甘くないものも、色々あることでしょう。
 とっておきの思い出にまつわる柔らかな記憶を、お菓子の力で呼び戻してあげましょう!

 第1章は『お答え☆お悩み相談』コーナー。
 バラエティ番組の収録に参加し、観客の皆さんと共に「思い出のお菓子」の話題からヒントを得ます。
 大衆が持つイメージを探って、次なる戦闘へと活かしていきましょう!

 第2章は『ブチギレサラリーマン』との戦闘です。
 自らが抱えた怒りの原因どころか、目に入ったありとあらゆる相手に理不尽な激怒を向け、傷つくことすら厭わず血塗られた拳を振るい続けるサラリーマンを、思い出のお菓子の記憶で揺さぶり浄化してあげましょう!
 ……何故なら彼も、特別な存在だからです。

 第3章は『届いて☆ラジオ放送』、後日談のラジオ番組への出演です。
 ファンにこれまでのお話を楽しく届けて、更なる幸せを産み出しましょう!

 皆様のハートフル且つバラエティに富んだプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『お答え☆お悩み相談』

POW   :    パッション溢れる回答で勇気を与える

SPD   :    ちょっとシニカルな回答を返す

WIZ   :    ピュアな回答で心を癒す

イラスト:yakiNAShU

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

館野・敬輔(サポート)
※アドリブ、他者連携、派手な負傷描写OK
※NG:恋愛、性的要素を含む依頼、UC名へのルビ使用

『吸血鬼をこの世界から駆逐する。例外なく骸の海に還れ!』

ダークセイヴァー出身の、青赤オッドアイの青年黒騎士です。
吸血鬼に家族と故郷を奪われたため、吸血鬼やオブリビオンに強い憎悪を抱いており、常に憎悪を以て敵を冷酷に斬り捨てます。

基本的に黒剣1本だけで真正面から叩き潰す戦術を好みます。
必要あらば投擲用ナイフでの牽制、衝撃波で薙ぎ払い範囲攻撃、他猟兵を庇うこともしますが、トリッキーな戦術は苦手です。

ユーベルコードは指定されたものをどれでも使用。
迷惑行為や公序良俗に反する行動は、依頼成功のためでも行いません。



「続いてのご質問です。『子供がお菓子売り場でだだを捏ねて困っています』とのことですが」
 よくある育児のお悩み相談投書に、館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は昔の自分を思い出していた。
 3人組の吸血鬼に隠れ里を滅ぼされ、家族や知人を吸血鬼にされながらも猟兵に覚醒し生き延びた過去を持つ敬輔には、あたたかな家庭の思い出が無い。
 人の幸せは、ごく小さなものの積み重ねで生まれるものだ。
 かつての自分は、そうした小さなもの一つ一つが、手のひらから零れ落ちるままに、どうしようもなく生きてきた。
 そんな自分の過去を少し客観視しながら、敬輔は寂しいとも違った感情を胸に抱いていた。
(きっと、物そのものを欲するのではなく、構ってもらいたいと愛情を欲しているのだろう)
 子供というのは、知識が少ない分表現手段に乏しいものだ。
 ……今でも感情表現が得意なほうではない敬輔が思うのも何だが、生きてきた時間を鑑みると、本当に欲しいものが何であるのかという本質に気付くことが出来るようになるタイミングがある。
 気付きのタイミングは、人によって異なるものだし、教えられてわかるものでもない。
 敬輔は、今でこそこのような場に猟兵として存在しているが、感情の起伏幅には気を遣っている。
 冷静すぎる判断は、時に相手への気遣いに欠けることもあるから、気を付けなければ……。
 猟兵稼業をしていると、痛感する。
 ただ冷徹に、時に熱く、敵に立ち向かえばいいというものではない……というのを今、まさに体感しているところだ。
 まさか、敵の出現を迎え撃つために、テレビ番組に出演することになろうとは。
「今回ご出演の館野さんには、少し難しい相談かもしれませんね、まだまだお若いでしょうし!」
 司会の女性は、敬輔が独身であることに配慮してトークを繋いでくれている。
「そうだな、僕は独り身だが、こうして子供が元気に生きられる世の中は幸せなのだろう」
「少し元気すぎるくらいが、子供らしいとも言えますね!」
「親と一緒に居られる時間を、少しでも長くとねだっているのではないかと思う」
「なるほど~まだまだ甘えたい時期なんでしょうね」
 軽快な相槌と誘導で、どちらかと言えば話下手な敬輔も放送事故にならない程度にトークに参加出来ているのはありがたかった。
「見た目も派手で、面白そうな玩具付きの菓子などは、やはり欲しくなるものだろうし」
「どちらが本体なのか、わからなくなってしまいますよね~」
 自分が買ってもらった記憶はないが、知識としては持っている。
 お菓子の売り場は、子供にとってはちょっとしたアトラクションかワンダーランドといったところだろう。
 積極的に足を運ぶことはあまりないが、甘味というのは疲労にも良いし、心に沁みるものだ。
「自分で購入することは少ないが、譲り受けることが多いのは飴などが多いな」
 菓子には、御礼の気持ちを乗せて贈ることに意味があるものも少なくない。
 奇しくも先日には、バレンタインにホワイトデーと、菓子に乗せて気持ちを贈る記念日もあったところだ。
 敬輔も、記念日には世話になった仲間に御礼の品を贈ることがあった。
 受け取ってくれる側の気持ちを考え、あれこれ悩む時間もまた特別なものだったことを思い出す。
「チョコレートや、クッキー、飴などが手頃で良いなと思う」
「なるほど、その辺りはお子さんも好きでしょうし、定番でもありますね」
「小さなものでも、気持ちが籠っていれば嬉しいものだ。ねだられる度合いにもよるだろうが、時にはご褒美にと応えてあげるのもいいのではないか?」
「そうですね!」
 食後の歯磨きは念入りに、と司会はスポンサーの顔立てもして、トークコーナーはCMへと流れ込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メル・メドレイサ(サポート)
時計ウサギのマジックナイト×パーラーメイド、15歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、演技時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

戦闘スタイルは多種の属性を扱う魔法使い
武器に魔法をかけ戦うこともできます

依頼にちなんだ品を給仕することを好み、味方には有効なもの、敵には嫌がらせ用のものを渡します

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「続いてのお悩みはこちら! 『お世話になった人に贈り物をしようと思うのですが、どんなものが喜ばれるのかわかりません』だそうです」
「なるほど! でも、お世話になっている間柄や距離感には気を遣いますよね」
 メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)は、質問内容に慎重に対応しようとしていた。
 何せ、こういったお悩みに答えるのは簡単だが、メイド兼ボディーガードという職業柄と、天涯孤独の身の上から、人付き合いを半端な気持ちで行ってはいけないと思っているからに他ならない。
 贈り物をするのも、されるのも大好きだ。
 他人に快く思われたい、という感情は、時にネガティブな方向に働くこともある。
 メルとしては、出来る限り快く思われていたいのは間違いない。
 かわいがってもらいたい、という深層心理は、やはり天涯孤独であるからなのだろうか。
 そうした気持ちから、今回の敵討伐に備えたテレビ出演に参加したのである。
 ……テレビ番組への出演は緊張するが、今以上に愛される絶好のチャンス! とばかりに、気合も十分だ。
「それで、質問者さんは、どんな方へ贈り物をされたいんでしょう?」
「続きを読んでみましょう、えー、会社の同僚の異性で、スマートな感じに渡したいようですね」
「なるほど、ということは、性別の差を意識させないことが重要でしょうか」
 メルはひそかに快楽主義者であるのだが、だからこそこうした場に対する印象には、心の機微が重要だというのも理解しているつもりだ。
 愛されるための多少のお色気を振りまくことは厭わないが、必要以上に盛れば品が無くなる。
 給仕にはある程度の品性が大事なのだと、パーラーメイドとしてのプライドが先に立つ。
「下手に相手に特別な意識を勘繰られるような、形の残る重たい気持ちものは避けたほうが良さそうです」
「ああ、わかります……ものによっては相手に余計な気を遣わせてしまうことにもなりかねませんね」
「はい、ですから私としては、消えもの……つまり、ちょっとしたお菓子などがお勧めですね! とはいえ、相手の味覚の好みを把握するのはなかなか難しいですけど」
 まず、何よりアレルギーには気を遣う。
 次に、生ものや、形の崩れやすいものも避ける。
 となると、必然的に焼き菓子や米菓、季節によっては飴やチョコレートなど溶けやすいものにも配慮が必要かもしれないが、季節は奇しくもバレンタインとホワイトデーを迎えた後になるタイミングだ。
「季節の変わり目ですし、気持ちをお伝えする贈り物はしやすいタイミングです」
「そうですね、異動や卒業向けに、贈答品の種類も増える頃合いなので、そうした箱詰めされているものを買い求めるのは難しくないですね」
 司会の女性と、メルとの会話が弾んでいく。
 贈り主は男性であるということから、そうした行事にも強くないのが察せられる。
 質問者のバックボーンをロジカルに且つ丁寧に配慮して、説明をすることも忘れない。
「女性は贈り物をすることに明るい方は多いですけど、受け取る側になると少しびっくりしてしまうものでもありますので、高価すぎないものを選ぶのもポイントです!」
「ああ、それは大事ですね! 委縮させてしまったら、折角のお品への印象も下がってしまいます」
 そして、今回は個人でお贈りになるということで……と、重ねてから導き出した答えは──。
「2~3000円程度で、ベーシックなお味の焼き菓子、クッキーやマドレーヌ、甘いものが苦手な方であれば洋風のお煎餅などでもいいかもしれません。あまり大きなお箱になると恐縮してしまうかもしれませんから、その場合はチョコレートやキャンディなどの小さなものを選ぶのも良いです」
 今は贈り物用で小分けになった変わり種の包装がされたお茶やコーヒーのパックもあるので、そうしたものを添えるとより気遣いが伝わりやすいでしょう、とメルの提案が固まった。
「何を贈るにしても、質問者さんの心が上手く伝わるよう、お祈りしています!」
 快い空気を維持して、番組はCMへと突入する。

成功 🔵​🔵​🔴​

バラセル・アドミス(サポート)
バラセルはバラセル。今は他の何者でもない。ただそれだけ。

主にチェーンソーを使って戦う。時には同じくチェーンソーをつぎ込んだキャバリアにも乗る。あと、料理も意外と上手だと言われた事もある。

オブリビオンに恨みがあるわけでも無いが、バラセルの障害になるのであれば確実に刻むだけ。今はただそうする事にする。

(〇ユーベルコードは何を使っても構いません。(18禁でない且つ)彼女の個性(設定)を活かしてくれると大歓迎です。よろしくお願いします。)


キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。



 司会の女性が、次々と質問を読み上げ、ゲストに呼ばれた猟兵達が回答していくお悩み相談コーナーが佳境を迎えようとしている。
 ここまでは概ねタイムテーブル通りの進行だ。
 タイムキーパーの指示にも焦りはなく、滞りなく進んでいく。
「では、時間的には最後のご質問でしょうか、続いてこちら!『子供といる時間が増えたので、手作りのお菓子を一緒に作りたいと思うのですが、手頃なレシピがあれば教えてください』です」
 回答者にはこちらのお二人に来ていただいております、と紹介された猟兵達が名乗りを上げる。
「バラセルはバラセルだ」
「キノキノ! キノだよ!」
 バラセル・アドミス(或る時の|鎖鋸《チェーンソーソルジャー》・f44852)はキッパリと、キノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)は不思議なテイストだ。
 二人の極端に個性的な名乗りに乗ることなく、さらっと流して司会を進める女性は、質問の書かれたボードを示して問うた。
「小学生のお子さんと一緒のお菓子作り、とても楽しそうですね! お二人のお料理経験はいかがでしょうか?」
「出来る、得意なほうだ」
「キノキノ、キノが来たからもう、大丈夫だよ」
 これは力強い! とばかりに、進行していく女性の手腕は流石と言ったところか。
「キノさんはどんなお菓子を作られたことがありますか?」
「キノノ! キノコ型のクッキーとか、手作りキットのきのこチョコスナックとか!」
 キノの回答はある意味完全に想定通りの返答だったので、客席からドッと笑いが起こる。
「シメジ! クッキーはとってもカラフルに毒々しくアイシングするのが楽しいの! チョコスナックは溶かしたチョコレートに、プレッツェルの軸を挿して冷やし固めるだけだから、とっても簡単! あっでも、簡単すぎても面白くないのかな?」
「後者はあまりに簡単すぎではないかと……?」
 バラセルのずばっとしたツッコミが冴えわたり、こちらも場を沸かせる。
 なるほどなるほど、と相槌を打ちつつ、更に話題を深堀し拡げていこうとする司会の女性は、うまく二人の意識を誘導していく。
「楽しく、且つ簡単すぎず、少し特別感があると思い出にもなりそうですね」
「であれば、キャラメル菓子などはどうだろうか」
 綺麗に指先を揃えた掌を掲げ、バラセルの提案が上がった。
「キャラメル! 優しいお味で美味しいですよね、お子さんと作るのに向いている難易度なんでしょうか?」
「はい。何より材料が簡単なのと、煮溶かして冷やし固めるだけなので、想像されるより手頃なため、菓子メーカーのレシピでも食育コーナーに掲載されている程だ」
 なるほど、検索してみましょう……『手作りキャラメル』で出てきたWebサイトの紹介画像が画面に映し出された。
「シメジ! クリーミーなキャラメル、キノも大好き! クッキーに混ぜて焼いてもとっても美味しいね!」
 柔らかな食感と優しい味なら、お子さんもお好きでしょう、と司会の合いの手が入った。
 サイトの情報によれば、牛乳とクリームとバター、砂糖と水飴というごく単純な材料構成であるし、煮溶かす工程を保護者がメインで行えば安全への配慮も問題なさそうだ。
「温度管理だけがやや難しいといったところだが、食品用温度計を使えば問題ない」
「マイタケ! 下準備にクッキングシートをバットに敷いておくのを綺麗に出来れば最高ね!」
「うむ。固まりすぎないうちに手際よく好きな大きさに切り分けるときは、包丁を少し温めると良い」
 心なしかバラセルの表情も柔らかに感じられるし、キノは終始楽しそうにしている。
「クリームは動物性のもの、バターは無塩で、脂肪率はお好みに合わせてコクを決めてくれ」
 味の決め手を抑えたバラセルのコメントが冴え、司会も会場も大いに興味深く聞き入っていた。
「キノキノ! バラセルちゃんは濃いめで深い味わいがお勧めだって!」
 キノの瞳の輝きも、カメラを通して伝わっていることだろう。
「くれぐれも火の扱いにだけは気を付けて、やけどをしないように」
「エリンギ! 強火で焼くのはキノコ料理のほうにしておこうね」
 このままにしておくと、キノのキノコ料理の話に花が咲いてしまいそうなので、やんわりと司会が制してコーナーを締めくくる。
「お二人の軽快なトークと名案、助かりました、ありがとうございました! 以上、『お答え☆お悩み相談』のコーナーでした!」
 観客の拍手と軽やかなBGMが響き、CM入りすると、スタジオは次のコーナーへと準備を進めていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ブチギレサラリーマン』

POW   :    ブチギレブラッドレイジ
自身に【無数のサラリーマンの怒り】を憑依させ、戦闘力と近接攻撃射程を3倍にする。ただし毎秒血液を消費し、枯渇すると死ぬ。
SPD   :    怒りの超連続パンチ
【真っ赤に染まった己の肉体】を最大駆動させ、【超連打拳】で対象の【顔面】を攻撃する。既にダメージを受けている対象には威力2倍。
WIZ   :    憤怒の化身
全身を【ドス黒いオーラ】で覆い、自身の【敵への怒り】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。

イラスト:モツ煮缶

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロビン・バイゼ(サポート)
「困っている人を助けたい」と強く願う少年。
時には自身を犠牲にしてでも助けようとします。

アイテム・技能・UCは状況に応じて好きなものを使わせて構いませんが、拷問具や拷問系UC・咎力封じは基本ヴァンパイア・闇の種族にしか使いません(逆に両者に対してはよく使用)

絵を描くのが好き。でも描く絵はピカソや岡本太郎のような抽象画。だいたい何描いてあるか分かりません。
基本無表情。何があっても表情変わりませんが、芸術的なもの・博物館・拷問具を見ると瞳が輝きます。
「…」や「、」多めの喋り方。
好きに使ってください。よろしくお願いします。

台詞例
「……びっくり、した」
「……すごい」
「……少しは、役に……立てた、かな」


音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。



自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
                      プロデューサーより



 困っている人を助けたい。
 それは、ロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)にとっては何よりも優先される感情であった。
 CMが明けて突如アイドルステージの展開と共に現れた、ブチギレサラリーマンの怒りすら、助けたいと思うのだけれど……簡単にはいきそうにない。
 何せ、黒い感情を惜しげもなくむき出しにして、オブリビオンと化してしまった悲しき存在は、今や取り付く島もないくらいに激高している。
 一瞬で気圧されてしまうような、強く圧倒的なマイナス感情の塊に、どのように臨むべきだろうか……思案している間にも、マイナス感情が生み出す空気に毒されていきそうな気がしてしまう。
(なるべく早く、この人を助けてあげないと……)
 観客席からは、応援の声と勇気を産み出すための光が贈られてくる。
 これを力に代えて、何としてでもブチギレサラリーマンの怒りを鎮めてあげなければ。
 ロビンは拳を握り、圧に耐えている。

「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上」
 そんな中に現れた光、音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)の姿もステージの上にあった。
「……って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。うう、これも番組の為なのね」
 アイドルステージが展開された以上、オブリビオンとステージで対決しなければいけない。
 鬱詐偽は漆黒のゴシック衣装に身を包み、観客の声援と光る棒のきらめきを受けて、どんなにネガティブ思考に陥ろうとも、ステージにしっかりと立つ。
 猟兵として、アイドルとして自分に出来る役目を果たす、そのために必要な口上と衣装を掲げ、どちらがネガティブ圧が強いかではなく対峙することになった相手をじっと見つめた。
 ブチギレサラリーマンは、こちらにこれでもかとガンを飛ばしてくる。
 鬱詐偽はそれには興味なしといったように直視しないようにしつつ、サウンドソルジャーとして大切な武器であるウサギマイクを握りしめた。

「ブチギレブラッドレイジ!」
 ブチギレサラリーマンは、自身に【無数のサラリーマンの怒り】を憑依させ、戦闘力と近接攻撃射程を3倍にする宣言を行った。これは毎秒血液を消費し、枯渇すると死ぬ技でもある。
(うわあ……本気の本気で、怒ってる……!)
 ロビンは無数のサラリーマンの怒りたちに一瞬怯んだが、それでも表情には出さずに自らの武器である巨大絵筆を構えて対抗を試みた。
 しかし、さすがに怒り三倍の速さで打ち込んでくるブチギレサラリーマンに、気圧されてしまう。
「っ……、こっちも、何とかしないと……!」
 とはいえ、サラリーマンの怒りはすさまじく、ロビンは防御姿勢を取るのがやっとの状態になってしまった。
 このままでは一方的にやられてしまう……さすがにそれは嫌だ、とばかりに、ユーベルコード:|芸術結界《アートバリア》を展開した。
 同時にステージに上がっている鬱詐偽にアイコンタクトを送り、【巨大絵筆で空中に描いた、芸術的な魔法陣】を構えた自分の後方155mまでの範囲を【結界】で覆い、内部にいる全員の防御力と治癒力を増強する。
『みんな……守って、みせる』
 ポーカーフェイス故にあまり表情が変わらないように見えるが、その眼差しは真剣そのものであった。
「ありがと、これで少しは楽が出来そうね」
 鬱詐偽はロビンからの防御援護を受けて、おずおずと怯えながらも前に一歩踏み込んだ。
「どいつもこいつも! 気に入らねえんだよ! 俺の目の前から消えろォ!」
 ブチギレブラッドレイジにより失血していくブチギレサラリーマンは、早期決着を付けようと、次に憤怒の化身を宣言した。
 全身を【ドス黒いオーラ】で覆い、自身の【敵への怒り】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る技だ。
 更なる戦闘力の増幅に加えて、飛翔の力まで使ってくるとなれば、通常であればたまったものではない……のだが、ロビンが展開している結界により、ある程度の攻撃を抑えられているので、鬱詐偽は怯えながらも攻撃態勢に入る。
「こ、こちらも……簡単には負けないわ……!」
 ユーベルコード:サウンド・オブ・パワーを宣言し、バーチャルキャラクターとして培ってきた歌唱力で、ウサギマイクに力を込めて丁寧に歌い始める鬱詐偽。
 その【歌声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強することが出来る。
 勿論、防御に徹しているロビンにも、この効果は適用されるのだ。
 美しくも儚い歌声に、観客たちから、大きな声援が上がる。
 頑張れ、負けるな! という力強い言葉も、即座に把握して展開されるコールも、ロビンと鬱詐偽に勇気をくれる。
「必ず……僕、が、貴方、を……助けます……!」
「私の歌声で、お願いだから何とかなって……!」
 鬱詐偽の歌がロビンを後押しするように、そして会場全体を包み込むように響き渡っていく。
 ブチギレサラリーマンは、観客たちの光輝く応援に怯み、くらりと態勢を崩して飛行バランスを悪化させてしまった!
 そして、そのまま鬱詐偽を目掛けて落下してくるではないか……!
(そんな、どうして!?)
 自らの不幸体質が招いてしまった展開であったが、咄嗟の動きでロビンの結界が守ってくれた。
 しかし、そのせいで衝撃波が鬱詐偽の歌声を一瞬遮ってしまうと、今度はバックミュージックが途絶えてしまう。
 いくら不幸体質が招いたこととはいえ、ここまで重なるものなのか……。
 鬱詐偽はそれでも、アイドルステージを降りるわけにもいかず、また一緒に戦っているロビンの力に応えるべく、そのまま歌唱を続けた。
 アカペラ状態で歌い上げていくも、今度はサビに入ろうというところでマイクの調子が悪化して……とことんまで不幸に不幸を重ねてしまう鬱詐偽に、観客たちから救いの手が上がった。
 メロディラインに乗せて、オー! オーオオー! とバックコーラスが送られてきたのだ!
「鬱詐偽さん、まだ……僕は、やれる、ので……!」
「!」
 こくり、と頷いた鬱詐偽は、歌を止めずにコーラスに乗せ更なる力強さで会場を牽引していく。
 不幸が重なって招いたのは、会場のものすごい一体感だったのだ。
 お菓子の甘い誘惑から得られた小さな幸せを、何気ない日常を綴った歌詞が、ブチギレサラリーマンに突き刺さる。
 ブラッドレイジによる失血の中で、嗚呼、俺は疲れていたんだ……本当に、ただ、それだけだったんだと、美しい歌声と響くコーラスに、ブチギレていたサラリーマンは飛行も出来なくなり、ステージに膝を付く。
 ロビンの展開する結界は、周囲をきらきらと美しく覆い、虹色に輝かせていく。
 全てがささやかながらも美しく、小さく輝いているような、とても繊細で綺麗なステージがそこに出来上がっていた。

 ロビンと鬱詐偽の二人で護ったステージに続く、この後の料理対決コーナーも、これなら何とか安全に進行出来そうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エリス・シルフィード(サポート)
『それじゃあ皆、宜しくね♪』
 オラトリオの戦巫女×シンフォニア、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」、大切な人には「少女(わたし、あなた、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。



『それじゃあ皆、宜しくね♪』
 エリス・シルフィード(金色の巫女・f10648)は、スタッフと出演者、そして観客席に向けて一礼する。
 この後はクッキングステージ……のはず、だったのだが、突如としてスタジオの空気は一変し、観客席に居たはずの一人の男をクローズアップしてアイドルステージを形成し始めた。
 今にもこめかみに浮き出た血管が切れそうな、怒りに呑まれてしまった悲しきサラリーマンの姿がそこにあった。

「トリュフ!! キノ達の活躍を見せてあげるよ」
 同じくスタジオに居合わせたキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)は、お悩み相談コーナーから連続しての出演となる。
 休憩に霧吹きで頭に水を掛けていたところに、スタジオが変貌するさまに遭遇してしまう。
「エリンギ! いったい何が起きたのかな?」

「た、大変です! 観客席から男性が一人ステージに乱入してきました!」
 ADらしき若者が大慌てで騒然とした観客席の様子を上役に報告し始めた。
 タイムキープは頭を抱えている。
 カメラマンたちはスクープ映像を捉えようと、そのまま中継機材をスタジオに向け続ける。
 ディレクターはそのまま、中継の指示を伝えて、スタジオは新たな緊張感に包まれた。

「あなたは……誰!? いったい何のためにこんなことを!」
 お約束の口上をあげるエリス。
「シメジ! スタジオ乱入なんて、もうサイテー!」
 こちらも割合お約束じみた声を挙げるキノ。
 そう、舞台はもう始まっているのだ。
「どいつもこいつも、何にも考えてないような体で幸せに浸り、適当な笑いで満たされやがって! 俺の気も知らずに許さねえ!」
「……ブチギレサラリーマン!」
「エノキ! ブチギレサラリーマン!」
 相手が名乗らずともその正体を言い当てる、これぞアイドルステージに立つ猟兵の不思議な力:その1!
「馬鹿みたいに幸せを振りまき現実から逃げようとしているその姿勢が気に入らねえ!」
 ドオン! と大きな音がした。
 ブチギレサラリーマンが、スタジオの上で暴れ出したのだ。
「キノキノ、キノが来たからもう、大丈夫だよ」
 キノが勇気を出してブチギレサラリーマンの前に立ち、構えの姿勢を取る。
「庶民のささやかなる幸せの場を荒らす不届き者ですね、許しはしません!」
 エリスも続けて愛用のシンフォニックデバイスに手をかけ、臨戦態勢を取った。
「キノノ? キノだけじゃ心配だって? マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!! トリュフ!! キノ達の活躍を見せてあげるよ」
「何を言ってるのかさっぱりわからねえが、見せてやる、俺の力を……くらえ、ブチギレブラッドレイジ!」
 ブチギレサラリーマンは必殺技を展開した。
 すると、自身に【無数のサラリーマンの怒り】を憑依させ、戦闘力と近接攻撃射程を3倍にする宣言を行った。
 これは毎秒血液を消費し、枯渇すると死ぬ技でもある。
「気を付けて、キノさん! 相手は近接攻撃を得意とするみたい!」
「シメジ? キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ」
 キノはきらきらした瞳を更に輝かせ、ユーベルコード:魔菌「バウンドマッシュ」を紡いでいく。
『キノキノ!! 歯ごたえ抜群のキノコ笠はいかが?』
 距離を詰めようと襲い掛かってくるブチギレサラリーマンに目掛けて、【弾性】を宿した【超絶猛毒のキノコ笠】を射出した。
 [超絶猛毒のキノコ笠]は合計162回まで、加速・減速・軌道変更することが出来る。
 まさに、自由自在に操れる毒キノコ笠攻撃だ。
「毒、だとぉ!? ますます許せん、卑怯な奴め!!」
 ブチギレサラリーマンは、キノの猛攻撃にやや押され気味になってしまう。
 バウンドマッシュはステージを自在に跳ね回り、都度ブチギレサラリーマンに体当たりをかましていく。
「それでは、こちらも負けませんよ……!」
 エリスもユーベルコードを紡ぎ、スターライト・リヴァイヴァーを発動させた。
 シンフォニアの歌姫に相応しく、【光輝くスターライト】の下で【歌とダンス】のパフォーマンスを披露する。
 それを体験し感動した者は、戦闘力と生命力が増加するのだ。
 二人はそれぞれのユーベルコードを宣言して発動させる。
 猟兵たるもの、必殺技は華麗に叫ぶ! 発動する猟兵の不思議な力:その2!
 負けじとブチギレサラリーマンも、憤怒の化身と叫んだ。
 全身を【ドス黒いオーラ】で覆い、自身の【敵への怒り】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得た。
 何とか飛んでくるバウンドマッシュを避けて飛ぼうとするが、エリスの歌とダンスのテンポに合わせ、キノのバウンドマッシュが笠から毒の粒子を撒き散らしながら、ステージ上をホップしている。
 キラキラと輝く毒粒子が、ダンスの演出かのようにステージを美しく彩り始めた。
 しかし、中央では二人の猟兵がアイドルステージで、オブリビオンを退治しようと奮闘している様子でもあるのだ。
「くっ、近付けない!」
「シイタケ! まだまだ行くよ!」
「リズムに合わせて踊るわよ!」
 ステージを縦横無尽に駆け巡るバウンドマッシュに合わせて、踊るエリスからも、キラキラと汗が飛び散って輝きを増していく。
 キノはエリスの歌声に時々ハミングで参加し、場を一層盛り上げる。
「こ、こんな、こんな破天荒なステージに屈するわけには……!」
「まだまだ歌うわ! どうか、浄化されて……!」
 金色の髪をなびかせて、エリスが巫女の力を込めて歌い踊る。
 キノのバウンドマッシュの猛毒が、ブチギレサラリーマンを包み込んで……毒は薬に一変し、サラリーマンのブチギレを癒し始めたではないか! 猟兵の不思議な力:その3!
「うう……俺だって……幸せなおやつ休憩くらい……味わってもいいんだよな……?」
 心を癒す歌と、精神を安定させる毒の作用で、どんどんサラリーマンが大人しくなっていく。
「昨今、煙草休憩ならぬおやつ休憩くらいは、企業から許してあげて欲しいよね」
「ナメコ! キノの好きなチョコレート菓子をお裾分けしてあげるの!」
 キノがそっと、サラリーマンの手に小分けのチョコ菓子を握らせる。
 きのこの形のチョコレートに、プレッツェルの軸が刺さった、あの有名な甘いお菓子だ。
「ああ、クッキングステージのトッピング用に準備されていたものね」
 ブチギレていたサラリーマンは、すっかり静かになってチョコ菓子を摘まんで一つ、口に運ぶ。
 ミルクの風味が利いているはずのそれは、何故か少しほろ苦いような気がした。

 中継カメラが捉えた映像には、エリスの歌とダンス、キノのコーラスと舞台演出が綺麗に収まっており、上手いことサラリーマンが映らないように工夫されていて、これが会場とお茶の間に新たなる幸せをもたらしたのだった。

 その後早速、各所スーパーやコンビニで、きのこの形のチョコレート菓子が飛ぶように売れたという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

諏訪野・啓太郎(サポート)
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
 スペースノイドのスターライダー×電脳魔術士、33歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、負傷した仲間には「元気に(俺、~くん、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


仇死原・アンナ(サポート)
鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います

UCは指定した物をどれでも使用

普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)

処刑人として敵と戦います
同行者がいれば協力
メインは鉄塊剣で攻撃
鉄塊剣の使用が不向きな相手・場所では刀剣をメインにして相手をします。
拷問具や鞭を使い敵の行動を阻害、鉄塊剣や刀剣で敵を攻撃します。影朧にはできる限り説得しますが説得不能と判断すれば容赦なく屠ります
キャバリアを操縦したり生身でも戦います



「くそぉ! どいつもこいつも幸せボケした顔しやがって!」
 突如アイドルステージと化したスタジオの中央で、サラリーマンらしきスーツの男がブチギレている。
 このステージとなった今、彼──オブリビオンに対峙できるのは、猟兵という名の選ばれしアイドルのみ。
「そこのお前も! お前もだ! へらへらと薄ら笑いして俺を見たな!?」
「ひいっ!」
 そこかしこに八つ当たりを仕掛けては、ガンを飛ばし人々を恐怖(?)に陥れる、ブチギレサラリーマン。
 周囲は特殊フィールドが展開されており、人々に逃げ場はない。
 詳細は省くが、それが、アイドルステージというものなのだ。
 そこに現れるのが、我らが猟兵。
「誰だ、お前は!」
 ブチギレサラリーマンがお約束の限りに問えば、答えぬわけには行かない。
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
 諏訪野・啓太郎(さすらいのライダー・f20403)が今、ふらりとステージの上に立つ。
『我が身に宿る呪われし力で救済を齎そうぞ…!』
 仇死原・アンナ(処刑人、獄炎の花嫁、焔の魔女、恐怖の騎士・f09978)も続けて舞台に上がった。
 こうして、ブチギレサラリーマン対二人の猟兵によるオンステージが開幕したのである。

「蹴散らしてやる! ブチギレブラッドレイジ!」
 ブチギレサラリーマンは自身に【無数のサラリーマンの怒り】を憑依させ、戦闘力と近接攻撃射程を3倍にする技を繰り出した。ただしこの技は、毎秒血液を消費し、枯渇すると死ぬというデメリットもあり、まさに己の気力を削りながらの戦いを繰り広げんとする、高いブチギレ度を表していた。
 これに対抗するは、啓太郎。
 サイキックエネルギーを使って攻撃する、腕にはめて使う銃、スーパークラッシャーを構えて迎え撃ち、電脳ゴーグルで正確に照準を合わせて、ブチギレサラリーマンの攻撃を一つ一つ確実に無力化させようと華麗に動き回る。
「そっちのお前は何棒立ちしてやがる!」
 些細な事にも逐一キレる、さすがにブチギレの最中にある男はアンナにも攻撃を飛ばしていく。
(あー……本当にここまで見事にキレてる人って、いるもんなんだな……さすがにここまでの御仁は初めて見る)
 反射的に動いているが、アンナの表情はどこかぼんやりとしているままだ。
「ぐおおおお、いくぞ! 憤怒の化身!」
 全身を【ドス黒いオーラ】で覆い、自身の【敵への怒り】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
 ブラッドレイジと憤怒の力で、速度と攻撃力を増したブチギレサラリーマンの攻撃が飛んで来ようとするところに、アンナは表情を変えてすかさず攻撃を合わせた。
 伝説にある首斬り処刑人の名を冠した呪われしサムライブレイド『アサエモン・サーベル』が、ブチギレサラリーマンの飛翔攻撃を確実に打ち落としていく。
 先程までのぼんやりした表情から一変し、アンナは高揚した目でブチギレサラリーマンに照準を合わせ、慈悲の剣をガンガン飛ばしていく。
「何事に憤怒しているのかは知らぬが! 公共の場で迷惑千万が許されると思うな!」
 そして、颯爽と長く美しい髪をなびかせて……次なる技を宣言する。
『見るがいい…私が生まれ落ちた|常闇の世界《ダークセイヴァー》を…そしてこれが闇を照らす為の…地獄の炎だ!……|ぶい!《Vサイン》』
 アンナが唱えたのは、ユーベルコード:|ブレイズフレイム☆ノスタルジア《イマワシキコキョウヲテラスジゴクノホノオ》!
 戦場を【生まれ故郷のダークセイヴァー】と同じ環境にし、自身の攻撃に「敵から受けたダメージ」を加算する【黄昏色の地獄の炎】を付与していく。
 あっという間にアイドルステージの演出が、ダークセイヴァーらしき漆黒の闇を漂わせ、影を強調するような紫のライトアップに変化していくではないか!
 アンナのゴシックな雰囲気にぴったりのステージは、黄昏色の地獄の炎を噴き上げ、さながらパンクロックなライブ会場のよう。
 このステージ演出には、アンナも啓太郎もより一層気分を昂らせた。
 むしろ、ブチギレサラリーマンのほうはと言えば、完全に場の空気に置いていかれている。
 日頃音楽を嗜む余裕もなく、無論ライブどころか音楽番組を観る時間すら確保出来ていないのだ。
(な、なんだ、なんなんだこの雰囲気は…!?)
 失血状態にあって困惑する一方のブチギレサラリーマンは、折角の攻撃速度も飛翔能力も発揮しきれぬままに、ステージの上で立ち回る二人の猟兵に振り回されるばかり。
「おお、これが縦ノリってやつか! 気分が上がっていくぜ!」
「これぞ我が故郷の香り! この身に受けしダメージは全て地獄の炎と化し貴様をこんがり上手に焼いていくだろう!」
 啓太郎とアンナは息を合わせ、困惑するブチギレサラリーマン相手に連続協力攻撃を仕掛けた!
「喰らえ、必殺の……猟兵ダブルアタック!」
 そして続けて啓太郎が放つは、ユーベルコード:スーパーフィニッシュ、渾身の一撃!
『これでとどめだ、決めるぜ!』
 【全武装の一斉発射】を放ち、自身から158m半径内の指定した全ての対象を攻撃!
 これにはフラフラと飛ぶブチギレサラリーマンに逃げ場はなく、ひとたまりもなかった……。

「ううっ……! 俺にだって、故郷の味くらい、久しぶりに堪能する時間があれば……!」
「故郷の味、かあ。そうだなあ、俺も最近はゆっくり出来ていなかったな」
 啓太郎は、膝を落とした哀れなサラリーマンに寄り添い、肩を叩いてやっていた。
「ふむ、そういうことならこの飴ちゃんをやろう、美味いぞ」
 アンナがどこからか取り出した懐かしい包み紙のキャンディーを、サラリーマンは一つ口に入れた。
 ミルクの風味が優しく心に沁みわたるようだ。
「この味……懐かしい……昔、母さんに買ってもらったっけなあ……」
 日々の移り変わりの中でも、変わらないものはある。
 サラリーマンは涙を流し、猟兵達と周囲の観客、スタッフに詫びると、トボトボと去って行った──。

「あのおっさんにも、幸せな頃は確実にあったんだ」
「ああ、そうだな……しかして、この状態でクッキングコーナーとやらは再開出来るのか?」
 気が付けば熱狂アイドルステージは、平和なスタジオの光景に戻っている。
「コーナー再開まであと5分、巻きでいきます!」
「各員スタンバイ!」
「……大丈夫そうだな」
 あっという間にスタジオは元に戻り、スタッフ達は再び時間との勝負に挑んでいる。
 こうして、アイドルステージの差し込み中継により視聴率をアップさせた番組は予定を取り戻して、次なるクッキングコーナーへと進んでいったのであった。

 むしろ、クッキングコーナーに苦戦する猟兵達の姿にも人気が集まったとか。
『お菓子作りのコツは、正しい分量の材料を、適切な手順で調理することにあり!』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『届いて☆ラジオ放送』

POW   :    熱いトークをお届けする

SPD   :    小粋なトークをお届けする

WIZ   :    癒しのトークをお届けする

イラスト:ぽんち

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かくして、戦いの時間は過ぎ……。
 猟兵達は後日改めて、戦闘の様子をインタビュー形式でお届けするラジオ番組に招かれていた。
 アイドルステージでの戦いや、クッキングコーナーの思い出などを面白おかしく語ってもらえれば何よりとばかりに、ゲストで呼ばれた貴方。
 果たして、場を盛り上げるトークを繰り広げることは出来るのか──!?
メリー・ドール(サポート)
「私メリー、助太刀に来たの!」

 ミレナリィドールの殺人鬼×悪霊、12歳の女です。
 都市伝説〝メリーさんの電話〟を元として生まれた人形の怪異。
 純粋無垢な少女のように無邪気に、かつ残酷に振る舞う。
 口調はステシ参照。最初に「私メリー」と言うのが口癖。
 戦闘方法としては包丁や首切り鋏で【切断】したり、電話を用いて【呪詛】【音響攻撃】など。


 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』

まじめなことだけはやりたくないのだ!
いかなるシリアスな場面でも最低一か所はネタを挟みたい。ダジャレ、奇怪な言動、一発ギャグ、パロ、メタ(一番好き)等何でもよい。一応状況をちゃんと前進させる意思はあるので、状況が悪化する行為はさすがにやらない。一見悪化するけどネタとして許されるならむしろやりたい。場合によってはギャグを『変態的衝動』に繋げて身体能力を強化し無理やり状況の改善を狙う事も。

基本的には超絶はしゃぐ。24歳児だし。
楽しい事があればハイテンションの赴くままに動き回り、思う存分暴れまわる。なくても無理に見つける。
そしてたぶん調子に乗って痛い目見る。



「それで、言ってやったんだよな?」
「私メリー、そうよ! 何せ皆が恐怖に怯えていたんだもの」
 大豪傑・麗刃(26歳児・f01156)の合いの手に乗って、鼻高々にメリー・ドール(怪異・メリーさんの電話・f44614)が答えていく。
 今回のラジオ番組では、先の生放送の舞台裏を聞きたいという申し出があり、猟兵の二人は、かの「アイドル☆クッキングステージ」の様子についてゲスト出演している。
「やっぱ、ステージが立つとなると、それなりに対処法には苦労するからな!」
「私メリー、そうなのよね、アイドルステージが展開されたとなると、私達に出来ることを全力でやるしかないもの!」
 二人が生放送で出くわしたのは、突如観客席から現れたオブリビオン退治事件だ。
 急な展開ではあったが、麗刃もメリーもたまたまその場に居合わせており、猟兵としてアイドルステージに立ち戦うことになったのだった。
「麗ちゃんとしては、なるべく穏便に済ませたかったんだがな、何せ相手は話が通じないブチギレたリーマンだったわけ」
「私メリー、私の名乗りすら聞き入れてくれそうになくて、本当に失礼な奴だったわ」
「なるほどー、お二人はその後のクッキングステージでも大活躍されたと聞いていますが」
 DJの進行も大変にスムーズで、二人の会話も弾んでいく。
「そうそう、そのリーマンが大人しくなったのも、クッキングステージの準備があったからだったな! 軽い食材の用意があって本当に助かった」
『私メリー、キャンディは沢山あった方が嬉しいでしょう?』
 メリーに関しては、ユーベルコード:|飴よ降れ降れもっと降れ《メリー・キャンディ・パーティー》を活用することで、会場全体に飴の雨を降らせるというパフォーマンスも披露出来、大層評判が良かった。
 キラキラと輝く飴のカラフルな輝きが、舞台演出としても最高にキュートであったのは記憶に新しい。
 そして、それを語るメリーの瞳も飴のようにキラキラと繊細な輝きを見せているのだが、この番組はラジオ放送なのでそれはそのままには伝わらなかったが、メリーの熱弁はきっとリスナーにうまく届いていることだろう。
 キュートな包み紙、たくさんのフレーバー、中には贅沢に果汁を使ったり、良質のはちみつやミルクといった厳選素材のものまで、それはそれはたくさんの飴を提供出来たのだと、メリーはその時の光景を思い出しうっとりと微笑んだ。
「私メリー、美味しいものが綺麗で可愛かったら、それは更に素敵な事だと思うのよ」
「確かに、飴なら馴染みもありますし、何よりこの時期乾燥もしていますからね、皆さんも美味しく喉ケアも出来ると」
「麗ちゃんもこれには感動したな、何せどれもこれも美味い上にくちどけが良い! 中にはリーマンが泣いて喜ぶような懐かしい風味のものもあったりして」
 うんうんと頷きながら、穏やかな雰囲気の中にも多少の熱を含んだブース内の空気が伝わるように麗刃も楽しげに飴の感想を語る。
 肝心の麗刃は何を調理したか、という話題に移り──。
「そりゃもう、キングな腕前でちゃちゃっとクッキング! なんちゃってな!」
 織り交ぜるギャグやダジャレの成功率は、まあまあといったところだろうか。
 それでもDJやメリーが一瞬の間の後に笑顔になってくれるのはとても嬉しいことだった。
『わたしのネタを聴けぇぇぇぇぇぇ!!!!!!』
 ここぞとばかりにユーベルコードまで使って、話題を更に膨らませていく。
 二人の他にも、幾人かの猟兵が参加して、ブチギレたサラリーマンという敵に立ち向かい、最後にはハートフルな展開を迎えさせて無事に生放送で視聴率を稼ぎ、その後のクッキングコーナーで派手に立ち回ったという。
 この番組のスポンサーからは特別手当ももらえたし、料理もどれも評判となってお茶の間に受けたし、見逃し放送の再生回数もかなりのものだった。
 猟兵達としても、オブリビオンを華麗に退治出来た上に、見た人皆を幸せに出来たのであれば、これ以上の成果はない。
 更にこうしてラジオにまで呼んでもらえて、たくさんのギャクやダジャレも余すところなく聞いてもらえるとあって、麗刃は本当に心の底から満足していた。
「私メリー、ギャグやダジャレは得意ではないけれど、麗刃さんのテンションは嫌いじゃないわ」
「やだなー、もっと気安い感じで麗ちゃんって呼んでくれていいんだぞ?」
 12歳と26歳児が同等レベルの会話をしているだけだったが、DJがタイムキープに若干苦心するくらいにはラジオの内容も充実し、更なる人気と話題を高めていく。
「お二人のお話から、本当に凄い戦いであったこと、そしてクッキングコーナーも盛り上がったことがよく伝わってきますね!」
「私メリー、おかげで複数の製菓会社からCMのオファーをいただいたのよ、今後を楽しみにしていてね?」
「麗ちゃんもバラエティ番組に呼んでもらえることになった! これって番宣OK?」
「ええ、同系列局ですし、問題ありませんよ! では早速その番組の放映日時を発表していただきましょうか」

 穏やかな空気のまま、番組はCMを挟んで次のコーナーへと続いていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

賤木・下臈(サポート)
平穏な日常は何にも増して尊いものです。たとえそれが一時の安らぎにすぎないとしても。人がいれば、何か話でもしてみましょう。何かわかることがあるかもしれません。

行動
下臈は敢えて脈絡のない言動、もしくは下臈ジョークをすることで、場の下臈さ(ナンセンスな雰囲気)を高めることがあります。これにより、UCや技が気持ち程度ですが強化されます。
変なことは言いますが、人との対話を重んじ、するべきことは真面目にします。

アドリブ
下臈の変な言動やジョークは好きにしてください。
連携
こんな下臈でよろしければ、お願いします。


川村・育代(サポート)
バーチャルキャラクターの悪霊×ゴーストキャプテン、15歳の女です。
普段の口調は「 年相応の少女口調(あたし、~くん、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には 慣れない敬語(あたし、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
普段は明るく元気な性格で年相応の考え方、行動をします。
戦闘では自分から積極的に攻撃するよりは呪詛で自爆させたり、同士討ちさせるなど、相手をおちょくるような戦い方を好みます。(Sっ気があるようです)
ユーベルコードは状況に応じて使用します。
エキストラ感覚であらゆる状況で使い倒して頂いて大丈夫です。
描写に関するタブーは一切ありません。



「ええ~、下臈めはその時観客席から湧き上がってくるものを、まじまじと見つめたのでございます」
 賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)が朗々と、先日のハートフル☆クッキングでの様子を語り上げていく。
「自分も目を疑いましたが、そこに展開するはアイドルステージ! そして現れたるオブリビオンを制しようとその舞台に立つのが我々猟兵アイドル、というわけでございまして」
 状況説明を身振り手振りを交えて伝えていく下臈。
 ……これはラジオ番組なので、その様子はリスナーの耳には届くわけもないのだが、何故だか隣のブースでチェックをしている音響達に、ありありと見えてくるようであった。
(ということは、きっとどこかでこれを聞いているであろうあなたにも容易く想像出来るということだ。)
「折角の楽しい空気が一変して、でもすごく盛り上がったのよね」
 川村・育代(模範的児童・f28016)は瞳をきらきらと輝かせて、話の相槌を打ちつつ、小さな体躯を揺らしながら楽しそうにトークを進めていく。
 育代もまた、あの時観覧席に座っていたのだが、めくるめく怒涛の展開にはまるでアイドルアニメのようで心が躍っていたのだ。
 といっても、自らもアニメに出てきたようなアイドル猟兵になって活躍出来ているのだから、世の中には不思議なことなどありふれているのかもしれない。
「お二人も、その場にいらしていたということで、今日は間近で見た光景をリアリティたっぷりに語っていただいております」
 進行役もノリノリだ。
 というのも、先の生放送に於いては、かなりの視聴率を獲得することが出来たためである。
 系列局としても、関係者への取材や他番組への出演依頼など、慌ただしい日々がまだまだ続いている中である。
「そして現れたる下賤のものを、ちぎっては投げ、またちぎっては丸めて団子状にしたものがこちらにございます」
「あー、クッキングコーナーで見たおやつだね! わたしも食べて見たかったんだ~」
 二人の猟兵のトークはどこか奇妙なノリとテンポで、それでも小粋に癒しすら与えるようであった。
「下臈としましては、その輩に対しまして、こう言い放つのでございます」
『Gerotic Erratic Ruse Of Underlings【賤しき者たちの下臈げろい飄忽計略】』
 ステージ上のオブリビオンに対して下臈が放つは必殺のユーベルコード:|G. E. R. O. U. ACT3《ゲロウ・アクト・スリー》!
 やや巻き舌で発音するなり、その時の様子をこれまた身振りでちょちょいと再現して、最後にチョップの素振りをちょこんとひとつ決める。
「見事なチョップを決めたというわけですね!」
「チョップスティック! そうなのでございます」
「わたしもお箸は上手に使えます!」
 進行役は少し悪い予感がした。
 模範的児童である育代に、下臈の話にノリツッコミさせておいて大丈夫なのであろうか……?
「そのちぎってまるめたおやつがね、とても美味しそうだったの! それで、わたしもおうちで作ってみようと思ったんだけど……難しかった」
「ほっほっほ。火加減に注意が必要でしたからな、蒸し器の取り扱いだけに無視出来ない調整とあらば、この下臈もある程度気を引き締めて挑みました」
「それでね、シロップと一緒に食べると美味しいって言ってたんだけど、お箸で食べようとしたらつるつるで、難しくて……」
(何故か、脱線したまま話が盛り上がっている……?)
 進行役はやや焦りながらも、話題をあの日の活躍に戻そうと苦心する。
「育代さんも、オブリビオン退治は大変だった?」
「ううん、わたしも頑張って必殺技を決めたんだよ! 連鎖する呪いって言って、攻撃が命中した対象に【癒えない傷跡】を付与し、148m半径内に対象がいる間、【次々と発生する「不慮の事故」】による追加攻撃を与え続けるんだけど……」
(具体的に聞くと、子供ながらに恐ろしい技を使う子だ……!)
「それで、サラリーマンのおじさんがまいったって言うまで頑張ったんだ!」
「降参降参、ハイスクール! と言うまでが割合長かったのでございました」
 下臈の言うことがどこまで本当でどこからが冗談なのか、だんだんわかるようでわからなくなってきたところが一番の盛り上がりだったろうか。
「大変な戦いのあと、クッキングコーナーでもおやつを作って大活躍されたようで」
「その際に作りましたのがこちらのクッキーにございます、が、さすがに賞味期限が心配されますのでそのレプリカと見せかけた第二弾を今朝がた焼いてまいりました、おひとついかがですかな?」
「あ、ありがとうございます……w」
「わたしにも頂戴ー!」
「それならば、折角ですしいただきましょうか? その間に皆さんにはCMをお届けします」

 サクッとした音がブースに響いたところで、丁度良いタイミングでCMコーナーに移行する。
 下臈の手作りクッキーはどこかのおばさんが丁寧に焼き上げたかのような、ほっこりとした味がした。
 育代も満足して三枚平らげ、休憩用のお水をごくごくと飲んだところでCMが明ける。

「お二人が活躍されたあの番組は、ありがたいことに高視聴率を記録したということで、関係諸所も喜んでいますよ」
「ありがとうございます、この下臈でもお役に立てることがあれば、以後も是非とも何なりと」
「わたしもまた、おやつの番組に出てみたいなー」
「ふふふ、楽しんでいただけたようで何よりです。では、最後にお一人ずつ締めの挨拶をどうぞ」
「はい、川村育代です! 今回はお招きいただきありがとうございました! とっても楽しかったし、美味しかったです!」
「賤木下臈でございます。その節はありがとうございました。またこの下臈めにお役に立てることがありましたら何なりとお呼びいただけますれば、颯爽と馳せ参じます」
「それでは、当番組のコーナーはここまでということで、ご拝聴ありがとうございました! リスナーの皆さんも是非美味しいおやつタイムをお過ごしください、では~!」

 陽気なジングルが流れ、番組の提供スポンサー呼びをしたのちにブース扉上の『ON AIR』ランプが消灯する。
「ありがとうございました」
「ありがとーございました!」
「下臈さん、育代さん、ありがとうございました!」
「いやあ、大いに盛り上がったようで何より」
「また何かあったら呼んでください!」
 育代は下臈にクッキーのお土産を包んでもらい、ウキウキ気分で家に戻るのだった。
 下臈は……さて、この次の話はまた別の機会に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年04月24日


挿絵イラスト