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メサイア・クライシス[旧軍閥兵器庫強襲]

#クロムキャバリア #殲禍炎剣の代行者 #メサイア・クライシス #エルディスタン連邦共和国 #ルーチェ連邦 #ヴェクタ条約機構 #アンサズ地方

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●イデオロギー対立
 アンサズ連合に反旗を翻したヴェクタ条約機構に参画を表明した国家は、ラスタニア民主共和国、ホウライ人民共和国、アルバリア首長国、マリッド共和国、デビリス学園都市国家、ベグロ社会主義人民共和国、ダガット首長国、カティーナ連邦、アノイエル共同体の9ヶ国である。これらの国家の共通点として、国粋主義者や保守的な政党が政権を担っていること、そして「社会主義経済」を採用していることが挙げられる。

 ことクロムキャバリア世界は、プラントという無人生産施設の存在から、いわゆる「市場経済」はあまり育たない傾向にある。言い換えれば、プラントからの生産物を国家の手で国民に平等に配給する、という経済モデルが成立しやすいのだ。だが、生産活動をプラントという単一の手段に依存することはリスクを伴うものだ。プラントの破壊・故障による機能停止はもとより、他国の占領によって国家は簡単に破綻する。故に、アンサズ地方の「列強」と呼ばれる国々は、プラントへの依存を脱却すべく、他の生産手段の研究を模索した。海洋資源を皮切りに、鉱業や林業、農業などを奨励し、算出始原の割合からプラント由来のものを徐々に減少させていく。一方で、特定のプラントのみで生産される資源の価値は高まったが、結果としてそれは「特産物」として輸出され、獲得できた外貨を元手に商業国家としての地位を得た国家もあった。

 こうして成立したウィルバー連合王国、アークライト自治領、ガイアス大公国、オデュッセイア共和国、エルディスタン連邦共和国、ルーチェ連邦、そして桜嵐市国からなる7カ国の列強国家、通称G7はプラントから脱却することで資本主義経済に基づく社会モデルの構築に成功した。特にエルディスタンはアンサズ地方の中でも多くのプラントを保有しながらも、政府機関の民営化や他国企業の誘致などを行う「ペレストロイカ政策」が成功し、社会主義国家から資本主義国家への大転換を成功させてしまった。もっとも、そのペレストロイカ政策に反発した一部軍人が軍閥を結成してクーデターを決行させた結果、かの「エルディスタン事変」に発展したのだが。

 さらなる資源や領土を求めたG7同士が小競り合いを続けている時期もあった。しかし、「オブリビオンマシン」という共通の敵が現れたこと、そしてこれを打倒する猟兵と呼ばれる存在が出現したことが、G7各国の経済交流を活発にして相互に安全保障を行い、オブリビオンマシンを積極的に運用する強大な覇権国家の出現に備えるという国際協調の機運が醸成された。また、大国の庇護を求めていたローランド市国などの小国家もG7の動きに同調し、国際的な国家連合体「アンサズ連合」が成立。アンサズ地方における戦いは「テロとの戦い」、そして「キャバリア犯罪者との戦い」に移行しつつあった。

 オブリビオンマシンは「サブジェクトO」、そしてオブリビオンマシンが引き起こす事件を「O事案」と定義し、対抗するための|戦闘教義《ドクトリン》「O事案マニュアル」が制定された他、猟兵を「PMSC『イェーガー・ミリタリー&セキュリティ社』の実戦コントラクター」として管理下に置くことに成功。オブリビオンマシンを排除するための仕組みを構築してしまったのだ。

 が、この潮流を快く思わなかったのが、先述した中小の社会主義国家である。脱プラント経済に成功して豊かになったG7と違い、これらの国家はプラント経済から脱却できるほどの国力を持てず、また社会主義というイデオロギー自体がプラント経済と相性が良いこともあり、脱プラント経済を奨励するアンサズ連合は彼らのイデオロギーに反するものであったのだ。加えて、オブリビオンマシンはそれ自体が「切り札」級の戦力である。大国に対抗するための力として、魅力的なものに映ったのだ。猟兵によってオブリビオンマシンの存在が周知されたことで、アンサズ連合が仮想敵国とする「オブリビオンマシンを積極的に運用する強大な覇権国家」は皮肉にもアンサズ地方内部に「ヴェクタ条約機構」という形で発生してしまったのであった。

 そして、ヴェクタ条約機構は国際テロ組織「メサイアの夜明け」の支援を行っていたことを表明する。また、サブジェクトOを保有していたウィルバー連合王国のNPO組織「ミリタリーレスキュー」の主要な構成員もヴェクタ条約機構の各国に亡命。アンサズ地方は今や、2つのイデオロギーで分断されている。オブリビオンマシンを許さず、プラントに依存しない経済モデルの構築を目指すG7を中核とした資本主義陣営。オブリビオンマシンを許容し、プラント経済を維持し富の平等を謳うヴェクタ条約機構を中核とした社会主義陣営。果たして、アンサズ地方はどちらが正しさを証明するのだろうか。

●エルディスタン旧軍閥の大規模兵器庫を強襲せよ
「皆揃ってるわね。ミッションを説明するわよ」

 グリモアベースにて、ベルゼ・アール(怪盗"R"/Infected Lucifer・f32590)が集まった猟兵たちを前にブリーフィングを開始する。普段アンサズ地方における依頼のブリーフィング担当とは違うグリモア猟兵が依頼の説明を担当していることに疑義を呈する猟兵が早速現れた。彼はどうしたのかと。

「あー……その彼、今ちょっと出払ってるのよ。諸事情で。もうすぐ戻れるとは思うけど、依頼の方は待ってくれないしね。なので今回は代役ってことで勘弁して頂戴ね」

 何やら込み入った事情があるようだ。ベルゼは説明を続けた。

「依頼主はアンサズ連合安全保障理事会。目的はエルディスタン旧軍閥が保有していた大規模兵器庫の破壊よ」

 エルディスタン連邦領内、ズヴェズダ山脈の工廠跡を調査していたところ、巧妙に隠された地下トンネルが確認された。これを辿っていったところ、ルーチェ連邦との国境線付近に大規模な地下兵器庫が秘密裏に建造されていたというのだ。ズヴェズダ山脈の工廠で生産された兵器が運び込まれていた先のひとつであると考えられている。

「で、どうもこの地下兵器庫、まだ使われてるみたいなのよ。軍閥が保有してた大量の兵器をヴェクタ条約機構が使ってるみたいでね」

 旧エルディスタンの軍閥の残党組織「スパシーチェリ」がこの場所を提供したことは想像に難くない。

「この兵器庫の調査と保有兵器の無力化が今回のミッションよ。まずは兵器庫内部に潜入して、オブリビオンマシンの配備状況を調査して。ヴェクタ条約機構がバリバリ運用してるから、警備もかなり厳重よ。見つかったら終わりなので十分警戒して」

 この兵器庫に配備されているのはエルディスタン軍閥が開発した無人機の「クリーサ」である。ガトリング砲が主兵装の量産機だが、換装キットによる豊富な武装バリエーションや、ピュアP2P方式による統合戦術情報共有システムはかなりの脅威となるだろう。

「クリーサの他にも旧軍閥が溜め込んでる兵器があるから、可能な限り破壊して。詳細は不明だけど、戦略兵器の類もあるって話よ。核兵器級のヤバいのを警戒して頂戴」

 いよいよ追い詰められれば、ヴェクタ条約機構側はその戦略兵器を持ち出して来ることも辞さないだろう。十分に警戒が必要となる。

「説明は以上よ。今回地下だから、崩落には注意してね」

 ベルゼがブリーフィングを終えると、猟兵たちは出撃準備を始めるのだった。


バートレット
 どうも、バートレットです。

 今回は旧エルディスタン軍閥が密かに保有していた兵器庫を調査し、オブリビオンマシンを無力化します。イデオロギー対立のただ中にあるアンサズ地方の命運や如何に。そして、その最中発見された旧軍閥の武器庫から果たして何が出てくるのか。乞うご期待です。

 地下のため、崩落には十分に注意してください。行動次第では生き埋めになります。

 第1章では地下武器庫の調査となります。オブリビオンマシンの配備状況や運搬先などを調べてみましょう。方法はお任せします。ここの調査状況次第で今後のアンサズ地方における展開が変わります。

 第2章では、調査が粗方終わったタイミングで無人機「クリーサ」の群れと戦います。油断していると包囲されてそのまま蜂の巣になるのでご注意を。

 第3章は断章で詳細を説明します。戦略兵器級の何かが登場します。

 本シナリオはクロムキャバリア世界アンサズ地方を舞台としたシナリオとなります。アンサズ地方では猟兵の支援組織である「イェーガー・ミリタリー&セキュリティ社」(イェーガー社)というPMSC(民間軍事会社)のバックアップを受けて活動します。キャバリアのレンタルや整備・補給などのサービスをイェーガー社から受けることができるため、必要に応じて活用してください。

 今回はすべての章で断章をご用意しております。詳細は断章で説明しますので、プレイング投稿は断章公開後にお願いいたします。プレイング募集状況はタグをご確認ください。また、諸注意はMSページからご確認いただければと思います。

 それでは、皆様のアツいプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『噂のキャバリアを見つけろ!』

POW   :    ●『直感に従って探す』

SPD   :    ●『隅々まで足を運んで探す』

WIZ   :    ●『手がかりや探知のアイテム、術式を使って探す』

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヴェクタ条約機構の武器庫を調査せよ
「|猟兵《イェーガー》諸君、よくぞ来てくれた。早速だが状況を説明しよう」

 ポータルから飛んだ猟兵達は、ズヴェズダ山脈の工廠跡地にて構築された臨時指揮所へとやってきていた。イェーガー・ミリタリー&セキュリティ社のアイアンズ社長が出迎える。

「先日、我が社の諜報班とTIK……|エルディスタン連邦共和国中央情報局《Tsentral'naya Informatsionnaya Komissiya》の合同調査で、このズヴェズダ山脈の工廠跡地に地下トンネルがあることが発覚した。確認したところ物資運搬を目的とした鉄道網で、軍閥が絡んでいたことからその規模もかなり膨大だった。少なくともこの山脈全域に張り巡らされている可能性がある」

 アイアンズは指揮所のテーブルにズヴェズダ山脈周辺地域の地図を広げた。猟兵達が覗き込む。すでに赤い丸がいくつか書き込まれていた。猟兵達全員が地図に目を落としたのを見回して確認したアイアンズが、その中のひときわ大きい丸に「CP」と書かれた部分を指差す。

「今我々がいる場所がここ。盆地になっている部分だな。ここからトンネルは東に伸びていて──」

 アイアンズは指をゆっくりと東側に滑らせ、ある1点で止める。そこには青い丸が地図上の縮尺で半径2kmほどの範囲を囲むように描かれていた。青丸の範囲内にはルーチェ連邦との国境線も描かれている。

「──この地下兵器庫に集められている。青丸の範囲が推定される敷地で、見ての通りそれなりの規模だ。ちょっとした軍事基地だな。キャバリアや重火器、戦車や装甲車、ヘリの類も確認できたが……|駐機状態でのサブジェクトOは、O事案マニュアルに基づく判別が不可能だ《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》」

 アイアンズは肩をすくめてみせる。アンサズ連合において、対オブリビオンマシンのために編み出された特殊状況下戦闘教義「O事案マニュアル」。その中には、オブリビオンマシンの判別法も定義されている。しかしながら、「マニューバのパターン」や「特有の信号」「エネルギー放出パターン」「武装などの異常現象」など、全てが駆動中の見分け方や整備時の見分け方となっており、今回のように駐機状態の期待外観のみで見分ける方法は存在しない。とどのつまり、オブリビオンマシンを見ただけで判断できる猟兵にサブジェクトO判定を任せるしか無いのだ。実際、猟兵戦力からのサブジェクトO報告は非猟兵によるこれらの兆候の報告よりも遥かに確度と認定優先度が高い。

「ということで、今回の目標は2つ。1つはオブリビオンマシン化されている機体の確認だ。ヴェクタ条約機構がどれだけのオブリビオンマシンを保有しているかの指標となる。もう1つはこのトンネル以外の運搬ルートの確認。他にも地下兵器庫に続くトンネルがないかどうかを調べて欲しい。ヘリコプターや飛行船が駐機できるスペースも調査が必要だな。ズヴェズダ山脈は険しい、トンネルを作るにしても地上に出るための場所は限られているはずだ」

 調査の方法、具体的な調査内容、調査対象に関しては猟兵たちに一任された。ひとまず、取れるだけの情報は取っておくに越したことはない。

 なお、今回の調査に関してはルーチェ連邦側も全面的に協力を行うとのことだった。猟兵戦力の双方領土の往復に関しては今回に限り、超法規的に許可が出ている。

「今回はエルディスタンとルーチェ連邦の国境線上を行ったり来たりすることになるからな。予めエルディスタンとルーチェ連邦の両国、そして我々イェーガー社の3者を交えて交渉し、許可を取り付けておいた」

 ヴェクタ条約機構が今、どれだけの戦力規模を誇る勢力なのか。そして、オブリビオンマシン合法化を掲げる彼らがどれだけのオブリビオンマシンを戦力に加えているのか。彼らが抱える「戦略兵器」とは何か。搬入ルートとその手段、軍閥やその後継組織との関係などなど──調査の観点は多い。

「何はともあれ、まずは情報を集めなければな。そういうわけで、現段階での交戦は固く禁ずる。繰り返す、現段階での交戦は固く禁ずる。情報収集に集中するんだ。以上だ、諸君らの健闘を祈る」

 アイアンズがブリーフィングの終了を宣言し、指揮所を後にした猟兵達は、少しでも多くの情報を求めて、地下トンネルに潜った。
シル・ウィンディア
事前に許可とかすごいなぁ…。
まぁ、わたしはわたしにできることをやるだけなんだけどね。

シルフィード・チェイサーを使用。
ね、シルフィード。
この地下武器庫にオブリビオンマシンがあるらしいけど、それを追跡してくれない?
あ、一機だけじゃなくてたくさんあるみたいだから。
五感共有だから、シルフィードからも感じ取れると思うしね。

その間にわたしは運搬ルートの探索だね。
キャバリアが通れるってことは、人の4倍くらいの高さのトンネルとか必要なのかな?
地質情報とか基地へのルートを見比べて複数の予測を立ててから、現地へ向かうよ。

一個が違っても、違う一個が当たるのもあるから、あとは地道にだね。
さて、シルフィードはどうかな?



●風の精霊は地下を舞う
「事前に許可とかすごいなぁ……」

 アイアンズの説明を聞いてぽかーんと口を開けるシル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)。とはいえ、背後で発生している政治的な事情はシルの理解の及ぶところではない。ひとまず、自分の手の届く範囲でできることをやるだけだ。

「|風の精霊《シルフィード》よ、来たれ」

 シルは風の精霊「シルフィード」を呼び出した。呼び声に現れた風の精霊はシルの眼の前に浮かび指示を待つ。

「ね、シルフィード。この地下武器庫にオブリビオンマシンがあるらしいけど、それを追跡してくれない? あ、一機だけじゃなくてたくさんあるみたいだから。わたしと五感を共有してるから、シルフィードも感じ取れるはず」

 シルの言葉に頷くと、シルフィードは地下兵器庫に続くトンネルの中に飛び込んでいった。風の精霊であるが故、常人には見えず、誰にも感知されることなくオブリビオンマシンを探し始める。

「で、わたしは……運搬ルートの探索だね」

 キャバリアが通れるということは、おそらくは人間の4倍くらいの高さなのだろう、と当たりをつける。事前に資料としてもらった地質情報や基地へのルートを見比べる。冒険者稼業が本業のシルにとっては、ある程度地質情報を見れば「どこにトンネルがありそうか」がわかる。横穴ができやすい場所などは特にトンネルを作りやすそうな場所だ。すると、いくつかのポイントで幹線道路に接続できそうな場所があった。その中でも特に可能性の高そうなひとつを見つけて、地上からレゼール・ブルー・リーゼに乗って現地に向かう。

「あった、トンネル! ……トラックが普通に通れるレベルで整備されてる!?」

 シルは読み通りトンネルを発見したが、かなり真新しく整備が行き届いていることに仰天した。ここからエルディスタンの幹線道路に接続していることを考えると、おそらく現役の道路だと推察する。一方でトンネルから出た道路は敢えてなのか、整備がそこまで行き届いておらずアスファルトがひび割れているのも確認できる。

「……表向きは廃止された道路と思わせておいて、ってことかな?」

 と、そのときシルフィードからの報告がシルに届く。その結果は──。

「……50機近いキャバリアのうち30機以上がオブリビオンマシンか」

 割合にして6割。現在確認できているのは量産モデルの機体だが、それらの過半数がオブリビオンマシンだという。ヴェクタ条約機構がオブリビオンマシンの合法化に本気だというのは事実らしい。シルはシルフィードにさらに確認を命じつつ、他のトンネルが無いかを探し続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
そういやこっちも久しぶりだけど状況良く分からねーんだよな
「色々と国家間の間の話とか難しい話多いよね☆」
ベルゼは変わらず素敵スタイルだったがな
「まったくだぞ☆わがままボディ悪魔め☆」
つかジェイミィどこいったんだ
「大丈夫だぞ☆もう少ししたら帰ってくるぞ☆お土産も楽しみ☆」(携帯で誰かと話してる
…?

さて…今回は戦わず情報収集だ…それなら
「幼女まつ…」
んなわけねぇだろ!?崩落あぶねーってたろうが!?
こっちだ!
UC発動
「「ひゃっはー☆」」
【属性攻撃・迷彩】
全員に光水属性を付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
【念動力・情報収集・視力・戦闘知識】
散開して調査開始
敵機の視認とOかどうか
搬入ルートも調査



●搬入路の違和感
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と機神メルクリウスことメルシーは、久しぶりにアンサズ地方の地を踏んでいた。

「そういやこっちも久しぶりだけど状況良く分からねーんだよな」
「色々と国家間の間の話とか難しい話多いよね☆」
「ベルゼは変わらず素敵スタイルだったがな」
「まったくだぞ☆ わがままボディ悪魔め☆」

 何しろアンサズ地方は複数国家が情勢に絡んでいる上に、あちらではキャバリア犯罪が、こちらではテロリストがと情勢が混迷に次ぐ混迷の一途を辿っていた。むしろ現在はかなりわかりやすい方向になってきている。資本主義陣営のアンサズ連合と、社会主義陣営のヴェクタ条約機構に2極化しつつあるのだから。さながらUDCアースにおける冷戦期の構造だ。

「その上他の地域にも積極的に外交仕掛けに行ってるみてーじゃん……今、その交渉窓口が出払ってるみてーだが。あいつホントどこ行ったんだ?」

 交渉窓口というのが、普段アンサズ地方に関する依頼の公示・管理を行っている、イェーガー社の共同経営社の一人である。

「大丈夫だぞ☆ 今『あっち側』から連絡があって、もう少ししたら帰ってくるってさ☆ お土産も楽しみ☆」

 スマートフォンをいじりながらメルシーが答える。

「いや誰と連絡してるんだよお前」
「メルシーだぞ☆」
「はぁ?」

 どうにも要領を得ないが、ひとまず仕事である。今回は戦闘を伴わない情報収集ということになる。

「よし、それならば幼女まつ」
「待て待て待て!!」

 ノータイムで幼女祭りを挙行しようとするメルシーを慌てて押し留めた。

「今回崩落禁止つったろ!? 前に斉慶でそれやって仕事なくしたの忘れたとは言わせねーよ!?」
「うっ」

 そう、実はメルシー、前科持ちである。別の国家のとあるミッションで、うっかり地下区画で幼女祭りを挙行した結果案の定崩落。それはそれはきつくお灸を据えられてしまったのであった。

「こっちな」
「ふぁい」

 カシムが睨みを効かせる中、メルシーはドラグナー風の衣装に身を包んだ分身体を出していつもの光学迷彩を展開する。各々散って探索を開始する中、カシムは地図を見た。すると妙なことに気がつき、アイアンズに通信を入れる。

《CP、CP、こちらメルクリウスのカシム》
《こちらCP、どうした?》
《地図を見ていたんだが、この地下武器庫のあるところの北東、ルーチェ連邦領内になんか不自然な空白がある。地図の乱丁か?》

 アイアンズは《何だって?》と驚いた声を上げた後、通信の向こうでガサガサと物音を立ててから納得したような声を上げた。

《あぁ……これか。これは乱丁ではない。メサイアクレーターと言う過去の戦争の遺構だ》
「メサイアクレーター……」
《ご主人サマ覚えてない? ジェイミィ君が渾沌に飲まれた事件があったでしょ。あの時渾沌氏が再現してたところ》
「……あそこか」

 カシムは古い記憶を掘り起こした。あの殲神封神大戦の終盤、ジェイミィが渾沌氏の影響を受けた結果、ジェイミィがオブリビオンマシンと化して猟兵たちと激戦を繰り広げた事件。その際に渾沌氏の力によって再現された場所こそ、まさに今カシムが見ている空白地帯──メサイアクレーターなのである。

『この地は、かつてプラントを神、キャバリアを神の使いと崇めた者たちが集う国だった。他国よりも抜きん出た高い技術を持ったその国は、その力を恐れた隣国によって滅ぼされた。最終的にはプラントを暴走させ、この地から……否、クロムキャバリア世界そのものから消失した。信仰のままに、力を持ちすぎた愚か者共の夢の跡。バベルの塔の跡地だよ』

 あの時の渾沌氏の影響を受けたジェイミィの言葉がカシムの脳裏に響く。

「神聖メサイア教国……とか言ったか」

 あそこにも何かありそうだ。いずれ調査の手をいれる必要があるかもしれないな、と考えていた時、メルシーから通信が入った。

《ご主人サマ! すっごい違和感発見!》
「違和感? その前にオブリビオンマシンはどうなったんだよ」
《あ、ごめんまずそっちからね。他の国であんまり見かけない機体が多かったかな? 上半身がドラム缶みたいなやつ。多分アレがブリーフィングでベルゼちゃんが言ってたクリーサって機体だね》
「他に機体はあったか?」
《んー……サイクロプスとか、ザカリアスみたいな機体がほとんどかな? オブリビオンマシンになってるのはまちまち。クリーサは例外なくオブリビオンマシンになってるね。ハイエンド機は1機だけあった。アルシェドールってやつ》
「アルシェドール……結構凄いの持ってるな」

 場合によってはこれと交戦する可能性もあるかもしれない。少し手こずりそうだ、と考えつつ、カシムは他の情報を引き出そうとする。

「あ、それでメルシー、おめーが言おうとしてた違和感ってのは?」
《あ、そうそう。搬入・搬出口なんだけどさ。1箇所だけコンクリートで塞いでるのがあった》
「コンクリートで? ……使われてないからじゃねーの?」
《それならわざわざコンクリートで塞ぐ?》
「んんー……考えすぎだと思うがなぁ」

 ただ、なんとなく引っかかるものをカシムは感じる。何の目的で塞いだのか。単なる通行止めの封鎖か、それとも──。

「──何か、隠したいものがある? ……やっぱ考えすぎかなぁ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘレナ・ミラージュテイル
戦略兵器ねぇ?
なんだろ?
核かな?
秘密の地下武器庫なんて、そういうのを隠すのに打ってつけじゃなーい?

私はディアストーカーで|お宝《戦略兵器》探してきまーす
戦闘禁止ってオーダーよね?
敵に出くわしたらオクトカムマントでいないフリしよっと

しっかしアリの巣みたいな地下トンネルよねぇ
適当に探し回ってたら迷子になっちゃいそう

ここはトンネルに直接聞いてみるのが一番かな?
思い出交換の出番ね
どんな車やキャバリアが通ったとか、どっちに向かっていったとか、そんな記憶を覗いてみましょーか

戦略兵器なんて物騒な代物を隠すなら、やっぱり地下深くでしょ
トンネルの記憶から、より地下深くに降っていった輸送車のルートを辿ってみよっと



●戦略兵器の行方
 アンサズ連合の友好国であるエルネイジェ王国。その王国軍の最精鋭、聖竜騎士団から出向してきたヘレナ・ミラージュテイル(フォクシースカウト・f42184)はディアストーカーに搭乗して敵地に潜入していた。小回りが利いてオクトカムマントで身を隠せるため、こうした偵察任務にはうってつけである。

「戦略兵器ねぇ? なんだろ? 核かな?」
《少なくとも核ではないな。アンサズ地方は核関連技術について、他地域よりも遥かに遅れを取っている。最近猟兵から齎された理論でようやく研究が始まったばかりだ。少なくとも今はアークライト自治領とオデュッセイア共和国の独占技術になっているな。この地域はウランやプルトニウムといった核原料物質の産出量がプラントを含めても著しく少ないというのもあるが、それ以上に、かつての統一国家であるアンサズ帝国が核関連技術について焚書を行ったのがその理由だ》
「焚書!? なんでまた……」

 アイアンズからの通信で穏やかじゃない単語が登場し、ヘレナは思わず聞き返した。

《当時を知るガイアス大公の証言では、神聖メサイア教国への締め付け政策の一環だったらしい。なんでも、神聖メサイア教国が保有していたプラント『テトラグラマトン』が核原料物質を多く産出していたとのことだ。もしも戦争になった場合、神聖メサイア教国が独占的に保有する核原料物質を利用した核兵器による焦土作戦が発生しないとも限らない。故に、アンサズ帝国は先んじて属国を含めた焚書を行い、核関連技術の研究を禁じることで封じ込めを図ったようだ。実際、『メサイア・インパクト』でテトラグラマトンが国土ごと消失して以降、アンサズ地方の歴史上で核兵器が使用された、あるいは核関連技術のインシデントが発生したという記録は存在しない》
「ふーん……ロストテクノロジーだったってわけね……」

 少なくともヴェクタ条約機構が保有しているのは核兵器の類では無さそうだ、というのはアイアンズからの情報でわかった。しかし、グリモア猟兵がブリーフィングで語るところによれば「核兵器級の代物」とのことで、いずれにせよ危険なものには違いない。

「しっかしアリの巣みたいな地下トンネルよねぇ。適当に探し回ってたら迷子になっちゃいそうだし……ここはトンネルに直接聞いてみるのが一番かな? 思い出交換の出番ね」

 敵地のど真ん中で闇雲にうろつくのは危険だ。ヘレナはユーベルコードでトンネルの「記憶」を読み取り、何がどう移動したのかを読み取る。大半はキャバリアや戦車、消耗品などを運ぶトラックなどが地下武器庫の表層と幹線道路へのトンネルを行ったり来たりしていたが、ひとつだけ不審な移動の痕跡があった。スタート地点がなんと、コンクリートで閉ざされたトンネルだったのだ。

「……スタート地点? 出口じゃなくて?」

 この時点で怪しい。では、そのトンネルがどこに向かっているかと言うと、武器庫の最奥部であった。そこに向かって3台のトラックが移動している。積み荷は大きなコンテナで、中身まではわからない。

「……これが戦略兵器……3台のトラックが同時に移動してるってことは、多分部品ごとに別れてる……? 停まった先でコンテナが開封されている」

 ハイエンドキャバリアか、あるいはギガ・フォートレスのような巨大兵器か……いずれにせよ、何か危険な予感がする。ヘレナはその地点をマーキングして引き上げた。長居は無用だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
【ワンダレイ】3人
目的:バルタンや教皇の嬢ちゃんの偵察結果のもと、搬入路を探る。
心情:嬢ちゃんは変装しての聞き込み、バルタンはステルス化で偵察、俺はどうしても面が割れてる、大人しくキャバリアに乗ってるさ。
手段:「さてさて、どれ程溜め込んでやがる?」
タイフーンカスタムにEP2002型光学隠蔽装甲《隠蓑》を積んでおいた、これで偵察中に発見される可能性は低下した筈だ。
EP-Sアウル複合索敵システムもアクティブからパシップに変更、逆探知の可能性から迂闊にレーダー波は出せん、サーマルセンサーに変更し頭部のカメラに映った物体の熱源をモニターに投影する。
車両や人の出入りがあれば痕跡程度は辿れるだろう。


バルタン・ノーヴェ
【ワンダレイ】アドリブ歓迎

主義主張は千差万別サムシング。
アンサズ地方も中々落ち着きマセンネー。
しかし残った兵器がヴェクタの手でテロリズムされるのはとてもデンジャラス!
OK! ワンダレイ、ミッションに向かいマース!

さて、まずは調査任務デース!
対人コミュはフレスベルク殿、キャバリアが通れる大通りはヴィリー殿にお任せしマシテ!
ワタシは狭いトンネルや地下通路を探りマース!

ここで役立つのは、ソウマコジロウ殿のデータであります!
「骸式兵装展開、透の番!」
自在に透明化できる透明人間の力で人目やセンサーを騙して侵入し、狭い隙間に入り込む能力を駆使してわずかな通気口や配管を通って地下兵器庫を物理的に探りマース!


フレスベルク・メリアグレース
【ワンダレイ】
オブリビオンマシンの合法化…
無茶にも程があります
このまま行けばヴェクタ条約機構を母体とした、オブリビオンマシンによる超大国が出来上がってしまいます
何としても阻止しなければ

メイド服に着替え、UCで交渉技能をUCの域に引き上げて運搬ルートに繋がる表社会の労働者、トラック運転手や土木作業員、流通関係者がいる飲食店に単発のアルバイトとして潜入
UCの域に到達した交渉術で即日採用で現場たる飲食店に赴き、ターゲットである労働者達と接触
日々お疲れの彼らに対するリップサービスとして、卓越した交渉術で彼らから周辺環境における情報を収集して行きますね



●天を奪った力
「オブリビオンマシンの合法化……無茶にも程があります」

 ヴェクタ条約機構が掲げるオブリビオンマシンの合法化という政策は、ともすれば破滅的な思想に身を委ねることに他ならない。即ち、他国を侵略するのみならず、場合によっては敵勢力を破壊するために焦土作戦を行うことも辞さないような「ならず者国家」が発生することになる。フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)はこれを危険視していた。

 そんな彼女は今、給仕姿で地下武器庫からほど近い幹線道路のロードサイドにある食堂に臨時のアルバイトとして入っていた。この近辺で仕事をしているトラック運転手から情報を収集するためである。が、フレスベルクは程なくして、想定外の事態に直面した。

「……運送公社が把握していないトラックがある?」
「あぁ……最近、妙なトラックが増えてきていてな」

 フレスベルクは一人のトラック運転手の話を聞いていた。ここエルディスタンでは、物流は国営の運送公社が担当している。もともとは「運輸局」というれっきとした国家機関だったのだが、ペレストロイカによって段階的に民営化を進める運びとなり、現在は国家が100%出資する公社となったのだ。故に、基本的にエルディスタンの物流は運送公社に1本化されているのだが、その運送公社が把握していないトラックが最近目撃されるようになっているという。

「事前の配達予定がない地域を走っている車両がいて、ナンバープレートで照会したところその車両は別の地域を担当している、なんてことがあった。他にも、存在しないナンバーの車両が走っていたなんて目撃情報もある。公社を騙るヤミ運送業者なんじゃないかって話もあるんだが……困ったことに、警察でもなかなか尻尾を掴めないそうだ」
「その奇妙なトラックが特に目撃されているのが……」
「この辺だな。民営化に伴って管理が甘くなったんじゃないか、なんて声も上がり始めた。全く、仕事がやりづらくってかなわん」

 ため息混じりに語るトラック運転手の様子を見ながら、フレスベルクは考え込んだ。もしかすると、そのヤミ業者を追えば何かわかるかもしれない。フレスベルクはヴィリーにこの事実を伝えた。

 ◆◆◆

「運送公社のトラック……お、見つけた。ヤミ業者の正体はヴェクタの工作員ってか?」

 フレスベルクの情報をもとに、ヴィリーはタイフーンカスタムでの偵察を行っていた。地下兵器庫の一角にあるトラック駐車場を発見し、そこに運送公社のロゴが入ったトラックが複数駐車されているのを確認できたのである。

「軍閥の連中が手引きしてやがるな、こりゃ」

 これだけ派手にやっておいて尻尾を掴ませないとなると、おそらく軍閥の残党が関わっているのだろう。エルディスタンの国内で工作するとなれば、やはりエルディスタンの内情に詳しい軍閥を宛てがうのは道理だ。

「で、どれだけ溜め込んでやがるんだ……?」

 ヴィリーはタイフーンカスタムの光学隠蔽装甲の状況に気を配りつつ、探査を続ける。索敵システムもパッシブに変更し、検知される危険性を極限まで減らす。サーマルセンサーに変更し頭部のカメラに映った物体の熱源をモニターに投影する形で確認を行った。

「……うおっ、こいつぁ相当だな」

 カメラに映った光景を見て思わず声を漏らした。駐機されているクリーサはほぼ例外なくオブリビオンマシンだ。加えて、サイクロプスやザカリアスといった量産機も、半数以上がオブリビオンマシンとなっている。映像を拡大して固有ナンバーを確認。

「カイゼルよりソプラノ。今から見える範囲での機種と機体固有ナンバーを読み上げる。照会頼む」
《ソプラノ了解、どうぞ!》

 ヴィリーは管制を担当している通信班のアリアを呼び出すと、機種と機体固有ナンバーを読み上げていった。アリアは読み上げられたナンバーをひとつずつデータベースに照会させていく。

《……確認できました。3割が過去にサブジェクトO指定を受けた個体です。また、4割の個体はサブジェクトO認定こそされていませんが廃棄・解体済みの個体となっています。他は現在駆動中です》
「無作為に抽出したサンプルだけでも7割がオブリビオンマシンってことか……さて、バルタンの方は何か見つけているといいが」

 オブリビオンマシン合法化を謳っているだけあって、かなりの数のオブリビオンマシンを蓄えているようだ。ヴィリーは撤収準備を始めた。

 ◆◆◆

「骸式兵装展開、透の番!」

 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はソウマコジロウのデータを利用して透明化。難なく侵入を果たすと、そのままダクトや狭い通路を縫うように移動する。目的は先程ヘレナが確認した武器庫の最奥部だ。おそらくそこに戦略兵器がある。

「Gotcha! 情報通り、アルシェドール……これエリングラードでセヴィディネ殿が乗せられていたやつと同じでは?」

 果たして、最奥部の特に監視が厳重な区画にアルシェドールが駐機されていた。もちろんオブリビオンマシン化していたが、バルタンはその機体について非常に見覚えがあった。そう、かつてエルディスタン事変の最終局面で軍閥が実戦投入した「切り札」たる存在だったのである。念の為アリアに機体のシリアルナンバーを照会してもらう。

《バルタンさんの推察どおりです。この機体はエルディスタン事変で実戦投入され、猟兵戦力に撃破されています》
「Thanks! やはりそうデシタカー」

 いざとなれば、この機体もまた実戦投入されてもおかしくないだろう。そして、この機体こそが「戦略兵器」をコントロールする機体であることも間違いない。

「さて、肝心の戦略兵器は……」

 バルタンは事前情報にあった「戦略兵器」を探す。核の類では無い以上、おそらくはBC兵器、あるいはそれ以外の大量破壊兵器かと考えられる。それこそ、プラントを始めとする生産拠点を無力化できるようなものだ。

 果たして、それは見つかった。

「……これは、確かに戦略兵器でありますな」

 それを見た時、バルタンは息を呑んだ。そして納得も覚えた。「この世界」においては確かに戦略兵器だったのだ。写真を撮影し、データを指揮所に転送すると、バルタンは急いで引き返した。長居は無用だ。

「あれは……|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》でありますな」

 この世界の人類から空を奪った暴走衛星「|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》」。高速で飛翔する物体に対して反応し、ターゲットに高出力ビームを撃ち込むことで灰燼に帰す。その砲撃を行うユニットのみを独立させた兵器、それこそが「|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》」。地上で、恣意的にこれを撃たれてしまえば、被害は甚大になること間違いなしだ。

「しかし……何故こんなものが……」

 おそらくはあのコンクリートで封鎖された搬入路の先に答えがあるのだろう。何故ならば、この|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》はまさに、コンクリートの向こう側から運び込まれてきたからである。バルタンはそこに潜入しようとしたものの、通路はおろか排気口や雨水を流す排水溝すらも塞がれており、調査を断念せざるを得なかったのだ。

 この武器庫を制圧してから、じっくり調べる価値がある。そう判断し、バルタンは急いで帰還した。他の猟兵たちもズヴェズダ山脈の指揮所へと合流しつつある。ひとまず、この後の強襲作戦に備えなければ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ELD-QMCV-Gr-21『クリーサ』』

POW   :    RS-GMG-120
【腕部30mm3銃身ガトリング砲 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    統合戦術情報共有システム(ピュアP2P方式)
レベル×1体の【ELD-QMCV-Gr-21『クリーサ』】を召喚する。[ELD-QMCV-Gr-21『クリーサ』]は【集団運用を前提とした】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
WIZ   :    オプション兵装パッケージ群[RUBASHKA]
自身の【両腕部の武装 】を【現在の状況に合わせた最適な兵装】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。

イラスト:Hispol

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●強襲作戦ブリーフィング
 一通り調査を終えた猟兵達は、一旦ズヴェズダ山脈工廠跡地の臨時指揮所へと戻ってきた。

「ご苦労。さて、集まった情報を纏めようか。アリア君、頼む」
「はい」

 早速アイアンズはアリアに命じると、この短時間でまとめたレポートをスクリーン上に表示させた。これまでに猟兵達が調査し、報告した内容が反映されている。

「まず第1点。保有されている機体のうち、サブジェクトO認定された機体は7割。猟兵諸君による目視確認とデータ照合による認定のため、このデータは極めて確度が高いものとして扱われるだろう。すでにエルディスタン・ルーチェ両国の当局には提出済みだ」

 アンサズ連合では、連合参加国領内でO事案──「オブリビオンマシンの運用事例」を確認した者は、O事案当事国の公安警察と軍、政府にそれぞれ情報を提供する義務がある。ちなみに余談ではあるが、この義務はグリモア猟兵でも例外なく負っており、アンサズ連合領内にてオブリビオンマシンの活動を予知できた場合、予知内容の映像データや事象発生時刻も含めて当局への提出を行うことになっている。今回の探査結果についても、O事案当事国である2カ国への提出義務が生じたため、アイアンズがイェーガー社の名において提出したものとなる。

「その上で、安保理からはO事案当事者への強制査察権の行使が認可されている。よって、この地下武器庫に対する攻撃の条件は整った」

 アンサズ連合からこの地下武器庫への攻撃に対して法的な後ろ盾も得ることができた。これにより、イェーガー社はアンサズ連合の錦の御旗の下で堂々と地下武器庫への武力行使が可能となったのである。

「そしてこれを前提としたうえで、第2点に移ろう。この地下武器庫については、エルディスタンの運送公社に偽装したトラックによって各種物資の搬入・搬出が行われていることが判明している。また、旧エルディスタン軍閥が開発していた無人機『クリーサ』と、先のエルディスタン事変にて運用されていた指揮官機『アルシェドール』の保有が確認された。いずれもオブリビオンマシンだ。このことから、旧エルディスタン軍閥残党が関わっている可能性は大きい。もともとエルディスタンの領土内に建築されたものだし、旧エルディスタン軍閥残党の関与は十分考えられるものだったが、今回の調査でほぼ疑いようがなくなったと言える」

 故に、敵は無人機を中心に防衛を行うことが想定されるため、コクピットブロックへの攻撃に関しても制限はない。電子戦を仕掛けてもよいだろう。ただし、地下空間であることは勘案する必要がある。電磁波が壁や天井に反射して干渉を起こし、予期せぬ不具合を発生させることがあるためだ。

「と、いうことで戦闘時には十分注意をして欲しい。そして第3点、コンクリートによって固められた搬入路と、戦略兵器『|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》』の存在だ。猟兵諸君の痕跡調査の結果、殲禍炎剣砲はこのコンクリートで封鎖された搬入路から運び込まれたことがわかったな」

 アイアンズは写真データを表示させた。大型のレーザーキャノン砲である殲禍炎剣砲と、封鎖された搬入路の画像である。

「搬入路の先にこの殲禍炎剣砲の工場か何かがあると思われるが、現在封鎖されているということは少なくとも工場だった場合、稼働はしていないと考えられる。出所について秘匿するためにあの対応を取っているのだろう。排水溝や通風口も塞いでいる以上、ドローンなどによる調査も不可能だ。この武器庫を制圧しなければ、まともな調査は望めまい。故にこの後の戦闘においても、引き続き武器庫の崩落だけは避けて欲しい」

 更に問題なのは、この殲禍炎剣砲が組み立てられ、稼働待機状態にある点である。高威力、長射程のこの兵器は、プラントや工場、政府施設などをピンポイントで狙うことが可能となる。

「威力に関しては言うまでもないだろう。本家殲禍炎剣同様に水中にいる潜水艦の外殻すらも容易く貫通せしめることが確認されている。キャバリアによるコントロールの下運用されれば、おそらくは非常に危険な状態になる。おそらく、アルシェドールがコントロールユニットとなって照準やエネルギー供給を行うものと推測される」

 故に、殲禍炎剣砲はコントロールユニットたるアルシェドール諸共確実に破壊しなければならない。アイアンズは頷くと、戦場の上面図を開いた。

「偵察によって内部構造は掴めた。よって、我々は複数の搬入口から侵入し、中央で合流。駐機状態のオブリビオンマシンと偽装トラックを破壊することで敵の注意を引き、防衛戦力を燻り出す。防衛戦力に一定以上の損害を与えることでアルシェドールを戦場へ引きずり出し、地下空間から出さずに叩く。いいか、アルシェドールを地上に絶対に出すな。地上に出たが最後、少なくともエルディスタンとルーチェ連邦は焦土と化す」

 まずはオブリビオンマシンを破壊し、クリーサによる防衛部隊を誘い出して戦力を削る。アルシェドールの投入まで追い込めれば、作戦の第一段階は完了だ。

 ブリーフィングを終えた猟兵達は各々、愛機に乗り込み、所定の位置に向かう。ある者はズヴェズダ山脈のトンネルから直接潜入し、またある者は幹線道路付近や山間部などに秘匿されている搬入口へと向かう。イェーガー社の整備班によって整備が行われた機体達は次々と快調なジェネレーター駆動音を響かせ始めた。

《これよりイェーガー社はアンサズ連合安全保障理事会の要請により、O事案マニュアルに基づく強制査察権を執行する! 全機、出撃!》

 アイアンズの号令一下、猟兵達は搬入口を通って再び地下へと潜入する。大地を揺るがす戦いの幕が上がる。
シル・ウィンディア
さぁ、それじゃ…。
……。
閉所?飛べない?
大丈夫、何とかなるなるっ!
レゼール・ブルー・リーゼ、出すよっ!

流石にキャノンは無理か…。
高火力過ぎるし。
となると、左腕ランチャー、セイバー、バルカンあたりがメインかぁ。

敵を発見したら、ロングビームライフルの遠距離射撃で攻撃。
出力は絞ってスナイパーモード。

撃った後も接近を行っていくよ。
接近時のお供は左腕ランチャー、バルカン。
近接はバルカン、セイバーで対処。

数が多いけど、わたしのUCだと大規模破壊になるからなぁ…。
それならっ!
詠唱を行って使うはヘキサドライブ・ブレス・サークル。
敵味方判別がつくものなら被害も少ないでしょ。

…とびたいーっ!!!



●地底のリーゼ
「さぁ、それじゃ……」

 シルはスラスターを吹かそうとして、ふと上を見上げる。レゼール・ブルー・リーゼの光学センサーが捉えた映像がモニターに映し出された。それは彼女の頭を押さえつけるが如き天井。そう、ここは地下空間。空中での高速機動を得意とするリーゼにとっては、機体特性をほぼ活かせない地形だったのである。

「……大丈夫、何とかなるなるっ!」

 自分に言い聞かせるように、シルはリーゼを前進させた。脳裏で先刻のブリーフィングを反芻する。迂闊に高火力の攻撃を仕掛ければ、たちまちこの地下空間が崩落してしまう。そうなれば自分も生き埋めだ。

「流石にキャノンは無理か……高火力過ぎるし」

 自然と武装も限られてくる。左腕ランチャー、セイバー、バルカン。この地下武器庫で使えるのはこれくらいだろう。幸い、敵の装甲の性能はたかが知れているので、なんとかなりそうだ。とは言え、敵のクリーサは互いにデータリンクして高度な連携攻撃を仕掛けてくるという事前情報がある。つまり、囲まれてしまえばひとたまりもない。こういう時、機動力を活かせないリーゼの機体特性が足を引っ張っていた。

「だから……見つかる前に少しでも数を減らさないと……」

 ロングビームライフルで出力を絞り、バイタルパートを的確に狙撃。光弾に撃ち抜かれた1機のクリーサが煙を吹いて動きを止めた。僚機が突如としてネットワークから切断されたのを察知し、敵の存在を検知したクリーサたちが集まってくるが、シルは果敢に接近。

「囲まれる前に1機でも多く叩く!」

 左腕のランチャーとバルカンを斉射しつつ前進し、距離が詰まったところでバルカンとビームセイバーで確実に仕留める。地上でできる限りの一撃離脱戦法を実現しようとした苦肉の策ではあったが、これは想定以上の効果を生んだ。空間全体を利用した3次元機動を諦めて、地表に限定した2次元機動に割り切ったことで、いつもの戦法に落とし込むことができたのだ。

「でもやっぱり多勢に無勢になりそうだなぁ」

 が、やはり敵は数が多い。徐々に数で押され始め、一撃離脱どころか接近すらままならなくなってきた。

「それなら、敵味方を確実に区別できるこれなら周囲への被害は少ないでしょ!」

 詠唱を行って使うはヘキサドライブ・ブレス・サークル。周囲に六属性の精霊力の力場を発生させ、IFFに敵側の信号として登録されている機体のみに複合魔力弾の攻撃を浴びせる。かくして数的不利を克服したシルではあったが、やはり2次元機動を強いられる地下空間はストレスがたまるもの。

「……やっぱりとびたいーっ!!!」

 コクピット内部で、フラストレーションのあまり駄々っ子のように叫ぶ。この作戦が終わったらブルーアルカディア世界あたりで飽きるまで飛んでやる、と内心誓いを立てるシルであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘレナ・ミラージュテイル
殲禍炎剣砲とか超こわ〜い!
物騒なお宝を見つけちゃったわねぇ…
でも使われる前に見つけられてよかったんじゃなーい?

それじゃあディアストーカーで行きまーす

狭いところって厄介よねぇ
動ける範囲が限られてるから、攻撃が躱し難くなっちゃうもん
でもそれは相手も同じよね?

ながーい直線で待ち構えよっと
オクトカムマントを被って狙撃スタンバイ
クリーサが私に気付く前にスナイパーキャノンで狙い撃っちゃうんだから
相手の射程外から撃てば反撃も怖くないしね
見た感じ射程の長い武器は持ってなさそうだし
増援を呼ばれても焦っちゃだめよ?
一撃集中で丁寧に狙って一機ずつ仕留めちゃう
距離が詰まってきたらジャミングスモークを焚いて一時退散!


カシム・ディーン
機神搭乗
「ご主人サマー☆殲禍炎剣砲だぞ☆殲禍炎剣砲が現れたぞ☆」
…今更驚きゃしねーよ
ユピテルの野郎も利用してたからな

https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=60759

…いっそ破壊し尽くして沈めた方がいいかもしれねぇが…寧ろあの技術を調べた方がいいか
「対策を立てる為だね☆」

【情報収集・視力・戦闘知識】
戦闘舞台の地形状況と敵機の陣形と能力把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与して光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源や音を隠蔽
【念動力・弾幕・空中戦・スナイパー】
UC発動
飛び回り凍結弾を乱射して敵機を凍結させて無力化
【二回攻撃・切断】
鎌剣でバラバラにして始末



●人が作りしもの
「ご主人サマー☆ 殲禍炎剣砲だぞ☆ 殲禍炎剣砲が現れたぞ☆」
「超こわ〜い! 物騒なお宝を見つけちゃったわねぇ……」

 大騒ぎするメルシーとヘレナを他所に、カシムはふん、と鼻を鳴らした。

「あれ? リアクション薄くなーい?」
「……今更驚きゃしねーよ。ユピテルの野郎も利用してたからな」

 かつて別の地域で対峙した神機が運用していた殲禍炎剣のスケールダウン個体。それがこの地にもあったというだけである。だが、メルシーは微妙に違和感を覚えていた。

「んーとね、ご主人サマ。多分あれ、あの時のと色々と違うと思う」
「『違う』?」
「あ、わかった。九竜神火罩みたいなやつってこと? 確か哪吒ってオブリビオンマシンが運用してたやつ」

 ヘレナが意見するが、メルシーは通信ウィンドウ内の2Dアバターに首を振らせた。

「それも違うかな。多分あれ、普通に人の手が関わってる」
「……|工業製品としての殲禍炎剣《・・・・・・・・・・・・》、か?」

 メルシーの言わんとしていることをカシムは理解した。と、同時に寒気を覚えた。

「つまり……量産されてるってことか、アレが」
「工業製品だからね」
「……宇宙人と戦争でもする気だったのかしら、量産計画したやつは」

 殲禍炎剣砲が量産されている。その事実はカシムとヘレナが戦慄するに十分だった。現時点でその量産技術が残っているかは不明だが、少なくとも「ある段階までは」量産が可能だった。そして、それが地下から出てきた。ということは。

「まさか……ヴェクタの連中、あの封鎖された先で殲禍炎剣砲を『発掘』したってことか!?」
「ますますコンクリートの先に厄いものが転がってそうよねぇ……ひとまず使われる前に見つけられてよかったんじゃなーい?」
「これに関してはな。他にも何か発掘して持ち出してる可能性はある」

 カシムは封鎖されたコンクリートの先がどこにつながっているのか、なんとなく想像がついた。地図上の位置とコンクリート封鎖された搬入口の位置が一緒であれば。

「あのまままっすぐ行けば……神聖メサイア教国の跡地、メサイアクレーターがある場所なんだよな……」

 カシムは唾を飲み込んだが、すぐさま意識を切り替える。ともかく、今は殲禍炎剣砲とオブリビオンマシン群の破壊が大前提だ。眼の前の脅威を見誤ってはいけない。

「じゃあ長い通路で待ってよーっと」

 ヘレナは早速ディアストーカーのオクトカムマントを起動し、通路の先で待ち構える。

「近寄られたらよろしくねー」
「へいへい、いつものやるぞメルシー」
「アイアイサー☆」

 メルクリウスも光学迷彩を纏って隠れる。ディアストーカーとのデータリンクを済ませると、地形と敵の配置を把握。まずはディアストーカーの狙撃で先制開始だ。

「あっちは少なくともこっちに届く武器持って無さそうだしね……一方的にやるわよー」

 銃声が地下空間に響き、1機のクリーサが地面に崩れ落ちて機能停止する。ネットワークから切断されたクリーサの存在を察知して、敵機が集まってきた。

「来た来た、慌てないで1機ずつ確実に!」

 断続的な狙撃は全て必中。集まってきたクリーサは1機また1機と確実に仕留められていく。その最中、狙撃位置を特定して近寄る敵も現れた。が、その間合いまで来るとカシム達の出番である。

「お触り厳禁だポンコツ」
「ご退場くださーい☆」

 メルクリウスが凍結弾を乱射して無力化させ、間合いの近い敵は鎌剣で確実に息の根を止める。遠距離はディアストーカーが、近距離はメルクリウスがそれぞれ自分の間合いで撃滅させる。かくして、地下武器庫の通路は2機のキャバリアによる狩り場となったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

烏丸・朔弥
SPD
アドリブ連携可

「この世界での知らないことも多いから情報収集も兼ねて電脳世界で微睡んでたのだけど、遅ればせながら手が足りなさそうなので支援するわ…」

UCより光子の動きにも即応し、敵の攻撃を冷静に対処。

電脳ゴーグルとサイキックキャバリア:ルティーヤによる広域情報収集/連携/支援攻撃等。

射線が通らなくても、リフレクターファンネル:虎鶫を搬入路等の交差点毎に多数の配置することで、偏向(エネルギー増幅含む)による遠距離からのホーミングレーザーやマザーファンネル:天竺での支援攻撃やその先の索敵等。

敵攻撃は、影玉のステルス、上記能力による偏向を重ねる事で(物理的にも)エネルギー減殺からの受け流し等。



●増援
「こちらルティーヤ、遅ればせながら手が足りなさそうなので支援するわ」
《ありがたい、猫の手も借りたいところだ。何しろ数が多い》

 1機のサイキックキャバリアが戦場へと飛び込んできた。名はルティーヤ。烏丸・朔弥(アンサーヒューマンの電脳魔術士・f30283)が駆る機体である。概ねの状況は電脳世界の微睡みの中で情報収集しながら把握できている。敵は無人機、ピュアP2P方式によるネットワークを構築し、複数機での連携戦術を仕掛けてくる。つまり、「司令塔になっている機体」や「親機」の類が存在しないのだ。

「文字通りの群体というわけね。それならば……」

 朔弥が操るのは神秘眼。光子すらも逃さない空間把握能力と情報分析能力によって全てのクリーサの状況を把握し、各個撃破の態勢を整える。敵はまだこちらに気づいていない。

 まずは射程範囲内に入った1機のクリーサ目掛けて、衝玉から指向性の衝撃波を放った。たちどころに衝撃波を受けたクリーサのフレームの各部が共振現象によって固有振動を始め、接合部に物理的な負荷がかかり始める。やがてフレームは物理的負荷に耐えきれず、破断し、崩壊した。その瞬間、朔弥はクリーサのネットワークの情報量が増大する様を確認する。未知の攻撃手段によって大破した僚機の存在を確認した他のクリーサたちが、敵を探して攻撃手段を突き止め、有効な反撃方法を定めようと相互に情報交換を始めたのだ。かくして、ルティーヤを見つけたクリーサたちが続々と集まってくる。

「想定以上に集まってくるのが速いわね……!」

 一斉に浴びせかけられるガトリング。情報を相互にやり取りしているせいで多少機体を振った程度では容易に先回りされ、偏差射撃を当ててくるレベルだ。多少の被弾はやむを得ないと判断し、飛んできたガトリングの弾丸は物理的にエネルギーを減殺させて装甲で受け止めきれるレベルに威力を抑え込みつつ、すぐさま物陰に隠れて敵からの射線を切る。

 一見すると攻撃に打って出るのが難しい状況だが、リフレクターファンネルやマザーファンネルを展開。これで一方的に攻撃を加えることが可能となる。ホーミングレーザーによる曲射も織り交ぜることで、敵はこちらの正確な位置を把握することが難しくなった。断続的に、別方向からの攻撃によって1機また1機とクリーサを撃墜することで、クリーサのP2Pネットワークは次第に相互にやりとりする情報量が増え、輻輳状態に陥る。一種のパニック状態だ。

「こうなれば脆いものね」

 後は楽な仕事だった。ネットワーク全体が輻輳状態に陥れば、連携がうまく取れず個々の判断で攻撃を行うしか無い。そして、個としてのクリーサの性能はそこまで高くないため、性能差を押し付けられれば為すすべがない。

 かくして、朔弥のいるエリアに配備されていたクリーサは各個撃破され、さほど時間がかかることなく制圧されてしまうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
【ワンダレイ】四人
※タイフーンカスタムに搭乗
心情:ハッハー!撃てなかった分の憂さ晴らしだ、派手に行こう!
手段:「A、B、C、D、各中隊、突入開始!」
【宇宙海兵強襲部隊】を召喚し地上展開、ヴェクタ連合兵や旧エ軍閥が逃げる前に施設内を掌握を試みる、一つの出入り口に殺到せず折角見付けた複数の搬入路から突入する。
教皇の嬢ちゃんやバルタン、リリー先生の援護もありだ、行けるぞ!

俺は突入後、クリーサをRS一六式自動騎兵歩槍かクロコダイル単装電磁速射砲で攻撃する、中身が無いなら胴体を気兼ね無く狙える。
突っ込むスコールの援護だ、撃ち漏らしを叩く!
wiz対策:あれは対人装備か?海兵に被害が出る前に集中攻撃で叩く!


バルタン・ノーヴェ
【ワンダレイ】
ヒャッハー! バトルのフェイズデース!
OK、ヴィリー殿! 思う存分トリガーハッピーであります!
軍事行動ということで、海兵隊のサポートにバルタンズを召喚して向かいマース!
偵察や背後の警戒、援護射撃などいろいろ便利デスヨ!
プロフェッショナルにご活用くだサーイ!

そして我輩はスコールに搭乗して突入!
今回はウルフパックを取り付けて、集団戦(ガトリング砲範囲攻撃)に対応しマース!
フレスベルグ殿の強化支援も得て、ガンガンアタック!
リリー先生が合流されたので回復治療も得られる故、多少のダメージは気にせず突っ込みマース!

殲禍炎剣砲という厄ネタ・デンジャラスも控えてマース!
迅速な速攻で叩きマショー!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】【ワンダレイ】
※愛機搭乗、アドリブ歓迎

やれやれ、待たせたねー♪

にしてもまー、アレの合法化とか面倒臭い連中だこと
殲禍炎剣の陸上兵器版もさ、都市伝説と思ってたよ
しかもキャバリア制御…本家にも疑惑あるよね?

ともあれ崩落防止にミサイル系はNG
そこでオペ14番【S・キャバルリー】開始

『W・ミル』は盾・鋸・銃・ナノマシンを活用して海兵隊エスコート
アタシ自身は爆薬より全然穏やかに炸裂する『トリトン』を
〈応用力〉全開で文字通り足止めに活用した後
『H・ビーク/ウィステリア』の高速高命中弾幕で砕くよ

各中隊、データも後で解析するからピックアップ宜しくー♪
バルたん、損傷損耗はだいじょぶ?ナノマシン要るかね?


フレスベルク・メリアグレース
【ワンダレイ】
皆様、行きましょう!
ここでオブリビオンマシンの合法化を食い止めるのです!

ノインツェーンに乗り込み、UCを発動
軍事的行動全ての進行速度を倍化させ、こちらの陣営の戦力全体の進行速度……軍事的行動を加速させていき、全体を支援強化していきます
わたくしも、支援だけでなく砲撃も行えますので!

ELD-QMCV-Gr-21『クリーサ』の軍勢に対し、教皇用帰天召喚器・タイプホワイトを使って妨害
他の進行速度加速を受けている自陣営の戦力を更に未来へと加速する事で支援していきます

このままアルシェドール……殲禍炎剣砲を破壊しなければ、騒乱が起きてしまいます
其れを止める為にも……皆様、共に頑張りましょう!



●制圧
「各中隊状況知らせ」
《A中隊からD中隊、所定の位置にて待機》

 ヴィリーは通信から聞こえてくる海兵隊からの通信に満足気に頷いた。今回の戦闘に際して、白兵戦要員による武器保管庫の制圧が必要だと考えたヴィリーは、ユーベルコードによって宇宙海兵隊を召喚していたのだ。重装甲気密服を着用した宇宙海兵隊は、重力下戦闘でも高い練度を誇る。今回の強襲作戦では彼らを4隊に分けて、別々の入口から突入を行わせる。

「撃てなかった分の憂さ晴らしと行くか」
《CPよりワンダレイ隊、突入はしばし待て。そちらに増援を送る》
「増援?」

 いざ突入、という段になってアイアンズから待ったがかかる。ワンダレイ隊に増援ということはおそらく関係者だろうか。その正体は次の通信で明らかになった。

「やれやれ、待たせたねー♪」

 通信ウィンドウに現れたのはリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)。おおよその状況はグリモア猟兵とアイアンズから確認できており、突入のタイミングで合流と相成った。

「Oh、リリー先生でありましたか!」
「これ以上無い増援ですね」
「リリー先生が来てくれるなら百人力だ」

 ワンダレイ隊の他のメンバーもリーゼロッテの合流に快哉を上げた。かくしてワンダレイ隊は、猟兵4人態勢でここからの作戦に臨む。

「よし、A、B、C、D、各中隊、突入開始!」
《Hoorah! Move! Move! Move!》

 ヴィリーの号令一下、麾下の海兵隊たちが各搬入口から突入を開始。それと同時に、ワンダレイ隊も動き出す。

「部隊全体の支援のため、行軍速度を倍加させます!」
「イイね。時間かけすぎるとその分膠着しそうだし、とっとと終わらせようか」

 フレスベルクは全軍に対してユーベルコードを行使し行軍速度の倍加を行う。今回は強襲作戦ということもあり、敵に反撃の時間をできる限り与えずに制圧することが肝要だった。そのため、フレスベルクの1手がかなり効いてくる。

「崩落厳禁である以上ミサイルの類はNGだよ!」
「イエース、そのためにも新兵器を使いマース! それと各中隊にはバルタンズもおりマース! バルタンズ、海兵隊のエブリワンをばっちりサポートしてくだサーイ!」
《バルバル!》

 リーゼロッテの指摘にバルタンが陽気に答える。その言葉通り、ミニ・バルタンたちが海兵隊と共に携行火器を持って強襲。ソフトターゲットの無力化と制圧を開始した。さらに、バルタンが乗り込むスコールには「新兵器」であるところのウルフパックが装着されている。これはミニ・バルタンが乗り込み操縦を行う小型の狼型ビット「フェンリルJr.」を搭載した集団戦用特殊ミッションパックで、まるで狼の群れのようにトップダウンでの連携を行う戦術を取ることが可能だ。

「突入はヴィリーさんとバルたんに任せるから、こっちは支援だね! ウインド・ミル全機バリア展開、機動防盾モードで対象護衛。後は医療用と簡易修復用のナノマシン起動……まずは海兵隊のエスコートから!」

 海兵隊にドローン「ウインド・ミル」で随行、コンテナや建物の中に突入する際にはノコギリで壁やドアを切断するなどの支援を行う。もちろんバリアで敵からの攻撃も守るが、その最中に一部のウインド・ミルが「クリーサからの攻撃を受けた」という情報を寄越してきた。

「気を付けてヴィリーさん! クリーサが撃ってきた!」
「あれは対人装備か? マズいな、人的被害が出る前にとっとと叩くか」
「こちらで引き付けマース! カモン、フェンリルJr.!」

 フェンリルJr.を率いるスコールが前に出てクリーサの注意を引く。脅威度を上げるために2~3体を出掛けの駄賃とばかりにCPCファング・CPCクローで切り裂き撃墜。戦場の真っ只中に躍り出たスコールを迎撃するためクリーサが連携を取ろうとするも、死角からミニ・バルタンが操るフェンリルJr.が的確にバイタルパートを破壊することでこれを無力化。小型のバルカン砲を備えたミニ・キャバリアだが、クリーサ程度であれば対処可能だ。

「中身が無いなら胴体を気兼ね無く狙えるな、撃ち漏らしを叩く」
「助かりマース!」

 ヴィリーはタイフーンカスタムのRS一六式自動騎兵歩槍の弾丸をクリーサに浴びせつつ、弾倉が空になったタイミングでクロコダイル単装電磁速射砲に持ち替えて1機1機着実に始末していく。2人をサポートするのがリーゼロッテのナインス・ラインだ。精密誘導式アイス・スロウワー『トリトン』は弾頭の炸裂時、火薬による爆発を行うのではなく急速冷却効果による凍結を行う。これによりクリーサの足を止め、対物ライフル「ホークス・ビーク」と防盾ビット「ウィステリア」で制圧。反撃の隙を与えない。

「にしてもまー、アレの合法化とか面倒臭い連中だこと」
「わかりやすい力の象徴ですからね。ですがそれを運用することはいずれ国家の破滅を招く」
「果たしてどっちが先なのやら。オブリビオンマシンが狂わせたのか、元から狂ってたからオブリビオンマシンに手を出したのか……」

 司令部に突入し、捕虜となったヴェクタ条約機構の兵士たちを連行する海兵隊の兵士たちを見ながらリーゼロッテとフレスベルクは各々の見解を述べる。

「殲禍炎剣の陸上兵器版もさ、都市伝説と思ってたよ。しかもキャバリア制御……本家にも疑惑あるよね?」
「別段不思議でもなんでもない。俺達の身近なところにいるだろ、殲禍炎剣の陸上版を運用しているやつが」

 捕虜を連行しながら武器保管庫から脱出する海兵隊に指示を飛ばしながら、ヴィリーが告げる。ヴィリーの言葉に他の3人はすぐに、アンサズ地方絡みの依頼を受け持つグリモア猟兵の姿を思い浮かべた。

「……んん? 殲禍炎剣の陸上版を"彼"が運用していたとなると……」

 リーゼロッテが疑問を口にした次の瞬間だった。

《WARNING:Disconnect unknown system "Holy Grail" immediately. WARNING:Disconnect unknown system "Holy Grail" immediately. WARNING:Disconnect unknown system "Holy Grail" immediately》

 突如、その場にけたたましいアラートが鳴り響いた。その音は、一部の猟兵にとっては聞き覚えのあるものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『アルシェドール』

POW   :    突撃破砕魔導射撃
自身の【周囲に展開するLV*5個の砲撃ユニット】から、戦場の仲間が受けた【損害】に比例した威力と攻撃範囲の【魔法砲撃】を放つ。
SPD   :    近接防護魔導障壁
自身に【UCを吸収する魔導障壁】をまとい、高速移動と【UCを魔力に変換したLV個の精密誘導弾】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    諸兵科統合運用
【戦闘指揮システムの統制下にある戦力】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[戦闘指揮システムの統制下にある戦力]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ティー・アラベリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●スペースシップワールド第8710番都市船経済誌「月刊財界ユニバース」2022年11月号掲載記事「量産型惑星ロボ、安定供給体制整う 株式会社UAI専務取締役に訊く『新兵器』開発秘話」より一部抜粋
 ──未踏宙域打通作戦において量産型惑星ロボを開発するに当たり、キャバリアをベースにした試作機を作成したそうですね。
「そのとおりです。|猟兵《イェーガー》として活動している現社長のかつての部下が、異世界より持ち込んだ人型機動兵器『キャバリア』と、その宇宙における運用データをもとに開発が行われました。フレーム構造や駆動系、アビオニクス、そして武装面の技術的ブレイクスルーに成功しています」
 ──公式発表では試作機の小型惑星ロボに衛星兵器搭載型のレーザー砲台が12門搭載されておりましたが、その後完成した量産型惑星ロボへの搭載は見送られました。
「もともと、あの衛星レーザーは我々でも解析不能な技術が用いられていました。また、システムも互換性がなく、こちらが追加したトリガーとエネルギーパスを強制接続することで射撃を行うことが辛うじてできています。もちろん、性能の20%程度しか発揮することはできませんでした。安定性及び信頼性の面から、やむを得ずオミットせざるを得ませんでした」
 ──衛星レーザーはUAI社で製造したものではなかったと?
「異世界での発掘兵器と聞いています。持ち込んだ猟兵によれば、『元の世界では確実に悪用される可能性があった、これを取り扱えてなおかつ平和利用が期待できる世界に退避させる必要があった』──と。それだけ我々は信頼を受けていたことになりますから、取り扱いには細心の注意を払う必要があったのです」
 ──衛星レーザー「EX-CALIBURN」を今後使用する時は来るのでしょうか。
「小型惑星ロボの試作機ごと、猟兵に返却しています。これは我々只人が扱うべきではありません。猟兵の手でこそ、平和利用が可能となるのです」

●イェーガー社諜報班2025年7月度月次レポートより一部抜粋
 ヴェクタ条約機構がオブリビオンマシンに加えていくつかの戦略兵器を保有している情報について、いくつかの検証と追加調査を行った。その結果、国際テロリストグループ「メサイアの夜明け」が過去に発見した旧アンサズ帝国時代の兵器を復元、使用していることが判明した。

 彼らが最も欲していたものが神聖メサイア教国の決戦兵器として開発された自律型キャバリア「TYPE[JM-E]」及び有人制御型キャバリア「TYPE[JI-L]」だが、これは現在イェーガー社の管理下に置かれている。なお、TYPE[JI-L]は特定の遺伝子コードが書き込まれたレプリカントにのみ操縦可能であり、そのレプリカントは「メサイア・インパクト」で行方不明になった。コードを受け継いだことが確認されている人物もイェーガー社管理下にあり、他の何人たりとも運用は不能な状態である。

 一方、付随するシステムのうちいくつかは各地の戦場跡で発見されている。|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》はガイアス大公国とウィルバー連合王国、アークライト自治領、そして桜嵐市国にてそれぞれ保管されており、これらは全て回収しイェーガー社にて保有中である。が、パーツに記載されていたシリアルナンバーを確認したところ、明らかに発見されている以上の殲禍炎剣砲が生産されていることが発覚した。その他、現在把握している以上の「神聖メサイア教国の遺産」が存在し、一部は「メサイアの夜明け」経由でヴェクタ条約機構に渡っていることも確認できた。

 未確認の「遺産」は現在散逸しているが、「メサイアの夜明け」は積極的に「遺産」の回収を進めている。本来国力では劣っているはずのヴェクタ条約機構がアンサズ連合との軍事的均衡を生んでいる要因としては、サブジェクトOの積極的運用に加えて、この「遺産」の存在も考慮すべきであろう。

 なお、「遺産」の管理のためにエルディスタン領内に地下武器庫が建造され、現在はヴェクタ条約機構の共同管理下にあるという情報が存在する。また、ルーチェ連邦領内の「メサイアクレーター」は神聖メサイア教国の聖都「イェヒオル」を中心とした神聖メサイア教国の国土の跡地であるが、その地下にあったものはメサイア・インパクトの大崩壊を免れたという未確認情報も存在する。検証のため、エルディスタン地下武器庫の調査を提言する。グリモア猟兵と連携して、O事案扱いとするのが適切であろう。

●神聖メサイア教国の遺産
《WARNING:Disconnect unknown system "Holy Grail" immediately. WARNING:Disconnect unknown system "Holy Grail" immediately. WARNING:Disconnect unknown system "Holy Grail" immediately》

 けたたましく鳴る警告アナウンスと共に、アルシェドールが姿を現した。猟兵達はひと目でそれがオブリビオンマシンと化していることを把握する。もちろん、事前調査の段階で確認できたことであるから、イェーガー社の方でもO事案認定はスピーディに行われた。

《事前情報よりアルシェドールはサブジェクトOと認定されている。なお、海兵隊が捕虜とした旧軍閥残党『スパシーチェリ』の人員を諜報班が尋問したところ、アルシェドールに搭載されている『|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》』は、本家殲禍炎剣と同様に高速飛翔体への優先攻撃が行われるという情報を得た》

 |殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》は、高速飛翔している相手に対してターゲッティングレーザーが照射される。これにあたった相手の相対速度と距離から算出した独自の尺度で射撃可否を判断するというものだ。ただし、アルシェドール側とは無理やり接続されているため、アルシェドール側のセンサーやレーダーを用いたターゲッティングが不可能ということだった。

《そして、ここからが重要だ。アルシェドールとはエネルギーパスがつながっているが、システムの接続不全を起こしているため、発射までには7秒のタイムラグが存在する。試射実験の映像データも入手して確認済みだ。高速飛行する場合は7秒の間にアルシェドールと殲禍炎剣砲との接続を切るか、照準から逃れるように動くんだ》

 アイアンズからの報告により、|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》攻略の糸口が掴めた。7秒のタイムラグ、これが今回の戦いの鍵となるだろう。もちろん、接続を切るにしてもアルシェドールは高性能な機体。一筋縄ではいかないだろう。また、ターゲッティングレーザーに一度捉えられてしまえば、殲禍炎剣砲の猛威から逃れることはほぼ不可能。

《エルディスタンが開発したアルシェドールは無人運用を前提としている。これも無人機だ。ただし、以前このズヴェズダ山脈で運用されていた「アーレス」に搭載されていた新型AIがアルシェドールに投入されている。サイキックを利用した高精度の偏差射撃には十分注意すること》

 アルシェドールと|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》は、猟兵たちの間をすり抜けて、搬入口から出口に向かおうとしている。スラスターが火を吹き、地下空間の中を猛然と突き進み始めた。

《サブジェクトO、高速で移動を開始! 最寄りの搬出口に向かっています!!》
《奴め、やはりここを突破して地上に出る気だな。イェーガー社より現地コントラクター各位、サブジェクトOを速やかに撃墜せよ! 奴を地上に出せば周辺一帯は火の海だ! エルディスタンとルーチェを焼かせるな!》

 アリアの悲鳴混じりの報告に、アイアンズの鋭い指令が重なる。事態は一刻を争う。大物を引きずり出すことには成功した。後は、地上を焼く前に地下で眠りにつかせるだけである。
シル・ウィンディア
殲禍炎剣砲って、そんなものを携行兵装にしないでよ…。
ただでさえ、最近飛行戦闘しにくいんだからっ!!

うーん、となると、飛翔せずの高速機動戦闘かな、ここは。
推力移動で平面機動。
前後左右、残像も生み出しての機動で攪乱していくよ。

使う兵装は左腕ランチャー、東部バルカンがメイン。
そして、リフレクタービットを敵の周りに飛ばすよ。

包囲射撃で敵の動きを押しとどめつつ、接近してセイバーでの一閃っ!
接続部分を切断で斬ればいいけど、無理なら!
詠唱からのエレメンタル・スラッシュっ!

砲身とか斬れればそれでいいんだけどね。

しかし…。
これ、陸戦型の機動パックとか考えたほうがよさそうかなぁ~。
えーん、飛びたいーーっ!!!


烏丸・朔弥
「支援するわ…」

UC継続、自身への超強化により敵への即応。

電脳ゴーグルとサイキックキャバリア:ルティーヤによる広域情報収集/妨害/連携/支援攻撃等。

影玉での電磁波/魔力等からの隠蔽。

天竺の集束砲での四方からの貫通攻撃等。

リフレクターファンネル:虎鶫を小隊:各4機30部隊を、侵攻通路上の四隅に隠蔽状態で多数配置、
数部隊は敵をやり過ごしてから後方から支援攻撃、その他は敵からのエネルギー系攻撃を偏向を重ね、敵の攻撃エネルギーを捕食からの受け流し、または敵へ返す。
かつ自身の攻撃及び味方等の外したエネルギー系攻撃等を偏向を重ねる事での攻撃支援等。

物理系攻撃は衝撃波やホーミングレーザー等で迎撃。



●不慣れな陸戦
 |殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》というものの存在を知って、シルはこんなものを陸上運用していた神聖メサイア教国と、それをわざわざ掘り出してキャバリアに携行運用させるヴェクタ条約機構にうんざりしていた。

「ただでさえ、最近飛行戦闘しにくいんだからっ!!」

 何しろ、ここ最近クロムキャバリア世界の各所で対空戦闘を得意とする機体が続々と報告されているのだ。泣きっ面に蜂どころの騒ぎではない。

「うーん、となると、飛翔せずの高速機動戦闘かな、ここは」

 地上にある以上、通常以上に高度のマージンが少ないと判断し、飛翔せずに地上を高速機動することを選ぶシル。しかし、不慣れな地上戦闘では、シルは高速機動戦闘それ自体が難しいことを思い知らされる。

「……っ、予想以上に自由に動けない!」

 何しろシルが得意とする空中と違い、地上は障害物が多い。シルも市街地戦などで障害物の多い中での飛行は経験はないではないが、地上の場合だとこの障害物の多さは空中の比ではないのだ。例えばコンテナや建築物などに加えて、先程の戦闘で発生したキャバリアや車輛の残骸。そして、地上は空中とは違い、「足元」を普段以上に注意する必要がある。陸戦型キャバリアであれば足回りが相応に強化されていたり、地上向けにOSが調整されたりしている上、陸上を主戦場とするパイロットもこれらの障害物の対処を半ば無意識下で行っている。が、普段空中戦を重視しているシルにとってはこれが途端に至難の業となるのだ。

「あっぶなっ……! うぅ、邪魔が多いよぉ!」
「大丈夫? 支援するわ……」

 アルシェドールの砲撃をとにかく回避しなければ、と焦りのあまり操縦がおぼつかなくなりつつあるシルに助け舟を出したのが、朔弥だった。電脳ゴーグルと愛機のルティーヤが広域情報収集を行い、リーゼに情報を提供する。

「あ、ありがとう……よしっ、包囲射撃で動きを止めて……!」

 魔導障壁を展開しているアルシェドールだが、貫通力を高めれば突破できないことはない。シルはリフレクタービットをアルシェドールの周囲に展開させる。朔弥もまたリフレクターファンネルを同様に展開。アルシェドール本体から飛んでくるエネルギー系の攻撃を受け流す。大量のリフレクタービットやリフレクターファンネルの展開に伴い、アルシェドールは|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》の狙いをつけられず、ターゲッティングレーザーを引っ込める。

「今だっ!」
「このコースを滑走して!」

 シルが飛び出し、朔弥の誘導に従って敵に接近、フォースセイバーで斬りつける。アルシェドールは大きくバランスを崩す。どうにか一太刀浴びせることに成功したシルたちではあったものの、課題も多く残る。少なくとも、シルにとっては空中機動が難しくなりつつある現状に対応するための、陸戦用の様々な調整も必要だということが痛感される一戦となったのである。

「えーん、飛びたいーーっ!!!」

 思わずそんな言葉が口をついて出るほどには、シルにとっては現状が非常に歯がゆいものだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン
………流石に地下で撃たせたら拙いだろこれ
「崩落するかもだぞ☆」

まぁ手が無い訳じゃねー

【情報収集·視力·戦闘知識】
地下の構造と周辺状況
敵機と殲禍炎剣砲の構造
特に接続において重要なパーツを確実に捕捉

【属性攻撃·迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で隠れ水の障壁で熱源隠蔽
【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
ぴょんこぴょんこ飛び回りながら念動光弾を叩き込みその動きをおさえこみにかかる特にエネルギーパスを司る部分を狙い
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・電撃】
鎌剣で襲い掛かり連続で切り刻み電撃を流し込みシステムを混乱させる
更に武装やパーツ強奪と共にわたぬき発動
殲禍炎剣砲か関連重要部品を強奪!!


ヘレナ・ミラージュテイル
殲禍炎剣砲~?超こわ~い!
とんでもないお宝が出てきちゃったわねぇ…
要は地上の殲禍炎剣なんでしょ?
あたしは地面に足を付けてた方が落ち着くタイプだから真っ先に狙われはしないでしょーけど

発射まで7秒のタイムラグがあるの?
じゃあちょっとからかってあげよーっと
狙われたらジャミングスモークをぼふっと焚いてレーザーを誤魔化す!ついでに誘導弾も!
オクトカムマントをがばっと被って目を誤魔化す!
これで少しは時間稼ぎになるわよねー?
あっちが狙いを付けてる7秒の間に、こっちはブルズアイでじっくり狙いを付けて…
銃弾も見て避けられるほど時間がゆっくりに感じられるんだもん
敵が動き回ってても7秒もあれば一撃必中よ



●撃たせてはならない兵器
「|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》~? 超こわ~い! とんでもないお宝が出てきちゃったわねぇ……」
「………流石に地下で撃たせたら拙いだろこれ」

 ヘレナがややおどけて見せるも、カシムはその巨砲を前にごくりと唾を飲み込む。地上で撃たせてはならないのはもちろんだが、地下で無節操に撃たれるのもよろしくない。閉鎖空間で高エネルギーを持つビーム砲を撃たれた場合、この地下空間が丸ごと崩落する。そうなれば全員生き埋めだ。

「あたしは地面に足を付けてた方が落ち着くタイプだから真っ先に狙われはしないでしょーけど」
「問題は僕達だよな。多分相対速度はこっちが速いから狙われる」
「爆速で移動するばっかりに……」

 ヨヨヨ、と泣き崩れるふりをするメルシーだが、それができるということは一応手はあるということの裏返しでもあった。

「あちらさんが俺達を狙うためにはあちらさんのセンサーが俺達を捉える必要があるわけだ。無人機だよな? しかも搭載ロジックは僕らがよーく知ってる。だからあちらさんのセンサーを誤魔化してやればいい」
「つまりいつもの光学迷彩と熱源シャットアウトだね☆」
「なるほどねー。せっかくだからからかってやりましょ」

 光学迷彩とオクトカムで身を隠すメルクリウスとディアストーカー。たちまちアルシェドールは2機を見失ってしまう。さらにディアストーカーがジャミングスモークを炊くことでその他のセンサーや誘導弾すらも封じた。情報を極力渡さないことで、サイキックを酷使させるという魂胆だ。

 もちろん、サイキックが使えるという関係上、敵は脳量子波を頼りに狙ってくる。こればかりはカシムもヘレナも防ぎようがなかった。だからこそ、7秒という猶予が重要になってくる。

「おらっ、こっちだ!」

 先にヘレナが狙われればカシムが念動光弾を叩き込み、バッタのようにジャンプを繰り返しながら障害物をうまく盾にしつつヒットアンドアウェイを狙う。

「よーく狙って……」

 ヘレナの体感時間が極限にまで拡張される。結果、7秒はヘレナにとっては狙いをつけて撃つまでの猶予を与えるものであった。カシム側が狙われたとき、ヘレナはすでに敵のエネルギーパスに狙いをつけていたのだ。

「はい、ズドン……っと!」

 ディアストーカーから放たれたスナイパーキャノンの砲弾が届くその刹那、これを察知したアルシェドールは紙一重で身を反らした。エネルギーパスは回避したものの、本体に被弾して挙動が不安定になるアルシェドール。

「今だ!!」
「わたぬき発動!! ぶんどれー!!」

 |殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》目掛けて鎌剣を振るい、パーツを奪い取ろうとする。が、その時。

「っ……!? まずいメルシー投げ捨てろ!!」
「えっ、わっ!!」

 メルクリウスの腕部マニピュレータがパーツを確保した途端、甲高い耳障りな電子音が響き始める。嫌な予感がしたカシムがメルシーに向かって叫ぶと、慌ててメルクリウスはパーツを投げ捨てた。途端に大爆発が発生する。

「き、機密保持の爆弾……!」
「なんつうもんを仕込んでやがるんだこいつ……! さっきのは多分センサー周りだな……」

 冷や汗をかくカシム達。うかつにパーツを奪い取れないお陰で鹵獲は難しそうだ。どうにか機能停止に持っていくしか方法がない。

 カシムとヘレナ、そしてメルシーは知る由がなかった。メルシーが投げ捨てた先がコンクリートで封鎖された搬入口であり、そこで爆発が起きたことでコンクリートの封鎖が崩壊しかかっていることに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
【ワンダレイ】四人 POW
※引き続きタイフーンカスタムに搭乗

心情:あ!?野郎、逃がすかよ!

手段:「バジリスクやFortressと同じ様にお前もスクラップにしてやるよ」
逃げる奴の動きを止める為に騎兵歩槍や肩のクロコダイルで射撃、退場するには通行料を払いやがれポンコツが!
それで、教皇の嬢ちゃんと先生のUCで発射ラグを何秒長引かせられる?上手く行ったら俺とバルタンで何とかする、それ迄は射撃戦で削ってやる。

足を止めたら【ぶちかまし】だ、シールドを構えバリアは前方に出力を集中、奴の砲撃ユニットは速度差で振り切る!
後退時は目眩ましと後続の接近を助ける為にファイアクラッカーを投擲する、行けバルタン!


フレスベルク・メリアグレース
【ワンダレイ】
させません!
即座にUCを放ち、戦場内のオブリビオンマシンに『|炎の破滅《カタストロフ》に由来する全事象・全概念の否定』を引き起こす状態異常を付与
これで|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》の発動と機能を強制停止させました
後は、この歌を謡い続ける事で皆さんを支援します!

コックピット内で謳いながら帰天を励起
加護を以てバルタンさん、ドクター、ヴィリーさんを後方から支援していきます

その兵器……|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》は、好きにさせる事は許しません
一人の教徒としても、一人の人間としても、あってはならない存在だからです
『本物』が出てくる前に退場して貰いましょう


バルタン・ノーヴェ
【ワンダレイ】スコール搭乗続行
ウルフパックをガトリングキャノンに換装

HAHAHA!
殲禍炎剣砲は確かにデンジャラス!
デスガ、スコールの本領は陸上走行!
高速飛翔しなければターゲッティングはされマセーン!

フレスベルク殿の聖歌とヴィリー殿のクロコダイルに合わせてガトリングの弾幕で、地上に逃げようとするアルシェドールの動きを鈍らせマース!
そしてリリー先生のM・キーでメロメロっている隙を突き、一気に加速してすれ違いざまにフェンリルバイト!
そのまま駆け抜け通り過ぎ、回り込んだら出口を塞ぐように二足歩行形態で立ちはだかって、退路を断つ!
挟み撃ちのスタイルでコピーした突撃破砕魔導射撃を、フルファイアあります!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】【ワンダレイ】
※愛機搭乗、アドリブ歓迎

アタシは【スターゲイザー】着用
『命脈点/運命線』の挙動を【|8《ユイ》】の予言と
生体電脳の解析も〈応用力〉で活かして未来予測
過去戦時の解析ログを総動員して弱点も診るよ

愛機が構えるは【D・バレット】入り【D・バレル】
弾の『侵蝕プログラム』を【M・キー】のナノマシンで強化
後は〈操縦〉テクで位置取りして弱点へブチ込み
殲禍炎剣砲との接続をメロメロにしてヤるよ♪

なぁに、一応は再診患者だし7秒を70秒にもデキるさね
バルたん、ゴー!今なら美味しくいただけるよっ♪
あー、フレスさん…実はアタシもC傭兵間の噂を元にさ?
偽物だからこそ、本物のデビューは困るんだけどね!



●炎剣よ、地底で眠れ
 『命脈点/運命線』の挙動を【|8《ユイ》】の予言で調べていたリーゼロッテは、先程目撃した情報も総合したうえで情報を逐次提供する。

「まず鹵獲は無理だね。あいつ機密保持の自爆装置を持ってる。ヤるなら徹底的に破壊するしか無い」
「やはりですか……それで、弱点の方は」
「例の新型AIはかなり『生き汚い』ロジックを持っている。前にアレが搭載されたアーレス覚えてる? あいつが最後どうなったか」

 フレスベルクの問いに対してリーゼロッテは敢えて質問で返した。ヴィリーはふむ、と当時を思い出す。

「確かあいつ……コクピットのAIをぶっこ抜いても頭部コンピュータにありったけの命令書き込んでまで動き続けてたな」
「そう、つまり今回だと殲禍炎剣砲側にロジック書き込んで発射を強行する可能性もある。逆に言えば、今逃げようとしてるのは生存を最優先にしてるってわけ」
「なるほどな……ん? そんなやつが自爆装置積んでんのか?」

 リーゼロッテとの問答の中でヴィリーは矛盾に気がついた。自己保存や自己の生存を最優先とするAIが、何故か「自ら生存を放棄する装置」である自爆装置を積んだ状態。つまり、勝機はそこにあった。

「そういうこと! ヤツの弱点はまさにその自己矛盾! 自爆装置を起動するように仕向ければ自己矛盾によるロジックエラーでAIの機能停止が狙える! そこを一気に叩くよ!」

 方針は決まった。だが、まずは包囲を突破して逃げようとするアルシェドールを止めなければならない。今もなお、手近な搬出口から地上へと出ようとしていた。

「アルシェドールがエスケープ! 一番近いのはヴィリー殿デース!」
「あ!? 野郎、逃がすかよ!! お仲間の|霧の死神《バジリスク》やFortressと同じ様にお前もスクラップにしてやる!」

 フレスベルクの『|炎の破滅《カタストロフ》に由来する全事象・全概念を否定』する歌が響く中、ヴィリーは猛然と逃げるアルシェドールを追い始めた。殲禍炎剣砲を持つということは即ちカタストロフを容認すること。これを持つアルシェドールの存在意義を否定する歌によって自己崩壊を狙う形だ。もちろんAIのロジックと矛盾するため、AIのロジックと歌の間でせめぎ合いが始まる。処理のリソースをそちらに割いているため、機動力は鈍り始めた。

「動きが鈍り始めてる! 先生、射撃のラグを引き伸ばせるか!」
「オペの基本は麻酔だからね! そしてアイツは執刀経験がある再診患者だ! 7秒を70秒にもデキるさね」

 侵食プログラムをナノマシンで強化し撃ち込むリーゼロッテのナインス・ライン。これにより、殲禍炎剣砲とのシステム同期が取れなくなり、エネルギーパスへの伝達効率も下がり始める。

《バルタン、聞こえるか! 整備班のドリューだ! 要請されたバックパックを送っている!》
「サンクス、ドリュー殿! ばっちり来てマース!」

 スコール用の換装バックパックを担いだミニ・バルタンたちが戦場に飛び込んできた。ウルフパックを回収すると、代わりにガトリングキャノンを装着。ウルフパックを持って戦場から足早に離脱していく。

「ヴィリー殿!」
「そっちに誘導する!」

 タイフーンカスタムが手持ちの騎兵歩槍や肩のクロコダイルを斉射してアルシェドールを追い込む。殲禍炎剣砲はヴィリーを狙うが、その瞬間。

「ゲットイット! スコール!!」

 バルタンが駆るスコールが飛び込んできた。スコールの荷電粒子コーティングが施されたCPCファングが砲撃ユニットを食い破る。スコールとタイフーンカスタムの両方に脅威判定を下そうとするアルシェドールのAIだが、ロジックエラーの修正処理に手こずる中で判断が遅れ始めている。CPUも悲鳴を上げ始め、ハングオン寸前だ。

「その兵器……|殲禍炎剣砲《ホーリー・グレイル・キャノン》は、好きにさせる事は許しません。一人の教徒としても、一人の人間としても、あってはならない存在だからです」
「あー……フレスさん…実はアタシもC傭兵間の噂を元にちょっと模造品をね? 偽物だからこそ、本物のデビューは困るんだけどさ!」
「えぇ、『本物』が出てくる前に退場して貰いましょう」

 フレスベルクとリーゼロッテは、決着をヴィリーとバルタンに託した。

「退場するには通行料を払いやがれポンコツが!」

 ファイアクラッカーを投げ込んで光学センサーと赤外線センサーを完全に殺すヴィリー。そこにバルタンがスコールを変形させ、アルシェドールが目指していた搬出口の前に立ちはだかった。

「イエース、物価高のこの時代、ちょっと高くつきマスヨー!」

 アルシェドールの突撃破砕魔導射撃をコピーしたスコールは、周囲に砲撃ユニットを展開。これまでの損傷や弾薬の消費、エネルギーの消費分が上乗せされた砲撃が光の奔流になってアルシェドールを殲禍炎剣砲諸共飲み込む。その余波で、崩れかけていたコンクリート障壁がついに完全崩壊。封鎖されていた箇所が通れるようになった。

 アルシェドールと殲禍炎剣砲は跡形もなく消え去り、時ならぬ危機は去った。

《サブジェクトO、反応消えました!》
《よくやった猟兵諸君! ……例の封鎖されていた搬出口が通れるようになっているな。念の為だ、そこを調査してもらえないか》

 アイアンズの要請に従い、猟兵達は封鎖されていた搬出口へと向かう。残る調査対象はそこだけだった。

●神聖メサイア教国が目指したモノ
「位置を確認した……メサイアクレーターの地下に向かってるね」

 リーゼロッテはマップと照らし合わせてそう呟く。

「メサイアクレーター……ってことは、神聖メサイア教国の跡地ってことか」
「例のプラントの暴走で吹っ飛んだ国家だっけ? 鬼が出るか蛇が出るか……おぉ、くわばらくわばら」

 ヴィリーの言葉に、ヘレナが身震いする。そして、その先にあった光景に猟兵一同は言葉を失った。

「うわっ、こりゃひっでぇ」
「大規模戦闘の跡だね☆ こりゃまた派手にやってたっぽいねぇ」

 カシムが表情を引きつらせ、メルシーは呑気な感想を持つ。クリーサの大群と、天使型キャバリアの大群がここで戦闘を繰り広げていたらしく、無惨な残骸が転がっている。リーゼロッテ、フレスベルク、バルタンにはこの天使型キャバリアに見覚えがあった。

「……これって、あの教皇が使っていた」
「イェース、『偽りのUDCアース』を埋め尽くしていた天使型キャバリアデスネー」
「TYPE[CM-E]……だったっけ」

 TYPE[CM-E]。神聖メサイア教国最期の教皇「マティアス・シュノロス」が運用していた機体だ。おそらく、この地下を守っていたところにヴェクタ条約機構か、エルディスタンの軍閥が侵入しようとして戦闘になったのだろう。

「ん? ……ここにキャバリアがいたってことは、何かを守ろうとしてたってことかな?」

 シルがふと自身の推測を口にする。たしかに、朔弥が頷いた。

「侵入してきたキャバリアを迎撃したってことは……つまりそういうことよね」
「んー……ただ国は滅びてるんだよな。一体何を守ろうとしてたんだ?」

 カシムが何とはなしにキャバリアの残骸の山の奥を見る。すると、残骸の向こう側から淡く青白い光が漏れ出てくるのを見つけた。

「なんだあれ」
「見てみマース」

 この中で走破性に優れたバルタンのスコールが残骸の山を踏み越えて向こう側へ行く。

「なんかコンピュータが動いてマース!」
「コンピュータだぁ?」

 ヴィリーと朔弥、リーゼロッテが近寄る。と、リーゼロッテはその先に広がるとんでもないものを目にした。

「……ちょっとちょっと神聖メサイア教国!? 前々からアイツらとんでもないカルトだと思ってたけど、これは極めつけじゃないの!?」
「うげっ、なんだこれ!?」

 リーゼロッテに続いてカシムもそれを見て悲鳴を上げる。

 培養液に満たされ、その中に人間の脳髄が浮かぶカプセルが大量に安置されていたのだ。さらに、機体を降りたヘレナがコンピュータの画面を確認すると、ぞわり、とその背筋に怖気が走る。

「神聖メサイア教国……流石にこれはバカの所業なんじゃないの……」

 その画面にはこう記されていた。

「神聖メサイア教国 第17次人造|猟兵《イェーガー》開発計画」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年08月24日


挿絵イラスト