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人斬り中華街

#サクラミラージュ #戦後 #逢魔が辻

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#サクラミラージュ
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#戦後
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#逢魔が辻


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 帝都から西にある横浜には、華僑の集う中華街がある。
 皆が皆、商売上手な華人だ、彼らはすぐに商売を始めた。
 美味しく食べ歩きに適したにくまんや小籠包、紅茶でも日本茶でもない一風変わった風味の茶を出す店、華美で目を引くサテンの服に羽根扇子――と、瞬く間に、金を持った珍しもの好きの高等遊民の耳目を集めた。
 帝都よりの円タクで乗り付けては、物珍しげに色々買い集める若者で満ちあふれた。
 やれ、桜ばかりの帝都より、遙か昔の公主を飾りし蝋梅の方が新しく素晴らしいと言い出す者もいる始末。

 ――そのように浮かれた場所が「逢魔が辻」の手に落ちた。

「嫌なものね。偉い御方の中には、これを期に我が國に食い込んできた|外國《そとくに》の商売なんぞ滅べばいいと嘯いている者もいるそうよ」
 うんざりとした顔で六道・橘(逸脱の熱情・f22796)は苦笑する。それ故か學府も公式な派兵はしないとのこと。
「どの道、護られる側を満喫してきた學徒兵が行ったところで即座に首を跳ねられるのがオチだわ。だからあなたたちお願い、横浜中華街を跋扈する影朧を潰してきて頂戴」
 超弩級がサクラミラージュに現れてから、學徒兵が向かう戦場の危険性はかなり減じられた。それはあながち悪いことではない。平和になったということだから。
「あなた達が辿り着いた先に現れるのは、二刀流で暴れ回る男の群れよ」
 橘は疎ましげに眉を潜める。
「彼らはよくよく己の生前が不遇だったと不満を抱えているみたいね。高等遊民のお坊ちゃまお嬢ちゃまを斬り殺してはいい気になっているわ」
 確かに不遇ではあったのだろう、産まれ身分の差も残念ながら存在している。だが自身を被害者に落とせばその時点で運命の負けが確定する。
 重ねて言うと、殺される民は彼らを直接的に貶めたわけでもない、お金を持っていて実家が太いだけの無辜の民だ。
「もはや転生叶わぬ魂よ、だから容赦も躊躇もここに置いていって」


一縷野望
オープニング公開時よりプレイングを募集しています
割とサクサクとサポートをとって進める予定です。ご参加はお早めにどうぞ

流血沙汰やりたいとか、逆に無傷で倒したいとか、戦い方のオーダーがあればなんなりとどうぞ
逆にお任せプレイングも歓迎です。サポートリプレイのようにPCさんが映える活躍を考えて書かせていただきます

ご縁ありましたらよろしくおねがいします
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第1章 集団戦 『切り返す者』

POW   :    切りまくり
【二本の刀と戦輪による連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    切りはらい
【呪い】を籠めた【二本の刀】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【殺人行為への忌避感・嫌悪感】のみを攻撃する。
WIZ   :    切りとばし
自身が装備する【戦輪】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。

イラスト:塚原脱兎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

香良洲・巽
一縷野望マスターにおまかせします。かっこいい香良洲・巽をお願いします!

 地球人のブレイズキャリバー×鹵獲術士、20歳の男です。
 普段の口調は「黒烏(オレ、呼び捨て、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねェの? )」、戦闘中は「水蛟(オレ、お前、呼び捨て、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします。




 ――何に怒りを感じているのか。
 どのような経験を経ても、最初に身についたものは漂い薫る。香良洲・巽(Krähe・f40978)の場合は、一族で会合を持つほどには栄え、優秀な魔術師を輩出する家の出であるという点だ。
 放任は一種の赦しでもあった、好む道を選んでも良いと。優秀なる兄らが背負う“noblesse oblige”との縁はなかった。
『お前ぇ、イイ飯食って生きてきたろ?』
『家の金があるから好き放題してきたなぁ?』
『こいつらのようによぉ!』
 と、今し方刺し殺した女の腹から血塗れの刃を抜いて貧相な男は仄白い顎を持ちあげる。
 流行の洋装に着飾った女の上には、和装の男が覆い被さってやはり絶命している。女の髪に挿された蝋梅飾りだけが真新しくて、襲われたのは今し方だと物語る。
 なんと惨い――。
 巽の眉が僅かに寄った刹那、辻斬り男の刃が禍々しさを得た。
 無拍子。
 高度な魔法めいた素早さで突き出された三方よりの切っ先を手袋を外した蒼焔が辛うじて掴み止めた。
「……成程、そういう事か」
 奴らの刀は『人を殺める嫌悪』に反応するようだ。脳裏に浮かんだ時には既に斬り刻まれている寸法だ。
「心を制御する相手には歯が立つまい」
 刀を握りしめれば痛みと共に巡る血が滲む。蒼に灼かれ蒸散するものだから色はわからぬが。
『けどぉ、坊ちゃんのお心はぁ、怒りで一杯だぁ!』
『キヒヒ、そうだろそうだろー』
『社会って不公平で狡いよなぁ!!』
 妬み。
 巽は誰にも気づかれぬよう自らに向けての嘆息を零した。
「……誰もが、産まれたようにしか生きられないんだよ」
 刀が振り上げられるに合わせて指を離し“Dies irae”を招聘、即座に刀をへし折り肩口を割り開く。
「失せろ」
 爆ぜて消えての過程は怖ろしく優しい。今し方、身勝手なる理由で無辜の民を殺めた罪過を浄化してやるのだから。
『ぎゃいやぁああ!』
 焔が走り罪過を灼き尽くす。なにもなく虚っぽの男を焔が膨らまし臨界点にて、ぱぁんと弾けた。浮き足立つ二人も逃しはしない。前傾し思う様蒼注ぐ斧で叩き割る。
 綺麗に綺麗に灼き尽くしましょう。
 綺麗事も灼き尽くした後に立つのは、ひとりの青年。
「本当にごめん、間に合わなくて」
 寄り添う二人の瞼を綴じてそっと手をつなげてやる、心優しき青年だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクサンドル・ストラシティー
※アドリブは歓迎です。
この不幸に満ちた世界は、なんて残酷なものだね。

ただ生きていただけで怒りを浴びた民は、惨たらしい終わりを迎えた。
なんて、なんて残酷な世界だ。

このプレータどもを成仏させるしかないでしょう。 法を教えてあげる。

ゆるく鞘を払い、下段の構えを取る。この外道どもの血眼を無視し、ただ構えで相手の攻撃を待つ。
釈迦様の顔も三度だけ。さっさと打ち払いましょう。




 己はもしかしたら『苦楽』と併せて語られるのが好きではないのかもしれない。
 アレクサンドル・ストラシティー(人間の剣豪・f45062)が修行者として求めたのは『楽』である。だが探れば探る程に溢れ出てくるのは『苦』であった。
 踏みしめた地は中華街という歓|楽《・》街。美味を食し、美を着飾る、金銭さえ支払えるのならば笑顔の絶えぬ『楽』の場だ。
 だがどうだ、結局は惨たらしい死という『苦』に塗れている。
 つま先に当たるのは身なりの良い老夫婦の血だらけの躰だ。もの珍しい異国の食べ物に舌鼓を打っていたら襲われたのだろう。
『働かずに美味しいもん喰える良いご身分だぜぇ』
『こういう奴らが俺らを搾取してるのよ』
 僅かな衣擦れに、キ……ッ、と踏まれた鈴のめいた音が重なる。鞘払いが謳う哀悼、もう事は終わる。
『はっ! 正義の味方さんがよぉ……んッ?』
 下段の構えから血眼な男どもと相反する静逸さで虚空を掬った、斜めに切断された男の終の視界は己の足首だ。
「この不幸に満ちた世界は、なんて残酷なものだね」
 仲間を殺され怒号をあげる男らを、ひたりと見据える。
「ただ生きていただけで怒りを浴びた民は、惨たらしい終わりを迎えた」
 その罪は支払わねばならない、このプレータどもの命をもって。
「お前達にも、怒りが渦巻いているのはわかるよ。この夫婦の仕業ではないにしても、搾取は事実ではあるのだろうからね」
 なんて、なんで残酷な世界だ。
 だからせめてと、口角唾を飛ばす彼らに手番を与えてやる。
「法を教えてあげる」
 血を払い佇むアレクサンドルは、腕をだらりとおろし無防備に待ち受ける。
 近代の法廷では被告に弁護士がつくという。だからせめて怒りのその太刀を躰で受けよう。彼らに来世はなくとも成仏は祈る。
「……う、あぁ……」
 だが、弱々しく足首を掴まれてアレクサンドルの考えは変わる。
「……たの、む。妻を…………」
 瀕死の夫が抱く老女は僅かに胸を上下させているではないか!! ああ、ああ、ここに『楽』と転する『苦』がある。修行で突き詰めてもそうそうお目にかかれなかった『楽』が。
「わかったよ。きみたちにはすまないがね、忘れていたんだよ――釈迦様の顔も三度だけ」
 不可視の速度で利き腕が振われたなら、瞬く間に二人が骸の海へと堕ちる。だが顧みることなく老夫婦の元に跪いた。
「……安心するといい、ご婦人は無事だ。あなたの方が遙かに深手だ、気を強くもちなさい。どうかどうか、彼女をひとりにしてはいけないよ」
 衣を裂き、気力を継ぎ足す言葉をかけながら手当する。
 ――よかった。『楽』を2つ見つけた。いいや、もっとか。中華街の入り口には、勇気ある學徒兵の救護班が来ていることも知っている。
「ああ、よかったよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

梶浦・陽臣
●POW対応
●絡みあり
「これはまた……随分とふざけた真似してやがるな。」

刃物を二振り担ぎ暴れている影朧―――オブリビオン達を見つける。

「俺も刺激を求めて猟兵になった身だが……外道の輩を野放しにするほど人間捨てちゃあいないんでな。」

鞘から引き抜くような動作で、両手に二振りの魔剣を生み出す。
片方は重力属性の重魔錬剣、もう片方は時間属性の刻魔錬剣だ。

「容赦も慈悲もいらん、ここで消えるんだな。」

そう言って影朧達へと斬りかかる。
二振りの魔剣を振るうごとに、自身に【重力軽減】と【加速】の状態異常を累積し続ける。剣圧はそのままに、軽やかで速い斬撃を何重にも繰り出し、上から押し潰すように、剣を振るい続ける。


風祭・悠華
クロムキャバリア世界出身、キャバリアを持たず銃器等で戦場を生き延びてきた傭兵少女。
普段の口調は「私、あなた、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」

性格は明るいが、戦場になれば敵には容赦しない仕事人
愛用武器はアサルトライフル
その他装備品から用途に応じて自在に使います

UCは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
又、例え依頼の成功の為でも、公序良俗に反する行動はしません
後はお任せ
宜しくお願いします!




 なにが悲劇かというと、中華街の奥の方は未だ逢魔が辻に堕ちたと誰もが気づいてないことだ。
『おやぁ? なんだか空が暗いなぁ』
『やぁね、雨でも降るのかしらね、湿っぽい』
 妾らしき若い女の肩を抱き中華料理屋から出て来た男は、カッと目を見開き仰け反った。怪訝そうに眉を寄せる女はヒッと男を放り出し店に舞い戻る。
『はっはっはぁ、豚のように肥え太っていいご身分だなぁ』
 ギュギュギュと巡る輪の刃は、わざとゆっくり動き男の脂肪を切り分ける。
『まだまだ腸がでてこねえよぉ』
『かッ、はっ……ッ』
 だらりと舌を出した越えた男は白目を剥いて痙攣している。
『店に逃げりゃあ助かると思ってんのかよー』
 今し方斬ってきたばかりで血に濡れた刀を手にぞろりと同種の男らが入り込む。
『オラ邪魔だぁ!』
 ガシャンッ! と回転テヱブルがひっくり返り、残飯チャーハンが宙を舞う。ぷぅんと広がる油の香りが突如硝煙の臭いで塗りつぶされた!
 弾丸の雨をばらまいたのは、風祭・悠華(静灰の傭兵少女・f32278)だ。敢えて警告を発しなかったのは、素人が下手に動くよりこちらが計算して避けた方がはやく安全だからだ。
「おーおー、見事なこった。こっちにゃかすりもしねぇ」
 学生服を引っかけて、梶浦・陽臣(魔剣の鞘・f44426)が堂々たる足取りで踏み込んでいく。
「これはまた……随分とふざけた真似してやがるな」
 事切れた男を心で悼み顔をあげたら、怒りでますます目を赤くする外道どもと視線が絡んだ。
『恰好つけて丸腰で来たこと後悔しやがれ、このド阿呆!』
 余裕ある態度がカンに障ったのだろう、逃げ惑う妾と店員達から陽臣へ切り替えて、さっそく上段から斬りかかる。
「あーあ、見えねぇのか。どっちが阿呆だ」
 鞘なき腰に指を這わせたら、あたかもすらりと抜かれたばかりの魔剣が二振り。まずは上段切り込みをガツリと受け止める。
「ナマクラ刀なんざあ避けてもいいんだがよ、それじゃあ刺激が足らん」
 腹を突き出し戦輪で刻もうとするのを、もう一振りで素早く刺して止める。
「どうせ、お前のそれは一度やりだしたら止まれねえ暴走列車だろ? とことんつきあってやるよ」
 刻魔錬剣より指を解き、掌でグッと押し込めば外道は吐血し踏鞴をふむ。
「おい、まだ序の口だぜ?」
 呆れ声に振り下ろす重魔錬剣はもう1体へと振り下ろされた。奴めは悠華の援護射撃にてその場に押し出されたと気づきもしない内に斬り捨てられたのだ。
「俺も刺激を求めて猟兵になった身だが……外道の輩を野放しにするほど人間捨てちゃあいないんでな」
 くるりと敵と身を入れ替え再び薙ぎ払い、実は三連斬。背には、へたり込む女とチャイナドレスのウエイトレスが庇われている。
「これ以上、目の前で命を奪われるわけにはいかねえな」
 吼え猛る男達も充分はやい、だが明らかに陽臣の動きが人知を越えて素早い。もはや瞬間移動の繰り返しにしか見えない。
(「店内の2体は彼が相手取ってくれてるし、救援に向かうとするか」)
 悠華はアサルトライフルを携えたまま、身を屈め店内へ駆け込む。
 日陰のカビ臭い店内は今や赤い鉄臭さしかしない。逆さまの『喜』タペストリーは穴だらけで剥がれおち、茶器も食器も粉々だ。
「超弩級だよ、助けに来たよ」
 安心させるよう笑顔を向けて、後方を見もせず肩越しに撃つ。今の陽臣ならば幾ら弾丸をばらまいた所で当たりやしないだろう。
 実際、陽臣は悠華の信頼に容易く応えてみせた。
 弾丸の到達する場所からギリギリで消えて、刃で引っかけた敵を盾にする。常人ならば、3歩は先にいた敵だ、あり得ない。穴だらけで絶命したのを打ち払い、踊るように残りの男へ襲いかかる。
「残りがやっつけられたらここを出よう。大丈夫、ちゃんと護衛するからね」
 怯えながらも頷く女性の頭上を越えて、厨房からけたたましい声がした。どうやら「ここから逃げられるぞ」と外国語で喚いているらしい。
「……! 外に敵がいるよ、ひとりで出ないで! うーん、しょうがないなぁ」
 悠華は拳銃に持ち替えると、裏口の上にある棚を目掛け一発。パァンと済んだ音の後、中華鍋が落ちて店主の出鼻を挫いた。
「そこで待ってて。ねえ、そろそろ片付けてもらえるかな?」
 暗に「すぐにできるんでしょ?」との含みに陽臣は口端をつりあげる。
「ああ、わかった。そうら、これで仕舞いだ」
 重力と時間は既に我が物だ。陽臣がそう返事したら、外道は全身に斬り傷を負った姿で崩れ落ちる。どう考えても1分は必要な傷の数だが、1秒以下であった。
 その百の傷を負わせたと纏う血で物語る双剣は、陽臣の手の中で消失する。此にて中華料理店の襲撃は鎮圧となる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

司・千尋
連携、アドリブ、他者との絡み可

生前が不遇ねぇ…
不要になったら即廃棄のモノに比べればまだマシな気がするけど


戦闘詳細はお任せ

攻撃は『月夜烏賦』を使う
近接・投擲等の武器も使い
早業、範囲攻撃、2回攻撃など手数で勝負
死角や敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
確実に当てられるように工夫
敵以外には当てないようにする

俺、ヒトじゃなくてモノだから殺人行為への忌避感・嫌悪感とか持ち合わせてないんだよな
そういう事だから遠慮なく斬らせてもらうぜ


敵の攻撃は結界術と細かく分割した鳥威を複数展開し防御
オーラ防御を鳥威に重ねて使用し耐久力を強化
割れてもすぐ次を展開
回避や防御する時間を稼ぐ
間に合わない時は双睛を使用




 中華料理店の店先に肥えた男が横たわっているのを皮切りに、そこらに中に遺体があるのに気がついて、若い男女が手を取り合って必死に逃げてくる。
 背後では「學府は!? 超弩級は!?」と助けを請う狂乱の叫び声、このままでは敵の思う壺だ。
『恐いかぁ、恐いよなぁ? こうだぁ!』
『ヒィィ!』
『いやぁ!』
 大ぶりの刀が振り下ろされて恐怖心は頂点へと到る。
 嗚呼、あわやのその時だ、颯爽と割り入ったのは愛らしき背丈の人形だ。
 白き面の『宵』が繊細な刀でちょんとつつけば、驚くことに外道は膝から崩れてしまった。
『人形……?』
 恐怖にへたり込む男女の前を、涼やかな風を連れて過ぎたのは『暁』だ。若葉色の扇子をそよがせる様は淑やかだが、畏るべきことに狙いは目だ。
『ぎゃああ!』
 目を潰されてカシャンと刀を落ちた。腹で戦輪が巡り続けるのが却って滑稽だ。
『宵』と『暁』はしゃなりと輪に乗っかり、呼吸を合わせて外道への急所を刻んだり抉ったり、合計八回で一旦引く。
「生前が不遇ねぇ……不要になったら即廃棄のモノに比べればまだマシな気がするけど」
 九回目、『宵』からの斬り裂きを頬に得て、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は笑みと共にクンッと操り糸を引く。
 九回敵を刻めと操った筈が司の命を慮り頬を斬る。二人の人形はお揃いの所作で司の肩に腰掛けた。
『ぐぬぬ、ならばこうだぁ!』
 目を潰され蹲る仲間を男女へと蹴飛ばしたなら、悲鳴をがあがり逃げ惑う。その恐怖を食いものに外道は後ろから斬りかかった。
「おっと」
 鳥威をひらり、瞬時に斬り裂かれ散るものの守護の結界は残る。腹の刃が先に行けぬと焦る様に苦笑い、司は悠然と男女の前まですすんだ。
『なにくそぉ! ……んぅ?! 動かん!!』
 司を一刀両断に処そうとするも刀はぴくりとも動かなくなった。
「俺、ヒトじゃなくてモノだから殺人行為への忌避感・嫌悪感とか持ち合わせてないんだよな」
 こんな風に。
 後ろにひょいっと投げた月烏は、忍び寄る外道のひとりの脳味噌を食い破り司の手に戻る。
「そういう事だから遠慮なく斬らせてもらうぜ」
 しれっと嘯き再び糸をくんっと引き攣らせれば、金色の双月を背に宵と暁が襲いかかる。彼らもまた人形という器物だ。忌避や嫌悪を抱く訳もなく。
 遊ぶように華奢な刀と扇にて、人となんら変わらぬ深い傷を穿つ。
 八つ。
 糸が撓むのも構わず一気に詰めて鴗鳥で首を殴り千切る。ガクリと膝をつく外道へ、男女がまたヒィと悲鳴をあげるも、司は構わず敵の残存を確認している。
 ちくんっと、それを咎めるように暁の刃が頬をついた。
「……よく斬られなかったな、お前達」
 もしかして、己は宵と暁よりもずっと――続きを口中で転がして、唇は苦笑で縫いとめる。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『黒を纏う刃『瘴鬼』』

POW   :    黒雨
【黒刀】が命中した対象に対し、高威力高命中の【複製した刀による全方位攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    斬奪
自身の装備武器を【捕食モード】に変え、【生命力吸収】能力と【技能・ユーベルコード模倣】能力を追加する。ただし強すぎる追加能力は寿命を削る。
WIZ   :    獄門
【生前使用していた装備や技能】で武装した【顔が塗り潰された「自身が殺めてきた者達」】の幽霊をレベル×5体乗せた【地獄門】を召喚する。

イラスト:朔にゃ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は夜刀神・鏡介です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天行寺・空
連・アド可
*戦闘流れはお任せ
己が生前が不遇だったと不満を抱えて高等遊民達を切り殺す者か
生まれ身分の差等、同情出来るところはあるが…
だが…かと言って捨て置く訳にもいかぬ
転生叶わぬ魂と桜の精が言うのであれば
此処で潰した所で誰にも咎められる筋合いもなし
相手の刃に先んじてUC発動
自らの手を鬼の手+肉体変異で腕を鬼神と化させて鳩尾に一撃を
其の後は、刃を敢えて錫杖で受け止める
…成程
確かに貴様のその刃は非常に強力だ
だが…その力に慢心すれば
己が足下を掬われるぞ
錫杖と拳で全ての攻撃を武器受けし
その攻撃の全てに反撃を
…中々に血の滾る戦いだ
何の躊躇も無く出来る戦いは
私が内に宿る暴力衝動の時に良き発散となるものだな




 死屍累々の中華街を一人の修行僧が歩む。
 天行寺・空(ダークネス「羅刹」の神薙使い・f43969)はダークネスだ。嘗て、佳き流れの雲の元で相対した|学徒《灼滅者》達は様々な思惑を携えていた。
 空はその名の通り其処に在り。自陣営だけでなく様々ダークネスとつながる灼滅者達を見ていた。灼滅者も一枚岩ではない、だから時に|絆《協定》は無残にも散った。
 |異国《サクラミラージュ》にて人斬り現れしと予知に誘われてここにきた。漆黒の眼に映る遺骸、その全てに来世への旅路を祈りたいとの気持ちが湧くもいまはそうもしてられない。
『お、俺らの先生にお前如きが……ッ』
「渇ッ」
 錫杖よりの気合いにて我が物顔で暴れていた切り返す者を散らす。迷いはない、転生叶わぬ魂と桜の精が言うのであれば、此処で潰した所で誰にも咎められる筋合いもなし。
 空は明らかに頬がビリリと引き攣るのに足を止める。
 居た。
 同じ悔しさの元に中華街を襲う勢力の中、それを力で支配する、明らかに暴力の階級違いの輩だ。
「己が生前が不遇だったと不満を抱えて高等遊民達を切り殺せ、そう嗾した者か」
 奴らに比べ艶めかしき肌にヘラで入れたように双眸は閉じられている。
「汝にもそのような理不尽への怒りもあるのだろうか? 生まれ身分の差等、同情出来るところはあるが……だが……かと言って捨て置く訳にもいかぬ」
『――』
 瘴鬼の着流しが衣擦れの音を立てたかと思うと、ぶぅんっと漆黒を纏う大刀が振り下ろされた。だが空はさして慌てもせずに、爆ぜあがった鬼の手で受け止めた。刃に肉を削らせながら相打ち上等で鳩尾に一撃。仰け反る瘴鬼の口よりの喀血、ようやく開いた瞳は既に悦楽に煮えている。
『これで我が怯むと思うか、ぬるいぞ。貴様はもう我の刃を喰ろうた』
 にたりと笑う男の背に、手にする黒刀がぞろりと並び生える。それは何処かの世界で戦場を駆けるロボット得た翼めいている。
『さぁ、何本まで生きてられるかなぁ?』
 ぞろり揃う黒が嘲笑う。虚空割き淀んだ逢魔が辻の天蓋へとあがり方々から空を突如に襲う。
「右、左――……成程」
 指に馴染む錫杖にて落ち着いて叩き落とす。
「確かに貴様のその刃は非常に強力だ、だが……その力に慢心すれば己が足下を掬われるぞ」
『ハッハッハッ! お坊さんは綺麗事ばかりを説くのう。己の命が風前の灯であれ変わらぬのは見上げたもんだ!』
 錫杖にて黒刀をたたき伏せる空だが、指や二の腕に頬と……刃や風圧での疵を得ている。一方で高笑いする瘴鬼。傍目には空が一方的にいたぶられているようにしか見えない。
 だが、しかし。
「――慢心は成長を奪う。汝はもはや変わることなし」
 虚心坦懐たる心持ちの空は、眼前の者の力量を見切った。なれば反撃に着火するとしようか。
 ぶぅん……ッ。
 錫杖が重く鈍い音をたて、瘴鬼を殴り伏せる。
『なっ……』
 信じられぬと瞠目する瘴鬼。黒刃が某かしでかす度に空は、指に馴染む錫杖で瘴鬼殴り命脈を奪い取る。
「……中々に血の滾る戦いだ」
 僅かなる僧の哄笑を前に、瘴鬼の心がゾッと冷えた。人から闇に堕ちた己と、堕ちた闇から世界を眺めし男。器も技量も差がありすぎる。
「何の躊躇も無く出来る戦いは、私が内に宿る暴力衝動の時に良き発散となるものだな」

大成功 🔵​🔵​🔵​

梶浦・陽臣
●POW対応
●絡みあり
「なるほど、さっきの連中よりも強いな。」

切り返す者達の対処が済んだ後のこと。
黒き刀を持つ瘴鬼と対峙して、そう呟く。

「とはいえ、やることは変わらないんだ。さっきの奴らと同じように、斬る!」

右手に生み出すのは重力属性の重魔錬剣。
刀身には目に見えてわかるような歪みを纏っている。重力を固めて塊のようにしているのだ。

「満足に振るえるなら、重さってのは強い武器になるんだよ!」

剣を振るうごとに鈍い風切り音が出る。
周辺地域への配慮を兼ねてはいるが、直撃すれば小さなクレーターはできるであろう一撃を、容赦なく瘴鬼に対して振るっていく。


エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは習得した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

***
ごきげんよう。
戦力が必要と聞いて手伝いに来ました、エリーです。
念動力で、戦いをサポートしますね。

敵の攻撃を妨害したりとか目潰ししたりとか、そういうセコイ工作は任せてください。
攻撃は念動力で締めたり潰したり斬ったり突いたり。
敵の物性に合わせてそれっぽくやりましょう。

キャバリアは……まぁ、必要そうなら乗ります。




 切り返す者の数が減るのに寂寞すら感じていた。これは物足りなさが根っこにあると、梶浦・陽臣(魔剣の鞘・f44426)は経験上知っている。
 流れてくるヤニの香りにくんっと鼻が鳴る。隣を見れば、いつのまにやら人工物特有の鮮やかな蒼髪をした女がいた。
「失礼。この世界は路上喫煙が許可されていると聞いたので。ご不快でしたら消しますが」
 エリー・マイヤー(被造物・f29376)が煙草を口から外すのに、陽臣は口端を吊り上げ返す。
「構わん。煙草は子供に悪いからと気を使われる方がうんざりだ」
 妙に大人びた口ぶりの彼を『未成年の背伸びだ』と見下すほどエリーは浅薄ではない。紫煙が呼吸であり、同じぐらいサイキックエナジーで相手の力量を見る女は、彼の内側を巡る|某か《魔剣》の底知れぬ力を既に把握している。
「さて、どのようなサポートを望みますか?」
「どんな戦い方が得意だ?」
「敵の攻撃を妨害したりとか目潰ししたりとか、そういうセコイ工作は任せてください」
「絡めてかぁ。あんた、気配がさっき援護射撃をくれたのと似てる、隙が無い」
 挑めばさぞや刺激の強い時間が過ごせるだろうと、陽臣は内心のギラつきを落ち着かせた。
「アナタが惹き寄せてるんですよ。日常と紛争が同じ意味である私達みたいなのを」
 エリーが、死に体の切り返す者にひょいっと吸い殻を投げつければ、蒼く燃え上がり灰となる。
「そんなもんか。まぁいい、その蒼い炎で適当にやってくれ」
 駆け出す陽臣の背中は平和な学生に見える。つまりは、それだけ日常的に斬って斬って斬りまくっているということに他ならない。業が深い話だ。
「了解です、まずはご挨拶といきますかね」
 エリーは瘴鬼が目視できた所で指を翳す。すると陽臣と対峙した着流し男の横髪から右目にかけてが激しく燃えあがった。
『――』
 瘴鬼は肌が焦げるのにも苦をみせず、粛々と抜刀し陽臣を目掛け振り抜いた。
「なるほど、さっきの連中よりも強いな」
 飛び退いた陽臣の右手の周囲が、熱に炙られた空気の如く揺れて歪みはじめる。
「とはいえ、やることは変わらないんだ。さっきの奴らと同じように、斬る!」
『そのままお返ししよう、その台詞』
 片目が燃え落ちてなお、瘴鬼は怯まず大刀を横薙ぎにする。陽臣に届きかけた切っ先は、蒼い焔にて融かされ阻まれた。
『なんのこれしき』
 自若とした顔で更に刀を振う。
「火傷の痛みを意に介さぬタイプ……ではないようですね」
 エリーは掲げた煙草で瘴鬼をさした。
「我慢は美徳、そのような価値観でしょうか。それとも効いていないと示すことでのプレッシャー狙いですかね? ……私には無駄ですけれど、表情はノイズです」
 サイキックエナジーの流れからエリーには全てがわかる。
『女。ごちゃごちゃとうるさい……ッ?』
 瘴鬼の苛つきは、重く鈍い空気の振動音にて潰される。
 体幹すらをも刀身。渾身を注ぎ振り回された重魔錬剣は、3メートルは先にある中華料理店の壁を穿ち、即座に粉々に崩した。ちなみにこの建物はもはや解体せざるを得ないと判断したが故の巻き込みである。
『……ッ、ぐっぐぅ』
 瓦礫に遅れ、ぐちゃりと粘着質な音で転がった男がいる。足をするめのように潰された男は、光宿らぬ瞳孔に明らかな驚愕を浮かべた。
「……どうだ」
 はぐっりっと、大きく息を吸い陽臣は再び重力の使徒となる。相打ち上等だったので腹に横傷があるが構いやしない。
「満足に振るえるなら、重さってのは強い武器になるんだよ!」
『……ッ、つぅ、図に乗るなよ、小僧。我の黒刀は既にお前の血を憶えた! この無数の剣を避けてみるが良い……』
 唇を歪める瘴鬼の背から、手にした大剣とそっくりなモノが無数に飛び立っていく。
「半分は燃やしますよ」
 エリーは、目印となるようにわざと似た軌跡を描く剣の1本ずつを燃やしていく。逢魔の暗がりで崩壊した中華街の天蓋を、蒼の炎が飾り彩った。それはまるで――もうすぐ逢魔は晴れると皆へ示すようである。
「ああ……それでいい」
 陽臣は腰を据えて飴のようにねっとりと重い空間のひずみを掬い取ると、先ほどのようにぶんまわす。
 ――しゃん、しゃん、しゃん……。
 ただそれだけで、蒼く燃えた剣もそうでないものも、華奢の断末魔を奏でて等しく砕けて塵へと還った。
『ばか……な…………』
 瘴鬼はでたらめな光景に呆然となり目を閉じる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

古賀・茉莉(サポート)
 人間の殺人鬼×魔女、14歳の女です。
 普段の口調は「口調:ボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)
戦闘中はボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
ジャンルは戦闘が特に好きです。
描写は自身の血みどろ、苦戦、スプラッタ、バイオレンス、内臓露出するくらいの負傷描写を特に好みます。
スキルは特に使わず武器のみで戦います。
よろしくおねがいします!




 滑らかな脇腹より垂れるのは血液だけではない。生ぬるくそれでいて火柱を当てられたように熱い、粘着質な感触のそれは、古賀・茉莉(人間の殺人鬼・f33080)の大腸だ。
『まだ3回目だというに、随分と脆い身体だな』
 瘴鬼の手元は不可視なる領域。華奢な茉莉の身体は虚空をきりきりと舞い、血やそれ以外の体液を散らし地を彩る。
「……カッ、はぁ……ぁぁう」
 見えない、見えない、九回刻む己の技を真似されているのに。けれど悔しさよりも、幾ら斬られても尽きることなく弾ける血肉への愛着が増すばかりだ。このように、茉莉という少女はどうにも矯正のしようがない逸脱者なのだ。
『六、七、八……』
 そこでたっぷりと血を吸った黒刀が止まった。
 茉莉はもはやズタ袋に等しい。細い神経のみでつながる左手と、あらぬ方向に砕けた足。腹からは体重の半分ほどの腸がそこかしこの傷よりはみ出ている。
『フッ、つまらぬ。もう勝負はついている』
「……あは! イクジナシぃ。九回目を斬るとぉ……死に近づくの、恐い……んだ」
 わざと逆鱗に触れる言い方をする。そこには隙を作る狙いと、もっとメチャクチャにしてもらえる欲求が同居している。
『よぉ言うた! ならば死ね!』
 九、と瘴鬼が数え上げる前に、黒き星が疾走する。
「いーち! 行くよ――」
 神経が解れ千切れることも厭わず、激痛走る足も気にせず、茉莉はきちりと九回踊り瘴鬼の膝をつかせるのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハル・エーヴィヒカイト(サポート)
▼心情
手の届く範囲であれば助けになろう
悪逆には刃を振り下ろそう

▼戦闘
殺界を起点とした[結界術]により戦場に自身の領域を作り出し
内包された無数の刀剣を[念動力]で操り[乱れ撃ち]斬り刻む戦闘スタイル
敵からの攻撃は[気配感知]と[心眼]により[見切り]
[霊的防護]を備えた刀剣で[受け流し]、[カウンター]を叩き込む




 九回斬り合った瘴鬼と少女だが、ぴくりと指が動いたのは果たして鬼の方である。
『ふっ、ふふ……娘よ、命脈尽きたなぁ!』
 気合いと共に持ち上がる黒刀が、無数の刀剣にて阻まれる。
「無理が過ぎる。特にそこの君」
 刀剣が咲き誇る領域の中、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)の眉目秀麗な容が曇る。倒れ伏す少女は相打ち所の騒ぎではない。身体の損壊が著しく、猟兵であれまずは治療が必要とされる。
『守護だけでは我には勝てぬぞ。仲間の技で死ぬがよい――そぉれ、いーち……』
「ふむ、お前の顔についているのは洞か、なにも見えてはいないようだ」
 柄を指さし、斬り込みを容易く跳ね上げる。がらりと開いた胸元には、絢爛豪華なる色を持つ刃が縦や横やと斬りかかる。
「ふふふ、どれが一番深手を負わせるか競うか」
 連なる刃へ寿ぎを浮かべる麗人に、瘴鬼の頭が煮え立った。我武者羅にはやくなる斬りかかり、しかしそれこそハルの思う壺。冷静に冷徹に、見切り、躱し、呼び込む隙に痛みを与える。
 手が出せぬ儘で下がる瘴兄。ふうと息を吐いたハルは、倒れ伏す娘の傷が癒え始めたことに安堵する。
 刀剣の花――敵には容赦ない責め苦を、味方には宿す霊力を惜しみなく注ぐ癒やしを。

成功 🔵​🔵​🔴​

サエ・キルフィバオム(サポート)
アドリブ歓迎

基本的には情報収集が得意かな
相手が何かの組織だったら、その組織の一員になり切って潜入して、内側から根こそぎ情報を頂いちゃうよ
そうじゃなければ、無害で魅力的な少女を演じて、上手く油断させて情報を引き出したいね
効きそうな相手なら煽てて誘惑するのも手段かな♪

戦いになったら、直接力比べの類は苦手だから、口先で丸め込んだりして相手を妨害したり、糸を利用した罠を張ったり、誘惑してだまし討ちしちゃうかな
上手く相手の技を逆に利用して、手痛いしっぺ返しが出来ると最高♪
敢えて相手の術中に陥ったふりをして、大逆転とかも良く狙うよ




「ハイハイハーイ、こういう時の私の仕事はぁ、生存者の確保一択ですよねぇ」
 サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)は、仲間が戦っている間にくまなく生存者を見出しては敵より遠ざけていた。
 情報収集はお手の物、仲間が『斬り返す者』を始末している時から、常に逃走ルートを的確に更新しては、有志の學徒兵へとつなぐ。
「この辺りにはもう……おりょ?」
『ひっく、ひっく……お父様とはぐれてしまいました……』
 上等なワンピースに身を包み、転んでひどく膝をすりむいた娘がいる。
「大丈夫ですよ。私はお父さんに言われて探しに来たんですよぉ」
 間延びした声で励まして、さぁ背負って逃げようとしたら――敵の気配。
「ちょーっと待っててくださいねぇ。必ず戻りますからぁ」
 だっと駆けだしていくサエは、血だらけの着物にはやきがえ、瘴鬼の前へと踊り出る。
『? お前、超弩級から逃げたのか』
「ゲヘッ! そおっすねぇ! あいつら強いでゲスよ!」
 低く作った声で下卑た喋り。同時に鼻っ面に拳をぶち当てた。不意打ちで面食らう瘴鬼を更に送られてきた仲間の方へと蹴っ飛ばし、サエは路地裏に姿を消す。
 瘴鬼の罵詈雑言は、やがて戦いの殺伐とした気配に塗りつぶされる。猟兵の相手で手一杯であろう。
「にひひ、作戦成功ーっと。さて、あの子をパパの所に送ってあげないとですねぇ」
 直後、少女を背負った桃色の旋風が中華街を駆け抜けていく。無事脱出、涙ながらの父子再会に、サエはうんうんと大きく頷くのである。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

風薙・澪(サポート)
戦闘は剣、ポンプアクション散弾銃、魔法を主に使って戦う。
近距離は剣、中距離は銃、遠距離は魔法が主な攻撃手段だが、
状況に応じて距離に拘らず扱う時もある。
敵が少ないときは、逆に剣、銃で隙を作り魔法で止めを刺す。

剣も銃も基本は両手で扱う為、右手に剣、左手銃のような二刀流的なことはほぼしない。
剣は両手持ちではあるものの軽快に扱い、フットワークを軽くして戦う。

銃はほぼ9粒装弾の散弾を使っているが、対象を打ち抜けないときなどはスラッグ(一粒弾)も使う。
いずれにせよ射程はあまり長くない。
弾倉はチューブマガジンで後入先出。(最後に込めた弾薬が最初に撃ち出される)


政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。

SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎




 パシュッ!
 配下のニセモノを手にかけようとした瘴鬼は、目の前で破裂した弾丸にて阻まれる。
『ぐ……ッ』
 風薙・澪(ウィザードウォーリア・f17869)は見せつけるようにハンドグリップを前後させると再びトリガーを引く。
『当たらぬ!』
 意気揚々と黒刃を振い弾丸を砕くのに、澪は身を屈めるだけだ。
 ヒュッ! 風を切りしなやかなる女が瘴鬼の目の前に立った。直後、茨が首しめ吊り上げる。
 そう、澪の行動は、全ては仲間である政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)が近づく機会を作る為。
『ぐ……あぁあ』
 握りしめた柄を震わせて、瘴鬼は朱鞠の頬を斬る。とたんに少しだけ頬に赤味が戻ったのは見逃さず、まずは地面に叩きつける。
「めんどくさいことは任せたわよ」
 黒髪を後ろに流し再び構え、即座に散弾を炸裂される。澪の一連の動きには一歳の無駄がない。
(「澪さんの方こそ、面倒事を引き受けてくれてるようだけど……」)
 それを口にしてもきっと否定するだけだ。それに澪のくれたチャンスは生かしたい。うかうかしていると毒由来の頭痛で自滅してしまう!
『喰らえ、喰らえ、我に全てをよこすのだ!』
「おあいにくね、お断りするわ」
 黒刃はしゃがんで避けて足払い。蹌踉けた所を荊野鎖を絡めて右に左に男の身体を叩きつける。
『このような鎖など我の手にかかれば……』
「かかればなぁに? お口ばかりで手が動いていないじゃないの……ハァアッ!」
 仕上げだと人外の悪しきモノへ全身を明け渡す。尋常ではない力にて朱鞠は瘴鬼の身体を彼方へとぶち飛ばす。
「……ッふぅ」
 蹌踉けかけたのを堪えるが、振り返りはしない。理由はたったのひとつだ『仲間を信頼している』
 身近に落ちてきた男の前で、澪はハンドグリップの音をたてた。
「当ててあげる」
 最初から数えて合計八回。至近距離からの散弾連射が真骨頂、だから四回は取っておいたのだ。
 瘴鬼を蜂の巣にした所で、はぁと澪は嘆息をする。
「めんどくさ」
「あら、お見事って褒めちゃだめ?」
 ふふと頬を緩め朱鞠はからかいの中に本音を隠す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

不破・静武(サポート)
年齢イコール彼女イナイ歴なので基本的な行動原理は「リア充爆発しろ」「リア充は死ね」です。オブリビオンは彼の中では全員リア充です。リア充に見えそうにないオブリビオンに対しては最初はやる気なさそうにしますが、状況を前進させる意思は一応あるので無理やり理屈をつけてリア充と決めつけます。一度敵とみなせば以降はもう容赦はしません。
オブリビオンに対しては基本的には『リア充ころし(焼却)』と『ガソリン』を併用して消毒という名の焼却を図ります。状況に応じて『リア充ころし(爆破)』や『リア充爆破スイッチ』等を併用して物理的にリア充爆発しろを実現させようとします。
見た目がやられ役なので逆襲くらう展開も可能です。




「敢えて言うよ! ボクはさっきまでその辺りにいた彼らの気持ちが痛いほどわかる! ああ、彼らは仲間だね!」
 不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)は切り返す者の怨念めいた負の感情にシンクロしてしまう。まぁしょうがない、リア充爆発しろがレゾンデートルだから。
『ほう。ならばお前もあやつらと同じにしてくれよう』
 ぶぅんっと瘴鬼が震う黒の大太刀を腹踊りの如く華麗なステップで避ける。
 つぷり、脂肪たっぷりの腹がかすかに割れた。実は避け損ね、だがそれは静武の狙い通りだ。
「お前はカーストのトップだなー! リア充めええ、燃え尽くしてやるうううう!!」
 叫びと共に刀についた脂肪が着火、瞬く間に瘴鬼を火だるまにしてしまう。狂ったように火を消そうと飛び回る瘴鬼に背を向けて、静武はのしのしと歩き出す。
「……そういやあいつらもシュッと痩せてて生前はイケメンだったに違いない! やっぱり消毒だぁあああ!」
 残党狩りで徹底的と言えば聞こえがいいが、静武はいつもの暗いパトスを爆発させているだけだ。まぁそれでもちゃんと敵は倒れているので、ええ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)

探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ

戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!




 引き際と逃げの達人がすることはただひとつ、逃げ遅れの確認と撤退支援だ。
「ぶじにかえるまでがおでかけだからね」
 ネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)に手をひかれ、怯えるだけだった母と息子がしろくじらの引くそりに乗る。
「これはそらをとぶそり。たたかってるときにそらなんてみないもの。だからあんしんして」
 シロイルカのしろくじらくんにいつもの合図。するとそりは空をかけあがる。
『恐かったよう……お母様』
 我が子をしかと抱き、品の良いご婦人は頭をさげる。
『いきなり斬りつけられて、あなたがその小銭で気を惹いてくれなかったらどうなっていたことか……』
 クリーピングコインが跳ね回り、ぺちんぺちんと頬を叩く。瘴鬼に傷をつけるには到らなかったけれど――。
「そうやってなめられたほうがいいこともおおいんだよ。つよいところをみせるとふかおいされるからやっかいなんだ」
 ネッドの役目はただひとつ、無事の帰還を全力サポートすること。ご褒美は、助けた人達の安堵の笑顔! これに勝る物なし。
 あと、壊れず残っていたこの時代の中華ランタンは自分の世界ではみないもの。お宝もしっかり手に入れて、ホクホクのガラクタ素材屋さんなのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃(サポート)
一人称『わたし』『麗ちゃん』

どんなシリアスでも一度はネタをやりたいのだ!ダジャレ、奇怪な言動、一発ギャグ、パロ、メタ等何でもよい。状況が悪化する行為はやらない(変態的衝動時等必要な場合を除く)
超シリアスのためギャグ絶対ダメというならシリアスオンリーもできなくはないがその時は頭痛が痛くなるのだ(強調表現としての二重表現肯定派)

一応根は武人なので強敵相手の戦いには心昂る一面もある。ユーベルコードによってはそうならない場合もあるが。

ユーベルコードが
近接系:何も考えず正面から真っ向勝負挑む
遠距離系:射程距離ギリギリから一方的に攻撃狙い
ギャグ系:お手数かけますがなんとかお願いします!
それ以外:まー適当に



「このわたしごときがきみに勝てると思っていたのかね?」
 なんかすごいことを言っているようで、実は違う。だが眉を吊り上げて顎を逸らす大豪傑・麗刃(26歳児・f01156)は、大層なドヤ顔をしていたという。
「我が秘技をくらうが良い! 秘技……くーれ?」
 点目が戸惑いで左右運動開始。冷や汗ダラダラの麗刃をめがけて、瘴鬼は真っ直ぐに切っ先をつきだした。
「……ひゃわっ! 前口上をッ、くれっ……こう、言ってる時にッ! 攻撃してはならッ、せーあーでてこない……ぬという決まりを知らんのか」
 しゃっくりしてるような台詞だが、全て瘴鬼の刀を避ける為にぐねぐねしたからである。この刃に刺さったら一気に詰む――大豪傑に生まれし者であればそれぐらいは朝飯前だ。
『おのれぇ、ちょこまかと逃げおってええ~』
 苛つきMAXの瘴鬼。
「秘技……みかづきっっっ!」
 日本語がやっぱり一番だと叫び、全身全霊の勢いで剣を振り回していた。
『ハッ! 当たらねばどうということも……ぐはぁっ!』
 衝撃波がうるさい喉ごと斬り裂いた。それはもう麗しき三日月の傷でスッパリと。
「……よし、秘技三日月」
 大丈夫、多分その名は格好いい。けど同じ技を使おうとすると、クレ……なんとかって考えちゃうんだろうなぁ。

成功 🔵​🔵​🔴​

クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこいだよ♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは少人数を召喚する系か単体攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪




 そこら中か瓦礫と化し陰鬱な中華街に、キラキラと輝くヴァルキリア達が降り立った。
「……主に襲われたのはお金持ちの来客ばかりだね。店の奥で震えてる店員さんがきっと沢山居るはずだよ」
 ヴァルキリア達はクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)の指示を真正面から聞いている。
「救助にまわってる猟兵と連携して逃げ残しないようにお願いするね。人命が最優先だよ。だけど極力再興しやすいようにしたいから、解体はそれを念頭にしてね! 以上だよ!」
 スッと闇色肌の彼女達は逢魔に融け込むように方々に散った。
「さてと、じゃあクローネちゃんは時間稼ぎをしないと……ね!」
 瘴鬼の前に踊り出ての肉弾戦だ。
『貴様、猟兵か!』
 早速の斬りつけは敢えて前に出て二の腕ブロック。肌がうねり跳ね返したように見えたのはナノマシーンの集積である。
『ははは、既に傷はついたぞ! 死ね』
 始まる連斬はまさに|薄皮一枚《ナノマシーン》を斬らせ致命傷を避ける。血に相当する体液を流しながらもクローネから余裕が消えることはない。
「……あ、増援だね★じゃーあ、ここはお任せするね★ばいばーい。もう二度と逢うことはなさそうだね」
 くすりと笑いだけを残し、クローネは街角に消える。
 再び現れたのはある中華料理店の前であり、お友達が瓦礫を除けて助け出したコックの治療に当たるのだ。彼はクローネがいなければ助けられなかった内のひとりだ。
 
 
 

成功 🔵​🔵​🔴​

此原・コノネ
あら、あらあらあら。あなたも|遊んで《殺人して》いるのね!
なら…あたしと遊びましょう?|おねーさん《グリモア猟兵》からも、|遊んで《戦って》きてほしいって言われてるし♪

ふふ、こうして刃を交える遊びは大好きなの!
だからこそ、いつまでもいつまでも|遊び《戦い》ましょう?

あたしのナイフは『餓血ナイフ』!こうして薙ぐのはもちろん、発火させて燃やすのよ!
だって、これは|あたし《灼熱》の血から出来てるんだから!
どれだけ生命力を吸われても、不死だからいつまでも斬っちゃうね!
あと…模倣は良いけれど。それ、いつまでも斬られて燃えるってことでもあるからね?
あたし?あたしは構わないのよ。だって、楽しいもの!




 ――なにが起ったかわからなかった。
 眼前にパッと梅の花が咲いたかと思うと、瘴鬼の足はデタラメに踏鞴を踏み天地が反転した。
『あぁ……?』
 覚えのない背中からの血が砂利まじりの地面を濡らす。
「あら、あらあらあら。こんなにあっさりと捕まるなんて、期待外れね」
 やはり視界を染めるは血のような梅の花。
 覗き込む此原・コノネ(|精神殺人遊び《マインドマーダーゲーム》・f43838)の髪と瞳が紅色に咲き誇る。
「随分と|遊んで《殺人して》いる人がいるって、|おねーさん《グリモア猟兵》から聞いてわくわくして来たのに……あなたには、あたしと遊ぶ価値はないのかしら?」
 ことりと幼い仕草で首を傾げる。
「あ、いけない」
 棒きれに戻りかけた餓血ナイフを指先でちょんとつつき、態勢を立て直した男目掛けて薙ぎ払い。黒紅の血がびしゃりっと広がり地面を汚す。
「避けられないの? 困ったわね……こうして刃を交える遊びは大好きだけど、一方的なのはいけないわ」
『……小癪なガキめっ。こうだっ』
 風切り音と共にコノネの胸元の衣が散り花の如く千切れ飛ぶ。
「ふふ」
 華奢な胸からだくだくと流れる血潮にコノネは舌なめずり。
「こうじゃなくっちゃ! ここからね? さぁ、いつまでもいつまでも|遊び《戦い》ましょう?」
 コノネからの返す刃を瘴鬼は刀身で受け止めた。
『童子よ、残念だがいつまでもは無理だ。今、我はお前から|異形の力《ユーベルコード》を奪った。更にだ!』
 最初に喰らった刀傷が塞がっていくのをわざと見せつけ希望を断つ。
「我の傷はお前を斬れば斬る程に癒える。お前は何れは死ぬだろうが……」
 ぎゅるりと空中前転で接近し肩から斜めに斬りつける。何故飛んだか? 話が長いので余興を入れてやったのだ。
『ぐっ……このガキィ』
 怒りで開いた口を縫うように横薙ぎ。口元を押さえ突き出された黒刃は傷を塞がんとする後ろ向きな一撃。対するコノネはちょこんと刃の上に乗っかった。
「あたしの技を盗んだのよね?」
『そうだ。どうだ、対抗できまい』
 振り落とそうと必死に刀をゆする瘴気。コノネはつま先立ちでバランスをとった。
「じゃあこれも出来るの?」
 スッと額に餓血ナイフを突き立てる。瘴鬼が夥しい熱を感じた時には遅い。
『ぎゃああああ』
 傷は灼熱を帯びて赤々と燃え盛る。
「あたしのナイフは『餓血ナイフ』! これは|あたし《灼熱》の血から出来てるの」
 わかる? と試すように覗き込む。だがいまや顔全体を炎に包まれた瘴鬼はそれどころではない。
『お前の命を、よこッせ……』
「命をとるとかとらないとか無意味よ? だってどちらかが死ぬまで不死だもの」
 斜めからの振り下ろし、翻る黒い袖が鮮血に染まる。
「だから、どれだけ生命力を吸われても、平気。不死だからいつまでも斬っちゃうね!」
 握り込んだ血色の切っ先をねじ込めば、己の血と敵が混ざる甘露。ああ、とコノネは頬を緩め内側から火をくべる。
『あぁぁああ……止めろッ』
「模倣したのはあなただわ。それ、いつまでも斬られて燃えるってことでもあるからね? 知らなかったは通・じ・な・い」
 5文字にあわせ、刺して、縫って、泳がせる。骨に当たれども押し砕き、その度に血潮と悲鳴が溢れるのにコノネは陶然とした容で瞳を震わせる。
「模倣されたから、あなたを殺せないのかしら? どうしましょう……」
 顎に指をあて、悩む素振りは嘘見え見え。しかし瘴鬼側は、延焼を留めるには罠であれ斬るしかない。
 ぞぶり。
 胴体を刺し貫かれ少女の身体が浮く。
『さ、さぁ、どうだ……』
 瘴鬼としては、もはやこの少女には目の前から去って欲しいのだ――終わりがない、殺されないが殺す事もできない。ただ流血と、火傷の痛みだけが続く。後者はコノネの血に由来するものであるが故、瘴鬼には模倣できぬときた。
「……あたし?」
 三日月めいた笑いを浮かべ、口端からたっぷりとした血を垂らす。
「あたしは構わないのよ」
 胴体を刺す刀を軸に、ススーッと近づくと胸にナイフを突き刺す。
「だって、楽しいもの!」
 燃え盛る身体と、血と、絶え間ない|遊び《殺しあい》がたまらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!


アメリア・イアハッター(サポート)
【サポート】
他の猟兵の行動が成功するようにサポートに徹し、下記のような行動をとります。
・機動力が必要であれば宇宙バイク「エアハート」に仲間を乗せる。
・仲間の攻撃が当たるように、敵の行動をUC「風の友」で読んだり、氷系のUCを使って敵の機動力を封じる。
・仲間の攻撃を強化するために支援系UCを使ったり、鼓舞をする。
・敵の注意を逸らすため、宇宙バイク騎乗や空中にて囮となる。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「ひどいわ。ただ異国の街に楽しく繰り出していただけの人でしょうに……」
 上空より、逢魔に覆われた先も猟兵ならば軽く見通せる。猟兵ならば何度も見たであろう蹂躙された名も無き村のよう。ただただ胸が締め付けられる。
 髪を靡かせ憂う仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)に、赤い髪を押さえアクセルを吹かすアメリア・イアハッター(夢想空流・f01896)が応じる。
「もう終わりだよ。私達が来たからね」
 赤い帽子の先、若葉の瞳が悲しさを滲ませるのはここまで。
「一気にぶちぬいて急降下、準備はOK」
「ええ、いつでもイケルわよ」
 漆黒をすらりとコートから抜いて構えると衣吹は集中する。
「しっかり捕まって、行くよ!」
 ウインクしてから予告通りにフルスロットル! ぐおんっとエアハートのエンジン音を連れて戦場へと降り立った。
『戦いは数だ。これでは勝てまい』
 地上では獄門がひらく。そこには人を人と扱わず、墨で顔を塗りつぶした軍団が溢れ出した。
「本当に外道なやり口ね……美しさ以前の問題だわ」
 ギギッと地面を削りターン、勢いの儘に飛び降りた衣吹はダガーを投げつける。その時、衣吹は荘厳なる輝きを全方向に放つのだ。アメリアは衣吹の力量に全幅の信頼を寄せ再び空へと飛翔する。
「この光、苦しいのはアナタだけよ、瘴鬼」
 この光は仲間へは癒やしをもたらす。瘴鬼の手に掛かった人々が衣吹にとって敵であるものか!
『なん、だと?』
 衣吹の言う通りだ。地獄の門より押し出された者達は、皆一様に安らかな顔で霧散する、ある者に到っては衣吹に頭さえ下げている。神に等しい光が、心身を慰め癒やしきったのだ。
「もうアナタに命をオモチャにはさせないわ!」
『グッ……ッ、まだだッ、まだ地獄の門はこの手に』
「……させないよ」
 エアハートで割り入りアメリアが吼える。ぐおんっと、烈風。門ごと吹き飛ばして衣吹や、まだ息ある人の盾となる。
「どんな攻撃でも封じきるって誓うよ。だからお願い、路地の奥から息づかいが聞こえたんだ」
「わかったわ……露祓いは、あとは仲間に任せせましょ。今のアタシ、仲間を癒やす光がでるのよ、救助に丁度いいわね!」
 衣吹は芥子色のコートを翻し全力で路地裏に駆け込んでいく。
『小賢しい』
 瘴鬼の叫びは、新たなる仲間の攻撃にて千切られる。
「あとは任せたよ!」
 アメリアは急転すると衣吹が助けた少女ごと後部座席にのせた。全力で戦場離脱だ!

【使用UC】
ジャッジメントレイ
レベルm半径内に【裁きの光条】を放ち、全ての味方を癒し、それ以外の全員にダメージ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

香良洲・巽
一縷野望マスターにおまかせします。かっこいい香良洲・巽をお願いします!

 地球人のブレイズキャリバー×鹵獲術士、20歳の男です。
 普段の口調は「黒烏(オレ、呼び捨て、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねェの? )」、戦闘中は「水蛟(オレ、お前、呼び捨て、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします。




『この苦界より、抜け駆けする者は赦すまじ……!』
 中華街を地獄に堕とした瘴鬼は、今や完全に泰然自若たる仮面を脱ぎ捨てている。口角唾を飛ばし、遠ざかるエンジン音に唸り声。だがすぐに悪辣なる余裕にて口元を吊り上げる。
『ハッ! 我の獄門は何処へでも出現可能。この逢魔の中では人は無力。ごうつくばりがかき集めた金は何一つ役に立たぬ!』
 喜色満面で黒き大太刀を掲げた瘴鬼だが、ピタリと石のように固まった。
 ――門より溢れ出すは容奪った亡霊達。だが彼らは、蒼い烏に包まれ現世の土を踏む前に灰燼と化す。
「獄門と言うからにはどれほどの地獄かと思ったが……飛んだ|ぬるさ《・・・》だ」
 人の恨みを煽りオブリビオンへ貶めた。借り物だらけで地獄を語る下賤には、香良洲・巽(Krähe・f40978)はもはや呆れしか抱けない。
「肯定する気は全くない。だが先のあいつらにはまだ己の熱があった」
 斬り返す者の上流階級への嫉妬と憎悪。這い上がり損ねた人生は、全て上が詰まっているからだと無辜の人を斬り捨てた。
 巽は前髪を摘まみ退屈を現わす。だが常に蒼く|冥《くら》く燃えて揺らぐ腕からは、烏が飛び立ち門を囲み螺旋をつくるのだ。
「なんだよ、お前は……」
『何が言いたい? 喋らせる気は此方にはないがなぁ!』
 怒りで目を剥き振り下ろされた黒い太刀は血の色で濁っている。飛沫が頬に跳ねども巽の鼻腔を刺激することはない。蒼烏との契約は『何れかの感覚を明け渡すこと』であり、それは誠実に果たされている。
『……グッ、ググッ。臆病者がぁ、我の刀が怖ろしいか』
 地面に切っ先を叩きつけ負け惜しみをそらんじる男へ、巽は眉ひとつ揺らさずこう応じた。
「気づいてないのか? オレは避けちゃあいないぜ? お前の手元が狂ったんだよ」
『……グッ、言いたいことを言いおってぇ』
 巽は淡々と事実を述べるのみ。だが、瘴鬼は侮辱されたと喉から恨みを垂れ流す。
 蒼烏らが存在を示すように羽ばたくのに、巽は肩を竦めた。
「お前達が喰らう中身が、あの男にはもう残っちゃいねぇよ。それよりも」
 煮える鍋の水面のように後から後から被害者達は門よりいずるのに、切れ長の双眸が翳る。
「彼らを頼む」
“――容を潰され魂から毀損される彼らを、せめて痛み無く冥界へと還してやって欲しい。灼ける痛みはオレにまわしてくれればいいから”
 短い中に籠められた巽の願いをかぎ取って蒼い翼が方々で翻る。羽音は門に吸われ、顕現の苦すら取り去っていく。
 ああ、と、巽の唇が嘆息を漏らす。灼けた両腕を伝い煉獄が全身にまわるようだ、肉の焦げる臭いはしない。嗅覚を佚しているからだが、巽は「だから自分は燃えてなどいない」と痛みを見ない振りをする。
『……お、まえ。死ぬ、ぞ』
 カタカタと鞘を振わせてしりもちをつく瘴鬼へ、巽は怪訝に首を傾げる。それは何処か烏がしてみせるような無垢さと抜け目のなさ双方を感じさせる。見る者によって変るのだろう。
「死ねると見えるのかよ、ふぅん、そうか……」
 確かに巽を取り巻く痛みと焔は、オブリビオンを骸の海へと叩き込む力がある。だが、それで朽ちることができるなら苦労はしない。
 巽は、指先を伸ばしたつもりだが、ひたりと蒼い炎が落ちるのみ。
『……ッ、くっ』
 至近の地面が焦げるのに後ずさる瘴鬼へ、常に地獄を見据える男は最期の言葉を手向ける。
「お前はもうからっぽなんだよ。劣等感を煽り殺戮者に仕立て上げた『切り返す者』も、地獄から使役しようと呼び出した悦楽の元に殺した者達も、もう灼き尽くされている」
『戯れご……』
 唐突に瘴鬼の姿が破裂して散った。様々な負の感情を乗っ取っただけの男は本当になにもなかったのだ。
「だから、オレが手を下すまでもない」
 蒼い烏は葬送の送り火となり空へとあがる。だが巽の身は未だ燃えて燃えて痛みを生み出し続けるが儘だ。
 それで良い――此度の事件で生じた無念が全て灼けて果てるまでは。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年03月09日


挿絵イラスト